JP2013071674A - ハイブリッド自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダンパでの共振を抑制し、車両の振動や異音の発生をより低減する。
【解決手段】エンジンと、エンジンのクランクシャフトとインプットシャフトとの間に介在するダンパと、モータMG1と、インプットシャフトとモータMG1の回転軸と駆動軸とに接続されたプラネタリギヤと、駆動軸に動力を入出力可能なモータMG2とを備えるハイブリッド自動車において、エンジンの初爆からその回転が安定するまでの間に、インプットシャフトの回転変動Yinが負の値で且つインプットシャフト回転数Ninがエンジン回転数Ne未満のときに(S150,S160)、回転変動Yinに係数kvを乗じた値の制振トルクTvを設定し(S170)、この制振トルクTvがモータMG1から出力されるようモータMG1を制御する(S190,S200)。
【選択図】図2
【解決手段】エンジンと、エンジンのクランクシャフトとインプットシャフトとの間に介在するダンパと、モータMG1と、インプットシャフトとモータMG1の回転軸と駆動軸とに接続されたプラネタリギヤと、駆動軸に動力を入出力可能なモータMG2とを備えるハイブリッド自動車において、エンジンの初爆からその回転が安定するまでの間に、インプットシャフトの回転変動Yinが負の値で且つインプットシャフト回転数Ninがエンジン回転数Ne未満のときに(S150,S160)、回転変動Yinに係数kvを乗じた値の制振トルクTvを設定し(S170)、この制振トルクTvがモータMG1から出力されるようモータMG1を制御する(S190,S200)。
【選択図】図2
Description
本発明は、エンジンと、エンジンの出力軸と入力軸とを連結するダンパと、動力を入出力可能な第1のモータと、入力軸と第1のモータの回転軸と駆動軸とに接続されたプラネタリギヤと、駆動軸に動力を入出力可能な第2のモータと、を備え、エンジンを始動する際にエンジンがクランキングされ初爆以降にはエンジンが目標回転数で回転されるよう第1のモータを制御するハイブリッド自動車に関する。
従来、この種のハイブリッド自動車としては、エンジンの出力軸とモータジェネレータの回転軸とをダンパを介して結合されたハイブリッド自動車において、エンジンのトルク変動分に応じた所定係数を乗じたトルクが出力されるようモータジェネレータを制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車では、エンジンの出力軸とモータジェネレータの回転軸とをダンパを介して結合しているため、ねじり振動系が存在し、このねじり振動系の共振周波数とエンジンの爆発周波数とが略一致すると、ダンパで共振現象が生じる。そこで、共振を励起する加振力が最小となるようエンジンの回転速度(回転数)に応じて所定係数を演算することにより、エンジン始動時やエンジン停止時に発生しやすいねじり振動系の共振を軽減することができるとしている。
ところで、エンジンと、エンジンの出力軸と入力軸との間に介在するダンパと、第1のモータと、入力軸と第1のモータの回転軸と駆動軸とに接続されたプラネタリギヤと、駆動軸に動力を入出力可能な第2のモータと、を備え、第1のモータでエンジンをクランキングして始動するタイプのハイブリッド自動車では、エンジンの初爆以降に、エンジンが目標回転数で回転されるよう目標回転数と実回転数とに基づいて第1のモータが回転数制御される。このため、初爆直後のエンジンの回転が不安定なときには、エンジンの回転変動(例えば、周期がエンジンの2回転に相当する回転0.5次変動)を受けて第1のモータから回転変動周期に応じた成分のトルクが印加され、ダンパ(トーショナルダンパ)で共振し、車両に振動や異音が発生する場合がある。
本発明のハイブリッド自動車は、エンジンと、エンジンの出力軸と入力軸との間に介在するダンパと、第1のモータと、入力軸と第1のモータの回転軸と駆動軸とに接続されたプラネタリギヤと、駆動軸に動力を入出力可能な第2のモータと、を備えるものにおいて、ダンパでの共振を抑制し、車両の振動や異音の発生をより低減することを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド自動車は、
エンジンと、エンジンの出力軸と入力軸とを連結するダンパと、動力を入出力可能な第1のモータと、前記入力軸と前記第1のモータの回転軸と駆動軸とに接続されたプラネタリギヤと、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2のモータと、を備え、前記エンジンを始動する際に該エンジンがクランキングされ初爆以降には該エンジンが目標回転数で回転されるよう前記第1のモータを制御するハイブリッド自動車において、
前記エンジンの始動から該エンジンの回転が安定するまでの間に、前記入力軸の単位時間当たりの回転数変化量が負で且つ前記入力軸の回転数が前記エンジンの出力軸の回転数よりも低いときには、前記入力軸の単位時間当たりの回転数変化量に応じた制振トルクが前記第1のモータから出力されるよう該第1のモータを制御する
ことを要旨とする。
エンジンと、エンジンの出力軸と入力軸とを連結するダンパと、動力を入出力可能な第1のモータと、前記入力軸と前記第1のモータの回転軸と駆動軸とに接続されたプラネタリギヤと、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2のモータと、を備え、前記エンジンを始動する際に該エンジンがクランキングされ初爆以降には該エンジンが目標回転数で回転されるよう前記第1のモータを制御するハイブリッド自動車において、
前記エンジンの始動から該エンジンの回転が安定するまでの間に、前記入力軸の単位時間当たりの回転数変化量が負で且つ前記入力軸の回転数が前記エンジンの出力軸の回転数よりも低いときには、前記入力軸の単位時間当たりの回転数変化量に応じた制振トルクが前記第1のモータから出力されるよう該第1のモータを制御する
ことを要旨とする。
この本発明のハイブリッド自動車では、エンジンの始動からエンジンの回転が安定するまでの間に、入力軸の単位時間当たりの回転数変化量が負で且つ入力軸がエンジンの出力軸の回転数よりも低いときには、入力軸の単位時間当たりの回転数変化量に応じた制振トルクが第1のモータから出力されるよう第1のモータを制御する。これにより、エンジンの回転変動を受けて第1のモータで出力される回転変動周期に応じた成分のトルクの少なくとも一部を打ち消すことができるから、エンジンの始動からエンジンの回転が安定するまでの間のダンパでの共振を抑制し、車両の振動や異音の発生をより低減させることができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とする多気筒(実施例では、4気筒)のエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという。)24と、エンジン22のクランクシャフト26とインプットシャフト32とを連結するねじれ要素としてのダンパ28と、インプットシャフト32にキャリアが接続されると共に駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸36に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、モータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという。)40と、インバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという。)70と、を備える。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ29からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサからの冷却水温Tw,燃焼室内に取り付けられた圧力センサからの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブや排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサからのカムポジション,スロットルバルブのポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサからのスロットルポジションSP,吸気管に取り付けられたエアフローメータからの吸入空気量Qa,同じく吸気管に取り付けられた温度センサからの吸気温Ta,排気系に取り付けられた空燃比センサからの空燃比AF,同じく排気系に取り付けられた酸素センサからの酸素信号O2などが入力ポートを介して入力されており、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁への駆動信号や、スロットルバルブのポジションを調節するスロットルモータへの駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイルへの制御信号、吸気バルブの開閉タイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクポジションセンサ29からの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力ポートを介して入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチングするためのスイッチング制御信号が出力ポートを介して出力されている。また、モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリECU52は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりHVECU70に送信する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいてそのときのバッテリ50から放電可能な電力の容量の全容量に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。HVECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。なお、HVECU70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力が駆動軸36に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸36に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードとは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動力36に出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
エンジン運転モードでは、HVECU70は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を設定する。続いて、設定した要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPdrvを計算すると共に計算した走行用パワーPdrvからバッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて得られるバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じてエンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*を設定する。そして、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力することができるエンジン22の回転数NeとトルクTeとの関係としての動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)を用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにするための回転数フィードバック制御によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときにプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に作用するトルクを要求トルクTr*から減じてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、設定した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とについてはエンジンECU24に送信し、トルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行ない、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
モータ運転モードでは、HVECU70は、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定する共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸36に出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する。そして、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
実施例のハイブリッド自動車20は、モータ運転モードで運転している最中に、運転者のアクセルペダル83の踏み込みによりバッテリ50からの電力だけでは走行用パワーPdrvを賄うことができないときや、バッテリ50の蓄電割合SOCがエンジン運転モードに切り替えるために予め定められた閾値以下になったとき、その他、車両の状態がエンジン運転モードに切り替えるために予め定められた状態に至ったときに、エンジン22を始動してエンジン運転モードに移行する。エンジン22の始動は、モータMG1からトルクを出力してエンジン22をモータリングすると共にモータMG1からのトルクの出力により駆動軸36に作用するトルクをモータMG2からのトルクによりキャンセルし、エンジン22のエンジン回転速度Neが予め定められた制御開始回転数に至ったときに燃料噴射制御や点火制御などを開始することにより行なわれる。
また、実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン運転モードで運転している最中に、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値以上で走行用パワーPdrvをバッテリ50からの放電で賄うことができるときや、運転者により図示しないモータ走行スイッチが押されたとき、その他、車両の状態がモータ運転モードに切り替えるために予め定められた状態に至ったときに、エンジン22の運転を停止してモータ運転モードに移行する。エンジン22の運転停止は、エンジン22をアイドリング制御しながら可変バルブタイミング機構による吸気バルブの開閉タイミングが最遅角(最も遅いタイミング)に変更されるようエンジン22を制御し、可変バルブタイミング機構の吸気バルブの開閉タイミングが最遅角になると、燃料噴射と点火を停止し、次にエンジン22を始動するときに始動性が良好となるクランク角位置で停止するようモータMG1により停止位置を調整することにより行なわれる。
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、エンジン22の始動(初爆)からその回転が安定するまでの間に車両の振動や異音の発生を抑制する際の動作について説明する。図2は、HVECU70により実行される制振制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、モータ運転モードからエンジン運転モードへの切り替えが指示されたとき、即ち、エンジン22の始動が指示されたときに実行される。
制振制御ルーチンが実行されると、HVECU70のCPUは、まず、エンジン22の初爆がなされるのを待つ(ステップS100)。初爆の判定は、例えば、エンジン22の燃料噴射制御や点火制御が開始されたか否かを判定することにより行なうことができる。初爆がなされると、次に、エンジン22の回転数NeとモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を入力し(ステップS110)、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようフィードバック制御によりモータMG1から出力すべきトルクの仮の値である仮モータトルクTm1tmpを設定する(ステップS120)。なお、エンジン22の回転数Neは、クランクポジションセンサ29により検出されたクランクポジションに基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。
そして、入力したモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2に基づいてインプットシャフト32の回転数(インプットシャフト回転数)Ninを演算する(ステップS130)。ここで、インプットシャフト回転数Ninは、インプットシャフト32がプラネタリギヤ30を介してモータMG1の回転子とモータMG2の回転子とに接続されていることから、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2とプラネタリギヤ30のギヤ比ρとを用いて次式(1)により演算することができる。
Nin=(ρ・Nm1+Nm2)/(1+ρ) (1)
インプットシャフト回転数Ninを演算すると、演算したインプットシャフト回転数Ninと前回のステップS130で演算されたインプットシャフト回転数(前回Nin)との差をステップS110〜S210の実行時間間隔Δtで割ってインプットシャフト32の回転変動Yinを演算する(ステップS140)。そして、演算した回転変動Yinが値0未満であるか否か(ステップS150)、インプットシャフト回転数Ninがエンジン回転数Ne未満か否か(ステップS160)をそれぞれ判定する。回転変動Yinが値0未満であり且つインプットシャフト回転数Ninがエンジン回転数Ne未満と判定されると、回転変動Yinに係数kvを乗じたものを制振トルクTvに設定する(ステップS170)。エンジン22の初爆以降では、前述したように、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようフィードバック制御によりモータMG1を制御するため、エンジン22の回転0.5次変動(周期がエンジン22の2回転に相当する変動)を受けてモータMG1のトルクに回転0.5次成分が印加され、ダンパ28で共振して車両に振動や異音が発生する場合が生じる。制振トルクTvは、エンジン22の回転0.5次変動に起因して生じる回転0.5次成分をキャンセルし、振動や異音の発生を低減するためのものである。なお、係数kvは、エンジン22の運転状態(例えば、エンジン回転数Neや吸入空気量Qaなど)に基づいて変更したり、予め定めた固定値を定めたりすることができる。一方、インプットシャフト32の回転変動Yinが値0以上と判定されたり、インプットシャフト回転数Ninがエンジン回転数Ne以上と判定されると、制振トルクTvに値0を設定する(ステップS180)。
こうして制振トルクTvを設定すると、仮モータトルクTm1tmpに制振トルクTvを加えたものをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定し(ステップS190)、設定したトルク指令Tm1*をモータECU40に送信する(ステップS200)。これにより、ダンパ28の共振を抑制しながら、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させることができる。トルク指令Tm1*を送信すると、エンジン22の回転が安定するまで(ステップS210)、ステップS110に戻ってステップS110〜S200の処理を繰り返し実行して本ルーチンを終了する。なお、エンジン22の回転が安定したか否かは、エンジン22の初爆から予め実験的に定めた所定時間が経過したか否かにより判定したり、エンジン22の回転変動の振幅が所定値未満か否かを判定したりすることにより判定することができる。
図3は、インプットシャフト26の回転変動Yinとエンジン22の回転数Neと
インプットシャフト26の回転数Ninの時間変化の様子を示す説明図である。図示するように、時刻t1にエンジン22の燃料噴射制御および点火制御が開始され時刻t2に完爆すると、インプットシャフト32の回転変動Yinが負の値で且つインプットシャフト回転数Ninがエンジン回転数Ne未満のタイミングでモータMG1から回転変動Yinに応じた制振トルクTv(=kv・Yin)を出力することにより、ダンパ28での共振を抑制する。
インプットシャフト26の回転数Ninの時間変化の様子を示す説明図である。図示するように、時刻t1にエンジン22の燃料噴射制御および点火制御が開始され時刻t2に完爆すると、インプットシャフト32の回転変動Yinが負の値で且つインプットシャフト回転数Ninがエンジン回転数Ne未満のタイミングでモータMG1から回転変動Yinに応じた制振トルクTv(=kv・Yin)を出力することにより、ダンパ28での共振を抑制する。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の初爆からその回転が安定するまでの間に、インプットシャフト32の回転変動Yinが負の値で且つインプットシャフト回転数Ninがエンジン回転数Ne未満のときに、モータMG1から回転変動Yinに応じた制振トルクTvを出力することにより、エンジン22の回転0.5次変動に起因して生じる回転0.5次成分をキャンセルすることができ、ダンパ28の共振を抑制することができる。この結果、車両の振動や異音の発生を低減することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、インプットシャフト32の回転数NinをモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2に基づいて演算するものとしたが、インプットシャフト32に回転数センサや回転位置検出センサを取り付けるものとしてインプットシャフト32の回転数Ninを直接に検出するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を駆動軸36に出力するものとしたが、図4の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を駆動軸36が接続された車軸(駆動輪38a,38bが接続された車軸)とは異なる車軸(図4における車輪39a,39bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、ダンパ28が「ダンパ」に相当し、モータMG1が「第1のモータ」に相当し、プラネタリギヤ30が「プラネタリギヤ」に相当し、モータMG2が「第2のモータ」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド車の製造産業などに利用可能である。
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、29 クランクポジションセンサ、30 プラネタリギヤ、32 インプットシャフト、36 駆動軸、37 デファレンシャルギヤ、38a,38b 駆動輪、39a,39b 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。
Claims (1)
- エンジンと、エンジンの出力軸と入力軸とを連結するダンパと、動力を入出力可能な第1のモータと、前記入力軸と前記第1のモータの回転軸と駆動軸とに接続されたプラネタリギヤと、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2のモータと、を備え、前記エンジンを始動する際に該エンジンがクランキングされ初爆以降には該エンジンが目標回転数で回転されるよう前記第1のモータを制御するハイブリッド自動車において、
前記エンジンの始動から該エンジンの回転が安定するまでの間に、前記入力軸の単位時間当たりの回転数変化量が負で且つ前記入力軸の回転数が前記エンジンの出力軸の回転数よりも低いときには、前記入力軸の単位時間当たりの回転数変化量に応じた制振トルクが前記第1のモータから出力されるよう該第1のモータを制御する
ことを特徴とするハイブリッド自動車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011213287A JP2013071674A (ja) | 2011-09-28 | 2011-09-28 | ハイブリッド自動車 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2011213287A JP2013071674A (ja) | 2011-09-28 | 2011-09-28 | ハイブリッド自動車 |
Publications (1)
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JP2013071674A true JP2013071674A (ja) | 2013-04-22 |
Family
ID=48476485
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011213287A Withdrawn JP2013071674A (ja) | 2011-09-28 | 2011-09-28 | ハイブリッド自動車 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2013071674A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101685537B1 (ko) * | 2015-09-07 | 2016-12-12 | 현대자동차주식회사 | 엔진 저크 제어 방법과 이를 수행하는 하이브리드 전기 자동차 |
KR101759145B1 (ko) * | 2016-10-11 | 2017-07-18 | 현대자동차주식회사 | 엔진 저크 제어 방법과 이를 수행하는 하이브리드 전기 자동차 |
-
2011
- 2011-09-28 JP JP2011213287A patent/JP2013071674A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101759145B1 (ko) * | 2016-10-11 | 2017-07-18 | 현대자동차주식회사 | 엔진 저크 제어 방법과 이를 수행하는 하이브리드 전기 자동차 |
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