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JP2012524818A - 骨細胞機能および骨成長の抗TGF−βによる誘導法 - Google Patents

骨細胞機能および骨成長の抗TGF−βによる誘導法 Download PDF

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Abstract

本発明は、TGF-βに結合する抗体を対象に投与することによるTGF-β活性の調節、それによる骨成長、骨形成、骨量、および骨強度の増加に関する。該抗体は、骨芽細胞の数および機能を増加させ、一方でそれと同時に破骨細胞数を減少させるようにおよび破骨細胞機能を低下させるように作用する。そのような薬物は、骨粗鬆症、パジェット病、転移性骨癌、骨髄腫骨疾患、骨折などの疾患または障害の処置において有用である。

Description

本出願は、全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2009年4月24日に提出された米国特許仮出願第61/172,539号に対する優先権の恩典を主張する。
I.発明の分野
本発明は、分子生物学および医学の分野に関する。より詳しくは、本発明は、骨の疾患および損傷、骨修復、骨インプラント、骨移植片、歯周病および癌の分野に関する。具体的には、本発明は、抗TGF-β抗体を用いて、骨の成長および形成を促進すること、骨量および骨強度を増加すること、ならびにそれによって骨粗鬆症などの骨疾患のみならず、骨外傷、ならびに多発性骨髄腫および骨髄腫骨疾患を含む骨に関する癌を処置することに関係する。
II.関連技術
世界中で2億人を超える人が、骨粗鬆症、骨折、および歯周(歯肉)病(歯が周囲の骨を失う)などの骨障害を患っている。骨粗鬆症は、骨形成を刺激する治療に対する満たされていない医学的ニーズに関する大きく急速に拡大しつつあるヘルスケア問題を表している。現行のほとんどの骨粗鬆症薬は、骨の分解を遅らせるが、既に失われた骨を交換するために骨形成を刺激しない。このように、骨形成を刺激する化合物は、骨疾患の領域における満たされていない医学的ニーズを表している。骨粗鬆症は、全世界でおよそ1億人に罹患していることが知られており、そのうち3500万人は、米国、西欧、および日本で生活している。その上、毎年2500万人を超える人が骨折を有し、6000万人が歯周病(歯が顎骨から失われる)を有し、かつ別の1800万人が骨癌などの他の骨障害を有する。
骨粗鬆症患者の最も最近の治療は、骨形成ではなく、骨喪失の予防に重点を置いている。このことは、骨折後に起こる、特に股関節を骨折している高齢者の長期の床上安静に有意な病的状態および死亡が関連していることから、なおも重要な検討項目である。床上安静の合併症には、血液凝固および肺炎が含まれる。これらの合併症は認識されており、それらを回避する手段が通常講じられているが、これらは治療に対する最善のアプローチとは言い難い。
なお別の骨関連健康問題は、骨の再構成であり、かつ具体的には、外傷性の損傷により生じる、癌もしくは癌の手術の結果としての、出生時欠損の結果としての、または加齢の結果としての、骨組織の欠損の再構成能である。より頻繁な整形外科インプラントが非常に必要であり、頭蓋骨および顔面骨は、このタイプの再構成の必要性に関する特定の標的である。新しいインプラント材料、たとえばチタンを使用できることにより、比較的大きい欠損の修復が可能となっている。チタンインプラントは、骨質欠損に対して優れた時間的安定性を提供する。しかし、生きている骨が欠損部とつながっていないことが、装具の露出、感染、構造の不安定性をもたらす場合があり、かつ最終的に欠損部を修復できない場合があることが、経験により示されている。
自己骨移植片は、骨損傷に対処するための別の可能性であるが、それらを腸骨稜または肋骨などのドナー部位から採取しなければならないという点において、それらが通常提供する骨が、欠損部を完全に充填するには不十分であるという点において、および形成する骨が時に感染および吸収を受けやすいという点において、いくつかの証明された不都合を有する。部分精製された異種調製物は、ウシの骨数キログラムから精製された量がマイクログラム量であることから臨床で使用するには実際的ではなく、大規模で商業的に生産するには費用がかかり非現実である。ゆえに、同種異系移植片およびミネラル除去された骨調製物がしばしば使用される。軟組織および血管が付着した遊離の骨移植片を顕微手術によって移入すると、骨質欠損部を閉鎖して、移植片に即時の血液供給源を与える。しかし、これらの技術は時間がかかり、かなりの病的状態を生じることが示されており、特殊な訓練を受けた人のみが用いることができる。
別の型の骨疾患は、癌により生じる骨疾患である。乳癌、肺癌、甲状腺癌、腎臓癌、および前立腺癌などの多くの癌が骨に転移して、それによって骨の脆弱化が起こりえて、いくつかは、骨の破壊および骨の喪失にさえ関連する。それに加えて、多発性骨髄腫およびその関連する骨髄腫骨疾患(MBD)は転移性癌ではない。むしろ、骨髄腫細胞は、骨髄に通常常在する免疫系のB細胞に由来し、そのため骨に密接に関連する。実際に、骨髄の微小環境は、骨髄腫細胞の生育、生存、化学療法に対する抵抗性において重要な役割を果たし、その結果としてこの障害に関連する骨喪失の増加を調節する(multiplemyeloma.orgのワールドワイドウェブ)。骨髄腫患者の90%超は骨が関与するのに対し、骨転移を有する癌患者は40〜60%であり、かつこれらのMBD患者の80%超が難治性の骨疼痛を有する。その上、骨髄腫患者のおよそ30%が高カルシウム血症を有し、これはこの疾患に関連する骨溶解活性が増加した結果である(Cavo et al., 2006)。
他の骨腫瘍に関連する骨溶解とは異なり、MBD病変は、患者が何年もの間完全寛解を有するにもかかわらず、治癒も修復もしないという点において独特である(multiplemyeloma.orgのワールドワイドウェブ;Terpos et al., 2005)。作用機序の点から、これは疾患進行の際の骨形成性の骨芽細胞の阻害および/または喪失に関連するようである。実際に、骨マーカー試験および組織形態計測により、疾患の初期では、骨吸収性の破骨細胞と骨芽細胞の活性がいずれも、増加しているがバランスがとれている一方で、明白なMBDが高い破骨細胞活性および低い骨芽細胞活性を示す(multiplemyeloma.orgのワールドワイドウェブ)ことが示されている。このように、MBDは、骨形成と骨喪失が連動していない障害であり、かつ骨形成を刺激しその上その喪失を遅らせる治療の恩恵を受けらると考えられる。今のところ、そのような治療は存在しない。ゆえに、癌が含まれる骨疾患および損傷を処置するために、インビボで骨形成を刺激して骨強度を増加させる改善された方法が絶えず必要である。
従って、本発明によって、以下の段階を含む、対象において骨量および/または体積を増加させる方法が提供される:(a)骨量および/または骨体積の増加を必要とする患者を同定する段階;および(b)TGF-βに免疫学的に結合する抗体を該対象に投与する段階。抗体は、TGF-βの3つのイソ型全てに結合してもよい。抗体は、1D11と呼ばれてもよいか、かつ1D11のヒト化型であっても、または異種フレームワークにおいて1D11のCDRを含有する任意の遺伝子操作された型であってもよい。
1つの態様において、抗体は、TGF-βの少なくとも1つのイソ型に特異的に結合する抗体である。特定の態様において、抗TGF-β抗体は、TGF-β1、TGF-β2、およびTGF-β3からなる群より選択されるTGF-βの少なくとも1つのイソ型に特異的に結合する。なお他の態様において、抗TGF-β抗体は、少なくとも(a):TGF-β1、TGF-β2、およびTGF-β3(「汎中和抗体」とも呼ばれる);(b)TGF-β1およびTGF-β2;(c)TGF-β1およびTGF-β3;ならびに(d)TGF-β2およびTGF-β3に特異的に結合する。様々な態様において、それが特異的に結合するTGF-bの少なくとも1つのイソ型に関するTGF-β抗体の親和性定数Kaは、好ましくは、106 M-1、107 M-1、108 M-1、109 M-1、1010 M-1、1011 M-1、または1012 M-1より大きい。なおさらなる態様において、本発明の抗体は、ヒトTGF-β1、TGF-β2、および/またはTGF-β3と実質的に同一であるタンパク質に特異的に結合する。同様に、キメラ型およびヒト型ならびに非ヒト抗体の派生体も、ヒトにおいて用いることが企図される。そのような変種を産生することは当業者の範囲内である(たとえば、Antibody Engineering, ed. Borrebaeck, 2nd ed., Oxford University Press, 1995を参照されたい)。
1つの態様において、抗TGF-β抗体は、ハイブリドーマ1D11.16(ATCC寄託番号HB 9849、米国特許第5,571,714号、同第5,772,998号、および同第5,783,185号にも記載される)によって産生されるマウスモノクローナル抗体1D11である。1D11抗体は、TGF-βの3つの哺乳動物イソ型全てに特異的に結合する。1D11重鎖可変領域の配列は、アクセッション番号AAB46787の下で入手可能である。関連する態様において、抗TGF-β抗体は、1D11の派生体であり、たとえば1D11の配列と同一であるCDR配列を含む抗体(たとえば、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはCDR移植抗体)である。なおさらなる態様において、抗TGF-β抗体は、完全なヒト組換え型抗体である。
抗体は、前記対象に全身投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、または局所投与されてもよい。抗体は、骨標的部位での注射を含めて、該部位に投与されてもよい。抗体はまた、該部位に埋め込まれた徐放型デバイスに含まれてもよい。
対象は、ヒト、またはマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、サル、もしくはウシなどの非ヒト動物であってもよい。対象は、癌を有してもよいか、または有しなくてもよい。方法は、1週間に3回の投与というレジメンを含む、少なくとも2回目の前記抗体の投与をさらに含んでもよい。対象は、少なくとも9回の投与を受けてもよい。対象は、骨粗鬆症、骨折、外傷による骨喪失、もしくはパジェット病を患っていてもよいか、または癌転移による骨喪失を患っていてもよい。方法は、抗体の投与後に骨イメージングなどによって骨量を評価する段階をさらに含んでもよい。
別の態様において、TGF-βに免疫学的に結合する抗体を対象に投与する段階を含む、該対象において骨成長を増加させる方法が提供される。抗体は、TGF-βの3つのイソ型全てに結合してもよい。抗体は、1D11と呼ばれてもよく、かつ1D11のヒト化型であっても、または異種フレームワークにおいて1D11のCDRを含有する任意の遺伝子操作された型であってもよい。抗体は、対象に全身投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、または局所投与されてもよい。抗体は、骨標的部位での注射を含めて、該部位に投与されてもよい。抗体はまた、該部位に埋め込まれた徐放型デバイスに含まれてもよい。対象は、ヒト、またはマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、サル、もしくはウシなどの非ヒト動物であってもよい。対象は、癌を有してもよいか、または有しなくてもよい。
他の態様において、以下が提供される。
・TGF-βに免疫学的に結合する抗体を対象に投与する段階を含む、該対象において骨芽細胞数を増加させる方法;
・TGF-βに免疫学的に結合する抗体を対象に投与する段階を含む、該対象において破骨細胞数を減少させる方法;
・TGF-βに免疫学的に結合する抗体を対象に投与する段階を含む、該対象において骨強度を増加させる方法;および
・TGF-βに免疫学的に結合する抗体を対象に投与する段階を含む、該対象においてTGF-βシグナル伝達を低下させる方法。
本明細書において記載される任意の方法または組成物が、本明細書において記載される他の任意の方法または組成物に関して実行されうると企図される。
特許請求の範囲および/または明細書において「含む」という用語とともに用いられる場合の「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語の使用は、「1つの(one)」を意味してもよいが、同様に「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および「1つのまたは1つより多い」という意味とも一致する。
本明細書において考察されるいかなる態様も、本発明の任意の方法または組成物に関して実行することができることが、またその逆も同様であることが企図される。さらに、本発明の組成物およびキットは、本発明の方法を達成するために用いられうる。
本明細書を通して、「約」という用語は、デバイスの誤差の固有の変動、値を決定するために使用される方法の固有の変動、または試験対象間に存在する変動が、値に含まれることを示すために用いられる。
添付の図面は、本明細書の一部を形成し、かつ本発明のある局面をさらに証明するために含められる。本発明は、本明細書において示される特異的態様の詳細な記載と共に、これらの図面の1つまたは複数を参照することによって、よりよく理解されるであろう。
処置レジメン。C57Bl/6マウス(n=5)を、1D11または対照抗体(13C4)の週に3回の腹腔内注射によって28日間処置した。骨格パラメータをμCTスキャン、組織形態計測分析、および生化学試験によって測定した。細胞分布および遺伝子/タンパク質発現に及ぼす抗TGF-β治療の効果も同様に判定した。 1D11処置は骨体積を増加させる。脛骨骨幹端(200μm)のμCTスキャン領域からの三次元画像から、1D11処置マウスにおいて骨体積が増加していることが示され(図2A〜B)、これはBV/TV(図2C)およびBMD(図2D)の増加を伴った。骨梁の肥厚化(図2E)および骨梁間隔の減少もまた、1D11処置動物のこの領域内で観察された(図2F;*=p<0.05)。 組織形態計測分析。1D11によって処置した動物からの非カルシウム除去腰椎の組織切片は、対照動物と比較してBV/TVの有意な増加および骨梁パラメータの正の変化を示した(図3A、フォン・コッサ/ヴァン・ギーソン、*=p<0.05)。長骨体積も同様に劇的に増加した(図3B、H&E)。 1D11処置後の骨細胞の細胞分布。TRAPに関して染色したカルシウム除去脛骨切片は、対照と比較して、処置動物において骨梁骨表面の内側に沿って並ぶ陽性染色された破骨細胞のかなり減少を示した(図4A、当初の倍率×4;図4B、当初の倍率×20;黒色の矢印=破骨細胞)。細胞分布を、H&EおよびTRAP染色切片の組織形態計測分析によって定量し、かつ1D11処置マウスの骨表面における破骨細胞数の有意な減少を証明した(図4C、** p<0.01)。骨芽細胞数は、1D11抗体によって処置したマウスでは有意に増大した(図4D、* p<0.05)。 生体力学的試験。1D11処置または対照マウスから単離したばかりの離断大腿骨を、3点曲げによって生体力学的に調べた。大腿骨は、水平に置かれ、かつ骨幹中央において3 mm/分の速度で単調に荷重をかけられた。1D11処置は、曲げ強度、降伏強度および組織弾性率(modulus)を有意に増加させた(**=p<0.01;***=p<0.001)。
発明の詳細な説明
TGF-βは、骨の再構築を制御しかつ適切な骨量を維持するために、骨芽細胞と破骨細胞の形成、機能、および細胞間相互作用に影響を及ぼす豊富な骨基質タンパク質である。そのため、TGF-βシグナル伝達経路は、骨芽細胞と破骨細胞の双方の制御を通して骨の体積および質を調節する可能性を有する、独特な薬理学的標的になる。TGF-βシグナル伝達経路において遺伝子改変を含有するマウスモデルを用いたこれまでの研究により、TGF-βシグナル伝達が低下すると、骨基質の力学的特性および骨ミネラル濃度のみならず骨量を増強することが示されている。TGF-βシグナル伝達の低分子阻害剤は、癌の成長および浸潤を減少させることが示されているが、腫瘍を有しないマウスにおける正常な骨髄環境に及ぼすTGF-β遮断の直接の効果は、十分に取り組まれていない。
そのため、本発明者らは、抗TGF-β抗体がTGF-βシグナル伝達経路を遮断できるかを調べた。抗体は、骨芽細胞数を正に調節したが、同時に骨髄中の活性破骨細胞の量を減少させた。これによって、骨の体積および質に大きい増加が起こった。これらの知見は、インビボでTGF-βシグナル伝達経路を特異的に標的とすることができる化合物の潜在性を明らかに例証しており、骨量および骨強度を増加させる治療アプローチを示唆する。本発明のこれらおよび他の局面を、以下に詳細に記載する。
I.抗TGF-β
A.TGF-β
トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)は、ほとんどの細胞において増殖、細胞分化、および他の機能を制御する。これは、免疫、癌、心疾患、糖尿病、およびマルファン症候群において役割を有する。TGF-βは、正常な上皮細胞において、および腫瘍形成の初期段階において抗増殖因子として作用する。いくつかの細胞がTGF-βを分泌して、同様にTGF-βに対する受容体も有する。このことは、オートクラインシグナル伝達として知られる。癌様細胞は、自身のTGF-β産生を増加させるが、これはまた周辺細胞にも作用する。
TGF-βは、TGF-β1、TGF-β2、およびTGF-β3と呼ばれる3つのイソ型で存在する分泌型タンパク質である。これはまた、このファミリーの創始メンバーであるTGF-β1の当初の名称であった。TGF-βファミリーは、トランスフォーミング増殖因子βスーパーファミリーとして知られるタンパク質スーパーファミリーの一部であり、これには、インヒビン、アクチビン、抗ミュラーホルモン、骨形態形成タンパク質、デカペンタプレジック、およびVg-1が含まれる。
TGF-βファミリーの3つのメンバーのペプチド構造は非常に類似である。それらは全て、大きいタンパク質前駆体としてコードされ;TGF-β1は、アミノ酸390個を含有し、TGF-β2およびTGF-β3は各々、アミノ酸412個を含有する。それらは各々が、細胞からの分泌に必要なアミノ酸20〜30個のN-末端シグナルペプチド、プロ領域(潜在型結合ペプチド(latency associated peptide)またはLAPと呼ばれる)、およびアミノ酸112〜114個のC-末端領域を有し、タンパク質分解切断によるプロ領域からのその放出後に成熟TGF-β分子となる。成熟TGF-βタンパク質は二量体を形成して、多くの保存された構造モチーフを有する25 kDaの活性分子を産生する。TGF-βは、そのファミリー内で保存されるシステイン残基9個を有し;8個は分子内でジスルフィド結合を形成して、TGF-βスーパーファミリーの特徴であるシステインノット構造を生じるが、9番目のシステインは、別のTGF-β分子の9番目のシステインと結合を形成して二量体を産生する。TGF-βにおける他の多くの保存された残基は、疎水性相互作用によって二次構造を形成すると考えられる。5番目と6番目の保存システインの間の領域は、TGF-β分子の最も多岐にわたる領域を収容し、これは分子の表面上で露出して、受容体結合およびTGF-βの特異性に関係している。
TGF-βは、多数の細胞タイプにおいてアポトーシスを誘導する。TGF-βは、2つの様式で、すなわちSMAD経路を通してまたはDAXX経路を通して、アポトーシスを誘導することができる。SMAD経路は、TGF-βファミリーメンバーがそれを通してシグナルを伝達する正規のシグナル伝達経路である。この経路において、TGF-β二量体はII型受容体に結合し、これがI型受容体を動員してリン酸化する。次に、I型受容体は、受容体調節SMAD(R-SMAD)を動員してリン酸化する。R-SMADであるSMAD3は、アポトーシスの誘導に関係している。次に、R-SMADは、共通のSMAD(coSMAD)であるSMAD4に結合してヘテロ二量体複合体を形成する。次に、この複合体は細胞核の中に入り、ここで複合体は、アポトーシスを誘発するマイトゲン活性化タンパク質キナーゼ8経路を活性化する因子が含まれる、様々な遺伝子の転写因子として作用する。TGF-βはまた、デス関連タンパク質6(DAXXアダプタータンパク質)によってもアポトーシスを誘発し得る。DAXXは、II型TGF-β受容体キナーゼに会合して結合することが示されている。TGF-βは、CD25+調節による免疫系の調節において重要であると考えられている。TGF-βは、リンパ球および単球由来貪食細胞の活性化を遮断するようである。
B.抗体
産生法
別の局面において、本発明は、TGF-βイソ型1〜3と交叉反応性であることを含む、TGF-βと免疫反応性である抗体を企図する。抗体は、モノクローナル抗体でありうるが、同じTGF-β1〜3特異性を有するポリクローナル抗体調製物を使用することができる。抗体を調製および特徴付けする手段は、当技術分野において周知である(たとえば、Harlow and Lane, 1988を参照されたい)。
簡単に説明すると、ポリクローナル抗体は、動物を免疫原(すなわち、TGF-βまたはその断片)によって免疫する段階、および免疫した動物から抗血清を収集する段階によって調製される。抗血清を産生するために広範囲の動物種を用いることができる。典型的には、抗血清を産生するために用いられる動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、ブタ、またはウマが含まれる非ヒト動物である。ウサギは血液が比較的大量であることから、ポリクローナル抗体の産生にとってウサギは好ましい選択である。
当技術分野において周知である通り、所定の組成物は、その免疫原性が多様であってよい。ゆえに、宿主免疫系を追加免疫することがしばしば必要であり、これはペプチドまたはポリペプチドの免疫原を担体に結合させることによって達成されてもよい。例としての好ましい担体は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびウシ血清アルブミン(BSA)である。卵アルブミン、マウス血清アルブミン、またはウサギ血清アルブミンなどの他のアルブミンもまた、担体として用いることができる。ポリペプチドを担体タンパク質にコンジュゲートするための手段は当技術分野において周知であり、これにはグルタルアルデヒド、m-マレイミドベンコイル-N-ヒドロキシスクシニミドエステル、カルボジイミド、およびビアゾ化(biazotized)ベンジジンが含まれる。
同様に当技術分野において周知である通り、特定の免疫原組成物の免疫原性は、アジュバントとして知られる免疫応答の非特異的刺激剤を用いることによって増強されうる。例としての好ましいアジュバントには、フロイントの完全アジュバント(死滅させたヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含有する免疫応答の非特異的刺激剤)、フロイントの不完全アジュバント、および水酸化アルミニウムアジュバントが含まれる。
ポリクローナル抗体を産生するために用いられる免疫原組成物の量は、免疫原の性質のみならず、免疫のために用いられる動物に応じて変化する。免疫原を投与するために多様な経路(皮下、筋肉内、皮内、静脈内、および腹腔内)を用いることができる。ポリクローナル抗体の産生を、免疫した動物の血液を免疫後の様々な時点で採取することによってモニターしてもよい。第二の追加免疫注射もまた行ってもよい。適した力価が達成されるまで、追加免疫および力価測定プロセスを繰り返す。望ましいレベルの免疫原性が得られる場合には、免疫した動物を出血させ、かつ血清を単離および保存することができ、かつ/または動物を用いてmAbを生成することができる。
mAbは、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,196,265号に例示される技術などの周知の技術の使用によって容易に調製され得る。典型的には、この技術は、選択された免疫原組成物、すなわち精製または部分精製されたTGF-βタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチド、または高レベルのTGF-βを発現する細胞によって、適した動物を免疫する段階を含む。免疫組成物を、抗体産生細胞を刺激するために有効な様式で投与する。マウスおよびラットなどの齧歯類は好ましい動物であるが、ウサギ、ヒツジ、カエル細胞を用いることも同様に可能である。ラットを用いることは一定の長所を提供し得るが(Goding, 1986)、マウスが好ましく、BALB/cマウスは最もルーチンで用いられ、一般的により高い割合の安定な融合体を生じることから、最も好ましい。
免疫後、抗体を産生する可能性がある体細胞、具体的にはB-リンパ球(B細胞)を、mAb生成プロトコールにおいて用いるために選択する。これらの細胞は、生検により得た脾臓、扁桃、もしくはリンパ節から得られてもよいか、または末梢血試料から得られてもよい。脾細胞および末梢血細胞が好ましく、脾細胞は、分裂する形質芽球段階にある抗体産生細胞に富む供給源であることから、および末梢血細胞は、末梢血に容易に近づくことができることから好ましい。しばしば、動物のパネルを免疫し、かつ最高の抗体力価を有する動物の脾臓を採取し、脾臓をシリンジによってホモジナイズすることによって脾臓リンパ球を得る。典型的には、免疫したマウスの脾臓は、リンパ球およそ5×107個〜2×108個を含有する。
次に、免疫した動物からの抗体産生Bリンパ球を不死化骨髄腫細胞、一般的には、免疫した動物と同じ種の細胞に融合させる。ハイブリドーマ産生融合手法において用いるために適した骨髄腫細胞株は、好ましくは非抗体産生性であり、高い融合効率を有し、所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの生育を支持する一定の選択培地において生育することができない酵素欠損を有する。
当業者に公知である多数の骨髄腫細胞のいずれか1つを用いてもよい(Goding, 1986;Campbell, 1984)。たとえば、免疫した動物がマウスである場合、P3-X63/Ag8、P3-X63-Ag8.653、NS1/1.Ag 4 1、Sp210-Ag14、FO、NSO/U、MPC-11、MPC11-X45-GTG 1.7、およびS194/5XX0 Bulを用いてもよく;ラットの場合、R210.RCY3、Y3-Ag 1.2.3、IR983F、および4B210を用いてもよく;かつU-266、GM1500-GRG2、LICR-LON-HMy2、およびUC729-6は全て、細胞融合に関連して有用である。
抗体産生脾臓またはリンパ節細胞と骨髄腫細胞とのハイブリッドを生成する方法は、通常、細胞膜の融合を促進する作用物質または複数の作用物質(化学的または電気的)の存在下で、体細胞を骨髄腫細胞とそれぞれ2:1の比率で混合する段階を含むが、比率は約20:1から約1:1まで変化してもよい。センダイウイルスを用いる融合法(Kohler and Milstein, 1975;1976)、およびGefter et al.(1977)による37%(v/v)PEGなどのポリエチレングリコール(PEG)を用いる方法が記載されている。電気的に誘導される融合法を用いることもまた適切である(Goding, 1986)。
融合手法は通常、およそ1×10-6〜1×10-8の低い頻度で生存ハイブリッドを生じる。しかし、生存している融合ハイブリッドは、選択培地において培養することによって親の非融合細胞(特に通常、無限に分裂し続けると考えられる非融合骨髄腫細胞)から分化することから、このことは問題にならない。選択培地は一般的には、組織培養培地におけるヌクレオチドのデノボ合成を遮断する作用物質を含有する培地である。例としての好ましい作用物質は、アミノプテリン、メトトレキサート、およびアザセリンである。アミノプテリンおよびメトトレキサートは、プリンおよびピリミジンの双方のデノボ合成を遮断するが、アザセリンはプリン合成のみを遮断する。アミノプテリンまたはメトトレキサートを用いる場合、培地にヒポキサンチンおよびヌクレオチド源としてのチミジンを補充する(HAT培地)。アザセリンを用いる場合、培地にヒポキサンチンを補充する。
好ましい選択培地は、HATである。ヌクレオチドサルベージ経路を操作することができる細胞のみがHAT培地中で生存することができる。骨髄腫細胞は、サルベージ経路の重要な酵素、たとえばヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)を欠損しており、それらは生存することができない。B細胞はこの経路を操作することができるが、それらは培養での寿命が限られており、一般的には約2週間以内に死滅する。ゆえに、選択培地において生存することができる唯一の細胞は、骨髄腫およびB細胞から形成されたハイブリッドである。
この培養は、そこから特異的ハイブリドーマが選択されるハイブリドーマ集団を提供する。典型的に、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタープレートにおいて単クローン希釈によって細胞を培養し、その後に個々のクローン上清(約2〜3週間後)を所望の反応性に関して試験することによって行われる。アッセイ法は、ラジオイムノアッセイ法、酵素イムノアッセイ法、細胞障害性アッセイ法、プラークアッセイ法、ドット免疫結合アッセイ法等のように、感度がよく、単純かつ迅速であるべきである。
次に、選択されたハイブリドーマを連続希釈し、かつ個々の抗体産生細胞株にクローニングし、次にクローンを無限に増殖させてmAbを提供することができる。細胞株を、2つの基本的な方法でmAbを産生するために使用してもよい。ハイブリドーマ試料を、当初の融合のための体細胞および骨髄腫細胞を提供するために用いたタイプの組織適合性の動物に、注射(しばしば腹腔内に)することができる。注射された動物は、融合細胞ハイブリッドによって産生される特異的モノクローナル抗体を分泌する腫瘍を発生させる。血清または腹水などの動物の体液を採取して、高濃度のmAbを提供することができる。個々の細胞株はまた、インビトロで培養することも可能であり、この場合、mAbは培養培地に自然に分泌され、そこから抗体を高濃度で容易に得ることができる。いずれかの手段によって産生されたmAbを、望ましければ濾過、遠心分離、およびHPLCまたはアフィニティクロマトグラフィーなどの様々なクロマトグラフィー法を用いてさらに精製してもよい。
改変抗体
1つの態様において、抗体分子は、たとえばmAbのタンパク質分解切断によって産生された断片(F(ab')、F(ab')2などの)、またはたとえば組換え手段によって産生可能な一本鎖免疫グロブリンを含む。そのような抗体派生物は一価である。1つの態様において、そのような断片を互いに組み合わせることができるか、または他の抗体断片もしくは受容体リガンドと組み合わせて、「キメラ」結合分子を形成することができる。有意に、そのようなキメラ分子は、同じ分子の異なるエピトープに結合することができる置換基を含有してもよい。
ヒトの治療において用いる場合にいかなる免疫反応も減弱させるために、非ヒト宿主において産生された抗体を「ヒト化」することが望ましいことがある。そのようなヒト化抗体を、インビトロまたはインビボの状況で試験してもよい。ヒト化抗体は、たとえば抗体の免疫原性部分を、対応する非免疫原性部分に交換することによって産生されてもよい(すなわち、キメラ抗体)。PCT出願PCT/US 86/02269;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号;欧州特許出願第173,494号;PCT出願WO 86/01533;欧州特許出願第125,023号;Sun et al. (1987);Wood et al. (1985);およびShaw et al. (1988);その参考文献の全てが参照により本明細書に組み入れられる。「ヒト化」キメラ抗体に関する一般的概説は、Morrison(1985;同様に参照により本明細書に組み入れられる)によって提供される。「ヒト化」抗体はまたは、CDR置換またはCEA置換によって産生されうる。Jones et al. (1986);Verhoeyan et al. (1988);Beidler et al. (1988);それらの全てが参照により本明細書に組み入れられる。
より特異的な態様において、抗体1D11由来のCDR領域を用いてもよく、これらを、ヒトまたは非ヒトの他の任意の適した抗体のフレームワーク領域に入れてもよい。抗TGF-β抗体1D11は、ハイブリドーマ1D11.16(ATCC寄託番号HB 9849、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,571,714号、同第5,772,998号、および同第5,783,185号においても同様に記載される)によって産生されるマウスモノクローナル抗体である。1D11抗体は、TGF-βの3つの哺乳動物イソ型全てに特異的に結合する。1D11重鎖可変領域の配列は、アクセッション番号AAB46787の下で入手可能である。
関連する態様において、抗TGF-β抗体は、1D11の派生物であり、たとえば1D11における配列と同一であるCDR配列を含む抗体(たとえば、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはCDR移植抗体)である。なおさらなる態様において、抗TGF-β抗体は、完全なヒト組換え型抗体である。
II.骨の構造および生理学
骨は、生きている成長をしている組織である。これは、多孔性で無機質に富み、細胞、血管、有機基質および無機ヒドロキシアパタイト結晶で構成される。ヒト骨格は実際に、2つのタイプの骨で構成される:皮質骨および骨梁骨。皮質骨は、骨格重量のほぼ80%である。皮質骨は遅い代謝回転速度を有し、曲げおよび捻れに対して高い抵抗性を有する。これは、長骨の中心部のように曲げが望ましくない場所での強度を提供する。骨梁骨は、骨格重量の20%のみであるが、骨表面の80%である。これは、皮質骨より密度がより小さく、より弾性で、より高い代謝回転速度を有する。
A.骨形成細胞
骨前駆細胞
ヒト骨前駆細胞は、少量の骨タンパク質(オステオカルシン、オステオネクチン、およびアルカリホスファターゼ)を発現し、かつ低い内部複雑度を有する小さいサイズの細胞として特徴付けられる(Long et al., 1995)。刺激して分化させると、これらの前骨芽細胞は、その外観、大きさ、抗原発現、および内部構造に関して骨芽細胞となる。これらの細胞は通常、骨髄において非常に低い頻度で存在するが、これらの細胞を単離するプロセスが記載されている(Long et al., 1995)。米国特許第5,972,703号は、骨前駆細胞を単離するおよび用いる方法をさらに記載しており、具体的には参照により本明細書に組み入れられる。
骨髄由来細胞が骨形成能を有することは、多数の試験が示している。これらの試験の大部分は、骨活性サイトカインの存在下で培養した場合に、骨芽細胞への分化を受けつつある細胞として間葉幹細胞(MSC)を指摘している(Jaiswal et al, 2000;Phinney et al., 1999;Aubin, 1998;Zohar et al., 1997)。間葉幹細胞は、多数の間質細胞系列を生成することができる多能性集団である。現在用いられているMSCは、プラスチック接着性によって単離され、かつ低密度継代によって増殖させた異種細胞集団である。それにもかかわらず、最近の刊行物により、MSCにおける細胞運命結果がクローン性の性質であることが示されており、このことは1つのMSC細胞が、2つまたは3つの間葉系列を生じることができ、その1つがたいてい骨細胞であることを示している(Pittenger et al., 1999)。これらの試験は、骨髄間質細胞、特にマウスおよびヒトの双方からのいわゆるCFU-fに骨形成能があることを証明した初期の報告と一致する(Friedenstein et al., 1968;Reddi and Huggins, 1972;Friedenstein et al, 1982;Ashton et al, 1985;Bleiberg, 1985;Gronthos et al, 1994;Gronthos et al, 1999)。
ヒトMSCの単細胞単離物は、非分画MSCと同じ表面表現型を発現するクローンを生成した(Pittenger et al., 1999)。興味深いことに、評価したMSCクローン6個のうち、2つは骨形成、軟骨形成、および脂肪生成能を保持し;他は、両能性であるか(骨形成能プラス軟骨形成能、または骨脂肪形成(osteo-adipocytic)能)、または単系列(軟骨細胞)であった。このことは、MSCそのものが本質的に不均一であることを示唆している(培養条件によっても系列能が失われる場合がある)。今日までのところ、MSCの自己再生能はなおも疑問である。それにもかかわらず、これらのインビトロ試験および他のインビボ試験(Kadiyala et al., 1997;Petite et al., 2000;Krebsbach et al., 1999)は、MSCが骨細胞系列になるように約束されうること、およびインビトロで基質のミネラル化状態またはインビボで骨形成を引き起こしうることを示している。
前骨芽細胞
前骨芽細胞は、骨前駆細胞と骨芽細胞の中間である。それらは、アルカリホスファターゼなどの骨表現型マーカーの発現の増加を示す(Kale et al., 2000)。それらはより限定的な増殖能を有するが、それにもかかわらず、分裂し続けてより多くの前骨芽細胞または骨芽細胞を産生する。
骨芽細胞
骨芽細胞は、骨形成の原因となる単核細胞である。骨芽細胞は、主にI型コラーゲンで構成される類骨を産生する。骨芽細胞はまた、類骨基質のミネラル化の原因でもある。骨は、骨を構築する骨芽細胞と骨を吸収する破骨細胞とによって絶えず再形成されている動的な組織である。骨芽細胞は、個体が高齢になるとその数および活性が減少する傾向があり、このように骨組織の天然の刷新が減少する。
骨芽細胞は、骨膜および骨髄に存在する骨前駆細胞から生じる。骨前駆細胞は、マスター制御転写因子Cbfal/Runx2を発現する未成熟な前駆細胞である。骨前駆細胞は、増殖因子、特に骨形態形成タンパク質(BMP)の影響下で分化誘導される。BMPはさておき、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)が含まれる他の増殖因子は、骨前駆細胞の分裂を促進し、かつおそらく骨形成を増加させる可能性がある。骨前駆細胞が骨芽細胞に分化し始めると、細胞はOsterix、Col1、ALP、オステオカルシン、オステオポンチン、およびオステオネクチンが含まれる広範囲の遺伝子マーカーを発現し始める。骨芽細胞という用語は未成熟細胞タイプを暗示するが、実際には骨芽細胞は、動物およびヒトにおける骨組織の生成の専ら原因となる成熟骨細胞である。
破骨細胞
破骨細胞は、そのミネラル化基質を除去することによって、骨組織を除去するタイプの骨細胞である。このプロセスは骨吸収として知られる。破骨細胞および骨芽細胞は、骨組織の量の制御において手段となり;骨芽細胞は骨を形成して、破骨細胞は骨を吸収する。破骨細胞は、単球-マクロファージ細胞系列の細胞の融合によって形成される。破骨細胞は、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)およびカテプシンKの高い発現を特徴とする。
破骨細胞形成は、RANKリガンド(核内因子κβ受容体活性化剤)およびM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)の存在を必要とする。これらの膜結合タンパク質は、隣接する間質細胞および骨芽細胞によって産生され;このようにこれらの細胞と破骨細胞前駆体との間の直接接触を必要とする。M-CSFは、破骨細胞上のその受容体、すなわち膜貫通チロシンキナーゼ受容体であるc-fms(コロニー刺激因子1受容体)を介して作用して、それによってチロシンキナーゼSrcの二次伝達物質活性化が起こる。これらの分子はいずれも破骨細胞形成にとって必要であり、単球/マクロファージ由来細胞の分化に広く関係している。RANKLは、腫瘍壊死因子ファミリー(TNF)メンバーであり、破骨細胞形成において必須である。RANKLノックアウトマウスは、大理石骨病および歯牙萌出欠損の表現型を示すと共に、破骨細胞の非存在または欠損を示す。RANKLは、RANKを介してNF-κβ(核内因子κβ)およびNFATc1(細胞質カルシニューリン依存性活性化t細胞核内因子1)を活性化する。NF-κβ活性化は、RANKL-RANK相互作用が起こったほぼ直後に刺激され、上方制御されない。しかし、NFATc1刺激は、結合が起こってから約24〜48時間後に始まり、かつその発現はRANKL依存的であることが示されている。破骨細胞の分化は、RANKLに結合してそれによってRANKとの相互作用を防止するオステオプロテゲリン(OPG)によって阻害される。
B.骨形成
胚発達段階での骨の形成は、2つのプロセスによって起こる:膜性骨化および軟骨内骨化。膜性骨化は、主に頭蓋の扁平骨の形成の際に起こり;骨は間葉組織から形成される。膜性骨化の段階は、骨化中心の発達、石灰化、骨梁の形成および骨膜の発達である。一方、軟骨内骨化は、肢などの長骨において起こり;骨は軟骨テンプレート周囲に形成される。軟骨内骨化の段階は、軟骨モデルの発達、軟骨モデルの生育、一次骨化中心の発達および二次骨化中心の発達である。
軟骨内骨化は、「一次骨化中心」と呼ばれる軟骨内の点で始まる。それらは主として胚発達中に出現するが、いくつかの短い骨は生後にその一次骨化を開始する。それらは長骨、短骨、および不規則形骨のある部分の骨幹形成の原因である。二次骨化は、生後に起こり、長骨の骨端ならびに不規則形骨および扁平骨の端部を形成する。長骨の骨幹および両骨端は、軟骨成長帯(骨端軟骨板)によって離れている。子供が骨格成熟に達すると(年齢18〜25歳)、軟骨は全て骨に置き換わり、骨幹と両骨端は共に癒合する(骨端閉鎖)。
再構築または骨代謝回転は、骨吸収の後に形状がわずかに変化する骨の交換が起こるプロセスであり、ヒトの一生を通じて起こる。パラクリン細胞シグナル伝達によって共につながっている骨芽細胞と破骨細胞は、骨再構築単位と呼ばれる。再構築の目的は、カルシウム恒常性の調節、微小損傷骨(毎日のストレスによる)の修復であるが、成長中に骨格を形成しかつ立体的に作ることでもある。
破骨細胞による骨吸収プロセスは、貯蔵されたカルシウムを全身循環に放出し、かつカルシウムバランスを調節するために重要なプロセスである。骨形成は、循環中のカルシウムを能動的にそのミネラル型に固定して、カルシウムを血流から除去するが、骨吸収はその固定を能動的に外し、それによって循環中のカルシウムレベルを増加させる。これらのプロセスは、部位特異的位置で連携して起こる。
体重負荷運動または骨治癒などの繰り返しストレスによって、最大応力がかかる点で骨の肥厚が起こる(ヴォルフの法則)。これは、応力下で骨に小さい電位を生じさせる骨の圧電特性の結果であるという仮説が立てられている。
III.処置
A.骨疾患および状態
骨形成を増強するまたは骨吸収を阻害する必要性を特徴とする多血症があり、従って、多血症は、骨形成および/または骨修復を促進する際に、抗TGF-β抗体、または抗TGF-β抗体と上記の第二の作用物質もしくはそれによって処置される細胞との組み合わせを用いることにより恩恵を得ると考えられる。おそらく、最も明白であるのは骨折の場合であり、この場合骨の成長を刺激し、かつ骨修復を早めて完全にすることが望ましいと考えられる。骨形成を増強する作用物質はまた、顔の再建手技においても有用であると考えられる。他の骨欠損状態には、骨部分欠損、歯周病、転移性骨疾患、骨溶解性骨疾患、および軟骨欠損または損傷の治癒または再生などの結合組織修復が有益であると考えられる状態が含まれる。同様に、加齢関連骨粗鬆症および閉経後ホルモン状態に関連する骨粗鬆症が含まれる慢性的な骨粗鬆症状態も、非常に重要である。骨成長の必要性を特徴とする他の状態には、原発性および二次性の副甲状腺機能亢進症、非活動性骨粗鬆症、糖尿病関連骨粗鬆症、およびグルココルチコイド関連骨粗鬆症が含まれる。たとえばビタミンD欠乏などのいくつかの他の状態が存在する。
骨折
第一の例は、骨折を有するがそれ以外は健康な個体である。しばしば、臨床的骨折は、疼痛を軽減するために、および自然の修復機序に任せて創傷を修復させるために、ギプス包帯によって処置される。しかし近年、骨折の処置において、進歩が見られ、骨折した骨を処置する際に生じる可能性がある様々な合併症を考慮しなくとも、通常の状況で骨治癒を増加させるためのいかなる新しい手技も大きい進歩を示すと考えられる。
歯周病
進行性の歯周病によって、周辺骨への歯の接着の破壊を通して歯の喪失が起こる。米国の人口のおよそ5〜20%(1500〜6000万人)が重度の汎発性歯周病を患っており、外科手技に関係のある人が200万人いる。その上、少なくとも1つの部位で臨床的接着の喪失が同定されることとして疾患を定義すれば、全ての成人のおよそ80%が罹患し、年齢55〜64歳の人の90%が罹患している。無処置の場合には、罹患した人のおよそ88%が、疾患の中等度から急速な進行を示し、これは年齢と強い相関を示す。歯周病に関する現行の主な処置は、失われた歯周組織の交換からなる再生治療である。失われた骨は通常、高い骨形成能のために個体自身の骨および骨髄によって、処置される。骨の異系移植片(個体間)はまた、保存されたヒト骨を用いても行うことができる。現在の歯周病費用分析を得ることは難しいが、罹患集団の規模および第一選択治療として骨移植が現在用いられていることから、この領域が骨構築治療の魅力的な標的になることが強く示唆される。
骨減少症/骨粗鬆症
骨減少症および骨粗鬆症という用語は、骨量の減少および骨折を特徴とする不均一な障害群を指す。骨減少症は、集団の平均骨量より下にある1つまたは複数の標準偏差である骨量であり;骨粗鬆症は2.5 SDまたはそれより低いと定義される。推定で2000〜2500万人が、部位特異的骨喪失のために骨折のリスクが増加している。骨粗鬆症の危険因子には、加齢、性(女性ではより多い)、低い骨量、早期の閉経、人種(全般的に白人;アジアおよびヒスパニックの女性)、低いカルシウム摂取、身体活動の低下、遺伝的要因、環境的要因(タバコの喫煙、アルコールまたはカフェインの乱用が含まれる)、および転倒傾向を生じる神経筋制御の欠損が含まれる。
米国において毎年100万例より多い骨折を骨粗鬆症に帰することができる。経済学的な観点から、骨粗鬆症治療の費用(失われた賃金を除く)は、全世界で350億ドルである。人口統計学的傾向(すなわち、米国集団の徐々の高齢化)から、これらの費用が2020年までに620億ドルに増加する可能性があることが示唆されている。明らかに、骨粗鬆症は重要なヘルスケア問題である。
女性における加齢の自然の一部であるとかつては考えられた骨粗鬆症は、もはや年齢または性別依存的ではないと見なされている。骨粗鬆症は、骨折のリスクの増加に対して素因を有する骨強度低下を特徴とする骨格障害として定義される。骨の強度は、2つの主な特色の統合を反映する:骨密度および骨の質。骨密度は、単位面積または体積あたりのミネラルのグラム数として表記され、任意の所定の個体において最大骨量と骨喪失量とによって測定される。骨の質は、構築、代謝回転、損傷の蓄積(たとえば、微小骨折)、およびミネラル化を指す。骨折は、破損を引き起こす力(たとえば、外傷)が骨粗鬆症骨に加えられた場合に起こる。
骨粗鬆症患者の現行の治療は、骨折の予防に重点を置いており、骨形成の促進または骨折の修復ではない。高齢者、特に股関節骨折を有する高齢者の長期の床上安静に有意な病的状態および死亡が関連することを明らかに述べている文献があることから、このことはなおも重要な検討項目である。床上安静の合併症には、血液凝固および肺炎が含まれる。これらの合併症は認識されており、通常それらを回避する方策が講じられているものの、これらは治療に対する最善のアプローチとは言い難い。このように、骨を強化して、骨折修復プロセスを早めるように設計され、このように合併症が生じる前にこれらの人々を回復させる新しい治療があれば、骨粗鬆症患者集団は恩恵を受けると考えられる。
骨の再構成/移植
第四の例は、骨の再構成に関連し、具体的には外傷性損傷により、癌もしくは癌の手術の結果として、出生時欠損の結果として、または加齢の結果として生じる骨組織の欠損の再構成能に関連する。より頻繁に整形外科インプラントが有意に必要であり、頭蓋および顔面骨は、このタイプの再構成の必要性の特定の標的である。新しいインプラント材料、たとえばチタンを使用できることにより、比較的大きい欠損の修復が可能となった。チタンインプラントは、骨質欠損に対して優れた時間的安定性を提供して、骨インプラントまたは股関節、膝、および関節置換体などの人工関節にとって優れた材料である。しかし、生存している骨がインプラントに結合しないことによって、欠損によって、装具の感染症への曝露、構造の不安定性、および最終的に欠損の修復不全が起こりうることが経験により示されている。このように、インプラント上またはインプラント周囲で骨形成を刺激する治療物質は、より迅速な回復を容易にすると考えられる。
自己骨移植片は別の可能性であるが、それらを腸骨稜または肋骨などのドナー部位から採取しなければならないという点、それらが通常提供する骨は、欠損部を完全に充填するには不十分であるという点、および実際に形成された骨は時に感染および吸収を受けやすいという点においていくつかの証明された不都合を有する。部分精製された異種調製物は、ウシの骨1キログラムから精製される量がマイクログラム量であることから、臨床で用いるには実際的ではなく、大規模で商業的に生産するには費用がかかり非現実である。ゆえに、同種異系移植片およびミネラル除去された骨調製物がしばしば使用されるが、それらは内因性の骨細胞成長のための足場として機能するに過ぎないという生命力のない性質を有する。
軟組織および血管が付着した遊離の骨移植片を顕微手術によって移入すると、骨質欠損を閉鎖し、移植片に即時の血液供給源を与えることができる。しかし、これらの技術は時間がかかり、相当な病的状態を生じることが示されており、特殊に訓練された人に限って用いることができる。さらに、骨インプラントはしばしば、量が制限され、容易に輪郭を形成することができない。たとえば、下顎骨の場合、患者の大多数は、現在容認されている技術では(連続性が確立された後でも)入れ歯を装着することができず、このように咀嚼能の改善はほとんど得られない。
骨再構成に関連して、改善するための特異的問題領域は、外傷によって作製された、出生時欠損、または詳しくは腫瘍の切除後の領域、および同様に人工関節領域などの、大きい欠損の処置に関する領域である。整形外科インプラント、インターフェース、および人工関節の成否は、インプラントの表面またはインプラントの機能的部分を骨刺激物質によってコーティングすれば、おそらく改善されうると考えられる。インプラント周囲の生物学的部位とのより有効な相互作用を促進するために、および理想的には組織修復を促進するために、インプラントの表面を、1つまたは複数の適切な材料によってコーティングすることができる。
原発性骨癌および転移性骨疾患
骨癌は、めったに起こらないが、骨転移は、甲状腺癌、腎臓癌、および肺癌が含まれる広範囲の癌に存在する。転移性骨癌は慢性状態であり、診断時からの生存は、腫瘍のタイプに応じて多様である。前立腺および乳癌、ならびに多発性骨髄腫では、生存期間は年単位で測定可能である。進行性の肺癌では、生存期間は数ヶ月単位で測定される。癌の症状には、疼痛、高カルシウム血症、病的骨折、および脊髄または神経圧迫が含まれる。転移性骨癌の予後は、原発腫瘍部位、骨外疾患の存在、ならびに骨疾患の程度および速度によって影響を受ける。骨癌/骨転移の進行は、イメージング検査および骨特異的マーカーの測定によって判定される。最近の研究により、疾患の進行または死亡のいずれに関しても、骨吸収速度と臨床転帰との間に強い相関があることが示されている。
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄における悪性クローン性形質細胞の蓄積を特徴とするB-リンパ球悪性疾患である。疾患の臨床発現は、異常な形質細胞による正常な骨髄成分の交換、その後のモノクローナル免疫グロブリン(Mタンパク質またはM成分)の過剰産生、骨破壊、骨疼痛、貧血、高カルシウム血症、および腎機能障害による。
骨に広がる他の癌とは異なり(たとえば、乳癌、肺癌、甲状腺癌、腎臓癌、前立腺癌)、骨髄腫骨疾患(MBD)は転移性疾患ではない。むしろ、骨髄腫細胞は、骨髄に通常常在する免疫系のB細胞に由来し、ゆえに骨に密接に関連している。実際に、骨髄微小環境は、骨髄腫細胞の生育、生存、および化学療法に対する抵抗性において重要な役割を果たし、その結果、この障害に関連する骨喪失の増加を調節する(multiplemyeloma.orgのワールドワイドウェブ)。骨髄腫細胞の90%より多くが骨の関与を有するのに対し、骨転移を有する癌患者では40〜60%であり、かつ80%より多くが難治性の骨疼痛を有する。さらに、骨髄腫患者のおよそ30%が、この疾患に関連する骨溶解活性の増加の結果として高カルシウム血症を有する(Cavo et al., 2006)。
骨髄腫における一般的な問題は、高カルシウム血症による虚弱、混乱、および疲労である。頭痛、視覚の変化、および網膜症は、パラプロテインの特性に応じた血液の過剰粘度の結果である可能性がある。最後に、神経根性疼痛、腸管または膀胱制御の喪失(脊髄の関与により脊髄圧迫に至る)、または手根管症候群および他のニューロパシー(アミロイドによる末梢神経の浸潤による)が存在することがある。これは遅発性症例では対麻痺を生じる可能性がある。
骨髄腫骨疾患
先に考察した通り、他の骨腫瘍に関連する骨溶解とは異なり、MBD病変は、患者が何年もの完全寛解を有するにもかかわらず、それらが治癒も修復もしないという点において独特である。作用機序から見て、このことは、疾患進行の際の骨形成性の骨芽細胞の阻害および/または喪失に関連するようである。実際に、骨マーカー試験および組織形態計測により、疾患の初期では、骨吸収性の破骨細胞と骨芽細胞活性のいずれも、増加しているがバランスがとれている一方で、明白なMBDが高い破骨細胞活性と低い骨芽細胞活性を示すことが示されている。このように、MBDは、骨形成と骨喪失が連動していない障害であり、骨形成を刺激してその喪失を遅らせる治療があれば恩恵が受けられると考えられる。
多くの治療アプローチがMBDにおいて用いられているが、エンドポイントは、疼痛の処置、高カルシウム血症の処置、または骨格関連事象(SRE)の低下である。これらの多くは、重篤な合併症を呈する可能性がある。安定性および疼痛軽減のために行われる脊柱形成術または後弯形成術などの手術は、付随する外科的リスク(たとえば、感染症)が免疫系の障害によって悪化し、かつ既に存在する骨格欠損を逆転させない。放射線療法および放射性同位元素治療はいずれも、疾患の進行を予防/制御するために用いられるが、放射線治療の典型的なリスクを有する。より最近では、破骨細胞活性を阻害するビスホスホネートなどの薬物が、この障害においてあまり作用しないという事実にもかかわらず、MBDの標準治療となっている。ビスホスホネートに関する9つの二重盲検プラセボ対照臨床試験において、疼痛の有効な低下を示したのは患者の66%に過ぎず、SREの低下を示したのは56%、および生存利益を証明したのは9つの臨床試験のうち1つに過ぎなかった。
B.組み合わせ処置
考察した通り、本発明は、新しい骨組織の産生を刺激することによる骨疾患および骨外傷の処置を提供する。本発明の抗TGF-β抗体と組み合わせて他の作用物質を用いてもよい。より一般的には、これらの作用物質は、先に考察された効果のいずれかを生じるために合わせた量(抗TGF-β抗体と共に)で提供されると考えられる。このプロセスは、細胞または対象に両作用物質を同時に接触させることを含んでもよい。これは、両作用物質が含まれる1つの組成物もしくは薬理学的製剤を細胞に接触させることによって、または1つの組成物に細胞内阻害剤が含まれ、他の組成物に第二の作用物質が含まれる2つの異なる組成物もしくは製剤を、細胞または対象に同時に接触させることによって、達成されてもよい。
または、数分から数週間の範囲の間隔で、1つの作用物質は、他の作用物質に先行してもまたは続いてもよい。作用物質が個別に細胞または対象に適用される態様において、一般的には、作用物質が細胞または対象に対してなおも都合のよい複合効果を発揮することができるように、各送達時間の間に有意な期間が終了しないことを確実にすると考えられる。そのような例において、細胞または対象に、双方のモダリティを互いに約12〜24時間以内に接触させてもよく、より好ましくは互いに約6〜12時間以内に接触させてもよいと企図される。何らかの状況において、処置期間を有意に延長することが望ましい可能性があるが、この場合、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6、または7日)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8週間)の間隔をあける。
様々な組み合わせを使用してもよく、抗TGF-β抗体は「A」であり、他の作用物質は「B」である。
Figure 2012524818
そのような作用物質の投与プロトコールおよび製剤は、以下にさらに考察される通り、一般的に標準的な薬物のプロトコールおよび製剤に従うと考えられる。組み合わせ作用物質には、ビスホスホネート(Didronel(商標)、Fosamax(商標)およびActonel(商標))、SERM(Evista)、または他のホルモン誘導体、および副甲状腺ホルモン(PTH)類似体が含まれる。
IV.薬学的製剤および送達
A.組成物および経路
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体に溶解または分散された1つまたは複数の抗TGF-β抗体の有効量を含む。「薬学的または薬理学的に許容される」という句は、たとえば適切であればヒトなどの動物に投与した場合に、有害反応、アレルギー反応、または他の望ましくない反応を生じない分子実体および組成物を指す。少なくとも1つの抗TGF-β抗体、および任意で追加の活性成分を含有する薬学的組成物の調製は、参照により本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990によって例証される通り、本開示に照らして当業者に公知であると考えられる。その上、動物(たとえば、ヒト)の投与に関して、調製物は、FDA Office of Biological Standardsが要件とする無菌性、発熱性、一般的安全性および純度標準を満たすべきであると理解されると考えられる。
本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容される担体」には、当業者に公知である通り、任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(たとえば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定化剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味料、着香料、色素、そのような同等の材料およびその組み合わせが含まれる(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990, 1289-1329を参照されたい)。いかなる慣用の担体も活性成分と不適合である場合を除き、薬学的組成物におけるその使用が企図される。
抗TGF-β抗体を、経口または注射によって投与されるかどうかに応じて、異なるタイプの担体と混合してもよい。本発明は、口腔内、静脈内、皮内、経皮、髄腔内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、筋肉内、腫瘍内、腫瘍血管内、皮下、粘膜内、経口、局所、局部、吸入(たとえば、エアロゾル吸入)、注射、注入、継続的注入、標的細胞を直接浴する局所的灌流、カテーテルによって、洗浄によって、クリーム、脂質組成物(たとえば、ナノ粒子、リポソーム)、もしくは他の方法、または当業者に公知であると考えられる他の方法もしくは前載の任意の組み合わせによって投与されうる(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990を参照されたい)。詳しくは、抗TGF-β抗体は、静脈内投与において用いるためにシリンジによって注射可能な組成物に調製される。
抗TGF-β抗体は、遊離の塩基、中性または塩の型またはエステルで組成物に調製されてもよい。それはまた、プロドラッグ型で合成/調製されてもよい。薬学的に許容される塩には、酸付加塩、たとえばタンパク質様組成物の遊離のアミノ基によって形成された塩、またはたとえば塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、フマル酸もしくはマンデル酸のような有機酸によって形成された塩が含まれる。遊離のカルボキシル基によって形成される塩はまた、たとえばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、もしくは水酸化第二鉄などの無機塩基、またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、もしくはプロカインなどの有機塩基に由来しうる。調製されると、溶液は、投与製剤に関して適合性の様式で、および治療的に有効である量で投与される。
さらに本発明によって、投与に適した本発明の組成物は、不活性希釈剤と共に、または不活性希釈剤を含まずに薬学的に許容される担体において提供される。担体は、同化可能であるべきであり、これには液体、半固体、すなわちペースト、または固体の担体が含まれる。いかなる慣用の媒体、作用物質、希釈剤、または担体も、レシピエントまたはその中に含有される組成物の治療的有効性に対して有害である場合を除き、本発明の方法を実践するために用いるための投与可能な組成物におけるその使用が適切である。担体または希釈剤の例には、脂肪、油、水、生理食塩液、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、充填剤等、またはその組み合わせが含まれる。組成物はまた、1つまたは複数の成分の酸化を遅らせるために様々な抗酸化剤を含んでもよい。加えて、微生物の作用の予防は、パラベン(たとえば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、またはその組み合わせが含まれるがこれらに限定されるわけではない、様々な抗菌剤および抗真菌剤などの保存剤によってもたらされうる。
本発明の特異的態様において、組成物は、半固体または固体の担体と十分に混和または混合される。混合は、グラインディングなどの任意の慣用の様式で行われうる。組成物が治療活性を失わないよう、すなわち、胃での変性から保護するために、安定化物質もまた、混合プロセスに添加してもよい。組成物において用いるための安定化剤の例には、緩衝剤、グリシンおよびリジンなどのアミノ酸、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、ソルビトール、マンニトール等などの炭水化物が含まれる。
さらなる態様において、本発明は、抗TGF-β抗体、1つまたは複数の脂質および水性溶媒が含まれる薬学的脂質ビヒクル組成物を用いることに関してもよい。本明細書において用いられる場合、「脂質」という用語は、特徴的に水に不溶性で、有機溶媒によって抽出可能である任意の広範囲の物質を含めるように定義される。この広いクラスの化合物は当業者に周知であり、「脂質」という用語が本明細書において用いられる場合、これはいかなる特定の構造にも限定されない。例には、長鎖脂肪族炭化水素およびその誘導体を含有する化合物が含まれる。脂質は、天然に存在してもよいかまたは合成(すなわち、ヒトによって設計または産生された)であってもよい。脂質は当技術分野において周知であり、これにはたとえば、中性脂肪、リン脂質、ホスホグリセリド、ステロイド、テルペン、リゾ脂質、スフィンゴ糖脂質、糖脂質、スルファチド、エーテル結合脂肪酸およびエステル結合脂肪酸を有する脂質、および重合可能な脂質、ならびにその組み合わせが含まれる。
当業者は、脂質ビヒクル中に組成物を分散するために使用することができる広範囲の技術を周知していると考えられる。たとえば、抗TGF-β抗体を、脂質を含有する溶液に分散してもよいか、脂質に溶解してもよいか、脂質と共に乳化させてもよいか、脂質と混合してもよいか、脂質と混和してもよいか、脂質に共有結合させてもよいか、脂質中の懸濁液として含有されてもよいか、ミセルもしくはリポソームに含有されてももしくは複合体を形成してもよいか、またはそうでなければ当業者に公知の任意の手段によって脂質または脂質構造に会合させてもよい。分散液によって、リポソームが形成されてもまたは形成されなくてもよい。
動物患者に投与される本発明の組成物の実際の投与量は、体重、状態の重症度、処置される疾患のタイプ、これまでのまたは同時の治療介入、患者の特発疾患、および投与経路などの物理的および生理学的要因によって決定されうる。用量および投与経路に応じて、好ましい用量および/または有効量の投与回数は、対象の応答に従って変化し得る。投与に責任を有する医師は、いずれにせよ、組成物中の活性成分の濃度および個々の対象に関する適切な用量を決定すると考えられる。
ある態様において、抗TGF-β抗体薬学的組成物は、たとえば少なくとも約0.1%のアンタゴニスト、約0.5%のアンタゴニスト、または約1.0%のアンタゴニストを含んでもよい。他の態様において、アンタゴニストは、単位重量の約2%〜約75%、またはたとえば約25%〜約60%、およびその間から誘導されうる任意の範囲を含んでもよい。本来、各治療的に有用な組成物におけるアンタゴニストの量は、適した用量が、化合物の任意の所定の単位用量において得られるように調製されてもよい。溶解度、生物学的利用率、生物学的半減期、投与経路、製品の有効期限などの要因のみならず、他の薬理学的検討項目が、そのような薬学的製剤を調製する当業者によって企図され、そのため、多様な用量および処置レジメンが望ましい場合がある。
他の非制限的な例において、抗TGF-β抗体の用量は、投与あたり、約0.1マイクログラム/kg/体重、約0.2マイクログラム/kg/体重、約0.5マイクログラム/kg/体重、約1マイクログラム/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重、約10マイクログラム/kg/体重、約50マイクログラム/kg/体重、約100マイクログラム/kg/体重、約200マイクログラム/kg/体重、約350マイクログラム/kg/体重、約500マイクログラム/kg/体重、約1ミリグラム/kg/体重、約5ミリグラム/kg/体重、約10ミリグラム/kg/体重、約50ミリグラム/kg/体重、約100ミリグラム/kg/体重、約200ミリグラム/kg/体重、約350ミリグラム/kg/体重、約500ミリグラム/kg/体重〜約1000 mg/kg/体重またはそれより多くの量、およびその間で誘導可能な任意の範囲を含んでもよい。本明細書において記載の数値から誘導可能な範囲の非制限的な例において、上記の数値に基づいて、約5 mg/kg/体重〜約100 mg/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重〜約500ミリグラム/kg/体重等の範囲を投与することができる。
本発明の特定の態様において、抗TGF-β抗体は、消化管経路を通して投与されるために調製される。消化管経路には、組成物が消化管に直接接触する全ての可能性がある投与経路が含まれる。具体的には、本明細書において開示される薬学的組成物は、経口投与、口腔内投与、直腸内投与、または舌下投与されてもよい。そのため、これらの組成物は、不活性希釈剤と共にもしくは同化可能な食用担体と共に調製されてもよく、それらは硬ゼラチンもしくは軟ゼラチンのカプセルに封入されてもよく、それらは錠剤に圧縮されてもよく、またはそれらは食事の食物と共に直接組み入れられてもよい。
ある態様において、活性化合物は、賦形剤と共に組み入れられてもよく、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェーハ等の形態で用いられてもよい(その各々の全内容が参照により本明細書に組み入れられる、Mathiowitz et al., 1997;Hwang et al, 1998;米国特許第5,641,515号、同第5,580,579号、および同第5,792,451号)。錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤等はまた、以下を含有してもよい:たとえばトラガカントゴム、アカシアゴム、コーンスターチ、ゼラチン、またはその組み合わせなどの結合剤;たとえばリン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、またはその組み合わせなどの賦形剤;たとえばコーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、またはその組み合わせなどの崩壊剤;たとえばステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;たとえば、スクロース、ラクトース、サッカリン、またはその組み合わせなどの甘味料;たとえばペパーミント、ウィンターグリーン油、サクランボ香料、オレンジ香料等などの香料。剤形がカプセル剤である場合、これは、上記のタイプの材料に加えて、液体担体を含有してもよい。様々な他の材料がコーティングとして、またはそうでなければ用量単位の物理的形状を改変するために存在してもよい。例として、錠剤、丸剤、またはカプセル剤をシェラック、砂糖、または双方によってコーティングしてもよい。剤形がカプセル剤である場合、これは、上記のタイプの材料に加えて、液体担体などの担体を含有してもよい。ゼラチンカプセル、錠剤、または丸剤は、腸溶コーティングされてもよい。腸溶コーティングは、胃またはpHが酸性である上部消化管での組成物の変性を予防する。たとえば米国特許第5,629,001号を参照されたい。小腸に達すると、小腸の塩基性pHがコーティングを溶解し、かつ組成物を放出させ、特殊な細胞、たとえば腸管上皮細胞およびパイエル斑M細胞によって組成物を吸収させる。エリキシル剤のシロップは、活性化合物、甘味料としてスクロース、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、色素、およびサクランボまたはオレンジ香料などの香料を含有してもよい。当然、任意の投与単位を調製するために用いられる任意の材料が、薬学的に純粋で、使用される量で実質的に非毒性であるべきである。加えて、活性化合物は、持続放出性調製物および製剤に組み入れられてもよい。
歯周病の処置の場合のように経口投与のために、本発明の組成物は、または、マウスウォッシュ、歯磨き剤、口腔錠、口腔スプレー、ゲル、または舌下経口投与製剤の形態に1つまたは複数の賦形剤と共に組み入れられてもよい。たとえば、ホウ酸ナトリウム溶液(ドーベル液)などの適した溶媒に必要量の活性成分を組み入れるマウスウォッシュを調製してもよい。または、活性成分は、ホウ酸ナトリウム、グリセリン、および重炭酸カリウムを含有する溶液などの経口溶液に組み入れられてもよいか、歯磨き剤に分散されてもよいか、または水、結合剤、研磨剤、香料、発泡剤、および湿潤剤が含まれてもよい組成物に、治療的有効量で添加されてもよい。または、組成物は、歯肉の線に沿って舌下に置かれて、歯の表面上でブラシでこすられるか、またはそうでなければ口の中で溶解する錠剤、ゲル、または溶液の形態に形成されてもよい。いずれも参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,074,674号および同第6,270,750号は、歯周部の手技に関する局所的持続放出性組成物を記載している。
さらなる態様において、抗TGF-β抗体は、非経口経路によって投与されてもよい。本明細書において用いられる場合、「非経口」という用語には、消化管を迂回する経路が含まれる。具体的には、本明細書において開示される薬学的組成物は、たとえば静脈内、皮内、筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下、または腹腔内が含まれるがこれらに限定されるわけではない経路で投与されてもよい。米国特許第6,537,514号、同第6,613,308号、同第5,466,468号、同第5,543,158号、同第5,641,515号、および同第5,399,363号(各々の全内容が具体的には参照により本明細書に組み入れられる)。遊離の塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水中で調製されてもよい。分散剤もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびその混合物、ならびに油中で調製してもよい。通常の貯蔵および使用条件で、これらの調製物は、微生物の成育を予防するために保存剤を含有する。注射での使用にとって適した薬学的形態には、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射液または分散液を即時調製するための滅菌粉末が含まれる(全内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,466,468号を参照されたい)。全ての場合において、形態は無菌的でなければならず、容易な注射可能性が存在する程度に流動性でなければならない。それは、製造および貯蔵の条件で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の混入作用に対して保護されなければならない。担体は、たとえば水、エタノール、ポリオール(すなわち、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、その適した混合物、および/または植物油を含有する溶媒または分散媒体でありうる。適した流動性は、たとえばレシチンなどのコーティングを用いることによって、分散剤の場合には必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を用いることによって維持されてもよい。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらされうる。多くの場合において、等張剤、たとえば糖または塩化ナトリウムを含めることが望ましい場合がある。注射可能組成物の長時間吸収は、組成物において吸収を遅らせる作用物質、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを用いることによってもたらされうる。
水溶液中での非経口投与に関して、たとえば溶液は、必要であれば緩衝作用を適切に有するべきであり、液体希釈剤は、十分な生理食塩液またはグルコースによって最初に等張にされるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、および腹腔内投与にとって特に適している。これに関連して、使用することができる滅菌水性媒体は、本開示に照らして当業者に公知であろう。たとえば、1つの用量を等張NaCl溶液1 mlに溶解して、皮下注入液1000 mlに添加するか、または提唱される注入部位に注射してもよい(たとえば、"Remington's Pharmaceutical Sciences" 15th Edition, 1035-1038ページおよび1570-1580ページを参照されたい)。処置される対象の状態に応じて、用量の何らかの変動が必然的に起こると考えられる。いずれにせよ、投与の責任者は、個々の対象に関して適切な用量を決定すると考えられる。その上、ヒトでの投与に関して、調製物は、FDA Office of Biologics standardsが要件としている無菌性、発熱性、一般的安全性および純度標準を満たすべきである。
骨の状態を処置するための持続放出性製剤には、全てが参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,722,948号、同第4,843,112号、同第4,975,526号、同第5,085,861号、同第5,162,114号、同第5,741,796号および同第6,936,270号が含まれる。骨修復のための方法および注射可能な組成物は、全てが参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,863,732号、同第5,531,791号、同第5,840,290号、同第6,281,195号、同第6,288,043号、同第6,485,754号、同第6,662,805号、および同第7,008,433号に記載される。
滅菌注射用溶液は、先に列挙した様々な他の成分と共に適切な溶媒に必要量の活性化合物を組み入れ、その後、必要に応じて濾過滅菌することによって調製される。一般的には、分散剤は、様々な滅菌活性成分を、基礎分散媒体および先に列挙した成分からの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、予め濾過滅菌したその溶液から、活性成分プラス任意の追加の望ましい成分の粉末を生じる真空乾燥技術および凍結乾燥技術である。粉末組成物を、安定化剤と共に、または安定化剤を含めずに、たとえば水または生理食塩液溶液などの液体担体と共に混和する。
B.デバイス
先に考察した経路による投与に関して抗TGF-β抗体を提供することに加えて、そのような作用物質を、単独でまたは組み合わせて、インプラントなどのデバイスの状況において用いてもよい。歯科インプラント、股関節、膝関節、および肘関節などの関節インプラント、椎骨/脊柱インプラント、およびその他が含まれる多様な骨関連インプラントが企図される。抗TGF-β抗体を、生物活性マトリクスまたはコーティングが含まれるインプラント表面に含浸してもよい。阻害剤はさらに、持続放出性、遅延放出、長時間放出、または徐放型に調製されてもよい。コーティングは、たとえば以下に記載されるポリマーなどのポリマーを含んでもよい。以下は、本発明のこの態様に従って用いられ得る骨インプラントおよびデバイスに関連する米国特許の一覧である。
(表1)骨インプラントの特許
Figure 2012524818
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* -上記の特許は全て、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
V.スクリーニングアッセイ法
なおさらなる態様において、本発明は、骨産生を刺激するために用いるためのTGF-βに対する新規かつ有用な抗体を同定する方法を提供する。たとえば、方法は一般的には、以下を含む:
(a)候補抗体を提供する段階;
(b)候補調整物質を細胞とまたは適した実験動物と混合する段階;
(c)骨芽細胞もしくは破骨細胞の活性、または骨の成長、強度、重量もしくは形成を測定する段階;および
(d)測定された特徴に差異により、該候補が実際に骨産生刺激物質であることが示される、段階(c)において測定された特徴を、該候補の非存在下で観察された特徴と比較する段階。アッセイ法は、単離された細胞において、またはトランスジェニック動物が含まれる生物において行われてもよい。骨形成は、フォン・コッサ染色もしくはアルザリンレッド(Alzarin Red)染色、FTIR、またはラマン分光分析によって、または骨に結合する化合物に連結した蛍光色素によって同定されうる。
当然、本発明のスクリーニング法は全て、有効な候補が見いだされない可能性があるという事実にもかかわらず、それ自体で有用であると理解されると考えられる。本発明は、単にそれらを発見する方法ではなくて、そのような候補をスクリーニングするための方法を提供する。
VI.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を証明するために含められる。以下の実施例において開示される技術は、本発明の実践において良好に機能すると本発明者らが発見した技術であり、このように、その実践にとって好ましい様式を構成すると見なされうることは当業者によって認識されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示の特異的態様に多くの変更を行ってもよく、それでもなお本発明の趣旨および範囲に含まれる同様または類似の結果を得ることができることを認識すべきである。
実施例1−材料および方法
抗体
1D11抗体は、Genzyme Corporation(Framingham)によって生成された。対照抗体(13C4)は、いかなるTGF-β結合能も欠損する同一のIgG複合体からなる。
処置レジメン
正常な13週齢の雄性C57Bl/6マウス(Harlan)(n=5)を10 mg/kg 1D11または対照抗体によって週に3回処置した。各試薬を4週間の期間にわたって滅菌腹腔内注射によって投与した(図1)。動物手法は全て、Vanderbilt University Medical Centerによって承認されたIACUCプロトコールに従って行われた。
イメージング
脛骨および大腿骨をμCTスキャン(μCT40, Scanco)によって等方性ボクセルサイズ12μm(55 Kv)で分析した。各スキャンセットにおいて成長板を同定し、この領域より200μm下の骨幹端領域をスキャンし、かつ骨梁骨パラメータの変化に関して分析した(閾値280)。
組織学および組織形態計測
屠殺後に腰椎椎体(L3〜5)および長骨を収集して、10%ホルマリン中で48時間まで固定した。椎骨の非カルシウム除去領域を処理し、かつメチルメタクリレート基剤の樹脂に包埋しかつ5μmの切片を作製した。切片の可塑剤を除去し、かつフォン・コッサ法をヴァン・ギーソン対比染色と共に用いて、または酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)に関するカップリング後染色技術を用いて、結合したカルシウムイオンを染色した。長骨を10%EDTA中で2週間カルシウム除去し、かつパラフィンロウに処理した。試料の5μm切片を作製し、かつH&E/オレンジGによってまたはTRAP活性に関して染色した。骨体積、細胞分布を、Osteomeasure定量ソフトウェア(Osteometrics)を用いて組織形態計測学によって定量した。
遺伝子発現
RANKL/OPG遺伝子発現比を1D11処置または対照抗体処置されたT23骨芽細胞において、RNEasy抽出キット(Qiagen)を用いてRNAを単離して評価した。確証されたTaqmanプライマーを購入して、試料を7300 Real Time PCRシステム(Applied Biosystems)を用いて製造元が推奨する条件下で分析した。骨形成発現を標準的なRT-PCR技術を用いて評価した。
タンパク質発現
正常血清を、屠殺前の瀉血によって処置マウスおよび無処置マウスから単離した。血清を、可溶性のRANKLまたはOPGタンパク質のレベルに関して酵素免疫測定法(ELISA)によって、RANKLおよびOPGに関してそれぞれ、濃縮物および5倍希釈血清を用いてQuantikine Immunoassayシステム(R&D Systems)を使用して評価した。
尿吸収アッセイ法
屠殺前に全ての動物から尿試料を収集した。コラーゲン分解産物であるデオキシピリジノリン(DPD)を、MicroVue-DPDアッセイ法(Quidel Corp.)を用いて製造元のガイドラインに従ってELISAによって定量し、尿クレアチニンレベルに対して標準化した(Micro Vue-Creatinine, Quidel Corp.)。
生化学検査
大腿骨の骨幹領域の強度および弾性率を生化学的に分析した。採取したばかりの大腿骨は、支持ローラー上に水平に置かれ、かつ材料試験システム(Dynamight 8841; Instron)を用いて3 mm/分の速度で3点曲げにおいて単調に荷重をかけた。骨が耐えられる最大力および初期剛性を提供するように、外力変位曲線が記録された。慣性のuCT由来モーメントおよびビーム理論(Schriefer et al., 2005)の曲げ方程式を用いて、本発明者らは、これらの構造特性を骨全体の曲げ強度および弾性率に変換した。
ラマン顕微分光法
骨組織の化学組成を、共焦点ラマン顕微分光法(Renishaw)によって特徴付けした。脛骨をPMMAに包埋し、かつ成長板の下の骨幹端で切断して、皮質の断面を露出した。この表面をシリコンカーバイドペーパーの連続グリット上でこすり、1μmアルミナスラリーによって研磨した。50倍の対物レンズによってレーザー(785 nmレーザーダイオード線源)を、組織の表面より下の3μmの領域に焦点を合わせ、かつ非弾性光をRenishawスペクトログラフ(1 cm-1スペクトル分解能)によって収集した。測定されたスペクトルは、各10 sの積分時間の3回の蓄積からなった。カスタムMatlabスクリプトを用いて、スペクトルにおけるバックグラウンド蛍光を、修正多項式フィッティングアルゴリズム(Lieber et al., 2003)によって差し引いた。スペクトルを脛骨骨幹端(成長板の下の基礎)を有する10カ所の骨梁位置から収集した。ミネラル対コラーゲン比を、プロリンピーク強度(856 cm-1)あたりのv1リン酸塩ピーク強度(962 cm-1)として計算して、骨毎に平均した。
ナノインデンテーション
組織レベルでの弾性率をナノインデンテーションによって定量した。脛骨骨幹の樹脂包埋領域を、Nanoidenter XP(MTS XP)を用いてプローブによって調べた。Berkovitchダイヤモンドチップ(傾斜角度:142.3°;半径:100 nm)を、以下の通りの台形負荷スキームを用いて表面に押し込んだ:(1)深さ1μmまで0.5/秒のひずみ速度で負荷すること、(2)Pmaxで10秒間保持すること、(3)350 μN s-1でPmaxの90%まで負荷を減弱させること、および(4)熱の変動を確立するために表面上にインデンターを60秒間残すこと。得られた外力-変位曲線から、押し込んだ点(0.25μm分解能)での組織の弾性率(E)を、OliverとPharr(2004)の方法に従って計算した。これは、押し込みの深さとチップの接触領域との関係を確立するために、および外力-変位曲線の負荷減弱部分の勾配を決定するために、石英ガラスを用いて初回較正法を必要とする。骨あたりインデント10カ所を収集して、データを平均値±SEとして表記する。
統計分析
統計学的に有意な値を、Mann-Whitney検定およびStudent t検定によって決定し、p値0.05未満は有意であると見なされた。
実施例2−結果
図1に概要した、1D11抗体処置によるTGF-βの阻害は、対照と比較して長骨体積を有意に増加させた(図2A〜B)。μCTスキャンによって分析した脛骨骨幹端での骨梁骨は、対照抗体処置マウスと比較して1D11によって処置した動物において、全BV/TV(図2C)、骨塩量(BMD)(図2D)、骨梁幅(図2F)の劇的な増加を示し、骨梁間隔の減少(図2F)を示した。腰椎からの非脱灰切片の組織形態計測分析は、長骨のμCT分析を支持した。1D11媒介TGF-β阻害によって、骨梁BV/TVの54%の増加に至った。骨におけるこの増加は、より大きい骨梁数、骨梁間隔の減少および骨梁幅の増加を伴った(図3A〜B)。
TRAP染色椎骨切片における骨細胞分布の分析は、1D11処置後に破骨細胞数および表面積の有意な低減を示した(図4A〜C)。対照的に、対照と比較して、1D11を投与したマウスにおいて、骨表面の内側に沿って並ぶ骨芽細胞数および骨芽細胞領域の増大が観察された(図4D)。骨細胞数の変化に加えて、全骨量および骨格完全性はまた、骨の再構築速度の変化によって影響を受けうる。1D11による処置後の骨代謝回転速度を測定するために、本発明者らは、屠殺時に収集した尿試料中のコラーゲン分解産物デオキシピリジノリン(DPD)を評価した。組織形態計測データを支持して、DPD/クレアチニン比により、1D11による処置後に吸収活性が減少することが示された(対照=39.3±5.6;1D11=12.0±6.2μgタンパク質)。
骨格内に存在する全骨量に加えて、骨の質もまた、新規治療および骨格に対するその効果を分析する場合に、検討される本質的な要素であることが近年非常に明らかになっている。これに対処するため、本発明者らは、骨の生体力学特性に及ぼす1D11処置の効果を判定するために、切除した大腿骨において3点曲げを行った。TGF-βシグナル伝達を遮断すると、骨全体の曲げ強度および弾性率が増加してかなり強い骨が得られた(図5)。骨格の弾性率に及ぼす1D11の効果を同様に、ナノインデンテーションを用いて組織レベルで調べた。これらの知見は、1D11による処置後に組織レベルでの弾性率の増加を示す生物力学的データを支持する(表2)。加えて、ラマン顕微分光法によって、本発明者らは、骨の組成成分に対するTGF-β遮断の効果を分析および定量した。これらの試験は、1D11による処置後に脛骨骨幹端における骨梁骨のミネラル対コラーゲン比が11%増加することを証明した。しかし、ヒドロキシアパタイトの質および無機成分の全体的な結晶度は、不変のままであった(表2)。
骨格の完全性は、骨芽細胞と破骨細胞の形成活性のバランスがとれている場合に維持される。破骨細胞骨吸収を媒介する一次機序は、RANKL/OPG発現破骨細胞によって起こる。TGF-βは、RANKL/OPG比を変化させることがこれまでに示されていることから(Mohammad et al, 2009;Karst et al, 2004;Quinn et al, 2001;Thirunavukkarasu et al., 2001)、本発明者らは、インビトロで骨芽細胞株におけるRANKL/OPG遺伝子発現に及ぼす1D11の処置の効果を調べ、インビボで1D11処置または対照処置された動物からの血清試料中のRANKLおよびOPGのタンパク質レベルを評価した。培養において、TGF-β処置によって、RANKL mRNA発現が減少して(rankl/gapdh;1.6 ±0.2対0.7±0.1)、OPG遺伝子発現が増加した(opg/gapdh: 1.7±0.1対2.4±0.2)。この効果は、1D11を骨芽細胞培養物に加えることによって遮断された。しかし、処置マウスまたは無処置マウスの血清試料において、個々のRANKL(対照=31.9±7.6;1D11=17.0±1.8 pg/ml)またはOPG(対照=487.7±22.6;1D11=451.5±20.4 pg/ml)タンパク質レベルの有意な変化を検出できなかったが、RANKLレベルの低減によって、全RANKL/OPG比の50%減少が起こった。加えて、骨形成遺伝子発現に及ぼすTGF-βの直接効果をインビトロで分析した。2T3骨芽細胞株をTGF-βによって処置すると、PCRによって判定した場合には、アルカリホスファターゼ遺伝子発現の49.3%減少およびPTHrPの331.8%増加を誘導した。この増加は、TGF-βに加えて1D11による処置によって完全に防止された。runx2、β-カテニン、1型コラーゲンまたはオステオカルシンの発現レベルに変化は観察されず、MC3T3骨芽細胞株において同一の結果が観察された。併せると、これらの試験は、骨髄環境においてTGF-βを中和すると骨格に対して全体的に有益な効果があることを確認する。
(表2)処置した骨の組成パラメータ
Figure 2012524818
実施例3−考察
本試験は、骨同化物質としてTGF-β中和抗体を用いることを調べ、骨量を増加させるための機序としてのTGF-β阻害の可能性を強調する。本発明者らは、骨の体積、密度、強度、および組成を完全に分析するために、新しい技術と共に標準的な容認された技術を使用した。併せて、これらの試験は、TGF-βシグナル伝達経路の遮断をねらいとする薬物が、骨芽細胞数の正の調節能を有するする一方で、同時に、骨髄における活性破骨細胞の量を減少させることを証明している。これによって、PTHを処置した齧歯類の試験で認められた結果と類似の骨体積の大幅な増加および骨の質の大幅な向上が起こる(Dempster et al., 1993)。
より有効な骨同化物質が非常に必要である。現在、過度の骨喪失に対する主要な治療アプローチは、ビスホスホネートなどの抗吸収剤を用いることによって行われる。これらの物質は、確かにさらなる骨吸収を抑制することができるが、それらは失われている骨を交換するために新しい形成サイクルを刺激することができない。本発明者らは、中和抗体によるTGF-βのターゲティングによって、骨芽細胞を同時に増加させながら破骨細胞を減少させることにより骨破壊を予防できることを示している。直接の結果は、体肢骨格および体軸骨格の領域内での骨量の真の改善である。長骨はまた、正常な骨格機能にとって都合のよい増強された基質組成特性を有し、かなりより強いことが示された。
骨粗鬆症において認められるような、骨喪失の増大はしばしば、骨折リスクの増加に至る。この特色は、最終的に骨格内の強度の全体的な喪失および骨の質の減少により生じる。骨の質におけるこの欠損は骨体積の減少だけでは説明することができないことが示唆されており、これらの個体において新しい骨基質の産生が内因性に欠損していることを示唆している。正常な骨は典型的には、有機コラーゲン基質と無機ミネラル成分のバランスのとれた比率を含む。各要素の過度の調節障害によって、強い骨格欠損が起こるが、全体的な骨強度および骨折に対する抵抗性を改善させるために、一生を通して比率を改変することができる。1D11による処置は、結晶内でのカーボネート置換レベルによって評価すると、ヒドロキシアパタイトの純度を損ねることなく骨梁骨のミネラル対コラーゲン比を増加させ、この環境におけるTGF-β阻害が、改善された質の骨の産生にとって都合がよいことを示唆している。同様に、1D11処置骨の組成の特色が増強されたことは、これらの動物における骨強度の全体的な増加に十分に反映される。これらのデータは、破壊されたTGF-βシグナル伝達が骨強度を増加させる遺伝子改変マウスモデルによって支持されるが(Balooch et al., 2005)、このシステムが骨量を改善するための実行可能な有効な治療アプローチになるかどうかは不明であった。本発明者らの試験において報告された劇的に有益な効果は、骨量および骨強度を増強するためにTGF-β阻害を特異的に標的とする薬学的剤を開発するための強い証拠を提供する。
副甲状腺ホルモン(PTH)の間欠用量は現在、骨の体積を増加させる唯一の臨床で使用可能なアプローチになる。しかし、PTHがそれによってこの効果を誘導する機序はなおも明確ではない。その上、継続的なPTH処置は、破骨細胞の骨吸収を刺激しかつ全体的な骨量を減少させることが示されている(Raisz, 2005)。PTHと同様に、1D11抗体治療によってTGF-βを中和すると、骨格パラメータを大きく改善したが、PTHと同様に、これが起こる真の機序はなおも不明である。しかし、PTHの効果とは対照的に、1D11は、破骨細胞を負に調節し、骨分解を阻害し、かつ骨芽細胞数の増加および破骨細胞吸収の減少によって骨量を増強する二重のアプローチを提供する。
骨細胞に及ぼすTGF-β効果を記載する文献の多さにもかかわらず、TGF-β阻害がインビボで骨格事象をどのように媒介するかはなおも不明である。最近の研究は、一次破骨細胞形成分子(RANKL/OPG)の機能障害またはエフリン媒介骨再構築を示唆している(Mohammad et al., 2009)。
本発明者らは、1D11または対照抗体による処置後のマウス血清中の可溶性のRANKLおよびOPGタンパク質のレベルを調べ、RANKLレベルの減少によってもたらされたRANKL/OPG比の減少傾向を認めた。PTHrPは、この細胞タイプにおいてRANKLを刺激することが知られていることから(Lee and Lorenzo, 1999;Itoh et al., 2000)、この知見は、1D11によって処置した骨芽細胞において観察されたPTHrPの発現の減少に関連する可能性がある。これらのインビボ観察は、現在の試験と一致し(Mohammad et al., 2009)、かつ1D11処置が骨芽細胞におけるRANKLまたはOPGのTGF-βによる調節を抑制することによって骨体積を増加させうることを示唆しているが、インビトロ分子試験とは対照的に、TGF-β処置によってRANKLの有意な低減およびOPG mRNA発現の増加に至るが、これらは1D11によって遮断されうることを示している。これらの知見は、インビトロでRANKL/OPGのTGF-β調節を報告する公表された試験と一致して(Quinn et al, 2001;Thirunavukkarasu et al., 2001)、正常な生理学におけるTGF-βの多様な役割を強く示唆するが、これは培養システムにおいて再現されず、おそらく他の調節分子との相互作用に依存する。ゆえに、インビトロおよびインビボでTGF-β機能の差異を分析する場合には、結果の注意深い解釈が必要である。
骨芽細胞は、骨髄内での間葉幹細胞集団に由来する。前駆細胞は、BMP-2などの刺激因子によって骨芽細胞系列になるように誘発される(Katagiri et al., 1990;Takuwa et al., 1991)。骨形成遺伝子発現の分子分析により、骨芽細胞活性が、アルカリホスファターゼレベルの増加によって証明された、インビトロで1D11処置によって変更されないことが示唆された。この知見は、公表されたデータと相関するが(Filvaroff et al., 1999;Alliston et al., 2001;Kang et al., 2005)、本発明者らのインビボ知見によって証明される通り、骨芽細胞数を増加させるための前駆体の成熟に対していかなる主要な効果も示すことができない。このことは、骨髄における局所的TGF-β阻害が、この処置期間の間の骨形成に影響を及ぼす可能性があることを示唆しているが、骨芽細胞形成のいかなる変化も支配する真の機序は依然として不明である。
骨細胞に対する直接効果のほかに、本発明者らはこのシステムにおけるTGF-βの全身効果を除外することができない。正常な生理的プロセスのTGF-βによる制御は骨量に負の影響を及ぼし、これらの効果を遮断することは、骨格の健康に対して最終的に有益である可能性がある。同様に、骨細胞の形成または活性についてのTGF-βによる制御は、骨髄の細胞集団が変化すると一時的に変化することがありうる。これは、成熟基質形成骨芽細胞と比較して前駆細胞に対する効果に差があることを記載するインビトロ試験と一致すると考えられる(Mundy and Bonewald, 1990)。本発明者らは、骨格に及ぼすTGF-β遮断の有益な効果を強調するために成熟C57BI/6雄性マウスを用いた。1D11処置がこれらの条件下で骨を改善するかどうかを評価するためには、骨喪失モデルを用いるさらなる試験が必要であると考えられる。これにもかかわらず、入手可能な全てのマウス系統の中で最低のBMDを有すると報告されている(Beamer et al., 1996)C57BI/6マウスを本発明者らが用いたことは、TGF-β阻害が、低い骨量の加齢または骨減少モデルにおいても骨格特性を改善する可能性があることを示唆している。
このデータを支持して、最近、TGF-β受容体キナーゼ活性を阻害することによるTGF-βシグナル伝達の遮断をねらいとした低分子が骨量を増加させることが示されている(Mohammad et al., 2009)。これらの分子は、骨梁骨において有意な増強を証明しているが、1D11媒介TGF-β遮断は、骨梁骨の体積を増加させ、かつ皮質骨の強度を改善する。これらの優れた骨格効果は、低分子によって現在標的とされる細胞内受容体関連酵素の阻害と比較された、全ての細胞外TGF-βイソ型の強い結合および中和によるTGF-βシグナル伝達の完全な廃止の結果である可能性がある。これらの知見は、インビボでTGF-βを特異的に標的とすることができる化合物の可能性を明らかに例証し、癌によって誘導される骨疾患または骨粗鬆症などの過剰な骨破壊が一般的である状態において、骨量を増加させるための治療アプローチを示唆する。
本明細書において開示および請求される組成物および/または方法は全て、本開示に照らして不当な実験を行うことなく作製および実行されうる。本発明の組成物および方法は、好ましい態様に関して記載してきたが、本明細書において記載される組成物および/または方法に、ならびに方法の段階または段階の順序に変更を適用してもよく、それらも本発明の概念、趣旨、および範囲に含まれることは当業者に明らかであろう。より具体的には、化学的および生理学的に関連するある作用物質を本明細書において記載される作用物質に置換してもよく、それでも同じまたは類似の結果が達成されることは明らかであろう。当業者に明らかであるそのような類似の置換および改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲、および概念に含まれると思われる。
VII.参考文献
以下の参考文献は、それらが例としての手順の詳細または本明細書において記載される内容に対する補助的な他の詳細を提供する程度に、参照により具体的には本明細書に組み入れられる。
Figure 2012524818
Figure 2012524818
Figure 2012524818

Claims (34)

  1. 以下を含む、対象において骨量および/または骨体積を増加させる方法:
    (a)骨量および/または骨体積の増加を必要とする患者を同定する段階;ならびに
    (b)TGF-βに免疫学的に結合する抗体を該対象に投与する段階。
  2. 前記抗体がTGF-βの3つのイソ型全てに結合する、請求項1記載の方法。
  3. 前記抗体が1D11と呼ばれる、請求項1記載の方法。
  4. 前記抗体が前記対象に全身投与される、請求項1記載の方法。
  5. 前記抗体が、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、または局所投与される、請求項4記載の方法。
  6. 前記抗体が骨標的部位に投与される、請求項1記載の方法。
  7. 前記抗体が前記部位に注射される、請求項6記載の方法。
  8. 前記抗体が、前記部位に埋め込まれた徐放型デバイスに含まれる、請求項6記載の方法。
  9. 前記対象がヒトである、請求項1記載の方法。
  10. 前記対象が非ヒト動物である、請求項1記載の方法。
  11. 前記非ヒト動物が、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、サル、またはウシである、請求項10記載の方法。
  12. 前記対象が癌を有する、請求項1記載の方法。
  13. 前記対象が癌を有しない、請求項1記載の方法。
  14. 少なくとも2回目の前記抗体の投与をさらに含む、請求項1記載の方法。
  15. 前記対象が、1週間に3回の投与を受ける、請求項14記載の方法。
  16. 前記対象が、少なくとも9回の投与を受ける、請求項14記載の方法。
  17. 前記抗体の投与後に骨量を評価する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  18. 評価する段階が骨イメージングを含む、請求項17記載の方法。
  19. 前記対象が、骨粗鬆症、骨折、外傷による骨喪失、またはパジェット病を患っている、請求項1記載の方法。
  20. 前記対象が、癌転移による骨喪失を患っている、請求項1記載の方法。
  21. TGF-βに免疫学的に結合する抗体を対象に投与する段階を含む、該対象において骨成長を増加させる方法。
  22. 前記抗体が、TGF-βの3つのイソ型全てに結合する、請求項21記載の方法。
  23. 前記抗体が1D11と呼ばれる、請求項21記載の方法。
  24. 前記抗体が前記対象に全身投与される、請求項21記載の方法。
  25. 前記抗体が、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、または局所投与される、請求項24記載の方法。
  26. 前記抗体が骨標的部位に投与される、請求項21記載の方法。
  27. 前記対象が癌を有する、請求項21記載の方法。
  28. 前記対象が癌を有しない、請求項21記載の方法。
  29. 前記対象がヒトである、請求項21記載の方法。
  30. 前記対象が非ヒト動物である、請求項21記載の方法。
  31. TGF-βに免疫学的に結合する抗体を対象に投与する段階を含む、該対象において骨芽細胞数を増加させる方法。
  32. TGF-βに免疫学的に結合する抗体を対象に投与する段階を含む、該対象において破骨細胞数を減少させる方法。
  33. TGF-βに免疫学的に結合する抗体を対象に投与する段階を含む、該対象において骨強度を増加させる方法。
  34. TGF-βに免疫学的に結合する抗体を対象に投与する段階を含む、該対象においてTGF-βシグナル伝達を低下させる方法。
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