本発明は広くは、投射スクリーンに関する。本開示は詳細には、画像プロジェクターからの光のような所望の光の方向を変えて観察者の方に向けると共に、周囲光源からの光のような所望でない光の方向を変えて観察者から離れるようにする非対称な投射スクリーンに関する。本開示は詳細には、屋外又は明るい環境で用いられるディスプレイ装置に適している。
図1は、投射システム100の概略的側面図であり、3つの直交軸x、y、及びzが概ね定められている。投射システム100は、画像投射光源110、周囲光源140、並びに、非対称な光拡散板170、実質的に正反射性の反射板150、及び光吸収層160を含む光拡散型光学構造体190を含む。
画像投射光源110は、第1の方向112に概ね沿って画像光111を像面120に投射する。第1の方向112は、x軸沿いの水平方向130と角度θ1をなす。いくつかのケースでは、角度θ1は実質的に0に等しい。いくつかのケースでは、角度θ1は、約20度未満、又は約15度未満、又は約10度未満、又は約5度未満、又は約3度未満である。
周囲光源140は、水平方向130と角度θ2をなす第2の方向142に概ね沿って周囲光141を発する。いくつかのケースでは、角度θ2は角度θ1よりも実質的に大きい。いくつかのケースでは、角度θ2は角度θ1よりも少なくとも約20度、又は少なくとも約30度、又は少なくとも約40度、又は少なくとも約50度、又は少なくとも約60度、又は少なくとも約70度大きい。いくつかのケースでは、角度θ2は、約40度超、又は約50度超、又は約60度超、又は約70超である。
非対称な光拡散板170は、x方向と平行な水平方向130に沿って、かつy方向と平行な垂直方向132に沿ってなどの様々な方向に沿って様々に入射光を散乱させる。図2は、互いに直交する水平方向と垂直方向沿いにおける、非対称な光拡散板170のそれぞれの水平ゲイン曲線210と垂直ゲイン曲線220の概略的なプロットである。非対称な光拡散板170は、軸上、すなわち視野角0度に対応する最大ゲインg0と、半値ゲインg1=g0/2を有し、この半値ゲインは、水平視野角AH(AH1〜AH2)と、垂直視野角AV(AV1〜AV2)を定める。AH1はプラスの水平視野角、AH2はマイナスの水平視野角とそれぞれ称してよく、AV1はプラスの垂直視野角、AV2はマイナスの垂直視野角とそれぞれ称してよい。図2の代表的なゲインプロットでは、ゲイン曲線210及び220のそれぞれは、軸上の視野方向を中心に左右対称となっている。一般に、ゲイン曲線210及び220は、軸上の視野方向を中心に左右対称であってもなくてもよい。例えば、いくつかのケースでは、プラスの視野角の輝度半値視野角に相当するプラスの視野角AH1は、マイナスの視野角の輝度半値視野角に相当するマイナスの視野角AH2と異なっていてもよい。
図1を再び参照すると、光拡散板170は非対称な拡散板であり、水平視野角AHが垂直視野角AVと異なることを意味する。いくつかのケースでは、非対称な光拡散板170は、水平方向などの第1の方向では光を第1の視野角AHで散乱させ、垂直方向のように、第1の方向と直交する第2の方向では光を第2の視野角AVで散乱させる。いくつかのケースでは、AH/AVの比率は少なくとも約2、又は少なくとも約2.2、又は少なくとも約2.5、又は少なくとも約2.7、又は少なくとも約3、又は少なくとも約3.2、又は少なくとも約3.5、又は少なくとも約3.7、又は少なくとも約4である。いくつかのケースでは、水平視野角AHは垂直視野角AVよりも少なくとも約40度、又は少なくとも約50度、又は少なくとも約60度、又は少なくとも約70度、又は少なくとも約80度、又は少なくとも約90度大きい。
非対称な光拡散板170は、像面120内に、垂直方向132に沿って配置されている。非対称な光拡散板170は画像光111を受光し、その画像光を散乱させて、第2の方向114に概ね沿って伝搬する散乱画像光113を形成する。いくつかのケースでは、方向112及び114は、x軸を中心として左右対称となっている。いくつかのケースでは、第2の方向114は、水平方向130と角度θ1をなす。いくつかのケースでは、散乱画像光113は、水平方向130と角度αVをなす所望の観察位置180を含むか、又は網羅する垂直の画像光円錐115を有する。
非対称な拡散板170は、周囲光141を受光し、その周囲光を散乱させて、第4の方向144に概ね沿って伝搬する散乱周囲光143を形成する。いくつかのケースでは、方向142及び144は、水平方向130を中心に左右対称となっている。いくつかのケースでは、第4の方向144は、水平方向130と角度θ2をなす。いくつかのケースでは、散乱周囲光143は、所望の観察位置180を含まないか、又は網羅しない垂直の周囲光円錐145を有する。
いくつかのケースでは、観察位置180は、垂直の画像光円錐115に含まれているか、又は垂直の画像光円錐115内に配置されているが、垂直の周囲光円錐145に含まれたり、垂直の周囲光円錐145内に配置されたりはしない。このようなケースでは、観察位置180にいる観察者は、高コントラストの画像を見ることができる。その画像は、周囲光源140から発せられる周囲光を含んでいないか、ほんのわずかしか含んでいないからである。いくつかのケースでは、非対称な拡散板170の垂直視野角は、垂直の画像光円錐115が観察位置180を含むか、又は網羅するほど十分に大きく、垂直の周囲光円錐145が観察位置180を含まないほど十分に小さい。
図3に概略的に示されているように、角度αVが実質的に0に等しい場合のようないくつかのケースでは、非対称な拡散板170によって散乱される画像光は観察位置180に到達し、拡散板によって散乱される周囲光は、観察位置から離れるように伝搬する。このようなケースでは、拡散板170の半値垂直視野角(AV/2)はθ1よりも大きく、かつθ2よりも小さい。このようなケースでは、観察位置180にいる観察者には、コントラストの向上した表示画像が見える。
反射板150は、光拡散板170によって散乱されない画像光155を反射させる。いくつかのケースでは、反射板150は実質的に正反射の反射板である。このようなケースでは、反射板150によって反射される全ての光のうちのかなりの部分は正反射し、全ての反射光のうちのほんの一部が拡散反射する。例えば、このようなケースでは、可視波長における反射板150の総反射に対する正反射の比率は、少なくとも約0.7、又は少なくとも約0.75、又は少なくとも約0.8、又は少なくとも約0.85、又は少なくとも約0.9、又は少なくとも約0.95であり、この可視波長は、電磁スペクトルの可視範囲内のいずれかの波長であることができる。いくつかのケースでは、この可視範囲は約400nm〜約690nm、又は約410nm〜約680nm、又は約420nm〜約670nmである。
反射板150は、水平方向と角度θ1をなす第5の方向152沿いの反射画像光151として、画像光155を正反射させる。反射板150は、光拡散板170によって散乱されない周囲光156を反射させる。反射板150は、水平方向と角度θ2をなす第6の方向154沿いの反射周囲光153として、周囲光156を正反射させる。いくつかのケースでは、観察位置180、画像投射光源110、及び周囲光源140の配置は、観察位置180にいる観察者が反射画像光151を受光すると共に見えるが、反射周囲光153は受光しないと共に見えないような配置である。このようなケースでは、正反射板150は、非対称な光拡散板170によって観察位置の方に散乱されない画像光155を反射させると共に、非対称な光拡散板170によって、観察位置から離れる方向に散乱されない周囲光156を反射させる。このようなケースでは、観察位置180にいる観察者は、コントラストの向上した画像を見ることができる。
いくつかのケースでは、正反射板150の反射率は、入射角度が増大しても変わらないか、又はほとんど変わらない。このようなケースでは、正反射板150は、可視における入射角約θ1での第1の平均反射率R1と、可視における入射角約θ2での第2の平均反射率R2を有し、R1とR2との差は約10%以下、又は約5%以下、又は約2%以下である。いくつかのケースでは、角度θ1は約0であり、角度θ2は約45度である。
いくつかのケースでは、正反射板150の反射率は、入射角の増大とともに変化、例えば低下する。角度θ1が角度θ2よりも実質的に小さいような場合のいくつかのケースでは、入射角の増大と共に低下する反射率を有する反射板150は、観察位置180のような観察位置に表示される画像のコントラストを向上させることができる。いくつかのケースでは、正反射板150は、可視における入射角約θ1での第1の平均反射率R1と、可視における入射角θ2での第2の平均反射率R2とを有し、R1/R2の比率は少なくとも約1.2、又は少なくとも約1.4、又は少なくとも約1.5、又は少なくとも約1.6、又は少なくとも約1.8、又は少なくとも約2、又は少なくとも約2.5、又は少なくとも約3である。いくつかのケースでは、角度θ1は約0であり、角度θ2は約45度である。
いくつかのケースでは、正反射板150は、電磁スペクトルの可視領域などの領域において、実質的に平らな反射スペクトル有することができる。例えば、このようなケースでは、正反射板の反射率は、可視において、20%以下、又は15%以下、又は10%以下、又は5%以下変化する。いくつかのケースでは、440nmなどの青色波長における反射板150の反射率と、620nmなどの赤色波長における反射率との比率は、約0.8〜約1.2の範囲内、又は約0.9〜約1.1の範囲内である。
一般に、正反射板150は、ある用途において望ましいか、及び/又は実用的でありうるいずれかの正反射板であることができる。例えば、正反射板150は、アルミメッキフィルム、又は、反射偏光フィルム若しくは3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能なVikuiti ESRフィルムなどの多層ポリマー反射フィルムであることができる。
光吸収層160は、正反射板150によって反射されない画像光161及び周囲光162を吸収することによって、表示画像のコントラストを向上させることができる。光吸収層160は、ある用途において望ましいか、及び/又は実用的でありうるいずれかの光吸収材を含むことができる。例えば、層160は、カーボンブラック、黒色染料若しくはその他の暗色染料などの光吸収性染料、光吸収性顔料若しくはその他の暗色顔料、又は、結合剤物質に分散させた不透明粒子を含むことができる。好適な結合剤としては、熱可塑性樹脂、放射線硬化性若しくは熱硬化性アクリレート、エポキシ、シリコーン系物質、又は、その他の好適な結合剤物質が挙げられる。いくつかのケースでは、可視における光吸収層160の光吸収係数は、少なくとも約0.1逆マイクロメートル、又は少なくとも約0.2逆マイクロメートル、又は少なくとも約0.4逆マイクロメートル、又は少なくとも約0.6逆マイクロメートルである。
いくつかのケースでは、光学構造体190は任意の基材185を含む。いくつかのケースでは、基材185は主に、光学構造体内の他の構成要素を支えることができる。いくつかのケースでは、基材185は、1つ以上の追加的な光学機能をもたらすことができる。例えば、基材185は、光拡散体、広域光吸収体、吸収偏光体、反射偏光体、又は、ある用途で望ましい場合のある機能を有するその他のいずれかのフィルムであるか、それを含むことができる。基材185は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、アクリル、アルミニウムシート、及びガラス、並びにこれらの複合物など、ある用途において好適又は実用的でありうるいずれかの物質であることができる。
一般に、光学構造体190は、光を非対称に散乱させるのが望ましい場合のあるいずれかの用途で利用することができる。例えば、光学構造体190は、フロント投射スクリーンであるか、又はその一部であることができる。
画像投射光源110は画像形成装置を含み、その装置によって形成された画像をディスプレイ又は像面120に投射する。プロジェクター110の出力光111は、ある用途において望ましい場合のあるいずれかの偏光を有することができる。例えば、いくつかのケースでは、出力光111は実質的に偏光されていない。このようなケースでは、第1の偏光状態を有する出力光111の強度の、第1の偏光状態と直角をなす第2の偏光状態を有する出力光の強度に対する比率は、約0.8〜約1.2、又は約0.85〜約1.15、又は約0.9〜約1.1、又は約0.95〜約1.05の範囲内である。いくつかのケースでは、出力光111は、例えば第1の方向に沿って、実質的に偏光されている。このようなケースでは、第1の偏光状態を有する出力光111の強度の、直交する偏光状態を有する出力光の強度に対する比率は、少なくとも約100、又は少なくとも約500、又は少なくとも約1000である。いくつかのケースでは、出力光110は、偏光状態の組み合わせを含む。例えば、いくつかのケースでは、出力光110は、赤色光、緑色光、及び青色光を含むことができ、その青色光及び赤色光は1つの偏光状態を有し、緑色光は直交する偏光状態を有する。
一般に、画像投射光源110は、いずれかの画像形成装置を含むことができる。例えば、この画像形成装置は、反射型ディスプレイ、透過型ディスプレイ、若しくは発光型ディスプレイ、又は、半透過型ディスプレイのように様々なディスプレイタイプを組み合わせたものであることができる。例えば、いくつかのケースでは、反射型画像形成装置は、LCD、又は、Texas Instruments,Inc.のDigital Light Processor(DLP)ディスプレイなどのデジタルマイクロミラーアレイディスプレイを含むことができる。
一般に、非対称な光拡散板170は、ある用途において望ましいか、又は実用的でありうるいずれかの非対称な拡散板であることができる。例えば、非対称な拡散板170は、バルク拡散板及び/又は表面拡散板であることができる。バルク拡散は、例えば、ホスト材料中にゲスト材料の小粒子を組み込むか、又は分散させることによって実現させることができ、この場合、ゲスト材料とホスト材料は異なる屈折率を有する。表面拡散は、例えば、拡散マットの表面を作ることによって実現させることができる。いくつかのケースでは、拡散板170はバルク拡散板であり、ゲスト材料とホスト材料との屈折率の差は、少なくとも約0.01、又は少なくとも約0.02、又は少なくとも約0.03、又は少なくとも約0.04である。
いくつかのケースでは、非対称な光拡散板170は、実質的に偏光無依存型であることができる。このようなケースでは、水平方向などの所定の方向沿いの2つの互いに直交する偏光入射光に関する、非対称な光拡散板の水平ゲイン曲線210のようなゲイン曲線は、実質的に同じである。例えば、このようなケースでは、水平方向沿いの2つの互いに直交する偏光入射光の水平ゲイン曲線210は、約15%以下、又は約10%以下、又は約5%以下異なる。別の例として、垂直方向沿いの2つの互いに直交する偏光入射光の垂直ゲイン曲線220は、約15%以下、又は約10%以下、又は約5%以下異なる。
いくつかのケースでは、非対称な光拡散板170は、構造化表面又は層を含むことができる。この構造化層は、ある用途において望ましい場合のある任意の形を有する構造を含むことができる。代表的な形としては、平面状、凹状、凸状、非球面、フレネル、長円、微細繊維、回折性、及び切り子面の形が挙げられる。例えば、図4は、ピッチ430を有するマイクロレンズのような複数の光学レンズ420を含む構造化表面410を含む非対称な光拡散板470の概略的側面図である。いくつかのケースでは、この光学レンズの少なくともいくつかは、例えば、画像投射光源110によって投射される画像のアスペクト比を変えるアナモルフィックレンズであることができる。いくつかのケースでは、アナモルフィックレンズは、円柱レンズのような細長いレンズであるか、細長いレンズを含むことができる。いくつかのケースでは、非対称な光拡散板170は、ランダムなピッチ430を有する細長い光学レンズのアレイ(円柱レンズのアレイなど)を含むことができる。図6は、構造化表面410と同じように、複数のレンズレット620を含む構造化表面610の概略的上面図である。各レンズレットは、幅a1、長さa2、及びアスペクト比a2/a1を有する。いくつかのケースでは、このアスペクト比は約1.5〜約200、又は約2〜約100、又は約2〜約50、又は約2〜約25の範囲である。
いくつかのケースでは、非対称な光拡散板170はバルク拡散板であり、第2の物質内の第1の物質の細長い構造又は粒子(この2つの物質は異なる屈折率を有する)を複数含む。いくつかのケースでは、この細長い粒子は、垂直方向132沿いなどの同じ方向沿いに概ね配向されている。いくつかのケースでは、細長い粒子の長さは約50nm〜約100マイクロメートル、又は約100nm〜約50マイクロメートル、又は約200nm〜約10マイクロメートルの範囲である。いくつかのケースでは、細長い粒子のアスペクト比は、約5:1〜約1000:1、又は約10:1〜約200:1、又は約20:1〜約50:1の範囲内である。
いくつかのケースでは、光学構造体190は一体型構造体であり、これは、構造体内の個々の構成要素が、例えば、1つ以上の接着層によって互いに結合していることを意味する。
開示しているシステム及び構造体の利点のいくつかについて、以下の実施例によって更に説明する。この実施例で列挙される特定の材料、量及び寸法、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈すべきではない。
(実施例1):
拡散板170と同様の非対称な光拡散板を作製した。ポリプロペン(PP)(Exxon Chemicals(Houston,Texas)から入手可能なPP1024)と、オーブンで乾燥した(176°F(80℃)で10分間)ポリスチレン(PS)(Dow Chemical(Midland,Michigan)から入手可能なStyron 685D)のパレットを重量比約60/40(PP/PS)で混合し、押出成形機に加えた。この混合物を押出温度約460°F(238℃)、押出速度約300lbs/時(136kg/時)、ラインスピード毎分約50フィート/分(0.254m/秒)で溶融押出した。押出したフィルムの厚みは約100マイクロメートルであった。押出の際に、溶融PSの副相は引き伸ばされて、ウェブ又は押出方向沿いに概ね配向された細長い粒子になった。この細長い粒子は、平均直径が約1000ナノメートル、平均アスペクト比が約100である棒状の形状であった。細長いPS粒子の屈折率は1.58であった。PPホストの屈折率は1.50であった。
次に、押出したフィルムを、3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能な高度正反射フィルム(ESR)に積層した。このESRフィルムの、法線入射における約400nm〜約100nmの波長範囲での反射率は、約99%であった。ESRの反射率は、45度の入射角においても約99%のままであった。この積層は、3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能な光学的に透明な接着剤OCA−8171を用いて行った。得られたフィルムの可視での反射率は、入射角0度では約90%、入射角約45度では約80%であった。次に、同じ透明接着剤を用いて、得られた積層体を光吸収性ブラックフィルム(3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能なScotchCal Graphic Film 7725)に積層した。得られたフロント投射スクリーンは、約3.5の軸上ゲイン、約120度の水平視野角AH、25度の垂直視野角AVという特性を有していた。
数種類の入射角θでこのスクリーンに入射する光に関しては、スクリーンの反射率RRθはスクリーンと垂直に測定した。RR45/RR0(45度及び0度の水平入射角)の比率は約0.66であった。ランバート拡散板の場合の同様の比率は約0.82であり、これは、ランバート拡散板と比べて、このスクリーンの周囲光排除力が約19%向上したことを示している。このスクリーンでは、水平入射角60度における周囲光排除力は約27%向上した。このスクリーンでは、垂直入射角45度における周囲光排除力は約72%向上した。RRθの測定は、500ルクスの周囲光の存在下で行った。このスクリーンの、水平に偏光した入射光に対する反射率と、垂直に偏光した入射光に対する反射率の差の平均は、約5%未満であった。
図5は、測定した水平ゲインの曲線510と、測定した垂直ゲインの曲線520を示している。
(実施例2):
反射フィルムが、3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能な狭帯域正反射フィルム(c−ESR)である以外は、実施例1の構成と同様の光学構造体を作製した。このc−ESRフィルムの、法線入射における約400nm〜約100nmの波長範囲での反射率は、約99%であった。このc−ESRフィルムの可視における入射角0での平均反射率の、入射角45度での平均反射率に対する比率は約1.7であった。得られたフロント投射スクリーンは、約3.5の軸上ゲイン、約120度の水平視野角AH、約25度の垂直視野角AVという特性を有していた。
RR45/RR0(45度及び0度の水平入射角)の比率は約0.62であった。ランバート拡散板の場合の同様の比率は約0.82であり、これは、ランバート拡散板と比べて、このスクリーンの周囲光排除力が約24%向上したことを示している。このスクリーンでは、水平入射角60度における周囲光排除力は約31%向上した。このスクリーンでは、垂直入射角45度における周囲光排除力は約79%向上し、垂直入射角約60度における周囲光排除力は約84%向上した。RRθの測定は、500ルクスの周囲光の存在下で行った。このスクリーンの、水平に偏光した入射光に対する反射率と、垂直に偏光した入射光に対する反射率との差の平均は、約5%未満であった。
本明細書で使用する場合、「垂直」、「水平」、「上方」、「下方」、「左」、「右」、「上側」及び「下側」、「前側」及び「後ろ側」、「時計回り」及び「反時計回り」などの用語、並びに、その他の類似の用語は、図に示されているような相対位置を指す。広くは、物理的実施形態は異なる配向を有することができ、その場合、用語は、装置の実際の配向に修正された相対位置を意味することを意図している。例えば、図1の構成体を、図の配向と比べて90度回転しても、矢印方向130は依然として、「水平」方向沿いであるとみなされる。
上記に引用したすべての特許、特許出願及び他の公開を、それらがあたかも完全に再現されたものとして本明細書に援用するものである。本発明の様々な態様の説明を容易にするために本発明の特定の実施例を上記に詳細に説明したが、本発明は、それら実施例の詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ添付の「特許請求の範囲」により規定されるように本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変形例、実施形態及び代替例を全て網羅しようとするものである。