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JP2012220402A - 音響材料の音響特性計測方法および音響材料の音響特性計測装置 - Google Patents

音響材料の音響特性計測方法および音響材料の音響特性計測装置 Download PDF

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JP2012220402A JP2011088124A JP2011088124A JP2012220402A JP 2012220402 A JP2012220402 A JP 2012220402A JP 2011088124 A JP2011088124 A JP 2011088124A JP 2011088124 A JP2011088124 A JP 2011088124A JP 2012220402 A JP2012220402 A JP 2012220402A
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Abstract

【課題】供試体に対する音波の入射角の制約を解消する上で有利となる音響材料の音響特性計測方法および音響材料の音響特性計測装置を提供する。
【解決手段】第1〜第4の送波器T1〜T4を、同一方向を指向し、かつ、直線上に等しい間隔dをおいて並べて配置し、第1〜第4の送波器T1〜T4から送波される第1の音波W1の位相がそれぞれ位相差φずつずれるように駆動信号を生成させ、第1〜第4の送波器T1〜T4から送波される4個の第1の音波W1によって形成される等位相面Pの進行方向と供試体2の表面の法線とがなす入射角θが0度よりも大きな角度となるようにした。受波器Rでは、第1の音波W1が供試体2によって反射された反射波である第2の音波W2を受波する。第2の音波W2の音圧レベルP2を算出し、音圧レベルP2から音響特性を算出する。
【選択図】図6

Description

本発明は、音響材料の音響特性計測方法および音響材料の音響特性計測装置に関する。
水中で使用される音響材料の反射特性、透過特性などの音響特性を測定する方法として、以下の方法が知られている(非特許文献1参照)。
図1に示すように、音響特性を計測すべき供試体2と、送波器Tと、受波器Rとを水中に配置する。
送波器Tに駆動信号を供給することにより送波器Tから供試体2に向けて第1の音波(直接波)を送波させ、第1の音波が供試体2によって反射された第2の音波(反射波)を受波器Rで受波させて反射波検出信号を検出させる。
反射波検出信号から算出された第2の音波の音圧レベルに基づいて音響特性を算出する。
海洋音響の基礎と応用 海洋音響学会編 成山堂書店 第12章水中音響計測(p147−p148)
しかしながら、図1に示す上記従来方法では、図3のように供試体2に対して入射角をつけて傾斜させて第1の音波を送波した場合に、以下の問題がある。
送波器Tから送波される供試体2に向かう直接波の進行方向が供試体2の表面の法線となす角度を直接波の入射角θとする。
送波器Tと受波器Rとの距離を第1の距離、送波器T→供試体2→受波器Rの経路の距離を第2の距離とする。
この場合、第1の距離と第2の距離との差をある程度確保すると、受波器Rで検出される第1の音波と第2の音波との時間差Δt12が確保でき、したがって、第1の音波と第2の音波とを識別して計測することができる。
しかしながら、入射角θが大きくなればなるほど、例えば、入射角θが30度を超えると時間差Δt12が短くなり過ぎて、第1の音波と第2の音波とを識別して計測することが難しくなる。
このため、従来方法では、30度を超えるような入射角θでの供試体の音響特性の計測を行うことが困難であり、音波の供試体に対する入射角が制約されるものであった。
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、供試体に対する音波の入射角の制約を解消する上で有利となる音響材料の音響特性計測方法および音響材料の音響特性計測装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、音響特性を計測すべき供試体と、送波器と、受波器とを水中に配置し、前記送波器に駆動信号を供給することにより前記送波器から前記供試体に向けて第1の音波を送波させ、前記第1の音波が前記供試体によって反射された反射波である第2の音波を前記受波器で受波させて反射波検出信号を検出させ、前記反射波検出信号から算出された前記第2の音波の音圧レベルに基づいて前記音響特性を算出する音響材料の音響特性計測方法であって、前記送波器は、同一方向を指向し、かつ、前記指向する方向と交差する方向に延在する直線上に等しい間隔dをおいてn個(nは2以上の整数)並べて配置し、前記n個の送波器を第1、第2、……第nの送波器とした場合、前記第1、第2、……第nの送波器から送波される前記第1の音波の位相がそれぞれ位相差φずつずれるように前記駆動信号を生成させ、前記第1、第2、……第nの送波器から送波されるn個の前記第1の音波によって形成される等位相面の進行方向と前記供試体の表面の法線とがなす入射角が0度よりも大きな角度となるようにしたことを特徴とする。
また本発明は、水中に配置され、駆動信号が供給されることにより第1の音波を音響特性を計測すべき供試体に向けて送波する送波器と、前記水中に配置され、前記第1の音波が前記供試体で反射された反射波である第2の音波を受波し、前記第2の音波に対応する反射波検出信号を生成する受波器と、前記送波器に前記駆動信号を供給する駆動手段と、前記反射波検出信号から算出される前記第2の音波の音圧レベルに基づいて前記供試体の音響特性を算出する音響特性算出手段とを備える音響特性計測装置であって、前記送波器は、同一方向を指向し、かつ、前記指向する方向と交差する方向に延在する直線上に等しい間隔dをおいてn個(nは2以上の整数)並べて配置され、前記駆動手段は、前記n個の送波器を第1、第2、……第nの送波器とした場合、前記第1、第2、……第nの送波器から送波される前記第1の音波の位相がそれぞれ位相差φずつずれるように前記駆動信号を生成させ、前記第1、第2、……第nの送波器から送波されるn個の前記第1の音波によって形成される等位相面の進行方向と前記供試体の表面の法線とがなす入射角が0度よりも大きな角度となるようにしたことを特徴とする。
また本発明は、水中に配置され、駆動信号が供給されることにより第1の音波を音響特性を計測すべき供試体に向けて送波する送波器と、前記水中に配置され、前記供試体で反射された反射波である第2の音波を受波し、前記第2の音波に対応する反射波検出信号を生成する受波器と、前記送波器に前記駆動信号を供給する駆動手段と、前記反射波検出信号から算出される前記第2の音波の音圧レベルに基づいて前記供試体の音響特性を算出する音響特性算出手段とを備える音響特性計測装置であって、前記送波器は、同一方向を指向し、かつ、前記指向する方向と交差する方向に延在する直線上に等しい間隔dをおいてn個(nは2以上の整数)並べて配置され、前記駆動手段は、前記n個の送波器を第1、第2、……第nの送波器とした場合、前記第1、第2、……第nの送波器から送波される前記第1の音波の位相がそれぞれ位相差φずつずれるように前記駆動信号を生成させ、前記第1、第2、……第nの送波器から送波されるn個の前記第1の音波によって形成される等位相面の進行方向と前記供試体の表面の法線とがなす入射角が0度よりも大きな角度となるようにし、前記受波器は前記送波器のうちの1つの送波器あるいは複数の送波器で兼用されていることを特徴とする。
本発明によれば、第1〜第nの送波器を、同一方向を指向し、かつ、直線上に等しい間隔dをおいて並べて配置し、第1〜第nの送波器から送波される第1の音波の位相がそれぞれ位相差φずつずれるように駆動信号を生成させ、第1〜第nの送波器から送波されるn個の第1の音波によって形成される等位相面の進行方向と供試体の表面の法線とがなす入射角θが0度よりも大きな角度となるようにした。したがって、従来方法では困難であった0度よりも大きな入射角での供試体の音響特性の計測を行うことが可能となり、音波の供試体に対する入射角の制約を解消する上で有利となる。
従来の音響材料の音響特性計測方法の説明図である。 受波器Rによって検出された第1、第2、第3の音波W1、W2、W3の音圧レベルPの計測値を示した図である。 送波器Tから送波される第1の音波W1の供試体2の表面に対する入射角θを0度よりも大きな角度に設定した場合の説明図である。 入射角θと時間差Δtとの関係を示す線図である。 斜行する音波を2つの送波器T1,T2からなるダイポール状のハイドロフォンモデルで送波する場合の説明図である。 第1〜第4の送波器T1〜T4によって供試体2に入射角θで音波を送波する場合の説明図である。 本実施の形態における音響特性計測装置の構成を示すブロック図である。 (A)はシミュレーションの手順を示す図、(B)は音場の説明図、(C)は供試体2の幅方向における位相の変化を示す図、(D)は送波器(ハイドロフォン)間の位相差φ、音波の波長λ、入射角θのシミュレーション結果を示す図である。 送波器が2つの場合における送波器(ハイドロフォン)間の位相差φ、音波の波長λ、入射角θのシミュレーション結果を示す図である。 送波器が3つの場合における送波器(ハイドロフォン)間の位相差φ、音波の波長λ、入射角θのシミュレーション結果を示す図である。 送波器が4つの場合における送波器(ハイドロフォン)間の位相差φ、音波の波長λ、入射角θのシミュレーション結果を示す図である。 送波器が5つの場合における送波器(ハイドロフォン)間の位相差φ、音波の波長λ、入射角θのシミュレーション結果を示す図である。
次に本発明の実施の形態に係る音響材料の音響特性計測装置について音響材料の音響特性計測方法と共に説明するが、本発明の前提となる従来方法について説明する。
図1は従来の音響材料の音響特性計測方法の説明図である。
図1に示すように、音響特性を計測すべき供試体2と、送波器Tと、受波器Rとを水槽1に収容された水の中に吊り下げて配置する。この場合、送波器Tからの距離は、受波器R、供試体2、水槽1の壁面という順番で遠くなる。
送波器Tに駆動信号を供給することにより送波器Tから供試体2に向けて第1の音波W1を送波させる。
この場合、第1の音波W1の進行方向が供試体2の表面の法線となす入射角θは0度であり、すなわち第1の音波W1は供試体2の表面に対して垂直方向に入射する。
第1の音波W1は、受波器R、供試体2、水槽1の壁面の順番に到達する。
供試体2に到達した第1の音波W1(直接波)の一部は、供試体2で反射され第2の音波(反射波)として受波器Rに向かって進行し、残りの第1の音波W1は供試体2を透過したのち、水槽1の壁面で反射され、第3の音波W3として受波器Rに到達する。
図2は、受波器Rによって検出された第1、第2、第3の音波W1、W2、W3の音圧レベルPの計測値を示した図である。
このように第1の音波W1が供試体2によって反射された第2の音波W2を受波器Rで受波させて第2の検出信号を検出し、第2の検出信号から算出された第2の音波W2の音圧レベルPから音響特性としての反射係数を求める。
より詳細には、十分に厚い鉄板等からなる完全反射体で求められた反射音圧を基準として求めておき、完全反射体を供試体2で置き換えた場合の第2の音波W2の音圧レベルPから反射係数を求める。
図3は送波器Tから送波される第1の音波W1の供試体2の表面に対する入射角θを0度よりも大きな角度に設定した場合の説明図である。
以下、送波器Tから送波された第1の音波W1が直接受波器Rに至るまでの経路(直接波の経路)と、送波器Tから送波された第1の音波W1が供試体2で反射され第2の音波W2として受波器Rに至るまでの経路(反射波の経路)とを受波器Rで検出した場合に、それら2つの音波W1、W2を時間的に分離することが可能であるための条件について例示する。
反射波の伝搬距離:送波器Tと供試体2上の点Oと受波器Rとを結ぶ距離TOR=L+D……(1)
但し、Lは送波器Tと供試体2上の点Oとを結ぶ距離、Dは供試体2上の点Oと受波器Rとを結ぶ距離。
直接波の伝搬距離:送波器Tと受波器Rとを結ぶ距離TR=(L+D−2LD・cos(2θ))1/2……(2)
直接波と反射波との時間差:Δt=(TOR−TR)/c……(3)
周波数f、山数Nの時の送波時間:N/f……(4)
直接波と反射波が分離可能である条件は、以下の通り。
Δt=(TOR−TR)/c>N/f……(5)
但し、cは水中での音速=1500m/s
図4は入射角θと時間差Δtとの関係を示す線図である。
図4は、L=500mm、D=350mm、f=20kHz、N=5としている。
この場合、送波時間N/f=0.25msとすると、時間差Δtが0.25ms以下であると、2つの音波W1、W2を時間的に分離することが困難となる。
したがって、図4から時間差Δt=0.25ms以下の入射角θは約33度以上の領域となる。
このように上述した従来方法では、供試体2に対する音波の入射角θの制約があることがわかる。
そこで、本発明は、このような供試体2に対する音波の入射角θの制約を解消するためになされたものであり、ソナーの整相処理と同様に複数の送波器に位相差を付けて送波、受波することにより、等位相面が供試体2の表面に対して斜め方向から入射する、言い換えると、入射角θが0度よりも大きな範囲で音響材料の音響特性を計測できるようにしたものである。
ここで、複数の送波器が斜行する音波を送波する場合について説明する。
図5に示すように、2つの送波器T1、T2からなるダイポール状のハイドロフォンモデルで送波する場合について説明する。
2つの送波器T1、T2は直線L1上に間隔dをおいて配置されている。より詳細には、2つの送波器T1、T2は、同一方向を指向し、かつ、指向する方向と交差する方向に延在する直線L1上に等しい間隔dをおいて配置されている。
ここで、直線L1と平行な直線に対して入射角θで音波を入射させる場合(言い換えると、直線L1と直交する直線L2に対して音波の進行方向がなす角度がθである場合)について考える。
2つの送波器T1、T2で送波する音波をそれぞれS、Sとし、音波S1と同じ位相の音波S2の位置(等位相面の位置)を位置Hとし、音波の波長をλとする。
この場合、式(10)が成立する。
H=dsinθ……(10)
2つの送波器T1、T2で送波する音波S、Sの位相差φは式(11)で示される。
φ=(2πd/λ)sinθ……(11)
そして、2つの送波器T1、T2で送波する音波の音圧は、式(12)で示すように、2つの送波器T1、T2の送波音圧p、pのベクトル合成となる。
+p=2pcos(φ/2)……(12)
以上、2つの送波器T1、T2が直線L2に対して角度θをなす進行方向に音波を送波する場合について説明したが、2つの送波器T1、T2を2つの受波器に置き換えると、直線L2と平行な直線に対して入射角θで入射する音波を受信することができることになる。
図6は第1〜第4の送波器T1〜T4によって供試体2に入射角θで音波を送波する場合の説明図である。
直線L1上に等間隔をおいて4つの送波器T1〜T4が配置されている。
より詳細には、第1〜第4の送波器T1〜T4は、同一方向を指向し、かつ、指向する方向と交差する方向に延在する直線L1上に等しい間隔dをおいて配置されている。
供試体2は例えば板状を呈し、供試体2の表面の法線をL2とした場合、直線L1と法線L2とが直交するように供試体2が配置されている。
第1〜第4の送波器T1〜T4から送波される音波の位相がそれぞれ位相差φずつずれるように第1〜第4の送波器T1〜T4に駆動信号を供給する。
すると、第1〜第4の送波器T1〜T4から送波される4個の音波によって形成される等位相面Pの進行方向と供試体2の表面の法線とがなす入射角θが0度よりも大きな角度とすることができる。
次に、音響特性計測装置の具体的な構成について説明する。
図7は本実施の形態における音響特性計測装置の構成を示すブロック図である。
音響特性計測装置10は、水槽1、第1〜第4の送波器T1〜T4、受波器R、発振器12、パワーアンプ14、第1〜第4の移相器16A〜16D、プリアンプ18、アッテネータ20、切替器22、メジャリングアンプ24、フィルター26、オシロスコープ28、デジタルオシロスコープ30、パーソナルコンピュータ32などを含んで構成されている。
水槽1は水を収容するものである。
第1〜第4の送波器T1〜T4は、水槽1の水中に配置され、駆動信号が供給されることにより第1の音波を音響特性を計測すべき供試体2に向けて送波するものである。
より詳細には、第1〜第4の送波器T1〜T4は、同一方向を指向し、かつ、指向する方向と交差する方向に延在する直線L1上に等しい間隔dをおいて配置されている。
なお、本実施の形態では、供試体2は板状を呈し、その表面の法線L2が直線L1と直交するように配置されている。
受波器Rは、水槽1の水中に配置され、第1の音波が供試体2で反射された反射波である第2の音波を受波し、第2の音波に対応する反射波検出信号を生成するものである。
本実施の形態では、受波器Rは、第1〜第4の送波器T1〜T4と供試体2との間で、供試体2からの反射波を受波できる位置に配置されている。
発振器12は、第1〜第4の送波器T1〜T4に供給する駆動信号を生成するものであり、駆動信号の振幅、波数(パルス数)、波長などが調整可能に構成されている。
パワーアンプ14は、発振器から供給される駆動信号を増幅するものであり、増幅率が調整可能に構成されている。
第1〜第4の移相器16Aは、パワーアンプ14から供給される駆動信号を、予め設定された位相差だけずらして第1〜第4の送波器T1〜T4に供給するものである。
本実施の形態では、第1〜第4の移相器16Aでずらせる位相差φは以下の通りである。
第1の送波器:0
第2の送波器:φ
第3の送波器:2φ
第4の送波器:3φ
したがって、第1の送波器T1の位相を基準として、第2、第3、第4の送波器T2、T3、T4からは、それぞれ位相差φ、位相差2φ、位相差3φを持った音波が送波されることになる。
プリアンプ18は、受波器Rから供給される反射波検出信号を増幅するものである。
アッテネータ20は、パワーアンプ14から第1〜第4の移相器16Aに供給される駆動信号を予め定められた減衰量だけ減衰させるものである。
切替器22は、プリアンプ18から供給される反射波検出信号と、パワーアンプ14から第1〜第4の移相器16Aに供給される駆動信号とを選択してメジャリングアンプ24に供給するものである。
メジャリングアンプ24は、切替器22を介して供給される反射波検出信号と、前記の駆動信号との何れかを増幅して出力信号として出力するものである。
フィルター26は、メジャリングアンプ24から供給される出力信号から、特に反射波検出信号から不要な信号成分を除去するものである。
オシロスコープ28は、発振器12から供給される駆動信号をトリガー信号として入力し、フィルター26を通過した反射波検出信号の波形をモニタするものである。
デジタルオシロスコープ30は、発振器12から供給される駆動信号をトリガとして入力し、フィルター26を通過した反射波検出信号をデータとして蓄積し、パーソナルコンピュータ32に反射波検出信号のデータを供給するものである。
パーソナルコンピュータ32は専用の計測プログラムがインストールされており、この計測プログラムを実行することによって、デジタルオシロスコープ30から供給される反射波検出信号のデータから第2の音波の音圧レベルを算出すると共に、算出された第2の音波の音圧レベルに基づいて供試体2の音響特性を算出する。
また、パーソナルコンピュータ32は、発振器12、フィルター26、デジタルオシロスコープ30の動作の制御も行う。
なお、本実施の形態では、発振器12と、パワーアンプ14と、第1乃至第4の移相器とによって、特許請求の範囲の駆動手段が構成され、パーソナルコンピュータ32によって特許請求の範囲の音響特性算出手段が構成されている。
なお、切替器22をアッテネータ20側に切り替えた場合は、パワーアンプ14から第1〜第4の移相器16Aに供給される駆動信号を直接メジャリングアンプ24に供給される。このようにすることで、水槽1内(水中)の状況の影響を受けない駆動信号を直接計測することで、駆動信号の基準レベルを得ることができる。
パワーアンプ14の増幅率(出力パワー)を変更したときに、前記の基準レベルに基づいて受波器Rの検出信号を補正することができ、検出信号の計測をより正確に行うようにしている。
次に音響特性計測装置10の動作について説明する。
まず、水槽1の水中に第1〜第4の送波器T1〜T4、受波器R、供試体2を吊り下げて設置する。
第1〜第4の送波器T1〜T4から送波される音波の供試体2に対する入射角θを定める。入射角θは0度より大きく90度よりも小さい値である。
前述した式(11)から、入射角θと、第1〜第4の送波器T1〜T4から送波される音波の波長λと、間隔dとに基づいて位相差φを算出する。
φ=(2πd/λ)sinθ……(11)
位相差φに基づいて第1〜第4の移相器16A〜16Dの位相を設定する。
切替器22はプリアンプ18側に切り替えられている。
パーソナルコンピュータ30は、発振器12に駆動信号を発生させる指令を与える。これにより発振器12から駆動信号をパワーアンプ14、第1〜第4の移相器16A〜16Dを介して第1〜第4の送波器T1〜T4に供給する。
これにより図6に示すように第1〜第4の送波器T1〜T4から位相差φずつずれた音波が送波され、これら4個の音波によって形成される等位相面Pの進行方向と供試体2の表面の法線とがなす入射角θが0度よりも大きな角度となり、したがって、供試体2に対して0度よりも大きな入射角θの第1の音波W1(図2)が送波される。
受波器Rでは、第1の音波W1が供試体2によって反射された反射波である第2の音波W2(図2)を受波することで反射波検出信号をメジャリングアンプ24に供給する。
反射波検出信号は、メジャリングアンプ24、フィルター26を介してデジタルオシロスコープ30で蓄積される。
パーソナルコンピュータ32は、デジタルオシロスコープ30に蓄積された反射波検出信号のデータに基づいて第2の音波W2の音圧レベルP2を算出し、音圧レベルP2から音響特性を算出する。
音響特性としては従来公知の反射特性を評価する反射係数ER(echo reduction(反射減衰量))が例示される。反射係数ERは減衰量がどの位であるかを示すものであり、減衰する場合に正値を取る。
基準状態(基準サンプルを設置した状態)での音圧レベルP2=P_refに対して供試体2を設置した状態での音圧レベルP2=P_sampleとする。このとき、反射係数ERは以下の式(20)により算出される。
ER=-20Log10(P_sample/P_ref)……(20)
以上説明したように本実施の形態によれば、第1〜第4の送波器T1〜T4を、同一方向を指向し、かつ、直線上に等しい間隔dをおいて並べて配置し、第1〜第4の送波器T1〜T4から送波される第1の音波W1の位相がそれぞれ位相差φずつずれるように駆動信号を生成させ、第1〜第4の送波器T1〜T4から送波される4個の第1の音波W1によって形成される等位相面Pの進行方向と供試体2の表面の法線とがなす入射角θが0度よりも大きな角度となるようにした。
したがって、従来方法では困難であった、30度を超えるような入射角θでの供試体2の音響特性の計測を行うことが可能となり、音波の供試体2に対する入射角θの制約を解消する上で有利となる。
第1の実施の形態では、第1〜第4の送波器T1〜T4の4つの送波器を設けた場合について例示したが、送波器は2つ、3つ、あるいは、5つ以上であってもよい。
以下、送波器の数が2つ、3つ、4つ、5つである場合について、位相差φ、音波の波長λ、入射角θをどのように設定できるかについてシミュレーションを行った結果について説明する。
図8(A)はシミュレーションの手順を示す図、(B)は音場の説明図、(C)は供試体2の幅方向における位相の変化を示す図、(D)は送波器(ハイドロフォン)間の位相差φ、音波の波長λ、入射角θのシミュレーション結果を示す図である。
図8(A)に示すように、送波器から送波する音波の周波数f(波長λ)、送波器の数、間隔d、位相差φを設定する(ステップS1)。
次いで、ステップS1の設定内容に基づいて水槽1内の音場を計算する(ステップS2)。
音場の計算結果を図8(B)に示す。図中、X軸、Y軸は水槽1を平面視した状態で設定された2次元座標軸を示し、縦軸は音圧レベルP(dB)を示す。
本例では、送波器が並べられた直線L1の延在方向がY軸と合致し、X軸はY軸と直交する方向に延在する。
図8(B)に示すように、複数の送波器からそれぞれ送波された音波の音圧レベルPが示されている。
次に、各送波器から一定の距離をおいた位置での音波の位相を算出する(ステップS3)。
図8(C)は、横軸(Y軸)が供試体2の幅方向(送波器が並べられた直線L1の延在方向)の距離を示し、縦軸が位相(度)を示す。
したがって、供試体2の幅方向の寸法に対応する位相が入射角θに相当することになる。
次に、送波器間の位相差φと、ステップS3で算出された入射角θとの関係を、間隔dおよび音波の周波数(波長λ)をパラメータとして算出する(ステップS4)。
その結果を図8(D)に示す。図8(D)は、横軸が送波器間の位相差φ、縦軸が入射角θを示している。
図8(D)は送波器が2つの場合を示し、図9と同内容である。
図10、図11、図12はそれぞれ送波器が3個、4個、5個の場合を示す。
図9に示すように、送波器が2個の場合は、間隔dを波長λ以下とできるが、入射角θは30度程度以下である。
図10に示すように、送波器が3個の場合は、間隔dが3λ/4以下の範囲において入射角θを70度程度まで設定できる。
図11に示すように、送波器が4個の場合は、間隔dがλ/4〜λ/2の範囲において入射角θを70度程度まで設定できる。
図12に示すように、送波器が5個の場合も、間隔dがλ/4〜λ/2の範囲において入射角θを70度程度まで設定できる。
このようなシミュレーション結果によれば、入射角θを変更するには、間隔dあるいは波長λの少なくとも一方を変更すればよいことがわかる。
なお、本実施の形態では、単一の発振器12および単一のパワーアンプ14を用いて生成した1つの駆動信号を4つの移相器16A〜16Dを用いて位相差φずつずらして4つの送波器T1〜T4に供給する構成とした。
しかしながら、各送波器T1〜T4毎に発振器12およびパワーアンプ14を設け、各発振器12の駆動信号の位相を位相差φずつずらして4つの送波器T1〜T4に供給する構成としてもよい。ただし、本実施の形態のように構成すると、発振器12およびパワーアンプ14が1つずつで済むため、コストを抑制する上でより有利である。
また、本実施の形態では、送波器T1〜T4と受波器Rとを別体としたが、以下のような変形例も可能である。
(1)送波器T1〜T4の何れか1つを受波器Rとして兼用する。
(2)送波器T1〜T4の全てあるいは2つ以上を受波器Rとして兼用する。
このような変形例においても実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、受波器を送波器で兼用するため、コストを抑制する上で有利となる。
なお、(2)の場合、複数の受波器で第2の音波W2を受波することになるため、送波時とは逆の位相差を、検出された各反射波検出信号に与えることにより検出した第2の音波W2を整相する必要がある。
すなわち、パーソナルコンピュータ32は、複数の受波器で生成された反射波検出信号に対して位相差φと逆位相となる整相処理を行ったのち供試体2の音響特性の算出を行う。
T1〜T4……第1〜第4の送波器、R……受波器、1……水槽、2……供試体、10……音響特性計測装置、12……発振器(駆動手段)、14……パワーアンプ(駆動手段)、16A〜16D……第1〜第4の移相器(駆動手段)、18……プリアンプ、20……アッテネータ、22……切替器、24……メジャリングアンプ、26……フィルター、28……オシロスコープ、30……デジタルオシロスコープ、32……パーソナルコンピュータ(音響特性算出手段)。

Claims (5)

  1. 音響特性を計測すべき供試体と、送波器と、受波器とを水中に配置し、
    前記送波器に駆動信号を供給することにより前記送波器から前記供試体に向けて第1の音波を送波させ、
    前記第1の音波が前記供試体によって反射された反射波である第2の音波を前記受波器で受波させて反射波検出信号を検出させ、
    前記反射波検出信号から算出された前記第2の音波の音圧レベルに基づいて前記音響特性を算出する音響材料の音響特性計測方法であって、
    前記送波器は、同一方向を指向し、かつ、前記指向する方向と交差する方向に延在する直線上に等しい間隔dをおいてn個(nは2以上の整数)並べて配置し、
    前記n個の送波器を第1、第2、……第nの送波器とした場合、前記第1、第2、……第nの送波器から送波される前記第1の音波の位相がそれぞれ位相差φずつずれるように前記駆動信号を生成させ、
    前記第1、第2、……第nの送波器から送波されるn個の前記第1の音波によって形成される等位相面の進行方向と前記供試体の表面の法線とがなす入射角が0度よりも大きな角度となるようにした、
    ことを特徴とする音響材料の音響特性計測方法。
  2. 前記位相差φおよび前記第1の音波の波長の少なくとも一方を調整することにより前記入射角θを設定する、
    ことを特徴とする請求項1記載の音響材料の音響特性計測方法。
  3. 水中に配置され、駆動信号が供給されることにより第1の音波を音響特性を計測すべき供試体に向けて送波する送波器と、
    前記水中に配置され、前記第1の音波が前記供試体で反射された反射波である第2の音波を受波し、前記第2の音波に対応する反射波検出信号を生成する受波器と、
    前記送波器に前記駆動信号を供給する駆動手段と、
    前記反射波検出信号から算出される前記第2の音波の音圧レベルに基づいて前記供試体の音響特性を算出する音響特性算出手段と
    を備える音響特性計測装置であって、
    前記送波器は、同一方向を指向し、かつ、前記指向する方向と交差する方向に延在する直線上に等しい間隔dをおいてn個(nは2以上の整数)並べて配置され、
    前記駆動手段は、前記n個の送波器を第1、第2、……第nの送波器とした場合、前記第1、第2、……第nの送波器から送波される前記第1の音波の位相がそれぞれ位相差φずつずれるように前記駆動信号を生成させ、
    前記第1、第2、……第nの送波器から送波されるn個の前記第1の音波によって形成される等位相面の進行方向と前記供試体の表面の法線とがなす入射角が0度よりも大きな角度となるようにした、
    ことを特徴とする音響特性計測装置。
  4. 水中に配置され、駆動信号が供給されることにより第1の音波を音響特性を計測すべき供試体に向けて送波する送波器と、
    前記水中に配置され、前記供試体で反射された反射波である第2の音波を受波し、前記第2の音波に対応する反射波検出信号を生成する受波器と、
    前記送波器に前記駆動信号を供給する駆動手段と、
    前記反射波検出信号から算出される前記第2の音波の音圧レベルに基づいて前記供試体の音響特性を算出する音響特性算出手段と
    を備える音響特性計測装置であって、
    前記送波器は、同一方向を指向し、かつ、前記指向する方向と交差する方向に延在する直線上に等しい間隔dをおいてn個(nは2以上の整数)並べて配置され、
    前記駆動手段は、前記n個の送波器を第1、第2、……第nの送波器とした場合、前記第1、第2、……第nの送波器から送波される前記第1の音波の位相がそれぞれ位相差φずつずれるように前記駆動信号を生成させ、
    前記第1、第2、……第nの送波器から送波されるn個の前記第1の音波によって形成される等位相面の進行方向と前記供試体の表面の法線とがなす入射角が0度よりも大きな角度となるようにし、
    前記受波器は前記送波器のうちの1つの送波器あるいは複数の送波器で兼用されている、
    ことを特徴とする音響特性計測装置。
  5. 前記受波器は複数の送波器で兼用されており、
    前記音響特性算出手段による前記供試体の音響特性の算出は、前記複数の受波器で生成された反射波検出信号に対して前記位相差φと逆位相となる整相処理を行ったのちなされる、
    ことを特徴とする請求項4記載の音響特性計測装置。
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