JP2012219404A - 長短複合糸及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成繊維マルチフィラメントと獣毛短繊維群とを加撚した長短複合糸であって、合成繊維マルチフィラメントが開繊して獣毛短繊維群と混合した部分と、合成繊維マルチフィラメントが集束して獣毛短繊維群とは非混合の部分を含む。この糸は獣毛短繊維束(2)をリング精紡機(10)のドラフトゾーン(7,8,9)に供給し、合成繊維マルチフィラメント(1)をリング紡績機のフロントローラ(9)に供給し、両繊維をフロントローラ直後で合体して加撚するに際し、合成繊維マルチフィラメントを予め引っ張って緊張させ、次にオーバーフィードして緩め、緩めた状態で流体交絡(5)し、糸の長さ方向に開繊部分と集束部分を形成した後にフロントローラ(9)に供給して得る。
【選択図】図1
Description
(1)織物の強度、伸度
JIS L 1096.8.12.1a(A法)にしたがって測定した。
(2)合成繊維マルチフィラメントの交絡数
水浸漬法により長さ1mm以上の交絡部の個数を測定し、1mあたりの個数に換算した。マルチフィラメント糸10本を測定し、その平均値で示した。
(3)長短複合糸の観察
長短複合糸の断面及び側面を光学顕微鏡(倍率500倍)により合成繊維マルチフィラメントとウール繊維群との混合部分と非混合部分を観察した。
(4)風合い
カトーテック社製試験機で引張り、曲げ、せん断等を測定し、これらの結果を数学的に処理し、風合いを「しゃり」、「こし」、「ふくらみ」、「はり」の項目に分けて定量評価し、KES値で表示した。それぞれの数値は大きいほど有効であることを示す。
(5)風合いの総合判定値:THV
THVとは、Total hand valueの略であり、「しゃり」、「こし」、「ふくらみ」、「はり」のKES値の数学的処理によって得られる風合いの総合判定値である。その評価に関しては、下記のとおりである。
THV 5: 優秀(極めて優れている)
THV 4: 良
THV 3: 平均的
THV 2: 平均以下
THV 1: 非常に悪い
THV 0: 用途外も含め問題外
(6)毛羽数
シキボウ製F-INDEX TESTERにより長短複合糸の毛羽数を測定した。
メリノウール100重量%の繊維束(0.179g/m、メートル番手5.6)を図1に示す巻糸体2から引き出し、リング精紡機10のバックローラ7に供給し、ドラフトエプロン8でドラフトし、60番(メートル番手)単糸相当の繊維束をフロントローラ9から紡出した。
(1)織物の強度、伸度
強度はタテ577N,ヨコ438N,伸度はタテ53.1%、ヨコ47.8%であった。
(2)長短複合糸の観察
長短複合糸の断面及び側面を光学顕微鏡(倍率500倍)により観察した。合成繊維マルチフィラメントとウール繊維群とは混合部分と非混合部分が糸の長さ方向に配置されており、得られた長短複合糸は図3Aに示す混合部分23と、図3Bに示す非混合部分24が長さ方向に繰り返していた。
(3)風合い
「しゃり」のKES値は4.34、「THV」は2.67であった。
(4)毛羽数
毛羽数を測定した。1mm以上3mm未満の毛羽数が364個/10m、3mm以上5mm未満の毛羽数が34個/10m、5mm以上の毛羽数が6個/10mであった。
(5)総合評価
本実施例の織物は、合成繊維マルチフィラメントと獣毛短繊維群の一体性がよく、糸の長さ方向に沿って変化を有し、風合いがよく、「しゃり」、「こし」、「はり」のKES値が高く、強度も高く、夏物衣料又は薄手ユニホームに好適な織物となった。
実施例1において、第2テンションローラ4とフロントローラ9との間のオーバーフィード率(OF率)を16%とした以外は実施例1と同様に実施した。流体交絡後の交絡度は7個/mであった。
(1)織物の強度、伸度
強度はタテ595N,ヨコ446N,伸度はタテ54.6%,ヨコ49.2%あった。
(2)長短複合糸の観察
長短複合糸の断面及び側面を光学顕微鏡(倍率500倍)により観察した。合成繊維マルチフィラメントとウール繊維群とは混合部分と非混合部分が糸の長さ方向に配置されており、その数は交絡度と同一であった。また、得られた長短複合糸は図3Aに示す混合部分23と、図3Bに示す非混合部分24が長さ方向に繰り返していた。
(3)風合い
「しゃり」のKES値は4.53、「THV」は2.80であった。
(4)毛羽数
毛羽数を測定した。1mm以上3mm未満の毛羽数が343個/10m、3mm以上5mm未満の毛羽数が34個/10m、5mm以上の毛羽数が6個/10mであった。
(5)総合評価
本実施例の織物は、合成繊維マルチフィラメントと獣毛短繊維群の一体性がよく、糸の長さ方向に沿って変化を有し、風合いがよく、「しゃり」感が高く、強度も高く、夏物衣料又は薄手ユニホームに好適な長短複合糸となった。とくに反染品はKES値の数値よりも手触り感が良く、腰もあって夏向きの織物となった。
実施例1において、流体交絡器を使用しないほかは実施例1と同一条件で長短複合糸と織物を製造した。精紡交撚である。交絡数は1個/mである。比較例1の長短複合糸と織物の特性は次のとおりであった。
(1)織物の強度、伸度
強度はタテ481N,ヨコ372N,伸度はタテ38.6%,ヨコ34.2%であった。
(2)長短複合糸の観察
長短複合糸の断面及び側面を光学顕微鏡(倍率500倍)により観察した。合成繊維マルチフィラメントとウール繊維群とは非混合かつ渦巻き状態であった。
(3)風合い
「しゃり」のKES値は2.27、「THV」は2.14であった。
(4)毛羽数
毛羽数を測定した。1mm以上3mm未満の毛羽数が402個/10m、3mm以上5mm未満の毛羽数が45個/10m、5mm以上の毛羽数が9個/10mであった。
(5)総合評価
本比較例の織物は、合成繊維マルチフィラメントと獣毛短繊維群の一体性が悪く、強度も低くて実施例1〜2に比べると良好な夏物衣料又は薄手ユニホームは作成できなかった。
実施例1において、流体交絡器の代わりに電極を配置し、−3000Vを印加してマルチフィラメントを開繊させたほかは実施例1と同一条件で長短複合糸と織物を製造した。交絡数ゼロである。比較例2の長短複合糸と織物の特性は次のとおりであった。
(1)織物の強度、伸度
強度はタテ520N,ヨコ404N,伸度はタテ48.3%,ヨコ40.7%であった。
(2)長短複合糸の観察
長短複合糸の断面及び側面を光学顕微鏡(倍率500倍)により観察した。合成繊維マルチフィラメントとウール繊維群とは分散した状態で混合されていた。
(3)風合い
「しゃり」のKES値は2.49、「THV」は2.34であった。
(4)毛羽数
毛羽数を測定した。1mm以上3mm未満の毛羽数が241個/10m、3mm以上5mm未満の毛羽数が22個/10m、5mm以上の毛羽数が3個/10mであった。
(5)総合評価
本比較例の織物は、合成繊維マルチフィラメントと獣毛短繊維群の一体性が悪く、強度も低くて実施例1〜2に比べると良好な夏物衣料又は薄手ユニホームは作成できなかった。
1a 合成繊維マルチフィラメント
1b 同開繊部分
1c 同集束部分
1d 同交絡糸
2 獣毛短繊維束巻糸体
3 第1テンションローラ
4 第2テンションローラ
5 流体交絡器
6 圧力空気
7 バックローラ
8 ドラフトエプロン
9 フロントローラ
10 リング精紡機
11 撚糸
12 スネルガイド
13 精紡コップ
21 合成繊維マルチフィラメント
22 獣毛短繊維群
23 合成繊維マルチフィラメントと獣毛短繊維群との混合部分
24 合成繊維マルチフィラメントと獣毛短繊維群との非混合部分
Claims (7)
- 合成繊維マルチフィラメントと獣毛短繊維群とを加撚した長短複合糸であって、
前記合成繊維マルチフィラメントが開繊して獣毛短繊維群と混合した部分と、前記合成繊維マルチフィラメントが集束して獣毛短繊維群とは非混合の部分を含むことを特徴とする長短複合糸。 - 前記合成繊維マルチフィラメントの開繊及び集束は、加撚前に前記合成繊維マルチフィラメントにオーバーフィード状態で流体交絡により形成している請求項1に記載の長短複合糸。
- 前記合成繊維マルチフィラメントがポリエステルマルチフィラメントであり、前記獣毛短繊維群がウール繊維群である請求項1〜2のいずれか1項に記載の長短複合糸。
- 前記合成繊維マルチフィラメントと前記獣毛短繊維群との混合比率が、合成繊維マルチフィラメントが20〜35重量%、獣毛短繊維群が65〜80重量%の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の長短複合糸。
- 獣毛短繊維束をリング精紡機のドラフトゾーンに供給し、合成繊維マルチフィラメントを前記リング紡績機のフロントローラに供給し、両繊維を前記フロントローラ直後で合体して加撚するに際し、
前記合成繊維マルチフィラメントを予め引っ張って緊張させ、次にオーバーフィードして緩め、緩めた状態で流体交絡し、糸の長さ方向に開繊部分と集束部分を形成した後に前記フロントローラに供給することにより、請求項1〜4のいずれか1項に記載の長短複合糸を得ることを特徴とする長短複合糸の製造方法。 - 前記オーバーフィード率が、フロントローラの速度を基準として、10〜30%である請求項5に記載の長短複合糸の製造方法。
- 前記合成繊維マルチフィラメントの開繊部分と集束部分が、それぞれ4〜18個/mの範囲である請求項5又は6に記載の長短複合糸の製造方法。
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