JP2012033618A - バイポーラ半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドリフト層とドリフト層に隣接する層との界面の応力を低減して、順方向電圧を低く抑えることができるバイポーラ半導体素子を提供する。
【解決手段】このpinダイオード20は、n型SiCドリフト層23の膜厚の各範囲(300μm以下200μm超),(200μm以下100μm超),(100μm以下50μm超)に対応して、n型SiCバッファ層22の不純物濃度の各上限値(5×1017cm−3),(7×1017cm−3),(10×1017cm−3)が設定されている。これにより、n型SiCドリフト層23とn型SiCバッファ層22との界面の応力を低減でき、順方向電圧を低減できる。
【選択図】図5
【解決手段】このpinダイオード20は、n型SiCドリフト層23の膜厚の各範囲(300μm以下200μm超),(200μm以下100μm超),(100μm以下50μm超)に対応して、n型SiCバッファ層22の不純物濃度の各上限値(5×1017cm−3),(7×1017cm−3),(10×1017cm−3)が設定されている。これにより、n型SiCドリフト層23とn型SiCバッファ層22との界面の応力を低減でき、順方向電圧を低減できる。
【選択図】図5
Description
この発明は、高耐圧で順方向電圧が低いバイポーラ半導体素子に関する。
炭化けい素のように基板上にエピタキシャル成長した層(エピタキシャル層)を用いて素子を形成する場合、基板とエピタキシャル層との間に基板と同程度の不純物濃度を持つバッファ層をエピタキシャル成長により形成するのが一般的である(例えば、特許文献1(米国特許第6849874号明細書)参照)。このバッファ層の形成には、SBD(ショットキーバリアダイオード)などにおいては、基板とエピタキシャル層との界面における局所的な電界集中や、上記界面に存在する欠陥による絶縁破壊を防ぐ狙いがある。
また、上記バッファ層の形成には、pnダイオードやGTO(ゲートターンオフサイリスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)といったバイポーラ素子では、基板の基底面転位がショックレー型積層欠陥に拡張し、順方向電圧ドリフトが発生するのを防ぐ狙いがある。
また、上述のように、バッファ層を設ける目的は、デバイス動作を行うエピタキシャル層に直接に基板が接しないようにすることであるので、バッファ層の不純物濃度は基板の不純物濃度と同程度になるように設計されている。ここで、基板の不純物濃度は、基板の抵抗を下げるためにできるだけ高くする。
しかし、基板の不純物濃度を1019(cm−3)台まで高くすると、基板にフランク型積層欠陥が入ってしまうため、基板の不純物濃度を1018(cm−3)台とされる。
ところで、炭化けい素(SiC)で高耐圧素子を形成する場合、一般に、耐圧1kV当たり厚さ10μmのドリフト層が必要になる。このため、10kV以上の素子を形成するためには、ドリフト層の厚さとして100μm以上が必要になる。このようなドリフト層は、不純物濃度が1013〜1014(cm−3)台以下の高純度である。このため、このドリフト層と基板(あるいはバッファ層)との不純物濃度の差によって、ドリフト層と基板(あるいはバッファ層)との界面に応力が発生する。さらに、この応力は、ドリフト層の厚さが増えるのにともなって増大する。さらに、この応力は、上記界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を引き起こし、ドリフト層への電子の注入を妨げる。
このように、高耐圧素子を形成するときには、厚いドリフト層が必要となるため、ドリフト層と基板(あるいはバッファ層)との界面に応力が発生し、電子の注入が抑制され、順方向電圧が高くなってしまうという問題がある。この順方向電圧の増大は、定常損失の増加を引き起こし、素子の破壊を引き起こすだけでなく、インバータなどの装置の効率低下を引き起こす。
そこで、この発明の課題は、ドリフト層とドリフト層に隣接する層との界面の応力を低減して、順方向電圧を低く抑えることができるバイポーラ半導体素子を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のバイポーラ半導体素子は、炭化けい素半導体で作製されたドリフト層と、
上記ドリフト層に隣接して作製された炭化けい素半導体層とを備え、
上記ドリフト層の厚さを300μm以下かつ200μmを超える寸法にしたと共に上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を5×1017cm−3以下にした構成と、
上記ドリフト層の厚さを200μm以下かつ100μmを超える寸法にしたと共に上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を7×1017cm−3以下にした構成と、
上記ドリフト層の厚さが100μm以下かつ50μmを超える寸法にしたと共に上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を1×1018cm−3以下した構成と、のうちのいずれか1つの構成を有し、
さらに、上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を上記ドリフト層の不純物濃度の100倍以上にしたことを特徴としている。
上記ドリフト層に隣接して作製された炭化けい素半導体層とを備え、
上記ドリフト層の厚さを300μm以下かつ200μmを超える寸法にしたと共に上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を5×1017cm−3以下にした構成と、
上記ドリフト層の厚さを200μm以下かつ100μmを超える寸法にしたと共に上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を7×1017cm−3以下にした構成と、
上記ドリフト層の厚さが100μm以下かつ50μmを超える寸法にしたと共に上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を1×1018cm−3以下した構成と、のうちのいずれか1つの構成を有し、
さらに、上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を上記ドリフト層の不純物濃度の100倍以上にしたことを特徴としている。
この発明のバイポーラ半導体素子によれば、上記ドリフト層の厚さDdが300μm≧Dd>200μmでは、上記ドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層の不純物濃度Nbを5×1017cm−3以下に抑えている。また、上記ドリフト層の厚さDdが200μm≧Dd>100μmでは、上記ドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層の不純物濃度Nbを7×1017cm−3以下に抑えている。また、上記ドリフト層の厚さDdが100μm≧Dd>50μmでは、上記ドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層の不純物濃度Nbを1.0×1018cm−3以下に抑えている。
このように、ドリフト層の厚さが厚い領域程、上記隣接する炭化けい素半導体層の不純物濃度Nbの上限値を低く抑えることにより、上記ドリフト層と上記隣接する炭化けい素半導体層との界面に発生する応力を抑えて、上記ドリフト層と上記炭化けい素半導体層との界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を抑制でき、順方向電圧を低減できる。
また、この発明のバイポーラ半導体素子では、上記炭化けい素半導体層の不純物濃度は、上記ドリフト層の不純物濃度の100倍以上である。すなわち、上記ドリフト層の不純物濃度は、上記炭化けい素半導体層の不純物濃度の100分の1以下である。これにより、空乏層をドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層に延ばさないようにすることができる。よって、上記ドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層がバッファ層である場合、空乏層が基板まで達しないようにすることができ、耐圧喪失や破壊を回避できる。一般に基板の品質はそれほど良くなく、バッファ層と基板との界面も品質が良くない。このため、上記界面の部分まで空乏層が延びてくると、品質が良くない箇所に電界がかかることになり、耐圧喪失や破壊につながる。
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、炭化けい素半導体で作製された基板を備え、
上記炭化けい素半導体層は、
上記炭化けい素半導体で作製された基板と上記ドリフト層との間に形成されたバッファ層である。
上記炭化けい素半導体層は、
上記炭化けい素半導体で作製された基板と上記ドリフト層との間に形成されたバッファ層である。
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記ドリフト層と上記バッファ層との界面に発生する応力を抑えて、上記ドリフト層と上記バッファ層との界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を抑制でき、順方向電圧の増大を抑制できる。
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、上記バッファ層は、超格子バッファ層である。
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記ドリフト層と上記超格子バッファ層との界面に発生する応力を抑えて、上記ドリフト層と上記超格子バッファ層との界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を抑制でき、順方向電圧の増大を抑制できる。
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、上記バッファ層がカソードであり、
さらに、上記ドリフト層の上に炭化けい素半導体で作製されたアノード層を有するダイオードである。
さらに、上記ドリフト層の上に炭化けい素半導体で作製されたアノード層を有するダイオードである。
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記バッファ層がカソードであるダイオードにおいて、上記ドリフト層とバッファ層との界面に発生する応力を抑えて、上記ドリフト層とバッファ層との界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を抑制でき、順方向電圧の増大を抑制できる。
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、上記基板がコレクタ層であり、
上記ドリフト層がベース層であり、
上記ベース層上に炭化けい素半導体で作製されたエミッタ層を有するIGBTである。
上記ドリフト層がベース層であり、
上記ベース層上に炭化けい素半導体で作製されたエミッタ層を有するIGBTである。
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記ドリフト層がベース層であるIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)において、上記ドリフト層とバッファ層との界面に発生する応力を抑えて、上記ドリフト層とバッファ層との界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を抑制でき、順方向電圧の増大を抑制できる。
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、上記炭化けい素半導体層がアノード層をなすダイオードである。
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記ドリフト層とアノード層との界面に発生する応力を抑えて、上記ドリフト層とアノード層との界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を抑制でき、順方向電圧の増大を抑制できる。
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、上記ドリフト層と上記炭化けい素半導体層がベース層を構成するゲートターンオフサイリスタである。
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記ゲートターンオフサイリスタにおいて、上記ベース層を構成する上記ドリフト層と上記炭化けい素半導体層との界面に発生する応力を抑えて、上記界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を抑制でき、順方向電圧の増大を抑制できる。
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、上記ドリフト層がベース層であり、
上記ドリフト層に隣接して作製された上記炭化けい素半導体層がエミッタ層であるIGBTである。
上記ドリフト層に隣接して作製された上記炭化けい素半導体層がエミッタ層であるIGBTである。
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記IGBTを構成するベース層とエミッタ層との界面に発生する応力を抑えて、上記界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を抑制でき、順方向電圧の増大を抑制できる。
また、一実施形態のバイポーラ半導体素子では、炭化けい素半導体で形成したコレクタ層を備え、
上記ドリフト層がベース層であり、
上記ドリフト層に隣接して作製された炭化けい素半導体層は、上記ドリフト層と上記コレクタ層との間に形成されたバッファ層であるIGBTであり、
少なくとも上記コレクタ層,上記バッファ層,上記ドリフト層を炭化けい素半導体で作製された基板上に形成してから上記基板を除去した。
上記ドリフト層がベース層であり、
上記ドリフト層に隣接して作製された炭化けい素半導体層は、上記ドリフト層と上記コレクタ層との間に形成されたバッファ層であるIGBTであり、
少なくとも上記コレクタ層,上記バッファ層,上記ドリフト層を炭化けい素半導体で作製された基板上に形成してから上記基板を除去した。
この実施形態のバイポーラ半導体素子によれば、上記IGBTを構成するベース層とバッファ層との界面に発生する応力を抑えて、上記界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を抑制でき、順方向電圧の増大を抑制できる。また、上記基板が除去されているから、順方向通電時に少数キャリアが基板に到達することで基板に含まれる基底面転位が積層欠陥へ拡大するという現象をなくすることができる。したがって、この発明のバイポーラ半導体素子によれば、高温や電流密度が高い条件下でも順方向電圧の増大を防ぐことができる。
この発明のバイポーラ半導体素子によれば、ドリフト層の厚さが厚い領域程、上記ドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層の不純物濃度の上限値を低く抑えることにより、上記ドリフト層と上記隣接する炭化けい素半導体層との界面に発生する応力を抑えて、上記ドリフト層と上記炭化けい素半導体層との界面でのキャリアライフタイムキラー転位の発生を抑制でき、順方向電圧を低減できる。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1に、この発明のバイポーラ半導体素子の第1実施形態としてのpn接合ダイオード(pinダイオード)20の断面図である。この第1実施形態では、第1の導電型としてのn型の4H型SiCで作製した基板21の上に、以下に説明する半導体層を形成する。なお、4H型の「H」は六方晶を表し、4H型の「4」は原子積層が4層周期となる結晶構造を表している。
図1に、この発明のバイポーラ半導体素子の第1実施形態としてのpn接合ダイオード(pinダイオード)20の断面図である。この第1実施形態では、第1の導電型としてのn型の4H型SiCで作製した基板21の上に、以下に説明する半導体層を形成する。なお、4H型の「H」は六方晶を表し、4H型の「4」は原子積層が4層周期となる結晶構造を表している。
上記n型の4H型SiC基板21上に、順次、n型4H−SiC、p型(第2の導電型)4H−SiCをエピタキシャル成長させて、後述するように、エピタキシャルpinダイオード20を作製する。
図1に示すn型の4H型SiC基板21は、改良レーリー法によって成長させたインゴットをオフ角θを8度にしてスライスし、鏡面研磨することによって作製した。ホール効果測定法によって求めたSiC基板21のキャリヤ密度は8×1018cm−3、厚さは400μmである。
カソードとなる基板21のC面(カーボン面)に、CVD法によって窒素ドープn型SiC層(n型成長層)とアルミニウムドープp型SiC層(p型成長層)を順次エピタキシャル成長で形成する。上記窒素ドープn型SiC層であるn型成長層が、図1に示すn型のバッファ層22とn型のドリフト層23となる。また、バッファ層22はドナー密度4×1017cm−3、膜厚は10μmである。また、ドリフト層23はドナー密度約1×1014cm−3、膜厚は300μmである。
一方、上記アルミニウムドープp型SiC層であるp型成長層が、アノードとなるp型接合層24とp+型コンタクト層25となる。このp型接合層24はアクセプタ密度5×1017cm−3、膜厚は1.5μmである。また、p+型コンタクト層25はアクセプタ密度約1×1018cm−3、膜厚は0.5μmである。
この実施形態のpinダイオード20は、上記SiC基板21の上に、n型バッファ層22、n型ドリフト層23、p型接合層24およびp+型コンタクト層25を順次形成したものであるが、作製時の処理条件を以下により詳しく説明する。
先ず、この実施形態のpinダイオード20は、材料ガスとして、シラン(SiH4)およびプロパン(C3H8)を用いる。ドーパントガスとして窒素(N2)およびトリメチルアルミニウム(Al(CH3)3) を用いる。また、キャリアガスとして水素(H2)を用いる。各ガスの流量は、sccm(standard cc per minute)または、slm(standard liter minute)で表す。圧力は、kPa(kilo pascal)で表す。また、以下の説明において、各ガスの名称の後に付したかっこ内の数値は流量を表す。また、基板21の温度は1550℃に保たれており、処理チャンバー内の圧力は5.6kPaに保たれている。
カソードとなるn型4HSiC基板21のC面にバッファ層22を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(17sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は40分である。
また、ドリフト層23の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(0.004sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は1200分である。また、P型接合層24の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(15sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は6分である。また、p+型コンタクト層25の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(30sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は2分である。
上記の各形成工程の処理により、この第1実施形態のpinダイオード用のSiCエピタキシャルウェーハを作製できる。
一方、この第1実施形態のエピタキシャルpinダイオード20用のSiCエピタキシャルウェーハに対する比較例としてのpinダイオード用のSiCエピタキシャルウェーハを作製した。この比較例のpinダイオード用のSiCエピタキシャルウェーハは、n型4H型SiC基板21上に、ドナー密度4×1017cm−3、膜厚10μmのn型バッファ層22に替えて、ドナー密度10×1017cm−3、膜厚10μmのn型バッファ層を形成した点だけが上記第1実施形態と相違する。よって、ここでは、上記比較用のpinダイオード用のSiCエピタキシャルウェーハを作製するときの処理条件として、SiC基板上にバッファ層を形成する工程だけを説明する。
まず、基板の温度は1550℃に保たれており、処理チャンバー内の圧力は5.6kPaに保たれている。基板のC面にバッファ層を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(43sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は40分である。
次に、この第1実施形態となるSiCエピタキシャルウェーハと、比較用のSiCエピタキシャルウェーハとのそれぞれに、次に説明する加工を施すことによって、図1に示すこの実施形態のpinダイオード20および比較用pinダイオードを作製できる。
まず、反応性イオンエッチング(RIE)によりSiCエピタキシャルウエーハの両端部を除去してメサ構造に加工する。このRIEにおけるエッチングガスとしては、CF4(4弗化炭素)とO2を用いて、プラズマ処理装置により、圧力5Pa、高周波電力260Wの条件で深さ約2.5μmまでエッチングした。また、このときのマスク材料として、CVDによって堆積したSiO2膜(厚さ10μm)を用いた。
次に、エッチングにより形成したメサ底部での電界集中を緩和するために、メサ底部に幅250μm、深さ0.7μmのp型JTE(ジャンクション・ターミネーション・エクステンション)26を設けた。このp型JTE26は、Alイオン注入により形成した。このAlイオン注入のエネルギーは30〜450keVの間で6段階に変え、トータルドーズ量は1.2×1013cm−2である。また、このp型JTE26の形成時には、JTE26の注入層がボックスプロファイルとなるように設計した。イオン注入は全て室温で行い、イオン注入のマスクには、グラファイト(厚さ5μm)を用いた。注入イオンの活性化のための熱処理をアルゴンガス雰囲気中で1700℃、3分の条件で行った。アニールの後、温度1200℃、3時間のウェット酸化により保護膜としての熱酸化膜27を形成した。なお、図1において、30は、絶縁保護膜(もしくは酸化膜)である。
次に、基板21の下面に、Ni(厚さ350nm)を形成しカソード電極28とする。P+型コンタクト層25上に、Ti(チタン:厚さ350nm)とAl(アルミニウム:厚さ100nm)の膜をそれぞれを蒸着し、アノード電極29とする。アノード電極29は、Ti層29aとAl層29bから構成されている。最後に、1000℃で20分間の熱処理を行って、カソード電極28およびアノード電極29をそれぞれオーミック電極にする。pn接合のサイズは直径が2.6mmφでありほぼ円形である。なお、この実施形態ではアルミニウムイオン注入によってp型JTE26を形成したが、ボロン(B)のイオン注入を用いた場合でも同様の効果がある。
この第1実施形態のpinダイオード20の耐電圧は20kVであり、オン電圧は4.0Vである。このオン電圧(順方向電圧)は、電流密度100A/cm2での値で、初期状態で、上記のpinダイオード20の電流電圧特性をカーブトレーサで測定した。
一方、上記比較用pinダイオードについては、オン電圧は、20V程度であった。このオン電圧(順方向電圧)の測定条件は、上記第1実施形態に対して行ったのと同じ上述の条件とした。
次に、図7に、横軸にバッファ層の不純物濃度(cm−3)を取り、縦軸に上記測定における順方向電圧比とバッファ層不純物濃度との関係を示す。上記順方向電圧比とは、ドリフト層の各膜厚,バッファ層の各不純物濃度における順方向電圧Vをドリフト層の各膜厚における順方向電圧の最小値Vminで除算した値である。
図7に示す特性K4は、上記ドリフト層23の膜厚Ddが300μmである場合の特性を示している。この特性K4によれば、バッファ層22の不純物濃度Nbが5×1017cm−3以下では順方向電圧Vは順方向電圧の最小値Vminと殆ど同じ値である。これに対して、バッファ層22の不純物濃度Nbが5×1017(cm−3)を越えると、順方向電圧比が急増している。また、特性K3は、上記ドリフト層23の膜厚Ddが200μmである場合の特性を示しており、この特性K3によれば、バッファ層の不純物濃度が7×1017cm−3以下では順方向電圧比が殆ど1であるのに対して、バッファ層の不純物濃度が7×1017cm−3を越えると順方向電圧比が急増している。また、特性K2は、上記ドリフト層23の膜厚Ddが100μmである場合の特性を示しており、この特性K2によれば、バッファ層の不純物濃度が1×1018cm−3以下では順方向電圧比が殆ど1であるのに対して、バッファ層の不純物濃度が1×1018cm−3を越えると順方向電圧比が急増している。
したがって、上記ドリフト層の厚さを300μm以下かつ200μmを超える範囲に設定した場合に、上記バッファ層の不純物濃度を5×1017cm−3以下に設定することによって、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。
すなわち、この実施形態のように、ドリフト層23の膜厚が300μmである場合に、バッファ層22のドナー密度を4×1017cm−3にしたことで、順方向電圧を最小値まで低減できる。また、この実施形態では、バッファ層22のドナー密度を4×1017cm−3にして、上記ドリフト層23のドナー密度1×1014cm−3の100倍以上にした。このように、上記ドリフト層23の不純物濃度をバッファ層22の不純物濃度の100分の1以下にすることにより、空乏層をドリフト層23に隣接する炭化けい素半導体層であるバッファ層22に延ばさないようにすることができ、空乏層が基板まで達しないようにすることができて、耐圧喪失や破壊を回避できる。
また、この実施形態のように、ドリフト層23の膜厚が300μmである場合に、ドリフト層23のドナー密度を1×1014cm−3にすることで、図8に示すように、20kV以上の耐圧を確実に実現できる。図8は、縦軸にドリフト層の厚さ(μm)をとり、横軸にドリフト層の不純物濃度(cm−3)をとり、各耐電圧値を達成するためのドリフト層の厚さと不純物濃度との関係を示す特性図である。すなわち、図8の各特性S1,S2,S5,S10,S20,S30,S50,S100は、それぞれ、耐電圧値1kV,2kV,5kV,10kV,20kV,30kV,50kV,100kVを達成するためのドリフト層の厚さと不純物濃度との関係を示す特性図である。
一例として、耐電圧値20kVを達成するための曲線S20では、ドリフト層の不純物濃度が1011cm−3から1014cm−3にかけて、必要なドリフト層の厚さが200μm付近から100μmに向かって減少しているが、ドリフト層の不純物濃度が1014cm−3を超えると必要なドリフト層の厚さが200μmに向かって上昇している。曲線S20によれば、ドリフト層の不純物濃度を1014cm−3以下にすることで、ドリフト層の厚さDdが200μm<Dd≦300μmの範囲において耐電圧値20kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、図7の特性K3(Dd=200μm)と特性K2(Dd=100μm)を参照すれば、上記ドリフト層の厚さDdを200μm以下かつ100μmを超える範囲に設定した場合、上記バッファ層の不純物濃度を7×1017cm−3以下に設定することによって、順方向電圧比をほぼ1にでき、順方向電圧を最小値まで低減できることが分かる。また、この場合、図8の耐電圧値10kVを達成するための曲線S10を参照すれば、ドリフト層の不純物濃度の上限値を5×1014cm−3に設定することで、耐電圧値10kV以上を確実に達成できることが分かる。また、この場合も、ドリフト層の不純物濃度をバッファ層の不純物濃度の100分の1以下にすることにより、空乏層をドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層であるバッファ層に延ばさないようにすることができ、空乏層が基板まで達しないようにすることができて、耐圧喪失や破壊を回避できる。
また、図7の特性K2(Dd=100μm)と特性K1(Dd=50μm)を参照すれば、上記ドリフト層の厚さDdを100μm以下かつ50μmを超える範囲に設定した場合、上記バッファ層の不純物濃度を1×1018cm−3以下に設定することによって、順方向電圧を最小値まで低減できることが分かる。また、この場合、図8の耐電圧値5kVを達成するための曲線S5を参照すれば、ドリフト層の不純物濃度の上限値を1×1015cm−3に設定することで、耐電圧値5kV以上を確実に達成できることが分かる。また、この場合も、ドリフト層の不純物濃度をバッファ層の不純物濃度の100分の1以下にすることにより、空乏層をドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層であるバッファ層に延ばさないようにすることができ、空乏層が基板まで達しないようにすることができて、耐圧喪失や破壊を回避できる。
なお、上記実施形態では、バッファ層22の厚さを10μmとしたが、バッファ層22の厚さを10μm以上としてもよく、バッファ層22の厚さを10μm以下としてもよい。ただし、順方向電圧ドリフトを抑制するために、バッファ層22の厚さを2.5μm(少数キャリアの拡散距離)以上とすることが好ましい。
以上のように、ドリフト層23の膜厚の範囲(300μm以下200μm超),(200μm以下100μm超),(100μm以下50μm超)に応じて、バッファ層22の不純物濃度の上限値を5×1017cm−3,7×1017cm−3,10×1017cm−3に設定したことによって、順方向電圧を最小値まで低減できるSiC pinダイオードを実現できる。
尚、上記実施形態では、バッファ層22をドリフト層23に隣接する炭化けい素半導体層の一例としたが、本発明のドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層は、ドリフト層23に隣接するアノード層(p型接合層24,p+型コンタクト層25)としてもよい。また、上記バッファ層を超格子バッファ層としてもよい。この超格子バッファ層は、一例として、層厚0.1μmでドナー密度4×1017cm−3の窒素ドープn型SiC層と層厚0.1μmでドナー密度1×1014cm−3の窒素ドープn型SiC層とを交互に積層した層厚合計が1μmの超格子バッファ層としてもよい。
(第2の実施の形態)
次に、図2に、この発明のバイポーラ半導体素子の第2実施形態を示す。図2は、第2実施形態としてのnpnバイポーラトランジスタ50の断面図である。この第2実施形態でも、n型の4H型SiCの基板を採用している。このn型の4H型SiCの基板上に、n型4H−SiC、p型4H−SiC、n型4H−SiCの順番で連続的にエピタキシャル成長させ、npnバイポーラトランジスタ50を作製した。
次に、図2に、この発明のバイポーラ半導体素子の第2実施形態を示す。図2は、第2実施形態としてのnpnバイポーラトランジスタ50の断面図である。この第2実施形態でも、n型の4H型SiCの基板を採用している。このn型の4H型SiCの基板上に、n型4H−SiC、p型4H−SiC、n型4H−SiCの順番で連続的にエピタキシャル成長させ、npnバイポーラトランジスタ50を作製した。
この第2実施形態のnpnパイポーラトランジスタは、n型の4H型SiCを用いた基板の(000−1)カーボン面上に、n型4H−SiC、p型4H−SiC、n型4H−SiCの順番で連続的にエピタキシャル成長させ、npnバイポーラトランジスタ50を作製した。
n型の4H型SiCの基板51は、改良レーリー法によって成長したインゴットをオフ角θが8度となるようにスライスし、鏡面研磨することによって作製した。コレクタとなる基板51はn型であり、ホール効果測定法によって測定したキャリヤ密度は8×1018cm−3、厚さは400μmである。この基板51のC面上に、CVD法によって窒素ドープn型SiC層のバッファ層52とドリフト層53を成膜する。
このドリフト層53の上にアルミドープp型SiCのp型成長層54、および窒素ドープn型SiC層のn型成長層55を順番にエピタキシャル成長法で成膜した。バッファ層52とドリフト層53がn型コレクタ層になる。
上記バッファ層52はドナー密度4×1017cm−3、膜厚は10μmである。また、ドリフト層53はドナー密度約1×1014cm−3、膜厚は300μmである。また、p型ベース層となるp型成長層54はアクセプタ密度2×1017cm−3、膜厚は1μmである。n型成長層55はドナー密度約7×1017cm−3、膜厚は0.75μmである。
次に、この実施形態のnpnバイポーラトランジスタ50を作製するときの処理条件を説明する。材料ガスとして、シラン(SiH4)およびプロパン(C3H8)を用いる。ドーパントガスとして窒素(N2)およびトリメチルアルミニウム{Al(CH3)3}を用いる。また、キャリアガスとして水素(H2)を用いる。基板の温度は1550℃に保たれており、処理チャンバー内の圧力は5.6kPaに保たれている。各ガスの流量は、sccm(standard cc per minute)または、slm(standard liter minute)で表す。また、圧力は、kPa(kilo pascal)で表す。そして、以下の説明において、各ガスの名称の後に付したかっこ内の数値は流量を表す。
コレクタとなるn型4HSiC基板51のC面上にバッファ層52を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(17sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は40分である。また、ドリフト層53を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(0.004sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は1200分である。
また、P型成長層54の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(6sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は4分である。また、n型成長層55の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(30sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は3分である。上記の各工程の処理により、この第2実施形態のnpnバイポーラトランジスタ用のSiCエピタキシャルウェーハができる。
一方、この第2実施形態のnpnバイポーラトランジスタ50用のSiCエピタキシャルウェーハに対する比較例としてのnpnバイポーラトランジスタ用のSiCエピタキシャルウェーハを作製した。この比較例のnpnバイポーラトランジスタ用のSiCエピタキシャルウェーハは、n型4H型SiC基板51上にドナー密度4×1017cm−3、膜厚10μmのn型バッファ層52に替えてドナー密度10×1017cm−3、膜厚10μmのn型バッファ層を形成した点だけが上記第2実施形態と相違する。よって、ここでは、上記比較用のnpnバイポーラトランジスタ用のSiCエピタキシャルウェーハを作製するときの処理条件として、SiC基板上にバッファ層を形成する工程だけを説明する。
まず、基板の温度は1550℃に保たれており、処理チャンバー内の圧力は5.6kPaに保たれている。基板のC面にバッファ層を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(43sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は40分である。
そして、この第2実施形態および比較用のSiCエピタキシャルウエーハに以下に説明する加工を施すことにより図2に示す第2実施形態のnpnバイポーラトランジスタ50および比較例を作製できる。
まず、反応性イオンエッチング(RIE)によりn型成長層55を幅10μm、深さ0.75μm、ピッチ23μmでエッチングし、エミッタとなるn型成長層55を残す。このRIEのエッチングガスとしては、CF4とO2を用い、圧力は0.05Torr、高周波電力260Wの条件でエッチングした。また、このときのマスク材料として、CVDによって堆積したSiO2膜(厚さ10μm)を用いた。
次に、ベース領域において素子分離を行うために、反応性イオンエッチング(RIE)によりメサ構造にする。このRIEのエッチングガスにはCF4とO2を用い、圧力は0.05Torr、高周波電力260Wの条件で深さ約1μmまでエッチングした。このときのマスク材料として、CVDによって堆積したSiO2膜(厚さ10μm)を用いた。
次に、ベース領域において素子分離を行うために、反応性イオンエッチング(RIE)によりメサ構造にする。このRIEのエッチングガスにはCF4とO2を用い、圧力は0.05Torr、高周波電力260Wの条件で深さ約1μmまでエッチングした。このときのマスク材料として、CVDによって堆積したSiO2膜(厚さ10μm)を用いた。
この第2実施形態では、ベース端部での電界集中を緩和するためのガードリング56と、ベースのコンタクト領域57を同一プロセスのAl(アルミニウム)イオン注入によって形成した。ベースのコンタクト領域57は幅3μmでエミッタとの間隔は5μmであり、p型ガードリング56の幅は150μmである。コンタクト領域57,p型ガードリング56の深さは共に0.5μmである。
p型ガードリング56、ベースのコンタクト領域57を形成する時のAlイオン注入のエネルギーは40〜560keVであり、トータルドーズ量は1.0×1013cm−2である。このイオン注入のマスクとしては、CVDにより形成したSiO2膜(厚さ5μm)を用いた。また、イオン注入はすべて室温で行い、注入イオン活性化のための熱処理はアルゴンガス雰囲気中の温度1600℃、時間5分の条件で行った。
次に、アニールの後、温度1150℃で2時間のウェット酸化によって熱酸化膜を形成し、さらにCVDによってSiO2膜を堆積させ、合計2μmの酸化膜58を形成した。
次に、SiC基板51の下面にコレクタ電極59Cを形成する。また、ベースのコンタクト領域57にベース電極59Bを形成する。また、エミッタ領域55にNiを蒸着してエミッタ電極69を形成する。次に、1000℃、20分間の熱処理を行ってそれぞれオーミック接合を形成した。
最後に、ベース電極59Bおよびエミッタ電極69をTi/Au電極70で覆って各電極端子を形成した。接合部の大きさは3.2mm×3.2mmである。なお、この第2実施形態では、Alイオン注入によってガードリング56を形成したが、B(硼素)イオン注入を用いた場合でも同様の効果がある。
また、npnバイポーラトランジスタ50においては、基板51、バッファ層52、ドリフト層53、p型成長層54及びn型成長層55のそれぞれの接合面(図中水平方向に広がる面)は、すべて(000−1)カーボン面2から8度のオフ角をもつ面2aに平行になっている。
こうして作製したnpnバイポーラトランジスタ50の耐圧は30kVである。オン抵抗は10.0mΩcm2であり、最大電流増幅率は約15であった。 このオン抵抗は、ベース電流0.6A、コレクタ電流密度100A/cm2での初期状態での値である。
一方、この第2実施形態の比較例(n型バッファ層のドナー密度10×1017cm−3)のnpnバイポーラトランジスタの室温でのオン抵抗は、50mΩ/cm2であり、最大電流増幅率は5であった。このオン抵抗は、ベース電流0.6A、コレクタ電流密度100A/cm2での初期状態での値である。
また、この第2実施形態でも、前述の第1実施形態で説明した図7と同様のバッファ層不純物濃度と順方向電圧比との関係がある。また、この第2実施形態でも、前述の第1実施形態で説明した図8と同様の各耐電圧値を達成するためのドリフト層の厚さと不純物濃度との関係がある。
したがって、上記ドリフト層53の厚さを300μm以下かつ200μmを超える範囲に設定した場合に、上記バッファ層52の不純物濃度を5×1017cm−3以下に設定することによって、順方向電圧比を殆ど1にできる。すなわち、この実施形態のように、ドリフト層53の膜厚が300μmである場合に、バッファ層52のドナー密度を4×1017cm−3にしたことで、順方向電圧を最小の値まで低減できる。また、この実施形態では、バッファ層52のドナー密度を4×1017cm−3にして、上記ドリフト層53のドナー密度1×1014cm−3の100倍以上にした。このように、上記ドリフト層53の不純物濃度をバッファ層52の不純物濃度の100分の1以下にすることにより、空乏層をドリフト層53に隣接する炭化けい素半導体層であるバッファ層52に延ばさないようにすることができ、空乏層が基板まで達しないようにすることができて、耐圧喪失や破壊を回避できる。
また、この第2実施形態のように、ドリフト層53の膜厚が300μmである場合に、ドリフト層53のドナー密度を1×1014cm−3にすることで、図8に示すように、30kVの耐圧を確実に実現できる。
また、この第2実施形態でも、前述の第1実施形態で述べたのと同様に、ドリフト層53の膜厚の範囲を300μm以下200μm超とした場合にバッファ層52の不純物濃度の上限値を5×1017cm−3にすることによって、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。また、図8の曲線S20によれば、ドリフト層の不純物濃度を1014cm−3以下にすることで、ドリフト層の厚さDdが200μm<Dd≦300μmの範囲において耐電圧値20kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、ドリフト層53の膜厚の範囲を200μm以下100μm超とした場合にバッファ層52の不純物濃度の上限値を7×1017cm−3にすることによって、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。また、この場合、図8の耐電圧値10kVを達成するための曲線S10を参照すれば、ドリフト層の不純物濃度の上限値を5×1014cm−3に設定することで、耐電圧値10kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、ドリフト層53の膜厚の範囲を100μm以下50μm超とした場合にバッファ層52の不純物濃度の上限値を10×1017cm−3にすることによって、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。また、この場合、図8の耐電圧値5kVを達成するための曲線S5を参照すれば、ドリフト層の不純物濃度の上限値を1×1015cm−3に設定することで、耐電圧値5kV以上を確実に達成できることが分かる。
なお、上記実施形態では、バッファ層52の厚さを10μmとしたが、バッファ層52の厚さを10μm以上としてもよく、バッファ層52の厚さを10μm以下としてもよい。ただし、順方向電圧ドリフトを抑制するために、バッファ層52の厚さを2.5μm(少数キャリアの拡散距離)以上とすることが好ましい。また、上記実施形態において、バッファ層52を超格子バッファ層としてもよい。この超格子バッファ層は、一例として、前述の第1実施形態で述べたようなものを採用できる。
(第3の実施の形態)
次に、図3に、この発明のバイポーラ半導体素子の第3実施形態としてのIGBT(インシュレーテッド・ゲート・バイポーラトランジスタ)80の断面を示す。
次に、図3に、この発明のバイポーラ半導体素子の第3実施形態としてのIGBT(インシュレーテッド・ゲート・バイポーラトランジスタ)80の断面を示す。
このIGBT80は、n型の6H型SiCによる基板71上に、膜厚の時間(h)当たりの増加速度が15μm/hで、p型6H−SiC層、n型6H−SiC層、p型6H−SiC層の順番で3つの層をエピタキシャル成長させ、以下に詳しく説明するようにして、IGBT80を作製した。このIGBT80では、p層とn層の主たる接合面(図において紙面に垂直な方向に広がる面)は、{0001}面となっている。
次に、このIGBT80の作製方法を説明する。すなわち、面方位が、(000−1)カーボン面から3.5度のオフ角θの面をもつn型の6H型SiCを用いた基板上に、15μm/hの成膜速度で、p型6H−SiC層、n型6H−SiC層、p型6H−SiC層を順次形成する。
上記SiC基板71は、改良レーリー法によって成長したインゴットを(000−1)カーボン面から3.5度傾いた面でスライスし、鏡面研磨することによって作製した。コレクタとなる基板71はn型で、厚さは400μm、ホール効果測定法によって求めたキャリヤ密度は5×1018cm−3である。
このSiC基板71上に、CVD法によって、アルミニウムドープp型SiC層、窒素ドープn型SiC層、アルミニウムドープp型SiC層の三層を連続的にエピタキシャル成長した。このp型SiC層は、図3のバッファ層72とドリフト層73となる。上記バッファ層72はアクセプタ密度が4×1017cm−3、膜厚は10μmである。また、ドリフト層73はアクセプタ密度が約1×1014cm−3、膜厚は300μmである。また、ドリフト層73の上に形成されるn型成長層74はドナー密度2×1017cm−3、膜厚は2μmである。このn型成長層74の上に形成されるp型成長層75はアクセプタ密度が約1×1018cm−3、膜厚は0.75μmである。
次に、このIGBT80を作製するときの処理条件を説明する。
まず、材料ガスとして、シラン(SiH4)およびプロパン(C3H8)を用いる。また、ドーパントガスとして窒素(N2)およびトリメチルアルミニウム{Al(CH3)3}を用いる。また、キャリアガスとして水素(H2)を用いる。ここで、各ガスの流量は、sccm(standard cc per minute)または、slm(standard liter minute)で表す。また、圧力は、kPa(kilo pascal)で表す。また、以下の説明において、各ガスの名称の後に付したかっこ内の数値は流量を表す。
n型SiC基板71の温度は1550℃に保たれており、処理チャンバー内の圧力は5.6kPaに保たれている。このn型SiC基板71のC面上に、p型SiCバッファ層72を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(12sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は40分である。
次に、p型SiCドリフト層73の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(0.003sccm)及び水素(10slm)を供給する。処理時間は1200分である。
次に、n型成長層74の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(9sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は8分である。また、p型成長層75の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(30sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は3分である。上記の各工程での処理により、このIGBT80用のSiCエピタキシャルウェーハができる。
一方、この第3実施形態のIGBT80用のSiCエピタキシャルウェーハに対する比較例としてのIGBT用のSiCエピタキシャルウェーハを作製した。この比較例のIGBT用のSiCエピタキシャルウェーハは、アクセプタ密度4×1017cm−3、膜厚10μmのp型バッファ層72に替えてアクセプタ密度10×1017cm−3、膜厚10μmのp型バッファ層を形成した点だけが上記第3実施形態と相違する。よって、ここでは、上記比較用のIGBT用のSiCエピタキシャルウェーハを作製するときの処理条件として、SiC基板上にバッファ層を形成する工程だけを説明する。
まず、基板の温度は1550℃に保たれており、処理チャンバー内の圧力は5.6kPaに保たれている。基板のC面にバッファ層を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(30sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は40分である。
次に、上記第3実施形態用および比較用のSiCエピタキシャルウェーハに、次に説明する加工を施すことによって、図3に示すIGBT80および比較例のIGBTを作製できる。
まず、フォトリソグラフ法を用いて、p+成長層75の中央部をRIEでエッチングして、孔76aを設け、窒素をイオン注入することにより、エミッタとなるコンタクト領域76を形成する。次に、ゲート領域を形成するために、RIEによりp+成長層75とn+成長層74をエッチングして孔78a(図3では2つ)をあける。次に、孔78aの壁面にMOS構造を形成するために、CVDによりSiO2膜を堆積させ、絶縁膜77を形成する。次に、n型SiC基板71のコレクタ領域にNiを蒸着してコレクタ端子79Cとする。また、コンタクト領域76にエミッタ電極79を蒸着する。次に、熱処理を行って、それぞれオーミック接合を形成する。さらに、絶縁膜77の上にMo電極を形成しゲート電極78とする。
こうして完成した本実施形態のIGBT80の耐電圧は、30kV、オン抵抗は15.0mΩcm2であり、コレクタ‐エミッタ間電圧は−15Vである。このコレクタ‐エミッタ間電圧は、ゲート電圧が−40V、コレクタ電流が1.4Aでの初期状態での値である。
一方、比較例のIGBTでは、耐電圧は、30kV、オン抵抗は50mΩcm2であり、コレクタ‐エミッタ間電圧は−30Vである。このコレクタ‐エミッタ間電圧は、ゲート電圧が−40V、コレクタ電流が1.4Aでの初期状態での値である。
また、この第3実施形態でも、前述の第1実施形態で説明した図5と同様のバッファ層不純物濃度と順方向電圧比との関係がある。また、この第3実施形態でも、前述の第1実施形態で説明した図6と同様の各耐電圧値を達成するためのドリフト層の厚さと不純物濃度との関係がある。
したがって、上記ドリフト層73の厚さを300μm以下かつ200μmを超える範囲に設定した場合に、上記バッファ層72の不純物濃度を5×1017cm−3以下に設定することによって、順方向電圧比を殆ど1にできる。すなわち、この実施形態のように、ドリフト層73の膜厚が300μmである場合に、バッファ層72のアクセプタ密度を4×1017cm−3にしたことで、順方向電圧を最小の値まで低減できる。また、この実施形態では、バッファ層72のアクセプタ密度を4×1017cm−3にして、上記ドリフト層73のアクセプタ密度1×1014cm−3の100倍以上にした。このように、上記ドリフト層73の不純物濃度をバッファ層72の不純物濃度の100分の1以下にすることにより、空乏層をドリフト層73に隣接する炭化けい素半導体層であるバッファ層72に延ばさないようにすることができ、空乏層が基板まで達しないようにすることができて、耐圧喪失や破壊を回避できる。
また、この第3実施形態のように、ドリフト層73の膜厚が300μmである場合に、ドリフト層73の不純物密度を1×1014cm−3にすることで、図8に示すように、30kVの耐圧を確実に実現できる。
また、この第3実施形態でも、前述の第1実施形態で述べたのと同様に、ドリフト層73の膜厚の範囲を300μm以下200μm超とした場合にバッファ層72の不純物濃度の上限値を5×1017cm−3にすることによって、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。また、図8の曲線S20によれば、ドリフト層の不純物濃度を1014cm−3以下にすることで、ドリフト層の厚さDdが200μm<Dd≦300μmの範囲において耐電圧値20kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、ドリフト層73の膜厚の範囲を200μm以下100μm超とした場合にバッファ層72の不純物濃度の上限値を7×1017cm−3にすることによって、順方向電圧の増大を防止できる。また、この場合、図8の耐電圧値10kVを達成するための曲線S10を参照すれば、ドリフト層の不純物濃度の上限値を5×1014cm−3に設定することで、耐電圧値10kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、ドリフト層73の膜厚の範囲を100μm以下50μm超とした場合にバッファ層72の不純物濃度の上限値を10×1017cm−3にすることによって、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。また、この場合、図8の耐電圧値5kVを達成するための曲線S5を参照すれば、ドリフト層の不純物濃度の上限値を1×1015cm−3に設定することで、耐電圧値5kV以上を確実に達成できることが分かる。
なお、上記実施形態では、バッファ層72の厚さを10μmとしたが、バッファ層72の厚さを10μm以上としてもよく、バッファ層72の厚さを10μm以下としてもよい。ただし、順方向電圧ドリフトを抑制するために、バッファ層72の厚さを2.5μm(少数キャリアの拡散距離)以上とすることが好ましい。
また、上記実施形態では、バッファ層72をドリフト層73に隣接する炭化けい素半導体層の一例としたが、ドリフト層73に隣接するエミッタ層(n型成長層74)を本発明のドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層としてもよい。また、上記バッファ層を超格子バッファ層としてもよい。この超格子バッファ層は、一例として、前述の第1実施形態で述べたようなものを採用できる。
(第4の実施の形態)
次に、図4に、この発明のバイポーラ半導体素子の第4実施形態としてのGTO(ゲート・ターンオフ・バイポーラトランジスタ)の断面を示す。この第4実施形態は、n型SiC基板91と、このn型SiC基板91上に順に形成されたp型SiCバッファ層92と、p型SiCドリフト層93と、n型SiCベース層94が形成されている。このn型SiCベース層94上にメサ型のp型アノードエミッタ層95が形成されている。さらに、このメサ型のp型アノードエミッタ層95から露出したn型ベース層94の部分にn型のゲートコンタクト領域96がイオン注入により形成されている。このn型のゲートコンタクト領域96はメサ型のアノードエミッタ層95を取り囲むように形成されている。このn型のゲートコンタクト領域96上にゲート電極100が形成される。また、上記アノードエミッタ層95上にアノード電極98が形成される。
次に、図4に、この発明のバイポーラ半導体素子の第4実施形態としてのGTO(ゲート・ターンオフ・バイポーラトランジスタ)の断面を示す。この第4実施形態は、n型SiC基板91と、このn型SiC基板91上に順に形成されたp型SiCバッファ層92と、p型SiCドリフト層93と、n型SiCベース層94が形成されている。このn型SiCベース層94上にメサ型のp型アノードエミッタ層95が形成されている。さらに、このメサ型のp型アノードエミッタ層95から露出したn型ベース層94の部分にn型のゲートコンタクト領域96がイオン注入により形成されている。このn型のゲートコンタクト領域96はメサ型のアノードエミッタ層95を取り囲むように形成されている。このn型のゲートコンタクト領域96上にゲート電極100が形成される。また、上記アノードエミッタ層95上にアノード電極98が形成される。
上記n型SiC基板91は、厚さが200μmでドナー密度が8×1018cm−3のSiC半導体層で構成され、上記p型SiCバッファ層92は、厚さが10μmでアクセプタ密度が6×1017cm−3のSiC半導体層で構成されている。また、上記p型SiCドリフト層93は、厚さが200μmでアクセプタ密度が1×1014cm−3のSiC半導体層で構成されている。また、上記n型SiCベース層94は、厚さが10μmでドナー密度が1×1017cm−3のSiC半導体層で構成されている。
また、上記n型のゲートコンタクト領域96は、厚さが3μmでドナー密度が1×1018cm−3のSiC半導体層で構成されている。また、上記p型SiCアノードエミッタ層95は、厚さが10μmでアクセプタ密度が8×1018cm−3のSiC半導体層で構成されている。
この第4実施形態でも、前述の第1実施形態で説明した図7と同様のバッファ層不純物濃度と順方向電圧比との関係がある。また、この第4実施形態でも、前述の第1実施形態で説明した図8と同様の各耐電圧値を達成するためのドリフト層の厚さと不純物濃度との関係がある。
したがって、上記ドリフト層93の厚さを200μm以下かつ100μmを超える範囲に設定した場合に、上記バッファ層92の不純物濃度を7×1017cm−3以下に設定することによって、順方向電圧比を殆ど1にできる。すなわち、この実施形態のように、ドリフト層93の膜厚が200μmである場合に、バッファ層92のアクセプタ密度を6×1017cm−3にしたことで、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。また、この実施形態では、バッファ層92のアクセプタ密度を1×1017cm−3にして、上記ドリフト層93のアクセプタ密度1×1014cm−3の100倍以上にした。このように、上記ドリフト層93の不純物濃度をバッファ層92の不純物濃度の100分の1以下にすることにより、空乏層をドリフト層93に隣接する炭化けい素半導体層であるバッファ層92に延ばさないようにすることができ、空乏層が基板まで達しないようにすることができて、耐圧喪失や破壊を回避できる。
また、この第4実施形態のように、ドリフト層93の膜厚が200μmである場合に、ドリフト層93のドナー密度を1×1014cm−3にすることで、図8に示すように、20kVの耐圧を確実に実現できる。
また、この第4実施形態でも、前述の第1実施形態で述べたのと同様に、ドリフト層93の膜厚の範囲を300μm以下200μm超とした場合にバッファ層92の不純物濃度の上限値を5×1017cm−3にすることによって、順方向電圧比を殆ど1にできる。また、図8の曲線S20によれば、ドリフト層の不純物濃度を1014cm−3以下にすることで、ドリフト層の厚さDdが200μm<Dd≦300μmの範囲において耐電圧値20kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、ドリフト層93の膜厚の範囲を200μm以下100μm超とした場合にバッファ層92の不純物濃度の上限値を7×1017cm−3にすることによって、順方向電圧比を殆ど1にできる。また、この場合、図8の耐電圧値10kVを達成するための曲線S10を参照すれば、ドリフト層の不純物濃度の上限値を5×1014cm−3に設定することで、耐電圧値10kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、ドリフト層93の膜厚の範囲を100μm以下50μm超とした場合にバッファ層92の不純物濃度の上限値を10×1017cm−3にすることによって、順方向電圧比を殆ど1にできる。また、この場合、図8の耐電圧値5kVを達成するための曲線S5を参照すれば、ドリフト層の不純物濃度の上限値を1×1015cm−3に設定することで、耐電圧値5kV以上を確実に達成できることが分かる。
なお、上記実施形態では、バッファ層92の厚さを10μmとしたが、バッファ層92の厚さを10μm以上としてもよく、バッファ層92の厚さを10μm以下としてもよい。ただし、順方向電圧ドリフトを抑制するために、バッファ層92の厚さを2.5μm(少数キャリアの拡散距離)以上とすることが好ましい。
また、上記実施形態では、バッファ層92をドリフト層93に隣接する炭化けい素半導体層の一例としたが、ドリフト層93に隣接するn型ベース層94を本発明のドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層としてもよい。また、上記バッファ層を超格子バッファ層としてもよい。この超格子バッファ層は、一例として、前述の第1実施形態で述べたようなものを採用できる。
(第5の実施の形態)
次に、図5に、この発明のバイポーラ半導体素子の第5実施形態としてのIGBT(インシュレーテッド・ゲート・バイポーラトランジスタ)200の断面を示す。
次に、図5に、この発明のバイポーラ半導体素子の第5実施形態としてのIGBT(インシュレーテッド・ゲート・バイポーラトランジスタ)200の断面を示す。
このIGBT200は、n型の6H型SiCによる基板201上に、膜厚の時間(h)当たりの増加速度が15μm/hで、n型6H−SiC層、p型6H−SiC層の順番でエピタキシャル成長させ、以下に詳しく説明するようにして、IGBT200を作製した。このIGBT200では、p層とn層の主たる接合面(図において紙面に垂直な方向に広がる面)は、{0001}面となっている。
次に、このIGBT200の作製方法を説明する。すなわち、面方位が、(000−1)カーボン面から3.5度のオフ角θの面をもつn型の6H型SiCを用いた基板上に、15μm/hの成膜速度で、n型6H−SiC層、p型6H−SiC層を順次形成する。
上記n型SiC基板201は、改良レーリー法によって成長したインゴットを(000−1)カーボン面から3.5度傾いた面でスライスし、鏡面研磨することによって作製した。コレクタとなる基板201はn型で、厚さは400μm、ホール効果測定法によって求めたキャリヤ密度は5×1018cm−3である。
このn型SiC基板201上に、CVD法によって、窒素ドープn型SiC層、アルミニウムドープp型SiC層、の二層を連続的にエピタキシャル成長した。このn型SiC層は、図5のn型バッファ層202となり、上記p型SiC層は図5のp型バッファ層203,p型ドリフト層204となる。
上記n型バッファ層202は、ドナー密度が4×1017cm−3で膜厚は10μmであり、上記p型バッファ層203はアクセプタ密度が4×1017cm−3で膜厚は10μmである。また、p型ドリフト層204はアクセプタ密度が約1×1014cm−3で膜厚は300μmである。また、p型ドリフト層204の上に形成されるn型成長層205はドナー密度2×1017cm−3で膜厚は2μmである。このn型成長層205の上に形成されるp型成長層206はアクセプタ密度が約1×1018cm−3で膜厚は1.5μmである。また、上記n型成長層205の上に形成されるn+型コンタクト領域207はドナー密度が約1×1018cm−3で膜厚は1.5μmである。
次に、このIGBT200を作製するときの処理条件を説明する。
まず、材料ガスとして、シラン(SiH4)およびプロパン(C3H8)を用いる。また、ドーパントガスとして窒素(N2)およびトリメチルアルミニウム{Al(CH3)3}を用いる。また、キャリアガスとして水素(H2)を用いる。ここで、各ガスの流量は、sccm(standard cc per minute)または、slm(standard liter minute)で表す。また、圧力は、kPa(kilo pascal)で表す。また、以下の説明において、各ガスの名称の後に付したかっこ内の数値は流量を表す。
n型SiC基板201の温度は1550℃に保たれており、処理チャンバー内の圧力は5.6kPaに保たれている。このn型SiC基板201のC面上に、n型SiCバッファ層202を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(18sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は40分である。
また、上記n型SiCバッファ層202上にp型SiCバッファ層203を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(12sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は40分である。
次に、p型SiCドリフト層204の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(0.003sccm)及び水素(10slm)を供給する。処理時間は1200分である。
次に、フォトリソグラフィーとエッチングによって上記p型SiCドリフト層204を部分的に除去したところに、上記n型成長層205をエピタキシャル成長させる。このn型成長層205の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(9sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は8分である。
次に、フォトリソグラフィーとエッチングによって上記n型成長層205を部分的に除去したところに、上記p+型成長層206をエピタキシャル成長させる。このp+型成長層206の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(30sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は6分である。
次に、窒素のイオン注入によって上記n型成長層205にn+コンタクト領域207を形成する。
次に、MOS構造を形成するために、上記p型ドリフト層204,n型成長層205,p+型成長層206上にCVDによりSiO2膜を堆積させ、絶縁膜208を形成する。次に、n型SiC基板201のコレクタ領域にNiを蒸着してコレクタ端子209とする。また、n+コンタクト領域207にエミッタ電極211を蒸着する。次に、熱処理を行って、コレクタ端子209,エミッタ電極211に、それぞれオーミック接合を形成する。さらに、絶縁膜208の上にMo電極を形成しゲート電極212とする。
こうして完成した本実施形態のIGBT200の耐電圧は、30kV、オン抵抗は15.0mΩcm2であり、コレクタ‐エミッタ間電圧は−15Vである。このコレクタ‐エミッタ間電圧は、ゲート電圧が−40V、コレクタ電流が1.4Aでの初期状態での値である。
また、この第5実施形態でも、前述の第1実施形態で説明した図7と同様のバッファ層不純物濃度と順方向電圧比との関係がある。また、この第5実施形態でも、前述の第1実施形態で説明した図8と同様の各耐電圧値を達成するためのドリフト層の厚さと不純物濃度との関係がある。
したがって、上記ドリフト層204の厚さを300μm以下かつ200μmを超える範囲に設定した場合に、上記バッファ層203の不純物濃度を5×1017cm−3以下に設定することによって、順方向電圧比を殆ど1にできる。すなわち、この実施形態のように、ドリフト層204の膜厚が300μmである場合に、バッファ層203のアクセプタ密度を4×1017cm−3にしたことで、順方向電圧を最小の値まで低減できる。また、この実施形態では、バッファ層203の不純物密度を4×1017cm−3にして、上記ドリフト層204のアクセプタ密度1×1014cm−3の100倍以上にした。このように、上記ドリフト層204の不純物濃度をバッファ層203の不純物濃度の100分の1以下にすることにより、空乏層をドリフト層204に隣接する炭化けい素半導体層であるバッファ層203に延ばさないようにすることができ、空乏層が基板201まで達しないようにすることができて、耐圧喪失や破壊を回避できる。
また、この第5実施形態のように、ドリフト層204の膜厚が300μmである場合に、ドリフト層204の不純物密度を1×1014cm−3にすることで、図8に示すように、30kVの耐圧を確実に実現できる。
また、この第5実施形態でも、前述の第1実施形態で述べたのと同様に、ドリフト層204の膜厚の範囲を300μm以下200μm超とした場合にバッファ層203の不純物濃度の上限値を5×1017cm−3にすることによって、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。また、図8の曲線S20によれば、ドリフト層204の不純物濃度を1014cm−3以下にすることで、ドリフト層の厚さDdが200μm<Dd≦300μmの範囲において耐電圧値20kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、ドリフト層204の膜厚の範囲を200μm以下100μm超とした場合にバッファ層203の不純物濃度の上限値を7×1017cm−3にすることによって、順方向電圧の増大を防止できる。また、この場合、図8の耐電圧値10kVを達成するための曲線S10を参照すれば、ドリフト層204の不純物濃度の上限値を5×1014cm−3に設定することで、耐電圧値10kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、ドリフト層204の膜厚の範囲を100μm以下50μm超とした場合にバッファ層203の不純物濃度の上限値を10×1017cm−3にすることによって、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。また、この場合、図8の耐電圧値5kVを達成するための曲線S5を参照すれば、ドリフト層の不純物濃度の上限値を1×1015cm−3に設定することで、耐電圧値5kV以上を確実に達成できることが分かる。
なお、上記実施形態では、バッファ層203の厚さを10μmとしたが、バッファ層203の厚さを10μm以上としてもよく、バッファ層202の厚さを10μm以下としてもよい。ただし、順方向電圧ドリフトを抑制するために、バッファ層203の厚さを2.5μm(少数キャリアの拡散距離)以上とすることが好ましい。
また、上記実施形態では、バッファ層203をドリフト層204に隣接する炭化けい素半導体層の一例としたが、ドリフト層204に隣接するエミッタ層(n型成長層205)を本発明のドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層としてもよい。また、上記バッファ層を超格子バッファ層としてもよい。この超格子バッファ層は、一例として、前述の第1実施形態で述べたようなものを採用できる。
(第6の実施の形態)
次に、図6に、この発明のバイポーラ半導体素子の第6実施形態としてのIGBT(インシュレーテッド・ゲート・バイポーラトランジスタ)300の断面を示す。
次に、図6に、この発明のバイポーラ半導体素子の第6実施形態としてのIGBT(インシュレーテッド・ゲート・バイポーラトランジスタ)300の断面を示す。
このIGBT300は、n型の6H型SiCによる基板301上に、膜厚の時間(h)当たりの増加速度が15μm/hで、p型6H−SiC層、n型6H−SiC層、p型6H−SiC層の順番で3つの層をエピタキシャル成長させ、以下に詳しく説明するようにして、IGBT300を作製した。このIGBT300では、p層とn層の主たる接合面(図において紙面に垂直な方向に広がる面)は、{0001}面となっている。
次に、このIGBT300の作製方法を説明する。すなわち、面方位が、(000−1)カーボン面から3.5度のオフ角θの面をもつn型の6H型SiCを用いた基板上に、15μm/hの成膜速度で、p型6H−SiC層、n型6H−SiC層、p型6H−SiC層を順次形成する。
上記SiC基板301は、改良レーリー法によって成長したインゴットを(000−1)カーボン面から3.5度傾いた面でスライスし、鏡面研磨することによって作製した。上記SiC基板301はn型で、厚さは400μm、ホール効果測定法によって求めたキャリヤ密度は5×1018cm−3である。
上記SiC基板301上に、CVD法によって、アルミニウムドープp型SiC層、窒素ドープn型SiC層、アルミニウムドープp型SiC層の三層を連続的にエピタキシャル成長した。上記二層のp型SiC層は、図6のp型不純物層302とp型成長層305となる。また、上記窒素ドープn型SiC層は、n型バッファ層303とn型ドリフト層304となる。
上記p型不純物層302はアクセプタ密度が4×1017cm−3、膜厚は10μmである。また、上記n型バッファ層303はドナー密度が4×1017cm−3、膜厚は10μmである。また、n型ドリフト層304はドナー密度が約1×1014cm−3、膜厚は300μmである。また、n型ドリフト層304の上に形成されるp型成長層305は、アクセプタ密度2×1017cm−3、膜厚は2μmである。このp型成長層305の上に形成されるn型成長層306はドナー密度が約1×1018cm−3、膜厚は1.5μmである。
次に、このIGBT300を作製するときの処理条件を説明する。
まず、材料ガスとして、シラン(SiH4)およびプロパン(C3H8)を用いる。また、ドーパントガスとして窒素(N2)およびトリメチルアルミニウム{Al(CH3)3}を用いる。また、キャリアガスとして水素(H2)を用いる。ここで、各ガスの流量は、sccm(standard cc per minute)または、slm(standard liter minute)で表す。また、圧力は、kPa(kilo pascal)で表す。また、以下の説明において、各ガスの名称の後に付したかっこ内の数値は流量を表す。
n型SiC基板301の温度は1550℃に保たれており、処理チャンバー内の圧力は5.6kPaに保たれている。このn型SiC基板301のC面上に、SiCp型不純物層302を形成する工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(12sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は40分である。
次に、n型バッファ層303の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(18sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は40分である。
次に、n型SiCドリフト層304の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(0.0045sccm)及び水素(10slm)を供給する。処理時間は1200分である。
次に、フォトリソグラフィーとエッチングによって上記p型ドリフト層304を部分的に除去したところに、上記p型成長層305をエピタキシャル成長させる。このp型成長層305の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、トリメチルアルミニウム(6sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は8分である。
次に、フォトリソグラフィーとエッチングによって上記p型成長層305を部分的に除去したところに、上記n型成長層306をエピタキシャル成長させる。このn型成長層306の形成工程では、シラン(30sccm)、プロパン(12sccm)、窒素(45sccm)および水素(10slm)を供給する。この工程の処理時間は6分である。
次に、トリメチルアルミニウムのイオン注入によって上記p型成長層305にp+コンタクト領域307を形成する。
次に、上記n型SiC基板301の全ての部分を、CMP(化学的機械的研磨)にて除去した。なお、上記ドリフト層23の形成工程の後であると共に上記p+コンタクト領域307の形成工程の前に、上記n型SiC基板301の全ての部分をCMP(化学的機械的研磨)にて除去してもよい。
次に、MOS構造を形成するために、上記n型ドリフト層304,p型成長層305,n+型成長層306上にCVDによりSiO2膜を堆積させ、絶縁膜308を形成する。次に、p型不純物層302のコレクタ領域にNiを蒸着してコレクタ端子309とする。また、p+コンタクト領域307にエミッタ電極311を蒸着する。次に、熱処理を行って、コレクタ端子309,エミッタ電極311に、それぞれオーミック接合を形成する。さらに、絶縁膜308の上にMo電極を形成しゲート電極312とする。
こうして完成した本実施形態のIGBT300の耐電圧は、30kV、オン抵抗は15.0mΩcm2であり、コレクタ‐エミッタ間電圧は−15Vである。このコレクタ‐エミッタ間電圧は、ゲート電圧が−40V、コレクタ電流が1.4Aでの初期状態での値である。
また、この第6実施形態でも、前述の第1実施形態で説明した図7と同様のバッファ層不純物濃度と順方向電圧比との関係がある。また、この第6実施形態でも、前述の第1実施形態で説明した図8と同様の各耐電圧値を達成するためのドリフト層の厚さと不純物濃度との関係がある。
したがって、上記ドリフト層304の厚さを300μm以下かつ200μmを超える範囲に設定した場合に、上記バッファ層303の不純物濃度を5×1017cm−3以下に設定することによって、順方向電圧比を殆ど1にできる。すなわち、この実施形態のように、ドリフト層304の膜厚が300μmである場合に、バッファ層303のドナー密度を4×1017cm−3にしたことで、順方向電圧を最小の値まで低減できる。また、この実施形態では、バッファ層303の不純物密度を4×1017cm−3にして、上記ドリフト層304のドナー密度1×1014cm−3の100倍以上にした。このように、上記ドリフト層304の不純物濃度をバッファ層303の不純物濃度の100分の1以下にすることにより、空乏層をドリフト層304に隣接する炭化けい素半導体層であるバッファ層303に延ばさないようにすることができ、空乏層がp型不純物層302まで達しないようにすることができて、耐圧喪失や破壊を回避できる。
また、この第6実施形態のように、ドリフト層304の膜厚が300μmである場合に、ドリフト層304の不純物密度を1×1014cm−3にすることで、図8に示すように、30kVの耐圧を確実に実現できる。
また、この第6実施形態でも、前述の第1実施形態で述べたのと同様に、ドリフト層304の膜厚の範囲を300μm以下200μm超とした場合にバッファ層303の不純物濃度の上限値を5×1017cm−3にすることによって、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。また、図8の曲線S20によれば、ドリフト層304の不純物濃度を1014cm−3以下にすることで、ドリフト層の厚さDdが200μm<Dd≦300μmの範囲において耐電圧値20kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、ドリフト層304の膜厚の範囲を200μm以下100μm超とした場合にバッファ層303の不純物濃度の上限値を7×1017cm−3にすることによって、順方向電圧の増大を防止できる。また、この場合、図8の耐電圧値10kVを達成するための曲線S10を参照すれば、ドリフト層304の不純物濃度の上限値を5×1014cm−3に設定することで、耐電圧値10kV以上を確実に達成できることが分かる。
また、ドリフト層304の膜厚の範囲を100μm以下50μm超とした場合にバッファ層303の不純物濃度の上限値を10×1017cm−3にすることによって、順方向電圧を最小の値に抑えることができる。また、この場合、図8の耐電圧値5kVを達成するための曲線S5を参照すれば、ドリフト層の不純物濃度の上限値を1×1015cm−3に設定することで、耐電圧値5kV以上を確実に達成できることが分かる。
なお、上記実施形態では、バッファ層303の厚さを10μmとしたが、バッファ層303の厚さを10μm以上としてもよく、バッファ層303の厚さを10μm以下としてもよい。ただし、順方向電圧ドリフトを抑制するために、バッファ層303の厚さを2.5μm(少数キャリアの拡散距離)以上とすることが好ましい。
また、上記実施形態では、バッファ層303をドリフト層304に隣接する炭化けい素半導体層の一例としたが、ドリフト層304に隣接するエミッタ層(p型成長層305)を本発明のドリフト層に隣接する炭化けい素半導体層としてもよい。また、上記バッファ層を超格子バッファ層としてもよい。この超格子バッファ層は、一例として、前述の第1実施形態で述べたようなものを採用できる。
また、以上では、この発明のSiC バイポーラ半導体素子の実施形態として、SiC pinダイオード、npnバイポーラトランジスタ、およびIGBTを説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、SIAFET、SIJFET、サイリスタ、GTO、MCT(Mos Controlled Thyristor)、SiCGT(SiC Commutated Gate Thyristor)、EST(Emitter Switched Thyristor)、BRT(Base Resistance Controlled Thyristor)などの各種の4H−SiCバイポーラ半導体素子の作製にも応用可能である。当然ながら、反対極性の素子(例えばnpnトランジスタに対するpnpトランジスタ)などの各種の4H−SiCバイポーラ素子にも変形応用可能であり、6H−SiCなどの多の結晶構造を用いたSiCバイポーラ素子に適用できるものである。
この発明のSiC バイポーラ半導体素子は、高耐圧で順方向電圧が低いことから、通電損失を抑制でき、大電流での使用が可能となるので、一例として、家電分野、産業分野、電気自動車などの車両分野、送電などの電力系統分野等において、例えばインバータなどの電力制御装置等に組み込まれて使用される電力制御装置に適用すると、スイッチング損失を低減でき、大電流での使用が可能となると共に信頼性を向上できる。
20 pinダイオード
21 n型SiC基板
22 n型SiCバッファ層
23 n型SiCドリフト層
24 p型接合層
25 p+型コンタクト層
26 p型JTE
27 熱酸化膜
28 カソード電極
29 アノード電極
30 絶縁保護膜
50 npnバイポーラトランジスタ
51 n型SiC基板(コレクタ層)
52 n型SiCバッファ層(コレクタ層)
53 n型SiCドリフト層(コレクタ層)
54 p型成長層(ベース層)
55 n型成長層(エミッタ層)
56 p型ガードリング
57 コンタクト領域
58 酸化膜
59B ベース電極
69 エミッタ電極
70 IGBT
71 6H型SiC基板
72 p型SiCバッファ層
73 p型SiCドリフト層
74 n型成長層
75 p型成長層
76 コンタクト領域
77 絶縁膜
78 ゲート電極
79 エミッタ電極
90 GTO
91 n型SiC基板
92 n型SiCバッファ層
93 p型SiCドリフト層
94 n型ベース層
95 メサ型のアノードエミッタ層
96 n型ゲートコンタクト領域
98 アノード電極
99 カソード電極
100 ゲート電極
200 IGBT
201 n型SiC基板
202 n型SiCバッファ層
203 p型SiCバッファ層
204 p型SiCドリフト層
205 n型成長層
206 p型成長層
207 n型コンタクト層
208 絶縁膜
209 コレクタ電極
211 エミッタ電極
212 ゲート電極
300 IGBT
301 n型SiC基板
302 p型SiC不純物層
303 n型SiCバッファ層
304 n型SiCドリフト層
305 p型成長層
306 n型成長層
307 p型コンタクト層
308 絶縁膜
309 コレクタ電極
311 エミッタ電極
312 ゲート電極
21 n型SiC基板
22 n型SiCバッファ層
23 n型SiCドリフト層
24 p型接合層
25 p+型コンタクト層
26 p型JTE
27 熱酸化膜
28 カソード電極
29 アノード電極
30 絶縁保護膜
50 npnバイポーラトランジスタ
51 n型SiC基板(コレクタ層)
52 n型SiCバッファ層(コレクタ層)
53 n型SiCドリフト層(コレクタ層)
54 p型成長層(ベース層)
55 n型成長層(エミッタ層)
56 p型ガードリング
57 コンタクト領域
58 酸化膜
59B ベース電極
69 エミッタ電極
70 IGBT
71 6H型SiC基板
72 p型SiCバッファ層
73 p型SiCドリフト層
74 n型成長層
75 p型成長層
76 コンタクト領域
77 絶縁膜
78 ゲート電極
79 エミッタ電極
90 GTO
91 n型SiC基板
92 n型SiCバッファ層
93 p型SiCドリフト層
94 n型ベース層
95 メサ型のアノードエミッタ層
96 n型ゲートコンタクト領域
98 アノード電極
99 カソード電極
100 ゲート電極
200 IGBT
201 n型SiC基板
202 n型SiCバッファ層
203 p型SiCバッファ層
204 p型SiCドリフト層
205 n型成長層
206 p型成長層
207 n型コンタクト層
208 絶縁膜
209 コレクタ電極
211 エミッタ電極
212 ゲート電極
300 IGBT
301 n型SiC基板
302 p型SiC不純物層
303 n型SiCバッファ層
304 n型SiCドリフト層
305 p型成長層
306 n型成長層
307 p型コンタクト層
308 絶縁膜
309 コレクタ電極
311 エミッタ電極
312 ゲート電極
Claims (9)
- 炭化けい素半導体で作製されたドリフト層と、
上記ドリフト層に隣接して作製された炭化けい素半導体層とを備え、
上記ドリフト層の厚さを300μm以下かつ200μmを超える寸法にしたと共に上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を5×1017cm−3以下にした構成と、
上記ドリフト層の厚さを200μm以下かつ100μmを超える寸法にしたと共に上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を7×1017cm−3以下にした構成と、
上記ドリフト層の厚さが100μm以下かつ50μmを超える寸法にしたと共に上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を1×1018cm−3以下にした構成とのうちのいずれか1つの構成を有し、
さらに、上記炭化けい素半導体層の不純物濃度を上記ドリフト層の不純物濃度の100倍以上にしたことを特徴とするバイポーラ半導体素子。 - 請求項1に記載のバイポーラ半導体素子において、
炭化けい素半導体で作製された基板を備え、
上記炭化けい素半導体層は、
上記炭化けい素半導体で作製された基板と上記ドリフト層との間に形成されたバッファ層であることを特徴とするバイポーラ半導体素子。 - 請求項2に記載のバイポーラ半導体素子において、
上記バッファ層は、超格子バッファ層であることを特徴とするバイポーラ半導体素子。 - 請求項2または3に記載のバイポーラ半導体素子において、
上記バッファ層がカソードであり、
さらに、上記ドリフト層の上に炭化けい素半導体で作製されたアノード層を有するダイオードであることを特徴とするバイポーラ半導体素子。 - 請求項2または3に記載のバイポーラ半導体素子において、
上記基板がコレクタ層であり、
上記ドリフト層がベース層であり、
上記ベース層上に炭化けい素半導体で作製されたエミッタ層を有するIGBTであることを特徴とするバイポーラ半導体素子。 - 請求項1に記載のバイポーラ半導体素子において、
上記炭化けい素半導体層がアノード層をなすダイオードであることを特徴とするバイポーラ半導体素子。 - 請求項1に記載のバイポーラ半導体素子において、
上記ドリフト層と上記炭化けい素半導体層がベース層を構成するゲートターンオフサイリスタであることを特徴とするバイポーラ半導体素子。 - 請求項1に記載のバイポーラ半導体素子において、
上記ドリフト層がベース層であり、
上記ドリフト層に隣接して作製された上記炭化けい素半導体層がエミッタ層であるIGBTであることを特徴とするバイポーラ半導体素子。 - 請求項1に記載のバイポーラ半導体素子において、
炭化けい素半導体で形成したコレクタ層を備え、
上記ドリフト層がベース層であり、
上記ドリフト層に隣接して作製された炭化けい素半導体層は、上記ドリフト層と上記コレクタ層との間に形成されたバッファ層であるIGBTであり、
少なくとも上記コレクタ層,上記バッファ層,上記ドリフト層を炭化けい素半導体で作製された基板上に形成してから上記基板を除去したことを特徴とするバイポーラ半導体素子。
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- 2010-07-29 JP JP2010170617A patent/JP2012033618A/ja active Pending
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