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JP2012092961A5 - - Google Patents

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JP2012092961A5
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シングルレバー混合水栓
この発明は、固定弁体及び固定弁体上を摺動する可動弁体を備えたシングルレバー混合水栓に関し、詳しくは固定弁体の形態に特徴を有するシングルレバー混合水栓に関する。
従来、混合水栓として、水流入弁孔及び湯流入弁孔と混合水の流出弁孔とを備えた固定弁体と、水流入弁孔及び/又は湯流入弁孔と流出弁孔とを連通させる連通開口を備え、固定弁体上を摺動する可動弁体と、可動弁体を移動操作するレバーハンドルとを有し、レバーハンドルの上下方向の回動操作(起伏方向の回動操作)により弁開閉を行って吐止水と吐水の流量調節を行い、左右方向の回動操作(起伏方向と直角方向の回動操作)により左側位置の湯流入弁孔と右側位置の水流入弁孔の開度を互いに大小逆の関係で変化させて吐水の温度調節を行うシングルレバー混合水栓が広く用いられている。
このシングルレバー混合水栓では、レバーハンドルの上下方向の回動操作により可動弁体を固定弁体に対して直線状にスライド摺動させて弁開閉を行い、またレバーハンドルの左右方向の回動操作により可動弁体を固定弁体に対し回転摺動させて吐水の温度を変化させる。
例えば下記特許文献1にこの種形態のシングルレバー混合水栓が開示されている。
図15はその具体例の要部を示している。
図中200は水栓本体で、内部に弁カートリッジ202が組み込まれている。
204は弁カートリッジ202におけるカートリッジケースで、上部のケース本体204Aと、下部の底蓋204Bとに分かれており、それらが図中上下に組み付けられている。
カートリッジケース204の内部には固定弁体206と、その上面を水密摺動する可動弁体208とが設けられている。
ここで固定弁体206,可動弁体208の何れもディスクから成っている。
可動弁体208は、駆動部210及びレバー軸212を介してレバーハンドル214に作動的に連結され、レバーハンドル214の操作によって可動弁体208が固定弁体206上を摺動するようになっている。
具体的には、レバーハンドル214を図15中上下方向即ち起伏方向に操作すると、可動弁体208が図15中左右方向に直線状に摺動運動し、またこれと直角方向即ち図15の紙面と直角方向に回動操作すると、可動弁体208が固定弁体206上を回転摺動する。
図16に示しているように固定弁体206には、使用者から見て相対的に右側位置の水流入弁孔216,左側位置の湯流入弁孔218及び混合水の流出弁孔220が、それぞれ固定弁体206を板厚方向に貫通して設けられている。
ここで水流入弁孔216,湯流入弁孔218,混合水の流出弁孔220のそれぞれは、可動弁体208側の表面側の開口の形状と、これとは反対側の裏面側の開口の形状とがそれぞれ異なった形状をなしている。
具体的には、図16(B)に示しているように水流入弁孔216,湯流入弁孔218は、水,湯が各流入弁孔216,218に入り込む側の裏面側の入側開口216B,218Bがそれぞれ円形をなしており、また流出弁孔220も同様に、混合水が流出弁孔220から出る側の裏面側の出側開口220Bが円形をなしている。
ここで各入側開口216B,218B,及び出側開口220Bは同一径の円形をなしており、それぞれの中心が二等辺三角形(ここでは正三角形)の各頂点に位置するように配置されている。
これら水流入弁孔216,湯流入弁孔218における各入側開口216B,218Bは、図15のカートリッジケース204における底蓋204Bの、水,湯のそれぞれの流入口227に形状,位置を合せて設けられている。
同様に流出弁孔220における出側開口220Bもまた、底蓋204Bに形成された、混合水の流出口228に形状,位置を合せて設けられている。
尚、入側開口216B,218B,出側開口220Bのそれぞれの周りには、図15に示す固定弁体206と底蓋204Bとの間を水密にシールする円筒状の弾性を有するシールリング222を嵌め入れる嵌合凹部224が形成されている。
ここで3つの嵌合凹部224は、それぞれ同一径の円形をなしている。
ここで固定弁体206の裏面の形状は、流出弁孔220における出側開口220Bの左右方向の中心と、水流入弁孔216及び湯流入弁孔218におけるそれぞれの入側開口216Bと218Bとの間の左右方向の中心(レバーハンドル214の回動方向に沿った左右方向の中心。以下同様)とを結ぶ中心線PBを対称軸として左右対称形状をなしている。
ここで中心線PBは、底蓋204Bの流出口228における固定弁体206側の表面側の入側開口の左右方向の中心と、水,湯のそれぞれの流入口227における表面側の各出側開口の間の左右方向の中心とを結ぶ中心線と一致している。
また水,湯のそれぞれの流入口227における表面側の各出側開口の間の左右方向の中心は、水,湯のそれぞれの流入口227における裏面側の各入側開口の間の左右方向の中心とも一致している。
一方、図16(A)に示しているように、水流入弁孔216の表面側の出側開口216A、湯流入弁孔218の表面側の出側開口218Aはそれぞれが円弧形状をなしており、また流出弁孔220における表面側の入側開口220Aは、図中の下部が略半円形状、上部がこれよりも幅広で扇状に拡がった形状をなしている。
固定弁体206は、図16(A)に示す表面側においても、流出弁孔220における入側開口220Aの左右方向の中心、及び水流入弁孔216,湯流入弁孔218のそれぞれの出側開口216Aと218Aとの間の左右方向の中心を結ぶ中心線PAを対称軸として左右対称形状をなしている。
他方、図17に示すように可動弁体208の連通開口226は部分円形部と略部分矩形状部とを組み合せた略鍵穴形状をなしている。
図15に示す従来のシングルレバー混合水栓において、固定弁体206の形状は、図16(A)に示す表面側の形状及び(B)に示す裏面側の形状の何れもが左右対称形状をなしており、且つ対称軸となる中心線PA,PBが互いに表裏で一致する形状をなしている。
従来において、シングルレバー混合水栓は、水栓本体200の正面を使用者に向けて、即ち使用者に正対させて設置される。
またレバーハンドル214は、左右方向の回動範囲内でその中央位置が水栓本体200の正面の中央位置となるように設定され、従ってこの状態でレバーハンドル200は使用者に対し正対した位置、且つ混合水吐水領域の丁度中心に位置した状態となる。
このシングルレバー混合水栓では、レバーハンドル214を左右方向の回動範囲の丁度中央に位置させた状態、つまり使用者に正対して位置させた状態でレバーハンドル214を図15に示す止水状態から上向きに一杯まで開操作すると、図17(B)に示しているように可動弁体208の連通開口226が、固定弁体206における水流入弁孔216,湯流入弁孔218のそれぞれの出側開口216A,218A、及び流出弁孔220における入側開口220Aにまたがって位置した状態となってそれらを連通させ、ここにおいて水流入弁孔216から流入した水と、湯流入弁孔218から流入した湯とが、混合状態で流出弁孔220から流出する。
このとき吐水口からは水と湯とを等量で混合した混合水が吐水される。
またこの状態でレバーハンドル214を図15中紙面と直角方向の左右方向に回動操作すると、可動弁体208が固定弁体206上を回転摺動し、水と湯との混合比率を変化させ、吐水の温度を高く或いは低く変化させる。
そして図17(A)に示しているように、レバーハンドル214を左方向に一杯まで回動操作すると、ここにおいて湯流入弁孔218における出側開口218Aと、流出弁孔220における入側開口220Aとが、可動弁体208の連通開口226を介して連通状態となり、湯のみが吐水口から吐水される。
逆に図17(C)に示しているようにレバーハンドル214を右方向に一杯まで回動操作すると、ここにおいて水流入弁孔216における出側開口216Aと流出弁孔220における入側開口220Aとが、可動弁体208の連通開口226を介して連通状態となり、水のみが吐水口から吐水される。
尚、水のみを吐水する水吐水領域,湯のみを吐水する湯吐水領域は、それぞれ左右方向に所定角度(例えば5°)の範囲に亘って設定されており、そしてそれら水吐水領域,湯吐水領域の間の混合水吐水領域が80°の角度範囲に亘って設定されている。
以上のような従来のシングルレバー混合水栓において、レバーハンドル214は通常は使用し易い左右回動方向の中央位置にあって使用者に正対した位置にあり、従ってこの状態で使用者が止水状態で無意識にハンドル操作して吐水させたとき、先ず混合水が吐水される。
使用者が本来水を使用したいと思っていたときには、その状態から使用者がレバーハンドル214を使用者から見て右方向に回動操作して、レバーハンドル214を水吐水位置まで持ち来すこととなる。
この場合、実際には使用者が水を出したいと思っていたにも拘らず、使用者の意思とは無関係に先ず混合水、つまり水に加えて湯が吐水されてしまい、湯が無駄に使用されてしまう。
尚、このような課題の解決を狙いとしたシングルレバー混合水栓が下記特許文献2,特許文献3に開示されている。
但し特許文献2に開示されているものでは、可動弁体の連通開口の形状を従来と異ならせることで課題解決を図っており、本発明と異なっている。
この特許文献2ではまた、他の解決手段として、固定弁体における水流入弁孔と湯流入弁孔との間の中心位置を左方向にずらせる点も開示されている。
但しそれら水流入弁孔,湯流入弁孔における裏面側の入側開口については開示されておらず、従ってそれらと出側開口との形状及び位置の関係等については何も開示されていない。
特許文献3に開示のものもまた、固定弁体における水流入弁孔,湯流入弁孔の形状及び位置を従来と異ならせることで課題解決を図っている。
但しこの特許文献3に開示のものにおいても、固定弁体における水流入弁孔,湯流入弁孔における出側開口と入側開口との形状的な関係や位置等の関係について一切言及されていない。
特開2003−28319号公報 特開2010−185569号公報 特許第3200540号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、使用者の無意識な操作によって湯が無駄に消費されてしまうのを有効に防止することが可能なシングルレバー混合水栓を、従来のシングルレバー混合水栓を特に大幅に改変することなく安価に提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、(a)水流入弁孔及び湯流入弁孔と混合水の流出弁孔とを備えた固定弁体と、(b)該水流入弁孔及び/又は湯流入弁孔と該流出弁孔とを連通させる連通開口を備え、前記固定弁体上を摺動する可動弁体と、(c)該可動弁体を移動操作するレバーハンドルと、を有し、該レバーハンドルの上下方向の回動操作により弁開閉を行って吐止水と吐水の流量調節を行い、左右方向の回動操作により、前記水流入弁孔に対して相対的に左側に位置している前記湯流入弁孔と該水流入弁孔の開度を互いに大小逆の関係で変化させて吐水の温度調節を行うシングルレバー混合水栓において、前記水流入弁孔における前記可動弁体とは反対側の裏面側の入側開口と、前記湯流入弁孔における該裏面側の入側開口との間の、前記レバーハンドルの回動方向に沿った左右方向の中心に対して、該水流入弁孔における前記可動弁体側の表面側の出側開口と、該湯流入弁孔における該表面側の出側開口との間の前記左右方向の中心位置が左方向に離隔して位置するように、前記水流入弁孔における前記出側開口及び前記湯流入弁孔における前記出側開口のそれぞれが、対応する該水流入弁孔及び湯流入弁孔における各入側開口に対して左方向に位置をずらせて配置してあり、前記レバーハンドルは、水栓本体の正面の中央位置から前記左方向の範囲で回動可能とし、更に該中央位置から左方向の回動範囲より狭い範囲で、該中央位置から右方向にも回動可能としてあることを特徴とする。
請求項2のものは、(a)水流入弁孔及び湯流入弁孔と混合水の流出弁孔とを備えた固定弁体と、(b)該水流入弁孔及び/又は湯流入弁孔と該流出弁孔とを連通させる連通開口を備え、前記固定弁体上を摺動する可動弁体と、(c)該可動弁体を移動操作するレバーハンドルと、を有し、該レバーハンドルの上下方向の回動操作により弁開閉を行って吐止水と吐水の流量調節を行い、左右方向の回動操作により、前記水流入弁孔に対して相対的に左側に位置している前記湯流入弁孔と該水流入弁孔の開度を互いに大小逆の関係で変化させて吐水の温度調節を行うシングルレバー混合水栓において、前記水流入弁孔における前記可動弁体とは反対側の裏面側の入側開口と、前記湯流入弁孔における該裏面側の入側開口との間の、前記レバーハンドルの回動方向に沿った左右方向の中心に対して、該水流入弁孔における前記可動弁体側の表面側の出側開口と、該湯流入弁孔における該表面側の出側開口との間の前記左右方向の中心位置が左方向に離隔して位置するように、前記水流入弁孔における前記出側開口及び前記湯流入弁孔における前記出側開口のそれぞれが、対応する該水流入弁孔及び湯流入弁孔における各入側開口に対して左方向に位置をずらせて配置してあり、前記レバーハンドルは、水栓本体の正面の中央位置から前記左方向の範囲で回動可能とし、且つ該中央位置から左方向の回動範囲は、該中央位置から左方向へ90度よりも小角度にしてあることを特徴とする。
請求項のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記水流入弁孔の出側開口と入側開口及び湯流入弁孔の出側開口と入側開口とが、それぞれ平面視において部分的に重なり合っていることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように本発明は、水流入弁孔における裏面側の入側開口と、湯流入弁孔における裏面側の入側開口との間の左右方向の中心に対して、水流入弁孔における表面側の出側開口と、湯流入弁孔における表面側の出側開口との間の左右方向の中心位置が左方向、つまり湯側に離隔して位置するように、水流入弁孔及び湯流入弁孔における出側開口のそれぞれを、対応する各入側開口に対して左方向に位置をずらせて配置したものである。
本発明によれば、固定弁体における水流入弁孔,湯流入弁孔及び混合水の流出弁孔における裏面側の各開口、詳しくは水流入弁孔における入側開口,湯流入弁孔における入側開口,流出弁孔における出側開口のそれぞれを従来と同様の形状,位置に保持しつつ、水流入弁孔,湯流入弁孔における表面側の各出側開口を従来よりも左方向に位置をずらせて配置しておくことが可能となる。
この場合、水流入弁孔,湯流入弁孔のそれぞれの出側開口の、各入側開口に対する左方向の離隔距離を適宜に設定することで、固定弁体における水流入弁孔の出側開口を使用者に対し正対位置に位置させることが可能となり、使用者に対し正対位置に位置させたレバーハンドルを開操作したときに、可動弁体の連通開口が水流入弁孔だけに、詳しくはその出側開口だけにかかる(重なる)ようになすことができ、正対位置にあるレバーハンドルを開操作したときに水だけを吐水させるようになすことができる。
これにより湯が無駄に使用されてしまうのを有効に防止することができ、節湯を図ることができる。
本発明は、固定弁体における水流入弁孔,湯流入弁孔を全体的に従来よりも左方向に位置変更するのではなく、裏面側の各開口即ち水流入弁孔及び湯流入弁孔における各入側開口、更には混合水の流出弁孔における裏面側の出側開口を従来と同じ形状,同じ位置に保持しながら、表面側の開口だけを、具体的には水流入弁孔及び湯流入弁孔における各出側開口だけを左方向に位置をずらせて配置することが可能であり、そしてこのことによって、従来のシングルレバー混合水栓、特に既設のシングルレバー混合水栓における固定弁体の周辺の部材をそのままにして、固定弁体を取り替えるのみで、使用者に正対した位置のレバーハンドルを開操作したときに水のみを吐水可能なシングルレバー混合水栓を実現できる利点を有する。
本発明では、レバーハンドルを、水栓本体の正面の中央位置から左方向の範囲で回動可能としておくのみならず、中央位置から左方向の回動範囲より狭い範囲で、中央位置から右方向にも回動可能としておくことができる(請求項1)。
また、レバーハンドルを、水栓本体の正面の中央位置から左方向の範囲で回動可能とし、且つ中央位置から左方向の回動範囲を、中央位置から左方向へ90度よりも小角度にしておくことができる(請求項2)。
尚本発明においては、水流入弁孔及び湯流入弁孔における表面側の各出側開口を、裏面側の各対応する入側開口に対し、平面視において重なり合わない位置及び形状で設けておくことも可能である。
但しこの場合には上流側から固定弁体に到った水,湯の流れがそこで急激に向きを変えられてしまい、同部分で水,湯の流れに対して大きな抵抗が生じてしまう。
従って請求項に従い、水流入弁孔の出側開口と入側開口及び湯流入弁孔の出側開口と入側開口とを、それぞれ平面視において部分的に重なり合うような位置及び形状で設けておくことが望ましい
、レバーハンドルが使用者に対し正対した位置を、水だけを吐水する水吐水位置となしておく場合において、その正対位置を含む左右方向の所定範囲を水吐水領域として設定しておくことができる。
その水吐水領域の角度範囲は5°以上,15°以下となしておくことが望ましい。
更にこの場合において、レバーハンドルが混合水吐水領域と水吐水領域との境界を通過する際にクリック感を発生させるクリック機構を設けておくことが望ましい。
参考例のシングルレバー混合水栓の内部構造を示した図である。 図1の弁カートリッジ内部を組付け状態で周辺部とともに示した図である。 図2における弁カートリッジの構成部材を周辺部材とともに分解して示した図である。 図2における固定弁体と底蓋との組付けの位置関係を示した図である。 図2の弁カートリッジにおける固定弁体を示した図である。 の各種吐水状態における固定弁体と可動弁体との位置関係をレバーハンドルの回転操作位置とともに示した図である。 本発明の実施形態の固定弁体を示した図である。 同実施形態の各種吐水状態における固定弁体と可動弁体との位置関係をレバーハンドルの回転操作位置とともに示した図である。 本発明の他の実施形態の要部を示した図である。 本発明の更に他の実施形態における固定弁体を示した図である。 同実施形態のカートリッジケースの底蓋の表側と裏側の形状を示した図である。 図11の底蓋とハウジングの底部との関係を示した図である。 本発明の更に他の実施形態における底蓋を示した図である。 同実施形態の底蓋とハウジングの底部との関係を示した図である。 従来公知のシングルレバー混合水栓の例を示した図である。 図15の固定弁体として従来用いられているものを示した図である。 従来のシングルレバー混合水栓の各種吐水状態における固定弁体と可動弁体との位置関係をレバーハンドルの回転操作位置とともに示した図である。
次に本発明の実施形態を参考例とともに図面に基づいて詳しく説明する。
図1において(図1〜図6は参考例を示す)、10はシングルレバー混合水栓で、水栓本体12と、その上部のレバーハンドル14とを有している。
16は、水栓本体12の本体ボデーをなすハウジングで円筒状をなす周壁18と、これとは別体をなす底部20とを有しており、その内部に弁カートリッジ22を収容状態で保持している。
周壁18からは挿通部24が一体に図中下向きに延び出している。
挿通部24は、カウンタ26の取付穴28を下向きに挿通し、そしてその外周面に形成された雄ねじにカウンタ26の裏側で締結ナット30がねじ込まれ、周壁18の下面をカウンタ26に着座させる状態にハウジング16をカウンタ26に締結固定している。
上記底部20には水,湯の流入通路32及び混合水の流出通路34が形成されており、そしてその流入通路32に内部を連通させる状態で、水,湯の流入管36が底部20に対してねじ結合され、また流出通路34に内部を連通させる状態で流出管38が溶接にて接合されている。
このでは、ハウジング16が、これにねじ込まれて上記の弁カートリッジ22を押込み、固定する固定ナット40とともに化粧カバー42にて外側から覆われている。
図2に、弁カートリッジ22の構成が周辺部とともに詳しく示してある。
図において44は、弁カートリッジ22におけるカートリッジケースで、このカートリッジケース44は上部のケース本体44-1と、下部の底蓋44-2との2分割構造とされており、それらが上下に組み合されてカートリッジケース44を構成している。
底蓋44-2は、図3にも示しているように下向きに突出した一対の筒状部46,47と、脚48とを有しており、図1にも示しているようにそれらの先端(下端)をハウジング16における底部20の上面に当接させている。
底蓋44-2には、一方の筒状部46の内部を通る水の流入口50(図2〜図4参照)と、他方の筒状部47の内部を通る湯の流入口51(図3,図4参照)が形成されている。そして水の流入口50及び湯の流入口51のそれぞれが、ハウジング16の底部20に形成された水,湯の流入通路32のそれぞれに連通せしめられている。
底蓋44-2にはまた、流入口50,51とは別の位置において混合水の流出口52が形成されている。
この流出口52の下側には、これに連通した水室54が形成されており、流出口52から流出した混合水が、この水室54を経て底部20の上記の流出通路34へと流出するようになっている。
ここで水室54は、底蓋44-2とハウジング16における底部20及び周壁18との間に形成されている。
底蓋44-2の上面には、図3及び図4にも示しているように一対の流入口50,51の上端の後述の出側開口50A,51A及び流出口52の上端の後述の入側開口52Aをそれぞれ取り巻くようにして、弾性を有する円筒状のシールリング56が保持されており、これらシールリング56によって、底蓋44-2と後述の固定弁体58との間が水密にシールされている。
図2に示しているように、カートリッジケース44の内部には固定弁体58と、その上面を摺動する可動弁体60とが収容されている。
ここで固定弁体58と可動弁体60とは何れもディスクから成っている。
可動弁体60は、駆動部62を介してレバー軸64に作動的に連結され、またレバー軸64は、その上端側が図1に示すように固定ビス66によってレバーハンドル14に固定され、レバー軸64がレバーハンドル14と一体に移動するようになっている。
レバー軸64の下端部は、支持ピン68を介して回転体70に一体回転状態に連結されており、更にレバー軸64には図3に示しているように下方に突き出す一対のフォーク部72が設けられていて、このフォーク部72が、上記の駆動部62の凹部74内に係入されている。
而してレバー軸64は、レバーハンドル14と一体に支持ピン68周りに回動運動し、また回転体70の回転軸心周りに回転体70とともに回転運動し、レバーハンドル14の操作を駆動部62を介して可動弁体60に伝えて、可動弁体60を対応する方向に摺動運動させる。
具体的には、レバーハンドル14が図1中上下方向に回動操作されると、可動弁体60が図2中左右方向に直線状に摺動運動し、またレバーハンドル14が図1の紙面と直角方向の左右方向に回動操作されると、可動弁体60が図2において紙面と直角方向に回転摺動する。
図5に示しているように、固定弁体58には水流入弁孔76と、湯流入弁孔78と、混合水の流出弁孔80とが板厚方向に貫通して設けられている。
このにおいて固定弁体58は、水流入弁孔76,湯流入弁孔78,混合水の流出弁孔80のそれぞれが、可動弁体60側の表面側と、これとは反対側の裏面側とで形状が異なっている。
図5(B)はその裏面側の形状を示している。
図5(B)において、76Bは水流入弁孔76における入側の開口を、78Bは湯流入弁孔78における入側の開口を、また80Bは流出弁孔80における出側の開口をそれぞれ表している。
図に示しているようにこれらの入側の開口76B,78B及び出側の開口80Bは、何れもが同一径の円形をなしており、且つそれぞれの中心が二等辺三角形(ここでは正三角形)の各頂点に位置している。
図中P1Bは、出側開口80Bの左右の中心及び水流入弁孔76,湯流入弁孔78における入側開口76Bと78Bとの間の左右の中心を結ぶ中心線で、固定ディスク58は裏面側の形状がこの中心線P1Bを対称軸として左右対称形状をなしている。
尚、水流入弁孔76,湯流入弁孔78における入側開口76B,78Bの周り、更に流出弁孔80における出側開口80Bの周りには、上記の円筒状のシールリング56の上部を嵌入させる円形の嵌合凹部82が形成されている。
この図5(B)に示す水流入弁孔76における入側開口76B,湯流入弁孔78における入側開口78B、及び流出弁孔80における出側開口80Bは、それぞれ図16(B)に示す従来の固定弁体206の対応する開口と同形状且つ同一の位置関係をもって配置されており、従って水流入弁孔76における入側開口76Bは、図3に示す底蓋44-2側の水の流入口50に対して形状及び位置が合致せしめられており(図4参照)、また湯流入弁孔78における入側開口78Bも、図3に示す底蓋44-2の湯の流入口51に対して形状及び位置が合致せしめられている。
更に流出弁孔80における出側開口80Bもまた、図3の底蓋44-2における流出口52に対して形状及び位置が合致せしめられている。
また図5(B)の中心線P1Bは使用者に対して丁度正対した向きをなしている。即ちレバーハンドル14を使用者に正対する位置に位置させたときに、そのレバーハンドル14の中心線Q(図6参照)と丁度合致する向きをなしている。
このにおいて、底蓋44-2は図15に示す従来用いられている底蓋204Bと同じ形状のもので、ハウジング16における底部20の水の流入通路32及び湯の流入通路32の図中上端の各開口を基準として、水の流入口50,湯の流入口51の位置が定められている。
詳しくは水の流入通路32及び湯の流入通路32の図中上端の各開口の間の左右方向の中心を基準として、水流入口50,湯の流入口51の図中各下端の入側開口50B,51Bの間の左右方向の中心が一致せしめられている。
また水流入口50,湯流入口51における各上端の出側開口50A,51Aの間の左右方向の中心が、各入側開口50B,51Bの左右方向の中心に一致せしめられている。
即ち、固定弁体58の水流入弁孔76における裏面側の入側開口76Bと、湯流入弁孔78における裏面側の入側開口78Bとの間の左右方向の中心が、ハウジング16における底部20の水流入通路32の上端開口と湯流入口32の上端開口との間の左右方向の中心に一致している。
図5(A)は、固定弁体58の表面側の形状を示している。
同図において76A,78Aは、それぞれ水流入弁孔76における出側開口,湯流入弁孔78における出側開口を表しており、また80Aは流出弁孔80における入側開口を表している。
ここで出側開口76A,78Aはそれぞれ円弧形状をなしており、また流出弁孔80における入側開口80Aは略半円形状をなす小口部80A-1と、これより幅広で略扇状をなす大口部80A-2とを有する形状をなしている。
図5(A)に示しているように、ここでは流出弁孔80における入側開口80Aの大口部80A-2の左右の中心、及び水流入弁孔76における出側開口76Aと湯流入弁孔78における出側開口78Aとの間の左右の中心を結ぶ中心線P1Aを対称軸として、各出側開口76A,78A、更に入側開口80Aが左右対称形状をなしている。
また表面側の中心線P1Aは、裏面側の中心線P1Bに対し角度θ(ここではθ=45°)をなしている。
即ちここでは裏面側の出側開口76Bと78Bとの間の左右の中心に対し、表面側の出側開口76Aと78Aとの間の左右方向の中心が、左方向に45°離隔した位置に位置させられており、出側開口76A及び78Aが入側開口76B,78Bに対しそれぞれレバーハンドル14の回動方向に沿って左方向に全体的に位置をずらせて配置してある。
但しここでは水流入弁孔76における出側開口76Aと入側開口76Bとが平面視において部分的に重なり合っており、同様に湯流入弁孔78における出側開口78Aと入側開口76Bとが部分的に重なり合っており、更に流出弁孔80においても入側開口80Aと出側開口80Bとが部分的に重なり合っている。
図2において、固定弁体58の上面を摺動する可動弁体60には、固定弁体58における水流入弁孔76と湯流入弁孔78との両方又は何れか一方を流出弁孔80に連通させる連通開口84が、可動弁体60を板厚方向に貫通して設けられている。
水流入弁孔76,湯流入弁孔78を通じて流入した水と湯とは、駆動部62に形成された混合室86を経由し、混合水となって流出弁孔80から底蓋44-2に設けられた流出口52へと流出する。
尚、可動弁体60とその駆動部62との間には、それらの間を水密にシールする弾性を有するシールリング(Oリング)88が設けられている。
ここで可動弁体60の連通開口84は、図6に示しているように部分円形状をなす第1部分84-1と、部分矩形状をなす第2部分84-2とを有する概略鍵穴形状をなしている。
図6は水吐水,混合水吐水,湯吐水のときの固定弁体58と可動弁体60との位置関係を、レバーハンドル14の回動操作位置とともに表している。
図6(ロ)(C)は、レバーハンドル14が水栓本体12の正面中央位置にあって使用者に正対した位置(これを基準位置X(図6(イ)参照)とする)にあるときの状態を表している。
図6(ロ)(C)において、Qはレバーハンドル14の中心線を表しており、このとき可動弁体60の中心線P2(可動弁体60は中心線P2を対称軸として左右対称形状をなしている)もレバーハンドル14の中心線Qと同方向、つまり使用者に正対した向きに位置している。
このでは、図6(イ)に示すようにレバーハンドル14が使用者に正対した基準位置Xから左方向に角度α(ここではα=90°)回動可能で、基準位置Xから角度θの範囲が水吐水領域,その水吐水領域から角度θの範囲が混合水吐水領域、更にその混合水吐水領域から角度θの範囲内が湯吐水領域をなしている。
ここでは水吐水領域の角度θ,湯吐水領域の角度θがそれぞれ5°に設定してあり、そしてレバーハンドル14の全回動範囲であるα=90°から水吐水領域のθと湯吐水領域のθとを除いた角度θ=80°が混合水吐水領域として設定してある。
図6(ロ)(B)は、レバーハンドル14を使用者に正対した基準位置Xからθ=45°左方向に回動させたときの状態を表しており、このときレバーハンドル14は、左右方向の全回動範囲の丁度中央、つまり混合水吐水領域の丁度中央に位置した状態にあり、この状態でレバーハンドル14を止水状態から上向きに回動操作して開操作すると、図6(B)の下段に示しているように可動弁体60の連通開口84が、固定弁体58における水流入弁孔76と湯流入弁孔78とに対して、詳しくはそれらの出側開口76Aと78Aとに対して等しく重なった状態となり、従ってこの状態では水と湯とが等量で連通開口84内に流入して、その混合水が水栓の吐水口から吐水される。
この状態からレバーハンドル14を混合水吐水領域内で左右方向に回動操作すると、水流入弁孔76,湯流入弁孔78におけるそれぞれの開度が互いに大小逆の関係で変化し、これに応じて吐水口から吐水される混合水の温度が変化する。
そして混合水吐水領域を超えてレバーハンドル14を右方向に一杯まで回動操作すると、即ちレバーハンドル14を使用者に正対する基準位置Xまで回動操作すると、ここにおいて水流入弁孔76だけが可動弁体60の連通開口84に連通した状態、詳しくは連通開口84を介して固定弁体58の流出弁孔80に連通した状態となり、流入弁孔76からの水のみが流出弁孔80から流出し、吐水口から吐水(水吐水)される。
逆にレバーハンドル14を、混合水吐水領域を超えて左方向に一杯まで回動操作すると、図6(ロ)(A)に示しているように今度は湯流入弁孔78だけが可動弁体60の連通開口84に連通した状態、詳しくは連通開口84を介して固定弁体58の流出弁孔80に連通した状態となり、ここにおいて流入弁孔78からの湯だけが流出弁孔80を通じて流出し、水栓の吐水口から吐水(湯吐水)される。
水流入弁孔76,湯流入弁孔78,可動弁体60における連通開口84の形状が予めそのように定められている。
このでは、レバーハンドル14を使用者にとって最も使い易い位置である、使用者に正対した基準位置Xに位置させた状態でこれを開操作すると、図6(ロ)(C)に示しているように水流入弁孔76だけが開かれて吐水口から水吐水される。即ちこのときには湯を含まない水だけが吐水される。
以上のように本によれば、使用者にとって使い易い基準位置Xにあるレバーハンドル14を開操作したとき、湯を含まない水だけが吐水される。
これにより使用者の意図に反して湯が無駄に使用されてしまうのを有効に防止することができ、節湯を図ることができる。
では、固定弁体58における裏面側の各開口、即ち水流入弁孔76及び湯流入弁孔78における各入側開口76B,78B、更には混合水の流出弁孔80における裏面側の出側開口80Bを、従来と同じ形状,同じ位置に保持してあるため、従来のシングルレバー混合水栓、特に既設のシングルレバー混合水栓における固定弁体58の周辺の部材をそのままにして、固定弁体58のみを取り替えるだけで、本のシングルレバー混合水栓10を実現することができる。
このではまた、可動弁体60として従来のものと同じものを用いることが可能であって、その連通開口84の、固定弁体58における水流入弁孔76,湯流入弁孔78との重なり面積を拡く確保でき、従って連通開口84の、水流入弁孔76及び湯流入弁孔78との重なり部分の形状が小形状化することによって、流量を絞ってしまう問題を生じない利点を有する。
図7,図8は本発明の実施形態を示している。
図6では、レバーハンドル14が水栓本体の正面の中央位置、即ち使用者に正対した基準位置Xから左方向にα=90°まで回動可能であり、そして左方向に一杯まで回動させた状態でレバーハンドル14の開操作により湯を吐水するものとなしているが、この場合、湯を吐止水する際のレバーハンドル14の位置が使用者から遠く、操作性の点で若干難点がある。
そこでこの図7及び図8に示す実施形態では、レバーハンドル14の左方向の回動の角度範囲を図6に示すものよりも小角度となしている。
具体的にはここでは、レバーハンドル14を使用者に正対した基準位置Xから左方向に最大α=67.5°の範囲で回動可能とし、そして図8(イ)に示しているように左方向に一杯まで回動させた位置で湯(湯だけ)を吐水するようになしている。
尚この実施形態においても、レバーハンドル14が使用者に正対した基準位置Xから左方向に角度θに亘る領域が水吐水領域とされ、そして水吐水領域を超えた左側領域がθの角度に亘って混合水吐水領域とされ、更にその混合水吐水領域を超えた左側領域が角度θに亘って湯吐水領域とされている。
ここで角度θに亘る水吐水領域,角度θに亘る湯吐水領域は図6に示す吐水領域と同じで、それぞれθ,θの角度は5°の範囲である。
また角度θに亘る混合水吐水領域はここでは57.5°の範囲であり、そして混合水吐水領域における中央位置が、レバーハンドル14を使用者に正対した基準位置Xから左向きに33.75°回動させた位置となる。
これに応じてこの実施形態では、図7に示すように固定ディスク58における中心線P1Aの傾き角度θが、33.75°に設定されている。
またこの実施形態ではレバーハンドル14の中心線Q、従って可動弁体60における中心線P2が使用者に対し正対した位置で、厳密にはレバーハンドル14が水吐水領域にある状態でレバーハンドル14を開操作したときに水だけが吐水され、またその位置からレバーハンドル14を左向きに67.5°回動させた位置で、厳密にはレバーハンドル14が湯吐水領域にある状態でこれを開操作したときに湯だけが吐水されるように、水流入弁孔76及び湯流入弁孔78が、より詳しくはそれらの出側開口76A,78Aが、図6に示すものに比べて若干形状を異ならせてある。
この実施形態ではまた、図6に示す実施形態に比べて、レバーハンドル14における水吐水領域が若干拡く設定されている。
具体的には、レバーハンドル14が使用者に正対した基準位置Xから更に右向きに微小角度θに亘って、つまり全体としてθ+θの角度に亘って水吐水領域が設定してある。
ここではθの角度は2.5°であり、従って水吐水領域はθの5°にθの2.5°を加えた7.5°の範囲に亘っている。
従ってこの実施形態において、レバーハンドル14の左右方向の全回動範囲はβ=70°である。
尚、他の点については上記参考例と基本的に同様である。
この図7及び図8に示す実施形態の場合、湯を吐止水操作する際のレバーハンドル14の位置が、図6に示すに比べて使用者に近く、従って湯を吐止水する際の操作性がより良好である。
ところでレバーハンドル14が現在水吐水領域にあるのか、又はそうでないのかを使用者が明確に認識できない場合、意図せず使用者が湯を含んだ水(湯を小量含んだ混合水)を吐水させてしまうことが有り得る。
従ってレバーハンドル14が水吐水領域にあるか否かを使用者に認識させる手段を設けておくことが好ましい。
図9はそのための手段としてのクリック機構を設けた例を示している。
図に示しているように、ここでは先端に突起90を有するピン92を、レバーハンドル14と一体に回転する回転体70に取り付けるとともに、カートリッジケース44における上記のケース本体44-1の側に円弧状の溝94を設けて、周方向の両端をストッパ96,97となし、ピン92の突起90をその溝94内で回転移動可能とするとともに、ストッパ96,97に対する当接によってレバーハンドル14の左右方向の回動を規定するようになしている。
更にケース本体44-1には、溝94の底面から回転体70側に突出する断面山形状の係合突起98を設け、回転体70に設けた突起90がこの係合突起98を弾性的に乗り越える際に、そこでクリック感を発生させるようになしている。
同図中100は、突起90と係合突起98とでクリック感を発生させるクリック機構を示している。
この例では、突起90がストッパ97と係合突起98との間で移動する範囲が水吐水領域であり、レバーハンドル14が水吐水領域を超えて混合水吐水領域に移動する際に、突起90が係合突起98を乗り越えることで、そこでクリック感を発生させ、使用者に対しレバーハンドル14が水吐水領域から混合水吐水領域に移行したことを知らせる。
或いは逆に、突起90が係合突起98を乗り越えて図9(C)中上向きに移動する際にクリック感を発生させることで、レバーハンドル14が混合水吐水領域から水吐水領域に移行したことを使用者に対して認識させる。
この例では、ストッパ97から係合突起98までの角度範囲が図8(イ)に示すθ+θの角度範囲となる。
但し図6(イ)に示す角度θとなしておくこともできる。
このように水吐水領域を、レバーハンドル14が使用者に正対した位置、より具体的にはレバーハンドル14が水栓本体12の正面の中央位置にあって使用者に正対した基準位置Xを挟んでその左右両側に微小角度に亘って水吐水領域を設定しておくことで、水吐水の際の操作性を良好となすことができ、望ましい。
図10〜図12は、本発明の更に他の実施形態を示している。
この例では、固定弁体58における図10(A)の中心線P1A、即ち表面側の流出弁孔80における出側開口80Aの左右の中心と、水流入弁孔76,湯流入弁孔78における各表面側の出側開口76Aと78Aとの間の左右の中心を結ぶ中心線P1Aが、基準方向Yに対して角度θ(ここではθ=32.5°)で左方向(レバーハンドル14の回動方向に沿って左方向)に傾斜している。
ここで基準方向Yは、図5(B)の中心線P1Bと同じ方向であって、使用者に対して丁度正対した向きである。
具体的には、ハウジング16における底部20の流出通路34の図中の上端開口の左右の中心と、水の流入通路32及び湯の流入通路32の図中の各上端開口の間の左右の中心とを結ぶ中心線の方向と同方向で、この方向はレバーハンドル14が図6の基準位置Xにあるときのレバーハンドル14の方向と同じ方向である。
この実施形態ではまた、固定ディスク58の図10(B)中裏面側の中心線P1B、即ち流出弁孔80における出側開口80Bの左右の中心と、水流入弁孔76及び湯流入弁孔78における裏面側の各入側開口76Bと78Bとの間の左右の中心とを結ぶ中心線P1Bもまた、基準方向Yに対して中心線P1Aと同じ左方向に角度θ(ここではθ=10°)で傾斜している。
ここで中心線P1Bもまた、中心線P1Aと同方向に傾斜させているのは、固定弁体58の水流入弁孔76における入側開口76B,湯流入弁孔78における入側弁孔78Aを、図5に示すものよりもレバーハンドル14の回動方向に沿って左方向に位置をずらせることで、水流入弁孔76における出側開口76Aと入側開口76Bとの重なり面積(平面視における重なり面積)を拡くし、また同様に湯流入弁孔78における出側開口78Aと入側開口78Bとの重なり面積を拡くするためである。
但しそのようにすると、固定弁体58における水流入弁孔76及び湯流入弁孔78における各入側開口76B,78Bの位置が、図1のハウジング16における底部20の水の流入通路32及び湯の流入通路32の図中の上端開口に対して左方向に位置がずれてしまう。
そこでこの実施形態では、底蓋44-2の形状を図1〜図4に示すものとは異ならせている。
図11及び図12にその底蓋44-2の形状が示してある。
ここで図11(A)は底蓋44-2の表面側の形状を、図11(B)は裏面側の形状をそれぞれ示している。
図11(A)に示しているように、ここでは流出口52における可動弁体58側の表面側の入側開口52Aの左右の中心と、水の流入口50における表面側の出側開口50A及び湯の流入口51における表面側の出側開口51Aの間の左右の中心とを結ぶ中心線P2Aが、上記の基準方向Yに対して角度θ(ここではθ=10°)で傾斜している。
一方、図11(B)に示す裏面側においては、水の流入口50における入側開口50Bと湯の流入口51における入側開口51Bとの間の左右の中心が上記の基準方向Y上に位置している。
即ち図11(A)の水流入口50における出側開口50Aと、湯の流入口51における出側開口51Aとが、水の流入口50,湯の流入口51における各対応する入側開口50B,51Bに対して、レバーハンドル14の回動方向に沿って左方向に位置をずらせて配置してある。
この結果本実施形態における底蓋44-2では、水の流入口50,湯の流入口51におけるそれぞれの出側開口50A,51Aが、図10(B)の水流入弁孔76,湯流入弁孔78における各入側開口76B,78Bに対してそれぞれ位置が一致し、また図11(B)の水の流入口50,湯の流入口51におけるそれぞれの入側開口50B,51Bが、図1の底部20における水の流入口32,湯の流入口32のそれぞれの図中の上端開口に対して位置が一致している。
尚図11(A)において、106は図2のシールリング56を嵌め入れる底蓋44-2側の嵌合凹部である。
また図11(B)において、108は図2のシールリング(Oリング)110を嵌め入れるための環状溝である。
更に図12(B)において、102は脚48の先端に形成された位置決め突起であり、また104は底部20に設けられた位置決め穴である。
この実施形態では、固定弁体58における水流入弁孔76,湯流入弁孔78の裏面側の入側開口76B,78Bのそれぞれを、従来の固定弁体のそれよりも左方向に位置をずらせて配置してあるため、水流入弁孔76,湯流入弁孔78それぞれにおける表面側の出側開口76A,78Aと裏面側の入側開口76B,78Bとの重なり面積をより拡くすること(拡く確保すること)ができる。
そして重なり面積を拡くすることで、水流入弁孔76,湯流入弁孔78における入側開口76B,78Bから出側開口76A,78Aにかけての水,湯の流れをよりスムーズな流れとすることができ、このことによって吐水時における水,湯のそれぞれの流量を多くすることができ、また通水時に生ずる通水音を低減できる利点が得られる。
また本実施形態では、固定弁体58の水流入弁孔76及び湯流入弁孔78の裏面側の各入側開口76B,78Bの位置を、上記のように左方向にずらせて配置しているにも拘らず、カートリッジケース44の底蓋44-2の形状を変えることで水栓本体12の水,湯の流入通路32の位置を変えることなく、それら水,湯の各流入通路32と固定弁体58における水流入弁孔76,湯流入弁孔78の各入側開口76B,78Bとを、カートリッジケース44の底蓋44-2の水,湯の各流入口にて良好に連絡し得、従来の水栓の本体ボデーをそのまま用いながら、カートリッジケース44の底蓋44-2を部分的に取り変えるだけで、上記した重なり面積の更なる拡大を実現することができる。
上記実施形態では、底蓋44-2に脚48及び筒状部46,47を設けて水室54を形成しているが、図13及び図14に示しているように、底蓋44-2側の筒状部46,47及び脚48を無くし、水室54を形成することなく底蓋44-2を直接ハウジング16における底部20に着座させるようになすことも可能である。
そのためこの図13,図14の実施形態では、底蓋44-2の裏面側において、水の流入口50,湯の流入口51における入側開口50B,51B周りに加えて、流出口52における出側開口52B周りに環状溝108を設けて、そこにシールリング(Oリング)110(図1,図2参照)を保持させ、そして水の流入口50における入側開口50Bを、ハウジング16における底部20の水の流入通路32の上端開口に合致させ、また湯の流入口51における入側開口51Bを底部20の湯の流入通路32の上端開口に合致させるとともに、流出口52における出側開口52Bを底部20の流出通路34の上端開口に合致させた状態で、底蓋44-2の下面をシールリング110を介して底部20の上面に水密にシール状態に着座させるようにしている。
以上本発明の実施形態を参考例とともに詳述したがこれはあくまで一例示である。例えば本実施形態のシングルレバー混合水栓では、弁カートリッジ22を収容する水栓本体の周壁18と底部20とが別体で構成されているが、これらを一体で構成するものであっても良く、また上記のように弁カートリッジ22についても脚48を有していない構成とすることもできるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
10 シングルレバー混合水栓
12 水栓本体
14 レバーハンドル
58 固定弁体
60 可動弁体
76 水流入弁孔
78 湯流入弁孔
80 流出弁孔
76A,78A,80B 出側開口
76B,78B,80A 入側開口
84 連通開口
100 クリック機構

Claims (3)

  1. (a)水流入弁孔及び湯流入弁孔と混合水の流出弁孔とを備えた固定弁体と、(b)該水流入弁孔及び/又は湯流入弁孔と該流出弁孔とを連通させる連通開口を備え、前記固定弁体上を摺動する可動弁体と、(c)該可動弁体を移動操作するレバーハンドルと、を有し、該レバーハンドルの上下方向の回動操作により弁開閉を行って吐止水と吐水の流量調節を行い、左右方向の回動操作により、前記水流入弁孔に対して相対的に左側に位置している前記湯流入弁孔と該水流入弁孔の開度を互いに大小逆の関係で変化させて吐水の温度調節を行うシングルレバー混合水栓において、
    前記水流入弁孔における前記可動弁体とは反対側の裏面側の入側開口と、前記湯流入弁孔における該裏面側の入側開口との間の、前記レバーハンドルの回動方向に沿った左右方向の中心に対して、該水流入弁孔における前記可動弁体側の表面側の出側開口と、該湯流入弁孔における該表面側の出側開口との間の前記左右方向の中心位置が左方向に離隔して位置するように、前記水流入弁孔における前記出側開口及び前記湯流入弁孔における前記出側開口のそれぞれが、対応する該水流入弁孔及び湯流入弁孔における各入側開口に対して左方向に位置をずらせて配置してあり、
    前記レバーハンドルは、水栓本体の正面の中央位置から前記左方向の範囲で回動可能とし、更に該中央位置から左方向の回動範囲より狭い範囲で、該中央位置から右方向にも回動可能としてあることを特徴とするシングルレバー混合水栓。
  2. (a)水流入弁孔及び湯流入弁孔と混合水の流出弁孔とを備えた固定弁体と、(b)該水流入弁孔及び/又は湯流入弁孔と該流出弁孔とを連通させる連通開口を備え、前記固定弁体上を摺動する可動弁体と、(c)該可動弁体を移動操作するレバーハンドルと、を有し、該レバーハンドルの上下方向の回動操作により弁開閉を行って吐止水と吐水の流量調節を行い、左右方向の回動操作により、前記水流入弁孔に対して相対的に左側に位置している前記湯流入弁孔と該水流入弁孔の開度を互いに大小逆の関係で変化させて吐水の温度調節を行うシングルレバー混合水栓において、
    前記水流入弁孔における前記可動弁体とは反対側の裏面側の入側開口と、前記湯流入弁孔における該裏面側の入側開口との間の、前記レバーハンドルの回動方向に沿った左右方向の中心に対して、該水流入弁孔における前記可動弁体側の表面側の出側開口と、該湯流入弁孔における該表面側の出側開口との間の前記左右方向の中心位置が左方向に離隔して位置するように、前記水流入弁孔における前記出側開口及び前記湯流入弁孔における前記出側開口のそれぞれが、対応する該水流入弁孔及び湯流入弁孔における各入側開口に対して左方向に位置をずらせて配置してあり、
    前記レバーハンドルは、水栓本体の正面の中央位置から前記左方向の範囲で回動可能とし、且つ該中央位置から左方向の回動範囲は、該中央位置から左方向へ90度よりも小角度にしてあることを特徴とするシングルレバー混合水栓。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、前記水流入弁孔の出側開口と入側開口及び湯流入弁孔の出側開口と入側開口とが、それぞれ平面視において部分的に重なり合っていることを特徴とするシングルレバー混合水栓。
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