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JP2012070828A - 生体情報検出器及び生体情報測定装置 - Google Patents

生体情報検出器及び生体情報測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 検出精度を向上可能な生体情報検出器等を提供する。
【解決手段】 生体情報検出器は、関心波長(λ0)を含む発光波長帯域(λ01〜λ02)の光を発する発光部14と、生体情報を有する光R1’を受ける受光部16と、生体情報を有する光R1’を反射面18−1で受光部16に反射させる反射部18と、被検出部位と受光部16との間に設けれ、関心波長(λ0)を透過させるフィルター19−1と、を含む。フィルター19−1への入射光の入射角θが所与の角度である時に、フィルター19−1を通過する入射光の最大波長(λ21)は、関心波長(λ0)よりも高く、フィルター19−1は、入射光の最大波長(λ21)から少なくとも受光波長帯域の最大波長(λmax)までの波長帯域の光を抑制する。所与の角度以下の入射角θを持つ光のみが受光部16に到達するように、反射面18−1が構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生体情報検出器及び生体情報測定装置等に関する。
生体情報測定装置は、例えば人間の脈拍数、血液中の酸素飽和度、体温、心拍数等の生体情報を測定し、生体情報測定装置の一例は、脈拍数を測定する脈拍計である。また、脈拍計等の生体情報測定装置は、時計、携帯電話、ページャー、パーソナルコンピューター等の電子機器に組み込まれてもよく、又は電子機器と組み合わせてもよい。生体情報測定装置は、生体情報を検出する生体情報検出器を有し、生体情報検出器は、被検査体(ユーザー)の被検出部位に向けて光を発光する発光部と、被検出部位からの生体情報を有する光を受光する受光部とを含む。
なお、人間の手首に装着可能な生体情報検出器又は生体情報測定装置を手首装着型の生体情報検出器又は生体情報測定装置と呼ぶことができ、手首装着型の生体情報検出器又は生体情報測定装置を例えば腕時計(広義には、手首装着型の電子機器)に組み込むことができる。
特許文献1は、脈拍計(広義には、生体情報測定装置)を開示する。特許文献1は、指を透過する外光(例えば、特許文献1の図13の外光L2)の影響を除去するために、650[nm]以下の波長のみの透過を許すフィルター(特許文献1の図4の破線で示される透過特性を示すフィルター)を採用する。
特許文献2も、脈拍計(広義には、生体情報測定装置)を開示する。特許文献2は、指を透過する外光の影響を除去するために、脈拍計の発光部の波長を300[nm]〜700[nm](例えば、特許文献2の図4で示される350[nm]〜[600nm]の強度特性)に設定し、且つ脈拍計の受光部の波長を700[nm]以下(例えば、特許文献2の図5で示される300[nm]〜600[nm]の主感度特性)に設定する。
特開昭61−048338号公報 特開平08−080288号公報
特許文献1、特許文献2等の脈拍計で指以外の例えば手首の脈拍数を測定する場合、外光に起因するノイズの影響により、生体情報検出器の検出精度がよくない。
本発明の幾つかの態様によれば、検出精度又は測定精度を向上可能な生体情報検出器及び生体情報測定装置を提供できる。
本発明の一態様は、被検査体の被検出部位に向けて、関心波長を含む発光波長帯域の光を発する発光部と、
前記発光波長帯域を含む受光波長帯域に感度を有し、前記発光部が発する光が前記被検出部位にて反射された、生体情報を有する光を受ける受光部と、
反射面を有し、前記生体情報を有する光を前記反射面で前記受光部に反射させる反射部と、
前記被検出部位と前記受光部との間に設けられ、前記関心波長を透過させるフィルターと、を含み、
前記フィルターへの入射光の入射角が所与の角度である時に、前記フィルターを通過する前記入射光の最大波長は、前記関心波長よりも高く、前記フィルターは、前記入射光の前記最大波長から少なくとも前記受光波長帯域の最大波長までの波長帯域の光を抑制し、
前記所与の角度以下の入射角を持つ光のみが前記受光部に到達するように、前記反射面が構成されることを特徴とする生体情報検出器に関係する。
本発明の一態様によれば、発光部から発光される関心波長(例えばλ0)を含む発光波長帯域(例えばλ01〜λ02で、λ01<λ0<λ02)の光が被検出部位にて反射されることで、生体情報を含む光となり、これが受光部で検出されることで、生体情報を測定する。外光は、発光波長帯域を含む様々な波長を持つ光で構成され、被検査体内を伝搬した外光(伝搬光)の一部が受光部にて受光されると、ノイズとなり得る。このノイズとなり得る外光をフィルターの波長帯域(例えば波長λ21〜波長λmax)で抑制することで、ノイズを低減することができる。さらに、フィルターへの入射光の入射角が所与の角度である時に、フィルターを通過する入射光の最大波長(例えばλ21)よりも小さい波長(<λ21)を有する入射光はフィルターを透過可能であるが、このような光による受光部への到達は、反射部の反射面により抑制することができる。従って、フィルターを通過可能な、ノイズとなり得る光は、反射部の反射面で抑制することができる。よって、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。なお、フィルターによる光の抑制とは、フィルターへの入射光に対する透過光の強度が好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下となるフィルター効果が得られるものであればよい。
また、本発明の一態様では、前記フィルターは、誘電体多層フィルターでもよい。
誘電体多層フィルターの関心波長に対する透過率は、例えば色素吸収フィルターの関心波長に対する透過率と比べて、高く設定することが容易であり、発光部が発する光を通過させ易くすることができる。また、受光波長帯域内の波長帯域(ノイズとなり得る光)に対する透過率は、低く設定することが容易であり、ノイズを効率的に抑制することができる。
また、本発明の一態様では、生体情報検出器は、
前記関心波長に対して透明な材料で構成され、第1の面に前記発光部が配置され、且つ前記第1の面と対向する第2の面に前記受光部が配置される基板と、
前記基板に対して前記第1の面側に配置され、前記関心波長に対して透明な材料で構成され、前記被検査体との接触面を有する接触部と、をさらに含んでもよく、
前記反射部は、前記基板に対して前記第2の面側に配置されてもよい。
平面視において発光部と受光部とが基板を介して重なることが可能となり、生体情報検出器の小型化を図ることができる。
また、本発明の一態様では、前記フィルターは、前記基板、前記受光部、前記反射部及び前記接触部のうち前記接触面を除く面の少なくとも1つに設けられてもよい。
被検査体の油等の影響により、接触面にフィルターを設ける場合には、フィルターの性能が劣化することもある。従って、接触面にフィルターを設けないことにより、フィルターの性能の劣化を防止することができる。
また、本発明の一態様では、前記入射光の前記最大波長は、前記被検出部位の末梢側と前記被検出部位の中枢側との間で前記被検査体内を伝搬する外光強度の増加特性が、第1の傾斜から前記第1の傾斜よりも急峻な第2の傾斜に移行する変化点の波長であってもよい。
被検査体内を伝搬した外光(伝搬光)の一部が受光部にて受光されると、ノイズとなり得るが、このノイズとなり得る外光は、被検出部位の末梢側と被検出部位の中枢側との間で被検査体内を伝搬する光であることが判明した。しかも、ノイズとなり得る外光の強度増加は、第1の傾斜(緩傾斜)から第1の傾斜よりも急峻な第2の傾斜(急傾斜)に移行する変化点の波長(例えばλ1)を有し、変化点の波長以下の光は微弱でありノイズとして無視できることが判明した。フィルターへの入射光の入射角が所与の角度である時の入射光の最大波長(λ21)を変化点の波長(λ1)に設定することにより、ノイズを効果的に抑制することができる。
また、本発明の一態様では、前記変化点の波長は、565nm〜595nmの範囲内であってもよい。
被検査体(例えば、ユーザー)の活動状況等を考慮した結果、上述の変化点の波長(λ1)、つまり被検査体内を伝搬した外光のうちノイズとなり得る最短波長(λ1)を例えば565nm〜595nmの範囲に設定することができる。
また、本発明の他の態様は、上記に記載の生体情報検出器と、
前記受光部において生成される受光信号から前記生体情報を測定する生体情報測定部と、を含み、
前記生体情報は、脈拍数であることを特徴とする生体情報測定装置に関係する。
本発明の他の態様によれば、検出精度が向上された生体情報検出器を用いて、生体情報測定装置の測定精度を向上させることができる。
本実施形態の生体情報検出器の構成例。 図2(A)、図2(B)は、外光の進入経路の説明図。 外光の強度特性の一例。 他のフィルター(比較例)の透過特性の一例。 図5(A)、図5(B)は、図1のフィルターの透過特性の一例。 発光部が発する光の強度特性の一例。 受光部が受ける光の感度特性の一例。 図8(A)、図8(B)は、反射部の反射面の反射特性の一例。 好ましいフィルターの透過特性の一例。 本実施形態の生体情報検出器の他の構成例。 光透過膜がコーティングされた基板を通る光の透過特性の一例。 光透過膜の外観例。 基板の収納例。 本実施形態の生体情報検出器の他の構成例。 図15(A)、図15(B)、図15(C)は、第1の反射部の構成例。 図16(A)、図16(B)は、第1の反射部及び発光部の外観例。 受光部の外観例。 図18(A)、図18(B)は、生体情報検出器を含む生体情報測定装置の外観例。 生体情報測定装置の構成例。 図20(A)、図20(B)は、本実施形態の生体情報検出器の他の構成例。 受光部及び第2の受光部の接続例。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 生体情報検出器
1.1. 生体情報検出器の構成例
図1は、本実施形態の生体情報検出器の構成例を示す。図1に示されるように、生体情報検出器は、発光部14、受光部16、フィルター19−1及び反射部18を含む。発光部14は、被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位O(例えば血管)に向かう光R1を発する。受光部16は、発光部14が発する光R1が被検出部位Oにて反射された、生体情報を有する光R1’(反射光)を受ける。フィルター19−1は、被検出部位Oと受光部16との間に設けられている。反射部18は、反射面18−1を有し、生体情報を有する光R1’を反射面18−1で反射させる。反射部18は、発光部14と受光部16との間の光路に設けたドーム面(球面又は放物面)に反射面18−1を有することができる。図1の例では、断面視において、反射部18の反射面18−1は、球面を規定する円弧を表すが、放物面を規定する放物線を表してもよい。
発光部14は、例えば図6に示す発光波長帯域(λ01〜λ02)の光を発する。一方、受光部16は、図6に示す発光波長帯域を含む広範囲の受光波長帯域(受光感度帯域とも言う)に感度を有する(図7参照)。このように、受光部16の受信感度帯域(図7)が発光部14の発光波長帯域(図6)よりも広いため、受光部16には例えば発光波長帯域以外の光がノイズとして受光され、S/Nが低下する虞がある。フィルター19−1は、ノイズとなり得る光が受光部16にて受光されるのを抑制するために設けられている。フィルター19−1は、反射光R1’のうち生体情報が反映された関心波長の光は抑制しない。関心波長とは、図6に示す発光波長帯域(λ01〜λ02)に含まれ、被検出部位(血管)Oにて吸光されることで反射光R1‘の強度が変化する波長(図6の例えばλ0:λ01<λ0<λ02)の光である。なお、フィルター19−1の透過特性の一例は後述する。
図1の例において、被検出部位O(例えば、血管)は、被検査体の内部にある。第1の光R1は、被検査体の内部に進み、表皮、真皮及び皮下組織で拡散又は散乱する。その後、第1の光R1は、被検出部位Oに到達し、被検出部位Oで反射される。被検出部位Oでの反射光R1’は、皮下組織、真皮及び表皮で拡散又は散乱する。その後、反射光R1’は、受光部16に向かう。第1の光R1は、血管で部分的に吸収される。従って、脈拍の影響により、血管での吸収率が変化し、被検出部位Oでの反射光R1’の光量も変化する。このように、生体情報(例えば、脈拍数)は、被検出部位Oでの反射光R1’に反映される。より具体的には、血液中のヘモグロビンは、300nmから700nmまでの帯域にある光に対する吸光係数が赤外光に対する吸光係数よりも著しく大きい。ヘモグロビンの吸光特性に合わせて、波長帯域が例えば300nmから700nmまでの範囲内にある発光波長帯域の第1の光R1を被検査体に向けて照射すると、被検出部位(血管)Oにて反射した反射光R1‘の強度は、血量変化に追従して大きく変化する。よって、関心波長(λ0)を含む発光波長帯域(λ01〜λ02)は、少なくとも300nmから700nmの範囲内に設定される。本実施形態では、関心波長(λ0)を含む発光波長帯域(λ01〜λ02)を図6の通りに設定し、図3にて破線で示すノイズとなり得る外光R3’の波長帯域とオーバーラップしないように設定している。
他方、外光R3は、被検査体の内部で拡散又は散乱する。その後、被検出部位Oに到達しないで、被検査体内を伝搬した外光R3’(伝搬光)は、受光部16に向かう。生体情報(脈拍数)は、第1の方向DR1に被検査体内を伝搬した外光R3’(伝搬光)に反映されない。外光R3(例えば、太陽光)は、様々な波長を持つ光で構成されるので、被検査体内を伝搬した外光R3’(伝搬光)の一部は、図1に示されるように、フィルター19−1で抑制される。しかしながら、被検査体内を伝搬した外光R3’(伝搬光)の他の一部、例えば図1に示される入射角θを有するR3’は、フィルター19−1を透過してしまう。つまり、フィルター19−1の光抑制断特性として、被検査体内を伝搬した外光R3’のうち受信感度帯域内の全ての波長の光を抑制することはできない。そこで、フィルター19−1で抑制できなかった外光R3’を、反射部18の反射面18−1で抑制するようにしている。反射面18−1の反射特性の一例は後述する。このように、被検査体内を伝搬した外光R3’(伝搬光:ノイズ)が二段階で抑制されるので、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
なお、特許文献1は、指を透過する外光(例えば、特許文献1の図13の外光L2)の影響を検討しているが、手首の内部を伝搬した伝搬光の影響を検討していない。言い換えれば、本発明者は、フィルター19−1の透過特性及び反射面18−1の反射特性に代えて、650[nm]以下の波長のみの透過を許すフィルター(特許文献1の図4の破線で示される透過特性を示すフィルター)を生体情報検出器、特に手首装着型の生体情報検出器に適用した場合、手首の内部を伝搬した伝搬光の影響を無視できないことを認識した。
また、特許文献2も、指を透過する外光の影響を検討しているが、手首の内部を伝搬した伝搬光の影響を検討していない。言い換えれば、本発明者は、受光部16の感度波長帯域を700[nm]以下(例えば、特許文献2の図5で示される300[nm]〜600[nm]の主感度特性)に設定しても、手首の内部を伝搬した伝搬光の影響を無視できないことを認識した。
また、図1に示されるように、生体情報検出器は、接触部19及び基板11を含むことができる。接触部19は、被検査体との接触面を有する。発光部14は、接触部19の側に基板11に配置され、受光部16は、反射部18の側に基板11に配置される。接触部19及び基板11の双方は、発光部14が発する光の関心波長に対して透明な材料で構成される。接触部19は、例えば、ガラスで構成され、基板11は、例えば、ポリイミドで構成される。
基板11は、反射部18と接触部19との間に狭持されるので、発光部14及び受光部16が基板11に配置されたとしても、基板11それ自身を支持する機構を別途設ける必要がなく、部品点数が減少する。また、基板11は、関心波長に対して透明な材料で構成されるので、発光部14から受光部16に至る光路途中に基板11を配置でき、基板11を光路以外の位置例えば反射部18の内部に格納する必要がない。このように、容易に組み立て可能な生体情報検出器を提供することができる。また、反射部18は、受光部16に到達する光量を増加させることが可能であり、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
基板11の厚さは、例えば、10[μm]〜1000[μm]である。基板11には、発光部14への配線及び受光部16への配線を形成することができる。基板11は、例えばプリント基板であるが、一般には、プリント基板は、透明な材料で構成されていない。言い換えれば、本発明者らは、プリント基板を少なくとも発光部14の関心波長に対して透明な材料で構成することをあえて採用した。接触部19の厚さは、例えば、1[μm]〜3000[μm]である。
生体情報検出器の構成例は、図1によって限定されず、構成例の一部(例えば反射部18)の形状等は、変更してもよい。また、生体情報は、血液中の酸素飽和度、体温、心拍数等であってもよく、被検出部位Oが被検査体の表面SAにあってもよい。図1の例において、第1の光R1が1つの線として描かれているが、実際には、発光部14は、様々な方向に多くの光を発する。また、外光R3が2つの線として描かれているが、実際には、様々な方向から多くの外光が被検査体の内部に進入し、その結果として、実際には、被検査体内を伝搬した多くの外光R3’が生体情報検出器に向かう。
1.2. 外光の影響
図2(A)、図2(B)は、外光の進入経路の説明図である。様々な方向から多くの外光が被検査体の内部に進入するが、図2(A)に示されるように、平面視において、外光R3は、例えば被検出部位Oの末梢側(例えば手の甲の側)から中枢側(腕の付け根)への第1の方向DR1から被検査体の内部に進入する。外光R3は、被検査体の内部で、例えば腱や骨等の障害物の存在しない箇所で拡散又は散乱する。また、外光は、例えば被検出部位Oの中枢側から末梢側への第2の方向からも被検査体の内部に進入することができる。図2(B)に示されるように、第1の方向DR1に被検査体内を伝搬した外光R3’(伝搬光)は、被検査体の外部に戻る。本発明者は、このような伝搬光が生体情報検出器、特に手首装着型の生体情報検出器にノイズを与えることを認識した。他方、手首の裏側から表側に向かう外光R4は、被検査体の内部をほとんど透過せず、本発明者は、手首の裏側から表側に向かう外光R4の影響を検討する必要がないことを認識した。
図3の実線は、太陽光(広義には、外光R3)の強度特性の一例を示す。図3の例において、530[nm]の波長を持つ外光R3の強度が、最大値を示す。図3の点線は、実線で示す太陽光R3が手首の表面内部を伝搬した太陽光(広義には、被検査体内を伝搬した外光R3’)を示し、この太陽光R3’が受光部16にとってノイズとなり得る。なお、手首の表面内部を伝搬した太陽光R3’の強度は、太陽光R3そのものと比べて非常に小さいので、図3の例において、30倍に拡大されている。
図3に示されるように、手首の表面内部を伝搬した太陽光R3’は、710[nm]の波長で最大値を示している。また、手首の表面内部を伝搬した太陽光R3’は、生体の窓(700[nm]〜1100[nm]の範囲)の下限である700[nm]未満の波長を持つ。さらに、650[nm]の波長を持つ太陽光(伝搬光)R3’の強度は、最大値(710[nm])の90[%]を示し、650[nm]の波長を持つ太陽光(伝搬光)R3’の強度は、最大値の50[%]を示し、600[nm]の波長を持つ太陽光(伝搬光)R3‘の強度は、最大値の20[%]を示す。このことは、特許文献1で教示される650[nm]以下の波長のみの透過を許すフィルターでは、太陽光(伝搬光)R3’の影響を無視できず、特許文献2で教示される700[nm]以下の感度波長帯域を持つ受光部でも、太陽光(伝搬光)の影響を無視できないことを意味する。
加えて、590[nm]の波長を持つ太陽光(伝搬光)R3’の強度は、最大値(710[nm])の[10%]を示し、580[nm]の波長を持つ太陽光(伝搬光)R3’の強度は、最大値の5[%]を示す。特に、図3の例において点線で示される太陽光(伝搬光)R3’の波長580[nm]は、手首の表面内部を伝搬する外光強度の増加特性が、緩傾斜(第1の傾斜)C1から急傾斜(第2の傾斜)C2に移行する変化点の波長(λ1)である。580[nm]未満の波長を持つ太陽光(伝搬光)R3’の量は、太陽光(伝搬光)R3’全体の強度と比較すれば、5%未満と微少である。従って、変化点の波長(λ1)である580[nm]以上の波長の外光R3’が受光部16にとってノイズとなり得るものであり、変化点の波長(λ1)である580[nm]の波長の光は、被検査体内を伝搬した外光R3’のうちノイズとなり得る最短波長と呼ぶことができる。本発明者が図3に示す太陽光(伝搬光)の強度特性を検討した結果として、発光波長帯域(図6では最大範囲が485[nm]〜575[nm])より僅かに高い580[nm]以上の波長を持つ太陽光(伝搬光)R3’を効果的に抑制することが重要である。ただし、変化点の波長(λ1)は、関心波長(λ0)より高ければよく、発光波長帯域に含まれていても構わない。
なお、被検査体(ユーザー)の活動状況等により血液中のヘモグロビンと酸素との結び付き易さが変化し、被検査体内を伝搬した外光R3’のうちノイズとなり得る最短波長(580[nm])は、565[nm]〜595[nm]まで変化することがある。従って、抑制または除去したい光の波長帯域に応じて、関心波長、発光波長帯域、あるいはフィルター19−1での光抑制特性を適宜設定することができる。
1.3. 比較例及びフィルターの透過特性(光抑制特性)
図1には、フィルターとしてフィルター19−1が図示されているが、図示されていない他のフィルターを被検出部位Oと受光部16との間に設け、比較例を構成することができる。フィルター19−1で抑制できなかった外光R3’を、他のフィルター15で抑制することができる。このような比較例は、本出願時において当業者に公然と知られたものではなく、本出願時において新規な構成である。他のフィルター(図示せず)は、被検出部位Oと受光部16との間に設け、例えば基板11に配置することができる。他のフィルターは、図6に示す発光波長帯域(λ01〜λ02)内の関心波長(λ0:λ01<λ0<λ02)の光を透過させ、関心波長(λ0)よりも高い受光波長帯域内の第1の波長帯域(図4に示すλ11〜λ12:λ0<λ11<λ12)の光を抑制するものである。第1の波長帯域は、波長λ11から波長λ12までの帯域であり、波長λ11は、被検出部位Oの末梢側と被検出部位Oの中枢側との間で被検査体内を伝搬する外光強度R3’の増加特性が、図3に示す緩傾斜C1から急傾斜C2に移行する変化点の波長(λ1)以下である(λ0<λ11≦λ1)。
フィルター19−1は、関心波長(λ0)を透過させ、第2の波長帯域(図5(A)(B)のλ21〜λ22)の光を抑制する。第2の波長帯域の下限(λ21)は、フィルター19−1を通過する光の最大波長でもある。第2の波長帯域の下限(λ21)は、第1の波長(λ21)以上であり、上限(λ22)は第1の波長(λ21)よりも高く受光波長帯域(図7の最大波長λmax)以上の第2の波長(λ22)である。
こうして、比較例では、フィルター19−1及び他のフィルターは、発光波長帯域内の関心波長λ0を透過させ、受信感度帯域内にてノイズとなり得る伝播光R3’の最短波長(λ1)以上の全ての光を抑制することができる。
1.3.1. 他のフィルター特性の具体例
図4は、他のフィルターの透過特性の一例を示す。図4の例において、他のフィルターは、色素吸収フィルターである。図4の例では、600[nm]〜700[nm]の範囲の波長を持つ光の透過率は、0[%]を示す。580[nm]〜730[nm]の範囲の波長を持つ光の透過率は、5[%]以下を示す。565[nm]〜740[nm]の範囲の波長を持つ光の透過率は、10[%]以下を示す。他のフィルターが光抑制特性を示す第1の波長帯域とは、好ましくは透過率10%以下とすることができるが、比較例では、例えば透過率が5%以下の波長帯域である580[nm]〜730[nm]の範囲を第1の波長帯域と称する。透過率が好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下であれば、生体内部を伝搬する外光R3’は元々微弱強度であるので、10%以下の透過率に絞られた後に受光部16にて受光されたとしても、S/Nを比較的高く維持できるからである。このように、他のフィルターは、第1の波長帯域(例えば、波長λ11=580[nm]〜波長λ12=730[nm])の光を抑制することができる。第1の波長帯域が、少なくとも外光R3’(伝搬光)のうちノイズとなり得る最短波長(580[nm])から開始することで、特許文献1及び特許文献2で検討されていなかった太陽光(伝搬光)の影響を抑制することができる。
図3の例において点線で示される太陽光(伝搬光)R3’に関して、700[nm]以上の波長を持つ光の強度は、600[nm]付近の波長を持つ光の強度よりも大きい。従って、図4の例において、700[nm]以上の波長を持つ光R3‘の透過率の影響は、600[nm]付近の波長を持つ光の透過率の影響よりも大きい。図4の他のフィルター(色素吸収フィルター)の透過特性として、700[nm]以上の波長の光R3’透過率は上昇するので、特に700[nm]以上の波長の光R3’を抑制するためにフィルター19−1を設けることができる。
色素吸収フィルターは、吸収型の色素が混入された、例えばゼラチン樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂で構成することができ、樹脂シートであってもよい。なお、樹脂シートで構成される色素吸収フィルターは、例えば、特定の色を発する舞台照明装置に使用されることもある。また、色素吸収フィルターは、吸収型の色素が混入されたプラスチック(合成樹脂)で構成してもよく、例えばサングラスのレンズに使用されることもある。
比較例では、他のフィルター(色素吸収フィルター)は、フィルター19−1と一緒に使用することで、太陽光(伝搬光)の影響を抑制することができる。しかしながら、図4に示すように、関心波長λ0での透過率が60[%]程度であり、発明者は、関心波長λ0での透過率を上げる必要性を認識し、本実施形態では、他のフィルターの代わりに、反射部18の反射面18−1の反射特性(構造)を改良した。反射面18−1の反射特性の一例は後述する。
1.3.2. 図1のフィルター特性の具体例
図5(A)、図5(B)は、図1のフィルター19−1の透過特性の一例を示す。フィルター19−1は、単独で本実施形態に使用することができ、他のフィルターと一緒に比較例に使用することができる。図5(A)、図5(B)の例において、フィルター19−1は、誘電体多層フィルターである。図5(A)では、フィルター19−1に垂直に光(入射光)を透過させ、入射角θは、0[degree]である。図5(B)では、フィルター19−1に斜めに光を透過させ、入射光の入射角θは、45[degree]である。図5(A)、図5(B)に示すように、誘電体多層フィルターの透過率は、光の入射角θに依存する。
図5(A)の例では、670[nm]〜1300[nm]の範囲の波長を持つ光の透過率は、1[%]以下を示す。650[nm]〜1300[nm]の範囲の波長を持つ光の透過率は、5[%]以下を示す。645[nm]〜1300[nm]の範囲の波長を持つ光の透過率は、10[%]以下を示す。他のフィルターと同様に、入射角θが0[degree]の場合に透過率が例えば5%以下の波長帯域である650[nm]〜1300[nm]の範囲を、第2の波長帯域と称する。この場合も、透過率が例えば5%以下であれば、生体内部を伝搬する外光強度R3’は、元々微弱強度であるので、受光部16にて受光されたとしても、S/Nを比較的高く維持できるからである。このように、フィルター19−1は、第2の波長帯域(例えば、第1の波長λ21=650[nm]〜第2の波長λ22=1300[nm])の光を抑制することができる。比較例では、第2の波長帯域が、少なくとも第1の波長帯域の上限(例えば、波長λ12=740[nm])から、図7に示す受信感度帯域の最大波長λmax以上の第2の波長λ22までの光を抑制することで、他のフィルターでは抑制することができない太陽光(伝搬光)R3’の影響を抑制することができる。しかも、フィルター19−1及び他のフィルターが光を抑制する第1,第2の波長帯域を一部オーバーラップさせることで、一方のフィルター特性が減衰傾度(特に他のフィルターの波長700[nm]〜800[nm]の帯域の減衰傾度)を有していても、その減衰傾度となる帯域にて光抑制特性がオーバーラップしている他方のフィルターにより光を抑制することができる。
他のフィルターの特性を示す図4の例において、700[nm]付近の波長の透過率は、1[%]を超える。従って、比較例では、フィルター19−1(誘電体多層フィルター)の透過特性として、図5(A)に示されるように、700[nm]付近の波長の透過率は、例えば1[%]以下に設定することが好ましい。
入射角θが45[degree]の特性である図5(B)の例では、620[nm]〜1170[nm]の範囲の波長を持つ光の透過率は、5[%]以下を示す。615[nm]〜1175[nm]の範囲の波長を持つ光の透過率は、10[%]以下を示す。入射角θが45[degree]の場合に透過率が5%以下の波長帯域である620[nm]〜1170[nm]の範囲を、第2の波長帯域と称する。この場合も、透過率が例えば5%以下であれば、生体内部を伝搬する外光強度R3’は、元々微弱強度であるので、受光部16にて受光されたとしても、S/Nを比較的高く維持できるからである。このように、入射角θが45[degree]の場合でも、フィルター19−1は、第2の波長帯域(例えば、λ21=620[nm]〜第3の波長λ22=1170[nm])の光を抑制することができる。比較例では、入射角θが45[degree]の場合でも、第2の波長帯域が、少なくとも第1の波長帯域の上限(例えば、第2の波長λ12=740[nm])から、図7に示す受信感度帯域の最大波長λmax以上の第3の波長λ22までの光を抑制することで、他のフィルターでは抑制することができない太陽光(伝搬光)R3’の影響を抑制することができる。
誘電体多層フィルターは、複数の誘電体層を積層することで構成することができる。複数の誘電体層は、例えば第1の誘電体層と第2の誘電体層とを交互に複数回、例えばスパッタ装置で蓄積する。第1の誘電体層(例えば、TiO膜)の屈折率は、第2の誘電体層(例えば、SiO膜)の屈折率よりも高い。第1の誘電体層と第2の誘電体層との界面で発生する反射光の干渉により、誘電体多層フィルターは、第2の波長帯域の光を抑制することができる。
本実施形態では、他のフィルターの代わりに、反射部18の反射面18−1の反射特性を改良する。他のフィルター(関心波長λ0での透過率が60[%]程度)を用いない場合、図5(A)、図5(B)の例では、関心波長λ0でのフィルター19−1の透過率が90[%]を超え、高いS/Nを保持することができる。
本発明者が図5(B)の透過特性を検討した結果、45[degree]以下の入射角θを持つ光のみが受光部16に到達するように、反射面18−1が構成されることで、関心波長λ0を含む発光波長帯域(λ01〜λ02)の比較例での減衰を回避することができる。但し、図5(B)の例では、被検査体内を伝搬した外光(伝搬光)の影響が存在するので、本実施形態では、フィルター19−1への入射光の入射角θが所与の角度である時の第1の波長λ21は、被検査体内を伝搬した外光R3’のうちノイズとなり得る最短波長(580[nm])に設定することが好ましい。好ましいフィルター19−1の透過特性の一例は後述する。フィルター19−1への入射光の入射角θが所与の角度である時の第1の波長λ21は、フィルターへの入射光の入射角θが所与の角度である時にフィルターを透過する最大波長であり、カットオフ波長と称することができる。
1.4. 発光波長帯域と関心波長
図6は、発光部14が発する光の強度特性の一例を示す。図6の例において、525[nm]の波長を持つ光の強度が、最大値を示し、その強度で他の波長を持つ光の強度は正規化されている。また、図6の例において、発光部14が発する光の波長の範囲(発光波長帯域)は、485[nm]〜575[nm]である。図6の例では、505[nm]〜540[nm]の範囲の波長を持つ光の相対強度は、0.5(=50[%])以上を示す。言い換えれば、発光部14が発する光の半値幅は、30[nm]である。また、500[nm]〜555[nm]の範囲の波長を持つ光の相対強度は、0.1(=10[%])以上を示す。発光部14が発する光の関心波長は、最大値である525[nm]でもよく、例えば500[nm]〜555[nm]の範囲を発光部14が発する光の関心波長に設定してもよい。要は、関心波長λ0とは、発光波長帯域(λ01〜λ02)に含まれ、被検出部位Oにて吸光されて反射強度が変化する波長(広義には生体情報を含む波長)であって、かつ、フィルター19−1で抑制されない光の波長であれば良い。
図4に示す他のフィルターの透過特性において、発光波長帯域内の関心波長λ0を中心とする波長帯域500[nm]〜555[nm]の範囲の光の透過率は、第1の波長帯域の透過率(例えば、5[%]以下)よりも高い25%以上であり、関心波長λ0の光の透過率は40%以上である。また、図5(A)に示すフィルター19−1の透過特性において、発光波長帯域内の関心波長λ0を中心とする波長帯域500[nm]〜555[nm]の範囲の光の透過率は、第2の波長帯域の透過率(例えば、5[%]以下)よりも高い85%以上である。このように、他のフィルター及びフィルター19−1の双方は、発光部14が発する少なくとも関心波長λ0を含む発光波長帯域の一部又は全部の光を透過させることができる。なお、比較例では、他のフィルターを透過した関心波長λ0の光は減衰するので、図5(A)で示すように、フィルター19−1の透過率は、関心波長λ0に対して高い透過率を示すことが好ましい。本実施形態でも、一般に、フィルター19−1の透過率は、関心波長λ0に対して高い透過率を示すことが好ましい。
発光部14は、例えばLEDであり、LEDが発する光の波長は、被検出部位Oが吸光特性を示す波長帯域例えば425[nm]〜625[nm]の範囲に強度の最大値(広義には、ピーク値)を持ってもよく、例えば緑色の光が発せられる。発光部14の厚さは、例えば、20[μm]〜1000[μm]である。
1.5. 受光波長帯域
図7は、受光部16が受ける光の感度特性の一例を示す。図7の例において、875[nm]の波長を持つ光の感度が、最大値を示し、その感度で他の波長の持つ光の感度は正規化されている。図7の例において、受光部16は、Siフォトダイオードである。受光部16は、図7の例に限定されず、例えば800[nm]〜1000[nm]の範囲に感度の最大値(広義には、ピーク値)を持つ他のSiフォトダイオードでもよい。また、受光部16は、例えば550[nm]〜650[nm]の範囲に感度の最大値(広義には、ピーク値)を持つGaAsPフォトダイオード等のフォトダイオードであってもよい。受光部16の厚さは、例えば、20[μm]〜1000[μm]である。Siフォトダイオードは、GaAsPフォトダイオードよりも安価であるが、赤外線を感知するので、比較例では、他のフィルターだけでなく、フィルター19−1も必要となる。
図7の例において、1050[nm]の波長を持つ光の相対感度は、0.1(=10[%])を示す。受光部16の感度波長帯域は、例えば相対感度が0.1以上に設定することができ、380[nm]〜1050[nm]の範囲であってもよい。受光部16の感度波長帯域の上限(λmax=1050[nm])で、フィルター19−1の第2の波長帯域(広義には、フィルター帯域)が終了してもよい。
1.6. フィルターの配置
図1の例において、フィルター19−1は、被検出部位Oと受光部16との間の光路に設けられている。図1の例では、外光R3’(伝搬光)が生じる場所と反射光R1’が生じる場所は異なるが、被検出部位O付近の被検査体まで、外光R3は、伝搬する。即ち、被検出部位Oと受光部16との間の光路にフィルター19−1を設ければ、外光R3’(伝搬光)を抑制することができる。手首装着型の生体情報検出器では、歩行中等の手首の動きに伴い、外部の太陽光等の外光R3が生体情報検出器に進入し易いので、フィルター19−1の存在は、重要である。
図1の例では、フィルター19−1は、接触部19に配置されている。フィルター19−1が図5(A)に示す透過特性を示す誘電体多層フィルターである場合、発光部14が発する光の関心波長は、フィルター19−1を透過し、ほとんど減衰しない。従って、第2のフィルター19−1は、発光部14と被検出部位Oとの間の光路に設けることができる。接触部19は、被検査体との接触面を有し、接触面は、平坦である。フィルター19−1が誘電体多層フィルターである場合、平坦性の高い接触部19に誘電体多層を積層することは、容易である。言い換えれば、入射角θに依存する誘電体多層フィルター19−1は、平坦性が高い程、赤外線をより効果的に抑制することができる。但し、接触部19の接触面に誘電体多層フィルターを配置する場合、被検査体の油等の影響により、誘電体多層フィルターの性能が劣化する。従って、フィルター19−1は、接触部19の接触面を除く、被検出部位Oと受光部16との間の光路に設けることが好ましい。例えば、フィルター19−1は、図1に示すように、接触面と対向する面(対向面)に配置することが好ましい。なお、フィルター19−1は、接触部19の内壁全体に配置してもよい。
1.7. 反射面の反射特性
図8(A)、図8(B)は、反射部18の反射面18−1の反射特性の一例を示す。図1の例では、断面視において、反射部18の反射面18−1は、球面を規定する円弧を表し、図8(A)の例では、円弧の曲率半径は、2.55[mm]であり、円弧の高さは、1.25[mm]である。図8(B)の例では、円弧の曲率半径は、3.5[mm]であり、円弧の高さは、1.7[mm]である。図8(A)、図8(B)において、反射部18への入射光の強度を最大値に設定する場合、その強度で反射面18−1での反射光の強度は正規化されている。また、図1の第1の方向DR1の入射角を例えば正の入射角とし、図1の第1の方向DR1の反対方向の入射角を例えば負の入射角とすることができる。
図8(A)の例では、26[degree](所与の角度)以下の入射角θ(絶対値)を持つ光のみが受光部16に到達することが理解できる。図8(B)の例では、19[degree]以下の入射角θ(絶対値)を持つ光のみが受光部16に到達することが理解できる。このように、反射部18の反射面の構造(形状)によって、所与の角度よりも大きい入射角を持つ光が受光部16に到達することを抑制することができる。なお、反射面18−1の反射特性は、図8(A)、図8(B)の例に限定されず、例えば円弧の曲率半径や高さを調節することで、所与の角度を調節することができる。また、反射部18の反射面18−1は、断面視において球面を規定する円弧に限定されず、他の形状でも、所与の角度を調節することができる。
1.8. 好ましいフィルターの透過特性(光抑制特性)
図9は、好ましいフィルター19−1の透過特性の一例を示す。図9の例において、フィルター19−1は、誘電体多層フィルターであり、フィルター19−1に斜めに光を透過させ、入射角θは、30[degree]である。フィルター19−1への入射光の入射角θが30[degree]である時の第1の波長λ21(カットオフ波長)は、被検査体内を伝搬した外光R3’のうちノイズとなり得る最短波長(580[nm])に設定することができる。これにより、ノイズを効果的に抑制することができる。また、図9に示されるような透過特性を持つフィルター19−1を採用する場合、30[degree]以下の入射角θを持つ入射光のみが受光部16に到達するように、反射面18−1を設計することが好ましい。
1.9. 生体情報検出器の他の構成例
図10は、本実施形態の生体情報検出器の他の構成例を示す。図10に示されるように、基板11の第1の面(例えば、表面)及び第1の面と対向する第2の面(例えば、裏面)に光透過膜11−1を形成することができる。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、光透過膜11−1は、第1の面だけに形成されてもよく、又は、第2の面だけに形成されてもよい。また、図10の例において、光透過膜11−1は、発光部14及び受光部16が配置されていない基板11の光透過領域に形成される。光透過膜11−1は、例えば、ソルダーレジスト(広義には、レジスト)で構成することができる。
図10の例において、発光部14への配線及び受光部16への配線は、省略されているが、基板11上の配線が剥離しないように、基板11の第1の面及び第2の面は、粗面加工することができる。従って、第1の面及び第2の面に光透過膜11−1を形成することにより、基板11の表面の粗面を光透過膜で埋め込んで、基板11全体の平坦性は、向上する。言い換えれば、基板11上の光透過膜11−1は、平坦であるので、光が基板11を透過する時、基板11の表面の粗面での光の拡散を減少させることができる。言い換えれば、光透過膜11−1の存在により、基板11の透過率が向上する。従って、受光部16に到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度はさらに向上する。
なお、光透過膜11−1の屈折率は、空気の屈折率と基板11の屈折率の間であることが好ましい。さらに、光透過膜11−1の屈折率は、空気の屈折率よりも、基板11の屈折率に近い方が好ましい。このような場合、界面での光の反射を減少させることができる。
1.10. 光透過性基板
図11は、光透過膜11−1がコーティングされた基板11を通る光の透過特性の一例を示す。図11の例において、基板11を透過する前の光の強度と基板11を透過した後の光の強度とを用いて、透過率が計算されている。図11の例において、生体の窓の下限である700[nm]以下の波長領域において、525[nm]の波長を持つ光の透過率が、最大値を示す。或いは、図11の例において、生体の窓の下限である700[nm]以下の波長領域において、光透過膜11−1を通る光の透過率の最大値は、発光部14が発する光の波長の強度の最大値の±10%以内の範囲に入ってもよい。このように、光透過膜11−1は、発光部14が発する光(例えば、図10の第1の光R1(狭義には、第1の光R1の反射光R1’))を選択的に透過させることが好ましい。光透過膜11−1の存在により、基板11の平坦性を向上するとともに、受光部16の効率の低下をある程度防止することができる。なお、図11の例で示したように、例えば可視光領域において、525[nm]の波長を持つ光の透過率が最大値(広義には、ピーク値)を示す場合、光透過膜11−1は、例えば緑色を示す。
図12は、図10の光透過膜11−1の平面視における外観例を示す。図12に示されるように、(例えば、図10の受光部16の側の)平面視において、光透過膜11−1が形成された基板11は、長方形を示す。図12の例において、基板11の第1の面(例えば、表面)の上には受光部16が置かれている。光透過膜11−1は、受光部16が置かれていない基板11の第1の面の領域に形成することができる。
具体的には、基板11の第1の面の上には、例えば受光部16のアノードと接続するための配線61も形成され、また、例えば受光部16のカソードと接続するための配線62も形成される。図12の例において、配線61は、例えばボンディングワイヤ61−1を介して受光部16のアノードと接続され、また、配線62は、受光部16のカソードと直接接続される。基板11上に配線61及び配線62を形成した後で、基板11の第1の面の上に光透過膜11−1を塗布することができる。即ち、光透過膜11−1は、配線61及び配線62の上に形成してもよい。但し、受光部16並びに配線61及び配線62が置かれていない基板11の領域(光透過領域)だけに、光透過膜11−1を選択的に塗布してもよい。
その後、基板11(及び光透過膜11−1)の上に、反射部18を形成又は固定することができる。図6に示されるように、平面視において、反射部18の外形は、四角形を示し、反射部18の反射面18−1(ドーム面)と基板11(光透過膜11−1)との境界の外形は、円形を示す。また、境界18−1(円形)の内部における光透過領域だけに、光透過膜11−1を選択的に塗布してもよい。言い換えれば、受光部16が受ける光が透過する光透過領域だけに、光透過膜11−1を選択的に塗布してもよい。
図12の例において、基板11の第2の面(例えば、裏面)の上には発光部14が置かれている。第1の面と同様に、光透過膜11−1は、発光部14が置かれていない基板11の第2の面の領域に形成することができる。光透過膜11−1は、少なくとも光透過領域(発光部14が発する光が透過する光透過領域)に形成することが好ましい。なお、図12の例において、配線63は、基板11の端部11−2において、第1の面に形成され、基板11を貫き、第2の面に形成される。配線64も、基板11の端部11−2において、第1の面に形成され、基板11を貫き、第2の面に形成される。配線63は、例えばボンディングワイヤ63−1を介して第2の面側で発光部14のカソードと接続され、また、配線64は、例えばボンディングワイヤ64−1を介して第2の面側で発光部14のアノードと接続される。また、反射部18と接触部19との間に挟持された基板11の端部11−2を外部に突出させることで、発光部14及び受光部16への配線を容易に外部に取り出すことができる。
図13は、基板11の収納例を示す。図13の例において、基板11は、フレキシブル基板で構成することができる。従って、基板11の端部11−2は、折り曲げ可能である。基板11は、図13で示されるように、基板11の端部11−2を折り曲げた状態で、コンピューターのマザーボード(例えば後述する生体情報測定装置を構成する主要な基板)82に接続することができる。言い換えれば、基板11を折り曲げることで、小型な生体情報検出器を提供することができる。なお、図13において、光透過膜11−1は、省略されている。また、発光部14及び受光部16も省略されている。発光部14への配線及び受光部16への配線は、例えば図12で示すように、基板11に形成することができ、配線は、コネクター84を介してマザーボード82上の制御回路と発光部14及び受光部16とを接続することができる。
基板11は、反射部18と接触部19との間に狭持され、これにより、反射部18は、基板11に固定される。反射部18の反射面と基板11とで形成される空間には、発光部14又は受光部16の何れか一方を配置することができる。反射部18が固定される基板11は、局所的に折り曲げ不可能である一方、反射部18が固定されていない基板11の端部11−2は、折り曲げ可能である。基板11は反射部18と接触部19との間に狭持されるので、基板11自体に剛性がないフレキシブル基板であっても、発光部14及び受光部16を基板11に搭載して支持することができる。
1.11. 生体情報検出器のさらに他の構成例
図14は、本実施形態の生体情報検出器のさらに他の構成例を示す。図14に示されるように、生体情報検出器は、光を反射させる反射部92を含むことができる。以下の説明において、反射部92を第1の反射部と呼び、図1等の反射部18を第2の反射部と呼ぶ。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。図14の例において、基板11の上に光透過膜11−1が形成された後に、第1の反射部92及び受光部16が配置されている。
図14の例において、生体情報検出器は、発光部14、第1の反射部92、受光部16及び第2の反射部18を含む。発光部14は、被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位Oに向かう第1の光R1及び被検出部位Oとは異なる方向(第1の反射部92)に向かう第2の光R2を発する。第1の反射部92は、第2の光R2を反射させて被検出部位Oに導く。受光部16は、第1の光R1及び第2の光R2が被検出部位Oにて反射された、生体情報を有する光R1’、R2’(反射光)を受ける。第2の反射部18は、被検出部位Oからの生体情報を有する光R1’、R2’(反射光)を反射させて受光部16に導く。第1の反射部92の存在により、被検査体(ユーザー)の被検出部位Oに直接到達しない第2の光R2も、被検出部位Oに到達する。言い換えれば、第1の反射部92を介して被検出部位Oに到達する光量が増加し、発光部14の効率が高まる。従って、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
図14の例において、第2の光R2は、被検査体の内部に進み、被検出部位Oでの反射光R2’は、第2の反射部18に向かう。生体情報(脈拍数)は、被検出部位Oでの反射光R2’にも反映される。図14の例において、第1の光R1は、被検査体の表面(皮膚表面)SAで部分的に反射される。被検出部位Oが被検査体の内部にある場合、生体情報(脈拍数)は、被検査体の表面SAでの反射光R1’’(直接反射光)に反映されない。
図14の例において、発光部14は、被検出部位Oと対向し、第1の光R1を発する第1の発光面14Aを有することができる。また、発光部14は、第1の発光面14Aの側面であって、第2の光R2を発する第2の発光面14Bをさらに有することができる。この場合、第1の反射部92は、第2の発光面14Bを囲む壁部を有することができ、この壁部は、第2の光R2を被検出部位Oに向けて反射させる第1の反射面(図15(A)〜図15(C)に示す符号92−2に対応)を有することができる。なお、第2の光R2は必ずしも第2の発光面14Bから発せられるものに限らない。要は、第1の反射面(図15(A)〜図15(C)の符号92−2)は、発光部14から直接に被検出部位Oに向う光以外の光(第2の光R2)を反射させて、被検出部位Oに導くものである。
第1の反射部92の壁部は、被検査体の表面にて反射された生体情報を有しない光(無効光:ノイズ)を反射させることによって、生体情報を有しない光が受光部16に入射することを抑制する第2の反射面(図15(A)及び図15(C)に示す符号92−3に対応)をさらに有することができる。
また、接触部19は、第1の反射部92と被検出部位Oとの間の隙間(例えばΔh2)を確保することができる。さらに、第1の反射部92と接触部19との間の隙間(例えばΔh2’)も存在する。
断面視において、基板11の第1の面に平行な方向における第1の反射部92の長さの最大値をW1とし、その方向における受光部16の長さの最大値をW2とすると、W1≦W2の関係式を満たすことができる。基板11は、被検出部位Oに発せられる第1の光R1の反射光R1’等を透過させる。第1の反射部92の長さの最大値W1を受光部16の長さの最大値W2以下にすることにより、第2の反射部18に到達する光量を増加させることができる。言い換えれば、第1の反射部92が被検出部位Oにおける反射光R1’を遮断または反射しないように、第1の反射部92の長さの最大値W1を設定することができる。
図15(A)、図15(B)、図15(C)は、図14の第1の反射部92の構成例を示す。図15(A)に示されるように、第1の反射部92は、発光部14を支持する支持部92−1と、発光部14の第2の発光面14Bを囲む壁部の内壁面92−2及び頂面92−3と、を有することができる。なお、図15(A)〜図15(C)において、発光部14は省略されている。図15(A)の例において、第1の反射部92は、内壁面92−2において第2の光R2を被検出部位Oに反射させることができ(図14参照)、内壁面92−2に第1の反射面を有する。支持部92−1の厚さは、例えば、50[μm]〜1000[μm]であり、壁部(92−3)の厚さは、例えば、100[μm]〜1000[μm]である。
図15(A)の例では、内壁面92−2は、断面視において、幅方向(第1の方向)にて第1の反射部92の中心から遠ざかる位置ほど、高さ方向(第1の方向と直交する方向)にて被検出部位O側に変位する斜面(92−2)を有する。図15(A)の斜面(92−2)は、断面視において、傾斜平面で形成されているが、例えば図15(C)で示される湾曲面等の斜面であってもよい。内壁面92−2は傾斜角度が異なる複数の傾斜平面で形成されてもよく、或いは複数の曲率を持つ湾曲面で形成されてもよい。第1の反射部92の内壁面92−2が斜面を有する場合、この第1の反射部92の内壁面92−2は、第2の光R2を被検出部位Oに向けて反射させることができる。言い換えれば、この第1の反射部92の内壁面92−2の斜面は、発光部14の指向性を高めた第1の反射面と言うことができる。このような場合、被検出部位Oに到達する光量は、さらに増加する。また、図15(A)、図15(C)の頂面92−3は、例えば図15(B)に示されるように省略してもよい。第1の反射部92が頂面92−3を有する場合、被検査体の表面SAでの反射光R1’’(直接反射光)を被検出部位O又はその周辺に反射させることができ、その反射光R1’’は、受光部16に到達することが抑制される(図14参照)。つまり、図15(A)、図15(C)の頂面92−3は、第2の反射部18及び受光部16に到達しようとする直接反射光(広義には、ノイズ)を反射させてノイズを減少させる第2の反射面と言うことができる。なお、図15(A)〜図15(C)では、符号92−4で示す範囲が鏡面部として機能する。
図14の例において、第1の反射部92は、被検査体の表面SAとの間の最短距離を規定する発光部14の面(例えば第1の発光面14A)を基準として、例えば所与の高さΔh1(例えば、Δh1=50[μm]〜950[μm])だけ、被検出部位Oに向かって突出させてもよい。言い換えれば、発光部14と被検査体の表面SAとの間の最短距離である隙間(例えばΔh0=Δh1+Δh2)よりも、第1の反射部92と被検査体の表面SAとの間の隙間(例えばΔh2=Δh0−Δh1=200[μm]〜1200[μm])は、小さくすることができる。従って、第1の反射部92は、例えば発光部14からの突出量Δh1の存在により第1の反射面(92−2)の面積が増加して、被検出部位Oに到達する光量を増加させることができる。また、被検出部位Oにおける反射光は、第1の反射部92と被検査体の表面SAとの間の隙間Δh2の存在により、光が被検出部位Oより第2の反射部18に到達する光路を確保することができる。また、第1の反射部92が第2の反射面(92−3)を有する場合には、Δh1及びΔh2を調整することで、生体情報を有する光(有効光)と生体情報を有しない光(無効光:ノイズ)が受光部16へ入射する量をそれぞれ調整でき、それによりS/Nをさらに向上させることができる。
図16(A)、図16(B)は、図14の第1の反射部92及び発光部14の平面視での外観例を示す。図16(A)の例では、(例えば、図14の被検出部位Oの側の)平面視において、第1の反射部92の外周は、円を表し、円の直径は、例えば、直径200[μm]〜11000[μm]である。図16(A)の例において、第1の反射部92の壁部(92−2)は、発光部14を囲む(図14、図15(A)参照)。また、第1の反射部92の外周は、平面視において、例えば図16(B)に示すように、四角形(狭義には、正方形)を表してもよい。また、図16(A)、図16(B)の例では、(例えば、図14の被検出部位Oの側の)平面視において、発光部14の外周は、四角形(狭義には、正方形)を表し、正方形の1辺は、例えば、100[μm]〜10000[μm]である。また、発光部14の外周は、円形を表してもよい。
第1の反射部92は、それ自身を金属で形成し、その表面を鏡面加工することで、反射構造(狭義には、鏡面反射構造)を有する。なお、第1の反射部92は、例えば樹脂で形成し、その表面に鏡面加工してもよい。具体的には、例えば、第1の反射部92の下地金属を準備し、その後、その表面を例えばめっきする。或いは、例えば、熱可塑性樹脂を第1の反射部92の金型(図示せず)に充填して成形し、その後、その表面に例えば金属膜を蒸着する。
図16(A)、図16(B)の例では、(例えば、図14の被検出部位Oの側の)平面視において、第1の反射部92は、発光部14を直接支持する領域以外の領域(支持部92−1の一部、壁部の内壁面92−2及び頂面92−3)が露出する。この露出する領域は、図15(A)の例では、鏡面部92−4として示されている。なお、図15(A)の例において、鏡面部92−4を表す点線は、第1の反射部92の内側に位置しているが、実際には、鏡面部92−4は、第1の反射部92の表面に形成されている。
図15(A)、図15(B)、図15(C)の例において、鏡面部92−4は、高い反射率を有することが好ましい。鏡面部92−4の反射率は、例えば、80%〜90%以上である。また、鏡面部92−4は、内壁面92−2の斜面だけに形成することができる。鏡面部92−4が内壁面92−2の斜面だけでなく、支持部92−1にも形成される場合、発光部14の指向性は、さらに高くなる。鏡面部92−4が頂面92−3に形成される場合、この第1の反射部92は、例えば図11に示されるように、被検査体の表面SAでの反射光R1’’(直接反射光:無効光)を被検出部位O又はその周辺に反射させることができ、その反射光R1’’は、第2の反射部18及び受光部16に到達することが抑制される。発光部14の指向性が高くなり、また、直接反射光(広義には、ノイズ)が減少するので、生体情報検出器の検出精度は向上する。
図17は、図14の受光部16の外観例を示す。図17の例では、(例えば、図14の第2の反射部18の側の)平面視において、受光部16の外周は、四角形(狭義には、正方形)を表し、正方形の1辺は、例えば、100[μm]〜10000[μm]である。また、第1の反射部92の外周は、(例えば、図11の第2の反射部18の側の)平面視において、円を表す。第1の反射部92の外周は、図16(B)の例のように、四角形(狭義には、正方形)を表してもよい。また、受光部16の外周は、円形を表してもよい。
図17の例において、線分A−A’で示されるように、第1の反射部92の長さの最大値をW1とし、受光部16の長さの最大値をW2とすると、W1≦W2の関係式を満たすことができる。図17の線分A-A’を用いた断面図は、図14に対応する。図14の線分B-B’を用いた断面図は、第1の反射部92の長さの最大値W1は、受光部16の長さの最小値は、より大きい。第1の反射部92の長さの最大値W1は、受光部16の長さの最小値以下に設定してもよいが、第1の反射部92の効率(広義には、発光部14の効率)は、減少する。図17の例では、発光部14の効率を維持しながら反射光R1’を遮断または反射しないように、第1の反射部92の長さの最大値W1は、受光部16の長さの最大値W2以下に設定し、且つ第1の反射部92の長さの最大値W1は、受光部16の長さの最小値より大きく設定する。
2. 生体情報測定装置
図18(A)、図18(B)は、図1等の生体情報検出器を含む生体情報測定装置の外観例である。図18(A)に示されるように、例えば図1の生体情報検出器は、生体情報検出器を被検査体(ユーザー)の腕(狭義には、手首)に取り付け可能なリストバンド150をさらに含むことができる。図18(A)の例において、生体情報は、脈拍数であり、例えば「72」が示されている。また、生体情報検出器は、腕時計に組み込まれ、時刻(例えば、午前8時15分)が示されている。また、図18(B)に示されるように、腕時計の裏蓋に開口部が設けられ、開口部に例えば図1の接触部19が露出する。図18(B)の例において、第2の反射部18及び受光部16は、腕時計に組み込まれている。図18(B)の例において、第1の反射部92、発光部14、リストバンド150等は、省略されている。
図19は、生体情報測定装置の構成例を示す。生体情報測定装置は、図1等の生体情報検出器と、生体情報検出器の受光部16において生成される受光信号から生体情報を測定する生体情報測定部とを含む。図19に示すように、生体情報検出器は、発光部14と受光部16と発光部14の制御回路161とを有することができる。生体情報検出器は、受光部16の受光信号の増幅回路162をさらに有することができる。また、生体情報測定部は、受光部16の受光信号をA/D変換するA/D変換回路163と脈拍数を算出する脈拍数算出回路164とを有することができる。生体情報測定部は、脈拍数を表示する表示部165をさらに有することができる。
生体情報検出器は、加速度検出部166を有することができ、生体情報測定部は、加速度検出部166の受光信号をA/D変換するA/D変換回路167とデジタル信号を処理するデジタル信号処理回路168とをさらに有することができる。生体情報測定装置の構成例は、図17によって限定されない。図19の脈拍数算出回路164は、例えば生体情報検出器を組み込む電子機器のMPU(Micro Processing Unit)であってもよい。
図19の制御回路161は、発光部14を駆動する。制御回路161は、例えば、定電流回路であり、所与の電圧(例えば、6[V])を保護抵抗を介して発光部14に供給し、発光部14に流れる電流を所与の値(例えば、2[mA])に保つ。なお、制御回路161は、消費電流を低減するために、発光部14を間欠的に(例えば、128[Hz]で)駆動することができる。制御回路161は、例えば図13のマザーボード82に形成され、制御回路161と発光部14との配線は、例えば、図1の基板11に形成される。
図19の増幅回路162は、受光部16において生成される受光信号(電流)から直流成分を除去し、交流成分だけを抽出し、その交流成分を増幅して、交流信号を生成することができる。増幅回路162は、例えばハイパスフィルターで所与の周波数以下の直流成分を除去し、例えばオペアンプで交流成分をバッファーする。なお、受光信号は、脈動成分及び体動成分を含む。増幅回路162又は制御回路161は、受光部16を例えば逆バイアスで動作させるための電源電圧を受光部16に供給することができる。発光部14が間欠的に駆動される場合、受光部16の電源も間欠的に供給され、また交流成分も間欠的に増幅される。増幅回路162は、例えば図13のマザーボード82に形成され、増幅回路162と受光部16との配線は、例えば、図1の基板11に形成される。また、増幅回路162は、ハイパスフィルターの前段で受光信号を増幅する増幅器を有してもよい。増幅回路162が増幅器を有する場合、増幅器は、例えば、図12の基板11の端部11−2に形成される。
図19のA/D変換回路163は、増幅回路162において生成される交流信号をデジタル信号(第1のデジタル信号)に変換する。図19の加速度検出部166は、例えば3軸(X軸、Y軸及びZ軸)の加速度を検出して、加速度信号を生成する。体(腕)の動き、従って生体情報測定装置の動きは、加速度信号に反映される。図19のA/D変換回路167は、加速度検出部166において生成される加速度信号をデジタル信号(第2のデジタル信号)に変換する。
図19のデジタル信号処理回路168は、第2のデジタル信号を用いて、第1のデジタル信号の体動成分を除去し又は低減させる。デジタル信号処理回路168は、例えば、FIRフィルター等の適応フィルターで構成することができる。デジタル信号処理回路168は、第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を適応フィルターに入力し、ノイズが除去又は低減されたフィルター出力信号を生成する。
図19の脈拍数算出回路164は、フィルター出力信号を例えば高速フーリエ変換(広義には、離散フーリエ変換)によって周波数解析する。脈拍数算出回路164は、周波数解析の結果に基づき脈動成分を表す周波数を特定し、脈拍数を算出する。
図20(A)、図20(B)は、本実施形態の生体情報検出器の他の構成例を示す。図1等の生体情報検出器は、フィルター19−1を含むが、図20(A)、図20(B)に示すように、被検査体内を伝搬した外光R3’(伝搬光)は、フィルター19−1を透過し、受光部16に到達することもある。外光R3は、被検査体の内部で、例えば腱や骨等の障害物の存在しない箇所で拡散又は散乱するので、ノイズ情報が、被検査体内を伝搬した伝搬光R3’に反映される。被検査体内を伝搬した伝搬光R3’の影響を無視できない場合、生体情報検出器は、図20(A)、図20(B)に示すような第2の受光部16’を含むことができる。
受光部16を検出センサー部(第1のセンサー部)と呼ぶ場合、第2の受光部16’を補正センサー部(第2のセンサー部)と呼ぶことができる。図20(A)に示すように、フィルター19−1及び接触部19は、補正センサー部にも設けることができる。フィルター19−1を補正センサー部に設けない場合、受光部16が受ける第1のノイズ情報と第2の受光部16’が受ける第2のノイズ情報との差が大きくなってしまうという問題がある。
被検査体内を伝搬した伝搬光R3’がほぼ同じ条件で受光部16及び第2の受光部16’の双方に到達するために、生体情報検出器は、図20(A)に示すような反射部18’を含むことができる。反射部92、反射部18及び反射部18’は、それぞれ、第1の反射部、第2の反射部及び第3の反射部と呼ぶことができる。被検査体内を伝搬した伝搬光R3’は、実際には、多くの方向から生体情報検出器に進入するので、第1の反射部92の存在や、発光部14の存在により、被検査体内を伝搬した伝搬光R3’の一部は、第1の反射部92及び発光部14で遮断または反射されることもある。第2の反射部18の反射面(ドーム面)の面積をS1とし、第3の反射部18’の反射面の面積をS2とすると、図20(A)の例のように、S2<S1の関係式を満たすことが好ましい。S2<S1の関係式を満たす場合、第3の反射部18’の反射面の面積の減少分(=S1−S2)だけ、被検査体内を伝搬した伝搬光R3’を、第3の反射部18’に到達することを抑制させることができる。例えば、第3の反射部18’の反射面を規定する円弧の半径又は放物線の焦点距離を第2の反射部18の反射面を規定する円弧の半径又は放物線の焦点距離よりも小さくすることにより、S2<S1の関係式を満たしてもよい。
第2の反射部18及び第3の反射部18’を合成反射部と呼ぶ場合、図20(B)に示すように、第2の反射部18及び第3の反射部18’を単一の合成反射部で構成してもよい。また、図20(A)に示す単一の接触部19(合成接触部)は、図20(B)に示すように、接触部19及び第2の接触部19’で構成してもよい。なお、生体情報測定装置の構成例は、図20(A)、図20(B)によって限定されない。
図21は、受光部16及び第2の受光部16’の接続例を示す。図21で示すように、受光部16のアノードは、第2の受光部16’のカソードと接続され、合成受光部16’’を形成する。但し、受光部16のアノードは、第2の受光部16’のカソードと独立させ、受光部16において生成される信号(検出受光信号)は、第2の受光部16’において生成される信号(補正受光信号)と独立して取り出してもよい。
図21の例において、合成受光部16’’は、検出受光信号と補正受光信号との差を表す受光信号を出力する。受光部16において生成される検出受光信号は、発光部14が発する光に起因する生体情報及び外光に起因するノイズ情報を含み、第2の受光部16’において生成される補正受光信号は、外光に起因するノイズ情報を含むので、検出受光信号と補正受光信号との差を表す受光信号は、発光部14が発する光に起因する生体情報だけを表すことができる。言い換えれば、受光部16からの合成生体情報(被検出部位Oにおける生体情報及び外光R3に起因する第1のノイズ情報)は、第2の受光部16’からのノイズ情報(外光R3に起因する第2のノイズ情報)で補正することができる。第1のノイズ情報を第2のノイズ情報で補正又は相殺することにより、生体情報検出器の検出精度はさらに向上する。
また、図21の例に示すように、合成受光部16’’の受光信号をベースで入力して増幅するバイポーラトランジスター(広義には、増幅器184)を付加してもよい。さらに、受光部16のアノードと第2の受光部16’のカソードとの間に、抵抗器186を付加してもよい。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
11 基板、 11−1 光透過膜、 11−2 端部、 14 発光部、
14A 第1の発光面、14B 第2の発光面、16 受光部、
16’ 第2の受光部、 16’’ 合成受光部、 18 反射部(第2の反射部)、
18−1 反射面、 18’ 反射部(第3の反射部)、 19 接触部、
19−1 フィルター、 61,62,63,64 配線、
61−1,63−1,64−1 ボンディングワイヤ、 82 マザーボード、
84 コネクター、 92 反射部(第1の反射部)、 92−1 支持部、
92−2 内壁面(第1の反射面)、 92−3 頂面(第2の反射面)、
92−4 鏡面部、 150 リストバンド、 161 制御回路、
162 増幅回路、 163,167 A/D変換回路、 164 脈拍数算出回路、
165 表示部、 166 加速度検出部、168 デジタル信号処理回路、
DR1 第1の方向、 DR2 第2の方向、 O 被検出部位、 R1 第1の光、
R2 第2の光、 R3 外光、 R1’,R2’ 反射光(有効光)、
R1’’ 直接反射光(無効光)、 R3’ 伝搬光(ノイズ)、
SA 被検査体の表面、 W1 第1の反射部の長さの最大値、
W2 受光部の長さの最大値、 Δh 距離、 Δh0,Δh1 高さ、
Δh2,Δh2’ 隙間、θ 入射角

Claims (7)

  1. 被検査体の被検出部位に向けて、関心波長を含む発光波長帯域の光を発する発光部と、
    前記発光波長帯域を含む受光波長帯域に感度を有し、前記発光部が発する光が前記被検出部位にて反射された、生体情報を有する光を受ける受光部と、
    反射面を有し、前記生体情報を有する光を前記反射面で前記受光部に反射させる反射部と、
    前記被検出部位と前記受光部との間に設けられ、前記関心波長を透過させるフィルターと、を含み、
    前記フィルターへの入射光の入射角が所与の角度である時に、前記フィルターを通過する前記入射光の最大波長は、前記関心波長よりも高く、前記フィルターは、前記入射光の前記最大波長から少なくとも前記受光波長帯域の最大波長までの波長帯域の光を抑制し、
    前記所与の角度以下の入射角を持つ光のみが前記受光部に到達するように、前記反射面が構成されることを特徴とする生体情報検出器。
  2. 請求項1において、
    前記フィルターは、誘電体多層フィルターであることを特徴とする生体情報検出器。
  3. 請求項1又は2において、
    前記関心波長に対して透明な材料で構成され、第1の面に前記発光部が配置され、且つ前記第1の面と対向する第2の面に前記受光部が配置される基板と、
    前記基板に対して前記第1の面側に配置され、前記関心波長に対して透明な材料で構成され、前記被検査体との接触面を有する接触部と、
    をさらに含み、
    前記反射部は、前記基板に対して前記第2の面側に配置されることを特徴とする生体情報検出器。
  4. 請求項3において、
    前記第フィルターは、前記基板、前記受光部、前記反射部及び前記接触部のうち前記接触面を除く面の少なくとも1つに設けたことを特徴とする生体情報検出器。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記前記入射光の前記最大波長は、前記被検出部位の末梢側と前記被検出部位の中枢側との間で前記被検査体内を伝搬する外光強度の増加特性が、第1の傾斜から前記第1の傾斜よりも急峻な第2の傾斜に移行する変化点の波長であることを特徴とする生体情報検出器。
  6. 請求項5において、
    前記変化点の波長は、565nm〜595nmの範囲内であることを特徴とする生体情報検出器。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の生体情報検出器と、
    前記受光部において生成される受光信号から前記生体情報を測定する生体情報測定部と、を含み、
    前記生体情報は、脈拍数であることを特徴とする手首装着型の生体情報測定装置。
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