移植可能な脳神経刺激装置は、パーキンソン病、運動障害及び癲癇を含む幾つかの治療のための臨床診療に益々用いられてきている。さらに、現在の研究は、気分障害及び不安障害の治療のための神経刺激のための検査を含む。こうした装置は、特定の疾病の発現に関係した脳における或る特定の領域を刺激し又は抑制するための電気的刺激を用いる。医師らは、同様の治療効果を得るために脳構造の化学的又は光学的刺激の使用も考慮することができる。
現在の慣例は、しばしば、概して1ないし2mmの直径を有する柔軟性のあるケーブルから形成されるリードを用いる。さらに、かかるリードは、しばしば、図1に概略的に描かれるように、脳組織に供給されつつある電流の通じる複数の電気的接点を備えている。このようなリードは、直線的な案内管及び定位固定フレームに係合した機械的位置決めシステムを用いて患者の脳に位置づけられる。結果として、リードは、穿頭孔に対して直線に沿って移植されるのが普通である。
残念ながら、位置付け及び/又は挿入後の刺激リードの直線形状は、しばしば、所望の治療効果を得るために刺激される予定とされた目標脳領域の形状と良好に合致せず、これに加え又はそうでなくとも効果的に当該形状に順応しないものとなる。これら領域は、通常、図1に示されるように、ある程度湾曲した形状、例えばU字状の海馬形状を規定するものである。さらに、印加される電界のステアリングは、横方向の磁場勾配しか生起できないので非常に限定されたものとなり、これにより、刺激すべき神経組織のボリュームを選択する能力を大幅に制限することになる。
米国特許出願に係る文献のU.S.6,343,226には、移植可能なパルス発生器に接続される二次関数極深部脳刺激電極を用いて、例えば、パーキンソン病、癲癇、精神病及び難治性疼痛に見られるもののような中枢神経及び末梢神経系の障害による症状を治療するための電気刺激を展開した技術が記述されている。電極装置は、同時微小電極記録との組み合わせで大きな体積の神経組織の刺激を可能にするものが設けられる。他の特徴は、仮設の電気−生理学的マイクロレコーディング微小電極/スチレット1、湾曲した電極先端、分離した電極先端又は非対称電気刺激場を含む。この技術は、永続的深部脳刺激電極の配置との組み合わせで微小電極記録により最適神経刺激領域の外傷性の低い位置特定を見越すものである。
米国特許出願に係る文献のU.S.7,033,326には、脳刺激のためのリードを移植するシステム及び方法が記述されている。リード及び導入ツールは、深部脳刺激及び他の用途のために提案されている。幾つかの実施例は、探り針とともに置かれることのできるリードデザインを提供するものであり、他のものは探り針を必要としない。幾つかのリードの実施例は、標準的なワイヤ導電体を用いるが、他のものはケーブル導電体を用いる。いくつもの実施例が、微小電極及び/又は微小電極組立体を組み込む。或る特定の実施例は、カニューレ及び/又はカニューレシステムのような導入ツールを提供するものであり、例えばリードの適切な位置づけを確実にするものである。
米国特許出願の2005/0137647は、刺激リードを組織に直接接触するよう経脈管的に送る方法を記述している。この出願によれば、患者の不調を治療する方法は、血管内に刺激リードを送ること、出口ポイントを形成するよう血管の壁を内腔より穴を開けること、そして刺激が当該不調を治療するところの組織に直接接触するよう当該出口ポイントを通じて刺激リードを導入することを含む。オプションとして、この方法は、患者の体の中に刺激のソースを埋め込むこと、そしてその埋め込まれた刺激ソースに刺激リードの近位端部を電気的に結合することを含む。かかる刺激リードを用いて、当該組織は、当該不調を治療するために刺激させられることができる。
米国特許出願の2006/0122677は、深部脳刺激電極のための様々な装置及び方法を記述している。この出願は、シャフトと、シャフトにおける少なくとも1つの開口部と、開口部を通じて周囲組織の中へシャフトから展開する少なくとも1つの伸張可能な巻きひげ部と、巻きひげ部に設けられた電極とを備えた展開深部脳刺激プローブを有する装置を記述している。
米国特許出願の2006/0149335は、脳刺激のための装置及び方法を記述している。この出願は、長手状表面を備えたリードと、このリードの長手状表面に沿って設けられた少なくとも1つの刺激電極と、当該リードの長手状表面に沿って設けられ少なくとも1つの刺激電極から分離した少なくとも1つの記録電極とを含む脳刺激用装置を記述している。
米国特許出願の2004/0186544は、電気的組織刺激装置及び方法を記述している。この出願は、2次元又は3次元の電極を形成するよう開放組織スペースにおいて自らカールし戻す先端を有するワイヤ様延長可能部材を有する組織の電気的刺激のための移植可能なリードを記述している。電極は、リード本体から軸方向に又は別の方向に位置づけられることができる。リード本体又は延長可能な部材における牽引は、部材先端電極が巻き込み解除するので簡単に引き込み可能であり、大がかりな手術を伴うことなく除去することができる。
本開示内容は、脳などの解剖学的領域に関連した目標組織領域に順応するための少なくとも部分的に湾曲したリードを利用するシステム及び方法を提供するものである。目標組織領域は、図2及び図5に示されるような神経性刺激、脳活動記録又は薬剤/化学物質搬送などの治療を受けることになっている。模範的実施例において、リードは、挿入軌道の或る特定の曲率が達成されるような挿入中の機械的横歪みの下で予め曲げられるか又は整形させられるようにすることが可能である。
図1は、典型的な患者100の頭蓋骨101を貫通する伝統的なほぼ直線状の移植可能型医療装置103を示している。深部脳刺激ユニット103は、目標の組織領域102に到達し及び/又はこれを刺激するようにされている。但し、ユニット103は、ほぼ直線的である(すなわち、湾曲がない)ので、目標組織領域102の一部分だけがユニット103により到達可能である。
脳の目標組織領域の刺激について述べているが、限定はしないが目標組織活動(例えば脳活動)の記録及び薬剤/化学物質搬送を含む幾つもの他の治療のために挿入可能であることが分かる。図2は、図1に示されるような従来技術のシステムを凌ぐ特別な利点を示す本開示内容に関連した模範的実施例を示している。図2に示されるシステムに関連した特別な利点は、目標組織領域により規定される所期の幾何学的構造とより効果的に順応することができるように、限定はしないが、治療挿入ユニットに関連したリードを含む。図2は、典型的な患者200に関連した頭蓋骨201の中へ挿入される相当湾曲した脳刺激ユニット203を示している。湾曲ユニット203は、典型的な目標組織領域202と順応するよう適合させられる。
模範的実施例において、本来備わっている比較的に小さい機械的歪みを有するリードは、図4,図6及び図7に示されるような湾曲した軌道に沿ってリードを配置することを容易にする挿入ツールとの組み合わせで用いることができる。挿入ツールを用いることによって、柔軟な脳組織の特性と比較的同様の機械的特性を有するかなりソフトで柔軟性のあるリードの配置及び/又は挿入が可能となる。目標組織領域に対して同様の機械的特性を有するリードは、長期移植状態の下では普通の、瘢痕組織進行又は他の生体適合性反応のような望ましくない脳組織反応を軽減する際に効果的なものとすることができる。模範的実施例において、組み合わせシステムは、比較的ソフトな柔軟性リードとの組み合わせで予め引っ張られた取り外し可能型(すなわち除去可能型)ガイドワイヤ(どちらもシリンジのような搬送ユニットを介して所望の箇所に搬送させられる)を用いることを含む。
模範的実施例において、目標箇所の中へのリードの挿入は、挿入中に近位部分において機械的横歪みを誘発させることのできる挿入ツールにより案内される。以下の例は、本開示内容に関連した特定の模範的実施例を説明するものであり、そのような実施例に本開示内容の範囲を限定するものではない。むしろ、ここに提示される説明から当業者には容易に明らかになるように、本開示内容の主旨又は範囲から外れることなく変形、変更及び増強を含ませることができるものである。
例1
模範的実施例において、硬い予め湾曲させられたリードは、患者の頭蓋骨を貫通し、目標の脳組織領域などの目標箇所に到達し順応するようになる。この予め湾曲させられたリードは、円形の少なくとも部分的な孤を規定するようサイズ決めされかつ整形される。部分的に湾曲した挿入ツール(例えばシリンジ)は、システム全体の機械的強度を増加させこれにより挿入精度を向上させるよう、有利な形態で、移植中にリードと係合するものである。
図3Aは、本開示内容に関連した模範的挿入システム30を示している。模範的システム30は、内部挿入リード34を支持しこれと係合した外部挿入ツール32を含む。挿入ツール32は、頭蓋骨のような典型的目標領域を少なくとも部分的に貫通するよう適合させられる。これは、頭蓋骨31により取り巻かれる脳の一部のような目標組織領域に対してリード34の精細かつ効果的な位置決めを見越すものである。図3A及び図3Bに示される挿入ツール32は、リード34の外部にあり、これにより、リード34の外表面を取り巻き又はこれに対して少なくとも位置づけられる。図3Bは、挿入ツール32が頭蓋骨31を貫通しないように外部挿入ツール32により取り巻かれるリード34を有する挿入システム30の模範的実施例を示している。
模範的実施例において、模範的挿入ツールは、リードに対して外部に又はリードに対して内部に位置づけられることができる。図3Cは、模範的な内部リードに対する挿入ツールの幾何学的関係を示す模範的外部挿入ツール断面を示している。断面図301,302,303及び304は、リード及び挿入ツールの双方が相似の幾何学的構造を規定するように模範的理リードを取り巻く外部挿入ツールの断面図を表している。したがって、図301は、模範的内部リード134及び模範的外部挿入ツール132の円形の幾何学的構造を表し、図302は、模範的内部リード234及び模範的外部挿入ツール232の四角い幾何学的構造を表し、図303は、模範的内部リード334及び模範的外部挿入ツール332の楕円形の幾何学的構造を表し、図304は、模範的内部リード434及び模範的外部挿入ツール432の三角形の幾何学的構造を表す。
挿入角度制御を向上させるため、模範的挿入ツール(例えばシリンジ)は、非回転対称な断面の幾何学的構造を規定するものが用いられる。模範的断面図305,306及び307に示されるように、模範的外部挿入ツールの断面により規定される幾何学的構造は、模範的内部リードの断面により規定される幾何学的構造とは異なるものとすることができる。断面図305は、模範的な四角形のリード534を取り巻く模範的円形の外部挿入ツール532を示す。図306は、模範的な楕円形のリード634を取り巻く模範的な円形の外部挿入ツール632を示している。図307は、模範的な三角形のリード734を取り巻く模範的な円形の外部挿入ツール732を示している。内部リードについて述べているが、前に説明した幾何学的構造の実施例は、リードに対して内部に位置づけられる挿入ツールに係合した外部リードなどの代替えの実施例に適している。
例2
模範的実施例において、本開示内容は、移植中に挿入ツールに一時的に係合されその後に取り外されることのできる比較的にソフトな柔軟性のあるリードとの組み合わせで円形の幾何学的構造の略弧状部を規定する予め湾曲された挿入ツールを含む脳刺激システムを提供するものである。模範的実施例において、この挿入ツールはガイドワイヤである。本開示内容に関連した模範的実施例では、閉じられた近位端部を有する管状リードと組み合わされるガイドワイヤは、配置及び/又は移植処理の間にガイドワイヤの固定化を可能とし、目標の箇所に届くとガイドワイヤの実際の取り外しを容易にする。挿入ツールは、移植処理の終了において取り外し可能である。模範的実施例においては、付加的な挿入ツールを、全体の構成の機械的強度を高めこれにより挿入精度を上げるために移植の間に用いることができる。
図4Aないし図4Cにおいて説明され図示されるような柔軟リードを利用することに関連した特別な利点は、限定するものではないが、目標脳組織とほぼ同様の機械的特性を有しこれに伴い少なくとも或る一定の所望されない脳刺激及び/又は接触を回避するリードを含む。これにより、挿入及び/又は刺激プロセスの間において望まれない傷を生じる機会を大幅に減らすことができる。
図4Aは、本開示内容に関連した模範的挿入システム40を示している。模範的システム40は、外部リード44に係合した内部挿入ツール42を含む。挿入ツール42は、軟性リード44を特定の目標箇所(例えば目標の脳組織領域)に案内するよう適合したガイドワイヤとすることができる。模範的実施例において、ガイドワイヤ42は、挿入中にリード44に対して除去可能に係合され、リード44が目標組織領域に順応するよう移植されると取り外されることが可能である。これにより、頭蓋骨41により取り巻かれる脳の一部分の如き目標組織領域に対してリード44の精確かつ効果的な位置決めが可能となる。
図4Bは、本開示内容に関連した模範的挿入システム40´を示している。模範的システム40´は、リード44´に対し内部に位置づけられた第1の内部挿入ツール42´を含み、リード44´が頭蓋骨41内の目標脳組織領域のような目標箇所に届くようリード44´を案内するよう適合させられる。普通、第1の挿入ツール42´は、ガイドワイヤである。システム40´は、さらに、リード44´に対して内部に位置づけられ第1の挿入ツール42´を取り巻く第2の挿入ツール43を含む。模範的実施例において、リード44´は、閉じられた近位端を有するほぼ管状の幾何学的構造を規定する。第2の挿入ツール43は、第1の挿入ツール42´をほぼ取り囲む。
図4Cは、第1の挿入ツールを取り巻く第2の挿入ツールの幾何学的関係性を示した第1及び第2の挿入ツールの模範的な断面図を示している。断面図401,402及び403は、模範的第1の挿入ツールを取り巻く第2の外部挿入ツールの断面図を表している。模範的な図401は、模範的な第1の内部挿入ツール142と、模範的な取り巻きの第2の挿入ツール143とを示しており、どちらの挿入ツールも、ほぼ円形の幾何学的構造を規定するようなものとなっている。挿入角制御を改善するため、模範的挿入ツール(例えばシリンジ)は、非回転対称断面の幾何学的構造を規定するものが用いられる。模範的断面図402及び403に示されるように、模範的な内部の第1の挿入ツールの断面により規定される幾何学的構造は、模範的な取り巻きの第2の内部の挿入ツールの断面により規定される幾何学的構造とは異なるものとすることができる。断面図402は、模範的な四角い第1の挿入ツール242を取り巻く模範的な円形の第2の内部挿入ツール243を示している。図403は、模範的な三角形の第1の挿入ツール342を取り巻く模範的な円形の第2の内部挿入ツール343を示している。
例3
模範的実施例において、本開示内容に関連した刺激システムは、硬いが柔軟性のある機械的特性を有するように作られたリードを含む。このリードは、直線状部分と円形部の孤状部分とを有する形で事前に湾曲させられることが可能であり、この事前湾曲可能な点に加え、或いはこれに代わり湾曲させられることができる。図5は、リード554を含む模範的な刺激システム550を示す。図5に示されるように、システム550は、脳502に関連した目標組織領域に届くように模範的患者500に関連した頭蓋骨501を貫通している。リード554は、挿入ツール552により取り巻かれる。リード554は、直線状部555及び湾曲部556を含む。
湾曲部556は、目標組織領域の効果的治療(例えば刺激印加)のために目標組織領域に順応するとともに、脳502に関連した非目標組織領域の刺激及び破壊を回避するように適合される。模範的実施例において、挿入は、直線状のシリンジ様挿入ツール552により行われる。模範的実施例において、シリンジ552は、リード554のかなり湾曲した部分556を真っ直ぐにするとともに、リード554は、挿入の間、シリンジ552に対して内部に位置づけられる。さらにこれにより、リード554は、シリンジ552の近位端部を出た後に湾曲した軌道に従うことができる。
図5に示されるような円形及び/又は螺旋形の孤の幾何学的構造の実施例を用いることについての特別な利点は、挿入経路に近接した組織に対して生じうる脳組織損傷を制限することを含む。このリードは、挿入経路に沿って動くリード先端を含む。円形及び/又は螺旋の孤の実施例において、リードの全ての部分は、挿入中に当該リード先端と同じ経路に従う。付加的な利点は、目標組織領域の幾何学的構造に対して順応するためのより解剖学的な方向付け可能なリードの利点を得るよう当該軌道の最終的部分を除き、解剖学的目標領域に対する略線状及び/又は直線的挿入接近の伝統的な標準をサポートすることを含む。
模範的実施例において、図5に示されるように挿入処理に関連した脳組織損傷を制限することは、最小の残留歪みが挿入ツールの近位端において規定された出口開口部に存在するようにデザインされた近位端を有する挿入ツールを提供することにより達成される。模範的実施例において、これは、シリンジの出口チャネルをリード(湾曲部)の延長部分の所望の軌道に位置合わせすることによって達成される。模範的実施例において、出口チャネルは、リードの事前湾曲部と同じ半径を有する部分的に湾曲した部分を含む。普通、出口チャネル長及び直径は、リードの延在部の残留歪みが最小化されるようサイズ決めされ整形されるのが良い。模範的実施例において、挿入ツールは、移植処理の終わりにおいて除去されるように構成される。図3C及び図4Cを参照して説明した実施例と同様に、当該挿入角における制御を改善するため、非回転対称断面(例えば四角、楕円又は三角形)を有する挿入ツールを使うことができる。
リードを、図5に示されるようにリードの部分的に湾曲した部分に由来する目標組織領域の幾何学的構造と順応させることは、目標領域を刺激するために必要以上に長くない軌道を見越すものである。さらに、挿入軌道の計画に関する難しさは、当該軌道の殆どがほぼ直線的であるので、軽減される。硬いリードを用いる場合、(柔らかい)脳組織に関連した機械的特性は、リードのものと同様に合致せず、これにより、慢性使用又は挿入の間、局部的な脳損傷又は悪い組織応答のリスクを増加させる可能性がある。
例4
本開示内容は、移植中にガイドワイヤに対して一時的に係合させられその後に取り外されることの可能なソフトな柔軟性のあるリードとの組み合わせで直線状部分と湾曲部とを有する硬いが柔軟性のある予め湾曲させられた第1の挿入ツール(例えばガイドワイヤ)を含むシステムを提供するものである。上記例3についての実施例と同様に、ガイドワイヤの湾曲した部分を真っ直ぐにするとともに挿入中はシリンジの内部にあるものとし、リードに対して係合させられるガイドワイヤをシリンジの近位端を出た後に湾曲した軌道に従わせることを可能にする付加的な直線状のシリンジ様の第2の挿入ツールによって挿入を行うことができる。模範的実施例において、第1の挿入ツール(例えばガイドワイヤ)及び付加的な第2の挿入ツール(例えばシリンジ又はカニューレ)は、リードに対して外部か又は内部に位置づけることができる。
模範的実施例において、図5に示されるように挿入処理に関する脳組織損傷を制限することは、挿入ツールの近位端に規定された出口開口部に最小の残留歪みが存在するようにデザインされた近位端を有する挿入ツールを提供することによって達成可能である。模範的実施例において、これは、シリンジの出口チャネルをガイドワイヤ(湾曲部)の所望の軌道に位置合わせすることによって達成される。模範的実施例において、出口チャネルは、ガイドワイヤの予め湾曲した部分と同じ半径を有する部分的に湾曲した部分を含む。普通、出口チャネルの長さ及び直径は、リードの延長部分の残留歪みが最小化されるようにサイズ設定され整形されるのが良い。模範的実施例において、挿入ツール(例えば、シリンジ及びガイドワイヤ)は、移植処理の終わりに除去されるように適合される。図3C及び図4Cを参照して説明される実施例と同様に、挿入角について制御を改善するため、非回転対称な断面(例えば、四角形、長円形又は三角形)を有する挿入ツールを使うことができる。
例5
模範的実施例において、本開示内容に関連した刺激システムは、リードが図8に示したような略螺旋形状(すなわち、コルク抜き形状)を規定する点を除き、上記例1について説明したようなものと同様のリードを含む。図8は、脳802を閉じる頭蓋骨801を有する典型的患者800を示す。コルク抜き形状のリード884は、模範的な脳802に関連した目標組織領域に達しこれに順応するよう頭蓋骨801を貫通する。模範的実施例において、例1のように、リードは硬く予め湾曲させられている。例1及び例5に関連する特別の利点は、大きな直径の生理学的目標の場合、刺激ボリュームに関連した目標組織領域に対する順応が改善される点である。
例6
模範的実施例において、本開示内容に関連した挿入システムは、ガイドワイヤが略螺旋形状(すなわち、コルク抜き形状)を規定する点を除き、上記例5について説明したようなガイドワイヤと同様のガイドワイヤを含む。このガイドワイヤは、硬く予め湾曲させられたガイドワイヤであり、移植中にガイドワイヤに対して一時的に係合させられその後に取り外されることのできるソフトな柔軟性のあるリードとの組み合わせで利用可能なものである。
例7
模範的実施例において、本開示内容に関連した刺激システムは、リードが図9に示されるように直線状部分と螺旋(すなわちコルク抜き形状)部分とを有する硬い予め湾曲させられたリードである点を除き、上記例3について説明したようなリードと同様のリードを含む。図9は、脳902を取り囲む頭蓋骨901を有する典型的患者900を示す。模範的リード994は、脳902に関連した目標組織領域に届きかつ順応するように頭蓋骨901を貫通する。リード994は、リード994を目標組織領域に案内するために挿入ツール992に対して一時的に係合させられる。リード994は、直線状の(すなわち、ほぼ線状の)部分995と螺旋状(すなわちコルク抜き形状)の部分996とを含む。
例3を参照して説明した実施例と同様に、リード994の挿入は、リードのコルク抜き形状の部分を真っ直ぐにする一方で、挿入中はシリンジ内部にありリードが当該シリンジの近位端を出た後に湾曲状すなわちコルク抜き状軌道に従うようにすることを可能にする直線状シリンジ様挿入ツールを用いて達成することができる。脳組織損傷の制限をなすため、挿入ツールの近位端は、リードの延在部分において最小の残留歪みが存在するようにデザインされるのが良い。シリンジの出口チャネルをリードの延在部の所望の軌道に位置合わせすることは、歪みの最小化を可能にする。
図6を参照すると、模範的リード606は、直線状部607と螺旋状部608とを含む。模範的実施例において、螺旋状部分608は、2Rの直径を規定する円の湾曲部を作る。この湾曲部は、直線状部分607の延在突出部が608の螺旋状部分の外周に実質的に位置合わせされるように規定される。したがって、直線状部分607の延在突出部は、螺旋状部分608の中心軸と位置が合わない。608の周囲エッジに沿った607の関係を示す上面図は、図6において示される。
例8
模範的実施例において、本開示内容に関する挿入システムは、システムが、移植中にガイドワイヤに対して一時的に係合させられその後に取り外されることのできるソフトな柔軟性リードとの組み合わせで、直線状部分及び螺旋状(すなわち、コルク抜き形状)部分を有する硬い予め湾曲させられたガイドワイヤを含むことを除き、上記例7について説明したようなリードと同様のリードを含む。図5において前述したように、硬い予め湾曲させられたガイドワイヤは、移植中にガイドワイヤに対して一時的に係合させられその後に取り外されることのできるソフトなな柔軟性リードとの組み合わせで利用可能である。
例9
模範的実施例において、本開示内容に関連した挿入システムは、当該リードが、挿入中に少なくともその近位部分において機械的横歪みを(制御された態様で)一時的に誘発させその後に挿入ツールからの解放により当該歪みを解放する手段を有する予め湾曲させられていない相当にソフトで柔軟性のあるリードである点を除き、上記例1,3,5及び7について説明したようなリードと同様のリードを含むものである。この実施例に関する特別な利点は、直線状の挿入ツール(例えばシリンジ)を通じた湾曲したリード(又はリードの湾曲した部分)を通過しつつ、挿入力制御を改善することである。
例10
模範的実施例において、本開示内容に関連した挿入システムは、当該機械的横歪みが、遠位端から近位端への長手方向においてリードを通じて走る多数のワイヤにより発生する点を除き、上記例9について説明したようなものと同様のリードを含むものである。図10は、本開示内容に関する模範的な柔軟性リード1000を示しており、当該リードは、遠位端1003から近位端1002への長手方向においてリードを通じて走る複数のワイヤ1001を含む。ワイヤ1001は、機械的な横歪みを誘発させるよう適合させられる。
例11
模範的実施例において、本開示内容に関する刺激印加システムは、システムが、挿入中に少なくともその近位部分において機械的横歪みを(制御された方法で)一時的に誘発させる手段を有する予め湾曲されていない柔軟性ガイドワイヤを含むことを除き、上記例2,4,6及び8について説明したようなガイドワイヤと同様のガイドワイヤを含むものである。この実施例に関する特別の利点は、直線状挿入ツール(すなわちシリンジ)を通じて湾曲したリード(又はリードの湾曲部分)を通過させながら、挿入力制御が改善されることを含む。
例12
模範的実施例において、本開示内容に関する挿入システムは、機械的横歪みが、遠位端から近位端への長手方向においてガイドワイヤを通じて走る多数のワイヤにより例10と同様に発生されることを除き、上記例11について説明したようなリードと同様のリードを含むものである。
図6及び図7を参照して、例1ないし例12を参照して説明したような本開示内容に関するシステムの模範的実施例の特定の構成部をより詳しく説明する。図6は、解剖学的目標又は目標組織領域に対して遠位のほぼ直線状の部分602と、解剖学的目標に近接した曲率半径Rを規定する湾曲部603とを有する模範的な最も内側のガイドワイヤ601を示す。他の模範的実施例において、最も内側のガイドワイヤは、模範的な湾曲ガイドワイヤ604により示されるように全体的に湾曲させられたもの(すなわち、円形湾曲の孤)とすることができる。全部が湾曲したガイドワイヤ604を用いた模範的システムは、さらに、ガイドワイヤのものと等しい半径Rを規定する同様に湾曲した内側部分を規定する挿入片605を含む。
他の模範的実施例において、最も内側のガイドワイヤ606は、本開示内容に関する模範的システムに含まれる。ガイドワイヤ606は、解剖学的目標(すなわち、目標組織領域)に対して遠位のほぼ直線状の部分607と、解剖学的目標に近接した螺旋曲率R及び螺旋ピッチhを規定する螺旋部分608と、を含む。機械的デザイン及び応力分布目標のため、直線状部607は、螺旋部分608の螺旋軸に平行とされ、螺旋部分608を含む円筒状表面に含まれるものとするのが良い。
再度図6を参照すると、模範的実施例において、この挿入システムは、軸開口610を持つ真っ直ぐな管体を含む最も外側のガイド管609を含むようにしてもよい。ガイド管609は、タイプ601又は604のガイドワイヤに対して適している。他の実施例において、最も外側のガイド管609は、横方向の開口部611を持つ直線状管体である。開口部611を持つ管体609を含む実施例は、螺旋の挿入タイプ606と連携して用いるのに効果的である。普通、開口部611の内壁の勾配は、図6に示されるように角度アルファを規定する。角度アルファは、普通、h及び2Rが模範的螺旋部分608の螺旋の角度に関連づけられるように、(h/2R)のアークタンジェントにより規定される角度に等しい。模範的実施例において、開口部611は、螺旋部分608の角部曲率に等しい出口角度アルファだけ傾斜している。
模範的実施例において、リード612は、オプションとして、主たる柔軟性ボディ613及びヘッド614からなるものとすることができる。通常、ボディ613及びヘッド614の内側断面615は、解剖学的目標(例えば、目標組織領域)に対して当該ガイドワイヤ及び/又はガイド管を方向づけるように適合させられる。
図7は、模範的挿入アーキテクチャを示している。模範的実施例において、本開示内容に関するシステムは、頭蓋骨704に対して挿入システムを位置づけることを可能にする位置決め装置を含む。位置決め装置は、現行の機器とほぼ一致するものとすることができ、限定はしないが、立体画フレームの案内ツール又はこれに等価なツールを含む。模範的位置決め装置は、位置決め装置703として図7に概略的描かれている。装置703は、模範的な解剖学的目標706に届くようほぼ真っ直ぐな軌道702に沿って模範的リード612の挿入が可能なように適合させられている。模範的実施例において、リード612は、ほぼ湾曲した軌道705に沿って目標領域706に届きこれに順応するように案内される。
模範的実施例において、基本的に、挿入は次のようにして行われる。最も外側のガイド管体609(第2の挿入ツール)がリード612内に挿入される。最初に進入する先端を有する最も内側のガイドワイヤ601(第1の挿入ツール)は、当該先端が開口部(図6に示されるような610又は611)に届くまで最も外側のガイド管609の中に挿入される。ガイドワイヤ609は、ガイド管609内に全部留まる。ガイド管609は、管体609の一部が目標組織領域706に位置するポイント701に届くように当該リードに対して近接するまで動作させられる。ポイント701に届くと、リード612の湾曲した軌道は、始動させられる。当該湾曲した軌道の誘導部分の間に、ガイド管609が固定される。湾曲した軌道は、ガイドワイヤ601の予め湾曲させられて整形された部分が開口部610/611から出るようにしてガイド管609を通るようガイドワイヤ601をスライドさせ、これにより、所期の経路705に沿って湾曲部分又は螺旋部を始動させることによって実現される。リード612の先端は、所期の位置に届いたとき、このリードの位置が維持されるとともに、当該内部のガイドワイヤはガイド管の中へ後退させられる。ガイド管及びガイドワイヤは、その後に引き込ませられる。
模範的実施例において、リードは、少なくとも1つの電極を含む。この電極は、金属物質から構成可能であり、或いは金属被覆を含む。被覆は、リード及び組織の界面において少なくとも保護の効果を奏する連続的、均質性、異質性又は構造化された材料としなければならない。
以上、本開示内容を、模範的実施例及びその実現形態について説明したが、開示したシステム及び方法は、このような模範的実施例/実現形態に限定されるものではない。むしろ、ここに提示した説明から当業者が容易に分かることになるように、開示したシステム及び方法は、本開示内容の主旨又は範囲から外れることなく変形、変更及び増強をすることは可能である。したがって、ここで提示した開示内容は、その範囲内におけるこのような変形、変更及び増強を明確に含むものである。