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JP2011231030A - 美白剤 - Google Patents

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JP2011231030A
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Nami Adachi
奈美 足立
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Abstract

【課題】従来の美白剤に比べて、顕著に優れた美白作用を示す美白剤を提供すること。
【解決手段】本発明の美白剤は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有する。ここで、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物は従来の大豆胚芽を利用した美白剤に比べて顕著に優れたメラニン生成抑制作用を示す。よって、本発明の美白剤は、従来の大豆胚芽を利用した美白剤に比べて顕著に優れた美白効果を示す美白剤と言える。したがって、本発明の美白剤を用いることにより、従来の美白剤では美白効果を十分に実感できなかった人であっても、美白効果を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有することを特徴とする美白剤およびその美白剤を含有する化粧品に関する。
ホルモン分泌の異常や紫外線曝露に起因する皮膚症状としてシミやソバカスが存在する。シミやソバカスができるメカニズムとしては、紫外線を原因として色素細胞が活性化することでメラニンが生成され、皮膚組織に沈着することが挙げられる。したがって、シミやソバカスのない美しい肌を保つには、紫外線から皮膚を防御することが大切であるが、紫外線に全く曝露されない日常生活をおくることは現実的には不可能に近いという問題がある。
この問題を解決するため、紫外線によるシミやソバカスの生成を緩和・軽減する美白剤が種々開発されている。例えば、大豆等より抽出したイソフラボン類を有効成分とする経口用美白剤(特許文献1)、オトギリソウ(Hypericum erectum Thunb.又はHypericum perforatum L.)、トモエソウ(Hypericum ascyron L.)の抽出物の1種又は2種以上を配合することを特徴とするメラニン生成抑制剤(特許文献2)、スフィンゴ脂質を有効成分とすることを特徴とする美白剤(特許文献3)、トルメンチラ、センブリ、ジオウ、およびセイヨウハッカからなる群より選ばれる植物の抽出物の一種以上を有効成分とする美白剤(特許文献4)、主としてアントシアニン重合体を含むクランベリーの実の圧搾濾過物および/又は抽出物からなることを特徴とする美白剤(特許文献5)等が知られている。
上述の美白剤の中でも特に、イソフラボン類を有効成分とする美白剤が広く知られており、商品も種々販売されている。この美白剤としては、イソフラボン類を高濃度で含有する大豆等の植物抽出物を用いることが知られている。このように、大豆抽出物を用いる場合には、大豆の胚芽抽出物を用いることが望ましい。これは、大豆の胚芽部分にイソフラボン類が高濃度で含有されるためである(特許文献6)。
特開平11―269066号公報 特開平09―157151号公報 特開2001―026530号公報 特開平11―246384号公報 特開2002―003361号公報 特開平11−196803号公報
上述のように大豆胚芽を利用した美白剤が多数開発されてきた一方で、これらの美白剤では、メラニン生成抑制作用が比較的弱いため、人によっては必ずしも十分な美白効果を得られないという問題点があった。本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、従来の大豆胚芽を利用した美白剤に比べて顕著に優れた美白効果を示す美白剤を提供することを課題とする。
請求項1記載の美白剤は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有することを特徴とする、美白剤に関する。また、請求項2記載の美白剤は、請求項1記載の美白剤において、前記大豆胚芽発酵物が、メラニン生成抑制作用を有する。さらに、請求項3記載の化粧品は、請求項1または2記載の美白剤を含有する。
本発明の美白剤は、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有する。ここで、麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物は従来の大豆胚芽を利用した美白剤に比べて顕著に優れたメラニン生成抑制作用を示す。よって、本発明の美白剤は、従来の大豆胚芽を利用した美白剤に比べて顕著に優れた美白効果を示す美白剤と言える。したがって、本発明の美白剤を用いることにより、従来の美白剤では美白効果を十分に実感できなかった人であっても、美白効果を得ることができる。なお、本発明の形態に関しては特に限定されるものではなく、そのまま、または種々の成分を加えて、化粧品類、飲食品類または医薬品類として用いることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、後述の実施形態の記載により限定されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
本発明で用いられる麹菌としては、Aspergillus awamori、Aspergillus oryzae、Aspergillus
kawachii、Aspergillus saitoi、Aspergillus glaucusなどが挙げられる。
本発明で用いられる麹菌としては、特段の制限はなく、得られる発酵物の風味の良さなどから、好ましくはAspergillus awamoriが用いられる。
本発明で用いられる大豆の品種としては、フクユタカ、タチナガハ、ミヤギシロメ、エンレイ、リュウホウ、スズユタカ、タマホマレ、トヨコマチ、おおすず、トヨムスメなどが挙げられる。
本発明で用いられる大豆としては、特段の制限はなく、前述の大豆品種を1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
本発明で用いられる大豆胚芽としては、特段の制限はなく、前述の大豆から常法により得られる大豆胚芽が用いられる。
本発明において大豆胚芽を発酵するにあたっては、特段の制限はなく、洗浄、乾燥、粉砕、蒸煮、加熱、冷却、加水、pH調製、殺菌など、常法の発酵において行われる操作を行うことができる。
本発明の大豆胚芽発酵物の発酵条件としては、好気条件、嫌気条件が選ばれ得る。
本発明の大豆胚芽発酵物の発酵時間としては、特段の制限はないが、得られる発酵物の風味の良さから24〜72時間、特に36〜60時間発酵に供されることが好ましい。
本発明で用いられる発酵の方法としては、特段の制限はなく、常法によるものであれば良い。
本発明で用いられる大豆胚芽発酵物の製造方法としては、特段の制限はなく、例えば特許第3014145号に開示される製造方法が挙げられる。
本発明の美白剤は、そのまま、または種々の成分を加えて、化粧品類、飲食品類または医薬品類として用いることができる。
上述の化粧品類としては、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤などの種々の形態に加工して提供することができる。また、化粧品、医薬品、医薬部外品などとして利用することができる。具体的には、化粧水、化粧クリーム、乳液、クリーム、パック、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディシャンプー、洗顔剤、石鹸、ファンデーション、育毛剤、水性軟膏、スプレーなどとして利用することができる。
上述の飲食品類としては、本発明の美白剤をそのまま、または種々の栄養成分を加えて、食用に適した形態、例えば、粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状等に成形して食品素材として提供することができる。また、水、牛乳、豆乳、果汁飲料、乳清飲料、清涼飲料、青汁、ヨーグルト等に添加して使用してもよい。
上述の医薬品類としては、例えば、粉末状・粒状・顆粒状・液状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状等に成形して医薬品として提供することができる。
本発明の美白剤に含まれる大豆胚芽発酵物の配合量としては、乾燥重量として0.00001〜50質量%が好ましく、0.001〜20質量%がさらに好ましく、0.01〜10質量がもっとも好ましいが、用いる剤型、使用対象等の様々の条件に応じて、広範囲でその配合量を適宜設定できる。
本発明の美白剤は、大豆胚芽発酵物の他に、次の成分を更に含有してもよい。例えば、松樹皮抽出物、ジャガイモ抽出物、葛花抽出物、チャ抽出物、チャの花抽出物、大豆抽出物、キャベツ粉末、タマネギ粉末、タマネギ発酵物、ゴマ種子抽出物、リグナン類、青汁素材(大麦若葉、甘藷若葉、アシタバ、ヨモギ、ケール等の緑葉)等の健康食品用素材を含有しても良い。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、後述の実施例に限定して解釈されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
(大豆胚芽発酵物の製造)
後述のように、大豆の胚芽を調製して麹菌により発酵させ、大豆胚芽発酵物を製造した。
大豆胚芽に対し、水および酢酸を添加し、100℃で150分間蒸煮した。その後、大豆胚芽を30℃に保ち3時間放冷を行った。冷却後、麹菌Aspergillus awamoriを播種し、大豆胚芽に対して35℃で48時間製麹を行った。その後70℃で90分乾燥を行い、蒸気殺菌して、大豆胚芽発酵物を得た。
(実施例1:メラニン生成抑制作用の確認)
後述のように、大豆胚芽発酵物または大豆胚芽抽出物を添加した試験培地を用いてB16メラノーマ細胞を培養し、それらを添加していない試験培地を用いて培養した場合と比較することにより、メラニン生成抑制作用を測定した。
(試験培地の調製)
テオフィリン(シグマ製)を133.4mMとなるようにDMSO(和光純薬工業株式会社製)で溶解した。さらに、通常培地(10%ウシ胎児血清含有D−MEM:シグマ製)で200倍に希釈して、試験培地とした。
(被験物質の調製)
実施例については、大豆胚芽発酵物を、0.5%DMSO含有培地に溶解し、0.2μmのフィルターで滅菌濾過し、0.5%DMSO含有培地にて各添加濃度まで希釈したものを試験に用いた。比較例については、市販の大豆胚芽抽出物を、0.5%DMSO含有培地に溶解し、0.2μmのフィルターで滅菌濾過し、0.5%DMSO含有培地にて添加濃度まで希釈したものを試験に用いた。なお、陰性コントロールとしては、試験培地のみを0.2μmのフィルターで濾過滅菌したものを試験に用いた。
(B16メラノーマ細胞の調製)
凍結B16メラノーマ細胞(RCB1283:独立行政法人理化学研究所)を、通常培地(10%ウシ胎児血清含有D−MEM:シグマ製)により培養し、6ウェルプレートに播種後、さらに24時間、培養した。各ウェルプレートより培地を除去後、被験物質を含んだ0.5%DMSO含有培地を各ウェルプレートに1.5mL/well添加し、さらに、試験培地を各ウェルプレートに1.5mL/well添加して3日間培養した。
3日間培養後、6ウェルプレートから細胞培養上清を除去し、2mLのリン酸緩衝液(PBS(−):TAKARA BIO製)で細胞を1回洗浄後、Trypsin−EDTA(シグマ製)をその細胞に添加した。その後、室温で4〜5分処理後、前述の細胞に10%ウシ胎児血清含有PBS(−)を添加してトリプシンの中和を行った。その後、ピペッティングにて細胞の剥離を行い、細胞を回収した。
回収した細胞を2,000rpmで5分間遠心分離を行い、上清を除去した後、細胞に1mLのPBS(−)を添加し懸濁させた。懸濁液から50μlを抽出し、細胞数を計測した。残りの細胞は同様の遠心分離を行い、上清を完全に除去した。
抽出した細胞に1%TritonX−100/1N NaOH水溶液を250μlで添加し、それを、65℃の恒温槽で60分間加温後、振盪し完全に可溶化させた。それにより生成された細胞溶解液を、96ウェルプレートへ200μl/wellで移し、マイクロプレートリーダー(サーモ製)にて490nmの吸光度を測定することで、メラニン生成抑制作用の測定を行った。
(メラニン生成抑制作用の測定)
測定結果について、細胞数による補正を行い、次の式によってメラニン生成の阻害率を求めた。
阻害率(%)=100−(被験物質の吸光度/陰性コントロールの吸光度)×100
実施例および比較例におけるメラニン生成の阻害率の結果を表1に示す。
Figure 2011231030
表1に示す通り、大豆胚芽発酵物(実施例1〜4)は、従来の美白剤である大豆胚芽抽出物(比較例1)に比べて、顕著に優れたメラニン生成抑制作用を示すことが明らかとなった。
(実施例2:チロシナーゼ活性阻害試験)
後述のように、チロシナーゼおよび基質を含む溶液に大豆胚芽発酵物を添加してインキュベートし、大豆胚芽発酵物を添加せずにインキュベートした場合と比較することにより、チロシナーゼ活性阻害を測定した。
(チロシナーゼ活性阻害の確認)
DMSO(和光純薬工業株式会社製)の濃度を1%に調製した、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて大豆胚芽発酵物の濃度を調製し、サンプル溶液とした。
酵素溶液の調製は以下のように行った。即ち、チロシナーゼ(マッシュルーム由来、CALZYME製)を1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて550units/mLとなるように調製して、酵素溶液とした。
基質溶液の調製は以下のように行った。即ち、L−DOPA溶液(和光純薬工業株式会社製)を1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて0.3mg/mLとなるように調製して、基質溶液とした。
被験溶液の調製は以下のように行った。即ち、96ウェルプレートに前述の調製したサンプル溶液を100μl/wellで添加した。その後、酵素溶液をウェルプレートに100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液を、ウェルプレートに100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、475nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダー(サーモ製)で測定した。
被験溶液blankの調製は以下のように行った。即ち、96ウェルプレートにサンプル溶液を100μl/wellで添加した。その後、酵素溶液を、ウェルプレートに100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液に代えて1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を、ウェルプレートに100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、475nmにおける吸光度を測定した。
対照溶液の調製は以下のように行った。96ウェルプレートに1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl/wellで添加した。その後、酵素溶液を、ウェルプレートに100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液を、ウェルプレートに100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、475nmにおける吸光度を測定した。
対照溶液blankの調製は以下のように行った。96ウェルプレートに1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl/wellで添加した。その後、酵素溶液を、ウェルプレートに100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を、ウェルプレートに100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、475nmにおける吸光度を測定した。
チロシナーゼ活性阻害は次の式から求められる阻害率で表した。
阻害率(%)=[100−[(A−B)/(C−D)]×100]
A:被験溶液の475nmにおける吸光度。
B:被験溶液blankの475nmにおける吸光度。
C:対照溶液の475nmにおける吸光度。
D:対照溶液blankの475nmにおける吸光度。
実施例におけるチロシナーゼ活性の阻害率の結果を表2に示す。
Figure 2011231030
表2に示す通り、大豆胚芽発酵物(実施例5〜7)は、メラニン生成抑制作用に加えて、チロシナーゼ活性阻害作用も有することが明らかとなった。
以上より、麹菌による発酵した大豆胚芽発酵物は、従来の美白剤に比べて顕著に優れたメラニン生成抑制作用を示し、さらにチロシナーゼ活性阻害作用も有することが明らかとなった。よって、麹菌による大豆胚芽発酵物は、美白剤として優れた効果を有することが期待できる。
本発明の美白剤は、従来の美白剤に比べて顕著に優れたメラニン生成抑制作用を示し、さらにチロシナーゼ活性阻害作用を示す。よって、これらの作用を目的とした化粧品類、飲食品類または医薬品類に本発明の美白剤を利用することができる。

Claims (3)

  1. 麹菌により大豆の胚芽を発酵させた大豆胚芽発酵物を含有することを特徴とする、美白剤。
  2. 前記大豆胚芽発酵物が、メラニン生成抑制作用を有することを特徴とする、請求項1記載の美白剤。
  3. 請求項1または2に記載の美白剤を含有することを特徴とする、化粧品。
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