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JP2011222554A - 半導体チップ内蔵配線基板 - Google Patents

半導体チップ内蔵配線基板 Download PDF

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JP2011222554A JP2010086347A JP2010086347A JP2011222554A JP 2011222554 A JP2011222554 A JP 2011222554A JP 2010086347 A JP2010086347 A JP 2010086347A JP 2010086347 A JP2010086347 A JP 2010086347A JP 2011222554 A JP2011222554 A JP 2011222554A
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伸一 広瀬
Yukihiro Maeda
幸宏 前田
Takashi Nakano
敬志 中野
Tetsuo Fujii
哲夫 藤井
Yoshiharu Harada
嘉治 原田
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Abstract

【課題】チップ内にパワートランジスタと信号処理回路部とが混在しながらも、製造工程を簡素化でき、且つ、体格を増大せずに電流容量の不足を解消することができる半導体チップ内蔵配線基板を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂を含む絶縁基材に埋設された半導体チップの一面には、大電流電極と、大電流電極よりも流れる電流が小さい複数の小電流電極が形成されている。小電流電極に接続された配線部は、小電流電極の直上にそれぞれ位置するとともに、小電流電極と接続された導体パターンからなる第1パッドを有し、該第1パッドとして、隣り合う小電流電極の直上であって同一層に位置する複数の第1パッドを含む。大電流電極に接続された配線部は、金属片からなり、上記複数の第1パッドと同一層に位置する横配線部を含む。この金属片は、大電流電極の直上に位置して第2パッドを兼ねるとともに、同一層に位置する第1パッドよりも厚くなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂を含む絶縁基材に配線部が形成され、半導体チップが内蔵された半導体チップ内蔵配線基板に関するものである。
従来、熱可塑性樹脂を含む絶縁基材に配線部が形成され、電子部品が内蔵された部品内蔵基板として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
この部品内蔵基板は、以下の方法で形成される。先ず、導体箔をパターニングしてなる導体パターンが表面に形成された樹脂フィルム、ビアホール内に導電性ペーストが充填された樹脂フィルム、を含む複数枚の樹脂フィルムを、電子部品を内蔵するように積層して積層体とする。
そして、積層体に対して上下から加圧しつつ加熱することで、樹脂フィルムに含まれる熱可塑性樹脂を軟化させ、これにより、樹脂フィルムを相互に接着して一括で一体化するとともに電子部品を封止する。また、ビアホール内に充填した導電ペーストを焼結して層間接続部(導電性組成物)を形成し、電子部品の電極と対応するパッドや、導体パターン同士を電気的に接続する。
これによれば、電子部品を内蔵する配線基板を、加圧・加熱により一括で形成することができ、製造工程を簡素化することができる。
特開2007−324550号公報
素子が集積された半導体チップ(ICチップ)では、素子の高集積化、高速化、半導体チップ(該半導体チップを内蔵した基板)の体格の増大抑制などにより、電極の間隔が益々狭いもの(所謂ファインピッチ)となってきている。これにともない、配線基板に設けられる導体パターンのうち、半導体チップの電極に対応するパッド(ランドとも言う)についても、間隔が狭いものとなってきている。
特許文献1のように、エッチングにより導体箔(例えば銅箔)をパターニングし、導体パターン(パッド)とする構成では、導体箔の厚みより狭い幅の部分を除去することは困難である。したがって、一般には、パッド間隔よりも薄い導体箔を採用しなければならない。
また、素子が集積化された半導体チップとして、パワートランジスタと、該パワートランジスタとは別の素子が集積されてなる信号処理回路部とが混在するものが知られている。この半導体チップは、電極(電極)として、パワートランジスタの大電流電極(パワーMOSFETの場合、ソース電極及びドレイン電極)と、該大電流電極よりも流れる電流が小さい小電流電極(パワーMOSFETのゲート電極及び信号処理回路部の電極)を有する。
このような半導体チップとして、小電流電極の間隔が狭いものを採用する場合、上記したように厚みの薄い導体箔を採用することで、配線基板に、小電流電極に対応した間隔の狭いパッドを設けることができる。
しかしながら、小電流電極に対応するパッド(第1パッド)と同一層に位置する、大電流電極に対応するパッド(第2パッド)や、該パッド(第2パッド)から引き出された導体パターンの厚さも、第1パッドと同じ厚さとなる。このように、第2パッドや、第2パッドから引き出された導体パターンの厚さが薄くなるため、パワートランジスタの大電流電極と、外部機器との接続に供せられる外部接続用電極とを繋ぐ配線部として、電流容量が不足し、ジュール熱による断線が生じる恐れがある。
このような電流容量の不足を解消しようとすると、断面積を大きくすべく、絶縁基材の厚さ方向に垂直な方向において、導体パターン(パッドを含む)の幅を広くすることが考えられるが、配線基板の体格が増大してしまう。
本発明は上記問題点に鑑み、半導体チップ内にパワートランジスタと信号処理回路部とが混在しながらも、製造工程を簡素化でき、且つ、体格を増大せずに電流容量の不足を解消することができる半導体チップ内蔵配線基板を提供することを目的とする。
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、
少なくとも熱可塑性樹脂を含む絶縁基材と、
複数の素子が構成され、絶縁基材に埋設されて該絶縁基材の熱可塑性樹脂により封止された半導体チップと、
絶縁基材に設けられ、導体箔をパターニングしてなる導体パターンと、ビアホールに形成された層間接続部とを含み、半導体チップの電極と電気的に接続された配線部と、を備える半導体チップ内蔵配線基板であって、
半導体チップには、素子としてのパワートランジスタと、パワートランジスタとは別の素子が集積されてなる信号処理回路部とが設けられるとともに、半導体チップの同一面側に、電極として、パワートランジスタにおいて大電流が流れる大電流電極と、大電流電極よりも流れる電流が小さい複数の小電流電極とがそれぞれ設けられ、
配線部は、絶縁基材の厚み方向に沿って延びる縦配線部と、厚み方向に垂直な方向に沿って延びる横配線部とを有し、
小電流電極に接続された配線部は、小電流電極の直上にそれぞれ位置するとともに、縦配線部を介して直下の小電流電極と接続された、導体パターンからなる第1パッドを有するとともに、該第1パッドとして、隣り合う小電流電極の直上であって同一層に位置する複数の第1パッドを含み、
大電流電極に接続された配線部は、導体パターン及び層間接続部とは異なる金属片を有した金属片配線部を含むとともに、該金属片配線部として、隣り合う小電流電極の直上であって同一層に位置する複数の第1パッドと同一層に位置する横配線部を含み、
金属片配線部としての横配線部は、大電流電極の直上に位置するとともに、縦配線部を介して直下の大電流電極と接続された第2パッドを兼ねる横配線部を少なくとも含むとともに、厚みが同一層に位置する第1パッドよりも厚いことを特徴とする。
このような半導体チップ内蔵配線基板は、熱可塑性樹脂を含んだ樹脂フィルムを有する複数枚の樹脂フィルムを、熱可塑性樹脂フィルムが少なくとも1枚おきに位置しつつ半導体チップの電極形成面及び該電極形成面の裏面に隣接するように積層し、真空熱プレス機により、積層方向上下から加圧・加熱する方法によって、一括で形成することができる。したがって、製造工程を簡素化することができる。
また、大電流電極に接続された配線部が金属片配線部を含んでおり、この金属片配線部として、隣り合う小電流電極の直上であって同一層に位置する複数の第1パッド(以下、単に複数の第1パッドと示す)と同一層に位置する横配線部を含んでいる。また、金属片配線部としての横配線部として、大電流電極の直上に位置する第2パッドを兼ねた横配線部を少なくとも含んでいる。
また、複数の第1パッドと同一層に位置する金属片配線部(横配線部)の厚みは、該第1パッド(導体パターン)よりも厚くなっている。
小電流電極の間隔が狭い半導体チップを採用した場合、厚みの薄い導体箔を採用することで、複数の第1パッドの間隔を小電流電極に対応させて狭いものとすることができる。一方、複数の第1パッドと同一層に位置する、大電流電極の横配線部については、導体パターンからなる構成とするのではなく、導体パターン(導体箔)とは異なる金属片を有した金属片配線部とする。金属片は、複数の第1パッドを構成する導体箔とは異なり、小電流電極の間隔によって厚さが決定されるものではないので、金属片配線部を第1パッドよりも厚い配線部とすることができる。これにより、複数の第1パッドと同一層に位置する横配線部の電流容量を増やすことができる。
また、複数の第1パッドと同一層の横配線部の断面積を大きくすべく、絶縁基材の厚さ方向に垂直な方向において導体パターンの幅を広くする構成に比べて、配線基板の体格が増大を抑制することができる。
以上より、本発明によれば、半導体チップ内にパワートランジスタと信号処理回路部とが混在しながらも、製造工程を簡素化でき、且つ、体格を増大せずに電流容量の不足を解消することができる。
請求項2に記載のように、金属片配線部としての横配線部は、金属片のみからなり、金属片が第2パッドを兼ねている構成とすると良い。
これによれば、横配線部が金属片のみからなるので、構成を簡素化することができる。また、金属片配線部が、金属片と他の導電部材とを接合してなる構成に比べて、接合界面での抵抗がないため、大電流電極の配線部として好適である。この場合、同一層に位置する第1パッドよりも厚い金属片を採用することとなる。
一方、請求項3に記載のように、金属片配線部としての横配線部は、導体パターンと、該導体パターンを覆うように導体パターンに接合された金属片からなり、
金属片と接合された導体パターンが第2パッドを兼ねる構成とすることができる。
このように、導体パターンに金属片を接合してなる横配線部(金属配線部)を採用し、この厚みを、同一層に位置する第1パッドよりも厚いものとしても良い。
また、金属片配線部としての横配線部のうち、導体パターンが第2パッドを兼ねるため、第1パッドを構成する導体パターンと同じ導体箔を加工して形成することができる。これにより、構成を簡素化することができる。
請求項4に記載のように、半導体チップの同一面側に形成された小電流電極の直上にそれぞれ位置する全ての第1パッドが、同一層において、導体パターンからなる横配線部に連結された構成を採用しても良い。
これによれば、1層で、全てのパッドから、横配線部をなす導体パターンがそれぞれ引き出され、再配線された構成となる。したがって、絶縁基材の厚み方向において、配線基板の体格を小型化することができる。
なお、「導体パターンからなる第1パッドが、導体パターンからなる横配線部に連結されている」とは、換言すれば、上記全ての第1パッドが、同一層に位置するとともに、横配線部としての導体パターンが第1パッドを兼ねた構成である。
請求項5に記載のように、小電流電極に接続された配線部を構成する全ての横配線部が導体パターンからなり、
大電流電極に接続された配線部を構成する全ての横配線部が、金属片をそれぞれ含むとともに、配線部を構成する導体パターンのいずれよりも厚い構成とすると良い。
これによれば、大電流電極に接続された配線部を構成する全ての横配線部において、導体パターンを採用する構成に比べ、絶縁基材の厚み方向に垂直な方向において体格を増大せずに電流容量を増やすことができる。
請求項6に記載のように、大電流電極に接続された配線部を構成する縦配線部の少なくとも1つとして、金属片配線部を含み、
該金属片配線部を構成する金属片は、層間接続部よりも断面積が大きい構成を採用しても良い。
これによれば、金属片の断面積が層間接続部よりも大きいので、電流容量を増やすことができる。また、縦配線部にも金属片配線部を採用することで、導電性ペーストを焼結してなる層間接続部よりも、配線抵抗を低減することも可能である。
請求項7に記載のように、大電流電極に接続された縦配線部として、厚み方向において半導体チップと同じ位置に配置された金属片配線部を含み、
厚み方向に垂直な方向において、金属片配線部の金属片と半導体チップとの対向領域に絶縁基材を構成する熱可塑性樹脂が介在され、
金属片は、半導体チップとの対向部位として、厚み方向に沿う仮想面に対して斜めとされた斜面部を有する構成としても良い。
半導体チップに並んで剛体である金属片が位置すると、上記した加圧・加熱時において、金属片が加圧に対するつっかい棒となり、加熱により軟化した熱可塑性樹脂の流動が制限され、半導体チップの周辺(特に側面)に空隙が残ることも考えられる。このような空隙が存在すると、後工程(例えば配線基板のマザーボードへの実装工程)などでの温度上昇で、空隙内の湿気が水蒸気化し、これにより、クラックや剥離などが生じる恐れがある。
これに対し、本発明では、斜面部を有する金属片を採用するため、上記した加圧・加熱時に、積層方向上下からの圧力を受けると、加熱により軟化した熱可塑性樹脂が、金属片の斜面部にて半導体チップの側面側に流動される。これにより、半導体チップの側面に熱可塑性樹脂を密着させて、空隙が生じるのを抑制することができる。
請求項8に記載のように、横配線部を構成する金属片と、縦配線部を構成する金属片とが、1つの金属片として構成されても良い。
これによれば、横配線部を構成する金属片と、縦配線部を構成する金属片とを別部材とし、層間接続部などを介して接続する構成に比べて、配線抵抗を低減することができる。
請求項9に記載のように、大電流電極に接続された配線部における縦配線部は、層間接続部を含み、該層間接続部は、同一層において互いに並列配置されるとともに、電気的にも並列とされた並列層間接続部を含む構成としても良い。
このように、並列層間接続部を採用することで、単独の層間接続部よりも電流容量を向上することができる。
また、請求項10に記載のように、大電流電極に接続された配線部における縦配線部は、層間接続部とは別に、大電流電極と、第2パッドをなす金属片配線部としての横配線部とを電気的に接続する接続部を複数含み、
該複数の接続部が、同一層において互いに並列配置されるとともに、電気的にも並列とされた構成としても良い。
この接続部は、バンプ由来のものである。このような接続部においても、複数の接続部を並列接続構造とすることで、単独の接続部よりも電流容量を向上することができる。
請求項11に記載のように、金属片配線部は、同一の配線部を構成する他の縦配線部又は横配線部との接続部位を除く表面部位が、絶縁基材の熱可塑性樹脂によって封止された構成とすることが好ましい。
金属片配線部の周辺に空隙が存在すると、後工程(例えば配線基板のマザーボードへの実装工程)などでの温度上昇で、空隙内の湿気が水蒸気化し、これにより、クラックや剥離などが生じる恐れがある。
これに対し、本発明では、金属片配線部が、接続部位を除いて熱可塑性樹脂により封止されている。これにより、クラックや剥離などが生じるのを抑制することができる。なお、このような構成は、上記した積層体において、金属片配線部の両表面に、熱可塑性樹脂フィルムがそれぞれ隣接すれば良い。
請求項12に記載のように、金属片は、融点が熱可塑性樹脂よりも高い金属材料からなり、層間接続部との界面に拡散による合金層を有する構成としても良い。これによれば、界面に合金層を有するため、接続信頼性を向上することができる。
また、請求項13に記載のように、金属片は、層間接続部と同一の材料からなる構成としても良い。これによれば、金属片と層間接続部の物性(例えば線膨張係数)が同じであるため、金属片と層間接続部との接合部の接続信頼性を向上することができる。
第1実施形態に係る半導体チップ内蔵配線基板の概略構成を示す断面図である。 図1に示す半導体チップ内蔵配線基板の製造工程のうち、半導体チップが実装された基板に積層する樹脂フィルムの準備工程を示す断面図である。 図1に示す半導体チップ内蔵配線基板の製造工程のうち、半導体チップを基板にフリップチップ実装する工程を示す断面図である。 図1に示す半導体チップ内蔵配線基板の製造工程のうち、積層工程を示す断面図である。 図1に示す半導体チップ内蔵配線基板の製造工程のうち、加圧・加熱工程を示す断面図である。 (a),(b)ともに、半導体チップと基板との間に介在される熱可塑性樹脂フィルムの変形例を示す断面図である。 第2実施形態に係る半導体チップ内蔵配線基板の概略構成を示す断面図である。 第3実施形態に係る半導体チップ内蔵配線基板の概略構成を示す断面図である。 第4実施形態に係る半導体チップ内蔵配線基板の概略構成を示す断面図である。 図9に示す金属片の効果を説明するための模式的な断面図である。 第5実施形態に係る半導体チップ内蔵配線基板の概略構成を示す断面図である。 図11に示す半導体チップ内蔵配線基板の製造工程のうち、積層工程を示す断面図である。 その他変形例を示す断面図である。
本発明は、PALAPとして知られる一括積層法にて形成される半導体チップ内蔵配線基板において、パワートランジスタと信号処理回路部とを有する半導体チップの電極に接続された配線部の構成に主たる特徴がる。
したがって、配線基板の基本的な構成や製造方法は、特に断りのない限り、本出願人がこれまで出願してきたPALAPに関する構成を適宜採用することができる。なお、PALAPは株式会社デンソーの登録商標である。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。なお、絶縁基材20の厚み方向(換言すれば、複数枚の樹脂フィルムの積層方向)を単に厚み方向と示し、該厚み方向に垂直な方向を単に垂直方向と示す。また、特に断りのない限り、厚さとは、厚み方向に沿う厚さを示すものとする。
図1に示す半導体チップ内蔵配線基板10(半導体装置とも言う、以下、単に配線基板10と示す)は、半導体チップを内蔵する配線基板の基本的な構成要素として、絶縁基材20、絶縁基材20の内部に埋設、すなわち内蔵された半導体チップ30、絶縁基材20に設けられた導体パターン40、層間接続部50、及び金属片60を備える。さらに図1に示す配線基板10は、上記した基本構成要素に加え、放熱部材70を備えている。
先ず、絶縁基材20について説明する。
絶縁基材20は、電気絶縁材料からなり、該基材20以外の構成要素、図1に示す例では半導体チップ30、導体パターン40、層間接続部50、金属片60、及び放熱部材70を所定位置に保持する基材としての機能を果たすとともに、半導体チップ30をその内部に保持して保護する機能を果たすものである。
この絶縁基材20は、主として樹脂を含むとともに、該樹脂として少なくとも熱可塑性樹脂を含むものであり、熱可塑性樹脂フィルムを含む複数枚の樹脂フィルムが積層され、加圧・加熱により接着・一体化されてなる。熱可塑性樹脂を含む理由は、後述する加圧・加熱工程にて一括で絶縁基材20を形成する際に、高温に耐え、軟化した熱可塑性樹脂を接着材及び封止材として利用するためである。
このため、複数枚の樹脂フィルムとしては、積層状態で、少なくとも1枚おきに位置するように熱可塑性樹脂フィルムを含めば良い。例えば熱可塑性樹脂フィルムのみを含む構成としても良いし、熱可塑性樹脂フィルムとともに熱硬化性樹脂フィルムを含む構成としても良い。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂とともに、ガラス繊維、アラミド繊維などの無機材料を含むフィルム、及び、無機材料を含まない熱可塑性樹脂からなるフィルムの少なくとも一方を採用することができる。同様に、熱硬化性樹脂フィルムとしては、熱硬化性樹脂とともに、上記無機材料を含むフィルム、及び、無機材料を含まない熱硬化性樹脂からなるフィルムの少なくとも一方を採用することができる。
本実施形態に係る絶縁基材20は、図1に示すように、厚み方向において、一面20a側から、熱硬化性樹脂フィルム21a、熱可塑性樹脂フィルム22a、熱硬化性樹脂フィルム21b、熱可塑性樹脂フィルム22b、熱硬化性樹脂フィルム21c、熱可塑性樹脂フィルム22c、熱硬化性樹脂フィルム21d、熱可塑性樹脂フィルム22dの順に計8枚の樹脂フィルムが積層されてなる。すなわち、熱可塑性樹脂フィルムと熱硬化性樹脂フィルムとが交互に積層されて、絶縁基材20が構成されている。
また、熱硬化性樹脂フィルム21a〜21dとして、ガラス繊維などの無機材料を含まない、熱硬化性ポリイミド(PI)からなるフィルムを採用している。一方、熱可塑性樹脂フィルム22a〜22dとして、ガラス繊維などの無機材料や線膨張係数などを調整するための無機フィラーを含まない、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイミド(PEI)70重量%からなる樹脂フィルムを採用している。
次に、半導体チップ30について説明する。
半導体チップ30は、シリコンなどの半導体基板に、パワーMOSFETやIGBTなど、モータ等の負荷の電力制御に用いられるパワートランジスタと、該パワートランジスタ素子を除く素子、例えばダイオード、抵抗、コンデンサ、CMOS、バイポーラトランジスタなどの素子が集積されてなる信号処理回路部(大規模集積回路)と、が構成されたICチップ(ベアチップ)である。
この半導体チップ30の表面には、外部との接続用に電極31が形成されており、この電極31として、電気的な接続機能を提供する電極である、小電流電極及び該小電流電極に流れる電流よりも大電流が流れる大電流電極を含む。また、半導体チップ30は、上記した絶縁基材20(該絶縁基材20を構成する熱可塑性樹脂)によって封止されている。
本実施形態では、パワートランジスタとして縦型構造のパワーMOSFETを採用しており、半導体チップ30には、パワーMOSFETにより、該パワーMOSFETを直列接続してなる上下アームを3相(U相,V相,W相)分備えた3相モータ駆動用のインバータ回路部と、各パワーMOSFETのゲートドライバ回路を含む信号処理回路部とが構成されている。図1では、便宜上、1つのパワーMOSFETのソース電極(大電流電極31b)とドレイン電極(大電流電極31d)のみを示す。
そして、信号処理回路部に対応する電極と、パワーMOSFETのゲート電極とが、上記した小電流電極となっている。半導体チップ30の一面側には小電流電極31aが形成され、一面とは反対側の面には、小電流電極31cが形成されている。一方、半導体チップ30の一面側には、大電流電極31bとしてパワーMOSFETのソース電極が形成され、一面とは反対側の面には、大電流電極31dとしてパワーMOSFETのドレイン電極が形成されている。さらに、半導体チップ30の一面とは反対側の面には、ダミー電極31eが形成されている。
半導体チップ30の一面側には、小電流電極31a及び大電流電極31bが形成され、これら電極31a,31bには、Auからなる接続部32がそれぞれ接続されている。この接続部32は、後述するスタッドバンプ32a由来のものである。電極31a,31bにおける接続部32と対向する部位の厚み方向全てが、Au−Al合金(主としてAuAl合金)からなり、アルミニウム(Al)を金属単体で含まないものとなっている。電極31a,31bにおける接続部32と対向する部位の厚み方向全てとは、換言すれば、電極31a,31bのうち、接続部32の直下(乃至直上)における厚み方向全ての部位(接合部32との界面及び該界面から厚み方向全ての部位)である。また、電極31a,31bのうち、半導体チップ30と接続部32に挟まれた部位ともいえる。以下、電極31a,31bのうち、Auからなる接合部32の直下部位と示す。
また、電極31a,31bのうち、接合部32の直下領域ではない部分(例えば保護膜で覆われた部分)については、Alを金属単体で含む構成となっている。
電極31a,31bのうち、Auからなる接合部32の直下部位に単体でAlが残存すると、高温の使用環境において、電極31a,31b中のAlに接続部32のAuが固相拡散し、AuAlを生成する。このAuAlの成長速度はAuAlに比べて格段に速く、このため、AuAlの生成にAuの拡散が間に合わずに、接合部32と電極31a,31bの界面にカーケンダルボイドを生じる。また、カーケンダルボイドを起点としてクラックが生じる。
これに対し、本実施形態では、電極31a,31bのうち、Auからなる接合部32の直下部位が、Alを金属単体で含まず、Au−Al合金の最終生成物であるAuAl合金を主として含んでいる。したがって、高温の使用環境においても、カーケンダルボイド、ひいてはクラックが生じるのを抑制することができる。
また、電極31a,31bの大きさ、形状、及び電極間隔(ピッチ)も同じとなっている。これら電極31a,31bのピッチは、半導体チップ30の反対側の面に形成された電極(31c,31d,31e)のピッチよりも狭いものとなっている。具体的には、電極31a,31bが、数十μmピッチ(例えば60μmピッチ)を有して、1辺10個で一列の矩形環状に配置されている。
一方、半導体チップ30の一面(電極31a,31b形成面)とは反対側の面に形成された小電流電極31c、大電流電極31d、及びダミー電極31eは、ともにNi系材料からなる。これら電極31c〜31eには、対応するパッド42,43との接続部として、層間接続部51,52がそれぞれ接続されている。
Ni系材料からなる電極31c〜31eと、後述するようにAg−Sn合金からなる層間接続部51,52との界面には、SnとNiとが相互に拡散してなる金属拡散層(Ni−Sn合金層)が形成され、これにより、電極31c〜31eと層間接続部51,52との接続信頼性が向上されている。なお、電極31c〜31eは、上記した電極31a,31bよりも広いピッチ(例えば百μm単位のピッチ)で形成されている。
このように、半導体チップ30は、両面に、電気的な接続機能を提供する電極31a〜31dを有するとともに、電気的な接続機能を提供しないダミー電極31eも有している。
次いで、配線部を構成する各要素について説明する。
導体パターン40は、導体箔をパターニングしてなるものであり、半導体チップ30と外部とを電気的に接続する配線部として用いられるものである。さらには、電気的な配線部だけでなく、半導体チップ30に構成された素子の動作による熱を外部に放熱するための放熱配線部として用いることもできる。
層間接続部50は、樹脂フィルムにおいて、厚み方向に沿って設けられたビアホール(貫通孔)に導電性ペーストが充填され、この導電性ペースト中の導電性粒子を加圧・加熱により焼結してなるものである。層間接続部50も、導体パターン40とともに、半導体チップ30と外部とを電気的に接続する配線部として用いられるものである。また、上記放熱配線部として用いることもできる。
金属片60は、Cu、Au、Ag、Al、またはこれら金属の少なくとも1種類を含む合金からなる板状部材(金属プレート)であり、半導体チップ30と外部とを電気的に接続する配線部のうち、半導体チップ30の大電流電極31b,31dと外部とを電気的に接続する配線部の一部として用いられるものである。この金属片60が、本実施形態において、金属片配線部に相当する。
本実施形態では、導体パターン40が、銅(Cu)箔をパターニングして構成されている。そして、導体パターン40として、小電流電極31aに対応するパッド41、小電流端子31cに対応するパッド42、ダミー電極31eに対応するパッド43、及び垂直方向に延びた引き出しパターン44を含んでいる。さらには、外部機器との接続に供せられる外部接続用電極45も、導体パターン40の一部として含んでいる。なお、パッド41,42が、特許請求の範囲に記載の第1パッドに相当する。
層間接続部50は、Ag−Sn合金からなる。そして、層間接続部50として、配線部のうちの縦配線部を構成する層間接続部51と、ダミー電極31eと放熱部材70とを熱的に接続するための層間接続部52を含んでいる。
金属片60は、Cuからなる平板状の部材であり、その厚さはCu箔(導体パターン40)よりも厚くなっている。本実施形態では、導体パターン40を片面に有する熱硬化性樹脂フィルムとほぼ同じ厚さとなっている。そして、垂直方向に沿う任意の一方向が長手方向となるように絶縁基材20に配置されている。また、金属片60として、大電流電極31bに接続された配線部の一部を構成する金属片61と、大電流電極31dに接続された配線部の一部を構成する金属片62を含んでいる。
電気的な接続機能を提供する各配線部は、電極31から外部接続用電極45を電気的に繋ぐ経路として、厚み方向に延びる縦配線部と、垂直方向に延びる横配線部をそれぞれ有している。
Al−Au合金からなる部位を含む小電流電極31aに接続された配線部は、接続部32、パッド41及び引き出しパターン44を含む導体パターン40、層間接続部51により、構成されている。また、Ni系材料からなる小電流電極31cに接続された配線部は、層間接続部51、パッド42及び引き出しパターン44を含む導体パターン40により、構成されている。
小電流電極31aに接続された配線部においては、接続部32及び層間接続部51、小電流電極31cに接続された配線部においては、層間接続部51及び隣接する層の層間接続部51間に介在された導体パターン40、により厚み方向に電気信号を伝達する縦配線部が構成されている。また、いずれにおいても、引き出しパターン44により、垂直方向に電気信号を伝達する横配線部が構成されている。
一方、Al−Au合金からなる部位を含む大電流電極31bに接続された配線部は、接続部32、金属片61、層間接続部51により、構成されている。また、Ni系材料からなる大電流電極31dに接続された配線部は、層間接続部51、金属片62、導体パターン40により、構成されている。
大電流電極31bに接続された配線部においては、接続部32及び層間接続部51、大電流電極31dに接続された配線部においては、層間接続部51及び隣接する層の層間接続部51間に介在された導体パターン40、により厚み方向に電気信号を伝達する縦配線部が構成されている。また、いずれにおいても、金属片60(61,62)により、横配線部が構成されている。
このように、小電流電極31a,31cは、導体パターン40としての引き出しパターン44によって、再配線されている。一方、大電流電極31b,31dは、金属片60(61,62)によって、再配線されている。
また、金属片61は、大電流電極31bと接続された接続部32の他端に接続されており、金属片62は、大電流電極31dに接続された層間接続部51の他端に接続されている。すなわち、金属片61は、横配線部としての機能とともに、大電流電極31bに対するパッドとしての機能を果たし、金属片62は、横配線部としての機能とともに、大電流電極31dに対するパッドとしての機能を果たしている。このように、金属片61,62が、大電流電極31b,31dの直上に位置するとともに、縦配線部を介して直下の大電流電極31b,31dと接続された第2パッドを兼ねる横配線部に相当する。
また、図1に示すように、金属片61は、複数の接続部32を介して、電気的に等価な(同電位とされる)複数の大電流電極31bと接続されている。すなわち、配線部を構成する複数の接続部32が、同一層において互いに並列配置されるとともに、電気的にも並列とされた構成となっている。同様に、金属片62は、複数の層間接続部51を介して、電気的に等価な(同電位とされる)複数の大電流電極31dと接続されている。すなわち、配線部を構成する複数の層間接続部51が、同一層において互いに並列配置されるとともに、電気的にも並列とされた構成となっている。
また、本実施形態では、層間接続部52及び導体パターン40としてのパッド43により、半導体チップ30のダミー電極31eと放熱部材70とを熱的に接続する放熱配線部が構成されている。この放熱配線部は、ダミー電極31eから放熱部材70に向けて、厚み方向に沿って延びている。
なお、パッドとは、半導体チップ30の電極31の直上に位置し、縦配線部(本実施形態では、接続部32又は層間接続部51)を介して対応する電極31と接続されるものである。
本実施形態では、半導体チップ30の一面側における全てのパッド(パッド41及び金属片61のパッド部位)が、同一層に位置するとともに、横配線部(引き出しパターン44及び金属片61)に連結されている。換言すれば、横配線部の一部(一端部)がパッドとなっている。一方、半導体チップ30の一面の反対面側における全てのパッド(パッド42,43及び金属片62のパッド部位)が、同一層に位置する。さらに、配線部を構成するパッド(パッド42及び金属片62のパッド部位)については、横配線部(引き出しパターン44及び金属片62)に連結されている。換言すれば、横配線部の一部(一端部)がパッドとなっている。
そして、金属片61が、同一層に位置する導体パターン40(パッド41、引き出しパターン44、及び層間接続部51間の導体パターン40)よりも厚くなっている。また、金属片62が、同一層に位置する導体パターン40(パッド42,43、及び引き出しパターン44)よりも厚くなっている。
また、Cuからなる導体パターン40としてのパッド41と、半導体チップ30の電極31a上に設けられた金(Au)からなる接続部32との界面には、CuとAuとが相互に拡散してなる金属拡散層(CuAu合金を含むCu−Au合金層)が形成され、これにより、パッド41と接続部32との接続信頼性が向上されている。
また、Cuからなる金属片61と、半導体チップ30の電極31a上に設けられた金(Au)からなる接続部32との界面にも、CuとAuとが相互に拡散してなる金属拡散層(CuAu合金を含むCu−Au合金層)が形成され、これにより、金属片61と接続部32との接続信頼性が向上されている。
また、Cuからなる導体パターン40とAg−Sn合金からなる層間接続部50との界面には、CuとSnとが相互に拡散してなる金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成され、これにより、導体パターン40と層間接続部50との接続信頼性が向上されている。
また、Cuからなる金属片62とAg−Sn合金からなる層間接続部50との界面にも、CuとSnとが相互に拡散してなる金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成され、これにより、金属片62と層間接続部50との接続信頼性が向上されている。
さらに、本実施形態では、絶縁基材20の一面20a側表層をなす熱硬化性樹脂フィルム21aの内面に、導体パターン40として外部接続用電極45が形成されている。
放熱部材70は、Cuなどの金属材料からなり、半導体チップ30に構成された素子、特に発熱量の大きいパワートランジスタ、の動作による熱を外部に放熱するためのものである。このような放熱部材70としては、所謂ヒートシンク、放熱フィンなどを採用することができる。
本実施形態では、Cuからなり、絶縁基材20の一面20bと略一致する大きさ及び形状を有する平板状の放熱部材70を採用している。そして、この放熱部材70に熱可塑性樹脂フィルム22dが密着することで、放熱部材70が絶縁基材20の一面20bに固定されている。
また、放熱部材70には、熱可塑性樹脂フィルム22dに形成された層間接続部52の一端が接続されている。本実施形態では、Cuからなる放熱部材70と、Ag−Sn合金からなる層間接続部52との界面に、CuとSnとが相互に拡散してなる金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成され、これにより、層間接続部52(放熱配線部)と放熱部材70との接続信頼性が向上され、ひいては放熱性が向上されている。
また、絶縁基材20の一面20a側には、一面20a側から外部接続用電極45を底面として形成された孔内にメッキ膜などの導電部材が配置され、この導電部材上にはんだボール80が形成されている。
次に、上記した配線基板10の製造方法について説明する。なお、導電性ペーストを示す符号50aの後の括弧内は、対応する層間接続部の符号を記載している。
先ず、積層体を加圧・加熱して配線基板10を形成すべく、積層体を構成する要素を準備する。半導体チップ30が実装された基板(以下、半導体ユニット90と示す)と、該半導体ユニット90に積層される複数枚の樹脂フィルムとをそれぞれ準備する。
本実施形態では、上記したように、熱硬化性樹脂フィルム21a〜21dとして、ガラス繊維などの無機材料を含まない、熱硬化性ポリイミド(PI)からなるフィルムを採用する。本実施形態では、一例として、全ての樹脂フィルム21a〜21dの厚さを同一(例えば50μm)とする。
一方、熱可塑性樹脂フィルム22a〜22dとして、ガラス繊維などの無機材料や線膨張係数などを調整するための無機フィラーを含まない、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイミド(PEI)70重量%からなる樹脂フィルムを採用する。本実施形態では、一例として、熱可塑性樹脂フィルム22a,22c,22dを同一の厚さ(例えば80μm)とし、熱可塑性樹脂フィルム22bを、上記樹脂フィルム22a,22c,22dよりも薄い厚さ(例えば50μm)とする。
この準備工程では、PALAPとして知られる一括積層法で周知のごとく、一括積層する前に、絶縁基材20を構成する樹脂フィルムに対して、導体パターン40を形成したり、焼結により層間接続部50となる導電性ペースト50aをビアホールに充填しておく。導体パターン40や、導電性ペースト50aが充填されるビアホールの配置は、上記した電極31、配線部、放熱配線部に応じて適宜決定される。
導体パターン40は、樹脂フィルムの表面に貼着した導体箔をパターニングすることで形成することができる。絶縁基材20を構成する複数枚の樹脂フィルムとしては、導体パターン40を有する樹脂フィルムを含めばよく、例えば全ての樹脂フィルムが導体パターン40を有する構成や、一部の樹脂フィルムが導体パターン40を有さない構成も採用することができる。また、導体パターン40を有する樹脂フィルムとしては、片面のみに導体パターン40を有する樹脂フィルム、積層方向における両面に導体パターン40を有する樹脂フィルムのいずれも採用することができる。
一方、導電性ペースト50aは、導電性粒子にエチルセルロース樹脂やアクリル樹脂などを保形性付与のため添加し、テルピネオールなどの有機溶剤を加えた状態で混練することで得ることができる。そして、炭酸ガスレーザなどにより、樹脂フィルムを貫通するビアホールを形成し、スクリーン印刷などによって、導電性ペースト50aをビアホール内に充填する。ビアホールは、上記導体パターン40を底面として形成しても良いし、導体パターン40の無い位置に、ビアホールを形成しても良い。
導体パターン40上にビアホールを形成する場合、導体パターン40が底となるため、ビアホール内に導電性ペースト50aを留めることができる。一方、導体パターン40を有さない樹脂フィルム、又は、導体パターン40を有しながらも、導体パターン40の形成位置とは異なる位置にビアホールを形成する場合には、底のないビアホール内に導電性ペースト50aを留めるために、本出願人による特願2008-296074号に記載の導電性ペースト50aを用いる。また、この導電性ペースト50aを充填する装置(方法)としては、本出願人による特願2009−75034号に記載の装置(方法)を採用すると良い。
この導電性ペースト50aは、導電性粒子に対し、導電性粒子の焼結温度よりも低い温度で分解または揮発するとともに、該温度よりも低く、室温よりも高い温度で溶融状態となり、室温で固体状態となる低融点室温固体樹脂が添加されている。低融点室温固体樹脂としては、例えばパラフィンがある。これによれば、充填時には加温することで、低融点室温固体樹脂が溶融してペースト状となり、充填後の冷却において、低融点室温固体樹脂が固化することで導電性ペースト50aも固まって、ビアホール内に保持することができる。なお、充填する際には、ビアホールの一端を平坦な部材にて塞いでおけば良い。
先ず、半導体ユニット90に積層される6枚の樹脂フィルム21a,21c,21d,22a,22c,22dを準備する工程を説明する。
本実施形態では、図2に示すように、6枚の樹脂フィルム21a,21c,21d,22a,22c,22dのうち、熱硬化性樹脂フィルム21a,21c,21dのみ、片面に銅箔(例えば厚さ18μm)が貼着されたフィルムを準備し、銅箔をパターニングして導体パターン40をそれぞれ形成する。なお、半導体ユニット90を構成する残り2枚の樹脂フィルム21b,22bについても、熱硬化性樹脂フィルム21bのみ片面に銅箔(同じく厚さ18μm)が貼着されたフィルムを準備し、この銅箔をパターニングして導体パターン40を形成する。
すなわち、熱硬化性樹脂フィルム21a〜21dは片面に導体パターン40を有する構成とし、熱可塑性樹脂フィルム22a〜22dは、導体パターン40を有さない構成とする。
また、6枚の樹脂フィルム21a,21c,21d,22a,22c,22dのうち、導体パターン40として外部接続用電極45を片面(積層状態で内面)に有し、絶縁基材20の一面20a側の表層を構成する熱硬化性樹脂フィルム21aを除く5枚の樹脂フィルム21c,21d,22a,22c,22dに、ビアホール(符号略)をそれぞれ形成し、該ビアホール内に導電性ペースト50aを充填する。そして充填後、乾燥工程にて溶剤を揮発させる。
本実施形態では、熱硬化性樹脂フィルム21a,21c,21dのみに導体パターン30を形成するため、導体パターン40を形成しない熱可塑性樹脂フィルム22a,22c,22dについては、導電性粒子としてAg粒子とSn粒子を所定の比率で含み、且つ、上記したように、パラフィンなどの低融点室温固体樹脂が添加された導電性ペースト50aを用いる。
熱硬化性樹脂フィルム21a,21c,21dについては、熱可塑性樹脂フィルム22a,22c,22dと同じ導電性ペースト50aを用いても良いし、導電性粒子としてAg粒子とSn粒子を所定の比率で含み、低融点室温固体樹脂を含まない導電性ペースト50aを採用しても良い。
さらに、この準備工程では、積層体が半導体チップ30を収容する空洞を有するために、複数枚の樹脂フィルムの一部に予め空洞部を形成しておく。本実施形態では、熱硬化性樹脂フィルム21cに、半導体チップ30を収容するための空洞部23aを形成する。このため、空洞部23aを有する熱硬化性樹脂フィルム21cは矩形枠状を呈する。また、熱硬化性樹脂フィルム21dに、金属片62を収容するための空洞部23bを形成する。
空洞部23a,23bは、パンチやドリルなどによる機械的加工、レーザ光の照射により形成することができ、それぞれ対応する半導体チップ30、金属片62の体格に対し、所定のマージンをもって形成される。空洞部23a,23bの形成タイミングとしては、導体パターン40及び層間接続部50の形成前、形成後のいずれでも良い。
また、上記した樹脂フィルム21a,21c,21d,22a,22c,22dの準備工程に並行して、半導体ユニット90の形成工程を実施する。
先ず、半導体チップ30を実装するための基板を構成する樹脂フィルムと、基板と半導体チップ30との間を封止する樹脂フィルムを準備する。
本実施形態では、図3(a)に示すように、基板をなす熱硬化性樹脂フィルム21bと、封止用の熱可塑性樹脂フィルム22bを準備する。熱硬化性樹脂フィルム21bについては片面に銅箔が貼着されたものを準備し、この銅箔をパターニングして導体パターン40を形成する。このとき、導体パターン40として、パッド41も形成される。
さらに、金属片61を収容するための空洞部23cを形成する。この空洞部23cも、上記した空洞部23a,23b同様、パンチやドリルなどによる機械的加工、レーザ光の照射により形成することができ、金属片61の体格に対し、所定のマージンをもって形成される。空洞部23cの形成タイミングとしては、導体パターン40の形成前、形成後のいずれもでも良い。
次いで、加熱・加圧することで、熱可塑性樹脂フィルム22bを、パッド41を覆うように基板のパッド形成面に貼り付ける。
本実施形態では、図3(b)に示すように、熱可塑性樹脂フィルム22bを、パッド41を覆うように、基板としての熱硬化性樹脂フィルム21bのパッド形成面に熱圧着するとともに、金属片61にも熱圧着する。
具体的には、Cuからなり、導体パターン40を含む熱硬化性樹脂フィルム21bと略同じ厚さを有する平板状の金属片61を準備し、該金属片61を、熱硬化異性樹脂フィルム21bの空洞部23cに配置する。そして、熱可塑性樹脂フィルム22bの温度が、該フィルム22bを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上、融点以下となるように加熱しつつ、熱硬化性樹脂フィルム21b側に加圧する。これにより、軟化した熱可塑性樹脂を熱硬化性樹脂フィルム21bのランド形成面及び金属片61の表面に密着させる。このとき、軟化した熱可塑性樹脂は、金属片61と熱硬化性樹脂フィルム21bにおける空洞部23cの壁面との隙間にも配置される。
熱可塑性樹脂フィルム22bを熱硬化性樹脂フィルム21bに熱圧着した後、樹脂フィルム21b,22bに導体パターン40を底面としてビアホールを形成するとともに、ビアホールに対して、図3(b)に示すように導電性ペースト50aを充填する。ここでは、いずれも導体パターン40を底面とするため、導電性ペースト40aとして、低融点室温固体樹脂を含まない導電性ペーストを採用しても良いし、低融点室温固体樹脂を含む導電性ペーストを採用しても良い。
次に、別途準備した半導体チップ30を、基板にフリップチップ実装する。
半導体チップ30には、基板に対する搭載面の電極31a,31b上にスタッドバンプ32aが形成されている。本実施形態では、Al系材料からなる電極31a,31b上に、例えばワイヤを使った周知の方法でAuからなるスタッドバンプ32a(鋲状のバンプ)が形成されている。
そして、図3(c)に示すように、例えばパルスヒート方式の熱圧着ツール100により、この半導体チップ30を、基板搭載面の裏面側から加熱しつつ基板に向けて加圧する。このとき、熱可塑性樹脂フィルム22bを構成する熱可塑性樹脂の融点(PEEK:PEI=30:70で330℃)以上の温度で加熱しつつ、熱硬化性樹脂フィルム21b側に加圧する。
熱圧着ツール100からの熱が半導体チップ30に伝わり、スタッドバンプ32aの先端温度が熱可塑性樹脂フィルム22bを構成する熱可塑性樹脂の融点以上となると、スタッドバンプ32aが接する熱可塑性樹脂フィルム22bの部分が軟化・溶融(熔融)する。したがって、熱可塑性樹脂フィルム22bを溶融させながら、スタッドバンプ32aを熱可塑性樹脂フィルム22bに押し込んで、対応するパッド41及び金属片61のパッド部位に接触させることができる。これにより、図3(d)に示すように、スタッドバンプ32aとパッド31及び金属片61のパッド部位とを圧接状態とすることができる。
また、溶融・軟化した熱可塑性樹脂は、圧力を受けて流動し、半導体チップ30の基板搭載面、熱硬化性樹脂フィルム21bのパッド形成面、導体パターン40、電極31a,31b、及びスタッドバンプ32aに密着する。したがって、図3(d)に示すように、熱可塑性樹脂フィルム22bによって、半導体チップ30と熱硬化性樹脂フィルム21b(基板)との間を封止することができる。このようにして、半導体ユニット90を形成する。
本実施形態では、フリップチップ実装時の加熱温度を、融点よりも若干高い350℃程度とし、1つのスタッドバンプ32aにかかる荷重が20〜50gf程度となる圧力を印加する。これにより、短時間で、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61のパッド部位とを圧接状態とすることができる。
なお、圧接状態となった後も、加熱・加圧を継続すると、スタッドバンプ32aを構成するAuと、パッド41及び金属片61をそれぞれ構成するCuとが相互に拡散(固相拡散)し、金属拡散層(Cu−Au合金層)を形成する。また、スタッドバンプ32aを構成するAuが電極31a,31bを構成するAlに対して固相拡散し、金属拡散層(Au−Al合金層)を形成する。
しかしながら、このような金属拡散層を形成するには、上記した圧接状態を形成するのに比べ、加熱・加圧時間として長時間を要する。1つの半導体チップ30を基板に実装するのに長時間を要すると、半導体チップ30を内蔵する配線基板10の形成時間が結果として長くなり、製造コストも増加してしまう。また、その間、電極31a,31b、スタッドバンプ32a、パッド41及び金属片61のパッド部位、の電気的な接続部以外の箇所にも、不必要な熱が印加されることとなる。このため、この実装工程では、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61のパッド部位との接続状態を圧接状態にとどめる。
また、本実施形態では、熱可塑性樹脂フィルム22bを熱硬化性樹脂フィルム21bに貼り付けた後で、ビアホールを形成し、導電性ペースト50aを充填する例を示した。しかしながら、貼り付け前の状態で、各樹脂フィルム21b,22bにビアホールを形成し、導電性ペースト50aを充填しても良い。
導電性ペースト50aについては、半導体チップ30を、基板にフリップチップ実装する際の加熱・加圧や、熱可塑性樹脂フィルム22bを貼り付け前に形成した場合には、貼り付け時の加圧・加熱により、導電性粒子が焼結されて層間接続部50(51)を形成しても良いし、焼結されずに半導体ユニット90が形成された時点で導電性ペースト50aのままでも良い。また、一部が焼結された状態としても良い。本実施形態では、フリップチップ実装後の状態で導電性ペースト50aとする。
次に、積層体を形成する積層工程を実施する。この工程では、表面に導体パターン40が形成された樹脂フィルム、ビアホール内に導電性ペースト50aが充填された樹脂フィルム、を含む複数枚の樹脂フィルムを、熱可塑性樹脂フィルムが、少なくとも1枚おきに位置しつつ半導体チップ30の電極形成面及び該電極形成面の裏面に隣接するように積層する。
本実施形態では、図4に示すように、積層方向における一端側から、熱硬化性樹脂フィルム21a、熱可塑性樹脂フィルム22a、熱硬化性樹脂フィルム21b、熱可塑性樹脂フィルム22b、熱硬化性樹脂フィルム21c、熱可塑性樹脂フィルム22c、熱硬化性樹脂フィルム21d及び金属片62、熱可塑性樹脂フィルム22dの順となるように、複数枚の樹脂フィルム21a,21c,21d,22a,22c,22d、半導体ユニット90、及び金属片62を積層する。このように本実施形態では、熱可塑性樹脂フィルム22a〜22dと熱硬化性樹脂フィルム21a〜21dとを交互に位置するように積層する。
さらには、熱可塑性樹脂フィルム22d上に放熱部材70を積層する。なお、図4では、便宜上、積層体を構成する要素を、離間させて図示している。
詳しくは、熱硬化性樹脂フィルム21aの導体パターン形成面上に熱可塑性樹脂フィルム22aを積層し、熱可塑性樹脂フィルム22a上に、半導体ユニット90を、熱硬化性樹脂フィルム21bを搭載面として積層する。半導体ユニット90における熱可塑性樹脂フィルム22b上であって、半導体チップ30の周囲には、熱硬化性樹脂フィルム21cを、導体パターン形成面とは反対側の面を搭載面として積層する。
次いで、熱硬化性樹脂フィルム21c及び半導体チップ30上に熱可塑性樹脂フィルム22cを積層し、熱可塑性樹脂フィルム22c上に導体パターン形成面を搭載面として、熱硬化性樹脂フィルム21dを積層する。また、Cuからなり、導体パターン40を含む熱硬化性樹脂フィルム21dと略同じ厚さを有する平板状の金属片62を、熱可塑性樹脂フィルム22c上であって、熱硬化異性樹脂フィルム21dの空洞部23b内に配置する。そして、熱硬化性樹脂フィルム21d上に熱可塑性樹脂フィルム22dを積層し、さらに放熱部材70を積層して、1つの積層体を形成する。
この積層体では、積層方向において、半導体チップ30に隣接する樹脂フィルムが、熱可塑性樹脂フィルム22b,22cとなる。少なくともこれら樹脂フィルム22b,22cは、加圧・加熱工程において、半導体チップ30の周囲を封止する機能を果たす。本実施形態では、垂直方向において半導体チップ30を取り囲む樹脂フィルムが熱硬化性樹脂フィルム21cであるので、上記2枚の樹脂フィルム22b,22cが、半導体チップ30の周囲を封止する機能を果たす。
このように、半導体チップ30を封止する熱可塑性樹脂フィルム22b,22cとしては、熱可塑性樹脂フィルムにガラス繊維やアラミド繊維などの無機材料を含まないだけでなく、線膨張係数や融点を調整するための無機フィラーも含まないものを採用することが好ましい。こうすることで、加圧・加熱工程において、半導体チップ30に、局所的に応力がかかるのを抑制することができる。
しかしながら、線膨張係数や融点を調整するための無機フィラーも含まない熱可塑性樹脂フィルム22b,22cを採用すると、無機フィラーが無い分、半導体チップ30との線膨張係数差が大きくなり、これにともなう応力が増加することが考えられる。したがって、応力低減のために、熱可塑性樹脂フィルム22b,22cとして弾性率の低い(例えば10GPa以下)樹脂フィルムを採用すると良い。
また、半導体チップ30を封止する熱可塑性樹脂フィルム22b,22cとしては、厚さが5μm以上のものを採用することが好ましい。5μm未満とすると、加圧・加熱工程において、これら樹脂フィルム22b,22cの応力が高くなり、半導体チップ30の表面から剥がれてしまう恐れがあるためである。
また、積層方向において、金属片61に隣接する樹脂フィルムが、熱可塑性樹脂フィルム22a,22bとなる。少なくともこれら樹脂フィルム22a,22bは、加圧・加熱工程において、金属片61の周囲を封止する機能を果たす。本実施形態では、垂直方向において金属片61を取り囲む樹脂フィルムが熱硬化性樹脂フィルム21bであるので、上記2枚の樹脂フィルム22a,22bが、金属片61の周囲を封止する機能を果たす。
同様に、積層方向において、金属片62に隣接する樹脂フィルムが、熱可塑性樹脂フィルム22c,22dとなり、少なくともこれら樹脂フィルム22c,22dが、金属片62周囲を封止する機能を果たす。
次いで、真空熱プレス機を用いて積層体を積層方向上下から加圧しつつ加熱する加圧・加熱工程を実施する。この工程では、熱可塑性樹脂を軟化させて複数枚の樹脂フィルムを一括で一体化するとともに半導体チップ30を封止し、導電性ペースト50a中の導電性粒子を焼結体として、該焼結体と導体パターン40を有した配線部を形成する。
加圧・加熱工程では、樹脂フィルムを一括で一体化して絶縁基材20とするとともに、導電性ペースト50a中の導電性粒子を焼結体とするために、樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度、数MPaの圧力を所定時間保持する。本実施形態では、280℃〜330℃のプレス温度、4〜5MPaの圧力を5分以上(例えば10分)保持する。
先ず、加圧・加熱工程において、樹脂フィルム部分の接続について説明する。
1枚おきに配置された熱可塑性樹脂フィルム22a〜22dは、上記加熱により軟化する。このとき、圧力を受けているため、軟化した熱可塑性樹脂フィルム22a〜22dは、隣接する熱硬化性樹脂フィルム21a〜21dに密着する。これにより、複数の樹脂フィルム21a〜21d,22a〜22dが一括で一体化し、絶縁基材20が形成される。このとき、放熱部材70にも、隣接する熱可塑性樹脂フィルム22dが密着するため、放熱部材70も絶縁基材20に一体化する。
また、半導体チップ30に隣接する熱可塑性樹脂フィルム22b,22cは、圧力を受けて流動し、半導体チップ30の電極31a,31ba形成面、及び、その裏面である電極31c〜31e形成面に密着する。また、半導体チップ30の側面と熱硬化性樹脂フィルム21cとの隙間にも入り込み、該隙間を埋めるとともに、半導体チップ30の側面に密着する。したがって、熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂フィルム22b,22c)により、半導体チップ30が封止される。
また、金属片61に隣接する熱可塑性樹脂フィルム22a,22bは、圧力を受けて流動し、金属片61における積層方向上面及び下面に密着する。また、金属片61の側面と熱硬化性樹脂フィルム21bとの隙間にも入り込み、該隙間を埋めるとともに、金属片61の側面に密着する。したがって、熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂フィルム22a,22b)により、金属片61が封止される。同様に、熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂フィルム22c,22d)により、金属片62が封止される。
次に、加圧・加熱工程において、半導体チップ30の電極31、導体パターン40、層間接続部50の接続について説明する。
上記加熱により、導電性ペースト50a中のSn(融点232℃)が溶融し、同じく導電性ペースト50a中のAg粒子に拡散して、Ag−Sn合金(融点480℃)を形成する。また、導電性ペースト50aに圧力が加えられているため、焼結により一体化した合金からなる層間接続部50(51,52)がビアホール内に形成される。
溶融したSnは、導体パターン40(パッド41〜43含む)及び金属片62を構成するCuとも相互拡散する。これにより、層間接続部50と導体パターン40の界面、層間接続部50と金属片62の界面、に金属拡散層(Cu−Sn合金層)がそれぞれ形成される。
溶融したSnは、半導体チップ30の電極31c〜31eを構成するNiとも相互拡散する。これにより、層間接続部50と電極31c〜31eとの界面に金属拡散層(Ni−Sn合金層)が形成される。
また、スタッドバンプ32aを構成するAuが、半導体チップ30の電極31a,31bを構成するAlに固相拡散する。特に電極31a,31bはファインピッチ対応の電極であるため、電極31a,31bを構成するAlの量は、スタッドバンプ32aを構成するAuの量に比べて少なく、電極31a,31bのうち、スタッドバンプ32aと対向する部位の厚み方向のAl全てがAuとの合金化に費やされて、加圧・加熱工程後では、上記部位において、Alを金属単体で含まないものとなる。また、加圧・加熱後の電極31a,31bは、Au−Al合金として、主としてAuAl合金を含むものとなる。
なお、加圧・加熱工程において、AuAl合金が生成する前に、成長速度の速いAuAlが生成されたとしても、圧力が印加されているため、上記したカーケンダルボイドの生成を抑制することができる。
さらに、スタッドバンプ32aを構成するAuと、導体パターン40(パッド41)及び金属片61を構成するCuとが相互に拡散する。これにより、スタッドバンプ由来の接続部32とパッド31との界面、接続部32と金属片61との界面、に金属拡散層(CuAu合金を含むCu−Au合金層)が形成される。Cu−Au合金は、250℃程度以上の加熱があれば生成でき、上記した加圧・加熱条件によれば、CuAu合金層を形成することができる。
また、スタッドバンプ32aは、固相拡散接合に消費されたAuの残りにより、Au−Al合金からなる部位を含む電極31a,31bと、Cuからなり、界面にCu−Au合金層を有するパッド41及び金属片61のパッド部位とを電気的に接続する接続部32となる。このように、加圧・加熱工程において、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61のパッド部位との接続状態を、直接的な接合状態とする。
以上により、図5に示すように、絶縁基材20に半導体チップ30が内蔵され、半導体チップ30が熱可塑性樹脂によって封止され、半導体チップ30と外部接続用電極45とが配線部によって電気的に接続され、半導体チップ30と放熱部材70とが放熱配線部によって熱的に接続された基板を得ることができる。
そして、この基板に対し、絶縁基材20の一面20a側から外部接続用電極45を底面とする孔を形成し、孔内にメッキ膜などの導電部材を配置したあと、導電部材上にはんだボール80を形成することで、図1に示す配線基板10を得ることができる。
次に、上記実施形態に示した配線基板10における特徴部分の効果について説明する。先ず主たる特徴部分の効果について説明する。
本実施形態に係る配線基板10では、絶縁基材20が少なくとも熱可塑性樹脂を含み、該絶縁基材20の熱可塑性樹脂によって半導体チップ30が封止されている。このような配線基板10は、上記したように、PALAPとして知られる一括積層法にて形成することができる。したがって、配線基板10の製造工程を簡素化することができる。
また、大電流電極31bに接続された配線部は、横配線部として金属片61を含んでおり、この金属片61は、隣り合う小電流電極31aの直上であって同一層に位置する複数のパッド41(第1パッド)に対して同一層に位置するとともに、大電流電極31bの直上に位置する部位が、接続部32と接続されるパッド(第2パッド)を兼ねている。さらに、金属片61の厚さは、同一層に位置する複数のパッド41よりも厚くなっている。
ここで、小電流電極31aを含む電極31a,31bの間隔が狭い半導体チップ30を採用した場合、厚みの薄い導体箔を採用することで、複数のパッド41の間隔を小電流電極31aに対応させて狭いものとすることができる。一方、複数のパッド41と同一層に位置する、大電流電極31bの横配線部については、導体パターン40からなる構成とするのではなく、金属片61を用いている。この金属片61は、複数のパッド41を構成する導体箔とは異なり、小電流電極31aを含む電極31a,31bの間隔によって厚さが決定されるものではない。したがって、上記したように、横配線部を構成する金属片61をパッド41よりも厚くすることができる。これにより、大電流電極31bに接続された配線部のうち、複数のパッド41と同一層に位置する横配線部の電流容量を増やすことができる。
また、複数のパッド41と同一層の横配線部の断面積を大きくすべく、垂直方向において導体パターン40の幅を広くする構成に比べて、配線基板10の体格が増大を抑制することができる。
同様に、大電流電極31dに接続された配線部は、横配線部として金属片62を含んでおり、この金属片62は、隣り合う小電流電極31cの直上であって同一層に位置する複数のパッド42(第1パッド)に対して同一層に位置するとともに、大電流電極31dの直上に位置する部位が、層間接続部51と接続されるパッド(第2パッド)を兼ねている。さらに、金属片62の厚さは、同一層に位置する複数のパッド42よりも厚くなっている。
これにより、大電流電極31dに接続された配線部のうち、複数のパッド42と同一層に位置する横配線部の電流容量を増やすことができる。また、配線基板10の体格が増大を抑制することができる。
以上より、本実施形態によれば、パワートランジスタと信号処理回路部とが混在する半導体チップ30を内蔵した配線基板10としながらも、製造工程を簡素化でき、且つ、体格を増大せずに電流容量の不足を解消することができる。
さらに、本実施形態では、横配線部が金属片60(61,62)のみからなる。したがって、金属片60と他の導電部材とを接合して1つの横配線部とする構成に比べて、構成を簡素化することができる。また、金属片60と他の導電部材とのように接合界面での抵抗がないため、大電流電極31b,31dの配線部として好適である。
また、本実施形態では、金属片61において、該金属片61とともに配線部を構成する他の縦配線部(接続部32及び層間接続部51)との接続部位を除く表面部位が、絶縁基材20の熱可塑性樹脂によって封止されている。同様に、金属片62において、該金属片62とともに配線部を構成する他の縦配線部(層間接続部51)との接続部位を除く表面部位が、絶縁基材20の熱可塑性樹脂によって封止されている。
金属片60(61,62)の周辺に空隙が存在すると、後工程(例えば配線基板20のマザーボードへの実装工程)などでの温度上昇で、空隙内の湿気が水蒸気化し、これにより、クラックや剥離などが生じる恐れがある。これに対し、本実施形態では、金属片61,62の表面に熱可塑性樹脂が密着しているので、これにより、クラックや剥離などが生じるのを抑制することができる。
なお、このような構成は、上記したように、金属片61に対して積層方向上下に熱可塑性樹脂フィルム22a,22bを隣接配置し、金属片62に対して積層方向上下に熱可塑性樹脂フィルム22c,22dを配置することで、実現している。
また、本実施形態では、半導体チップ30の同一面側に形成された小電流電極31aの直上にそれぞれ位置する全てのパッド41が、同一層において、導体パターン40としての引き出しパターン44に連結されている。また、小電流電極31cの直上にそれぞれ位置する全てのパッド42も、同一層において、導体パターン40としての引き出しパターン44に連結されている。
すなわち、全ての小電流電極31aは、接続部32を介して1層で、対応するパッド41にそれぞれ接続されるとともに、引き出しパターン44にて再配線されている。また、全ての小電流電極31cは、層間接続部51を介して1層で、対応するパッド42にそれぞれ接続されるとともに、引き出しパターン44にて再配線されている。これにより、厚み方向において、配線基板10の体格を小型化することができる。
ところで、本実施形態では、小電流電極31aを、電極間隔(ピッチ)の狭いものとしている。このような小電流電極31aに対しては、ビアホールの形成や導電性ペーストの充填が困難となることから、対応するパッド41との接続に、層間接続部51ではなく、スタッドバンプ32a由来の接続部32を用いている。このため、パッド41についても層間接続部51を接続することが困難であり、上記したように、接続部32を介して1層で、対応するパッド41にそれぞれ接続されるとともに、引き出しパターン44にて再配線された構成とすることが好ましい。
一方、Ni系材料からなる電極31cについては、電極31aよりもピッチが広く、図1に示すように、電極31aには層間接続部51が接続されている。したがって、異なる層にて引き出しパターン44に連結される構成を採用することができる。例えば複数の層間接続部51を介して、引き出しパターン44が連結されたパッド42に接続する構成では、層間接続部51の間に導体パターン40を介在させても良い。この場合、層間接続部51の間に介在される導体パターン40も、小電流電極31cの直上に位置し、小電流電極31cと層間接続部51を介して接続されたパッド42となる。すなわち、1つの小電流電極31aの直上に、複数のパッド42が位置する構成としても良い。
また、本実施形態では、小電流電極31a,31cに接続された配線部を構成する全ての横配線部が導体パターン40(引き出しパターン44)からなり、大電流電極31b,31dに接続された配線部を構成する全ての横配線部が金属片60をそれぞれ含むとともに、該金属片60は、配線部を構成する導体パターン40のいずれよりも厚い構成となっている。これにより、大電流電極31b,31dに接続された配線部を構成する全ての横配線部において、導体パターン40を採用する構成に比べ、垂直方向における体格を増大せずに電流容量を増やすことができる。
また、本実施形態では、金属片60は、熱可塑性樹脂(PEEK/PEI)よりも融点の高い金属材料(Cu)からなり、層間接続部51との界面に、拡散による合金層(Cu−Sn合金層)を有している。これにより、金属片61と層間接続部51との接続信頼性を向上することができる。
また、本実施形態では、大電流電極31bと金属片61とが、同一層において互いに並列配置された縦配線部としての複数の接続部32により、電気的にも並列接続されている。同様に、大電流電極31dと金属片62とが、同一層において互いに並列配置された縦配線部としての複数の層間接続部51により、電気的にも並列接続されている。これにより、単独で接続部32や層間接続部51を採用する構成に比べて、大電流電極31b,31dに接する縦配線部の電流容量を向上することができる。
大電流電極31dに接続される層間接続部51については、ビアホールの大きさが、電極31c〜31eのピッチの制約を受けるため、配線部を構成する他の部位の層間接続部51に比べて、電流容量に対する配線自由度が低い。このように配線自由度が低い、大電流電極31dに接続される層間接続部51について、本実施形態では、上記のように並列接続構造を採用しているので、大電流電極31b,31dに接する縦配線部の電流容量を向上することができる。
なお、本実施形態では、大電流電極31b,31dに接続された配線部を構成する縦配線部としての層間接続部51のうち、大電流電極31dと金属片62とを接続する層間接続部51以外の層間接続部51については特に言及しなかったが、これら層間接続部51についても、上記した並列接続構造を採用しても良い。これによれば、大電流電極31b,31dに接続された配線部を構成する全ての縦配線部において、電流容量を向上することができる。
次に、その他の特徴部分の効果について説明する。
本実施形態では、積層体を形成する積層工程の前に、半導体チップ30と、基板(熱硬化性樹脂フィルム21b)との間に熱可塑性樹脂フィルム22bを配置し、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱しつつ加圧する。したがって、温度を熱可塑性樹脂の融点以上まで上げている間は、熱可塑性樹脂に流動性を持たせることができ、加圧によりスタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位との間に位置する熱可塑性樹脂を移動させ、スタッドバンプ32aをパッド41及び金属片61におけるパッド部位に直接接触させて、スタッドバンプ52aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位とを圧接状態とすることができる。
このとき、溶融した熱可塑性樹脂が圧力を受けて流動し、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位の接続部の周囲を含んで、半導体チップ30と基板(熱硬化性樹脂フィルム21b)の間を封止する。したがって、各接続部間での電気的な絶縁性を確保することができる。また、接続部における接続信頼性を向上することができる。
また、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位とが圧接状態となった時点でフリップチップ実装工程(加熱・加圧)を終了し、加圧・加熱工程で受ける加圧・加熱により、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位とを接合状態とする。このように、加圧・加熱工程の熱と圧力を利用することで、スタッドバンプ32a(接続部32)とパッド41及び金属片61におけるパッド部位とを接合状態とするので、圧接状態に比べて、半導体チップ30の電極31a,31bとパッド41及び金属片61におけるパッド部位との電気的な接続信頼性を向上することができる。
また、フリップチップ実装工程では、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位とを圧接状態としておき、加圧・加熱工程の熱と圧力を利用することで、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位とを接合状態とする。したがって、フリップチップ実装工程において、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位とを接合状態とし、その後、加圧・加熱工程を実施する方法に比べて、製造時間を短縮することができる。
なお、積層工程の前にスタッドバンプ32aをパッド41及び金属片61におけるパッド部位に接触させず、加圧・加熱工程にて、スタッドバンプ32aをパッド41及び金属片61におけるパッド部位に接触させ、且つ、接合状態となるようにしても良い。しかしながら、このような方法では、軟化した熱可塑性樹脂の緩衝効果により、スタッドバンプ32aが熱可塑性樹脂フィルム22bに押し込まれにくくなる。その結果、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位との間に熱可塑性樹脂が残ってしまうことも考えられる。
これに対し、本実施形態では、積層工程の前に、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位とを圧接状態としておくので、加圧・加熱工程の加圧・加熱により、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位とを確実に接合状態とすることができる。
また、本実施形態では、熱硬化性樹脂フィルム21a〜21dのみに導体パターン40を形成し、熱可塑性樹脂フィルム22a〜22dには導体パターン40を形成しない。したがって、加圧・加熱工程などで熱可塑性樹脂が軟化し、圧力を受けて流動しても、導体パターン40は熱硬化性樹脂フィルム21a〜21dに固定されているため、導体パターン40の位置ズレを抑制することができる。このため、ファインピッチ対応の半導体チップ30を内蔵する配線基板10(半導体装置)に好適である。
また、本実施形態では、加圧・加熱工程において、スタッドバンプ32aを構成するAuが、スタッドバンプ32aの一端側に接する電極31a,31bのAlに固相拡散するとともに、スタッドバンプ32aの他端側に接するパッド41及び金属片61におけるパッド部位のCuと固相拡散する。したがって、スタッドバンプ32a(接続部32)を介した電極31a,31bとパッド41及び金属片61のパッド部位との電気的な接続信頼性をより向上できるとともに、Au−Al合金とCu−Au合金を同一の工程で形成することで製造工程を簡素化することもできる。
ところで、両面に電極31を有する半導体チップ30において、両面に設けられた電極31をともに固相拡散接合すると、加圧・加熱工程の間中、半導体チップ30の両面側に固体が接しているので、半導体チップ30に印加される圧力(プレス圧)が高くなる。これに対し、本実施形態では、半導体チップ30の一面側では、Auの固相拡散により、電極31a,31bとパッド41及び金属片61のパッド部位とを電気的に接続し、一方、半導体チップ30の反対の面側では、溶融したSnの液相拡散により、電極31c〜31eとパッド42、43及び金属片62のパッド部位とを電気的に接続する。したがって、液相側で半導体チップ30に印加される圧力を緩衝することができる。このため、一方をスタッドバンプ32aを用いた固相拡散としてファインピッチ対応しながらも、加圧・加熱工程で半導体チップ30に印加される圧力を低減して、半導体チップ30の信頼性を高めることができる。
また、本実施形態では、熱可塑性樹脂フィルム22b,22cとして、ガラス繊維などの無機材料や、無機フィラーを含まない樹脂フィルムを採用するため、これによっても、加圧・加熱工程で半導体チップ30に印加される圧力を低減することができる。
また、本実施形態では、加圧・加熱工程において、スタッドバンプ32aからのAuの固相拡散により、電極31a,31bのうち、スタッドバンプ32aの直下部位を、金属単体としてのAlが存在しない、Au−Al合金からなるものとする。これにより、Auからなる接続部32に接する電極31a,31bの部位は全て合金化しているため、高温の使用環境においても、接続部32からのAuの拡散によるカーケンダルボイドの発生を抑制することができる。
(変形例)
上記した製造方法では、半導体チップ30を、基板としての熱硬化性樹脂フィルム21bにフリップチップ実装する際に、スタッドバンプ32aを、熱硬化性樹脂フィルム21bのパッド形成面上に貼り付けた熱可塑性樹脂フィルム22bに押し込んで、パッド41及び金属片61のパッド部位との圧接状態を確保する例を示した。
しかしながら、図6(a),(b)に示すように、熱硬化性樹脂フィルム21bのパッド形成面に、パッド31に対応する位置に貫通孔24が設けられた熱可塑性樹脂フィルム22bを、貫通孔24がパッド41及び金属片61におけるパッド部位を覆うように貼り付けておくと良い。
図6(a)では、各パッド41及び金属片61におけるパッド部位ごとに貫通孔24を設けている。これによれば、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位との各接続部の間に、熱可塑性樹脂フィルム22bが位置するため、フリップチップ実装工程において、軟化した熱可塑性樹脂が接続部を覆いやすい。すなわち、貫通孔24を設けながらも、各接続部間での電気的な絶縁性を確保しやすく、接続部における接続信頼性を向上しやすい。
一方、図6(b)では、複数のパッド41(金属片61におけるパッド部位を含む)ごとに貫通孔24を1つ設けている。これによれば、1つのパッド41(金属片61におけるパッド部位を含む)ごとに1つの貫通孔24を設ける構成に比べて、パッド41(金属片61におけるパッド部位を含む)間の間隔(ピッチ)によらず、貫通孔24を形成することができる。すなわち、貫通孔24の形成自由度が高く、ファインピッチに適している。
パッド31に対応する位置に貫通孔24が設けられた熱可塑性樹脂フィルム22bを貼り付けた状態、熱可塑性樹脂フィルム22bを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点(換言すれば、熱可塑性樹脂が軟化する軟化点)以上の温度で加熱しつつ加圧して、半導体チップ30を熱硬化性樹脂フィルム21bにフリップチップ実装する。これにより、半導体チップ30のスタッドバンプ32aを、貫通孔24を通じて対応するパッド41及び金属片61におけるパッド部位に圧接させるとともに、軟化した熱可塑性樹脂にて半導体チップ30と熱硬化性樹脂フィルム21bとの間を封止する。
このような構成を採用すると、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位との圧接状態を形成するに当たり、熱可塑性樹脂フィルム22bを溶融させなくとも良い。熱可塑性樹脂フィルム22bを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上の温度で加熱しつつ加圧することで、軟化した熱可塑性樹脂にて半導体チップ30と熱硬化性樹脂フィルム21bとの間を封止できれば良い。換言すれば、半導体チップ30を熱可塑性樹脂フィルム22bに熱圧着できれば良い。熱可塑性樹脂フィルム22bには、フリップチップ実装前に予め貫通孔24を設けるため、貫通孔24を設けない方法に比べて、圧接状態を容易に形成することができる。
したがって、熱量が同じであれば、より短時間でスタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位との圧接状態及び熱可塑性樹脂フィルム22bによる封止構造を形成することができる。すなわち、フリップチップ実装工程での加熱・加圧時間、ひいては配線基板10の製造時間をより短縮することができる。
また、加熱・加圧時間及び加圧条件が同じなら、少ない熱量をもって、スタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位との圧接状態を確保することができる。
なお、貫通孔24は、熱可塑性樹脂フィルム22bを、熱硬化性樹脂フィルム21bに貼り付ける前に形成しても良いし、貼り付けた後に形成しても良い。本実施形態では、貼り付けた後、熱可塑性樹脂フィルム22bにおけるパッド41及び金属片61におけるパッド部位に対応する位置に、炭酸ガスレーザなどにより貫通孔24を形成する。このような方法を採用すると、位置精度よく貫通孔24を形成することができる。
一方、貼り付ける前にレーザ光の照射などにより貫通孔24を形成する場合、熱可塑性樹脂フィルム22bを貼り付ける際に、該樹脂フィルム22bにおける貫通孔24の形成位置とは異なる位置を加熱しつつ加圧して貼り付けると良い。貫通孔24の形成位置とは異なる位置を加熱・加圧して貼り付けるため、貫通孔24の潰れ(閉塞)を防ぐことができる。したがって、半導体チップ30を基板に実装する際に、短時間でスタッドバンプ32aとパッド41及び金属片61におけるパッド部位とを圧接状態とすることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、大電流電極と外部接続用電極とを接続する配線部が、横配線部だけでなく、縦配線部としての金属片を有し、この金属片は、層間接続部よりも断面積が大きい点を特徴とする。
図7に示す配線基板10では、大電流電極31b,31dのうち、厚さ方向において、外部接続用電極45までの距離が長いほうの大電流電極31dにおいて、配線部を構成する縦配線部の一部が、厚さ方向に沿って延びる金属片63となっている。また、金属片63は、Cuからなり、配線基板10に設けられた層間接続部51よりも断面積の大きい柱状部材となっている。それ以外の構成は、第1実施形態に示した構成(図1)と同じである。
図1では、横配線部としての金属片62と外部接続用電極45との間に、金属片62側から、層間接続部51、導体パターン40、層間接続部51、層間接続部51、導体パターン40、層間接続部51、層間接続部51の順で介在されている。これに対し、図7に示す構成では、横配線部としての金属片62と外部接続用電極45との間に、金属片62側から、層間接続部51、金属片63、層間接続部51の順で介在されている。
このように、横配線部としての金属片62と、縦配線部としての金属片63とは、層間接続部51を介して接続され、金属片63と導体パターン40としての外部接続用電極45とは、層間接続部51を介して接続されている。すなわち、層間接続部51を接続部材として、金属片63は、金属片62及び外部接続用電極45とそれぞれ接続されている。
なお、Cuからなる金属片63とAg−Sn合金からなる層間接続部51との界面には、CuとSnとが相互に拡散してなる金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成され、これにより、金属片63と層間接続部51との接続信頼性が向上されている。
このように、本実施形態に係る配線基板10によれば、縦配線部を構成する金属片63の断面積が層間接続部51よりも大きいので、金属片61からなる縦配線部の電流容量を増やすことができる。また、金属片63を採用することで、導電性ペースト50a中の導電性粒子を焼結してなる層間接続部51よりも、配線抵抗を低減することも可能である。
なお、金属片63に接続される層間接続部51については特に言及しなかったが、これら層間接続部51についても、第1実施形態で示した並列接続構造を採用すると良い。すなわち、金属片62,63が、同一層において互いに並列配置された縦配線部としての複数の接続部51により電気的に並列接続されるとともに、金属片63と外部接続用電極45とが、同一層において互いに並列配置された縦配線部としての複数の接続部51により電気的に並列接続された構成とすると良い。これによれば、大電流電極31dに接続される層間接続部51においても上記した並列接続構造とすることで、大電流電極31dに接続された配線部を構成する全ての縦配線部において、電流容量を向上することができる。
なお、一例として、大電流電極31dに接続された配線部が、縦配線部として金属片63を有する例を示したが、大電流電極31bに接続された配線部が、縦配線部として金属片60を有する構成を採用することもできる。
(第3実施形態)
本実施形態では、横配線部を構成する金属片と縦配線部を構成する金属片とを、1つの金属片が兼ねる点を特徴とする。
図8に示す配線基板10では、第2実施形態(図7参照)で示した配線基板10に示した、大電流電極31dに接続された配線部を構成する、横配線部としての金属片62と縦配線部としての金属片63を、1つの金属片64で兼ねた構成となっている。
この金属片64は、CuからなるL字状の部材となっており、L字状の金属片64における横配線部、すなわち、金属片62に相当する部分は、同一層に位置するパッド42よりも厚いものとなっている。一方、L字状の金属片64における縦配線部、すなわち、金属片63に相当する部分は、層間接続部51よりも断面積の大きいものとなっている。
このように、本実施形態に係る配線基板10によれば、横配線部を構成する金属片62と、縦配線部を構成する金属片63とを別部材とし、層間接続部51などを介して接続する構成に比べて、配線抵抗を低減することができる。
なお、一例として、大電流電極31dに接続された配線部が、縦配線部及び横配線部をなす金属片64を有する例を示したが、大電流電極31bに接続された配線部が、縦配線部及び横配線部をなす金属片64を有する構成を採用することもできる。
(第4実施形態)
第2実施形態(図7参照)で示した縦配線部としての金属片63、及び、第3実施形態(図8参照)で示した金属片64のうち、縦配線部をなす金属片63に相当する部分は、いずれも、厚み方向において半導体チップ30と同じ位置に配置されていた。
本実施形態においても、図9に模式的に示すように、厚み方向において半導体チップ30と同じ位置に金属片63が配置されており、金属片63と半導体チップ30との対向領域には、絶縁基材20を構成する熱可塑性樹脂22が介在されている。そして、金属片63は、半導体チップ30との対向部位として、厚み方向に沿う仮想面に対して斜めとされた斜面部63aを有している。
なお、図9及び図10では、便宜上、全ての樹脂フィルムを熱可塑性樹脂フィルム22としている。
上記したように、半導体チップ30に並んで剛体である金属片63が位置すると、第1実施形態で示した加圧・加熱工程において、金属片63が加圧に対するつっかい棒となり、加熱により軟化した熱可塑性樹脂フィルム22(熱可塑性樹脂)の流動が制限され、半導体チップ30の周辺(特に側面30a)に空隙が残ることも考えられる。特に図9に示すように、厚み方向における金属片63の長さが半導体チップ30の厚み(長さ)より、長いと、金属片63が加圧に対するつっかい棒となりやすい。
このような空隙が存在すると、後工程(例えば配線基板10のマザーボードへの実装工程)などでの温度上昇で、空隙内の湿気が水蒸気化し、これにより、クラックや剥離などが生じる恐れがある。
これに対し、本実施形態では、上記したように金属片63が斜面部63aを有する。したがって、軟化した熱可塑性樹脂フィルム22(熱可塑性樹脂)の流動は、図10に示すように、厚さ方向の流動から、金属片63の斜面部63aにて半導体チップ30の側面30aに向けた垂直方向の流動に変えられる。これにより、半導体チップ30の側面30aに熱可塑性樹脂を密着させて、空隙が生じるのを抑制することができる。
なお、図9及び図10では、便宜上、全ての樹脂フィルムを熱可塑性樹脂フィルム22としたが、図7及び図8で示した構成においても、金属片63の斜面部63aにて、例えば熱可塑性樹脂フィルム22cを半導体チップ30側に流動させる効果を高めることができる。
(第5実施形態)
上記実施形態では、金属片のみからなる横配線部の例を示した。これに対し、本実施形態では、導体パターンと、該導体パターンを覆うように導体パターンに接合された金属片からなる横配線部を有する点を特徴とする。
図11に示す配線基板10では、上記実施形態で示した金属片62のみからなる横配線部の部分が、導体パターン40と、該導体パターン40を覆うように導体パターン40に接合された金属片62とから構成されている。そして、導体パターン40と金属片63とが接合されてなる横配線部、すなわち金属片配線部の厚みが、同一層に位置するパッド42よりも厚いものとなっている。
金属片62が接合された導体パターン40は、大電流電極31dに対応するパッド46と、引き出しパターン44を含んでいる。また、金属片62は、上記実施形態同様、Cuからなる平板状の部材であり、垂直方向において、導体パターン40とほぼ一致する形状及び大きさを有している。そして、金属片62と導体パターン40とが、図示しないはんだを介して接合されている。
このような配線基板10は、第1実施形態に示した製造方法とほぼ同じ工程にて形成することができる。異なる点は、図12に示すように、金属片62を収容する空洞部23bを備えた熱硬化性樹脂フィルム21dの導体パターン40を無くし、代わりに、隣接する熱可塑性樹脂フィルム22cにおける熱硬化性樹脂フィルム21d側の表面に導体パターン40を設けた点である。また、この導体パターン40として、金属片62と対向する導体パターン40を含む点である。
また、本実施形態では、金属片62における導体パターン40側の表面に、はんだメッキを施している。これにより、第1実施形態で示した加圧・加熱工程において、はんだにより、金属片62と導体パターン40とを接合することができる。しかしながら、メッキ以外にも、はんだペーストの塗布などを採用することもできる。
このように、本実施形態に係る配線基板10によれば、導体パターン40がパッド46(第2パッド)を兼ねるため、パッド42(第1パッド)と同じ導体箔を加工して形成することができる。これにより、構成を簡素化することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
絶縁基材20を構成する複数枚の樹脂フィルムの構成は、上記例に限定されるものではない。樹脂フィルムの枚数は上記例(8枚)に限定されるものではない。半導体チップ30を内蔵できる枚数であれば良い。
熱可塑性樹脂フィルムの構成材料も上記例に限定されない。例えば、PEEK/PEIからなるものであっても、上記例とは比率の異なるものを採用しても良い。また、PEEK/PEI以外の構成材料、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などを採用しても良い。
加圧・加熱工程での半導体チップ30への局所的な応力印加を抑制すべく、熱可塑性樹脂フィルム22a〜22dとして、ガラス繊維、アラミド繊維などの基材に用いられる無機材料、融点や線膨張係数の調整のために添加される無機フィラーを有さないフィルムを用いる例を示したが、これらを含む熱可塑性樹脂フィルム22a〜22dを採用することもできる。しかしながら、上記したように、半導体チップ30を封止するのに用いる熱可塑性樹脂フィルム(本実施形態では2枚の熱可塑性樹脂フィルム22b,22c)については、半導体チップ30への局所的な応力印加を抑制するために、ガラス繊維、アラミド繊維などの基材に用いられる無機材料、融点や線膨張係数の調整のために添加される無機フィラーを有さないフィルムを用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂フィルムの構成材料も上記例に限定されない。例えば、ガラス繊維、アラミド繊維などの基材に用いられる無機材料を含むフィルムを採用することもできる。また、熱硬化性ポリイミド以外の熱硬化性樹脂を採用することもできる。
また、複数枚の樹脂フィルムとして、熱硬化性樹脂フィルムを含まず、熱可塑性樹脂フィルムのみを含む構成としても良い。また、熱硬化性樹脂フィルムよりも熱可塑性樹脂フィルムの枚数が多く、積層状態で一部、熱可塑性樹脂フィルムが連続する構成としても良い。
本実施形態では、半導体チップ30がフリップチップ実装される基板として、熱硬化性樹脂フィルム21bの例を示した。しかしながら、上記基板として、熱可塑性樹脂フィルムを採用しても良い。また、複数枚の樹脂フィルムを用いて基板を構成しても良い。
本実施形態では、放熱性を向上するために、絶縁基材20の一面20bに放熱部材70を固定する例を示した。また、同じく放熱性を向上するために、半導体チップ30にダミー電極31eを設け、ダミー電極31eに放熱配線部(パッド43及び層間接続部52)を接続する例を示した。しかしながら、少なくとも一方を有さない構成としても良い。放熱部材70及び放熱配線部のうち、いずれか一方のみを有する構成とすると、図1に示す構成よりは劣るものの、いずれも有さない構成に比べて放熱性を向上することができる。
また、放熱部材70を絶縁基材20の一面20b全面に設けているが、一面20bの一部に放熱部材70が固定された構成としても良いし、絶縁基材20の両面20a,20bの両面に放熱部材70がそれぞれ固定された構成としても良い。
本実施形態では、半導体チップ30が両面に電極31を有し、さらに電極31として、電気的な接続機能を提供する電極31a〜31dと、ダミー電極31eを含む例を示した。しかしながら、放熱配線部とともにダミー電極31eを有さない構成としても良い。また、半導体チップ30として、一面のみに電極31を有する構成としても良い。また、両面に電極31が形成された構成において、電極31a,31b側も、層間接続部51と接続される構成としても良い。
例えば半導体チップ30が、一面に電極31a,31bを有し、反対側の面にダミー電極31eのみを有する構成としても良い。この場合も、上記したように、ダミー電極31eとパッド43との電気的な接続を液相拡散とすると、加圧・加熱工程で半導体チップ30に印加される圧力(プレス圧)を抑制することができる。なお、一面のみに電極31a,31bを有する場合、半導体チップ30に構成されるパワートランジスタとしては、例えばLDMOSFETが考えられる。
また、半導体チップ30が、一面側に電極31a,31bを有し、反対側の面に電極31を有さない構成とすると、電極31を設けない面には、配線部、放熱配線部が接続されないため、加圧・加熱工程において、軟化する熱可塑性樹脂フィルム22cにより、両面に電極31を有する構成よりも、半導体チップ30に印加される圧力(プレス圧)を抑制することができる。
また、樹脂フィルムの厚さや、導体パターン40の厚さも上記例に限定されるものではない。ただし、積層方向において、半導体チップ30に隣接し、半導体チップ30を封止する熱可塑性樹脂フィルム22b,22cについては、上記したように、厚さが5μm以上のものを採用することが好ましい。
また、金属片60の構成材料は、上記例(Cu)に限定されるものではない。例えば、層間接続部50と同一の材料からなる構成とすると、金属片60と層間接続部50の物性(例えば線膨張係数)が同じであるため、金属片60と層間接続部50との接合部の接続信頼性を向上することができる。
また、電極31の構成材料、個数、配置、配線部との接続構造については、上記例に限定されるものではない。例えば、半導体チップ30の一面に形成された電極31a,31bに層間接続部51が接続された構成としても良い。また、1つの金属片60(金属片61,62)に対し、1つの大電流電極31b,31dのみが接続された構成としても良い。しかしながら、上記実施形態で示したように、1つの金属片60(金属片61,62)に対し、それぞれ接続部32や層間接続部51を介して複数の大電流電極31b,31dが並列接続された構成とすると、金属片60と大電流電極31b,31dとの間の配線部の電流容量を向上することができるので好ましい。特に、上記実施形態では、大電流電極31bを小電流電極31aとともにファインピッチとしているので、金属片61に対し、複数の大電流電極31bがそれぞれ接続部32を介して並列接続された構成とすると良い。
10・・・配線基板(半導体チップ内蔵配線基板)
20・・・絶縁基材
21a〜21d・・・熱硬化性樹脂フィルム
22a〜22d・・・熱可塑性樹脂フィルム
30・・・半導体チップ
31・・・電極
31a,31c・・・小電流電極
31b,31d・・・大電流電極
32・・・接続部
32a・・・スタッドバンプ
40・・・導体パターン
41〜43・・・パッド
50・・・層間接続部

Claims (13)

  1. 少なくとも熱可塑性樹脂を含む絶縁基材と、
    複数の素子が構成され、前記絶縁基材に埋設されて該絶縁基材の熱可塑性樹脂により封止された半導体チップと、
    前記絶縁基材に設けられ、導体箔をパターニングしてなる導体パターンと、ビアホールに形成された層間接続部とを含み、前記半導体チップの電極と電気的に接続された配線部と、を備える半導体チップ内蔵配線基板であって、
    前記半導体チップには、前記素子としてのパワートランジスタと、前記パワートランジスタとは別の素子が集積されてなる信号処理回路部とが設けられるとともに、前記半導体チップの同一面側に、前記電極として、前記パワートランジスタにおいて大電流が流れる大電流電極と、前記大電流電極よりも流れる電流が小さい複数の小電流電極とがそれぞれ設けられ、
    前記配線部は、前記絶縁基材の厚み方向に沿って延びる縦配線部と、前記厚み方向に垂直な方向に沿って延びる横配線部とを有し、
    前記小電流電極に接続された配線部は、前記小電流電極の直上にそれぞれ位置するとともに、前記縦配線部を介して直下の前記小電流電極と接続された、前記導体パターンからなる第1パッドを有するとともに、該第1パッドとして、隣り合う前記小電流電極の直上であって同一層に位置する複数の第1パッドを含み、
    前記大電流電極に接続された配線部は、前記導体パターン及び前記層間接続部とは異なる金属片を有した金属片配線部を含むとともに、該金属片配線部として、隣り合う前記小電流電極の直上であって同一層に位置する複数の前記第1パッドと同一層に位置する横配線部を含み、
    前記金属片配線部としての横配線部は、前記大電流電極の直上に位置するとともに、前記縦配線部を介して直下の前記大電流電極と接続された第2パッドを兼ねる横配線部を少なくとも含むとともに、厚みが同一層に位置する前記第1パッドよりも厚いことを特徴とする半導体チップ内蔵配線基板。
  2. 前記金属片配線部としての横配線部は、前記金属片のみからなり、
    前記金属片が、前記第2パッドを兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  3. 前記金属片配線部としての横配線部は、前記導体パターンと、該導体パターンを覆うように前記導体パターンに接合された金属片からなり、
    前記金属片と接合された導体パターンが、前記第2パッドを兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  4. 前記半導体チップの同一面側に形成された小電流電極の直上にそれぞれ位置する全ての第1パッドは、同一層において、前記導体パターンからなる横配線部に連結されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  5. 前記小電流電極に接続された配線部を構成する全ての前記横配線部が前記導体パターンからなり、
    前記大電流電極に接続された配線部を構成する全ての前記横配線部が、前記金属片をそれぞれ含むとともに、前記配線部を構成する導体パターンのいずれよりも厚いことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  6. 前記大電流電極に接続された配線部を構成する前記縦配線部の少なくとも1つとして、前記金属片配線部を含み、
    該金属片配線部としての縦配線部を構成する金属片は、前記層間接続部よりも断面積が大きいことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  7. 前記大電流電極に接続された縦配線部として、前記厚み方向において前記半導体チップと同じ位置に配置された金属片配線部を含み、
    前記厚み方向に垂直な方向において、前記金属片配線部の金属片と前記半導体チップとの対向領域に前記絶縁基材を構成する熱可塑性樹脂が介在され、
    前記金属片は、前記半導体チップとの対向部位として、前記厚み方向に沿う仮想面に対して斜めとされた斜面部を有することを特徴とする請求項6に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  8. 前記横配線部を構成する金属片と、前記縦配線部を構成する金属片とが、1つの金属片として構成されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  9. 前記大電流電極に接続された配線部における縦配線部は、前記層間接続部を含み、
    該層間接続部は、同一層において互いに並列配置されるとともに、電気的にも並列とされた並列層間接続部を含むことを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  10. 前記大電流電極に接続された配線部における縦配線部は、前記層間接続部とは別に、前記大電流電極と、前記第2パッドをなす前記金属片配線部としての横配線部とを電気的に接続する接続部を複数含み、
    該複数の接続部は、同一層において互いに並列配置されるとともに、電気的にも並列とされていることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  11. 前記金属片配線部は、同一の前記配線部を構成する他の前記縦配線部又は前記横配線部との接続部位を除く表面部位が、前記絶縁基材の熱可塑性樹脂によって封止されていることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  12. 前記金属片は、融点が前記熱可塑性樹脂よりも高い金属材料からなり、前記層間接続部との界面に拡散による合金層を有することを特徴とする請求項1〜11いずれか1項に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
  13. 前記金属片は、前記層間接続部と同一の材料からなることを特徴とする請求項1〜11いずれか1項に記載の半導体チップ内蔵配線基板。
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