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JP2011252094A - 離型フィルム - Google Patents

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Yosuke Nakao
洋祐 中尾
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Abstract

【課題】離型性に優れ、かつ、銅回路に対する非汚染性に優れた離型フィルムを提供する。
【解決手段】エンジニアリングプラスチックを含有する表層を有する離型フィルムであって、前記エンジニアリングプラスチックは、動的粘弾性測定装置で熱プレス成形温度において測定した貯蔵弾性率が100〜2000MPaである離型フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、離型性に優れ、かつ、銅回路に対する非汚染性に優れた離型フィルムに関する。
プリント配線基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板等の製造工程においては、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に離型フィルムが使用されている。また、フレキシブルプリント基板の製造工程においては、銅回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に、熱硬化型接着剤又は熱硬化型接着シートによってカバーレイフィルムを熱プレス接着する際にも、カバーレイフィルムと熱プレス板とが接着するのを防止するために離型フィルムが広く使用されている。
離型フィルムに対しては、例えば、熱プレス成形に耐え得る耐熱性、プリント配線基板及び熱プレス板に対する離型性、廃棄処理の容易性等の性能が求められる。また、熱プレス成形時の製品歩留り向上のため、銅回路に対する非汚染性も重要である。
従来、離型フィルムとしては、フッ素系フィルム、シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が用いられてきた(例えば、特許文献1)。
しかしながら、フッ素系フィルムは、耐熱性、離型性、非汚染性に優れているが、高価であるうえ、廃棄処理において焼却する際に燃焼しにくく、有毒ガスを発生する。また、シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリメチルペンテンフィルムは、シリコーン又は構成成分中の低分子量体が移行することによってプリント配線基板とりわけ銅回路の汚染を引き起こし、品質を損なうおそれがある。また、ポリプロピレンフィルムは耐熱性に劣り、離型性も不充分である。
また、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂からなる離型フィルムも検討されているが、このような離型フィルムは、耐熱性、廃棄処理の容易性、非汚染性には優れているが離型性の面では改善の余地がある。
離型性を向上させるためには、離型フィルムに熱処理又は摩擦処理を施すことが検討されている。しかしながら、熱処理は高温で行われ、また、長時間を必要とすることから、製造工程が煩雑となることが問題である。また、摩擦処理は摩擦処理ロールを高速で回転させながら高圧で行われることから、離型フィルムの表面にシワ、傷等の損傷を生じさせ、例えば、プリント配線基板等の表面の凹凸に対する離型フィルムの追従性が低下する等の不具合が生じる。従って、このような処理を施さなくても離型性に優れ、かつ、銅回路に対する非汚染性等の他の性能にも優れた離型フィルムが求められている。
特開平5−283862号公報
本発明は、離型性に優れ、かつ、銅回路に対する非汚染性に優れた離型フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、エンジニアリングプラスチックを含有する表層を有する離型フィルムであって、前記エンジニアリングプラスチックは、動的粘弾性測定装置で熱プレス成形温度において測定した貯蔵弾性率が100〜2000MPaである離型フィルムである。以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、エンジニアリングプラスチックを含有する表層を有する離型フィルムであって、該エンジニアリングプラスチックの所定条件で測定した貯蔵弾性率が所定範囲を満たす離型フィルムは、プリント配線基板、熱プレス板等に対する離型フィルムの離型性に優れ、かつ、銅回路に対する非汚染性にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の離型フィルムは、エンジニアリングプラスチックを含有する表層を有する。本明細書中、エンジニアリングプラスチックとは、プラスチック素材、熱可塑性樹脂等の合成樹脂のなかでも、主に耐熱性等の、所定の目的に沿った機能が強化された合成樹脂を意味する。
上記エンジニアリングプラスチックは、動的粘弾性測定装置で熱プレス成形温度において測定した貯蔵弾性率の下限が100MPa、上限が2000MPaである。
上記範囲の貯蔵弾性率を満たすエンジニアリングプラスチックを用いることにより、本発明の離型フィルムは、プリント配線基板、熱プレス板等に対する離型性に優れる。また、上記範囲の貯蔵弾性率を満たすエンジニアリングプラスチックを用いることにより、離型フィルムの構成成分が銅回路に移行して付着することが軽減され、本発明の離型フィルムは、銅回路に対する非汚染性にも優れる。
上記貯蔵弾性率が100MPa未満であると、得られる離型フィルムは、プリント配線基板等の表面の凹凸に対する追従性が高すぎて、離型性が低下する。上記貯蔵弾性率が2000MPaを超えると、得られる離型フィルムは、硬すぎて離型フィルムとして機能することができない。上記貯蔵弾性率の好ましい下限は120MPa、好ましい上限は1300MPaである。
なお、本明細書中、熱プレス成形温度とは、離型フィルムを用いてプリント配線基板等を熱プレス成形する場合に通常用いられる温度であり、具体的には、130〜200℃の範囲の温度を意味する。また、貯蔵弾性率は、例えばアイティー計測制御社製の型式DVA―225等の動的粘弾性測定装置を用いて測定することによって得られる。
上記エンジニアリングプラスチックは、上記範囲の貯蔵弾性率を満たせば特に限定されないが、具体的には、例えば、ポリフェニレンエーテル、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート等が好ましい。なかでも、ポリフェニレンエーテル又は液晶ポリマーがより好ましい。
本明細書中、液晶ポリマーとは、溶融状態で分子の直鎖が規則正しく並んだ液晶様性質を示す、熱可塑性樹脂に属する合成樹脂を意味し、具体的には、例えば、エコノール(住友化学社製)等が挙げられる。
上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層は、安定剤を含有してもよい。上記安定剤は特に限定されず、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、熱安定剤等が挙げられる。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は特に限定されず、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
上記熱安定剤は特に限定されず、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスチリルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層はまた、本発明の効果を損なわない範囲で、繊維、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、無機物、高級脂肪酸塩等の添加剤を含有してもよい。
上記繊維は、無機繊維であってもよく、有機繊維であってもよい。上記無機繊維は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、アモルファス繊維、シリコン−チタン−炭素系繊維等が挙げられる。上記有機繊維は特に限定されず、例えば、アラミド繊維等が挙げられる。
上記無機充填剤は特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルク等が挙げられる。
上記難燃剤は特に限定されず、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤は特に限定されず、例えば、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等が挙げられる。
上記帯電防止剤は特に限定されず、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネート等が挙げられる。
上記無機物は特に限定されず、例えば、硫酸バリウム、アルミナ、酸化珪素等が挙げられる。
上記高級脂肪酸塩は特に限定されず、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層は、該表層の性質を改質するために、熱可塑性樹脂及びゴム成分を含有してもよい。
上記熱可塑性樹脂は特に限定されず、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等が挙げられる。
上記ゴム成分は特に限定されず、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPM、EPDM)、ポリクロロプレン、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層は、アスペクト比の大きい無機化合物を含有してもよい。
上記アスペクト比の大きい無機化合物を含有することにより、得られる離型フィルムは高温での離型性が向上し、更に、離型フィルムに含まれる添加剤、低分子量物等が離型フィルム表面へブリードアウトすることを抑制することができ、熱プレス成形時のクリーン性が向上する。
上記アスペクト比の大きい無機化合物は特に限定されず、例えば、クレイ等の層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト等の層状複水和物等が挙げられる。
上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層の表面は、平滑性を有することが好ましいが、ハンドリングに必要なスリップ性、アンチブロッキング性等が付与されていてもよい。また、上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層の表面は、熱プレス成形時の空気抜けを目的として、適度のエンボス模様又は微細な凹凸が設けられていてもよい。このような処理の方法は特に限定されず、例えば、エンボス模様が施された金属ロール、ガーゼ等の布、ブラシ等を用いて上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層の表面を摩擦する方法が挙げられる。
上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層は、得られる離型フィルムの耐熱性、寸法安定性、離型性を更に向上させるために、熱処理が施されていてもよく、摩擦処理が施されていてもよく、熱処理及び摩擦処理が施されていてもよい。
上記熱処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定の温度に加熱したロールの間にフィルム通す方法、ヒーターによりフィルムを加熱する方法等が好ましい。
また、上記熱処理の温度は、上記エンジニアリングプラスチックのガラス転移温度以上かつ融点以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は120℃、好ましい上限は200℃である。上記熱処理の温度が120℃未満であると、熱処理による離型性の向上効果がほとんど得られないことがある。上記熱処理の温度が200℃を超えると、熱処理時に上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層が変形しやすくなり、離型フィルムを製造できないことがある。上記熱処理の温度のより好ましい下限は170℃、より好ましい上限は190℃である。
上記摩擦処理の方法は特に限定されず、例えば、金属ロール、ガーゼ等の布、ブラシ等を用いて上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層の表面を摩擦する方法等が挙げられる。
上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は20μmである。上記表層の厚さが5μm未満であると、上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層は、強度が損なわれ、熱プレス成形時又は離型フィルムの剥離時に破壊することがある。上記表層の厚さが20μmを超えると、得られる離型フィルムは、プリント配線基板等の表面の凹凸に対する追従性が低下することがある。上記表層の厚さのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は15μmである。
本発明の離型フィルムは、上記エンジニアリングプラスチックを含有する表層を有していれば、単層フィルムであってもよく、2層以上の複数層のフィルムであってもよい。
本発明の離型フィルムは、複数層のフィルムである場合、中間層を有していてもよい。上記中間層は、示差走査熱量計を用いて測定した融点が60℃以上130℃未満であるポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。
離型フィルムには、プリント配線基板等の表面の凹凸に対する追従性も必要とされている。対形状追従性の低い離型フィルムを用いると、熱プレス成形時にボイドが発生したり、フレキシブルプリント基板の電極部にカバーレイフィルムの接着剤が流れ出し、電極部のめっき処理の障害となったりする。これに対し、上記ポリオレフィン系樹脂を用いることで、得られる中間層は接着剤が溶融を開始する温度付近で軟化を開始することから、このような中間層を有する離型フィルムは、例えば100μm以下等の微細な銅回路ピッチを有するフレキシブルプリント基板に対しても充分な追従性を有する。
上記ポリオレフィン系樹脂の示差走査熱量計を用いて測定した融点が60℃未満であると、離型フィルムの保管中、雰囲気温度が50〜60℃となる場合に上記中間層樹脂が溶融して染み出し、ブロッキングを起こすことがある。上記ポリオレフィン系樹脂の示差走査熱量計を用いて測定した融点が130℃以上であると、得られる離型フィルムは、プリント配線基板等の表面の凹凸に対する追従性が低下することがある。上記ポリオレフィン系樹脂の示差走査熱量計を用いて測定した融点は、80℃以上100℃以下であることが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂として、具体的には、例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。なかでも、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
上記中間層は、更に、示差走査熱量計を用いて測定した融点が130℃以上である樹脂を含有することが好ましい。
上記中間層に上記示差走査熱量計を用いて測定した融点が60℃以上130℃未満であるポリオレフィン系樹脂のような軟化温度の低い樹脂を用いる場合には、熱プレス成形時の圧力によって、離型フィルムの端部で上記中間層から樹脂が染み出し、プリント配線基板、熱プレス板等を汚染してしまうことがある。これに対し、更に上記示差走査熱量計を用いて測定した融点が130℃以上である樹脂を併用することで、熱プレス成形時に離型フィルムの端部で生じる上記中間層からの樹脂の染み出しを抑制することができる。
上記示差走査熱量計を用いて測定した融点が130℃以上である樹脂は特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、結晶性芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記中間層が上記示差走査熱量計を用いて測定した融点が130℃以上である樹脂を含有する場合、このような樹脂の配合量は特に限定されないが、中間層中の好ましい下限が5重量%、好ましい上限が50重量%である。上記示差走査熱量計を用いて測定した融点が130℃以上である樹脂の配合量が5重量%未満であると、熱プレス成形時に離型フィルムの端部で生じる上記中間層からの樹脂の染み出しを抑制する効果が充分に得られないことがある。上記示差走査熱量計を用いて測定した融点が130℃以上である樹脂の配合量が50重量%を超えると、得られる離型フィルムは、プリント配線基板等の表面の凹凸に対する追従性が低下することがある。
上記中間層は、本発明の離型フィルムと同様に、繊維、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、無機物、高級脂肪酸塩等の添加剤を含有してもよい。
上記中間層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は200μmである。上記中間層の厚さが10μm未満であると、上記中間層が薄すぎ、熱プレス成形時において中間層が軟化すると、部分的に中間層が存在しない箇所が発生し、プレス圧力を基板に均一に荷重することができないことがある。上記中間層の厚さが200μmを超えると、上記中間層が必要以上に厚いため、熱プレス成形時におけるフィルム端部で生じる上記中間層からの樹脂の染み出しを抑制できないことがある。上記中間層の厚さのより好ましい下限は20μm、より好ましい上限は100μmである。
本発明の離型フィルムを製造する方法は特に限定されず、例えば、水冷式又は空冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法で製膜する方法、上記エンジニアリングプラスチック樹脂を含有する表層を作製した後、この表層に中間層を押出ラミネーション法にて積層する方法、上記エンジニアリングプラスチック樹脂を含有する表層となるフィルムと、中間層となるフィルムとをドライラミネーションする方法、溶剤キャスティング法、熱プレス成形法等が挙げられる。なかでも、本発明の離型フィルムが複数層のフィルムである場合には、各層の厚み制御に優れることから、共押出Tダイ法で製膜する方法が好ましい。
上記溶剤キャスティング法では、例えば、中間層となるフィルム上にアンカー層を下塗り処理した後、このアンカー層上に、上記エンジニアリングプラスチック樹脂等を溶剤に溶解した表層となる樹脂組成物を塗工し、塗膜を均一に加熱し乾燥させて表層を形成する。
また、上記熱プレス成形法では、例えば、上記エンジニアリングプラスチック樹脂を含有する表層となるフィルムと中間層となるフィルムとを重ね合わせて熱プレス成形する。
本発明の離型フィルムにおいては、離型フィルムを用いてプリント配線基板等を熱プレス成形し、離型フィルムを剥離した後、銅回路の水接触角は好ましい上限が80°である。上記銅回路の水接触角が80°を超えると、プリント配線基板等に電極を形成する際に電極部のめっき不良が生じることがあり、製品歩留りの低下につながる。上記銅回路の水接触角のより好ましい上限は70°である。
本発明の離型フィルムは、170℃において荷重3MPaで60分間加圧した場合の寸法変化率が1.5%以下であることが好ましい。上記寸法変化率が1.5%を超えると、熱プレス成形時にフレキシブルプリント基板の回路パターンを損なうことがある。上記寸法変化率は、1.0%以下であることがより好ましい。
また、本発明の離型フィルムは、離型フィルムの巾方向(以下、TDという)と長さ方向(以下、MDという)の寸法変化率が同方向かつ同等程度であることが好ましい。一方(例えば、MD)が収縮し、他方(例えば、TD)が伸長するというように、縦横の寸法変化が異なる場合には、離型フィルムにより、熱プレス成形時にフレキシブルプリント基板の回路パターンを損なうことがある。
本発明によれば、離型性に優れ、かつ、銅回路に対する非汚染性に優れた離型フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
エンジニアリングプラスチックとしてポリフェニレンエーテル(商品名AH40、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)と、中間層用のポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(エクセレンFX(CX5501)、住友化学社製、融点66℃)とエチレン−メチルメタクリレート共重合体(アクリフト(WH401)、住友化学社製、融点86℃)とポリプロピレン(PS207A、サンアロマー社製、融点160℃)とを、共押出成形機に投入し、Tダイスより共押出成形して、表層の厚さ10μm、中間層の厚さ80μmの離型フィルムを得た。融点は、示差走査熱量計(DSC 2920、TAインスツルメント社製)を用いて測定した。
なお、使用したエンジニアリングプラスチックについて、動的粘弾性測定装置(型式DVA―225、アイティー計測制御社製)で熱プレス成形温度において測定した貯蔵弾性率は240MPaであった。
(実施例2)
エンジニアリングプラスチックとして液晶ポリマー(商品名A950、ポリプラスチックス社製)と、中間層用のポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(エクセレンFX(CX5501)、住友化学社製、融点66℃)とエチレン−メチルメタクリレート共重合体(アクリフト(WH401)、住友化学社製、融点86℃)とポリプロピレン(PS207A、サンアロマー社製、融点160℃)とを、共押出成形機に投入し、Tダイスより共押出成形して、表層の厚さ10μm、中間層の厚さ80μmの離型フィルムを得た。融点は、示差走査熱量計(DSC 2920、TAインスツルメント社製)を用いて測定した。
なお、使用したエンジニアリングプラスチックについて、動的粘弾性測定装置(型式DVA―225、アイティー計測制御社製)で熱プレス成形温度において測定した貯蔵弾性率は1210MPaであった。
(比較例1)
エンジニアリングプラスチックとしてポリフェニレンサルファイド(商品名HF2000、ポリプラスチックス社製)と、中間層用のポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(エクセレンFX(CX5501)、住友化学社製、融点66℃)とエチレン−メチルメタクリレート共重合体(アクリフト(WH401)、住友化学社製、融点86℃)とポリプロピレン(PS207A、サンアロマー社製、融点160℃)とを、共押出成形機に投入し、Tダイスより共押出成形して、表層の厚さ10μm、中間層の厚さ80μmの離型フィルムを得た。融点は、示差走査熱量計(DSC 2920、TAインスツルメント社製)を用いて測定した。
なお、使用したエンジニアリングプラスチックについて、動的粘弾性測定装置(型式DVA―225、アイティー計測制御社製)で熱プレス成形温度において測定した貯蔵弾性率は73MPaであった。
(比較例2)
エンジニアリングプラスチックとして液晶ポリマー(商品名A330S、ポリプラスチックス社製)と、中間層用のポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(エクセレンFX(CX5501)、住友化学社製、融点66℃)とエチレン−メチルメタクリレート共重合体(アクリフト(WH401)、住友化学社製、融点86℃)とポリプロピレン(PS207A、サンアロマー社製、融点160℃)とを、共押出成形機に投入し、Tダイスより共押出成形して、表層の厚さ10μm、中間層の厚さ80μmの離型フィルムを得た。融点は、示差走査熱量計(DSC 2920、TAインスツルメント社製)を用いて測定した。
なお、使用したエンジニアリングプラスチックについて、動的粘弾性測定装置(型式DVA―225、アイティー計測制御社製)で熱プレス成形温度において測定した貯蔵弾性率は2020MPaであった。
<評価>
実施例、比較例で得られた離型フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)離型性(剥離力)
得られた離型フィルムと、200mm角に切り抜いたカバーレイフィルム(CISV−2535、ニッカン工業社製)のエポキシ接着剤面とを重ね、スライド式真空ヒータープレス(MKP−3000v−MH−ST、ミカドテクノス社製)を使って圧力30kgfで180℃、6分間プレスを行った後、23℃、50%RHの条件で1日養生した。その後、得られたフィルムを巾30mm、長さ150mmに切り出し、テンシロン(STA−1150、エーアンドデー社製)を使い、剥離速度500mm/分、剥離角度180°で離型性(剥離力)(N/30mm)を評価した。
なお、比較例2で得られた離型フィルムは、プレス時にフィルム破壊を生じたため、離型性(剥離力)(N/30mm)を評価することはできなかった。
(2)銅回路に対する非汚染性
得られた離型フィルムと、200mm角に切り抜いた銅張積層板(L6504―C1、ニッカン工業社製)の銅箔面とを重ね、スライド式真空ヒータープレス(MKP−3000v−MH−ST、ミカドテクノス社製)を使って圧力30kgfで180℃、6分間プレスを行った後、23℃、50%RHの条件で1日養生した。その後、銅張積層板から離型フィルムを剥離した後、接触角測定器(M1040S―IGM、シロ産業社製)を用いて銅箔面の水接触角(°)を測定することにより、銅回路に対する非汚染性を評価した。
なお、比較例2で得られた離型フィルムは、プレス時にフィルム破壊を生じたため、銅回路に対する非汚染性を評価することはできなかった。
Figure 2011252094
本発明によれば、離型性に優れ、かつ、銅回路に対する非汚染性に優れた離型フィルムを提供することができる。

Claims (2)

  1. エンジニアリングプラスチックを含有する表層を有する離型フィルムであって、
    前記エンジニアリングプラスチックは、動的粘弾性測定装置で熱プレス成形温度において測定した貯蔵弾性率が100〜2000MPaである
    ことを特徴とする離型フィルム。
  2. エンジニアリングプラスチックが、ポリフェニレンエーテル又は液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
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