本発明の実施形態に係るリモート保全システムおよびリモート保全方法について、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るリモート保全システムの全体構成(機能ブロック)を示す構成概略図である。
図1に示されるように、リモート保全システム1は、発電プラント等のプラントを持つプラント事業者側(クライアント側)に設置され、当該プラントの監視制御に適用されるプラント監視制御装置としてのクライアント装置10と、クライアント装置10の各構成機器から採取した機器の状態を表す情報を取得する保全機能コントローラ20と、リモート保全事業者側に設置されるリモート保全装置30とを具備する。ここで、保全機能コントローラ20は、クライアント側のクライアント装置10とリモート保全事業者側のリモート保全装置30とを情報の授受が可能となるようにインターネット等のネットワーク19を介して接続される。
クライアント装置10は、少なくとも1以上(例えばm台)の発電プラント等のプラントを制御するプロセス計算機(111〜11m)を有するプロセス計算機群11、少なくとも1以上(例えばn台)のモニタ(121〜12n)を有するモニタ群12、少なくとも1以上(例えばp台)のプリンタ(131〜13p)を有するプリンタ群13、少なくとも1以上(例えばq台)の伝送ステーション(141〜14q)を有する伝送ステーション群14および少なくとも1以上(例えばr台)のPIO(Process Input Output)筐体(装置)(151〜15r)を有するPIO筐体群15を備え、プロセス計算機11群、モニタ群12、プリンタ群13、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15の各機器は自己の状態を表す情報(機器動作情報)を保全機能コントローラ20へ送信する。
ここで、プロセス計算機111〜11mは、監視制御の対象であるプラントの監視制御を行なう装置である。モニタ121〜12nは、プラントの監視制御に必要な情報を表示する装置である。プリンタ131〜13pは、プラントの監視制御に必要な情報を印字する装置である。伝送ステーション141〜14qは、プロセス計算機111〜11mとPIO筐体151〜15rとの信号伝送を中継する装置である。PIO筐体151〜15rはプラントの監視制御に必要なプロセス量の入出力を行なう装置である。
保全機能コントローラ20は、クライアント装置10のプロセス計算機群11、モニタ群12、プリンタ群13、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15の各機器の機器動作情報を遠隔で取得し、取得した情報をネットワーク19を介して接続されるリモート保全装置30へ送信する。
より詳細には、保全機能コントローラ20は、第1の伝送手段21と、第2の伝送手段22と、PIO手段23と、現在時刻タイマー24と、表示手段25と、状態表示出力手段26と、配信確認手段27と、制御手段28と、を備える。
第1の伝送手段21は、クライアント装置10と情報(但し、プロセスデータを除く)を授受するためのインターフェイスである。一方、第2の伝送手段22は、リモート保全装置30と情報を授受するためのインターフェイスである。
PIO手段23は、プロセスデータの入出力機能を有し、クライアント装置10側の各機器11〜15から機器の動作状態を示す情報(プロセスデータ)を受け取り、制御手段28へ送る。
現在時刻タイマー24は、現在時刻の情報を提供する機能と、必要に応じて、外部の時刻サーバにアクセスして現在時刻を修正する機能とを有する。現在時刻タイマー24は制御手段28からの要求に応じて現在時刻の情報を提供、および、現在時刻の修正をすることができる。
表示手段25は、制御手段28から表示すべき情報を受け取り、受け取った情報を表示する。
状態表示出力手段26は、制御手段28から故障箇所を表示するための故障箇所表示情報を受け取り、故障していると検知された機器群(プロセス計算機群11、モニタ群12、プリンタ群13、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15)へ出力する。
配信確認手段27は、リモート保全装置30へ配信した機器動作情報を受信した旨をリモート保全装置30から受信して確認する機能を有する。配信確認手段27は、メモリ(図1において省略)を有しており、配信した情報に含まれる特定情報(例えば、設備名、機器名またはサンプリング時刻の情報等)を記憶しておき、リモート保全装置30から受信した情報に含まれる特定情報を抽出して、記憶した配信情報の特定情報と一致するか否かを確認する。
リモート保全装置30から受信した情報に含まれる特定情報と、記憶された配信情報の特定情報とが一致する場合、配信確認手段27は、配信を確認したと判断して、その旨を制御手段28へ送る。
制御手段28は、第1の伝送手段21、第2の伝送手段22、PIO手段23、現在時刻タイマー24、表示手段25、状態表示出力手段26および配信確認手段27を制御する機能を有し、第1の伝送手段21、第2の伝送手段22、PIO手段23、現在時刻タイマー24、表示手段25および状態表示出力手段26と情報の授受が可能に構成される。制御手段28は、第1の伝送手段21、第2の伝送手段22、PIO手段23、現在時刻タイマー24、表示手段25および状態表示出力手段26に対して必要な指令を出して第1の伝送手段21、第2の伝送手段22、PIO手段23、現在時刻タイマー24、表示手段25および状態表示出力手段26を制御する。
制御手段28は、第1の伝送手段21および第2の伝送手段22から受信した情報を伝送先に伝送するため、伝送先のインターフェイスとなる手段である第2の伝送手段22および状態表示出力手段26へ情報を伝送する。
制御手段28は、第1の伝送手段21およびPIO手段23から機器の動作状態を示す機器動作情報を受信すると、受信した機器動作情報によって動作状態が示される機器の識別情報と、現在時刻タイマー24から受け取った現在時刻(サンプリング時刻)情報とを、受信した機器動作情報に付加して第2の伝送手段22へ送る。
また、制御手段28は、例えば、配信確認手段27がリモート保全装置30から配信されるべき部署へ情報が配信されたことを確認した旨の情報等の表示手段25へ表示すべき情報を受け取ると、受け取った情報を表示手段25へ送り、表示手段25に表示させることができる。
リモート保全装置30は、伝送手段31と、記録手段32と、表示手段33と、入力手段34と、故障箇所表示手段35と、故障復帰表示手段36と、故障予測手段37と、報告書作成手段38と、フィルタリング手段39と、異常情報検出手段40と、構内伝送手段41と、配信確認手段43と、制御手段45と、を備える。
伝送手段31は、例えば、クライアント側に設置された保全機能コントローラ20等のリモート保全装置30の外部機器との情報の授受を行なう機能を有し、クライアント装置10から受信した情報を制御手段45へ送る一方、制御手段45から受け取った情報を送信先となる外部機器へ向けて送信する。
記録手段32は、情報を記憶する領域であり、例えば、予め用意したデータベース(以下、DBと省略する)等の情報を格納しておくことができる。記録手段32に格納される情報は、リモート保全装置30の各処理手段が制御手段45を介して処理の実行の際に必要とする情報を参照したり、情報を保存、更新したりすることができる。尚、記録手段32に格納されるDBについては、別図にて適宜示す。
表示手段33および入力手段34は、ユーザとのインターフェイスとしての役割を担う。表示手段33は、ユーザへ視覚的に情報を表示する。入力手段34は、入力手段34を介して入力された入力内容を認識する。
故障箇所表示手段35は、クライアント側から送信され伝送手段31で受信した機器動作情報に基づいて判断される機器の動作状態が異常である場合、記録手段32に格納されるDB(より詳細には、後述する異常コード解析DB86と機器名変換DB87)を参照して、当該異常を示す機器の識別情報からユーザが直ちに認識できる機器の名称に変換する機能と、当該異常を示す機器の動作情報に含まれる異常コードと対応する異常の内容を、例えば、日本語等の所定の言語に変換し、表示手段33を見るユーザが認識できるように変換する機能と、を有する。
換言すれば、故障箇所表示手段35は、機器動作情報に付加された識別情報から機器名称を特定する手段(機器名称特定手段)と、異常コードに対応する動作状態の異常の内容を予め設定された言語に変換する手段(異常コード変換手段)と、を備える。
また、故障箇所表示手段35は、クライアント側から送信され伝送手段31で受信した機器動作情報に基づいて判断される機器の動作状態が異常である場合、記録手段32に格納されるDB(より詳細には、後述する故障履歴DB85)を参照して、故障履歴として格納される情報を制御手段45へ送る機能を有する。故障履歴の情報は、例えば、後述される図9および図10に示される。
故障復帰表示手段36は、故障から復帰したことを示す情報を制御手段45が受信した場合、故障から復帰した設備および機器(保全の監視対象となる個別の機器レベルまで)を特定する機能と、特定した設備および機器を故障から復帰した旨とともに表示手段33に表示させる機能と、記録手段32に格納されるDB(より詳細には、後述する故障履歴DB85)に故障から復帰した旨を反映(現在の動作状態を異常から正常に更新)させる機能とを有する。
故障復帰表示手段36は、制御手段45が故障から復帰したことを示す情報と、設備および機器(保全の監視対象となる個別の機器レベルまで)機器を特定するための情報(例えば、設備NOや機器NO等)とを受け取った旨の問い合わせがあると、故障から復帰した設備および機器が故障から復帰した旨をDB(より詳細には、後述する故障履歴DB85)に反映させる一方、特定した設備および機器を故障から復帰した旨を表示手段33に表示させることを制御手段45に許可する。
故障予測手段37は、異常情報検出手段40が故障を検出すると、記録手段32に格納されるDB(より詳細には、後述する故障予測DB93および寿命品算出ステータスDB94)を参照して、故障が検出された機器と同一の型式の機器について故障時期を予測する機能と、予測結果を制御手段45へ送る機能を有する。
報告書作成手段38は、異常(故障)が発生した場合に、クライアント側に異常(故障)の発生等を報告するための報告書を作成する機能を有する。すなわち、入力手段33を介して報告書の作成要求を受け取った場合、自己の見解等を入力することによって入力内容を報告書として記録する機能と、故障箇所表示手段35が特定した故障発生箇所、故障予測手段37が予測する予測結果、および、異常情報検出手段40が検出した検出結果を添付する機能を有する。
また、報告書作成手段38は、入力手段33を介して報告書の保存要求を受け取った場合、作成途中または作成後の報告書(電子データ)を記録手段32等の保存可能な記憶領域に保存することができる。
フィルタリング手段39は、予め配信する情報の内容に応じて当該情報の配信先(関連部署47)が設定されており、当該設定に基づいて配信要求のある情報が当該情報の配信先として設定(許可)されている場合に、配信先へ情報を配信する機能(フィルタリング機能)を有する。
フィルタリング手段39は、例えば、異常情報検出手段40が機器動作情報から異常を検出した場合に、当該情報を必要とする関連部署47を特定し振り分ける機能を有する。フィルタリング手段39は、情報送信先の情報を制御手段45へ送る。尚、フィルタリングは機器動作情報に限られず、機器動作情報以外についても同様である。
異常情報検出手段40は、クライアント側から送信され伝送手段31で受信した機器動作情報に基づいて機器の動作状態が正常か否(異常)かを判断する機能と、当該判断結果を制御手段45に送る機能と、受信した機器動作情報に基づいて判断された機器の動作状態が異常の場合に記録手段32に格納されるDB(より詳細には、後述する故障履歴DB85)を更新して現在の動作状態の内容を更新する機能と、を有する。尚、異常には機器が故障している状態も含まれる。
構内伝送手段41は、例えば、構内のローカル通信網(LAN)を介して他の部署(関連部署)47と情報の授受を行なう機能を有し、関連部署47から受信した情報を制御手段45へ送る一方、制御手段45から受け取った情報を送信先となる関連部署47へ向けて送信する。
配信確認手段43は、記憶領域を有し、機器動作情報を外部(関連部署47)へ配信する前に、配信先から返送される情報として予め設定された情報を抽出して記憶する機能と、記憶された情報と、配信先から返送される情報とを照合して一致又は不一致を判定する機能と、を有する。
配信確認手段43は、配信された情報を受け取ったことを示す情報(受信確認通知)を関連部署47から受信した旨を認識した制御手段45からの問い合わせに対して、関連部署47から返送される情報が記憶した情報と一致するか照合する。そして一致した場合に、関連部署47へ配信したことの確認を完了する。
また、配信確認手段43は、機能保全コントローラ20から配信された機器動作情報を受信すると、当初の情報配信元であるクライアント側へ配信確認を示す情報を制御手段45へ送る。
尚、配信確認手段43が行なう配信確認は、機器動作情報が示す機器の動作状態が正常であるか否かを問わず行なっても良いし、異常情報を配信するときだけに行なうようにしても良い。
制御手段45は、リモート保全装置30の各処理手段、すなわち、伝送手段31、記録手段32、表示手段33、入力手段34、故障箇所表示手段35、故障復帰表示手段36、故障予測手段37、報告書作成手段38、フィルタリング手段39、異常情報検出手段40、構内伝送手段41および配信確認手段43を制御する機能を有する。
制御手段45は、伝送手段31を制御することによって、クライアント装置10から伝送手段31が受信した情報を取得することができる。また、クライアント側の保全機能コントローラ20へ送りたい情報を伝送手段31へ送信して伝送手段31から保全機能コントローラ20へ情報を配信することができる。
制御手段45は、記録手段32を制御することによって、記録手段32に格納される情報を読み出して他の処理手段へ読み出した情報を送ったり、他の処理手段から取得した情報を記録して格納したりすることができる。
制御手段45は、表示手段33を制御することによって、他の処理手段から取得した情報を表示手段33に視覚的に表示することができる。また、制御手段45は、入力手段34を制御することによって、入力手段34への入力内容に対応する指令を認識することができる。
制御手段45は、故障箇所表示手段35を制御することによって、クライアント側から送信され伝送手段31で受信した機器動作情報に異常状態を示す情報が含まれている場合、その情報が示す異常状態と対応する異常の内容を、例えば、日本語等の所定の言語に変換した情報を取得できるとともに、取得した情報を表示手段33に表示させることができる。
制御手段45は、故障復帰表示手段36を制御することによって、設備および機器(保全の監視対象となる個別の機器レベルまで)を特定した結果を得ることができ、得られた設備および機器の特定結果を伝送手段31、記録手段32、表示手段33および構内伝送手段41へ送ることができる。
制御手段45は、故障予測手段37を制御することによって、故障が検出された機器と同一の型式の機器について故障時期を予測した結果を入手することができる。また、制御手段45は、報告書作成手段38を制御することによって、報告書(電子データ)の作成、保存および送信をすることができる。
制御手段45は、フィルタリング手段39を制御することによって、フィルタリング手段39に異常情報検出手段40によって検出された異常情報を必要とする関連部署47を特定し振り分けさせ、フィルタリング手段39から振り分け結果である異常情報の送信先を示す情報を受け取る。この結果は、制御手段45が構内伝送手段41を制御する際に用いられる。
制御手段45は、異常情報検出手段40を制御することによって、異常情報検出手段40に伝送手段31から受信した機器動作情報に基づいてクライアント装置10のプロセス計算機群11、モニタ群12、プリンタ群13、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15の各構成機器の異常の有無を検出させることができる。
制御手段45が構内伝送手段41を制御することによって、例えば、構内のローカル通信網(LAN)を介して関連部署47から受信した情報を他の処理手段へ送ることができる。また、他の処理手段から受け取った情報を関連部署47へ送ることができる。
制御手段45は、配信確認手段43を制御することによって、構内伝送手段41が関連部署47から情報を受け取っていることを示す情報(受信確認通知)を受信すると、当該配信確認通知の送信元(情報の配信先)の関連部署47が受信した旨を示す情報(配信確認通知)を配信確認手段43から受け取り、受け取った配信確認通知をクライアント側へ送信するべく第1の伝送手段31へ送ることができる。
図2〜図6は、それぞれ、プロセス計算機群11、モニタ群12、プリンタ群13、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15の構成例を概略的に示した構成概略図である。
図2〜図6のそれぞれに示されるように、プロセス計算機群11、モニタ群12、プリンタ群13、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15は、プロセス計算機群11、モニタ群12、プリンタ群13、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15の機器状態を監視する観点から、監視対象となる機器から当該機器の機器動作情報を取得し、保全機能コントローラ20へ送信する。
各プロセス計算機群11、モニタ群12、プリンタ群13、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15について具体的に説明すると、図2に示されるプロセス計算機群11は、例えば、周辺機器故障警報手段(図2では「周辺ANN」と省略)51と、軽故障警報手段(図2では「軽ANN」と省略)52と、重故障警報手段(図2では「重ANN」と省略)53と、少なくとも1台以上のWebカメラ54と、モニタコントローラ55と、ファン56、電源57、プロセッサ58、ディスク59およびNFB(No Fuse Breaker)60と、エラーログ用分配器61と、表示手段62とを備える。
周辺機器故障警報手段51、軽故障警報手段52および重故障警報手段53は、故障検知機能、故障表示機能、および、故障/正常を示す機器動作情報出力機能を有しており、故障検知の対象物が正常であるか否かを検知し、故障が検知された場合には、故障と判断して故障表示窓(図2において省略)に故障である旨を表示するとともに、機器動作情報として故障が検知されたか(異常:例えばON)又は検知されなかったか(正常:例えばOFF)を保全機能コントローラ20(PIO手段23)へ送信する。尚、周辺機器とは、モニタ121〜12nやプリンタ131〜13p等のプロセス計算機本体に付加的に接続される機器である。
Webカメラ54は、軽故障警報手段52および重故障警報手段53の故障表示窓を撮像するためもので、故障表示(機器動作情報)が表示されているか否かを判断する材料の一つとして用いられる。Webカメラ54は、撮像した画像、すなわち、機器動作情報が表示された故障表示窓の撮像画像を保全機能コントローラ20(第1の伝送手段21)へ送信する。
モニタコントローラ55は、モニタ群12のモニタ121〜12nを制御する機能、動作状態を監視する機能、および、機器動作情報出力機能を有しており、オンラインである旨の情報を保全機能コントローラ20(PIO手段23)へ送信する。モニタコントローラ55は、通常、オンラインで動作しているため、オフラインの場合には異常と判断することができる。
ファン56、電源57、プロセッサ58、ディスク59およびNFB60は、図1に示される各プロセス計算機111〜11mが有する構成要素の一例であり、ファン56の機器動作情報としては、ファン56の回転数の情報が、電源57の機器動作情報としては、電圧計63で測定される電圧値(リップル電圧も含む)の情報が、NFB60の機器動作情報としては、電圧計63で測定される入力電圧および出力電圧の情報が、それぞれ、保全機能コントローラ20(PIO手段23)へ送信される。
また、プロセッサ58およびディスク59の機器動作情報については、オンラインで取得され、取得されたそれぞれの機器動作情報が、保全機能コントローラ20(PIO手段23)へ送信される。
一方、エラーログ用分配器61が取得したエラー(異常)を示す異常コードについては、エラーログ用分配器61から保全機能コントローラ20(第1の伝送手段21)へ送信される。
また、表示手段62は、入力インターフェイス(入力手段)であるタッチパネル機能と、情報を表示する情報表示機能とを有し、タッチパネルの操作(以下、「タッチ操作」と称する。)がなされると、当該タッチ操作を示す信号を保全機能コントローラ20(第1の伝送手段21)へ出力する。
図3に示されるモニタ群12は、各モニタ121〜12nに加えて、受信した各モニタ121〜12nに表示すべきメッセージの情報の送信先を各モニタ121〜12nと保全機能コントローラ20(第1の伝送手段21)とに分配するモニタ用分配器65と、各モニタ121〜12nの画面を撮像する例えばn台のWebカメラ66とを備える。
モニタ用分配器65は、各モニタ121〜12nに表示すべきメッセージの情報を分配し、分配した一つを保全機能コントローラ20の第1の伝送手段21へ送信する。また、Webカメラ66は、各モニタ121〜12nの画面を撮像した画像を取得する。取得した画像のデータは、Webカメラ66から保全機能コントローラ20の第1の伝送手段21へ送信される。
図4に示されるプリンタ群13は、各プリンタ131〜13pに加えて、受信した各プリンタ131〜13pに印字すべきメッセージの情報の送信先を各プリンタ131〜13pと保全機能コントローラ20(第1の伝送手段21)とに分配するプリンタ用分配器68と、各プリンタ131〜13pの画面を撮像する例えばp台のWebカメラ69とを備える。
プリンタ用分配器68は、各プリンタ131〜13pに印字すべきメッセージの情報を分配し、分配した一つを保全機能コントローラ20の第1の伝送手段21へ送信する。また、Webカメラ69は、各プリンタ131〜13pの印字後の用紙の印字面を撮像した画像を取得する。取得した画像のデータは、Webカメラ69から保全機能コントローラ20の第1の伝送手段21へ送信される。
図5に示される伝送ステーション群14は、例えば、電源71と、リチウム電池72を内蔵したコントローラ73と、NFB74と、エラーログ用分配器75と、表示手段76とを備える。
電源71、コントローラ73およびNFB74は、図1に示される各伝送ステーション141〜14qが有する構成要素の一例であり、電源71の機器動作情報としては、電圧計63で測定される電圧値(リップル電圧も含む)の情報が、コントローラ73に内蔵されるリチウム電池72の機器動作情報としては、電圧計63で測定される電圧値(リップル電圧も含む)の情報が、NFB74の機器動作情報としては、入(ON)又は切(OFF)の情報が、それぞれ、保全機能コントローラ20のPIO手段23へ送信される。
尚、コントローラ73の機器動作情報については、オンラインで取得され、取得されたそれぞれの機器動作情報が、保全機能コントローラ20のPIO手段23へ送信される。
一方、エラーログ用分配器75が取得したエラー(異常)を示す異常コードについては、エラーログ用分配器75から保全機能コントローラ20(第1の伝送手段21)へ送信される。また、表示手段76は、実質的には表示手段62と同様である。すなわち、表示手段76は、タッチパネル機能および情報表示機能とを有し、タッチ操作を示す信号を保全機能コントローラ20(第1の伝送手段21)へ出力する。
図6に示されるように、PIO筐体群15は、例えば、電源79、PIO手段80、NFB81および表示手段82を備える。電源79、PIO手段80およびNFB81は、図1に示される各PIO筐体(装置)151〜15rが有する構成要素の一例であり、電源79の機器動作情報としては、電圧計63で測定される電圧値(リップル電圧も含む)の情報が、NFB81の機器動作情報としては、電圧計63で測定される入力電圧および出力電圧の情報が、それぞれ、保全機能コントローラ20(PIO手段23)へ送信される。
また、表示手段82は、実質的には表示手段62,76と同様であり、タッチパネル機能と、情報表示機能とを有する。表示手段82は、タッチ操作を示す信号を保全機能コントローラ20(第1の伝送手段21)へ出力する。
次に、図7〜図33を引用して、上述のように構成されるリモート保全システム1の作用および効果について説明する。
[機器状態のリアルタイム配信処理手順]
図7は、リモート保全システム1の機器状態のリアルタイム配信処理手順の実行に関わる機能ブロック図である。ここで、符号85,86,87は、それぞれ、故障履歴DB、異常コード解析DB、および、機器名変換DBであり、例えば、記録手段32等のリモート保全装置30が読み出し可能な記憶領域に格納されるDBである。
図7に示されるリモート保全システム1では、クライアント装置10のプロセス計算機筐体群11(図2)、モニタ群12(図3)、プリンタ群13(図4)、伝送ステーション群14(図5)およびPIO筐体群15(図6)の機器動作状態を示す機器動作情報を保全機能コントローラ20が取得する。
保全機能コントローラ20では、プロセス計算機111〜11m、モニタ121〜12n、プリンタ131〜13p、伝送ステーション141〜14qおよびPIO筐体151〜l5rのそれぞれから送信される機器動作情報を第1の伝送手段21およびPIO手段23が受信し、制御手段28へ送る。
制御手段28は、サンプリングの度(サンプリング周期毎)に前回から機器動作状態が変化した機器の存否を受信した機器動作情報に基づいて判断する。そして、機器動作状態の変更があったと判断される場合、リモート保全装置30へ機器動作情報を送信するための処理ステップを実行する。このように、機器動作状態に変更があった場合にのみ機器動作情報をリモート保全装置30へ伝送するようにすることで、サンプリング周期毎に機器動作情報の伝送を行なう場合と比較して、必要な情報を欠損させることなく伝送負荷の軽減を図ることができる。
制御手段28が機器動作状態の変更があったと判断した場合、制御手段28は、機器動作情報を取得した時刻(サンプリング時刻)の情報と、送信する情報の種別を特定するための識別情報とを機器動作に付加し、第2の伝送手段22へ送る。ここで、サンプリング時刻の取得は、制御手段28が現在時刻タイマー24に問い合わせ、現在時刻タイマー24から現在時刻を取得することで行われる。
第2の伝送手段22は、制御手段28から受け取った情報を送信先であるリモート保全装置30へ送信する。
リモート保全装置30では、クライアント側(保全機能コントローラ20)から送信された情報を伝送手段31が受信し、伝送手段31が受信した情報を制御手段45へ送る。
制御手段45は、受け取った機器動作情報を異常情報検出手段40および故障箇所表示手段35へ送る一方、異常情報検出手段40が機器動作状態の異常を検出した場合の検出結果および故障箇所表示手段35が故障箇所および異常コードをユーザが一見して判読できる内容に変換した結果を受け取る。
また、制御手段45は、機器動作状態の異常検出結果と、故障箇所および異常コードの変換結果とを表示手段33およびフィルタリング手段39へ送る。
異常情報検出手段40は、故障履歴DB85を参照し、受け取った機器動作情報が示す機器の動作状態が正常か否(異常)かを判断し、判断結果を制御手段45へ送る。
故障箇所表示手段35は、制御手段45が異常情報検出手段40から機器動作情報が示す機器の動作状態が異常である旨の判断結果を受け取った場合に制御手段45から機器動作情報を受け取る。そして、故障箇所表示手段35は、機器名変換DB87を参照して機器動作情報に含まれる設備および機器を示す情報を、例えば、具体的な設備および機器の名称等のユーザが一見して判別可能な情報に変換し、変換結果を制御手段45へ送る。
また、故障箇所表示手段35は、機器動作情報に異常コードが含まれる場合には、異常コード解析DB86を参照して機器動作情報に含まれる異常コードを同様にしてユーザが判別可能な形式に変換し、変換結果を制御手段45へ送る。但し、異常コードについては、機密事項(特にソフトウェアに関する機密事項)がクライアント側を含む外部に漏れるのを防止する観点から異常の具体的内容ではなく概要のみを表示させるように変換しても良い。
表示手段33は、制御手段45から受け取る情報、ここでは、機器の動作状態および異常発生時には異常が発生した設備名称等や異常の内容を表示する。
構内伝送手段41は、フィルタリング手段39を介して制御手段45から機器の動作状態および異常発生時には異常が発生した設備名称等や異常の内容を含む情報を関連部署47へ送信する。
このとき、フィルタリング手段39は、異常の内容と送信先となる関連部署47との関係が予め設定されており、発生した異常と対応付けされた送信先を抽出する。図7に示される例では、第1の関連部署47は今回発生した異常とは関連がある(対応付けされている)部署であるとして送信先となっている一方、第2の関連部署47は今回発生した異常とは関連の無い(対応付けされていない)部署であるとして送信先から除外されている。
図8は、保全機能コントローラ20から配信されるデータ(配信データ)の構成例および配信の流れを示す説明図であり、より詳細には、図8(a)は配信データの概略的な構成例および配信の流れを示す説明図、図8(b)は図8(a)の配信データに含まれるPIOデータのより詳細な構成を説明する説明図、図8(c)は図8(a)の配信データに含まれる伝送データのより詳細な構成を説明する説明図である。
保全機能コントローラ20からリモート保全装置30へ配信されるデータ(機器動作情報)は、図8(a)に示されるように、機器動作情報であることを示す機器状態指標と、どの設備かを示す設備指標と、設備内のどの機器かを示す機器指標の一例である機器NOと、当該機器の何れであるかを示すSUB機器指標の一例であるSUB機器NOと、データをサンプリングした時刻を示すサンプリング時刻と、図8(b)に詳細な一例が示されるPIOデータであることを示すPIOデータ指標と、PIOデータと、図8(c)に詳細な一例が示される伝送データであることを示す伝送データ指標と、伝送データと、を有して構成される。
ここで、PIOデータとは、保全機能コントローラ20のPIO手段23がクライアント装置10から取得する回転数、電圧その他の物理量で表されるデータである。例えば、プロセス計算機111のPIOデータのデータ構造の一例としては、図8(b)に示されるように、プロセス計算機111の構成要素であるファン56、電源57、プロセッサ58、ディスク59およびNFB60を示す指標(データ)と、各構成要素について取得された動作状態を示す回転数、入出力電圧、リップル等の具体的なデータを有して構成される。
また、伝送データとは、保全機能コントローラ20の第1の伝送手段21がクライアント装置10から取得するWebカメラ54,66,69等が撮像した画像のデータやエラーログ(異常コードを含む)のデータである。例えば、モニタ121の伝送データのデータ構造の一例としては、図8(c)に示されるように、Webカメラ66の画像およびモニタ121のモニタメッセージであることを示す指標と、Webカメラ66の画像のデータおよびモニタ121のモニタメッセージのデータとを有して構成される。
図8(a)〜図8(c)に示される機器動作情報は、保全機能コントローラ20からリモート保全装置30へ送られ、リモート保全装置30では、故障履歴DB85、異常コード解析DB86および機器名変換DB87が参照され、表示手段33に機器の動作状態が表示される。また、表示手段33に表示される内容は、フィルタリング手段39によってフィルタリングされた上で関連部署47へ送られる。尚、符号88は関連部署47に設置されたディスプレイ等の表示手段である。
図9および10、図11(a)および図11(b)は、機器状態のリアルタイム配信処理手順の実行の際に用いられるDBのデータ構成例を示す説明図であり、それぞれ、故障履歴DB85、異常コード解析DB86および機器名変換DB87のデータ構成例を示す説明図である。
図9および図10に一例として示される故障履歴DB85は、プロセス計算機群11、モニタ群12、プリンタ群13、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15の各機器、すなわち、各計算機111〜11m、各モニタ121〜12n、各プリンタ131〜13p、各伝送ステーション141〜14qおよび各PIO筐体151〜15rについての情報指標、型式、交換年月日、推奨交換年月日、現在の動作状況、正常な動作状況の範囲(または値)、現在の動作状態が正常か異常か、異常(故障)発生時に復旧させる優先度を示す故障優先度、交換手順ガイダンスの情報が格納されている。
例えば、図9に示されるように、各計算機111〜11mについてみれば、各計算機111〜11mの構成要素であるファン56、電源57、プロセッサ58、ディスク59およびNFB60についての情報指標、型式、交換年月日、推奨交換年月日、現在の動作状況、正常な動作状況の範囲(または値)、現在の動作状態が正常か異常か、異常(故障)発生時に復旧させる優先度を示す故障優先度、交換手順ガイダンスの情報が格納されている。
ここで、故障優先度に示される1〜3の数字は、異常(故障)発生時に復旧させる優先度を示す数値であり、例えば、数値が小さいほど優先度が高いといった具合である。尚、現在の動作状態が正常から異常に移行した場合には、異常情報検出手段40によって故障履歴DB85内の現在の動作状態が「異常」と更新される。
尚、図9および図10は、故障履歴DB85を二つに分割して示したものであるが、必ずしも図示した態様に限定されるものではなく、一体的に構成されていても良い。逆に、二以上に分割して構成されていても構わない。
図11(a)に示される異常コード解析DB86の一例は、予め定義されている異常コードの全てとこの異常コードが示す異常の内容をユーザに表示する日本語メッセージが対応付けられて格納される。異常コード解析DB86については、ソフトウェアに関する異常コードと対応する異常の内容を、敢えて異常の詳細を記録せずに概要のみを記録して構築しても良い。また、異常の詳細と概要の両方を記録しておき、ユーザの設定によって、どちらを参照するか選択可能に構築しても良い。
このように異常コード解析DB86を構築しておくことで、故障箇所の表示がリモート保全装置30の外部(クライアント側)でなされたとしても、リモート保全事業者のソフトウェアに関する機密事項がクライアント側を含む外部に漏れるのを防止することができる。
図11(a)に示される例では、異常コード「00D5」に対応する日本語メッセージは、詳細を知られたくない場合、詳細には「プログラムXXXXエリアYY資源不良」であるところを単に「プログラム異常」と表示させるようにすることができる。
図11(b)に示される機器名変換DB87の一例は、設備指標である設備NO、機器指標である機器NOおよびSUB機器指標であるSUB機器NOと具体的な機器の名称とを対応付けて格納される。これによって、設備NO、機器NOおよびSUB機器NOが定まれば、どの設備、機器およびSUB機器であるかを特定することができる。例えば、図11(b)に示される例のように、設備NOが「1」、機器NOが「1」、SUB機器NOが「1」である場合、「電子計算機、C91−P001、電源ユニット」と特定できる。
図12は、リモート保全システム1によって実行される機器状態のリアルタイム配信処理手順の処理ステップを示す説明図(シーケンスチャート)である。
機器状態のリアルタイム配信処理手順は、保全機能コントローラ20を起動し、クライアント装置10から機器動作情報を取得すると、保全機能コントローラ20は処理ステップ(ステップS1〜ステップS5)を開始する(START)。
まず、ステップS1では、制御手段28が第1の伝送手段21およびPIO手段23で受信される各機器の動作状態を読み込む。すなわち、制御手段28は、各電子計算機111〜11m、各モニタ121〜12n、各プリンタ131〜13p、各伝送ステーション141〜14qおよび各PIO筐体151〜15rに実装される各機器の機器動作情報を受信した第1の伝送手段21およびPIO手段23から受け取る。
ステップS2では、制御手段28がサンプリングの度(サンプリング周期毎)に各機器について前回から動作状態が変化したか否かを判断する。その結果、機器動作状態の変更があったと判断される場合(ステップS2でYESの場合)、制御手段28は、ステップS2で変更があったと判断した機器について、ステップS1で読み込んだ機器動作情報に現在時刻および送付指標(機器状態指標)を付して、第2の伝送手段22へ送る。その後、第2の伝送手段22から現在時刻および機器状態指標が付された機器動作情報がリモート保全装置30へ送信される(ステップS3)。
ステップS3以降は、終了要求があると(ステップS4でYESの場合)、保全機能コントローラ20で実行される処理ステップ(ステップS1〜ステップS5)は終了する(END)。
一方、終了要求が無い(ステップS4でNO)限り、ステップS5で次回、送信タイミング(サンプリング周期後)まで遅延となり、ステップS1へ戻ってステップS1〜ステップS5の処理ステップを繰り返す。尚、機器動作状態の変更が無かったと判断される場合(ステップS2でNOの場合)、ステップS4へ進み、ステップS4以降の処理ステップが実行される。すなわち、機器動作情報がリモート保全装置30へ送信されることはない。
一方、リモート保全装置30は、保全機能コントローラ20から機器動作情報を受け取ると、処理ステップ(ステップS11〜ステップS17)の実行を開始する。
まず、ステップS11では、伝送手段31および制御手段45を介して異常情報検出手段40が機器動作情報を受け取ると、保全対象となる全機器に対して、受け取った機器動作情報に含まれる設備NO、機器NOおよびSUB機器NOが示す個々の機器について正常か否(異常)かを判定する基準(例えば閾値以下の場合には異常)が定義される故障履歴DB85を参照して、機器の動作状態の正常/異常を判定する。
そして、異常が検出された場合(ステップS12でYESの場合)、ステップS13で異常情報検出手段40は、受け取った機器動作情報に含まれる機器の設備NO、機器NOおよびSUB機器NOに対応する機器の現在の機器動作状態を「異常」に更新するとともに、故障箇所表示手段35が機器名変換DB87および必要なときは異常コード解析DB86を参照して、異常が検出されている機器の名称、現在の動作状態(異常)、および、エラー内容(異常コードがある場合)を予め設定された言語(例えば日本語)に変換する。変換結果は表示手段33に表示される(ステップS13)。
そして、ステップS13で変換された結果は、フィルタリング手段39によって、検出された異常と関連する関連部署47が抽出され(ステップS14)、抽出された関連部署47へ送信される(ステップS15)。但し、図11(a)に示されるように、送信先に概要を表示させるようにする場合には概要に変換された内容が送信される。
ステップS15以降は、終了要求があると(ステップS16でYESの場合)、リモート保全装置30で実行される処理ステップ(ステップS11〜ステップS17)は終了する(END)。
一方、終了要求が無い(ステップS16でNO)限り、ステップS17で次回、送信タイミング(サンプリング周期後)まで遅延となり、ステップS11へ戻ってステップS11〜ステップS17の処理ステップを繰り返す。尚、異常が検出されなかった場合(ステップS12でNOの場合)、ステップS16へ進み、ステップ16以降の処理ステップが実行される。
上述した機器状態のリアルタイム配信処理手順を実行することによって、リモート保全システム1は、異常が発生した時点において、保守員が不在であってもリモート保全装置30または関連部署47で全ての機器の状況を把握できる。従って、異常発生時のデータの採り損ない、または、データの取り違いといった情報の混乱を未然に防ぐことができる。また、保守員が電源調査をする場合であっても、電子計算機111〜11m等の筐体内に入って作業をする必要がないので、短絡事故が発生する可能性を排除することができる。
さらに、エラーログの異常コードに対しては、故障箇所表示手段35が異常コード解析DB86を参照することによって、予め設定された言語(例えば日本語)に変換することができるので、マニュアルを検索することなくユーザはエラーログの内容を直接的に認識することができる。
さらにまた、ソフトウェアの異常コードでは詳細を表示させず、概要サマリを表示させることによって、関連部署47へ送信される情報に基づいて社内機密が漏洩することはなく機密を保持することができる。
また、異常発生時にはリモート保全装置30が故障履歴DB85を更新するので、リモート保全装置30および関連部署47において、同じ時刻に採取されたデータを基準とした正常/異常の判断結果(機器の現在の状況)を共有でき、内容の認識に対するずれを未然に防ぐことができる。
さらに、モニタ121〜12nに表示される画像をリモート保全装置30が取得することで、モニタ121〜12nの不具合をいち早く確認でき、他の故障発生時に故障内容が確認できず、故障からの復旧が遅れるといった事態を回避することができる。また、プリンタ131〜13pについては、プリントアウトされる印字の画像をリモート保全装置30が取得することで、モニタ121〜12nの場合と同様に不具合をいち早く確認でき、故障からの復旧が遅れるといった事態を回避することができる。
[故障原因究明・解析処理手順]
図13は、リモート保全システム1の故障原因究明・解析処理手順の実行に関わる機能ブロック図である。ここで、符号90は異常警報の原因を検索するための故障原因検索DBであり、91は故障原因を検索した結果を表す故障原因検索結果(電子データ)である。
図13に示されるリモート保全装置30では、伝送手段31がクライアント側からの異常警報(故障警報)を受信し、制御手段45へ送る。
制御手段45は、受け取った異常警報を異常情報検出手段40へ送る一方、異常情報検出手段40からは異常警報の原因検索結果を受け取る。また、制御手段45は、上述した機器状態のリアルタイム配信処理手順の実行によって、異常警報とともに送信される機器動作情報に基づいて異常が発生している設備および機器を示す情報を故障箇所表示手段35から受け取る。すなわち、異常警報の対象となる設備および機器を示す情報を取得する。さらに、制御手段45は、故障箇所表示手段35および異常情報検出手段40から受け取った情報を表示手段33へ送る。
異常情報検出手段40は、受け取った異常の原因を故障原因検索DB90を参照して抽出する。抽出結果は、必要に応じて故障原因検索結果91として記録手段32に保存される。
故障箇所表示手段35は、上述した機器状態のリアルタイム配信処理手順と同様に、機器名変換DB87を参照して機器動作情報に含まれる設備および機器を示す情報を、例えば、具体的な設備および機器の名称等のユーザが一見して判別可能な情報に変換し、変換結果を制御手段45へ送る。
表示手段33は、制御手段45から受け取る情報、ここでは、異常が発生した原因(原因検索結果)と、異常が発生した設備および機器を示す情報を表示する。
図14は、故障原因究明・解析処理手順の実行の際に用いられる故障原因検索DB90のデータ構成例を示す説明図である。
故障原因検索DB90は、例えば、緊急度の高い故障を示す重故障の警報とその原因、重故障よりも緊急度の低い軽故障の警報とその原因、および、周辺機器の故障の警報とその原因とをそれぞれ対応付けた重故障ANNテーブル90a、軽故障ANNテーブル90b、および、周辺機器故障ANNテーブル90cを有している。異常(故障)原因の検索時には、各テーブル90a,90b,90cが参照され、警報に対応する原因が抽出される。
尚、故障原因検索DB90は、必ずしも、図14に示されるものに限定されない。例えば、重故障ANNテーブル90a、軽故障ANNテーブル90b、および、周辺機器故障ANNテーブル90cを一つのテーブルとして作成してあっても良い。重故障、軽故障および周辺機器故障の判別については、別途、故障種類を示す指標を追加する等で対応することができる。
また、重故障ANNテーブル90aおよび軽故障ANNテーブル90bと、周辺機器故障ANNテーブル90cとに分けて作成されても良い。例えば、保全対象となっているシステムが複合系のシステムであり、このシステムでは同じ故障が同じ設備から複数発見された場合に「重故障」で単一ならば「軽故障」といった判断をする場合には、故障原因自体は同じものとなるので、新たな指標を追加しなくてもテーブルを共有化できる。
図15は、故障原因究明・解析処理手順の処理ステップを示した説明図(処理フロー図)である。
故障原因究明・解析処理手順は、処理ステップの実行要求があると(START)、まず、異常情報検出手段40が異常警報(ANN)の発生の有無を認識する(ステップS21)。異常警報(ANN)の発生有と認識すると(ステップS21でYESの場合)、ステップS22〜ステップS24の処理ステップが並行してまたは順次実行される。
すなわち、図14に示される重故障ANNテーブル90a、軽故障ANNテーブル90b、および、周辺機器故障ANNテーブル90cが検索され、異常警報と対応する原因が抽出される(ステップS22〜ステップS24)。
異常情報検出手段40によって、異常警報と対応する原因が抽出されると、異常情報検出手段40が抽出した異常警報および当該異常警報と対応する原因が表示手段33に表示される(ステップS25)。表示(ステップS25)後は、終了要求があると(ステップS26でYESの場合)、故障原因究明・解析処理手順は終了する(END)。
尚、異常情報検出手段40が異常警報(ANN)の発生無と認識した場合(ステップS21でNOの場合)には、ステップS26へ進み、ステップS26以降の処理ステップを実行する。また、故障原因究明・解析処理手順実行中に終了要求が無い場合(ステップS26でNOの場合)、ステップS21へ戻ってステップS21〜ステップS26の処理ステップを繰り返す。
上述した故障原因究明・解析処理手順を実行することによって、リモート保全システム1は、異常警報に対応する原因の検索がリモート保全装置30によって行われるため、原因の抽出および解析に要する時間の短縮化、すなわち、異常(故障)状態からの復旧に要する時間を短縮することができる。
[配信確認処理手順]
図16は、リモート保全システム1の配信確認処理手順の実行に関わる機能ブロック図である。
図16に示されるリモート保全システム1は、異常を示す機器動作情報(異常情報)が保全機能コントローラ20からリモート保全装置30へ配信され、また、リモート保全装置30から関連のある関連部署47へさらに配信された旨を保全機能コントローラ20およびリモート保全装置30へ通知して異常情報の配信を確認する。
保全機能コントローラ20では、第2の伝送手段22が異常を示す機器動作情報をリモート保全装置30へ送る一方、リモート保全装置30から配信先である関連部署47が配信した情報に含まれる情報(設備指標(設備NO)、機器指標(機器NO)およびSUB機器指標(SUB機器NO)とサンプリング時刻)を受け取る。
制御手段28は、第2の伝送手段22から配信確認用の情報を受け取り、配信確認手段27へ送る一方、配信確認手段27が行なった配信確認の結果の情報を受け取る。また、制御手段28は、配信結果の情報を表示手段25へ送り、表示手段25に配信結果を表示させる。
配信確認手段27は、機器動作情報の配信時に、配信する機器動作情報に含まれる設備指標、機器指標およびSUB機器指標とサンプリング時刻を配信確認用情報として記憶し、記憶される配信確認用情報と、リモート保全装置30から返信された受信確認通知(配信確認用情報)との対比を行ない一致した場合には、記憶される設備指標、機器指標、SUB機器指標およびサンプリング時刻が含まれた機器動作情報が受信確認通知の送信元であるリモート保全装置30および関連部署47に配信されたと認識する。
リモート保全装置30では、伝送手段31が保全機能コントローラ20からの機器動作情報を受け取り、制御手段45へ送る一方、制御手段45から受け取った配信確認用の情報(受信確認通知)を保全機能コントローラ20へ送る。
制御手段45は、異常情報をフィルタリング手段39へ送る。また、制御手段45は、構内伝送手段41から関連部署47の配信確認用の情報を受け取り、受け取った配信確認用の情報を配信確認手段43および伝送手段31へ送る。さらに、制御手段45は、配信確認手段43が配信を確認した結果を受け取り、受け取った配信確認結果を伝送手段31へ送る。
構内伝送手段41は、フィルタリング手段39を介して制御手段45から機器の動作状態および異常発生時には異常が発生した設備名称等や異常の内容を含む情報を関連部署47へ送信する一方、送信先の関連部署47からは配信確認用の情報を受け取る。配信確認用の情報は構内伝送手段41から制御手段45へ送られる。
配信確認手段43は、異常情報を送信した関連部署47から配信確認用情報を受け取ったか否かを確認する。確認の手法については、保全機能コントローラ20の配信確認手段27と実質的に同じである。
図17は、リモート保全システム1において、配信確認処理手順が実行される際に伝送される情報の概要を示す説明図である。
尚、図17に示されるリモート保全装置30、第1の関連部署47および第2の関連部署47は、リモート保全装置30の異常検出手段40によって、機器の動作状態の異常が検出された場合に受信確認通知を返送するものとする。また、図17に示されるリモート保全装置30、第1の関連部署47および第2の関連部署47が送信(返信)する情報に含まれる設備指標には機器指標(機器NO)、および、必要な場合にはSUB機器指標が含まれるものとする。
図17に示されるように、クライアント側の保全機能コントローラ20からリモート保全装置30へ機器動作情報(図17では一部省略して示す)が送信される。機器動作情報には設備指標(設備NO)、機器指標(機器NO)、必要な場合にはSUB機器指標(SUB機器NO)およびサンプリング時刻が含まれており、リモート保全装置30の異常検出手段40が機器の動作状態の異常を検出した場合には、異常情報を第1の関連部署47および第2の関連部署47へ配信する。
リモート保全装置30は、保全機能コントローラ20から機器動作情報を受信した旨を通知するため、受け取った情報に含まれる設備指標とサンプリング時刻とを抽出してこれにリモート保全装置30への配信を確認するための情報である旨を示す製造部署返信指標を付加して保全機能コントローラ20へ送信する。
また、リモート保全装置30は、保全機能コントローラ20から受信した機器動作情報(異常情報)を第1の関連部署47および第2の関連部署47へ配信し、配信先の第1の関連部署47および第2の関連部署47から受信確認通知(配信確認用情報)の返信を受け取る。そして、受け取った受信確認通知を保全機能コントローラ20へ送信する。
第1の関連部署47から送信される受信確認通知には、第1の関連部署47が受け取った異常情報に含まれる設備指標とサンプリング時刻に加え、第1の関連部署47への配信を確認するための情報である旨を示す第1の関連部署返信指標(関連部署返信指標)が付加される。同様に第2の関連部署47から送信される受信確認通知には、第2の関連部署47が受け取った異常情報に含まれる設備指標とサンプリング時刻に加え、第2の関連部署47への配信を確認するための情報である旨を示す第2の関連部署返信指標(関連部署返信指標)が付加される。
図18は、リモート保全システムによって実行される配信確認処理手順の処理ステップを示した説明図(シーケンスチャート)である。
配信確認処理手順は、その処理ステップを開始すると(START)、リモート保全装置30が処理ステップ(ステップS31〜ステップS37)を実行し、保全機能コントローラ20が処理ステップ(ステップS41〜ステップS45)を実行する。
リモート保全装置30では、ステップS31で、配信確認手段43がリモート保全機能コントローラ20から受信した機器の異常を示す機器動作情報(異常情報)に含まれる所定の情報、例えば、設備指標、機器指標およびSUB機器指標とサンプリング時刻とを記憶した後、構内伝送手段41から関連部署47へ異常情報を配信する。
リモート保全装置30が関連部署47へ異常情報を配信すると、リモート保全装置30は関連部署47からの返信を待機する(ステップS32)。その後、返信の有無を確認し、返信があった場合(ステップS33でYESの場合)、ステップS34に進み、配信確認手段43が関連部署47から返信された受信確認通知を用いて配信確認を行なう一方で、関連部署47から返信された受信確認通知をクライアント側の保全機能コントローラ20へ送信する(ステップS34)。
その後、全ての配信先から返信が有ったことを確認したら(ステップS35でYESの場合)、ステップS36に進む。そして、ステップS36以降は、終了要求があると(ステップS36でYESの場合)、リモート保全装置30で実行される処理ステップ(ステップS31〜ステップS37)は終了する(END)。
一方、終了要求が無い(ステップS36でNO)限り、次の異常情報の配信を待機し(ステップS37)、ステップS31へ戻る。その後は、ステップS31以降の処理ステップを繰り返す。
また、保全機能コントローラ20では、ステップS41で、配信確認手段27がリモート保全装置30から受信した受信確認通知に含まれる設備指標、機器指標(機器NO)、必要な場合にはSUB機器指標およびサンプリング時刻の情報と、配信確認手段27に記憶される設備指標、機器指標(機器NO)、必要な場合にはSUB機器指標およびサンプリング時刻の情報とを対比する。そして、対比した情報が一致した場合(ステップS42でYESの場合)、配信完了を確認し、その旨が表示手段25に表示される(ステップS43)。
ステップS43以降は、終了要求があると(ステップS44でYESの場合)、保全機能コントローラ20で実行される処理ステップ(ステップS41〜ステップS45)は終了する(END)。
一方、終了要求が無い(ステップS44でNO)限り、次の配信確認用情報の受信を待機し(ステップS45)、ステップS41へ戻る。その後は、ステップS41以降の処理ステップを繰り返す。
上述した配信確認処理手順を実行することによって、リモート保全システム1は、機器の異常を示す機器動作情報(異常情報)の配信元である保全機能コントローラ20およびリモート保全装置30へ配信確認の返信が来るので、異常情報の配信確認をタイムリーに行なうことができる。従って、情報の行き違いを排除し、情報の錯綜に起因する復旧遅れを解消することができ、異常(故障)状態からの復旧に要する時間を短縮することができる。
[故障箇所表示処理手順]
図19は、リモート保全システム1の故障箇所表示処理手順の実行に関わる機能ブロック図であり、図20は、故障箇所表示処理手順の処理ステップを示した説明図(処理フロー図)である。図19および図20を参照してリモート保全システム1で実行される故障箇所表示処理手順について説明する。
リモート保全システム1で実行される故障箇所表示処理手順(図20)は、伝送手段31、故障箇所表示手段35および制御手段45を備えるリモート保全装置30によって、ステップS51〜ステップS55の処理ステップが実行され、第2の伝送手段22、状態表示出力手段26および制御手段28を備える保全機能コントローラ20によって、ステップS61〜ステップS64の処理ステップが実行される。
リモート保全装置30では、処理ステップの実行開始要求があると、ステップS51〜ステップS55の処理ステップの実行を開始し(START)、まず、ステップS51で故障箇所表示手段35が記録手段32に格納される故障履歴DB85を参照し、現在の動作状態が「異常」となっている機器を抽出する。すなわち、現在の動作状態の異常の有無を検索する。
ここで、現在の機器動作状態に異常がある場合、すなわち、現在の機器動作状態に「異常」となっている機器が発見された場合(ステップS52でYESの場合)、ステップS53に進み、故障箇所表示手段35は、現在の機器動作状態が異常となっている機器をクライアント側の表示手段62,76,82に表示するために必要な設備指標、機器指標およびSUB機器指標が含まれた故障箇所表示情報を作成し、制御手段45へ送る。制御手段45に送られた故障箇所表示情報は、制御手段45から伝送手段31へ送られ、さらに、保全機能コントローラ20(クライアント側)へ送信される。
ステップS53以降は、終了要求があると(ステップS54でYESの場合)、リモート保全装置30で実行される処理ステップ(ステップS51〜ステップS55)は終了する(END)。
また、現在の動作状態に異常が無い場合(ステップS52でNOの場合)、ステップS54へ進み、ステップS54以降の処理ステップを実行する。一方、終了要求が無い場合(ステップS54でNOの場合)、次の異常(故障)発生まで待機し(ステップS55)、ステップS51へ戻る。その後は、ステップS51以降の処理ステップを繰り返す。
また、保全機能コントローラ20では、処理ステップの実行開始要求があると、ステップS61〜ステップS64の処理ステップの実行を開始し(START)、ステップS61で、状態表示出力手段26がリモート保全装置30から受信した故障箇所表示情報を受け取り、故障箇所表示情報に含まれる設備指標、機器指標およびSUB機器指標に基づき故障箇所を特定し、特定された故障箇所を表示すべき表示手段62,76,82を特定する。
故障箇所表示を行なう表示手段62,76,82は、故障箇所に対して予め設定されており、例えば、故障箇所が電子計算機111〜11m、モニタ121〜12nおよびプリンタ131〜13pにある場合には電子計算機群11に設けられた表示手段62、伝送ステーション141〜14qにある場合には伝送ステーション群14に設けられた表示手段76、PIO筐体151〜15rにある場合にはPIO筐体群15に設けられた表示手段82である。
故障箇所を表示すべき表示手段62,76,82が特定されると、ステップS62で、状態表示出力手段26が特定された表示手段62,76,82へ故障箇所表示情報を送信する。故障箇所表示情報を受け取った表示手段62,76,82は、故障箇所の表示を表示する。
ステップS62以降は、終了要求があると(ステップS63でYESの場合)、保全機能コントローラ20で実行される処理ステップ(ステップS61〜ステップS64)は終了する(END)。
一方、終了要求が無い(ステップS63でNO)限り、次の故障箇所表示情報の受信まで待機し(ステップS64)、ステップS61へ戻る。その後は、ステップS61以降の処理ステップを繰り返す。
尚、ステップS61で示した表示先の例は、表示先を表示手段62,76,82の何れか一つに限定するものではない。すなわち、設定される表示先は、表示手段62,76,82から選択される少なくとも一以上であれば任意である。
上述した故障確認表示処理手順を実行することによって、リモート保全システム1は、故障した箇所がクライアント装置10の電子計算機群11、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15に備えられる表示手段62,76,82に表示されるので、保守員が故障した機器を取り違えるミス発生を回避することができる。従って、異常(故障)状態からの復旧に要する時間を短縮することができる。
また、故障発生箇所の表示と併せて表示手段62,76,82に交換ガイダンスが表示されるので、故障した機器の交換作業を行なう際に、保守員が表示手段62,76,82に表示される交換ガイダンスを参照しながら交換作業をすることができるので、交換作業ミスおよび交換作業ミス発生に伴うトラブル発生を回避することができる。従って、異常(故障)状態からの復旧に要する時間を短縮することができる。
[故障復帰確認処理手順]
図21は、リモート保全システム1の故障復帰確認処理手順の実行に関わる機能ブロック図、図22は、故障復帰確認処理手順の処理ステップを示した説明図(シーケンスチャート)である。図21および図22を参照してリモート保全システム1で実行される故障復帰確認処理手順について説明する。
リモート保全システム1で実行される故障復帰確認処理手順(図22)は、第1の伝送手段21、第2の伝送手段22および制御手段28を有する保全機能コントローラ20によって、ステップS71〜ステップS74の処理ステップが実行され、伝送手段31、表示手段33、故障復帰表示手段36、フィルタリング手段39および構内伝送手段41および制御手段45を備えるリモート保全装置30によって、ステップS81〜ステップS84の処理ステップが実行される。
保全機能コントローラ20では、処理ステップの実行開始要求があると、ステップS71〜ステップS74の処理ステップの実行を開始し(START)、ステップS71で、第1の伝送手段21が故障状態から復帰する際になされる故障状態からの復帰操作、すなわち、表示手段62,76,82でのタッチ操作を認識して故障復帰する機器の情報、すなわち、タッチ操作を示す情報(指標)、設備指標、機器指標およびSUB機器指標を受信する。
第1の伝送手段21が故障復帰する機器の情報を受信すると、続いて、ステップS72で、制御手段28が故障復帰する機器を特定するための設備指標、機器指標およびSUB機器指標の情報に故障復帰を示す情報(指標)を付加して、第2の伝送手段22へ送る。制御手段28から第2の伝送手段22に送られた情報は、第2の伝送手段22からリモート保全装置30へ送られる。
ステップS72以降は、終了要求があると(ステップS73でYESの場合)、保全機能コントローラ20で実行される処理ステップ(ステップS71〜ステップS74)は終了する(END)。
一方、終了要求が無い(ステップS73でNO)限り、次の故障状態復帰のタッチ操作があるまで待機し(ステップS74)、ステップS71へ戻る。その後は、ステップS71以降の処理ステップを繰り返す。
また、リモート保全装置30では、処理ステップの実行開始要求があると、ステップS81〜ステップS84の処理ステップの実行を開始し(START)、ステップS81で、制御手段45が、保全機能コントローラ20から送られた故障復帰する機器を特定するための設備指標、機器指標、SUB機器指標および故障復帰を示す指標を伝送手段31から受け取り、受け取った設備指標、機器指標およびSUB機器指標が示す機器が故障状態から復帰した旨の情報を表示手段33および(必要があればフィルタリング手段39でフィルタリングをした後に)構内伝送手段41へ送る。
故障状態から復帰した旨の情報を受け取った表示手段33には、故障した機器が故障状態から復帰した旨が表示される。また、故障状態から復帰した旨の情報を受け取った構内伝送手段41は、受け取った情報を関連部署47へ送信する。
さらに、制御手段45は、受け取った設備指標、機器指標、SUB機器指標および故障復帰を示す指標に基づき、故障状態から復帰する機器を特定する設備指標、機器指標およびSUB機器指標を故障復帰表示手段36へ送り、故障復帰表示手段36が故障復帰する機器の現在の動作状態が記録される故障履歴DB85にアクセスし、故障復帰する機器の現在の動作状態を異常から正常に更新するとともに、部品交換によって正常に復帰した場合には交換日時についても併せて更新する(ステップS82)。
ステップS82以降は、終了要求があると(ステップS83でYESの場合)、リモート保全装置30で実行される処理ステップ(ステップS81〜ステップS84)は終了する(END)。
一方、終了要求が無い(ステップS83でNO)限り、次の故障状態復帰の情報を受信するまで待機し(ステップS84)、ステップS81へ戻る。その後は、ステップS81以降の処理ステップを繰り返す。
上述した故障復帰確認処理手順を実行することによって、リモート保全システム1は、機器故障から復帰した旨をリモート保全装置30(表示手段33)および関連部署47(表示手段88)で確認することができるので、(リモート保全装置30のユーザは機器の故障が復帰したことを知っているが関連部署47ではその旨が伝わっていない等の)情報の錯綜を未然に防ぐことができ、異常(故障)状態からの復旧に要する時間を短縮することができる。
また、故障復帰表示手段36が故障履歴DB85に記録される機器の現在の動作状態を異常から正常に更新するため、故障状態からの復帰の日時(部品交換日時)が確実に故障履歴DB85に記録され、故障発生から復帰までのステータス管理を確実に行なうことができる。これは、後述する故障予測の正確性向上に寄与することができ、ひいては、次回以降に発生する異常(故障)状態からの復旧に要する時間の短縮に貢献できる。
[水平展開・故障予測処理手順]
図23は、リモート保全システム1の水平展開・故障予測処理手順の実行に関わる機能ブロック図である。ここで、符号93,94,95は、それぞれ、故障予測DB、寿命品ステータス算出DB、および、水平展開故障予測結果(電子情報)であり、例えば、記録手段32等のリモート保全装置30が読み出し可能な記憶領域に格納される。尚、水平展開故障予測結果95とは故障予測の結果を含まない水平展開の結果のみを含むものである。
図23に示されるリモート保全システム1は、リモート保全装置30が上述した機器状態のリアルタイム配信処理手順を実行し、機器の動作状態に異常が検出されると、制御手段45が故障予測手段37に異常が検出された機器と同じ型式の機器を検索して抽出する水平展開を行なう旨の要求を出力する。また、寿命品については故障予測を行なう旨の要求を出力する。
制御手段45は、故障予測手段37が求めた水平展開故障予測結果を受け取り、受け取った水平展開故障予測結果を伝送手段31と(必要があればフィルタリング手段39でフィルタリングをした後に)構内伝送手段41へ送る。また、制御手段45は、要求があれば、記録手段32等のアクセス可能な記録装置(記録手段)に水平展開故障予測結果(電子ファイル)95を保存する。
表示手段33は、受け取った水平展開故障予測結果を表示する。また、構内伝送手段41は、受け取った水平展開故障予測結果を関連部署(第1の関連部署,第2の関連部署)47へ送る。
保全機能コントローラ20では、リモート保全装置30から送られた水平展開故障予測結果を第2の伝送手段22で受け取ると、水平展開故障予測結果は、第2の伝送手段22から制御手段28へ送られ、さらに、表示手段25に送られる。表示手段25は、受け取った水平展開故障予測結果を表示する。
図24は、リモート保全システム1が水平展開・故障予測処理手順の実行に用いる故障予測DB93の構成例を示す説明図である。
図24に示される故障予測DB93は、電源57,71、ファン56、ディスク59等の寿命品の各々の耐用期間(耐用年数)の情報を有し、耐用期間の情報は、現在のステータス値(現在値:縦方向)と経過年数(横方向)とのマトリックスに記録される。例えば、図24に示される故障予測DB93に格納される情報によれば、交換から2年が経過した電源57,71の現在値が4.8Vの場合、耐用年数は6年となる。すなわち、6年後には故障すると予測することができる。
図25は、リモート保全システム1が水平展開・故障予測処理手順の実行に用いる寿命品ステータス算出DB94の構成例を示す説明図であり、図25(a)はファン56について回転数と交換からの経過時間との関係で規定される正常域、異常域および警報域を示した説明図、図25(b)はディスク59についてアクセス時の回転数と交換からの経過時間との関係で規定される正常域、異常域および警報域を示した説明図、図25(c)は電源57,71についてリップル、入力電圧および出力電圧と交換からの経過時間との関係で規定される正常域、異常域および警報域を示した説明図、図25(d)はリチウム電池72について電圧と交換からの経過時間との関係で規定される正常域、異常域および警報域を示した説明図である。
図25(図25(a)〜図25(d))に示される寿命品ステータス算出DB94は、例えば、寿命品であるファン56、ディスク59、電源57,71およびリチウム電池72の正常域、異常域および警報域が取得するステータス値(縦軸方向)と交換からの経過時間(横軸方向)との関係で規定されており、現在のステータス値(現在値)と交換からの経過時間との交差位置がどの領域に属するかで現在の状態が正常域、異常域および警報域の何れに属するかの判別を可能とする。
図26〜図29は、水平展開・故障予測処理手順の一処理ステップである寿命品ステータス算出ステップを示す説明図(処理フローチャート)であり、それぞれ、図26はファン56、図27はディスク59、図28は電源57,71、図29はリチウム電池72の寿命品ステータス算出の処理ステップを示す説明図である。
ここで、水平展開・故障予測処理手順の寿命品ステータス算出ステップとは、故障予測手段37がサンプリングした現在の日時と現在値から機器の正常または異常を判断する処理ステップである。すなわち、故障予測手段37が、図25に示される正常域(正常)、異常域(異常)および警報域(異常)の何れに属するかを判断する処理ステップである。
例えば、ファン56が故障した場合には、故障予測手段37が、図25に示される寿命品ステータス算出DB94を参照して図26に示されるステップS91〜ステップS96の処理ステップを実行し、図25(a)に示される正常域(正常)、異常域(異常)および警報域(異常)の何れに属するかを判断する。
ファン56の場合と同様に、ディスク59が故障した場合には、故障予測手段37が図27に示されるステップS101〜ステップS106の処理ステップを実行して、電源57,71が故障した場合には、故障予測手段37が図28に示されるステップS111〜ステップS120の処理ステップを実行し、リチウム電池72が故障した場合には、故障予測手段37が図29に示されるステップS121〜ステップS126の処理ステップを実行し、それぞれ、図25(b)〜(d)に示される正常域(正常)、異常域(異常)および警報域(異常)の何れに属するかを判断する。
図30は、水平展開・故障予測処理手順の処理ステップを示した説明図(シーケンスチャート)である。
リモート保全システム1で実行される水平展開・故障予測処理手順は、リモート保全装置30が保全機能コントローラ20から機器動作情報を受け取ると、リモート保全装置30は、ステップS131〜ステップS137の処理ステップを開始する(START)。
ステップS131で異常情報検出手段40が故障を検出した場合(ステップS131でYESの場合)、ステップS132で故障予測手段37が水平展開する。すなわち、故障予測手段37が故障履歴DB85を参照し、故障履歴DB85に格納される全機器について故障機器と同じ型式番号を持つ機器を検索して抽出する。
続いて、ステップS133で故障予測手段37が水平展開結果として抽出した機器がファン56等の寿命品であった場合(ステップS133でYESの場合)、ステップS134に進み、ステップS134で上述した寿命品ステータス算出ステップ(図26〜図29を参照)が実行される。
続くステップS135では、故障予測手段37が故障予測を行なう。すなわち、故障予測手段37は、故障履歴DB85に記録される前回の交換日時を参照し、故障した機器の前回交換からの経過期間を計算し、現在のステータス値(現在値)から耐用期間(予測される残り寿命)を求める。
続くステップS136では、故障予測手段37が、水平展開・故障予測結果を制御手段45へ送り、制御手段45から表示手段33および関連部署47へ送られる。ここで、水平展開・故障予測結果とは、ステップS132で求められた水平展開の結果であり、ステップS134,135が実行された場合には故障予測の結果も含むものである。
ステップS136以降は、終了要求があった場合(ステップS137でYESの場合)、リモート保全装置30で実行される処理ステップ(ステップS131〜ステップS137)を終了する(END)。一方、終了要求が無い場合(ステップS137でNOの場合)、ステップS131に戻り、ステップS131以降の処理ステップを繰り返す。
また、ステップS131で異常情報検出手段40が故障を検出しなかった場合(ステップS131でNOの場合)、ステップS131に戻り、ステップS131以降の処理ステップを繰り返す。
さらに、ステップS133で、故障予測手段37が水平展開結果として抽出した機器が寿命品以外であった場合(ステップS133でNOの場合)、ステップS136に進み、ステップS136以降の処理ステップを繰り返す。
一方、保全機能コントローラ20が起動し、保全機能コントローラ20が水平展開・故障予測結果の受信待機状態になると、ステップS141〜ステップS144の処理ステップを開始する(START)。
まず、ステップS141では、第2の伝送手段22がリモート保全装置30から送信された水平展開・故障予測結果を受信する。第2の伝送手段22が受信した水平展開・故障予測結果は、制御手段28へ送られ、制御手段28から表示手段25へ送られる。続くステップS142では、表示手段25が制御手段28から受け取った水平展開・故障予測結果を表示する。
ステップS142以降は、終了要求があった場合(ステップS143でYESの場合)、保全機能コントローラ20で実行される処理ステップ(ステップS141〜ステップS144)を終了する(END)。一方、終了要求が無い場合(ステップS143でNOの場合)、ステップS141に戻り、ステップS141以降の処理ステップを繰り返す。
上述した水平展開・故障予測処理手順を実行することによって、リモート保全システム1は、故障した機器について、同じ型式の機器を監視対象全体から検索するので、スムーズに水平展開を行うことができる。
また、寿命品について、現在のステータス値(現在値)と前回交換からの経過時間を考慮して耐用期間(残り寿命)を予測するので、保守員の単なる主観ではなく客観的な根拠に基づいた部品交換をユーザへ提案することができる。
さらに、リモート保全装置30および関連部署47で水平展開故障予測結果を確認することができるので、機器の交換予定(納入)の連絡が通達されず、予定された日時に機器の交換をすることが出来ないといった事態を未然に回避することができ、異常(故障)状態からの復旧に要する時間を短縮することができる。
[報告書作成処理手順]
図31はリモート保全システム1の報告書作成処理手順の実行に関わる機能ブロック図である。
図31に示されるように、報告書作成処理手順の実行においては、リモート保全システム1のリモート保全装置30が機能する。ここで、符号95は水平展開故障予測処理手順を実行して得られた水平展開および故障予測の結果である水平展開故障予測結果(電子データ)、96は報告書の表紙および本体の雛型である報告書雛型(電子データ)である。
リモート保全装置30では、入力手段34が、例えば、報告書の作成や報告書の見解欄へ文字入力等の報告書作成の際に行なう入力操作を受け付け、受け付けた入力操作の情報を制御手段45へ送る。
制御手段45は、入力手段34が受け付けた入力操作の情報を報告書作成手段38へ送る。また、報告書作成手段38から表示手段33に表示される報告書の表示情報を受け取り、表示手段33へ送る。さらに、作成した報告書を関連部署47へ送りたい旨の要求を入力手段34から受け取った場合には、報告書の電子データを(必要があればフィルタリング手段39でフィルタリングをした後に)構内伝送手段41へ送る。
報告書作成手段38は、報告書作成に必要な情報として、記録手段32に格納される故障履歴DB85、報告書雛型96、故障原因検索結果91および水平展開故障予測結果95を参照し、報告書の雛型および報告書の雛型に挿入(インポート)するデータを取得する。そして、報告書の雛型に取得したデータを挿入し、入力手段34からの入力があれば当該入力内容も反映して報告書の作成を行なう。
表示手段33は、制御手段45から作成中または作成後の報告書の表示情報を受け取り、受け取った表示情報に基づき、作成中または作成後の報告書を表示する。
図32(a)〜(c)はリモート保全システム1の報告書作成処理手順の実行により作成される報告書(電子データ)の一例を示した説明図である。
図32(a)〜(c)に示される報告書表紙の雛型98、寿命品用報告書本体の雛型99、および、寿命品以外用報告書本体の雛型100は、報告書雛型96に格納される。
図32(a)に示される報告書表紙の雛型98は、例えば、監視対象となるプラントである「**発電所 xx号機」を記載する欄に加え、異常(故障)の発生日時が記載される発生日時記載欄101と、設備の名称が記載される設備名欄102と、機器の名称が記載される機器名欄103と、異常を示すメッセージが記載されるメッセージ欄104と、異常の原因(異常原因の検索結果)が記載される原因欄105とを有しており、雛型98の段階(データ挿入前)では、欄101〜105は未記入の状態である。
報告書作成手段38が報告書作成要求を受け取ると、報告書作成手段38は、報告書の作成対象となる異常についての異常情報から必要な情報を取得して、取得した情報を挿入していく。そして、データ挿入後の報告書表紙98aを作成する。
例えば、発生日時記載欄101に記入される発生日時については、保全機能コントローラ20(図31では図を省略)からリモート保全装置30へ送信される異常情報に含まれるサンプリング時刻の情報が取得され、挿入される。また、設備名欄102および機器名欄103に記入される設備名称および機器名称については、異常情報に含まれる設備指標および機器指標(SUB機器指標があるときはSUB機器指標を含む)の情報が取得され、挿入される。メッセージ欄104については、異常情報に含まれる伝送データから異常を示すメッセージの情報が取得され、挿入される。原因欄105については、故障原因検索結果91の情報が取得され、挿入される。
すなわち、図32(a)に示されるデータ挿入後の報告書表紙98aの一例では、発生日時記載欄101には「2009年3月8日 16時(午後4時)32分48秒」が、設備名欄102および機器名欄103には「プロセス計算機」および「プロセス計算機#1 ファン#1」が、メッセージ欄104には「異常(回転数低下)」が、原因欄105には「経年劣化」が記入(挿入)される。
図32(b)に示される報告書本体の雛型99は、水平展開結果を示す水平展開結果欄106と、オペレータ(ユーザ)の見解を記入する見解記載欄107とを有し、報告書作成手段38が報告書作成要求を受け取ると、報告書作成手段38は、報告書の作成対象となる異常に対して水平展開および故障予測の結果である水平展開故障予測結果95に基づき、水平展開故障予測結果95から必要な情報を取得して、取得した情報を挿入していく。そして、データ挿入後の報告書本体99aを作成する。
図32(b)に示されるデータ挿入後の報告書本体99aの一例では、初期設定で故障予測を行った場合、故障予測結果である設備名・機器名および故障予測日のデータを水平展開結果欄106に挿入しており、設備名・機器名として「BBBB EEEE」・・・「ZZZZ EEEE」が、納入日または故障の予測日を示す納入/予測日として「2009年3月15日」が記入(挿入)される。
図32(c)に示される報告書本体の雛型100は、寿命品を対象としているか否かで記載すべきフォーマットに微差があるものの、実質的には図32(b)に示される報告書本体の雛型99と相違しない。すなわち、図32(c)に示される寿命品以外についての報告書本体の雛型100では、図32(b)に示される報告書本体の雛型99に対して、「納入/予測日」が故障予測日を排除した「納入日」となっている点が相違するにすぎない。これは、寿命品以外に対しては故障(寿命)予測を行わないためである。
図32(c)に示されるデータ挿入後の報告書本体99aの一例では、水平展開結果欄108に、設備名・機器名として「AAAA FFFF」・・・「YYYY FFFF」が記入(挿入)される。納入日については、故障履歴DB85に該当するデータが格納されていない場合には挿入を行なわず、該当するデータが挿入されている場合には、挿入を行なう。
例えば、図8に示される故障履歴DB85を参照する場合には、発注から納入までの期間(リードタイム)が格納されていないため、納入日のデータ挿入は行なわれず未記入のままとなるが、機器のリードタイム(例えば、過去の実績値)の情報を格納した故障履歴DB85を参照する場合には、現在の日時とリードタイムとを考慮して納入日(予定)を算出することができるので、例えば算出結果が「2009年3月22日」であれば、納入日として「2009年3月22日」を挿入するようにすることができる。
図33はリモート保全システム1の報告書作成処理手順の処理ステップを示した説明図(処理フロー図)である。
報告書作成手段38は、報告書作成要求を受け取ると、報告書作成処理手順を開始する(START)。報告書作成処理手順では、まず、ステップS151で報告書雛型96から報告書の表紙の雛型98を読み出すとともに、報告書の表紙に設けられる各項目の記載欄101〜105に記入する情報を、リモート保全装置30へ送信される異常情報等から取得して、取得した情報を各記載欄101〜105に挿入する。具体的には、上述した図32(a)および図32(a)について説明した通りである。
続いて、報告書作成手段38は、ステップS152で異常(故障)が発生した対象(報告対象)が寿命品であるか否かを判定する。異常(故障)が発生した対象(報告対象)が寿命品である場合(ステップS152でYESの場合)、ステップS153に進み、報告書作成手段38は、交換推奨年月日が経過しているか否かを判定する。
交換推奨年月日が経過している場合(ステップS153でYESの場合)、ステップS154に進み、報告書作成手段38は、報告書雛型96に格納される寿命品についての報告書本体の雛型99を読み出し、水平展開故障予測結果95が示す水平展開結果、すなわち、交換が推奨される機器の名称と当該機器の納入/予測日のデータを水平展開結果欄106に挿入する。
続いて、ステップS155に進み、報告書作成手段38は、入力手段34を介してオペレータの入力操作(報告書の記載欄101〜108への文字の入力または編集の要求)を受け付け、受け付けた入力内容(文字)を要求のあった記載欄101〜108に反映させる。
例えば、オペレータの入力操作が報告書の見解記載欄107に文字を記入する要求であった場合、入力を受け付けた文字を見解記載欄107に割り当てる。また、オペレータの入力操作が寿命品の水平展開結果欄106の納入/予測日の日時を編集する要求であった場合、編集後の日時に記載を変更する。
ステップS155以降は、終了要求があった場合(ステップS156でYESの場合)、報告書作成処理手順を終了する(END)一方、終了要求が無い場合(ステップS156でNOの場合)、ステップS155に戻り、ステップS155,S156の処理ステップを繰り返す。すなわち、オペレータの入力を待機し、見解の入力があればその内容を反映する一方、終了要求があった場合(ステップS156でYESの場合)には、報告書作成処理手順を終了する(END)。
また、異常(故障)が発生した対象(報告対象)が寿命品以外である場合(ステップS152でNOの場合)には、ステップS157に進み、報告書作成手段38は、報告書雛型96に格納される寿命品以外における報告書本体の雛型100を読み出し、水平展開故障予測結果95が示す水平展開結果、すなわち、交換が推奨される機器の名称と当該機器の納入日のデータを水平展開結果欄108に挿入する。
さらに、異常(故障)が発生した対象(報告対象)が寿命品であり交換推奨年月日が経過していない場合(ステップS153でNOの場合)には、上述したステップS157に進み、ステップS157以降の処理ステップが実行される。尚、ステップS153でNOの場合は、単一故障として扱われる。
上述した報告書作成処理手順を実行することによって、リモート保全システム1は、先に受信した情報および検索した結果を活用して報告すべき内容の大部分(見解記載欄107を除く全体)を作成する報告書の記載欄101〜106,108に割り当てることができるので、報告書作成の手間を大幅に削減することができ、ひいては、故障復旧に要する時間の短縮を実現することができる。
また、先に原因究明解析と水平展開・故障予測を行なった場合には、当該結果を活用して、水平展開結果欄106,108に原因究明解析および水平展開・故障予測の結果を割り当てることができる。従って、スピーディな対応やうっかりミス等の誤った情報が外部に伝わるリスクを未然に防止することができる。
さらに、リモート保全装置30と関連部署47とで内容の同一性および使用するデータの同期性が保たれる。
上述したように、リモート保全システム1およびリモート保全システム1を適用したリモート保全方法によれば、従来、クライアント側の保守員にはデータ採取に関する高度な専門性や作業の正確性および迅速性が要求され、データの採取および採取したデータの必要な部署への送信が必要であったが、このような保守員が居なくても、保全機能コントローラ20の設置によって、クライアント側の保守員の経験に関わらず、故障復帰に必要なデータの採取が安全、正確かつ迅速に行なうことができ、故障復旧までの作業量をより少ないものとして、より短時間で故障から復旧することができる。
また、従来、保守事業者側の保守員は原則としてマニュアルを検索してエラーログの内容を認識していたのに対し、リモート保全システム1およびリモート保全システム1を適用したリモート保全方法では、故障箇所表示手段35が異常コード解析DB86を参照することによって、エラーログの異常コードについて予め設定された言語(例えば日本語)に変換することができるので、保守事業者側の保守員は、マニュアルを検索することなくエラーログの内容を直接的に認識することができる。
すなわち、マニュアル検索という故障復旧までに必要だった作業を削減することができるので、故障復旧までの作業量をより少ないものとして、より短時間で故障から復旧することができる。また、運用しているクライアント側のシステムが古い程、マニュアルの紛失やマニュアルの精通者が不在となる確率が高まるため、エラーコードの内容を直接的に認識することができる効果は顕著となる。
尚、ソフトウェアの異常コードには機密事項が含まれている場合があり、取り扱いに注意が必要であるが、ソフトウェアの異常コードでは詳細を表示させず、例えば、「ソフトウェア不適合」等の様に概要を表示させることによって、本来は社内機密を含んだ異常コードに対しても関連部署47へ送信される際には、概要のみが送信されるので、送信された情報に基づいて社内機密が漏洩するのを防ぐことができる。
また、従来はクライアント側と保守事業者側とで取り扱うデータやクライアント側の実機構成の情報の整合性が保たれない場合が生じ得て、この場合にクライアント側と保守事業者側と認識内容にずれが生じ、故障復旧までに必要とする作業が増加する場合があったのに対し、リモート保全システム1およびリモート保全システム1を適用したリモート保全方法では、異常発生時にはリモート保全装置30が故障履歴DB85を更新するので、リモート保全装置30および関連部署47において、同じ時刻に採取されたデータを基準とした正常/異常の判断結果(機器の現在の状況)を共有でき、認識内容のずれを未然に防ぐことができる。
さらに、モニタ121〜12nに表示される画像をリモート保全装置30が取得することで、モニタ121〜12nの不具合をいち早く確認でき、他の故障発生時に故障内容が確認できず、故障からの復旧が遅れるといった事態を回避することができる。また、プリンタ131〜13pについては、プリントアウトされる印字の画像をリモート保全装置30が取得することで、モニタ121〜12nの場合と同様に不具合をいち早く確認でき、故障からの復旧が遅れるといった事態を回避することができる。
また、従来は故障箇所によっては膨大に出力されるメッセージから保守事業者側の保守員が故障の原因究明を行なっていたのに対し、リモート保全システム1およびリモート保全システム1を適用したリモート保全方法では、リモート保全装置30が異常警報のメッセージの受信をトリガーとして当該異常警報に対応する原因の検索を行なうため、原因の抽出および解析に要する時間を短縮できる。すなわち、復旧までに要する保守事業者側の保守員の作業量をより少ないものとして、より短時間で異常(故障)状態から復旧することができる。
さらに、従来はデータが無事配信されたか否かを確認する作業をクライアント側の保守員が行なう必要があったのに対し、リモート保全システム1およびリモート保全システム1を適用したリモート保全方法では、機器の異常を示す機器動作情報(異常情報)の受信先であるリモート保全装置30および関連部署47が、異常情報の配信元である保全機能コントローラ20およびリモート保全装置30へ受信した情報の一部(配信確認用情報)を自動的に返すので、配信確認用情報を使って異常情報の配信確認をタイムリーに行なうことができる。
故に、クライアント側と保守事業者側とでの情報の行き違いに起因する作業量増大のリスクを排除でき、かつ、復旧までに要するクライアント側の保守員の作業量をより少ないものとすることができるので、全体として復旧までに要する作業量が減少し、より短時間で異常(故障)状態から復旧することができる。
さらにまた、従来は同じ機器が多数存在する設備(例えば、電子計算機群11)で、故障箇所と違った箇所の交換する作業ミスが発生し得たのに対し、リモート保全システム1およびリモート保全システム1を適用したリモート保全方法では、クライアント装置10の電子計算機群11、伝送ステーション群14およびPIO筐体群15に備えられる表示手段62,76,82に故障した箇所が表示されるので、保守員が故障した機器を取り違えるミス発生を回避することができ、復旧までに要する作業量を最小限に留めることができ、より短時間で異常(故障)状態から復旧することができる。
また、従来は故障した機器を正しく特定できたとしても、当該機器の交換作業の手順がクライアント側に正確に伝達されていない場合、誤った交換作業によって復旧までに要する作業量が増加する場合があったのに対し、リモート保全システム1およびリモート保全システム1を適用したリモート保全方法では、故障発生箇所の表示と併せて表示手段62,76,82に交換ガイダンスが表示されるため、交換作業ミスおよび交換作業ミス発生に伴うトラブル発生を回避して復旧までに要する作業量を最小限に留めることができる。この結果、より短時間で異常(故障)状態から復旧することができる。
さらに、従来はクライアント側の保守員が異常(故障)状態からの復旧の状況を報告していたのに対し、リモート保全システム1およびリモート保全システム1を適用したリモート保全方法では、機器故障から復帰した旨をリモート保全装置30(表示手段33)および関連部署47(表示手段88)で確認することができるので、(リモート保全装置30のユーザは機器の故障が復帰したことを知っているが関連部署47ではその旨が伝わっていない等の)情報の錯綜を未然に防ぐことができる。
この結果、復旧までに要するクライアント側の保守員の作業量は減少し、かつ、情報の錯綜に伴う作業発生を回避して作業量を最小限に留めることができるので、より短時間で異常(故障)状態から復旧することができる。
さらにまた、故障復帰表示手段36が故障履歴DB85に記録される機器の現在の動作状態を異常から正常に更新するため、故障状態からの復帰の日時(部品交換日時)が確実に故障履歴DB85に記録され、故障発生から復帰までのステータス管理を確実に行なうことができる。
この結果、クライアント側と保守事業者側との間の情報の錯綜を未然に防ぐことができるので、情報の錯綜に伴う作業発生を回避して作業量を最小限に留めることができ、より短時間で異常(故障)状態から復旧することができる。また、故障予測の正確性を向上させることができるので、次回以降に発生する異常(故障)状態からの復旧に要する作業量を最小限に留めて、復旧に要する時間をより短縮することができる。
また、従来は保守事業者側(またはクライアント側)の保守員が異常(故障)状態からの復帰後に交換作業の水平展開を行なっていたが、リモート保全システム1およびリモート保全システム1を適用したリモート保全方法では、機器の故障が検出されると、故障した機器について、同じ型式の機器を監視対象全体から検索するので、より迅速に水平展開を行うことができる。
さらに、寿命品について、現在のステータス値(現在値)と前回交換からの経過時間を考慮して耐用期間(残り寿命)を予測するので、保守員の単なる主観ではなく客観的な根拠に基づいて部品交換をユーザへ提案することができる。すなわち、交換の必要性により説得力をもたせることができる。
この結果、タイムリーに交換できなかったことに伴う故障発生を従来よりも少なくすることができるので、故障からの復旧に要する作業量を最小限に留めることができ、より短時間で異常(故障)状態から復旧することができる。
さらにまた、リモート保全装置30および関連部署47で水平展開故障予測結果を確認することができるので、機器の交換予定(納入)の連絡が通達されず、予定された日時に機器の交換をすることが出来ないといった事態を未然に回避することができる。この結果、故障からの復旧に要する作業量を最小限に留めることができ、より短時間で故障状態から復旧することができる。
また、従来は報告書の作成について原因究明解析結果や水平展開故障予測結果等の内容が正しく報告書に記載されているか、最新の状況が適切に伝達されているかといった事情に細心の注意をはらう必要があったが、リモート保全システム1およびリモート保全システム1を適用したリモート保全方法では、先に受信した情報および検索した結果を活用して報告書に記載すべき事項を割り当てることができるので、転記ミスに伴う誤記入の発生を防止でき、また、最新の状況が適切に伝達されることから余計な注意をはらう必要が無い。
この結果、報告書の内容の正確性を維持しつつ、作成の手間を大幅に削減することができるので、故障からの復旧に要する作業量を最小限に留めることができ、より短時間で故障状態から復旧することができる。
尚、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化しても良い。
例えば、複数の手段を同じ機能を有する一の手段で構成したり、情報を表示する役割を、表示手段33の代わりにリモート保全装置30と接続される外部の表示装置に持たせたり、記録手段32に格納される情報の一部または全部をリモート保全装置30と接続される外部の記録手段を備えた装置に格納したり等の変形したリモート保全システム1を構築することもできる。
また、上述した実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。すなわち、要求される機能(実行させたい処理手順)によっては、実施形態に示される全構成要素のうち、幾つかの構成要素を削除してリモート保全システム1を構築することもできる。