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JP2011140521A - タキサンにより惹起される神経毒性を予防又は軽減するための薬剤 - Google Patents

タキサンにより惹起される神経毒性を予防又は軽減するための薬剤 Download PDF

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Abstract

【課題】タキサン系抗腫瘍剤を用いる治療期間を短縮可能にする医薬組成物、さらに治療スケジュールに適している薬剤を提供する。
【解決手段】癌患者に、タキサン系抗腫瘍剤、化学的保護剤(2,2’−ジチオビスエタンスルホネート)及び白金類似体系抗腫瘍剤を、この順序で投与し、癌患者の治療期間を短縮する。
【選択図】なし

Description

本発明は、タキサンにより惹起又は誘導(induced)される末梢神経系の障害を予防及び軽減するために有用な薬剤(薬物(drug))、ならびにその用量の増加、及び/又はタキサン系抗腫瘍剤(taxane antineoplastic agent)を用いる治療期間もしくは治療スケジュールの短縮のための医薬組成物に関する。
癌の化学療法に用いられる多くの抗癌剤は、その薬剤の細胞傷害性に付随した、様々な望ましくない毒性を引き起こすことが知られている。このような望ましくない又は耐え難い薬剤付随又は薬剤関連の毒性が、このような抗腫瘍剤の癌患者への投与についての投与量(用量)及びスケジュールに対して決定的な制限を加えている多くの事例があることは、広く知られている。注目すべきことは、癌化学療法の多くの薬物に付随する薬物惹起性の毒性が、治療を受ける患者に対する潜在的な利益を相殺する可能性があることを考慮することであり、その理由は、化学療法により惹起される毒性の発生が、治療を遅延させ得るか、又は深刻な場合には結局は治療の中止に至り得るためである。これら2つの結果、患者の癌を野放しに進行させるか、あるいは患者の癌を治癒又は軽減することを目的とする化学療法治療の用量、期間又はスケジュールを制限することによって患者の疾患を治癒又は十分に軽減する機会を制限する可能性がある。
このような抗腫瘍剤により惹起される毒性が、抗腫瘍剤の種類(species)又は部類(class)によって異なり、そして専門家によって十分に認識されていることは周知である。さらに、このような抗癌剤によって生じる有害事象又は毒性は、様々な生化学的及び薬理学的機構に基づいており、これらの機構は、一見、患者の症状及び徴候が、示される性質において見かけ上同一又は類似であるとしても、互いにまったく異なるかもしれない。それゆえ、すべての化学療法剤に付随するこのような望ましくない毒性のすべてを予防もしくは軽減したり、又はこれらの副作用を非選択的に抑制することが、必ずしも合理的に予見できないこともまた、知られている。薬物に関連する副作用は、特定の抗腫瘍剤の投与に際して、その抗腫瘍剤に共通する毒性に基づいて、生体内(in vivo)で生じ、観察された患者の副作用の症状は、生体内の組織、細胞又は器官毎、及び投与される他の薬物との相互作用毎に、様々に異なる要因及び感受性により異なる。したがって、このような問題を解決するための安全かつ効果的な手段も異なるであろう。当然ながら、理想的な化学的保護剤(chemoprotective agent)を認識することが重要である。この保護剤は、化学療法の投与と共に患者にさらなる別の(separate)毒性又は追加的毒性をもたらさないものであり、本発明の新規な目的の一つである。
タキサン系抗腫瘍剤の代表例は、パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、ならびに現在臨床的及び前臨床的に開発中の他の薬剤などである。このようなタキサン系抗腫瘍剤は、米国、欧州、日本及び他の国々において、乳癌の患者をはじめとして、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、及び他の器官の部位の癌を有する患者を治療するために、頻繁にかつ広範に使用されている。しかし、タキサン類の投与は、深刻かつ命にかかわりかねない副作用がしばしば起こることから、事前に注意を要する。特に、タキサン類を臨床的に使用すると、四肢のしびれ又は無感覚(numbness in the extremities)、感覚異常(paresthesias)、虚弱(weakness)、麻痺(paralysis)、関節痛(arthralgia)、筋(肉)痛(myalgia)などの末梢神経系の障害又は疾患(末梢神経障害(peripheral neuropathy)を含む)を引き起こす毒性に起因して、結局は頻繁に遅延又は中止される。これらの場合には、タキサンの投薬による治療を休止し、タキサンによる化学療法の用量を減らさなければならず、又はより深刻な場合には、神経毒性のためにこの治療を中止する。治療を休止するか又はタキサンの用量を変更することは、その患者が長期間生存する機会又は癌の抑制の面で不利であり得る。なぜなら、治療の遅延、用量の低減又は化学療法の中止が、その患者の癌を野放しに進行させることは周知であるからである。それゆえ、化学療法により惹起される神経毒性に関連するこのような一般的なかつ臨床的に重要な問題の可能性を予防又は低減するための安全かつ効果的な解決策が希求されており、その理由は、タキサンによる化学療法を受ける患者のおよそ60%が、薬物により惹起される神経毒性を発症する可能性があると推定されるためである。
今日まで、抗腫瘍剤の毒性を予防はしないが軽減するために、種々の試みがなされている。注目すべきことは、タキサンにより惹起される神経毒性の予防において、患者にとって安全かつ有効であると実証された薬物療法は、現在のところ認可されていないことである。治療にあたる医師は、基本的に、3つの治療の選択肢を有している:1)毒性が許容可能なレベルになるまで治療を遅延する;2)タキサンによる化学療法の用量を低減する;及び3)タキサンを用いる治療を全く中止する。治療にあたる医師は、選択肢1及び2を一緒に任意に組み合わせて使用でき、そして選択肢3は、タキサンによる神経毒性がより深刻な場合に採用される。最近、タキサンにより惹起される神経毒性を予防又は軽減するための種々の新たな提案が検討されている。
白金類似体系抗腫瘍(薬)剤(platinum analogue antineoplastic drug)の代表的なものとしては、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)ならびに臨床的及び前臨床的に開発中の他の薬剤が挙げられる。タキサン類及び多くの他の抗腫瘍剤と同様に、白金類似体(誘導体)系抗腫瘍剤は、多くの毒性(腎毒性、骨髄抑制、神経毒性などを含む)を伴う。
本発明者らは、シスプラチンにより惹起される毒性、すなわち、腎毒性(米国特許第5,789,000号;同第5,866,169号;同第5,866,615号;同第5,866,617号;同第5,902,610号など、特表平10−509143(1998))、及びカルボプラチンにより惹起される毒性、すなわち、骨髄抑制(myelosuppression))、及びさらに嘔吐(米国特許第6,037,336号;特表2001−500872(2001))を緩和するために、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートなどのジチオエーテル類の使用を開示する特許出願を行った。本発明者らはまた、2,2’−ジチオビスエタンスルホネート及びジチオエーテル類が、種々の抗腫瘍剤により媒介された毒性を軽減するために適用可能であることを指摘してきた(米国特許第5,919,816号;同第6,025,488号;同第6,040,294号;同第6,040,304号;同第6,040,312号;同第6,043,249号;同第6,046,159号;同第6,046,234号;同第6,048,849号;同第6,057,361号;同第6,066,645号;及び同第6,066,668号;WO99/20264)。
米国特許第5,789,000号 米国特許第5,866,169号 米国特許第5,866,615号 米国特許第5,866,617号 米国特許第5,902,610号 特表平10−509143号 米国特許第6,037,336号 特表2001−500872号 米国特許第5,919,816号 米国特許第6,025,488号 米国特許第6,040,294号 米国特許第6,040,304号 米国特許第6,040,312号 米国特許第6,043,249号 米国特許第6,046,159号 米国特許第6,046,234号 米国特許第6,048,849号 米国特許第6,057,361号 米国特許第6,066,645号 米国特許第6,066,668号 WO99/20264
上記WO99/20264及び米国特許第5,919,816号では、タキサン系抗腫瘍剤に対するジチオエーテル類の用量比について、非常に広い範囲、すなわち、非経口投与経路についてタキサン系抗腫瘍剤とジチオエーテル類との重量比は、1:4〜1:4000であることが開示されている;しかし、ジチオエーテル類に関して、ヒトに使用するための最適な用量は、完全には決定されておらず、非常に変動することが予想される。その理由は、癌患者に対して単独で又は異なる治療計画(treatment regimen)と組み合わせて使用される化学療法剤の用量及びスケジュールが広範に変化するためである。
ジチオエーテル類を合成する方法は、米国特許第5,808,160号などに述べられている。
(発明の要約)
このような状況の下、本発明者らは、ジチオエーテル類のなかでも2,2’−ジチオビスエタンスルホネートについて鋭意検討した。その結果、本発明者らは、ジメスナ(dimesna)及び/又はBNP7787としても知られている2,2’−ジチオビスエタンスルホネート(ジナトリウム塩としてか又は遊離酸としてのいずれかである)、特に特定の用量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む医薬製剤が、(1)上述のタキサン系抗腫瘍剤に関連する神経毒性(特に、末梢神経系の感覚異常)の軽減とともに実質的に安全かつ効果的な予防を可能にすること;(2)神経毒性に伴う治療の遅延、タキサン投与量(用量)の低減、及び化学療法の中止を回避することにより、タキサン系抗腫瘍剤を用いてより有効な治療期間を可能にすること、ならびに(3)本発明が、抗腫瘍薬物投薬サイクルの平均回数について、以前に可能であったよりもはるかに多くの回数の安全かつ効果的な投与を可能にすることを見いだした。本発明者らの研究の結果として、本発明者らはまた、付加的な毒性なしに化学療法の用量を増加させることも同様に可能であること、及び結果的にこのような治療によって患者の利益が実質的に向上し得ることを確信している。本発明から得られる患者の利益についての証拠は、癌の完全な消滅を経ることを期待されていなかった2名の患者によって明白に示される(そのうちの1名は、推定の転移性非小細胞肺癌を脳に有し、かつ1年より長い間完全に緩解(remission)状態にあった患者であり、他方の患者は、3月未満のタキサンに基づく化学療法において胆管癌が完全に緩解を受けていた患者である)。さらに、タキサンに基づく化学療法と組み合わせてこの新規な化学的保護剤(chemoprotectant)を受けた多くの他の患者は、数月間持続して主要な抗腫瘍応答を経験していた。これらの患者のうち、化学療法による治療を9サイクルまで受けた患者を含め、タキサンにより惹起される深刻な神経毒性を経験した者は誰もいなかった。さらなる研究に基づいて、本発明者らは本発明を完成させた。
本発明は、タキサン系抗腫瘍剤により惹起(誘導)される神経毒性、より詳細には、タキサン系抗腫瘍剤により惹起される末梢神経系の毒性感覚異常障害又は疾患を予防又は軽減するのに有効な量のジチオエーテル薬剤(薬物)に関する。
本発明は、タキサン系抗腫瘍剤と併用投与(coadministration)して、タキサン系抗腫瘍剤を用いる治療期間を短縮すること、及び/又はタキサン系抗腫瘍剤の投薬のクール(course)の回数を従来よりも多く繰り返すことを可能にする、ジスルフィド系化学的保護剤が配合された医薬組成物及び薬剤(薬物)に関する。本発明はまた、タキサン治療の遅延、治療の中止を回避するため、及び患者への注入/投与時間を短縮するとともに化学療法の投与量(用量)を増加させるための、新規かつ有用な方法を教示する。
本発明は、さらに、ジスルフィド含有化学的保護剤(chemoprotective agent)に関し、この化学的保護剤は、末梢神経系に対してタキサン系薬剤により惹起される障害(疾患)及び毒性、より詳細には、タキサン系抗腫瘍剤により惹起される末梢神経系の感覚障害及び運動障害を予防する目的で、タキサン系化学療法剤との混合物として又はタキサン系化学療法剤と組み合わせて投与される。本発明は、ジスルフィド含有化学的保護(薬)剤(薬物)とタキサン系薬剤(薬物)とを組み合わせた併用処方(co-formulation)又は併用投与(co-administration)をも包含し、この併用処方又は併用投与により、医師は、タキサン単独でのみならず、白金類似体系抗腫瘍剤の併用投与治療との組み合わせに関して、タキサン治療の遅延、タキサン用量の低減、タキサンを用いる化学療法の中止の可能性を回避又は低減でき、前記抗腫瘍剤を用いるタキサン治療についての注入時間(infusional time)の短縮をも可能にし、及び/又は前記抗腫瘍剤の用量を増加させ、及び/又は前記抗腫瘍剤投薬のクール(シーケンス)をより多く繰り返すことが可能である。これらの利益はすべて、より大きな毒性を患者にもたらすことなく、より積極的な化学療法治療を与えることを可能にするとともに、本発明によって、タキサンにより惹起される神経毒性を予防又は軽減することに関連する。
本発明はまた、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが配合された医薬組成物及び薬剤(薬物)に関し、これらの組成物及び薬剤(薬物)は、医師が、タキサン系抗腫瘍剤と白金類似体系抗腫瘍剤とを組み合わせて安全かつ効果的に併用投与し、タキサン治療の遅延、タキサン用量の低減、タキサンを用いる化学療法の中止の可能性を回避もしくは低減することによって前記抗腫瘍剤を用いる治療の期間を短縮し、及び/又は前記抗腫瘍剤の用量を増加させ、及び/又は前記抗腫瘍剤投薬のクールをより多く繰り返すことを可能にする。前述のすべての利益は、本発明による、タキサン及び白金により惹起される神経毒性の予防又は軽減に関連する。
本発明はまた、タキサン系抗腫瘍剤が介在(媒介)する(mediated)末梢神経系の障害(疾患)、より詳細には、タキサン系抗腫瘍剤が介在する末梢神経系の感覚障害及び/又は運動障害を予防又は軽減するための薬剤(薬物)に関し、この薬剤(薬物)は、医薬製剤全体に対して特定の配合量で2,2’−ジチオビスエタンスルホネート又はジスルフィドを含む。
本発明はまた、タキサン系抗腫瘍剤との併用投与のための新規な医薬組成物及び薬剤(薬物)に関し、この組成物又は薬剤(薬物)は、特定量の化学的保護剤を含み、医師が、タキサンにより惹起される神経毒性に起因するタキサン治療の遅延、タキサン用量の低減、タキサンを用いる化学療法の中止の可能性を回避又は低減することを可能にし、かつ医師が、タキサン系抗腫瘍剤を用いる注入的投与治療(infusional administration treatment)を短縮し、及び/又は本発明の使用なしには達成し得なかった化学療法の用量の段階的拡大を可能にするとともに、医師及び患者により多くのクールの化学療法を安全に受けさせることを可能にする。本発明は、さらに、特定量のジスルフィド系化学的保護剤を含み、かつタキサン系抗腫瘍剤により惹起される末梢神経系の障害、より詳細には、タキサン系抗腫瘍剤により惹起される末梢神経系の感覚障害もしくは運動障害を予防又は軽減するための薬剤、及び/又は特定量のジスルフィド系化学的保護剤を含み、かつ医師がタキサン治療の遅延、タキサン用量の低減、タキサンを用いる化学療法の中止の可能性を回避又は低減し、前記抗腫瘍剤を用いる治療期間を短縮し、及び/又はより多くのクール及び/又はより高い用量で、タキサンのみならず白金類似体系抗腫瘍剤の併用投与治療と併せて前記抗腫瘍剤投薬治療を繰り返すことを可能にする薬剤に関する。
本発明はまた、特定量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、かつ前記抗腫瘍剤の用量の可能な段階的拡大とともに、タキサン系抗腫瘍剤と白金類似体系抗腫瘍剤とを組み合わせた併用投与、抗腫瘍剤を用いる治療期間の短縮、及び/又は抗腫瘍剤投薬のクールのより多くの繰り返しを可能にする医薬組成物及び薬剤(薬物)に関する。本発明はさらに、ジスルフィド系化学的保護剤が、タキサン系抗腫瘍剤の1重量部、モル比又は濃度に対して特定量又は特定濃度の溶液で配合されるか又は共に使用される医薬製剤に関する。
別の面において、本発明は、前記治療の分野におけるタキサン系抗腫瘍剤に伴う副作用(有害作用)を予防又は軽減するための好ましい任意の形態で、ジスルフィド系化学的保護剤を含み、タキサン系抗腫瘍治療(白金類似体系抗腫瘍剤と組み合わせた治療を含む)に適した医薬品、医薬組成物、薬剤又は薬物セット、治療手法又は方法、治療スケジュール、包装物(パック)などを提供する。
本発明の具体的な実施形態を、以下に列挙する:
1)タキサン系抗腫瘍剤により惹起又は媒介される末梢神経系の障害又は毒性障害を軽減又は予防するための薬剤(又は予防及び軽減するための薬剤)であって、有効量のジスルフィド系化学的保護剤(又は有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネート)を含む、薬剤;
2)タキサン系抗腫瘍剤により惹起される末梢神経系の感覚障害又は運動障害を予防、軽減するための薬剤であって、有効量のジスルフィド化学療法:
1.医師が、タキサンの注入的投与期間を短縮でき、それによって患者の利便性をより大きくし、かつ病院費をより安くできるジスルフィド系化学的保護剤の投与;
2.医師が、治療の遅延、治療の中止の原因となる、タキサンにより惹起される神経毒性の可能性を低減でき、かつ癌患者に、より高い用量及び/又はより短い間隔でタキサンを投与するタキサン治療を可能にするジスルフィド系化学的保護剤の投与;
3.先在の神経障害の存在に起因して禁忌でない限り、癌患者がタキサンを用いる化学療法を受けることを可能にするであろう任意の原因(糖尿病、アルコール中毒、他の薬物(例えば、エタンブトール、ジランチン、ビンクリスチン、テグレトール(tegretol)、エポチロン(epothilone)など)により惹起される神経障害、栄養性神経障害など)に由来する軽度乃至中程度の神経毒性を有するか又は有さない癌患者への、ジスルフィド系化学的保護剤の投与
を含む、薬剤;タキサン系抗腫瘍剤により惹起される末梢神経系の感覚異常障害を予防及び軽減するための薬剤であって、有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、薬剤;
3)タキサン系抗腫瘍治療においてタキサン系抗腫瘍剤を用いる注入期間及び/又は治療間隔を短縮(又はタキサン系抗腫瘍剤による治療期間を短縮)するための薬剤であって、有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、薬剤;
4)治療期間が、タキサン系抗腫瘍剤の特定の投薬期間及びタキサン系抗腫瘍剤の投薬休止期間からなる上記3)記載の薬剤;
5)治療期間が、少なくとも3回連続したクールを含み、各クールが、タキサン系抗腫瘍剤の特定の投薬期間及びタキサン系抗腫瘍剤の投薬休止期間からなる上記4)記載の薬剤;
6)タキサン系抗腫瘍治療においてタキサン系抗腫瘍剤の投薬休止期間(又はタキサン系抗腫瘍剤の投与を一時的に休止するために、次のタキサン系抗腫瘍剤投薬までの期間)を短縮するための薬剤であって、有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、薬剤;
7)タキサン系抗腫瘍剤の投薬間隔(又は投薬休止期間)が1日〜2.5週間又は1日〜4週間である上記4)〜6)のいずれかに記載の薬剤;
8)タキサン系抗腫瘍剤の投薬間隔(又は投薬休止期間)が1日〜2週間である上記4)〜6)のいずれかに記載の薬剤;
9)タキサン系抗腫瘍剤の投薬間隔(又は投薬休止期間)が1日〜1.5週間である上記4)〜6)のいずれかに記載の薬剤;
10)タキサン系抗腫瘍剤の投薬間隔(又は投薬休止期間)が1日〜1.0週間である上記4)〜6)のいずれかに記載の薬剤;
11)タキサン系抗腫瘍治療においてタキサン系抗腫瘍剤を用いる治療(又はタキサン系抗腫瘍剤による治療)のクールの回数(又は各クールがタキサン系抗腫瘍剤の投薬期間1回及び前記タキサン系抗腫瘍剤の投薬休止期間1回で構成されるクールの回数)を増加するための薬剤であって、有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、薬剤;
12)タキサン治療が2又はそれ以上の治療クールで構成される上記11)記載の薬剤;治療が4又はそれ以上のクールで構成される上記11)記載の薬剤;
13)タキサン治療が5又はそれ以上のクールで構成される上記11)記載の薬剤;
14)タキサン治療が6又はそれ以上のクールで構成される上記11)記載の薬剤;
15)タキサン治療が7又はそれ以上のクールで構成される上記11)記載の薬剤;
16)タキサン治療が8又はそれ以上のクールで構成される上記11)記載の薬剤;
17)タキサン治療が9又はそれ以上のクールで構成される上記11)記載の薬剤;
18)クールが連続している上記11)〜17)のいずれかに記載の薬剤;
19)タキサン系抗腫瘍剤に関連する副作用(有害作用)を軽減するための薬剤であって、上記1)〜18)のいずれかに記載の要素(element)から選択された構成(member)を複数又はすべて含む、薬剤;
20)2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが、医薬製剤全体に対して5〜70重量%で配合される上記1)〜19)のいずれかに記載の薬剤;
21)2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが、10〜50重量%で配合される上記1)〜19)のいずれかに記載の薬剤;
22)2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの配合量が、用量あたり4.1g/m〜80.0g/m(体表面積)(又は1日あたり4.1〜41.0g/m(体表面積))を投与するための量である上記1)〜21)のいずれかに記載の薬剤;
23)静脈内又は経口投与経路用の薬剤である、上記1)〜22)のいずれかに記載の薬剤;
24)静脈内又は経口投与経路用の薬剤が、溶液又は懸濁液の液体形態、凍結乾燥物形態及び固体形態のいずれか(又は液体、凍結乾燥物及び固体のいずれかの形態)である上記23)記載の薬剤;
25)タキサン系抗腫瘍剤がパクリタキセルである上記1)〜24)のいずれかに記載の薬剤;
26)タキサン系抗腫瘍剤がドセタキセルである上記1)〜24)のいずれかに記載の薬剤;
27)白金類似体系抗腫瘍剤治療と組み合わせて用いるタキサン系抗腫瘍剤治療用の薬剤である上記1)〜26)のいずれかに記載の薬剤;
28)白金類似体系抗腫瘍剤がシスプラチンである上記27)記載の薬剤;
29)白金類似体系抗腫瘍剤がカルボプラチンである上記27)記載の薬剤;
30)タキサン系抗腫瘍剤との併用投与のための医薬組成物であって、タキサン系抗腫瘍剤により惹起される末梢神経系の障害を軽減するのに有効な量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、医薬組成物;
31)タキサン系抗腫瘍剤との併用投与のための医薬組成物であって、タキサン系抗腫瘍剤により惹起される末梢神経系の感覚異常障害を軽減するのに有効な量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、医薬組成物;
32)タキサン系抗腫瘍剤との併用投与のための医薬組成物であって、タキサン系抗腫瘍治療においてタキサン系抗腫瘍剤を用いる治療期間を短縮するのに有効な量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、医薬組成物;
33)タキサン系抗腫瘍剤との併用投与のための医薬組成物であって、任意のタキサン含有抗腫瘍治療においてタキサン系抗腫瘍剤の投薬間隔(又は投薬休止期間)を短縮するのに有効な量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、医薬組成物;
34)タキサン系抗腫瘍剤との併用投与のための医薬組成物であって、タキサン系抗腫瘍治療においてタキサン系抗腫瘍剤を用いる治療のクールの回数を増加するのに有効な量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、医薬組成物;
35)タキサン系抗腫瘍剤との併用投与のための医薬組成物であって、
1.タキサン系抗腫瘍剤に関連する末梢神経系の障害を軽減する活性(作用)、
2.タキサン系抗腫瘍剤に関連する末梢神経系の感覚異常障害を軽減する活性(作用)、
3.タキサン系抗腫瘍剤治療の期間を短縮する活性(作用)、
4.タキサン系抗腫瘍剤治療の間におけるタキサン系抗腫瘍剤の投薬間隔の短縮(又は投薬休止期間を短縮する活性)、及び
5.タキサン系抗腫瘍剤治療の間におけるタキサン系抗腫瘍剤投薬のクールの回数を増加する活性(作用)、
からなる群より選択された複数の又はすべての活性(作用)を発揮するのに有効な量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、医薬組成物;
36)2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが、医薬製剤全体に対して5〜70より多い重量%で配合されている上記30)〜35)のいずれかに記載の医薬組成物;2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが、医薬製剤全体に対して5〜70重量%で配合されている上記30)〜35)のいずれかに記載の医薬組成物;
37)2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが、0.10〜50重量%で配合されている上記30)〜35)のいずれかに記載の医薬組成物;2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが、10〜50重量%で配合されている上記30)〜35)のいずれかに記載の医薬組成物;
38)2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの配合量が、用量あたり4.1〜80.0g/m(体表面積)を投与するための量である上記30)〜35)のいずれかに記載の医薬組成物;
39)静脈内又は経口投与経路用の組成物である、上記30)〜38)のいずれかに記載の医薬組成物;
40)静脈内又は経口投与経路用の薬剤が、液体、凍結乾燥物及び固体のいずれかの形態である上記39)記載の医薬組成物;
41)タキサン系抗腫瘍剤がパクリタキセルである上記30)〜40)のいずれかに記載の医薬組成物;
42)タキサン系抗腫瘍剤がドセタキセルである上記30)〜40)のいずれかに記載の医薬組成物;
43)白金類似体系抗腫瘍剤治療と組み合わせて用いるタキサン系抗腫瘍剤治療用の組成物である上記30)〜42)のいずれかに記載の医薬組成物;
44)白金類似体系抗腫瘍剤がシスプラチンである上記43)記載の医薬組成物;
45)白金類似体系抗腫瘍剤がカルボプラチンである上記43)記載の医薬組成物;
46)有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、タキサン系抗腫瘍剤との併用投与のための薬剤であって、下記:
(1)1クールが、以下の投与スケジュール:
タキサン系抗腫瘍剤が、1日〜5週間の投与間隔で、1日につき1回投与され、かつ2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが、タキサン系抗腫瘍剤の投与日と同じ日に投与される、スケジュールを含むように設定されること、及び
(2)前記投薬が、少なくとも4クール、好ましくは7クール又はそれ以上繰り返されること
を許容するための包装物(pack)又は処方物(formulation)の形態である、薬剤;
47)抗腫瘍剤と2,2’−ジチオビスエタンスルホネートとの重量比が1:10〜1:2500である上記46)記載の薬剤;
48)2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの投与量が、4.1〜80.0g/m(体表面積)(又は1日あたり4.1〜41.0g/m(体表面積))である上記46)記載の薬剤;
49)タキサン系抗腫瘍剤の単回(単一回)投与量(single dose)が、パクリタキセルについて1日あたり60〜300mg/m(体表面積)又はドセタキセルについて1日あたり30〜240mg/m(体表面積)である上記46)〜48)のいずれかに記載の薬剤;
50)クールが、少なくとも8回又はそれ以上繰り返される上記46)〜49)のいずれかに記載の薬剤;
51)抗腫瘍剤が、(a)1日〜4週間、(b)1日〜3週間、又は(c)1日〜2週間の間隔で投与される上記46)〜50)のいずれかに記載の薬剤;
52)抗腫瘍剤が、1日〜1.5週間の間隔で投与される上記46)〜50)のいずれかに記載の薬剤;
53)(1)タキサン系抗腫瘍剤に関連する末梢神経系の障害を軽減する活性、
(2)タキサン系抗腫瘍剤に関連する末梢神経系の感覚異常障害を軽減する活性、
(3)タキサン系抗腫瘍剤治療の期間を短縮する活性、
(4)タキサン系抗腫瘍剤治療の間におけるタキサン系抗腫瘍剤の投薬休止期間を短縮する活性、及び
(5)タキサン系抗腫瘍剤治療の間におけるタキサン系抗腫瘍剤投薬のクールの回数を増加する活性
からなる群より選択される少なくとも1つの、複数の、又はすべての活性を発揮する上記46)〜52)のいずれかに記載の薬剤;
54)有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む、タキサン系抗腫瘍剤との併用投与のための薬剤であって、下記:
(1)1クールが、以下の投与スケジュール:
タキサン系抗腫瘍剤が、1日〜6週間(又は0.5〜6週間)の投与間隔で1日につき1回投与され、さらに白金類似体系抗腫瘍剤が前記タキサン系抗腫瘍剤の投与日と同じ日に投与され、かつ2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが、前記抗腫瘍剤の投与日と同じ日に投与される、スケジュールを含むように設定されること、及び
(2)前記投薬が、少なくとも4クール、好ましくは7クール又はそれ以上繰り返されること
を許容するための包装物又は処方物の形態である、薬剤;
55)タキサン系抗腫瘍剤と2,2’−ジチオビスエタンスルホネートとの重量比が1:10〜1:2500である上記54)記載の薬剤;
56)2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの投与量が、4.1〜80.0g/m(体表面積)である上記54)記載の薬剤;
57)タキサン系抗腫瘍剤の単回投与量が、パクリタキセルについて1日あたり60〜300mg/m(体表面積)又はドセタキセルについて1日あたり30〜240mg/m(体表面積)である上記54)〜56)のいずれかに記載の薬剤;
58)白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン又はカルボプラチンである上記54)〜56)のいずれかに記載の薬剤;
59)クールが、少なくとも8回又はそれ以上繰り返される上記54)〜58)のいずれかに記載の薬剤;
60)抗腫瘍剤が、(a)1日〜5週間、(b)1日〜4週間、又は(c)1日〜3週間の間隔で投与される上記54)〜59)のいずれかに記載の薬剤;
61)抗腫瘍剤が、2.5〜5週間の間隔で投与される上記54)〜59)のいずれかに記載の薬剤;
62)(1)タキサン系抗腫瘍剤に関連する末梢神経系の障害を予防又は軽減する活性、
(2)タキサン系抗腫瘍剤に関連する末梢神経系の感覚異常障害を予防又は軽減する活性、
(3)タキサン系抗腫瘍剤治療の期間を短縮する活性、
(4)タキサン系抗腫瘍剤治療の間におけるタキサン系抗腫瘍剤の投薬休止期間を短縮する活性、及び
(5)タキサン系抗腫瘍剤治療の間におけるタキサン系抗腫瘍剤投薬のクールの回数を増加する活性(又は増加活性)
からなる群より選択される少なくとも1つの、複数の、又はすべての活性を発揮する上記54)〜61)のいずれかに記載の薬剤;
63)タキサン系抗腫瘍剤に関連する副作用を軽減するための薬剤として作用する上記46)〜62)のいずれかに記載の薬剤;
64)2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが、タキサン系抗腫瘍剤の投薬と組み合わせた投薬セットとして併用投与可能である上記30)〜45)のいずれかに記載の医薬組成物;
65)白金類似体系抗腫瘍剤が、投薬セットとして併用投与可能である64)記載の医薬組成物。
上記のタキサン系抗腫瘍剤としては、パクリタキセル、ドセタキセルならびにそれらの誘導体及び類似体(アナログ)が挙げられる。これらのうち、パクリタキセル及びドセタキセルは、すでに医薬品として認可され、そして市場に出されており、他のタキサン類は、臨床及び前臨床で開発中にある。
上述の白金類似体系抗腫瘍剤としては、シスプラチン、カルボプラチン及び他の白金誘導体が挙げられる。これらのうち、シスプラチン及びカルボプラチンは、すでに医薬品として認可され、そして市場に出されており、他の白金系薬剤は、臨床的及び前臨床的開発のさまざまな段階にある。
上記2,2’−ジチオビスエタンスルホネートは既知の化合物であり(J.Org.Chem.,26,1330(1961);J.Org.Chem.,59,8239(1994)など)、これらの公知文献に記載の方法、又はそれらに準じた方法、あるいは上記に参照される米国特許に記載の方法によって製造することができる。他の方法として、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートは、特表2001−501219(2001)に開示される方法によって製造することもできる。
本発明は、タキサン系抗癌剤に関連する末梢神経系の障害又は疾患(末梢神経障害(peripheral neuropathy)を含む)を予防又は軽減するための医薬品を提供し、この医薬品は、有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む。特に、本発明は、タキサン系薬剤治療に関連して、タキサン系抗癌剤に関連する末梢神経系の感覚異常障害(parasthetic disorder)(末梢神経障害性の感覚異常を含む)を予防又は軽減するための医薬品についての実施形態を提供し、この医薬品は、有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む。
一実施形態において、本発明は、タキサン系抗癌剤に関連する末梢神経系の障害(疾患)を軽減するための薬剤であって、特定の重量%の投与量で2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む薬剤(薬物)を提供する。2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの配合量(%)は、医薬製剤全体に対して、好ましくは5%〜70重量%であり、より好ましくは10%〜50重量%である。
タキサン系抗腫瘍剤を投与する場合、末梢神経系の障害(疾患)(例えば、末梢神経障害)は、最も高頻度で発現する副作用(有害作用)であるとされており、その発現率(onset rate)は、タキサンによる化学療法を受ける患者の60%を超える。タキサン系抗腫瘍剤に関連する末梢神経系の障害(例えば、末梢神経障害)の主な症状としては、四肢又は手足に関して、感覚異常(しびれ(感)又は無感覚(numbness)、刺痛又はうずき(tingling)、焼けつくような痛み(burning)、遠位感覚消失(distal anesthesia)などの異常な感覚)などを挙げることができる。タキサン系抗癌剤により媒介される障害を軽減するための薬物は、このような末梢神経系の障害(四肢又は手足のしびれ(感)又は無感覚、痛みなどを含む)を予防又は軽減することができる。
上記タキサン系抗腫瘍剤により媒介される末梢神経系の障害に対する2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの軽減及び抑制(又は阻害)効果は、後述する実施例から裏付けられる。
上記薬剤又は医薬組成物の投与形態(剤形)は、本発明の目的を達成するのに適している限り特に限定されない。好ましくは、静脈内経路又は経口経路による投与形態である。
それゆえ、タキサン系抗腫瘍剤は、通常、静脈内に投与されてもよいが、本発明の薬剤及び医薬組成物は、任意の投与形態(すなわち、投与経路がタキサン系抗腫瘍剤と同一である静脈内投与処方、又は投与経路がタキサンの投与経路とは異なる経口投与処方)をとってもよい。
上記静脈内又は経口投与経路用の薬剤又は医薬組成物は、後述のように、液体、凍結乾燥物及び固体のいずれの形態であってもよい。通常、上記のような各投与形態は、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートと薬学的に許容可能な添加剤(以下、「製剤成分」ともいう)から選択された1又はそれ以上の添加剤とを混和することによって製造することができる。
例えば、静脈内用処方は、液体又は凍結乾燥処方に適した製剤成分から選択された1又はそれ以上の成分を含む。添加剤は、水性注射剤また非水性注射剤に適した製剤成分を含む。通常、添加剤は、溶解剤、溶解補助剤(溶解アジュバント)、懸濁剤、緩衝剤(pH調整剤)、安定剤及び保存剤などの慣用の製剤成分から選択される。さらに、添加剤は、投与の際に溶液又は懸濁液の状態で使用する、注射用粉末製剤に適した慣用の成分から選択されてもよい。
経口用処方は、液体、凍結乾燥及び固体の処方に適した製剤成分から選択された1又はそれ以上の成分を含む。添加剤は、経口用薬剤に適しており、かつ本発明の意図された目的に適している限りいかなる製剤成分であってもよい。通常、医薬添加剤は、ベヒクル(賦形剤)、結合剤、崩壊剤、滑剤(滑沢剤)及びコーティング剤などの慣用の製剤成分から選択される。本発明の経口用処方としては、固体及び液体形態が挙げられる。固体の経口用製剤としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤及び散剤(粉剤)などが挙げられる。液体の経口用製剤としては、シロップ剤などが挙げられる。
次に、本発明は、タキサン系抗腫瘍剤と併用投与するための医薬組成物を提供し、この組成物は、有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、タキサン系抗腫瘍剤を用いる治療期間を短縮する。より詳細な実施形態において、本発明は、特定の重量%で2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、タキサン系抗腫瘍剤と併用投与して短縮するための医薬組成物を提供する。
本発明の薬剤又は医薬組成物における2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの配合量の割合は、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。
これまで安全性の面から、タキサン治療期間を短縮化することが臨床上困難とされてきたが、本発明の薬剤又は医薬組成物をタキサン系抗腫瘍剤と組み合わせて併用投与すると、タキサン系抗腫瘍剤の治療期間の短縮を達成することができる。
すなわち、タキサン系抗腫瘍剤を癌治療に適用する場合、タキサン系抗腫瘍剤は、通常、1日1回投与される。パクリタキセルでは、1日の用量(投与量)は、60〜300mg/m(体表面積)程度であり、ドセタキセルでは、1日の用量(投与量)は、30〜240mg/m(体表面積)程度である。
タキサン系抗腫瘍剤は、現在、上記の用量で1日1回投与した後、少なくとも3〜4週間タキサン系抗腫瘍剤の投薬を休止し、この投薬スケジュールを1クール(course)として、このクールを癌治療のために繰り返している(例えば、パクリタキセル注射液(TAXOL Injection、日本)について認可された処方において、以下の用量及び投与指示書が存在する)。
パクリタキセルは、1日1回、210mg/m(体表面積)で3時間かけて静脈内に注入し、その後少なくとも3週間パクリタキセル投薬を休止することができ、これを1クールとして、このクールを繰り返すべきである。
これらを考慮すると、前記タキサン系抗腫瘍剤を用いる治療期間は、長期間にわたるものと等しくなるであろう。タキサン系抗腫瘍剤治療における臨床的効果を得るために、タキサン系抗腫瘍剤投薬は、連続して少なくとも2クール行われることが必要であるとされている。しかし、頻繁に惹起される末梢神経系の障害(疾患)(末梢神経障害を含む)は、しばしばタキサン系抗腫瘍剤投薬の休止又は用量(投与量)の低減を引き起こすため、期待される臨床的効果を容易に得られない場合がある。
2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが上記の特定の重量部で含まれている本発明の薬剤及び医薬組成物を、タキサン系抗腫瘍剤と組み合わせて併用投与すると、この抗腫瘍剤により惹起される末梢神経系の障害(末梢神経障害を含む)、特にこの抗腫瘍剤により惹起される末梢神経系の感覚異常障害を軽減でき、患者の全身を良好な状態に維持することができる。したがって、タキサン系抗腫瘍剤は、薬剤の投薬について上記従来の3〜4週間間隔よりも短い、薬剤投薬の休止についてたった1日〜2週間程度の間隔の後に、又はさらにたった1日〜2週間程度の間隔おきに、次のクールとして投与することができ、それによってタキサンによる治療期間を短縮できる。
このような場合において、タキサン系抗腫瘍剤の投与量は、その抗腫瘍効果が発揮できるようなレベルにあればよい。換言すれば、パクリタキセル及びドセタキセルの上記単回投与量レベルより少なくてもよい。より詳細には、パクリタキセルは、投与あたり60〜300mg/m(体表面積)程度の単回投与量で投与されてもよく、ドセタキセルは、投与あたり30〜240mg/m(体表面積)程度の単回投与量で投与されてもよい。
抗癌剤投薬の間隔は、1日〜1.5週間程度、又は1日〜1週間程度に短縮される。結果的に、抗癌剤の投薬休止期間(休薬期間)を短縮することが可能である。
抗癌剤の投薬休止のために上記3〜4週間の間隔(インターバル)を採用する場合であっても、本発明の薬剤及び医薬組成物は、なお、臨床的効果の発現に最低限必要とされる3クールを超える長期間にわたりタキサン系抗腫瘍剤の継続的な投薬を可能にする。この長期間にわたるタキサン系抗腫瘍剤治療について、クールは、少なくとも4回又はそれ以上、又は少なくとも5回又はそれ以上、別の場合では、少なくとも6回又はそれ以上、さらに7〜9回又はそれ以上繰り返されてもよい。
これらのことは、本発明者らによって実施された以下の臨床試験の結果からも裏付けられる。すなわち、実施例において後述するように、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが、2種類の抗腫瘍剤(すなわち、パクリタキセル及びシスプラチン)が併用投与される患者に対して、例えば、8.2g/mの用量で投与される場合、驚くべきことに、現在、9クールまでの反復が可能となっている。このことは、パクリタキセルとシスプラチンとの併用投与は神経毒性を増強する傾向があるとの報告(J.Clin.Oncol.,15(5),1965,1997)がなされている現在の状況において、予想をはるかに超えるものである。
このように、本発明は、白金類似体系抗腫瘍治療と組み合わせたタキサン系抗腫瘍治療において、タキサン系抗癌剤により惹起される末梢神経系の障害を予防又は軽減するための薬剤をも提供し、この薬剤は、有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む。より詳細な実施形態において、本発明は、白金類似体系抗腫瘍治療と組み合わせたタキサン系抗腫瘍治療において、タキサン系抗癌剤により惹起される末梢神経系の感覚異常障害を予防又は軽減するための薬剤を提供し、この薬剤は、有効量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む。タキサン系抗癌剤と白金類似体系抗腫瘍剤とを組み合わせた併用投与療法において、本発明の薬剤及び医薬組成物は、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートが配合されているため、上記抗腫瘍剤を用いる治療期間を短縮させるか、又は上記抗腫瘍剤の投薬の繰り返し(medication repeats)を増加させる薬剤としても作用する。したがって、本発明は、上記の機能を有する2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを使用する治療方法、それに適した薬剤セット、さらに薬剤の用量及び投薬休止に関するスケジュールのみならず長期間のタキサン系抗腫瘍治療にも適した投薬セット及び方法をも提供する。
このように、前記2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの薬剤及び医薬組成物は、従来よりも短い間隔でのタキサン系抗腫瘍剤の投与を可能にすることから、癌治療に極めて有用である。さらに、従来の投与間隔が採用される場合であっても、本発明の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの薬剤及び医薬組成物は、より長い期間にわたり、連続様式でタキサン系抗腫瘍剤を投与することを可能にする。その結果、タキサン系抗腫瘍剤を用いる治療の期間を短縮できる。
末梢神経系の障害(末梢神経障害を含む)を軽減するための薬剤及び特定量の2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む医薬組成物は、タキサン系抗腫瘍剤の投与と実質的に同時に併用投与することができ、又はそれらを患者の血液に共存させ得る限り、これらの投与時間をずらすことができる。投与時間をずらす場合、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートは、タキサン系抗腫瘍剤の投与前又は投与後のいずれで投与されてもよい。しかし、両者の投与時間のずれ(差)は、2時間程度以内であることが好ましく、1時間以内であることがさらに好ましい。
治療に有用な1もしくはそれ以上の活性剤(活性成分)、医薬製剤、組成物、薬剤又は薬物(又は成分)を含む本発明の薬学的に許容可能な包装物(パック)又は薬剤セット(及び/又は容器もしくはパッケージ)ならびにキット(投与又は治療キット)もまた有用である。このような包装物(パック)及びキットは、上記薬剤又は組成物用の1又はそれ以上の有効成分(ingredient)又は成分(component)で充填した1又はそれ以上の容器を備えている。このような包装物及びキットの例としては、適切に癌治療に向けられた薬学的に許容可能な包装物又はキットが挙げられる。代表的には、このような単一又は複数の容器と関連して、医薬又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により指示された形態の注意書(添付文書)であって、ヒトへの投与に関連した製品の製造、使用又は販売に関する該政府機関の承認を示している注意書(添付文書)が添付されたものであってもよい。これらには、包装された製品も包含され、また、適切な投与工程(ステップ)を採用して構成された構造物を包含してもよいし、所望の癌治療などを含む、より好ましい医学上の治療を達成できるようにして構成された構造物を包含してもよい。
本発明を構成する薬剤の安全性及び有効性について、ヒトの臨床試験が米国、欧州及び日本において実施されている。これらの試験は継続中である。以下に、米国及び日本における初期段階(第I相(フェーズI))試験から得られた結果の要約を示す。
米国における第I相試験において、第I段階におけるヒト患者は、3週間毎に以下の治療計画(treatment regimen)を受けた:3時間かけて静脈内投与されたパクリタキセルの単回投与(175mg/m)、シスプラチン投与前(pre-cisplatin)における2時間の生理食塩水による水分補給(hydration)(1000mL 0.9%NaCl)、その後すみやかに15分又は30分かけて静脈内投与された2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの単回投与(コホートの割り当て(cohort assignment)に依存して、4.1、8.2、12.3、18.4、27.6及び41.0g/m)、1時間かけて静脈内投与されたシスプラチンの単回投与(75mg/m)、そしてその後、シスプラチン投与後(post-cisplatin)における1時間の生理食塩水による水分補給(500cc 0.9%NaCl)。
第II段階における患者は、3週間毎に以下の治療計画によって、シスプラチン投与前及び投与後に、順次減少する水分補給(レベルA〜D:1000/500、500/250、250/250、0/0mL 0.9%NaCl)を受けた:3時間かけて静脈内投与されたパクリタキセルの単回投与(175mg/m)、シスプラチン投与前における2時間〜30分の生理食塩水による水分補給、その後すみやかに15分かけて静脈内投与された2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの単回投与(18.4g/m)、1時間かけて静脈内投与されたシスプラチンの単回投与(75mg/m)、そしてその後、シスプラチン投与後における1時間〜30分間の生理食塩水による水分補給。
進行した固形癌を患う合計36名の患者(第I段階の22名及び第II段階の14名)が、米国の2つの臨床試験機関(clinical site)で、この研究において登録及び治療されている。化学療法を用いるBNP7787の合計138回の治療クールが36名の患者に与えられ、患者1名あたり平均3.8回の治療サイクルを受けた。合計13名の患者(36.1%)が少なくとも5回の治療サイクルを完了し、そして5名の患者(13.9%)が、少なくとも7回の治療サイクルを完了した。
日本における第I相試験において、患者は、3週間毎に以下の治療計画を受けた:3時間かけて静脈内投与されたパクリタキセルの単回投与(175mg/m)、シスプラチン投与前における1時間の生理食塩水による水分補給、その後すみやかに30分かけて静脈内投与された2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの単回投与(コホートの割り当てに依存して、4.1、8.2、12.3、18.4、27.6及び41.0g/m)、1時間かけて静脈内投与されたシスプラチンの単回投与(75mg/m)、そしてその後、シスプラチン投与後における1.5時間の生理食塩水による水分補給。
進行した非小細胞肺癌(NSCLC)を患う合計19名の患者が、日本の4つの臨床試験機関で、この研究において登録及び治療されている。各患者は、この試験の間、合計3回の治療サイクルを受ける予定であった。化学療法を用いる2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの合計43回の治療クールが19名の患者に与えられ、患者1名あたり平均2.3回の治療サイクルを受けた。合計11名の患者(57.9%)が3回の治療サイクルすべてを完了し、そして8名の患者(42.1%)が、3回の治療サイクルを完了する前に治療を中止した。
過去の対照データと比較して、第I相試験において神経毒性が報告された患者の数及び割合を次ページに要約する。重症度(severity)の評価は、NCI−CTC基準にしたがって決定した。
Figure 2011140521
全体で、しびれ(感)、感覚異常又は刺痛などの末梢神経障害は、第I相試験の患者の54.5%(30名、全重症度)において報告された。経験された神経毒性事象の大部分は、軽度の重症度であり、患者の38.2%(21名)において評価1の神経毒性が報告された。数名の患者が中程度の重症度の神経毒性事象を経験し、患者の16.4%(9名)において評価2の末梢神経毒性が報告された。化学療法を9サイクルまで受けた患者を含め、評価3又は4の神経毒性を経験した患者はいなかった。とりわけ、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートをパクリタキセル及びシスプラチン化学療法と同時に投与した場合、末梢神経障害は、用量を制限する毒性ではなかった。
過去の対照データ(historical control data)に基づいて、神経毒性について予想された全発生率は、71.0%であり、中程度乃至重度(≧評価2)の神経毒性の予想発生率は42.1%である。第I相試験の結果は、神経毒性の全発生率及び中程度乃至重度(≧評価2)の神経毒性の発生率の両方において著しい減少を示した。表により示されるように、神経毒性の全発生率は、過去の対照データからの71.0%と比較して、第I相試験において54.5%であり、中程度乃至重度(≧評価2)の神経毒性の発生率は、過去の対照データからの42.1%と比較して、第I相試験において16.4%であった。これらの結果は、シスプラチン及びパクリタキセル化学療法と同時に2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを投与すると、神経毒性の発生率が減少することを示す。
以下に、本発明の実施例を具体的に示すが、これらの実施例は、説明だけを目的としており、本発明の範囲を減縮するものではない。
実施例1
パクリタキセルにより惹起される温覚異常に対する2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの抑制効果
<方法>
ウィスター(Wistar)系雌性ラット(1群あたり8匹)に対し、パクリタキセルを、6mg/kgの用量で1日1回静脈内投与した(初回投与日を投与0日目とした)。処置を、隔日で5回繰り返した。
パクリタキセル治療に応答して生じる温覚異常に対する2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの効果を、仮性(偽)疼痛反応(pseudo pain reactions)に対する潜時(latent period)を指標として使用して検討した。この仮性疼痛反応に関する潜時は、45℃の湯水浴中にラットの後肢を浸け始めた開始点からそのラットが回避又は忌避反射を示す時点までの秒数として規定される。各仮性疼痛反応に関する潜時を、パクリタキセルの初回投与の前日(−1日目、処置前)、及びパクリタキセルの最終投与の翌日から3日間(9〜11日目、処置後)毎日の計4回測定した。
2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを、注射用水で200mg/mlの濃度に用時溶解し、調製された2,2’−ジチオビスエタンスルホネート溶液を、パクリタキセル投与の直前に、500mg/kg又は1,000mg/kgの用量で静脈内投与した。
<結果>
表1から明らかなように、パクリタキセルを単独で投与された群について、パクリタキセルの投与開始前(処置前)の潜時は、9.4±1.0秒であったのに対して、9日目、10日目及び11日目(処置後)の潜時は、それぞれ18.9±1.4秒、19.9±2.2秒及び19.4±2.4秒であった。同時に測定した対照群の潜時と比較して、このようなパクリタキセル投与に関する潜時は、有意に延長されていることが認められる(p<0.01;Student’s t検定又はMann-Whitney U検定)。
これに対し、あらかじめ500mg/kg又は1000mg/kgの2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを投与された群の潜時は、全体的に抑制傾向が認められた。9日目に2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを1000mg/kg投与された群において、潜時の延長に対する有意な抑制効果が認められた(p<0.05;Dunnet検定)。
これらの結果より、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートは、パクリタキセルにより惹起される温覚異常を効果的に軽減することが明らかである。
Figure 2011140521
実施例2
未知由来の腺癌を患う34歳の女性患者は、下垂体性の塊ならびに鎖骨上及び縦隔にリンパ節を示した。この患者は、3週間毎に以下の治療計画を受けた:3時間かけてIV(静脈内)投与されたパクリタキセルの単回投与(175mg/m)、シスプラチン投与前における1時間の生理食塩水による水分補給(500mL 0.9%NaCl)、15分かけてIV投与されたBNP7787の単回投与(18.4g/m)、その後すみやかに1時間かけてIV投与されたシスプラチンの単回投与(75mg/m)、そしてその後、シスプラチン投与後における30分間の生理食塩水による水分補給(250mL 0.9%NaCl)。この患者は、合計6サイクルの研究治療を受け、そして4サイクル目〜6サイクル目の間に末梢神経障害(NCI−CTC評価2)を経験した。この患者は、2サイクル目の後に完全緩解を経験し、これは4サイクル目及び6サイクル目の後に確認された。この患者は、完全緩解のために研究治療を中止し、そして追跡調査が続けられた。
実施例3
胃由来の腺癌を患う43歳の女性患者は、3週間毎に以下の治療計画を受けた:3時間にわたりIV投与されたパクリタキセルの単回投与(175mg/m)、1時間のシスプラチン投与前における生理食塩水による水分補給(500mL 0.9%NaCl)、15分にわたりIV投与されたBNP7787の単回投与(18.4g/m)、その後すみやかに1時間にわたりIV投与されたシスプラチンの単回投与(75mg/m)、そしてその後、30分間のシスプラチン投与後における生理食塩水による水分補給(250mL 0.9%NaCl)。この患者は、末梢神経障害をもたらすことなく合計5サイクルの研究治療を受けた。この患者は、2サイクル目〜4サイクル目に安定な疾患を経験し、そしてその後、この研究は、5サイクル目の後の進行性の疾患が原因で中止された。
実施例4
未知由来の腺癌を患う46歳の女性患者は、腹膜後及び肺に塊を示した。この患者は、3週間毎に以下の治療計画を受けた:3時間かけてIV投与されたパクリタキセルの単回投与(175mg/m)、シスプラチン投与前における30分間の生理食塩水による水分補給(250mL 0.9%NaCl)、15分かけてIV投与されたBNP7787の単回投与(18.4g/m)、その後すみやかに1時間かけてIV投与されたシスプラチンの単回投与(75mg/m)、そしてその後、シスプラチン投与後における30分間の生理食塩水による水分補給(250mL 0.9%NaCl)。この患者は、合計6サイクルの研究治療を受け、そして1サイクル目の2日目から評価1のしびれ(感)及び刺痛(末梢神経障害)を経験し、これらの障害は5日目になくなった。この患者は、4サイクル目の間に再び評価1の末梢神経障害を経験した。この患者は、2サイクル目の後に部分的な緩解を、そして6サイクル目の後に完全緩解を経験した。この患者は、完全緩解のために研究治療を中止し、そして追跡調査が続けられた。
実施例5
肺の腺癌を患う69歳の男性患者は、3週間毎に以下の治療計画を受けた:3時間かけてIV投与されたパクリタキセルの単回投与(175mg/m)、シスプラチン投与前における1時間の生理食塩水による水分補給、その後すみやかに30分かけてIV投与されたBNP7787の単回投与(18.4g/m)、1時間かけてIV投与されたシスプラチンの単回投与(75mg/m)、そしてその後、シスプラチン投与後における1.5時間の生理食塩水による水分補給。この患者は、合計3サイクルの研究治療を受けたが、末梢神経毒性を経験しなかった。この患者は、2サイクル目及び3サイクル目の後に部分的な緩解を経験し、そしてあらかじめ規定された回数の治療サイクルを完了した後、この研究を打ち切った。
実施例6
肺の腺癌を患う52歳の女性患者は、3週間毎に以下の治療計画を受けた:3時間かけてIV投与されたパクリタキセルの単回投与(175mg/m)、シスプラチン投与前における1時間の生理食塩水による水分補給、その後すみやかに30分かけてIV投与されたBNP7787の単回投与(18.4g/m)、1時間かけてIV投与されたシスプラチンの単回投与(75mg/m)、そしてその後、シスプラチン投与後における1.5時間の生理食塩水による水分補給。この患者は、合計3サイクルの研究治療を受け、そして3サイクル目の6日目から評価1の末梢性の神経毒性を経験し、この毒性は、3サイクル目の20日目になくなった。この患者は、2サイクル目及び3サイクル目の後に部分的な緩解を経験し、そしてあらかじめ規定された回数の治療サイクルを完了した後、この研究を打ち切った。
実施例7
肺の大細胞癌を患う53歳の男性患者は、3週間毎に以下の治療計画を受けた:3時間かけてIV投与されたパクリタキセルの単回投与(175mg/m)、シスプラチン投与前における1時間の生理食塩水による水分補給、その後すみやかに30分かけてIV投与されたBNP7787の単回投与(18.4g/m)、1時間かけてIV投与されたシスプラチンの単回投与(75mg/m)、そしてその後、シスプラチン投与後における1.5時間の生理食塩水による水分補給。この患者は、合計3サイクルの研究治療を受け、そして2サイクル目の5日目から評価1の末梢性の神経毒性を経験した。この患者は、安定な疾患を有し、そしてあらかじめ規定された回数の治療サイクルを完了した後、この研究を打ち切った。
本発明は、タキサンにより惹起又は誘導(induced)される末梢神経系の障害を予防及び軽減するために有用である。

Claims (54)

  1. タキサン系抗腫瘍剤による癌患者の治療期間を短縮するための化学的保護剤を含む医薬組成物であって、化学的保護剤として2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (2)さらに、白金類似体系抗腫瘍剤を含み、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、医薬組成物。
  2. タキサン系抗腫瘍剤による癌患者の治療での投与サイクルを、7以上の前記抗腫瘍剤の投与サイクルに増大させるための化学的保護剤を含む医薬組成物であって、化学的保護剤が2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (2)さらに、白金類似体系抗腫瘍剤を含み、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、医薬組成物。
  3. 糖尿病、アルコール及び/又は薬物により惹起される神経障害、栄養性神経障害に由来する軽度乃至中程度の神経毒性を有するか又は有さない癌患者を、化学的保護剤がない場合に患者に対して投与する投与量よりも多い投与量のタキサン系抗腫瘍剤で治療するための化学的保護剤を含む医薬組成物であって、前記化学的保護剤が2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (2)さらに、白金類似体系抗腫瘍剤を含み、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、医薬組成物。
  4. タキサン系抗腫瘍剤により治療可能な癌患者に対して、患者の治療クールにおいてタキサン系抗腫瘍剤の投与量を増加させるための化学的保護剤を含む医薬組成物であって、前記化学的保護剤が2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (2)さらに、白金類似体系抗腫瘍剤を含み、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、医薬組成物。
  5. タキサン系抗腫瘍剤の使用により治療可能な癌患者に対するタキサン系抗腫瘍剤の投与に関連して生じる治療遅延の可能性を回避又は低減するための化学的保護剤を含む医薬組成物であって、前記化学的保護剤が2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (2)さらに、白金類似体系抗腫瘍剤を含み、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、医薬組成物。
  6. タキサン系抗腫瘍剤の投与により治療可能な癌患者に対して、治療を中断することなく、より連続様式で、タキサン系抗腫瘍剤の投与を許容する化学的保護剤を含む医薬組成物であって、前記化学的保護剤が2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (2)さらに、白金類似体系抗腫瘍剤を含み、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、医薬組成物。
  7. 化学的保護剤組成物と併用して投与され、かつ化学的保護剤組成物なしに投与されるタキサン系抗腫瘍剤の投与量よりも多い投与量でタキサン系抗腫瘍剤を投与することにより癌患者を治療可能な化学的保護剤を含む医薬組成物であって、前記化学的保護剤組成物が2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、
    (a)前記化学的保護剤組成物が1回の投与あたりの投与量4.1〜80.0g/m(体表面積)で投与され、
    (b)前記タキサン系抗腫瘍剤の投与間の間隔が、少なくとも1日〜3週間より短い期間であり、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (2)さらに、白金類似体系抗腫瘍剤を含み、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、医薬組成物。
  8. (i)タキサン系抗腫瘍剤による癌患者の治療期間の短縮、
    (ii)タキサン系抗腫瘍剤の癌患者への投薬休止期間の短縮、
    (iii)タキサン系抗腫瘍剤の癌患者への投与量の増大、
    (iv)タキサン系抗腫瘍剤による癌患者の治療での投与サイクルの7以上への増大、
    (v)タキサン系抗腫瘍剤の使用により治療可能な癌患者に対するタキサン系抗腫瘍剤の投与に関連して生じる治療遅延の可能性の回避又は低減、及び
    (vi)タキサン系抗腫瘍剤の投与により治療可能な癌患者に対して、治療を中断することなく、より連続様式でのタキサン系抗腫瘍剤の投与の許容
    からなる群より選択される少なくとも一種のための化学的保護剤を含む医薬組成物であって、化学的保護剤として2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含み、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (2)さらに、白金類似体系抗腫瘍剤を含み、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、医薬組成物。
  9. (4)タキサン系抗腫瘍剤が末梢神経毒性又は末梢神経障害を伴い、前記末梢神経毒性又は末梢神経障害が、感覚異常;四肢又は手足に関して、しびれ又は無感覚、刺痛又はうずき、焼けつくような痛み、又は遠位感覚消失を含む異常な感覚;虚弱;麻痺;関節痛;筋(肉)痛;および末梢神経系の感覚障害並びに運動障害からなる群から選択された1又はそれ以上の症状で少なくとも特徴づけられる請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物。
  10. (5)治療期間が、繰り返される治療クールで構成され、このクールが、前記タキサン系抗腫瘍剤及び化学的保護剤の投薬期間と、前記タキサン系抗腫瘍剤の投薬休止期間とで構成され、ここで、前記投薬休止期間が、3週間より短い期間、1日〜2.5週間の期間、1日〜2週間の期間、1日〜1.5週間の期間、及び1日〜1週間の期間からなる群より選択される請求項1〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
  11. 治療期間が、少なくとも3回のクールを含み、各クールが、タキサン系抗腫瘍剤及び化学的保護剤の投薬期間と、タキサン系抗腫瘍剤及び化学的保護剤の投薬休止期間からなる請求項1〜10のいずれかに記載の医薬組成物。
  12. タキサン系抗腫瘍剤の投薬休止期間を、抗腫瘍剤だけの投薬休止期間よりも短い期間にする請求項1〜11記載の医薬組成物。
  13. 投薬休止期間が3週間より短い請求項1〜12のいずれかに記載の医薬組成物。
  14. 投薬休止期間が1日〜2.5週間である請求項1〜13のいずれかに記載の医薬組成物。
  15. 投薬休止期間が1日〜2週間である請求項1〜14のいずれかに記載の医薬組成物。
  16. 投薬休止期間が1日〜1.5週間である請求項1〜15のいずれかに記載の医薬組成物。
  17. 投薬休止期間が1日〜1週間である請求項1〜16のいずれかに記載の医薬組成物。
  18. 化学的保護剤を用いることなく投与した投与量に比べて、化学的保護剤と組み合わせて投与したタキサン系抗腫瘍剤の量が多い請求項1〜17のいずれかに記載の医薬組成物。
  19. 化学的保護剤の投与前又は投与と同じ日に、タキサン系抗腫瘍剤を投与する請求項1〜18のいずれかに記載の医薬組成物。
  20. 2,2’−ジチオビスエタンスルホネートとして、1回の投与あたりの投与量が4.1〜80.0g/m(体表面積)である請求項1〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
  21. 2,2’−ジチオビスエタンスルホネートとして、1回の投与あたりの投与量が8.2〜41.0g/m(体表面積)である請求項1〜20のいずれかに記載の医薬組成物。
  22. 2,2’−ジチオビスエタンスルホネートとして、1回の投与あたりの投与量が12.3〜27.6g/m(体表面積)である請求項1〜21のいずれかに記載の医薬組成物。
  23. 2,2’−ジチオビスエタンスルホネートとして、1回の投与あたりの投与量が18.4g/m(体表面積)である請求項1〜22のいずれかに記載の医薬組成物。
  24. 2,2’−ジチオビスエタンスルホネートがジナトリウム塩である請求項1〜23のいずれかに記載の医薬組成物。
  25. 少なくとも5サイクルのタキサン系抗腫瘍剤の投与とともに、1日から3週間より短い間隔で、タキサン系抗腫瘍剤を投与する請求項1〜24のいずれかに記載の医薬組成物。
  26. 少なくとも7サイクルのタキサン系抗腫瘍剤の投与とともに、1日から3週間より短い間隔で、タキサン系抗腫瘍剤を投与する請求項1〜25のいずれかに記載の医薬組成物。
  27. タキサン系抗腫瘍剤及び/又は化学的保護剤を、静脈内又は経口投与する請求項1〜26のいずれかに記載の医薬組成物。
  28. 肺癌が非小細胞肺癌である請求項1〜27のいずれかに記載の医薬組成物。
  29. タキサン系抗腫瘍剤が、パクリタキセル及びドセタキセルからなる群から選択された少なくとも一種である請求項1〜28のいずれかに記載の医薬組成物。
  30. 溶液又は懸濁液の液体の形態、凍結乾燥物形態又は固体形態である請求項1〜29のいずれかに記載の医薬組成物。
  31. タキサン系抗腫瘍剤と2,2’−ジチオビスエタンスルホネートとが重量比1:10〜1:2500で投与される請求項1〜30のいずれかに記載の医薬組成物。
  32. 治療が、下記(a)及び(b)で構成されている請求項1〜31のいずれかに記載の医薬組成物。
    (a)1回の投与あたり、タキサン系抗腫瘍剤として、パクリタキセルについて60〜300mg/m(体表面積)又はドセタキセルについて30〜240mg/m(体表面積)と、1回の投与あたり4.1〜80.0g/m(体表面積)の化学的保護剤とを患者に投与するための投薬期間と、タキサン系抗腫瘍剤および化学的保護剤の投薬休止期間とで構成された治療クール、および
    (b)1日〜2.5週間の投薬休止期間
  33. 治療においてタキサン系抗腫瘍剤の投与量を増大させる請求項1〜32のいずれかに記載の医薬組成物。
  34. 治療クールが、(a)4又はそれ以上、(b)5又はそれ以上、(c)6又はそれ以上、(d)7又はそれ以上、(e)8又はそれ以上、又は(f)9又はそれ以上繰り返される請求項1〜33のいずれかに記載の医薬組成物。
  35. 治療クールが、連続して繰り返される請求項1〜34のいずれかに記載の医薬組成物。
  36. タキサン系抗腫瘍剤が1日1回投与される請求項1〜35のいずれかに記載の医薬組成物。
  37. 抗腫瘍剤による癌患者の治療期間を短縮するために併用する医薬製剤であって、タキサン系抗腫瘍剤を含む第1の製剤と、白金類似体系抗腫瘍剤を含む第2の製剤と、化学的保護剤としての2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む第3の製剤とで構成され、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (3)前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記第1の製剤、前記第3の製剤及び前記第2の製剤が、この順序で投与される、併用医薬製剤。
  38. (i)タキサン系抗腫瘍剤による癌患者の治療期間の短縮、
    (ii)タキサン系抗腫瘍剤の癌患者への投薬休止期間の短縮、
    (iii)タキサン系抗腫瘍剤の癌患者への投与量の増大、
    (iv)タキサン系抗腫瘍剤による癌患者の治療での投与サイクルの7以上への増大、
    (v)タキサン系抗腫瘍剤の使用により治療可能な癌患者に対するタキサン系抗腫瘍剤の投与に関連して生じる治療遅延の可能性の回避又は低減、及び
    (vi)タキサン系抗腫瘍剤の投与により治療可能な癌患者に対して、治療を中断することなく、より連続様式でのタキサン系抗腫瘍剤の投与の許容
    からなる群より選択される少なくとも一種のために併用する医薬製剤であって、タキサン系抗腫瘍剤を含む第1の製剤と、白金類似体系抗腫瘍剤を含む第2の製剤と、化学的保護剤としての2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む第3の製剤とで構成され、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (3)前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記第1の製剤、前記第3の製剤及び前記第2の製剤が、この順序で投与される、併用医薬製剤。
  39. (4)前記タキサン系抗腫瘍剤が末梢神経毒性又は末梢神経障害を伴い、前記末梢神経毒性又は末梢神経障害が、感覚異常;四肢又は手足に関して、しびれ又は無感覚、刺痛又はうずき、焼けつくような痛み、又は遠位感覚消失を含む異常な感覚;虚弱;麻痺;関節痛;筋(肉)痛;および末梢神経系の感覚障害並びに運動障害からなる群から選択された1又はそれ以上の症状で少なくとも特徴づけられ請求項37又は38記載の併用医薬製剤。
  40. 治療期間が、繰り返される治療クールで構成され、このクールが、前記2種類の抗腫瘍剤の投薬期間と、これらの抗腫瘍剤の投薬休止期間とで構成され、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートを含む前記第3の製剤が、(a)投薬休止期間を短縮及び/又は(b)少なくともタキサン系抗腫瘍剤の投与量を増大させる請求項37〜39のいずれかに記載の併用医薬製剤。
  41. 投薬休止期間が、1日〜2.5週間である請求項37〜40のいずれかに記載の併用医薬製剤。
  42. 第3の製剤の投与前又は投与と同じ日に、第1の製剤を投与し、第3の製剤の投与後又は投与と同じ日に、第2の製剤を投与する請求項37〜41のいずれかに記載の併用医薬製剤。
  43. 第3の製剤を、2,2’−ジチオビスエタンスルホネートとして、1回の投与あたり投与量4.1〜80.0g/m(体表面積)で投与する請求項37〜42のいずれかに記載の併用医薬製剤。
  44. 2,2’−ジチオビスエタンスルホネートがジナトリウム塩である請求項37〜43のいずれかに記載の併用医薬製剤。
  45. 治療クールが、(e)8又はそれ以上、又は(f)9又はそれ以上繰り返される請求項37〜44のいずれかに記載の併用医薬製剤。
  46. タキサン系抗腫瘍剤が、パクリタキセル及びドセタキセルからなる群から選択された少なくとも一種である請求項37〜45のいずれかに記載の併用医薬製剤。
  47. 末梢神経毒性又は末梢神経障害が、感覚障害及び/又は運動障害で特徴づけられる請求項37〜46のいずれかに記載の併用医薬製剤。
  48. 投薬セット又はキットである請求項37〜47のいずれかに記載の併用医薬製剤。
  49. 末梢神経系の毒性障害又は末梢神経系の感覚異常障害を惹起するタキサン系抗腫瘍剤による癌患者の治療期間を短縮するための薬剤の製造における2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの使用であって、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤が、白金類似体系抗腫瘍剤と組み合わせて用いられ、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、使用。
  50. 末梢神経系の毒性障害又は末梢神経系の感覚異常障害を惹起するタキサン系抗腫瘍剤の癌患者への投薬休止期間を短縮するための薬剤の製造における2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの使用であって、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤が、白金類似体系抗腫瘍剤と組み合わせて用いられ、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、使用。
  51. 末梢神経系の毒性障害又は末梢神経系の感覚異常障害を惹起するタキサン系抗腫瘍剤の癌患者への投与量を増大させるための薬剤の製造における2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの使用であって、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤が、白金類似体系抗腫瘍剤と組み合わせて用いられ、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、使用。
  52. (i)タキサン系抗腫瘍剤による癌患者の治療期間の短縮、
    (ii)タキサン系抗腫瘍剤の癌患者への投薬休止期間の短縮、
    (iii)タキサン系抗腫瘍剤の癌患者への投与量の増大、
    (iv)タキサン系抗腫瘍剤による癌患者の治療での投与サイクルの7以上への増大、
    (v)タキサン系抗腫瘍剤の使用により治療可能な癌患者に対するタキサン系抗腫瘍剤の投与に関連して生じる治療遅延の可能性の回避又は低減、及び
    (vi)タキサン系抗腫瘍剤の投与により治療可能な癌患者に対して、治療を中断することなく、より連続様式でのタキサン系抗腫瘍剤の投与の許容
    からなる群より選択される少なくとも一種のための薬剤の製造における2,2’−ジチオビスエタンスルホネートの使用であって、
    (1)前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、食道癌、腺癌、又は胆管癌であり、
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤が、白金類似体系抗腫瘍剤と組み合わせて用いられ、前記白金類似体系抗腫瘍剤が、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンからなる群から選択される少なくとも一種であり、かつ
    (3)前記タキサン系抗腫瘍剤、前記化学的保護剤及び前記白金類似体系抗腫瘍剤が、この順序で投与される、使用。
  53. (4)前記タキサン系抗腫瘍剤が末梢神経毒性又は末梢神経障害を伴い、前記末梢神経系の毒性障害又は末梢神経系の感覚異常障害が、感覚異常;四肢又は手足に関して、しびれ又は無感覚、刺痛又はうずき、焼けつくような痛み、又は遠位感覚消失を含む異常な感覚;虚弱;麻痺;関節痛;筋(肉)痛;および末梢神経系の感覚障害並びに運動障害からなる群から選択された1又はそれ以上の症状で少なくとも特徴づけられる請求項49〜52のいずれかに記載の使用。
  54. (5)治療期間が、繰り返される治療クールで構成され、このクールが、前記タキサン系抗腫瘍剤及び化学的保護剤の投薬期間と、前記タキサン系抗腫瘍剤の投薬休止期間とで構成され、ここで、前記投薬休止期間が、3週間より短い期間、1日〜2.5週間の期間、1日〜2週間の期間、1日〜1.5週間の期間、及び1日〜1週間の期間からなる群より選択される請求項49〜53のいずれかに記載の使用。
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