JP2010216305A - 内燃機関の過給圧制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】過給圧制御装置は、実過給圧P2が目標過給圧P2CMDに一致するように、実前後排気圧力比PRに対する目標値PRCMDを算出する排気圧制御器421と、実前後排気圧力比PR及び修正流量Gと、可変ベーンの開度とを関連付けるタービンモデルに基づいて、目標前後排気圧力比PRCMDに応じた可変ベーン開度VOを算出するベーン開度決定部422と、上記タービンモデルに基づいて、実前後排気圧力比PRに応じた推定ベーン開度VOHATを算出し、この推定ベーン開度VOHATとベーン開度VOとが一致するように、ベーン開度決定部422のタービンモデルを修正する修正パラメータa,bを算出する修正パラメータ算出部426とを備える。
【選択図】図2
Description
また、上述のモデルは、所定の物理量と排気流量可変機構の開度とを関連付けるものであるが、運転状態によっては出現頻度の低い物理量と開度との組み合わせが存在する。この発明によれば、例えば、このような運転状態では、他の運転状態よりも更新速度を速くすることにより、モデルの修正精度を向上することができる。
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関及びその過給圧制御装置の構成を示す図である。内燃機関(以下「エンジン」という)1は、シリンダ7の燃焼室内に燃料を直接噴射するディーゼルエンジンであり、シリンダ7には図示しない燃料噴射弁が設けられている。これら燃料噴射弁は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)40により電気的に接続されており、燃料噴射弁の開弁時間及び閉弁時間は、ECU40により制御される。
図2は、過給圧制御を実行するためのモジュールの構成を示すブロック図である。このモジュールの機能は、上述のようなハードウェア構成を備えるECU40により実現される。
過給圧制御器412は、実過給圧P2が後述の目標過給圧P2CMDに一致するように、上流側排気圧の目標値(以下、「目標上流側排気圧」という)P3CMDを算出する。具体的には、実過給圧P2と目標過給圧P2CMDとの偏差Eを下記式(1)で定義し、この偏差E(k)が0に収束するように、後述のスライディングモード制御に基づいて制御入力U(コントローラの出力)を算出し、算出した制御入力Uを目標上流側排気圧P3CMDに変換する。
到達則入力URCH(k)は、偏差E(k)を後述の切換直線上に載せるための入力であり、上記式(5)に示す切換関数σ(k)に所定の到達則制御ゲインKRCHを乗算することで算出される。
適応則入力UADP(k)は、モデル化誤差や外乱の影響を抑制し、偏差E(k)を後述の切換直線に載せるための入力であり、切換関数σ(k)の積分値に所定の適応則制御ゲインKADPを乗算することで算出される。
上記式(5)に示すように、横軸を前回制御時の偏差E(k−1)とし、縦軸を今回制御時の偏差E(k)と定義した位相平面内では、切換関数σ(k)=0を満たす偏差E(k)及びE(k−1)の組み合わせは、傾きが−VPOLEの直線となる。特にこの直線は、切換直線と呼ばれる。また、この切換直線上では、−VPOLEを1より小さく0より大きい値に設定することにより、E(k−1)>E(k)となるので、偏差E(k)は0に収束することとなる。スライディングモード制御は、この切換直線上における偏差E(k)の振る舞いに着目した制御となっている。
すなわち、今回制御時の偏差E(k)と前回制御時の偏差E(k−1)との組み合わせが、この切換直線上に載るように制御を行うことで、外乱やモデル化誤差に対してロバストな制御を実現し、制御量をその目標値に対し過剰なオーバシュートすることなく収束させることができる。
また、図3に示すように、各ベーン開度における流量特性曲線の間隔は、ベーン開度が大きくなるに従い(可変ベーンが開き側になるに従い)、狭くなる。これは、可変ベーンの開き側での作動に対する過給圧及び上流側排気圧の変化は、絞り側での作動に対する過給圧及び上流側排気圧の変化よりも小さいことを示している。すなわち、ベーン開度は、過給圧や上流側排気圧に対し非線形な特性を有する。
また、これらベクトルθ(k)及びζ(k)の積により、下記式(10)に示すように同定値VOHAT_HAT(k)を定義する。
λ1=1,λ2=1 最小2乗法アルゴリズム
λ1=λ(0<λ≦1),λ2=1 重み付き最小2乗法アルゴリズム
λ1=1,λ2=0 固定ゲインアルゴリズム
λ1=1,λ2=λ(0<λ<2) 漸近ゲインアルゴリズム
λ1/λ2=σ(固定値) 固定トレースアルゴリズム
また、忘却係数ρ1,ρ2を「1」から小さくすることにより前回制御時までのデータを忘却しやすくすることができる。すなわち、忘却係数ρ1,ρ2を「1」から小さくすることにより、データθ(k)の更新速度を比較的速くすることができる。
図7には、基準状態に対し物ばらつきが生じた場合における過給圧とベーン開度のシミュレーション結果を示す。より具体的には、本実施形態のように修正パラメータでタービンモデルを修正した場合のシミュレーション結果を実線で示し、基準状態のままタービンモデルを修正しなかった場合のシミュレーション結果を破線で示す。
これに対して、タービンモデルを修正した場合、前後排気圧力比と過給圧との関係を適切に修正することで、目標過給圧に対する実過給圧の追従性を安定させることができる。したがって、上述のような実過給圧の振動は発生しない。
また、上述の高回転かつ高負荷の運転状態は、他の運転状態よりも出現頻度が低い。このような運転状態で修正パラメータa,bの更新速度を速くすることにより、モデルの修正精度を向上することができる。
以下、本発明の第2実施形態を、図面を参照して説明する。
以下の第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略化又は簡略化する。
ここで、基準開度決定部423Aにより参照されるタービンモデルには、上述の図3に示すタービンモデルと同様に、ウェストゲートバルブ開度WOごとにおける前後排気圧力比PRと修正流量Gとの関係が規定されたものが用いられる。
例えば、上述した実施形態では、前後排気圧力比とベーン開度とが関連付けられた図3に示すようなタービンモデルに基づいて、ベーン開度を決定したが、これに限らない。例えば、上流側排気圧力とベーン開度とが関連付けられたタービンモデルに基づいて、ベーン開度を決定してもよい。
40,40A…ECU
41…目標上流側排気圧算出部(目標値算出手段)
42,42A…ベーン開度制御部
421…排気圧制御器(目標値算出手段)
422…ベーン開度決定部(開度指示値算出手段)
422A…バルブ開度決定部(開度指示値算出手段)
426,426A…修正パラメータ算出部(修正パラメータ算出手段)
8…ターボチャージャ
81…タービンホイール
82…コンプレッサホイール
84…可変ベーン
85…ウェストゲートバルブ
Claims (6)
- 内燃機関に吸入される空気を加圧するコンプレッサホイールと、当該コンプレッサホイールと連結され、前記内燃機関から排出された排気ガスが吹き付けられることで回転駆動するタービンホイールと、を有するターボチャージャと、
開閉動作により前記タービンホイールに吹き付けられる排気の流量を変化させる排気流量可変機構と、を備え、実過給圧が所定の目標過給圧に一致するように、前記排気流量可変機構の開度を決定する内燃機関の過給圧制御装置であって、
実過給圧が目標過給圧に一致するように、所定の制御量に対する目標値を算出する目標値算出手段と、
前記制御量及び所定の物理量と、前記排気流量可変機構の開度とを関連付けるモデルに基づいて、前記制御量の目標値に応じた前記排気流量可変機構の開度指示値を算出する開度指示値算出手段と、
前記モデルに基づいて、前記制御量の実測値に応じた前記排気流量可変機構の開度推定値を算出し、当該開度推定値と前記開度指示値とが一致するように、前記開度指示値算出手段のモデルを修正する修正パラメータを算出する修正パラメータ算出手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の過給圧制御装置。 - 前記物理量は、前記タービンホイールの上流側の排気圧、前記タービンホイールの上流側の排気温度、及び前記タービンホイールを駆動する排気の質量流量を含むことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の過給圧制御装置。
- 前記修正パラメータ算出手段は、前記機関の運転状態に応じて修正パラメータを更新する速度を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の過給圧制御装置。
- 前記修正パラメータ算出手段は、前記排気流量可変機構の開度に応じて修正パラメータを更新する速度を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の過給圧制御装置。
- 前記排気流量可変機構は、開閉動作により前記タービンホイールに流入する排気の入口面積を変更する可変ベーンを含み、
前記モデルは、前記制御量及び所定の物理量と、前記可変ベーンの開度とを関連付けることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の内燃機関の過給圧制御装置。 - 前記排気流量可変機構は、前記タービンホイールの上流側と下流側とをバイパスするバイパス通路を開閉するウェストゲートバルブを含み、
前記モデルは、前記制御量及び所定の物理量と、前記ウェストゲートバルブの開度とを関連付けることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の内燃機関の過給圧制御装置。
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