JP2010211107A - 印刷形成した接続部を有する回路基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
課題は、回路基板の有機TFT素子の接続部において接続用電極配線のショートや寸法精度不良を改善するため、層間絶縁膜(絶縁バンク)を素子の電極間のみに形成することで接続用電極の隣接パターンショートを確実に回避することである。
【解決手段】
解決手段は、回路基板において、基板と、基板上に形成された薄膜トランジスタ素子と、該薄膜トランジスタ素子の金属電極群に外部回路基板の接続端子を電気的に接続するための接続部において、当該接続部の各々の金属電極間のみを覆う絶縁膜が形成された接続部と、上記薄膜トランジスタ素子の金属電極と上記絶縁膜の両方に接する接続用電極群とを有することであり、そしてまた、上記薄膜トランジスタ素子の金属電極は接続部で周期的に配列され、上記絶縁膜はライン形状であり上記薄膜トランジスタ素子の金属電極間に周期的に配置され、上記絶縁膜の算術平均粗さRaは2μm以下であることである。
【選択図】 図2a
Description
上記先行技術は、有機薄膜トランジスタ素子の引き出し接続部に配列された金属電極群上にスルーホールを有する層間絶縁膜を設け、導電性ペーストをスクリーン印刷して接続用電極を形成することで外部回路基板との導通を確保する方法である。この方法によると、断面がすり鉢形状となったスルーホール部では導電性ペーストが局所的に充填されやすく、その結果、隣接パターンが隣接ショートしやすいという不具合が生じる可能性がある。
ところで、近年、紙に替わる平板表示媒体(FPD=Flat Panel Display)のひとつに、電子ペーパーの実用化が期待されている。例えば電子ブックリーダーにおいては、表示素子である液晶や電気泳動素子を駆動するための電子素子として、ガラス基板上にアモルファスシリコン半導体を半導体材料とした薄膜トランジスタ[(TFT=Thin Film Transistor)]が使用されている。
電子ペーパーを駆動する電子回路は、可撓性を有するフィルム基板上へTFTを作製したものを使用する必要があるが、一般的なフィルム基板はガラス転移温度が200度を下回ることから、シリコンプロセスのような高温プロセスは使用できない。
フィルム基板へ形成されたTFT素子の電極配線に対して外部回路基板を直接実装すると、重ね合わせずれによる隣接ショートや、実装ダメージによって素子の電気抵抗が不安定となる。これを防止するため、接続部の電極配線上へ層間の絶縁膜と接続用電極配線を形成して、外部回路基板の接続端子との導通を確保することが行なわれている。この際、スルーホールを有する層間絶縁膜の形成は、フォトリソグラフィー法やエッチング法などのウェットプロセスによる材料ダメージが大きいため、前述の層間絶縁膜および接続用電極配線は、印刷技術で形成するのが好ましい。
また、このものは、電極配線よりも狭い幅で接続用電極を形成することを特徴としているが、有機TFT素子の接続部における同電極の配置が高密度となっている場合は、より高精細なスルーホールを有する層間絶縁膜を形成する必要がある。このような方法で形成した層間絶縁膜は、印刷面積の差が大きくなるためにスルーホール部の膜厚差が大きく、スルーホールパターンの境界部で導電性ペーストの充填量が変動して部分的に接触して隣接ショートしやすくなる。このようなことから、接続用電極配線は短絡し、外部回路基板の接続端子との正常な導通が確保されなくなる可能性がある。
そしてまた、上記薄膜トランジスタ素子の金属電極は接続部で周期的に配列され、上記絶縁膜はライン形状であり上記薄膜トラジスタ素子の金属電極間に周期的に配置され、上記絶縁膜の算術平均粗さRaは2μm以下であることであり(請求項2)、さらに、上記絶縁膜の極大膜厚の最大値dmaxにおける曲率半径Rが10≧R/dmax≧2の範囲であることであり(請求項3)、さらに上記回路基板は可撓性を有しており、かつ、上記絶縁膜は、樹脂バインダーと絶縁性フィラーによるものであることである(請求項4)。
接続部の各々の金属電極間のみを覆う絶縁膜が形成された接続部と、該薄膜トランジスタ素子の金属電極と上記絶縁膜の両方に接する接続用電極群とを有することで、層間絶縁膜(絶縁バンク)が素子の電極間のみに形成され、その結果、上に凸の膜断面形状を有した絶縁バンクが接続用電極配線の印刷にじみ(拡がり)を抑制する吸収層となるので隣接パターンにじみによるショートが抑制でき、接続用電極の隣接パターンショートが確実に回避される。
また、上記のようにして形成した絶縁膜の表面凹凸によって接続用電極の密着面積を大きくできるため、接続用電極の密着性を向上できる。このようにすることにより、接続用電極配線の印刷プロセスにおいて、絶縁バンクとの密着面積が大きくでき、また、絶縁バンクの膜厚分のペースト吐出体積を増加できるので接続用電極の膜厚が大きくできるから、接続部が高密度となった場合においても、印刷技術によって接続用電極配線を厚膜形成することが可能である。
以上の結果、有機TFT素子の電極配線と外部回路基板の接続端子との導通不良が改善されるだけでなく、素子の接続部が厚膜化されるため、外部回路基板の実装ダメージが低減され、接続信頼性の高い電子素子が得られる。
また、請求項5に係る発明により、請求項1乃至請求項4で得られる回路基板へ表示素子を貼り合わせることによって、表示均一性の高い画像表示装置を提供できる。
そして、まず、[有機TFT素子]について説明し、次いで、[アクティブマトリクス駆動型有機TFTの作製プロセス]について説明する。
この実施例の接続部構造は、先に挙げたアクティブマトリクス駆動型有機TFT素子において好適に実施される。そして、その有機TFTについては、例えば特開2007−79359号公報(特許文献2)に開示されている構成とすることができる。
図1に、本実施例に用いられるボトムゲート型の有機TFT素子の一般的な構成および断面図を示している。有機TFTは、絶縁性の良好な基板上にトランジスタ電流を制御する目的でゲート電極が設けられ、このゲート電極を被覆するようにゲート絶縁膜が設けられる。その後、このゲート絶縁膜上にはチャネル部に流れる電流を与えるためのソース電極11と、チャネル部に流れる電流を取り出するためのドレイン電極12が設けられている。ソース電極11及びドレイン電極12間及びこれらの上にトランジスタのチャネルを制御するための活性層14(有機半導体:OSC=Organic Semi−Conductor)が設けられる。
なお、図1における符号5は耐熱性が良好なガラス基板であり、符号13はトランジスタ電流をON/OFF制御するためのゲート電極である。
図2bは、上記のような有機TFTを駆動回路として用いた、電気泳動型表示装置の断面図であり、当該図における符号23は上部基板を示しており、符号24は対向電極を示し、符号25は電気泳動表示素子を示している。なお、符号6はボトムゲート型の有機TFT基板である。
上記の有機TFTのゲート接続部およびソース接続部各々の電極線に対して、接続用電極を形成する。図4a〜図4cは、接続部の平面図および断面図である。有機TFTの電極線間は絶縁膜が設けられており、接続用電極の隣接ショートが発生しないようになっており、各々の接続用電極に対してFPC接続端子を図4dのようにして接続し、外部駆動回路からの電気制御信号を入力する。このようにして作製された表示装置の平面レイアウトは、例えば図5のようになる。
なお、図4aにおける符号41,42はそれぞれ有機TFT基板6上のソース電極線、ゲート電極線であり、また、図4bにおける符号43は絶縁膜であり、さらに、図4cにおける符号44は接続電極であり、さらに、図4dにおける符号7はフレキシブルプリント回路(FPC)基板であり、また、符号45は接続端子である。
また、念のためにいえば、図4aにおけるソース信号線31は、ソース電極線41とイコール(=)の関係にあり、また、ゲート選択線32はゲート電極線42とイコール(=)の関係にある。
以上のような方法によればフォトリソ工程、エッチング工程などを経ることなく印刷法を用いて接続部を厚膜化することが可能であり、隣接する接続用電極の短絡を防止できる。特に、外部駆動回路基板の接続端子と接続するゲート選択線32またはソース信号線31が高密度の場合には、本発明の接続構造が必要不可欠となる。
1.有機TFT
有機TFT回路基板を、例えば下記のような工程で作製する。
(基板、ゲート電極形成)
耐熱性の良好なガラス基板上にアルミニウムを真空蒸着法によって成膜した後、フォトリソグラフィー・エッチングでパターン化して、ゲート電極を形成する。ゲート電極は、金属膜の真空蒸着(Cr、Ni−Cr)、酸化物電極、透光性酸化物電極(ITO、ZnO:Al、SnO2)であり、通常のフォトリソグラフィー・エッチングでゲート電極パターンを得る。なお、導電性高分子(PEDOT/PSS、ポリアニリンなど)の印刷をして形成してもよい。
PE−CVDでSiO2膜を形成して、ゲート絶縁膜とする。無機絶縁膜であれば、SiO2の他にも、Si3,N4,SiON、などをスパッタリングで成膜することも可能である。また、有機絶縁膜であれば、パリレン、PVA,PVP,PMMA、ポリイミドなどを用いても良い。
金(Au)を真空蒸着法にて成膜し、フォトリソグラフィー・エッチングでパターン化して、ソース電極11、ドレイン電極12を形成する。ソース電極11、ドレイン電極12は、例えば、Au,Pt,Pt族元素、これら合金(Pt−Rhなど)、先述のゲート電極材料が該当する。前記ゲート選択線32と、ソース信号線31は、互いに直行する方向に延伸するように形成した。
トランジスタの活性層14となる部分に、熱蒸着法を用いてペンタセンを形成した。
有機材料では、ペンタセンの他、アントラセン、フタロシアニン等の有機低分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体等のイオン性導電性高分子等の公知の有機半導体を用いることも可能である。
作製法については、蒸着法、アーク放電、プラズマ化学気相成長、物理気相成長等の他に、スピンコート法、ディッピング法、ブレード塗工法、スプレー塗工法、キャスト法、インクジェット法等の公知の成膜技術によることができる。
以上の結果、ソース信号線31とゲート選択線32がマトリクス状に配列された、有機TFT回路基板を得た。なお、有機TFT回路基板の接続部における電極配線の配列ピッチを2種類作製した。具体的には、ゲート選択線32およびソース信号線31は各々の接続端部で100本ずつのブロックに分け、その配列ピッチが200μmのものをOTFT1とし、200本ずつのブロックに分けて配列ピッチが100μmのものをOTFT2とした。
このようにして得られた有機TFT回路基板を画像表示装置の駆動回路として適用するためには、表示素子8を駆動する画素電極22をドレイン電極12上へパターニングする必要がある。このとき、画素電極層とソース/ドレイン電極層を層間絶縁するために、層間絶縁膜21を形成することが好ましい。
上記、アクティブマトリクス駆動型有機TFT回路基板を用いてディスプレイを駆動するためには、図3bに示すようなスルーホール33を有する層間絶縁膜21を形成し、図3cに示すようにスルーホール33を有する層間絶縁膜21上に画素電極22を形成する必要がある。
画素電極22を個別の素子へ形成する際に、有機TFTの電極と画素電極間の静電容量により高周波動作時にリーク電流が生じる。
そのため、層間絶縁膜21の静電容量を下げる必要があり、低誘電率材料からなる厚膜で層間絶縁膜21を形成されることが好ましい。層間絶縁膜21の形成方法は任意の手法を用いることができるが、本願ではスクリーン印刷法を用いることで所望の層間絶縁膜形状を得ることが可能であるため好ましい。
TFT回路基板上のドレイン電極12と画素電極22を電気的に接続するため、スルーホール33を有する層間絶縁膜21をスクリーン印刷で形成した。この層間絶縁膜21を形成する絶縁性ペーストには、公知のものを用いればよく、必要な機能を持たせるような材料を用いて作製することができる。スクリーン版は、スクリーンメッシュ64に乳剤を塗布してスルーホールパターンとなるよう露光・現像した一般的なものを用いることができる。
続いて、ゲート選択線32とソース信号線31の接続部を各々厚膜化するため、接続部に絶縁膜(絶縁バンク)43と接続用電極を形成すれば、ディスプレイの駆動回路であるアクティブマトリクス駆動型有機TFT回路基板が得られる。
上記のようなフォトリソプロセスとスクリーン印刷法による薄膜トランジスタ素子における接続部の構成例として、ゲート選択線32の接続部を下図に示す。図4aは、ゲート選択線32を延伸した接続部の端部における平面図および断面図であり、図4b、図4cは、電極線間に絶縁膜43を形成し、さらに、接続用電極を形成する状態を示している。
ここで、上記有機薄膜トランジスタ素子のゲート選択線32が等間隔に配列されてブロック単位となったゲート接続部を厚膜化する方法について、詳細に説明する。
まず、オフコンタクト方式のスクリーン印刷法の概略を図6a、図6b、図6cに基づいて説明し、続いてスクリーンメッシュ64の選定、高精細パターン印刷の課題、印刷ペースト62について説明する。
オフコンタクト方式のスクリーン印刷法では、まずスクリーンメッシュ(ステンレス製)64からなるスクリーン版を用意し、被印刷基板65とスクリーン版の間にクリアランス(空隙)を設けて置く。次に、図6aに示すように、スクリーン版に印刷ペースト62を乗せてスキージで刷ると、スキージ直下近傍において印刷ペースト62は被印刷基板65と密着し、スキージ摺動で外力を受けた印刷ペーストは流動するためスキージ前方でスクリーン版へ充填される(図6aの矢印方向に充填ベクトルが働く)。
このとき、スクリーン版はスキージ直下でクリアランス(被印刷基板65とスクリーン版のギャップ量)が0mmとなっており、メッシュ弾性によりスクリーン版枠66には大きな張力が発生する。そのため印刷方向に対してスキージ後方では、スクリーンメッシュ64の強い張力によって被印刷基板65の表面からスクリーン版が離れ始める(版離れ)。
スクリーン印刷法で目的とする印刷パターン(高精細パターン)69aを寸法精度良く形成するには、一般的なことであるが下記に詳述するようにスクリーン版仕様、印刷ペースト62、高精細パターン印刷の注意点に対する理解が重要である。
なお、図6aにおける符号69は、転写されたパターンを示している。
また、図6cにおける符号62aは版内に残ったペーストを示している。
・スクリーンメッシュ64の選定
本願発明では高精細ラインパターン印刷を目的としているため、スクリーンメッシュ64のメッシュ密度は#400以上のものが好ましく、さらに好ましくは#500を使用するのがより好ましい。本実施例においては、平織り#500のスクリーンメッシュでスクリーン版を作製した。
スクリーン印刷時のパターン寸法精度を損なわないよう、変形の小さい金属性のステンレスメッシュを用いて、スクリーン版を作製することが好ましい。
スクリーンメッシュ64については、金属性のワイヤを編み込だものや電鋳で作成したもの、金属性フィルムにインプリントしたものが挙げられるが、高い強度を実現できる金属ワイヤを編みこんだものが好ましい。また、スクリーンメッシュにメッキコーティングすることによって開口率を調節する方法もある。ただし、強度面において劣るため、印刷条件を設定可能な範囲が狭くなるという欠点がある。
印刷に使用する絶縁性ペーストとしては、樹脂バインダーを比較的沸点の高い有機溶剤に溶解したビヒクルに対して、フィラーを分散したものを使用することができる。また、必要に応じてペーストのチキソ性を制御して、所望のパターンを印刷できるようにすることが好ましい。
絶縁性粒子の例としては、電子・電気材料、セラミックス材料、触媒などの分野で汎用性のある金属酸化物粒子、金属水酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物粒子としては、一種類の金属の酸化物、水酸化物であっても複数の金属の複合酸化物であっても良く、具体的にはアルミナ、酸化マグネシウム、二酸化マンガン、酸化亜鉛、ジルコニア、酸化スズ、酸化アンチモン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどを使用することができる。また、例えば、ゼオライトやメソポーラスシリカのように、構造中にマイクロ孔あるいはメソ孔を有する無機多孔質粒子であっても良い。
中でも特に、アルミナ、シリカの使用によって、より効果的に本発明の目的を達成できる。アルミナ粒子は実装プロセスの熱遮断性に優れ、シリカ粒子は低誘電化を実現できる。これらの粒子は単独で用いても良いし、異なる粒子径のものを複数混合して用いても良い。
有機溶剤に均一に可溶しフィラー分散性に優れているもの、被印刷基板表面の材料と密着性に優れているものを選定し、また、ペーストの体積収縮によってフィルム基板を変形させないように適宜の材料を選定することが好ましい。加えて、絶縁膜43として要求される信頼性や、積層回路の場合は上層の材料マッチングなど、総合的な要件を満たせるように材料選定を行なう必要がある。特に電子材料用途に使用する場合は、NaやKなどの金属不純物イオン、あるいはハロゲンイオン含有量が少ないものを用いることが、信頼性確保の面から好ましい。
前述のペースト組成物の構成材料に加え、必要があれば分散剤、可塑剤、粘度調整剤などを添加することによって、ペースト安定性や柔軟性を向上させることができ、安定した印刷プロセスが得られる。
印刷に用いる導電性ペーストは、絶縁バンクを溶解しないような有機溶剤をベースとした低温熱硬化タイプのものを用いるのが好ましい。硬化・乾燥温度は、使用する基板材質や、活性層14に使用する有機半導体の耐熱温度によって制限が必要である場合が多い。
本実施例においては、藤倉化成(株)の低温焼結タイプ(FA451)に希釈剤を適宜添加して粘弾性を調整したものを用いた。
印刷ペースト62の印刷後は、熱や紫外線照射などによってペーストを硬化、乾燥し、所望のパターンとすることが好ましい。硬化・乾燥温度は、使用する基板材質や、活性層14に使用する有機半導体の耐熱温度によって適宜選択してよい。乾燥温度が200度以下の場合には、可撓性を有する基板を用いることもできる。このような場合、絶縁膜43中には樹脂とフィラーが混在することになるが、樹脂バインダーの熱膨張係数とフィラー体積空間率(フィラー同士の隣接空間の大きさ)によって、実装プロセス時の圧力を分散する効果も期待できる。膜厚を厚く形成したい場合は、スクリーン印刷工程と乾燥工程を繰り返すことによって、所望の厚さになるようにしても良い。
この対策のため、先願の特願2009−14575号明細書に記載されているように、濡れ性変化層を用いて印刷ペースト62と被印刷基板表面との密着力を改善することがより好ましい。濡れ性変化層は、表面にエネルギーを付与することで表面自由エネルギーが変化する薄膜層であり、被印刷基板表面にこのような濡れ性変化層を設けて濡れ性領域をマッピングすることによって、印刷ペースト62が濡れやすい領域と濡れにくい領域を意図的に制御し、印刷ペースト62の密着性を制御してもよい。
図4bは、有機TFT素子の接続部に配置した絶縁膜43の断面形状を模式的にあらわしたものである。図の左側から1番目の層間絶縁膜43の厚さ(膜厚保)をd1,2番目の膜厚をd2・・・としていくと膜厚はある範囲で分布する。
この膜厚のばらつきはスクリーンメッシュ64(図6a参照)を構成する紗と乳剤開口部68(図6b参照)との位置関係に起因するから、これに対しては、上記スクリーンメッシュ64によるスクリーン版の乳剤を厚くして印刷することで対処するのが好ましい。
これは、以下の理由による。例えば、ラインパターンの中央にメッシュ開口部がある場合とメッシュ交点がある場合とでは、実質の製版開口面積(率)が大きく異なっている。このため、それぞれの場所で転写されるペースト量に変動が生じやすく、特にラインが等ピッチで配列複写されている印刷パターン69aでは、ラインピッチとメッシュピッチとが一定周期で同期し、干渉縞(モアレ現象)が生じる。このようなモアレ現象のため、ラインパターン(膜厚)変動が起こりやすくなる。
この対策として、スクリーンメッシュ64を紗張りする際のバイアス角度を調整し、形成したいパターンに対して、開口面積をできるだけ均一になるようにパターン配置することでペースト吐出量の変動を最小限にすることができる。また、スクリーン乳剤67を厚くすることによって、印刷ペースト62の吐出体積を印刷領域内で均一にすることができるため好ましい。
ゲート選択線32に繋がるバスラインに走査信号用のドライバICを、ソース信号線31に繋がるバスラインにデータ信号用のドライバICが接続されたFPCを外部駆動回路に各々接続することで、アクティブマトリクス駆動型有機TFT回路基板が完成する。FPCは、あらかじめACF又はACPが予め接続端子部に積層されているものを使用するのが簡便であり好ましい。また、ACFに含有される熱硬化樹脂の架橋温度で実装プロセスを行なう必要があり、絶縁膜43や接続用電極のガラス転移温度(Tg)が実装プロセス温度(仮接着から本接着において接続部にかかる温度)よりも高いことが望ましい。
最後に、厚膜化した接続部とFPCとを電気的に接続したアクティブマトリクス駆動型有機TFT回路基板と、表示パネルに電気泳動素子を用いた画像表示装置について説明する。
電気泳動表示パネルは、前記アクティブマトリクス駆動型回路基板に対向するように設けられた対向基板と、これら両基板間に設けられた電気泳動素子層とから構成されている(図2b)。
前記電気泳動素子層は、特許文献1に開示されるようなマイクロカプセルを複数備えた構成となっている。前記マイクロカプセルは樹脂皮膜によって形成されており、マイクロカプセルは、表示領域全域を覆うように複数配置されている。また、マイクロカプセルは、実際には隣接するマイクロカプセル同士が密着するため、表示領域はマイクロカプセルによって隙間なく、覆われている。
マイクロカプセルには、分散媒、電気泳動粒子等を有する電気泳動分散液が封入されている。前記電気泳動粒子としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベンガラ、酸化アルミニウム、黒色低次酸化チタン、酸化クロム、ベーマイト、FeOOH、二酸化珪素、水酸化マグネシウム、水酸化ニッケル、酸化ジルコニウム、酸化銅等が用いられている。
ここでは、酸化チタン微粒子とオイルブルーで着色したアイソパーを内包するマイクロカプセルをPVA水溶液に混合して、ITOからなる透明電極を形成したポリカーボネート基板上に塗布して、マイクロカプセルとPVAバインダーからなる電気泳動表示パネルを形成した。
表示パネルとアクティブマトリクス回路基板とを貼り合わせることにより、電気泳動型の画像表示装置が完成する。ゲート選択線32およびソース信号線31が束ねられた各ブロックの接続端子45へ電気制御信号を入力することで、画像の表示切替が可能となる。
次に実施例1について説明する。
上記OTFT1およびOTFT2のゲート接続部に対して、絶縁膜43、接続用電極をスクリーン印刷で形成し、厚膜化する。このために、まず、ゲート接続部へ絶縁膜43を形成する。
絶縁膜43の設計値は、OTFT1の場合はライン幅(L1)/スペース(S1)=100μm/100μm、ライン長(W1)=2000μmで110本であり、OTFT2の場合はL1/S1=50μm/50μmで220本である。これを3ブロック分並列に配置し、ゲート接続部の隣接電極間を被覆する絶縁膜43のパターンを形成する。
ただし、上記「ライン幅(L1)」は、スクリーン開口部のライン幅LをOTFT1の場合は100μm,OTFT2の場合は50μmとしたものであり(図7a参照)、上記「スペース(S1)」は、ライン間のスペースでありOTFT1の場合は100μm,OTFT2の場合は50μmであり(図7a参照)、上記「ライン長(W1)」は、スクリーン開口部のライン長さWを2000μmとしたものである(図7a参照)。
絶縁膜43を形成するための絶縁性ペーストは、ポリビニルブチラール樹脂20体積部をブチルセロソルブ55体積部へ溶解したビヒクルへ、25体積部のシリカ微粒子を分散させたものを用いた。得られた絶縁性ペーストをブルックフィールド型粘度計のNo.14スピンドルで計測したところ、10rpmでの粘度は200[Pa・s]となった。
以上のスクリーン版を基板から一定間隔となるように配置し、絶縁性ペーストを用いてスクリーン印刷を行ない、絶縁膜43をゲート接続部上へ形成した。
印刷方向(すなわち、スキージ61の走査方向)は図7aにおけるY方向であり、上記クリアランスを1.8mm、スキージ速度を60mm/sとした。スキージ61はウレタン製のゴムスキージを使用し、アタック角は(基板面とスキージとの為す角度で、スキージ走査方向側の角度)70度とした(図6b、図6c参照)。印刷後のペーストを、対流式のオーブンを用いて150度で1時間の熱処理して、絶縁膜43を得た。
接続用電極の設計値は、OTFT1の場合はライン幅(L2)/スペース(S2)=100μm/100μm、ライン長(W2)=2000μmで110本であり、OTFT2の場合はL2/S2=50μm/50μmで220本である。これを上記絶縁膜43およびゲート接続部の電極表面上へ形成する。
ただし、上記「ライン幅(L2)」は、スクリーン開口部のライン幅LをOTFT1の場合は100μm,OTFT2の場合は50μmとしたものであり(図示略)、「スペース(S2)」は、ライン間のスペースでありOTFT1の場合は100μm,OTFT2の場合は50μmであり(図示略)、「ライン長(W2)」は、スクリーン開口部のライン長さWを2000μmとしたものである(図示略)。
スクリーン版は平織り500番のステンレスメッシュに3μm厚みのNiメッキを施し、厚さ10μmの感光性乳剤を形成し、接続用電極の設計値がスクリーン版の乳剤開口部68となるように露光して、パターニングしたものを用いた。図示しないが、上記絶縁膜43用のスクリーン版レイアウトと同様の構成であり、接続用電極のパターン開口部は絶縁膜のラインスペース部に相当するように配置してある。導電性厚膜ペーストには上述したスクリーン印刷用Agペーストを用い、粘度は約200[Pa・s]に調整した。
続いて、測長機能付光学顕微鏡であるOLYMPUS MX61Hを用いて、ゲート接続部の接続用電極形状を観察したところ、OTFT1、OTFT2ともに隣接パターンのショートは見られなかった。ソース接続部(4ブロック分)についても同様に厚膜化が確認され、アクティブマトリクス駆動型有機TFT回路基板を得た。
上記のようにして得られたアクティブマトリクス駆動型有機TFT回路基板のソース/ゲート接続部に対して、ACFがあらかじめ積層してあるFPCを熱圧着し、電気信号を入力できるようにした。実装プロセスは180度で1.5[MPa]で行なった。
さらに、電気泳動表示パネルを貼り合わせ後、表示パネルの対向電極24を駆動装置に接続し、回路基板のゲート選択線32とソース信号線31に電気信号を入力して動作テストを行ったところ、均一な表示コントラストおよび解像度を得ることができた。
〔比較例1〕
実施例1と同様にしてソース/ゲート端子部を厚膜化した。ただし、絶縁膜43を設けず、接続用電極を直接、ゲート電極線41/ソース電極線42上へ形成した。
得られたゲート接続部を実施例1と同様に観察したところ、接続用電極の重ね合わせずれによってTFT素子の電極配線とショートしている領域が見られた。その数は、OTFT1ではブロック当たり30本、OTFT2では50本であった。このように、高精細パターンを印刷する場合は、パターンの重ね合わせずれに対する隣接ショートがより顕著となったと考えられる。
実施例1と同様にして電気泳動表示パネルを作製し、表示テストを行なったところ、良好な表示コントラストが得られなかった。接続用電極のショートは隣接するゲート選択線32,32が短絡しているのと等しく、FPCの接続端子45から駆動信号が正常に入力できずに動作不良を起こしたためと考えられる。
OTFT1を用いて、接続部にスルーホール33を有する層間絶縁膜21を形成した。スルーホールパターンは、Φ110μmの円形状で電極配線上へ位置するようにスクリーンマスクを作製し、乳剤を塗布して露光・パターニングを行なったスクリーン版を使用した(マスクは図示略)。層間絶縁膜21の印刷条件およびペーストは、実施例1と同様の条件である。続いて、導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にしてOTFT1のソース/ゲート端子部を厚膜化した。
得られたゲート接続部を実施例1と同様に観察したところ、接続用電極はスルーホール33上で幅が広がり、隣接する電極配線とショートしている領域が見られた。その数は、ブロック当たり30本であった。このように、絶縁膜43をTFT配線間のみに形成せず、スルーホール33を用いた接続形態とすると、スルーホール部で接続電極44が部分的に太くなるため、ショートが顕著となった。
実施例1と同様にして電気泳動表示パネルを作製し、表示テストを行なったところ、良好な表示コントラストが得られなかった。接続用電極のショートは隣接するゲート選択線32,32が短絡しているのと等しく、FPCの接続端子45から駆動信号が正常に入力できずに動作不良を起こしたためと考えられる。以上の結果をまとめて、表1に示している。
この実施例2(表面粗さについて言及)では、OTFT2を使用した。
実施例1で用いた絶縁性ペーストについて、シリカフィラーの粒子径を100nm〜50000nmの範囲で粘度が200[Pa・s]となるようにペーストを作製した(絶縁ペーストNo.1〜7)。上記ペーストを用いて、実施例1と同様にして絶縁膜43を形成し、レーザー顕微鏡(OLYMPUS OLS3500)により絶縁膜43の表面プロファイルを三次元計測によって測長した。
その結果、絶縁膜43の表面粗さRaは0.5μm〜6μmの範囲であることが分かった。各々の絶縁膜43を形成した有機TFT素子に対して、実施例1と同様にして接続用電極を設け、画像表示装置を作製した。各々の画像表示装置について、表示テスト結果を表2に示している。
以上の結果、絶縁膜表面粗さが5μm以下とすれば、正常な表示コントラストが得られることがわかった。
実施例1で用いた絶縁性ペーストについて、フィラー配合を次のように変更してペーストを作製した。有機ビヒクルに対するシリカフィラーの配合量を15体積部から30体積部の範囲で変化させたペーストを作製した(絶縁ペーストNo.8〜14)。
上記ペーストを用いて、実施例1と同様にして絶縁膜43を形成し、レーザー顕微鏡(OLYMPUS OLS3500)により絶縁膜43の断面形状を三次元計測によって測長した。
図4cのように、絶縁膜43は曲面形状となっておりその極大膜厚dmaxと極大点における曲率半径をRとして各々のペーストについてR/dmaxを算出した。その結果、曲率半径Rは、平均膜厚dに対して1.8〜12.2倍で分布していた。
実施例3で用いた絶縁ペーストNo.8〜14を用いて、実施例1と同様にしてガラス基板上に絶縁膜43を形成した。続いて、接続用電極を図7bに示すように櫛型にパターニングされたスクリーン版で印刷し、接続部形状を得た。接続用電極の設計値は、ライン幅/スペース=50μm/50μmである。
上記のように形成した接続用電極上に、封止剤を塗布硬化(厚み1mm)した。各サンプルを85度85%RHに保たれた高温高湿槽中に静置し、陽極に20V、陰極に−20VのDC電圧を印加して電気抵抗を評価した。試験時間は1000hrで、試験後の各サンプルについて顕微鏡観察を行なって、イオンマイグレーション発生状況を評価した。
6:有機TFT基板
11:ソース電極
12:ドレイン電極
13:ゲート電極
14:活性層(有機半導体)
21:絶縁膜(絶縁バンク)
22:画素電極
23:上部基板
24:対向電極
25:電気泳動表示素子
31:ソース信号線
32:ゲート選択線
33:スルーホール
41:ソース電極線
42:ゲート電極線
43:絶縁膜
44:接続電極
45:接続端子
51:ソース接続ブロック
52:有機TFTアレイ
53:ゲート接続ブロック
61:スキージ
62:印刷ペースト
62a:版内に残ったペースト
63:ステージ
64:スクリーンメッシュ
65:被印刷基板
66:スクリーン版枠
67:スクリーン乳剤
68:乳剤開口部
69:転写されたパターン
69a:印刷パターン
Claims (8)
- 基板と、基板上に形成された薄膜トランジスタ素子と、該薄膜トランジスタ素子の金属電極群へ外部回路基板の接続端子が電気的に接続されるための接続部において、当該接続部の各々の金属電極間のみを覆う絶縁膜が形成された接続部と、上記薄膜トランジスタ素子の金属電極と上記絶縁膜の両方に接する接続用電極群とを有することを特徴とする回路基板。
- 請求項1に記載の回路基板において、上記薄膜トランジスタ素子の金属電極は接続部で周期的に配列され、上記絶縁膜はライン形状であり上記薄膜トランジスタ素子の金属電極間に周期的に配置され、上記絶縁膜の算術平均粗さRaは2μm以下であることを特徴とする回路基板。
- 請求項2に記載の回路基板において、上記絶縁膜の極大膜厚の最大値dmaxにおける曲率半径Rが10≧R/dmax≧2の範囲であることを特徴とする回路基板。
- 請求項1乃至請求項3に記載の基板は可撓性を有しており、かつ、上記絶縁膜は、樹脂バインダーと絶縁性フィラーによるものであることを特徴とする回路基板。
- 請求項1乃至請求項4に記載の回路基板の接続部へフレキシブルプリント基板を接続し、表示素子と貼り合わせたものであることを特徴とする画像表示装置。
- 請求項1乃至請求項5に記載の回路基板の接続部がスクリーン印刷法で形成されたものであることを特徴とする回路基板。
- 請求項1に記載の回路基板の製造方法であって、TFT素子の接続部を厚膜化する場合において、スクリーン印刷法を用いて絶縁膜すなわち絶縁性バンクをトランジスタ素子の電極配置間に形成し、絶縁バンクで仕切られた各々の電極配線上へ導電性ペーストをスクリーン印刷することを特徴とする回路基板の製造方法。
- 請求項7の回路基板の製造方法であって、その絶縁バンクが少なくともSiO2と樹脂バインダーを含むものであり、導電性ペーストが少なくともAgと樹脂バインダーを含むものであることを特徴とする回路基板の製造方法。
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