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JP2010283281A - 発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】波長変換部材内を伝搬する光路長差による色ムラを低減し、樹脂からなる接着剤の劣化による信頼性の低下を回避しながら、発光素子及び波長変換部材から放出される光を効率良く外部に取り出すことができる発光装置を提供する。
【解決手段】本発明の発光装置は、半導体素子構造を有する発光素子と、光反射性材料を含有し、前記発光素子の出射面を露出して、該側面を被覆する被覆部材と、前記発光素子から離間され、互いに対向する発光面と、前記発光素子の出射表面からの光を受光する受光面と、を有する光透過部材と、を備え、前記被覆部材は、前記発光素子と前記光透過部材の離間領域において、前記発光素子の側面より前記光透過部材まで延在して、該延在部が前記離間領域を囲み、該離間領域側表面に第1の反射面を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光装置に関し、より詳細には発光素子を被覆する光反射性の被覆部材を備えた発光装置に関する。
近年、光源として発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)やレーザダイオード(Laser Diode:LD)等の半導体発光素子を搭載した発光装置が、各種の照明や表示装置に利用されている。特に、これら半導体発光素子は消費電力が低く長寿命であるため、電球や蛍光灯に代替可能な次世代照明の光源として注目を集めており、さらなる発光出力および発光効率の向上が求められている。また、自動車のヘッドライト等の投光照明のように、配光特性に優れ、高輝度で且つ信頼性の高い光源も求められている。
例えば特許文献1に開示された発光装置は、光取出側に開口したケース内にLED素子が載置されており、そのケース内に光反射粒子を含有するコーティング材が充填され、LED素子における光取出面を除く外面領域は、このコーティング材でもって被覆されている。加えて、成形されたコーティング材の外面上に、LED素子の光取出面を覆うシート状の蛍光体層が配設されており、該蛍光体層の表面を光出射面としている。この蛍光体層は、LED素子からの一次光(青色光)を受けて励起されることにより、波長変換された二次光(黄色光)を放射するYAG等の蛍光体を含む樹脂からなり、一次光と二次光との混色によって光出射面から白色光を放出可能である。
また例えば特許文献2には、LEDチップに光透過性の接着剤により蛍光体チップを固着したLEDチップ組立体を、リードフレームのカップ部や絶縁性基板上に実装し、光散乱剤を混合した保護層や封止樹脂により該LEDチップ組立体を封止した発光装置が開示されている。
特開2007−019096号公報 特開2002−141559号公報 特開2002−305328号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された発光装置では、LED素子から蛍光体層に入射される光の入射角によって、蛍光体層内を伝搬する光の光路長が異なり、高角度の光成分ほど蛍光体による波長変換量が相対的に大きくなる。このため、蛍光体層から発光される光の放射角度に依存して光の混色の割合が変化し、色ムラを生じる問題があった。
また上記特許文献2に開示された発光装置では、LEDチップと蛍光体チップとを樹脂材料からなる接着剤を用いて固着しており、LEDチップや蛍光体チップが発する光や熱により接着剤が劣化することで、光損失や色度変化を生じるため、発光装置の信頼性が低下する問題があった。他方、接着剤を介さずにLEDチップと蛍光体チップとを離間させて配置すれば、このような問題を改善することができるが、蛍光体チップ表面での光反射が増大し、蛍光体チップへの光結合効率が低下して、発光装置の発光効率が悪化してしまう。さらに、LEDチップから出射されリードフレームのカップ部や絶縁性基板など実装基体に入射する光成分は、該実装基体による光吸収の影響を受け、外部に有効に取り出されず、光出力が低下する虞があった。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、蛍光体を含む波長変換部材内を伝搬する光路長差による色ムラを低減し、樹脂からなる接着剤の劣化による信頼性の低下を回避しながら、発光素子および波長変換部材から放出される光を効率良く外部に取り出すことができる発光装置を提供することを目的とする。
本発明は、下記(1)〜(14)の手段により上記課題を解決することができる。
(1) 半導体素子構造を有する発光素子と、光反射性材料を含有し、前記発光素子の出射面を露出して、該側面を被覆する被覆部材と、前記発光素子から離間され、互いに対向する発光面と、前記発光素子の出射表面からの光を受光する受光面と、を有する光透過部材と、を備え、前記被覆部材は、前記発光素子と前記光透過部材の離間領域において、前記発光素子の側面より前記光透過部材まで延在して、該延在部が前記離間領域を囲み、該離間領域側表面に第1の反射面を有する発光装置。
(2) 前記離間領域は空隙であって、前記第1の反射面は、前記被覆部材と空隙との界面に設けられる上記(1)に記載の発光装置。
(3) 前記第1の反射面は、凹面である上記(1)又は(2)に記載の発光装置。
(4) 前記第1の反射面は、凸曲面を有する請求項1又は2に記載の発光装置。
(5) 前記被覆部材は、前記光透過部材の側面を包囲する第2の反射面をその表面に有する上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の発光装置。
(6) 前記被覆部材は、前記光透過部材の側面を被覆し、前記第2の反射面は、前記被覆部材と前記光透過部材の側面との界面に設けられる上記(5)に記載の発光装置。
(7) 前記第2の反射面は、前記光透過部材の発光面より前方に延出した被覆部材の延出部の表面に設けられている上記(5)又は(6)に記載の発光装置。
(8) 半導体素子構造を有する発光素子と、光反射性材料を含有し、前記発光素子の出射面を露出して、該側面を被覆する被覆部材と、互いに対向する発光面と、前記発光素子の出射表面からの光を受光する受光面と、を有し、前記発光素子の出射面に接合する光透過部材と、を備え、前記被覆部材は、前記光透過部材の外側において、前記光透過部材の側面から前記発光面より前方に延出して、該延出部が前記発光面を包囲し、該発光面側表面と、前記光透過部材の側面とに第2の反射面を有する発光装置。
(9) 前記光透過部材の側面が、前記発光素子の外側の側面より、内側に設けられている上記(8)に記載の発光装置。
(10) 前記延出部は、該開口幅が前記発光面側より狭く、該延出部の前記第2の反射面が発光面に対面するように傾斜して、該発光面の前方を一部覆っている上記(7)〜(9)のいずれか1つに記載の発光装置。
(11) 前記延出部は、該開口幅が前記発光面側より広く、該延出部の前記第2の反射面が発光面より側方の外側に設けられている上記(7)〜(9)のいずれか1つに記載の発光装置。
(12) 前記光透過部材の発光面に接合し、該接合側に対向する表面の第2の発光面を備えた透光性部材を有し、前記延出部は、前記透光性部材の側面を被覆しており、該側面に前記第2の反射面が設けられている上記(10)又は(11)に記載の発光装置。
(13) 前記光透過部材は、前記発光素子に励起される波長変換部材である上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の発光装置。
(14) 前記波長変換部材は板状体である上記(13)に記載の発光装置。
本発明によれば、色ムラの少ない高出力発光が可能であり、高い発光効率と信頼性を合わせ持つ発光装置を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る発光装置の概略上面図(b)と、そのA−A断面における概略断面図(a)である。 本発明の一実施形態に係る発光装置の光源部周辺を説明する概略断面図である。 本発明の一実施の形態に係る発光素子の概略断面図である。 本発明の一実施の形態に係る発光装置の概略上面図(b)と、そのA−A断面における概略断面図(a)と、その光源部周辺を説明する概略断面図(c)である。 本発明の一実施の形態に係る発光装置の概略断面図である。 本発明の一実施の形態に係る発光装置の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る発光装置の光源部周辺を説明する概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る発光装置の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る発光装置の光源部周辺を説明する概略断面図である。
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を以下のものに特定しない。特に、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、以下に記載されている実施の形態についても同様に、特に排除する記載が無い限りは各構成等を適宜組み合わせて適用できる。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る発光装置の概略図であり、図1(a)は概略上面図の図1(b)のA−Aにおける概略断面図であり、図2はその光源部周辺の概略断面図である。図1,2に示す例の発光装置は、主として、発光素子10と、発光素子から出射された光を透過する光透過部材20と、発光素子、光透過部材の一部を被覆する光反射性の被覆部材40,45と、から構成されている。
発光素子10は、基板上に設けられた半導体素子構造を備え、基板の裏面を上面として実装基板50の配線55上に導電性接着材60により1個フリップチップ実装されている。また実装基板50上には、その発光素子10を包囲するように、第1の枠体51と、さらにその外側に第1の枠体51より高い第2の枠体52と、が設けられている。そして、その第1の枠体51の内側には、光反射性材料46を含有する被覆部材40が充填され、発光素子10の基板の裏面を光出射面として露出させて、発光素子10の周部が該被覆部材40に被覆されている。これにより、発光素子10から側方や下方に出射される光は、光反射性の被覆部材40によって素子の内部に反射され、効率良く該基板の裏面から取り出すことができる。
第1の枠体51上には、互いに対向する表面21(発光面90)および受光面22を有する1枚の板状の光透過部材20が載置され第1の枠体51を閉蓋し、受光面22と発光素子10の出射面との間に離間領域30が設けられている。この光透過部材20は、第1の枠体51により発光素子10と離間して配置されており、発光素子10から出射される光を受光面22で受光、透過し、表面21より装置外部に放出する。また光透過部材20は、発光素子10から出射された光を一次光として、該一次光に励起されその波長変換光である二次光を放出可能な蛍光体を含有する波長変換部材であってもよい。
また被覆部材40は、第1の枠体51の内壁を該枠体上面まで這い上がって形成され、素子の外側で裏面から前方に伸びて、素子の側面から上面に延在している。図のように光透過部材の受光面22に当接されると良い。さらに、その表面に第1の反射面31が設けられている。この第1の反射面31は、凹曲面となっており、平面である場合に比して反射面の面積が増え反射効率を向上でき、また、発光素子10より幅広な光透過部材20の受光面22に対して好適に光を反射させて光結合させることができる。すなわち、離間領域30が、受光面22と出射面に加えて、被覆部材40、その第1の反射面31で囲まれた構造を有し、発光素子10と光透過部材20とが離間されることによる光結合効率の低下を抑え、さらに被覆部材40による散乱作用で、色ムラ、輝度ムラを好適に改善できる。
この発光素子10の周囲に設けられた第1の反射面31により、基板の裏面の出射面から高角度方向に出射された光は、第1の枠体51の内壁表面への入射による光吸収の影響を受けずに、光透過部材の受光面22側に反射され、光結合する。また第1の反射面31による光の散乱作用によって、光透過部材の受光面22への入射角を低減することができる。よって、特に第1の反射面31に対向する光透過部材20の周縁部において光透過部材20への入射角が低減され、光透過部材20が波長変換部材である場合には、波長変換部材内の光路長差に起因して発生する色ムラを低減することができる。また、光透過部材の受光面22で反射された光(戻り光)、受光面22から放出した二次光の一部も第1の反射面31に入射され、同様に光透過部材の受光面22側に反射・散乱させ、再度受光面22に入射させることができ、光透過部材20への光結合効率を高めることができる。
また、本実施の形態1において、光透過部材の受光面22と発光素子10との間の離間領域30は空隙となっており、第1の反射面31は被覆部材30と、その空隙、空隙中の空気などの気体との界面に設けられている。一般的に樹脂材料で構成される接着剤などを介さず、発光素子10と光透過部材20とが空隙30により離間されて配置されていることで、光や熱によって接着剤、さらに光透過部材20が劣化し、信頼性が低下することを回避することができる。空隙30により離間されている場合、光透過部材の受光面22での光反射が増加するが、第1の反射面31によって戻り光を再び反射させることにより、光透過部材20への光結合効率の低下を抑制することができる。従って、第1の反射面31が、発光素子10の出射面より光反射率が高いことが好ましく、さらに光散乱作用が高いことが好ましい。
さらに、第1の枠体51と第2の枠体52の間には、上記と同様に光反射性の被覆部材45が充填されており、その表面に第2の反射面32が設けられている。本実施の形態1において、被覆部材45は、光透過部材の表面21を露出して、光透過部材20の側面を被覆しており、第2の反射面32aが光透過部材20の側面と被覆部材45の界面に設けられている。これにより、光透過部材20の側面から側方に漏れ出す光を上方に反射させ、高輝度の発光を実現することができる。また光透過部材20が波長変換部材である場合、その周縁部、側方では、発光素子10からの一次光成分が不足し波長変換された二次光成分が多い光が放出される虞があるが、このような側方への光を第2の反射面32により内部に反射させることで、一次光と二次光の混色を促進し、色ムラを低減することができる。また光透過部材20の側面を被覆し、表面21を露出させることで、該発光装置100の主たる光取り出しの窓部(発光面90)とする面発光型の発光装置が形成され、光透過部材の表面21の形状に依存して、該発光装置100の配光を制御することができる。
また被覆部材45は、第2の枠体52の内壁を該枠体の上面近傍まで這い上がって形成され、光透過部材20と第2の枠体52との間、すなわち光透過部材20の外側で、その発光面90より前方に延出した延出部を有しており、第2の反射面32はその延出部の表面まで形成されている。これにより、光透過部材の発光面90より高角度に放出される光を上方に反射させ、発光装置100の正面輝度をさらに高めることができる。なお、この延出部の第2の反射面32bは凹曲面であって、凸曲面である場合より比較的広い配光を得ることができる。また、上述のように光透過部材20が波長変換部材である場合、高角度の一次光ほど波長変換部材中を伝搬する光路長が長くなり波長変換量が大きくなるため、発光面90からの高角度の出射光は二次光成分が多くなる虞があるが、この延出部の表面に形成される第2の反射面32bにより装置内側に散乱させることで、一次光と二次光の混色を促進し、さらに色ムラを低減することができる。
以上、説明したように、本発明の発光装置は、凹部を備えた被覆部材とその凹部の底に、被覆部材に少なくとも側面が被覆された光源部の発光素子があり、その凹部内、それを閉じる蓋のように閉蓋した光透過部材が設けられて、複合的な光源部となっている。その複合光源部内の離間領域内、すなわち光源部と光透過部材とで挟まれた領域の周囲側面を被覆部材で包囲して、第1の反射面で囲まれた領域内において、光源から取り出された光、また光透過部材から光源側に放出された一次光、二次光が、各部材と第1の反射面で互いに重畳し、また反射面による集光作用により、所望の発光特性、特に配向性、色度分布、輝度分布の光を複合光源の発光面である光透過部材の表面から取り出す構造となっている。従って、後述するように光反射性材料を備えた透明部材の被覆部材であると、反射作用に、散乱作用が加わるため、その機能をより高めることができる。さらに、その複合光源から取り出された光、すなわち光透過部材の外側に取り出された光に対して、それを反射する第2の反射面となる被覆部材が付加的に設けられると、上記各特性の制御性が高められる。従って、第1,2の反射面は、一体の被覆部材で形成されても良く、各実施形態で説明するように、個々に成形したものでも良い。
一方、実施形態6,7、図8,9に観るように、光源部に波長変換部材などの光透過部材が内包され、すなわち発光素子と光透過部材が、直接、あるいは接着剤などを介して、互いに接合され、複合光源部が一体的なものとすることもできる。この場合は、光源部より前方に突出した被覆部材の反射面は、上記複合光源の外側に設けられる第2の反射面と同様なものとなる。すなわち、上述したように、光源部近傍において、被覆部材、上記光源部側の第1の反射面と同様に、反射、集光、散乱作用により、所望の発光特性を得ることができる。さらに、光源部に内包された光透過部材に代えて、別の透光性部材を用いて、所望形状の被覆部材の延出部、その第2の反射面を設けて、所望の発光面の形状、発光特性を得ることができる。具体的には、実施形態5,6のように、光源部より幅の狭い放出口を備えた被覆部材の延出部、またその透光性部材とすることができる。他方、放出側が幅広となる形状とすることもでき、上記透光性部材を用いることで、上述した離間領域と同様に、その部材内で光が重畳されて、所望の発光をその透光性部材表面の第2の発光面から取り出すことができる。
次に、本発明の発光装置の各構成部材について、以下に詳述する。
(発光素子)
発光素子10は公知のもの、具体的には半導体発光素子を利用でき、特にGaN系化合物半導体であれば、蛍光物質を効率良く励起できる短波長の可視光や紫外光が発光可能であるため好ましい。具体的な発光ピーク波長は240nm以上560nm以下、好ましくは380nm以上470nm以下である。なお、このほか、ZnSe系、InGaAs系、AlInGaP系半導体の発光素子でもよい。
(発光素子構造)
半導体層による発光素子構造11は、図3に例示するように少なくとも第1導電型(n型)層2と第2導電型(p型)層4とにより構成され、更にその間に活性層3を有する構造が好ましい。また、電極構造は、一方の主面側に第1導電型(負)、第2導電型(正)の両電極6,7が設けられる同一面側電極構造が好ましいが、半導体層の各主面に対向して電極が各々設けられる対向電極構造でも良い。発光素子10の実装形態も、例えば上記同一面側電極構造では、電極形成面を実装面として、それに対向する基板1側を主な出射面とするフリップチップ実装が、その出射面と光透過部材20との光学的な接続上好ましい。この他、電極形成面側を主な出射面として、その上に光透過部材を結合する実装、フェイスアップ実装、また配線構造を備えた光透過部材にフリップチップ実装、上記対向電極構造で光透過部材と実装基板に接続すること、ができ、好ましくは発光素子と光透過部材に配線、電極を備えない実施例の実装が良い。なお、半導体層11の成長基板1は、発光素子構造を構成しない場合には除去してもよく、成長基板が除去された半導体層に、支持基板、例えば導電性基板または別の透光性部材・基板を接着した構造とすることもできる。この支持基板に光透過部材20を用いることもでき、その他、ガラス、樹脂などの光透過部材により半導体層が接着・被覆されて、支持された構造の素子でもよい。成長基板の除去は、例えば支持体、装置又はサブマウントに実装又は保持して、剥離、研磨、若しくはLLO(Laser Lift Off)で実施できる。また、発光素子10は光反射構造を有することができ、具体的には、半導体層11の互いに対向する2つの主面の内、光取り出し側(出射面側)と対向する他方の主面を光反射側(図1における下側)とし、この光反射側の半導体層内や電極などに光反射構造を設けることができる。光反射構造の例として、半導体層内に多層膜反射層が設ける構造、あるいは半導体層の上にAg、Al等の光反射性の高い金属膜や誘電体多層膜を有する電極、反射層を設けた構造がある。
(窒化物半導体発光素子)
発光素子10の一例として、図3の窒化物半導体の発光素子10では、成長基板1であるC面サファイア基板の上に、第1の窒化物半導体層2であるn型半導体層、活性層3である発光層、第2の窒化物半導体層4であるp型半導体層が順にエピタキシャル成長されている。そして、n型層2の一部が露出されて第1の電極7であるn型パッド電極を形成し、p型層4のほぼ全面にITO等の透光性導電層5、第2の電極6であるp型パッド電極が形成されている。さらに、保護膜8をn型、p型パッド電極6,7の表面を露出し、半導体層を被覆して設けられる。なお、n型パッド電極7は、p型同様に透光性導電層を介して形成してもよい。成長基板1は、C面サファイアの他、R面、及びA面、スピネル(MgAl24)のような絶縁性基板、また炭化珪素(6H、4H、3C)、Si、ZnS、ZnO、GaAs、GaNやAlN等の半導体の導電性基板がある。窒化物半導体の例としては、一般式がInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)の他、BやP、Asを混晶してもよい。また、n型、p型半導体層2,4は、単層、多層を特に限定されず、活性層3は単一(SQW)又は多重量子井戸構造(MQW)が好ましい。青色発光の素子構造11の例としては、サファイア基板上に、バッファ層などの窒化物半導体の下地層、例えば低温成長薄膜GaNとGaN層、を介して、n型半導体層として、例えばSiドープGaNのn型コンタクト層とGaN/InGaNのn型多層膜層が積層され、続いてInGaN/GaNのMQWの活性層、更にp型半導体層として、例えばMgドープのInGaN/AlGaNのp型多層膜層とMgドープGaNのp型コンタクト層が積層された構造がある。
(光透過部材)
また図1の発光装置100は、発光素子10からの光を透過する光透過部材20を備える。光透過部材20は、通過する光の少なくとも一部を波長変換可能な波長変換材料を有する光変換部材であることが好ましい。例えば実施例のように、光源からの一次光が、光透過部材20中の波長変換材料としての蛍光体を励起することで、一次光と異なった波長を持つ二次光が得られ、さらに一次光との混色により、所望の色相を有する出射光を実現できる。
上述の通り、実施の形態1の光透過部材20は、表面21(発光面90)からの平面視において発光素子10を内包し、その側面が、発光素子10の側面(端面)よりも外方に突出し、発光素子10の出射面より幅広な受光面22でもって発光素子10と光学的に接続されるため損失が少ない。このほか、後述の実施の形態6,7に示すように、光透過部材20の側面が、発光素子10の側面よりも内側に位置する、つまり発光素子10の出射面が突出される形態でもよく、この例のように光透過部材の受光面22を発光素子10の出射面より小さくした形態であってもよい。発光素子に対して発光領域を絞ることで相対的に輝度が高められ、また混色の均一化が図れ、色ムラが低減される。また、光透過部材20の側面が発光素子10の側面と略同一面上に位置する形態であれば、光透過部材の外縁部において、発光素子10からの光量が不足して色ムラが発生しやすくなるのを抑制できる。
ここで、光透過部材20の母材となる透光性材料としては、下記被覆部材40と同様な材料を用いることができ、例えば樹脂、又はガラスなどの無機物を用いることができる。変換機能を備えない場合も、蛍光体を除いて、又はそれに置換して、光変換の光透過部材と同様の材料を用いることが好ましい。また、表面21、受光面22は、実施例のように光透過部材が板状である場合には、両面とも略平坦な面であること、更には対向する両面が互いに略平行であることが本発明の導光部材を介した光結合の効率が高まり、また接合が容易となり好ましい。一方で、板状に限らず、全体又は一部に曲面を有する形態、凹凸面などの面状の形態など、種々の形状若しくは形態、例えば集光、分散するための形状、例えばレンズ状などのような光学的な形状とすることもできる。また、波長変換機能として、発光素子の一次光とその変換光(二次光)の混色光を発光する他に、例えば発光素子の紫外光による変換光、若しくは複数の変換光による混色光のように、一次光から変換された二次光を主に出射する発光装置とすることもできる。
波長変換機能を備えた光透過部材20は、具体的にガラス板、それに光変換部材を備えたもの、あるいは光変換部材の蛍光体結晶若しくはその相を有する単結晶体、多結晶体、アモルファス体、セラミック体、あるいは蛍光体結晶粒子による、それと適宜付加された透光性材料との焼結体、凝集体、多孔質性材料、それらに透光性材料、例えば透光性樹脂を混入、含浸したもの、あるいは蛍光体粒子を含有する透光性部材、例えば透光性樹脂の成形体等から構成される。なお、光透過部材20は、樹脂等の有機材料よりも無機材料で構成されることが耐熱性の観点からは好ましい。具体的には蛍光体を含有する透光性の無機材料からなることが好ましく、特に蛍光体と無機物(結合材、バインダー)との焼結体、あるいは蛍光体からなる焼結体や結晶とすることで信頼性が高まる。なお、実施例のYAGの蛍光体を用いる場合、YAGの単結晶や高純度の焼結体のほか、アルミナ(Al23)を結合材とするYAG/アルミナの焼結体、ガラスを結合材とした焼結体が信頼性の観点から好ましい。また、光透過部材20を板状とすることで、面状に構成される発光素子10の出射面との結合効率が良く、光透過部材20の主面とが略平行になるよう容易に位置合わせできる。加えて、光透過部材20の厚みを略一定とすることで、通過する光の波長変換量を略均一として混色の割合を安定させ、発光面90の部位における色むらを抑止できる。このため、1つの光透過部材20に複数の発光素子10を搭載する場合において、個々の発光素子10の配置に起因する発光面90内の輝度や色度の分布にむらが少なく略均一で高輝度の発光を得ることができる。なお、波長変換機能を備えた光透過部材20の厚みは、発光効率や色度調整において、10μm以上500μm以下であることが好ましく、さらには50μm以上300μm以下であることがより好ましい。
波長変換部材は、青色発光素子と好適に組み合わせて白色発光とでき、波長変換部材に用いられる代表的な蛍光体としては、ガーネット構造のセリウムで付括されたYAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)及びLAG系蛍光体(ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)が挙げられ、特に、高輝度且つ長時間の使用時においては(Re1-xSmx3(Al1-yGay512:Ce(0≦x<1、0≦y≦1、但し、Reは、Y、Gd、La、Luからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。)等が好ましい。またYAG、LAG、BAM、BAM:Mn、(Zn、Cd)Zn:Cu、CCA、SCA、SCESN、SESN、CESN、CASBN及びCaAlSiN3:Euからなる群から選択される少なくとも1種を含む蛍光体が使用できる。波長変換部材は、光透過部材の他に、例えば光透過部材と発光素子との間、その結合部材中、発光素子と被覆部材との間、にも設けることもできる。光透過部材、波長変換部材及び焼結体も同様に発光装置中に配置できる。黄〜赤色発光を有する窒化物系蛍光体等を用いて赤味成分を増し、平均演色評価数Raの高い照明や電球色LED等を実現することもできる。具体的には、発光素子の発光波長に合わせてCIEの色度図上の色度点の異なる蛍光体の量を調整し含有させることでその蛍光体間と発光素子で結ばれる色度図上の任意の点を発光させることができる。その他に、近紫外〜可視光を黄色〜赤色域に変換する窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、珪酸塩蛍光体を用いることができる。例えば、L2SiO4:Eu(Lはアルカリ土類金属)、特に(SrxMae1-x2SiO4:Eu(MaeはCa、Baなどのアルカリ土類金属)などが挙げられる。窒化物系蛍光体、オキシナイトライド(酸窒化物)蛍光体としては、Sr−Ca−Si−N:Eu、Ca−Si−N:Eu、Sr−Si−N:Eu、Sr−Ca−Si−O−N:Eu、Ca−Si−O−N:Eu、Sr−Si−O−N:Euなどがあり、アルカリ土類窒化ケイ素蛍光体としては、一般式LSi222:Eu、一般式LxSiy(2/3x+4/3y):Eu若しくはLxSiyz(2/3x+4/3y-2/3z):Eu(Lは、Sr、Ca、SrとCaのいずれか)で表される。
(被覆部材)
被覆部材40,45は、図1に示すように、発光素子10、光透過部材20の一部を被覆する。そして、本発明においては、被覆部材が素子等から垂下され、光の漏れ経路の形成を防ぐことから、実装基板、更にはそれに設けられた配線より、被覆部材の反射率が高いことが好ましい。また、光反射材料46,47を含有する被覆部材40,45は、その基材は透光性の樹脂材料が好ましく、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物等を使用することが好ましいが、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等の透光性を有する絶縁樹脂組成物を用いることができる。また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等、耐候性に優れた被覆部材も利用できる。さらに、ガラス、シリカゲル等の耐光性に優れた無機物を用いることもできる。また、樹脂材料を成形することで、所望の形状に成形でき、また所望領域を被覆でき、本発明では光源部の発光素子、光透過部材の表面、特にその側面を被覆して形成できる。また、その発光面側の表面も同様に所望形状とでき、図示するような平坦な面状の他、凹や凸の曲面とできる。実施の形態1では耐熱性・耐候性の観点から被覆部材としてシリコーン樹脂を使用する。
また、被覆部材40,45は、上記基材中に少なくとも1種類の光反射性材料46,47を含有してなる。光反射性材料46,47を含有することで、被覆部材40,45の反射率が高まり、更に好適には低吸収性の粒子を用いると、光吸収、損失が低減され、光散乱性を備えた被覆部材とできる。被覆部材40,45中に含有される光反射性材料46,47は、Ti、Zr、Nb、Al、Siからなる群から選択される1種の酸化物、若しくはAlN、MgFの少なくとも1種であり、具体的にはTiO2、ZrO2、Nb25、Al23、MgF、AlN、SiO2よりなる群から選択される少なくとも1種である。光反射性材料の粒子が、Ti、Zr、Nb、Alからなる群から選択される1種の酸化物であることで、材料の高い反射性及び低吸収性とでき、基材、特に透光性樹脂との屈折率差を高められ、好ましい。また、被覆部材40,45は、上記光反射性材料による成形体でもって構成することもでき、具体的には上記粒子を凝集した凝集体、焼結体、などの多孔質材料とすることもでき、その他に、ゾル・ゲル法による成形体でもよく、上記光反射性材料と多孔質内の空気との屈折率差を大きくし、光反射性を高められるため、また無機材料で構成できるため、好ましい。一方、上記樹脂などの母材を備えた被覆部材と比較すると、所望の形状に成形すること及びその被覆領域の制御性が良く、また封止性能、気密性能を高めること、ができ、本発明では上記母材を備えた被覆部材とする方が好ましい。また、両者の被覆部材の特性を考慮して、両者の複合的な成形体とでき、例えば、多孔質成形体の外表面側に樹脂を含浸させ、発光素子側の内表面側では多孔質とした構造とできる。このように、被覆部材若しくはそれによる包囲体は、内部領域と外部とが連通されたり、気体透過性であったりしてもよく、少なくとも光が漏れ出さない形態であれば良い。
上述した母材中に光反射性材料46,47を含有する被覆部材40,45では、その含有濃度、密度により光の漏れ出す深さが異なるため、発光装置形状、大きさに応じて、適宜濃度、密度を調整すると良い。例えば比較的小さな発光装置で肉厚を小さくする場合は、高濃度の光反射性材料46,47を備えることが好ましい。一方で、光反射性材料46,47を含有する被覆部材40,45の原料の調製、その原料の塗布、成形などの製造過程において、それに適したようにその濃度を調整する。上記多孔質体についても同様である。一例として、実施例の場合には、光反射性材料46,47の含有濃度は20重量パーセント濃度(wt%)以上、その肉厚は20μm以上とするのが好適であり、発光面90から高輝度で指向性の高い放出光が得られ、適度な粘性で被覆部材によるアンダーフィルの形成など容易にできる。また、光反射性材料の濃度を高くすれば被覆部材の熱拡散性を高めることができる。
被覆部材の形成領域は、発光素子10における少なくとも側面に被覆部材40を設け、好ましくは光透過部材20の側面も被覆し、更に好ましくは、光透過部材及び発光素子を含む光源部において発光面を露出させてその他を被覆する。これにより、光透過部材の側面から光が漏れ出すのを回避でき、その側面からの比較的強度の大きい、また光変換部材を有する場合は色味差を有する光を抑止して、放射光の指向性を良好にし、輝度ムラ、色ムラを低減できる。また、各部材、素子の側面を被覆して、光取り出し方向側へ制限することで、指向性、輝度を高められる。また、光透過部材20が波長変換材料を含有する場合には、この波長変換材料の発熱が特に著しいため、それを改善できる。光透過部材20の側面が被覆部材45により被覆され、かつ表面21が露出されていれば、その外面形状は特に限定されない。また図8に示すように、複数の発光素子10が1つの光透過部材20に接合される場合には、その発光素子間についても被覆部材40が充填されて、受光面22の離間領域を被覆することが好ましい。接合領域の光変換部材の熱に対し、この構成により上記離間領域の放熱性を高めることができる。
(添加部材)
また、被覆部材40,45には、光反射性材料46,47、光変換部材の他、粘度増量剤等を適宜添加することができ、これによって所望の発光色、それら部材若しくは装置表面の色、例えば高コントラスト化の為の黒色など、また所望の指向特性を有する発光装置が得られる。同様に不要な波長をカットするフィルター材として各種着色剤を添加できる。他の部材、また導光部材、封止部材、光透過部材などの光透過性材料も同様である。
(実装基板50)
一方、図1の発光装置100において、上記の発光素子10が実装される基板50は、少なくとも表面が素子の電極と接続される配線55を形成したものが利用でき、また図4(a)に示すように外部接続用の配線(56)などが設けられても良い。基板の材料は、例として窒化アルミニウム(AlN)で構成され、単結晶、多結晶、焼結基板、他の材料としてアルミナ等のセラミック、ガラス、Si等の半金属あるいは金属基板、またそれらの積層体、複合体が使用でき、金属性、セラミックは放熱性が高いため好ましい。なお、基板50は配線が無くてもよく、例えば図3の素子で成長基板側を実装して素子の電極を装置の電極にワイヤー接続する形態、光透過部材に配線を設けて接続する形態でもでもよい。また、図示する発光装置のように、被覆部材40,45が実装基板50の上に設けられる形態の他、実装基板50の外側側面も覆う形態でもよい。また実装基板50は、少なくともその表面が高反射性材料で構成されることが好ましい。図1,2に示すように、発光素子10は、導電性接着材60により配線55上に接着されて外部と電気的に接続される。導電性接着材60は、半田、Agペースト、Auバンプなどが利用できる。
(枠体)
図1に示す発光装置100は、枠体51,52を有し、これらは被覆部材40,45の保持部材としても機能する。枠体51,52は、セラミックや樹脂などで形成することができる。光反射性の高いアルミナが好ましいが、表面に反射膜を形成すればこれに限らない。樹脂であれば、スクリーン印刷等を用いるほか、成形体を実装基板に接着してもよい。また、被覆部材40,45と同様に光反射性材料を用いるなどして、反射率を高くすると好ましい。また、上記添加部材同様に、枠体を目的に応じて着色してもよい。なお、この枠体は、被覆部材を充填又は成形後に、取り外すこともできる。また、枠体として、積層基板、基材などでキャビティ構造を有する装置基体など、発光素子の実装基板に一体に形成されている形態でもよい。
(発光装置の製造方法)
図1に示される例の発光装置100の製造方法の一例として以下に説明する。まず、実装基板50上または発光素子10に導電性接着材60を形成しフリップチップ実装する。この例では個片化前の基板50上で、1つの発光装置に対応する領域に1個の発光素子10を並べて実装する。次に、発光素子10の周囲に立設された第1の枠体51(発光素子10の出射面(成長基板裏面あるいはLLOで基板除去した場合であれば窒化物半導体露出面)の高さより高い)内に、光透過部材20の側面を被覆するように、ディスペンサ(液体定量吐出装置)等により、被覆部材40を構成する樹脂をポッティングする。滴下された樹脂40は、表面張力によって発光素子10の側面および第1の枠体51の内壁を這い上がり被覆し、発光素子10の出射面より第1の枠体51の上面に向かって高くなる傾斜表面が形成される。次に、第1の枠体51上に光透過部材20を載置する。そして、第1の枠体の周囲に立設された第2の枠体52(第1の枠体より高い)内に、同様に被覆部材45を構成する樹脂をポッティングする。滴下された樹脂45は、表面張力によって光透過部材20の側面および第2の枠体52の内壁を這い上がり被覆し、表面21より第2の枠体52の上面に向かって高くなる傾斜表面が形成される。最後に、樹脂40,45を硬化させた後、所定の位置でダイシングを行い、所望の大きさに切り出して発光装置100を得る。
<実施の形態2>
図4は、本発明の実施の形態2に係る発光装置の概略図であり、図4(a)は概略上面図の図4(b)のA−Aにおける概略断面図であり、図4(c)はその光源部周辺の概略断面図である。図4に示す例の発光装置において、上述の実施の形態1と実質上同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図4に示す例の発光装置200は、外部に開口した第2の凹部58内に該第2の凹部より口径の小さい第1の凹部57が設けられたキャビティ構造を有する装置基体59を備え、その第1の凹部57の底部に設けられた配線55上に複数(図中では2個)の発光素子10がフリップ実装されている。第2の凹部58の底部には、互いに対向する表面21(発光面90)と受光面22とを有する1枚の板状の光透過部材20が載置されており、第1の凹部57を閉蓋している。そして、第1の凹部57内に、光反射性材料46を含有する被覆部材40が充填され、発光素子10の基板の裏面を露出させて発光素子10の周部が該被覆部材40に被覆されている。またその第1の凹部57内の被覆部材40は、第1の凹部57の内壁を該第1の凹部57の上面(第2の凹部底面)まで這い上がって形成され、発光素子10の側面から上面まで、素子の外側に、また出射面の前方に延在している。また、図のように光透過部材の受光面22に当接しても良い。そして、その表面に第1の反射面31が設けられている。
この第1の反射面31によって、上述のように、光透過部材の受光面22に対して高角度に入射する光成分を反射、散乱させ、低角度の入射光成分を増やすことができ、光透過部材20への光結合効率を高め、また波長変換部材内の光路長差により発生する色ムラを低減することができる。また本実施の形態2において、第1の反射面31は凸曲面となっており、平面である場合に比して反射面の面積が増え、凹曲面の場合に比べて光透過部材20の中央部への集光作用が強く、低角度の入射光成分を増やしながら、装置正面方向の輝度を高めることができる。
また図4(c)に示すように、被覆部材40は、隣接する発光素子10の間に位置する離間領域にも充填されている。このように複数の発光素子10を被覆部材40により被覆して、その出射光および第1の反射面31による反射光を光透過部材20に光結合させることで、光束を高めることができる。また光透過部材20の周縁部において、1つの発光素子10から側方つまり他方の発光素子10側に出射される高角度の光成分を第1の反射面31により反射、散乱して光透過部材の受光面22に結合させることができる。したがって、光透過部材の受光面22の面積が大きくなっても、発光素子10からの一次光成分の不足しやすい周縁部の光量を補って、色ムラの発生を低減することができる。さらに、光透過部材20が波長変換部材である場合には、1つの発光素子10から出射される高角度の光成分と、他方の発光素子10から出射される低角度の光成分とを混合することができ、さらに素子間の被覆部材40表面の反射も加わって、すなわち離間領域30内で各発光素子10の光が好適に混合される。それにより、光透過部材の受光面22の幅広い領域で光が重畳し、入射光の角度成分を補填し合って光路長差による色ムラを低減することができ、さらに受光面22から離間領域30に放出される一次光、二次光も同様に離間領域30内で互いに混合される。
さらに本実施の形態2では、第2の凹部58に設けられた被覆部材45は、第2の凹部58の内壁を這い上がって形成され、また光透過部材20の側面を露出させ、さらには図のように光透過部材20から離間して、光透過部材20を包囲するように形成されている。第2の反射面32は、この被覆部材45の表面に、光透過部材20の側面に対向するように設けられ、第1の実施形態の第2の反射面32に比べて、比較的広い配光を実現することができる。
なお図4(a)および(b)に示すように、光透過部材20および被覆部材45の表面の一部を被覆するように、封止部材70を設けることもできる。このような発光装置では、封止部材70により光透過部材の表面21との界面における屈折率差が緩和されて光透過部材の表面21から光を効率良く取り出すことができる。そのうえ、第1および第2の反射面31,32によって高角度の光成分が低減されているため、色ムラが少なく、また封止部材70の内面に対して全反射角を超える入射角の光成分が低減され、扁形であっても高い透過率が得られるので、高い発光効率を有しながら装置の薄型化を図ることができる。
(封止部材)
ここで、封止部材70の光取り出し側の表面は目的に応じて種々の形状に形成することができる。例えば図4(a)および(b)に点線で示すように、光取り出し側の表面を球面状(半球面状)のレンズ形状、凸曲面とすることで、光透過部材20の発光に対し効率良く外部に取り出すことができる。また、これに限らず、種々の光学素子、所望形状の光学部材とでき、凹レンズ形状、放物曲面、先端が平坦な凸形状とでき、また凹凸面として光を散乱させてもよい。
封止部材70は、光透過部材20より屈折率が低いと、その表面と接合して光の取り出し効率を向上させることができる。この封止部材70は、上述の被覆部材40,45の基材と同様に、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂材料を用いて形成することができる。また封止部材70は、発光素子10や光透過部材20を保護する封止材としての役割も果たすため、耐候性、耐熱性、硬度に優れる材料が好ましく、上記のなかではエポキシ樹脂、又は硬質のシリコーン樹脂が好ましい。このほか、ガラスを用いてもよい。さらに、封止部材70に、上述のような蛍光体、及び/又はTiO2などの光散乱粒子、及び/又は石英ガラス等のフィラーなどを適宜添加することができる。なお封止部材は圧縮成形、トランスファー成形、ポッティングなどにより形成する。
<実施の形態3>
図5は、本発明の実施の形態3に係る発光装置の概略断面図である。図5に示す例の発光装置において、上述の実施の形態1と実質上同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図5に示す例の発光装置300は、実装基板50の配線55上に複数(図中では2個)の発光素子10が互いに直列接続されてフリップチップ実装されており、駆動電圧を大きくすることができる。また上述の実施の形態1と同様に、第1の枠体51内に被覆部材40が充填されて、各発光素子10の基板の裏面を露出して各発光素子10の周部が被覆されており、第1の枠体51の内壁を這い上がるように形成されて、その表面に第1の反射面31が設けられている。発光素子10の間の領域においても被覆部材が充填されている。
また、第1の枠体51の外側に形成される被覆部材45の表面は、下方(実装基板)側に形成されている。言い換えれば、被覆部材45は、光透過部材20の側面を被覆しながら、外側から光透過部材20の側面に這い上がるように形成されており、光透過部材20から連続する被覆部材45の表面は凹曲面となっている。このような形態は、第1の実施の形態における第2の枠体52に第1の枠体51より低い枠体を用いて被覆部材45を充填、硬化させた後、第2の枠体52を除去することで作製することができる。したがって、この場合、第2の反射面32は光透過部材30の側面と被覆部材45の界面にのみ設けられている。このように被覆部材45の表面が、光透過部材20の外側で、その側方に向かって、その発光面90の後方側に傾斜しており、発光面90から放出される光が遮光されることがなく、高い光束と広い配光を得ることができる。またこの例では光透過部材20が枠体51より側方に突出するような幅を有しており、さらに高い光束と広い配光が得られる。
<実施の形態4>
図6は、本発明の実施の形態4に係る発光装置の概略断面図である。図6に示す例の発光装置において、上述の実施の形態1と実質上同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図6に示す例の発光装置400において、枠体等を有し凹部が設けられた装置基体(50,51)の凹部内の配線55上に複数(図中では2個)の発光素子10がフリップチップ実装されている。その凹部内側に被覆部材40が充填されており、この被覆部材40は、発光素子10の基板の裏面を各々露出して各発光素子10の周部を被覆し、その凹部内壁を這い上がるように形成されて、素子外側に向かって基板の裏面より前方に延出した形状で、その表面は発光素子10の基板の裏面をその底面に含む凹部を形成している。光透過部材20は、被覆部材40により形成された凹部内に設置されており、その受光面側の周縁部が被覆部材40の表面に当接している。よって、光透過部材20は、被覆部材40による凹部の一部、すなわちその凹部で被覆部材40より窪んだ発光素子領域を閉蓋し、発光素子10と離間されており、発光素子10との離間領域30には空隙が設けられ、該離間領域30における凹部内面に第1の反射面31が設けられている。
さらに、光透過部材20の側面を被覆するように、被覆部材45が光透過部材20の周囲に充填されており、光透過部材20を固定すると共に、光透過部材20の側面からの光の放出を防止している。第2の反射面32は、少なくとも被覆部材45と光透過部材20の側面との界面(32a)に設けられ、さらに実施形態2の第1の反射面31と同様に、即から延出した凸曲面の第2の反射面32bも有している。なお、それより外側の被覆部材45の表面は、図のように略平坦であるが、実施形態1のように発光面90より前方に延出させてもよいし、実施形態3のように下垂させてもよい。
なお本実施の形態4において、図6に点線で示すように、被覆部材を成形、硬化後に、枠体に加えて、さらに実装基板を除去してもよく、被覆部材自体が発光装置400の基体を成すことになる。またこの場合には、被覆部材からなる基体の裏面に、発光素子10上の各電極に接合した配線55を残して露出させ、外部接続端子として発光素子10に給電可能とする。このような発光装置400は、上述のように、光透過部材20への光結合効率を維持しながら、高い信頼性を有し、色ムラの発生を抑制することができ、そのうえ基体そのものが発光素子10を被覆する被覆部材により構成されているため、装置の薄型化、小型化が図れ、発光装置の汎用性を向上させることができる。
このような発光装置は、例えば支持基板上に発光素子を載置して、被覆部材を塗布して成形体とし、予め離型剤等により表面処理するなどして、その支持基板から剥がして、光源部が埋め込まれた被覆部材の成形体を取り出す方法により実現できる。また、光源部の配線構造は、上述したようにその出射領域側表面を支持基板と対向して載置し、発光素子の電極、またその上の導体として、剥離後に成膜、めっき、バンプなどで導電体を形成し、上記被覆部材を形成してもよく、配線側表面を支持基板に対向して載置し、予め発光素子側、支持基板側又はその両方に、上記導電体又は支持基板上の配線層、それらを組み合わせた導電体を設けた後、剥離して配線を支持基板から分離してもよい。
<実施の形態5>
図7は、本発明の実施の形態5に係る発光装置を説明するための概略断面図である。図7に示す例の発光装置において、上述の実施の形態1と実質上同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図7に示す例の発光装置は、上述の実施の形態4と同様に、実装基板の枠体内の配線55上に1個の発光素子10がフリップチップ実装されており、被覆部材40は、発光素子10の周部を被覆して発光素子10の基板の裏面をその底面に含む凹部をその表面に形成している。光透過部材20は、この被覆部材40により形成された凹部の表面にその受光面22側の周縁部を当接させて載置している。よって、光透過部材20は、被覆部材40による凹部の一部を閉蓋し、発光素子10とは離間されており、発光素子10との離間領域30における被覆部材40の凹部内面に第1の反射面が設けられている。ここで、発光素子10と光透過部材30との離間領域30は、上述のように空隙としてもよく、その変形例として後述する実施形態7のように、被覆部材40による凹部内に透光性部材(35)を設けて、光透過部材20をその透光性部材(35)上に接合してもよい。これにより、発光素子10の基板の裏面との界面、並びに光透過部材の受光面22との界面における屈折率差が緩和されて、光透過部材20への光結合効率を高めることができる。
また図7に示す例の発光装置では、互いに対向する上面および底面を有する別の透光性部材71を、底面側を接合面として光透過部材20の上に接合して、その透光性部材71の側面および光透過部材20の側面を被覆部材45により被覆している。これにより、この発光装置は、透光性部材71の上面を主たる光取り出しの窓部とする面発光型の発光装置となっている。
(透光性部材)
このような透光性部材71は、透光性を有して、発光素子10の出射光を光取り出し側へ導光でき、双方の部材を光学的に結合できる材質が好ましい。光透過部材、実施の形態2の封止部材70と同様の材料により、具体的には透明樹脂、ガラスにより構成することができ、例えば光透過部材20の形状に合わせた底面及び上面が四角形の錐体形状の透明樹脂を成形、加工して作製する。さらに具体的な材料としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂など透光性の熱硬化性樹脂がよく、シリコーン樹脂は耐熱性、耐光性に優れるため好ましい。また、シリコーン樹脂を使用すれば、上記フッ素系離型剤の効果が高いため好ましい。さらに、ジメチル系シリコーン樹脂であれば高温耐性など信頼性において優れ、フェニル系シリコーン樹脂であれば屈折率を高くして発光素子10からの光の取り出し効率を高めることができる。また後述の実施の形態7のように、発光素子10と光透過部材20との間に介在して双方の部材を固着する接着剤35として用いることもできる。
第2の反射面は、透光性部材71の側面および光透過部材20の側面と被覆部材45との界面に連続して設けられている。また底面の大きさは、光透過部材の発光面90の大きさと略同じであり、上面は底面より小さくなっており、透光性部材71の側面は上方に先細る傾斜面となっている。したがって、透光性部材71の側面との界面に設けられる第2の反射面は、内側に向かって傾斜しており、光透過部材の発光面90から上方に出射される光を中央に向かって集光するように反射させることができ、高輝度の発光が得ることができ、また一次光と二次光の混色が促進され色ムラが低減される。
なお、図7に示す例の発光装置において、光透過部材の表面23は凹凸面23Aとなっており、該凹凸面23Aにより光を散乱させて、光の取り出し効率を高めながら輝度ムラを低減し、また一次光と二次光の重畳が促進され色ムラの発生を低減して、略均一な配光を得ることができる。このような凹凸面23Aは、研磨、ドライエッチング、ウエットエッチングなどの処理により形成でき、不規則な凹凸構造のほか、規則的なパターンの凹凸構造も形成できる。また、このような凹凸構造23Aは、光透過部材の表面23だけでなく、受光面22、さらに光路上にある各部材の表面に設けて同様な効果を得ることができ、例えば発光素子10の基板の半導体素子構造側の表面に設けてもよく、実施の形態1では詳述していないが、図2(図中の1A)に示すような構造としてもよい。
<実施の形態6>
図8は、本発明の実施の形態6に係る発光装置を説明するための概略断面図である。図8に示す例の発光装置において、上述の実施の形態1,3と実質上同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図8に示す例の発光装置500は、上述の実施の形態5と同様に、実装基板50の枠体内の配線55上に2個の発光素子10がフリップチップ実装されており、被覆部材40は、発光素子10の側面などの周部と、その発光素子10の基板に接合した光透過部材20の側面を被覆している。光透過部材20は、透光性の接着剤を介して(不図示)発光素子10に接着し、また、発光素子10の外側の側面より内側に、その端部が設けられ、すなわち、発光素子、複数の発光素子の領域に内包されている。よって、光源部は上述した離間領域30を実質的に有さずに素子10と接合されたものとなっている。その光源付近の第2の反射面32bは、実施形態1と同様に、光源部の光透過部材20の側方の外側で、被覆部材40がその発光面90より前方に延出して、延出部が設けられ、その内側表面に設けられる。尚、枠体は実施形態3と同様に被覆部材40の成形後に除去している。図示するように、被覆部材40は、光源部を底部として、凹部を形成しており、その凹部内壁に当たる第2の反射面32bでもって、実施形態1と同様に、光源部からの光、特に発光面90からの高角度成分を好適に反射して、高角度成分を光軸側に集光して、放射角の狭い高指向性の発光とできる。また波長変換部材を用いた場合の色ムラ、特に高角度側のそれを被覆部材40の乱反射により、好適に改善できる。また、実施の形態1に比して、光源部内で発光素子10と光透過部材20が接合されているため、高出力化、高輝度化が望める。
上述したように、被覆部材40表面、本実施形態の凹部に、封止部材70で封止して、図9のように、例えば延出部上端と略一致する略平坦な表面(第2の発光面91)として、その封止領域を透光性部材領域として、上記離間領域30と同様に好適な光の重畳により所望の発光特性を得ることもできる。また、その凹部の凹曲面を利用して、その上に、それに適合する光学レンズ、例えばコリメートレンズや、光学部材を成形して、所望の指向性とでき、また光ファイバを、光源部をコア領域に、クラッド領域を被覆部材に対応して、接合させることもできる。
<実施の形態7>
図9は、本発明の実施の形態7に係る発光装置を説明するための概略断面図である。図9に示す例の発光装置において、上述の実施の形態5と実質上同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施の形態において、実施の形態6と同様に光源部を形成し、実施の形態5と同様に光透過部材20の上に、透光性部材71を設けて、その表面を第2の発光面91としており、被覆部材40はその側面を覆って、延出部を形成し、その内壁側、すなわち透光性部材71との界面に第2の反射面32bを形成している。光源部内の発光素子10と光透過部材20は、実施の形態6同様に発光素子10の側面が光透過部材20より突出して、光透過部材20が素子10、その基板の出射面内に内包された構造となっている。さらに、その光源、すなわち光透過部材20上に接合された透光性部材71も同様に、光透過部材20より幅狭で、その発光面90に内包され、また実施の形態5と同様にその幅は第2の発光面91側より発光面90側が幅広となる構造である。このように、発光素子10から第2の発光面91に向かって、各部材が順次、小さくなる構造とすることで、上記実施の形態6における第2の発光面側91への集光効果を高めることができる。
この変形例として、それとは逆に、放出口となる透光性部材71表面(第2の発光面91)の幅、延出部の開口幅を、発光面90側より幅広とすることができる。この場合、開口した構造であるため、光取り出し効率を高められ、また、光源サイズの大型化が可能となる。
このように、透光性部材71を有する場合には、上述した離間領域30と同様に、その部材内への光の閉じ込めによる、光の重畳効果が得られ、輝度ムラ、色ムラを好適に抑制できる。さらに、透光性部材71中にフィラーなどの拡散粒子、光反射材料を混入することで、さらにそれを改善でき、その場合、被覆部材40より、その光反射材料の濃度を小さくすると良い。一方で、例えば、被覆部材40の成形後に、第2の反射面32bの傾斜が小さければ、透光性部材71を抜き取ることができ、これにより、延出部で包囲された内部を実施の形態1〜4同様に外気とできる。このように、延出部、その表面の第2の反射面32bで囲まれただけの領域としても、その延出部の開口幅に応じて、上記集光、散乱効果を得ることができ、透光性部材71を用いる場合に比して、その包囲領域への光閉じ込めが小さくなるため、高光束化が可能となる。
また、光透過部材20が波長変換部材である場合、その厚さ並びに含有する蛍光体の粒径や濃度などが、装置出射光の色度に及ぼす影響は大きい。そのため、光透過部材20のみにより装置出射光を制御するよりも、光透過部材20の厚さや形状により装置出射光の色度や光束を制御し、別途光透過部材20に接合させた封止部材70や透光性部材71あるいは上記のような包囲領域により装置出射光の配光を制御するといった、各部材・領域に機能、役割を分担させることで、装置出射光を好適に制御することが可能となる。さらに、このような封止部材70や透光性部材71が光透過部材20を含む光源部とともに被覆部材により包囲又は被覆されること、あるいは上記のような被覆部材による包囲領域が形成されること、によって、比較的簡便に、光透過部材20から光を該部材・領域に効率良く光結合できるとともに、該部材・領域による光の制御機能を高めることができる。
<実施例1>
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
実施例1の発光装置は、図1に示すように、AlNのセラミックス基板50の配線55上に、発光素子10として約1mm×1mmの略正方形のLEDチップ(サファイア基板上に窒化物半導体が積層された構造で発光波長455nm、厚さ約90μm)が1個フリップチップ実装されている。セラミックス基板50上には、LEDチップ10を包囲する高さ約150μmの第1の枠体51が設けられている。その第1の枠体51の内側には、粒径約270nmのTiO2の微粒子である光反射性材料46を約23重量パーセント濃度で含有するシリコーン樹脂の被覆部材40が充填されており、LEDチップ10のサファイア基板の裏面が露出される状態に、LEDチップ10が被覆部材40でもって被覆されている。また被覆部材40はLEDチップ10から第1の枠体51の内壁を該枠体51の上面まで緩やかに這い上がって、凹曲面からなる第1の反射面31がその表面に形成されている。そして、第1の枠体51上には、板状の光透過部材20としてYAGの蛍光体とアルミナ(Al23)との焼結体である蛍光体板(この表面21及び受光面22の外形は約7.4mm×3.3mmの略矩形状であり、厚さは約120μm)が1枚載置されており、第1の枠体51を閉蓋している。この蛍光体板20は、第1の枠体51の内壁を這い上がった被覆部材40に当接しており、LEDチップ10と蛍光体板20との離間領域30には空隙が設けられている。さらに、セラミック基板50上には第1の枠体51を包囲するように該第1の枠体51より背の高い第2の枠体55が設けられている。この第2の枠体55の内側には、上記と同様の被覆部材45が充填されており、該被覆部材45は、蛍光体板20の表面21を発光面90として露出し蛍光体板20の側面を被覆して、また第2の枠体52の内壁を該枠体52の上面近傍まで緩やかに這い上がっている。これにより、被覆部材45と蛍光体板20の側面との界面およびその上方に延出した凹曲面からなる第2の反射面32が、その被覆部材45の表面に形成されている。
以上により、実施例1では、実施の形態1とほぼ同様の効果を奏する発光装置を提供することができる。
本発明の発光装置は、照明用光源、LEDディスプレイ、液晶表示装置などのバックライト光源、信号機、照明式スイッチ、各種センサ及び各種インジケータ等に好適に利用することができる。
10…発光素子(1…成長基板、2…第1導電型(n型)半導体層、3…活性層、4…第2導電型(p型)半導体層、5…透光性導電層、6…第2の電極(p側パッド電極)、7…第1の電極(n側パッド電極)、8…保護膜、11…素子構造)
20…光透過部材(21,23…表面、22…受光面、23A…凹凸面・凹凸構造)
30…離間領域・空隙
31…第1の反射面
32…第2の反射面
40(第1),45(第2)…被覆部材(46(第1),47(第2)…光反射性材料)
50…実装基板(51,52…枠体、55、56…配線、57、58…凹部、59…装置基体)
60…導電性接着材
70…封止部材
71…透光性部材
90…発光面
91…第2の発光面

Claims (14)

  1. 半導体素子構造を有する発光素子と、
    光反射性材料を含有し、前記発光素子の出射面を露出して、該側面を被覆する被覆部材と、
    前記発光素子から離間され、互いに対向する発光面と、前記発光素子の出射表面からの光を受光する受光面と、を有する光透過部材と、を備え、
    前記被覆部材は、前記発光素子と前記光透過部材の離間領域において、前記発光素子の側面より前記光透過部材まで延在して、該延在部が前記離間領域を囲み、該離間領域側表面に第1の反射面を有する発光装置。
  2. 前記離間領域は空隙であって、前記第1の反射面は、前記被覆部材と空隙との界面に設けられる請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記第1の反射面は、凹面である請求項1又は2に記載の発光装置。
  4. 前記第1の反射面は、凸曲面を有する請求項1又は2に記載の発光装置。
  5. 前記被覆部材は、前記光透過部材の側面を包囲する第2の反射面をその表面に有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光装置。
  6. 前記被覆部材は、前記光透過部材の側面を被覆し、
    前記第2の反射面は、前記被覆部材と前記光透過部材の側面との界面に設けられる請求項5に記載の発光装置。
  7. 前記第2の反射面は、前記光透過部材の発光面より前方に延出した被覆部材の延出部の表面に設けられている請求項5又は6に記載の発光装置。
  8. 半導体素子構造を有する発光素子と、
    光反射性材料を含有し、前記発光素子の出射面を露出して、該側面を被覆する被覆部材と、
    互いに対向する発光面と、前記発光素子の出射表面からの光を受光する受光面と、を有し、前記発光素子の出射面に接合する光透過部材と、を備え、
    前記被覆部材は、前記光透過部材の外側において、前記光透過部材の側面から前記発光面より前方に延出して、該延出部が前記発光面を包囲し、該発光面側表面と、前記光透過部材の側面とに第2の反射面を有する発光装置。
  9. 前記光透過部材の側面が、前記発光素子の外側の側面より、内側に設けられている請求項8に記載の発光装置。
  10. 前記延出部は、該開口幅が前記発光面側より狭く、該延出部の前記第2の反射面が発光面に対面するように傾斜して、該発光面の前方を一部覆っている請求項7乃至9のいずれか1項に記載の発光装置。
  11. 前記延出部は、該開口幅が前記発光面側より広く、該延出部の前記第2の反射面が発光面より側方の外側に設けられている請求項7乃至9のいずれか1項に記載の発光装置。
  12. 前記光透過部材の発光面に接合し、該接合側に対向する表面の第2の発光面を備えた透光性部材を有し、
    前記延出部は、前記透光性部材の側面を被覆しており、該側面に前記第2の反射面が設けられている請求項10又は11に記載の発光装置。
  13. 前記光透過部材は、前記発光素子に励起される波長変換部材である請求項1乃至12のいずれか1項に記載の発光装置。
  14. 前記波長変換部材は板状体である請求項13に記載の発光装置。
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