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JP2010282153A - 偽造防止媒体および偽造防止媒体の製造方法 - Google Patents

偽造防止媒体および偽造防止媒体の製造方法 Download PDF

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JP2010282153A JP2009137692A JP2009137692A JP2010282153A JP 2010282153 A JP2010282153 A JP 2010282153A JP 2009137692 A JP2009137692 A JP 2009137692A JP 2009137692 A JP2009137692 A JP 2009137692A JP 2010282153 A JP2010282153 A JP 2010282153A
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知樹 田坂
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Abstract

【課題】パターン設計の自由度を高めて効率よく任意の複屈折パターンが形成された偽造防止媒体を提供する。
【解決手段】液晶化合物を含有するインク組成物をインクジェット法により配向層上に吐出して形成したパターニング光学異方性層を有する偽造防止媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学異方性を利用した偽造防止媒体とその製造方法に関する。
偽造防止の手段としては、製品そのものを複製不能とする手段か、偽造防止手段として複製不能の標識を製品に取り付けることで真正な製品(真正品)と判定させる手段に大きく分けられる。特に後者の場合は個別な対応が必要な前者に比べて汎用性が高いので、多く用いられている。
後者の手段はさらに、2つに分けられる。ひとつは、偽造防止手段の存在が常に誰にでも識別できるもので、良く知られている技術としてホログラムがある。もうひとつは、偽造防止手段が通常は検出不能な状態であり、偽造防止手段の存在を知る者のみが特別な手段によって偽造防止手段を検出し、真正品かどうかを識別するもので、偏光による潜像の顕在化やカラーシフトによって判別できる技術が知られている。例えば、特許文献1,2では、重合性液晶を用いたセキュリティ用の位相差フィルムが提案されている。
これらは液晶を含む光学異方性層をパターニングすることによって、潜像を形成している。これらの位相差フィルムは、フィルム全面を一様に塗布することによって光学異方性層を作成しているため、パターニング法が複雑であるという問題があった。
米国特許公開2008/0143926号公報 特開2008−70807号公報
よって本発明の目的は、パターン設計の自由度を高めて効率よく任意の複屈折パターンが形成された偽造防止媒体と、その製造方法を提供することにある。
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
(1)液晶化合物を含有するインク組成物をインクジェット法により配向層上に吐出して形成したパターニング光学異方性層を有することを特徴とする偽造防止媒体。
(2)前記配向層または配向層上に、インク拡散防止障壁が設けられたことを特徴とする(1)に記載の偽造防止媒体。
(3)凹凸が形成された配向層を有する(1)または(2)に記載の偽造防止媒体。
(4)ラビングを行った配向層を有する(1)または(2)に記載の偽造防止媒体。
(5)光配向を行った配向層を有する(1)または(2)に記載の偽造防止媒体。
(6)反射層を有する(1)〜(5)のいずれか1項に記載の偽造防止媒体。
(7)液晶化合物を含有するインク組成物をインクジェット法により配向層上に吐出することを特徴とする偽造防止媒体の製造方法。
(8)前記配向層または配向層上に、インク拡散防止障壁を設けることを特徴とする(7)に記載の偽造防止媒体の製造方法。
(9)前記インク組成物が沸点160℃以上の溶媒を含有することを特徴とする(7)または(8)に記載の偽造防止媒体の製造方法。
(10)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の偽造防止媒体と偏光板とを用い、顕在化させた潜像を視認することを特徴とする偽造防止方法。
本発明の偽造防止媒体は、複屈折パターンの自由度が高く、かつ、効率よく任意の複屈折パターン形成が行え、生産性が高い。本発明の製造方法によれば、インクジェット法を用いることにより、上記のように自由度の高い任意の複屈折パターンを有する偽造防止媒体を効率よく製造することができる。
(a)〜(c)はそれぞれ、本発明の偽造防止媒体の一実施形態における層構成を模式的に示す断面図である。 複屈折パターンの例を示す図であり、(a)は光軸方向についてパターニングされている例の説明図であり、(b)はレターデーションについてパターニングされている例の説明図である。 ピエゾ素子を駆動する最も単純な電圧波形を示す図である。 飛翔しているインク滴の形状を観察するための構成を示す図である。 実施例で配向層がPVAのサンプルに形成したパターンを示す図である。 実施例で配向層が凹凸型または光配向膜のサンプルに形成したパターンを示す図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、「偽造防止媒体」とは、偽造防止用の光学異方性層を有した積層構造体をいう。適用方法は特に限定されるものではないが、物品上に形成して、あるいは物品に貼付して、物品の偽装防止、物品の製造元等の証明をすることのできる媒体、または包装紙等の形状で製造元等の証明をすることのできる媒体等であればよい。
偽造防止媒体は、少なくとも一層のパターニング光学異方性層を有する。
本明細書において、パターニング光学異方性層とは、複屈折性が異なる領域を複数含んで、それにより一定のパターンを形成しうる層を意味する。複屈折性が異なる領域はレターデーション及び/又は光軸方向が互いに異なる領域であればよく、レターデーションが互いに異なる領域であることが好ましい。本発明の偽造防止媒体におけるパターニング光学異方性層において複屈折性が異なる複数の領域は、層形成材料(インク組成物)の有無もしくは膜厚の調整によって形成されているが、同一層内において、互いに同一の層形成用組成物から形成される部分があっても良い。複屈折性の相違は、後述のように、層形成材料の有無、膜厚もしくは組成物中の分子の配向などに由来していればよい。すなわち、本発明のパターニング光学異方性層は、層形成用組成物のインクジェットによる吐出によって有無をつけて、あるいは膜厚を調整して行った後、分子の配向方向、あるいは配向度をパターニングすることによって得ることができる。本明細書において、パターニング光学異方性層を含む、複屈折性が異なる領域を複数含む層、及びその積層体を、複屈折パターンという場合がある。
複屈折性が異なる領域は偽造防止媒体の概ね法線方向から観察した場合に認識されるものであるため、偽造防止媒体平面の法線と平行な面により分割された領域となっていればよい。なお、「複屈折性が異なる」とは、レターデーションがパターニングされている場合には、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上レターデーションが異なることをいう。光軸がパターニングされている場合には、光軸の向きが好ましくは5度以上、より好ましくは10度以上、さらに好ましくは15度以上異なることをいう。
本明細書において、レターデーション又はReは面内のレターデーションを表す。面内のレターデーション(Re(λ))はKOBRA 21ADHまたはWR(商品名、王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。本明細書におけるレターデーション又はReは、R、G、Bに対してそれぞれ611±5nm、545±5nm、435±5nmの波長で測定されたものを意味し、特に色に関する記載がなければ545±5nmまたは590±5nmの波長で測定されたものを意味する。
また、本明細書において「光軸」というとき、「遅相軸」又は「透過軸」を意味する。
本明細書において、角度について「実質的に」とは、厳密な角度との誤差が±5°未満の範囲内であることを意味する。さらに、厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。レターデーションについて「実質的に」とは、レターデーションが±5%以内の差であることを意味する。さらに、Reが実質的に0でないとは、Reが5nm以上であることを意味する。また、屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域の任意の波長を指す。なお、本明細書において、「可視光」とは、波長が400〜700nmの光のことをいう。
本明細書において、「レターデーション消失温度」とは光学異方性層を20℃の状態より毎分20℃の速度で昇温させた際に、ある温度において該光学異方性層のレターデーションが該光学異方性層の20℃時のレターデーションの30%以下となる温度のことをいう。
なお、本明細書において、「レターデーション消失温度が250℃以下の温度域にない」とは、上記のように光学異方性層を250℃まで昇温させても光学異方性層のレターデーションが20℃時のレターデーションの30%以下とならないことを意味する。
A.偽造防止媒体
本発明の偽造防止媒体は、支持体の上に偽造防止媒体の構成要素が積層されたものであり、少なくともパターニング光学異方性層を有する。
以下に本発明の偽造防止媒体とその製造方法の一例を図面を参照して示す。なお、本発明の偽造防止媒体には、その機能を阻害するものでなければ、以下に述べる以外の機能性層も必要に応じ設けることができる。
図1(a)〜(c)はそれぞれ、本発明の偽造防止媒体の一実施形態における層構成を模式的に示す断面図である。図1(a)は、支持体11上にインク拡散防止障壁13を有する配向層14とパターニング光学異方性層12を設けた一実施態様である。図1(b)、(c)に示すように、支持体11、パターニング光学異方性層12以外の層は、用途に応じて設けることができる。図1(b)において、反射層15は潜像の視認性を向上させるために必要に応じて設けることができる。保護層16は、偽造防止媒体の最上層となる層であり、パターニング光学異方性層12を汚染や損傷などから保護する機能を有する。図1(c)は支持体11と配向層14の間に金属層17を有する一実施態様である。
図1(a)〜(c)では各層は1層ずつとなっているが、これに限定されるものではなく、例えば複数のパターニング光学異方性層を設けてもよい。
複屈折パターンの例としてはレターデーション及び/又は光軸方向が面内でパターニングされたものが挙げられる。複屈折パターンの例を図2に示す。
図2(a)は光軸方向についてパターニングされている例の説明図である。図2(a)において矢印は光軸方向を示す。図2(b)はレターデーションについてパターニングされている例の説明図である。図2(b)に示す例においてはレターデーションが0nm、66nm、100nmで互いに異なっている。
インクジェットでの吐出によるパターニングでは、インク吐出量を変化させることによる、膜厚を変えたレターデーション量の変化を与えることができ、レターデーションが面内でパターニングされた光学異方性層は例えば、以下に説明する構成をとって作製することができる。また、配向膜の軸方向パターニングと組み合わせることにより、軸方向パターニングも可能である。光軸方向が面内でパターニングされた光学異方性層は、例えば、特表2001−525080号公報に記載の方法などで得ることができる。
1.支持体
偽造防止媒体は、レターデーションを施していない基材を支持体として用いる。基材のレターデーションは2000nm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。下限は好ましくは0nmであるがこれに制限されるものではない。この基材には以下の支持体が含まれる。
偽造防止媒体は光反射性支持体を有するのが好ましい。支持体には特に限定はないが、反射光を用いて潜像を顕在化させる場合には後述する光反射性層を有する支持体または、反射機能を有する支持体を用いればよい。反射機能を有する支持体の例としてはアルミホイル、ステンレスのほか、光沢のある印刷を任意の支持体に設けることによって反射機能を付与してもよい。またホログラム加工を施した支持体を用いることもできる。支持体のそのほかの例としてはセルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステルおよびポリスルホン、ノルボルネン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドなどのプラスチックフィルムや紙、布などが挙げられる。支持体の膜厚としては、ロールツーロールなどの連続製造に用いる場合などでは3〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。支持体は後に述べるベークで着色したり変形したりしないだけの耐熱性を有することが好ましい。偽造防止媒体は着色支持体を含むものであってもよい。すなわち、偽造防止媒体は認証装置を用いない目視でも視認可能なパターンが描かれていてもよい。特定の色で複屈折パターンを読み込む場合は、それ以外の色の影響を受けないのでそれ以外の色で着色支持体を用いることができる。
2.パターニング光学異方性層の作製
パターニング光学異方性層は、液晶化合物を含むインク組成物を、インクジェット法を利用して吐出することで作製することができる。
以下、光学異方性層、液晶化合物を含むインク組成物、インクジェット法によるインク組成物の吐出につき、詳細に説明する。ただし、本発明はこの態様に限定されるものではなく、他の態様についても、以下の記載および従来公知の方法を参考にして実施可能であって、本発明は以下に説明する態様に限定されるものではない。
(1)光学異方性層
光学異方性層は、位相差を測定したときにReが実質的に0でない入射方向が一つでもある、即ち等方性でない光学特性を有する層である。また、前記光学異方性層は、レターデーション消失温度を有することが好ましい。光学異方性層がレターデーション消失温度を有することによって、例えばパターン加熱により光学異方性層の一部の領域のレターデーションを消失させることが可能である。レターデーション消失温度は20℃より大きく250℃以下であることが好ましく、40℃〜245℃であることがより好ましく、50℃〜245℃であることがさらに好ましく、80℃〜240℃であることが最も好ましい。
光学異方性層でレターデーションを付与した領域のレターデーションの値は20℃において、5nm以上であればよく、10nm以上2000nm以下であることが好ましく、20nm以上1000nm以下であることが特に好ましく、前記の範囲内で所望の値に選択できることが最も好ましい。レターデーションが小さすぎると複屈折パターンの形成が困難である場合がある。レターデーションが大きすぎると、レターデーションによる潜像の色変化が認識しづらくなる場合がある。
(2)液晶化合物を含むインク組成物
本発明におけるパターニング光学異方性層は、液晶化合物をはじめとする以下の成分を含むインク組成物を、インクジェット法を用いて吐出することで形成できる。
(i)液晶性化合物
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできるが、棒状液晶性化合物を用いるのが好ましい。2種以上の液晶性化合物の混合物を用いてもよい。温度変化や湿度変化を小さくできることから、反応性基を有する液晶性化合物を用いて形成することがより好ましく、1液晶分子中の反応性基が2以上ある液晶性化合物を用いることも好ましい。
液晶性化合物が重合条件の異なる2種類以上の反応性基を有することもまた好ましい。この場合、条件を選択して複数種類の反応性基の一部種類のみを重合させることにより、未反応の反応性基を有する高分子を含む光学異方性層を作製することが可能となる。用いる重合条件としては重合固定化に用いる電離放射線の波長域でもよいし、用いる重合機構の違いでもよいが、好ましくは用いる開始剤の種類によって制御可能な、ラジカル性の反応基とカチオン性の反応基の組み合わせがよい。前記ラジカル性の反応性基がアクリル基および/またはメタクリル基であり、かつ前記カチオン性基がビニルエーテル基、オキセタン基および/またはエポキシ基である組み合わせが反応性を制御しやすく特に好ましい。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。上記高分子液晶性化合物は、低分子の反応性基を有する棒状液晶性化合物が重合した高分子化合物である。特に好ましく用いられる上記低分子の反応性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記一般式(I)で表される棒状液晶性化合物である。
一般式(I):Q−L−A−L−M−L−A−L−Q
式中、QおよびQはそれぞれ独立に、反応性基であり、L、L、LおよびLはそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。AおよびAはそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサ基を表す。Mはメソゲン基を表す。
以下に、上記一般式(I)で表される反応性基を有する棒状液晶性化合物についてさらに詳細に説明する。式中、QおよびQは、それぞれ独立に、反応性基である。反応性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。換言すれば、反応性基は付加重合反応または縮合重合反応が可能な反応性基であることが好ましい。以下に反応性基の例を示す。
Figure 2010282153
、L、LおよびLで表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、およびNR−CO−NR−からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。前記式(I)中、Q−LおよびQ−L−は、CH=CH−CO−O−、CH=C(CH)−CO−O−およびCH=C(Cl)−CO−O−CO−O−が好ましく、CH=CH−CO−O−が最も好ましい。
およびAは、炭素原子数2〜20を有するスペーサ基を表す。炭素原子数2〜12のアルキレン基、アルケニレン基、およびアルキニレン基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。スペーサ基は鎖状であることが好ましく、隣接していない酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい。また、前記スペーサ基は、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基が挙げられる。特に下記一般式(II)で表される基が好ましい。
一般式(II):−(−W−L−W
式中、WおよびWは各々独立して、二価の環状アルキレン基もしくは環状アルケニレン基、二価のアリール基または二価のヘテロ環基を表し、Lは単結合または連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(I)中、L〜Lで表される基の具体例、−CH−O−、および−O−CH−が挙げられる。nは1、2または3を表す。
およびWとしては、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体およびシス体の構造異性体があるが、どちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。トランス体であることがより好ましい。WおよびWは、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基などが挙げられる。
前記一般式(II)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
Figure 2010282153
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、一般式(I)で表される化合物は、特表平11−513019号公報(WO97/00600)に記載の方法で合成することができる。
Figure 2010282153
Figure 2010282153
Figure 2010282153
Figure 2010282153
Figure 2010282153
Figure 2010282153
(ii)溶媒
本発明で用いるインク組成物はさらに溶媒を含んでいてもよい。
溶媒の例としては、760mmHg(101.3kPa)で160℃以上の沸点を有する化合物で構成される溶媒を好ましくあげることができる。該常温下で160℃以上の沸点を有する有機溶剤としては、特開2000−310706号公報段落[0031]〜[0037]に記載の高沸点溶媒やアルキレングリコールアセテート、アルキレングリコールジアセテート等が挙げられ、中でもジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,3−ブタンジオールジアセテート、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート等を特に好ましく例示することができる。
(iii)その他の添加剤
本発明で用いるインク組成物は、液晶性化合物に導入した反応性基の重合反応のための重合開始剤を含んでいてもよい。液晶性化合物に導入した反応性基の重合反応はおもに、液晶性化合物の配向状態を維持して固定させるために行われる。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合のいずれでも構わない。ラジカル光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。カチオン光重合開始剤の例には、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系等を例示する事ができ、有機スルフォニウム塩系、が好ましく、トリフェニルスルフォニウム塩が特に好ましい。これら化合物の対イオンとしては、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロフォスフェートなどが好ましく用いられる。
光重合開始剤の使用量は、本発明で用いるインク組成物の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。なお、液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、25〜800mJ/cmであることがさらに好ましい。照度は10〜1000mW/cmであることが好ましく、20〜500mW/cmであることがより好ましく、40〜350mW/cmであることがさらに好ましい。照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは加熱条件下で光照射を実施してもよい。
(iv)水平配向剤
前記光学異方性層の形成用組成物中に、特開2007−121986号公報の[0068]〜[0072]に記載の一般式(1)〜(3)で表される化合物および下記一般式(4)のモノマーを用いた含フッ素ホモポリマーまたはコポリマーの少なくとも一種を含有させることで、液晶性化合物の分子を実質的に水平配向させることができる。
Figure 2010282153
式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子を表し、Zは水素原子またはフッ素原子を表し、mは1以上6以下の整数、nは1以上12以下の整数を表す。一般式(4)を含む含フッ素ポリマー以外にも、塗布におけるムラ改良ポリマーとして特開2005−206638および特開2006−91205に記載の化合物を水平配向剤として用いることができ、それら化合物の合成法も該明細書に記載されている。
水平配向剤の添加量としては、液晶性化合物の質量の0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。なお、前記一般式(1)〜(4)にて表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
(v)インク組成物の物性値
インク組成物の物性値としては、25℃の粘度が20〜100mPa・sであることが好ましく、装置で吐出する際にはインク温度を20〜90℃の範囲でほぼ一定温度に保持することが好ましく、そのときの粘度が2〜20mPa・sとすることが好ましい。また25℃の表面張力としては10〜50mN/mが好ましく、装置で吐出する際にはインク温度を20〜90℃の範囲で略一定温度に保持することが好ましく、そのときの表面張力が20〜30mN/mとすることが好ましい。インク温度を所定精度で一定に保持するためにはインク温度検出手段と、インク加熱もしくは冷却手段、および検出されたインク温度に応じて加熱もしくは冷却を制御する制御手段を有することが好ましい。さらにあるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギーを制御することにより、インク物性変化に対する影響を軽減する手段を有することも好適である。
(3)インクジェット法によるインク組成物の吐出
インクジェット法としては、帯電したインクジェットインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。下記にインクジェット法の詳細を述べる。なお、本発明で用いることのできるインクジェット法については、特開2008−76690号公報に記載の方法を参照することができる。
(i)システム構成
上記インク組成物を用いてパターニング光学異方性層を作成するシステムは、インク組成物を配向層上に吐出させるインクジェットヘッドを有する。ヘッドの構成としては、たとえば特開平5-193140号公報に開示されるように、インクに吐出エネルギーを付与する部分とインクを吐出するノズル部分を有する。ヘッドの吐出及び駆動は制御部によって制御され、任意のパターンが形成される。
(ii)ヘッド駆動方式
インク組成物に吐出エネルギーを付与する方式としては、特開平7-81090号公報に開示されるようにいわゆるコンティニュアス方式と呼ばれる、連続的にインク滴を吐出させ、着弾させるか否かに応じて滴を偏向して選択制御する方法であってもよいし、いわゆるオンデマンド方式と呼ばれる、必要な部分でのみインク滴を吐出させる方式であってもよい。オンデマンド方式は、特開平5-16349号公報に開示されるように、圧電素子等を用いて構造体の変形によりインク圧を発生させ、吐出させる方式であってもよいし、特開平1-234255号公報に開示されるように、熱エネルギーによる気化にともなう膨張により発生する圧力で吐出させる方式であってもよい。また特開2001-277466号公報に開示されるように、電界によりメディアへの吐出を制御する方式であってもよい。
(iii)インク着弾径、ノズル径
配向層上でのインク着弾径は10〜500μmの間にあることが好適であり、着弾径はインク滴の大きさと、インクの配向層への濡れ性により決定される。インク滴の配向層への接触角は0〜80度、飛翔インク滴の直径は5〜250μmであることが好ましく、このときのノズル径は15〜100μmであることが好ましい。ここでインク滴の配向層への接触角は、DropMaster700(商品名、協和界面科学社製)を用いて、BMが形成されていないプラズマ処理を施されたガラス表面上にインク約2μlを滴下し、500msec後の滴形状画像をθ/2法により処理して計測できる。
(iv)複屈折パターンの形成
任意の複屈折パターンを有する光学異方性層を作成するために、以下の手順で駆動条件を決定し、制御することが好ましい。
以下、ピエゾによるオンデマンド方式での例で説明するが、インクジェット方式には制限はなく、熱駆動方式であっても、静電方式であっても同様の方法が適用可能である。
メニスカスの形状および吐出形状の安定性は、飛翔している滴の形状を観察し、安定な形状が得られる駆動条件を決定する。図3は、ピエゾ素子を駆動する最も単純な電圧波形を示している。Vpはピエゾ電圧、tpは駆動時間幅、tf、trはそれぞれ駆動波形の立ち上がり、立下り時間であって、これら4つ各々を制御してもよいし、簡易的にVpと、tpまたはtr+tpの2つを制御してもよい。これらのパラメータを変えながら飛翔している滴の形状を観察し、安定性を評価する。ここでは単純な台形駆動波形を示したが、たとえば特開平10-235859号公報および特開2003-341048号公報に開示されるように、さらに波形形状を変化させることにより、吐出量等をより良好に制御することも可能である。
飛翔している滴の形状は図4に示す構成で観察ができる。タイミング制御部600は、入力される吐出周波数f604とピエゾ電圧Vp602、ピエゾ駆動時間幅tp603にしたがったピエゾ駆動波形を発生させ、ピエゾ波形発生回路610によりヘッド640が駆動される。
ヘッドからはインク滴が吐出されるが、インクが飛翔する部分はLED650により照明される。ここでLEDが点灯するタイミングは、ピエゾ波形が発生した後、可変遅延回路620へ入力される遅延量621により決定される。ピエゾ駆動波形から遅延量にしたがって所定時間遅延した後にLED650がLED点灯回路630により点灯される。ノズルから吐出された飛翔中のインク滴形状は、顕微鏡レンズ660を装着されたCCDカメラ661により撮影し、モニター670により観察することができる。このように観察された滴形状が、高周波でも安定となるようにVp、tpを、モニター670を見ながら決定することができる。ここで滴形状として安定とは、モニター670上で複数滴を順次撮像したときの画像が揺らぐことなく安定であって、サテライトと称されるインクの微小飛沫が発生していない状態をいう。さらに吐出後、基板に到達する時間経過した後の形状は球形に近いほど、基板上での着弾形状は円に近く、画素内でのインク量の分布を良好に制御することができる。
次に吐出量が安定であることを確認するため、以下の方法で吐出量を計測する。図4の構成でヘッド640の所定ノズルから所定時間インクを吐出させ、吐出したインクを捕捉し質量を測定する。これを吐出時間×周波数×ノズル数で除することにより、ひとつのノズルから一回に吐出されるインク量を求めることができる。このようにして求めた吐出インク量が規定範囲内であるか否かを判断する。
ここで、複数のノズルを有するヘッドの場合であってノズル毎の吐出量が均一でない場合には、上記吐出エネルギー駆動手段のエネルギーをノズル毎に吐出量を均一とするべく個別に制御することが好ましい。
このインクジェット法を用いるパターン形成により、インクの吐出量の調整や種類を場所によって変化させることによる、レターデーション量の位置ごとの調整が可能となり、文字・数字や図形、写真、絵などの任意の複屈折パターンを作成できる。
(v)インク量
配向層上に着弾させるべきインクの量は、所望のレターデーション量から決定される。画素内でのインク着弾量は、1〜30g/mであることが好ましい。
本発明においては、インク吐出後ベークを行ってもよい。インク吐出後、後述するベーク処理までの時間は1分以上が好ましい。さらに好ましくは1.5分以上であり、2分以上が最も好ましい。
インク吐出後のベーク処理までの時間がこの範囲にある場合、パターニング光学異方性層の平坦性は良好となる。
3.液晶性化合物の配向状態の固定化
光学異方性層は、液晶性化合物を含有するインク組成物を、後述する配向層の表面にインクジェット記録方式で吐出し、所望の液晶相を示す配向状態とした後、該配向状態を熱又は電離放射線の照射により固定することで作製された層であるのが好ましい。
液晶性化合物として、反応性基を有する円盤状液晶性化合物を用いる場合、水平配向、垂直配向、傾斜配向、およびねじれ配向のいずれの配向状態で固定されていてもよい。尚、本明細書において「水平配向」とは、棒状液晶の場合、分子長軸と支持体の水平面が平行であることをいい、円盤状液晶の場合、円盤状液晶性化合物のコアの円盤面と支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
液晶性化合物を含む組成物からなる光学異方性層を2層以上積層する場合、液晶性化合物の組み合わせについては特に限定されず、全て円盤状液晶性化合物からなる層の積層体、全て棒状性液晶性化合物からなる層の積層体、円盤状液晶性化合物を含む組成物からなる層と棒状性液晶性化合物を含む組成物からなる層の積層体であってもよい。また、各層の配向状態の組み合わせも特に限定されず、同じ配向状態の光学異方性層を積層してもよいし、異なる配向状態の光学異方性層を積層してもよい。
4.ラジカル性の反応性基とカチオン性の反応性基を有する液晶化合物の配向状態の固定化
前述したように、液晶性化合物が重合条件の異なる2種類以上の反応性基を有することもまた好ましい。この場合、条件を選択して複数種類の反応性基の一部種類のみを重合させることにより、未反応の反応性基を有する高分子を含む光学異方性層を作製することが可能である。このような液晶性化合物として、ラジカル性の反応基とカチオン性の反応基を有する液晶性化合物(具体例としては例えば、前述のI−22〜I−25)を用いた場合に特に適した重合固定化の条件について以下に説明する。
まず、重合開始剤としては重合させようと意図する反応性基に対して作用する光重合開始剤のみを用いることが好ましい。すなわち、ラジカル性の反応基を選択的に重合させる場合にはラジカル光重合開始剤のみを、カチオン性の反応基を選択的に重合させる場合にはカチオン光重合開始剤のみを用いることが好ましい。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましく、0.5〜4質量%であることが特に好ましい。
次に、重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。この際、照射エネルギーおよび/または照度が強すぎるとラジカル性反応性基とカチオン性反応性基の両方が非選択的に反応してしまう恐れがある。したがって、照射エネルギーは、5mJ/cm〜500mJ/cmであることが好ましく、10〜400mJ/cmであることがより好ましく、20mJ/cm〜200mJ/cmであることが特に好ましい。また照度は5〜500mW/cmであることが好ましく、10〜300mW/cmであることがより好ましく、20〜100mW/cmであることが特に好ましい。照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。
また光重合反応のうち、ラジカル光重合開始剤を用いた反応は酸素によって阻害され、カチオン光重合開始剤を用いた反応は酸素によって阻害されない。従って、液晶性化合物としてラジカル性の反応基とカチオン性の反応基を有する液晶化合物を用いてその反応性基の片方種類を選択的に重合させる場合、ラジカル性の反応基を選択的に重合させる場合には窒素などの不活性ガス雰囲気下で光照射を行うことが好ましく、カチオン性の反応基を選択的に重合させる場合には敢えて酸素を有する雰囲気下(例えば大気下)で光照射を行うことが好ましい。
上述したラジカル系反応性基とカチオン系反応性基を有する液晶化合物の配向状態の固定化方法以外の、液晶化合物の配向状態の固定化方法としては米国特許公開公報のUS2008-143926号の偏光照射による固定化方法も適用することができる。
5.光学異方性層の後処理
作製された光学異方性層を改質するために、様々な後処理を行ってもよい。後処理としては例えば、密着性向上の為のコロナ処理や、柔軟性向上の為の可塑剤添加、保存性向上の為の熱重合禁止剤添加、反応性向上の為のカップリング処理などが挙げられる。また、光学異方性層中の高分子が未反応の反応性基を有する場合、該反応性基に対応する重合開始剤を添加することも有効な改質手段である。例えば、カチオン性の反応性基とラジカル性の反応性基を有する液晶性化合物をカチオン光重合開始剤を用いて重合固定化した光学異方性層に対してラジカル光重合開始剤を添加することで、後にパターン露光を行う際の未反応のラジカル性の反応性基の反応を促進することができる。可塑剤や光重合開始剤の添加手段としては、例えば、光学異方性層を該当する添加剤の溶液に浸漬する手段や、光学異方性層の上に該当する添加剤の溶液を塗布して浸透させる手段などが挙げられる。また、光学異方性層の上に他の層を塗布する際にその層の塗布液に添加剤を添加しておき、光学異方性層に浸漬させる方法もあげられる。
6.2層以上の光学異方性層
本発明の偽造防止媒体は、光学異方性層を2層以上有してもよい。2層以上の光学異方性層は法線方向に互いに隣接していてもよいし、間に配向層等、別の機能性層を挟んでいてもよい。2層以上の光学異方性層は互いにほぼ同等のレターデーションを有していてもよく、異なるレターデーションを有していてもよい。また遅相軸の方向が互いにほぼ同じ方向を向いていてもよく、異なる向きを向いていてもよい。
7.配向層
上記したように、光学異方性層の形成には、配向層を利用してもよい。配向層は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するように機能する。配向層は、光学異方性層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でもよい。配向層の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、無機化合物の斜方蒸着層、およびマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。
配向層用の有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルピロリドン、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート等のポリマーおよびシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
(1)ポリマー配向層
配向層の形成には、ポリマーを使用するのが好ましい。利用可能なポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向層の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは光学補償シートについて種々の文献に記載がある。例えば、ポリビニルアルコールもしくは変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸もしくはポリアクリル酸エステルとの共重合体、ポリビニルピロリドン、セルロースもしくは変性セルロース等が好ましく用いられる。配向層を保護層として用いる場合には、配向層用素材には液晶性化合物の反応性基と反応できる官能基を有してもよい。反応性基は、側鎖に反応性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。この場合には、界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向層を用いることがより好ましく、かかる配向層としては特開平9−152509号公報に記載されており、酸クロライドやカレンズMOI(商品名、昭和電工(株)製)を用いて側鎖にアクリル基を導入した変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。このような配向層を用いると、パターニング光学異方性層と配向層との界面密着が強化されるため、パターニング光学異方性層とともに配向層も転写される。配向層の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
また、LCDの配向層として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向層として好ましい。これはポリアミック酸(例えば、LQ/LXシリーズ(商品名、日立化成工業(株)製)、SEシリーズ(商品名、日産化学(株)製)等)を支持体面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
また、前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向層の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
また、無機斜方蒸着膜の蒸着物質としては、SiOを代表とし、TiO、ZnO等の金属酸化物、あるいやMgF等のフッ化物、さらにAu、Al等の金属が挙げられる。なお、金属酸化物は、高誘電率のものであれば斜方蒸着物質として用いることができ、上記に限定されるものではない。無機斜方蒸着膜は、蒸着装置を用いて形成することができる。フィルム(支持体)を固定して蒸着するか、あるいは長尺フィルムを移動させて連続的に蒸着することにより無機斜方蒸着膜を形成することができる。
(2)光配向層
また、配向層として以下に述べる光配向膜を利用することもできる。
光配向膜は、後述する光配向膜の構成材料を塗布した基板に偏光を制御した光を照射し、光励起反応(分解、異性化、二量化)を生じさせて得られた膜に異方性を付与することによりその膜上の液晶分子を配向させるものである。
本発明に用いられる光配向膜の構成材料は、光を照射して光励起反応を生じることにより、液晶を配向させる効果(光配列性:photoaligning)を有するものであれば特に限定されるものではない。このような材料としては、大きく、光反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する光反応型の材料と、光異性化反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する光異性化型の材料とに分けることができる。
光配向膜の構成材料が光励起反応を生じる光の波長領域は、紫外光域の範囲内、すなわち10nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、250nm〜380nmの範囲内であることがより好ましい。
以下、光反応型の材料および光異性化型の材料について説明する。
(i)光反応型
光反応型の材料とは、光反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する材料である。本発明に用いられる光反応型の材料としては、このような特性を有するものであれば特に限定されるものではないが、これらの中でも、光二量化反応または光分解反応を生じることにより上記光配向膜に異方性を付与する材料であることが好ましい。
ここで、光二量化反応とは、光照射により偏光方向に配向した反応部位がラジカル重合して分子2個が重合する反応をいい、この反応により偏光方向の配向を安定化し、光配向膜に異方性を付与することができるものである。また、光分解反応とは、光照射により偏光方向に配向したポリイミドなどの分子鎖を分解する反応をいい、この反応により偏光方向に垂直な方向に配向した分子鎖を残し、光配向膜に異方性を付与することができるものである。本発明においては、これらの光反応型の材料の中でも、露光感度が高く、材料選択の幅が広いことから、光二量化反応により光配向膜に異方性を付与する材料を用いることがより好ましい。
光二量化反応を利用した光反応型の材料としては、光二量化反応により光配向膜に異方性を付与することができる材料であれば特に限定されるものではないが、ラジカル重合性の官能基を有し、かつ、偏光方向により吸収を異にする二色性を有する光二量化反応性化合物を含むことが好ましい。偏光方向に配向した反応部位をラジカル重合することにより、光二量化反応性化合物の配向が安定化し、光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
このような特性を有する光二量化反応性化合物としては、側鎖としてケイ皮酸エステル、クマリン、キノリン、カルコン基およびシンナモイル基から選ばれる少なくとも1種の反応部位を有する二量化反応性ポリマーを挙げることができる。
これらの中でも光二量化反応性化合物としては、側鎖としてケイ皮酸エステル、クマリンまたはキノリンのいずれかを含む二量化反応性ポリマーであることが好ましい。偏光方向に配向したα、β不飽和ケトンの二重結合が反応部位となってラジカル重合することにより、光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
上記二量化反応性ポリマーの主鎖としては、ポリマー主鎖として一般に知られているものであれば特に限定されるものではないが、芳香族炭化水素基などの、上記側鎖の反応部位同士の相互作用を妨げるようなπ電子を多く含む置換基を有していないものであることが好ましい。
上記二量化反応性ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、5,000〜40,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜20,000の範囲内であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。上記二量化反応性ポリマーの重量平均分子量が小さすぎると、光配向膜に適度な異方性を付与することができない場合がある。逆に、大きすぎると、光配向膜形成時の塗工液の粘度が高くなり、均一な塗膜を形成しにくい場合がある。
二量化反応性ポリマーとしては、下記式(1)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2010282153
上記式において、M11およびM12は、それぞれ独立して、単重合体または共重合体の単量体単位を表す。例えば、エチレン、アクリレート、メタクリレート、2−クロロアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−クロロアクリルアミド、スチレン誘導体、マレイン酸誘導体、シロキサンなどが挙げられる。M12としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはヒドロキシアルキルメタクリレートであってもよい。xおよびyは、共重合体とした場合の各単量体単位のモル比を表すものであり、それぞれ、0<=x<=1、0<=y<=1であり、かつ、x+y=1を満たす数である。nは4〜30,000の整数を表す。DおよびDは、結合基単位を表す。
は−A−(Z−B−Z−で表される基であり、Rは−A−(Z−B−Z−で表される基である。ここで、AおよびBは、それぞれ独立して、共有単結合、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または置換基を有していてもよい1,4−フェニレンを表す。また、ZおよびZは、それぞれ独立して、共有単結合、−CH−CH−、−CHO−、−OCH−、−CONR−、−RNCO−、−COO−または−OOC−を表す。Rは、水素原子または低級アルキル基であり、Zは、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキルまたはアルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲンである。zは、0〜4の整数である。Eは、光二量化反応部位を表し、例えば、ケイ皮酸エステル、クマリン、キノリン、カルコン基、シンナモイル基などが挙げられる。jおよびkは、それぞれ独立して、0または1である。
このような二量化反応性ポリマーとしては、具体的に下記式(1-1)〜(1-4)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2010282153
また、上記二量化反応性ポリマーとして、より具体的には下記式(1-5)〜(1-8)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2010282153
また、下記一般式(A)で表されるような繰り返し単位を有する二量化反応性ポリマーも例としてあげることができる。
一般式(A)
Figure 2010282153
(式中、Rは水素原子または置換基を表し、Yは下記の連結基群から選ばれる2価の連結基または下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表し、Ar1およびAr2は、それぞれ独立して炭素数1〜10の芳香環を表し、Ar1およびAr2は、それぞれ置換基を有していてもよい。nは1〜3の整数を表す。
(連結基群)
−O−、−CO−、−NR2−(R2は、水素原子またはアルキル基を表す。)、−S−、アルキレン基、またはアリーレン基。)
が置換基を表す場合、アルキル基、ハロゲン基が好ましい例として挙げることができる。Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、クロロ基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、クロロ基がより好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましい。
Y1としては、−O−、−CO−、−NR−、アルキレン基、またはアリーレン基を含むことが好ましく、−CO−、−O−、−NR−、アルキレン基を含んでいることが特に好ましく、−CO-、−O-、アルキレン基を含んでいることが最も好ましい。Y1がアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラブチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Y1が、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。Y1が、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Y1として挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。
Arは、ベンゼン環、チオフェン環、フラン環、ナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
Arが置換基を有する場合、該置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニル基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルチオ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルアミノ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができ、より好ましい置換基としてはメチル基、エチル基、メトキシ基、フッ素基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基を挙げることができる。
これらの置換基は、他の置換基によって、置換されていても良く、この場合の好ましい置換基も上述と同義である。また、置換基を2つ以上有する場合は、それぞれの置換基は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
Arは、ベンゼン環、フラン環、ナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。Arが置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルチオ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルチオ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオカルボニルオキシ基、アルキルアミノカルボニルアミノ基、アルキルアミノカルボニルオキシ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、アリール基等を挙げることができ、より好ましい置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1〜20のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニルオキシ基、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニルチオ基、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルアミノカルボニルオキシ基、フッ素基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、ニトロ基、炭素数6〜30のアリール基等を挙げることができる。
これらの置換基は、他の置換基によって、置換されていても良く、この場合の好ましい置換基も上述と同義である。また、置換基を2つ以上有する場合は、それぞれの置換基は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
nは1〜3の整数を表し、1または2であることが好ましい。
前記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する高分子重合体は、前記一般式(A)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、前記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する高分子重合体は、上記各繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を1種または2種以上有していてもよい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。
モノマー群
1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエン及び2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
3d)α、β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
5)スチレンおよびその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;および
8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
より具体的には以下のようなポリマーがあげられる。尚、式中のx、y、zは各繰り返し単位のモル百分率を示す。
Figure 2010282153
Figure 2010282153
Figure 2010282153
Figure 2010282153
Figure 2010282153
Figure 2010282153
Figure 2010282153
Figure 2010282153
本発明で用いる二量化反応性ポリマーにおいて、前記一般式(A)で表される繰り返し単位は、5モル%以上であるのが好ましく、10モル%以上であるのがより好ましい。
本発明で用いる二量化反応性ポリマーからなる組成物において、該高分子重合体以外に、必要に応じて種々の添加剤を併用することができる。例えば、重合開始剤、可塑剤、界面活性剤等を併用することで、塗工膜の均一性、膜の強度、光反応性基を有する高分子化合物の配向性等を向上することができる。これらの添加量の総量は、光反応性基を有する高分子化合物に対して、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
配向させた液晶配向剤は、その配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤又は光重合開始剤系としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール2量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール2量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとしてあげることができる。液晶配向剤組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、0.5〜5質量%が好ましい。
カチオン重合開始剤としては,エトラフルオロボレート,ヘキサフルオロホスフェノールなどルイス酸のアリールジアゾニウム塩,ジアリールヨードニウム塩,トリアリールスルホニウム塩などの複塩,ベンジルシリルエーテル,o−ニトロベンジルシリルエーテル,トリフェニル(t−ブチル)ペルオキシシランなどのシラノール発生性シラン化合物とトリス(エチルアセト酢酸)アルミニウムなどのアルミニウム錯体との混合系などを挙げることができる。具体的には、WPAG-145、WPAG-170、WPAG-199(いずれも商品名、和光純薬製)等のジアゾジスルホン系光酸発生剤、WPAG-281、WPAG-336、WPAG-367(いずれも商品名、和光純薬製)、SB 1A、SB 2B、SB 2B F、SB 3C(いずれも商品名、日本シイベルヘグナー製)、UVI-6974、 UVI-6990(商品名、Union Carbide製)、FX512(商品名、3M製)、KI-85(商品名、Degussa製)等のトリアリールスルホニウム系光酸発生剤、WPI-113(商品名、和光純薬製)、MC AA、MC BB、MC CC、MC CC PF、MC CC F(いずれも商品名、日本シイベルヘグナー製)等のジアリールヨードニウム塩等市販の光カチオン開始剤を用いることができる。液晶配向剤組成物の全固形分に対するカチオン重合開始剤の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、0.5〜5質量%が好ましい。
本発明においては、これらの光重合開始剤は、2種類以上の異なる光反応機構を有するものを併用してもよい。
可塑剤としては、従来公知の可塑剤が挙げられる。具体的には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリールフタレートなどのフタル酸エステル類、ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステルなどのグリコールエステル類、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェートなどの燐酸エステル類、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレートなどの脂肪族二塩基酸エステル類、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチルなどが挙げられる。
界面活性剤としては、従来公知のアニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。特にフッ素系化合物が好ましく、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基含有ポリマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基含有ポリマーなどが挙げられる。
光分解反応を利用した光反応型の材料としては、例えば日産化学工業(株)製のポリイミド「RN1199」(商品名)などを挙げることができる。また、光二量化反応を利用した光反応型の材料としては、例えばRolic technologies社製の「ROP102」、「ROP103」(いずれも商品名)などを挙げることができる。
(ii)光異性化型
次に、光異性化型の材料について説明する。ここでいう光異性化型の材料とは、上述したように光異性化反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する材料であり、このような特性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光異性化反応を生じることにより上記光配向膜に異方性を付与する光異性化反応性化合物を含むものであることが好ましい。このような光異性化反応性化合物を含むことにより、光照射により、複数の異性体のうち安定な異性体が増加し、それにより光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
光異性化反応性化合物としては、上記のような特性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、偏光方向により吸収を異にする二色性を有し、かつ、光照射により光異性化反応を生じるものであることが好ましい。このような特性を有する光異性化反応性化合物の偏光方向に配向した反応部位の異性化を生じさせることにより、上記光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
また、光異性化反応性化合物が生じる光異性化反応としては、シス−トランス異性化反応であることが好ましい。光照射によりシス体またはトランス体のいずれかの異性体が増加し、それにより光配向膜に異方性を付与することができるからである。
光異性化反応性化合物としては、単分子化合物、または、光もしくは熱により重合する重合性モノマーを挙げることができる。これらは用いられる液晶の種類に応じて適宜選択すればよいが、光照射により光配向膜に異方性を付与した後、ポリマー化することにより、その異方性を安定化することができることから、重合性モノマーを用いることが好ましい。このような重合性モノマーの中でも、光配向膜に異方性を付与した後、その異方性を良好な状態に維持したまま容易にポリマー化できることから、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマーであることが好ましい。
上記重合性モノマーは、単官能のモノマーであっても、多官能のモノマーであってもよいが、ポリマー化による光配向膜の異方性がより安定なものとなることから、2官能のモノマーであることが好ましい。
このような光異性化反応性化合物としては、具体的には、アゾベンゼン骨格やスチルベン骨格などのシス−トランス異性化反応性骨格を有する化合物を挙げることができる。
この場合に、分子内に含まれるシス−トランス異性化反応性骨格の数は、1つであっても2つ以上であってもよいが、強誘電性液晶の配向制御が容易となることから、2つであることが好ましい。
上記シス−トランス異性化反応性骨格は、液晶分子との相互作用をより高めるために置換基を有していてもよい。置換基は、液晶分子との相互作用を高めることができ、かつ、シス−トランス異性化反応性骨格の配向を妨げないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カルボキシル基、スルホン酸ナトリウム基、水酸基などが挙げられる。これらの構造は、用いられる強誘電性液晶の種類に応じて、適宜選択することができる。
また、光異性化反応性化合物としては、分子内にシス−トランス異性化反応性骨格以外にも、液晶分子との相互作用をより高められるように、芳香族炭化水素基などのπ電子が多く含まれる基を有していてもよく、シス−トランス異性化反応性骨格と芳香族炭化水素基は、結合基を介して結合していてもよい。結合基は、液晶分子との相互作用を高められるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、−COO−、−OCO−、−O−、−C≡C−、−CH−CH−、−CHO−、−OCH−などが挙げられる。
なお、光異性化反応性化合物として、重合性モノマーを用いる場合には、上記シス−トランス異性化反応性骨格を、側鎖として有していることが好ましい。上記シス−トランス異性化反応性骨格を側鎖として有していることにより、光配向膜に付与される異方性の効果がより大きなものとなり、強誘電性液晶の配向制御に特に適したものとなるからである。この場合に、前述した分子内に含まれる芳香族炭化水素基や結合基は、液晶分子との相互作用が高められるように、シス−トランス異性化反応性骨格と共に、側鎖に含まれていることが好ましい。
また、上記重合性モノマーの側鎖には、シス−トランス異性化反応性骨格が配向しやすくなるように、アルキレン基などの脂肪族炭化水素基を結合基として有していてもよい。
上述したような単分子化合物または重合性モノマーの光異性化反応性化合物の中でも、本発明に用いられる光異性化反応性化合物としては、分子内にアゾベンゼン骨格を有する化合物であることが好ましい。アゾベンゼン骨格は、π電子を多く含むため、液晶分子との相互作用が高く、液晶の配向制御に特に適しているからである。
以下、アゾベンゼン骨格が光異性化反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与できる理由について説明する。まず、アゾベンゼン骨格に、直線偏光紫外光を照射すると、下記式に示されるように、分子長軸が偏光方向に配向しているトランス体のアゾベンゼン骨格が、シス体に変化する。
Figure 2010282153
アゾベンゼン骨格のシス体は、トランス体に比べて化学的に不安定であるため、熱的にまたは可視光を吸収してトランス体に戻るが、このとき、上記式の左のトランス体になるか右のトランス体になるかは同じ確率で起こる。そのため、紫外光を吸収し続けると、右側のトランス体の割合が増加し、アゾベンゼン骨格の平均配向方向は紫外光の偏光方向に対して垂直になる。本発明においては、この現象を利用することにより、アゾベンゼン骨格の配向方向を揃え、光配向膜に異方性を付与し、その膜上の液晶分子の配向を制御することができるのである。
このような分子内にアゾベンゼン骨格を有する化合物のうち、単分子化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2010282153
上記式中、R41は各々独立して、ヒドロキシ基を表す。R42は−(A41−B41−A41)m−(D41)n−で表される連結基を表し、R43は(D41)n−(A41−B41−A41)m−で表される連結基を表す。ここで、A41は二価の炭化水素基を表し、B41は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NHCOO−または−OCONH−を表し、mは0〜3の整数を表す。D41は、mが0のとき二価の炭化水素基を表し、mが1〜3の整数のとき−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NHCOO−または−OCONH−を表し、nは0または1を表す。R44は各々独立して、ハロゲン原子、カルボキシ基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基またはメトキシカルボニル基を表す。ただし、カルボキシ基はアルカリ金属と塩を形成していてもよい。R45は各々独立して、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基またはヒドロキシ基を表す。ただし、カルボキシ基またはスルホ基はアルカリ金属と塩を形成していてもよい。
上記式で表される化合物の具体例としては、下記式(2-1)〜(2-4)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2010282153
また、上記アゾベンゼン骨格を側鎖として有する重合性モノマーとしては、例えば、下記式(3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2010282153
上記式中、R51は各々独立して、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルオキシ基、ビニルオキシカルボニル基、ビニルイミノカルボニル基、ビニルイミノカルボニルオキシ基、ビニル基、イソプロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシカルボニル基、イソプロペニルイミノカルボニル基、イソプロペニルイミノカルボニルオキシ基、イソプロペニル基またはエポキシ基を表す。R52は−(A51−B51−A51)m−(D51)n−で表される連結基を表し、R53は(D51)n−(A51−B51−A51)m−で表される連結基を表す。ここで、A51は二価の炭化水素基を表し、B51は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NHCOO−または−OCONH−を表し、mは0〜3の整数を表す。D51は、mが0のとき二価の炭化水素基を表し、mが1〜3の整数のとき−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NHCOO−または−OCONH−を表し、nは0または1を表す。R54は各々独立して、ハロゲン原子、カルボキシ基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基またはメトキシカルボニル基を表す。ただし、カルボキシ基はアルカリ金属と塩を形成していてもよい。R55は各々独立して、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基またはヒドロキシ基を表す。ただし、カルボキシ基またはスルホ基はアルカリ金属と塩を形成していてもよい。
上記式で表される化合物の具体例としては、下記式(3-1)〜(3-4)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2010282153
本発明においては、このような光異性化反応性化合物の中から、要求特性に応じて、シス−トランス異性化反応性骨格や置換基を種々選択することができる。なお、これらの光異性化反応性化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いられる光異性化型の材料としては、上記光異性化反応性化合物のほか、光配向膜の光配列性を妨げない範囲内で添加剤を含んでいてもよい。上記光異性化反応性化合物として重合性モノマーを用いる場合には、添加剤としては、重合開始剤、重合禁止剤などが挙げられる。
重合開始剤または重合禁止剤は、一般に公知の化合物の中から、光異性化反応性化合物の種類によって適宜選択して用いればよい。重合開始剤または重合禁止剤の添加量は、光異性化反応性化合物に対し、0.001質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、0.1質量%〜5質量%の範囲内であることがより好ましい。重合開始剤または重合禁止剤の添加量が小さすぎると重合が開始(禁止)されない場合があり、逆に大きすぎると、反応が阻害される場合があるからである。
(iii)光配向膜の形成方法
本発明において光配向膜を形成するには、まず光配向膜の構成材料を有機溶剤で希釈した光配向膜形成用塗工液を塗布し、乾燥させる。この場合に、光配向膜形成用塗工液中の光二量化反応性化合物または光異性化反応性化合物の含有量は、0.05質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましく、0.2質量%〜2質量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が上記範囲より少ないと、配向膜に適度な異方性を付与することが困難となり、逆に含有量が上記範囲より多いと、光配向膜形成用塗工液の粘度が高くなるので均一な塗膜を形成しにくくなるからである。
光配向膜形成用塗工液の塗布方法としては、光配向膜形成用塗工液を親液性領域上に塗布することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、ロールコート法、ロッドバーコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、スロットダイコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ブレードコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
上記光配向膜形成用塗工液を塗布することにより得られる膜の厚みは、1nm〜2000nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3nm〜100nmの範囲内である。膜の厚みが上記範囲より薄いと十分な光配列性を得ることができない可能性があり、逆に厚みが上記範囲より厚いとコスト的に不利になる場合があるからである。
得られた膜には光配向処理を施すことによって異方性を付与する。具体的には、偏光を制御した光を照射することにより、光励起反応を生じさせて異方性を付与することができる。照射する光の波長領域は、用いられる光配向膜の構成材料に応じて適宜選択すればよいが、紫外光域の範囲内、すなわち100nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは250nm〜380nmの範囲内である。また、偏光方向は、上記光励起反応を生じさせることができるものであれば特に限定されるものではない。
さらに、光配向膜の構成材料として、光異性化反応性化合物の中でも重合性モノマーを用いた場合には、光配向処理を行った後、加熱することにより、ポリマー化し、光配向膜に付与された異方性を安定化することができる。
(3)凹凸配向層
液晶の配向層としては、ラビングや光配向を行った膜だけでなく、小さな凹凸をつけた膜を用いることもできる。
凹部形成領域には、様々な構造を採用することができる。例えば、凹部形成領域には、複数の溝を幅方向に等間隔で平行に並べた構造を採用することができる。
これら溝は、互いに平行でなくてもよいが、これらの溝が平行に近いほど、液晶分子又はそれらのメソゲン基の長軸が揃い易くなる。これらの溝が為す角度は、例えば5°以下とし、典型的には3°以下とする。
これら溝は、縦横に並べてもよい。また、溝の長さは、互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよい。また、長さ方向に隣り合う溝間の距離は均一であってもよく、不均一であってもよい。さらに、幅方向に隣り合う溝間の距離は均一であってもよく、不均一であってもよい。また、凹部形成領域の各々には、互いに長さが等しい溝を縦横に並べてもよい。或いは、様々な長さの溝をランダムに並べてもよい。
溝を略平行とし且つピッチを適宜設定することなどにより、これら溝で回折格子を構成することができる。
凹部形成層(凹凸配向層)は、例えば、感光性樹脂材料に、二光束干渉法を用いてホログラムパターンを記録する方法や、電子ビームによってパターンを描画する方法により形成することができる。或いは、表面レリーフ型ホログラムの製造で行われているように、微細な線状の凸部を設けた金型を樹脂に押し付けることにより形成することができる。例えば、凹部形成層は、基材上に形成された熱可塑性樹脂層に、線状の凸部が設けられた原版を、熱を印加しながら押し当てる方法、すなわち、熱エンボス加工法により得られる。或いは、凹部形成層は、基材上に紫外線硬化樹脂を塗布し、これに原版を押し当てながら基材側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、原版を取り除く方法により形成することも可能である。
これらの方法によれば、1つの面内に溝の長さ方向が異なる複数の凹部形成領域を形成することができる。また、これらの方法によると、1つの面内に溝の深さ、幅、及び/又は溝などが異なる複数の凹部形成領域を形成することもできる。
先の原版は、例えば、二光束干渉法を用いてホログラムパターンを記録する方法、電子ビームによってパターンを描画する方法、又はバイトによって切削する方法により得られた母型の電鋳を行うことにより得られる。凹部形成層に上記のような多様性をもたせない場合は、ラビング加工により溝を形成してもよい。
これら溝の深さは、例えば、0.05μm乃至1μmの範囲とする。また、溝の長さは、例えば、0.5μm以上とする。溝のピッチは、例えば0.1μm以上であり、典型的には0.75μm以上である。又、溝のピッチは、例えば10μm以下であり、典型的には2μm以下である。液晶分子又はそのメソゲン基を高い秩序度で配向させるには、溝のピッチは小さいことが有利である。
8.インク拡散防止障壁
本発明においては、必要に応じ、配向層もしくは配向層上に、インク拡散防止障壁を設けることができる。インク拡散防止障壁は、インクジェット法による液晶化合物を含有するインク組成物の吐出において、インク着弾後のインクの意図せぬ移動や変形を抑制し、意図した位置にインクを付着させる作用を有する。インク拡散防止障壁を形成しておくことで、より微細なパターンの形成が可能になる。
インク拡散防止障壁は、以下のようにして形成する。
(1)配向層内に形成する場合
配向層内に形成する場合は、配向層に凹凸をつけることができる。凹凸は、配向処理を行う前に付与しても良いし、配向処理後に付与してもかまわない。凹凸をつける方法としては、エンボス加工、フォトレジスト処理、機械加工、などがあげられる。
あらかじめ凹凸をつけた層は転写しても良い。
(2)配向層上に別の層として形成する場合
配向層上に別の層として形成する場合は、フォトレジストやインクジェットによる吐出で行うことができる。感光性樹脂を用いて光硬化することが好ましい。
あらかじめ凹凸をつけた層は転写しても良い。
9.複屈折パターンに積層される機能性層
複屈折パターンには、さらに様々な機能を持った機能性層が積層されていてもよい。機能性層としては、反射層、保護層などが挙げられる。また、特に限定されるものではないが、例えば以下に述べるホログラム層、反射層、保護層なども挙げることができる。
(1)ホログラム層
本発明の偽造防止媒体は、ホログラム層を有していてもよい。ホログラムは単体でも偽造防止ラベルとして使用されているが、潜像を形成する複屈折パターンと組み合わせることで、偽造防止性が向上する。
ホログラムの種類は特に限定されず、レリーフホログラムでも、体積ホログラムでもよい。生産性に関しては前者が優れるが、偽造防止性の観点では後者が優れる。
各種ホログラム材料に関しては、「ホログラフィー材料・応用便覧」(辻内順平監修、2007)を参照することができる。また、レリーフホログラム層形成については、特開2004-177636号公報、特開2005-91786号公報の記載を参照することができる。そのうち、典型的方法について以下に説明する。
ホログラム層形成の材料として用いられるホログラム樹脂としては、プレス版にて成形可能な熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UVあるいは電子線硬化性樹脂のいずれでもよい。アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂や、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加、架橋したウレタン樹脂や、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等の熱硬化樹脂、エポキシ(メタ)アクリル、ウレタン(メタ)アクリレート等の紫外線あるいは電子線硬化樹脂を、単独もしくはこれらを複合して使用できる。
ホログラム層の製造方法としては、(1)支持体にUV硬化型樹脂、または電子線硬化型樹脂を塗布し、これを版胴と圧胴との間に送り、紫外線または電子線を照射して硬化させる方法、(2)特開平5−232853号公報に開示されているように、紫外線または電子線硬化性樹脂組成物と、既存のホログラムフィルムの凹凸面とを圧着し、紫外線または電子線を照射することによって樹脂を硬化させ、その後、ホログラムフィルムを剥離することによって、ホログラム像を転写する方法、(3)支持体の片面に、押し出しダイから押し出された溶融状態の合成樹脂を、表面にレリーフホログラムが形成されているスタンパを備えた冷却ロールからなる版胴と、圧胴との間でラミネートする方法、等が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。
なお、樹脂層に表面にエンボスにより微細な凹凸形状を設ける場合であって、後述のようにホログラム層に反射層を設ける場合は、エンボス加工は反射層の形成の前でも後でもよい。
ホログラム層は、上記のように製造した複屈折パターン上に形成されることが好ましい。市販のホログラム箔をパターニング光学異方性層上に転写してもよい。
(2)反射層
反射により複屈折パターンを視認する場合であって、被着体が非反射性である場合には、複屈折パターンの視認性を向上させるために反射層を設けることが好ましい。
反射層としては、反射性の金属薄膜や、反射性の金属粒子を含有する層を用いることができる。
金属薄膜に用いられる金属としては、Al、Cr、Ni、Ag、Au等が挙げられる。金属薄膜の形成は真空製膜により行うことができる。金属薄膜は、単層膜であっても、多層膜であってもよく、例えば、物理気相成長法、化学気相成長法のいずれによっても製造することができる。
反射性の金属粒子を含有する層としては、例えばゴールドやシルバー等のインキで印刷された層が挙げられる。
反射層は完全鏡面である必要はなく、表面にマット加工が施されていてもよい。
透明な偽造防止転写箔の場合には、上述したような反射層は不要であるが、ホログラム層を有する場合には、ホログラムの視認性を向上させるために、ホログラムとは異なる屈折率を有する透明反射層をホログラム層に隣接して設けることが好ましい。
透明反射層としては、ホログラム層を形成する樹脂との屈折率差が大きい材料を用いて作製された薄膜が好ましい。高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化インジウム等が挙げられる。逆に、低屈折率材料としては、二酸化珪素、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等が挙げられる。
金属薄膜、あるいは透明反射層の膜厚としては、使用する材料によって異なるが、例えば5nm〜400nm、好ましくは、10nm〜100nmの範囲内で任意に選択することができる。
(3)保護層
保護層は、偽造防止媒体の最表層となる層であり、貯蔵の際の汚染や損傷からパターニング光学異方性層を保護する層である。配向層が保護層としての機能を有してもよい。
保護層の材料としては例えばポリオレフィンもしくはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素ポリマーや多官能アクリレートが適当である。
10.層の形成方法
所望により形成される配向層等の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、スリットコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
11.全面熱処理(ベーク)
上記のようにして作製された複屈折パターンに対してベークを行ってもよい。このときは、好ましくは50℃以上400℃以下、より好ましくは80℃以上400℃以下に加熱を行う。
また、必要に応じベークを行った複屈折パターン材料の上に新たにインクジェット法で液晶化合物含有インク組成物を吐出し、その後に必要に応じさらにベークを行ってもよい。この手法は、それぞれの光学異方性層に付与するレターデーション値を独立に制御したい時に有用である。
12.仕上げ熱処理
前節までの工程で作製された複屈折パターンの安定性をさらに高めたい場合、固定化された後にまだ残存している未反応の反応性基をさらに反応させて耐久性を増したり、材料中の不要な成分を気化あるいは燃焼させて除いたりする目的の為に仕上げ熱処理を行ってもよい。仕上げ熱処理の温度としては180〜300℃程度の加熱を行えばよく、190〜260℃がより好ましく、200〜240℃がさらに好ましい。熱処理の時間は特に限定されないが、30秒以上5時間以内が好ましく、1分以上2時間以内がより好ましく、2分以上1時間以内が特に好ましい。
B.偽造防止システム
本発明の偽造防止媒体における複屈折パターンは通常はほぼ無色透明であり、二枚の偏光板で挟まれた場合(支持体がガラス、PETなど透明なものの場合。クロスニコルとする)、あるいは反射層と偏光板とで挟まれた場合(支持体が紙、アルミ、銀インクを印刷した紙などの場合)においては特徴的な明暗、あるいは色を示し容易に目視で認識できる。すなわち、複屈折パターンは通常は目視ではほぼ不可視な一方で、偏光板を介することで容易に多色の画像が識別可能となる。複屈折パターンは偏光板を介さずにコピーしても何も映らず、逆に偏光板を介してコピーすると永続的な、つまりは偏光板無しでも目視可能なパターンとして残る。従って複屈折パターンの複製は困難である。このような複屈折パターンの作製法は広まっておらず、材料も特殊であることから、偽造防止手段として用いるに適していると考えられる。本発明の偽造防止方法は、本発明の偽造防止媒体と偏光板とを用い、真贋確認時に複屈折パターン(潜像)を視認することで行える。
本発明において、偏光板を介して視認されるパターンに特に制限はないが、偽造防止の観点などから3色以上を有するものが好ましい。3色以上を有するパターンは、インクジェット法による液晶化合物含有インクの吐出において膜厚を変化させることにより、レターデーションを3段階以上に調整することで形成することができる。また、軸方向が異なることも好ましい。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜7、比較例1
表1に示すように、反射性支持体上に配向層とインク拡散障壁を形成し、その上にインクジェット法を用いてパターニング光学異方性層を作成して偽造防止媒体を得た。
(支持体)
厚さ50μmのアルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを反射性支持体として使用した。
[1]配向膜の作成
・PVA配向膜の場合
(配向層用塗布液AL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
配向層用塗布液組成(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ポリビニルアルコール(PVA205(商品名)、クラレ(株)製)
3.21
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30(商品名)、BASF社製)
1.48
蒸留水 52.10
メタノール 43.21
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記支持体の上に、ワイヤーバーを用いて、配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した。乾燥膜厚は3.0μmであった。
・凹凸配向膜の場合
上記支持体の上に、ワイヤーバーを用いて、配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した。乾燥膜厚は3.0μmであった。
・光配向膜の場合の場合
化合物(P-40)、および化合物(P-40)に対して3質量%の下記重合開始剤を添加し、1質量%テトラヒドロフラン溶液を調製した。この溶液をスピンコート法(3500rpm、20秒間)により、乾燥後厚みが0.05〜0.15μm程度となるよう、上記支持体上に塗布し、有機膜を成膜した。
Figure 2010282153
[2]インク拡散防止障壁の作成
(配向層と兼ねるもの(実施例2))
石英クロムマスク(開光部パターン:φ200μm、ピッチ500μm)表面に、光触媒用酸化チタンコーティング剤(商品名:TKC301、テイカ(株)製)をコーティングし、350℃で3時間乾燥させ、光触媒含有層側基板を調製した。
配向膜を作成したフィルムを被露光基板として用い、上記光触媒含有層側基板を該露光基板上にソフトコンタクトさせ、常温・常圧下で紫外線露光した。その結果、露光部の配向膜がエッチングされ凹部となり、未露光部が凸部となったフィルムを作製することができた。
(配向層と別に作成したもの(実施例1、3、4))
[インク拡散防止障壁(隔壁)形成用の組成物の調製]
下記の組成の組成液K1を調液した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成液K1組成(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 5
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ
500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 5
下記化合物1 0.017
フェノチアジン 0.006
メチルエチルケトン 89.977
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Figure 2010282153
(隔壁の形成)
上述のように調製した組成液K1を塗布・乾燥し膜厚2.3μmの濃色組成物層K1を得た。
超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と濃色組成物層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cmで隔壁幅20μm、スペース幅100μmにパターン露光した。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、濃色組成物層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製を100倍希釈したもの)を23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、大気下にて露光量2500mJ/cmにて上面からポスト露光を行って、膜厚2.0μmの隔壁を得た。
〔撥インク化プラズマ処理〕
隔壁を形成した基板に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にて撥インク化プラズマ処理を行った。
(条件)
使用ガス:CF
ガス流量:80sccm
圧力:40Pa
RFパワー:50W
処理時間:30sec
[3]配向処理
・PVA配向膜の場合
配向層をMD方向にラビングした。
・凹凸配向膜の場合
熱インプリント用のSiモールドを製造した。
シリコン基板に電子線レジスト(商品名:ZEP520/日本ゼオン社製)を500nm厚コートし、次に、電子線描画装置にて100〜400nmのラインパターン描画し、さらに、有機現像によりレジストパターンを形成した。このときの条件は、描画時のドーズを100μC/cm、現像時間を2分とした。
次に、ICPドライエッチング装置を用いたSiの異方性ドライエッチングによって、深さ1000nmのSiパターンを形成した。Si異方性エッチングの条件は、C流量30sccm、O流量30sccm、Ar流量50sccm、圧力2Pa、ICPパワー500W、RIEパワー130Wとした。
次に、Oプラズマアッシング(条件:O流量500sccm、圧力30Pa、RFパワー1000W)によってレジストを剥離してモールドを形成した。
熱インプリント前にSiモールドのパターン面には、離型剤としてフッ素系表面処理剤EGC−1720(商品名、住友スリーエム社製)を浸漬処理した。上記支持体に対して、上記Siモールドを熱インプリントし、その後モールドを離型した。このときの熱インプリント条件は、基板及びモールド温度110℃、プレス圧力15MPa、保持時間1分とした。
・光配向膜の場合
得られた有機膜に対して、紫外線照射器(HOYA CANDEO OPTRONICS社製、EXECURE3000(商品名))より出射される紫外光より出射される光を、偏光板を介して直線偏光に変換し、支持体に対して垂直の方向から100mW/cm2(365nm)の強度で1秒間照射し、配向膜とした。照射エネルギーは、0.1J/cmとした。
さらに、得られた配向膜に対して、紫外線照射器(HOYA CANDEO OPTRONICS社製、EXECURE3000(商品名))より出射される紫外光より出射される光を、支持体に対して垂直の方向から100mW/cm2(365nm)の強度で15秒間照射し、配向膜を重合させ、配向膜を固定化した。照射エネルギーは、1.5J/cmとした。
[4]塗布
(液晶化合物含有インク組成物LC−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、液晶化合物含有インク組成物LC−1として用いた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
液晶化合物含有インク組成物組成(質量比)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
棒状液晶(LC−1−1) 25.00
水平配向剤(LC−1−2) 0.02
カチオン系光重合開始剤
(CPI100−P(商品名)、サンアプロ株式会社製) 0.66
重合制御剤
(IRGANOX1076(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
0.07
ラジカル光重合開始剤(2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)
1,3,4−オキサジアゾール) 0.44
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.002
N−メチル−2−ピロリドン 73.808
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Figure 2010282153
・インクジェット塗布の場合(実施例1〜7)
専用吐出制御装置を有するインクジェットヘッドとしてSX-3(商品名、Diamatix社製)を用い、液晶化合物含有インク組成物LC−1の吐出を行った。このインクジェットヘッドはオンデマンド型ピエゾ駆動のヘッドであって、ひとつのヘッドに128のノズルが508μmの間隔で配置されている。
吐出は、配向層がPVAのサンプルには図5に示したパターンを、凹凸型もしくは光配向膜のサンプルには図6に示したパターンを形成するように行った。
膜面温度105℃で2分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160mW/cm2の空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ0μm、1.7μm、3.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において100mW/cm2、照射量はUV−A領域において80mJ/cm2であった。
図5及び図6に示すように、偽造防止媒体の各領域のレターデーションはそれぞれ0nm、140nm、290nmであった。また、これらの領域内の遅相軸は実質的に一定であった(各領域の遅相軸方向は図5及び図6中に矢印で示した)。
得られた偽造防止媒体に対し、偏光板をかざしてパターンが観察できるか確認した。表1に示すようにいずれもパターンを良好に視認できた。レターデーションが0nmの領域は灰色、140nmの領域は紺色、290nmの領域は黄色として観察された。
・バー塗布の場合(比較例1)
ワイヤーバーを用いて液晶化合物含有インク組成物LC−1を塗布、膜面温度105℃で2分間乾燥して液晶相状態とした後、空気雰囲気で160mW/cm2の空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ3.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において100mW/cm2、照射量はUV−A領域において80mJ/cm2であった。次に、感光性層用塗布液AD−1を下記のように調製し、塗布、乾燥して1.0μmの感光性層を形成した
(感光性層用塗布液AD−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、塗布液AD−1として用いた。
──────────────────────────────────―
塗布液AD−1組成(質量%)
──────────────────────────────────―
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸メチル
=35.9/22.4/41.7モル比のランダム共重合物
(質量平均分子量3.8万) 8.05
KAYARAD DPHA(商品名、日本化薬(株)製) 4.83
ラジカル光重合開始剤(2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)
1,3,4−オキサジアゾール) 0.12
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.002
メガファックF−176PF(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
0.05
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 34.80
メチルエチルケトン 50.538
メタノール 1.61
──────────────────────────────────―
このシートに対して以下のようにUVパターン露光を行った。
ミカサ社製M−3LマスクアライナーとフォトマスクI(いずれも商品名)を用いて露光照度6.25mW/cmで8.2秒間の露光を行った。フォトマスクIは図5に示すようなレターデーションの異なる3つの領域(Re=0nm、Re=140nm、Re=290nm)からなる。各々の領域(フォトマスクIの各領域)のλ=365nmの紫外光に対する透過率を下記に示す。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
領域 透過率
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Re= 0nm 0%
Re=140nm 20%
Re=290nm 96%
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その後、さらに200℃のクリーンオーブンで10分間のベークを行って、比較例1の偽造防止媒体を作製した。
得られた偽造防止媒体に対し、偏光板をかざしてパターンが観察できるか確認した。表1に示すように、アルミニウム面に細かいひび割れが生じ、くもって見えた。熱現像で200℃に加熱した際、支持体であるPETフィルムが収縮してしまい、アルミニウム面が追随しきれずにひび割れを生じたものである。
なお、重合性液晶を用いた位相差パターニングの方法として、他に有機溶媒現像法があるが、この方法では支持体や他の層の溶解が懸念される。また、レターデーション値が2種のパターニング(例:0nm、200nm)は行えるが、3種以上(例:0nm、100nm、200nm)は困難である。
Figure 2010282153
11 支持体
12 パターニング光学異方性層
13 インク拡散防止障壁
14 配向層
15 反射層
16 保護層
17 金属層
600 タイミング制御部
602 ピエゾ電圧
603 ピエゾ駆動時間幅
604 吐出周波数
610 ピエゾ波形発生回路
620 可変遅延回路
621 遅延量
630 LED点灯回路
640 ヘッド
650 LED
660 顕微鏡レンズ
661 CCDカメラ
670 モニター

Claims (10)

  1. 液晶化合物を含有するインク組成物をインクジェット法により配向層上に吐出して形成したパターニング光学異方性層を有することを特徴とする偽造防止媒体。
  2. 前記配向層または配向層上に、インク拡散防止障壁が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体。
  3. 凹凸が形成された配向層を有する請求項1または2に記載の偽造防止媒体。
  4. ラビングを行った配向層を有する請求項1または2に記載の偽造防止媒体。
  5. 光配向を行った配向層を有する請求項1または2に記載の偽造防止媒体。
  6. 反射層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の偽造防止媒体。
  7. 液晶化合物を含有するインク組成物をインクジェット法により配向層上に吐出することを特徴とする偽造防止媒体の製造方法。
  8. 前記配向層または配向層上に、インク拡散防止障壁を設けることを特徴とする請求項7に記載の偽造防止媒体の製造方法。
  9. 前記インク組成物が沸点160℃以上の溶媒を含有することを特徴とする請求項7または8に記載の偽造防止媒体の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の偽造防止媒体と偏光板とを用い、顕在化させた潜像を視認することを特徴とする偽造防止方法。
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