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JP2010257932A - 導電性微粒子分散ペースト - Google Patents

導電性微粒子分散ペースト Download PDF

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JP2010257932A JP2009255136A JP2009255136A JP2010257932A JP 2010257932 A JP2010257932 A JP 2010257932A JP 2009255136 A JP2009255136 A JP 2009255136A JP 2009255136 A JP2009255136 A JP 2009255136A JP 2010257932 A JP2010257932 A JP 2010257932A
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Abstract

【課題】太陽電池の裏面電極形成に好適に用いることのできる導電性微粒子分散ペーストを提供する。
【解決手段】太陽電池の裏面電極を形成するために用いられる導電性微粒子分散ペーストであって、(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤及び導電性微粒子を含有し、(メタ)アクリル樹脂は、分子末端に極性官能基を有し、かつ、重量平均分子量が10000〜40000であり、かつ、有機溶剤は、分子中に水酸基を少なくとも一つ有するテルペン系溶剤、又は、(炭素数/水酸基数)が5未満のポリオール溶剤である導電性微粒子分散ペースト。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池の裏面電極形成に好適に用いることのできる導電性微粒子分散ペーストに関する。
近年、化石燃料に代わるクリーンエネルギーとして太陽光発電が注目され、太陽電池の開発が進んでいる。太陽電池としては、シリコン半導体基板の上に、電極が形成された装置が知られている。図1は、一般的な太陽電池の構造を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、太陽電池の素子は、厚みが200〜300μmのp型シリコン半導体基板1の受光面側に、厚みが0.3〜0.6μmのn型不純物層2が形成されており、更にn型不純物層2の上に反射防止膜3とグリッド電極4とが形成されている。また、p型シリコン半導体基板1の裏面側には、裏面電極層5が形成されている。
裏面電極層5は、通常、アルミニウム粉末、ガラスフリット及び有機質ビヒクルを含有するペーストをスクリーン印刷等によって塗布し、乾燥した後、660℃(アルミニウムの融点)以上の温度で焼成することにより形成される。この焼成工程において、アルミニウムがp型シリコン半導体基板1の内部に拡散することにより、裏面電極層5とp型シリコン半導体基板1との間にAl−Si合金層6が形成されると同時に、アルミニウム原子の拡散による不純物層としてp層7が形成される。このp層7の存在により、電子の再結合を防止し、生成キャリアの収集効率を向上させるBSF(Back Surface Field)効果が得られる。
近年、太陽電池はコストダウンの要求が高まり、その方法として、シリコン半導体基板を薄くすることが検討されている。しかし、シリコンとアルミニウムとは熱膨張係数が大きく異なるため、シリコン半導体基板が薄くなれば、熱膨張係数の差に起因して内部応力が発生し、ペーストの焼成後に裏面電極層が形成された裏面側が凹状になるようにシリコン半導体基板が変形し、反り又は割れが発生するという問題があった。
このような問題を解決するため、特許文献1には、半導体基板の裏面全体にアルミニウム含有ペーストを薄く塗布し、その上から厚くしたい部分に再度アルミニウム含有ペーストを塗布した後、焼成することにより、半導体基板の裏面に2種以上の層からなる裏面電極層を形成する方法が開示されている。また、特許文献2には、半導体基板の裏面に裏面電極を格子状に形成する方法が開示されている。
また、特許文献3には、アルミニウム粉末、ガラスフリット、有機質ビヒクル及びアルミニウム含有有機化合物を用いる方法が開示されており、特許文献4には、熱膨張率がアルミニウムよりも小さく、かつ、溶融温度、軟化温度及び分解温度のいずれかがアルミニウムの融点よりも高い無機化合物、アルミニウム粉末及び有機質ビヒクルを含むペースト組成物を用いる方法が開示されている。更に、特許文献5には、従来のペースト組成物に有機化合物粒子及び炭素粒子のうち少なくとも1種を添加して、焼成時のアルミニウム電極の収縮を抑止することにより、シリコン半導体基板の反りを低減する方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法で用いられているペーストは、すべてバインダー樹脂として、エチルセルロースを用いている。エチルセルロースは、熱分解性が悪いために、短時間の焼成プロセスでは有機物質が残りやすく、緻密な膜が作りにくいため、ペーストを厚く塗布しなければならず、そのため反りを防ぐことができないと言う問題点があった。また、緻密な膜が作りにくいため、電気抵抗も高くなってしまうという問題点もあった。
特開2002−217435号公報 特開2002−141533号公報 特開2000−90734号公報 特開2003−223813号公報 特開2004−134775号公報
本発明は、シリコン半導体基板を薄くした場合でも、電極の機械的強度と密着性を低下させることがなく、焼成後のシリコン半導体基板の変形(反り)を抑制でき、かつ、電気抵抗を下げることが可能な導電性微粒子分散ペーストを提供することを目的とする。
本発明は、太陽電池の裏面電極を形成するために用いられる導電性微粒子分散ペーストであって、(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤及び導電性微粒子を含有し、(メタ)アクリル樹脂は、分子末端に極性官能基を有し、重量平均分子量が10000〜40000であり、かつ、有機溶剤は、分子中に水酸基を少なくとも一つ有するテルペン系溶剤、又は、(炭素数/水酸基数)が5未満のポリオール溶剤である導電性微粒子分散ペーストである。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤及び導電性微粒子を含有する導電性微粒子分散ペーストにおいて、(メタ)アクリル樹脂として、分子末端に極性官能基を有し、かつ、重量平均分子量が10000〜40000のものを使用し、有機溶剤として、分子中に水酸基を少なくとも一つ有するテルペン系溶剤、又は、(炭素数/水酸基数)が5未満のポリオール溶剤を用いた場合、驚くべきことに、同程度の重量平均分子量を有する(メタ)アクリル樹脂を添加した場合と比較して、高い粘度を発現することから、このような構成の導電性微粒子分散ペーストをスクリーン印刷に用いた場合、スクリーン印刷に適した粘度となることを見出した。更に、(メタ)アクリル樹脂が本来有する高い熱分解性や焼結残渣の少なさといった利点を充分に生かしつつ、印刷膜の膜密度を上げることができ、焼成後の基板の反りを防止して、電気抵抗値を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明において、上述した構成の(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤とを併用した場合に、同程度の重量平均分子量を有する(メタ)アクリル樹脂を添加した場合と比較して高い粘度を発現する理由については明確ではないが、上記(メタ)アクリル樹脂の分子末端に存在する極性官能基と、上記有機溶剤の水酸基とが、水素結合等で強く相互作用しているためであると考えられる。
また、印刷膜の膜密度が大幅に向上する理由についても、明確ではないが、本発明では、樹脂の含有量を少なく抑えることができるため、印刷膜中の空隙を減らすことができ、更に、上記(メタ)アクリル樹脂の極性官能基の効果により、導電性微粒子を分散安定化できるためであると考えられる。
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤及び導電性微粒子を含有する。なお、本明細書において(メタ)アクリル樹脂とは、アクリル樹脂又はメタクリル樹脂を意味する。
上記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量の下限は10000、上限は40000である。上記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量が10000未満であると、後述する有機溶剤と混合しても、得られる導電性微粒子分散ペーストは、充分な粘度が確保されず、結果として、スクリーン脱枠後の基板へのパターン形成能が低下する。上記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量が40000を超えると、得られる導電性微粒子分散ペーストの粘着力が高くなり、スクリーン印刷性が低下する。好ましい下限は15000、好ましい上限は35000である。
なお、本明細書における重量平均分子量とは、例えば、カラムとしてSHOKO社製のLF−804を用い、室温にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により得られる結果を基に、ポリスチレン換算値で求められるものをいう。
上記(メタ)アクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3以下であることが好ましい。上記(Mw/Mn)が3を超えると、部分的に低分子量成分及び/又は高分子量成分が存在する割合が高くなり、得られる導電性微粒子分散ペーストは、低分子量成分による粘度低下及び/又は高分子量成分による粘着力上昇が引き起こされ、結果として、スクリーン印刷性が低下することがある。より好ましくは2.5以下である。
上記(メタ)アクリル樹脂は、分子末端に極性官能基を有する。極性官能基が、分子末端に存在することで、上記(メタ)アクリル樹脂は、有機溶剤又は導電性微粒子との相互作用が可能となると考えられ、その結果、得られる導電性微粒子分散ペーストの粘度が適正化され、スクリーン印刷性が向上する。また、分子末端に存在する極性官能基は、アルミニウムの粒子を分散安定化する効果が高く、その結果、得られる印刷膜をより緻密なものとすることが可能となる。
上記(メタ)アクリル樹脂の分子末端に極性官能基が存在していることは、例えば、上記(メタ)アクリル樹脂を抽出したポリマーを13C−NMR測定することにより、確認することができる。即ち、炭素−硫黄間の結合が確認された場合には、分子末端に極性官能基が導入されたと判断することができる。
上記極性官能基としては、水素結合性を有する化学骨格を有する官能基であれば特に限定されず、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、リン酸基、アミド基等が挙げられる。中でも、焼結時に発生する熱分解化合物を原因とする導電性微粒子分散ペースト中の導電性微粒子や印刷基板の劣化、損傷等の影響が少ない等の理由から、水酸基、カルボキシル基が好適である。
上記分子末端に極性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂の製造方法は特に限定されず、例えば、極性官能基を有する連鎖移動剤の存在下、(メタ)アクリルモノマーを、フリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で重合又は共重合する方法、及び、極性官能基を有する重合開始剤の存在下、(メタ)アクリルモノマーを、フリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で重合又は共重合する方法が挙げられる。これらの方法は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、極性官能基を有するアゾ系重合開始剤を用いて、上記分子末端に極性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂の製造してもよい。
上記アゾ系重合開始剤としては、特に限定されず、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェイトジハイドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシド)等が挙げられる。
上記(メタ)アクリルモノマーとしては、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及び、ポリオキシアルキレン構造を有する(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種等が挙げられる。なかでも、低温脱脂性に優れ、比較的少ない樹脂量でも高い粘度の導電性微粒子分散ペーストを得ることができることから、メチル(メタ)アクリレートが好適である。
上記分子末端に極性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂は焼結性を阻害しない範囲で、側鎖に水酸基やカルボキシル基、窒素元素を含む官能基等の極性官能基を有してもよい。これらの構造は水酸基やカルボキシル基、窒素元素を含む官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を共重合することによって得られる。
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸等が挙げられる。
上記窒素原子を含む官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上述した各官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体のなかでも、脱脂後に分解残渣分の残留が特に少ないことから、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が好適である。
上記(メタ)アクリレート共重合体における上述した各官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の含有量としては特に限定されないが、(メタ)アクリレート共重合体100重量部中、好ましい上限は30重量部である。30重量部を超えると、吸水しやすくなるため、ガラス粉末等を分散させペースト化した場合、長期で粘度の安定した組成物を得ることが困難な場合がある。より好ましい上限は15重量部である。また、下限としては特に限定されないが、好ましくは1重量部である。
上記極性官能基を有する連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、水酸基を有するメルカプトプロパンジオール、カルボキシル基を有するチオグリセロール、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸、アミノ基を有するアミノエタンチオール等、リン酸基を有するチオリン酸等が挙げられる。
上記極性官能基を有する重合開始剤としては特に限定されず、例えば、P−メンタンヒドロペルオキシド(P−Menthane hydroperoxide)(日油社製:パーメンタH)、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド(Diisopropylbenzene hydroperoxide)(日油社製:パークミルP)、1、2、3、3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド(1、2、3、3−Tetramethylbutyl hydroperoxide)(日油社製:パーオクタH)、クメンヒドロペルオキシド(Cumene hydroperoxide)(日油社製:パークミルH−80)、t−ブチルヒドロペルオキシド(t−Buthyl hydroperoxide(日油社製:パーブチルH−69)、過酸化シクロヘキサノン(Cyclohexanone peroxide)(日油社製:パーヘキサH)、1、1、3、3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−アミルハイドロパーオキサイド、Disuccinic acid peroxide(パーロイルSA)等が挙げられる。また、窒素官能基を有する各種アゾ開始剤を用いても良い。
本発明の導電性微粒子分散ペースト中の上記(メタ)アクリル樹脂の含有量は特に限定されないが、導電性微粒子分散ペースト全体に対して好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は10重量%である。上記(メタ)アクリル樹脂の含有量が0.5重量%未満であると、得られる導電性微粒子分散ペースト中の粘度が低すぎてスクリーン脱枠後の基板へのパターン形成能が低下することがある。上記(メタ)アクリル樹脂の含有量が10重量%を超えると、得られる導電性微粒子分散ペーストの粘着力が高すぎて、スクリーン脱枠時に糸曳き等が発生することがある。より好ましい下限は1重量%、好ましい上限は5重量%である。
上記有機溶剤は、分子中に水酸基を少なくとも一つ有するテルペン系溶剤、又は、(炭素数/水酸基数)が5未満のポリオール溶剤である。このような有機溶剤と、上記(メタ)アクリル樹脂とを組み合わせて用いることで、上記(メタ)アクリル樹脂の分子末端に存在する極性官能基と有機溶剤中の水酸基との相互作用により、上記(メタ)アクリル樹脂の含有量を少なくしても、得られる導電性微粒子分散ペーストの粘度をスクリーン印刷工程に対して好適な状態に保持することができる。その結果、導電性微粒子分散ペーストは、スクリーン脱枠時に糸曳き等が発生せず、緻密な印刷膜を形成することができる。
本発明では、上記有機溶剤としては、分子中に水酸基を少なくとも一つ有するテルペン系溶剤を用いる。分子中に水酸基を有しないテルペン系溶剤を用いた場合、上記(メタ)アクリル樹脂の分子末端に存在する極性官能基との相互作用が起こらないことから、優れたスクリーン印刷性を実現できず、緻密な印刷膜を形成することができない。
上記有機溶剤のうち、上記テルペン系溶剤としては、分子中に水酸基を少なくとも一つ有するものであれば特に限定されず、例えば、α−テルピネオール、ジヒドロテルピネオール等が挙げられる。これらの中では、α−テルピネオールが好ましい。これらのテルペン系溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、上記有機溶剤としては、(炭素数/水酸基数)が5未満のポリオール溶剤を用いる。上記ポリオール溶剤の(炭素数/水酸基数)が5以上であると、上記(メタ)アクリル樹脂の分子末端に存在する極性官能基との相互作用が弱くなることから、優れたスクリーン印刷性を実現できず、緻密な印刷膜を形成することができない。
上記有機溶剤のうち、ポリオール溶剤としては、(炭素数/水酸基数)が5未満であれば特に限定されず、例えば、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン等が挙げられる。これらの中では、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが好ましい。これらのポリオール溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機溶剤は、常温における粘度の好ましい下限が50cpsである。上記粘度が50cps未満であると、得られる導電性微粒子分散ペーストがスクリーン印刷に適した粘度とならず、焼成後に緻密な印刷膜を形成することができないことがある。
なお、上記粘度は、常温においてB型粘度計を用いて粘度を測定した場合における粘度のことをいう。
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、導電性微粒子を含有する。
上記導電性微粒子としては、アルミニウム粉末、金粉末、銀粉末、銅粉末、ニッケル粉末、プラチナ粉末、パラジウム粉末等の金属粉、アルミナ、酸化亜鉛、フェライト等の金属酸化物粉末等が挙げられる。これらの中では、アルミニウム粉末が好ましい。
上記アルミニウム粉末は、平均粒子径が0.5〜20μmであり、かつ、形状が略球状であることが好ましい。上記平均粒子径が0.5μm未満であると、アルミニウム粉末の比表面積が大きくなり、20μmを超えると、導電性微粒子分散ペーストとしたときに、分散安定性が低下することがあり、また、例えば、シリコンウエハに塗布する場合、シリコンウエハとアルミニウム粉末との接点が少なくなり、焼成後に均一なアルミニウム−シリコン合金層が得られないことがある。より好ましくは、1〜10μmである。なお、上記略球状とは、真球形状のほか、球形に近い形状の粒子も包含する。
また、上記アルミニウム粉末としては、平均粒子径0.5〜5μmのアルミニウム粒子と、平均粒子径5〜20μmのアルミニウム粒子とを任意の割合で組み合わせたものを用いることが好ましい。これにより、焼結後に得られる膜中のアルミニウム粒子の充填がより密なものとなる。
本発明の導電性微粒子分散ペーストにおける上記導電性微粒子の含有量は特に限定されないが、導電性微粒子分散ペースト全体に対する好ましい下限は60重量%、好ましい上限は85重量%である。上記導電性微粒子の含有量が60重量%未満であると、得られる導電性微粒子分散ペーストの粘度が低すぎてスクリーン印刷に適した粘度とすることができなくなったり、焼結後のアルミニウム膜の抵抗が高くなり、太陽電池のエネルギー変換効率の低下を招いたりすることがある。また、上記導電性微粒子の含有量が85重量%を超えると、スクリーン印刷時の導電性微粒子分散ペーストの塗布性が低下することがある。より好ましい下限は65重量%、より好ましい上限は80重量%である。
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、更に、極性官能基を少なくとも一つ有するアニオン系分散剤を含有することが好ましい。このようなアニオン系分散剤は、上記(メタ)アクリル樹脂と上記有機溶剤との混合物相の微小相分離構造の安定化助剤や、上記アルミニウム粉末と(メタ)アクリル樹脂との分散安定化助剤として働くと考えられる。極性官能基を持たないノニオン系分散剤には、このような安定化効果は期待できない。
上記アニオン系分散剤としては特に限定されないが、例えば、ポリカルボン酸(脂肪族系多価カルボン酸)又はその塩、ポリアミノアマイドと高分子酸ポリエステルとの塩、リン酸エステル、ポリアミノアマイドリン酸又はその塩等が挙げられ、これらのなかでは、ポリカルボン酸を主成分とする分散剤が特に好ましい。なお、上記アニオン系分散剤は、大量に添加した場合には、得られる導電性微粒子分散ペーストの熱分解性が低下し、脱脂性が損なわれたり、導電性微粒子分散ペーストの基板への密着性が低下したりすることがある。従って、含有量の好ましい上限は導電性微粒子分散ペースト全体に対し5重量%である。
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、更に、ガラスフリットを含有することが好ましい。上記ガラスフリットは、例えば、シリコン基板に塗布する場合、アルミニウムの電極層と、シリコン基板との結合をさらに強化する働きをすると考えられる。上記ガラスフリットの含有量は5重量%以下であることが好ましい。上記ガラスフリットの含有量が5重量%を超えると、ガラスの偏析を生じる恐れがある。上記ガラスフリットとしては、環境に悪影響を与えない非鉛のガラスを用いることが最も好ましいが、鉛含有ガラスを用いてもよい。上記ガラスフリットの粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、20μm以下であることが好ましい。
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、本発明の効果を阻害しない範囲内において、必要に応じて他の従来公知の添加剤を含有してもよい。
本発明の導電性微粒子分散ペーストの作製方法としては特に限定されず、例えば、上記(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤、導電性微粒子及び必要に応じて添加する添加剤を、3本ロール等の従来公知の撹拌機を用いて所定時間混合する方法等により製造することができる。
上記混合する方法は特に限定されず、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等を用いて混合する方法が挙げられる。
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、適度な粘度特性を有することからスクリーン印刷性に優れ、太陽電池の裏面電極の製造に好適に使用することができる。また、膜密度が上がり、焼成後に緻密な膜が形成されることから、得られる電極の電気抵抗を低く抑えることができる。更に、本発明の導電性微粒子分散ペーストを用いることで導電性微粒子分散ペーストを厚く塗布する必要がなく、電極の反りが生じることを防止できる。
本発明によれば、シリコン半導体基板を薄くした場合でも、電極の機械的強度と密着性を低下させることがなく、焼成後のシリコン半導体基板の変形(反り)を抑制でき、かつ、電気抵抗を下げることが可能な導電性微粒子分散ペーストを提供することができる。
一般的な太陽電池の構造を模式的に示す断面図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)25重量部、n−ブチルメタクリレート(BMA)75重量部、連鎖移動剤としてメルカプトコハク酸2重量部、有機溶剤としてテルピネオール100重量部を加えてモノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。重合開始剤を酢酸エチルで希釈した溶液を加えた。また重合中に重合開始剤を含む酢酸エチル溶液を数回添加した。重合開始から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、末端にカルボキシル基を有するメチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの共重合体のテルピネオール溶液を得た。
得られたメチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの共重合体のテルピネオール溶液に対し、表1に記載した組成比になるようにテルピネオールを更に添加し、高速分散機で分散させた。更に、ノニオン系分散剤としてBykP104(ビックケミー社製)、導電性微粒子としてアルミニウム微粒子(平均粒子径5μm)、ガラスフリット(平均粒子径1μm)を表1に記載した組成比になるように添加し、高速撹拌装置を用いて充分混練した後、アルミニウム微粒子が扁平につぶれないように留意しながら3本ロールミルにて処理を行い、導電性微粒子分散ペーストを調製した。
(実施例2〜13、比較例1〜11)
表1に記載された組成比となるように各原料を調整したこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子分散ペーストを作製した。なお、界面活性剤としては、BykP104のほか、ディスパロン2150(楠本化成社製)を用いた。
(実施例14)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)30重量部、ブチルメタクリレート(BMA)40重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)30重量部、有機溶剤としてテルピネオール100重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら油槽が130℃に達するまで昇温した。重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)をテルピネオールで希釈した溶液を加えた。また、重合中に重合開始剤を含むテルピネオール溶液を数回添加し、合計でモノマー100重量部に対して3重量部の重合開始剤を添加した。
重合開始から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、分子末端にシアノ基とカルボニル基を有する(メタ)アクリル樹脂のテルピネオール溶液を得た。得られた重合体について、カラムとしてカラムLF−804(SHOKO社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は表1のとおりであった。
得られた末端極性基にて修飾したメタアクリルバインダーのテルピネオール溶液に対し、表1に記載した組成比になるようにテルピネオールを更に添加し、高速分散機で分散させた。更に、ノニオン系分散剤としてディスパロン2150(楠本化成社製)、導電性微粒子としてアルミニウム微粒子(平均粒子径5μm)、ガラスフリット(平均粒子径1μm)を表1に記載した組成比になるように添加し、高速撹拌装置を用いて充分混練した後、アルミニウム微粒子が扁平につぶれないように留意しながら3本ロールミルにて処理を行い、導電性微粒子分散ペーストを調製した。
(実施例15)
溶剤として2エチル−1,3−ヘキサンジオールを用い、界面活性剤にBykP104(ビックケミー社製)を用いた以外は実施例14と同様の方法で導電性微粒子分散ペーストを調製した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた(メタ)アクリル樹脂及び導電性微粒子分散ペーストについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
(1)(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量の測定
カラムとしてSHOKO社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行った。なお、重量平均分子量は、ポリスチレン換算により算出した。
(2)(メタ)アクリル樹脂の熱分解挙動の評価
熱重量測定装置(商品名:simultaneousSDT2960、TAインスツルメンツ社製)を用い、エアーフローのもと昇温速度200℃/minで23℃から800℃まで加熱を行い、樹脂の熱分解挙動を測定した。その結果、2分以内に樹脂が分解したものを○、2分以上要したもの、又は、樹脂が完全に分解せず焼結残渣が残ったものを×と判定した。
(3)スクリーン印刷性
得られた導電性微粒子分散ペーストを、スクリーン印刷機(マイクロテック社製「MT−320TV」)、スクリーン製版(東京プロセスサービス社製「ST200」乳剤12μ、スクリーン枠:320mm×320mm)、印刷ガラス基板(ソーダーガラス:150mm×150mm、厚み:1.5mm)を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下にて印刷を行った。
ガラス基板上にスクリーン製版の跡が残らず、きれいな印刷面が得られたものを○、ガラス基板がスクリーン製版に張り付き、きれいな印刷面が得られなかったり、スクリーン製版の上に導電性微粒子分散ペーストが大量に残り、印刷できなかったりしたものを×とした。
評価の結果、実施例及びエチルセルロースを用いた比較例10、11に関しては、良好に印刷することができたが、比較例1〜9に関しては印刷することができなかった。
(4)乾燥膜強度
「(3)スクリーン印刷性」と同様の印刷条件でスクリーン印刷にてシリコンウエハ(厚み:300μm)に導電性微粒子分散ペーストを印刷した基板を150℃で10分乾燥後に、膜強度を鉛筆硬度計(安田精機製作所製、型式553−M)を用いて評価した。
評価の結果、実施例に関してはすべての乾燥膜でHBの硬度が確認されたが、エチルセルロースを用いた比較例9、10に関しては6B程度の強度しか得られなかった。乾燥膜強度が低いと、印刷面がワイヤーに直接触れるワイヤー炉ではワイヤー跡が残り不具合になる可能性がある。
(5)焼結性
「(4)乾燥膜強度」で作成した基板を、730〜750℃のオーブンで2分保持することにより焼成した。シリコンウエハ又は導電性微粒子分散ペーストにゆがみ、反り、ひび割れなどが生じたり、焼結膜の強度が弱く剥がれ落ちたりした場合を×、問題なく焼成できた場合を○とした。
評価の結果、実施例においては問題なく処決することができた。
(6)表面粗さ(Ry)
「(5)焼結性」で作成した焼結膜の表面粗さを触針計(KLA社製触針計利用 Scan Length:15mm、Scan Speed:0.2mm/s、Sampling Rate:100Hz)を用い最大高さRyを測定した。
評価の結果、実施例ではエチルセルロースを使用した比較例に比べ、表面の凹凸が少ないことが確認された。すなわち、本発明の実施例ではペースト中のアルミニウム粉末の分散性がエチルセルロースを用いたペーストに比べて良好であることが分かった。この分散性の差が印刷後の形状に影響を与えているものと考えられる。
(7)電気抵抗値
焼成後のシリコンウエハ上に形成された焼結膜に、デジタルテスタ(カスタム社製、CDM−6000)の左右の端子を約1cm離して当て、電気抵抗値を測定した。
評価の結果、実施例では、エチルセルロースを用いた比較例に比べ低い抵抗値が確認された。焼結後の残留物が少ないことが電気特性への影響を与えていると考えられる。
(8)ウエハ−Al界面表面抵抗値
「(5)焼結性」で作成したシリコンウエハ上に焼結されたアルミニウム膜を、塩酸で処理することで剥離させ、金属光沢のあるウエハ−Al界面を取り出した。現れた界面の表面抵抗値をロレスタ−GP(三菱化学社製)を用いて測定した。ウエハ−Al界面の表面抵抗値はBSF効果と相関があり、小さいほど良いとされる。特に11Ω/□以下であることが好ましい。
評価の結果、本発明の実施例は問題なくBSF層を形成していることが伺える。
Figure 2010257932
Figure 2010257932
本発明によれば、太陽電池の裏面電極形成に好適に用いることのできる導電性微粒子分散ペーストを提供することができる。
1 p型シリコン半導体基板
2 n型不純物層
3 反射防止膜
4 グリッド電極
5 裏面電極層
6 Al−Si合金層
7 p

Claims (6)

  1. 太陽電池の裏面電極を形成するために用いられる導電性微粒子分散ペーストであって、
    (メタ)アクリル樹脂、有機溶剤及び導電性微粒子を含有し、
    (メタ)アクリル樹脂は、分子末端に極性官能基を有し、かつ、重量平均分子量が10000〜40000であり、かつ、
    有機溶剤は、分子中に水酸基を少なくとも一つ有するテルペン系溶剤、又は、(炭素数/水酸基数)が5未満のポリオール溶剤である
    ことを特徴とする導電性微粒子分散ペースト。
  2. 有機溶剤は、常温における粘度が50cps以上であることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子分散ペースト。
  3. 導電性微粒子は、平均粒子径が0.5〜20μmであり、かつ、形状が略球状のアルミニウム粉末であることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性微粒子分散ペースト。
  4. アルミニウム粉末の含有量が60〜85重量%であることを特徴とする請求項3記載の導電性微粒子分散ペースト。
  5. 更に、極性官能基を少なくとも一つ有するアニオン系分散剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の導電性微粒子分散ペースト。
  6. 更に、ガラスフリットを含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の導電性微粒子分散ペースト。
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