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JP2010106129A - 近赤外線吸収部材用組成物およびそれを用いた近赤外線吸収部材 - Google Patents

近赤外線吸収部材用組成物およびそれを用いた近赤外線吸収部材 Download PDF

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JP2010106129A JP2008278758A JP2008278758A JP2010106129A JP 2010106129 A JP2010106129 A JP 2010106129A JP 2008278758 A JP2008278758 A JP 2008278758A JP 2008278758 A JP2008278758 A JP 2008278758A JP 2010106129 A JP2010106129 A JP 2010106129A
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near infrared
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Hidehiko Akemi
秀彦 明見
Hideaki Nishiguchi
英明 西口
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

【課題】 近赤外領域を大きく、かつ幅広く吸収するとともに、液晶装置等の製造工程中に近赤外吸収性能を損なうことのない、耐熱性に優れた近赤外線吸収部材用組成物およびそれを用いた近赤外線吸収部材を提供する。
【解決手段】 (A)フタロシアニン系色素、(B)多官能(メタ)アクリルモノマー、および(C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む近赤外線吸収部材用組成物、およびそれを基材に塗布して得られる近赤外線吸収部材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、近赤外線吸収部材用組成物およびそれを用いた近赤外線吸収部材に関する。さらに詳しくは、液晶装置等の近赤外線吸収部材等に好適に使用しうる近赤外線吸収部材用組成物およびそれを用いた近赤外線吸収部材に関する。
液晶装置は、一般に、2枚の配向膜を有する透明電極基板を、配向膜を内側にしてスペーサーにより対向保持された2枚の透明電極基板間に、該基板の周囲を密封状態にして液晶を充填した構造を有する。前記2枚の透明電極基板間に電荷を印加して、内部に充填された液晶の特定の部分を配向させることにより、文字、数字、絵等を表示することができる。
このような液晶装置の製造方法としては、一般に、(1)ガラス等からなる2枚の各透明基板上に透明電極を形成し、(2)各透明基板の透明電極上に熱硬化性樹脂等で透明配向膜を形成し、(3)次いで両透明基板の一方または両方の配向膜上にスペーサーを散布した後、(4)両透明基板を対向保持した状態でその周囲を熱硬化性樹脂等の密封剤で密封し、(5)最後に両透明基板と密封剤とで形成される空間に液晶を充填する方法が知られている。
前記製造方法では、配向膜の材料や密封剤に熱硬化性樹脂を使用するため、これら熱硬化性樹脂を硬化処理する工程が必要となる。この熱硬化性樹脂の硬化処理工程は、作業時間の短縮および該工程で得られる組立部品の強度向上の観点から、一般に、150〜350℃度程度の高温で行われる。
一方、近年、液晶装置は、テレビ等を中心に大型化が進んでおり、それに伴って、液晶装置に使用するバックライトの強度も強くなってきている。一般に、バックライトには蛍光管を用いているが、蛍光管はオン−オフ時に近赤外線を発する傾向にあるため、コードレスフォンやリモートコントローラ等の電子機器の誤動作を引き起こす可能性がある。そこで、近赤外線を吸収・カットする方法として、例えば、置換スルホニルベンゼンジチオールニッケル錯体を含む近赤外線吸収色素およびこれを用いた近赤外線吸収材(特許文献1参照)等が提案されている。しかしながら、特許文献1に開示されている近赤外線吸収材は、上記の高温での硬化処理工程の際に、近赤外線吸収色素が劣化してしまい、充分な近赤外線吸収性能を維持できない等の問題があった。
そこで、耐熱性を有する近赤外線吸収部材用組成物およびそれを用いた近赤外線吸収部材が望まれている。
特開2001−288380号公報
本発明の目的は、近赤外領域を大きく、かつ幅広く吸収するとともに、液晶装置等の製造工程中に近赤外吸収性能を損なうことのない、耐熱性に優れた近赤外線吸収部材用組成物およびそれを用いた近赤外線吸収部材を提供することにある。
本発明は、(A)フタロシアニン系色素、(B)多官能(メタ)アクリルモノマー、および(C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む近赤外線吸収部材用組成物、およびそれを基材に塗布して得られる近赤外線吸収部材に関する。
本発明によれば、近赤外領域を大きく、かつ幅広く吸収するとともに、液晶装置等の製造工程中に近赤外吸収性能を損なうことのない、耐熱性に優れた近赤外線吸収部材用組成物およびそれを基材に塗布して得られる近赤外線吸収部材を提供することができる。
本発明の近赤外線吸収部材用組成物は、(A)フタロシアニン系色素、(B)多官能(メタ)アクリルモノマー、および(C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含むことを特徴とする。
(A)フタロシアニン系色素としては、近赤外線吸収能を有するものであれば特に限定されず、例えば、公知のフタロシアニン色素およびナフタロシアニン色素を用いることができる。
具体的には、例えば、式(1)で表されるフタロシアニン色素、
Figure 2010106129
および、式(2)で表されるナフタロシアニン色素等が挙げられる。
Figure 2010106129
式(1)におけるMおよび式(2)におけるMは、それぞれ、2個の水素原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子またはオキシ金属を示す。
前記2価の金属としては、特に限定されないが、例えば、Cu(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)等が挙げられる。
前記3価の置換金属原子としては、特に限定されないが、例えば、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Fe−Cl、Ga−F、Ga−Cl、Ga−I、Ga−Br、In−F、In−Cl、In−Br、In−I、Tl−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Al−C、Al−C(CH)、In−C、In−C(CH)、In−C、Mn(OH)、Mn(OC)、Mn〔OSi(CH〕、Ru−Cl等が挙げられる。
前記4価の置換金属原子としては、特に限定されないが、例えば、CrCl、SiF、SiCl、SiBr、SiI、ZrCl、GeF、GeCl、GeBr、GeI、SnF、SnCl、SnBr、TiF、TiCl、TiBr、Ge(OH)、Mn(OH)、Si(OH)、Sn(OH)、Zr(OH)、Cr(R、Ge(R、Si(R、Sn(R、Ti(R{Rは、アルキル基、フェニル基、ナフチル基またはそれらの誘導体を表す}、Cr(OR、Ge(OR、Si(OR、Sn(OR、Ti(OR{Rは、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基またはそれらの誘導体を表す}、Sn(SR、Ge(SR{Rは、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、またはそれらの誘導体を表す}等が挙げられる。
前記オキシ金属としては、特に限定されないが、例えば、VO、MnO、TiO等が挙げられる。
式(1)におけるA〜A16および式(2)におけるB〜B24は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ヒドロキシスルホニル基、カルボキシル基、チオール基、置換されていてもよい炭素原子数1〜20個のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数1〜20個のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素原子数6〜20個のアリール基、置換されていてもよい炭素原子数6〜20個のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアラルキル基、置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアラルキルオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数1〜20個のアルキルチオ基、置換されていてもよい炭素原子数6〜20個のアリールチオ基、置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアラルキルチオ基、置換されていてもよい炭素原子数1〜20個のアルキルスルホニル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜20個のアリールスルホニル基、置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアラルキルスルホニル基、置換されていてもよい炭素原子数1〜20個のアシル基、置換されていてもよい炭素原子数2〜20個のアルコキシカルボニル基、置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアリールオキシカルボニル基、置換されていてもよい炭素原子数8〜20個のアラルキルオキシカルボニル基、置換されていてもよい炭素原子数2〜20個のアルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアリールカルボニルオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数8〜20個のアラルキルカルボニルオキシ基、置換されていてもよい炭素原子数2〜20個の複素環基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアミノスルホニル基または置換されていてもよいアミノカルボニル基を示す。A〜A16およびB〜B24は、同種または異種のいずれであってもよく、同種の場合においても同一または異なっていてもよく、前記基同士が連結基を介して繋がっていてもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数1〜20個のアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数1〜20個のアルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数6〜20個のアリール基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数6〜20個のアリールオキシ基としては、特に限定されないが、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアラルキル基としては、特に限定されないが、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアラルキルオキシ基としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ジフェニルメチルオキシ基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数1〜20個のアルキルチオ基としては、特に限定されないが、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基等の直鎖、分岐または環状のアルキルチオ基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数6〜20個のアリールチオ基としては、特に限定されないが、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアラルキルチオ基としては、ベンジルチオ基、フェネチルチオ基、ジフェニルメチルチオ基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数1〜20個のアルキルスルホニル基としては、特に限定されないが、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、iso−プロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、iso−ブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、n−ペンチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、n−ヘプチルスルホニル基、n−オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基等の直鎖、分岐または環状のアルキルスルホニル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数6〜20個のアリールスルホニル基としては、特に限定されないが、例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアラルキルスルホニル基としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルスルホニル基、フェネチルスルホニル基、ジフェニルメチルスルホニル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数1〜20個のアシル基としては、特に限定されないが、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、iso−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、iso−ブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルカルボニル基、n−オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基等の直鎖、分岐または環状のアルキルカルボニル基;ベンジルカルボニル基、フェニルカルボニル基等のアリールカルボニル基;ベンゾイル基等のアラルキルカルボニル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数2〜20個のアルコキシカルボニル基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、iso−プロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、iso−ブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアリールオキシカルボニル基としては、特に限定されないが、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルカルボニル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数8〜20個のアラルキルオキシカルボニル基としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基、ジフェニルメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数2〜20個のアルキルカルボニルオキシ基としては、特に限定されないが、例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、iso−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、iso−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、n−ヘプチルカルボニルオキシ基、3−ヘプチルカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数7〜20個のアリールカルボニルオキシ基としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数8〜20個のアラルキルカルボニルオキシ基としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい炭素原子数2〜20個の複素環基としては、特に限定されないが、例えば、ピロール基、イミダゾール基、ピペリジン基、モルホリン基等が挙げられる。
〜A16およびB〜B24で示される基のうち、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基、複素環基が置換されている場合、置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アシル基、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシスルホニル基、アルキルチオ基、カルバモイル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、複素環基等が挙げられる。A〜A16およびB〜B24のそれぞれにおけるこれらの置換基は複数個存在していてもよく、複数個存在する場合には同種または異種のいずれであってもよく、同種の場合においても同一または異なっていてもよい。また、これら置換基同士が連結基を介して繋がっていてもよい。
また、式(1)におけるA〜A16および式(2)におけるB〜B24で示される基のうち、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアミノスルホニル基、置換されていてもよいアミノカルボニル基について、これらの基が置換されている場合の置換基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐または環状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、iso−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、iso−ブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルカルボニル基、3−ヘプチルカルボニル基、n−オクチルカルボニル基等の直鎖、分岐または環状のアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基等のアリールカルボニル基;ベンジルカルボニル基等のアラルキルカルボニル基等が挙げられる。A〜A16およびB〜B24のそれぞれにおけるこれらの置換基は複数個存在していてもよく、複数個存在する場合には同種または異種のいずれであってもよく、同種の場合においても同一または異なっていてもよい。また、これら置換基同士が連結基を介して繋がっていてもよい。
さらに、A〜A16およびB〜B24で示される置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアミノスルホニル基、置換されていてもよいアミノカルボニル基への置換基としてのアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アラルキルカルボニル基等は、それぞれ置換基を有していてもよい。当該置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アシル基、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシスルホニル基、アルキルチオ基、カルバモイル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、複素環基等が挙げられる。これらの置換基は複数個存在していてもよく、複数個存在する場合には同種または異種のいずれであってもよく、同種の場合においても同一または異なっていてもよい。また、これら置換基同士が連結基を介して繋がっていてもよい。
本発明において、フタロシアニン系色素は、一般に市販されているものを使用することができる。具体的には、例えば、イーエクスカラーIR−10A、イーエクスカラーIR−12、イーエクスカラーIR−14、TX−EX−906B、TX−EX−910B、TX−EX−902K(いずれも株式会社日本触媒の製品)、5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン ニッケル、2,11,20,29−テトラ−t−ブチル−2,3−ナフタロシアニン 亜鉛、2,11,20,29−テトラ−t−ブチル−2,3−ナフタロシアニン バナジウムオキシド(いずれもAldrichの製品)等が挙げられる。
フタロシアニン系色素は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、2官能以上の(メタ)アクリル基〔なお、本明細書においては、「アクリ」および「メタクリ」を合わせて「(メタ)アクリ」と表記する。以下同様。〕を有するモノマーであれば特に限定されない。具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(B)多官能(メタ)アクリルモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの(B)多官能(メタ)アクリルモノマーの中でも、近赤外線吸収部材用組成物から得られる膜の強度や、耐溶剤性の観点から、3官能以上の(メタ)アクリル基を有するモノマー、とりわけ、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレーが好適に用いられる。
(B)多官能(メタ)アクリルモノマーの使用量は、近赤外線吸収部材用組成物から得られる膜の強度や、平滑性の観点から、(A)フタロシアニン系色素100質量部に対して、100〜10000質量部が好ましく、500〜5000質量部がより好ましい。
(C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルと不飽和カルボン酸類との共重合体であれば特に限定されない。また、共重合体の形態(ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体)は、特に限定されない。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の置換または無置換アルキルエステル;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、シクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル;オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレート等の鎖状エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;グリシジル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等の環状エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、(A)フタロシアニン色素および(B)多官能(メタ)アクリルモノマーとの相溶性、ならびに、近赤外線吸収部材用組成物から得られる膜の耐熱性の観点から、(メタ)アクリル酸の無置換または置換アルキルエステル、脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、とりわけ、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが好適に用いられる。
不飽和カルボン酸類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびそれらの無水物;α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸類は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの不飽和カルボン酸類の中でも、(メタ)アクリル酸が好適に用いられる。
また、本発明に用いられる(C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体においては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリロニトリルおよびα−クロロアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物等が共重合成分として含まれていてもよい。
これらの(C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの(C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体の中でも、近赤外線吸収部材用組成物から得られる膜の耐熱性、および相溶性の観点から、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体が好適に用いられる。
(C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体の使用量は、近赤外線吸収部材用組成物から得られる膜の強度や、平滑性の観点から、(A)フタロシアニン系色素100質量部に対して、100〜10000質量部が好ましく、500〜5000質量部がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収部材用組成物には、基板への塗布性の観点から、溶媒を添加することが好ましい。溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテートおよびエチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル類;γ−ブチロラクトン等の環状エステル類;ジクロロメタンやクロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;モノクロロベンゼンやジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、(A)フタロシアニン系色素、および(C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体に対する溶解性の観点から、モノクロロベンゼン、クロロホルム、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトンが好適に用いられる。
溶媒の使用量は、(A)フタロシアニン系色素100質量部に対して、1000〜50000質量部が好ましく、8000〜15000質量部がより好ましい。
また、本発明の近赤外線吸収部材用組成物には、フタロシアニン系色素以外の近赤外線吸収色素、可視光吸収色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、レベリング剤、分散剤等を添加することもできる。
フタロシアニン系色素以外の近赤外線吸収色素としては、公知のシアニン系、ポリメチン系、スクアリリウム系、ポルフィリン系、金属ジチオール錯体系、ジイモニウム系等の色素、および無機酸化物粒子等が挙げられる。
可視光吸収色素としては、公知のシアニン系、ポルフィリン系、テトラアザポルフィリン系、金属ジチオール錯体系、スクアリリウム系、アズレニウム系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、オキサジン系、アジン系、チオピリリウム系、ビオローゲン系、アゾ系、アゾ金属錯体系、ビスアゾ系、アントラキノン系、ペリレン系、インダンスロン系、ニトロソ系、インジコ系、アゾメチン系、キサンテン系、オキサノール系、インドアニリン系、キノリン系、ジケトピロロピロール系等の色素が挙げられる。
本発明の近赤外線吸収部材用組成物は、近赤外領域を大きく、かつ幅広く吸収するとともに、耐熱性に優れているため、液晶装置等の製造工程中に近赤外吸収性能を損なうことのない、種々の近赤外線吸収部材を提供することができる。
近赤外線吸収部材用組成物を用いて近赤外線吸収部材を製造する方法としては、例えば、前記近赤外線吸収部材用組成物に光硬化反応に用いられる重合開始剤を添加し、基材に塗布後、加熱乾燥することにより溶剤を除去し、光硬化により硬化させる方法等が挙げられる。
光硬化の際に用いられる重合開始剤としては、重合開始剤の反応性、および、近赤外線吸収部材用組成物から得られる膜の強度や、平滑性の観点から、例えば、トリアジン化合物、ケトン化合物(アセトフェノン化合物等)またはその誘導体、ビイミダゾール化合物、オキシム系化合物、多官能チオール化合物等が挙げられる。
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
ケトン化合物またはその誘導体としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オンのオリゴマー、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)等が挙げられる。
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール〔例えば、特開平9−197118号公報、特開2001−116918号公報参照〕、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール〔例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報参照〕、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物〔特公昭48−38403号公報参照〕等が挙げられる。
オキシム化合物としては、O−アシルオキシム系化合物が挙げられ、その具体例としては、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−オクタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−オクタン−1−オンオキシム−O−アセタート、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート等が挙げられる。
多官能チオール化合物は、分子中にチオール基を複数有する化合物であり、特に脂肪族炭素にチオール基が結合する脂肪族多官能チオール化合物が好ましい。脂肪族多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチーオル、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン等;ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレ−ト、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート等の多価ヒドロキシ化合物の多価チオグリコレートまたは多価チオプロピオネート等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の効果を損なわない程度であれば、この分野で通常用いられている重合開始剤等を併用することができ、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系重合開始剤;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤;9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン等のアントラセン系重合開始剤;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。
また、重合開始剤は、重合開始助剤と組み合わせて使用することもできる。重合開始助剤を併用した際には、重合開始剤の光に対する反応性が向上し、液晶装置を製造する際の生産性が向上するため、より好ましい。重合開始助剤としては、例えば、アミン系化合物、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物等が挙げられ、これら重合性開始助剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
アミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
アルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン等が挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
また、重合開始助剤として、市販のものを用いることもでき、例えば、商品名「EAB−F」(保土谷化学工業株式会社製)等が挙げられる。
重合開始剤の量は、近赤外線吸収部材用組成物中の(B)多官能(メタ)アクリルモノマー100質量部に対して、2〜150質量部が好ましく、より好ましくは12〜120質量部である。硬化温度、硬化時間は本発明の近赤外線吸収部材の用途、形状、使用する重合開始剤の種類により異なるため一概には言えないが、一般に、硬化温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜40℃である。硬化時間は0.01〜15分間が好ましく、より好ましくは0.1〜10分間である。
近赤外線吸収部材用組成物を塗布する基材としては、ガラス、樹脂等の透明部材が挙げられる。樹脂としては環状オレフィン系共重合体(開環重合、付加重合)樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂、PET樹脂等の透明性の高いものが好ましい。
基材への塗布方法としては、通常市販のアプリケーターを用いたアプリケート法が用いられるが、スピンコート法、バーコート法、スリットコート法、スリット・アンド・スピンコート法等も用いることができる。
硬化方法としては、公知の技術を用いることができ、例えば、紫外線、電子線、波長400〜500nmの可視光線等の活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。紫外線および波長400〜500nmの可視光線の線源(光源)には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ等を使用することができる。電子線源には、熱電子放射銃、電解放射銃等を使用することができる。
照射する活性エネルギー線量は、5〜2000mJ/cmであることが好ましく、さらには工程上管理しやすいことから50〜500mJ/cmであることが好ましい。
また、硬化の際に、ネガマスクを介して紫外線を照射して露光部を硬化した後、非露光部を現像液に溶解させて現像することで、基材上に近赤外線吸収部材用組成物をパターニングすることもできる。すなわち近赤外線吸収部材をフォトレジストとして使用することができる。現像後は必要に応じて、150〜230℃で10〜60分間程度の後硬化(ポストベーク)を施すこともできる。
前記現像液としては、通常、希アルカリ溶液(アルカリ性化合物と界面活性剤を含む水溶液等)を使用する。前記アルカリ性化合物は、無機物および有機物のいずれでもよい。無機アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
有機アルカリ性化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
これらの無機および有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
現像液中のアルカリ性化合物の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.03〜5質量%である。
また、現像液中の界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤またはカチオン系界面活性剤のいずれでもよい。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等のポリオキシエチレン誘導体;オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルナトリウム等の高級アルコール硫酸エステル塩類;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のアミン塩または第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いることも、また2種以上組み合わせて用いることもできる。
現像液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜8質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
[評価]
各実施例および比較例で得られた近赤外線吸収部材の評価を、以下の手順により測定した。
(1)透過率
得られた近赤外線吸収部材の試験前の透過率を、分光光度計(株式会社日立製作所製、型番:U−4100)により測定した。
測定後、近赤外線吸収部材を、200℃に調整した恒温槽(ADVANTEC社製、型番:DRM620DA)内で2時間静置させた。その後、室温まで冷却し、上記と同様の方法により、試験後の透過率を測定した。
[実施例1]
モノクロロベンゼン1g(100質量部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.2g(20質量部)を入れた10mL容のビーカーに、5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン ニッケル(Aldrich品 Cas No.155773−70−9)0.01g(1質量部)、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比:30/70)0.1g(10質量部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.1g(10質量部)を添加し、撹拌により均一に溶解させ、近赤外線吸収部材用組成物を得た。
得られた近赤外線吸収部材用組成物に、重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン0.02g(2質量部)を添加し、溶解した。
得られた溶液を、アプリケーター(TP技研株式会社製、規格:JIS K 5600、100μm)を用いて、ガラス基板上に塗布し、130℃で3分間乾燥することによって褐色塗膜を得た。この塗膜を、UV硬化装置(セン特殊光源株式会社製、型番:HLR100T−1)を用いて大気雰囲気下、露光量100mJ/cmで光照射し、厚さ2μmの近赤外線吸収部材を得た。
得られた近赤外線吸収部材の透過率(測定波長:851nm)は、3.6%Tであった。また、200℃、2時間静置後の透過率(測定波長:851nm)は、6.1%Tであった。
[実施例2]
クロロホルム1g(100質量部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.2g(20質量部)を入れた10mL容のビーカーに、2,11,20,29−テトラ−t−ブチル−2,3−ナフタロシアニン 亜鉛(Aldrich品 Cas No.39049−43−9)0.01g(1質量部)、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比:30/70)0.1g(10質量部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.1g(10質量部)を添加し、撹拌により均一に溶解させ、近赤外線吸収部材用組成物を得た。
得られた近赤外線吸収部材用組成物に、重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン0.02g(2質量部)を添加し、溶解した。
得られた溶液を、アプリケーター(TP技研株式会社製、規格:JIS K 5600、100μm)を用いて、ガラス基板上に塗布し、130℃で3分間乾燥することによって褐色塗膜を得た。この塗膜を、UV硬化装置(セン特殊光源株式会社製、型番:HLR100T−1)を用いて大気雰囲気下、露光量100mJ/cmで光照射し、厚さ2μmの近赤外線吸収部材を得た。
得られた近赤外線吸収部材の透過率(測定波長:774nm)は、7.85%Tであった。また、200℃、2時間静置後の透過率(測定波長:774nm)は、14.92%Tであった。
[比較例1]
モノクロロベンゼン1g(100質量部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.4g(20質量部)を入れた10mL容のビーカーに5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン ニッケル(Aldrich製 Cas No.155773−70−9)0.01g(1質量部)、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比:30/70)0.2g(20質量部)、により均一に溶解させ、近赤外線吸収部材用組成物を得た。
得られた溶液を、アプリケーター(TP技研株式会社製、規格:JIS K 5600、100μm)を用いて、ガラス基板上に塗布し、130℃で3分間乾燥することによって、厚さ2μmの近赤外線吸収部材を得た。
得られた近赤外線吸収部材の透過率(測定波長:851nm)は、3.4%Tであった。また、200℃、2時間静置後の透過率(測定波長:851nm)は、56.9%Tであった。
[比較例2]
クロロホルム1g(66.7質量部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.4g(26.7質量部)を入れた10mL容のビーカーにCIR−1081(日本カーリット製ジイモニウム)0.015g(1質量部)、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比:30/70)0.2g(13.3質量部)、により均一に溶解させ、近赤外線吸収部材用組成物を得た。
得られた溶液を、アプリケーター(TP技研株式会社製、規格:JIS K 5600、100μm)を用いて、ガラス基板上に塗布し、130℃で3分間乾燥することによって、厚さ2μmの近赤外線吸収部材を得た。
得られた近赤外線吸収部材の透過率(測定波長:1094.5nm)は、6.5%Tであった。また、200℃、2時間静置後の透過率(測定波長:1094.5nm)は、90.7%Tであった。
実施例1〜2の近赤外線吸収部材は、比較例1〜2の近赤外線吸収部材と比較して、熱処理前後で透過率の大きな劣化が見られず、耐熱性および充分な近赤外線吸収能を有することがわかった。
本発明により、近赤外領域を大きく、かつ幅広く吸収するとともに、液晶装置等の製造工程中に近赤外吸収性能を損なうことのない、耐熱性に優れた近赤外線吸収部材用組成物およびそれを基材に塗布して得られる近赤外線吸収部材を提供することができる。
また、本発明に係る近赤外線吸収部材は、液晶装置等のパネル上に光センサを形成しタッチ・パネルやスキャナー等の機能を付与する装置等において、光センサ用の近赤外線吸収部材として用いることができる。

Claims (4)

  1. (A)フタロシアニン系色素、(B)多官能(メタ)アクリルモノマー、および(C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む近赤外線吸収部材用組成物。
  2. (B)多官能(メタ)アクリルモノマーが、3官能以上の(メタ)アクリル基を有するモノマーである請求項1に記載の近赤外線吸収部材用組成物。
  3. (C)(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、(メタ)アクリル酸エステルと不飽和カルボン酸類との共重合体である請求項1または2に記載の近赤外線吸収部材用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収部材用組成物を、基材に塗布し、硬化して得られる近赤外線吸収部材。
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