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JP2010101182A - 火花点火式内燃機関の運転制御方法 - Google Patents

火花点火式内燃機関の運転制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマ雰囲気中にアーク放電を行って混合気を着火する火花点火式のエンジンにおいて、混合気の空燃比がリッチである場合には、過剰な燃焼状態になることがあり、燃料が少ない場合に比較して燃焼ガスの温度が上昇し、点火プラグなどに悪影響を及ぼすことがある。
【解決手段】電磁波により燃焼室内に生成されるプラズマと点火プラグによる火花放電とを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関の運転制御方法であって、燃焼室内のプラズマを生成する領域を空気の希薄な混合気にする。
【選択図】図2

Description

本発明は、電磁波により燃焼室内に生成されるプラズマと点火プラグによる火花放電とを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関の運転制御方法に関するものである。
従来、車両、特には自動車に搭載される火花点火式内燃機関においては、点火プラグの中心電極と接地電極との間の火花放電により、点火時期毎に燃焼室内の混合気に着火している。このような点火プラグによる着火にあって、例えば燃料を直接気筒内に噴射する型式の内燃機関において、噴射した燃料を点火プラグの火花放電の位置に分布させないと、着火しないことが希に生じる。
このため、このような内燃機関では、点火プラグの火花放電を補うために、例えば特許文献1に記載のもののように、点火プラグの放電領域にプラズマ雰囲気を生成しておき、プラズマ雰囲気中にアーク放電を行うことにより、従来に比べて高い電圧を印加することなく燃焼室内の混合気に確実に着火し、安定した火炎を得ることができるように構成したものが知られている。
特開2007‐32349号公報
ところで、特許文献1に記載のものでは、プラズマ雰囲気中にアーク放電を行うので、着火性が向上することにより、安定した火炎が得られる反面、混合気の空燃比がリッチである場合には、過剰な燃焼状態になることもある。つまり、混合気中の燃料が多くなると、その燃料がプラズマ雰囲気中のアーク放電により燃焼することで、燃料が少ない場合に比較して燃焼ガスの温度が上昇することがある。
しかしながら、燃焼ガスの温度が上昇すると、上昇した温度により点火プラグの電極温度も通常の運転状態の場合より上昇することになる。そのような状態で、アーク放電を繰り返すと、アーク放電により点火プラグの電極が損傷を受けることがある。そのような損傷が高じた場合、点火プラグの電極が変形する可能性も生じた。
そこで本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
すなわち、本発明の火花点火式内燃機関の運転制御方法は、電磁波により燃焼室内に生成されるプラズマと点火プラグによる火花放電とを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関の運転制御方法であって、燃焼室内のプラズマを生成する領域を空気の希薄な混合気にすることを特徴とする。
このような構成によれば、火花放電と反応させるプラズマが生成される領域は、空気が希薄な混合気が満たされるので、プラズマと火花点火とが反応しても燃焼は緩慢になる。したがって、燃焼が過剰に良好になることを抑制することが可能になる。
以上の構成において、空気の希薄な混合気は例えば、排気ガスの還流により形成するものが挙げられる。
本発明は、以上説明したような構成であり、火花放電と反応させるプラズマが生成される領域は、空気が希薄な混合気が満たされるので、プラズマと火花点火とが反応しても燃焼を緩慢にさせることができ、燃焼が過剰に良好になることを抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に、1気筒の構成を代表して概略的に示したエンジン100は、自動車用の火花点火式4サイクル4気筒のもので、その吸気系1には図示しないアクセルペダルに応動して開閉するスロットルバルブ2が配設され、その下流側にはサージタンク3が設けられている。サージタンク3に連通する一方の端部近傍には、さらに燃料噴射弁5が設けてあり、その燃料噴射弁5を、電子制御装置6により制御するようにしている。燃焼室30を形成するシリンダヘッド31には、二つの吸気弁32及び二つの排気弁33が配設されるとともに、火花を発生するとともにイオン電流Iを検出するための電極となる点火プラグ18が取り付けてある。また排気系20には、排気ガス中の酸素濃度を測定するためのO2 センサ21が、図示しないマフラに至るまでの管路に配設された触媒装置である三元触媒22の上流の位置に取り付けられている。
点火プラグ18には、イオン電流Iを測定するためのバイアス用電源24が接続され、入力インターフェース9とこのバイアス電源24との間にはイオン電流測定用回路25が接続されている。点火プラグ18、バイアス用電源24及びイオン電流測定用回路25によりイオン電流検出系40が構成される。バイアス用電源24は、プラズマを生成する時に点火プラグ18にイオン電流測定のための測定用電圧(バイアス電圧)を印加するものである。そして、測定用電圧の印加により、燃焼室30の内壁と点火プラグ18の中心電極との間、及び点火プラグ18の電極間に流れたイオン電流Iは、イオン電流測定用回路25により測定される。このようなバイアス用電源24とイオン電流測定用回路25とは、当該分野でよく知られている種々のものを適用することができる。
このようなイオン電流検出系40に加えて、燃焼室30内にプラズマを生成するために、点火プラグ18の中心電極には、電磁波例えばマイクロ波が供給される。マイクロ波は、マグネトロン50とマグネトロン50を制御する制御回路51とを備えてなる高圧交流発生装置52から出力される。制御回路51には、電子制御装置6から出力される高圧交流発生信号kが入力される構成である。マイクロ波を点火プラグ18まで伝送する伝送経路53については、よく知られたものを用いることができ、例えばマグネトロン50に電気的に接続される導波管と、その導波管と点火プラグ18の中心電極とを電気的に接続する同軸ケーブル及び同軸分配器とで構成される。したがって、中心電極がマイクロ波を放射するアンテナとして機能する。制御回路51は、入力される高圧交流発生信号kに基づいてマグネトロン50が出力するマイクロ波の出力時期及び出力電力を制御するものである。この実施形態においては、マグネトロン50は、一定出力のマイクロ波を出力するように設定してある。
以上の構成に加えて、エンジン100は、気筒毎に排気ガス還流装置60を備えている。それぞれの排気ガス還流装置60は、吸気ポート34に連通するように一方の端部が接続される排気ガス還流管路61と、その排気ガス還流管路61に設けられて排気ガス還流管路61を通過する排気ガスの流量を制御する排気ガス還流制御弁62とを備えて構成される。排気ガス還流管路61の他方の端部は、排気系20を構成する排気マニホルド23に接続される。排気ガス還流装置60は、排気ガス還流制御弁62が制御されるつまり開かれると、排気ガスが排気ガス還流制御弁62の開度に応じた流量で排気ガス還流管路61を通過して、吸気ポート34内に還流させるものである。還流される排気ガスの流量は、排気ガス還流制御弁62の開度に依存するもので、排気ガス還流制御弁62の開度の制御は、電子制御装置6により行われる。この実施形態にあっては、それぞれの排気ガス還流制御弁62は、気筒毎に燃焼状態が異なる場合は個別に制御されるものであり、それ以外は全てが同一に制御されるものである。
エンジン100はさらに、バルブ可変機構63を備えている。バルブ可変機構63は例えば、吸気弁32のバルブタイミング及びバルブリフト量を、それぞれの吸気弁32に対して独立に制御するものである。それぞれの吸気弁32のバルブタイミング及びバルブリフト量を独立に制御することにより、点火プラグ18の電極近傍に、空気の希薄な混合気をエンジン100の運転状態に応じて選択的に形成するものである。
電子制御装置6は、中央演算処理装置7と、記憶装置8と、入力インターフェース9と、出力インターフェース11と、A/Dコンバータ10とを具備してなるマイクロコンピュータシステムを主体に構成されている。入力インターフェース9には、サージタンク3内の圧力すなわち吸気管圧力を検出するための吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号a、エンジン100の回転状態を検出するためのカムポジションセンサ14から出力される気筒判別信号G1とクランク角度基準位置信号G2とエンジン回転数信号b、車速を検出するための車速センサ15から出力される車速信号c、スロットルバルブ2の開閉状態を検出するためのアイドルスイッチ16から出力されるIDL信号d、エンジン100の冷却水温を検出するための水温センサ17から出力される水温信号e、上記したO2 センサ21から出力される電流信号h等が入力される。一方、出力インターフェース11からは、燃料噴射弁5に対して燃料噴射信号fが、点火プラグ18に対してイグニションパルスgが、それぞれの排気ガス還流制御弁62に対して弁開度信号mがそれぞれ出力されるようになっている。
以上の構成において、電子制御装置6には、吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号aとカムポジションセンサ14から出力される回転数信号bとを主な情報とし、エンジン100の運転状態に応じて決まる各種の補正係数で基本噴射時間(基本噴射量)を補正して燃料噴射弁開成時間すなわちインジェクタ最終通電時間Tを決定し、その決定された通電時間により燃料噴射弁5を制御して、エンジン負荷に応じた燃料を吸気系1に噴射させるためのプログラムが内蔵してある。また、このようにエンジン100の燃料噴射を制御する一方、電子制御装置6は、燃焼室内のプラズマを生成する領域を空気の希薄な混合気にするように、排気ガス還流装置60及び可変バルブ機構63を制御する制御プログラムが内蔵してある。
このエンジン100にあっては、通常の運転状態では高圧交流発生装置52が発生するマイクロ波を出力時期に合わせて点火プラグ18の中心電極から燃焼室30内に放射し、それにより生成されるプラズマと点火プラグ18による火花放電とを反応させて、混合気に着火するように構成されている。プラズマを生成する場合、マイクロ波が中心電極に印加されることにより、燃焼室30内には、点火プラグ18による火花放電に対して高周波電界が形成される。
点火に際しては、点火プラグ18に点火コイル(図示しない)により火花放電を発生させて、火花放電とほぼ同時あるいはその直後にマイクロ波により高周波電界を発生させてプラズマを生成させることにより、燃焼室30内の混合気を急速に燃焼させる構成である。
具体的には、点火プラグ18による火花放電が高周波電界中でプラズマになり、火炎が大きくなる。
これは、火花放電による電子の流れ及び火花放電によって生じたイオンやラジカルが、高周波電界の影響を受け振動、蛇行することで行路長が長くなり、周囲の水分子や窒素分子と衝突する回数が飛躍的に増加することによるものである。イオンやラジカルの衝突を受けた水分子や窒素分子は、OHラジカルやNラジカルになると共に、イオンやラジカルの衝突を受けた周囲の気体は電離した状態、言換するとプラズマ状態となることで、飛躍的に火炎が大きくなるものである。
この結果、高周波電界と反応することにより増大した火花放電により混合気に着火するため、着火領域が拡大し、点火プラグ18のみの二次元的な着火から三次元的な着火になる。したがって、初期燃焼が安定し、上述したラジカルの増加に伴って燃焼が燃焼室30内に急速に伝播し、高い燃焼速度で燃焼が拡大する。
以上のような混合気の着火制御によりエンジン100を運転している間に、各気筒において混合気の燃焼時つまり燃焼行程において燃焼室30に発生するイオン電流を検出し、検出したイオン電流に基づいて各気筒の燃焼状態を検出して、燃焼状態が過剰に良好である場合に、燃焼室30内のプラズマを生成する領域を吸気の希薄な混合気にするように、排気ガス還流装置60及び可変バルブ機構63を制御するものである。次に、図2に示すフローチャートにより、この実施形態を説明する。
図2において、ステップS1において、各気筒のイオン電流を検出する。イオン電流は、燃焼の開始直後に点火プラグ18の中心電極により検出されるもので、燃焼状態が良好であると、ピストンが上死点に達した直後の時間に最大電流値となり、その後は減少するものである。したがって、イオン電流のこのような特性を検出して、燃焼状態を把握することができる。
ステップS2では、検出したイオン電流が、所定の電流値を上回っているか否かを判定する。所定の電流値は、プラズマが多くのラジカルを含むこと、あるいは高負荷での運転が連続して燃焼ガスの温度が上昇することなどで、過剰に良好となる燃焼状態を判定し得る値に、適合により設定する。過剰に良好な燃焼状態とは、燃焼ガスの温度が高温となり点火プラグ18の電極に損傷を与える可能性がある燃焼状態である。
ステップS2において、検出したイオン電流が所定の電流値以下である場合は、この制御を終了する。一方、検出したイオン電流が所定の電流値を上回っている場合は、ステップS3において、可変バルブ機構63を制御して、プラズマを生成する領域を空気の希薄な混合気にする。具体的には、排気ガス還流装置60の排気ガス還流制御弁62を開いておき、可変バルブ機構63を制御して、二つの吸気弁32を開くバルブタイミング及びバルブリフトを個別に制御して異ならせ、燃焼室30内にスワールを発生させる。つまり、一方の吸気弁32側から還流した排気ガスを吸入し、他方の吸気弁32側から新気を吸入する。このようにして、スワールが発生することにより、排気ガス還流管路61からの排気ガスが、燃焼室30の中央に集中し、その周囲に新鮮な吸入空気が取り囲むようになる。このため、燃焼室30の中央すなわち点火プラグ18の電極近傍に還流された排気ガスが集中し、その結果、空気の希薄な混合気がプラズマを生成する領域に形成されるものである。
以上の構成において、エンジン100の運転が継続され、例えば高負荷の運転状態が続くことで燃焼が安定し、燃焼状態が過剰に良好になる場合がある。この場合に、イオン電流により気筒別にそのような燃焼状態を検出して、プラズマの生成状態を制御するものである。
このような燃焼室30内の混合気の状態において、プラズマと火花放電とを反応させると、空気が希薄であるのでラジカルの成長が促進されず、燃焼状態が低下する。したがって、点火プラグ18やピストン35が損傷を被ることを抑制することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態においては、燃焼状態をイオン電流の電流値により判定したが、検出したイオン電流が閾値を上回っている期間の時間あるいはクランク角度により判定するものや、イオン電流の測定を開始した後の所定期間内におけるイオン電流値の積分値により検出するものなどであってもよい。このような、イオン電流の特性から燃焼状態をイオン電流似より判定することは、この分野で知られている方法を用いるものであってよい。
また、燃焼状態を検出するものとしては、それぞれの気筒に圧力センサを取り付け、各気筒における燃焼行程の気筒内圧力が設定された判定圧力以上となるか否かを判定して行うものであってよい。すなわち良好な燃焼状態の気筒にあっては、気筒内圧力が高くなるので、判定圧力以上となった気筒を、過剰に燃焼状態が良好な気筒として判定することができる。
加えて、マイクロ波を放射するアンテナとしては、点火プラグ18の中心電極を用いる以外に、内部に誘電体が充填されて密封されたホーン型アンテナや、燃焼室30内に突き出して設けられるモノポール型アンテナなどを用いるものであってよい。
点火プラグ18の中心電極をアンテナとして機能させて、高周波給電部とする場合、高周波を一定の電圧で中心電極に継続して印加すると、中心電極の温度が過剰に上昇するため、中心電極の耐熱温度に基づいて設定する上限温度を下回るように、高周波の電圧を制御するものである。
高圧交流発生装置としては、上述のようなマグネトロンに代えて、進行波管などであってよく、さらには半導体によるマイクロ波発振回路を備えるものであってもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の活用例として、ガソリンや液化天然ガスを燃料として点火プラグによる火花放電を着火に必要とする火花点火式内燃機関に活用することができる。
本発明の実施形態の概略構成を示す構成説明図。 同実施形態の制御手順を示すフローチャート。
符号の説明
6…電子制御装置
7…中央演算処理装置
8…記憶装置
9…入力インターフェース
11…出力インターフェースと、
50…マグネトロン
51…制御回路
52…高圧交流発生装置
18…点火プラグ
30…燃焼室
60…排気ガス還流装置

Claims (2)

  1. 電磁波により燃焼室内に生成されるプラズマと点火プラグによる火花放電とを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関の運転制御方法であって、
    燃焼室内のプラズマを生成する領域を空気の希薄な混合気にする火花点火式内燃機関の運転制御方法。
  2. 空気の希薄な混合気を、排気ガスの還流により形成する請求項1記載の火花点火式内燃機関の運転制御方法。
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