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JP2010192975A - 耳掛け型補聴器 - Google Patents

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【課題】高価なハウリング防止回路が無くてもハウリングの発生を防止することができ、長時間装着しても耳が痛くならず、夏場でも外耳炎のような症状を防ぐことができ、子供からお年寄りまで違和感のないデザインを有する耳掛け型補聴器を提供せんとする。
【解決手段】耳介後部に装着される補聴器本体2と、耳穴開口又はその近傍に当接されるスピーカ頭部3と、補聴器本体2とスピーカ頭部3とを連結し、内部に配された電気導線を通じてスピーカ頭部3のドライバに出力信号を伝送する連結首部4とを備え、特に、スピーカ頭部3を骨伝導ドライバ内蔵の骨伝導スピーカとし、且つ、補聴器本体2の筐体20の下側部分(21)並びに連結首部4を、シリコーン等の軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより成形した。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハウリングを確実に防止できるとともに、装着感、デザイン性にも優れた耳掛け型の補聴器に関する。
耳掛け型の補聴器としては、従来、円弧状の曲面でなる前後面を有し、断面形状がほぼ矩形をなす補聴器本体を備えており、その筐体上面部に音道が形成されたフック及びマイクロホンへの音孔が設けられたものが提供されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。そして、補聴器本体の筐体先端部分から延びるフックにより、補聴器本体側の音響スピーカの出力音をフック先端部に導き、耳孔から出力する構造か、或いはフックの先端部に音響スピーカを内蔵したイヤホンを設ける構造の2種類のものが主に提供されている。これら従来の耳掛け型補聴器においては、音響スピーカからの出力信号が空気中を伝ってマイクロホンに再入力され、ハウリングが発生することが知られており、これを防止するために、特許文献3、4においては耳穴に挿入されるフック先端部やイヤホンが耳穴内にフィットし、外部に出力音響が漏れないように工夫した構造が提案されている。
ところで、補聴器は日常生活において長時間装着されるものであるが、このようなフック先端から音響出力する従来の補聴器では、長時間装着していると耳へのストレスが生じて疲れやすくなり、特に夏場に長時間装着していると耳の中に汗をかき、汗が耳の中に流れ込むことにより外耳炎を起こすといった虞もある。このようなストレスや外耳炎の虞は、上記したハウリングを防止するための構造、すなわちイヤホン部を耳穴に密着状態で挿入させるもので顕著となる可能性がある。ハウリングを防止するための専用回路を補聴器本体に組み込むことも為されているが、コスト上昇の原因になるとともに音質を低下させる原因にもなる。更に、従来提供されている耳掛け型補聴器はデザイン上、課題が多かった。
特開昭60−261296号公報 特開平1−300800号公報 特開平10−23599号公報 特開2007−312372号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、高価なハウリング防止回路が無くてもハウリングの発生を防止することができ、同時に、長時間装着しても耳が痛くならず、夏場でも外耳炎のような症状を防ぐことができ、更には、子供からお年寄りまで違和感のないデザインを有する耳掛け型補聴器を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、少なくともマイクロホン及び制御部を内蔵し、耳介の後部に装着される補聴器本体と、耳穴開口又はその近傍に当接されるスピーカ頭部と、前記補聴器本体と前記スピーカ頭部とを連結し、内部に配された電気導線を通じて制御部からスピーカ頭部のドライバに出力信号を伝送する連結首部とを備えており、前記スピーカ頭部を、骨伝導ドライバを内蔵してなる骨伝導スピーカとして構成し、且つ、前記補聴器本体の筐体のうち少なくとも装着時に耳の付け根部分に載せられる下側部分、並びに前記連結首部を、軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより成形してなることを特徴とする耳掛け型補聴器を構成した(請求項1)。
ここで、前記補聴器本体の筐体を、互いに組みつけられる下側カバーと上側カバーとより構成し、該下側カバーを、軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより成形するとともに、前記上側カバーを硬質合成樹脂により成形し、該上側カバーに操作部及び前記マイクロホンの集音口を設けたものが好ましい(請求項2)。
また、前記下側カバーと前記連結首部とを、軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより一体成形し、一体的な構造に構成したものが好ましい(請求項3)。
更に、前記補聴器本体を左右対象構造に構成するとともに、前記連結首部の先端部分において、前記スピーカ頭部を左右に方向切替できるように回動可能に枢支してなるものが好ましい(請求項4)。
以上にしてなる本願発明に係る耳掛け型補聴器は、スピーカ頭部を骨伝導ドライバを内蔵する骨伝導スピーカとしたので、防水構造などが容易となり、また耳穴に挿入して聞くものではなく、耳穴に当てるだけで骨伝導により聞くことができるものであり、夏場でも外耳炎のような症状を防ぐことができる。特に、従来の補聴器では音響スピーカからの出力が空気を介してマイクに入り、ハウリングを起こすという問題があったが、これを元から解消できることから、耳穴内部に挿入して密着させる必要もなくなり、高価なハウリング防止回路も必要ではなくなる。また、補聴器本体の筐体の下側部分と連結首部、すなわち肌に触れる箇所を軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより成形したので、このような軟質素材は振動が伝わりにくく、出力された骨導音が頭蓋骨を通じて補聴器本体(マイクロホン)に伝わることを防止でき、ハウリングを防止することができる。また、同時に肌への柔らかさが得られるため、長時間の装着も可能となる。
また、前記補聴器本体の筐体を、互いに組みつけられる下側カバーと上側カバーとより構成し、該下側カバーを、軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより成形するとともに、前記上側カバーを硬質合成樹脂により成形し、該上側カバーに操作部及び前記マイクロホンの集音口を設けたので、肌に接する下側カバーで頭蓋骨からの骨導音が消去され、さらに分割構成されていることから、上側カバーのマイクロホンへの骨導音の伝達を確実に阻止できる。
また、前記下側カバーと前記連結首部とを、軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより一体成形し、一体的な構造に構成してなるので、成形、組み付けを含む製造コストを低減でき、また、組み合わせ部分が少なくなるため防水構造も容易となり、また、デザイン的にも美観性が向上し、子供からお年寄りまで違和感のないデザインとなる。
また、前記補聴器本体を左右対象構造に構成するとともに、前記連結首部の先端部分において、前記スピーカ頭部を左右に方向切替できるように回動可能に枢支してなるので、本件補聴器を左右いずれの耳にも同じように使用することができる。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明に係る耳掛け型補聴器1の全体構成を示す斜視図であり、図1〜5は代表的実施形態を示し、図中符号1は耳掛け型補聴器、2は補聴器本体、3はスピーカ頭部、4は連結首部をそれぞれ示している。
本発明の耳掛け型補聴器1は、図1に示すように、略バナナ形状(弓形状)を有して耳介後部に装着される補聴器本体2と、耳穴開口又はその近傍に当接されるスピーカ頭部3と、補聴器本体2とスピーカ頭部3とを連結し、内部に配された電気導線を通じてスピーカ頭部3のドライバに出力信号を伝送する連結首部4とを備え、特に、スピーカ頭部3を、図示しない骨伝導ドライバ30を内蔵した骨伝導スピーカとし、且つ、補聴器本体2の筐体20の下側部分(21)並びに連結首部4を、シリコーン等の軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより成形したことを特徴としている。骨伝導スピーカからの出力とすれば、伝音声難聴や混合性難聴に大変優位な商品になると同時に、ハウリングが起こりにくい構造となる。ただし骨伝導ドライバからの振動出力(骨導音)が頭蓋骨を通じて補聴器本体に伝わり、多少マイクで拾う虞もあるが、上記のごとく肌に触れる箇所をすべて軟質合成樹脂、合成ゴム、熱可塑性エラストマーとしたので、補聴器本体への骨導音の伝達を防止でき、ハウリングを確実に防止できるのである。
補聴器本体2の略バナナ形状の筐体20には、図3にも示すように、外部の音声を集音するマイクロホン5や、集音した音声信号等を一定ゲインで増幅させるアンプ、A/Dコンバータ等を有してROMに格納されている制御プログラムに基づき各回路を制御する制御部6が内蔵され、その他、音量レベルや電源オン/オフを制御するための操作ボタンからなる操作部7やバッテリー8、バッテリー充電用のアダプター80を備え、出力信号は連結首部4内の電気導線90を介してスピーカ頭部3の骨伝導ドライバ30に導かれる。制御部6の処理は基本的には従来からのデジタル補聴器における補聴処理と同じであり、更に念のため、ハウリング防止用の回路を設けてもよい。操作部7やアダプター80などの位置は一例であり、種々が可能である。
例えば、手元のリモコン装置のスイッチで操作部による操作を行うようにしてもよい。この場合、補聴器本体の制御部と、別途設けたリモコン装置にそれぞれ近距離無線通信ユニットを設けて上記操作部7による操作内容に係る制御信号を送受信するように構成すればよい。近距離無線通信ユニットは、搬送波周波数に免許不要の2.4GHzのISM(Industrial Scientific Medical)帯を使用したBluetooth(登録商標)無線ユニットや、「IrDA」方式の赤外線データ通信モジュールを設けたもの、その他の公知のリモコン制御手法を採用できる。また、アダプター80についても、公知の電磁誘導方式の非接触充電モジュールを設けるなどして省略することもできる。
補聴器本体2の筐体20の先端部には湾曲形状の連結首部4が設けられており、当該連結首部4または補聴器本体2が使用者の耳介上端部に引っ掛かかることで、図4に示すように補聴器1全体が使用者の耳介背面位置に保持され、落下が防止されている。筐体20は、互いに組みつけられる下側カバー21と上側カバー22とより構成され、双方とも断面略U字形状のカバーで開口端部同士で水密に接合されている。そして、下側カバー21は上記のとおり軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより成形されたものであり、使用の際には略U字形状の頂部に沿って耳の付け根部分に載せられることとなり、軟質素材が肌に接触し、頭蓋骨からの骨導音が伝わってもこの軟質部分で消音されることとなる。
上側カバー22は硬質合成樹脂により成形されており、略U字形状の頂部(上端部)には、先端側からマイクロホンの集音口50、電源ボタンや音量調整ボタンを含む操作部7、及びバッテイリー充電用のアダプター80の開口部が形成されている。なお、下側及び上側のカバー構造は他の形態でもよい。例えば上側カバー22の左右側面に同様の軟質材料からなる表面層を設けることも好ましい。また、例えば左右何れかの耳用のものとした場合、内側となる筐体側面については、上記軟質材料からなる下側カバーを上側まで延ばし、上側カバーは外側側面のみとすることも好ましい。これにより、人によっては肌に接する可能性がある上側の内側側面についても軟質材料で構成することができ、上記ハウリングの防止や着用感の向上といった軟質材料による効果がより向上する。
本実施形態では、図3の断面図からも分かるように、下側カバー21と連結首部4とを軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより一体成形し、一体的な構造に構成されている。これにより連結首部4を別途筐体20に連結組み付けする手間が省けるとともに防水構造も容易に実現でき、デザイン的にも好ましい形状となる。勿論、別成形して組み付けるように構成してもよい。後述する図6の変形例は別成形した連結首部4を補聴器本体2の筐体先端部分に回転可能に組み付けたものである。
内蔵されているマイクロホン5は、従来から公知のものが採用でき、空気中を伝播する外部音を受信して電気信号に変換するものである。これにより使用者の音声を含む周囲の音声が入力される。また、スピーカ頭部3に内蔵される骨伝導ドライバ30についても、例えば、ヨークの中央磁極にボイスコイルを装着し、ヨークの両側の短尺辺側端部上に前記マグネットを配置し、前記マグネット配置軸上の前記各マグネットの外側に振動板固定部を配置してなる従来から公知の骨伝導ドライバを採用することができ、連結首部4内の電気導線90を通じて受け取った信号出力を振動信号として出力し、骨導音として聴覚器官に伝達される。すなわち、従来のデジタル補聴器のように音響出力ではないので、スピーカ頭部3は耳穴(外耳道)に深くに挿入する必要もなく、耳穴に引っ掛けて中耳部や内耳部などの聴覚器官の近傍に装用されればよく、よって夏場でも汗を掻くことなく外耳炎のような症状を防ぐことができる。本例では、このように出力は電気信号を振動出力に変換する骨伝導ドライバで行い、集音は音響入力を電気信号に変換するマイクロホンで行っているため、そもそもハウリングは起きにくい構造にされており、更に本例では、上記のとおり肌に触れる部分を上記の軟質材料で構成することで頭蓋骨からの振動入力を防止し、ハウリングの発生を確実に防止しているのである。
スピーカ頭部3は、補聴器本体2を耳介の後ろに装着した状態で骨伝導スピーカの振動部が耳穴を向くように構成される。本例では、図5に示すように、補聴器本体2を左右対象構造に構成するとともに、連結首部4の先端部分において、スピーカ頭部3を左右に方向切替できるように回動可能に枢支した構造とされているので、図1〜4では左耳に装着するように位置されているが、180度回動させて反対側に位置させることで右耳に装着することも可能である。ただし、本発明はこのような構造に限定されず、スピーカ頭部3を回動不能に固定し、右耳用或いは左耳用として構成してもよいことは勿論である。
図6は、連結首部4を補聴器本体2の筐体20とは別体成形し、その先端部分に回動可能に取り付けたものである。これにより、補聴器本体2に対して耳穴周辺に装着するスピーカ頭部3を耳穴方向に近づけることができ、装着をより確実に行うことが可能となる点で好ましい例である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の代表的実施形態に係る耳掛け型補聴器を示す斜視図。 同じく耳掛け型補聴器を示す側面図。 同じく縦断面図。 同じく耳掛け型補聴器を装着した様子を示す説明図。 同じく耳掛け型補聴器のスピーカ頭部の回動切り替えを示す説明図。 連結首部を回動可能とした変形例を示す説明図。 同じく耳掛け型補聴器であり、(a)は右側面図、(b)は左側面図、(c)は背面図、(d)は正面図。 (a)は平面図、(b)は底面図、(c)は斜視図。
1 耳掛け型補聴器
2 補聴器本体
3 スピーカ頭部
4 連結首部
5 マイクロホン
6 制御部
7 操作部
8 バッテリー
20 筐体
21 下側カバー
22 上側カバー
30 骨伝導ドライバ
50 音集口
80 充電用アダプター
90 電気導線

Claims (4)

  1. 少なくともマイクロホン及び制御部を内蔵し、耳介の後部に装着される補聴器本体と、耳穴開口又はその近傍に当接されるスピーカ頭部と、前記補聴器本体と前記スピーカ頭部とを連結し、内部に配された電気導線を通じて制御部からスピーカ頭部のドライバに出力信号を伝送する連結首部とを備えており、
    前記スピーカ頭部を、骨伝導ドライバを内蔵してなる骨伝導スピーカとして構成し、
    且つ、前記補聴器本体の筐体のうち少なくとも装着時に耳の付け根部分に載せられる下側部分、並びに前記連結首部を、軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより成形してなることを特徴とする耳掛け型補聴器。
  2. 前記補聴器本体の筐体を、互いに組みつけられる下側カバーと上側カバーとより構成し、該下側カバーを、軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより成形するとともに、前記上側カバーを硬質合成樹脂により成形し、該上側カバーに操作部及び前記マイクロホンの集音口を設けてなる請求項1記載の耳掛け型補聴器。
  3. 前記下側カバーと前記連結首部とを、軟質合成樹脂、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーにより一体成形し、一体的な構造に構成してなる請求項2記載の耳掛け型補聴器。
  4. 前記補聴器本体を左右対象構造に構成するとともに、前記連結首部の先端部分において、前記スピーカ頭部を左右に方向切替できるように回動可能に枢支してなる請求項1〜3の何れか1項に記載の耳掛け型補聴器。
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