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JP2010186578A - 燃料電池用セパレータ - Google Patents

燃料電池用セパレータ Download PDF

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崇 伊関
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由香 山田
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Abstract

【課題】表面に非晶質炭素膜が形成されたガス流路構造において、ガス流路断面積をより微細化でき、発電性能を一層向上できる燃料電池用セパレータを提供する。
【解決手段】非晶質炭素膜が表面に形成されたガス流路構造体を有する燃料電池用セパレータであって、ガス流路構造体12を、非晶質炭素膜21aが表面に形成されたエキスパンドメタル21により構成してガス流路断面積を微細化した。付着する水22との接触角θ1が40°以下となるように非晶質炭素膜21aの表面が親水化されているエキスパンドメタル21を用い、エキスパンドメタル21によるガス流路内の生成水の排水性を高めて、ガス流路断面積が微細化されてもガス流路内の生成水の良好な排水を可能とした。
【選択図】図5

Description

本発明は、非晶質炭素膜が表面に形成されたガス流路構造体を有する燃料電池用セパレータに関するものである。
従来、この種の技術としては特許文献1に記載のものがあった。
これは、低電気抵抗性金属板と、その金属板を被覆してガス流路形成面を構成する非晶質炭素膜とからなり、良好な電気伝導性、耐食性を有し、生産性が高く、生産コストの安価な燃料電池用セパレータを提供するものである。
特開2000−67881号公報
しかしながら上記従来技術では、表面に非晶質炭素膜が形成された構造を有しながらも、生成水の排水性については配慮されてなく、したがってガス流路断面積の微細化、すなわち発電性能の向上に限界があった。
本発明は、上記のような実情に鑑みなされたもので、表面に非晶質炭素膜が形成されたガス流路構造において、ガス流路断面積をより微細化でき、発電性能を一層向上できる燃料電池用セパレータを提供することを課題とする。
上記課題は、燃料電池用セパレータを下記各態様の構成とすることによって解決される。
各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴及びそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
以下の各項のうち、(1)項が請求項1に、(2)項が請求項2に、(4)項が請求項3に、各々対応する。(3)項は請求項に係る発明ではない。
(1)非晶質炭素膜が表面に形成されたガス流路構造体を有する燃料電池用セパレータであって、前記ガス流路構造体は、非晶質炭素膜が表面に形成されたエキスパンドメタルを有してなり、表面に付着する水との接触角が40°以下となるように表面形成されていることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
エキスパンドメタルの素材としては、SUS、Al、Ti、Cu、Zr、Ni、Mg等の導電性の金属材が挙げられる。
接触角は、一般的には固体、液体、気体の三相の界面で液滴の接線と固体面とのなす角を指す。ここでは、固体は非晶質炭素膜が表面に形成されたエキスパンドメタル、液体は水、気体は燃料ガス又は酸化剤ガス、特に酸化剤ガスが相当する。
(2)前記40°以下の接触角は、前記非晶質炭素膜表面への親水化処理により付与されていることを特徴とする(1)項に記載の燃料電池用セパレータ。
(3)前記40°以下の接触角は、前記非晶質炭素膜表面へのプラズマ処理、電子線照射又は紫外線照射により付与されていることを特徴とする(2)項に記載の燃料電池用セパレータ。
プラズマ処理、電子線照射又は紫外線照射は、親水化処理の具体例であり、前記40°以下の接触角を容易に付与できる。
(4)前記40°以下の接触角は、前記非晶質炭素膜の形成処理前の前記エキスパンドメタル素材の表面への凹凸形成処理により付与されていることを特徴とする(1)項に記載の燃料電池用セパレータ。
本項による40°以下の接触角の付与は、(2)項による40°以下の接触角の付与とは異なり、エキスパンドメタルへの非晶質炭素膜の形成前に、つまり、エキスパンドメタルの素材表面に対して行う構造親水方式によるものである。
(1)項に記載の発明によれば、表面に非晶質炭素膜が形成されたガス流路構造体を有する燃料電池用セパレータであって、ガス流路断面積をより微細化でき、かつ、生成水の排水性を高めることができ、発電性能を一層向上した燃料電池用セパレータを提供できる。
(2)項に記載の発明によれば、生成水の排水性を高める40°以下の接触角を、エキスパンドメタル表面への非晶質炭素膜の形成処理後に容易に付与できる。
(4)項に記載の発明によれば、生成水の排水性を高める40°以下の接触角を、(2)項に記載の発明とは異なる構造親水方式により付与できる。
なお、(3)項に記載の発明は、本発明(特許請求の範囲に記載した発明)ではないので、上記課題を解決するための手段の欄に、その効果を述べた。
本発明セパレータが適用された燃料電池セルの一実施形態の概略を示す分解斜視図である。 図1に示した燃料電池セルの積層組付け後の部分断面を模式的に示す図である。 図1中のエキスパンドメタルを取り出し拡大して示す図である。 同上エキスパンドメタルにおけるガス流路の最小断面積の説明図である。 非晶質炭素膜と水との接触角の説明図である。 ガス流路構造体表面の親水化を非晶質炭素膜の表面処理により行った場合の接触角と低ストイキ領域における発電可否との関係を示す表図である。 ガス流路構造体表面の親水化を構造親水方式により行った場合の接触角と低ストイキ領域における発電可否との関係を示す表図である。 図1中のエキスパンドメタルにおける生成水排出の説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1は、本発明セパレータが適用された燃料電池セルの一実施形態の概略を示す分解斜視図、図2は図1に示した燃料電池セルの積層組付け後の部分断面を模式的に示す図である。
これらの図に示すように、本発明のセパレータ(燃料電池用セパレータ)1は、平板状の導電性、耐食性を有するセパレータ本体11と、外形状が概ね平板状に形成された導電性、耐食性を有するガス流路構造体12とを備えてなる。
この場合、ガス流路構造体12は、図3に取り出し、拡大して示すようにエキスパンドメタル21を外形状、概ね平板状に形成したものからなる。
ここで、「エキスパンドメタル」とは、平板状の薄肉金属板に対して、順次千鳥配置の切れ目を加工すると共に加工した切れ目を押し曲げることによって網目状の小径の貫通孔が形成され、更に、圧延加工されて略平板状とされたものである(例えば、特開平2008−311109号公報参照)。
エキスパンドメタル21の素材としては、SUS、Al、Ti、Cu、Zr、Ni、Mg等の金属材が挙げられる。
図3に例示するエキスパンドメタル21において、t1は厚さ、d1は間隔、p1はピッチを指す。これらは、例えば厚さt1=0.2mm〜1.0mm、間隔d1=0.5mm〜1.5mm、ピッチp1=0.3mm〜1.5mm程度に形成されるが、これのみに限定されないことは勿論である。
このエキスパンドメタル21は、非晶質炭素膜21aが表面(全面)に形成されており、以下、エキスパンドメタルと記したときは非晶質炭素膜21aが表面に形成されたエキスパンドメタルをも指す。
ガス流路構造体12として、耐食性及び導電性を確保するために、上記のようにエキスパンドメタル21の表面には非晶質炭素膜21aが形成されているが、その膜厚は50nm〜1μm程度が望ましい。これより薄すぎると耐食性が確保できず、厚すぎると生産性が低下するからである。導電性を持たせるために、非晶質炭素膜21aの水素成分は30at%以下とされ、sp2混成軌道を有する炭素成分は70〜100at%とされている。
ガス流路構造体12のガス流路の最小断面積s1(図4参照)は後述するガス拡散層(GDL)への荷重を均一化するために小さいことが望まれるが、エキスパンドメタル21によるガス流路は凹条溝型流路に比べて最小断面積を小さく形成できる。例えば、一般的な凹条溝型流路では、1枚の板材からプレス成形によって形成する方法が多く、この場合のガス流路の断面積は概ね1mm2程度、小さくても0.5mm2以上となる。一方、上記エキスパンドメタル21によるガス流路は多孔体形状に近く、そのガス流路最小断面積は0.05mm2程度、更には0.03mm2あるいは0.022程度に形成できる。
また、このガス流路構造体12であるエキスパンドメタル21は、図5に示すように、その表面、詳しくは非晶質炭素膜21aの表面に付着する水22との接触角θ1が40°以下となるように、表面形成されている。
ここで、接触角θ1は、水滴落下式接触角(固体、水、気体の三相の界面で水滴の接線と固体面とのなす角)によるものであり、40°以下としたのは以下の理由による。
エキスパンドメタル21をガス流路構造体12、つまりガス流路として用いると、生成された水22がカソード側のガス流路構造体12に排出された際、その生成水22がガス流路構造体12(ガス流路)内に詰まって発電性能の低下(フラッディング)を引き起こしてしまう。これは、非晶質炭素膜21aと水との接触角θ1が約50〜70°程度と比較的高いため、非晶質炭素膜21a上で水22が水滴となって停滞するためであり、このように接触角θ1が高いと、低ストイキ領域では発電不可能になる。
一方、接触角θ1を40°以下、好ましくは20°以下とした場合には、水22が濡れ広がり、これによってガス流路構造体12内にガスの流路が確保され、低ストイキ領域でも発電可能になる。このことから、ガス流路構造体12の表面、詳しくは非晶質炭素膜21aの表面に付着する水22との接触角θ1が40°以下となるように同表面が形成されている。このようなガス流路構造体12の表面形成を、以下、親水化と記す。
親水化の方法(親水化処理方法)としては、エキスパンドメタル21、詳しくは非晶質炭素膜21aの表面に、空気プラズマ、大気圧プラズマ、ナノパルスプラズマ等によるプラズマ処理、あるいは電子線照射処理、更にはエキシマ、水銀、メタルハライド等の紫外線照射処理等を施す方法が挙げられる。
また親水化は、エキスパンドメタル21への非晶質炭素膜21aの形成後に、後処理として施す上記のような方法ではなく、エキスパンドメタル21への非晶質炭素膜21aの形成前に行ってもよい。すなわち、エキスパンドメタル21の素材表面に対して、例えばミクロンオーダーの微細凹凸を形成する凹凸形成処理(粗面化処理)等による構造親水方式を用いて行ってもよい。具体的には、エキスパンドメタル21の素材表面にRa0.1〜1.0μm、面積倍増率1.1以上とした粗面化処理を、ブラスト処理、液体ホーニング処理、熱濃硫酸浸漬等の化学的エッチング処理等によって施し、上記親水化を行ってもよい。
ガス流路構造体12の表面の親水化を非晶質炭素膜21aの表面処理により行った例を図6に、構造親水方式により行った例を図7に、各々比較例と共に例示する。
いずれの例においても、ガス流路構造体12にエキスパンドメタル21を用いた実施例においては接触角θ1を40°以下とした場合に、低ストイキ領域で発電可能になっていることが分かる。
上記燃料電池用セパレータ1は、図1に示すように膜−電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)13と、この膜−電極接合体13の両面、図示例では上下面に配置されたガス拡散層14とを備えて構成された膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode Gas diffusion layer Assembly)2、換言すれば燃料電池の単セルを仕切るように単セル面、つまりMEGA面に積層、配置される(図2参照。なお図2中の20はシール材を示す。)。
このセパレータ1のガス流路構造体12をなすエキスパンドメタル21には、ガス拡散方向に沿った、例えば図3中の矢印ア方向(又はこれとは逆方向)に、燃料ガスここでは水素含有ガスが、又は酸化剤ガス例えば空気が流され、同エキスパンドメタル21が積層されたガス拡散層14に供給され、同ガス拡散層14によって拡散される。
ここで、膜−電極接合体13のアノード(燃料極)側、例えば図1中、上側のエキスパンドメタル21には水素含有ガスが流され、これに積層されたガス拡散層14によって拡散され、膜−電極接合体13のアノード側に供給される。また、膜−電極接合体13のカソード(空気極)側、例えば図1中、下側のエキスパンドメタル21には空気が流され、これに積層されたガス拡散層14によって拡散され、膜−電極接合体13のカソード側に供給される。
水素含有ガスは、燃料極の電極の触媒の作用により電子と水素イオン(H+)に分解される。電子は外部回路を通って、燃料極から空気極に移動し、電流を作り出す。一方、水素イオン(H+)は膜−電極接合体13の電解質膜を通過して空気極に達し、酸素及び外部回路を通ってきた電子と結合し、水(H2O)になる。水素(H2)と酸素(O2)及び電子の結合反応と同時に発生する熱は、セパレータ本体11内に流される冷却水によって回収される。
空気極のあるカソード側では、図8に示すように、カソード側(図1中の膜−電極接合体13の下側)のガス拡散層14から露出してきた水22が、エキスパンドメタル21の網目状の貫通孔をなすガス流路及びエキスパンドメタル21の表面を伝って、セパレータ本体11側に流れてゆき、更にそのセパレータ本体11の表面に沿って燃料電池系外に排出される。
上記のような燃料電池の発電動作中において、生成水22は空気極表面の上記電解質膜に接する部分に発生する。そして、燃料電池の運転に伴い、この生成水22を燃料電池外に効率よく排出できない場合には、空気極のあるカソード側のガス拡散層14とセパレータ本体11との間の空間、つまりエキスパンドメタル21によるガス流路内に生成水が滞留する。その結果、反応ガス、特に酸化剤ガスの拡散が阻害されてフラッディングが引き起こされ、発電性能を低下させる。
本実施形態では、表面に非晶質炭素膜21aが形成されたガス流路構造において、ガス流路構造体12として、非晶質炭素膜21aが表面に形成されたエキスパンドメタル21を用いているので、ガス流路は凹条溝型流路に比べて最小断面積s1を小さく形成でき、発電性能を高めることができる。
しかも、上記エキスパンドメタル21は、表面に付着する水22との接触角θ1が40°以下となるように表面形成(親水化)されているので、同エキスパンドメタル21によるガス流路内の生成水22は滞留なく良好に排水される。その結果、上記のようなフラッディング発生を防止でき、発電性能を一層高めることができる。
1:燃料電池用セパレータ、2:膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA:単セル)、11:セパレータ本体、12:ガス流路構造体、13:膜−電極接合体(MEA)、21:エキスパンドメタル、21a:非晶質炭素膜、22:水。

Claims (3)

  1. 非晶質炭素膜が表面に形成されたガス流路構造体を有する燃料電池用セパレータであって、
    前記ガス流路構造体は、非晶質炭素膜が表面に形成されたエキスパンドメタルを有してなり、表面に付着する水との接触角が40°以下となるように表面形成されていることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  2. 前記40°以下の接触角は、前記非晶質炭素膜表面への親水化処理により付与されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 前記40°以下の接触角は、前記非晶質炭素膜の形成処理前の前記エキスパンドメタル素材の表面への凹凸形成処理により付与されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。

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