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JP2010145272A - プラズモン励起センサを用いたアッセイ法 - Google Patents

プラズモン励起センサを用いたアッセイ法 Download PDF

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JP2010145272A JP2008323647A JP2008323647A JP2010145272A JP 2010145272 A JP2010145272 A JP 2010145272A JP 2008323647 A JP2008323647 A JP 2008323647A JP 2008323647 A JP2008323647 A JP 2008323647A JP 2010145272 A JP2010145272 A JP 2010145272A
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Abstract

【課題】本発明は、金属コロイド粒子を分散状態で用いることによって、SPFSとLPFSとを組み合わせた高感度且つ高精度なアッセイ法、該アッセイ用装置および該アッセイ用キットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のアッセイ法は、工程(a):特定のプラズモン励起センサに検体を接触させる工程;工程(b):工程(a)を経て得られたプラズモン励起センサに、リガンドと蛍光標識とのコンジュゲートを反応させる工程;工程(c):工程(b)を経て得られたプラズモン励起センサに、金属コロイド粒子を分散させたコロイド液を流しつつ接触させた状態で、透明平面基板の金属薄膜とは反対側の表面から、レーザ光を照射し、励起された蛍光標識から発光された蛍光量を測定する工程;および、工程(d):工程(c)で得られた測定結果から、検体中のアナライトの量を算出する工程からなる各工程を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、検体中のアナライトを高感度に検出するアッセイ法に関する。より詳細には、検体を基板に接触させ、これにより固定化された検体中のアナライトをプラズモン蛍光測定を用いて高感度に検出するアッセイ法に関する。
表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)とは、照射したレーザ光が金薄膜表面で全反射減衰(ATR)する条件において、金属薄膜表面に粗密波(表面プラズモン)を発生させることによって、照射したレーザ光が有するフォトン量を数十倍〜数百倍に増やし(表面プラズモンの電場増強効果)、これにより金薄膜近傍の蛍光色素を効率良く励起させることによって、極微量および/または極低濃度のアナライトを検出することができる方法である。
一方、固体表面上に金属微粒子を配置・固定する研究もまた、多くの研究者等により行われてきた。
例えば、特開2006−88310号公報(特許文献1)に、金属微粒子をミクロ層分離膜上に配列して得られる微粒子配列シートが開示されている。しかし、この特許文献1では、単に金属微粒子を配列したシートを作製したことが開示されているのみであり、バイオセンサやバイオアッセイ法等への応用については、示唆すらされていない。
また、特開2006−21305号公報(特許文献2)には、固体表面上の微小金属領域に化学結合した単鎖DNAに、この単鎖DNAと相補的な配列を有する、金微粒子と結合させた別の単鎖DNAをハイブリダイズすることにより、金微粒子を固体表面上の微小金属領域に固定する発明が開示されている。しかし、この特許文献2もまた、SPFS等の具体的なバイオアッセイ法への応用について何ら示唆するものではない。
その後、SPFSの原理に基づいたバイオセンサまたはバイオチップの表面に、金属微粒子を配置することを企図した研究も種々行われてきた。
例えば、特開2007−255947号公報(特許文献3)に、基板上に形成した金属層上に、自己組織化膜を介して金ナノ微粒子を固定化して得られる局在化表面プラズモンセンサが開示されている。その他、金属微粒子を用いた局在化表面プラズモンセンサについての発明が学術論文等を含めて数多く開示されてきているが、そのいずれも金属微粒子を基板上に固定した状態でその他の条件を種々検討したものである。また、それらの発明の目的も、局在化プラズモン共鳴(LPR)への応用を意図したものである。
ここで、LPRによる感度向上を企図して、金属微粒子を基板表面一面に配置、固定しようとすると、大面積にわたり精密に金属微粒子を配置する必要があることから、基板作成の再現性に問題がある。さらに、金属微粒子の配置にばらつきがあると、センサとして用いたときに得られる測定データの精度が向上しないという問題点もある。そのため、このような問題点を解決すべく種々の試みがなされているが、未だ決定的な解決法を見出すに至っていない。
また、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用したセンサにおいて、抗原抗体反応の標識体として金コロイドを利用することでSPR−LPR系を構築し、高感度化を図る試みもなされている。この系においては、感度向上がなされていることが学術論文等に報告されているが、依然として、大面積にわたり精密に金属微粒子を配置するための決定的な解決手段を見出すに至っていないことから、測定データの精度に未だ課題が残っている。さら
に、金属微粒子の密度条件設定に困難があることから、金属微粒子を基板上に多数配置してもLPRによる感度向上につながらない場合があるという問題点もある。
特開2006−88310号公報 特開2006−21305号公報 特開2007−255947号公報 特開2001−200050号公報 特開2005−328809号公報
本発明は、金属コロイド粒子を分散浮遊状態で用いることによって、表面プラズモン励起増強蛍光分光法と局在プラズモン励起増強蛍光分光法とを組み合わせた高感度且つ高精度なアッセイ法、該アッセイ用装置および該アッセイ用キットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究した結果、表面プラズモン励起増強蛍光分光法を用いたアッセイ系において、金属コロイド粒子を分散させたコロイド液をプラズモン励起センサ上に流しつつ接触させながら蛍光測定を行うと、表面プラズモン励起による電場増強効果に加えて、金属コロイド粒子による局所電場増強効果も得られることにより、蛍光の強度が増大することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のアッセイ法は、
工程(a):透明平面基板と、該基板の一方の表面に形成された金属薄膜と、該金属薄膜の、該基板とは反対側の表面に形成された自己組織化単分子膜(以下「SAM」と称す。)と、該SAMの、該金属薄膜とは反対側の表面に固定化された第1のリガンドとからなるプラズモン励起センサに検体を接触させる工程;
工程(b):前記工程(a)を経て得られたプラズモン励起センサに、第2のリガンドと蛍光標識とからなるコンジュゲートを接触させ、これらを反応させる工程;
工程(c):前記工程(b)を経て得られたプラズモン励起センサに、金属コロイド粒子を分散させたコロイド液を流しつつ接触させ、該状態で、前記透明平面基板の、前記金属薄膜とは反対側の表面から、プリズムを経由してレーザ光を照射し、励起された前記蛍光色素から発光された蛍光量を測定する工程;および、
工程(d):前記工程(c)で得られた測定結果から、前記検体中に含まれるアナライトの量を算出する工程
を含むことを特徴とする。
本発明のアッセイ法において、金属コロイド粒子は、金、銀および白金のいずれかから選ばれる金属、またはその合金からなることが好ましく、金からなることがさらに好ましい。
ここで、この金属コロイド粒子の表面は、ポリエチレングリコールからなる層で被覆されていることが好ましい。
この金属コロイド粒子の粒径は、0.1〜10000nmの範囲内にあることが好ましい。
前記コロイド液における金属コロイド粒子の濃度は、0.0000001〜0.1%の範囲内にあることが好ましい。
前記工程(a)に記載のプラズモン励起センサにおいて、誘電体からなるスペーサ層が前記金属薄膜と前記SAMとの間に配置されていると好ましく、さらに、この誘電体が、
二酸化ケイ素(SiO2)または二酸化チタン(TiO2)を含むとさらに好ましい。
前記検体については、血液、血清、血漿、尿、鼻孔液および唾液からなる群から選択される少なくとも1種の体液であると好ましい。
また、本発明は、前記工程(c)に用いられる装置をも提供する。
また、本発明は、前記アッセイ法に用いられるキットをも提供する。
本発明は、表面プラズモン励起増強蛍光分光法に、局在プラズモン励起による電場増強効果を組み合わせることにより、さらなる蛍光増幅を図ることができ、また、蛍光シグナルの安定性向上をも図ることができるので、極めて高感度かつ高精度のアッセイ法を提供することができる。さらに、金属コロイド粒子がコロイド液中に分散した状態でプラズモン励起センサと接触することから、アッセイ法に用いられる装置およびキットの簡素化および製造コストの低廉化を図ることができる。
以下、本発明について、図1を参照しながら具体的に説明する。
〔アッセイ法〕
本発明の第1の態様は、
工程(a):透明平面基板11と、該基板の一方の表面に形成された金属薄膜12と、該金属薄膜12の、該基板とは反対側の表面に形成された自己組織化単分子膜(以下「SAM」と称す。)13と、該SAM13の、該金属薄膜12とは反対側の表面に固定化された第1のリガンド21とからなるプラズモン励起センサに検体を接触させる工程;
工程(b):工程(a)を経て得られたプラズモン励起センサに、第2のリガンド23と蛍光標識24とからなるコンジュゲートを接触させ、これらを反応させる工程;
工程(c):工程(b)を経て得られたプラズモン励起センサに、金属コロイド粒子31を分散させたコロイド液を流しつつ接触させ、該状態で、前記透明平面基板11の、前記金属薄膜12とは反対側の表面から、プリズムを経由してレーザ光を照射し、励起された蛍光標識24から発光された蛍光量を測定する工程;および、
工程(d):工程(c)で得られた測定結果から、前記検体中に含まれるアナライト22の量を算出する工程
を含むことを特徴とするアッセイ法である。
<工程(a)>
本発明のアッセイ法において、工程(a)は、透明平面基板11と、該基板の一方の表面に形成された金属薄膜12と、この金属薄膜12の、透明平面基板11とは反対側の表面に形成された金属薄膜13と、この金属薄膜13の、金属薄膜12とは反対側の表面に固定化された第1のリガンド21とからなるプラズモン励起センサに検体を接触させる工程である。
本発明の1態様において、金属薄膜12とSAM13との間に、誘電体からなるスペーサ層を設けることが望ましい。
透明平面基板
本発明において、プラズモン励起センサの構造を支持する平面基板として透明平面基板11が用いられる。本発明において、平面基板として透明平面基板11を用いるのは、後述する金属薄膜12への光照射をこの平面基板を通じて行うからである。
本発明で用いられる透明平面基板11について、本発明の目的が達せられる限り、材質に特に制限はない。例えば、この透明平面基板11が、ガラス製であってもよく、また、
ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)などのプラスチック製であってもよい。
また、d線(588nm)における屈折率〔nd〕が好ましくは1.40〜2.20で
あり、厚さが好ましくは0.01〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmであれば、大きさ(縦×横)は特に限定されない。
なお、ガラス製の透明平面基板11は、市販品として、SCHOTT AG社製のBK7(屈折率〔nd〕1.52)およびLaSFN9(屈折率〔nd〕 1.85)、(株)
住田光学ガラス製のK−PSFn3(屈折率〔nd〕1.84)、K−LaSFn17(
屈折率〔nd〕1.88)およびK−LaSFn22(屈折率〔nd〕1.90)、並びに(株)オハラ製のS−LAL10(屈折率〔nd〕1.72)などが、光学的特性と洗浄
性との観点から好ましい。
透明平面基板11は、その表面に金属薄膜12を形成する前に、その表面を酸および/またはプラズマにより洗浄することが好ましい。
酸による洗浄処理としては、0.001〜1Nの塩酸中に、1〜3時間浸漬することが好ましい。
プラズマによる洗浄処理としては、例えば、プラズマドライクリーナー(ヤマト科学(株)製のPDC200)中に、0.1〜30分間浸漬させる方法が挙げられる。
金属薄膜
本発明に係るアッセイ法では、前記透明平面基板11の一方の表面に金属薄膜12を形成する。この金属薄膜12は、光源からの照射光により表面プラズモン励起を生じ、電場を発生させ、蛍光標識24の発光をもたらす役割を有する。また、この電場は、金属コロイド粒子31にさらに表面プラズモン励起を生じさせるとともに、金属薄膜12と金属コロイド粒子31との間の局在電場を強化させるもとともなり、蛍光標識24からの発光をさらに増強させる。
上記透明平面基板11の一方の表面に形成された金属薄膜12としては、金、銀、アルミニウム、銅、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなることが好ましく、金からなることがより好ましい。これらの金属は、その合金の形態であってもよい。このような金属種は、酸化に対して安定であり、かつ表面プラズモンによる電場増強が大きくなることから好適である。
なお、透明平面基板11としてガラス製平面基板を用いる場合には、ガラスと上記金属薄膜12とをより強固に接着するため、あらかじめクロム、ニッケルクロム合金またはチタンの薄膜を形成することが好ましい。
透明平面基板11上に金属薄膜12を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法等)、電解メッキ、無電解メッキ法などが挙げられる。薄膜形成条件の調整が容易なことから、スパッタリング法または蒸着法によりクロムの薄膜および/または金属薄膜12を形成することが好ましい。
金属薄膜12の厚さとしては、金:5〜500nm、銀:5〜500nm、アルミニウム:5〜500nm、銅:5〜500nm、白金:5〜500nm、およびそれらの合金:5〜500nmが好ましく、クロムの薄膜の厚さとしては、1〜20nmが好ましい。
電場増強効果の観点から、金:20〜70nm、銀:20〜70nm、アルミニウム:10〜50nm、銅:20〜70nm、白金:20〜70nm、およびそれらの合金:1
0〜70nmがより好ましく、クロムの薄膜の厚さとしては、1〜3nmがより好ましい。
金属薄膜12の厚さが上記範囲内であると、表面プラズモンが発生し易いので好適である。また、このような厚さを有する金属薄膜12であれば、大きさ(縦×横)は特に限定されない。
誘電体からなるスペーサ層
本発明に係るアッセイ法では、この金属薄膜12による蛍光標識24の金属消光を防止することを目的として、誘電体からなるスペーサ層を形成することが望ましい。このスペーサ層は、金属薄膜12の、上記透明平面基板11と接していないもう一方の表面に形成される。
このスペーサ層の形成に用いられる誘電体としては、光学的に透明な各種無機物、天然または合成ポリマーを用いることもできる。その中で、化学的安定性、製造安定性および光学的透明性に優れていることから、二酸化ケイ素(SiO2)または二酸化チタン(T
iO2)を含むことが好ましい。
誘電体からなるスペーサ層の厚さは、通常10nm〜1mmであり、共鳴角安定性の観点からは、好ましくは30nm以下、より好ましくは10〜20nmである。一方、電場増強の観点から、好ましくは200nm〜1mmであり、さらに電場増強の効果の安定性から、400nm〜1,600nmがより好ましい。本発明のアッセイ法では、測定時にプラズモン励起センサとコロイド液中の金属コロイド粒子31との間に生じる電場をより効果的に増強させる目的から、スペーサ層の厚さが10〜100nmであることが望ましい。
誘電体からなるスペーサ層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、電子線蒸着法、熱蒸着法、ポリシラザン等の材料を用いた化学反応による形成方法、またはスピンコータによる塗布などが挙げられる。
SAM
自己組織化単分子膜(Self Assembled Monolayer:SAM)13は、金属薄膜12、あるいは必要により金属薄膜12上に形成された前記スペーサ層の透明平面基板11とは反対側の面に形成される。本発明のアッセイ法では、後述する検体及び蛍光ラベルを後述するリガンド21および23を介して金属薄膜12(あるいは、その上に形成したスペーサ層)に固定した状態で、蛍光測定を行うが、このとき、リガンド21を、SAM13を介して金属薄膜12等に固定する。すなわち、SAM13は、リガンド21を金属薄膜12等に固定する際の土台としての役割を有する。
本発明において、誘電体層からなるスペーサ層を有する場合では、SAM13がシランカップリング剤からなることが好ましく、このようなシランカップリング剤として、アミノ基またはカルボキシル基を有するシランカップリング剤であれば、特に限定せずに従来公知のものを用いることができる。このSAM13が含む単分子としては、通常、炭素原子数4〜20程度のカルボキシアルカンチオール(例えば、(株)同仁化学研究所、シグマ アルドリッチ ジャパン(株)などから入手可能)、特に好ましくは10−カルボキシ−1−デカンチオールが用いられる。炭素原子数4〜20のカルボキシアルカンチオールは、それを用いて形成されたSAM13の光学的な影響が少ない、すなわち透明性が高く、屈折率が低く、膜厚が薄いなどの性質を有していることから好適である。
SAM13の形成方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ
る。具体例として、金属薄膜12がその表面に形成されたガラス製透明平面基板11を、10−カルボキシ−1−デカンチオール((株)同仁化学研究所製)を含むエタノール溶液に浸漬する方法などが挙げられる。このように、10−カルボキシ−1−デカンチオールが有するチオール基が、金属と結合し固定化され、金薄膜の表面上で自己組織化し、SAM13を形成する。
リガンド
本発明では、前記SAM13を形成後に得られるプラズモン励起センサのうち、SAM13を形成した側の表面に第1のリガンド21を結合させる。この第1のリガンド21は、プラズモン励起センサに、検体中のアナライト22を固定させる目的で用いられるものである。本発明において、工程(a)で用いられるリガンドを「第1のリガンド」21と称するのは、後述する工程(b)で用いられるリガンド(「第2のリガンド」)23)と区別するためである。
本発明において、「リガンド」とは、検体中に含有されるアナライト22を特異的に認識し(または、認識され)結合し得る分子または分子断片をいう。このような「分子」または「分子断片」としては、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「タンパク質」としては、例えば、抗体などが挙げられ、具体的には、抗αフェトプロテイン(AFP)モノクローナル抗体((株)日本医学臨床検査研究所などから入手可能)、抗ガン胎児性抗原(CEA)モノクローナル抗体、抗CA19−9モノクローナル抗体、抗PSAモノクローナル抗体などが挙げられる。
なお、本発明において、「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、遺伝子組換えにより得られる抗体、および抗体断片を包含する。
この第1のリガンド21の固定化方法としては、例えば、上記SAM13を形成するシランカップリング剤などが有するカルボキシル基を、水溶性カルボジイミド(WSC)(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)など)とN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)とにより活性エステル化し、このように活性エステル化したカルボキシル基と、上記リガンドが有するアミノ基とを水溶性カルボジイミドを用いて脱水反応させ固定化させる方法などが挙げられる。
なお、後述する検体等がプラズモン励起センサに非特異的に吸着することを防止するため、上記第1のリガンド21を固定化させた後に、プラズモン励起センサの表面を牛血清アルブミン(BSA)等のブロッキング剤により処理することが好ましい。
検体
本発明において、「検体」とは、本発明のアッセイ法による測定対象となる種々の試料をいう。
「検体」としては、例えば、血液(血清・血漿)、尿、鼻孔液、唾液、便、体腔液(髄液、腹水、胸水等)などが挙げられ、所望の溶媒、緩衝液等に適宜希釈して用いてもよい。これら検体のうち、血液、血清、血漿、尿、鼻孔液および唾液が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
接触
本発明において、「接触」とは、プラズモン励起センサのリガンド21等が固定化されている面が送液中に浸漬されている状態で、この送液中に含まれる対象物をこのプラズモン励起センサと接触させることをいう。工程(a)では、上記検体とプラズモン励起センサとの「接触」は、流路中に循環する送液に検体が含まれ、プラズモン励起センサのリガンドが固定化されている片面のみが該送液中に浸漬されている状態において、プラズモン励起センサと検体とを接触させる態様が好ましい。
上記「流路」とは、微量な薬液の送達を効率的に行うことができ、反応促進を行うために送液速度を変化させたり、循環させたりすることができる直方体または管状のものである。本発明のアッセイ法においては、後述するように蛍光測定時に導入される金属コロイド粒子を分散させたコロイド液もまた、この流路を通じてプラズモン励起センサに送達される。また、この流路の形状として、プラズモン励起センサを設置する個所近傍は直方体構造を有することが好ましく、薬液を送達する個所近傍は管状を有することが好ましい。
その材料としては、プラズモン励起センサ部ではメチルメタクリレート、スチレン等を原料として含有するホモポリマーまたは共重合体;ポリエチレン等のポリオレフィンなどの光透過性の材質からなり、薬液送達部ではシリコーンゴム、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリマーを用いる。
ただし、プラズモン励起センサ部については、蛍光測定時に流路が一定の形状に保たれ、且つプラズモン励起により発生した蛍光の検出が妨げられない限り、必ずしもその流路構造の全てを光透過性の材質のみから構成する必要はない。すなわち、プラズモン励起センサ部の流路のうち、プラズモン励起により発生した蛍光を透過させて検出部に導くために必要な部分、具体的には蛍光の集光に必要な透光窓を含む部分については、光透過性の材質で構成する必要があるが、その他の部分については、その一部または全部を光透過性の材質以外の化学的に安定な材質で構成してもよい。プラズモン励起センサ部の流路が直方体構造を有する場合、金属薄膜12およびSAM13が表面に存在するプラズモン励起センサの面を底面としたときに、例えば、この底面と対向する位置にある天井面を光透過性の材質で構成し、側面を光透過性の材質以外の化学的に安定な材質で構成してもよい。
ここで、前記その他の部分、例えば側面は、蛍光測定時に一定の形状が保たれる限り、必ずしも剛体である必要はなく、シール性を確保するために適度な弾性を有していてもよい。例えば、プラズモン励起センサ部の流路について、天井面をポリメチルメタクリレート(PMMA)で構成し、側面をシリコーンゴムで構成してもよい。
プラズモン励起センサ部においては、検体との接触効率を高め、拡散距離を短くする観点から、プラズモン励起センサ部の流路の断面として、縦×横がそれぞれ独立に100nm〜1mm程度が好ましい。
流路において、薬物送達部からプラズモン励起センサ部に送液を導入する送液導入口、及びその送液をプラズモン励起センサ部から排出する送液排出口の位置は、いずれも、蛍光測定の妨げとならない限り特に限定されない。例えば、プラズモン励起センサ部の流路が直方体構造を有する場合、前記送液導入口及び送液排出口とも天井面に設けるのが流路の作成上簡便であるが、この送液導入口と送液排出口とのうちいずれか一方、あるいはその両方を側面に設けてもよい。
流路にプラズモン励起センサを固定する方法は、流路が一定の形状に保たれ、且つ蛍光測定が妨げられない限り特に限定されない。
このような固定方法の例としては、小規模ロット(実験室レベル)では、まず、プラズ
モン励起センサの金属薄膜12が形成されている表面上に、一定の厚さを有するシリコーンゴム製シートまたはOリングを載せることによって流路の側面構造を形成し、次いで、その上に送液導入口及び送液排出口を設けてある光透過性の天板(例えば、PMMA基板)を配置することによって流路の天井面を形成し、その後、これらを圧着して適当な留め具により固定する方法などが挙げられる。このとき、側面構造を構成する材料として、その中央部に任意の形状および大きさを有する穴を開けてある、適当な厚さを有するシリコーンゴム製シートを用いると、この穴の内周がプラズモン励起センサ部の流路の側面構造となることから、所要の形状および大きさを有する流路を容易に形成することができるので好ましい。例えば、まず、該プラズモン励起センサの金属薄膜12が形成されている表面に、流路高さ0.5mmを有する穴あきポリジメチルシロキサン(PDMS)製シートを該プラズモン励起センサの金属薄膜12が形成されている部位を囲むようにして配置し、次いで、このポリジメチルシロキサン(PDMS)製シートの上に、予め送液導入口及び送液排出口を設けてあるPMMA基板を配置し、その後、該PMMA基板と該ポリジメチルシロキサン(PDMS)製シートと該プラズモン励起センサとを圧着し、ビス等の留め具により固定する方法が好ましい。また、プラズモン励起センサに、シリコーンゴム製シートまたはOリングと光透過性の天板とを圧着し、固定するにあたっては、必要に応じて、シリコーンゴムまたはステンレスなどの材質でできた適当なスペーサーを併用してもよい。
また、工業的に製造される大ロット(工場レベル)では、流路にプラズモン励起センサを固定する方法としては、プラスチックの一体成形品に直接金基板を形成するか或いは別途作製した金基板を固定し、金表面に誘電体層、SAM層およびリガンド固定化を行った後、流路の天板に相当するプラスチックの一体成形品により蓋をすることで製造できる。必要に応じてプリズムを流路に一体化することもできる。
このような「送液」としては、検体を希釈した溶媒または緩衝液と同じものが好ましく、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス緩衝生理食塩水(TBS)などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
送液を循環させる温度および時間としては、検体の種類などにより異なり、特に限定されるものではないが、通常20〜40℃×1〜60分間、好ましくは37℃×5〜15分間である。
送液中の検体中に含有されるアナライト22の初期濃度は、100μg/mL〜0.0001pg/mLであってもよい。
送液の総量、すなわち流路の容積としては、通常0.0001〜20mL、好ましくは0.01〜1mLである。
送液の流速は、通常1〜2,000μL/min、好ましくは5〜500μL/min
である。
洗浄工程
洗浄工程とは、工程(a)を経て得られたプラズモン励起センサの表面、および後述する工程(b)を経て得られるプラズモン励起センサの表面のうち少なくともいずれか一方を洗浄する工程である。この洗浄工程は、工程(b)の前後のうち少なくともいずれか一方に含まれることが好ましい。
洗浄工程に使用される洗浄液としては、例えば、Tween20、TritonX100などの界面活性剤を、工程(a)および(b)の反応で用いたものと同じ溶媒または緩衝液に溶解させ、好ましくは0.00001〜1重量%含有するものが望ましい。
洗浄液を循環させる温度および流速は、上記工程(a)の「送液を循環させる温度および流速」と同じであることが好ましい。
洗浄液を循環させる時間は、通常0.5〜180分間、好ましくは5〜60分間である。
<工程(b)>
本発明のアッセイ法において、工程(b)は、工程(a)を経て得られたプラズモン励起センサ、好ましくは工程(a)の後に上記洗浄工程をさらに経て得られたプラズモン励起センサに第2のリガンドと蛍光標識24とからなるコンジュゲートを接触させ、これらを反応させる工程である。
蛍光標識
「蛍光標識」とは、本発明において、所定の励起光を照射する、または電界効果を利用して励起することによって蛍光を発光する物質による標識の総称であり、該「蛍光」は、燐光など各種の発光も含む。
本発明で蛍光標識24として用いられる蛍光色素は、後述する金属コロイド粒子による吸光に起因する消光を受けない限りにおいて、その種類に特に制限はなく、公知の蛍光色素のいずれであってもよい。一般に、単色比色計(monochromometer)よりむしろフィルタを備えた蛍光計の使用をも可能にし、かつ検出の効率を高める大きなストークス・シフトを有する蛍光色素が好ましい。
このような蛍光色素としては、例えば、フルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(Integrated DNA Technologies社製)、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株)製)、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株)製)、クマリン・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株)製)、ローダミン・ファミリーの蛍光色素(GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製)、シアニン・ファミリーの蛍光色素、インドカルボシアニン・ファミリーの蛍光色素、オキサジン・ファミリーの蛍光色素、チアジン・ファミリーの蛍光色素、スクアライン・ファミリーの蛍光色素、キレート化ランタニド・ファミリーの蛍光色素、BODIPY(登録商標)・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株)製)、ナフタレンスルホン酸・ファミリーの蛍光色素、ピレン・ファミリーの蛍光色素、トリフェニルメタン・ファミリーの蛍光色素、Alexa Fluor(登録商標)色素シリーズ(インビトロジェン(株)製)などが挙げられ、さらに米国特許番号第6,406,297号、同第6,221,604号、同第5,
994,063号、同第5,808,044号、同第5,880,287号、同第5,556,
959号および同第5,135,717号に記載の蛍光色素も本発明で用いることができる。
これらファミリーに含まれる代表的な蛍光色素の吸収波長(nm)および発光波長(nm)を表1に示す。
また、蛍光標識24として用いられる蛍光色素は、上記有機蛍光色素に限られない。例えば、例えばEu、Tb等の希土類錯体系の蛍光色素も、本願発明に用いられる蛍光標識24となりうる。希土類錯体は、一般的に励起波長(310〜340nm程度)と発光波長(Eu錯体で615nm付近、Tb錯体で545nm付近)との波長差が大きく、蛍光寿命が数百マイクロ秒以上と長い特徴がある。市販されている希土類錯体系の蛍光色素の一例としては、ATBTA−Eu3+が挙げられる。
本発明においては、後述する蛍光測定を行う際に、金属コロイド粒子を含むコロイド液を流しながら行うことから、この金属コロイド粒子に含まれる金属による吸光の少ない波長領域に最大蛍光波長を有する蛍光色素を用いることが望ましい。例えば、金属コロイド粒子として金を用いる場合には、金コロイド粒子による吸光による影響を最小限に抑えるため、最大蛍光波長が600nm以上である蛍光色素を使用することが望ましい。したがって、この場合には、Cy5、Alexa 647等近赤外領域に最大蛍光波長を有する蛍光色素を用いることが特に望ましい。このような近赤外領域に最大蛍光波長を有する蛍光色素を用いることは、血液中の血球成分由来の鉄による吸光の影響を最小限に抑えることができる点で、検体として血液を用いる場合においても有用である。一方、金属コロイド粒子として銀を用いる場合には、最大蛍光波長が400nm以上である蛍光色素を使用することが望ましい。
これら蛍光色素は1種単独でも、2種以上併用してもよい。
第2のリガンドと蛍光標識からなるコンジュゲート
「第2のリガンドと蛍光標識からなるコンジュゲート」は、リガンドとして2次抗体を用いる場合、検体中に含有されるアナライト(標的抗原)22を認識し結合し得る抗体であることが好ましい。
本発明のアッセイ法において、第2のリガンド23は、アナライトに蛍光色素による標識化を行う目的で用いられるリガンドであり、前記第1のリガンド21と同じでもよいし、異なっていてもよい。ただし、第1のリガンド21として用いる1次抗体がポリクローナル抗体である場合、第2のリガンド23として用いる2次抗体は、モノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよいが、該1次抗体がモノクローナル抗体である場合、2次抗体は、該1次抗体が認識しないエピトープを認識するモノクローナル抗体であるか、またはポリクローナル抗体であることが望ましい。
さらに、検体中に含有されるアナライト(標的抗原)22と競合する第2のアナライト(競合抗原;ただし、標的抗原とは異なるものである。)と2次抗体とがあらかじめ結合した複合体を用いる態様も好ましい。このような態様は、蛍光信号(蛍光シグナル)量と標的抗原量とを比例させることができるため好適である。
「第2のリガンドと蛍光色素とからなるコンジュゲート」の作製方法としては、第2のリガンド23として2次抗体を用いる場合、例えば、まず蛍光色素にカルボキシル基を付与し、該カルボキシル基を、水溶性カルボジイミド(WSC)(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)など)とN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)とにより活性エステル化し、次いで活性エステル化したカルボキシル基と2次抗体が有するアミノ基とを水溶性カルボジイミドを用いて脱水反応させ固定化させる方法;イソチオシアネートおよびアミノ基をそれぞれ有する2次抗体および蛍光色素を反応させ固定化する方法;スルホニルハライドおよびアミノ基をそれぞれ有する2次抗体および蛍光色素を反応させ固定化する方法;ヨードアセトアミドおよびチオール基をそれぞれ有する2次抗体および蛍光色素を反応させ固定化する方法;ビオチン化された蛍光色素とストレプトアビジン化された2次抗体(あるいは、ストレプトアビジン化された蛍光色素とビオチン化された2次抗体)とを反応させ固定化する方法などが挙げられる。
このように作製された「蛍光色素と第2のリガンドとからなるコンジュゲート」の送液中の濃度は、0.001〜10,000μg/mLが好ましく、1〜1,000μg/mL
がより好ましい。
送液を循環させる温度、時間および流速は、それぞれ上記工程(a)の場合と同様である。
<工程(c)>
本発明のアッセイ法において、工程(c)は、工程(b)を経て得られたプラズモン励起センサに、金属コロイド粒子31を分散させたコロイド液を流しつつ接触させ、該状態で、透明平面基板11の、金属薄膜12とは反対側の表面から、プリズムを経由してレーザ光を照射し、励起された蛍光色素から発光された蛍光量を測定する工程である。
本発明のアッセイ法は、前記工程(b)を経て得られたプラズモン励起センサに金属コロイド粒子31を分散させたコロイド液を流しつつ接触させた状態で蛍光測定を行う点に最大の特徴がある。これにより、プラズモン励起センサに金属コロイド粒子を固定させる場合と比べて測定データの精度が向上する利点がある。また、金属コロイド粒子31がコロイド液中に分散していることから、検体に合わせて金属コロイド粒子31の濃度の制御も容易であるという利点もある。
ここで、「金属コロイド粒子を分散させたコロイド液」とは、実際にプラズモン励起センサと接触させる状態にあるコロイド溶液またはコロイド懸濁液をいい、以下「コロイド液」と称する場合がある。また、「分散」とは、金属コロイド粒子がコロイド液の中で浮遊しており、全体として凝集および沈降を引き起こしていない状態をいう。
金属コロイド粒子
本発明において、金属コロイド粒子31は、光源からの光照射によって表面プラズモン励起した金属薄膜12からもたらされる電場を受け、この電場により表面プラズモン励起を生じるとともに、金属薄膜12との間に強い局所電場を生じさせることにより、前記プラズモン励起センサに固定された蛍光標識24からの発光を増強する役割を果たす。このとき、表面プラズモンによる電場増強効果、およびこの金属コロイド粒子31と金属薄膜12との間に生じる局在電場による電場増強効果は、金属コロイド粒子31が存在しない
場合と比べてそれぞれ15倍程度および70倍程度に上る。また、原因は不明であるものの、金属コロイド粒子31が存在しない場合には、SPFSによる蛍光測定の際の蛍光標識24からの発光強度が経時的に消光する傾向にあるが、金属コロイド粒子31が存在する場合には、蛍光標識24からの発光強度における経時的な消光の度合いが少なくなる効果が再現性よく現れる。
本発明で用いられる金属コロイド粒子31を構成する金属種には、特に制限はないものの、試料等に対する化学的安定性が高く、可視光によりプラズモン共鳴が効率的に発生することから、金、銀、白金等の貴金属、あるいはこれらの合金が好ましく、その中で、金が特に好ましい。また、この金属コロイド粒子31を構成する金属は、金属薄膜12を構成する金属と同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
金属コロイド粒子31の粒径については、上記「コロイド液」中でコロイドとして分散状態を維持でき、且つ本発明の作用・効果を発揮できる程度に局在表面プラズモン共鳴を十分に起こすことができる限り特に制限はない。しかし、一般的に、金属コロイド粒子31の最大吸光波長は、構成金属種により変わるほか、構成金属種が同じであっても、金属コロイド粒子31の粒径が大きくなるほど大きくなる傾向にある。そのため、金属コロイド粒子31の粒径は、前記プラズモン励起センサに固定された蛍光標識24の最大蛍光波長との関係で、蛍光標識24からの蛍光が金属コロイド粒子31による吸光により消光されないような粒径であることが望ましい。具体的には、その粒径が0.1〜10000nmの範囲内にあることが好ましく、1nm〜100nmであるとより好ましい。
金属コロイド粒子31の形状については、任意の形状のものであってもよく、例えば、球状、楕円状、円柱状などの形状を有するものが挙げられる。
このような金属コロイド粒子31は、様々な粒径を有する金属コロイド粒子のコロイド溶液の形態で市販品として入手可能である。あるいは、このような金属コロイド粒子31を、従来公知の方法、例えば、HAuCl4、H2PtCl4、硝酸銀などの金属化合物の
溶液を還元することによって得ることもできる。
また、この「コロイド液」中での金属コロイド粒子31の分散性を向上させ、また、非特異吸着を防止するため、金属コロイド粒子31の表面にPEG(ポリエチレングリコール)修飾等の表面処理を施すことが望ましい。PEG修飾金属コロイド粒子は、例えば、特開2001−200050号公報(特許文献4)および特開2005−328809号公報(特許文献5)等に記載されているように、メルカプト基またはポリアミンを有するPEGを金属微粒子と混合することによる調製することができる。あるいは、HAuCl4、H2PtCl4、硝酸銀などの金属化合物の溶液を還元する際に、このような官能基を
有するPEGを共存させることにより調製してもよい。
コロイド液
本発明において、金属コロイド粒子31は、上記「コロイド液」として分散浮遊した状態で用いられる。そして、このコロイド液を測定系内に導入し、工程(b)を経て得られたプラズモン励起センサに流しつつ接触させた状態で蛍光測定が行われる。
このコロイド液は、金属コロイド粒子31が分散浮遊した状態を保ち且つ金属コロイド粒子31によるプラズモン励起を妨げない限り、どのような種類の溶剤に対するコロイド液として調製してもよい。通常は、市販の金属コロイド溶液、あるいは、前述の方法により調製した金属コロイド粒子31の溶液を、適当なバッファ溶液で適当な濃度に稀釈することにより調製される。ここで用いられるバッファ溶液として、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)、2−モル
ホリノエタンスルホン酸(MES)の各バッファ溶液が挙げられる。
また、本発明のアッセイ法において、上記「コロイド液」に含まれる金属コロイド粒子31の濃度が高くなるほど、金属コロイド粒子31におけるプラズモン励起による蛍光標識24からの発光強度の増大がより強く起こる傾向がある。この性質を利用して、検体中のアナライト22の濃度に応じて、コロイド液中の金属コロイド粒子31の濃度を加減することができ、検体に合わせて最適な条件で蛍光測定を行うことができる。本発明において、コロイド液中の金属コロイド粒子31の濃度は0.0000001〜0.1%の範囲内にあることが好ましい。
一方、このコロイド液に含まれる金属コロイド粒子31の濃度が一定の濃度を超えて高くなると、発光が金属コロイドにより反射・散乱することで増強効果を効率よく検出できなくなる場合がある。また、このコロイド液の原料として市販の金属コロイド溶液を用いる場合、このコロイド液中の金属コロイド粒子31の濃度は、使用する市販の金属コロイド溶液の原液の濃度によって決まることから、通常0.03%程度以上の濃度とすることは困難である。
以上の点を考慮すると、上記「コロイド液」中に含まれる金属コロイド粒子31の濃度が、0.0000001%〜0.01%であることがより好ましい。
蛍光測定に用いられる「コロイド液」のpHは、金属コロイド粒子31が分散浮遊した状態を保ち且つ金属コロイド粒子によるプラズモン励起を妨げない限り、特に制限がないものの、蛍光測定を行う測定環境としてpH1〜14、のぞましくはpH4〜10の範囲にあることが好ましい。
また、バッファ溶液に含まれる塩濃度は、金属コロイド粒子31が凝集しない限り任意の濃度とすることができる。特に、金属コロイド粒子31として表面処理を施している粒子を用いる場合には、各種アッセイ法で用いられるバッファ溶液として通常用いられる塩濃度であれば、特に問題とならない。
上記「コロイド液」は、上記流路を通じてプラズモン励起センサに送達され、このコロイド液中の金属コロイド粒子31とプラズモン励起センサとの接触がなされる。本発明によるアッセイ法においては、蛍光測定は、この「コロイド液」が常に流動しながら、その中の金属コロイド粒子31とプラズモン励起センサとの接触がなされている状態で行われる。
光学系
本発明のアッセイ法で用いる光源は、前記金属薄膜12および前記金属コロイド粒子31にプラズモン励起を生じさせることができるものであれば、特に制限がないものの、波長分布の単一性および光エネルギーの強さの点で、レーザ光を光源として用いることが好ましい。レーザ光は、光学フィルタを通して、プリズムに入射する直前のエネルギーおよびフォトン量を調節することが望ましい。
レーザ光の照射により、全反射減衰条件(ATR)において、金属薄膜12の表面に表面プラズモンが発生する。表面プラズモンの電場増強効果により、照射したフォトン量の数十〜数百倍に増えたフォトンにより蛍光標識24を励起する。なお、該電場増強効果によるフォトン増加量は、透明平面基板11の屈折率、金属薄膜12の金属種および膜厚に依存するが、通常、金では約10〜20倍の増加量となる。本発明のアッセイ法では、金属薄膜12における表面プラズモン発生に加えて、金属コロイド粒子31における表面プラズモン発生、および金属薄膜12と金属コロイド粒子31との間に生じる局在電場の増強も生じることから、さらに電場増強が誘起され、さらにフォトンが増加し、蛍光標識2
4をさらに強く励起する。
蛍光標識24は、光吸収により分子内の電子が励起され、短時間のうちに第一電子励起状態に移動し、この状態(準位)から基底状態に戻る際、そのエネルギー差に相当する波長の蛍光を発する。
「レーザ光」としては、例えば、波長200〜900nm、0.001〜1,000mWのLDレーザ、波長230〜800nm(金属薄膜12に用いる金属種によって共鳴波長が決まる。)、0.01〜100mWの半導体レーザなどが挙げられる。
「プリズム」は、各種フィルタを介したレーザ光が、プラズモン励起センサに効率よく入射することを目的としており、屈折率が透明平面基板11と同じであることが好ましい。本発明は、全反射条件を設定できる各種プリズムを適宜選択することができることから、角度、形状に特に制限はなく、例えば、60度分散プリズムなどであってもよい。このようなプリズムの市販品としては、上述した「ガラス製の透明平面基板」の市販品と同様のものが挙げられる。
「光学フィルタ」としては、例えば、減光(ND)フィルタ、ダイアフラムレンズなどが挙げられる。「減光(ND)フィルタ」(または、中性濃度フィルタ)は、入射レーザ光量を調節することを目的とするものである。特に、ダイナミックレンジの狭い検出器を使用するときには精度の高い測定を実施する上で用いることが好ましい。
「偏光フィルタ」は、レーザ光を、表面プラズモンを効率よく発生させるP偏光とするために用いられるものである。
「カットフィルタ」は、外光(装置外の照明光)、励起光(励起光の透過成分)、迷光(各所での励起光の散乱成分)、プラズモンの散乱光(励起光を起源とし、プラズモン励起センサ表面上の構造体または付着物などの影響で発生する散乱光)、酵素蛍光基質の自家蛍光、などの各種ノイズ光を除去するフィルタであって、例えば、干渉フィルタ、色フィルタなどが挙げられる。
「集光レンズ」は、検出器に蛍光シグナルを効率よく集光することを目的とするものであり、任意の集光系でよい。簡易な集光系として、顕微鏡などで使用されている、市販の対物レンズ(例えば、(株)ニコン製またはオリンパス(株)製等)を転用してもよい。対物レンズの倍率としては、10〜100倍が好ましい。
「SPFS検出部」としては、超高感度の観点からは光電子増倍管(浜松ホトニクス(株)製のフォトマルチプライヤー)が好ましい。また、これらに比べると感度は下がるが、画像として見ることができ、かつノイズ光の除去が容易なことから、多点計測が可能なCCDイメージセンサも好適である。
<工程(d)>
工程(d)とは、上記工程(c)で得られた測定結果から、検体中に含有されるアナライト22の量を算出する工程である。
より具体的には、既知濃度の標的抗原もしくは標的抗体での測定を実施することで検量線を作成し、作成された検量線に基づいて被測定検体中の標的抗原量もしくは標的抗体量を測定シグナルから算出する工程である。
アナライト
アナライト22としては、上記「蛍光色素層」に固定化されたリガンドを特異的に認識
され(または、認識し)結合し得る分子または分子断片であって、このような「分子」または「分子断片」としては、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられ、具体的には、AFP(αフェトプロテイン)等のがん胎児性抗原や腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモンなどであってもよく、特に限定されない。
アッセイS/N比
さらに、工程(d)は、上記工程(c)の前に測定した“ブランク蛍光シグナル”、上記工程(c)で得られた“アッセイ蛍光シグナル”、および何も修飾していない金基板を流路に固定し、超純水を流しながらSPFSを測定して得られたシグナルを“初期ノイズ”としたとき、下記式(1a)で表されるアッセイS/N比を算出することができる:
アッセイS/N比=|Ia/Io|/In (1a)
(上記式(1a)において、Iaはアッセイ蛍光シグナル、Ioはブランク蛍光シグナル、Inは初期ノイズである)。
ただし、アッセイS/N比を算出するにあたっては、実用上、上記式(1a)に代えて、検体中に含まれるアナライト22の濃度が0の場合における“アッセイノイズシグナル”を基準として、下記式(1b)にしたがって算出してもよい:
アッセイS/N比=|Ia|/|Ian| (1b)
(上記式(1b)において、Ianはアッセイノイズシグナル、Iaは上記式(1a)の場
合と同様にアッセイ蛍光シグナルである)。
〔装置〕
本発明の装置は、上記工程(c)に用いられることを特徴とするものである。すなわち、本発明の装置は、上記プラズモン励起センサを用いて、本発明のアッセイ法を実施するためのものである。
「装置」としては、少なくとも光源、各種光学フィルタ、プリズム、カットフィルタ、集光レンズおよびSPFS検出部を含むものとする。なお、検体液、洗浄液、標識抗体液、または金属コロイド粒子31を分散させたコロイド液などを取り扱う際に、プラズモン励起センサと組み合った送液系を有することが好ましい。送液系としては、本発明の目的が達せられる限り、その種類を問わない。例えば、液ポンプと連結したマイクロ流路デバイスなどでもよい。
また、表面プラズモン共鳴(SPR)検出部、すなわちSPR専用の受光センサとしてのフォトダイオード、SPRおよびSPFSの最適角度を調製するための角度可変部(サーボモータで全反射減衰(ATR)条件を求めるためにフォトダイオードと光源とを同期して、45〜85°の角度変更を可能とする。分解能は0.01°以上が好ましい。)、SPFS検出部に入力された情報を処理するためのコンピュータなども含んでもよい。
光源、光学フィルタ、カットフィルタ、集光レンズおよびSPFS検出部の好ましい態様は上述したものと同様である。
「送液ポンプ」としては、例えば、送液が微量な場合に好適なマイクロポンプ、送り精度が高く脈動が少なく好ましいが循環することができないシリンジポンプ、簡易で取り扱い性に優れるが微量送液が困難な場合があるチューブポンプなどが挙げられる。
〔キット〕
本発明のキットは、本発明のアッセイ法に用いられることを特徴とするものであって、本発明のアッセイ法を実施するにあたり、第1のリガンドと第2のリガンドと検体とを除き必要とされるすべてのもの、例えば、1次抗体、抗原などのリガンド(すなわち、検体中に含まれるアナライト22は、抗原とは限らず、抗体であってもよい。)と検体と2次抗体とを除き必要とされるすべてのものを含むことが好ましい。
例えば、本発明のキットと、検体として血液または血清と、特定の腫瘍マーカーに対する抗体とを用いることによって、特定の腫瘍マーカーの含有量を、高感度かつ高精度で検出することができる。この結果から、触診などによって検出することができない前臨床期の非浸潤癌(上皮内癌)の存在も高精度で予測することができる。
このような「キット」としては、具体的に、透明平面基板11の一方の表面に金属薄膜12を形成したプラズモン励起センサ;検体を溶解または希釈するための溶解液または希釈液;プラズモン励起センサと検体とを反応させるための各種反応試薬および洗浄試薬が挙げられ、本発明のアッセイ法を実施するために必要とされる各種器材または資材や上記「装置」を含めることもできる。
さらに、キット要素として、検量線作成用の標準物質、説明書、多数検体の同時処理ができるマイクロタイタープレートなどの必要な器材一式などを含んでもよい。
次に、本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[作製例1](プラズモン励起センサの作製)
屈折率〔nd〕1.72、厚さ1mmのガラス製の透明平面基板((株)オハラ製のS
−LAL 10)をプラズマ洗浄し、該基板の片面にクロム薄膜をスパッタリング法により形成した後、その表面にさらに金薄膜をスパッタリング法により形成した。クロム薄膜の厚さは1〜3nm、金薄膜の厚さは44〜52nmであった。
このようにして得られた基板を、10−カルボキシ−1−デカンチオールを1mM含むエタノール溶液に24時間以上浸漬し、金薄膜の片面にSAM(Self Assembled Monolayer;自己組織化単分子膜)を形成した。この基板を、前記エタノール溶液から取り出し、エタノールおよびイソプロパノールでそれぞれ洗浄した後、エアガンを用いて乾燥させた。
次に、このように基板上に形成したSAMの表面に、流路高さ0.5mmを有し、且つ適当な形状および大きさを有する穴のあいたポリジメチルシロキサン(PDMS)製シートを設け、さらに、このPDMS製シートの周囲にシリコーンゴム製スペーサーを配置した(このシリコーンゴム製スペーサーは送液に触れない状態にある。)。このPDMS製シート及び該シリコーンゴム製スペーサーの上に、送液導入用の穴及び送液排出用の穴を予めそれぞれ形成してあるPMMA基板を、PDMS製シートで囲まれた領域の内側にこれらの穴が位置するように配置した(このとき、前記SAM表面が流路の内側となるように、PMMA基板が配置されている)。これらを流路の外側から圧着し、ビスでPMMA基板と流路シート(すなわち、前記PDMS製シート)とプラズモン励起センサ(すなわち、前記SAMを形成した基板)とを固定した。
続いて、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)を50mMと、水溶性カルボジイミド(WSC)を100mMとを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を5mL送液し、20分間循環送液させた後に、抗αフェトプロテイン(AFP)モノクローナル抗体(1D5、2.5mg/mL、(株)日本医学臨床検査研究所製)溶液2.5mLを30分間循
環送液することで、SAM上に1次抗体を固相化した。なお、1重量%牛血清アルブミン(BSA)を含むPBSにて30分間循環送液することで、非特異的吸着防止処理を行った。
[作製例2](Alexa Fluor(登録商標)647標識2次抗体の作製)
2次抗体として、抗αフェトプロテイン(AFP)モノクローナル抗体((株)日本医学臨床検査研究所などから入手可能)を、市販のビオチン化キット((株)同仁化学研究所製)を用いてビオチン化した。手順は、該キットに添付のプロトコールに従った。
次に、得られたビオチン化抗AFPモノクローナル抗体の溶液とストレプトアビジン標識Alexa Fluor(登録商標)647(Molecular Probes社製)溶液とを混合し、4℃で60分間、攪拌混合することで反応させた。
最後に、未反応抗体および未反応酵素を、分子量カットフィルタ(日本ミリポア(株)製)を用いて精製することで、Alexa Fluor(登録商標)647標識抗AFPモノクローナル抗体溶液を得た。得られた抗体溶液はタンパク定量後、4℃で保存した。
[実施例1]
工程(a)として、まず、作製例1で得られたプラズモン励起センサに標的抗原としてAFPを1ng/mL含むPBS溶液を0.5mL添加し、25分間循環させた。
工程(b)として、Tween20を0.05重量%含むトリス緩衝生理食塩水(TB
S)を送液として10分間循環させることによって洗浄した後、作製例2で得られたAlexa Fluor(登録商標)647標識2次抗体(1,000ng/mLとなるよう
に調製したPBS溶液)を2.5mL添加し、20分間循環させた。
工程(c)として、まず、Tween20を0.05重量%含むTBSを送液として1
0分間循環させることによって洗浄した。その後、0.5mL、0.00075%金コロイド溶液(金コロイド平均粒径20nm)を0.5mL/minで送液することでプラズモン励起センサに金コロイドを接触させた。プラズモン励起センサに、ガラス製の透明平面基板の、金薄膜を形成していないもう一方の表面から、プリズム(シグマ光機(株)製)を経由してレーザ光(640nm、40μW)を照射し、励起された蛍光色素から発光された蛍光量をCCDから観察したときのシグナル値を計測し「アッセイシグナル」とした。
なお、AFPが0ng/mLの場合におけるSPFSシグナルを「アッセイノイズシグナル」とした。
工程(d)として、上記工程(c)で得られた測定結果から、アッセイS/N比を以下の式を用いて算出し、各条件での感度に関して、金コロイドを使用しない測定結果(比較例1)を基準とした規格値(LP増強率)により評価した。
アッセイS/N比=|(アッセイ蛍光シグナル)|/|(アッセイノイズシグナル)|
すなわち、規格値(LP増強率)が大きければアッセイS/N比が向上していることを意味し、イムノアッセイ測定の信頼性が高いことがわかる。
得られた結果を後記表2に示す。
[実施例2]
実施例1のアッセイ法の実施において、0.5mL、0.00075%金コロイド溶液(金コロイド平均粒径20nm)を0.5mL/minで送液する代わりに、0.5mL、0.0015%金コロイド溶液(金コロイド平均粒径20nm)を0.5mL/min
で送液したことを除いて、実施例1と同様の条件にて実施した。得られた結果を後記表2に示す。
[比較例1]
実施例1のアッセイ法の実施において、0.5mL、0.00075%金コロイド溶液(金コロイド平均粒径20nm)を0.5mL/minで送液する代わりに、Tween20を0.05重量%含むTBSを0.5mL/minで送液したことを除いて、実施例
1と同様の条件にて実施した。
得られた結果を下記表2に示す。
表2から、表面プラズモン増強蛍光を使用したとき(比較例1)に較べて、金属コロイドを分散状態で使用した系(実施例1、2)では有意に感度が向上していることが明らかである。本発明では、金属コロイドが溶液中に分散状態であるため、金属コロイド密度は極めて均質である。そのため、従来報告されているような局在プラズモンを利用した方法と較べて高い再現性が見込まれ、本発明が高感度かつ高精度な測定方法であることがわかった。
本発明のアッセイ法は、高感度かつ高精度に検出することができる方法であるから、例えば、血液中に含まれる極微量の腫瘍マーカーであっても検出することができ、この結果から、触診などによって検出することができない前臨床期の非浸潤癌(上皮内癌)の存在も高精度で予測することができる。
本願発明に係るアッセイ法の模式図を示す。
符号の説明
11・・・透明平面基板
12・・・金属薄膜
13・・・SAM
21・・・第1のリガンド
22・・・アナライト
23・・・第2のリガンド
24・・・蛍光標識
31・・・金属コロイド粒子

Claims (11)

  1. 下記工程(a)〜(d)を含むことを特徴とするアッセイ法:
    工程(a):透明平面基板と、該基板の一方の表面に形成された金属薄膜と、該金属薄膜の、該基板とは反対側の表面に形成された自己組織化単分子膜(以下「SAM」と称す。)と、該SAMの、該金属薄膜とは反対側の表面に固定化された第1のリガンドとからなるプラズモン励起センサに検体を接触させる工程;
    工程(b):前記工程(a)を経て得られたプラズモン励起センサに、第2のリガンドと蛍光標識とからなるコンジュゲートを接触させ、これらを反応させる工程;
    工程(c):前記工程(b)を経て得られたプラズモン励起センサに、金属コロイド粒子を分散させたコロイド液を流しつつ接触させ、該状態で、前記透明平面基板の、前記金属薄膜とは反対側の表面から、プリズムを経由してレーザ光を照射し、励起された前記蛍光色素から発光された蛍光量を測定する工程;および、
    工程(d):前記工程(c)で得られた測定結果から、前記検体中に含まれるアナライトの量を算出する工程。
  2. 前記金属コロイド粒子が、金、銀および白金のいずれかから選ばれる金属、またはその合金からなる請求項1に記載のアッセイ法。
  3. 前記金属コロイド粒子が金からなる請求項1に記載のアッセイ法。
  4. 前記金属コロイド粒子の表面がポリエチレングリコールからなる層で被覆されている請求項1〜3のいずれかに記載のアッセイ法。
  5. 前記金属コロイド粒子の粒径が0.1〜10000nmの範囲内にある請求項1〜4のいずれかに記載のアッセイ法。
  6. 前記コロイド液における前記金属コロイド粒子の濃度が0.0000001〜0.1%の範囲内にある請求項1〜5のいずれかに記載のアッセイ法。
  7. 前記工程(a)に記載のプラズモン励起センサにおいて、誘電体からなるスペーサ層が前記金属薄膜と前記SAMとの間に配置されている請求項1〜6のいずれかに記載のアッセイ法。
  8. 前記誘電体が、二酸化ケイ素(SiO2)または二酸化チタン(TiO2)を含む請求項7に記載のアッセイ法。
  9. 前記検体が、血液、血清、血漿、尿、鼻孔液および唾液からなる群から選択される少なくとも1種の体液である請求項1〜8のいずれかに記載のアッセイ法。
  10. 請求項1に記載の工程(c)に用いられる装置。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のアッセイ法に用いられるキット。
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