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JP2010142985A - 樹脂組成物の成形方法及び成形品 - Google Patents

樹脂組成物の成形方法及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマス資源由来原料の割合の高い熱可塑性樹脂から、従来の石油系樹脂並みの成形性で、耐熱性の優れた成形品を成形する成形方法の提供。
【解決手段】下記化学式(1)、及び化学式(2)で表される構成単位を含む微生物産生ポリヒドロキシアルカノエートから成る熱可塑性樹脂(A)と、ポリ乳酸から成る熱可塑性樹脂(B)とを含有する樹脂組成物の成形方法であり、−[−O−CH(CH)−CH−CO−]−・・・(1)、−[−O−CH(R)−CH−CO−]−・・・(2)[但し、RはC2n+1(n=2〜14)である。]前記熱可塑性樹脂(A)に対する前記化学式(1)で表される構成単位のモル分率をc、前記樹脂組成物の成形における金型温度をT℃としたとき、下記(3)及び(4)、122.9c−30.4≦T・・・(3)、25≦T≦90・・・(4)を満足することを特徴とする樹脂組成物の成形方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物の成形方法及び成形品に関する。
近年、電子写真技術、印刷技術またはインクジェット技術を用いた複写機やレーザープリンターなどの画像出力機器などに使用されている部品においても、環境配慮の観点からバイオマス由来樹脂が使用され始め、研究開発も活発に行われている。
ポリ乳酸は大量に安定して流通しているバイオマス由来樹脂であるが、耐熱性の低さが実用化を妨げる課題の一つとなっている。ポリ乳酸は結晶性の脂肪族ポリエステルであり、樹脂の結晶化が耐熱性向上に有効である。そこで、成形加工時に結晶化に適した高温金型を用い、長時間かけて冷却を行ったり、成形後に成形品を再度熱処理(アニール処理)して結晶化を促進させたりすることで、耐熱性を向上させていた。成形加工時の冷却時間に関しては、結晶化核剤の添加、ポリ乳酸樹脂の可塑化などにより短縮可能であることが分かって来ているが、成形時の金型温度に関しては、ポリ乳酸の成形に適した金型温度は100℃を超えており、最も一般的な水用金型温度調節機の金型を用いることが困難であった。金型温度が100℃を超えると、水用金型温度調節機の使用が難しくなり、油用金型温度調節機を使用することになり、成形コストが増加する一因となっていた。成形品を成形後にアニール処理すると、成形品製造コストが増加するだけでなく、成形品が結晶化する過程で変形しやすいなどの問題があった。
一方、微生物産生ポリヒドロキシアルカノエートは、機械的強度が高く、射出成形可能なバイオマス由来樹脂であるが、ポリ乳酸と同様に、結晶化速度が非常に遅く、また非晶状態では粘着性があるため金型との離型性が非常に悪く、成形時にすぐに金型から取り出すことができないため生産性が低いという問題があった。
ポリ乳酸を含む樹脂組成物及び成形体に関する主な技術を以下に列挙する。
特許文献1には、ポリ乳酸にポリアミドがブレンドされた海島構造をしており、島成分のドメインサイズが0.001〜1μmであり、少なくとも一部に繊維を含むことを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物の成形体が開示されている。この成形体は、優れた力学特性、耐熱性、耐摩耗性を有し、脂肪族ポリエステルを主成分とする繊維および繊維製品を提供することができるとしている。
特許文献2には、脂肪族ポリエステル及び変性エラストマーを含有する組成物をアニール処理してなることを特徴とする結晶性生分解性樹脂組成物が開示されている。この結晶性生分解性樹脂組成物は、脂肪族ポリエステルと変性エラストマーよりなるため,界面接着性が高く,強度,耐衝撃性といった機械的特性に優れており、さらに,アニール処理により結晶化して耐熱性が向上している。
特許文献3には、ポリ乳酸を主成分とするステレオコンプレックス形成可能なポリマーに、結晶核剤としてリン酸エステル金属塩及び含水珪酸マグネシウム(タルク)を加えて、耐熱性及び耐衝撃性に優れるポリ乳酸系ポリマー成形品の製造方法が開示されている。
特許文献4には、脂肪族ポリエステルに、炭素数が6以上のジオール成分が全カルボン酸量に対し2〜15mol%又は2〜15質量%含む芳香族ポリエステルを5〜40質量%ブレンドされていることを特徴とするポリエステル樹脂組成物が開示されている。このポリエステル樹脂組成物は、従来には無かった優れた高温力学特性、耐熱性を有するとしている。
特許文献5には、結晶化核剤を含む熱可塑性樹脂を溶融状態にして二酸化炭素を溶解させ、加圧状態にしてある金型キャビティに充填し冷却固化することで、樹脂の結晶化速度を速めることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂の射出成形法が開示されている。これにより、必要な耐熱性を得られる程度まで結晶化度を高めながら成形サイクルを短縮して生産性を向上させる射出成形法を提案している。
特許文献6には、微生物から生産される繰り返し単位構造式[−CHR−CH−CO−O−](式中、RはC2n+1で表されるアルキル基で、n=1〜15の整数である。)で示される脂肪族ポリエステル系重合体(略称P3HA)の結晶化速度を、ポリビニルアルコール、キチンおよびキトサンから選ばれる1種以上からなる結晶核剤で向上させることを特徴とする生分解性ポリエステル系樹脂組成物が開示されている。
特許文献7には、生分解性を有する高分子材料の結晶化度が、0.7以上であることを特徴とする部材、及び生分解性を有する高分子材料を主成分とする材料に、金型温度を100℃以上にして射出成形することを特徴とする部材の製造方法が開示されている。これにより、生分解性を有し、十分な耐熱性及び機械強度を有する部材、及びその製造方法を提供することができるとしている。
特許文献8には、ポリ乳酸系樹脂を99.9〜80重量部およびポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを0.1〜20重量部含有することを特徴とする、透明性に優れ、引張特性が改良された光学材料用ポリ乳酸系樹脂組成物が開示されている。
特許文献9には、ポリ乳酸とポリ乳酸以外の樹脂とが混合されているポリ乳酸組成物であり、ポリ乳酸以外の樹脂は、微生物由来のポリヒドロキシアルカン酸にエポキシ基を導入したエポキシ化ポリヒドロキシアルカン酸であることを特徴とするポリ乳酸組成物が開示されている。このポリ乳酸組成物は、生分解性に優れ、機械的な強度が大きく、成形が容易で、透明性に優れているとしている。
特許文献10には、結晶性の生分解性樹脂では融点、非晶性の生分解樹脂ではガラス転移温度を転移温度としたときに、該転移温度の異なる2つ以上の生分解性樹脂からなり、1つ以上の生分解性樹脂が繊維状に分散していることを特徴とする高剛性および耐衝撃性を有する生分解性樹脂複合材料成形品が開示されている。この発明により、生分解性を有し、剛性、衝撃強度、生産性に優れ、家電品、携帯情報端末の筐体、プラスチック部品用成形材料として有用な生分解性樹脂複合材料成形品を提供できるとしている。
特許文献11には、脂肪族ポリエステルであり、特定の融点を有するポリヒドロキシアルカノエート又は2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体と、ポリ乳酸又は乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体とを特定の割合で混合し、加熱押出成形機中で熔融混練することにより、各種特性に優れるポリマーブレンド体が得られることが開示されている。
特許文献12には、ポリ乳酸に融点が100〜250℃の脂肪族ポリエステルと結晶性無機充填剤を混合し、高い耐熱性を達成した樹脂組成物及びその成形加工品が開示されている。脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、 ポリネオペンチルグリコールオキサレート、ポリエチレンサクシネート、 ポリブチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチリックアシッド、及びβ−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸との共重合体からなる群から選択された少なくとも1種を用いることが提案されている。このポリ乳酸系耐熱性樹脂組成物は、生産性の高い通常の成形加工技術に適用することができ、成形性が優れ且つ耐熱性を備えた成形加工品を製造することができるとしている。
特許第893995号公報 特許第3741084号公報 特許第3960797号公報 特許第3925176号公報 特開2007−269019号公報 特開2007−077232号公報 特開2005−138458号公報 特開2006−274182号公報 特許第3883116号公報 特開2005−171193号公報 特許第3609543号公報 特許第3599533号公報
ポリ乳酸を始めとする生分解性樹脂に対しては、成形製品の耐熱性の向上と生産性の向上を目指して多くの提案がなされている。しかし、樹脂成形品が大量に利用されている電気電子分野の筐体や、自動車部品用の汎用成形品に使用するには、まだ、十分な耐熱性や成形性を有するとは言えず課題が残っている。
例えば、特許文献1、3、7、10に記載のポリ乳酸樹脂組成物では、金型温度100℃以上の金型温度が要求されており、一般的な水用金型温度調節機の金型を使用して成形することは不可能である。この為、従来の石油系樹脂の成形に較べ、設備投資と成形サイクル時間やエネルギーロスが問題となり、生産コストの上昇となってしまう。
特許文献2においては、アニール処理が必要であり、従来の石油系樹脂の成形法に較べれば、工程が複雑で高コストになりやすい。特許文献4に記載の樹脂組成物では、物性向上を目指すと、バイオマス資源由来の樹脂の割合が低下してしまい、環境対策上は十分とは言えない。特許文献5に記載の射出成形法においては、加圧金型が必要となり、また炭酸ガスを使用するので、その回収や処理のもいだイが発生する。
特許文献8、11に記載のポリ乳酸系樹脂組成物や脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体では、光学特性に優れた透明性樹脂を目的としており、耐熱性の向上を目指しているものではない。特許文献9、12に記載のポリ乳酸樹脂組成物では、石油などから合成される原料の導入が必要であり、バイオマス資源由来の原料の割合が低下してしまう場合があり、環境対策上は十分とは言えない。
このように、バイオマス資源由来の原料の割合(バイオマス度)が高い生分解性樹脂を、従来の石油系樹脂と同様の水用金型温度調節機を用いて、製品の成形サイクルタイムを長くしないで、耐熱性の十分な汎用の成形品として成形することは、容易ではなかった。
本発明の目的は、上記問題点を踏まえ、バイオマス資源由来原料の割合の高い熱可塑性樹脂から、従来の石油系樹脂並みの成形法で、耐熱性の優れた成形品を成形する成形方法及び成形品を提供することである。
本発明は、下記化学式(1)、及び化学式(2)で表される構成単位を含む微生物産生ポリヒドロキシアルカノエート共重合体から成る熱可塑性樹脂(A)と、ポリ乳酸から成る熱可塑性樹脂(B)とを含有する樹脂組成物の成形方法であり、
Figure 2010142985
Figure 2010142985
[但し、RはC2n+1(n=2〜14)である。]
前記熱可塑性樹脂(A)における前記化学式(1)で表される構成単位、すなわち、3−ヒドロキシブチレート(3HB)単位のモル分率をc、前記樹脂組成物の成形における金型温度をT℃としたとき、下記式(1)及び(2)、
1.229c−30.4≦T ・・・・・(1)
25≦T≦90 ・・・・・(2)
を満足することを特徴とする樹脂組成物の成形方法である。
本発明の樹脂組成物の成形方法によれば、射出成形時に100℃以上の金型温度で冷却し、且つ長時間保持しなければ高い耐熱性を得られなかったポリ乳酸から成る熱可塑性樹脂に代わって、化学式(1)、及び化学式(2)で表される構成単位を含む微生物産生ポリヒドロキシアルカノエート共重合体から成る熱可塑性樹脂(A)と、ポリ乳酸から成る熱可塑性樹脂(B)とを含む樹脂組成物を、式(1)、(2)で示される条件範囲で成形することにより、高いバイオマス度を保持し、且つ低温での成形加工が可能な、高い耐熱性を有する汎用性の広い樹脂成形品が得られる。
好ましい本発明は、前記熱可塑性樹脂(A)における前記化学式(1)で表される構成単位(3−ヒドロキシブチレート(3HB)単位)のモル分率が70〜95モル%であることを特徴とする前記樹脂組成物の成形方法である。
3−ヒドロキシブチレート(3HB)単位のモル分率を70〜95モル%とすることにより、熱可塑性樹脂(A)の製造が容易になり、耐熱性の高い成形品が得やすい。
好ましい本発明は、前記熱可塑性樹脂(A)が、3−ヒドロキシブチレート(3HB)と3−ヒドロキシバリレート(3HV)(化学式(2)におけるn=2の場合)の共重合体であることを特徴とする前記樹脂組成である。
3−ヒドロキシブチレート(3HB)と3−ヒドロキシバリレート(3HV)の共重合体は、微生物での生産が比較的容易で、耐熱性の高い成形品も得やすい。
好ましい本発明は、前記熱可塑性樹脂(A)1〜99重量部に対して、熱可塑性樹脂(B)99%〜1重量部含むことを特徴とする前記樹脂組成物の成形方法である。
熱可塑性樹脂(A)を1〜99重量部含有することにより、低温で成形しても耐熱性の高い成形品を得ることができる。
好ましい本発明は、ポリ乳酸から成る熱可塑性樹脂(B)と前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリL乳酸、ポリD乳酸、及びポリL乳酸とポリD乳酸から成るステレオコンプレックスから選択される一つ以上を含むことを特徴とする前記樹脂組成物の成形方法である。
微生物により生産できるポリ乳酸からなる樹脂組成物から、成形性が良好で、耐熱性の高い成形品を得ることができる。
好ましい本発明は、結晶化核剤をさらに含んでいることを特徴とする前記樹脂組成物の成形方法である。
結晶化核剤による結晶化の促進により、低温で、迅速に成形品の結晶化度を上げることができ、耐熱性の高い成形品を生産性よく成形できる。
好ましい本発明は、前記結晶化核剤が、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、及びベンゾイル化合物系からなる核剤から選択される一つ以上を含むことを特徴とする前記樹脂組成物の成形方法である。
本発明は、前記樹脂組成物のいずれかの成形方法により成形されたことを特徴とする成形品であり、好ましくは、電気・電子機器に備えられていることを特徴とする成形品である。
電気・電子機器を始めとする、各種の汎用成形品への利用が可能な環境負荷の低い成形品を提供できる。
本発明によれば、バイオマス資源由来原料の割合の高い熱可塑性樹脂から、従来の石油系樹脂並みの成形法で、耐熱性の優れた成形品を成形する成形方法及び成形品を提供することができる。
[樹脂組成物]
(ポリヒドロキシアルカノエート(熱可塑性樹脂(A)))
ポリ3ヒドロキシブチレート(P3HB)は、グルコースを炭素源とするLB培地、MR培地等でシュードモナス属菌、ラルストニア属菌、バチルス属菌、コリネバクテリウム属菌により生産することができる。
本発明におけるポリヒドロキシアルカノエート共重合体(熱可塑性樹脂(A))である3ヒドロキシブチレート共重合体を生産するには、上記3ヒドロキシブチレート共重合体生産培地に、目的とするもう一方のヒドロキシアルカノエートに対応する炭素数を持つ有機酸を培養基質として加える。例えば、好ましいポリヒドロキシアルカノエートの態様として、3ヒドロキシブチレート(3HB)と3ヒドロキシバリレート(吉草酸エステル)(3HV)の共重合体である3ヒドロキシブチレート−3ヒドロキシバリレート共重合体(P(3HB−Co−3HV))生産の場合は、培養基質としてプロピオン酸(Cカルボン酸)を付加すればよい。培地中に添加するグルコースとプロピオン酸を調整することにより、3ヒドロキシブチレートと3ヒドロキシバリレートの比率を制御できる。通常、P(3HB−Co−3HV)は、バチルス属菌、ラルストニア属菌、シュードモナス属菌等の生産菌を用いて、培地成分中の窒素やリン酸を制限した培養法により、菌体増殖過程とポリエステル生産過程の2段階で生産される。
バチルス属由来のPHA合成酵素遺伝子を有する微生物に対し、C以上の偶数の脂肪酸を与えることによって、3ヒドロキシブチレート−3ヒドロキシヘキサノエート共重合体(P(3HB−Co−3HHx))を合成することが出来る。
なお、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の構成単位である化学式(2)におけるアルキル基Rは、n=2〜14であるが、耐熱性向上効果や生産の容易さからは、n=2〜4、特に生産の容易さからはn=2(3ヒドロキシバリレート(3HV))とすることが好ましい。ポリヒドロキシアルカノエート共重合体はブロック共重合体であることが好ましい。
本発明における、ポリヒドロキシアルカノエートからなる樹脂(A)の重量平均分子量Mwは、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で、好ましくは5〜500万、より好ましくは10〜200万である。上記の範囲であれば、微生物による生産が可能であり、本発明の樹脂組成物の成形性、耐熱性にも問題はない。
(ポリ乳酸)
本発明に用いられるポリ乳酸(熱可塑性樹脂(B))は、どのようなポリ乳酸でもよいが、従来から知られている微生物生産法により作製した、ポリL乳酸、ポリD乳酸、ポリL乳酸とポリD乳酸からなるステレオコンプレックスのいずれかを含むものが好ましく用いられる。勿論、これらのポリ乳酸の混合物でもよい。ポリ乳酸は、市販品も多く知られているので、これらを利用してもよい。ポリ乳酸の重量平均分子量Mwは、GPC分析による標準ポリスチレン換算値で、好ましくは5〜50万、より好ましくは10〜25万である。
(結晶化核剤)
本発明に用いられる結晶化核剤は、ポリ乳酸等のバイオマス資源由来の熱可塑性樹脂に用いられる結晶化核剤であれば、どのような物でもよい。例えば、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、ベンゾイル化合物系からなる核剤などが好ましく用いられる。その他公知の結晶化核剤、例えば乳酸塩、安息香酸塩、シリカ、リン酸エステル塩系などを用いてもよい。
(添加剤)
本発明に用いられる樹脂組成物には、相溶化剤、可塑化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、加水分解抑制剤等の各種添加剤を適宜配合することもできる。可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられる公知のものを特に制限なく用いることができ、例えばポリエステル可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。相溶化剤は、熱可塑性樹脂(A)とポリ乳酸の相溶化剤として機能するものであれば特に制限はない。相溶化剤としては、無機充填剤、グリシジル化合物、酸無水物をグラフト若しくは共重合した高分子化合物、及び有機金属化合物が挙げられ、これらの一種または二種以上を用いてもよい。加水分解抑制剤としては公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、ポリカルボジイミド樹脂などが挙げられる。
(樹脂組成物の作製)
上記のポリヒドロキシアルカノエート(熱可塑性樹脂(A))と、ポリ乳酸(熱可塑性樹脂(B))と、必要に応じて結晶化核剤(C)その他の添加剤とを所定の割合で、混練押出機などで混合混練し、ペレット状にすれば、本発明に使用する樹脂組成物のペレットとなる。混練押出機は、通常の石油系樹脂用の単軸混練押出機や2軸混練押出機を使用すればよく、例えば、180度程度の混練温度で混練し、ペレット化すればよい。混合割合は、熱可塑性樹脂(A)1〜99重量部、ポリ乳酸(熱可塑性樹脂(B))99〜1重量部とすることが好ましく、熱可塑性樹脂(A)5〜95重量部、ポリ乳酸(熱可塑性樹脂(B))95〜5重量部とすることが、さらに好ましい。熱可塑性樹脂(A)とポリ乳酸(熱可塑性樹脂(B))の混合割合は、必要とする成形品の物性に応じて設定すればよく、例えば、高い荷重たわみ温度の成形品を製造するには、熱可塑性樹脂(A)の比率を高くし、ポリ乳酸(熱可塑性樹脂(B))の混合割合を下げてやればよい。ポリ乳酸の混合割合が99重量部を超えると、耐熱性が十分でなくなったり、成形時の成形温度上昇など好ましくない場合がある。
[熱可塑性樹脂の成形]
上記のようにして作製した樹脂組成物のペレットを、通常の石油系樹脂用の射出成形機で、石油系樹脂と同様にして射出成形すれば、本発明の成形品が製造できる。成形における金型温度は、40〜90℃、冷却時間は、10〜60秒とすればよい。その際、熱可塑性樹脂(A)において、化学式(1)で表される構成単位のモル数と化学式(2)で表される構成単位のモル数の合計に対する、化学式(1)で表される構成単位のモル数の比率である化学式(1)で表される構成単位(3−ヒドロキシブチレート(3HB)単位)のモル分率cと、前記樹脂組成物のペレットの成形における金型温度T℃(セルシウス温度)との間に、下記の式(1)及び式(2)
1.229c−30.4≦T ・・・・・(1)
25≦T≦90 ・・・・・(2)
を満足する関係がある。なお、3−ヒドロキシブチレート(3HB)単位のモル分率cは、0.7〜0.95(70〜95モル%)であることが好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂の成形法は、射出成形法のみに制限されるものではなく、例えば、プレス成形、押出成形、発泡成形、中空成形、その他のいずれの成形法であっても問題はない。なお、成形時に上述の添加剤を使用してもよい。
[実施例1]
(熱可塑性樹脂(A1)の作製)
バチルス属菌等を用い、ペプトン5.0g/L、イーストエキス5.0g/L、肉エキス5.0g/Lを含む培地(pH6.95)で16時間培養した培養液を、窒素源を制限した最少培地に、グルコースとプロピオン酸を添加し、45℃で48時間培養し、湿菌体を得た。得られた湿菌体を凍結乾燥し、乾燥菌体量の80倍量のクロロホルムを添加し、80℃で菌体内物質を抽出した。不溶分をろ別し、ろ液にメタノールを加えて菌体抽出物を再析出させ、析出物をろ過し精製した。精製物を重クロロホルムに溶解し、NMR解析によって、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートとの共重合体(P(3HB−Co−3HV))であり、3−ヒドロキシブチレート(3HB)のモル分率が0.7(70モル%)であることを確認した。菌体中におけるポリマー含有量は、30〜50wt%であった。得られたP(3HB−Co−3HV)を熱可塑性樹脂(A1)とした。
なお、最少培地組成は、Na2HPO4・12H2O 9.0g/L、KH2PO4 1.5g/L、NH4Cl 0.5g/L、MgSO4・7H2O 0.2g/L、トレースエレメント 1.0ml/Lである。トレースエレメントはFeCl3 9.7g/L、CaCl2 7.8g/L、CoCl2・6H2O 0.218g/L、CuSO4・5H2O 0.156g/L、NiCl3・6H2O 0.118g/L、CrCl3・6H2O 0.105g/Lを0.1M HClに溶解した液体である。
(樹脂組成物(A1)を含む成形用ペレット(1)の作製)
前記熱可塑性樹脂(A1)30重量部とポリL乳酸樹脂(熱可塑性樹脂(B):三井化学株式会社製のレイシアH-100、重量平均分子量Mw=150,000)70重量部とを合わせて100重量部となるようにして、単軸混練押出機を用いて混練温度200℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(1)を作製した。
(成形用ペレット(1)の成形)
作製した熱可塑性樹脂ペレット(1)を、棚式の熱風乾燥機を使用して50℃で12時間乾燥した後、型締力50トンの電動式射出成形機を使用して、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/s、射出圧力100MPaの設定で、荷重たわみ温度試験用の成形品(短冊試験片)を作製した。作製した成形品のサイズは、長さ130mm、幅3.2mm、高さ12.7mmである。なお、熱可塑性樹脂(A1)のモル分率0.7から算出される上述の式(1)左辺の温度は、29.8℃であり、金型温度はそれぞれ30℃、60℃、90℃の温度にして、3種の荷重たわみ温度試験用の成形品を作製した。
(成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定)
作製した成形品の荷重たわみ温度試験は、JIS K 7191に準拠した荷重たわみ温度試験を行った。なお、支点間距離100mm、昇温速度2℃/min、曲げ応力0.45MPaとした。
示差走査熱量測定では、作製した成形品を成形後速やかに室温〜200℃の範囲で、10℃/minで昇温し、マックサイエンス製示差走査熱量測定装置DSC3100を用いて、融解エネルギを測定した。荷重たわみ温度試験と融解エネルギの測定結果を、熱可塑性樹脂(A),(B)の構成比等とともに表1に示した。なお、表1中における式(1)(2)適合性は、上述の式(1)、(2)の両方を満足していれば(○)とし、一方でも満足していなければ(×)とした。
Figure 2010142985
[実施例2]
(熱可塑性樹脂(A2)の作製)
バチルス属菌等を用い、ペプトン5.0g/L、イーストエキス5.0g/L、肉エキス5.0g/Lを含む培地(pH6.95)で16時間培養した培養液を、窒素源を制限した実施例1と同様の最少培地に、グルコースとプロピオン酸の添加割合を実施例1とは変えて添加し、45℃で48時間培養し、湿菌体を得た。得られた湿菌体を凍結乾燥し、乾燥菌体量の80倍量のクロロホルムを添加し、80℃で菌体内物質を抽出した。不溶分をろ別し、ろ液にメタノールを加えて菌体抽出物を再析出させ、析出物をろ過し精製した。精製物を重クロロホルムに溶解し、NMR解析によって、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートとの共重合体(P(3HB−Co−3HV))であり、3−ヒドロキシブチレート(3HB)のモル分率が0.85(85モル%)であることを確認した。菌体中におけるポリマー含有量は、30〜50wt%であった。得られたP(3HB−Co−3HV)を熱可塑性樹脂(A2)とした。
(樹脂組成物(A2)を含む成形用ペレット(2)の作製)
前記熱可塑性樹脂(A2)を熱可塑性樹脂(B)と混合する。このとき、これらの混合体中における、(A2):(B)が重量比で30:70となるように混合し、これを単軸混練押出機を用いて200℃の温度で溶融混練し、3mm角程度の成形用ペレット(2)を作製した。
(成形用ペレット(2)の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定)
実施例1において、成形用ペレット(1)に代えて成形用ペレット(2)を原料とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定を行った。
荷重たわみ温度試験と融解エネルギの測定結果を、熱可塑性樹脂の構成比等とともに表1に示した。なお、熱可塑性樹脂(A2)のモル分率0.85から算出される式(1)左辺の温度は、58.4℃である。
[実施例3]
(熱可塑性樹脂(A3)の作製)
バチルス属菌等を用い、ペプトン5.0g/L、イーストエキス5.0g/L、肉エキス5.0g/Lを含む培地(pH6.95)で16時間培養した培養液を、窒素源を制限した実施例1と同様の最少培地(グルコースを含む)に、実施例1、及び実施例2とはグルコース−プロピオン酸の添加割合を変えて添加し、45℃で48時間培養し、湿菌体を得た。得られた湿菌体を凍結乾燥し、乾燥菌体量の80倍量のクロロホルムを添加し、80℃で菌体内物質を抽出した。不溶分をろ別し、ろ液にメタノールを加えて菌体抽出物を再析出させ、析出物をろ過し精製した。精製物を重クロロホルムに溶解し、NMR解析によって、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートとの共重合体(P(3HB−Co−3HV))であり、3−ヒドロキシブチレート(3HB)のモル分率が0.95(95モル%)であることを確認した。菌体中におけるポリマー含有量は、30〜50wt%であった。得られたP(3HB−Co−3HV)を熱可塑性樹脂(A3)とした。
(樹脂組成物(A3)を含む成形用ペレット(3)の作製)
前記熱可塑性樹脂(A3)を熱可塑性樹脂(B)と混合する。このとき、これらの混合体中における、(A3):(B)が重量比で30:70となるように、単軸混練押出機を用いて200℃の温度で溶融混練し、3mm角程度の成形用ペレット(3)を作製した。
(成形用ペレット(3)の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定)
実施例1において、成形用ペレット(1)に代えて成形用ペレット(3)を原料とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定を行った。
荷重たわみ温度試験と融解エネルギの測定結果を、熱可塑性樹脂の構成比等とともに表1に示した。なお、熱可塑性樹脂(A3)のモル分率0.95から算出される式(1)左辺の温度は、80.5℃である。
[実施例4]
(熱可塑性樹脂(A2)を含む成形用ペレット(4)の作製)
実施例2において、熱可塑性樹脂(A2)と熱可塑性樹脂(B)の混合比を、30:70重量部から10:90重量部に変更した以外は、実施例2と同様にして成形用ペレット(4)を作製した。
(成形用ペレット(4)の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定)
実施例1において、成形用ペレット(1)に代えて成形用ペレット(4)を原料とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定を行った。
荷重たわみ温度試験と融解エネルギの測定結果を、熱可塑性樹脂の構成比等とともに表2に示した。なお、熱可塑性樹脂(A2)のモル分率0.85から算出される式(1)左辺の温度は、58.4℃である。表2中における式(1)(2)適合性は、上述の式(1)、(2)の両方を満足していれば(○)とし、一方でも満足していなければ(×)とした。
Figure 2010142985
[実施例5]
(樹脂組成物(A2)を含む成形用ペレット(5)の作製)
実施例2において、熱可塑性樹脂(A2)と熱可塑性樹脂(B)の混合比を、30:70重量部から90:10重量部に変更した以外は、実施例2と同様にして成形用ペレット(5)を作製した。
(成形用ペレット(5)の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定)
実施例1において、成形用ペレット(1)に代えて成形用ペレット(5)を原料とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定を行った。
荷重たわみ温度試験と融解エネルギの測定結果を、熱可塑性樹脂の構成比等とともに表2に示した。なお、熱可塑性樹脂(A2)のモル分率0.85から算出される式(1)左辺の温度は、58.4℃である。
[実施例6]
(熱可塑性樹脂(2A)を含む成形用ペレット(6)の作製)
成形用ペレット(2)100重量部に対して結晶化核剤1、結晶化核剤2、結晶化核剤3をそれぞれ0.5重量部ずつ計1.5重量部の割合でドライブレンドした。この混合物を、単軸混練押出機を用いて混練温度200℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(6)を作製した。なお、結晶化核剤1には、フェニルホスホン酸亜鉛塩(CPOZn)を、結晶化核剤2には、平均粒径1.0μmの含水珪酸マグネシウム((OH)8Mg12Si16O40、又は(OH)2Mg3(Si2O5)2)を、結晶化核剤3には、オクタンジカルボン酸−ジベンゾイルヒドラジド(C24H30N4O4)を用いた。
(成形用ペレット(6)の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定)
実施例1において、成形用ペレット(1)に代えて成形用ペレット(6)を原料とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定を行った。
荷重たわみ温度試験と融解エネルギの測定結果を、熱可塑性樹脂の構成比等とともに表2に示した。なお、熱可塑性樹脂(A2)のモル分率0.85から算出される式(1)左辺の温度は、58.4℃である。
[比較例1]
(熱可塑性樹脂(B)からなる成形用ペレット(7)の作製)
実施例1の成形用ペレット(1)の作製において、熱可塑性樹脂(A1)と熱可塑性樹脂(B)との混合物の代わりに、熱可塑性樹脂(B)のみを使用した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂(B)からなる成形用ペレット(7)を作製した。
(成形用ペレット(7)の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定)
実施例1において、成形用ペレット(1)に代えて成形用ペレット(7)を原料とした以外は、実施例1と同様にして、成形用ペレットの成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定を行った。荷重たわみ温度試験と融解エネルギの測定結果を、熱可塑性樹脂の構成比等とともに表3に示した。表中における式(1)(2)適合性は、上述の式(1)、(2)の両方を満足していれば(○)とし、一方でも満足していなければ(×)とした。また、(−)は、熱可塑性樹脂(A)がないことを表す。
Figure 2010142985
[比較例2]
(熱可塑性樹脂(B)と結晶化核剤からなる成形用ペレット(8)の作製)
実施例6の成形用ペレット(6)の作製において、熱可塑性樹脂(A2)の代わりに、熱可塑性樹脂(B)を使用した以外は、実施例6と同様にして熱可塑性樹脂(B)と結晶化核剤とからなる成形用ペレット(8)を作製した。
(成形用ペレット(8)の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定)
実施例1において、成形用ペレット(1)に代えて成形用ペレット(8)を原料とした以外は、実施例1と同様にして、成形用ペレットの成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定を行った。荷重たわみ温度試験と融解エネルギの測定結果を、熱可塑性樹脂の構成比等とともに表3に示した。
[比較例3]
(熱可塑性樹脂(A4)の作製)
バチルス属菌等を用い、ペプトン5.0g/L、イーストエキス5.0g/L、肉エキス5.0g/Lを含む培地(pH6.95)で16時間培養した培養液を、窒素源を制限した実施例1と同様の最少培地にグルコースを添加し、45℃で48時間培養し、湿菌体を得た。得られた湿菌体を凍結乾燥し、乾燥菌体量の80倍量のクロロホルムを添加し、80℃で菌体内物質を抽出した。不溶分をろ別し、ろ液にメタノールを加えて菌体抽出物を再析出させ、析出物をろ過し精製した。精製物を重クロロホルムに溶解し、NMR解析によって、ポリ3−ヒドロキシブチレート(P3HB)であり、3−ヒドロキシブチレート(3HB)のモル分率が1.0(100モル%)のホモポリマーであることを確認した。菌体中におけるポリマー含有量は、30〜50wt%であった。得られたP3HBを熱可塑性樹脂(A4)とした。
(樹脂組成物(A4)を含む成形用ペレット(9)の作製)
前記熱可塑性樹脂(A4)を熱可塑性樹脂(B)との重量比が30:70となるように混合し、これを単軸混練押出機を用いて200℃の温度で溶融混練し、3mm角程度の成形用ペレット(9)を作製した。
(成形用ペレット(9)の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定)
実施例1において、成形用ペレット(1)に代えて成形用ペレット(9)を原料とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物の成形、成形品の荷重たわみ温度試験、示差走査熱量測定を行った。
荷重たわみ温度試験と融解エネルギの測定結果を、熱可塑性樹脂の構成比等とともに表3に示した。なお、熱可塑性樹脂(A4)のモル分率1.0から算出される式(1)左辺の温度は、92.9℃である。
[実施例、比較例の考察]
実施例1〜6における樹脂組成物の式(1),(2)を満足する成形品は、荷重たわみ温度が100℃より高く好適な耐熱性を示すことが判る。一方、比較例1、2から熱可塑性樹脂(A)が存在しない樹脂組成物の成形品は、荷重たわみ温度が100℃よりかなり低く、汎用的な使用は困難であると考えられる。しかし、本願発明に相当する実施例1〜6に示した成形品は、非常に汎用性のある成形品として使用できる。
また、実施例1〜6の金型温度と成形品の荷重たわみ温度との関係を見ると、同じ樹脂組成物であっても、金型温度が式(1)を満足していないものに較べ、式(1)を満足している成形品が荷重たわみ温度が高く、式(1)が荷重たわみ温度100℃を超えるための臨界値を表していることが判る。式(2)は、汎用的な水用金型温度調節機の使用範囲であり、この範囲で検討を行った。
なお、比較例3から判るように、3HBの含有率が高すぎる熱可塑性樹脂(A4)を使用すると、式(1)と式(2)とをともに満足する金型温度条件がなくなってしまい、良好な成形品を得ることができなかった。3HBの含有率(モル分率)の上限は、およそ99%である。また、実施例2においても、実施例2と同じ樹脂組成で結晶化核剤を添加した実施例6においても、高い耐熱性を示していることが分かる。
このように、本願発明により、バイオマス資源由来の熱可塑性樹脂をほぼ100%使用して、従来の石油系樹脂と変わらない耐熱性のある熱可塑性樹脂の成形品が製造できることが判った。

Claims (9)

  1. 下記化学式(1)、及び化学式(2)で表される構成単位を含む微生物産生ポリヒドロキシアルカノエート共重合体から成る熱可塑性樹脂(A)と、ポリ乳酸から成る熱可塑性樹脂(B)とを含有する樹脂組成物の成形方法であり、
    Figure 2010142985
    Figure 2010142985
    [但し、RはC2n+1(n=2〜14)である。]
    前記熱可塑性樹脂(A)における前記化学式(1)で表される構成単位のモル分率をc、前記樹脂組成物の成形における金型温度をT℃としたとき、下記式(1)及び(2)を満足することを特徴とする樹脂組成物の成形方法。
    122.9c−30.4≦T ・・・・・(1)
    25≦T≦90 ・・・・・(2)
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)における前記化学式(1)で表される構成単位のモル分率が70〜95モル%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の成形方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂(A)が、3−ヒドロキシブチレート(3HB)と3−ヒドロキシバリレート(3HV)の共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物の成形方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂(A)1〜99重量部に対して、熱可塑性樹脂(B)99%〜1重量部含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物の成形方法。
  5. ポリ乳酸から成る熱可塑性樹脂(B)と前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリL乳酸、ポリD乳酸、及びポリL乳酸とポリD乳酸から成るステレオコンプレックスから選択される一つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物の成形方法。
  6. 結晶化核剤をさらに含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の成形方法。
  7. 前記結晶化核剤が、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、及びベンゾイル化合物系からなる核剤から選択される一つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の成形方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の成形方法により成形されたことを特徴とする成形品。
  9. 電気・電子機器に備えられていることを特徴とする請求項8に記載の成形品。
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