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JP2010018480A - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】DCバイアス特性を良好に維持しつつ、高温負荷寿命を向上させることができる誘電体磁器組成物を提供すること。
【解決手段】チタン酸バリウムを含む主成分と、BaZrOを含む第1副成分と、希土類酸化物を含む第2副成分と、M酸化物(Mは、Mn、Ni、Cr、CoおよびFeから選ばれる1種以上)を含む第3副成分と、Si酸化物を含む第4副成分と、を含有する誘電体磁器組成物であって、誘電体磁器組成物が、複数の誘電体粒子と、結晶粒界相と、を有しており、誘電体粒子と結晶粒界相との境界におけるSi元素の含有割合を測定したときに、Si元素の含有割合が1.0atom%以上である測定点の割合が、全測定点の50%以上であり、かつ誘電体粒子におけるSi元素の含有割合について、複数の誘電体粒子における平均値を算出したときに、その平均値が0.5atom%以上である。
【選択図】図3

Description

本発明は、誘電体磁器組成物に係り、さらに詳しくは、比較的に定格電圧が高い中高圧用途に好適に用いられる誘電体磁器組成物に関する。
近年、電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高く、積層セラミックコンデンサの小型・大容量化が急速に進むとともに、用途も拡大し、要求される特性は様々である。
たとえば、ECM(エンジンエレクトリックコンピュータモジュール)、燃料噴射装置、電子制御スロットル、インバータ、コンバータ、HIDヘッドランプユニット、ハイブリッドエンジンのバッテリコントロールユニット、デジタルスチールカメラ等の機器に用いられる中高圧用コンデンサには、高い電界強度下においても使用できることが求められる。
したがって、上記の機器に中高圧用コンデンサを用いる場合、電子部品の高密度の実装により生じる発熱や、自動車用電子部品に代表される過酷な使用環境が問題となるため、高電圧下で使用できることだけでなく、高温度下、たとえば100℃以上の環境下においても高い信頼性が望まれている。
なお、特許文献1には、Si元素を含む(Ba,Ca)TiO結晶粒子(BCT粒子)において、結晶粒子表面付近および粒子内部の特定の位置におけるSi元素の含有量を特定量としている誘電体磁器組成物を含む積層セラミックコンデンサが提案されている。
しかしながら、BCT粒子内部のSi元素の含有割合は、特定の位置でのみ測定されているだけであり、BCT粒子内部全体のSi元素の含有割合を反映したものではない。また、特許文献1に開示された積層セラミックコンデンサは、大容量向けであり、中高圧用のコンデンサとしては使用が困難であると考えられる。
特開2007−201277号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、DCバイアス特性を良好に維持しつつ、高温負荷寿命を向上させることができる誘電体磁器組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子内および誘電体粒子の周囲に存在する結晶粒界相の双方において、Si元素の含有割合を特定の範囲とすることで、DCバイアス特性を良好に維持しつつ、高温負荷寿命を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムを含む主成分と、
BaZrOを含む第1副成分と、
Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第2副成分と、
Mの酸化物(ただし、Mは、Mn、Ni、Cr、CoおよびFeから選択される少なくとも1種)を含む第3副成分と、
Siの酸化物を含む第4副成分と、を含有する誘電体磁器組成物であって、
前記誘電体磁器組成物が、複数の誘電体粒子と、隣り合う前記誘電体粒子間に存在する結晶粒界相と、を有しており、
前記誘電体粒子と前記結晶粒界相との境界における前記Si元素の含有割合を測定したときに、前記Si元素の含有割合が1.0atom%以上である測定点の割合が、全測定点の50%以上であり、かつ、前記誘電体粒子における前記Si元素の含有割合について、複数の誘電体粒子における平均値を算出したときに、前記平均値が、0.5atom%以上であることを特徴とする。
本発明では、結晶粒界相におけるSi元素の含有割合と、結晶粒子内におけるSi元素の含有割合と、を制御して、Si元素が上記の範囲を満足するように存在させている。このようにすることで、DCバイアス特性を良好に維持しつつ、高温負荷寿命を向上させることができる誘電体磁器組成物を得ることができる。
本発明に係る誘電体磁器組成物が好適に用いられる誘電体層を有する電子部品は特に制限されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
通常、誘電体磁器組成物において、Si元素は結晶粒界相に存在する傾向にある。このSi元素が存在している領域は電気抵抗が高いため、Si元素が結晶粒界相に比較的に多く存在することで高温負荷寿命を向上させることができる。
しかしながら、Si元素が結晶粒界相に多く存在すると、結晶粒界相と誘電体粒子内部との間における電気抵抗の差が大きくなり、局所的な不具合を生じてしまい、逆に高温負荷寿命が悪化することがある。
また、単にSi元素を誘電体粒子内に存在させただけでは、誘電体粒子の結晶構造が変化してしまい、DCバイアス特性などが悪化してしまう。
本発明によれば、誘電体粒子の内部にSi元素を拡散させ、粒子内における含有割合と結晶粒界相におけるSi元素の含有割合とを制御することで、結晶粒界相と誘電体粒子内部との間における電気抵抗の差を小さくすることができる。その結果、上記のような局所的な不具合が解消され、高温負荷寿命が向上された誘電体磁器組成物を得ることができる。したがって、本発明に係る誘電体磁器組成物は、良好なDCバイアス特性を維持しつつ、高温負荷寿命が向上されており、比較的に定格電圧が高い中高圧用途に好適に用いられる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2は、図1に示す誘電体層2の要部拡大断面図、
図3は、誘電体粒子2aおよび結晶粒界相2bにおけるSi元素の含有割合を測定する方法を説明するための模式図、
図4は、本発明に係る誘電体磁器組成物を製造する方法において、主成分原料および副成分原料から誘電体原料を得る工程を示すフローチャート
である。
積層セラミックコンデンサ1
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。また、一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
誘電体層2
誘電体層2は、本発明の誘電体磁器組成物を含有する。
本発明の誘電体磁器組成物は、チタン酸バリウムを含む主成分と、BaZrOを含む第1副成分と、Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第2副成分と、Mの酸化物(ただし、Mは、Mn、Ni、Cr、CoおよびFeから選択される少なくとも1種)を含む第3副成分と、Siの酸化物を含む第4副成分と、を有する。
主成分として含有されるチタン酸バリウムは、たとえば、組成式(BaO)TiOで表される。前記組成式中のxは、チタン酸バリウムのAサイトとBサイトとの比率を示しており、xは、好ましくは1.000≦x<1.010、さらに好ましくは1.000≦x≦1.004である。
xが小さすぎると、比誘電率が低下すると共に高温負荷寿命が低下する傾向にある。一方、xが大きすぎると、電歪特性、DCバイアス特性が低下する傾向にある。
第1副成分(BaZrO)は、主に、主成分であるチタン酸バリウムの強誘電性を抑制する効果を有する。第1副成分の含有量は、主成分100モルに対して、BaZrO換算で、好ましくは10モル以上であり、より好ましくは10〜15モルである。第1副成分の含有量が少なすぎると、電歪特性およびDCバイアス特性が悪化する傾向にあり、一方、多すぎると比誘電率が低下する傾向にある。
第2副成分(Rの酸化物)は、主に、主成分であるチタン酸バリウムの強誘電性を抑制する効果を有する。第2副成分の含有量は、主成分100モルに対して、R換算で、好ましくは4〜6モルであり、より好ましくは4〜5モルである。第2副成分の含有量が少なすぎると、電歪特性およびDCバイアス特性が悪化すると共に高温負荷寿命が悪化する傾向にある。一方、多すぎると比誘電率が低下する傾向にある。なお、上記Rの酸化物を構成するR元素としては、Gd、Sm、Tb、Dy、Ho、Yから選択される少なくとも1種が好ましい。中でも温度特性に優れることから、Gdが特に好ましい。
第3副成分(Mの酸化物)は、誘電体磁器組成物の耐還元性を向上させる効果を有する。第3副成分の含有量は、主成分100モルに対して、MnO、NiO、CrO3/2 、CoO4/3 またはFeO3/2 換算で、好ましくは0.1〜2.0モルであり、より好ましくは0.4〜1.5モルである。第3副成分の含有量が少なすぎると、誘電体の抵抗値が低下する傾向にある。一方、多すぎると、高温負荷寿命が悪化する傾向にある。なお、第3副成分としては、上記各酸化物のなかでも特性の改善効果が大きいという点から、MnまたはCrの酸化物を用いることが好ましい。
第4副成分(Siの酸化物)は主として焼結助剤としての役割を有している。第4副成分の含有量は、主成分100モルに対して、SiO換算で、好ましくは0.5〜5.0モルであり、より好ましくは1.0〜3.0モルである。第4副成分の含有量が少なすぎると、焼結性が悪化する傾向にある。一方、多すぎると、比誘電率が低下する傾向にある。なお、第4副成分としてのSiの酸化物が含有される形態については特に制限されず、たとえば、SiO単独の形態で含まれていてもよいし、(Ba,Ca)SiO等の複合酸化物の形態で含まれていてもよい。
なお、本実施形態においては、必要に応じて、上記第1〜第4副成分に加えて、その他の副成分を添加しても良い。このような副成分としては、たとえば、Mgの酸化物、Alの酸化物などが挙げられる。Mgの酸化物は、他の特性を良好に保ちながら、容量温度特性を安定させる効果を有する。また、Alの酸化物は、他の特性を良好に保ちながら、焼結助剤としての効果を有する。これらの酸化物を用いる場合における含有量は、主成分100モルに対して、Mgの酸化物が、MgO換算で、1.0〜5.0モル、Alの酸化物が、Al換算で、0.3〜1.0モルであることが好ましい。
誘電体層の微細構造
図2に示すように、誘電体層2は、誘電体粒子(結晶粒)2aと、隣接する複数の誘電体粒子2a間に形成された結晶粒界相2bと、を含んで構成される。この誘電体粒子2aは、主成分であるチタン酸バリウムと、上記の副成分とを含んでいると考えられる。
結晶粒界2bは、誘電体層あるいは内部電極層を構成する材質の酸化物や、別途添加された材質の酸化物、さらには工程中に不純物として混入する材質の酸化物を成分としている。通常は主としてガラスないしガラス質で構成されている。本実施形態では、少なくともSi元素が含まれている。
本発明では、結晶粒界2bには、Si元素が比較的に高い含有割合で存在(偏析)している。また、誘電体粒子2aの内部にもSi元素が含まれており、その含有割合が制御されている。なお、結晶粒界2bには、Si元素以外の元素、すなわち、Zr元素、R元素、M元素あるいはその他副成分として添加される元素が存在していてもよい。
本発明では、結晶粒界相2bと誘電体粒子2aとの境界においてSi元素の含有割合を測定した場合に、Si元素の含有割合が1.0atom%以上である測定点の存在割合が、全測定点の50%以上、好ましくは60〜100%である。また、個々の誘電体粒子2a内のSi元素の含有割合について、平均値を算出した場合、算出された平均値が0.5atom%以上、好ましくは0.7atom%以上である。
通常、Si元素は、誘電体粒子2a内に拡散しにくく、結晶粒界相2bに留まる傾向にある。このように、結晶粒界相2bにSi元素が偏析していることで、電気抵抗の高い領域が形成され、高温負荷寿命は改善される傾向にある。しかしながら、このような電気抵抗の高い領域が多く存在すると、結晶粒界相2bと誘電体粒子2a内部との間における電気抵抗の差が大きくなってしまい、局所的な不具合を生じて、逆に、高温負荷寿命が悪化することがある。
また、たとえば、仮焼などによりSi元素を誘電体粒子2a内に拡散させることは可能である。しかしながら、単にSi元素を粒子内に拡散させるだけでは、粒子の結晶構造が変化してしまい、DCバイアス特性等の電気特性が悪化してしまう。
そこで、本発明では、誘電体粒子2aの内部にSi元素を拡散させ、しかも、結晶粒界相においてもSi元素をある程度存在(偏析)させている。すなわち、結晶粒界相2bにおけるSi元素の含有割合と、誘電体粒子2a内におけるSi元素の含有割合の平均値と、を上記の範囲に制御している。このようにすることで、DCバイアス特性を良好に維持しつつ、誘電体磁器組成物の高温負荷寿命を向上させることができる。
Si元素の含有割合が1.0atom%以上である測定点の存在割合が、全測定点の50%未満である場合には、高温負荷寿命が悪化する傾向にある。また、誘電体磁器組成物において、誘電体粒子内におけるSi元素の含有割合の平均値が、0.5atom%未満である場合にも、高温負荷寿命が悪化する傾向にある。
結晶粒界相2bと誘電体粒子2aとの境界におけるSi元素の含有割合および誘電体粒子2a内部のSi元素の含有割合の平均値を測定する方法としては、特に制限されないが、たとえば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた点分析により測定することができる。
本実施形態では、以下のようにして、Si元素の含有割合を測定することができる。まず、誘電体層を、走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察し、目視にて誘電体粒子2aと結晶粒界2bとを判別する。次に、任意の誘電体粒子2aを画像処理し、誘電体粒子2aの画像(断面)における重心を算出する。
次に、図3に示すように、その誘電体粒子2aにおいて、上記の重心を通るようにして、誘電体粒子2aの端から端まで直線を引き、該直線上において、該直線と誘電体粒子2aの外周部との交点(結晶粒界相と誘電体粒子との境界)を求める。この交点(測定点)に対して、STEMに付属のエネルギー分散型X線分光装置を用いて、点分析を行い、結晶粒界相におけるSi元素の含有割合を算出する。
これを所定数の誘電体粒子について行うことで、結晶粒界2bにおけるSi元素の含有割合を測定することができる。測定点は20点以上であることが好ましい。また、選択する誘電体粒子は10個以上であることが好ましい。
また、図3に示すように、上記の直線上において、誘電体粒子2a内部の点を適宜選択する(図3においては5点選択されている)。この選択された点(測定点)において、上記と同様に、STEMに付属のエネルギー分散型X線分光装置を用いて、点分析を行い、誘電体粒子の内部におけるSi元素の含有割合を算出する。そして、測定点についてSi元素の含有割合の平均値を求め、これを、その誘電体粒子におけるSi元素の含有割合と規定する。
この測定を、複数の誘電体粒子に対して行い、それぞれの誘電体粒子において求められたSi元素の含有割合について、さらに平均値を求める。そして、この平均値が、誘電体層2を構成する全ての誘電体粒子におけるSi元素の含有割合の平均値であるとみなすことができる。
図1に示す誘電体層2を構成する誘電体粒子の平均粒子径は、誘電体層2の厚さなどに応じて決定すればよいが、本実施形態では、1.5μm以下であることが好ましい。
内部電極層3
図1に示す内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、比較的安価な卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層3は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
外部電極4
図1に示す外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
積層セラミックコンデンサ1の製造方法
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の製造方法について具体的に説明する。特に、誘電体原料を調製する工程については、図4を用いて説明する。
まず、誘電体層2に含有される誘電体磁器組成物の原料を構成する誘電体原料(主成分原料および副成分原料)を準備する。
主成分原料および副成分原料としては、上記した主成分および副成分の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができる。さらに、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。例を挙げると、主成分であるチタン酸バリウムの原料として、BaTiOを用いてもよいし、BaCOおよびTiOを用いてもよい。また、副成分であるBaZrOの原料として、BaZrOを用いてもよいし、BaCOおよびZrOを用いてもよい。
主成分原料としてのチタン酸バリウム原料粉末は、いわゆる固相法の他、各種液相法(たとえば、シュウ酸塩法、水熱合成法、アルコキシド法、ゾルゲル法など)により製造されたものなど、種々の方法で製造されたものを用いることができる。
誘電体原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。
本実施形態では、図4に示すように、上記で準備した主成分原料および副成分原料のうち、副成分原料(第1〜第4副成分原料およびその他の副成分原料)のみを予備分散することが好ましい。
予備分散の方法としては特に制限されないが、副成分の原料粉末に水や有機溶媒などを添加し、ボールミル等を使用し、湿式分散により行うことが好ましい。なお、予備分散は20〜30時間行うことが好ましい。予備分散後の原料の平均粒径は、0.2〜0.5μm程度である。予備分散を行うことで、副成分元素の局所的な偏析が大きくなりすぎることを効果的に抑制することができる。
次に、図4に示すように、予備分散後の原料(第1〜4副成分の原料およびその他の副成分原料)に主成分原料(チタン酸バリウムの原料)を添加し、混合することが好ましい。
混合する方法としては特に制限されないが、予備分散後の原料と主成分原料との混合物に、水や有機溶媒などを添加し、ボールミル等を使用し、湿式混合により行うことが好ましい。なお、混合は2〜4時間行うことが好ましい。
次に、図4に示すように、上記で得られた混合粉体(主成分原料および副成分原料)を仮焼する。仮焼条件としては、昇温速度を100〜300℃/h、保持温度を好ましくは750〜1000℃、温度保持時間を好ましくは1〜3時間とする。保持温度が低すぎる場合には、Si元素の誘電体粒子2aへの拡散が不十分となり、高温負荷寿命が悪化する傾向にある。一方、保持温度が高すぎると、副成分原料粉体の凝集が発生し、仮焼粉体の分散性が下がり、高温負荷寿命が悪化する傾向にある。
この仮焼は、大気中で行っても良く、また大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気または純酸素雰囲気で行っても良い。この仮焼により、仮焼粉体が得られる。
上記のようにして、仮焼粉体を作製し、これを用いることで、焼成後の誘電体磁器組成物におけるSi元素の拡散を制御し、結晶粒界相における存在状態および誘電体粒子の内部における存在状態を所定のものとすることができる。
その結果、結晶粒界相にSi元素が比較的に多く存在しつつ、しかも誘電体粒子内にも拡散しているため、結晶粒界相と誘電体粒子内部とにおける電気抵抗の差が小さくなり、DCバイアス特性を良好に維持しつつ、高温負荷寿命を向上させることができる。
また、上記のように、副成分原料のみを予備分散し、その後に主成分原料を添加して仮焼粉体を作製することで、従来のように、副成分原料を仮焼した粉体に主成分原料を添加して予備分散する方法に比べて、工程を短縮することができる。
次に、この仮焼粉体(誘電体原料)を塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に印刷、積層し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、保持温度を好ましくは180〜400℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜24時間とする。また、焼成雰囲気は、空気もしくは還元性雰囲気とする。
グリーンチップの焼成は、還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスを加湿して用いることができる。その他の条件は、以下のようにするのが好ましい。
まず、昇温速度は、好ましくは400℃/時間以上、より好ましくは500〜800℃/時間である。
焼成時の保持温度は、好ましくは1000〜1400℃、より好ましくは1200〜1300℃であり、その保持時間は、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは2〜5時間である。保持温度が上記範囲未満であると緻密化が不十分となり、前記範囲を超えると、内部電極層の異常焼結による電極の途切れや、内部電極層構成材料の拡散による容量温度特性の悪化、誘電体磁器組成物の還元が生じやすくなる。
焼成時の酸素分圧は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、10−14〜10−10MPaとすることが好ましい。酸素分圧が上記範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
降温速度は、好ましくは50〜1000℃/時間、より好ましくは100〜800℃/時間である。
還元性雰囲気中で焼成した後、コンデンサ素子本体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これによりIR寿命を著しく長くすることができるので、信頼性が向上する。
アニール雰囲気中の酸素分圧は、10−9〜10−5MPaとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層の酸化が進行する傾向にある。
アニールの際の保持温度は、1100℃以下、特に500〜1100℃とすることが好ましい。保持温度が上記範囲未満であると誘電体層の酸化が不十分となるので、IRが低く、また、IR寿命が短くなりやすい。一方、保持温度が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化して容量が低下するだけでなく、内部電極層が誘電体素地と反応してしまい、容量温度特性の悪化、IRの低下、IR寿命の低下が生じやすくなる。なお、アニールは昇温過程および降温過程だけから構成してもよい。すなわち、温度保持時間を零としてもよい。この場合、保持温度は最高温度と同義である。
これ以外のアニール条件としては、温度保持時間を好ましくは0〜20時間、より好ましくは2〜10時間、降温速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間とする。また、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。
上記した脱バインダ処理、焼成およびアニールにおいて、Nガスや混合ガス等を加湿するには、たとえばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
脱バインダ処理、焼成およびアニールは、連続して行なっても、独立に行なってもよい。
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極4を形成する。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る誘電体磁器組成物を適用した電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る誘電体磁器組成物を適用する電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記構成の誘電体層を有するものであれば何でも良い。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
まず、主成分の原料として、BaTiO粉末を、副成分の原料として、BaZrO、R、MOおよびSiOを、それぞれ準備した。また、Rとしては、Gdを準備し、MOとしては、MnCOを準備した。さらに、上記の原料以外に、MgCOを準備した。
次に、上記で準備した副成分の原料を、予備分散として、ボールミルで20時間、湿式分散した。この予備分散後の原料にBaTiO粉末を添加して、ボールミルで3時間、湿式混合し、150℃で3時間乾燥させた。この乾燥後の原料を保持温度800℃で2時間仮焼して、仮焼粉体(誘電体原料)を得た。なお、各副成分の添加量は、焼成後の誘電体磁器組成物において主成分であるBaTiO100モルに対して、BaZrOが11モル、Gdが5.0モル、MnOが1.0モル、SiOが3.3モル、MgOが4.5モルとなるようにした。
なお、MnCOおよびMgCOは、焼成後には、それぞれ、MnOおよびMgOとして誘電体磁器組成物中に含有されることとなる。
次いで、得られた誘電体原料:100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10重量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):5重量部と、溶媒としてのアルコール:100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
また、上記とは別に、Ni粒子:44.6重量部と、テルピネオール:52重量部と、エチルセルロース:3重量部と、ベンゾトリアゾール:0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを作製した。
そして、上記にて作製した誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上に、乾燥後の厚みが30μmとなるようにグリーンシートを形成した。次いで、この上に内部電極層用ペーストを用いて、電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、電極層を有するグリーンシートを作製した。次いで、電極層を有するグリーンシートを複数枚積層し、加圧接着することによりグリーン積層体とし、このグリーン積層体を所定サイズに切断することにより、グリーンチップを得た。
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、積層セラミック焼成体を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度:25℃/時間、保持温度:260℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
焼成は、昇温速度:200℃/時間、保持温度1260℃、保持時間:2時間とした。降温速度は、昇温速度と同様にした。なお、雰囲気ガスは、加湿したN+H混合ガスとし、酸素分圧が10−12MPaとなるようにした。
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1000℃、温度保持時間:2時間、降温速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:10−7MPa)とした。
なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用いた。
次いで、得られた積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Gaを塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサの試料を得た。得られたコンデンサ試料のサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、誘電体層の厚み20μm、内部電極層の厚み1.5μm、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は4とした。
得られた各コンデンサ試料について、誘電体層中の結晶粒界相と誘電体粒子との境界におけるSi元素の含有割合および誘電体粒子の内部のSi元素の含有割合の測定を下記に示す方法で行った。次に、高温負荷寿命およびDCバイアス特性を下記に示す方法により測定した。
結晶粒界相におけるSi元素の含有割合の測定
各試料について、任意の誘電体粒子8個を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、その観察画像を処理して、誘電体粒子の重心を求めた。次に、その重心を通るように、誘電体粒子の端から端まで直線を引き、その直線上において、結晶粒界相と誘電体粒子との境界を測定点とした。すなわち、1個の誘電体粒子において測定点は2点である。この測定点に対して、TEMに付属のエネルギー分散型X線分光装置を用いて点分析を行うことにより、結晶粒界におけるSi元素の含有割合を測定した。測定点は合計で16点とした。
測定した16点に対して、Si元素の含有割合が1.0atom%以上である測定点の割合(%)を求めた。本実施例では、50%以上、すなわち、Si元素の含有割合が1.0atom%以上である測定点が8点以上である場合を良好とした。結果を表1に示す。
誘電体粒子におけるSi元素の含有割合の測定
各試料について、任意の誘電体粒子9個をTEMにより観察し、上記のようにして、重心を求めた。次に、この重心を通るようにして、誘電体粒子の端から端まで直線を引いた。この直線上において、図3に示すように、結晶粒界相と誘電体粒子との交点間を均等に6分割する5点について、上記の点分析を行い、5点におけるSi元素の含有割合を測定した。この5点におけるSi元素の含有割合の平均値を、その誘電体粒子におけるSi元素の含有割合とした。この測定を9個の誘電体粒子に対して行い、9個の誘電体粒子におけるSi元素の含有割合について平均値を算出した。Si元素の含有割合の平均値が、0.5atom%以上である場合を良好とした。結果を表2に示す。
高温負荷寿命
コンデンサ試料に対し、200℃にて、40V/μmの電界下で直流電圧の印加状態に保持し、寿命時間を測定することにより、高温負荷寿命を評価した。本実施例においては、印加開始から絶縁抵抗が一桁落ちるまでの時間を寿命と定義した。また、この高温負荷寿命は、10個のコンデンサ試料について行った。評価基準は、50時間以上を良好とした。結果を表3に示す。
DCバイアス特性
コンデンサ試料に対し、25℃にて、10V/μmの電界下で直流電圧の印可状態に保持し、デジタルLCRメータ(YHP社製4284A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件で静電容量を測定し、基準温度25℃における静電容量に対する変化率を算出した。本実施例では、−60%以上を良好とした。結果を表3に示す。
実施例2
仮焼における保持温度を1000℃とした以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製し、上記の特性について測定した。結果を表1〜3に示す。
比較例1
仮焼を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製し、上記の特性について測定した。結果を表1〜3に示す。
比較例2
予備分散を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製し、上記の特性について測定した。結果を表1〜3に示す。
比較例3
仮焼における保持温度を1500℃とした以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製し、上記の特性について測定した。結果を表1〜3に示す。
比較例4
仮焼における保持温度を700℃とした以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製し、上記の特性について測定した。結果を表1〜3に示す。
比較例5
Si酸化物(第4副成分)を含有させなかった以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製し、上記の特性について測定した。結果を表1〜3に示す。
Figure 2010018480
Figure 2010018480
Figure 2010018480
表1および2より、実施例1および2の試料のみが、結晶粒界相と誘電体粒子との境界におけるSi元素の含有割合と、誘電体粒子の内部におけるSi元素の含有割合の平均値と、が、本発明の範囲内となっていることが確認できる。その結果、表3より、実施例1および2の試料は、高温負荷寿命およびDCバイアス特性の両方が良好であることが確認できる。
これに対し、比較例1〜5の試料では、結晶粒界相と誘電体粒子との境界におけるSi元素の含有割合と、誘電体粒子の内部におけるSi元素の含有割合の平均値と、の一方または双方が、本発明の範囲外となっている。その結果、表3より、比較例1〜5の試料では、高温負荷寿命を良好にすることができない。あるいは、DCバイアス特性が悪化していることが確認できる。たとえば、比較例2の試料は、副成分原料の予備分散を行っていないため、結晶粒界相において、Si元素の存在状態が局所的になりすぎ、高温負荷寿命が悪化していることが確認できる。また、比較例3の試料は、Si元素が誘電体粒子内に拡散しているため、高温負荷寿命は良好であるものの、結晶粒界相に存在するSi元素が少ないため、DCバイアス特性が悪化していることが確認できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図2は、図1に示す誘電体層2の要部拡大断面図である。 図3は、誘電体粒子2aおよび結晶粒界相2bにおけるSi元素の含有割合を測定する方法を説明するための模式図である。 図4は、本発明に係る誘電体磁器組成物を製造する方法において、主成分原料および副成分原料から誘電体原料を得る工程を示すフローチャートである。
符号の説明
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
2a… 誘電体粒子
2b… 結晶粒界相
3… 内部電極層
4… 外部電極

Claims (1)

  1. チタン酸バリウムを含む主成分と、
    BaZrOを含む第1副成分と、
    Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第2副成分と、
    Mの酸化物(ただし、Mは、Mn、Ni、Cr、CoおよびFeから選択される少なくとも1種)を含む第3副成分と、
    Siの酸化物を含む第4副成分と、を含有する誘電体磁器組成物であって、
    前記誘電体磁器組成物が、複数の誘電体粒子と、隣り合う前記誘電体粒子間に存在する結晶粒界相と、を有しており、
    前記誘電体粒子と前記結晶粒界相との境界における前記Si元素の含有割合を測定したときに、前記Si元素の含有割合が1.0atom%以上である測定点の割合が、全測定点の50%以上であり、かつ、前記誘電体粒子における前記Si元素の含有割合について、複数の誘電体粒子における平均値を算出したときに、前記平均値が、0.5atom%以上であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
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