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JP2010088627A - 生体情報処理装置および生体情報処理方法 - Google Patents

生体情報処理装置および生体情報処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光音響トモグラフィーにおいて、生体内の吸収係数(μ)の分布をより正確に画像化するための技術を提供する。
【解決手段】生体情報処理装置は、生体100に光101を照射する光源102と、生体内の光吸収体104が光を吸収することによって発生する音響波105を検出し、電気信号に変換する音響波検出器106と、生体の形状を測定する測定部107と、測定された生体の形状に基づいて生体内の光量分布を決定し、電気信号と光量分布とから生体内部の情報を画像化する信号処理部108と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体情報処理装置および生体情報処理方法に関する。
一般に、エックス線、超音波、MRI(核磁気共鳴法)を用いたイメージング装置が医療分野で多く使われている。一方、レーザーなどの光源から照射した光を生体などの被検体内に伝播させ、その伝播光等を検知することで、生体内の情報を得る光イメージング装置の研究も医療分野で積極的に進められている。このような光イメージング技術の一つとして、Photoacoustic Tomography(PAT:光音響トモグラフィー)が提案されている(非特許文献1)。
PATとは、光源から発生したパルス光を被検体に照射し、被検体内で伝播・拡散した光のエネルギーを吸収した生体組織から発生した音響波を複数の個所で検出し、それらの信号を解析処理し、被検体内部の光学特性値に関連した情報を可視化する技術である。これにより、被検体内の光学特性値分布、特に光エネルギー吸収密度分布を得ることができる。
非特許文献1によれば、光音響トモグラフィーにおいて、光吸収により被検体内の吸収体から発生する光音響波の初期音圧(P)は次式で表すことができる。
=Γ・μ・Φ 式(1)
ここで、Γはグリューナイゼン係数であり、体積膨張係数(β)と音速(c)の二乗の積を定圧比熱(C)で割ったものである。μは吸収体の吸収係数、Φは局所的な領域での光量(吸収体に照射された光量で、光フルエンスとも言う)である。Γは組織が決まれば、ほぼ一定の値をとることが知られているので、音響波の大きさである音圧Pの変化を複数の個所で測定及び解析することにより、各局所領域でのμとΦの積の分布、すなわち、光エネルギー吸収密度分布を得ることができる。
M. Xu, L. V. Wang, "Photoacoustic imaging in biomedicine", Review of scientific instruments, 77, 041101(2006)
従来のPATでは、式(1)から分かるように、音圧(P)の計測結果から被検体内の吸収係数(μ)の分布を求めるためには、光音響波を発生する吸収体に照射された光量の分布(Φ)を求め、光エネルギー吸収密度分布を補正する必要がある。
光源からの生体への照射光量Φを一定とし、かつ、生体の厚さに対して大きな領域に光を照射し、光が生体内を平面波のように伝播すると仮定した場合、光量の分布(Φ)は次式であらわすことができる。
Φ=Φ・exp(−μeff・d) 式(2)
ここで、μeffは生体の平均的な有効減衰係数、Φは光源から生体内に入射した光量である。また、dは光源からの光が照射された生体上の領域(光照射領域)から生体内における光吸収体までの距離、つまり光吸収体の深さである。
このような生体内部で指数関数的に光が減衰するモデルにおいては式(2)のように、解析解を用いて生体内の光量を求めることが出来る。これにより光照射に対し深さ方向の
光量補正を行うことが出来る。しかしこのような解析解を用いて光量分布を表すことが出来るのは、特定の生体形状、特定の照射光など、限られた場合のみである。
生体の形状が単純形状でないものや光照射分布が均一でない場合などはこのような解析解モデルで生体内の光量分布を表すことが出来ない。特に光照射が広範囲で均一に照射されていない場合は、生体内において照射面に対し面内方向に不均一な光量分布となるため、この不均一性を考慮した光量補正が必要となる。
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、光音響トモグラフィーにおいて、生体内の吸収係数(μ)の分布をより正確に画像化するための技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用する。
本発明に係る生体情報処理装置は、生体に光を照射する光源と、前記生体内の光吸収体が光を吸収することによって発生する音響波を検出し、電気信号に変換する音響波検出器と、前記生体の形状に基づいて決定された前記生体内の光量分布と、前記電気信号とから前記生体内部の情報を取得する信号処理部と、を備える。
本発明に係る生体情報処理方法は、生体に照射された光を前記生体内の光吸収体が吸収することによって発生する音響波を検出し、電気信号に変換する工程と、前記生体の形状に基づいて決定された前記生体内の光量分布と、前記電気信号とから前記生体内部の情報を取得する工程と、を備える。
本発明によれば、光音響トモグラフィーにおいて、生体内の吸収係数(μ)の分布をより正確に取得することができる。
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る生体情報イメージングの構成を示したものである。図1に基づいて、本発明の第1実施形態について説明する。ここで説明する生体情報処理装置は悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを目的として、生体内の光学特性値分布及び、それらの情報から得られる生体組織を構成する物質の濃度分布の画像化を可能とするものである。すなわち、本発明の生体情報処理装置は、好ましくは生体情報イメージング装置として機能する。
生体情報処理装置は、光源102と、光学装置103と、音響波検出器(探触子ともいう)106と、測定部107と、信号処理部108と、表示装置109から構成される。光源102は、光101を発する装置である。光学装置103は、例えばレンズ、ミラー、光ファイバなどで構成される光学系である。光源102から発せられた光101は光学装置103により導かれ、生体100に照射される。生体100の内部を伝播した光のエネルギーの一部が血管などの光吸収体104に吸収されると、その光吸収体104から音響波105が発生する。ここで、本明細書において「音響波」とは、前記の各局所領域(光吸収体104)から光音響効果によって発生した弾性波、典型的には超音波をいう。音響波検出器106は、光吸収体104から発生した音響波105を検出し、その音響波信号を電気信号に変換する装置である。測定部107は、生体100の形状(少なくとも光源102から照射された光101が到達する範囲の形状)を測定するための装置である。
信号処理部108は、測定部107で測定された生体100の形状に基づいて生体内の光量分布を決定し、この光量分布を記憶し、さらに音響波検出器106から得られた電気信号と光量分布とから生体内部の情報(光学特性値分布など)を取得する。表示装置109は、信号処理部108で取得(再構成)された画像情報を表示する装置である。なお、本発明の生体情報処理装置において、表示装置109は必須の構成ではない。
音響波は前述のように式(1)で表される。グリューナイゼン係数(Γ)は、組織が分かればほぼ一定なので、既知の値である。よって、音響波検出器により検出される音圧(P)の時間変化の計測及び解析により、初期音圧発生分布、あるいは吸収係数(μ)と光量(Φ)の積(光エネルギー吸収密度分布)を求めることができる。そして、読み込んだ生体100の形状を基に生体内の光量(Φ)の三次元分布を導き、この光量分布で光エネルギー吸収密度分布(μ・Φ)を補正することにより、生体内の三次元的な吸収係数(μ)の分布を得ることができる。
光エネルギー吸収密度分布の画像では、形状・サイズ・吸収係数が同じ光吸収体であっても、生体内の異なる位置に存在すると、互いに異なる輝度あるいは色で表示されてしまう。これは、それぞれの光吸収体に到達するフォトン数、すなわち生体内の局所的な光量が異なるためである。これに対して、生体の形状から求めた光量分布を用いて上記のように光量補正を行うことにより、最終的に得られる生体情報画像において同じ光学特性(吸収係数)の光吸収体をほぼ同じ輝度あるいは色で表示でき、画像診断等に有利となる。
次に、本実施形態の生体情報処理装置の構成をより具体的に説明する。
図1において、光源102は生体を構成する成分のうち特定の成分に吸収される特定の波長の光を照射する手段である。光源としては数ナノから数百ナノ秒オーダーのパルス光を発生可能なパルス光源を少なくとも一つは備える。光源としてはレーザーが好ましいが、レーザーのかわりに発光ダイオードなどを用いることも可能である。レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用することができる。なお、本実施形態においては、単一の光源の例を示しているが、複数の光源を用いても良い。複数光源の場合は、生体に照射する光の照射強度を上げるため、同じ波長を発振する光源を複数用いても良いし、光学特性値分布の波長による違いを測定するために、発振波長の異なる光源を複数個用いても良い。なお、光源として、発振する波長の変換可能な色素やOPO(Optical Parametric Oscillators)を用いることができれば、光学特性値分布の波長による違いを測定することも可能になる。使用する波長に関しては、生体内において吸収が少ない700nm以上、1100nm以下の領域が好ましい。ただし、比較的生体表面付近の生体組織の光学特性値分布を求める場合は、上記の波長領域よりも範囲の広い、例えば400nm以上、1600nm以下の波長領域を使用することも可能である。
光源から照射される光102を光導波路などを用いて伝搬させることも可能である。図1で示してはいないが、光導波路としては、光ファイバが好ましい。光ファイバを用いる場合は、それぞれの光源に対して、複数の光ファイバを使用して、生体表面に光を導くことも可能であるし、複数の光源からの光を一本の光ファイバに導き、一本の光ファイバのみを用いて、すべての光を生体に導いても良い。光学装置103は、例えば、主に光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズなどの光学部品で構成される。このような光学部品は、光源102から発せられた光101が生体100に照射されれば、どのようなものを用いてもかまわない。
本実施形態の生体情報処理装置は、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを目的としている。よって被検体である生体100としては、人や動物
の乳房、指、手足などの診断の対象部位が想定される。光吸収体としては、被検体内で吸収係数が高いものを示し、例えば、人体が測定対象であればヘモグロビンやそれを含む多く含む血管あるいは悪性腫瘍が該当する。また光吸収体として体内に導入された造影剤を用いて、悪性腫瘍やアルツハイマー病や頚動脈プラークなどの疾患の診断に生体情報処理装置を利用することもできる。造影剤としては、例えばインドシアニングリーン(ICG)や金ナノ微粒子などが用いられるが、光吸収により音響波を発するものであれば、どのような物質を用いてもかまわない。
図1の音響波検出器(探触子)106は、生体内を伝播した光101のエネルギーの一部を吸収した物体から発生した音響波(超音波)105を検知し、電気信号に変換するものである。圧電現象を用いたトランスデューサー、光の共振を用いたトランスデューサー、容量の変化を用いたトランスデューサーなど音響波信号を検知できるものであれば、どのような音響波検出器を用いてもよい。トランスデューサーとしては、アレイ状のものを用いることも、単一素子のものを用いることも可能である。また、本実施形態では、複数の個所で音響波105を検知可能とするために、1個の音響波検出器106を生体100の表面上で走査する。しかし、複数の個所で音響波を検知可能であれば同じ効果が得られるため、複数の音響波検出器を生体100の表面に配置してもよい。また、音響波検出器と生体との間には、音響波の反射を抑えるためのジェルや水などの音響インピーダンスマッチング剤を使うことが望ましい。
測定部107は、生体100の三次元的な形状(例えば厚み)を測定する装置である。測定部107としては例えばCCDカメラなどの撮像装置を用いることが出来る。その場合は、取り込まれた画像から、信号処理部が生体の外形や厚みを算出する。また図2に示すように、生体情報処理装置が生体100を固定(挟持)するための固定部材200を備える場合には、固定された生体の厚み(2つの固定部材間の距離)を測定する測光装置を測定部107として用いることが出来る。なお、このような装置に限らず、生体100の形状を測定できるものであればどのような装置を測定部107として用いてもかまわない。あるいは、音響波検出器106から超音波を発信しエコー測定を行うことにより生体の形状や厚みを測定しても良い。その場合は、音響波検出器106が測定部107を兼ねることになる。
信号処理部108は測定部107によって得られた生体の形状をもとに生体内での光量分布を計算する。光量分布の計算手法として、モンテカルロ法や有限要素法などを用いることが出来る。またこのような数値計算手法に限らず、生体がある特定形状に固定され、さらに特定の光照射条件、例えば点照射や広範囲に均一な幅広い光を照射した場合などは、解析解から計算することも出来る。光量分布を計算する際は、生体の形状と、生体内の光吸収や光散乱などの光学係数(光学特性値)が必要である。本実施形態では、予め決められた生体内の平均的な光学係数、つまり生体の測定部位に固有の平均的な光学係数が、光量分布の計算に用いられる。
なお、上記では好ましい実施形態として、測定部107によって生体の形状を測定し、測定された生体の情報に基づいて、生体内での光量分布を決定する場合について説明した。しかし、本発明は、生体の形状に基づいて決定された生体内の光量分布と、PATの音響信号とから吸収係数を算出することが本質である。よって、必ずしも測定部107によって、生体を測定する必要はない。例えば、事前に把握してある生体の形状に関する情報を、本発明の生体情報処理装置に入力し、信号処理部108は、当該情報から決定される光量分布を用いて吸収係数を算出しても構わない。すなわち、本発明の生体情報処理装置には、生体の形状に関する情報を取得する手段があればよい。
図3及び図4を参照して、本実施形態の生体情報処理装置の動作を説明する。
光源から生体300にパルス光303を照射し、生体内の光吸収体302で発生した音響波を音響波検出器301によって受信する(S10)。音響波信号は音響波検出器301によって電気信号304に変換され(S11)、信号処理部108(図1、図2参照)に取り込まれる。信号処理部108は、電気信号304にフィルター処理などを行った後に(S12)、光吸収体302の位置や大きさ、あるいは吸収光エネルギー分布(光エネルギー堆積量分布)などの光学特性値分布305を計算し、光学特性値分布画像を再構成する(S13)。
一方、信号処理部108は、測定部107(図1、図2参照)で得られた情報から生体300の形状(ここでは厚み)を決定し(S15)、その形状を基に生体内の光量分布(光強度分布)306を計算する(S16)。
そして、信号処理部108は、S16で計算した光量分布を用いて、S13で得られた光学特性値分布305の光量補正を行うことで、吸収係数分布307を求める(S14)。具体的には、光エネルギー堆積量は吸収係数と到達光量との積で表されるので、光エネルギー堆積量分布を光量分布で割ることにより光量分布の補正を行うことができる。このようにして得られた吸収係数分布307を表す画像は、表示装置109に出力される(S17)。
以上のように、信号処理部108は電気信号から、初期音圧発生分布、あるいは吸収係数(μ)と光量(Φ)の積(光エネルギー吸収密度分布)を求める。また、信号処理部108は生体内の光量分布を計算し、吸収係数(μ)と光量(Φ)の積(光エネルギー吸収密度分布)に対して、光量の補正を行うことで、被検体内の吸収係数(μ)分布を得ることができる。
なお、信号処理部108は電気信号を記憶し、それを光学特性値分布のデータに変換でき、且つ、生体形状を記憶し光量分布を計算できるものあればどのようなものを用いてもよい。例えば、オシロスコープと得られたデータを解析するコンピューターにより信号処理部108を構成可能である。また表示装置109は信号処理部108で作られた画像データを表示できれば、どのようなものでも用いることができる。たとえば、液晶ディスプレイなどを利用できる。
なお、複数の波長の光を用いた場合は、各波長に関して被検体内の吸収係数分布を算出し、それらの値と生体組織を構成する物質固有の波長依存性とを比較することによって、生体を構成する物質の濃度分布を画像化することも可能である。生体組織を構成する物質としては、グルコース、コラーゲン、酸化・還元ヘモグロビンなどが想定される。
以上述べた構成の生体情報処理装置によれば、光音響トモグラフィーにおいて、生体内の光学特性値分布、特に吸収係数(μ)分布を精度良く画像化することが可能になる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。装置構成は第1実施形態1と同様に図1のようになる。
本実施形態の信号処理部108は、事前に計算した複数の擬似的光量分布を記憶したテーブル(メモリ)を有している。擬似的光量分布とは、生体内の光量分布を表すデータであり、想定される様々な生体形状及び光学係数について事前に計算されたものである。光量分布の計算手法としては、モンテカルロ法や有限要素法などを用いることが出来る。またこのような数値計算手法に限らず、第1実施形態と同様に解析解から計算することも出
来る。光量分布を計算する際は、生体の形状と、生体内の光吸収や光散乱などの光学係数(光学特性値)が必要である。本実施形態では、予め決められた生体内の平均的な光学係数が光量分布の計算に用いられる。
図1と図5を参照して、本実施形態の生体情報処理装置の動作を説明する。
光源102から生体100にパルス光101を照射し、生体内の光吸収体104で発生した音響波を音響波検出器106によって受信する(S10)。音響波信号は音響波検出器106によって電気信号に変換され(S11)、信号処理部108に取り込まれる。信号処理部108は、電気信号にフィルター処理などを行った後に(S12)、初期音圧発生分布あるいは吸収係数(μ)と光量(Φ)の積(光エネルギー吸収密度分布)を計算し、光学特性値分布画像を再構成する(S13)。
一方、信号処理部108は、測定部107で得られた情報から生体100の形状を決定し(S15)、その生体形状に対応する光量分布を上記テーブルの複数の擬似的光量分布の中から選択する(S20)。
そして、信号処理部108は、S20で決定した光量分布を用いて、S13で得られた光学特性値分布の光量補正を行うことで、生体内の吸収係数分布(μ)を得ることが出来る(S14)。このようにして得られた吸収係数分布を表す画像は、表示装置109に出力される(S17)。
なお、信号処理部108は電気信号を記憶し、それを光学特性値分布のデータに変換でき、生体形状に応じた擬似的光量分布を記憶したテーブルから測定した生体形状に対応するデータを呼び出すことが可能ならばどのようなものを用いてもよい。例えば、オシロスコープと得られたデータを解析するコンピューターにより信号処理部108を構成可能である。
以上述べた本実施形態の生体情報処理装置によっても、第1実施形態と同様、光音響トモグラフィーにおいて、生体内の光学特性値分布、特に吸収係数(μ)分布を画像化することが可能になる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら説明する。装置構成は図6のようになる。
本実施形態の生体情報処理装置は、生体内の平均的な光学特性値(光学係数)を測定するための第2の測定部を備えており、信号処理部108が第2の測定部により実測された光学測定値を用いて光量分布を算出する。ここでは、生体100内を伝播して生体外に放出される光を検出する光検出器600により、第2の測定部が構成されている。
図6に示すように、光源102から生体100にパルス光101を照射し、生体内の光吸収体104で発生した音響波を音響波検出器106によって受信し、第1の電気信号に変換する。一方、生体内を伝播し外部に放出された光を光検出器600によって検出し、第2の電気信号に変換する。また測定部107により生体の形状が測定される。
信号処理部108は、第2の電気信号より生体内の平均的な光学係数を求めるとともに、測定部107で得られた情報から生体100の形状を決定する。そして信号処理部108は、実測により得られた平均的な光学係数と、生体形状とを用いて、生体内の光量分布を算出する。擬似的光量分布のテーブルを記憶している場合は、光学係数及び生体形状に
対応する擬似的光量分布をテーブルから呼び出せばよい。
信号処理部108は、第1の電気信号にフィルター処理などを行った後に、初期音圧発生分布あるいは吸収係数(μ)と光量(Φ)の積(光エネルギー吸収密度分布)を計算する。そして、信号処理部108は、生体内の光量分布を用いて、光エネルギー吸収密度分布に対して光量の補正を行うことで、生体内の生体内の吸収係数分布(μ)を得ることが出来る。
以上述べた本実施形態の生体情報処理装置によっても、第1及び第2実施形態と同様、光音響トモグラフィーにおいて、生体内の光学特性値分布、特に吸収係数(μ)分布を画像化することが可能になる。
図1は本発明の第1及び第2実施形態に係る生体情報処理装置の構成の一例を示す図である。 図2は本発明の第1及び第2実施形態に係る生体情報処理装置の構成の一例を示す図である。 図3は本発明の第1実施形態に係る生体情報処理装置が行う処理の一例を示す図である。 図4は本発明の第1実施形態に係る生体情報処理装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。 図5は本発明の第2実施形態に係る生体情報処理装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。 図6は本発明の第3実施形態に係る生体情報処理装置の構成の一例を示す図である。
符号の説明
100:生体
101:光
102:光源
103:光学装置
104:光吸収体
105:音響波
106:音響波検出器
107:測定部
108:信号処理部
109:表示装置
200:固定部材
300:生体
301:音響波検出器
302:光吸収体
303:光
304:電気信号
305:吸収光エネルギー分布
306:光量分布
307:吸収係数分布
600:光検出器

Claims (15)

  1. 生体に光を照射する光源と、
    前記生体内の光吸収体が光を吸収することによって発生する音響波を検出し、電気信号に変換する音響波検出器と、
    前記生体の形状に基づいて決定された前記生体内の光量分布と、前記電気信号とから前記生体内部の情報を取得する信号処理部と、
    を備えることを特徴とする生体情報処理装置。
  2. 前記生体の形状を測定する測定部を有し、
    前記光量分布は、該測定部により測定された前記生体の形状に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の生体情報処理装置。
  3. 前記光量分布が、前記生体内の三次元の光量分布であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体情報処理装置。
  4. 取得された前記生体内部の情報が、前記生体内部の吸収係数分布であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
  5. 前記信号処理部が、予め決められた前記生体内の平均的な光学特性値を用いて前記光量分布を算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
  6. 前記生体内の平均的な光学特性値を測定するための第2の測定部をさらに備え、
    前記信号処理部が、前記第2の測定部により測定された前記生体内の平均的な光学特性値を用いて前記光量分布を算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
  7. 前記第2の測定部が、前記生体内を伝播して生体外に放出される光を検出する光検出器であることを特徴とする請求項6に記載の生体情報処理装置。
  8. 前記信号処理部が、複数の形状のそれぞれに対応して予め計算された複数の擬似的光量分布を記憶しており、測定された前記生体の形状に対応する光量分布を前記複数の擬似的光量分布の中から選択することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
  9. 前記測定部が前記生体の厚みを測定する装置であることを特徴とする請求項2に記載の生体情報処理装置。
  10. 前記光源が、パルス光を発生する光源であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
  11. 前記音響波検出器が、複数の個所で音響波を検知可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
  12. 前記光の波長が、400nm以上、1600nm以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
  13. 前記光吸収体が、前記生体内に導入された造影剤であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
  14. 生体に照射された光を前記生体内の光吸収体が吸収することによって発生する音響波を検出し、電気信号に変換する工程と、
    前記生体の形状に基づいて決定された前記生体内の光量分布と、前記電気信号とから前記生体内部の情報を取得する工程と、
    を備えることを特徴とする生体情報処理方法。
  15. 前記生体の形状を測定する工程を有し、
    前記光量分布は、測定された前記生体の形状に基づいて決定されることを特徴とする請求項14に記載の生体情報処理方法。
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