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JP2010086714A - 金属ナノワイヤー含有組成物、及び透明導電体 - Google Patents

金属ナノワイヤー含有組成物、及び透明導電体 Download PDF

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JP2010086714A JP2008252744A JP2008252744A JP2010086714A JP 2010086714 A JP2010086714 A JP 2010086714A JP 2008252744 A JP2008252744 A JP 2008252744A JP 2008252744 A JP2008252744 A JP 2008252744A JP 2010086714 A JP2010086714 A JP 2010086714A
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Abstract

【課題】良好な透明性、導電性、及び耐久性を損うことなく、熱的安定性が向上した金属ナノワイヤー含有組成物、及び金属ナノワイヤー含有組成物を用いた透明導電体の提供。
【解決手段】少なくとも、金属ナノワイヤー、及び相互作用電位が−1mV未満である複素環化合物を含有する金属ナノワイヤー含有組成物である。該金属ナノワイヤーが、直径50nm以下であり、かつ長さ5μm以上の金属ナノワイヤーを、全金属粒子中に金属量で50質量%以上含む態様が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱的安定性に優れた金属ナノワイヤー含有組成物、及び金属ナノワイヤー含有組成物を用いた透明導電体に関する。
従来より、金属ナノワイヤーを用いた導電性材料について種々の検討が試みられている。例えば金属ナノワイヤーを含有する透明導電体が提案されている(特許文献1参照)。また、金属ナノワイヤーを含有する導電性ペーストや導電性インクなどが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、これらの提案においては、金属をナノ構造化することにより熱的に不安定になるため、その安定性の改良が望まれているのが現状である。
米国特許出願公開第2007/0074316号明細書 特開2005−317395号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、良好な透明性、導電性、及び耐久性を損うことなく、熱的安定性が向上した金属ナノワイヤー含有組成物、及び金属ナノワイヤー含有組成物を用いた透明導電体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも、金属ナノワイヤー、及び相互作用電位が−1mV未満である複素環化合物を含有することを特徴とする金属ナノワイヤー含有組成物である。
<2> 金属ナノワイヤーが直径50nm以下であり、かつ長さ5μm以上であり、該金属ナノワイヤーを全金属粒子中に金属量で50質量%以上含む前記<1>に記載の金属ナノワイヤー含有組成物である。
<3> 金属ナノワイヤーが銀を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の金属ナノワイヤー含有組成物である。
<4> 更に水系溶剤を含有し、水性分散物である前記<1>から<3>のいずれかに記載の金属ナノワイヤー含有組成物である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属ナノワイヤー含有組成物を含む透明導電層を有することを特徴とする透明導電体である。
<6> 前記<5>に記載の透明導電体を有することを特徴とするタッチパネルである。
<7> 前記<5>に記載の透明導電体を有することを特徴とする太陽電池パネルである。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、良好な透明性、導電性、及び耐久性を損うことなく、熱的安定性が向上した金属ナノワイヤー含有組成物、及び金属ナノワイヤー含有組成物を用いた透明導電体を提供することができる。
(金属ナノワイヤー含有組成物)
本発明の金属ナノワイヤー含有組成物は、少なくとも金属ナノワイヤー、及び複素環化合物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<金属ナノワイヤー>
前記金属ナノワイヤーは、直径が50nm以下であり、かつ長さが5μm以上であり、このような直径及び長さを有する金属ナノワイヤーが、全金属粒子中に金属量で50質量%以上含まれているものである。
本発明において、前記金属ナノワイヤーとは、アスペクト比(長さ/直径)が30以上である金属微粒子を意味する。
前記金属ナノワイヤーの直径(短軸長さ)は50nm以下であることが好ましく、35nm以下がより好ましく、20nm以下が更に好ましい。なお、直径が小さすぎると耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあるため、直径は5nm以上であることが好ましい。前記直径が50nmを超えると、金属ナノワイヤー起因の散乱が生じるためか、十分な透明性を得ることができないことがある。
前記金属ナノワイヤーの長さ(長軸長さ)は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上がより好ましく、30μm以上が更に好ましい。なお、金属ナノワイヤーの長軸の長さが長すぎると金属ナノワイヤー製造時に絡まるためか、製造過程で凝集物が生じてしまうことがあるため、前記長軸の長さは1mm以下であることが好ましい。前記長軸長さが5μm未満であると、密なネットワークを形成することが難しいためか、十分な導電性を得ることができないことがある。
ここで、前記金属ナノワイヤーの直径及び長軸長さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができ、本発明においては、金属ナノワイヤーの直径及び長軸の長さは、透過型電子顕微鏡(TEM)により300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から求めたものである。
本発明においては、直径が50nm以下であり、かつ長さが5μm以上である金属ナノワイヤーが、全金属粒子中に金属量で50質量%以上含まれていることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましい。
前記直径が50nm以下であり、長さが5μm以上である金属ナノワイヤーの割合(以下、「適切ワイヤー化率」と称することもある)が、50質量%未満であると、伝導に寄与する金属量が減少するためか伝導性が低下してしまうことがあり、同時に密なワイヤーネットワークを形成できないために電圧集中が生じるためか、耐久性が低下してしまうことがある。また、ナノワイヤー以外の形状の粒子が球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度を悪化してしまうことがある。
ここで、前記適切ワイヤー化率は、例えば金属ナノワイヤーが銀ナノワイヤーである場合には、銀ナノワイヤー水分散液をろ過して銀ナノワイヤーとそれ以外の粒子を分離し、ICP発光分析装置を用いてろ紙に残っているAg量と、ろ紙を透過したAg量を各々測定することで、適切ワイヤー化率を求めることができる。ろ紙に残っている金属ナノワイヤーをTEMで観察し、300個の金属ナノワイヤーの直径を観察し、その分布を調べることにより、直径が50nm以下であり、かつ長さが5μm以上である金属ナノワイヤーであることを確認する。なお、ろ紙は、TEM像で直径が50nm以下であり、かつ長さが5μm以上である金属ナノワイヤー以外の粒子の最長軸を計測し、その最長軸の5倍以上であり、かつワイヤー長軸の最短長の1/2以下の径のものを用いることが好ましい。
本発明の金属ナノワイヤーの直径の変動係数は40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
前記変動係数が40%を超えると、直径の細いワイヤーに電圧が集中してしまうためか、耐久性が悪化することがある。
前記金属ナノワイヤーの直径の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像から300個のナノワイヤーの直径を計測し、その標準偏差と平均値を計算することにより、求めることができる。
本発明の金属ナノワイヤーの形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面の多角形の角が丸まっている断面形状であることが好ましい。
前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べることができる。
前記金属ナノワイヤーの断面の角とは、断面の各辺を延長し、隣り合う辺から降ろされた垂線と交わる点の周辺部を意味する。また、「断面の各辺」とはこれらの隣り合う角と角を結んだ直線とする。この場合、前記「断面の各辺」の合計長さに対する前記「断面の外周長さ」との割合を鋭利度とした。鋭利度は、例えば図1に示したような金属ナノワイヤー断面では、実線で示した断面の外周長さと点線で示した五角形の外周長さとの割合で表すことができる。この鋭利度が75%以下の断面形状を角の丸い断面形状と定義する。前記鋭利度は60%以下が好ましく、50%以下であることが更に好ましい。前記鋭利度が75%を超えると、該角に電子が局在し、プラズモン吸収が増加するためか、黄色みが残るなどして透明性が悪化してしまうことがある。
前記金属ナノワイヤーにおける金属としては、特に制限はなく、いかなる金属であってもよく、1種の金属以外にも2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金として用いることも可能である。これらの中でも、金属又は金属化合物から形成されるものが好ましく、金属から形成されるものがより好ましい。
前記金属としては、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、主成分として含むことが特に好ましい。
前記金属としては、具体的には銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金が好ましく、パラジウム、銅、銀、金、白金、錫及びこれらの合金がより好ましく、銀又は銀を含有する合金が特に好ましい。
<金属ナノワイヤーの製造方法>
前記金属ナノワイヤーの製造方法は、少なくともハロゲン化合物、及び還元剤を含む水溶媒中に、金属錯体溶液を添加して150℃以下の温度で加熱する工程を含み、必要に応じて脱塩処理工程を含んでなる。
前記金属錯体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、銀錯体が特に好ましい。前記銀錯体の配位子としては、例えばCN−、SCN−、SO 2−、チオウレア、アンモニアなどが挙げられる。これらについては、“The Theory of the Photographic Process 4th Edition”Macmillan Publishing、T.H.James著の記載を参照することができる。これらの中でも、銀アンモニア錯体が特に好ましい。前記金属錯体の添加は、分散剤とハロゲン化合物の後に添加することが好ましい。ワイヤー核を高い確率で形成できるためか、本発明における適切な径や長さの金属ナノワイヤーの割合を高める効果がある。
前記溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、該親水性溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、などが挙げられる。
加熱温度は、150℃以下が好ましく、20℃以上130℃以下がより好ましく、30℃以上100℃以下が更に好ましく、40℃以上90℃以下が特に好ましい。必要であれば、粒子形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果があることがある。
前記加熱温度が150℃を超えると、ナノワイヤーの断面の角が急峻になるためか、塗布膜評価での透過率が低くなることがある。また、前記加熱温度が低くなる程、核形成確率が下がり金属ナノワイヤーが長くなりすぎたためか、金属ナノワイヤーが絡みやすく、分散安定性が悪くなることがある。この傾向は20℃以下で顕著となる。
前記加熱の際には還元剤を添加して行うことが好ましい。該還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素金属塩;水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニウムセシウム、水素化アルミニウムベリリウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウム等の水素化アルミニウム塩;亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、クエン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩等;ジエチルアミノエタノール、エタノールアミン、プロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミン;プロピルアミン、ブチルアミン、ジプロピレンアミン、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、ピロリジン、Nメチルピロリジン、モルホリン等のヘテロ環式アミン;アニリン、N−メチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミン、キシレンジアミン、N−メチルベンジルアミン等のアラルキルアミン;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、グルタチオン、有機酸類(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等)、還元糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラフィノース、スタキオース等)、糖アルコール類(ソルビトール等)などが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類が特に好ましい。
なお、還元剤種によっては機能として分散剤としても働く場合があり、同様に好ましく用いることができる。
前記還元剤の添加のタイミングは、分散剤の添加前でも添加後でもよく、ハロゲン化合物の添加前でも添加後でもよい。
前記金属ナノワイヤー製造の際にはハロゲン化合物を添加して行うことが好ましい。
前記ハロゲン化合物としては、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリハライドや下記の分散剤と併用できる物質が好ましい。ハロゲン化合物の添加タイミングは、分散剤の添加前でも添加後でもよく、還元剤の添加前でも添加後でもよい。
なお、ハロゲン化合物種によっては、分散剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
前記ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
分散剤とハロゲン化合物、又はハロゲン化銀微粒子は同一物質で併用してもよい。分散剤とハロゲン化合物を併用した化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、アミノ基と塩化物イオンを含むHTAC(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド)が挙げられる。
前記金属ナノワイヤーを製造する際には分散剤を添加して行うことが好ましい。
前記分散剤を添加する段階は、粒子調製する前に添加し、分散ポリマー存在下で添加してもよいし、粒子調整後に分散状態の制御のために添加しても構わない。分散剤の添加を二段階以上に分けるときには、その量は必要とするワイヤーの長さにより変更する必要がある。これは核となる金属粒子量の制御によるワイヤーの長さに起因しているためと考えられる。
前記分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子類、などが挙げられる。
前記高分子類としては、例えば保護コロイド性のあるポリマーでゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプルピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、などが挙げられる。
前記分散剤として使用可能な構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。使用する分散剤の種類によって得られる金属ナノワイヤーの形状を変化させることができる。
前記脱塩処理は、金属ナノワイヤーを形成した後、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
<複素環化合物>
前記複素環化合物としては、相互作用電位が−1mV未満であり、−70mV未満であることが好ましい。前記相互作用電位が−1mV以上であると、本発明の効果である熱的安定性が得られないばかりか、複素環化合物の析出などの問題を起こす場合がある。
ここで、前記相互作用電位は、以下の相互作用電位の測定方法により求めることができる。
まず、複素環化合物の濃度0.00100M、重炭酸カリウム濃度0.0200M、及び炭酸カリウム濃度0.0267Mの溶液50mlを調製し、1Mの硝酸又は水酸化ナトリウムによりpHを10.0に調整する。磁気攪拌しながら、20℃〜25℃の温度で、0.00500Mの硝酸銀1mlを添加する。次いで、カロメル電極を用いた電気化学的方法を用いて、添加15分間後の電位を測定する。ここで求めた電位のmV単位の値が相互作用電位である。
前記相互作用電位は、金属ナノワイヤーと複素環化合物との相互作用、即ち金属ナノワイヤー上への複素環化合物の吸着力の尺度を表すものである。相互作用電位が小さい場合は、複素環化合物の金属ナノワイヤーへの吸着力が強いことを表し、逆に相互作用電位が大きい場合は、複素環化合物の金属ナノワイヤーへの吸着力が小さいことを表す。
なお、前記相互作用電位に関しては、銀イオンでの測定を代表とさせるが、他金属イオンにおいても同様の傾向である。
前記複素環化合物とは、ヘテロ原子を1個以上持つ環状化合物を意味する。該ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。前記複素環化合物のヘテロ原子数はいくつでもよい。なお、ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。
前記ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、又はホウ素原子が好ましく、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、又はセレン原子がより好ましく、窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子が更に好ましく、窒素原子又は硫黄原子が特に好ましい。
前記複素環化合物における複素環の環員数はいずれでもよいが、好ましくは3〜8員環であり、更に好ましくは5〜7員環であり、特に好ましくは5又は6員環である。
前記複素環としては、飽和であっても不飽和であってもよいが、好ましくは少なくとも1つの不飽和の部分を有する場合であり、更に好ましくは少なくとも2つの不飽和の部分を有する場合である。別の言い方をすると、複素環としては、芳香族、擬似芳香族、及び非芳香族のいずれでもよいが、好ましくは芳香族複素環、及び擬似芳香族複素環であり、更に好ましくは芳香族複素環である。
前記複素環としては、例えばピロール環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、テトラゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3,4−チアトリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、及び、これらにベンゾ縮環したインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、アクリジン環、プリン環、4,4’−ビピリジン環、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン環、4,4‘−トリメチレンジピリジン環、及び、これらが一部又は全部飽和したピロリジン環、ピロリン環、イミダゾリン環等が挙げられる。
代表的な複素環の例を以下に示す。
ベンゼン環が縮環した複素環として、例えば以下のものが挙げられる。
一部又は全部飽和した複素環として、例えば以下のものが挙げられる。
その他に、以下の複素環も可能である。
これらの複素環には、いかなる置換基が置換していても縮環していてもよく、置換基としては前述のWが挙げられる。また、複素環に含まれる3級窒素原子が置換されて4級窒素となってもよい。なお、複素環の別の互変異性構造を書くことができるどのような場合も、化学的に等価である。
前記複素環の中でも、(aa−1)、(aa−3)、(aa−19)〜(aa−20)、(ab−12)、(ab−25)が特に好ましい。
前記複素環化合物において、特定の部分を「基」と称した場合には、該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていてもよいことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換又は無置換のアルキル基を意味する。また、前記複素環化合物に使用できる置換基は、置換の有無にかかわらず、どのような置換基でもよい。
このような置換基をWとすると、Wで示される置換基としては、いかなるものでもよく、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言ってもよい)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、ホスファト基(−OPO(OH))、スルファト基(−OSOH)、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
更に詳しくは、Wは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、更にアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、複素環基(好ましくは5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、ベンゼン環等と縮合していてもよく、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でもよい。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ)、アンモニオ基(好ましくはアンモニオ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基、例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、ホスホノ基、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基、例えば、トリメチルヒドラジノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のウレイド基、例えばN,N−ジメチルウレイド)、を表す。
また、2つのWが共同して環(芳香族、非芳香族の炭化水素環、複素環、又はこれらは更に組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、などが挙げられる。)を形成することもできる。
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、−CONHSO−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SONHSO−基(スルフォニルスルファモイル基)、が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
次に、上記で詳細に述べた前記複素環化合物の中で特に好ましい具体例を示す。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、EAgは銀相互作用電位を表す。
前記複素環化合物を金属ワイヤー含有組成物に含有させる方法としては、以下の方法が好ましいが、これらに限定されるものではない。
(1)金属ナノワイヤー含有組成物への複素環化合物溶液添加
金属ナノワイヤー含有組成物塗布前に金属ナノワイヤー含有組成物に複素環化合物溶液を添加してもよい。この際、複素環化合物溶液を添加してからの混合時間は、1分間以上60分間以下が好ましく、2分間以上30分間以下が更に好ましい。混合時の分散物温度は、20℃以上80℃以下が好ましく、30℃以上60℃以下がより好ましい。
(2)金属ナノワイヤー含有組成物塗布時に複素環化合物溶液同時添加、又は別層で複素環化合物溶液同時塗布、又は分散物塗布後に複素環化合物溶液塗布
金属ナノワイヤー含有組成物の塗布時に複素環化合物を水、又はメタノールなどの溶媒に溶解した液体を同時に塗布してもよい。この際、塗布直前に金属ナノワイヤー含有組成物と複素環化合物溶液が混合されてもよく、別々の層で塗布されてもよい。また、金属ナノワイヤー含有組成物の塗布後に化合物(A)溶液を塗布してもよい。
(3)分散液塗布物を複素環化合物溶液に浸漬
更に、金属ナノワイヤー含有組成物塗布後に金属ナノワイヤー含有組成物塗布試料を複素環化合物溶液に浸漬させることで含有させてもよい。この場合の浸漬時間は、1分間以上60分間以下が好ましく、2分間以上30分間以下が更に好ましい。浸漬時の溶液温度は、10℃以上60℃以下が好ましく、20℃以上50℃以下が更に好ましい。この際の複素環化合物溶液の濃度は、0.1%以上10%以下が好ましく、0.5%以上5%以下が好ましい。
前記複素環化合物の添加量は、金属ナノワイヤー含有組成物中の金属1モル当たり1×10−5モル〜1モルが好ましく、5×10−5モル〜1×10−1モルが更に好ましく、1×10−4モル〜5×10−2モルが特に好ましい。
本発明の金属ナノワイヤー含有組成物は、更に水系溶剤を含有し、水性分散物として用いられる。
前記水系溶剤としては、主として水が用いられ、水と混和する有機溶媒を80容量%以下の割合で併用することができる。
前記有機溶媒としては、例えば、沸点が50℃〜250℃、より好ましくは55℃〜200℃のアルコール系化合物が好適に用いられる。このようなアルコール系化合物を併用することにより、塗布工程での塗り付け良化、乾燥負荷の低減をすることができる。
前記アルコール系化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1−エトキシ−2−プロパノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−ジメチルアミノイソプロパノール、などが挙げられ、好ましくはエタノール、エチレングリコールである。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の金属ナノワイヤー含有組成物は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないことが好ましい。
前記水性分散物の電気伝導度は1mS/cm以下が好ましく、0.1mS/cm以下がより好ましく、0.05mS/cm以下が更に好ましい。
前記水性分散物の20℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
本発明の金属ナノワイヤー含有組成物には、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、界面活性剤、重合性化合物、酸化防止剤、硫化防止剤、腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤などを含有することができる。
前記腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アゾール類が好適である。該アゾール類としては、例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾテトラゾール、(2−ベンゾチアゾリルチオ)酢酸、3−(2−ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、並びにアミン塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。該腐食防止剤を含有することで、一段と優れた防錆効果を発揮することができる。前記腐食防止剤は直接水分散物中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加するか、後述する透明導電体を作製後に、これを腐食防止剤浴に浸すことで付与することができる。
本発明の金属ナノワイヤー含有組成物は、インクジェットプリンター用水性インク及びディスペンサー用水性インクにも好ましく用いることができる。
インクジェットプリンターによる画像形成用途において、水性分散物を塗設する基板としては、例えば紙、コート紙、表面に親水性ポリマーなどを塗設したPETフィルムなどが挙げられる。
(透明導電体)
本発明の透明導電体は、本発明の前記金属ナノワイヤー含有組成物により形成される透明導電層を有する。
前記透明導電体の製造方法は、本発明の前記金属ナノワイヤー含有組成物を、基板上へ塗設し、乾燥する。
以下、前記透明導電体の製造方法の説明を通じて、本発明の透明導電体の詳細についても明らかにする。
前記金属ナノワイヤー含有組成物を塗設する基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明導電体用基板には、以下のものが挙げられるが、これらの中でも、製造適性、軽量性、可撓性、光学性(偏光性)などの点からポリマーフィルムが好ましく、PETフィルム、TACフィルム、PENフィルムが特に好ましい。
(1)石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、サファイア等のガラス
(2)ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、PET、PEN、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン、スチレン系樹脂、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂
(3)エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂
前記基板材料としては、所望により併用してもよい。用途に応じてこれらの基板材料から適宜選択して、フィルム状等の可撓性基板、又は剛性のある基板とすることができる。
前記基板の形状としては、円盤状、カード状、シート状等のいずれの形状であってもよい。また、三次元的に積層されたものでもよい。更に基板のプリント配線を行う箇所にアスペクト比が1以上の細孔、細溝を有していてもよく、これらの中に、インクジェットプリンター又はディスペンサーにより本発明の水性分散物を吐出することもできる。
前記基板の表面は親水化処理を施すことが好ましい。また、前記基板表面に親水性ポリマーを塗設したものが好ましい。これらにより金属ナノワイヤー含有組成物の基板への塗布性、及び密着性が良化する。
前記親水化処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば薬品処理、機械的粗面化処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理などが挙げられる。これらの親水化処理により表面の表面張力を30dyne/cm以上にすることが好ましい。
前記基板表面に塗設する親水性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ガゼイン、寒天、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デキストラン、などが挙げられる。
前記親水性ポリマー層の層厚(乾燥時)は、0.001μm〜100μmが好ましく、0.01μm〜20μmがより好ましい。
前記親水性ポリマー層には、硬膜剤を添加して膜強度を高めることが好ましい。前記硬膜剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等のアルデヒド化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン化合物;ジビニルスルホン等のビニルスルホン化合物;2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等のトリアジン化合物;米国特許第3,103,437号明細書等に記載のイソシアネート化合物、などが挙げられる。
前記親水性ポリマー層は、上記化合物を水等の溶媒に溶解乃至分散させて塗布液を調製し、得られた塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート、バーコート、ダイコート等の塗布法を利用して親水化処理した基板表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。前記乾燥温度は120℃以下が好ましく、30℃〜100℃がより好ましく、40℃〜80℃が更に好ましい。
更に、基板と上記親水性ポリマー層の間に、密着性の改善を目的として必要により下引き層を形成してもよい。
本発明においては、透明導電体を形成後に、腐食防止剤浴に通すことも好ましく行うことができ、これにより、更に優れた腐食防止効果を得ることができる。
−用途−
本発明の透明導電体は、例えばタッチパネル、ディスプレイ用帯電防止、電磁波シールド、有機又は無機ELディスプレイ用電極、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、フレキシブルディスプレイ用帯電防止、太陽電池用電極、その他の各種デバイスなどに幅広く適用される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の例において、銀相互作用電位EAg、金属ナノワイヤーの直径及び長軸長さ、金属ナノワイヤー直径の変動係数、適切ワイヤー化率、及び金属ナノワイヤーの断面角の鋭利度は、以下のようにして測定した。
<銀相互作用電位EAgの測定>
銀相互作用電位EAgは、複素環化合物の濃度0.00100M、重炭酸カリウム濃度0.0200M、及び炭酸カリウム濃度0.0267Mの溶液50mlを調製し、1Mの硝酸又は水酸化ナトリウムによりpHを10.0に調整した。磁気攪拌しながら、20℃〜25℃の温度で、0.00500Mの硝酸銀1mlを添加した。次いで、カロメル電極を用いた電気化学的方法を用いて、添加15分間後の電位を測定した。ここで求まった電位のmV単位の値が銀相互作用電位EAgである。
<金属ナノワイヤーの直径及び長軸長さ>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの直径及び長軸長さ求めた。
<金属ナノワイヤー直径の変動係数>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの直径を計測し、その標準偏差と平均値を計算することにより変動係数を求めた。
<適切ワイヤー化率>
各銀ナノワイヤー水分散物をろ過して銀ナノワイヤーとそれ以外の粒子を分離し、ICP発光分析装置(株式会社島津製作所製、ICPS−8000)を用いてろ紙に残っているAg量と、ろ紙を透過したAg量を各々測定し、直径が50nm以下であり、かつ長さが5μm以上である金属ナノワイヤー(適切なワイヤー)の全金属粒子中の金属量(質量%)を求めた。
なお、適切ワイヤー比率を求める際の適切なワイヤーの分離は、メンブレンフィルター(Millipore社製、FALP 02500、孔径1.0μm)を用いて行った。
<断面角の鋭利度>
金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)で観察し、300個の断面について、断面の外周長さと断面の各辺の合計長さを計測し、「断面の各辺」の合計長さに対する前記「断面の外周長さ」との比率である鋭利度を求めた。この鋭利度が75%以下の場合には角の丸い断面形状であるとした。
(調製例1)
−添加液Aの調製−
硝酸銀粉末0.51gを純水50mLに溶解した。その後、1Nのアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が100mLになるように純水を添加した。
(調製例2)
−添加液Gの調製−
グルコース粉末0.5gを140mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
(調製例3)
−添加液Hの調製−
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末0.5gを27.5mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
(製造例1)
−試料101の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
三口フラスコ内に入れ20℃にて攪拌しながら、純水410mL、添加液H 82.5mL、及び添加液G 206mLをロートにて添加した(一段目)。この液に、添加液A 206mLを流量2.0mL/min、攪拌回転数800rpmで添加した(二段目)。その10分後、添加液Hを82.5mL添加した。その後、3℃/分で内温75℃まで昇温した。その後、攪拌回転数を200rpmに落とし、5時間加熱した。
得られた水分散物を冷却した後、限外濾過モジュールSIP1013(旭化成株式会社製;分画分子量6,000)、マグネットポンプ、ステンレスカップをシリコンチューブで接続し、限外濾過装置とした。銀ナノワイヤー分散液(水溶液)をステンレスカップに入れ、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。モジュールからの濾液が50mLになった時点で、ステンレスカップに950mLの蒸留水を加え、洗浄を行った。上記の洗浄を10回繰り返した後、母液の量が50mLになるまで濃縮を行った。
得られた試料101の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例2)
−試料102の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、一段目の混合溶液の初期温度20℃を25℃に変えた以外は、製造例1と同様にして、試料102の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料102の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例3)
−試料103の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、一段目の混合溶液の初期温度20℃を30℃に変えた以外は、製造例1と同様にして、試料102の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料103の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例4)
−試料104の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、一段目で添加する添加液Hの量を82.5mLから70.0mLに変えた以外は、製造例1と同様にして、試料104の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料104の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例5)
−試料105の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、一段目で添加する添加液Hの量を82.5mLから65.0mLに変えた以外は、製造例1と同様にして、試料105の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料105の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例6)
−試料106の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、添加液Aの添加流量2.0mL/minを4.0mL/minに変えた以外は、製造例1と同様にして、試料106の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料106の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例7)
−試料107の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、添加液Aの添加流量2.0mL/minを6.0mL/minに変えた以外は、製造例1と同様にして、試料107の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料107の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例8)
−試料108の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、二段目の温度を75℃から1時間毎に1.5℃ずつ上昇させた以外は、製造例1と同様にして、試料108の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料108の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例9)
−試料109の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、二段目の温度を75℃から1時間毎に2.5℃ずつ上昇させた以外は、製造例1と同様にして、試料109の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料109の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例10)
−試料110の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、二段目の温度を80℃に保持した以外は、製造例1と同様にして、試料110の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料110の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例11)
−試料111の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、二段目の温度を90℃に保持した以外は、製造例1と同様にして、試料111の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料111の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例12)
−試料112の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、二段目の温度を75℃から1時間毎に3.5℃ずつ上昇させた以外は、製造例1と同様にして、試料112の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料112の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例13)
−試料113の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、二段目の温度を95℃に保持した以外は、製造例1と同様にして、試料113の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料113の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例14)
−試料201の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、一段目の混合液の初期温度20℃を40℃に変えた以外は、製造例1と同様にして、試料201の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料201の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例15)
−試料202の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、一段目で添加する添加液Hの量を82.5mLから50.0mLに変えた以外は、製造例1と同様にして、試料202の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料202の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
(製造例16)
−試料203の銀ナノワイヤー水分散物の作製−
製造例1において、添加液Aの添加流量2.0mL/minを8.0mL/minに変えた以外は、製造例1と同様にして、試料203の銀ナノワイヤー水分散物を作製した。
得られた試料203の銀ナノワイヤーの直径、長軸長さ、適切ワイヤー比率、銀ナノワイヤー直径の変動係数、及び銀ナノワイヤーの断面角の鋭利度を表1に示す。
<下引き層の形成>
次に、市販の二軸延伸熱固定済の厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基板に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、下記組成の下引き層を乾燥厚みが0.8μmになるように塗設した。
−下引き層の組成−
ブチルアクリレート(40質量%)、スチレン(20質量%)、グリシジルアクリレート(40質量%)の共重合体ラテックスにヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア)を0.5質量%含有したもの
(実施例1)
−塗布試料301〜308の作製−
下引き層の表面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施して、ヒドロキシエチルセルロースを親水性ポリマー層として乾燥厚みが0.2μmになるように塗設した。
次に、ドクターコーターを用いて、試料101の塗布用水分散物を親水性ポリマー層上に塗布し、乾燥した。塗布銀量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定し、0.015g/m2となるように塗布量を調節して、塗布試料301を作製した。
次に、塗布前に40℃に保った金属ナノワイヤー水分散液に表2に示した複素環化合物を水/メタノール溶液に溶解して添加して、10分間攪拌した以外は、試料301と同様に塗布して、塗布試料302〜308を作製した。
(実施例2)
−塗布試料402〜408の作製−
試料301において、塗布後の試料を表3に示した複素環化合物を溶解した25℃に保った水/メタノール溶液に10分間浸漬した以外は、試料301と同様にして、試料402〜408を作製した。
(実施例3)
−塗布試料501〜508の作製−
試料101を試料201に変えた以外は、試料301と同様にして、塗布試料501を作製した。
更に、40℃に保ったワイヤー水分散液に表4に示した複素環化合物を水/メタノール溶液に溶解して添加して、10分間攪拌した以外は、試料501と同様に塗布して、塗布試料502〜508を得た。
次に、得られた各塗布物について、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表2〜表4に示す。
<塗布物の透過率>
得られた各塗布物を、島津製作所製UV−2550を用いて、400nm〜800nmの透過率を測定した。
〔評価基準〕
◎:透過率が90%以上で、実用上問題ないレベルである。
○:透過率が80%以上90%未満で、実用上問題ないレベルである。
△:透過率が75%以上80%未満で、実用上問題ないレベルである。
×:透過率が0%以上75%未満で、実用上問題あるレベルである。
<塗布物の表面抵抗(導電性)>
得られた各塗布物を、三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて表面抵抗を測定し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:表面抵抗が100Ω/□未満で、実用上問題ないレベルである。
○:表面抵抗が500Ω/□未満で、実用上問題ないレベルである。
△:表面抵抗が1000Ω/□未満で、実用上問題ないレベルである。
×:表面抵抗が1000Ω/□以上で、実用上問題あるレベルである。
<塗布物の熱的安定性試験>
得られた各塗布物を、80℃、湿度55%RHの空気中にて4週間経時し、経時後の上記表面抵抗測定と透過率測定により、熱的安定性の評価を行った。
表2〜表4中における、複素環化合物としては、以下の構造式で表される化合物を用いた。なお、EAgは銀相互作用電位を表す。
本発明の金属ナノワイヤー含有組成物は、良好な透明性、導電性、及び耐久性を損うことなく、熱的安定性が向上しているので、例えばタッチパネル、ディスプレイ用帯電防止、電磁波シールド、有機又は無機ELディスプレイ用電極、フレキシブルディスプレイ用電極、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ用帯電防止、太陽電池用電極、その他の各種デバイスなどに幅広く適用される。
図1は、金属ナノワイヤーの鋭利度を求める方法を示す説明図である。

Claims (7)

  1. 少なくとも、金属ナノワイヤー、及び相互作用電位が−1mV未満である複素環化合物を含有することを特徴とする金属ナノワイヤー含有組成物。
  2. 金属ナノワイヤーが直径50nm以下であり、かつ長さ5μm以上であり、該金属ナノワイヤーを全金属粒子中に金属量で50質量%以上含む請求項1に記載の金属ナノワイヤー含有組成物。
  3. 金属ナノワイヤーが銀を含有する請求項1から2のいずれかに記載の金属ナノワイヤー含有組成物。
  4. 更に水系溶剤を含有し、水性分散物である請求項1から3のいずれかに記載の金属ナノワイヤー含有組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の金属ナノワイヤー含有組成物を含む透明導電層を有することを特徴とする透明導電体。
  6. 請求項5に記載の透明導電体を有することを特徴とするタッチパネル。
  7. 請求項5に記載の透明導電体を有することを特徴とする太陽電池パネル。
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