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JP2010052511A - 鉄道車両用車体 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構造によって剛性を向上した鉄道車両用車体を提供する。
【解決手段】屋根構10、側構20、及び、床構30を有する鉄道車両用車体1を、側構に設けられ上下方向にほぼ沿って伸びた柱状部材24と、屋根構10の下方に屋根構とは離間して設けられ、車幅方向にほぼ沿って伸びるとともに左右の柱状部材の上部間を連結する連結部材70とを有する構成とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、鉄道車両用車体に関し、特には車体の剛性を向上した鉄道車両用車体に関する。
例えば電車等の鉄道用旅客車の車体は、一般に床構、側構、妻構、屋根構の六面体で構成された箱状の構造物となっている。
また、鉄道車両用車体は、軽量化とともに剛性を確保することも要求される。
従来、踏切事故や脱線衝突事故に対する安全性を向上するために、車体側面方向から側構体に作用する荷重に対する強度を向上させることを目的として、床構の横梁、側構体の側柱、及び、屋根構体の垂木を同一断面内に配置した補強骨組部を車体長手方向の複数個所に配置した鉄道車両が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2007−62440号公報
しかし、上述した従来技術では、車体の屋根構、側構、床構といった各構体における構造部材の配置等の基本設計に及ぼす制約が多く、車両の設計自由度が低くなってしまう。また、既存の車両には適用することが極めて困難である。
これに対し、屋根構に沿って垂木と並行する骨組み部材を設けて、左右側構に設けられた柱状部材の上部間を連結すれば、車体内部に門型の内部骨組を形成することができ、車体剛性を向上する効果が得られる。しかし、屋根構には、灯具が装着される灯具受けや空調用のダクト等の各種装備品が取り付けられるため、上述したような骨組部材を設ける場合には設計に工夫が必要である。例えば、灯具受け等の左右で骨組部材を分割したり、空調ダクトを避けて骨組部材を形成する必要がある。この場合、車体剛性の向上効果は得られるが、部品点数の増加や構造の複雑化をもたらし、車体製造時の生産性が低下するとともに、車体の質量が増加してしまう。
本発明は上述した問題に鑑みなされたものであって、簡素な構造によって剛性を向上した鉄道車両用車体を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の鉄道車両用車体は、屋根構、側構、及び、床構を有する鉄道車両用車体であって、前記側構に設けられ上下方向にほぼ沿って伸びた柱状部材と、前記屋根構の下方に該屋根構とは離間して設けられ、車幅方向にほぼ沿って伸びるとともに左右の前記柱状部材の上部間を連結する連結部材とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、左右の柱状部材の上部間を連結部材により連結することによって、車体内部に門型の内部骨組が形成され、車体の剛性が向上する。また、連結部材は屋根構の下方に屋根構とは離間して設けられることによって、屋根構に設けられる各種装備品と干渉することがなく、左右の柱状部材を比較的ストレートに連結することができるため、構造や形状を簡素なものとすることができ、質量を大きく増加させることなく車体の剛性を向上することができる。
また、車体を構成する各構体の基本設計にほとんど制約を与えないことから、設計自由度を向上することができ、さらに、既存の車両に対しても容易に適用することができる。
さらに、側面からの荷重を連結部材が受けることができるため、側面衝突に対する強度も向上する。
本発明において、前記柱状部材は、側引戸が収容される戸袋に設けられた戸袋内柱である構成とすることができる。
これによれば、戸袋を有する車体であれば通常設けられる戸袋内柱を車体の剛性向上に役立てることができ、既存の車体の構造をほとんど変更することなく本発明を適用することができる。
また、本発明において、前記柱状部材は、外吊側引戸が設けられる開口部の近傍に設けられる構成とすることができる。
これによれば、外吊側引戸が設けられる車両であっても、既存の車体の構造をほとんど変更することなく本発明を適用することができる。
また、本発明において、前記連結部材は、吊手が装着される吊手棒の一部を構成する構成とすることができる。
これによれば、連結部材のうち車室内に配置される部分を吊手棒として活用することによって、吊手を設置して乗客の利便性を高めるとともに、吊手棒が補剛部材を兼ねる構成とすることで車体の設計を合理化し、質量を大きく増加させずに車体の剛性を向上することができる。
この場合、前記連結部材は、車体の前後方向に分散して複数設けられるとともに、車体の前後方向に沿って配置され吊手が装着される前後方向吊手棒によって相互に連結される構成とすることができる。
これによれば、複数の連結部材を前後方向吊手棒によって連結することによって、連結部材のたわみを抑制し、車体の剛性をさらに向上することができる。
さらにこの場合、前記連結部材と、前記前後方向吊手棒を前記屋根構に固定する支柱との車体前後方向における位置をほぼ一致させた構成とすることができる。
これによれば、連結部材のたわみをより抑制するとともに、柱状部材、連結部材、支柱及び屋根構等によってリング状の構造体を形成し、屋根構と側構との角度変化を抑制し、車両の剛性をよりいっそう向上することができる。
また、本発明において、前記床構に沿って車幅方向に延びるとともに、左右の前記柱状部材の下部を連結する根太部材を備える構成とすることができる。
これによれば、左右の柱状部材、連結部材、及び、根太部材によってリング状の補剛構造体を形成することができ、車体の剛性をさらに向上することができる。
以上のように、本発明によれば、側構に設けられ上下方向にほぼ沿って延びた柱状部材の上部間を、屋根構とは離間して設けられ、車幅方向にほぼ沿って延びた連結部材で連結することによって、簡素な構造によって剛性を向上した鉄道車両用車体を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る鉄道車両用車体について説明する。なお、以下の説明では、レールの長手方向(車両の進行方向)を前後方向、軌道面におけるレール長手方向と直角をなす方向を横方向(車幅方向)、軌道面に垂直な方向を上下方向と呼ぶ。
図1は、本実施の形態の鉄道車両用車体の模式的横断面図である。
図2は、本実施の形態の鉄道車両用車体の斜視断面図である。
図3は、本実施の形態の鉄道用車体の断面図であって、図3(a)は車体上部を左右中心線で切って見た側面視図であり、図3(b)は図3(a)のb−b部矢視図である。
図4は、図3のIV−IV部矢視断面図である。
鉄道車両用車体(以下単に「車体」と称する)1は、例えば片側4ドアの通勤型電車のステンレス鋼製車体である。
車体1は、屋根構10、側構20、床構30及び妻構90(図3参照)を有する六面体状に形成されている。
屋根構10は、屋根外板11及び垂木12を有して構成され、さらに、非構体部材である幕板受13が取り付けられている。
屋根外板11は、車体1の外表面部となる波形形状の部材である。屋根外板11は、車体1の横断面における形状が、上方が凸となる円弧状に湾曲して形成されている。
垂木12は、車幅方向にほぼ沿って伸びた梁状の部材である。垂木12は、屋根外板11の下面に沿って配置され、屋根外板11に対して例えばスポット溶接、レーザ溶接等により複数個所で固定されている。垂木12は、車体1の前後方向に分散して複数設けられている。
幕板受13は、屋根外板11の車幅方向両端部にそれぞれ接合され、車体1の長手方向ほぼ全長にわたって伸びた部材である。
側構20は、車体1の左右両側面部を構成する部分であって、外板21、ドア開口22、窓開口23等を有して構成されている。
外板21は、車体1の外表面部となる板状の部材である。外板21の上端部及び下端部は、屋根構10及び床構30の車幅方向両端部とそれぞれ接合されている。
ドア開口22は、旅客乗降用の図示しないドアが開閉可能に設けられる部分である。ドア開口22は、車体1の一方の側面に例えば4つがほぼ等間隔に分散して設けられている。
窓開口23は、隣接する一対のドア開口22の中間部等に設けられている。
戸袋内柱24及び戸尻柱25は、ドア開口22の両側にそれぞれ設けられドアを収容する戸袋に備えられる部材である。戸袋内柱24は、戸袋の入口側に設けられ、戸尻柱25はその反対側(ドア開口22から遠い側)に設けられる。戸袋内柱24及び戸尻柱25は、鉛直方向にほぼ沿って伸びて形成され、その下端部は床構30の車幅方向における端部と隣接して配置されている。また、戸袋内柱24及び戸尻柱25の上端部は、屋根構10の幕板受13と隣接して配置され、ブラケット26(図4参照)を介して幕板受13に固定されている。戸袋内柱24及び戸尻柱25の上端部近傍(ドア開口22よりも上方)の領域は、上端部が他の部分に対して車幅方向内側となるように、内傾している。戸袋内柱24及び戸尻柱25は、一つの戸袋につき1本ずつが平行に設けられている。この戸袋内柱24及び戸尻柱25は、本発明にいう柱状部材として機能する。
ブラケット26は、締結面部26a及び側面部26bを備えている。締結面部26aは、戸袋内柱24の上端部における車幅方向外側の面部とボルト等によって締結される平板状の部分である。側面部26bは、締結面部26aの側端部から車幅方向外側へ延びて形成され、その上端部は幕板受13の下面部に接合されている。
床構30は、車体1の床面部を構成する部分であって、図示しない側梁、横梁、枕梁等によって構成されるフレームの上面部に床板を固定して構成されている。
また、車体1はさらに灯具受け40、前後吊手棒50、サポート60、横吊手棒70、根太80を備えている。
灯具受け40は、車室内を照明する図示しない照明機器が装着される灯具支持部材であって、車体1の前後方向に延びた矩形断面の梁状に形成されている。灯具受け40は、車幅方向に離間して例えば一対が設けられ、屋根構10の車幅方向中央部における下面に装着されている。また、灯具受け40は、車体1の前後方向におけるほぼ全長にわたって形成されている。
左右の灯具受け40の間には、空調用のダクトD(図1、図4参照。図2、図3では図示を省略)が配置されている。
前後吊手棒50は、車両の前後方向に延びて配置された丸パイプ状の部材であって、吊手S(図4参照)が取り付けられるものである。前後吊手棒50は、車幅方向に間隔を隔てて例えば2本が並行して設けられている。左右の前後吊手棒50は、左右の灯具受け40の下方にそれぞれ配置されている。
また、左右の前後吊手棒50は、図3(b)に示すように、その中間部において、横連結棒51、及び、横吊手棒70によって、相互に連結されている。横連結棒51は、車体の前後方向における位置が、隣接する一対のドア開口22の中央部に設けられている。横連結棒51は、車幅方向に延びた丸パイプ状の部材であって、その両端部が左右の前後吊手棒50にそれぞれ結合されている。この横連結棒51にも吊手Sが装着され、吊手棒として機能する。
サポート60は、灯具受け40と前後吊手棒50とを連結し、前後吊手棒50を吊り下げて支持する支柱状の部材である。サポート60の上端部は、灯具受け40の下面に固定されている。また、サポート60の下端部には、前後吊手棒50が固定されている。
横吊手棒70は、車幅方向に直線状に延びて配置された丸パイプ状の部材であって、吊手Sが取り付けられるものである。横吊手棒70の両端部は、左右の戸袋内柱24の上端部近傍の内傾部分にそれぞれ固定されている。横吊手棒70は、左右の戸袋内柱24の上部間を連結する、本発明にいう連結部材として機能する。横吊手棒70は、ドア開口22の開口端に隣接して設けられる戸袋内柱24にそれぞれ設けられている。
横吊手棒70の両端部は、図4に示すように、パイプ71に挿入されている。パイプ71は、その端部から外径側へ張り出して形成された平板状のフランジ72を介して戸袋内柱24に固定されている。フランジ72は、戸袋内柱24に図示しないボルト等による締結、又は、溶接等によって固定される。このフランジ72及びパイプ71は、横吊手棒70の戸袋内柱24に対する固定角度を拘束する機能を有する。
また、横吊手棒70は、その中間部分において前後吊手棒50と交差し、結合されている。その結果、横吊手棒70及び前後吊手棒50は、図3(b)に示すような格子状の構造を形成する。これによって、車両の前後方向に分散する各横吊手棒70は、前後吊手棒50によって相互に連結される。
また、上述したサポート60は、前後吊手棒50の両端部、及び、このような横吊手棒70と前後吊手棒50との結合箇所に隣接して配置されている。
これによって、車体1の内部における上部には、戸袋内柱24の上端部、横吊手棒70、前後吊手棒50、サポート60、灯具受け40、屋根構10の垂木12、幕板受13、ブラケット26を順次連結して構成されたリング状の構造体が形成される。このリング状の構造体は、車体剛性を向上し、屋根構10と側構20との角度変化を拘束する機能を有する。
根太80は、左右の戸袋内柱24間を連結する、本発明にいう根太部材である。根太80は、床構30の上面に沿って車幅方向にほぼ直線状に延びる梁状に形成されている。根太80は、その両端に設けられたほぼ三角形のつなぎ金81を介して、左右の戸袋内柱24の下端部にそれぞれ固定されている。つなぎ金81は、根太80と戸袋内柱24の結合角度の変化を拘束する機能を有する。
上述した構成によって、車体1の内部には、左右の戸袋内柱24の上端部間を横吊手棒70で連結し、下端部間を根太80で連結して構成され、車体剛性の向上に寄与するリング状の構造体が形成される。
このようなリング状構造は、車体1の前後方向に分散して複数設けられた戸袋内柱24のうち、ドア開口22に隣接するものにそれぞれ設けられる。また、これら複数のリング状構造は、車体1の長手方向に伸びた幕板受13及び前後吊手棒50、さらに図示しない台枠によって相互に連結される。
以上説明した実施の形態によれば、戸袋内柱24の上部間を横吊手棒70によって連結し、戸袋内柱24の下部間を根太80によって連結し、リング状の構造体を形成することによって、簡素かつ軽量な構造によって車体の剛性を向上し、車体の振動モードを改善して乗り心地等を向上することができる。
さらに、このリング状の構造体の上側に、戸袋内柱24の上端部、横吊手棒70、サポート60、灯具受け40、垂木12、幕下受13、ブラケット26等からなる別のリング状の構造体を形成することによって、車体の剛性をよりいっそう向上することができる。
また、本実施の形態のような横吊手棒70及び根太80等を用いた車体1の剛性向上は、例えば屋根構10、側構20、床構30等の構体そのものを補強することに比べて、設計自由度が高く簡便であり、さらに新造車両のみでなく既存の車両にも容易に適用することができる。例えば、既存の横方向吊手棒を延長することによって、容易に本発明を適用することができる。
さらに、横吊手棒70を車体の補剛に活用することによって、車室内設備品としても活用することができ、車体設計の合理化、車体の軽量化、及び、乗員の利便性向上を図ることができる。
また、横吊手棒70が側面からの荷重を受けることができるため、側面衝突に対する強度も向上できる。
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記した実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
(1)鉄道車両用車体の構造、材質や、各部材の形状、配置等は適宜変更することができる。例えば、ステンレス鋼製車体に限らず、鋼製車体やアルミニウム合金製車体にも適用が可能であり、また、4扉、3扉等の通勤型、近郊型車両に限らず、他のタイプの車両にも適用することができる。
(2)連結部材の形状、構造や、連結する対象となる柱状部材も上述した実施の形態に限定されない。例えば、外吊側引戸が設けられる車両の場合には、ドア開口の側部に隣接して設けられる柱状部材の上部間を連結部材で連結する構成とすることができる。また、戸袋内柱に直接連結部材を連結する構造に代えて、例えば、戸袋内柱と幕板受とを連結する部材に連結部材を結合してもよい。また、連結部材は、必ずしも吊手棒を兼ねた構成としなくてもよい。
(3)前後吊手棒は、上記実施の形態では例えば連続した直線状に形成されているが、例えば乗降口の近傍は他の部分より高くした段違い構造としてもよい。
本発明を適用した鉄道車両用車体の実施の形態における模式的横断面図である。 図1の鉄道車両用車体の斜視断面図である。 図1の鉄道用車体の断面図である。 図3のIV−IV部矢視断面図である。
符号の説明
1 鉄道車両用車体 10 屋根構
11 屋根外板 12 垂木
13 幕板受 20 側構
21 外板 22 ドア開口
23 窓開口 24 戸袋内柱
25 戸尻柱 26 ブラケット
26a 締結面部 26b 側面部
30 床構 40 灯具受け
50 前後吊手棒 51 横連結棒
60 サポート 70 横吊手棒
71 パイプ 72 フランジ
80 根太 81 つなぎ金
90 妻構
D ダクト S 吊手

Claims (7)

  1. 屋根構、側構、及び、床構を有する鉄道車両用車体であって、
    前記側構に設けられ上下方向にほぼ沿って伸びた柱状部材と、
    前記屋根構の下方に該屋根構とは離間して設けられ、車幅方向にほぼ沿って伸びるとともに左右の前記柱状部材の上部間を連結する連結部材と
    を備えることを特徴とする鉄道車両用車体。
  2. 前記柱状部材は、側引戸が収容される戸袋に設けられた戸袋内柱であること
    を特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用車体。
  3. 前記柱状部材は、外吊側引戸が設けられる開口部の近傍に設けられること
    を特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用車体。
  4. 前記連結部材は、吊手が装着される吊手棒の一部を構成すること
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鉄道車両用車体。
  5. 前記連結部材は、車体の前後方向に分散して複数設けられるとともに、車体の前後方向に沿って配置され吊手が装着される前後方向吊手棒によって相互に連結されること
    を特徴とする請求項4に記載の鉄道車両用車体。
  6. 前記連結部材と、前記前後方向吊手棒を前記屋根構に固定する支柱との車体前後方向における位置をほぼ一致させたこと
    を特徴とする請求項5に記載の鉄道車両用車体。
  7. 前記床構に沿って車幅方向に延びるとともに、左右の前記柱状部材の下部を連結する根太部材を備えること
    を特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の鉄道車両用車体。
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