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JP2009539346A - Obフォールドドメイン - Google Patents

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JP2009539346A JP2009511976A JP2009511976A JP2009539346A JP 2009539346 A JP2009539346 A JP 2009539346A JP 2009511976 A JP2009511976 A JP 2009511976A JP 2009511976 A JP2009511976 A JP 2009511976A JP 2009539346 A JP2009539346 A JP 2009539346A
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WaikatoLink Ltd
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Abstract

本明細書では、望ましい特性を有する改変OBフォールドドメインと、改変OBフォールドドメインのライブラリを作製する方法と、このような方法によって作成される改変OBフォールドドメインのライブラリと、所望の生物活性についてこのような改変OBフォールドドメインのライブラリをスクリーニングする方法と、このようなライブラリから同定される改変OBフォールドドメインを提供する。また、本明細書では、改変された結合相互作用を示す、Pyrobaculum aerophilumから得られる改変OBフォールドドメインも提供する。

Description

(関連出願への相互参照)
この出願は、2006年5月26日に出願された表題「OB Fold Domains」の米国仮特許出願第60/809,105号の優先権の利益を主張する。
発明の背景
分子認識は、シグナル伝達経路の高親和性のタンパク質‐リガンド相互作用からより一過性のタンパク質‐タンパク質認識事象までに至る生物学的プロセスの中心をなす。このような事象は、生物の進化に伴い新たな役割に適応しているタンパク質の多様性に依存する。一例として、外来抗原を捕らえるために、(約10個の変異体を含む)免疫系のナイーブライブラリに由来する少数の抗体が、抗原を認識し、中等度の親和性でその抗原に結合する。選択とマチュレーションによってさらなる変異が導入され、抗原の除去に必要な強固で特異的な結合がもたらされる。このようにして、膨大な数の結合様式を基本的な抗体スキャフォールドにグラフトして、小分子から細胞全体までの種々の標的を捕捉することができる。
この方式を実験室で繰り返して、抗体変異体の非常に大きなライブラリ(1010種類を超えるクローン)(2、3)を作成することが可能であり、次いで特定の標的に対する結合についてこれらを選択することができる。増幅と結合選択のサイクルを繰り返し行うことで、強固で特異的な分子結合特性を有する試験管抗体を「発見」することができる。このin vitro手法はまた他のスキャフォールドにも適用することができる。例えば、成長ホルモンおよび増殖因子ヘレグリンとそれらの各受容体との結合を研究および改善するに当たっては、ファージディスプレイ法によるランダム化と選択がこれまで使用されており(4、5)、ブドウ球菌タンパク質A由来の3本へリックスバンドルドメインのライブラリからは「Affibody」が開発されている(6、7)。この全般的な領域がいくつかのレビューでテーマとなっている(8〜10)。
OBフォールドドメインは一般的に、広範なタンパク質に認められる小さな構造モチーフであり、その名前は元々、それ自体が有するオリゴヌクレオチド‐オリゴ糖結合特性に由来している。OBフォールドドメインは5つのストランドからなる閉鎖型βバレルであり、大多数のOBフォールドドメインタンパク質は、リガンド結合にまたは活性部位として同じ面を使用する。種々のOBフォールドドメインは、オリゴ糖、オリゴヌクレオチド、タンパク質、金属イオン、および触媒基質の結合にこの「フォールド関連結合表面」を使用する。OBフォールドドメインについては、例えば、非特許文献1および非特許文献2に記載されている。特許文献1には、結合特性を有するβプリーツシートタンパク質の記載がある。
本明細書で引用されるすべての特許、特許出願、特許出願公開、学術刊行物、およびその他の刊行物は、全体が参考として本明細書で援用される。
カナダ特許公開第2378871号明細書
Arcus,Curr.Opin.Struct.Biol.,(2002)Vol.12:794‐801 Theobald,Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.,(2003)Vol.,32:115‐33
発明の要旨
本発明は、所望の特性を有する改変OBフォールドドメイン、および改変OBフォールドドメインのライブラリを作製する方法を提供する。本発明はまた、このような方法によって作成される改変OBフォールドドメインのライブラリ、およびこのような改変OBフォールドドメインのライブラリを所望の生物活性についてスクリーニングする方法も提供する。さらに、本発明は、このようなライブラリから同定される改変OBフォールドドメインも提供する。本明細書ではまた、改変された結合相互作用を示す、Pyrobaculum aerophilumから得られる改変OBフォールドドメインも提供される。改変OBフォールドドメインは、天然OBフォールドドメインと比較して、同じ基質に結合することもできれば、あるいは天然OBフォールドドメインと比較して、異なる基質に結合することもでき、あるいは天然OBフォールドドメインと比較して、同じ基質と異なる基質の両方に結合することもできる。あるいは、天然OBフォールドドメインと結合する既知の基質がない改変OBフォールドドメインを作成することもでき、この改変OBフォールドドメインは基質と結合する。
したがって、一態様において、本発明は、天然OBフォールドドメインから得られる単離された改変OBフォールドドメインであって、前記改変OBフォールドドメインが、a)天然OBフォールドドメインと比較して、OBフォールドドメイン結合表面のβストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、またはb)OBフォールドドメイン結合表面のβストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、およびOBフォールドドメインループ領域のストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、またはc)OBフォールドドメインループ領域のストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基を含み、前記改変OBフォールドドメインが、天然OBフォールドドメインと比較して、変化した結合特性を有する、改変OBフォールドドメインである。一実施形態において、天然OBフォールドドメインの結合パートナーが既知である場合に、本発明は、改変OBフォールドドメインであって、前記ドメインが、天然OBフォールドドメインとは異なる結合パートナーに特異的に結合するか、あるいはその天然に存在する結合パートナーとの改変された結合を有する、改変OBフォールドドメインである。別の実施形態において、改変された結合は、対応する天然OBフォールドドメインと比較して、改変OBフォールドドメインとその天然に存在する結合パートナーとの解離定数における少なくとも約25%、約50%、または約75%の低下を含む。別の実施形態において、改変された結合は、対応する天然OBフォールドドメインと比較して、改変OBフォールドドメインとその天然に存在する結合パートナーとの解離定数における少なくとも約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約6分の1、約8分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約50分の1、約100分の1、約200分の1、約500分の1、約1000分の1、約5000分の1、約10,000分の1、約50,000分の1、または約100,000分の1の低下を含む。別の実施形態において、本発明は、天然OBフォールドドメインが、以下からなる群から選択されるタンパク質またはタンパク質クラスに生じる、改変OBフォールドドメインである:ブドウ球菌ヌクレアーゼタンパク質、細菌性エンテロトキシン、TIMP様タンパク質、ヘムシャペロンCcmEタンパク質、尾結合リゾチームgp5、N末端ドメインタンパク質、核酸結合タンパク質、無機ピロホスファターゼ、Mop様タンパク質、CheW様タンパク質、tRNA_anti(OBフォールド核酸結合ドメイン)、Telo_bind(テロメア結合タンパク質αサブユニット、中心ドメイン)、SSB(一本鎖結合タンパク質ファミリーのOBフォールドドメイン)、DUF338のOBフォールドドメイン、DNA_ligase_aden_(NAD依存性DNAリガーゼOBフォールドドメイン)、Stap‐Strp毒素(ブドウ球菌/連鎖球菌毒素、OBフォールドドメイン)、EIF‐5a(真核生物開始因子5A Hypusine、DNA結合OBフォールドドメイン)、GP5_OB(GP5 N末端OBフォールドドメイン)、CSD、DNA_ligase_OB、DUF388、EFP、eIF‐1a、mRNA_cap_C、OB_RNB、Phage_DNA_bind、Rep‐A_N、Rho_RNA_bind、Ribosomal_L2、Ribosomal_S12、Ribosomal_S17、RNA_pol_Rpb8、RuvA_N、S1、TOBE、TOBE_2、およびtRNA_bind。別の実施形態において、本発明は、天然OBフォールドドメインが好熱性生物に由来する、改変OBフォールドドメインである。さらに別の実施形態において、本発明は、好熱性生物がPyrobaculum aerophilumである、改変OBフォールドドメインである。別の実施形態において、本発明は、改変アミノ酸残基が、結合表面のβストランド内に存在する、改変OBフォールドドメインである。
改変OBフォールドドメインの結合パートナーは、核酸、オリゴ糖、タンパク質、ホルモン、および有機小分子からなる群から選択される場合がある。
別の態様において、本発明は、改変OBフォールドドメインを取得する方法であって、a)結合表面のストランドおよび/またはループのストランドを含む、天然OBフォールドドメインをコードするまたはその一部分をコードする核酸を取得する工程と、b)天然OBフォールドドメインと比較して、結合表面のβストランド上の少なくとも1つの改変アミノ酸残基および/またはループのストランド上の少なくとも1つの改変アミノ酸残基をコードするように核酸を変化させる工程とを含み、改変OBフォールドドメインが得られ、改変OBフォールドドメインが、天然OBフォールドドメインと比較して、変化した結合を有する、方法である。別の実施形態において、天然OBフォールドドメインの結合パートナーが既知である場合に、改変された結合は、対応する天然OBフォールドドメインと比較して、改変OBフォールドドメインとその天然に存在する結合パートナーとの解離定数における少なくとも約25%、約50%、または約75%の低下を含む。別の実施形態において、改変された結合は、対応する天然OBフォールドドメインと比較して、改変OBフォールドドメインとその天然に存在する結合パートナーとの解離定数における少なくとも約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約6分の1、約8分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約50分の1、約100分の1、約200分の1、約500分の1、約1000分の1、約5000分の1、約10,000分の1、約50,000分の1、または約100,000分の1の低下を含む。一実施形態において、前記方法は、改変OBフォールドドメインをコードする核酸を変化させる工程、および/または改変OBフォールドドメインを含むタンパク質の少なくとも1つのアミノ酸をコードする核酸を変化させる工程もさらに含む。
別の態様において、本発明は、ディスプレイのための改変OBフォールドドメインタンパク質のライブラリを作製する方法であって、a)OBフォールドドメインまたはその一部分をコードする核酸を取得する工程と、b)その核酸をランダムな変化に供することにより、少なくとも1つのランダム化したアミノ酸残基を有する改変OBフォールドドメインをコードする変化させた核酸の集合体を生成する工程とを含む。一実施形態において、本発明は、ディスプレイのための改変OBフォールドドメインタンパク質のライブラリを作製する方法であって、核酸が、OBフォールドドメイン結合表面のストランドおよび/またはOBフォールドドメインのループのストランドの少なくとも1つのアミノ酸残基をコードする、方法を提供する。別の実施形態において、前記方法は、改変OBフォールドドメインをコードする変化させた核酸のライブラリを、前記改変OBフォールドドメインをその表面に提示し得る宿主細胞またはウイルス粒子の集団に導入する工程もさらに含む。
別の態様において、本発明は、天然OBフォールドドメインから得られる改変OBフォールドドメインをコードする単離された核酸であって、前記改変OBフォールドドメインが、a)天然OBフォールドドメインと比較して、OBフォールドドメイン結合表面のβストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、またはb)OBフォールドドメイン結合表面のβストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、およびOBフォールドドメインループ領域のストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、またはc)OBフォールドドメインループ領域のストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基を含み、前記改変OBフォールドドメインが、天然OBフォールドドメインと比較して、変化した結合特性を有する、核酸を提供する。別の実施形態において、天然OBフォールドドメインの結合パートナーが既知である場合に、変化した結合特性は、対応する天然OBフォールドドメインと比較して、改変OBフォールドドメインとその天然に存在する結合パートナーとの解離定数における少なくとも約25%、約50%、または約75%の低下を含む。別の実施形態において、変化した結合特性は、対応する天然OBフォールドドメインと比較して、改変OBフォールドドメインとその天然に存在する結合パートナーとの解離定数における少なくとも約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約6分の1、約8分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約50分の1、約100分の1、約200分の1、約500分の1、約1000分の1、約5000分の1、約10,000分の1、約50,000分の1、または約100,000分の1の低下を含む。
別の態様において、本発明は、上述の改変OBフォールドドメインの核酸をコードする核酸を含む、宿主細胞またはウイルス粒子を提供する。さらに別の態様において、本発明は、上述の改変OBフォールドドメインの核酸をコードする核酸を含む組成物を提供する。
別の態様において、本発明は、改変OBフォールドドメインのライブラリを、結合パートナーとの結合についてスクリーニングする方法であって、a)改変OBフォールドドメインのライブラリをその表面に提示する宿主細胞またはウイルス粒子の集団を取得する工程と、b)結合パートナーと改変OBフォールドドメインとの結合に適した条件下で、宿主細胞またはウイルス粒子の集団を結合パートナーと接触させる工程と、c)結合パートナーと改変OBフォールドドメインとの結合を決定する工程とを含む、方法を提供する。一実施形態において、宿主細胞またはウイルス粒子は、改変OBフォールドドメインをその表面に提示するファージである。
別の態様において、本発明は、改変OBフォールドドメインのファージライブラリであって、改変OBフォールドドメインがPyrobaculum aerophilumから得られる、ファージディスプレイを提供する。
別の態様において、本発明は、細胞またはウイルス粒子の表面に提示される改変OBフォールドドメインを提供する。一実施形態において、細胞またはウイルス粒子は、ファージ、細菌、または酵母である。
別の態様において、本発明は、固体支持体に結合した改変OBフォールドドメインを提供する。一実施形態において、支持体は、ビーズ、ガラス、スライド、チップ、およびゼラチンからなる群から選択される。
別の態様において、本発明は、付表IIに列挙する、U1、U2、U3、U4、U5、U6、U7、U8、U9、S68、S81、pMB16、pMB17、pMB12、pMB18、pMB15、D05、D07、D09、D04、L14、L8、L4、L16、L34、L42、L6、L5、またはL44という名称の配列を有する改変OBフォールドドメインタンパク質を提供する。別の態様において、本発明は、付表IIに列挙する、U1、U2、U3、U4、U5、U6、U7、U8、U9、S68、S81、pMB16、pMB17、pMB12、pMB18、pMB15、D05、D07、D09、D04、L14、L8、L4、L16、L34、L42、L6、L5、またはL44という名称の配列との約90%、約95%、約98%、または約99%の配列相同性を有するタンパク質を提供する。別の態様において、本発明は、付表IIに列挙する、U1、U2、U3、U4、U5、U6、U7、U8、U9、S68、S81、pMB16、pMB17、pMB12、pMB18、pMB15、D05、D07、D09、D04、L14、L8、L4、L16、L34、L42、L6、L5、またはL44という名称の配列との約90%、約95%、約98%、または約99%の配列同一性を有するタンパク質を提供する。上記の態様のすべてにおいて、タンパク質は、単離するか、精製するか、または単離および精製することができる。
別の態様において、本発明は、付表IIに列挙する、U1、U2、U3、U4、U5、U6、U7、U8、U9、S68、S81、pMB16、pMB17、pMB12、pMB18、pMB15、D05、D07、D09、D04、L14、L8、L4、L16、L34、L42、L6、L5、またはL44という名称の配列によって指定されるタンパク質をコードする核酸を提供する。別の態様において、本発明は、付表IIに列挙する、U1、U2、U3、U4、U5、U6、U7、U8、U9、S68、S81、pMB16、pMB17、pMB12、pMB18、pMB15、D05、D07、D09、D04、L14、L8、L4、L16、L34、L42、L6、L5、またはL44という名称の配列との約90%、約95%、約98%、または約99%の配列相同性を有するタンパク質をコードする核酸を提供する。別の態様において、本発明は、付表IIに列挙する、U1、U2、U3、U4、U5、U6、U7、U8、U9、S68、S81、pMB16、pMB17、pMB12、pMB18、pMB15、D05、D07、D09、D04、L14、L8、L4、L16、L34、L42、L6、L5、またはL44という名称の配列との約90%、約95%、約98%、または約99%の配列同一性を有するタンパク質をコードする核酸を提供する。
したがって、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
天然に存在するOBフォールドドメインから取得可能な単離された改変OBフォールドドメインであって、この改変OBフォールドドメインは、
(a)この天然に存在するOBフォールドドメインと比較して、このOBフォールドドメイン結合表面のβストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、または
(b)このOBフォールドドメイン結合表面のβストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、およびこのOBフォールドドメインループ領域のストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、または
(c)このOBフォールドドメインループ領域のストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基
を含み、この改変OBフォールドドメインが、この天然に存在するOBフォールドドメインと比較して、変化した結合特性を有する、
改変OBフォールドドメイン。
(項目2)
上記ドメインが、上記天然に存在するOBフォールドドメインとは異なる結合パートナーに特異的に結合するか、またはその天然に存在する結合パートナーとの改変された結合を有する、項目1に記載の改変OBフォールドドメイン。
(項目3)
上記天然に存在するOBフォールドドメインが、ブドウ球菌ヌクレアーゼタンパク質、細菌性エンテロトキシン、TIMP様タンパク質、ヘムシャペロンCcmEタンパク質、尾結合リゾチームgp5、N末端ドメインタンパク質、核酸結合タンパク質、無機ピロホスファターゼ、Mop様タンパク質、CheW様タンパク質、tRNA_anti(OBフォールド核酸結合ドメイン)、Telo_bind(テロメア結合タンパク質αサブユニット、中心ドメイン)、SSB(一本鎖結合タンパク質ファミリーのOBフォールドドメイン)、DUF338のOBフォールドドメイン、DNA_ligase_aden(NAD依存性DNAリガーゼOBフォールドドメイン)、Stap‐Strp毒素(ブドウ球菌/連鎖球菌毒素、OBフォールドドメイン)、EIF‐5a(真核生物開始因子5A Hypusine、DNA結合OBフォールドドメイン)、GP5_OB(GP5 N末端OBフォールドドメイン)、CSD、DNA_ligase_OB、DUF388、EFP、eIF‐1a、mRNA_cap_C、OB_RNB、Phage_DNA_bind、Rep‐A_N、Rho_RNA_bind、Ribosomal_L2、Ribosomal_S12、Ribosomal_S17、RNA_pol_Rpb8、RuvA_N、S1、TOBE、TOBE_2、およびtRNA_bindからなる群から選択されるタンパク質またはタンパク質クラス内に存在する、項目1または項目2の改変OBフォールドドメイン。
(項目4)
上記天然に存在するOBフォールドドメインが好熱性生物に由来する、項目1または項目2に記載の改変OBフォールドドメイン。
(項目5)
上記好熱性生物がPyrobaculum aerophilumである、項目4に記載の改変OBフォールドドメイン。
(項目6)
上記改変アミノ酸残基が、フォールド関連結合表面のβストランド内に存在する、項目1〜5のいずれかに記載の改変OBフォールドドメイン。
(項目7)
上記改変OBフォールドドメインの上記結合パートナーが、核酸、オリゴ糖、タンパク質、ホルモン、および有機小分子からなる群から選択される、項目1〜6のいずれかに記載の改変OBフォールドドメイン。
(項目8)
項目1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインを取得する方法であって、
a)天然に存在するOBフォールドドメインをコードする核酸あるいは結合表面のストランドおよび/またはループのストランドを含む天然に存在するOBフォールドドメインの一部分をコードする核酸を取得する工程と、
b)この天然に存在するOBフォールドドメインと比較して、この結合表面のβストランド上の少なくとも1つの改変アミノ酸残基および/またはループのストランド上の少なくとも1つの改変アミノ酸をコードするようにこの核酸を変化させる工程であって、ここで、改変OBフォールドドメインが得られ、この改変OBフォールドドメインが、この天然に存在するOBフォールドドメインと比較して、変化した結合を有する、工程と、
を含む、方法。
(項目9)
上記改変OBフォールドドメインをコードする核酸を変化させる工程、および/またはこの改変OBフォールドドメインを含むタンパク質の少なくとも1つのアミノ酸をコードする核酸を変化させる工程もさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
ディスプレイのための改変OBフォールドドメインタンパク質のライブラリを作製する方法であって、
a)OBフォールドドメインまたはその一部分をコードする核酸を取得する工程と、
b)この核酸をランダムな変化に供することにより、少なくとも1つのランダム化したアミノ酸残基を有する改変OBフォールドドメインをコードする変化させた核酸の集合体を生成する工程と、
を含む、方法。
(項目11)
上記核酸が、上記OBフォールドドメイン結合表面のストランドおよび/またはOBフォールドドメインのループのストランドの少なくとも1つのアミノ酸残基をコードする、項目10に記載の方法。
(項目12)
改変OBフォールドドメインをコードする変化させた核酸の上記ライブラリを、上記改変OBフォールドドメインをその表面に提示し得る宿主細胞の集団に導入する工程もさらに含む、項目10または項目11に記載の方法。
(項目13)
項目1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインをコードする、単離された核酸。
(項目14)
項目1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインをコードする核酸を含む、宿主細胞。
(項目15)
項目1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインをコードする核酸を含む、ファージ。
(項目16)
項目1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインをコードする核酸を含む、組成物。
(項目17)
改変OBフォールドドメインのライブラリを、結合パートナーとの結合についてスクリーニングする方法であって、
a)改変OBフォールドドメインのライブラリをその表面に提示する宿主細胞またはウイルス粒子の集団を取得する工程と、
b)この改変OBフォールドドメインとこの結合パートナーとの結合に適した条件下で、この宿主細胞またはウイルス粒子の集団をこの結合パートナーと接触させる工程と、
c)この結合パートナーとこの改変OBフォールドドメインとの結合を決定する工程と、
を含む、方法。
(項目18)
上記宿主細胞またはウイルス粒子が、上記改変OBフォールドドメインをその表面に提示するファージである、項目17に記載の方法。
(項目19)
項目1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインのファージライブラリであって、この改変OBフォールドドメインがPyrobaculum aerophilumから取得可能である、ファージライブラリ。
(項目20)
細胞またはウイルス粒子の表面に提示される、項目1〜7のいずれか1項に記載の改変OBフォールドドメイン。
(項目21)
上記細胞またはウイルス粒子が、ファージ、細菌、または酵母である、項目20に記載の改変OBフォールドドメイン。
(項目23)
固体支持体に結合した、項目1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメイン。
(項目24)
上記支持体が、ビーズ、ガラス、スライド、チップ、およびゼラチンからなる群から選択される、項目23に記載の改変OBフォールドドメイン。
連鎖球菌スーパー抗原SMEZ‐2由来のOBフォールドドメインを示す(25)。図1Aは、くぼんだ結合表面を示す。 連鎖球菌スーパー抗原SMEZ‐2由来のOBフォールドドメインを示す(25)。図1Bは、N末端およびC末端とともに標識したβシートおよびループを有する概略構造である。β2、β4、およびβ5は、分断化されたβストランドであり、これらの各要素の間に突出部またはループを有する。 連鎖球菌スーパー抗原SMEZ‐2由来のOBフォールドドメインを示す(25)。図1Cは、このタンパク質の対応するトポロジー図である(24)。残基は円で示し、水素結合は点線で示す。また、ループを標識し、せん断数Sを示す。 aspRS‐OBのライブラリ構築に使用されるオリゴヌクレオチドの概略図である。図2Aは、オリゴヌクレオチドの上のボックス内に示したaspRS‐OBの二次構造エレメントを示す。下の矢印と数字は、使用したプライマーを示す。十字マークはランダム化したコドンを示す。フラグメント1〜4は、2回目のPCR工程で連結させる。この図では、13mRLライブラリの構築を示している(表4も参照)。 aspRS‐OBのライブラリ構築に使用されるオリゴヌクレオチドの概略図である。図2Bは、IF5A‐OBのライブラリ構築に使用されるオリゴヌクレオチドの概略図を示す。11m、9m、2RLおよび2RL+2ライブラリの3つの独立した方法で、異なるライブラリの構築を行っている。記号は図2Aと同じである。 Pyrobaculum aerophilum(1BKB、34)由来の開始因子IF‐5Aを示す。IF‐5Aのこのリボンモデル図は、C末端側に位置し、リンカーによってN末端ドメインから分離されるOBフォールドを示す。βストランドおよびαへリックスは、それぞれ矢印とらせん状のリボンで示す。βストランド1〜3は、OBフォールドの提案した一本鎖DNA結合表面を形成する。 大腸菌asp‐tRNAシンテターゼの結晶構造を示す(1C0A、(37))。このリボンモデル図はaspRSの構造を示し、OBフォールドとC末端側酵素ドメインの関係を示す。βストランドおよびαへリックスは、それぞれ矢印とらせん状のリボンで示す。βストランド1〜3、およびβストランド4と5の間のループ4/5を含む結合表面を示している(36)。 種々の種に由来するaspRSOBフォールドドメインの配列アラインメントを示す。図5Aは、OBフォールドの二次構造(配列の下に示す)を示し、βストランドを標識する。矢印で示した残基は、結合表面上に保存された残基であり、いくつかのライブラリでランダム化されている。ヒトおよび酵母の配列は長いN末端を有し、いずれの場合も残基1から始まらないことに留意されたい。右側の数字は、各タンパク質におけるアミノ酸の位置を示す。 種々の種に由来するaspRSOBフォールドドメインの配列アラインメントを示す。図5Bは、種々の種に由来するIF‐5AのOBフォールドドメインの配列アラインメントを示す。 種々の種に由来するaspRSOBフォールドドメインの配列アラインメントを示す。図5Cは、Pyrobaculum aerophilum(P.a)、Pyrococcus kodakaraensis(P.kodak.)、および大腸菌(E.coli)由来のaspRS‐OBの配列アラインメントを示す。配列同一性はアスタリスクで示す。OBフォールドの二次構造は配列の下に示し、lはストランド4と5の間のループ、ループ4/5である。 aspRS‐OBおよび誘導体のファージディスプレイ法に使用されるpRPSP2の概略図である。ファージショックプロモーター(psp)、pelBリーダー配列、NcoI/NotI制限部位を含むクローニング部位、ウェスタン解析に使用されるc‐mycタグ、およびpIIIタンパク質をコードするgIII遺伝子が示されている。ファージディスプレイ法に供した融合タンパク質は、クローニング部位に挿入した遺伝子の遺伝子産物、c‐mycタグ、およびpIIIタンパク質から構成される。pRPSP2はまた、アンピシリンでの選択に使用するβラクタマーゼ遺伝子も含む(図6には示さず)。 ファージディスプレイ法に供したaspRS‐OBのウェスタン解析である。左側の列(インサートなし)は、TDPの調製に空のベクターpRPSP2を使用したためpIIIのみを表しており、中央の列はVCSM13に提示したpIIIと融合したaspRS‐OBを示し、右側の列はgIII欠失ファージVd3に提示したaspRS‐OBである。1011個のTDPをSDSおよびBMBの存在下でボイルし、10%SDS‐PAGEで分離した後、0.45μmのニトロセルロース膜に転写した。そしてマウス抗c‐myc抗体とHRP結合ウサギ抗マウス抗体を使用して検出を行った。 asp‐tRNAへの結合によってaspRS由来の野生型OBフォールドの機能的提示を示すを目的とした、aspRS‐OB提示TDPと野生型VCS‐M13による模擬ファージ実験を示す。固定化したtRNAをVCS‐M13(野生型ファージ、提示なし)とaspRS‐OB提示TDPともにインキュベートした。VCS‐M13とTDPの比率は1000:1超であった。洗浄後、RNaseAによるRNA消化を行うことによって、結合した粒子を溶出した。VCS‐M13およびTDPそれぞれと、ビーズのみまたは固定化tRNAについて、入出力を除算して回収率を算出した。入出力データについては表6を参照されたい。 asp‐tRNAでのライブラリRL(黒丸、実線)、およびasp‐tRNA(黒丸、点線)またはリゾチーム(白丸、破線)でのライブラリ13mLの1回目〜6回目の選択によるファージの濃縮(−対数(出力ファージ/入力ファージ)として)である。 asp‐tRNAで選択したOBRL由来の選択クローンの配列解析の概要である。12個のクローンの内10個が1番目の位置にRまたはKを、7個が2番目の位置にGを、8個が3番目の位置にCを、6個が4番目の位置にRを含んでいた。コンセンサス配列はR/K G C Rであることが示唆された。 選択したクローンのasp‐tRNAへの結合をモノクローナルファージ結合実験により解析した結果を示す。ビオチン化asp‐tRNAをストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズ上に固定化し、モノクローナルファージ試料とともにインキュベートした。RNA結合粒子をRNA消化によって特異的に溶出させ、細菌感染によりカウントした。Y軸は、入力ファージ、ビーズのみからの出力ファージ、およびtRNAから溶出したファージの数を使用して算出した回収率を示す。実験は2回行い、エラーバーは±標準偏差を表す。pIIIは融合体なし、OB3wtは野生型aspRS‐OB、D07、D09はasp‐tRNAで選択した13mRL由来の変異体、16、17はasp‐tRNAで選択したasp‐RS‐OBのRL由来の変異体pMB16およびpMB17であり、L6およびL33はリゾチームで選択した13mRL由来の変異体である。 選択前および選択後のaspRS‐OBライブラリの配列の概要である。Aは選択前であり、U1〜U6は13mRLライブラリに由来し、U8、U9はRLライブラリに由来する。Bは、13mRL由来の可溶性の非選択変異体である。Cは、asp‐tRNAで選択したRL由来の変異体である。Dは、asp‐tRNAで選択した13mRL由来の変異体である。Eは、リゾチームで選択した13mRL由来の変異体である。asp‐OB野生型の配列は、対応する残基番号と位置とともに一番上に示す。 リゾチームへの結合体についてのマイクロパニングプレスクリーニングを示す。96ウェルのプレートをリゾチーム(黒色のバー)またはBSA(白色のバー)でコーティングし、6回の選択後にピックアップしたクローン由来のモノクローナルファージ試料とともにインキュベートした。結合したファージを溶出し、細菌感染によってカウントした。y軸の数値は回収したファージの数を示し、x軸にはクローン番号を示し、pIIIは融合体なし(空のベクター)を示し、OBwtは提示した野生型asp‐OBを示す。 選択したクローンのリゾチームへの結合に関するELISA解析を示す。BSA(白色)、RNaseA(斜線)、およびニワトリ卵白リゾチーム(黒色)を固定化し、モノクローナルファージ試料とともにインキュベートした。結合した粒子を、マウス抗M13一次抗体とHRP結合抗マウス二次抗体により検出した。実験は2回行い、エラーバーは±標準偏差を表す。pIIIは提示した融合体なしであり、OBwtは野生型aspRS‐OBフォールドである。 図15A〜15Bは、リゾチームで選択した精製aspRS‐OB変異体を使用したプルダウンアッセイを示す。図15Aでは、変異体をGST融合体としてグルタチオンビーズ上に固定化し、リゾチームとともにインキュベートした。洗浄後、ビーズをSDS‐PAGEで解析した。1列目は13mRL81(非選択変異体、陰性対照)、2列目はL5、3列目はL16、4列目はL4(L18)、5列目はL8(L21)、6列目はビーズのみ(二重陰性対照)である。図15Bでは、L6(1列目の可溶性画分)を固定化し、上記と同じ方法でリゾチームとともにインキュベートした。TBS(2列目)、TBS‐T(3列目)、TBS‐T500mMのNaCl(4列目)で洗浄後、ビーズを充填し、ゲル上で解析した。 選択したOBフォールドドメインL6とリゾチーム間の結合のKを判定するために表面プラズモン共鳴を使用した結合曲線を示す。この実験から算出したKは、3.6×10−5Mであった。 OBodyとリゾチームの複合体の構造を示す。OBodyは、二次構造エレメントを示す図(左側)として示す。リゾチームは(右側の)図として示す。(OBodyの)Arg39は、リゾチームの活性部位の方向へ向いていた棒と点で示す。この残基は、リゾチームの活性部位の酸性残基(Glu35およびAsp52)との水素結合を形成する(図20を参照)。 OBodyとリゾチームの複合体のタンパク質間境界面における水素結合の相互作用の例を示す。残基を棒で示し、標識した(D36およびY37はObodyに由来し、W63、D101、およびN103はリゾチームに由来)。水素結合は点線で示す。D36からW63への水素結合が、骨格のD36のカルボニルとW63の側鎖のNH基の間にあることに留意されたい。 ObodyL8がリゾチームインヒビターである可能性を示す図である。E35とD52は、リゾチームの活性部位の触媒残基であり、H60はリゾチームの天然インヒビターに由来する。His60は、リゾチームGlu35との水素結合を形成し、それによって酵素を阻害する。OBodyのR39は、E35とD52の両方との水素結合を同じように形成する。OBodyの骨格とリゾチームの天然インヒビターは、α炭素のトレースとして示す。リゾチームのα炭素のトレースは、分かりやすくするために省略している。
配列表の簡単な説明
Figure 2009539346
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(発明の詳細な説明)
元々、オリゴ糖‐オリゴヌクレオチド結合特性が観察されたことからその名が付けられた、「OBフォールドドメイン」または「OBフォールド」または「OBフォールドタンパク質ドメイン」は、改変OBフォールドドメインを作成するために、ならびに所望の生物活性(例えば、所望の標的への結合)および変化した酵素特性についてスクリーニングが可能な改変OBフォールドドメインのライブラリを作製するために、分子認識ドメインまたはスキャフォールドとして使用できることを、本発明者等は発見した。OBフォールドドメインは元々、それ自体が有するオリゴ糖‐オリゴヌクレオチド結合特性からその名が付けられたが、その後、タンパク質間の境界面にも認められている(Theobaldら、Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.,Vol.32:115‐33(2003))。したがって、本発明は、所望の特性を有する改変OBフォールドドメインの作成方法における、OBフォールドドメインまたはその一部分の使用と、改変OBフォールドドメインのライブラリを作製する方法と、このような方法によって作成される改変OBフォールドドメインのライブラリと、このような改変OBフォールドドメインのライブラリを所望の生物活性についてスクリーニングする方法と、このようなライブラリから同定される改変OBフォールドドメインと、に部分的に関する。例えば、このような改変OBフォールドドメインのライブラリは、1つ以上の特定の対象標的(例えば、ヌクレオチド、タンパク質、または炭水化物)との増加または低下した結合相互作用、あるいは増加または低下した酵素活性を有する、改変OBフォールドドメインまたはその一部分についてスクリーニングすることができる。
本明細書に開示する説明例では、Pyrobaculum aerophilum由来のアスパラギン酸tRNAシンテターゼ(AspRS)のtRNAアンチコドン結合ドメインに基づく改変OBフォールドドメインのファージディスプレイライブラリの作成、作成されたAspRS改変OBフォールドドメインの安定性、および作成されたAspRS改変OBフォールドドメインの適切なフォールディングを、本発明者等が実証した。また、本明細書に開示する説明例では、本発明者等は、ファージの表面でのAspRS改変OBフォールドドメインの機能的提示を実証し、それによって所望の特性を有する改変OBフォールドドメインに関するライブラリのスクリーニングを実現した。本明細書に示す通り、本発明者等は、本明細書に開示する組成物および方法を使用して、核酸結合ドメインから天然の状態のままリゾチームタンパク質結合分子へと変換した改変AspRSOBフォールドドメインの作成、スクリーニングおよび選択を実現した。本明細書に開示する他の説明例では、OBフォールドドメインを含有するPyrobaculum aerophilum由来の開始因子IF‐5Aを、改変OBフォールドドメインライブラリの作成に使用した。
タンパク質のOBフォールドドメインは、改変OBフォールドドメインまたは改変OBフォールドドメインのライブラリの作成や分子認識事象についてのスクリーニングのためのプラットフォームとして使用できるという発見は、診断方法や治療方法に応用でき、本明細書で記載の通り、抗体またはその他のタンパク質のスキャフォールドを使用した当該技術分野で既知の手法よりも優る利点を有する。当業者であれば理解するように、本明細書に開示する、Pyrobaculum aerophilum由来のAspRSまたはIF5Aの改変OBフォールドドメインのライブラリ作成方法は、本明細書に記載し当該技術分野で既知の他のOBフォールドドメインに適用することができる。当業者であれば理解するように、当該技術分野で既知のさらなる提示およびスクリーニング方法は、所望の特性を有する改変OBフォールドドメインを同定するために使用することができる。改変OBフォールドドメインは、固定および/または固体表面に結合し、結合相互作用についてのスクリーニングに使用できることも企図される。例えば、OBフォールドタンパク質は、固定表面に共有結合させることもできれば、あるいはアフィニティータグ(例えば、6×Hisタグ)を使用して表面に結合させることもできると考えられる。タンパク質を表面に共有結合させる方法は当業者に既知であり、表面にタンパク質を付着させるのに使用できるアフィニティータグは当業者に既知である。さらに、OBフォールドタンパク質は、ビーズ、ガラス、スライド、チップ、およびゼラチンを含むがこれらに限定されない固体表面に結合させることできる。したがって、一連のOBフォールドタンパク質は、当業者に既知の技法を使用して固体表面上にアレイを作製するのに使用することができる。例えば、米国特許出願公開第2004/0009530号には、アレイの作成方法が開示されている。
一般的な技法
本発明の実施においては、特に記載がない限り、当該技術分野の範囲に含まれる分子生物学(遺伝子組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来技法が使用される。このような技法は、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrookら、1989)、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984)、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987)、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir&C.C.Blackwell,eds)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller&M.P.Calos,eds,1987)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら、eds.,1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullisら、eds.,1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら、eds.,1991),The Immunoassay Handbook(David Wild,ed.,Stockton Press NY,1994)、およびMethods of Immunological Analysis(R.Masseyeff,W.H.Albert,and N.A.Staines,eds.,Weinheim:VCH Verlags gesellschaft mbH,1993),およびGennaroら、2000,Remington:the Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.Lipincott Williams and Wilkins:Baltimore,MDのような文献に詳細に説明されている。
定義
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語とその同種の用語は、包括的な意味で使用され、すなわち、「含む(including)」という用語とその対応する同種の用語に等しい。
本明細書で使用される単数形(“a”、“an”および“the”)は、特に記載がない限り複数の言及を含む。
OBフォールドドメインを含むことを特徴とする各種タンパク質は、当該技術分野で既知であり、本明細書に記載されている。本明細書で詳述する通り、「OBフォールドドメイン」は、保存されたフォールドと結合表面の構造的特徴を共有するファミリーメンバーを包含する。OBフォールドドメインメンバーは配列関連性も共有する場合がある。任意のOBフォールドドメインまたはその一部分は、改変OBフォールドドメインの作成に使用できることが企図される。本明細書で使用される「天然」のOBフォールドドメインとは、核酸またはアミノ酸改変を含むように遺伝子操作されていないOBフォールドドメインを指す。本明細書で使用される「改変OBフォールドドメイン」は、天然OBフォールドドメインと比較して、少なくとも1つの改変アミノ酸残基を含む。改変OBフォールドドメインがフォールド関連結合表面を保持し、結合パートナーとの相互作用に利用可能である限り、改変には、1つ以上の残基の欠失、置換、または付加、またはそれらの組み合わせが含まれる。「改変OBフォールドドメイン」が、天然OBフォールドドメインの厳密な構造的特徴を保持する必要はない。改変OBフォールドドメインがフォールド関連結合表面を保持し、結合パートナーとの相互作用に利用可能である限り、改変OBフォールドドメインは、結合表面(結合表面はβシートおよび隣接するループを含む)、ループストランド、コア領域(水溶性溶媒にさらされない、タンパク質の疎水性内部にある領域)のアミノ酸残基内の改変を含めた、任意のアミノ酸残基内の改変を含む場合があり、OBフォールドドメインを含むタンパク質のいずれかの部分におけるアミノ酸改変もさらに含む場合がある。いくつかの実施例において、改変OBフォールドドメインは、天然OBフォールドドメインが結合しない結合パートナーを結合できることを特徴とする。他の実施例において、改変OBフォールドドメインは、その天然に存在する結合パートナーとの改変された結合を有する。いくつかの実施例において、OBフォールドドメインは単離され、すなわち、そのOBフォールドドメインが含まれている天然のタンパク質の少なくとも一部分から取り出される。他の実施例において、改変OBフォールドドメインは、非天然のタンパク質と結合している。他の実施例において、改変OBフォールドドメインは、天然OBフォールドドメインが結合しないか、または天然OBフォールドドメインが非特異的にのみ結合する、天然または非天然のタンパク質と結合している。他の実施例においては、天然OBフォールドドメインが既知の結合パートナーを有さない改変OBフォールドドメインを作成することができる。特定の結合パートナーへの結合について改変OBフォールドドメインをスクリーニングする場合に、天然OBフォールドドメインに対する結合パートナー(該当する場合)は、先験的に知られていない場合があることが理解されるであろう。
変化した結合特性を有する天然OBフォールドドメインの天然の基質と結合する改変OBフォールドドメインを作成することができる。このような変化した結合特性は、天然OBフォールドドメインと同じ条件下で示すことができる。あるいは、変化した結合特性は、熱安定性結合(例えば、改変OBフォールドドメインは、天然OBフォールドドメインよりも、高温における天然基質へのより強力な結合を示す)、熱不安定性結合(例えば、改変OBフォールドドメインは、天然OBフォールドドメインよりも、高温における天然基質へのより弱い結合を示す)、種々のpH条件下での改変された結合(例えば、改変OBフォールドドメインは、天然OBフォールドドメインよりも、高pH条件下における天然基質へのより強力な結合を示すか、または天然OBフォールドドメインよりも、高pH条件下における天然基質へのより弱い結合を示すか、または低pHにおける天然基質へのより天然OBフォールドドメインよりも強力な結合を示すか、または低pHにおける天然基質へのより弱い結合を示す)、あるいは種々のイオン強度条件下における改変された結合(例えば、改変OBフォールドドメインは、天然OBフォールドドメインよりも、高イオン強度における天然基質へのより強力な結合を示すか、または天然OBフォールドドメインよりも、高イオン強度における天然基質へのより弱い結合を示すか、または天然OBフォールドドメインよりも、低イオン強度における天然基質へのより強力な結合を示すか、または天然OBフォールドドメインよりも、低イオン強度における天然基質へのより弱い結合を示す)の内の1つ以上である場合がある(がこれらに限定されない)。改変された結合特性または変化した結合特性は、対応する天然OBフォールドドメインと比較して、改変OBフォールドドメインとその天然に存在する結合パートナーとの解離定数における少なくとも約25%、約50%、または約75%の低下を含む場合がある(すなわち、改変OBフォールドドメインは、天然OBフォールドドメインよりも少なくとも約1.33倍、2倍、または3倍強力に結合する場合がある)。一実施形態において、改変された結合は、対応する天然OBフォールドドメインと比較して、改変OBフォールドドメインとその天然に存在する結合パートナーとの解離定数における少なくとも約2分の1、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約6分の1、約8分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約50分の1、約100分の1、約200分の1、約500分の1、約1000分の1、約5000分の1、約10,000分の1、約50,000分の1、または約100,000分の1の低下を含む(すなわち、改変OBフォールドドメインは、天然OBフォールドドメインよりも少なくとも約2、約3、約4、約5、約6、約8、約10、約15、約20、約25、約50、約100、約200、約500、約1000、約5000、約10,000、約50,000、または約100,000倍強力に結合する場合がある)。
改変OBフォールドドメインの「ライブラリ」とは、天然OBフォールドドメインと比較して、高い割合で改変OBフォールドドメインを含むOBフォールドドメインの集合体を指す。すなわち、改変OBフォールドドメインのライブラリは、前記集合体が改変OBフォールドドメインのみを含むことを含意しない。改変OBフォールドドメインのライブラリは、いくらかの割合の非改変または天然OBフォールドドメインを含む場合がある。前記ライブラリは、1つ以上または複数のランダム化したアミノ酸残基を有するOBフォールドドメインを含む場合がある。例えば、改変OBフォールドドメインのライブラリは、1つ以上の構造領域、例えば、結合表面、および/またはループ領域、および/またはコア領域中に存在し得る、1つのアミノ酸残基におけるランダムな改変(前記改変は、1種類の改変(例えば、単一のアミノ酸置換)、または複数種の改変(例えば、単一のアミノ酸と複数のランダムなアミノ酸との置換である場合がある)、または複数のアミノ酸残基におけるランダムな改変を含む、OBフォールドドメインを含む場合がある。フォールド関連結合表面が結合パートナーとの相互作用に利用可能である限り、改変OBフォールドドメインは、さらなる改変を有する場合もあれば、あるいは改変OBフォールドドメインを含むタンパク質は、アミノ酸残基中に改変を有する場合もある。改変OBフォールドドメインの「ライブラリ」は、集合体のメンバーの数にいかなる特定の大きさの制限も含意しない。ライブラリは、わずか約10個の変異体を含む場合があり、1020個以上の変異体にまで及ぶ場合がある。いくつかの実施形態において、前記ライブラリは、最大約10個の変異体を有し、またいくつかの実施形態において、前記ライブラリは、最大約1012個の変異体を有する。改変OBフォールドドメインの「ライブラリ」は、核酸の変化によってコードされる、すなわち、発現系への導入前の遺伝子の構築段階にある、改変OBフォールドドメインの集合体、ならびに発現系に導入され、発現し、および/または提示される集合体を指す。
本明細書で交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー(すなわち、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれか)を指す。これらの用語には、一本鎖、二本鎖、または三本鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、DNA‐RNAハイブリッド、またはプリンおよびピリミジン塩基を含むポリマー、またはその他の天然の、化学的・生化学的に改変された、非天然の、または誘導体化されたヌクレオチド塩基が含まれる。ポリヌクレオチドの骨格は、糖およびリン酸基(RNAまたはDNAに典型的に認められるような)、または改変もしくは置換された糖もしくはリン酸基を含むことができる。あるいは、ポリヌクレオチドの骨格は、ホスホルアミダートのような合成サブユニットのポリマーを含むこともでき、したがって、オリゴデオキシヌクレオシドホスホルアミダート(P‐NH2)または混合ホスホルアミダート‐ホスホジエステルオリゴマーであってよい。Peyrottesら、(1996)Nucleic Acids Res.24:1841‐8、Chaturvediら、(1996)Nucleic Acids Res.24:2318‐23、Schultzら、(1996)Nucleic Acids Res.24:2966‐73。ホスホロチオエート結合は、ホスホジエステル結合の代わりに使用することができる。Braunら、(1988)J.Immunol.141:2084‐9、Latimerら、(1995)Molec.Immunol.32:1057‐1064。さらに、適切な条件下で相補鎖を合成しアニーリングするか、または適切なプライマーを有するDNAポリメラーゼを使用して新規に相補鎖を合成するかのいずれかによって、化学合成の一本鎖ポリヌクレオチド産物から二本鎖ポリヌクレオチドを取得することができる。ポリヌクレオチド配列の言及(配列番号の言及など)は相補性配列も含む。
以下は、ポリヌクレオチドの非限定例である:遺伝子または遺伝子断片、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐鎖ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、改変ヌクレオチド(例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体)、ウラシル、その他の糖および結合基(例えば、フルオロリボースやチオエート)、およびヌクレオチドの分枝を含む場合がある。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド要素によって遮断される場合がある。ポリヌクレオチドは、例えば標識成分との接合などによって重合後にさらに改変される場合がある。本定義に含まれるその他の種類の改変には、キャップ、1つ以上の天然ヌクレオチドと類似体との置換、ならびにポリヌクレオチドをタンパク質、金属イオン、標識成分、他のポリヌクレオチド、または固体支持体に結合する手段の導入がある。好ましくは、ポリヌクレオチドはDNAである。本明細書で使用される「DNA」は、塩基A、T、CおよびGを含むだけでなく、それらの類似体のいずれかまたはこれらの塩基の改変体(例えば、メチル化ヌクレオチド)、ヌクレオチド間の改変(例えば、非荷電性結合およびチオエート)、糖類似体の使用、ならびに改変されたおよび/または代替の骨格構造(例えば、ポリアミド)も含む。
「転写制御下」とは、当該技術分野で十分に理解される用語であり、通常はDNA配列であるポリヌクレオチド配列の転写が、転写の開始に寄与するか転写を促進するエレメントに前記配列が操作可能(操作的)に連結されていることに依存することを示す。「操作可能に連結される」とは、エレメントが機能できるように配置されている並列を指す。
「宿主細胞」は、OBフォールドドメインを、およびいくつかの実施例においては改変OBフォールドドメインをコードする核酸のレシピエントであってもよいか、レシピエントであった、個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、前記子孫は、自然、偶発的または意図的な変異および/または変化によって、必ずしも元々の親細胞と(形態または全体のDNA相補性において)完全に同一であるわけではない。宿主細胞には、OBフォールドドメインをコードする核酸によりin vivoまたはin vitroにてトランスフェクトまたは感染した細胞が含まれる。いくつかの実施例において、宿主細胞は、OBフォールドドメインをその表面に発現および提示する能力(例えば、ファージディスプレイ能力)を有する。「発現」には転写および/または翻訳が含まれる。
OBフォールドドメインまたはその一部分を「コードする」核酸とは、OBフォールドドメインまたはその一部分を作成するために転写および/または翻訳が可能な核酸である。このような核酸のアンチセンス鎖も、OBフォールドドメインをコードすると言われている。
I.OBフォールドタンパク質ドメイン
最も一般的なレベルでは、OBフォールドドメインは、5つのストランドからなる混合型βバレルである。例えば、Arcus,2002,Curr.Opin.Struct.Biol.Vol 12:794‐801を参照されたい。OBフォールドドメインは、3つすべての界に認められ、本明細書に詳述する通り、配列および構造学的データベースの両方で表される。一般的に言うと、OBフォールドドメインには、フォールドと機能的結合表面が保存されている。種々のOBフォールドドメインは、それらのフォールド関連結合表面を使用して、オリゴ糖、オリゴヌクレオチド、タンパク質、金属イオン、および触媒基質と様々に結合する。
OBフォールドドメインはいくつかの特徴を有しており、これらの特徴によって、前記ドメインは、アミノ酸位置のランダム化や所望の特性を有する改変OBフォールドドメインの選択に使用するスキャフォールドとして非常に適したものとなっている。OBフォールドドメインは、通常は小さく安定したタンパク質であり、容易に作成およびランダム化される。Theobaldら、2003,supraには、OBフォールドドメインの長さが70〜150個のアミノ酸に及ぶことが開示されている。さらに、OBフォールドドメインタンパク質の面は、進化の過程で多様であることがすでに示されており、ランダム化に利用可能である。OBフォールドドメインは、3つすべての界に遍在しており、そのため、特定の応用に適合するようにOBフォールドドメインを選択することができる。例えば、改変OBフォールドドメインのライブラリの作成に使用する熱安定性微生物由来のOBフォールドドメインが本明細書に記載されている。OBフォールドドメインは治療用途に選択することができ、例えば、酵素的OBフォールドドメインは、新たな酵素活性を有するタンパク質の作成に選択することができる。これらの特徴は、より従来の抗体およびタンパク質のスキャフォールドよりも優る利点をもたらす。
OBフォールドタンパク質ドメインの全体構造は、5つのストランドからなる混合型fc‐バレルであり、2つの可変ループ領域が隣接する外側の結合表面として凹型fc‐シートを提示している。ほとんどの場合、前記バレルは、グリークキー型のトポロジーを有し、バレルの一端はαへリックスでキャップされている(23)。βバレルは、ストランドの数nとせん断数S(26、27)とによって固有に記述される。せん断数は、バレルの軸からのストランドの傾きの度合いを表すものである。図1A〜1Cには、S=10の6バレルが示されている。これは、形式上βシートの一部である(故にβ突出部を含まない)残基の数であり、AからA*までストランドに沿ってカウントされる。OBフォールドには2つの可能性(S=8またはS=10)があり、これらは両方とも観察されている。例として、tRNAを結合するアスパルチルtRNAシンテターゼ(aspRS)のOBフォールドドメインはS=10であるのに対し、コールドショックOBフォールドドメインDNA結合ドメインはS=8である。OBフォールドドメイン結合表面は、中央にβストランド2および3を有し、ループ1によって左下部で、ループ4によって上部で、およびループ2によって右上部で結合されている(図1A〜1Cを参照)。種々のOBフォールドドメイン構造において、ループ2および4は、長さと配列の両方において幅広い変化を示す。Arcus,2002,Curr.Opin.Struct.Biol.,Vol 12:794‐801を参照されたい。改変OBフォールドドメインの長さは変化する可能性がある。例えば、ループ2は、2〜4個のアミノ酸の間で変化することが多く、ループ4は、3〜10個のアミノ酸の間で変化することが多く、また場合によりループ4は、最大30個のアミノ酸のさらに長い挿入に対応する。
配列解析を行った20個のゲノムのサーベイでは、最も多く認められる生物学的アーキテクチャーの一覧の28番目にOBフォールドドメインを位置づけている(27)。OBフォールドドメインは、ヒト、酵母、および細菌を含めた広範なタンパク質に認められている。例えば、細菌性スーパー抗原(Sag)において、OBフォールドドメインは、ヒトの免疫系における細菌攻撃時のタンパク質‐タンパク質相互作用を媒介する(21および22)。これらのタンパク質において、前記OBフォールドドメインは、タンパク質、オリゴヌクレオチド、およびオリゴ糖を含めた幅広いリガンドを結合する(23)。OBフォールドドメインタンパク質の多様性の例には、腫瘍遺伝子BRCA2での一本鎖DNA結合(Yang H.et al.,2002 Science,Vol.297,1837‐1848)、酵母タンパク質Cdc13の染色体上におけるテロメア末端結合(Lei M.et al,2003 Nature,Vol.426,198‐203)、および病原菌における細胞表面のオリゴ糖結合(Stein P.E. et al,1994,Structure,Vol.2,45‐47)が含まれる。タンパク質構造を関連する「ファミリー」および「スーパーファミリー」に分類する基準となるStructural Classification of Protein(SCOP)データベースに定められている通り、OBフォールドタンパク質ドメインは9つの関連するスーパーファミリーに認められる。同じ「ファミリー」に属するOBフォールドドメインは、配列、構造および機能レベルにおいて進化上の関連性があり、共通の祖先に由来すると考えられている。同じ「スーパーファミリー」に属するOBフォールドドメイン「ファミリー」は、明確な配列類似性がなくても、類似の構造的および機能的特徴に基づく進化上の関連性がある。SCOPデータベースは、既知の構造のタンパク質で構成されている(すなわち、これらの構造は、X線結晶学または高分解能NMRのいずれかを使用して実験により決定されている)。他のOBフォールドドメインは、構造的関連性、すなわち、フォールド関連結合表面の存在、または本明細書に記載され当該技術分野で既知である、既知のOBフォールドドメインに対する構造的関連性および配列関連性に基づき、当業者が決定することができる。スーパーファミリーおよびファミリーには配列類似性が存在し、これらを、これまでOBフォールドアンブレラ下で構造が決定されていない他のタンパク質の同定に使用することができる。例えば、公的に利用可能なPfamデータベース(<sanger.ac.uk/Software/Pfam>)を参照されたい。他の公的に利用可能なデータベースは、Superfamily(<supfam.mrclmb.cam.ac.uk/SUPERFAMILY>)であり、これはSCOP由来の隠れマルコフモデルを使用して、タンパク質の配列をスーパーファミリーに分類している。例えば、「核酸結合タンパク質」は、SCOPデータベース内のスーパーファミリーを含む。現在、SCOP内のこのスーパーファミリーには、11のファミリーと66の個々のタンパク質構造が存在する。これらの11のファミリーと66の構造から、Superfamilyデータベースは、21,158個のタンパク質配列を、「核酸結合タンパク質」スーパーファミリーに属するOBフォールドタンパク質として分類する法則を導き出した。同様に、CheW様スーパーファミリーは、SCOP内の1つのファミリーと2つのタンパク質構造を有するだけであるが、Sperfamilyデータベースではこれが拡大されて、898個のタンパク質を含んでいる。
i.SCOPにおけるOBフォールドドメインの分類
n=5およびS=10またはS=8であり、グリークキーモチーフを有し、すべてがβの閉鎖型または部分開放型のバレル構造としてSCOPによって特徴付けられているOBフォールドドメインのクラスに関しては、SCOPは現在、以下のスーパーファミリーを同定している(括弧内の数字はSCOP照合番号である):
1.ブドウ球菌ヌクレアーゼ(50199)
ブドウ球菌ヌクレアーゼに関しては現在のところこのファミリーの単独のメンバーが存在するが、ブドウ球菌ヌクレアーゼのデータベースには多くの構造が存在する。OBフォールドは閉鎖型βバレルであり、n=5、S=10である。
2.細菌性エンテロトキシン(50203)
細菌性エンテロトキシンの場合、このスーパーファミリーには、細菌性AB5毒素(Bサブユニット)およびスーパー抗原毒素のN末端ドメインという2つのファミリーが存在する。細菌性AB5毒素には、大腸菌由来の易熱性毒素、コレラ毒素、および百日咳毒素が含まれる。すべてが閉鎖型βバレルトポロジーを有し、n=5でS=10であるが、バレルが部分開放型のコレラ毒素が唯一の例外である。スーパー抗原様毒素およびスーパー抗原毒素のN末端ドメインは、黄色ブドウ球菌および化膿性連鎖球菌由来のすべてのタンパク質であり、典型的にn=5、S=10の閉鎖型バレルのトポロジーを有する。これらの微生物のゲノムにコードされこれらのタンパク質は数多く存在する。ブドウ球菌のタンパク質は、“Standard Nomenclature for the Superantigens Expressed by Staphylococcus.”Gerard Lina,Gregory A.Bohach,Sean P.Nair,Keiichi Hiramatsu,Evelyne Jouvin‐Marche,and Roy Mariuzza,for the International Nomenclature Committee for Staphylococcal
Superantigens The Journal of Infectious Diseases 2004;189:2334‐6に基づき、近年名称が改められた。
3.TIMP様
TIMP様タンパク質は、現在3つのファミリーに分類される真核生物のタンパク質であり、すべてn=5、S=10の閉鎖型バレルのトポロジーを有する:
a.組織メタロプロテイナーゼインヒビター、TIMP(50243)(C末端伸長部に不規則なα+βサブドメインを含む)。
b.Netrin様ドメイン(NTR/C345Cモジュール)(89320)
c.アグリンのラミニン結合ドメイン(63767)
4.ヘムシャペロンCcmE(82093)
ヘムシャペロンCcmEに関しては、このスーパーファミリーにアノテーションを付けた1つのファミリーが存在する。代表的な構造は、大腸菌およびS.putrefaciensに由来する。
5.尾結合リゾチームgp5、N末端ドメイン(69255)
尾結合リゾチームgp5、N末端ドメインについては、ファミリーとこのスーパーファミリーの両方を表す1つの構造が存在する。このタンパク質はバクテリオファージT4に由来し、N末端ドメインは、ファージの細胞貫通部を形成するさらに大きなタンパク質複合体の一部である。
6.核酸結合タンパク質(50249)
核酸結合タンパク質は、多数のタンパク質を包含する大きなスーパーファミリーである。以下はファミリーの区分と記述子である:
a.アンチコドン結合ドメイン(50250)
バレル、閉鎖型、n=5、S=10
b.RecG「ウェッジ」ドメイン(69259)
c.DNAヘリカーゼRuvAサブユニット、N末端ドメイン(50259)
バレル、閉鎖型、n=5、S=10
d.一本鎖DNA結合ドメイン、SSB(50263)
バレル、閉鎖型、n=5、S=10
e.Myfドメイン(50277)
f.コールドショックDNA結合ドメイン様(50282)
バレル、閉鎖型、n=5、S=8
g.Hypothetical protein MTH1(MT0001)、インサートドメイン(74955)
h.DNAリガーゼ/mRNAキャッピング酵素、ドメイン2(50307)
i.ファージssDNA結合タンパク質(50315)(4)
バレル、開放型、n*=5、S*=8、メンバーの構造は、細胞性生物由来のものよりも大きく変化する。
j.DNA複製イニシエーター(cdc21/cdc54)N末端ドメイン(89332)
k.RNAポリメラーゼサブユニットRBP8(50321)
二重。2つの不完全なOBフォールドのタンデムリピートを含む。単一のバレルを形成、n=8、S=10。
7.無機ピロホスファターゼ(50324)
無機ピロホスファターゼについては、このスーパーファミリーに唯一のファミリーが存在する。このファミリーは、細菌、古細菌、および真核生物の例があるように、非常に古くからの系統を有する。
1.無機ピロホスファターゼ(50325)
バレル、閉鎖型、n=5、S=8
1.無機ピロホスファターゼ(50326)
真核生物の酵素は、N末端およびC末端の両方に他の二次構造を有する。
a.パン酵母(サッカロミセス・セレビシエ)(50327)
b.古細菌Sulfolobus acidocaldarius(50328)
c.大腸菌(50329)
d.Thermus thermophilus(50330)
8.MOP様(50331)
MOP様グループ分類には3つのファミリーが存在し、すべてが類似の機能性を有し、すべて細菌に由来する。
a.モリブデン酸塩/タングステン酸塩結合タンパク質MOP(50332)
b.BiMOP、モリブデン酸塩結合二重ドメイン(50335)
二重。C末端ストランドにスワッピングを生じた2つのOBフォールドドメインのタンデムリピート。
c.ABCトランスポーター追加ドメイン(50338)
おそらくbiMOPドメインに由来。
9.CheW様(50341)
これはThermotoga maritima由来の2つの構造(CheWおよびCheA)を有する1つのファミリーで表される。
ii.配列データベースPfamおよびSuperfamily
SCOPの記載は、X線結晶学またはNMRのいずれかによってその3次元構造が決定されている、タンパク質由来のOBフォールドドメインに関する。Pfamデータベースに配列類似性に基づき、およびSuperfamilyデータベースにSCOP由来の配列プロファイルに基づき同定された後、主要な配列データに適用されている、他のOBフォールドタンパク質ドメインは、本発明の適用範囲内に包含される。本発明は、当業者に既知の他のOBフォールドドメインを包含する。
後述の通り、Pfamには、ともにOBフォールドドメインを表す多くのファミリーが存在する。アノテーションは以下の通りである。

ファミリー名
アノテーション
Pfam受入番号
Pfamデータベースにおけるこのファミリー内のタンパク質の総数

tRNA_anti
OBフォールド核酸結合ドメイン
受入番号:PF01336
タンパク質数:1351

Telo_bind
テロメア結合タンパク質αサブユニット、コアドメイン
受入番号:PF02765
タンパク質数:33

SSB
一本鎖結合タンパク質ファミリー
受入番号:PF00436
タンパク質数:415

DUF388
機能が未知のドメイン(DUF388)
受入番号:PF04076
タンパク質数:49

DNA_ligase_aden
NAD依存性DNAリガーゼOBフォールドドメイン
受入番号:PF03120
タンパク質数:190

Stap_Strp_toxin
ブドウ球菌/連鎖球菌毒素、OBフォールドドメイン
受入番号:PF01123
タンパク質数:180

eIF‐5a
真核生物開始因子5A Hypusin、DNA結合OBフォールド
受入番号:PF01287
タンパク質数:104
Gp5_OB
Gp5 N末端OBドメイン
受入番号:PF06714
タンパク質数:6。
本明細書に記載され、当該技術分野で既知であり、後に同定されるOBフォールドドメインはすべて、改変OBフォールドドメインを作成するために、ならびに変化した結合特性および変化した機能的特徴についてのスクリーニングに使用できる改変OBフォールドドメインのライブラリを作製するために、スキャフォールドとして使用することができる。
iii.アミノ酸のランダム化に使用されるOBフォールド結合表面
改変OBフォールドドメインおよび/または改変OBフォールドドメインのライブラリは、本明細書に記載されるか、当該技術分野で既知であるか、または後に同定されるものを含めたいずれかのOBフォールドドメインの構造に基づいて作成することができる。改変OBフォールドドメインのライブラリは、本明細書に記載され、当該技術分野で既知の方法に基づいて作成することができる。例えば、ある任意のOBフォールドドメインについて、1つ以上のアミノ酸残基(例えば、外側の結合表面のストランド内のアミノ酸残基、および/またはループのストランド内のアミノ酸残基、および/またはOBフォールドドメインを含むタンパク質の他の部分内のアミノ酸残基)をコードする核酸は、アミノ酸残基のランダム化(すなわち、核酸の改変による1つ以上のアミノ酸残基のランダム変異)の標的とすることができる。いくつかの実施例において、OBフォールドドメインの外側の結合表面のストランド内のアミノ酸残基は、アミノ酸残基のランダム化の標的とされる。他の実施例において、OBフォールドドメイン内の特定の構造をアミノ酸残基のランダム化の標的とすることができる。例えば、OBフォールドドメイン結合表面のストランド内に存在する1つ以上のアミノ酸残基は、ランダム化の標的とすることができる。OBフォールドドメイン結合表面は、βストランド1、βストランド2、βストランド3からなるC末端側の半分と、βストランド4およびβストランド5からなるC末端側の半分を含む。図1A〜1Cを参照されたい。別の実施例において、コアOBフォールドドメインのβストランド間のループ内のアミノ酸残基は、ランダム変異の標的される場合がある。別の実施例において、OBフォールドコアドメインに隣接するループ領域内に主要な挿入がある場合(例えば、無機ピロフォスファターゼ)、これらの挿入ループ上のアミノ酸残基は、ランダム化のために選択される場合がある。本発明はまた、タンパク質に対する安定性の変化を生じるように改変されたコアの一部分(すなわち、アミノ酸残基)を有する改変OBフォールドドメインも包含する。
II.改変OBフォールドドメインの作成と提示方法
本明細書の実施例に記載の例示的実施形態において、変異が導入された2つの好熱性OBフォールドタンパク質ドメイン、翻訳開始因子IF‐5A(S=8)、およびアスパルチルtRNAシンテターゼaspRS(S=10)を、OBフォールドタンパク質の結合表面内のアミノ酸残基をランダム化することによって、改変OBフォールドドメインのライブラリの作成に使用した。これらのタンパク質はともに、超好熱性クレンアーキアのPyrobaculum aerophilumに由来する。ライブラリは、OBフォールドドメインの結合表面内の特定のアミノ酸位置がランダム化されているロングオリゴヌクレオチドを使用して合成により作成した後、PCRを使用して遺伝子構築を行った。ライブラリを、それらのコードしたタンパク質の過剰発現率に関して検査し、ライブラリによってコードした可溶性および耐熱性タンパク質の割合に関して計算を行った。本明細書には、aspRS OBフォールドドメイン(aspRS‐OB)がファージ表面に提示および選択できることが示されている。tRNA、タンパク質、およびセルロースリガンドを含めた種々の基質への結合能を有する改変OBフォールドドメインが作成可能であることを示すために、本明細書の実施例に記載のように、aspRSのスキャフォールドに基づく種々の改変OBフォールドドメインのライブラリを作製し、ファージディスプレイ法に供した。本明細書に開示する一例示的実施形態においては、天然の状態で核酸結合ドメインであった改変OBフォールドドメインと、リゾチームとの間の結合相互作用が示されている。
当業者であれば理解するように、当該技術分野で既知である、核酸の改変を作成する各種方法は、1つ以上のアミノ酸残基における改変を有するOBフォールドドメインの作成(コード)に使用することができる。OBフォールドドメインをコードする核酸は、当該技術分野で標準的な方法(例えば、化学合成、遺伝子組換え法)を使用して得る場合もあれば、および/または生物供給源から得る場合もある。対象の核酸は、特定の宿主細胞における発現に必要な1つ以上のエレメントの制御下に配置される場合がある。OBフォールドドメインの増殖には種々の宿主細胞が利用可能であり、表面に改変OBフォールドドメインを提示させるのに使用される場合があるディスプレイ方法は、当該技術分野で既知であり、本明細書で記載される。ディスプレイ方法には、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ、およびmRNAディスプレイが含まれるが、これらに限定されない。
i.ディスプレイ方法
ディスプレイ技術は、発現したタンパク質からなる大きなライブラリを、固定化したリガンドを使用してスクリーニングし、個々のタンパク質と標的リガンドの間の新たな相互作用を特徴付けるまたは発見する工程を伴う。ディスプレイ技術の最も重要な特徴は、スクリーニングしているタンパク質(発現型)をそれらをコードする遺伝情報(遺伝子型)と結び付けることができる点である。すべてのディスプレイ技術において、遺伝情報は、スクリーニングしたタンパク質と同時に単離される。これは一般的に、タンパク質またはタンパク質断片を生物実体(例えば、ファージ、酵母、または細菌)の表面に提示し、ライブラリの増幅に生物の複製系を使用することによって行われる。これらのin vivo系の代わりとして、プロセス全体をin vitroで行うことも可能であり、このような技術は、リボソームディスプレイまたはmRNAディスプレイと呼ばれる。このような場合、in vitroで作成した転写物は、細胞抽出物に翻訳され、RT‐PCRを使用して、mRNA‐リボソーム‐タンパク質複合体のリガンドを媒介した単離後に、遺伝情報の増幅が行われる。
a.ファージディスプレイ
糸状バクテリオファージの表面への外来ペプチドおよびタンパク質の提示は、「ファージディスプレイ」と呼ばれ、現在では分子間相互作用の研究に一般的に使用されている方法である。通常、スクリーニングするタンパク質ライブラリは、バクテリオファージ粒子の一端のgene IIIタンパク質産物との融合体として、またはファージ粒子表面のgVIIIタンパク質との融合体として発現される。このようなファージライブラリを細菌に感染させると、非常に効率的なライブラリ増幅が可能となる(Griffithら、1994)。典型的なファージディスプレイプロトコルは、細菌性宿主内でファージ粒子を作成する工程を伴い、各粒子は、自身の外殻タンパク質の内の1種(gIIIまたはgVIIIタンパク質)との融合体として、遺伝子ライブラリの1メンバーの遺伝子産物を提示する。ファージライブラリの標的への結合、非結合ファージを除去する洗浄工程、および結合粒子の溶出を伴う、固定化した標的分子への結合の選択プロセス(バイオパニング)によって、ファージ粒子のライブラリが得られる。通常は、所望の特性を有する分子の選択には、溶出したファージを細菌性宿主における再増幅と、固定化した標的上での選択とを伴う、複数回のパニングが必要となる。本明細書の実施例に開示する例示的実施形態において、改変OBフォールドドメインの提示およびスクリーニングには、ファージディスプレイ法が使用される。
b.細菌ディスプレイおよび酵母ディスプレイ
細菌ディスプレイおよび酵母ディスプレイ技術によって、酵母細胞サッカロミセス・セレビシエ(Boder and Wittrup,1997)または細菌(大腸菌、スタフィロコッカス・カルノーサス)(Daughertyら、1998;Wernerusら、2003)の表面に、それぞれアグルチニン酵母接着受容体または細菌性外膜タンパク質(OMP)との融合体として、組換えタンパク質を発現させることができる。
発現した融合タンパク質もタグ配列を含み、フローサイトメトリーによるライブラリの表面発現の定量化が可能となる。リガンドの間接的蛍光標識と組み合わせると、抗タグ標識では、FACS(蛍光活性化細胞選別)による細胞選別と、相互作用の結合親和性の判定が可能となる(Feldhausら、2003;Wernerusら、2003)。酵母発現系を他のディスプレイ法よりも価値のあるものとする酵母発現系の特徴とは、細菌またはin vitroディスプレイ系では問題となる可能性がある、哺乳類タンパク質の正確な翻訳後修飾、プロセッシングおよびフォールディングである。
c.リボソームディスプレイおよびmRNAディスプレイ
リボソームディスプレイおよびmRNAディスプレイは、in vitroでの大きなタンパク質ライブラリの選択や溶出を可能にする技法である。必要となる唯一の生物成分は、タンパク質配列をコードするin vitro作成転写物の翻訳に必要な因子を含有する細菌性細胞抽出物である。リボソームディスプレイの遺伝子型と発現型は、リボソーム複合体を介して互いに結合しており、選択に使用される、メッセンジャーRNA(mRNA)、リボソーム、およびコードされたタンパク質から構成されている(Hanes and Pluckthun,1997)。mRNAディスプレイ法では、mRNAと翻訳されたタンパク質との結合にピューロマイシンを使用し、それによって遺伝子型および表現型の情報を含有するmRNA‐タンパク質複合体の精製を行う。選択後、単離したmRNAまたはmRNA複合体はRT‐PCRによって増幅され、別の回の選択のために転写および翻訳することができる(Lipovsek and Pluckthun,2004)。ディスプレイ法の参考文献には以下の一覧が含まれ、これらはすべて全体が参考として本明細書で援用される:Boder ET and Wittrup KD(1997)Nat Biotechnol.15:553−7;Feldhaus MJら、(2003)Nat Biotechnol.21:163−70;Griffiths,ADら、(1994)EMBO Journal 13,3245−3260;Hanes J,Pluckthun A.,et al(1997)PNAS May 13;94(10):4937−42;およびLipovsek D,Pluckthun A.,(2004)J.Immunological Meth.290 51−67;Wernerus Hら、(2003)Appl Environ Microbiol.69(9):5328−35。
ディスプレイ法は、例えば以下の文献に開示されている:Boder ET and Wittrup KD(1997)Nat Biotechnol.15:553−7;Feldhaus MJら、(2003)Nat Biotechnol.21:163−70;Griffiths,ADら、(1994)EMBO Journal 13,3245−3260;Hanes J,Pluckthun A.,et al(1997),PNAS May 13;94(10):4937−42;Lipovsek Dら、(2004)J. Immunological Meth.290 51−67;およびWernerus H,ら、(2003)Appl Environ Microbiol.69(9):5328−35。
III.改変OBフォールドドメインのスクリーニングに利用できる可能性がある標的
天然OBフォールドドメインのリガンドは多種多様である。改変OBフォールドドメインのライブラリを作製することにより、OBフォールドドメインに利用できる可能性がある標的の多様性が拡大する。改変OBフォールドドメインのライブラリに対するスクリーニングに有力な標的は、例えば核酸、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、炭水化物、オリゴ糖、およびホルモンを含むがこれらに限定されない種々の分子を包含する。
i.核酸
多数のOBフォールドドメインが、一本鎖DNAおよびRNAへの結合に関与する。これらのドメインには、腫瘍遺伝子BRCA2の一本鎖DNA結合ドメイン、ヒト複製タンパク質A由来の複数のドメイン、ならびにアスパルチル‐およびリジル‐tRNAシンテターゼのアンチコドン結合ドメインが含まれる。したがって、一本鎖DNAおよびtRNAは、改変OBフォールドドメインライブラリのスクリーニングのためのリガンド標的として使用することができる。
ii.タンパク質標的
改変OBフォールドドメインライブラリのスクリーニングに使用できるタンパク質には、例えば酵素、調節タンパク質、タンパク質およびペプチドホルモン、輸送タンパク質など、種々のものがある。本明細書に開示する例示的実施形態においては、リゾチームがタンパク質標的として使用される。その他の標的には、ユビキチン、補体成分C4、プラスミノゲン前駆体、アポリポタンパク質A‐II、血漿プロテアーゼC1インヒビター、トランスサイレチン、および血清アミロイドP成分が含まれるが、これらに限定されない。
iii.オリゴ糖標的
オリゴ糖は、すべての生物の生物学において重要な役割を果たす。例えばラミナリヘキソース(laminarihexose)、マンノペンタオース、およびキシロペンタオースなどがあるがこれらに限定されないオリゴ糖基質が標的として使用可能である。
iv.ホルモン
OBフォールドドメインライブラリのスクリーニングには、例えばステロイドホルモン(エストロゲン、テストステロン、およびコルチゾール)、カテコールアミン(例えば、エピネフリン)、およびその他同じような分子などがあるがこれらに限定されないホルモンが使用可能である。現在のところ、OBフォールドドメインがステロイドホルモンまたはその他の補因子を天然のリガンドとして有するというエビデンスは存在しない。さらに、ステロイドに対する特異性が高い抗体は、これまでのところ作成が困難であり、OBフォールドドメイン結合表面のようなくぼんだ結合表面が、特定のホルモンに対する結合特異性の向上により優れていることが証明される可能性がある。
v.有機小分子
有機小分子(約1000ダルトン以下の分子量を有する有機分子として定義される)も、OBフォールドドメインの標的として使用可能である。有機小分子は、天然分子である場合もあれば、非天然の合成分子である場合もある。天然有機小分子は、生物系と関連する場合もあれば(例えば、ステロイドホルモン;上述を参照)、非生物的に発生する場合もある。有機小分子には、汚染物質またはその他の望ましくない物質、例えばDDTまたはポリ塩化ビフェニル(PCB)が含まれるが、これらに限定されない。有機小分子には、薬物および医薬品、例えばドキソルビシンおよびパクリタキセルが含まれるが、これらに限定されない。
IV.OBフォールドドメインの応用
本明細書で記載の通り、OBフォールドドメインは、多様な分子認識プラットフォームである。種々のOBフォールドドメインが当該技術分野で既知であり、本明細書に開示されており、そしてSCOPやその他のデータベース、例えばPfamおよびSuperfamilyにおいて同定されている。このようなOBフォールドドメインは、改変OBフォールドドメインだけでなく、例えば核酸、タンパク質、ホルモン、炭化水素、およびオリゴ糖などの標的に対してスクリーニングが可能な改変OBフォールドドメインのライブラリを作製する方法においても使用可能である。このようなスクリーニング方法は、所望の特性を有する改変OBフォールドドメインの同定に使用可能である。例えば、ヒトOBフォールドドメインは、ヒトへの治療に応用できる可能性があるヒト標的に対するスクリーニングを行うための改変OBフォールドドメインライブラリを作製するスキャフォールドとして使用可能である。別の例において、酵母のOBフォールドドメインは、バイオテクノロジーまたは発酵用途に応用できる可能性がある改変OBフォールドドメインライブラリを作製するスキャフォールドとして使用可能である。さらに別の例において、酵素のOBフォールドドメインを、新たな酵素特性を有する改変OBフォールドドメインライブラリを作製するスキャフォールドとして使用可能である。
改変OBフォールドドメインで見込まれる用途は、診断用試薬、治療用途、およびツールという3つの大きなカテゴリーに分類される。
改変OBフォールドドメインは幅広い分子生物学ツールで使用可能であり、これには例えば、遺伝子組換え供給源または血清のような天然供給源のいずれかに由来するタンパク質の親和性精製用のタンパク質精製試薬としての使用が含まれる。このような用途では、選択タンパク質に対して特異的な結合親和性を有するOBフォールドドメインをビーズ上に固定化した後、標的タンパク質の親和性精製に使用する。その他の用途には、ウェスタンブロット法でのタンパク質検出、蛍光標識OBフォールドドメインを使用したタンパク質検出、ならびに一本鎖DNAおよびRNAの保護物質での使用が含まれる。このような状況において抗体に優るOBフォールドドメインの主な利点としては、試薬に適合するように改変OBフォールドドメインの安定性を調整できる点である。例えば、Pyrobaculum aeriophilumから得られるもののような熱安定性OBフォールドドメインは、親和性精製試薬として抗体よりも効果的であると考えられる。
改変OBフォールドドメインの診断用途には、例えば、血清、培養上清および汚染水のような液体中のタンパク質検出、遺伝子タイピング(多くのOBフォールドタンパク質は一本鎖DNA結合タンパク質であり、これらは、遺伝子タイピングのような方法での使用のために、特異的なDNAまたはRNAモチーフを検出するように開発できる可能性がある)、ならびに小分子検出物質が含まれる。
現在、診断および治療の臨床試験段階にあるすべての生体タンパク質の大部分を組換え抗体やそれらの断片が占めていることを考えると、改変OBフォールドドメインのライブラリのような抗体ライブラリに代わるものが、治療薬としての可能性を有している。すでに市販されている組換え抗体の最近の例としては、ハーセプチン(抗HER2抗体)、リツキサン(リツキシマブ)(抗CD20抗体)、およびアバスチン(抗VEGF抗体)などの癌治療薬がある。改変OBフォールドドメインのヒト化ライブラリも作成される場合があり、このライブラリから、治療分野での用途が見出される適切な結合特性を有する特異的なものを同定することができる。
(実施例1) 材料および方法
化学物質および生化学物質
標準的なオリゴヌクレオチドはInvitrogenから購入し、ランダム化ロングオリゴヌクレオチドはすべてMWG(ドイツ マルティンスリート)より入手した。PfxおよびTaqポリメラーゼならびにすべての制限酵素はInvitrogen(米国カリフォルニア州カールズバッド)より入手した。エビ由来アルカリフォスファターゼ(SAP)およびT4リガーゼはRoche(スイス バーゼル)より入手した。ファージミドベクターpRPSP2ならびにファージVCS‐M13およびVCSM‐13d3(Vd3)はDr.J.Rakonjacより入手した(31、32)。ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズおよびProtector(登録商標)RNaseインヒビターは、ニワトリ卵白リゾチームと同様にRocheより入手した。ウシ血清アルブミンはSigmaより入手した。ビオチン化トランスファーRNAは、Ambion(米国)のMEGAscript in vitro転写キットと、RocheのビオチンRNA標識ミックスを使用して作成した。ウェスタン解析用のニトロセルロース膜は、Schleicher&Schuell(ドイツ ダッセル)より入手し、Pierce(米国)のSuperSignal(登録商標)を基質として使用した。
バイオインフォマティクス
Swiss‐pdbViewerおよびPymol(pymol.sourceforge.net)を使用して、構造の観察、解析、またはPDBファイル(33)から図への変換を行った。IF‐5Aの構造解析にはPDB entry 1bkb(34)を使用した。aspRSには、aspRSホモログ1b8a(35)、1eov(36)、1coa(37)のPDBファイルを使用した。
aspRS‐OBの構造モデルは、Pyrobaculum aerophilum由来のaspRS‐OBのアミノ酸配列を送信することにより、SwissModel(38〜40)より入手し、ClustalW(バージョン1.8)を使用して、オンラインでEBIサービスのウェブサイト(<www.ebi.ac.uk/services/>)を介してアラインメントを行った。
クローニング
一般的なクローニングはSambrook and Russel(41)にしたがって行った。aspRS‐OB(Pyrobaculum aerophilum IM2由来のasp‐tRNAシンテターゼ、塩基1〜327番、アミノ酸1〜109番、NCBI受入番号NP_558783)およびIF5A‐OB(Pyrobaculum aerophilum IM2由来のIF‐5A、NP_560668、塩基208〜399番、アミノ酸76〜139番)の野生型遺伝子は、aspRS‐OBの場合オリゴヌクレオチド005および006を、IF5A‐OBの場合オリゴヌクレオチド011および012を使用して、Pyrobaculum aerophilum IM2ゲノムDNA(NC003364、(42))からPCRで増幅した。オリゴヌクレオチドの配列は付表Iに列挙する。過剰発現のためのすべてのPCR産物をBamHIおよびEcoRIで消化し、pProEx‐Htbにライゲーションした。pProEX‐Htbは、N末端にHisタグが付いた融合タンパク質としてタンパク質を作成する。aspRS‐OB遺伝子をpJARA140にクローニングする場合は、オリゴヌクレオチド対050/044を使用してaspRS‐OBをPCRで増幅し、NcoIおよびNotIを使用して消化した。pJARA140も同じ酵素で消化し、ライゲーションの前に脱リン酸化した。サブクローニングを行う場合は、ベクターに特異的なプライマーを使用して選択した突然変異遺伝子を増幅し、ドナーベクターpDONR221に挿入した後、pDEST15に挿入した(これらのベクターはいずれもGATEWAY(登録商標)クローニング系(Invitrogen)の一部である)。pDEST15は、グルタチオン‐S‐トランスフェラーゼ(GST)の融合体としてタンパク質を発現することが可能である。
大腸菌
pProEXから得たすべての構築物のクローニングやプラスミド調製、ならびに小規模のタンパク質合成には、大腸菌K12株XL1‐blue(43)を使用し、すべてのpRPSP2構築物のクローニング、ならびにVCS‐M13ヘルパーファージにより作成したすべてのファージには、大腸菌JM101誘導体TG1を使用した。pJARA131およびpJARA112で形質転換した大腸菌K561(大腸菌K1762(44)を生成)は、多価ディスプレイ用のVCS‐M13d3ヘルパーファージの調製に使用した。大規模なタンパク質作成および精製には大腸菌BL21(DE3)(Novagen)を使用した。
遺伝子ライブラリの構築
ライブラリは、コドンNNK(N=A、C、GまたはT、K=TまたはG)を含む変異原性オリゴヌクレオチドを、選択した位置に組み込むことにより構築した。組み込んだ変異を担持するaspRS‐OB遺伝子断片をPCRで作成し、次いで完全長遺伝子に構築した。ランダム化した位置を組み込むロングオリゴヌクレオチドは表1に列挙する。最初のPCR工程では、対応するフランキングプライマーを使用し、選択した位置にランダム化したオリゴヌクレオチドを組み込んで遺伝子断片を作成した(30サイクル、94℃1分間、52.5℃30秒間、68℃1分間)。第2の工程では、オーバーラップ伸長PCR(25サイクル、94℃1分間、52.5℃30秒間、68℃1分間)によって遺伝子断片を完全長遺伝子に構築した。その後の工程で10の多様性が維持されるようにするため、構築した産物の量は1011個の分子をよりも多くなるように分光光度法で算出した。構築した産物を、aspRS‐OBの場合はベクター特異的プライマー005/006を、IF5A‐OBの場合はベクター特異的プライマー011/012をそれぞれ使用して、PCR(30サイクル、94℃1分間、52.5℃30秒間、68℃1分間)で増幅し、消化した後、pProEx‐Htbにライゲーションした。aspRS‐OBのファージライブラリの場合は、プライマー050/044を、pRPSP2へのクローニングに使用した(下記を参照)。野生型遺伝子または構築したライブラリのいずれかを含むプラスミドを、大腸菌XL1‐Blueに形質転換し、アンピシリン(50μg/mL)を添加したLB寒天平板培地上で37℃にて一晩培養した。個々のコロニーをピックアップし、それらを50μLのLB/Amp中で数時間培養することにより、診断PCRを行った。この培養液の1μLを使用して、pProEx‐HtbまたはpRPSP2それぞれの診断プライマーを使用する10μLのPCR増幅(25サイクル、94℃1分間、52.5℃30秒間、68℃1分間)を行った。Pfxポリメラーゼはすべての調製PCR反応に使用したのに対し、Taqポリメラーゼは診断PCR反応にのみ使用した。各OBフォールド遺伝子の構築計画を概説するスキームは図2Aおよび図2Bに示す。
ライブラリ由来タンパク質の過剰発現プロファイル
各ライブラリでは、形質転換した細菌を寒天(LB‐amp含有)上に接種し、シングルコロニーをピックアップして、Eppendorfのサーモミキサーで1200rpmにて振盪しながら、96ウェルの深型プレートで100μLのLB‐amp(50μg・mL−1)中で一晩培養した。これらの培養液を、新しいLB‐ampを900μL添加して希釈し、さらに60分間培養した後、1mMのイソプロピル‐D‐チオガラクトピラノシド(IPTG)を使用して37℃にて4時間誘導した。細菌細胞を遠心分離により回収し、150μLのトリス緩衝生理食塩水(TBS:50mMトリス‐HCl、pH7.5、150mMのNaCl)に再懸濁し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS‐PAGE、15%ポリアクリルアミド)で解析した。表1は、aspRS‐OBおよびIF5A‐OBライブラリの構築に使用したロングオリゴヌクレオチドの一覧である。それぞれのランダム化したコドンは、NNK(N=A/T/G/C、K=T/G)またはアンチセンスコドンの場合はMNN(M=A/C)で定義される。図3および図3Bも参照されたい。
Figure 2009539346
再懸濁した細胞は、凍結融解とリゾチームの添加(0.5mg・mL−1)を行うことによって溶解し、不溶性物質の沈降後、可溶性画分もSDS‐PAGEで解析した。小規模の精製工程は、5μLのNi‐NTA樹脂(Qiagen、ドイツ)を使用して可溶性タンパク質を結合させることによって行った。Ni‐NTAビーズはTBSで洗浄し、結合したタンパク質をSDS‐PAGEを使用して同定した。
タンパク質発現と精製
野生型OBフォールドドメインであるaspRS‐OBおよびIF5A‐OB、ならびに変異体であるIF5A‐OB/A2およびaspRS‐OB/13mRLを、ミリグラム量で発現および精製した。大腸菌XL1‐BlueをLB‐amp(50μg・mL−1)中で一晩培養した25mLを使用して、500mLのLB‐amp培養液を播種した。OD600が0.6になるまで37℃にて培養物を培養し、1mMのIPTGで4時間誘導した。細菌を遠心分離により回収し、−20℃にて保存した。25mLのTBS+10mMイミダゾールに細胞を再懸濁して、ソニケーションで溶解した。IF‐5A由来のOBフォールドタンパク質を、85℃30分間のインキュベーションを含む加熱工程で処理した。これにより、大腸菌タンパク質の大部分が変性する。溶解した細胞をSorvall SS‐34ローターで16,000rpmにて30分間遠心分離した。精製のため、溶解物をNi‐NTA Highトラップカラム(Amersham Pharmacia、スウェーデン)に充填した。カラムからの溶出は、イミダゾールグラジエントを使用して行った。精製したタンパク質を、イミダゾールフリーの20mMトリスHCl pH7.5、150mMのNaClで透析し、濃縮した後、Superdex(登録商標)200カラム(Amersham)を使用したサイズ排除による2回目の精製工程に供した。
ファージライブラリの作成
ファージの一般的な取扱い工程は、Barbasら、(45)にしたがって行った。選択用のファージaspRS‐OB‐pIII‐Vd3のストックを調製するため、pJARA140にaspRS‐OBを含む約6×10個の大腸菌TG1細胞を使用して、200mLの2×YT‐amp(50μg・mL−1)に播種した。この培養液を37℃にて振盪しながら1時間培養した後、振盪せずに37℃にて30分間約1×1012単位のVd3ヘルパーファージを感染させた。次いで細胞を洗浄し、2×YT‐amp中でさらに4時間培養した。次にポリエチレングリコール(PEG)沈殿によってファージを培養上清から濃縮し、TBSに再懸濁した後、4℃にて保存した。ファージの力価は3.0×1011TDP・mL−1と判定した。
aspRS‐OB遺伝子ライブラリをpRPSP2にクローニングする場合は、オリゴヌクレオチドペア050/044を使用して、構築した遺伝子ライブラリのPCR増幅を行った。PCR産物をNcoIおよびNotIで消化した。約10μgのNcoI/NotI消化ファージベクターpRPSP2およびインサートを使用し、1:5のモル比にて1mLの反応物中でライゲーションを行った後、スピンカラム(RocheまたはQiagen(ドイツ ヒルデン))で精製した。エレクトロポレーションにより、50μLの溶出物を10×50μLのエレクトロコンピテントな大腸菌TG1細胞に形質転換し、約1×10個の形質転換細胞を得た。形質転換した細胞を100mLのSOC培地中で37℃にてさらに1時間培養した後、400mLのLB/Ampを添加して、37℃にてさらに1時間培養した。試料を採取し、希釈系列をLB/Amp寒天平板培地上に接種して、適切なインサートサイズについて個々のクローンを診断PCRで解析することによりライゲーションおよび形質転換効率を評価した。コロニーを無作為にピックアップし、個々のコロニーの診断PCRから適切なインサートの数を測定した。適切なサイズのインサート数は89%であり、コロニー数は9×10個と算出され、適切なサイズのインサートを担持する約8×10種類のクローンという多様性が得られた。培養液のOD600が0.4に到達したところで、培養液に約5×1012個のpfuのVCS‐M13ヘルパーファージ(Stratagene)を感染させ、攪拌せずに37℃にて20分間静置した後、1時間振盪した。最終濃度50μg/mLの培養液にカナマイシンを添加し、培養液を37℃にて一晩培養した。細菌を沈降させ、20gのPEG8000(Sigma)および15gのNaClに溶解した後、4℃にてファージを一晩沈殿させた。遠心分離によりファージをペレット化し、5mLのPBSに溶解した後、0.45フィルターで濾過して、パニングに使用した。
ビオチン化RNA標的の作成
ビオチン標識asp‐tRNAは、MEGAscriptキット(Ambion、米国)およびビオチン‐16‐UTPを含むビオチンRNA標識ミックス(Roche、スイス)を使用したin vitro転写を行うことによって作成した。Pyrobaculum aerophilum由来の78bpのasp‐tRNA遺伝子(Gene_ID:1464263)をカバーする合成オリゴヌクレオチドと、T7プロモーター領域を3’末端に含むpET28(Invitrogen)から増幅した150bpのDNA断片のPCR構築を行った後、T7に関する最近のプロモーター認識研究(42)にしたがって最適なプロモーター活性についてのGGを行うことによって、発現PCR(41)に基づきDNA鋳型を作成した。これにより、230bpの産物が構築され、これをエタノールで沈殿し、乾燥させ、RNaseフリーの水に再懸濁し、さらにクローニングを行わずに転写用鋳型として使用した(41)。in vitro転写は、製造業者(Ambion)の取扱説明書にしたがって行い、25μLの反応物から約5μgのビオチン化asp‐tRNAを得た。
aspRS‐OBライブラリの選択
ビオチン化asp‐tRNAは、ライブラリ「RL」および「13mRL」からの選択で標的として使用し、ニワトリ卵白リゾチーム(Roche、スイス)は「13mRL」からの選択にのみに使用した。
RNAでの選択の場合は、ビオチン化asp‐tRNAを、ストレプトアビジンをコートした常磁性ビーズに結合させることにより固定化した。10μLのビーズを400μLのPBS‐T(PBS、0.1%Tween)で2回洗浄した後、攪拌し、時折反転させながら室温にて30分間100ngのビオチン化asp‐tRNAとともにインキュベートした。PBS‐Tでビーズを3回洗浄してから、PBS‐T+0.5%BSA中で1mLの約1011cfuのファージライブラリRLまたは13mRLとともに2時間インキュベートした。1回目のパニングでは6回、次の回のパニングでは8回PBS‐Tで洗浄した後、ビーズをPBSでさらに2回洗浄し、1μg(5Kunitzユニット)のRNaseA(ウシ脾臓由来、Roche)とともに37℃にて30分間インキュベートして、RNAを消化し、RNA結合ファージを溶出した。溶出したファージ粒子を細菌感染によってカウントし、次の回のパニングのTDP作成用に新鮮TG1培養液3mLの感染に使用した。培養液を攪拌せずに37℃にて20分間静置し、振盪しながら1時間インキュベートした後、アンピシリンを添加して一晩培養した。一晩経った培養液を、500mLの予め温めたLB/Ampへの播種に使用した。ヘルパーファージの感染およびTDPの作成は、上で概説したファージライブラリ作成と同じ工程に従って行った。パニングを4回行った後、個々のクローンを解析した。
リゾチームでの選択の場合は、2.5mLのリゾチーム溶液(10μg/mL)含有の20mMのNaCO、pH9.0中で、4mLのImmuno Tube(Nunc、デンマーク)を4℃にて一晩コーティングし、4mLの1%BSA含有PBSで室温にて1時間ブロッキングを行った。ライブラリ13mRL由来のファージを添加した後(2.5mL中に約2.5×1011のcfuを含有)、緩徐に攪拌し、時折反転させながら室温にて2時間インキュベートした。洗浄は、PBS‐T0.1%BSAによる8回の洗浄工程(1回目の選択では、PBS‐Tを使用して6回だけ洗浄)と、PBSによる2回の洗浄よって5分以内に速やかに行った。2.5mLの溶出バッファー(0.2MグリシンHCl pH2.2、ブロモフェノールブルー)とともに10分間インキュベーションすることで、結合したファージを溶出し、500μLの1MトリスHCl pH9.0を使用して速やかに中和した。溶出したファージをカウントし、TDPの増幅および次の回のパニングに使用する3mLの新鮮TG1の感染に使用した。培養液の培養とTDPの作成は、asp‐tRNAでのパニングについて上に記載したのと同じ方法で行った。選択と増幅を6回行った後、クローンを採取して解析した。
ファージディスプレイタンパク質検出のためのウェスタンブロット
aspRS‐OBのファージ試料を、PEG沈殿によって1×1011TDP/mLになるよう濃縮し、10μLをゲルローディングバッファー(SDSおよびBME含有)と混合し、ボイルして、10%のSDS‐PAGEゲル上で分離した。ニトロセルロース膜(Protran、Schleicher&Schuell、ドイツ)上に転写した後、マウス抗c‐myc一次抗体(Zymed、Invitrogen)とHRP結合抗マウス二次抗体(Amersham‐Pharmacia、スウェーデン)を使用して、aspRS‐OB‐pIII融合タンパク質を検出した。SuperSignal(登録商標)基質(Pierce、米国)を使用して可視化を行った。
ファージELISA
リゾチームへの結合のために選択したクローンを解析するために、ファージELISA実験を行った。96ウェルのELISA用プレートを、5μg/mLのニワトリ卵白リゾチーム、5μg/mLのRNaseA、または1%BSA含有PBSで、4℃にて一晩コーティングした。TBSで2回洗浄した後、プレートを室温にてブロッキングバッファー(5%スキムミルク含有TBS)で1時間ブロッキングして、その後、ファージ(10cfu/ウェル、VCS‐M13d3由来)を2.5%のスキムミルク‐TBS‐Tに添加した。プレートを、攪拌しながら室温にて2時間インキュベートした。水で10回洗浄した後、ブロッキングバッファーで希釈したマウス抗M13タンパク質VIIIを添加し、室温にて1時間インキュベートした。プレートを水で4回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ウサギ抗マウス免疫グロブリン(Pierce)を含有するブロッキングバッファーをウェルに添加し、室温にて1時間インキュベートした。ウェルを水で4回洗浄し、50μLの基質溶液(1mg/mLのo‐フェニレン‐ジアミン含有PBS 0.030%H)をウェルごとに添加した。約15分後に25μLの2.5MHSOを添加して反応を停止させ、492nmで吸光度を記録した。
ファージの相対定量化(提示した融合タンパク質の定量化)では、ファージ試料をプレートのコーティングに直接使用した。ブロッキングバッファーによるブロッキングの後、マウス抗c‐myc一次抗体(Zymed、Invitrogen)およびHRP結合抗マウス二次抗体を使用して、上述の工程に従いファージを検出した。
モノクローナルファージの作成
ファージ結合実験では、VCS‐M13d3(Vd3)のgIII欠失変異体(Rakonjac et al,1999)をヘルパーファージとして使用して、モノクローナルファージ試料を多価ディスプレイとして作成した。マイクロパニングによるプレスクリーニングでは、wtVCS‐M13由来の一価ファージを使用した。ヘルパーファージVCS‐M13およびVd3のストックは、一般的なプロトコル(Barbas IIIら、2001)にしたがって、単一のプラークから作成したが、但し、VCS‐M13はTG1上で培養し、大腸菌K1762(プラスミドpJARA131(cam)およびpJARA112(amp)で形質転換したK561)上のVd3は、ファージ構築用のpIIIを供給するための宿主株として使用した。Vd3試料は65℃にて20分間加熱して、細菌性宿主由来のλ溶原菌を死滅させた。
Vd3またはVCS‐M13上のファージaspRS‐OBのストックを調製するため、対応するpRPSP2誘導体で形質転換した大腸菌TG1を、100mLのLB/Amp中でOD600が0.4になるまで培養し、1012個のpfuのVd3またはVCS‐M13でそれぞれ感染させた。攪拌せずに37℃にて20分間インキュベートした後、培養液を振盪しながらさらに1時間インキュベートした。カナマイシン(最終濃度50μg/mL)を添加し、培養液を一晩インキュベートした。細胞を沈降させ、最新のプロトコル(Barbas IIIら、)に従い、上述の通りに、PEG/NaClを使用した沈殿によってファージを精製した。TDPをPBSに再懸濁し、解析に使用した。
asp‐tRNAでのモノクローナルファージ結合実験
ファージに提示したタンパク質のasp‐tRNAへの結合を試験するため、モノクローナルファージ試料を使用して、Vd3上で融合タンパク質を多価提示させた。実施した工程は、上で概説した1回目の選択のものと基本的に同じであった。ビオチン化したasp‐tRNAを、ストレプトアビジンでコーティングした常磁性ビーズと結合させ、TDP試料を添加した(10cfu/本)。インキュベーションおよび洗浄工程の後、RNaseAを添加することによりRNAを消化し、溶出したTDPを細菌感染によってカウントした。
GSTの「プルダウン」アッセイ
リゾチームで選択された変異体を、GATEWAY(登録商標)のpDEST15にサブクローニングし、GST融合タンパク質として発現させた。構築物を大腸菌BL21(DE3)に形質転換し、培養液を3mLのLB/Ampで培養した。最終濃度1mMにIPTGを添加して細胞の誘導を行い、37℃にてさらに4時間培養した。細胞を沈降させ、300μLの溶解バッファー(トリス‐HCl 7.5 150mM NaCl)に再懸濁した後、ソニケーションで溶解した。不溶性物質を沈降させ、可溶性画分を10μLのグルタチオン結合セファロースビーズ(Amersham)とともに4℃にて1時間インキュベートした。TBS‐Tによる2回の洗浄工程の後、150μLのリゾチーム(1mg/mL)と0.1%BSAとを含む300μLのTBS‐Tとともに、ビーズを4℃にて1時間インキュベートした。洗浄は、TS(50mMトリス‐HCl pH7.5、150mM NaCl)、TBS‐T(20mM トリス‐HCl pH7.5、150mM NaCl、0.1%Tween20)、TBS‐T‐500(TBS‐T、500mM NaCl)といった異なるバッファーを使用して行った。ビーズをゲルローディングバッファー(SDSおよびBME含有)に再懸濁し、ボイルして、SDS‐PAGEで解析した。
バイオセンサーの結合解析
リガンドリゾチームを、pH4.3の酢酸ナトリウムバッファー中の30μg/mLでタンパク質の一次アミン基を介して、CM5 Biacoreセンサーチップに結合させた。チップ上の4つのフローセルの内の2つ目を、EDC:NHSの1:1(等量)混合液(Biacoreより販売)35μLで5μL/分にて活性化した。十分な反応が認められるまで10〜20μLを連続注入することにより、活性化表面にリゾチームを結合させた。チップ上に残された非結合活性基を、エタノールアミン‐HClを注入して失活させた。解析のため、OB3 13mRL L6を、ランニングバッファーに370μMを含む濃度から始めて、バッファーのみのブランクも含めた6段階濃度の1:2希釈系列に調整した。7つの試料それぞれを順不同に25μL/分にて1分間2回解析し、最初のフローセルを基準として使用した。BIAevaluation(Biacore)を使用して、反応曲線の可視化と処理を行った。Sigma Plot(Systat Software,Inc.)を使用して、各濃度における相対レスポンスを平均化し、プロットして、RmaxおよびkDを判定した。
(実施例2) Pyrobaculum aerophilum由来のOBフォールドドメイン
OBフォールドドメインは特異的結合および酵素特性を有するタンパク質を作成するためにスキャフォールドとして使用できるかどうかを試験するために、提案した結合表面全体の変異に対する個々のOBフォールドドメインタンパク質の耐性を試験した。超好熱性クレンアーキアのPyrobaculum aerophilum(Tmax=104℃、Topt=100℃)由来の2つのOBフォールドドメインを選択した。この選択は、Pyrobaculum aerophilumゲノム(42)中のOBフォールドタンパク質の検索にSuperfamilyデータベース(バージョン1.65(46))を使用したデータベース検索にしたがって行った。このデータベースは、1294個のSCOPスーパーファミリー(SCOP:タンパク質の構造的分類)に区分された既知の構造を有するすべてのタンパク質のライブラリを使用して、隠れマルコフモデルを開発しており、次いでこれらモデルをプロファイルとして使用して、類似のフォールドを含む可能性があるタンパク質の配列決定ゲノムを検索した。この検索により、Pyrobaculum aerophilum IM2のゲノム由来の有力なOBフォールドドメインを含むタンパク質配列を表す14件がヒットした。
他のドメインと空間的に離れており、そのため独立して安定していることが予想されるOBフォールドタンパク質を探し出すため、これらの配列をそれぞれ解析した。さらに、配列からのOBフォールドの予測の信頼性をチェックするため、スーパーファミリーを表す3次元モデル、または利用可能な相同性の次元タンパク質構造に配列をアラインメントした。これらの14の配列の内の8個が基準を満たした(表2を参照)。この8個の候補の内の6つが、RNA結合タンパク質の2つの機能クラス、すなわち翻訳開始因子(IF)とアミノアシル‐tRNAシンテターゼ(aaRS)に属していた。残りの2つの候補は、機能的アノテーションを含んでおらず、「保存されている仮想タンパク質」として分類した。
選択した配列に由来するOBフォールドドメインをクローニングし、配列アラインメントからドメイン境界を同定し、大腸菌での発現と溶解性について試験した。アスパルチルtRNAシンテターゼ(aspRS‐OB)および翻訳開始因子IF‐5A(IF5A‐OB)由来のOBフォールドドメインは、良好に発現し、可溶性および熱安定性を有していたため、これらを第一選択とした。
IF‐5Aタンパク質のさらなる利点は、高分解能の3次元構造がPfamデータベース(34)で利用できる点であり、これを使用して、表面が露出した残基をランダム化に確実に選択することができた。IF‐5Aのこの構造(図3)は、C末端にOBフォールドを有し、リンカー領域によって空間的に分離され、したがって本発明者等の選択基準を満たす2つのドメインを示す。提案した結合表面(β‐ストランド1〜3)は、タンパク質の中心から離れ、溶媒の方向を向いている。IF‐5AのOBフォールドは、せん断数がS=8であるため、OBフォールドドメインの1つのサブクラスを代表するものである。
asp‐tRNAシンテターゼのOBフォールドドメイン(aspRS‐OB)は、S=10の特性を有するOBフォールドタンパク質の第2のサブクラスの代表として選択した。Pyrobaculum aerophilum由来のaspRSの3次元構造は利用できないが、他の生物由来のaspRSタンパク質の構造はPDBにいくつか存在する。図4は、大腸菌由来のaspRSの結晶構造を示す(37)。Pyrobaculum aerophilum由来のOBフォールドドメインとその大腸菌ホモログの配列アラインメントは、OBフォールドドメインが30%の配列同一性を有することを示している。それらの全長にわたって、aspRSタンパク質は配列レベルで20%が同一である。OBフォールドはN末端に位置し、より大きなC末端ドメインと明らかに空間的に離れている。結合表面は、C末端ドメインから離れて、溶媒の方向を向いている。N末端のOBフォールドドメインはtRNAに結合し、アスパルチル‐tRNAアンチコドンを特異的に結合するアンチコドン認識ドメインを構成するが(36)、C末端ドメインはタンパク質の酵素成分を構成する。表2には、予想されたOBフォールドを有するPyrobaculum aerophilum由来の8つの選択された配列を示す。予想した大きさと提案したせん断数とともにNP受入番号も示す。IF‐5Aでは3次元構造も利用可能である。保存されている仮想タンパク質であるNP_559846の予想される大きさは、タンパク質全体に相当する。この例では、OBフォールドドメインの境界を正確に予測するのが困難である。
Figure 2009539346
これらのOBフォールドドメインはいずれも、すべての界にホモログを有するため、種々の生理学的背景における応用の機会がもたらされる(異なる種に由来するaspRS(図5A)およびIF‐5A(図5B)の配列アラインメントについては、図5A〜5Bを参照)。図5Cは、Pyrobaculum aerophilum、Pyrococcus kodakaraensis、および大腸菌由来のaspRS‐OBの配列アラインメントを示す。配列同一性はアスタリスクで示す。OBフォールドの二次構造は配列の下に示し、lはストランド4と5の間のループ、ループ4/5である。
(実施例3) ランダム化のための残基の選択
2つのOBフォールドドメインのランダム化のための残基を、それらの3次元構造に基づいて選択した。IF‐5Aの構造は利用可能である。SwissModel(38〜40)と大腸菌(36、37)およびPyrococcus kodakaraensis(35)由来の利用可能な構造とを構造鋳型として使用してモデリングを行うことにより、Pyrobaculum aerophilum由来のaspRSのOBフォールドの構造を作成した。
OBフォールドドメイン結合表面上で、βストランド1〜3から、表面が露出した残基を選択した。aspRSおよびIF5AのOBフォールドドメインは異なるせん断数を有するため、それらの構造は若干異なっている。特に、βストランド4および5、ならびにこれらのストランド間のループの配置は異なっている。aspRS‐OBの場合は、ライブラリの1つにおいて、ストランド4と5の間のループもランダム化に含めた。そのため、aspRS‐OBでは、βストランド1〜4上と、ストランド4と5の間のループ内に位置する、溶媒に露出した13個の残基を、ランダム化に選択した。これによって、最大数17個の変異部位がもたらされ、理論上の多様性として2017=1.3×1022の変異体が可能となる。
このような変異に対する耐性を評価するため、結合表面の各部分を個別に扱うライブラリセットを構築した。IF5A‐OBでは、βストランド1〜3上の9個または11個の位置をランダム化した(図8)ライブラリを構築し、それぞれ理論上の多様性が20=5.12×1011および2011=2×1014の変異体であると算出された2つのライブラリが得られた。導入した2つの残基、セリン‐アスパラギンをランダム化することにより(2RL)、またはさらなる2つの残基を使用してループを伸長することにより(2RL+2)、ストランド1と2の間のループを標的として、2つの小さなライブラリ(それぞれ400個の変異体)を作成した。選択した残基と、それらのOBフォールドドメイン中での位置については、図8および図9を参照されたい。
(実施例4) OBフォールドライブラリ
各OBフォールドドメインの所定の領域を扱うライブラリセットを構築した。aspRS‐OBフォールドドメインでは、βストランドを個別に、また互いを組み合わせて変異させた。野生型OBフォールドドメイン(すなわち、天然OBフォールドドメイン)および完全にランダム化したライブラリでは、ストランド4と5の間のループを個別にランダム化した。その結果、大きさが異なり、ランダム化位置の配置が異なる5つのライブラリが構築された(表3A〜3Bを参照)。
IF5A‐OBでは、βストランド1〜3ならびにストランド1と2の間のループをランダム化の標的とした。このループ(ストランド1と2の間)をランダム化の標的とし、ランダム化した表面積を伸長する可能性を評価した。この領域のループが伸長した天然OBフォールドタンパク質の例が存在するが、これらの例では、このループに伸長が起こりやすい可能性があることが示唆されている。aspRS‐OBフォールドドメインに使用されたのと同様の手法で、種々の変異セットを有するライブラリ(表3を参照)をPCRによって構築し、発現ベクターにクローニングし、大腸菌に発現させた。変異を担持するライブラリメンバーを表すクローンをピックアップし、適切なサイズのインサート、Hisタグ結合タンパク質としての発現、溶解性、およびNi‐NTA樹脂への結合について解析した。
Figure 2009539346
表3A〜3Bは、aspRS‐OBの遺伝子ライブラリの一覧である。接尾語‘m’はβストランド1〜3をカバーするβシート中の変異を示す。接尾語‘RL’は、ランダム化したループ領域(aspRS‐OBの場合はループ4/5、IF5A‐OBの場合はループ1/2)を示す。
(実施例5) ライブラリの構築
基本的にライブラリは、縮重コドンを所望の位置に有する合成オリゴヌクレオチドを組み込むオーバーラップ伸長PCRに基づいて構築した。まず、遺伝子全体をカバーし、オーバーラップ領域を含む遺伝子断片を通常のPCR法により作成した。ランダム化した断片は、ランダム化したコドンを含む対応するロングオリゴヌクレオチドを組み込むことによって作成した。等モル量のこれらの遺伝子断片を遺伝子フランキングプライマーと組み合わせて使用して、断片をPCRにより構築し、ランダム化した位置を組み込んだ完全長遺伝子を増幅した。種々の組み合わせの縮重オリゴヌクレオチドを使用して、結合表面の種々の部位にランダムな変異を含む複数のライブラリを作製した。aspRS‐OBでは、βシート上の残基W28、E29、R31、I33、R35、V36、F38、V40、R42、F47、Q49、T51、K53、およびループ領域の残基I85、A86、K87、S88に多様性を生じた。ライブラリRL(ランダム化したループ)は、βストランド4と5の間のループ領域に4つのランダム化した位置を含む。RLライブラリの理論上の多様性は、20=160000種類の変異体である。形質転換の後、ライブラリRLは約10個のクローンを含み、その内の94%が適切なサイズのインサートを有しており、ライブラリの多様性を完全にカバーした。13mRLの理論上の多様性は非常に高く、約5×1022種類の変異体である。形質転換の後、89%の適切なインサートを有する10個のクローンが得られた。配列決定した10個のクローンの内の8個が所望の変異配列を有していたが、2個のクローンには、ナンセンス翻訳をもたらすフレームシフトが認められた。13mRLライブラリでは、全体の多様性が約8×10種類の変異体と算出された。
IF5A‐OBのライブラリを個々に作成した。「9m」および「11m」ライブラリはそれぞれ、遺伝子に組み込んだ種々のロングオリゴヌクレオチド対を有する。11mライブラリでは、ループ1/2を4つのアミノ酸(Ser‐Asn‐Gly‐Ala)により伸長させて、ランダム化した断片の十分なオーバーラップをもたらした。小さなライブラリである2RLおよび2RL+2では、対応する領域をカバーする遺伝子に組み込んだランダム化した位置を含む1つのオリゴヌクレオチドを使用して、ループ領域内のランダム化した領域を作成した。9個および11個の変異を有するIF‐5Aライブラリの多様性は、1×10種類の変異体と算出され、小さなライブラリ(400個の変異体)の理論上の多様性は完全にカバーされた。
(実施例6) OBフォールド変異タンパク質の発現
いずれの天然OBフォールドドメインも大腸菌で良好に発現し(培養液の10〜20mg・l−1)、細胞溶解後に大部分は可溶性を有する。これらは、熱処理(85℃にて15分間)後も可溶性を維持し、Ni‐NTAビーズに定量的に結合する。OBフォールドライブラリをクローニングし、N末端をHisタグで結合したタンパク質として発現させた。一連のタンパク質特性を記録して、タンパク質の安定性と構造的完全性を検討した。
PCRライブラリを90〜95%の効率(コロニーPCRにより判定)で発現ベクターにクローニングし、ポリヒスチジン融合タンパク質として遺伝子を大腸菌に発現させた。48個または96個のコロニーを、発現、溶解性、およびNi結合性についてスクリーニングした。結果を表4にまとめる。
Figure 2009539346
aspRS‐OBのライブラリ構築の概要を表4に示す。各ライブラリについて、PCRにより作成した遺伝子断片、オリゴヌクレオチド、および鋳型を列挙する。PCRにより、オリゴヌクレオチドを組み込んだ遺伝子断片を作成した。次に、遺伝子フランキングプライマー(オリゴ005および006)を使用したオーバーラップ伸長PCRによって、PCR産物を完全長遺伝子に構築した。図2A〜2Bも参照されたい。aspRS‐OBのすべてのライブラリに由来するクローンの約半分が、大腸菌内で良好に発現した。βシート上のランダム化した位置の数(すなわち、ライブラリを構築するためにランダム化した、結合表面上のアミノ酸位置の数)は、発現する変異体の割合と相関すると考えられた。13個の変異を有するライブラリである13mRLと13mのいずれでも、変異タンパク質の約45%が良好に発現する。βシート1および2上に9個の変異を含むライブラリは、クローンの52%に発現を示す。ループ4/5のみをランダム化の標的とするライブラリは、81%という極めて多い発現クローンを有していたが、面および伸長したループの両方に存在するランダム化位置の組み合わせ(13mRL+2)では、発現クローンの数はわずか30%まで低下した。
IF5A‐OBの場合は、βシート上に変異を有するライブラリが、12%という比較的低い割合で発現し、その内の9〜25%が可溶性を有していた。対照的に、ループ1/2にのみランダム化した位置を有する変異体の72〜81%が発現し、この内の約70%が可溶性を有していた。すべてのIF5A‐OB変異体を、溶解後に80℃にて熱処理した。そのため、すべての可溶性かつNi結合性の変異体は熱安定性も有していた。
少数の変異体を調製用発現および精製用にピックアップした。さらに、aspRS‐OB変異体の大規模な精製も行った。表5は、発現、溶解性、およびNi‐NTA結合性実験の概要を示す。
Figure 2009539346
各ライブラリの32〜192個のコロニーを、発現、溶解性、およびNi‐NTAへの結合性についてスクリーニングした。表5は、発現クローン数、各ライブラリで算出された発現クローンの割合を示し、発現OBフォールド変異体の溶解性およびNi‐NTA結合特性の概算を表す。
(実施例7) ファージディスプレイ法に供したaspRS‐OBの解析
ライブラリ作成用のスキャフォールドとしての、タンパク質ドメインの重要な基準は、選択されたディスプレイ系において機能的に提示される能力をもつことである。本明細書に開示する実験ではファージディスプレイを使用した。aspRS‐OB変異体の選択用としてのこの技術の実現性を評価するため、繊維状バクテリオファージM13の表面上にgIII融合体として提示させた組換え野生型aspRS‐OBを評価した。作成したファージ粒子内におけるpIII‐aspRS‐OB融合体の存在をウェスタンブロッティングで解析した。提示されたaspRS‐OBの機能的提示を、asp‐tRNAを標的リガンドとして使用するファージ結合アッセイで検討した。
野生型aspRS‐OBの遺伝子を、gIII遺伝子の上流でファージミドベクターpRPSP2にクローニングし、aspRS‐OBをN末端に持ち、pIIIをC末端に有する融合タンパク質を作成した(図6を参照)。このファージミドベクターは、大腸菌ホストがヘルパーファージに感染すると活性化される、ファージショックプロモーター(psp)の制御下にあるgIIIを含む(31)。gIII欠失変異体であるヘルパーファージVCS‐M13d3(44)を使用し、これにより、標的タンパク質の多価提示が可能になった。gIIIタンパク質のすべてのコピー(3〜5コピー)は、標的タンパク質aspRS‐OBとの融合体になる。結合アッセイにおける感受性を高めるために多価提示を使用した(48)。
この構築物、aspRS‐OBの遺伝子を含むpRPSP2を、大腸菌TG1細胞に形質転換した。得られた培養物にVd3ヘルパーファージを感染させ、形質導入粒子(TDP)を作成した。これらの組換えバクテリオファージを回収し、aspRS‐OBとpIIIの間に位置するc‐myc抗原の配列(後掲の図を参照)に対する抗体を用いて、ウェスタン解析で標的タンパク質の提示についてテストした。これは、融合タンパク質pIII‐aspRS‐OBに予測された大きさにおいて強いシグナルを示した。
提示された野生型OBフォールドがファージの表面上においてなお機能的であるかどうかをテストするため、aspRS‐OBを提示するこのファージ試料を使用して、固定化したasp‐tRNAに対するファージ結合実験を行った。aspRS‐OBを提示するTDP試料を、磁気ビーズ上に固定化したasp‐tRNAとともにインキュベートした。結合していないファージを洗浄し、RNaseAを使用してtRNAの消化によって結合したファージを溶出させた。次に、溶出したファージの数を細菌感染によりカウントし、ビーズのみとインキュベートした試料から溶出した数と比較した。結合の特異性を示すため、>1000倍過剰量のVCS‐M13野生型をTDP試料に添加し、溶出した粒子の数をカウントした。入力されたファージに対する、tRNAから溶出したファージの割合を各試料について算出した。入力と結果を以下の表にまとめる。
Figure 2009539346
aspRS‐OBを提示するファージの回収(2.4×10−2)は、ファージのみ(5.7×10−4、図8を参照)と比べた場合約200倍高かった。これは、固定化したasp‐tRNAに対する、提示されたaspRS‐OBの有意な親和性を示していた。タンパク質提示のないVCS‐M13の場合では、固定化したtRNAと比較して、ビーズのみから溶出された粒子の割合は非常に類似しており(1:1.42)、これはファージが非特異的に結合したことを示唆するものである。この割合は、aspRS‐OBを提示する粒子では非常に高く(1:190.48)、このドメインのasp‐tRNAに対する結合の特異性を示している。これらの結果は、aspRS‐OBは、ファージの表面に提示された場合に機能的にインタクトであること示す。
(実施例8) ライブラリの選択
asp‐tRNAでの選択
細菌性aspRSのアンチコドン結合ドメイン内のβシート4と5の間のループ領域は、tRNAへの結合にとってだけでなく、アンチコドン内の塩基の特異的認識にとって重要である(49)。そのため、asp‐tRNAは、aspRS‐OBライブラリの実現性をテストするのに好ましい標的であると考えられた。ライブラリaspRS‐OB RLを使用したが、これは、このライブラリが理論上の多様性の全範囲を含むため、tRNA標的と良好に結合することが予想された野生型aspRS‐OBフォールド配列のコピーを含むからである。たとえtRNAと結合する変異体がなかったとしても、少なくとも野生型はバイオパニングプロセスによって選択されるはずである。aspRS‐OB RL遺伝子ライブラリをすでに述べたように作成し、pRPSP2にクローニングして約10のクローンを得て、ファージ上に一価提示させた。4回のパニング後、入力ファージに対する出力ファージの割合が表すように著しい濃縮が観察され、これは、標的特異性結合ドメインの濃縮を示すものである(図9)。選択されたフラクションからクローンを無作為にピックアップし、シークエンシングを行った。配列は、asp‐tRNAと結合するための、ループ領域内の4個のアミノ酸のコンセンサスR/K G C Rを示した(図10)。シークエンシングを行った12のクローンのうち、5つがこのコンセンサスを完全に満たしており、残りの7つの内の3つは、4個のアミノ酸位置の3つが一致した。コンセンサス配列は野生型配列(IAKS)とは著しく異なり、新たなコンセンサス配列が、野生型ドメインと比べるとより強力にasp‐tRNAと結合することを示唆している。これは、モノクローナルファージ調製品を使用するファージ結合実験において確認され、この実験では、2つのクローンが野生型aspRS‐OBよりもasp‐tRNAに対して強い親和性を有していた(図16)。この実験では、対応する変異ドメインを提示するファージを固定化asp‐tRNAとともにインキュベートした。結合したファージは、RNaseAで特異的に溶出され、カウントされた。回収率Rを、[(出力/入力)/(出力/入力)RNA]として算出し、式中、(出力/入力)は、回収されたファージ(出力)を入力されたファージの数で割った比を意味し、下付き文字‘B’はビーズのみを意味し、下付き文字‘RNA’は固定化asp‐tRNAを指す。aspRS‐OB変異体から得られたファージライブラリから、固定化asp‐tRNAに対する結合親和性が向上したコンセンサス配列を我々が濃縮したことを結果は示している(図10および11)。
‘RL’と比べるとさらなる多様性を有する大きなライブラリ‘13mRL’を使用して、同様の手法で固定化tRNAに対する選択を行った。濃縮パターンは図9に示し、5回のパニング後の著しい濃縮を示す。配列解析を図12にまとめる。選択された配列は、正に帯電したアミノ酸を高い割合で含んでおり、これは、負に帯電したasp‐tRNA骨格への結合によってそれらの変異体が選択されたことを示唆していた。塩基性残基の数が最も多かった変異体(D07)は3回認められ、これは選択されたクローンのプール中に豊富に含まれることを示していた。選択されたクローンD07およびD09から調製された、固定化asp‐tRNAモノクローナルファージ試料でのファージ結合実験では、野生型aspRS‐OBドメインの数倍の数のこれらのクローンが回収され、提示された変異体のasp‐tRNAに対する結合がより強固であることが示された。これらのファージ結合実験は精密な測定法ではないが、選択プロセスの成功を示し、ファージディスプレイを使用した固定化標的に対する選択に、aspRS‐OBライブラリが使用可能であることを示す。図12中の選択されたクローンの全配列を付表IIに示し、U1、U2、U3、U4、U5、U6、U7、U8、U9、S68、S81、pMB16、pMB17、pMB12、pMB18、pMB15、D05、D07、D09、D04、L14、L8、L4、L16、L34、L42、L6、L5、またはL44と定める。
(実施例9) リゾチームでの選択
別のタンパク質に結合する、ナイーブライブラリ由来のOBフォールド変異ドメインの選択の原理の証明を示すため、リゾチームを標的として選択した。ニワトリ卵白リゾチームは、販売されている安定した小さいタンパク質であり、多くの医学的に重要なヒトホモログを有する。固定化リゾチームでの4回のパニング後、結合したファージの濃縮が観察された。クローンを無作為にピックアップし、リゾチームに対する結合についてスクリーニングする前に、さらに2回のパニングを行った。次に、モノクローナルファージ試料を調製し、96ウェルのELISA用プレート上に固定化したリゾチームでの結合を特性化するために‘マイクロパニング’手法で検討を行った。結合したファージを溶出しカウントした。22のクローンのうち9つは、pIII、OB野生型、およびBSAバックグラウンドを上回る回収ファージ数を示した(クローンL4、L5、L6、L8、L14、L15、L16、L18、L21、図13)。これらのクローンのシークエンシングを行った。クローンのうちいくつかの配列は同一であったため(L14とL15、L4とL18、L8とL21)、ユニークなクローンの数は6つに絞り込まれた。この重複性は、濃縮によって、同一配列を有するクローンが試料中に高い割合で存在することを示していた。さらに2回のパニングを行い、さらなる6つのクローンの配列決定を行った(L32、L33、L34、L42、L43、L44)。3つの配列が前回のクローンと一致した(L32=L14=L15、L33=L8=L21=L43)が、L44は、βシート領域においてL5と同一であったが、ループ領域では異なるパターンを示した。L34およびL42は新たな配列であった。6回の後の選択されたプール中のクローンの数は非常に少なく、図12、パネルEに示す9つの配列によってかなりの程度がカバーされることが予想できる。クローンL14(L32、L15)、L8(L33、L21、L43)、L34、L4、L5、およびL6を、多価提示を使用するELISA手法での結合研究の対象とした(図14)。結果は、すべてのクローンがリゾチームに結合したが、aspRS‐OBの提示がない粒子(pIII)は結合しなかったことを示した。その他の陰性対照には野生型aspRS‐OB(OBwt)が含まれた。解析されたすべてのクローンのリゾチームへの結合数は、RNaseまたはBSAに対してのものより多く(ELISA実験でOD値がより高かった)、リゾチームに対する結合の特異性を示す。図11に示すように、クローンL6およびL33はtRNAに結合しなかった。
(実施例10) 精製した変異体の発現と解析
クローンL4(L18)、L5、L6、L16、およびL33(L21)を発現ベクターにサブクローニングし、‘プルダウン’アッセイでのリゾチーム結合の解析用にGST融合タンパク質として発現させた。図15A〜15Bに示すように、固定化した変異体はリゾチームと結合したが、非選択変異体13mRL81は結合しなかった。これは、選択された変異体のリゾチームへの結合を確認するものであった。L6のリゾチームへの結合を、異なるバッファーの存在下で研究した。図15Bは、500mMのNaClでの洗浄後に、L6がリゾチームと結合することを示す。クローンL6を発現させ、精製し、表面プラズモン共鳴(Biacore)を使用して固定化リゾチーム上での結合反応速度を解析した。結合定数は3.6×10−5Mと算出された(図16)。
これらの実験は、ランダム化したコドンを含む、OBフォールドドメインの大きな合成ライブラリの作成を示し、また、これらのライブラリから転写された変異タンパク質が安定で、折りたたまれていることを示す。OBフォールドドメインの機能的提示がファージの表面で提示され、そのため選択した異なる機能について効率的にライブラリをスクリーニングできる。ファージディスプレイを使用した、OBフォールドライブラリからの改変OBフォールドドメインの選択が示される。これらの変異体は、選ばれた結合相互作用であれ、酵素活性であれ、所望の特性を持たなくてはならない。本明細書で示されるように、多様性のキャリアーとしてOBフォールドが機能し得ることを示すために、Pyrobaculum aerophilum由来のアスパラギン酸tRNAシンテターゼ(AspRS)のtRNAアンチコドン結合ドメインを、OBフォールドのスキャフォールドとして選択した。結果は、本明細書に開示する方法を適用することで、このtRNAアンチコドン結合ドメインを特異的なタンパク質結合分子に変換し得ることを示す。
タンパク質のフレームワークに組み込んだそれぞれの変異は、その折りたたみに影響を与える可能性があり、そのためその安定性と溶解性にも影響する可能性がある。タンパク質のフレームワーク内の変異に対する耐性を理解するため、異なる変異部位のセット、または組み合わせを含むライブラリを作製し、無作為にピックアップされた変異の発現および溶解性についてスクリーニングした。無制限の多様性を有するライブラリを計画し、作成した。このようなナイーブライブラリは、ランダム化によるすべての可能な組み合わせの変異を含む。分子内の特定の部位に存在する好ましくないアミノ酸の組み合わせに起因する安定性、フォールディング、または溶解性のいずれかの理由のために、多数の変異体が耐性を示さないであろうことが予想される。13をβシート(βストランド1〜3)上に13、ストランド4と5の間のループに4つ、17のランダムなアミノ酸位置を結合表面に有するaspRS‐OB由来のライブラリを作製した。個々のβストランドまたはループ領域のみを扱う変異のセットを有するライブラリを作製した。
改変OBフォールドドメインのライブラリを、発現および溶解性についてスクリーニングすると、17の変異を含むaspRS‐OBのライブラリ内のすべての変異体の約16%が過剰発現していて、可溶性を有することが見出され、さらにNMRおよびCDスペクトロスコピーによって示されるように、少数の選択された変異が正確に折りたたまれることが証明された。これは、このライブラリのかなりの割合を、目的の標的に対しての選択に使用可能であることを示す。aspRS‐OBライブラリの13mRLとRLを、ファージディスプレイライブラリとして構築した。13mRLの実用上の多様性は、約8×10種のクローンであり、17のランダム位置の可能な組み合わせ(理論上の多様性)である約5×1022のごくわずかに相当する。RLの多様性はわずか1.6×10(4つのランダム位置)であり、形質転換後の約1×10のクローンによって完全にカバーされることが予想される。無作為にピックアップしたクローンのシークエンシングによって、ライブラリの多様性が確認された。
ファージディスプレイは最も一般的に使用されるディスプレイ技術であり、そのためaspRS‐OBのスキャフォールドのディスプレイに好都合である。ファージの表面でのaspRSアンチコドン結合ドメインの提示、またはその他の一般的なOBフォールドドメインの提示の報告はない。ファージでのタンパク質の提示には、提示されたタンパク質の完全性のみならず、宿主細胞の増殖に影響を与える可能性がある複数の工程が必要となる。細胞質内での合成後、細胞の還元環境下でタンパク質は安定でなければならず、またpIIIファージタンパク質への融合に影響を受けないものでなくてはならない。次に、ファージ粒子全体が培養液中に放出される前に、ペリプラズムの酸化環境によって、融合タンパク質がファージ構築の標的となる。あらゆるタンパク質について、このプロセスは複数の段階における環境との相互作用を必要とし、また、もしアンチコドン結合ドメイン由来のスキャフォールドの場合は、宿主の核酸への結合も考慮しなくてはならない。M13ファージ上に提示されたaspRS‐OBの検出(ウェスタン解析による)は、良好な発現を示した。aspRS‐OBライブラリRLと、さらに大きい13mRLの検出(同じくウェスタンブロッティングによる)では、ファージ上での提示効率ははるかに悪かった。この観察結果は、ナイーブランダムライブラリ内に不安定な変異体が多いことで説明される。これらのデータは、大腸菌の細胞質またはペリプラズムにおける、好ましくない変異体のタンパク質分解を示唆し、これはプロテインA由来のZドメインの研究において以前に観察された効果である(50)。これは、発現および溶解性のスクリーニングで得られた結果とも相関する。他のスキャフォールドでは、ファージ提示ライブラリでより微弱なシグナルが認められた(炭水化物結合ドメイン、(51)、セルロース結合ドメイン、(52))。将来的なライブラリのライブラリデザインは、分解に対する提示される融合体の割合を増加させるためには、この要素を考慮に入れる必要があるだろう。これはナイーブランダムライブラリの一般的な問題であり、OBフォールドにのみ観察される現象ではない。
asp‐tRNAでの選択
ナイーブ標的asp‐tRNAでのファージ結合および選択実験は、M13ファージ上でのaspRS‐OBとその誘導体ライブラリの良好かつ機能的な提示を示した。小さいRLライブラリから、モノクローナルパニング実験において示されるように、野生型より高い親和性を有する変異体に相当するコンセンサス配列が得られた。得られたコンセンサス配列R/K G C Rは野生型配列とは異なり、2つの正に帯電したアミノ酸を含んでおり、負に帯電するRNA骨格への結合を示唆する。このループ領域内のグリシンの存在によってループの柔軟性が確保されている可能性があるが、システインの機能は未だに明らかでない。
非選択クローンの配列はaspRS‐OBライブラリの多様性を示し、選択後の、コンセンサス配列に一致するクローンから得られた配列は対応するDNAコドンのバリエーションを示し、これは遺伝子型よりも表現型に対する選択を示していた。ライブラリ13mRLの多様性の範囲が非常に限られていたために、asp‐tRNAで選択されたクローンの少数の配列からはコンセンサスは得られなかった。実用上の多様性が約10クローンであるが、理論上の多様性が約1022であるため、これは予想される。そのため、ファージライブラリの多様性の範囲は、理論上可能なそれのごくわずかにすぎない。シークエンシングを行ったすべてのクローンにおいて、多数の正に帯電した残基が観察され(D07で9つ、D05で5つ、D09で6つ)、負に帯電したRNA骨格への結合による、正に帯電した残基の選択を示す。2つの変異体(D07、D04)に起こっていたモチーフR X G Sは、野生型aspRS‐OBの場合と同様に、tRNA結合におけるループの重要な役割を示唆する。モノクローナルファージ試料を使用した結合実験は、野生型ドメインよりも強い、asp‐tRNAへの結合を示した。これは、固定化標的への結合の際に選択が起こるという結論を裏付けるものであり、我々のOBフォールドのスキャフォールドがファージでの提示およびバイオパニングプロセスに非常に適していることを示していた。
リゾチームでの選択
ニワトリ卵白リゾチームで13mRLライブラリの選択を行った。複数回のパニング後、多数のクローンを単離し、配列と標的分子への結合について解析した。プレスクリーニング段階での22のクローンのうち、ファージELISA実験において、最終的に6つがリゾチームに対する検出可能な結合を示した。14のクローンの配列試験で、2つが2回、また、1つは4回も検出されたことが明らかになった。これは、選択されたフラクションに存在する異なるクローンの数が適度に少ないことを示唆する。9つの異なるクローンの配列は、それらの組成における類似性を示していた。少数の位置はいくつかの興味深い類似性を示しており、例えば9つのうち6つのクローンで29番は酸性の残基(DまたはE)であり、9つの配列のうち5つで31番はバリンであり、35番には正に帯電した残基が4つのクローンで現れ、5例において38番は芳香族残基(Y、F、W)であり、さらに、5つのクローンで85番はグリシンである。また、βストランド3では、ETETおよびPETEという目を引くパターンがクローンL16およびL34に存在し、βストランド1では、D V/L A/LがL32、L2、L6、L5、L44に存在する。さらに目を引くのは、βシートにおけるL5とL44の同一性であるが、ループ領域は異なる。L6を除くすべての変異体にシステインは存在しない。しかし、より明確なコンセンサス配列は得られず、これはおそらく非常に大きなライブラリの範囲が狭いことと、得られた配列の少なさに起因する。複数のクローンをGST融合タンパク質として発現、精製し、プルダウン実験で解析すると、リゾチームへのクローンの結合が示された。クローンL6は、500mMの塩化ナトリウムの存在下であっても結合し、妥当な親和性の結合を示した。クローンL6を発現、精製し、結合の反応速度および熱力学を表面プラズモン共鳴によって解析したところ、約3.6×10−5MのKを示した。このナイーブライブラリのサイズの小ささと組成を考慮すると、μMレンジの結合定数は非常に重要な結果であり、アフィニティーマチュレーション工程による最適化に対して優れた出発点を提供する。
(実施例11) リゾチームとの複合体のOBody L8の3次元構造
GATEWAY(Invitrogen)を使用して、L8をpDONR221にクローニングした後、発現ベクターpDEST15にサブクローニングし、これをBL21(DE3)大腸菌細胞に形質転換した。これらの細胞を、500mLの自動誘導培地に播種し、2L容量のバッフル付きフラスコ内で37℃にて振盪した。GSHアフィニティーカラム(GE Biosciences)を使用して、細菌溶解物から融合タンパク質GST‐L8を精製し、rTEVプロテアーゼを使用してGSTタグを取り除き、サイズ排除クロマトグラフィー(S75 16/60分取用、GE Biosciences)によりL8から分離した。次に、溶液中での単分散を向上させるため、再びサイズ排除(S75 10/300分析用、GE Biosciences)により、L8の3回目の精製を行った。
精製タンパク質をGallus gallus卵白リゾチーム(Roche)と約1:1のモル比で混合し、TBS(25mMトリス、pH7.5、137mM NaCl、3mMKCl)中での最終濃度が、L8が37.5mg/mL、リゾチームが42.9mg/mLとなるようにした。カスタムスクリーンとシッティングドロップフォーマットを使用して、溶液中の複合体を480の結晶化条件についてスクリーニングした。
単一の大きな結晶が、TBS中のタンパク質と沈殿剤(7%MPEG 5K、0.2MHEPES pH7.8)の等量混合物から成長した。次にこの結晶を、ナイロンループで収集し、抗凍結剤でコーティングして、低温窒素ガス(110K)の気流中で凍結させた。回転陽極型X線発生装置と最高2.8Åの回折を生じるMar345検出器を使用して、700枚の画像のデータセットを収集した。DENZOを使用して画像を指数化し、Scalepackを使用してデータのスケーリングを行った。データ収集統計値については、表を参照されたい。リゾチーム(PDBエントリー193L)およびPyrococcus KodakarensisのアスパルチルtRNAシンテターゼ(PDBエントリー1B8A)由来のOBフォールドコドン認識ドメインの両方をモデルとして組み込んだ分子置換法(AMoRe)を使用して、構造を解明した。1つのOBフォールドドメインとともに2つのリゾチーム分子が非対称単位内に認められた。2つ目のリゾチーム分子の位置を基に非対称単位内に複合体を複製することにより、2つ目のOBフォールドを配置した。構造を繰り返し構築し、COOT、CCP4、およびPHENIXを使用して精密化した。2つ目のデータセットは、SSRLで同じ結晶を使用して最高2.69Åの分解能で収集した。これを同じ空間群に指数化し、前述の構造から得た完全な単位格子を使用して、分子置換法により位相を決定した。構築と精密化は、COOT、CCP4、およびPHENIXを使用して行った。
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付表I
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Pyrobaculum aerophilum由来のaspRSとIF‐5Aの野生型OBフォールドのPCR増幅用オリゴヌクレオチド
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Pyrobaculum aerophilum由来のaspRS‐OBに基づく、PCRによるライブラリ構築用オリゴヌクレオチド
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Pyrobaculum aerophilum由来のIF5A‐OBに基づく、PCRによるライブラリ構築用オリゴヌクレオチド
付表II
各種Obodyのアミノ酸配列。配列のナンバリングは、図10および図12のナンバリングと一致する。
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参考文献
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Claims (23)

  1. 天然に存在するOBフォールドドメインから取得可能な単離された改変OBフォールドドメインであって、該改変OBフォールドドメインは、
    (a)該天然に存在するOBフォールドドメインと比較して、該OBフォールドドメイン結合表面のβストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、または
    (b)該OBフォールドドメイン結合表面のβストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、および該OBフォールドドメインループ領域のストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基、または
    (c)該OBフォールドドメインループ領域のストランド内の少なくとも1つの改変アミノ酸残基
    を含み、該改変OBフォールドドメインが、該天然に存在するOBフォールドドメインと比較して、変化した結合特性を有する、
    改変OBフォールドドメイン。
  2. 前記ドメインが、前記天然に存在するOBフォールドドメインとは異なる結合パートナーに特異的に結合するか、またはその天然に存在する結合パートナーとの改変された結合を有する、請求項1に記載の改変OBフォールドドメイン。
  3. 前記天然に存在するOBフォールドドメインが、ブドウ球菌ヌクレアーゼタンパク質、細菌性エンテロトキシン、TIMP様タンパク質、ヘムシャペロンCcmEタンパク質、尾結合リゾチームgp5、N末端ドメインタンパク質、核酸結合タンパク質、無機ピロホスファターゼ、Mop様タンパク質、CheW様タンパク質、tRNA_anti(OBフォールド核酸結合ドメイン)、Telo_bind(テロメア結合タンパク質αサブユニット、中心ドメイン)、SSB(一本鎖結合タンパク質ファミリーのOBフォールドドメイン)、DUF338のOBフォールドドメイン、DNA_ligase_aden(NAD依存性DNAリガーゼOBフォールドドメイン)、Stap‐Strp毒素(ブドウ球菌/連鎖球菌毒素、OBフォールドドメイン)、EIF‐5a(真核生物開始因子5A Hypusine、DNA結合OBフォールドドメイン)、GP5_OB(GP5 N末端OBフォールドドメイン)、CSD、DNA_ligase_OB、DUF388、EFP、eIF‐1a、mRNA_cap_C、OB_RNB、Phage_DNA_bind、Rep‐A_N、Rho_RNA_bind、Ribosomal_L2、Ribosomal_S12、Ribosomal_S17、RNA_pol_Rpb8、RuvA_N、S1、TOBE、TOBE_2、およびtRNA_bindからなる群から選択されるタンパク質またはタンパク質クラス内に存在する、請求項1または請求項2の改変OBフォールドドメイン。
  4. 前記天然に存在するOBフォールドドメインが好熱性生物に由来する、請求項1または請求項2に記載の改変OBフォールドドメイン。
  5. 前記好熱性生物がPyrobaculum aerophilumである、請求項4に記載の改変OBフォールドドメイン。
  6. 前記改変アミノ酸残基が、フォールド関連結合表面のβストランド内に存在する、請求項1〜5のいずれかに記載の改変OBフォールドドメイン。
  7. 前記改変OBフォールドドメインの前記結合パートナーが、核酸、オリゴ糖、タンパク質、ホルモン、および有機小分子からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の改変OBフォールドドメイン。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインを取得する方法であって、
    a)天然に存在するOBフォールドドメインをコードする核酸あるいは結合表面のストランドおよび/またはループのストランドを含む天然に存在するOBフォールドドメインの一部分をコードする核酸を取得する工程と、
    b)該天然に存在するOBフォールドドメインと比較して、該結合表面のβストランド上の少なくとも1つの改変アミノ酸残基および/またはループのストランド上の少なくとも1つの改変アミノ酸をコードするように該核酸を変化させる工程であって、ここで、改変OBフォールドドメインが得られ、該改変OBフォールドドメインが、該天然に存在するOBフォールドドメインと比較して、変化した結合を有する、工程と、
    を含む、方法。
  9. 前記改変OBフォールドドメインをコードする核酸を変化させる工程、および/または該改変OBフォールドドメインを含むタンパク質の少なくとも1つのアミノ酸をコードする核酸を変化させる工程もさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. ディスプレイのための改変OBフォールドドメインタンパク質のライブラリを作製する方法であって、
    a)OBフォールドドメインまたはその一部分をコードする核酸を取得する工程と、
    b)該核酸をランダムな変化に供することにより、少なくとも1つのランダム化したアミノ酸残基を有する改変OBフォールドドメインをコードする変化させた核酸の集合体を生成する工程と、
    を含む、方法。
  11. 前記核酸が、前記OBフォールドドメイン結合表面のストランドおよび/またはOBフォールドドメインのループのストランドの少なくとも1つのアミノ酸残基をコードする、請求項10に記載の方法。
  12. 改変OBフォールドドメインをコードする変化させた核酸の前記ライブラリを、前記改変OBフォールドドメインをその表面に提示し得る宿主細胞の集団に導入する工程もさらに含む、請求項10または請求項11に記載の方法。
  13. 請求項1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインをコードする、単離された核酸。
  14. 請求項1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインをコードする核酸を含む、宿主細胞。
  15. 請求項1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインをコードする核酸を含む、ファージ。
  16. 請求項1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインをコードする核酸を含む、組成物。
  17. 改変OBフォールドドメインのライブラリを、結合パートナーとの結合についてスクリーニングする方法であって、
    a)改変OBフォールドドメインのライブラリをその表面に提示する宿主細胞またはウイルス粒子の集団を取得する工程と、
    b)該改変OBフォールドドメインと該結合パートナーとの結合に適した条件下で、該宿主細胞またはウイルス粒子の集団を該結合パートナーと接触させる工程と、
    c)該結合パートナーと該改変OBフォールドドメインとの結合を決定する工程と、
    を含む、方法。
  18. 前記宿主細胞またはウイルス粒子が、前記改変OBフォールドドメインをその表面に提示するファージである、請求項17に記載の方法。
  19. 請求項1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメインのファージライブラリであって、該改変OBフォールドドメインがPyrobaculum aerophilumから取得可能である、ファージライブラリ。
  20. 細胞またはウイルス粒子の表面に提示される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の改変OBフォールドドメイン。
  21. 前記細胞またはウイルス粒子が、ファージ、細菌、または酵母である、請求項20に記載の改変OBフォールドドメイン。
  22. 固体支持体に結合した、請求項1〜7のいずれかに記載の改変OBフォールドドメイン。
  23. 前記支持体が、ビーズ、ガラス、スライド、チップ、およびゼラチンからなる群から選択される、請求項23に記載の改変OBフォールドドメイン。
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