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JP2009509555A - ヒアルロン酸の産生が増大した植物ii - Google Patents

ヒアルロン酸の産生が増大した植物ii Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒアルロン酸の合成量が増大した植物細胞および植物に関するものであり、ならびに該植物を産生するための方法に関するものであり、ならびに該植物細胞または植物を用いてヒアルロン酸を産生するための方法に関するものである。本発明によれば、遺伝子組み換え植物細胞または植物は、ヒアルロン酸合成の活性を有し、さらに、野生型の植物細胞または野生型の植物と比較した場合、UDPグルコースデヒドロゲナーゼ(UDP−GIc−DH)の活性が増大している。本発明はまた、ヒアルロン酸およびヒアルロン酸を含有する食品および飼料を産生するための、ヒアルロン酸の合成量が増大した植物の使用に関する。

Description

本発明は、ヒアルロン酸(hyaluronan)の合成量が増大した植物細胞および植物に、また、該植物を調製するための方法に、さらに、該植物細胞または植物を用いてヒアルロン酸を調製するための方法に関する。ここでは、発明による遺伝子組み換え植物細胞または植物は、野生型の植物細胞または野生型の植物と比較した場合、ヒアルロン酸合成酵素活性を有し、さらにグルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)活性が増大している。本発明は、さらに、ヒアルロン酸およびヒアルロン酸を含有する食品または飼料を調製するための、ヒアルロン酸の合成量が増大した植物の使用に関する。
ヒアルロン酸は、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンの分子が交互に並んだものから構築される、天然に存在する未分岐の直鎖ムコ多糖(グルコサミノグルカン)である。ヒアルロン酸の基本構成要素は、二糖類のグルクロン酸−ベータ−1,3−N−アセチルグルコサミンからなる。ヒアルロン酸では、これら繰返し単位は、ベータ−1,4結合を介して互いに結合している。薬学では、ヒアルロン酸という用語を頻繁に使用する。ほとんどの場合には、ヒアルロン酸は、遊離酸としてではなくポリアニオンとして存在するので、以下では、ヒアルロン酸という用語を好んで使用するが、それぞれの用語が、どちらの分子形も包含するものと理解されたい。
ヒアルロン酸は、例えば、高分子電解質の特性、粘弾性特性、水と結合する高い能力、ヒアルロン酸のさらなる特性に加え、Lapcikらが総説(1998, Chemical Reviews 98(8), 2663-2684)に記載しているゲル形成特性などの、独特の物理化学特性を有する。
ヒアルロン酸は、脊椎動物の細胞外結合組織および体液の成分である。ヒトでは、ヒアルロン酸は、すべての体細胞、特に間葉細胞の細胞膜により合成し、結合組織、細胞外基質、へその緒、滑液、軟骨組織、皮膚、および目の硝子体中に特に高濃度で偏在的に体内に存在する(Bernhard Gebauer, 1998, Inaugural-Dissertation, Virchow-Klinikum Medizinische Fakultat Charite der Humboldt Universitat zu Berlin;Fraserら, 1997, Journal of Internal Medicine 242, 27-33)。
近年では、ヒアルロン酸は、非脊椎動物(軟体動物)中でも発見された(VolpiおよびMaccari, 2003, Biochimie 85, 619-625)。
さらに、ヒアルロン酸は、非免疫原性物質であるので、ある種の病原性グラム陽性細菌(AおよびC群ストレプトコッカス(Streptococcus group A and C))およびグラム陰性細菌(パスツレラ)は、その宿主の免疫システムによる攻撃からこれらの細菌を保護するエキソ多糖類としてヒアルロン酸を合成する。
クロレラ属の単細胞緑色藻類を感染させるウイルス(そのうちのいくつかは、ゾウリムシ種内に内部共生物として存在する)は、ウイルスによる感染の後で、ヒアルロン酸を合成する能力を単細胞緑色藻類に与える(Gravesら, 1999, Virology 257, 15-23)。しかし、ヒアルロン酸を合成する能力は、当該の藻類を特徴づける特長ではない。ヒアルロン酸を合成する藻類の能力は、そのゲノムが、ヒアルロン酸合成酵素をコードする配列を有するウイルスによる感染によって伝達される(DeAngelis, 1997, Science 278, 1800-1803)。さらに、ウイルスゲノムは、グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)をコードする配列を含有する。GFATは、フルクトース6−リン酸とグルタミンを、ヒアルロン酸合成のための代謝経路において重要な代謝物質であるグルコサミン6−リン酸に転換する。どちらの遺伝子も、活性タンパク質をコードし、ウイルスのヒアルロン酸合成酵素のように、ウイルス感染の早い段階で同時に転写される(DeAngelisら, 1997, Science 278, 1800-1803, Gravesら, 1999, Virology 257, 15-23)。グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)活性を有するタンパク質の活性は、ウイルスに感染していない細胞からの抽出物中でも、ウイルスに感染した細胞からの抽出物中でも検出できなかった(Landsteinら, 1998, Virology 250, 388-396)。したがって、ヒアルロン酸合成に対する、ウイルスに感染したクロレラ細胞におけるGFATの発現の役割、および、これらがヒアルロン酸合成のために必要とされるかどうかは公知ではない。天然に存在する植物は、それ自体、そのゲノム中に、ヒアルロン酸の合成を触媒するタンパク質をコードするいかなる核酸も有さず、多数の植物炭水化物が記載され、特徴づけられたが、これまで、感染していない植物において、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸に関連する物質を検出することは可能ではなかった(Gravesら, 1999, Virology 257, 15-23)。
ヒアルロン酸合成の触媒反応は、単一の膜組み込み型または膜結合型酵素(ヒアルロン酸合成酵素)によって実施される。これまで研究されてきたヒアルロン酸合成酵素は、2つの群:クラスIのヒアルロン酸合成酵素およびクラスIlのヒアルロン酸合成酵素に分類することができる:(DeAngelis, 1999, CMLS, Cellular and Molecular Life Sciences 56, 670-682)。脊椎動物のヒアルロン酸合成酵素は、同定アイソザイムによってさらに区別される。異なるアイソザイムは、同定順にアラビア数字を使用して呼ばれる(例えばhsHAS1、hsHAS2、hsHAS3)。
合成されたヒアルロン酸分子が、細胞質膜を横切って、細胞を取り囲む媒質に移動する機構は、まだ十分に解明されていない。以前の仮説では、細胞膜を横切る輸送は、ヒアルロン酸合成酵素自体によって行われるとみなされていた。しかし、より最近の結果では、細胞質膜を横切るヒアルロン酸分子の輸送が、この作用を担う輸送タンパク質を介するエネルギー依存性の輸送によって起こることが示されている。したがって、活性な輸送タンパク質の合成を阻害する突然変異によって、ストレプトコッカス(Streptococcus)株が産生された。該株は、相当する野生型の細菌株よりもヒアルロン酸の合成量が少なかった(Ouskovaら, 2004, Glycobiology 14(10), 931-938)。ヒト線維芽細胞では、公知の輸送タンパク質を特異的に阻害する薬剤を用いて、生成するヒアルロン酸の量およびヒアルロン酸合成酵素の活性を低下できることを実証することが可能であった(PrehmおよびSchumacher, 2004, Biochemical Pharmacology 68, 1401-1410)。この量では、仮にも、ヒアルロン酸を輸送できる輸送タンパク質が植物中に存在するかどうかはわからない。
ヒアルロン酸の独特な特性により、例えば、薬学、美容業界などの様々な分野で、また、食品および飼料の生産に、また、工業用途で(例えば潤滑剤として)適用するための多くの可能性が与えられる。ヒアルロン酸が現在使用する最も重要な用途は、医薬および美容分野である(例えば、Lapcikら, 1998, Chemical Reviews 98(8), 2663-2684, GoaおよびBenfield, 1994, Drugs 47(3), 536-566を参照されたい)。
医学分野では、ヒアルロン酸含有生成物は現在、関節症の関節内治療のために、また、目の手術に使用する点眼薬に使用されている。ヒアルロン酸はまた、競走馬において関節疾患を治療するために使用する。さらに、ヒアルロン酸は、例えば点眼剤および点鼻剤の形の、乾燥した粘膜を湿らせる役割を果たすある種の鼻科用薬の成分である。注射用のヒアルロン酸含有溶液は、鎮痛剤および抗リウマチ薬として使用する。ヒアルロン酸または誘導体化されたヒアルロン酸を含むパッチは、創傷治癒に用いられる。皮膚用薬としては、ヒアルロン酸含有ゲル・インプラントが、形成手術中の皮膚変形を矯正するために使用する。
薬理学的用途については、高分子量のヒアルロン酸を使用することが好まれる。
美容医学では、ヒアルロン酸調合物は、最も適切な皮膚フィラー材料の一つである。ヒアルロン酸を注入することによって、限られた時間、しわを滑らかにする、あるいは口唇の容量を増大させることが可能である。美容用生成物には、特に皮膚クリームおよびローションでは、ヒアルロン酸は、その高い水結合能力によって、保湿剤として頻繁に使用する。
さらに、ヒアルロン酸含有調合物は、いわゆる栄養補助食品(食品サプリメント)として販売され、これは、関節症の予防および緩和のために、動物(例えばイヌ、ウマ)にも使用することができる。
商業目的で使用するヒアルロン酸は、現在、動物組織(雄鳥のとさか)から単離し、あるいは細菌培養物を使用して発酵によって調製している。米国特許第4,141,973号は、雄鳥のとさかから、またはへその緒からヒアルロン酸を単離するための方法を記載している。動物組織(例えば雄鳥のとさか、へその緒)は、ヒアルロン酸に加えて、例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、およびヘパリンなどの、ヒアルロン酸に関連するさらなるムコ多糖類も含有している。さらに、動物は、ヒアルロン酸に特異的に結合し、生物体における最も様々な機能(例えば、肝臓におけるヒアルロン酸の分解、細胞遊走のためのリード構造としてのヒアルロン酸の機能、エンドサイトーシスの調節、細胞表面上へのヒアルロン酸の固定、またはヒアルロン酸網様構造の形成)に必要とされるタンパク質(ヒアルアドヘリン)を含有する(Turley, 1991, Adv Drug Delivery Rev 7, 257 ff.;LaurentおよびFraser, 1992, FASEB J. 6, 183 ff.;StamenkovicおよびAruffo, 1993, Methods Enzymol. 245, 195 ff;KnudsonおよびKnudson, 1993, FASEB 7, 1233 ff.)。
細菌によるヒアルロン酸の生産に使用するストレプトコッカス株は、もっぱら病原性細菌である。該細菌は、培養中にも、(発熱性の)外毒素および溶血素(ストレプトリジン、特にα−およびβ−溶血素)を産生し(Kilian, M.:Streptococcus and Enterococcus.In: Medical Microbiology. Greenwood, D.;Slack, RCA;Peutherer, J. F. (編) Chapter 16.Churchill Livingstone, Edinburgh, UK:pp. 174-188, 2002, ISBN 0443070776)、これは、培地に放出される。これによって、ストレプトコッカス株を用いて調製するヒアルロン酸の精製および単離は、より困難になる。特に、医薬用途については、調製物中の外毒素および溶血素の存在は、問題である。米国特許第4,801,539号は、変異を誘発させた細菌株(ストレプトコッカスズーエデミカス)の発酵によるヒアルロン酸の調製物を記載している。使用する変異誘発細菌株は、ベータ−溶血素をもはや合成しない。ヒアルロン酸の達成収量は、培養物1リットルあたり3.6gであった。
欧州特許第0694616号は、ストレプトコッカス ズーエデミカスまたはストレプトコッカス エクイを培養するための方法を記載している。ここで、使用する培養物条件下では、ストレプトリジンは存在せず、ヒアルロン酸の合成量が増大した。ヒアルロン酸の達成収量は、培養物1リットルあたり3.5gであった。
培養中、ストレプトコッカス株は、培地に酵素ヒアルロニダーゼを放出し、その結果として、この産生系ではまた、精製中に分子量は低下する。ヒアルロニダーゼ陰性のストレプトコッカス株の使用、または培養中のヒアルロニダーゼの生産が阻害されるヒアルロン酸生産法の使用は、米国特許第4,782,046号に記載している。ヒアルロン酸の達成収量は、培養物1リットルあたり最高2.5gであり、達成した最高平均分子量は、2.4×10から4.0×10までの分子量分布で、3.8×10Daであった。米国特許第20030175902号および国際公開第03 054163号は、バチルス ズブチリスにおけるストレプトコッカス エクイシミリスからのヒアルロン酸合成酵素の異種発現を用いたヒアルロン酸の調製を記載している。十分な量のヒアルロン酸の生産を実現させるために、ヒアルロン酸合成酵素の異種発現に加えて、バチルス細胞におけるUDP−グルコースデヒドロゲナーゼの同時発現も必要とされる。
米国特許第20030175902号および国際公開第03 054163号は、バチルス ズブチリスを用いた産生で得られるヒアルロン酸の絶対的な量を述べていない。達成した最高平均分子量は、約4.2×10であった。しかし、この平均分子量は、ストレプトコッカス エクイシミリス由来のヒアルロン酸合成酵素遺伝子をコードする遺伝子と、バチルス ズブチリス由来のUDP−グルコースデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子が、amyQプロモーターの制御下でバチルス ズブチリスゲノムに組み込まれ、同時に、バチルス ズブチリス内在性cxpY遺伝子(これはシトクロムP450オキシダーゼをコードする)が不活性化された組み換え型バチルス株について達成されただけであった。
国際公開第05 012529号は、クロレラ感染ウイルス由来のヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子を使用して形質転換されたトランスジェニックタバコ植物の調製物を記載している。国際公開第05 012529号では、タバコ植物を形質転換するために、一方では、クロレラウイルス株CVHI1の、他方では、クロレラウイルス株CVKA1の、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸配列を使用した。ヒアルロン酸の合成は、クロレラウイルス株CVKA1から単離したヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸で形質転換された植物についてのみ実証できた。クロレラウイルス株CVHI1から単離したヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸配列で形質転換されたタバコ植物については、相当するトランスジェニック植物においてヒアルロン酸の合成を検出することはできなかった。国際公開第05 012529号における唯一のヒアルロン酸産生トランスジェニックタバコ植物によって合成されるヒアルロン酸の量は、測定容量1mlにつき約4.2μgであったと述べられており、これは、当該の実験を実施するための記述を考慮すると、生成ヒアルロン酸量は、植物材料の生重量1グラムあたり、多くても12μgの量に、ほぼ相当する。
ヒアルロン酸合成酵素は、出発材料UDP−N−アセチルグルコサミンとUDP−グルクロン酸からのヒアルロン酸の合成を触媒する。挙げられた出発材料はどちらも、植物細胞中に存在する。
植物細胞におけるUDP−N−アセチルグルコサミンの合成については、国際公開第98 35047号に、代謝物質N−アセチル−グルコサミン、N−アセチル−グルコサミン6−リン酸、N−アセチル−グルコサミン1−リン酸の形成を伴う多くの連続する酵素的に触媒される反応ステップによって、グルコサミンがUDP−N−アセチルグルコサミンに転換される代謝経路について記載している。代替の代謝経路は、グルコサミン6−リン酸(これは、その後、代謝物質グルコサミン1−リン酸およびN−アセチル−グルコサミン1−リン酸の形成を伴う多くの連続する酵素的に触媒される反応ステップによって、UDP−N−アセチルグルコサミンに転換される)を与える、フルクトース6−リン酸とグルタミンの反応を含む。フルクトース6−リン酸とグルタミンの、グルコサミン6−リン酸への転換は、グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)活性を有するタンパク質によって触媒される(Mayerら, 1968, Plant Physiol. 43, 1097-1107)。国際公開第00 11192号は、2−アミノ−アンヒドログルコース分子を有する植物においてカチオン性デンプンを合成する目的で、トランスジェニックトウモロコシ植物における、GFATの酵素活性を有するタンパク質をコードするトウモロコシの核酸分子の内乳特異的な過剰発現を記載している。記載されている代謝経路(国際公開第00 11192号の記載によれば、デンプンに組み込まれる2−アミノ−アンヒドログルコースをもたらすはずである)は、特に、スターチシンターゼおよび/またはグリコーゲンシンターゼによる、UDP−グルコサミンのデンプンへの組み込みを含む。ここでは、色素体シグナルペプチドと翻訳的に融合させた、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする核酸分子を過剰発現している当該のトランスジェニックトウモロコシ植物の内乳由来の粉末中に検出されるUDP−グルコサミンの量が、増大したことが述べられている。GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質が、シグナルペプチド無しで発現された場合、トウモロコシ内乳組織由来の相当する粉末において、増大した量のグルコサミン1−リン酸を検出することが可能であった。トランスジェニック植物では、カチオン性デンプンを検出することは可能ではなかった。
細菌株の発酵によるヒアルロン酸の産生は、細菌が、高価な制御された培養条件下で、密閉された滅菌容器で発酵させる必要があるので、高い費用を伴う(例えば、米国特許第4,897,349号を参照されたい)。さらに、細菌株の発酵によって産生可能なヒアルロン酸の量は、各場合において存在する生産設備によって制限される。ここでは、物理的法則の結果として、発酵槽を、極端に大きな培養容量のために構築することができないことにも注意を払わなければならない。ここでは、外部から供給される物質(例えば細菌のための必須栄養源、pHを調節するための試薬、酸素)の、効率的な産生のために必要とされる培地との均一な混合(これは、仮に可能であったとしても、大きな発酵槽で、大きな技術費用を伴う場合にのみ確実に行うことができる)が、詳細に記載されている。
動物組織中には、ヒアルロン酸に特異的に結合する他のムコ多糖類およびタンパク質が存在するので、動物由来のヒアルロン酸の精製は、複雑である。患者においては、特に、患者が動物性タンパク質(例えば鶏の卵白)に対するアレルギーである場合、動物性タンパク質が混入したヒアルロン酸含有医薬調製物を使用すると、望ましくない体の免疫学的反応が引き起こされる可能性がある(米国特許第4,141,973号)。さらに、十分な品質かつ純度で動物組織から得ることができるヒアルロン酸の量は小さく(雄鳥のとさか:0.079%w/w、欧州特許第0144019号、米国特許第4,782,046号)、これは、大量の動物組織の処理を必要とする。動物組織由来のヒアルロン酸の単離におけるさらなる問題は、動物組織がまた、ヒアルロン酸分解酵素(ヒアルロニダーゼ)を含有するので、精製中のヒアルロン酸の分子量が低下させられるという影響にある。
ストレプトコッカス株はまた、述べてきたヒアルロニダーゼおよび外毒素に加えて、医薬用生成物中に存在する場合に患者の健康へのリスクをもたらすエンドトキシンを産生する。科学的研究では、市場に出ているヒアルロン酸含有医薬生成物は、検出可能な量の細菌のエンドトキシンを含有していることも示されている(Dickら, 2003, Eur J Opthalmol.13(2), 176-184)。ストレプトコッカス株を用いて産生されるヒアルロン酸のさらなる不都合な点は、単離されるヒアルロン酸の分子量が、雄鳥のとさかから単離されるヒアルロン酸よりも小さいという事実である(Lapcikら, 1998, Chemical Reviews 98(8), 2663-2684)。米国特許第20030134393号は、特に際立った(スーパーカプセル化された)ヒアルロン酸カプセルを合成する、ヒアルロン酸を産生するためのストレプトコッカス株の使用を記載している。発酵後に単離したヒアルロン酸は、分子量が9.1×10であった。しかし、収量は、1リットルあたり350mgに過ぎなかった。
細菌の発酵によって、あるいは動物組織からの単離によってヒアルロン酸を産生することのいくつかの不都合な点は、トランスジェニック植物を使用してヒアルロン酸を産生することによって回避することができるが、トランスジェニック植物を使用して産生することが可能な、現在達成される量のヒアルロン酸は、比較的大量のヒアルロン酸を産生するための培養下で、比較的大きな領域を必要とするであろう。さらに、ヒアルロン酸含有量がより低い植物からのヒアルロン酸の単離または精製は、ヒアルロン酸含有量がより高い植物からの単離または精製よりも、かなり複雑で、コストが高い。
ヒアルロン酸は、独特な特性を有するが、その稀少性および高値のために、仮に可能であったとしても、工業用途に使用することはめったにない。
したがって、本発明の一目的は、十分な量および品質のヒアルロン酸の提供を可能にする、また、さらに、工業用途ならびに食品および飼料の分野における用途のためにヒアルロン酸を提供することを可能にする手段および方法を提供することである。
この目的は、請求項中に概説する実施態様によって達成される。
したがって、本発明は、そのゲノムに安定に組み込まれ、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子を有する遺伝子組み換え植物細胞または遺伝子組み換え植物に関すもので、該植物細胞または植物はさらに、グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)の(酵素的)活性を有するタンパク質の活性を、対応する非組み換え野生型植物細胞、または遺伝子非組み換え野生型植物と比較して、増大させたことを特徴としている。
ここでは、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物の遺伝子組み換えは、植物細胞または植物に、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子の安定な組込みを引き起こし、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞または遺伝子非組み換え野生型植物と比較して、遺伝子組み換え植物細胞または遺伝子組み換え植物中におけるGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の活性を増大させるすべての遺伝子組み換えであり得る。
本発明との関連で、「野生型の植物細胞」という用語は、本発明による遺伝子組み換え植物細胞を調製するための出発材料として働く植物細胞(すなわち、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子の安定な組込みを引き起こし、GFATの活性を有するタンパク質の活性を増大させる、導入される遺伝子組み換えとは離れた遺伝情報は、本発明による遺伝子組み換え植物細胞の遺伝情報に相当する)を意味するものと理解されたい。
本発明との関連で、「野生型の植物」という用語は、本発明による遺伝子組み換え植物を調製するための出発材料として働く植物(すなわち、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子の安定な組込みを引き起こし、GFATの活性を有するタンパク質の活性を増大させる、導入される遺伝子組み換えとは離れた遺伝情報は、本発明による遺伝子組み換え植物細胞の遺伝情報に相当する)を意味するものと理解されたい。
本発明との関連で、「対応する」という用語は、複数の対象物を比較する場合、互いに比較される当該の対象物は、同じ条件下に置かれることを意味する。本発明との関連で、野生型の植物細胞または野生型の植物における「対応する」という用語は、互いに比較される植物細胞または植物が、同じ培養または栽培条件下で培養され、かつ、それらが同じ(培養)世代であることを意味する。
本発明との関連で、「ヒアルロン酸合成酵素」という用語は(EC 2.4.1.212)は、基質UDP−グルクロン酸(UDP−GlcA)とN−アセチル−グルコサミン(UDP−GlcNAc)からヒアルロン酸を合成するタンパク質を意味するものと理解されたい。
ヒアルロン酸合成は、下の反応スキームに従って触媒される:
nUDP−GlcA+nUDP−GlcNAc→ベータ−1,4−[GlcA−ベータ−1,3−GlcNAc]+2nUDP
ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子および対応するタンパク質配列は、特に、以下の生物について記載している:ウサギ(Oryctolagus cuniculus)ocHas2(EMBL AB055978.1、米国特許第20030235893号)、ocHas3(EMBL AB055979.1、米国特許第20030235893号);ヒヒ(Papio anubis)paHasi(EMBL AY463695.1);カエル(Xenopus laevis)xlHas1(EMBL M22249.1、米国特許第20030235893号)、xlHas2(DG42)(EMBL AF168465.1)、xlHas3(EMBL AY302252.1);ヒト(Homo sapiens)hsHAS1(EMBL D84424.1、米国特許第20030235893号)、hsHAS2(EMBL U54804.1、米国特許第20030235893号)、hsHAS3(EMBL AF232772.1、米国特許第20030235893号);マウス(Mus musculus)、mmHas1(EMBL D82964.1、米国特許第20030235893号)、mmHAS2(EMBL U52524.2、米国特許第20030235893号)、mmHas3(EMBL U86408.2、米国特許第20030235893号);ウシ(Bos taurus)btHas2(EMBL AJ004951.1、米国特許第20030235893号);ニワトリ(Gallus gallus)ggHas2(EMBL AF106940.1、米国特許第20030235893号);ラット(Rattus norvegicus)rnHas 1(EMBL AB097568.1、Itanoら, 2004, J. Biol. Chem. 279(18) 18679-18678)、rnHas2(EMBL AF008201.1);rnHas 3(NCBI NM_172319.1、Itanoら, 2004, J. Biol. Chem. 279(18) 18679-18678)、ウマ(Equus caballus)ecHAS2(EMBL AY056582.1、Gl:23428486)、ブタ(Sus scrofa)sscHAS2(NCBI NM_214053.1、Gl:47522921)、sscHas 3(EMBLAB159675)、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)brHas1(EMBL AY437407)brHas2(EMBL AF190742.1)、brHas3(EMBL AF190743.1);パスツレラ ムルトシダ pmHas(EMBL AF036004.2);ストレプトコッカス ピオゲネス spHas(EMBL、L20853.1、L21187.1、米国特許第6,455,304号、米国特許第20030235893号);ストレプトコッカス エクイス seqHas(EMBL AF347022.1、AY173078.1)、ストレプトコッカス ウベリス(Streptococcus uberis)suHasA(EMBL AJ242946.2、米国特許第20030235893号)、ストレプトコッカス エクイシミリスseqHas(EMBL AF023876.1、米国特許第20030235893号);スルホロブス ソフラタリカス ssHAS(米国特許第20030235893号)、スルホロブス トコダイイ stHas(AP000988.1)、ミドリゾウリムシ(Paramecium bursaria)クロレラウイルス1、cvHAS(EMBL U42580.3、PB42580、米国特許第20030235893号)。
本発明との関連で、用語「グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)」(E.C.2.6.1.16)(専門文献中ではグルコサミンシンターゼとも称される)は、基質グルタミンおよびフルクトース6−リン酸(Fruc−6−P)からグルコサミン6−リン酸(GlcN−6−P)を合成するタンパク質を意味するものと理解されたい。この触媒反応は、以下の反応スキームに従って進行する:
グルタミン+Fruc−6−P→GlcN−6P+グルタミン酸
特に、動物では、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の2つの異なるアイソフォーム(この文献中ではそれぞれ、GFAT−1およびGFAT−2と称される)を実証することが可能であった。Huら(2004), J. Biol. Chem. 279(29), 29988-29993は、グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ1(GFAT−1)と、グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ2(GFAT−2)の(酵素的)活性を有する当該のタンパク質の組織特異的発現の違いに加えて、マウス由来のそれぞれのタンパク質の違いを記載しているが、どちらのアイソフォームも、cAMP依存性プロテインキナーゼによるリン酸化によって調節されることを示すことが可能であった。GFAT−1の(酵素的)活性を有するタンパク質の活性は、当該のアミノ酸配列の、保存されたセリン残基(マウス由来のGFAT−1におけるセリン205、GenBankアクセッション番号:AF334736.1)のリン酸化によって抑制されるが、GFAT−2の活性を有するタンパク質の活性は、当該のアミノ酸配列の、保存されたセリン残基(マウス由来のGFAT−2におけるセリン202、GenBankアクセッション番号:NM_013529)のリン酸化によって増大する。GFAT−1の活性を有するタンパク質も、GFAT−2の活性を有するタンパク質も、UDP−N−アセチルグルコサミンによって、濃度依存的に抑制されるが、GFAT−2の活性を有するタンパク質については、UDP−N−アセチルグルコサミンによる抑制は、GFAT−1の活性を有するタンパク質(UDP−N−アセチルグルコサミンによる最大約51%または80%の低下)と比較すると、より小さい(UDP−N−アセチルグルコサミンによる最大約15%の低下)。動物におけるGFAT−1の活性を有するタンパク質の抑制が、高いUDP−N−アセチルグルコサミン濃度では当該のタンパク質のO−グルコース−N−アセチルグルコサミングリコシル化が存在する事実に基づいていることが示唆されている。O−グリコシル化によるタンパク質の活性の調節が、植物細胞中にも起こるかどうかは、まだ十分にわかっていない(HuberおよびHardin, 2004, Current Opinion in Plant Biotechnology 7, 318-322)。
本発明との関連で、「グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ−1(GFAT−1)」という用語は、GFATの活性を有し、その活性が、cAMP依存性プロテインキナーゼによるリン酸化によって抑制されるタンパク質を意味するものと理解されたい。
本発明との関連で、「グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ−2(GFAT−2)」という用語は、GFATの活性を有し、これが、cAMP依存性プロテインキナーゼによるリン酸化によって活性化されるタンパク質を意味するものと理解されたい。
本発明との関連で、用語「グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)」という用語は、GFATの活性を有するすべてのタンパク質を含む、包括的な用語として使用する。したがって、これは、これらに限定されないが、文献中で「グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ−1(GFAT−1)」と、または「グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ−2(GFAT−2)と称されるタンパク質を含む。
本発明との関連で、用語「GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の活性の増大」は、GFATの活性を有するタンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の増大、および/またはGFATの活性を有するタンパク質をコードする転写産物の量の増大、および/または細胞においてGFATの活性を有するタンパク質の量の増大、および/または細胞においてGFATの活性を有するタンパク質の酵素活性の増大を意味する。
発現の増大は、例えば、ノーザンブロット解析またはRT−PCRによって、例えば、GFATの活性を有するタンパク質をコードする転写産物の量を測定することによって決定することができる。ここでは、増大は、好ましくは、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞、または遺伝子非組み換え野生型植物と比較した場合の、少なくとも50%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは特に少なくとも100%の転写産物の量の増大を意味する。また、GFATの活性を有するタンパク質をコードする転写産物の量の増大は、GFATの活性を有するタンパク質をコードする検出可能な量の転写産物を有さない植物または植物細胞が、本発明による遺伝子組み換えの後に、GFATの活性を有するタンパク質をコードする検出可能な量の転写産物を有するようになることを意味する。
当該の植物細胞における該タンパク質の活性の増大を引き起こす、GFATの活性を有するタンパク質の量の増大は、例えば免疫学的方法、例えば、ウエスタンブロット分析、ELISA(酵素結合免疫測定法)、またはRIA(放射免疫アッセイ)によって決定することができる。特定のタンパク質と特異的に反応する、すなわち前記タンパク質に特異的に結合する抗体を調製するための方法は、当業者に公知である(例えば、LottspeichおよびZorbas(編), 1998, Bioanalytik [Bioanalysis]、Spektrum akad. Verlag, Heidelberg, Berlin、ISBN 3-8274-0041-4を参照されたい)。ある会社(例えばEurogentec,Belgium)は、オーダーサービスとして、該抗体の調製を提供している。ここでは、タンパク質の量の増大は、好ましくは、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞、または遺伝子非組み換え野生型植物と比較した場合の、少なくとも50%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは特に少なくとも100%のGFATの活性を有するタンパク質の量の増大を意味する。また、GFATの活性を有するタンパク質の量の増加は、GFATの活性を有する検出可能な量のタンパク質を有さない植物または植物細胞が、本発明による遺伝子組み換えの後に、GFATの活性を有する検出可能な量のタンパク質を有するようになることを意味する。
植物抽出物におけるGFATの活性を有するタンパク質の活性の増大は、例えば、Samacら、(2004, Applied Biochemistry and Biotechnology 113-116, Humana Press, Editor Ashok Mulehandani, 1167-1182, ISSN 0273-2289)で説明した通りの、当業者に公知の方法によって決定することができる。GFATの活性を有するタンパク質の活性の量を決定するための好ましい方法は、一般的方法の第5項目に示している。
GFATの活性を有するタンパク質の(酵素的)活性の量の増大は、好ましくは、対応する遺伝子が組み換えられていない野生型の植物細胞または遺伝子が組み換えられていない野生型の植物と比較した場合の、少なくとも50%、特に少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも85%、好ましくは特に少なくとも100%の該タンパク質の活性の増大を意味する。また、GFATの活性を有するタンパク質の酵素的活性の量の増大は、GFATの活性を有する検出可能な量のタンパク質を有さない細胞または植物細胞が、本発明による遺伝子組み換えの後、GFATの活性を有する検出可能な量のタンパク質を有するようになることを意味する。
本発明との関連で、「ゲノム」という用語は、植物細胞中に存在する全遺伝物質を意味するものと理解されたい。核に加えて、他の区画(例えば色素体、ミトコンドリア)も遺伝物質を含有することが、当業者に公知である。
本発明との関連で、「安定に組み込まれた核酸分子」という用語は、植物のゲノムへの核酸分子の組込みを意味するものと理解されたい。安定に組み込まれた核酸分子は、対応する組込み部位の複製中に、この組込み部位に接する宿主の核酸配列とともに増殖され、その結果、複製されたDNA鎖における組込み部位は、複製のための母体として働く読み取り鎖上の同じ核酸配列によって取り囲まれることを特徴とする。
核酸分子を植物宿主細胞に安定に組み込むためには、多くの技術を利用できる。該技術には、アグロバクテリウムチュメファシエンス、またはアグロバクテリウムリゾゲネスを使用する、T−DNAを用いる植物細胞の形質転換、プロトプラスト融合、注入、DNAの電気穿孔法、微粒子銃手法によるDNAの導入が含まれる(「Transgenic Plants」Leandro編, Humana Press 2004, ISBN 1-59259-827-7に概説)。植物細胞のアグロバクテリウム介在性形質転換の使用は、綿密に研究されており、欧州特許第120516号;Hoekema, IN: The Binary Plant Vector System Offsetdrukkerij Kanters B.V. Alblasserdam (1985), Chapter V;Fraleyら, Crit. Rev. Plant Sci. 4, 1-46、およびAnらEMBO J. 4, (1985), 277-287に網羅的に記載されている。ジャガイモの形質転換については、例えば、Rocha-SosaらEMBO J. 8, (1989), 29-33)を、トマト植物の形質転換については、米国特許第5,565,347号を参照のこと。
また、アグロバクテリウム形質転換に基づくベクターを使用する単子葉植物の形質転換も記載されている(Chanら, Plant Mol. Biol. 22, (1993), 491-506;Hieiら, Plant J. 6, (1994) 271-282;Dengら, Science in China 33, (1990), 28-34;Wilminkら, Plant Cell Reports 11 , (1992), 76-80;Mayら, Bio/Technology 13, (1995), 486-492;ConnerおよびDomisse, Int. J. Plant Sci. 153 (1992), 550-555;Ritchieら, Transgenic Res. 2, (1993), 252-265)。単子葉植物を形質転換するための代替のシステムは、微粒子銃手法を使用する形質転換(WanおよびLemaux, Plant Physiol. 104, (1994), 37-48;Vasilら, Bio/Technology 11 (1993), 1553-1558;Ritalaら, Plant Mol. Biol. 24, (1994), 317-325;Spencerら, Theor. Appl. Genet. 79, (1990), 625-631)、プロトプラスト形質転換、部分的に透過処理された細胞の電気穿孔法、ガラス繊維を使用するDNAの導入である。特に、トウモロコシの形質転換は、何度か文献に記載されている(例えば、国際公開第95/06128号、欧州特許第0513849号、欧州特許第0465875号、欧州特許第0292435号;Frommら, Biotechnology 8, (1990), 833-844;Gordon-Kammら, Plant Cell 2, (1990), 603-618;Kozielら, Biotechnology 11 (1993), 194-200;MorocらTheor. Appl. Genet. 80, (1990), 721-726を参照されたい)。他の草、例えばスイッチグラス(Panicum virgatum)の形質転換も記載されている(Richardsら, 2001, Plant Cell Reporters 20, 48-54)。他の穀物種の好結果の形質転換も、例えば大麦について(WanおよびLemaux、上記参照;Ritalaら, 上記参照;Krensら, Nature 296, (1982), 72-74)、小麦について(Nehraら, Plant J. 5, (1994), 285-297;Beckerら, 1994, Plant Journal 5, 299-307)に記載されている。上記方法はすべて、本発明において適している。
本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物は、先行技術と比較した場合、ヒアルロン酸合成酵素のみの活性を有する植物よりも大量のヒアルロン酸を産生するという利点を提供する。ヒアルロン酸含有量がより高い植物からのヒアルロン酸の単離は、より単純で、より費用効果が優れているので、これによって、ヒアルロン酸が低費用で産生されることが可能になる。さらに、先行技術に記載されている植物と比較した場合、本発明による遺伝子組み換え植物を使用してヒアルロン酸を産生するのに必要な培養領域は、より小さい。これによって、その稀少性および高値のために現在使用されていない工業用途でも、十分な量のヒアルロン酸を提供することが可能になる。ウイルスに感染したクロレラ属の植物は、比較的大量のヒアルロン酸を産生するには適していない。ヒアルロン酸の産生では、ウイルスに感染した藻類は、ヒアルロン酸合成に必要とされる遺伝子が、そのゲノムに安定に組み込まれないという不都合があり(Van EttenおよびMeints, 1999, Annu. Rev. Microbiol. 53, 447-494)、その結果、ヒアルロン酸を産生するためには、ウイルス感染を繰り返さなければならない。したがって、所望の品質および量のヒアルロン酸を連続的に合成する個々のクロレラ細胞を単離することは可能ではない。さらに、ウイルスに感染したクロレラ属藻類では、ヒアルロン酸は、限られた期間に産生されるだけであり、ウイルスによって引き起こされる溶解の結果、藻類は、感染の約8時間後に死亡する(Van Ettenら, 2002, Arch Virol 147, 1479-1516)。これとは対照的に、本発明は、本発明による遺伝子組み換え植物細胞および本発明による遺伝子組み換え植物が、無性生殖的または性生殖的に無制限に増殖できるという利点、また、これらが連続的にヒアルロン酸を産生するという利点を提供する。
ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子を有する、国際公開第05 012529号に記載のトランスジェニック植物は、比較的少量のヒアルロン酸を合成する。対照的に、本発明は、本発明による遺伝子組み換え植物細胞、および本発明による遺伝子組み換え植物が、かなり多量のヒアルロン酸を合成するという利点を提供する。
したがって、本発明はまた、ヒアルロン酸を合成する本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物を提供する。好ましくは、本発明による植物細胞または本発明による植物は、生重量1グラムにつき少なくとも500μgのヒアルロン酸、好ましくは生重量1グラムにつき少なくとも1500μgのヒアルロン酸、特に好ましくは生重量1グラムにつき少なくとも3500μgのヒアルロン酸、とりわけ好ましくは生重量1グラムにつき少なくとも4000μgのヒアルロン酸、最も好ましくは生重量1グラムにつき少なくとも5500μgのヒアルロン酸を合成する。好ましくは、本発明による植物細胞または本発明による植物は、生重量1グラムにつき最高で25000μgのヒアルロン酸、好ましくは生重量1グラムにつき最高で20000μgのヒアルロン酸、特に好ましくは生重量1グラムにつき最高で15000μgのヒアルロン酸、とりわけ好ましくは生重量1グラムにつき最高で10000μgのヒアルロン酸、最も好ましくは生重量1グラムにつき最高で6500μgのヒアルロン酸を合成する。
成長期間にわたって、ヒアルロン酸が植物組織中に蓄積することが観察されているので、本発明による遺伝子組み換え植物細胞における、あるいは本発明による遺伝子組み換え植物における、生重量に対するあるいは乾燥重量に対するヒアルロン酸の量は、特に好ましくは、当該の植物細胞または当該の植物を採取する間もしくは採取する数日(1日または2日)前に決定するべきである。ここでは、ヒアルロン酸の量に関して、特に、さらなる加工のために使用することになる植物材料(例えば塊茎、種子、葉)を使用する。
ヒアルロン酸を合成する本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物は、それらによって合成されるヒアルロン酸を単離し、その構造を立証することによって特定することができる。
植物組織は、ヒアルロニダーゼを含有しないという利点を有するので、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物において、ヒアルロン酸の存在を確認するためには、単純かつ迅速な単離方法を使用することができる。この目的のために、試験する植物組織に水を加え、次いで、この植物組織を、機械的に(例えばビーズミル、ハンマーミル、Warringブレンダー、ジューサーなどを用いて)粉砕する。必要とされる場合、その後、懸濁液に、さらなる水を加えることができ、細胞残屑および非水溶性成分は、遠心分離またはふるいにかけることによって、その後除去する。その後、遠心分離の後に得られる上清中のヒアルロン酸の存在は、例えば、ヒアルロン酸に特異的に結合するタンパク質を使用して証明することができる。ヒアルロン酸に特異的に結合するタンパク質を用いてヒアルロン酸を検出するための方法は、例えば、米国特許第5,019,498号に記載してある。試験キット(例えば、Corgenix, Inc., Colorado, USAのヒアルロン酸(HA)試験キット, Prod. No. 029-001);一般的方法の第4項目も参照されたい。並行して、最初に、ヒアルロニダーゼを含む得た遠心分離上清の一定分量を消化し、続いて、上述の通りに、ヒアルロン酸に特異的に結合するタンパク質を用いて、ヒアルロン酸の存在を確認することができる。この並行処理分画では、ヒアルロニダーゼの作用によって、その中に存在するヒアルロン酸は分解し、その結果、完全な消化の後では、ヒアルロン酸の有意な量を検出することは、もはや可能ではない。
遠心分離上清中のヒアルロン酸の存在は、さらに、他の分析法(例えばIR、NMR、または質量分析法)を使用して確認することができる。
色素体シグナルペプチドと翻訳的に融合させたGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の過剰発現は、トウモロコシでは、UDP−グルコサミン含有量を増大させ、また、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質のサイトゾル過剰発現は、トウモロコシでは、挽いた内乳組織におけるグルコサミン1−リン酸含有量を増大させた。しかし、UDP−グルコサミンおよびグルコサミン1−リン酸は、ヒアルロン酸合成酵素によるヒアルロン酸の合成の基質ではない。さらに、グルコサミンが、植物細胞に対する細胞毒性効果を有すること(Robertsら, 1971, Plant Physiol. 48, 36-42)、また、比較的高い濃度で植物細胞中に存在する場合には、これはグルコサミン6−リン酸に転換されることが公知である。グルコサミン6−リン酸も、同様に、植物細胞にとって毒性である。(国際公開第98 35047号、米国特許第6,444,878号)。さらに、GFATの活性を有するタンパク質が、UDP−N−アセチルグルコサミンの合成のさらなる代謝経路において形成される代謝物質によって抑制的に調節されることが公知である。真核生物(動物と植物の両方)から単離されるGFATの活性を有するタンパク質は、例えば、ヒアルロン酸合成酵素のための2つの基質のうちの1つであるUDP−N−アセチルグルコサミンによって抑制される(Kornfeld, 1967, J. Biol. Chem. 242(13), 3135-3141;Graackら, 2001, Biochem. J. 360, 401-412;Mayerら, 1968, Plant Physiol. 43, 1097-1107)。GFATの活性を有する細菌タンパク質は、グルコサミン6−リン酸(GFATによって触媒される反応の直接反応生成物)によって抑制される(Dengら, 2005, Metabolic Engineering 7, 201-214)。
植物細胞中で合成されるヒアルロン酸の量を、制限するものがあるかについて、文献中には示されていない。
したがって、驚いたことに、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子を有し、その上GFAT活性が増大された遺伝子組み換え植物細胞または遺伝子組み換え植物は、ヒアルロン酸合成酵素活性(のみ)を有する遺伝子組み換え植物細胞または遺伝子組み換え植物と比較した場合、著しく多量のヒアルロン酸を産生することが判明した。
好ましい実施態様では、本発明は、ヒアルロン酸合成酵素の活性(のみ)を有する遺伝子組み換え植物細胞と比較して、または遺伝子組み換え植物と比較して、または、ヒアルロン酸合成酵素の活性を有するがGFATの活性を有するタンパク質の活性が増大していない遺伝子組み換え植物細胞と比較して、もしくは遺伝子組み換え植物と比較して、ヒアルロン酸の産生量が増大することを特徴とする、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物に関する。
本発明との関連で、「ヒアルロン酸合成酵素の活性(のみ)を有する植物細胞または植物」という用語は、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞または遺伝子非組み換え野生型植物と比較した場合、遺伝子組み換え植物細胞または遺伝子組み換え植物(ここでは、遺伝子組み換えは、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子を含むことにある)を意味するものと理解されたい。
特に、「ヒアルロン酸合成酵素の活性(のみ)を有する植物細胞または植物」は、ヒアルロン酸を合成し、かつ、遺伝子非組み換え野生型植物細胞、または遺伝子非組み換え野生型植物への、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子の導入以外のさらなる遺伝子組み換えを有さないものと特徴づけられる。好ましくは、該植物は、GFATの活性を有するタンパク質の活性が増大していない。
植物細胞または植物によって産生されるヒアルロン酸の量は、例えば市販の試験キット(例えば、Corgenix, Inc., Colorado, USAのヒアルロン酸(HA)試験キット、Prod. No. 029-001)を使用する、既に上で述べた方法を用いて決定することができる。植物細胞または植物中のヒアルロン酸含有量を決定するための、本発明において好ましい方法は、一般的方法の第4項目に記述する。
本発明のさらなる実施態様では、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物は、それぞれ、ヒアルロン酸を合成する緑色陸生植物または緑色陸生植物の植物細胞である。
本発明との関連で、「緑色陸生植物(有胚植物類)」という用語は、Strasburger, 「Lehrbuch der Botanik」[Textbook of Botany] ,34th ed., Spektrum Akad. Verl., 1999, (ISBN 3-8274-0779-6)に定義されるものと理解されたい。
本発明の好ましい実施形態は、多細胞植物についての本発明による遺伝子組み換え植物細胞、または多細胞生物である本発明による遺伝子組み換え植物に関する。したがって、この実施態様は、単細胞植物(原生生物)に由来しない、あるいは原生生物でない植物細胞または植物に関する。
本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物は、それぞれ、原則として、任意の植物種(すなわち単子葉植物と双子葉植物の両方)の植物細胞および植物であり得る。これらは、好ましくは作物、すなわち人および動物に供給するために、あるいはバイオマスを産生するために、かつ/または技術、工業目的で物質を調製するために、人によって栽培される植物(例えば、トウモロコシ、米、小麦、アルファルファ、ライ麦、オート麦、大麦、キャッサバ、ジャガイモ、トマト、スイッチグラス(Panicum virgatum)、サゴヤシ、リョクトウ、pas、モロコシ、ニンジン、ナス、ラディッシュ、アブラナ、ダイズ、ピーナツ、キュウリ、カボチャ、メロン、ニラ、ニンニク、キャベツ、ホウレンソウ、サツマイモ、アスパラガス、ズッキーニ、レタス、アーティチョーク、スイートコーン、パースニップ、フタナミソウ、キクイモ、バナナ、サトウダイコン、サトウキビ、アオゲイトウ、ブロッコリー、キャベツ、タマネギ、イエロービート、タンポポ、イチゴ、リンゴ、アンズ、プラム、モモ、ブドウ、カリフラワー、セロリ、ピーマン、スウェーデンカブ、ルバーブ)である。特に好ましいものは、米、トマト、またはジャガイモ植物である。
好ましい一実施態様では、本発明は、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子が、ウイルスのヒアルロン酸合成酵素をコードすることを特徴とする、本発明による遺伝子組み換え植物細胞、または本発明による遺伝子組み換え植物に関する。ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子は、藻類を感染させるウイルスのヒアルロン酸合成酵素をコードすることが好ましい。
藻類感染ウイルスに関しては、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子は、クロレラ感染ウイルスのヒアルロン酸合成酵素、特に好ましくはミドリゾウリムシクロレラウイルス1(Paramecium bursaria Chlorella Virus 1)のヒアルロン酸合成酵素、とりわけ好ましくはH1株のミドリゾウリムシクロレラウイルスのヒアルロン酸合成酵素をコードすることが好ましい。
さらに好ましい一実施態様では、本発明は、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子のコドンが、ヒアルロン酸合成酵素が由来する生物のヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子のコドンと比べて改変されていることで特徴づけられる、本発明による遺伝子組み換え植物細胞、または本発明による遺伝子組み換え植物に関する。特に好ましくは、ヒアルロン酸合成酵素のコドンは、これが、そのゲノムに組み込まれる、または組み込まれるべき植物細胞または植物のコドンの使用頻度に適合するように組み換えられる。
遺伝暗号の縮重のため、アミノ酸を、1種以上のコドンによってコードできる。異なる生物では、アミノ酸をコードするコドンは、異なる頻度で使用する。コーディング核酸配列のコドンを、その発現されるべき配列がゲノムに組み込まれるべき植物細胞または植物におけるその使用頻度に適合させることは、翻訳タンパク質の量の増大に、かつ/または特定の植物細胞または植物中における当該のmRNAの安定性に寄与する可能性がある。当該の植物細胞または植物におけるコドンの使用頻度は、あるアミノ酸をコードするためにあるコドンが使用される頻度について、当該の生物のできる限り多くのコーディング核酸配列を調べることによって、当業者が決定することができる。いくつかの生物のコドンの使用頻度は、当業者に公知であり、コンピュータプログラムを使用して、簡単かつ迅速に決定することができる。適切なコンピュータプログラムは、公的にアクセス可能であり、特にインターネット上で無料にて提供される(例えばhttp://gcua.schoedl.de/;http://www.kazusa.or.jp/codon/;http://www.entelechon.com/eng/cutanalysis.html)。コーディング核酸配列のコドンを、発現されるべき配列がそのゲノムに組み込まれるべき植物細胞中または植物中でのその使用頻度に適合させることは、インビトロの突然変異誘発によって、あるいは、好ましくは遺伝子配列の新規(denovo)合成によって実施することができる。核酸配列の新規合成のための方法は、当業者に公知である。新規合成は、例えば、最初に個々の核酸オリゴヌクレオチドを合成し、これを、それに相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成させてDNA二本鎖を形成し、所望の核酸配列が得られるように個々の二本鎖オリゴヌクレオチドを連結させることによって実施することができる。ある標的生物にそのコドンを使用する頻度の適合を含めた核酸配列の新規合成体はまた、このサービスを提供している会社(例えばEntelechon GmbH, Regensburg,Germany)から手に入れることもできる。
ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子は、好ましくは、そのアミノ酸配列が、配列番号2で示したアミノ酸配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一であるヒアルロン酸合成酵素をコードすることを特徴とする。特に好ましい一実施態様では、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子は、配列番号2で示したアミノ酸配列を有するヒアルロン酸合成酵素をコードすることを特徴とする。
さらなる一実施態様では、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子は、配列番号1または配列番号3下で示した核酸配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一である。特に好ましい一実施態様では、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子は、配列番号3で示した核酸配列を有することを特徴とする。
2004年8月25日に、ミドリゾウリムシクロレラウイルスヒアルロン酸合成酵素をコードする合成核酸分子を含むプラスミドIC 341−222が、ブダペスト条約に従って、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Mascheroder Weg 1b, 38124 Brunswick, Germanyに番号DSM16664で寄託された。配列番号2で示したアミノ酸配列は、プラスミドIC 341−222に組み込まれる核酸配列のコード領域から得ることができ、ミドリゾウリムシクロレラウイルスヒアルロン酸合成酵素をコードする。
したがって、本発明はまた、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子が、そのアミノ酸配列が、プラスミドDSM16664に挿入される核酸配列のコード領域から得ることができるタンパク質をコードすること、あるいは、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子が、そのアミノ酸配列が、プラスミドDSM16664に挿入される核酸配列のコード領域から得ることができるアミノ酸配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一であるタンパク質をコードすることを特徴とする、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物に関する。
本発明はまた、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子が、プラスミドDSM16664に組み込まれるヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸配列であること、あるいは、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子が、プラスミドDSM16664に組み込まれる核酸配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一であることを特徴とする、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物に関連する。
本発明は、さらに、安定にそのゲノムに組み込まれる外来の核酸分子(前記外来の核酸分子は、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞または対応する遺伝子非組み換え野生型植物と比較した場合、GFATの活性を有するタンパク質の活性を増大させる)を有することを特徴とする、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物に関する。
本発明との関連で、「外来の核酸分子」という用語は、対応する野生型の植物細胞に天然に存在しない、あるいは、野生型の植物細胞中の特定の空間的配置に天然に存在しない、あるいは、野生型の植物細胞のゲノム中のある部位に局在している天然に存在しない分子を意味するものと理解されたい。好ましくは、外来の核酸分子は、その組み合わせまたは特定の空間的配置が、植物細胞中に天然に存在しない、様々な要素を含む組み換え型分子である。
本発明との関連で、「組み換え型核酸分子」という用語は、組み換え型核酸分子中に存在するような組み合わせで天然には存在しない様々な核酸分子を有する核酸分子を意味するものと理解されたい。したがって、組み換え型核酸分子は、ヒアルロン酸合成酵素、および/またはGFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子に加えて、述べてきた核酸分子と組み合わせて、天然には存在しない核酸配列をさらに有することができる。ヒアルロン酸合成酵素またはGFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子と組み合わせて組み換え型核酸分子上に存在する、述べてきた追加の核酸配列は、任意の配列であり得る。例えば、これは、ゲノム性の植物核酸配列である可能性がある。追加の核酸配列は、好ましくは調節配列(プロモーター、終結シグナル、エンハンサー)、特に好ましくは植物組織で活性である調節配列、特に好ましくは植物組織で活性である組織特異的な調節配列である。組み換え型核酸分子を産生するための方法は、当業者に公知であり、例えば、ライゲーションによる核酸分子の連結、遺伝子組み換え、または核酸分子の新規の合成などの遺伝子工学的方法を含む(例えば、Sambrokら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY. ISBN:0879695773, Ausubelら, Short Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons; 5th edition (2002),ISBN: 0471250929を参照のこと)。
ヒアルロン酸合成酵素をコードする、また、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞または遺伝子非組み換え野生型植物と比較した場合、GFATの活性を有するタンパク質の活性を増大させる、そのゲノムに安定に組み込まれた1つの外来の核酸分子またはそのゲノムに安定に組み込まれた複数の外来の核酸分子を有する、遺伝子組み換え植物細胞および遺伝子組み換え植物は、それぞれ、特に、それらがそれぞれ、野生型の植物細胞および野生型の植物中に天然に存在しない外来の核酸分子を含むという事実によって、あるいは、該分子が、それぞれ、野生型の植物細胞および野生型の植物に、すなわち異なるゲノム環境に存在しない、本発明による遺伝子組み換え植物細胞のゲノム中の、あるいは、本発明による遺伝子組み換え植物のゲノム中のある部位に組み込まれるという点で、前記野生型の植物細胞および前記野生型の植物と区別することができる。さらに、該本発明による遺伝子組み換え植物細胞および本発明による遺伝子組み換え植物は、それぞれ、それらが、適切であるならば、該野生型の植物細胞または野生型の植物に天然に存在する分子のコピーに加えて、そのゲノムに安定に組み込まれた外来の核酸分子の少なくとも1つのコピーを含むという点で、遺伝子非組み換え野生型植物細胞および遺伝子非組み換え野生型植物と区別することができる。本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物に導入された外来の核酸分子(1つまたは複数)が、野生型の植物細胞または野生型の植物に既に天然に存在する分子の追加のコピーである場合、本発明による遺伝子組み換え植物細胞および本発明による遺伝子組み換え植物は、それぞれ、特に、それぞれ野生型の植物細胞および野生型の植物中に存在しないこの追加のコピー/これらの追加のコピーが、ゲノム中のある部位に局在するという事実によって、野生型の植物細胞および野生型の植物と区別することができる。植物細胞または植物のゲノムへの核酸分子の安定な組込みは、遺伝学的方法および/または分子生物学的方法によって実証することができる。植物細胞のゲノムまたは植物のゲノムへの核酸分子の安定な組込みは、継承した前記核酸分子を有する子孫において、安定に組み込まれた核酸分子が、親の世代にあるのと同じゲノム環境に存在することによって特徴づけられる。植物細胞のゲノム中または植物のゲノム中の核酸配列の安定な組込みの存在は、当業者に公知である方法を使用して、特に、RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)分析のサザン・ブロット分析(Namら, 1989, The Plant Cell 1 , 699-705; LeisterおよびDean, 1993, The Plant Journal 4 (4), 745-750)を用いて、例えば、増幅されたフラグメントの長さの違いの分析(Amplified Fragment Length Polymorphism、AFLP)(Castiglioniら, 1998, Genetics 149, 2039-2056;Meksemら, 2001, Molecular Genetics and Genomics 265, 207-214;Meyerら, 1998, Molecular and General Genetics 259, 150-160)などの、PCRに基づく方法を用いて、または制限エンドヌクレアーゼを使用して切断した増幅されたフラグメントを使用して(Cleaved Amplified Polymorphic Sequences, CAPS)(KoniecznyおよびAusubel 1993, The Plant Journal 4, 403-410;Jarvisら, 1994, Plant Molecular Biology 24, 685-687;Bachemら, 1996, The Plant Journal 9 (5), 745-753)実証することができる。
原則として、外来の核酸分子は、植物細胞または植物中の、GFATの活性を有するタンパク質の活性を増大させる任意の核酸分子であり得る。
本発明では、本発明による遺伝子組み換え植物細胞および本発明による遺伝子組み換え植物はまた、挿入突然変異誘発を用いて調製することができる(総説:Thomeycroftら, 2001, Journal of experimental Botany 52 (361), 1593-1601)。本発明では、挿入突然変異誘発は、特に、GFATの活性を有するタンパク質をコードする、したがって、当該の細胞においてGFATの活性を有するタンパク質の活性を増大させる遺伝子または遺伝子の付近への、トランスポゾンまたは移動DNA(transfer DNA)(T−DNA)の挿入を意味するものと理解するべきである。トランスポゾンは、細胞中に天然に存在するトランスポゾン(内在性トランスポゾン)、または前記細胞中には天然に存在しないが、遺伝子工学、例えば細胞の形質転換によって細胞に導入されたトランスポゾン(異種性トランスポゾン)であり得る。トランスポゾンによる遺伝子の発現の改変は、当業者に公知である。植物バイオテクノロジーにおける道具としての内在性および異種性トランスポゾンの使用の総説は、RamachandranおよびSundaresan(2001, Plant Physiology and Biochemistry 39, 234-252)に示した。T−DNA挿入突然変異誘発は、アグロバクテリウム由来のTiプラスミドのある区域(T−DNA)を、植物細胞のゲノムに組み込むことができるという事実に基づいている。植物染色体への組込みの部位は、あらかじめ決められてはおらず、任意の位置への組み込みが可能である。T−DNAが、遺伝子機能を務める染色体のある区域に、またはある区域の付近に組み込まれる場合、これは、遺伝子発現の増大、したがって、さらにまた、当該の遺伝子によってコードされるタンパク質の活性の変化を起こす可能性がある。ゲノムに挿入される配列(特にトランスポゾンまたはT−DNA)は、GFATの活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の調節配列を活性化させる配列(「活性化タギング(activation tagging)」)を含むことを特徴とする。好ましくは、ゲノムに挿入される配列(特にトランスポゾンまたはT−DNA)は、GFATの活性を有するタンパク質をコードする、植物細胞または植物のゲノム中の内在性核酸分子の近傍に組み込まれることを特徴とする。
本発明による遺伝子組み換え植物細胞および本発明による遺伝子組み換え植物は、例えば、活性化タギングの方法を使用して産生することができる(例えば、Waldenら, Plant J. (1991), 281-288;Waldenら, Plant Mol. Biol. 26 (1994), 1521-1528)を参照のこと)。この方法は、例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35S RNAプロモーターのエンハンサー、またはオクトピンシンターゼエンハンサーなどの、エンハンサー配列による内在性プロモーターの活性化に基づくものである。
本発明との関連で、「T−DNA活性化タギング」という用語は、エンハンサー配列を含み、植物細胞のゲノムへの組込みによって、GFATの活性を有するタンパク質の活性を増大させるT−DNAフラグメントを意味するものと理解されたい。
本発明との関連で、「トランスポゾン活性化タギング」という用語は、エンハンサー配列を含み、植物細胞のゲノムへの組込みによって、GFATの活性を有するタンパク質の活性を増大させるトランスポゾンを意味するものと理解されたい。
本発明の好ましい一実施態様は、少なくとも1つの外来の核酸分子が、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物に関する。
本発明の特に好ましい一実施態様は、外来の核酸分子が、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物に関する。
本発明によれば、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする外来の核酸分子は、任意の生物に由来する可能性があり;好ましくは、前記核酸分子は、細菌、真菌、動物、植物、またはウイルスに、特に好ましくは、哺乳類、植物、または細菌、特に好ましくは、マウスまたは大腸菌(Escherichia coli)に由来する。ウイルスに関しては、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする外来の核酸分子は、好ましくは、藻類を感染させるウイルスに、好ましくはクロレラ属の藻類を感染させるウイルスに、特に好ましくはミドリゾウリムシクロレラウイルスに、特に好ましくはH1株のミドリゾウリムシクロレラウイルスに由来する。GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする天然に存在する核酸分子ではなく、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物に導入される、突然変異誘発によって産生される核酸分子も可能である。ここでは、前記の突然変異誘発された外来の核酸分子は、代謝物質による(例えばグルコサミン代謝の)抑制が低下させられた、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする。該突然変異誘発された核酸分子の調製は、大腸菌由来のGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質について、Dengら(2005, Metabolic Engineering 7, 201-214;国際公開第04 003175号)に、例示的に記載されている。マウス由来のGFATの活性を有するタンパク質についての突然変異体は、例えば、Huら(2004, J. Biol. Chem. 279 (29), 29988-29993)に記載されている。
GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子は、当業者に公知であり、文献中に記載されている。したがって、GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子は、ウイルスから、例えばクロレラウイルスk2(EMBLアクセッション番号AB107976.1)について、細菌から、例えば大腸菌(Dutka-Malen, 1988, Biochemie 70 (2), 287-290;EMBLアクセッション番号:L10328.1)について、真菌から、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(EMBLアクセッション番号AF334737.1、Watzeleら, 1989, J. Biol. Chem. 264, 8753-8758)、クロカビ(Aspergillus niger)(EMBLアクセッション番号AY594332.1)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(EMBLアクセッション番号X94753.1)について、昆虫から、例えば、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(Katoら, 2002, Insect. Biol. 11 (3), 207,216;EMBLアクセッション番号AF399922.1)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(GFAT−1:EMBLアクセッション番号Y18627.1、GFAT−2:NCBIアクセッション番号NM_J43360.2)について、藻類から、例えばフクロタケ(Volvariella volvacea)(EMBLアクセッション番号AY661466.1)について、脊椎動物から、例えば、ヒト(Homo sapiens)(GFAT−1:EMBLアクセッション番号AF334737.1;GFAT−2:NCBIアクセッション番号BC000012.2、Okiら, 1999, Genomics 57 (2), 227-34)、マウス(Mus musculus)(GFAT−1:EMBLアクセッション番号AF334736.1;GFAT−2:EMBLアクセッション番号AB016780.1)について、あるいは植物から、例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(EMBLアクセッション番号AP001297.1;cds NCBIアクセッション番号BAB03027.1)について記載されている。
好ましい実施態様では、本発明は、GFATの活性を有するタンパク質をコードする外来の核酸分子が、
a) 配列番号5で示したアミノ酸配列を有するタンパク質、または配列番号7で示したアミノ酸配列を有するタンパク質、または配列番号9で示したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子;
b) その配列が、配列番号5で、配列番号7で、あるいは配列番号9で示したアミノ酸配列と、少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一であるタンパク質をコードする核酸分子;
c) 配列番号4で示したヌクレオチド配列またはそれと相補的な配列、配列番号6で示したヌクレオチド配列またはそれと相補的な配列、配列番号8で示したヌクレオチド配列またはそれと相補的な配列、もしくは配列番号10で示したヌクレオチド配列またはそれと相補的な配列を含む核酸分子;
d) a)またはc)で記載した核酸配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一である核酸分子;
e) a)またはc)で記載した核酸配列の少なくとも1つの鎖と、ストリンジェントな(stringent)条件下でハイブリッド形成する核酸分子;
f) 遺伝暗号の縮重のため、そのヌクレオチド配列が、a)またはc)で挙げた核酸分子配列とは異なる核酸分子;および
g) a)、b)、c)、d)、e)、またはf)で挙げた核酸分子のフラグメント、対立遺伝子変異体、および/または誘導体である核酸分子
のみからなる群より選択される、本発明による遺伝子組み換え植物細胞および本発明による遺伝子組み換え植物に関する。
本発明では、用語「ハイブリッド形成」は、例えば、Sambrockら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2 ed. (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYに記載されている通りの、従来のハイブリッド形成条件下での、好ましくはストリンジェントな条件下でのハイブリッド形成を意味する。特に好ましくは、「ハイブリッド形成」は、以下の条件下でのハイブリッド形成を意味する:
ハイブリダイゼーションバッファー:
2×SSC;10×Denhardt溶液(Fikoll 400+PEG+BSA;比1:1:1);0.1% SDS;5mM EDTA;50mM NaHPO;250μg/mlのニシン精子DNA;50μg/mlのtRNA;または
25M リン酸ナトリウム緩衝液 pH7.2;1mM EDTA;7% SDS
ハイブリッド形成温度:
T=65から68℃
洗浄バッファー:0.1×SSC;0.1% SDS
洗浄温度:T=65から68℃。
GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子とハイブリッド形成する核酸分子は、任意の生物に由来する可能性があり、したがって、これらは、細菌、真菌、動物、植物、またはウイルスに由来する可能性がある。GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子とハイブリッド形成する核酸分子は、特に好ましくは哺乳類、植物、または細菌に、殊更好ましくはマウスまたは大腸菌に由来する。GFAT−1またはGFAT−2の活性を有するタンパク質をコードする核酸分子とハイブリッド形成する核酸分子は、好ましくは真核生物に由来し、特に好ましくはこれらは動物に、殊更好ましくはマウスに由来する。述べてきた分子とハイブリッド形成する核酸分子は、例えば、ゲノムまたはcDNAライブラリから単離することができる。該核酸分子は、例えば、標準の方法に従うハイブリッド形成(例えば、Sambrookら, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2 ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照のこと)によって、あるいは、PCRを使用する増幅によって、述べてきた核酸分子またはこれらの分子の一部またはこれらの分子の逆相補体を使用して、同定および単離することができる。GFATの活性またはGFAT−1の活性またはGFAT−2の活性を有するタンパク質をコードする核酸配列を単離するためのハイブリッド形成サンプルとして、例えば、配列番号4で、あるいは配列番号6で、あるいは配列番号8で、あるいは配列番号10で、あるいはこれらの配列の一部で示したヌクレオチド配列を確実または本質的に有する核酸分子を使用することが可能である。ハイブリッド形成サンプルとして使用したフラグメントはまた、その配列が、本発明で述べる核酸分子と本質的に同一である、慣例的な合成技術を使用して調製される合成のフラグメントまたはオリゴヌクレオチドであり得る。本発明に述べる核酸配列とハイブリッド形成する遺伝子が、いったん同定および単離したら、その配列を決定するべきであり、さらに、この配列によってコードされるタンパク質の特性を、これがGFATの活性を有するタンパク質であるか決定するために、分析するべきである。タンパク質が、GFAT(例えば、Mayerら, 1968, Plant Physiol. 43, 1097-1107; Dengら, 2005, Metabolic Engineering 7, 201-214)、GFAT−1またはGFAT−2(例えば, Huら, 2004, J. Biol. Chem. 279 (29), 29988-29993)の活性を有するタンパク質の活性を有するかどうかを決定する方法は、当業者に公知であり、特に、述べてきた文献に記載されている。本発明で述べる核酸分子とハイブリッド形成する分子は、特に、述べてきた核酸分子のフラグメント、誘導体、および対立遺伝子変異体を含む。本発明では、用語「誘導体」は、その分子の配列が、上述した核酸分子の配列と、1つ以上の位置で異なっているが、これらの配列と高度に同一であるものを意味する。上述した核酸分子との違いは、例えば、欠失(特に、相当するタンパク質のN−および/またはC−末端の欠損をもたらす5’−および/または3’−欠失)、付加、置換、挿入、または組み換えに起因する可能性がある。
本発明では、用語「同一性」は、少なくとも60%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%、殊更好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の同一性でタンパク質をコードする、核酸分子のコード領域の全長またはアミノ酸配列の全長にわたる配列同一性を意味する。本発明では、用語「同一性」は、パーセントで表される、他のタンパク質/核酸と同一のアミノ酸/ヌクレオチドの数(同一性)を意味するものと理解するべきである。好ましくは、GFATの活性を有するタンパク質に関する同一性は、配列番号5または配列番号7または配列番号9下で示したアミノ酸配列と他のタンパク質を、コンピュータプログラムを用いて比較することによって決定され、GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子に関する同一性は、配列番号4または配列番号6または配列番号8または配列番号10で示した核酸配列と、他の核酸を、コンピュータプログラムを用いて比較することによって決定される。互いに比較される配列が、異なる長さである場合、同一性は、より短い配列が、より長い配列と共有するアミノ酸の数の同一性(パーセンテージ)を決定することによって決定されるべきである。好ましくは、同一性は、公知の公的にアクセス可能なコンピュータプログラムClustalWを使用して決定される(Thompsonら, Nucleic Acids Research 22 (1994), 4673-4680)。ClustalWは、Julie Thompson(Thompson@EMBL-Heidelberg.DE)およびToby Gibson(Gibson@EMBL-Heidelberg.DE)European Molecular Biology Laboratory, Meyerhofstrasse 1 , D 69117 Heidelberg, Germanyによって公的にアクセス可能になっている。ClustalWはまた、様々なインターネットページから、特に、IGBMC(Institut de Genetique et de Biologie Moleculaire et Cellulaire, B.P.163, 67404 lllkirch Cedex, France; ftp://ftp-igbmc.u-strasbg.fr/pub/)から、また、EBI(ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/software/)およびEBIのすべてのミラーリングされたインターネットページ(European Bioinformatics Institute, Wellcome Trust Genome Campus, Hinxton, Cambridge CB10 1SD, UK)からダウンロードすることができる。好ましくは、本発明において記述するタンパク質と他のタンパク質との間の同一性を決定するために、version 1.8のClustalWコンピュータプログラムを使用することができる。ここでは、パラメータを以下の通りに設定するべきである:KTUPLE=1、TOPDIAG=5、WIND0W=5、PAIRGAP=3、GAPOPEN=10、GAPEXTEND=0.05、GAPDIST=8、MAXDIV=40、MATRIX=GONNET、ENDGAPS(OFF)、NOPGAP、NOHGAP。好ましくは、例えば、本発明において記述する核酸分子のヌクレオチド配列と、他の核酸分子のヌクレオチド配列との間の同一性を決定するために、version 1.8のClustalWコンピュータプログラムを使用することができる。ここでは、パラメータを以下の通りに設定するべきである:KTUPLE=2、TOPDIAGS=4、PAIRGAP=5、DNAMATRIX:IUB、GAPOPEN=10、GAPEXT=5、MAXDIV=40、TRANSITIONS:unweighted。
同一性とは、さらに、当該の核酸分子間またはそれによってコードされるタンパク質間に、機能的かつ/または構造的な等価性が存在することを意味する。上述の分子と相同的であり、これらの分子の誘導体に相当する核酸分子は一般に、同じ生物学的機能を有する組み換え物に相当するこれらの分子の変異形である。これらは、天然に存在する変異形(例えば、他の種由来の配列)、または突然変異である(これは、自然に生じる可能性がある、あるいは、標的化された突然変異誘発によって導入される可能性がある)。さらに、変異形は、合成的に産生された配列である可能性がある。対立遺伝子変異体は、天然に存在する変異体、または合成的に産生された変異体、または組み換えDNA技術によって産生される変異体である可能性がある。特別な形の誘導体は、例えば、遺伝暗号の縮重のために、本発明において記述する核酸分子とは異なる核酸分子である。
GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子の様々な誘導体は、ある共通の特性を有する。これは、例えば、生物的活性、基質特異性、分子量、免疫学的反応性、立体構造など、また、物理特性(例えば、ゲル電気泳動における移動特性、クロマトグラフィ挙動、沈降定数、溶解度、分光学的特性、安定性、最適pH、最適温度など)であり得る。GFATの活性を有するタンパク質の好ましい特性は、当業者に公知であり、既に上で述べられており、ここでも同様に該当するものとする。
別の好ましい実施態様では、本発明は、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする核酸分子のコドンが、親生物のGFATの(酵素的)活性を有する前記タンパク質をコードする核酸分子のコドンと異なることを特徴とする、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物に関する。GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする核酸分子のコドンが、それがゲノムに組み込まれる、あるいは組み込まれることとなる植物細胞または植物のコドンの使用頻度に適合するように変えられることが特に好ましい。
本発明は、さらに、ヒアルロン酸合成酵素をコードする、かつ/またはGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする、植物細胞または植物のゲノムに安定に組み込まれる外来の核酸分子が、植物細胞中で転写を開始する調節エレメント(プロモーター)に連結されることを特徴とする、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物を提供する。これらは、同族または非同族プロモーターであり得る。プロモーターは、構成的、組織特異的、発達特異的である、あるいは、外部因子によって(例えば、化学物質の適用後に、熱および/または低温、ドラフト(draught)、疾患などの無生物因子の作用によって)調節される可能性がある。ここでは、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物のゲノムに組み込まれた、ヒアルロン酸合成酵素またはGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする核酸分子は、各場合において、同じプロモーターに連結している可能性もあるし、個々の配列が、異なるプロモーターに連結している可能性もある。
本発明の好ましい一実施態様は、ヒアルロン酸合成酵素またはGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする核酸分子からなる群より選択される少なくとも1つの外来の核酸分子、特に好ましくは少なくとも2つの外来の核酸分子、とりわけ好ましくは3つの外来の核酸分子が、組織特異的プロモーターに連結した、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物に関する。好ましい組織特異的プロモーターは、植物塊茎、果実または種子細胞、あるいは葉において特異的に転写を開始するプロモーターである。
ヒアルロン酸合成酵素またはGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする核酸分子を発現させるために、これらを、植物細胞における転写を確実にする調節性DNA配列に連結することが好ましい。これには、特にプロモーターが含まれる。一般に、植物細胞中の活性な任意のプロモーターが、発現のために適している。ここでは、発現が構成的である、あるいは、植物の成長のある時点、または外部因子によって決定される時間の一点で、ある種の組織にのみ発現されるように、プロモーターを選択することができる。植物に関して、また、発現される核酸分子に関して、プロモーターは、同族でも非同族でも良い。適切なプロモーターは、例えば、構成的発現のためのカリフラワーモザイクウイルスの35S RNSのプロモーターもしくはトウモロコシまたはケストルム(Cestrum)YLCV由来のユビキチンプロモーター(Yellow Leaf Curling Virus;国際公開公報第01 73087号;Stavoloneら, 2003, Plant Mol. Biol. 53, 703-713)、ジャガイモの塊茎に特異的な発現のためのパタチンゲン(patatingen)プロモーターB33(Rocha-Sosaら, EMBO J. 8 (1989), 23-29)、もしくはトマトのための果実特異的なプロモーター、例えばトマト由来のポリガラクツロナーゼプロモーター(Montgomeryら, 1993, Plant Cell 5, 1049-1062)またはトマト由来のE8プロモーター(Methaら, 2002, Nature Biotechnol. 20(6), 613-618)、もしくはモモ由来のACCオキシダーゼプロモーター(MoonおよびCallahan, 2004, J. Experimental Botany 55 (402), 1519-1528)、もしくは例えばST−LS1プロモーターなどの光合成的に活性な組織のみにおける発現を確実にするプロモーター(Stockhausら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84 (1987), 7943-7947; Stockhausら、EMBO J. 8 (1989), 2445-2451)、もしくは内乳特異的な発現のための小麦由来のHMWGプロモーター、USPプロモーター、ファゼオリンプロモーター、トウモロコシ由来のゼイン遺伝子のプロモーター(Pedersenら, Cell 29 (1982), 1015-1026; Quatroccioら, Plant Mol. Biol. 15 (1990), 81-93)、グルテリンプロモーター(Leisyら, Plant Mol. Biol. 14 (1990), 41-50; Zhengら, Plant J. 4 (1993), 357-366; Yoshiharaら, FEBS Lett. 383 (1996), 213-218)、shrunken−1プロモーター(Werrら, EMBO J. 4 (1985), 1373-1380)、グロブリンプロモーター(Nakaseら, 1996, Gene 170(2), 223-226)、もしくはプロラミンプロモーター(QuおよびTakaiwa, 2004, Plant Biotechnology Journal 2(2), 113-125)である。しかし、外部因子によって決定されるある時点のみで活性であるプロモーターを使用することも可能である(例えば、国際公開第9307279号を参照のこと)。ここで特に関心対象となるものは、単純な誘導を可能にする熱ショックタンパク質のプロモーターであり得る。さらに、例えば、ソラマメおよび他の植物における種子特異的な発現を確実にする、ソラマメ(Vicia faba)由来のUSPプロモーターなどの種子特異的なプロモーターを使用することも可能である(Fiedlerら, Plant Mol. Biol. 22 (1993), 669-679; Baumleinら, Mol. Gen. Genet. 225 (1991), 459-467)。藻類感染ウイルスのゲノム中に存在するプロモーターの使用も、植物において核酸配列を発現させるのに適している(Mitraら, 1994, Biochem. Biophys Res Commun 204(1), 187-194; MitraおよびHiggins, 1994, Plant Mol Biol 26(1), 85-93, Van Ettenら, 2002, Arch Virol 147, 1479-1516)。
本発明との関連で、「組織特異的」という用語は、特定の組織への顕在化(例えば転写の開始)の実質的な限定を意味するものと理解されたい。
本発明との関連で、「塊茎、果実、または種子細胞」という用語は、塊茎、果実に、あるいは種子に存在するすべての細胞を意味するものと理解されたい。
本発明との関連で、「同族プロモーター」という用語は、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物の調製に使用する植物細胞または植物中に天然に存在する、(植物細胞または植物に関して同族的な)プロモーターを意味するもの、あるいは、配列を単離した生物での遺伝子の発現の調節を調節する、(発現される核酸分子に関して同族的な)プロモーターを意味するものと理解されたい。
本発明との関連で、「非同族プロモーター」という用語は、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物の調製のために使用する植物細胞または植物中には天然に存在しない、(植物細胞または植物に関して非同族的な)プロモーターを意味するもの、あるいは、配列が単離される生物中にある、前記核酸配列の発現を調節するための、天然には存在しない、(発現される核酸分子に関して非同族的な)プロモーターを意味するものと理解されたい。
転写産物にポリ−Aテールを付加する役割を果たす終結配列(ポリアデニル化シグナル)も存在する可能性がある。ポリ−Aテールは、転写産物を安定化する作用をすると考えられる。該要素は、文献中に記載されており(Gielenら, EMBO J. 8 (1989), 23-29を参照せよ)、必要に応じて交換することができる。
プロモーターとコード領域との間にイントロン配列が存在することも可能である。該イントロン配列は、植物における発現の安定性および発現の増大を引き起こす可能性がある(Callisら, 1987, Genes Devel. 1, 1183-1200;LuehrsenおよびWalbot, 1991, Mol. Gen. Genet. 225, 81-93;Rethmeierら, 1997; Plant Journal 12(4), 895-899;RoseおよびBeliakoff, 2000, Plant Physiol. 122 (2), 535-542;Vasilら, 1989, Plant Physiol. 91 , 1575-1579;XUら, 2003, Science in China Series C Vol.46 No.6, 561-569)。適切なイントロン配列は、例えば、トウモロコシ由来のsh1遺伝子の第1イントロン、トウモロコシ由来のポリ−ユビキチン遺伝子1の第1イントロン、米由来のEPSPS遺伝子の第1イントロン、またはシロイヌナズナ由来のPAT1遺伝子の2つの第1イントロンのうちの1つである。
本発明はまた、本発明による遺伝子組み換え植物細胞を含む植物に関する。該植物は、本発明による遺伝子組み換え植物細胞からの再生によって産生することができる。
本発明はまた、本発明による遺伝子組み換え植物細胞を含む、本発明による遺伝子組み換え植物の加工可能または摂取可能な部分に関する。
本発明との関連で、「加工可能な部分」という用語は、食品または飼料を調製するために使用した、もしくは工業方法のための原料供給源として、医薬品の調製のための原料供給源として、または化粧品の調製のための原料供給源として使用した植物部分を意味するものと理解されたい。
本発明との関連で、「摂取可能な部分」という用語は、人のための食品として役立つ、あるいは動物飼料として使用した植物部分を意味するもの理解されたい。
本発明はまた、本発明による遺伝子組み換え植物細胞を含む、本発明による遺伝子組み換え植物の増殖材料に関する。
ここでは、「増殖材料」という用語は、無性生殖または有性生殖経路を介して子孫を生み出すのに適した植物の成分を含む。無性生殖的増殖に適したものは、例えば、挿木、カルス培養物、根茎、または塊茎である。他の増殖材料としては、例えば、果実、種子、苗、プロトプラスト、細胞培養物などが挙げられる。増殖材料は、好ましくは塊茎、果実、または種子という形をとる。
さらなる一実施態様では、本発明は、果実、貯蔵根および他の根、花、芽、苗条、葉または茎、好ましくは種子、果実、または塊茎などの、本発明による遺伝子組み換え植物細胞を含む、本発明による遺伝子組み換え植物の収穫可能な植物部分に関する。
好ましくは、本発明は、ヒアルロン酸を含む、本発明による増殖材料または本発明による植物の収穫可能な部分に関する。特に好ましいものは、ヒアルロン酸を合成する、本発明による増殖材料または本発明による植物の収穫可能な部分である。
本発明との関連で、「ジャガイモ植物」または「ジャガイモ」という用語は、ナス属の植物種、特にナス属の塊茎産生種、特にジャガイモ(Solanum tuberosum)を意味するものと理解されたい。
本発明との関連で、「トマト植物」または「トマト」という用語は、リコペルシコン属の植物種、特にトマト(Lycopersicon esculentum)を意味するものと理解されたい。
本発明のさらなる利点は、本発明による遺伝子組み換え植物の収穫可能な部分、増殖材料、加工可能な部分、または摂取可能な部分が、文献中に記載しているヒアルロン酸合成トランスジェニック植物よりも多くのヒアルロン酸を含むことである。したがって、本発明による遺伝子組み換え植物は、そこからヒアルロン酸を単離することができる原料としての使用に特に適しているだけではなく、食品/飼料として直接的に、あるいは、予防または治療特性を有する食品/飼料を調製するために使用することも可能である(例えば、骨関節炎予防について、米国特許第6,607,745号)。本発明による遺伝子組み換え植物は、文献中に記載している植物よりもヒアルロン酸含有量が高いので、該食品/飼料の調製で必要とされる、本発明による遺伝子組み換え植物の収穫可能な部分、増殖材料、加工可能な部分、または摂取可能な部分は、より少量である。本発明による遺伝子組み換え植物の摂取可能な部分が、例えば、いわゆる「栄養補助食品」として直接的に摂取される場合、摂取する物質が比較的少量であったとしても、プラス効果を達成することが可能である。植物成分の含有量が高すぎる動物飼料は、様々な動物種のための飼料として不適切であるので、これは、とりわけ動物飼料の産生において特に意義がある可能性がある。
本発明による遺伝子組み換え植物の収穫可能な部分、増殖材料、加工可能な部分、または摂取可能な部分は、さらに、水を結合するヒアルロン酸の高い能力によって、固形化食品/飼料が産生される場合に、必要とされる増粘剤がより少なくなるという利点を有する。したがって、例えば、ゼリーの産生で必要とされる糖が、より少なくなり、これは、健康に対するプラス効果を伴う。生の植物材料の脱水を必要とする食品/飼料の産生では、本発明による遺伝子組み換え植物の収穫可能な部分、増殖材料、加工可能な部分、または摂取可能な部分を使用する利点は、当該の植物材料から取り除かれなければならない水の量がより少なく、その結果、生産コストがより小さくなり、また、より穏やかな調製方法(例えば、より小さいかつ/またはより短い加熱)のため、当該の食品/飼料の栄養価が高くなる。したがって、例えば、トマトケチャップの生産では、所望の粘稠性を達成するために、導入すべきエネルギーは、より小さくなければならない。
本発明は、さらに、ヒアルロン酸を合成する植物を調製するための方法であって、
a)植物細胞を遺伝子組み換えすること、ここで、遺伝子組み換えは、以下のステップiからiiを含む、
i)植物細胞へのヒアルロン酸合成酵素をコードする外来の核酸分子の導入、
ii)植物細胞への遺伝子組み換えの導入、ここで、該遺伝子組み換えは、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞と比較して、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の活性を増大させる、
ここで、ステップiからiiは、すべての順序で別々に実施することもできるし、ステップiとiiのすべての組み合わせを、同時に実施することもできる、
b)ステップa)で得られる植物細胞から植物を再生させること、
c)ステップb)に記載の植物を使用して、必要に応じて、さらなる植物を産生すること、
ここで、必要に応じて、植物細胞はステップb)に従って植物から単離され、そして、ヒアルロン酸合成酵素をコードする外来の核酸分子を有し、方法ステップa)からc)を繰り返して、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞と比較して、GFATの酵素的活性を有するタンパク質の活性が増大している植物を産生する、
を含む方法を提供する。
本発明は、好ましくは、ヒアルロン酸を合成する植物を調製する方法であって、
a)植物細胞を遺伝子組み換えすること
ここで、遺伝子組み換えは、すべての順序で、以下のステップiからiiを含む、あるいは、ステップiとiiのすべての組み合わせを、別々または同時に実施することができる、
i)植物細胞へのヒアルロン酸合成酵素をコードする外来の核酸分子の導入、
ii)植物細胞への遺伝子組み換えの導入、ここで、該遺伝子組み換えは、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞と比較して、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の活性を増大させる、
b)ステップ
i) a)i
ii) a)ii
iii) a)iおよびa)ii
に従って遺伝子組み換えを含む植物細胞から植物を再生させること、
c)ステップ
i) b)i ステップa)iiに記載の遺伝子組み換え、
ii) b)ii ステップa)iに記載の遺伝子組み換え
に従って植物の植物細胞に導入すること、及び植物を再生させること
d)適切であるならば、ステップb)iiiまたはc)iまたはc)iiのいずれかに従って得られる植物を用いて、さらなる植物を産生すること
を含む方法に関する。
ステップa)に従って植物細胞に導入される遺伝子組み換えは、原則として、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の活性が増大する、すべてのタイプの組み換えであり得る。
本発明による方法のステップb)、および、適切であるならばステップc)による植物の再生は、当業者に公知である方法を使用して実施することができる(例えば、R.D. Hallにより編集された「Plant Cell Culture Protocols」1999, Humana Press, ISBN 0-89603-549-2に記載している)。
本発明による方法の(ステップc)またはステップd)に記載の方法に応じた)さらなる植物の産生を、例えば、無性生殖的増殖によって(例えば挿木、塊茎を介して、あるいはカルス培養物および無傷植物再生を介して)、もしくは有性生殖的増殖を介して実施することができる。これに関連して、有性生殖的増殖は一般に、制御された条件下で発生する、すなわち、特別な特性を有する選択された植物は、互いに交配されて増殖する。産生は、好ましくは、さらなる植物が(ステップc)またはステップd)に従って産生される方法に応じて)前述のステップに導入された組み換えを含むような方法で行われる。
ヒアルロン酸を合成する植物を調製するための本発明による方法では、本発明による遺伝子組み換え植物細胞を産生するための遺伝子組み換えは、同時に、あるいは連続するステップで実施することができる。ここでは、ヒアルロン酸合成酵素をコードする外来の核酸分子を植物細胞に導入する遺伝子組み換えに対するのと同じ方法を、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の活性を増大させるという結果を生む連続した遺伝子組み換えのために使用するかどうかは重要でない。
ヒアルロン酸を合成する植物を調製するための、本発明による方法のさらなる一実施態様では、遺伝子組み換えは、植物細胞のゲノムへの少なくとも1つの外来の核酸分子の導入にある。ここでは、外来の核酸分子の存在または発現が、植物細胞におけるGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の活性を増大させることになる。
遺伝子組み換えのために植物細胞または植物に導入される外来の核酸分子について上に既に述べた通り、ヒアルロン酸を合成する植物を調製するために、本発明による方法のステップa)で導入されるものは、単一の核酸分子または複数の核酸分子であり得る。したがって、ヒアルロン酸合成酵素をコードする、かつ/またはGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする外来の核酸分子は、単一の核酸分子上にともに存在してもよいし、別の核酸分子上に存在してもよい。ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子と、GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子が、複数の核酸分子上に存在する場合、これらの核酸分子は、同時に、あるいは連続するステップで植物細胞に導入することができる。
さらに、ヒアルロン酸を合成する植物を調製するための本発明による方法の実施の際に、外来の核酸分子を導入するために、野生型の植物細胞または野生型の植物ではなく、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の活性が既に増大しているという点で優れている突然変異細胞または突然変異体を使用することも可能である。突然変異細胞または突然変異体の、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質の活性が、対応する野生型の植物細胞または野生型の植物と比較して既に増大している場合、ヒアルロン酸合成酵素をコードする外来の核酸分子を、前記突然変異細胞または突然変異体に導入することは、ヒアルロン酸を合成する植物を産生するための本発明による方法を実施するのに十分である。本発明による遺伝子組み換え植物細胞、または本発明による遺伝子組み換え植物の調製のための突然変異体の使用に関して、さらに上述したことはすべて、ここでも同様に該当する。
好ましい実施態様では、本発明は、ステップa)におけるヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子が、以下からなる群より選択される、ヒアルロン酸を合成する植物を産生するための本発明による方法に関する:
a)ウイルスのヒアルロン酸合成酵素をコードすることを特徴とする核酸分子、
b)クロレラ感染ウイルスのヒアルロン酸合成酵素をコードすることを特徴とする核酸分子、
c)ミドリゾウリムシクロレラウイルス1のヒアルロン酸合成酵素をコードすることを特徴とする核酸分子、
d)H1株のミドリゾウリムシクロレラウイルス1のヒアルロン酸合成酵素をコードすることを特徴とする核酸分子、
e)ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子のコドンが、ヒアルロン酸合成酵素の親生物においてヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子のコドンに対して改変されていることを特徴とする核酸分子、
f)ヒアルロン酸合成酵素のコドンが、それが組み込まれる、あるいは組み込まれることとなる植物細胞または植物のコドンの使用頻度に適合するように改変されたことを特徴とする核酸分子、
g)配列番号2で示したアミノ酸配列を有するヒアルロン酸合成酵素をコードすること、あるいはそのアミノ酸配列が、配列番号2で示したアミノ酸配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%、とりわけ好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一であるヒアルロン酸合成酵素をコードすることを特徴とする核酸分子、
h)そのアミノ酸配列が、プラスミドDSM16664に挿入される核酸配列のコード領域から得ることができるタンパク質をコードすること、またはプラスミドDSM16664に挿入される核酸配列のコード領域から得ることができるアミノ酸配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一であるタンパク質をコードすることを特徴とする核酸分子、
i)配列番号1または配列番号3で示した核酸配列を含む、もしくは配列番号1または配列番号3で示した核酸配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一である核酸分子、
j)プラスミドDSM16664に挿入される核酸配列を含む、またはプラスミドDSM16664に挿入される核酸配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、
好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一である核酸分子、
k)植物細胞において転写を開始する調節エレメント(プロモーター)と連結される、ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子、もしくは
l)そのプロモーターが、組織特異的プロモーター、特に好ましくは、植物塊茎、果実、または種子細胞において特異的に転写の開始を始めるプロモーターである、k)に記載の核酸分子。
好ましい実施態様では、本発明は、GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子が、以下からなる群より選択される、ヒアルロン酸を合成する植物を産生するための本発明による方法に関する:
a)細菌、動物、または植物、好ましくは大腸菌またはマウスに由来するGFATの活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする核酸分子、
b)クロレラ感染ウイルスのGFATの活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする核酸分子、
c)ミドリゾウリムシクロレラウイルスのGFATの活性を有するタンパク質をコードすることを特徴とする核酸分子、
d)GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子のコドンが、親生物のGFATの活性を有する対応するタンパク質をコードする核酸分子のコドンに対して改変されることを特徴とする核酸分子
e)GFATの活性を有するタンパク質のコドンが、そのゲノムが組み込まれる、あるいは組み込まれることとなる植物細胞または植物のコドンの使用頻度に適合するように改変されることを特徴とする核酸分子
f)配列番号5で示したアミノ酸配列を有するタンパク質、または配列番号7で示したアミノ酸配列を有するタンパク質、または配列番号9で示したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子;
g)その配列が、配列番号5で、あるいは配列番号7で、あるいは配列番号9で示したアミノ酸配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一であるタンパク質をコードする核酸分子;
h)配列番号4で示した核酸配列またはそれに相補的な配列、もしくは配列番号6で示した核酸配列またはそれに相補的な配列、もしくは配列番号8で示した核酸配列またはそれに相補的な配列、もしくは配列番号10で示した核酸配列またはそれに相補的な配列を含む核酸分子;
i)h)で記述した核酸配列と、少なくとも少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一である核酸分子;
j)f)またはh)で記述した核酸配列のうちの少なくとも1つの鎖とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する核酸分子;
k)遺伝暗号の縮重のため、そのヌクレオチド配列が、f)またはh)で挙げた核酸分子の配列とは異なる核酸分子;および
l)a)、b)、c)、d)、e)、f)、またはh)で挙げた核酸分子のフラグメント、対立遺伝子変異体、および/または誘導体である核酸分子、
m)GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸配列が、植物細胞において転写を開始する調節エレメント(プロモーター)に連結される、GFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子、もしくは
n)プロモーターが、組織特異的プロモーター、特に好ましくは、植物塊茎、葉、果実、または種子細胞において特異的に転写を開始するプロモーターである、m)に記載の核酸分子。
好ましい別の一実施態様では、本発明による遺伝子組み換え植物を産生するために、ヒアルロン酸を合成する、本発明による植物を産生するための方法を使用した。
本発明はまた、ヒアルロン酸を合成する植物を産生するための、本発明による方法によって得られる植物を提供する。
本発明はさらに、本発明による遺伝子組み換え植物細胞から、本発明による遺伝子組み換え植物から、本発明による増殖材料から、本発明による収穫可能な植物部分から、もしくは、ヒアルロン酸を合成する本発明による植物を産生するための方法により得られた植物または該植物の部分からヒアルロン酸を抽出するステップを含む、ヒアルロン酸を産生するための方法に関する。
好ましくは、該方法は、ヒアルロン酸を抽出する前に、栽培された本発明による遺伝子組み換え植物細胞、本発明による遺伝子組み換え植物、本発明による増殖材料、本発明による収穫可能な植物部分、本発明による加工可能な植物部分を採取するステップ、特に好ましくは、さらに、採取する前に、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物を栽培するステップも含む。
細菌または動物組織とは対照的に、植物組織は、ヒアルロニダーゼを含まず、いかなるヒアルアドヘリンも含有しない。したがって、既に上述の通り、植物組織からのヒアルロン酸の抽出は、比較的簡単な方法を使用して可能である。必要に応じて、上述の、ヒアルロン酸を含有する植物細胞または組織の水性の抽出物を、例えばエタノールを用いた沈殿の繰り返しなどの、当業者に公知である方法を使用して、さらに精製することができる。ヒアルロン酸を精製するための好ましい方法は、一般的方法の第2項目に記述する。
本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物からヒアルロン酸を抽出するための既に述べた方法はまた、本発明による増殖材料から、本発明による収穫可能な植物部分から、あるいは、ヒアルロン酸を合成する植物を調製するための本発明による方法によって得られる植物または該植物の部分からヒアルロン酸を単離するのに適している。
本発明はまた、ヒアルロン酸を調製するため、本発明による遺伝子組み換え植物細胞、本発明による遺伝子組み換え植物、本発明による増殖材料、本発明による収穫可能な植物部分、本発明による加工可能な植物部分または本発明による方法によって得られる植物、の使用を提供する。
本発明は、さらに、本発明による遺伝子組み換え植物細胞を含む組成物に関する。ここでは、植物細胞は、例えば加工処理によって破壊されているので、無傷であるか、もはや無傷でないかどうかは重要でない。組成物は、好ましくは食品または飼料、医薬または化粧品である。
本発明は、好ましくは、本発明による遺伝子組み換え植物細胞の、本発明による遺伝子組み換え植物の、本発明による増殖材料の、本発明による収穫可能な植物部分の、あるいは、本発明による方法によって得られる植物の成分を含み、組み換え型核酸分子を含む組成物を提供する。ここでは、組み換え型核酸分子は、ヒアルロン酸合成酵素およびGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする核酸分子を含むことを特徴とする。
植物細胞または植物のゲノムへの外来の核酸分子の安定な組込みによって、植物細胞または植物のゲノムに組込みの後に、ゲノム性の植物核酸配列が隣接した外来の核酸分子がもたらされる。したがって、好ましい実施態様では、本発明による組成物は、本発明による組成物中に存在する組み換え型核酸分子が、ゲノム性の植物核酸配列によって隣接されることを特徴とする。ここでは、ゲノム性の植物核酸配列は、該組成物を調製するために使用した植物細胞または植物のゲノム中に天然に存在するすべての配列であり得る。
本発明による組成物中に存在する組み換え型核酸分子は、ヒアルロン酸合成酵素およびGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする核酸分子が、核酸分子上に存在する単一のまたは様々な組み換え型核酸分子である可能性がある、あるいは、該核酸分子は、別の組み換え型核酸分子上に存在する可能性がある。ヒアルロン酸合成酵素をコードする、あるいは、GFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする核酸分子は、単一の組み換え型核酸分子上にともに存在してもよいし、述べてきた核酸分子のうちの2つが、単一の組み換え型核酸分子上にともに存在してもよいし、第3の核酸分子が、すべての可能な組み合わせで、別の組み換え型核酸分子上に存在してもよいし、述べてきたすべての核酸分子が、各場合において、個々の別々の組み換え型核酸分子上に存在してもよい。ヒアルロン酸合成酵素をコードする、あるいはGFATの(酵素的)活性を有するタンパク質をコードする核酸分子が、本発明による組成物中にどのように存在するかに応じて、これらは、同一または異なるゲノム植物核酸配列によって隣接される可能性がある。
本発明による組成物が、組み換え型核酸分子を含むことは、例えば、ハイブリッド形成に基づく方法などの当業者に公知である方法を使用して、好ましくは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)に基づく方法を使用して、実証することができる。
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも0.005%、好ましくは少なくとも0.01%、特に好ましくは少なくとも0.05%、特に好ましくは少なくとも0.1%のヒアルロン酸を含む。好ましくは、本発明による組成物は、多くても5%、好ましくは多くても2%、特に好ましくは多くても1%、特に好ましくは少なくとも0,5%のヒアルロン酸を含む。
既に上述の通り、本発明による遺伝子組み換え植物細胞、本発明による遺伝子組み換え植物、本発明による増殖材料、本発明による収穫可能な植物部分、本発明による加工可能な植物部分、本発明による摂取可能な植物部分、または本発明による方法によって得られる植物を、食品または飼料を調製するために使用することが可能である。しかし、ヒアルロン酸を単離する必要のない、工業用途のための原料としての使用も可能である。したがって、例えば、本発明による遺伝子組み換え植物または本発明による遺伝子組み換え植物の部分は、土壌の水との結合を増大させるために、農業耕作中の地域に適用することができる。さらに、本発明による遺伝子組み換え植物または本発明による遺伝子組み換え植物細胞は、乾燥剤を調製するために(例えば、水分に敏感な品目を輸送する場合に使用するために)、または液体の吸収材として(例えば、おしめ中で、あるいはこぼれた水性の液体を吸収するために)使用することができる。該適用については、本発明による遺伝子組み換え植物全体、本発明による遺伝子組み換え植物の一部、または、必要に応じて、粉砕された(例えば挽いた)本発明による遺伝子組み換え植物または本発明による植物部分を使用することが可能である。挽いた植物または植物部分が使用用途に適しているのは、特に、ヒアルロン酸を含有するが、水の割合は低い植物部分である。これらは、好ましくは穀草(トウモロコシ、米、小麦、ライ麦、オート麦、大麦、サゴヤシ、またはモロコシ)の粒である。本発明による遺伝子組み換え植物細胞および本発明による遺伝子組み換え植物は、文献中に記載しているトランスジェニック植物よりもヒアルロン酸含有量が高いので、本発明による遺伝子組み換え植物細胞または本発明による遺伝子組み換え植物を使用する場合、これらと比較すると、工業適用のために使用する必要のある材料が、より少なくて済む。
本発明はまた、ヒアルロン酸を合成する植物を産生するために、本発明による遺伝子組み換え植物細胞、本発明による遺伝子組み換え植物、本発明による増殖材料、本発明による収穫可能な植物部分、本発明による加工可能な植物部分、本発明による摂取可能な植物部分、または本発明による方法によって得られる植物が使用した、本発明による組成物を調製するための方法を提供する、本発明による組成物を調製するための方法は、好ましくは、食品または飼料を調製するための方法、医薬製品を調製するための方法、または化粧品を調製するための方法である。
食品または飼料を調製するための方法は、当業者に公知である。工業分野における、本発明による遺伝子組み換え植物または本発明による植物部分を使用するための方法もまた、当業者に公知であり、これには、特に、本発明による遺伝子組み換え植物または本発明による植物部分を粉砕するまたは挽くことが含まれるが、これだけに限定されない。食品/飼料を調製するための、あるいは工業分野で使用するための、本発明による目的物を使用することに起因するいくつかの利点は、既に上述している。
本発明による組成物を調製するための方法は、特に好ましくは、ヒアルロン酸を含む組成物を調製するための方法である。
本発明による組成物を調製する方法により得る組成物も同様に、本発明によって提供される。
本発明はまた、本発明による組成物を調製するためのヒアルロン酸を合成する植物を産生するための、本発明による遺伝子組み換え植物細胞、本発明による遺伝子組み換え植物、本発明による増殖材料、本発明による収穫可能な植物部分、本発明による加工可能な植物部分、本発明による摂取可能な植物部分、または本発明による方法によって得られる植物の使用に関する。食品または飼料を調製するための、医薬品を調製するための、あるいは化粧品を調製するための、ヒアルロン酸を合成する植物を産生するために、本発明による遺伝子組み換え植物細胞、本発明による遺伝子組み換え植物、本発明による増殖材料、本発明による収穫可能な植物部分、本発明による加工可能な植物部分、本発明による摂取可能な植物部分、または本発明による方法によって得られる植物を使用することが好まれる。
配列の説明
配列番号1:ミドリゾウリムシクロレラウイルス1のヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸配列。
配列番号2:ミドリゾウリムシクロレラウイルス1のヒアルロン酸合成酵素のアミノ酸配列。示したアミノ酸配列は、配列番号1から得ることができる。
配列番号3:ミドリゾウリムシクロレラウイルス1のヒアルロン酸合成酵素をコードする合成核酸配列。示した配列のコドンの合成は、それが植物細胞中のコドンの使用に適合するように実施した。示した核酸配列は、配列番号2に示したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
配列番号4:マウス由来のGFAT−1の活性を有するタンパク質をコードする核酸配列。
配列番号5:マウス由来のGFAT−1の活性を有するタンパク質のアミノ酸配列。示したアミノ酸配列は、配列番号4から得ることができる。
配列番号6:マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質をコードする核酸配列。
配列番号7:マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質のアミノ酸配列。示したアミノ酸配列は、配列番号6から得ることができる。
配列番号8:大腸菌由来のGFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸配列。
配列番号9:大腸菌由来のGFATの活性を有するタンパク質のアミノ酸配列。示したアミノ酸配列は、配列番号8から得ることができる。
配列番号10:大腸菌由来のGFATの活性を有するタンパク質をコードする合成の核酸配列。示した配列のコドンの合成は、それが植物細胞中のコドンの使用に適合するように実施した。示した核酸配列は、配列番号9で示したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
配列番号11:実施例1に使用した合成のオリゴヌクレオチド。
配列番号12:実施例1に使用した合成のオリゴヌクレオチド。
配列番号13:実施例10でPCRプライマーとして使用した合成のオリゴヌクレオチド。
配列番号14:実施例10でPCRプライマーとして使用した合成のオリゴヌクレオチド。
これらに限定されないが、核酸およびアミノ酸配列のアクセッション番号を含めて、引用されるすべての文献は、参照により本明細書に援用される。
一般的方法
本発明に関して使用することができる方法を、以下で述べる。該方法は、具体的な実施態様であるが、本発明は、これらの方法に限定されない。記述した方法を組み換えることによって、かつ/または個々の方法または方法の一部を代替法または代替の方法の一部と置き換えることによって、本発明を同様に実施することができることは、当業者に公知である。
1.ジャガイモ植物の形質転換
Rocha-Sosaら(EMBO J. 8, (1989), 23-29)に記載している通りに、ジャガイモ植物を、アグロバクテリウムを用いて形質転換した。
2.植物組織からのヒアルロン酸の単離
ヒアルロン酸の存在を検出し、植物組織のヒアルロン酸含有量を決定するために、植物材料を、以下の通りに精製した:約0.3gの材料に,200μlの水(ミネラル除去したもの、伝導率≧18MΩ)を加え、この混合物を、実験用振動ボールミル(MM200, Retsch, Germanyより、30Hzで30秒)中で粉砕した。次いで、さらなる800μlの水(ミネラル除去したもの、伝導率≧18MΩ)を加え、混合物を(例えば、Vortexミキサーを使用して)十分に混合した。細胞残屑および不溶性成分は、5分間16000xgで遠心分離することによって、上清から分離した。
3.ヒアルロン酸の精製
約100グラムの塊茎の皮をむき、約1cmのサイズに切断し、100mlの水(ミネラル除去したもの、伝導率≧18MΩ)を加えた後、最大速度で約30秒間、Warringブレンダー中で粉砕した。次いで、茶こしを使用して細胞残屑を除去した。除去した細胞残屑を、300mlの水(ミネラル除去したもの、伝導率≧18MΩ)に再懸濁し、茶こしを使用して再び除去した。得られた2つの懸濁液(100ml+300ml)を合わせて、13000xgで15分間遠心分離した。得られた遠心分離上清に、NaClを、1%の最終濃度が到達されるまで加えた。NaClが溶解した後、2倍の容量のエタノールを加え、続いて完全に混合し、−20℃で終夜保温することによって、沈殿反応を実施した。次いで、混合物を13000xgで15分間遠心分離した。この遠心分離の後、沈殿した得られた沈殿物を、100mlの緩衝液(50mM TrisHCl、pH8、1mM CaCl)に溶解し、次いで、プロテイナーゼKを加え、100μg/mlの最終濃度にし、この溶液を、42℃で2時間保温した。続いて、これを95℃で10分保温した。もう一度、NaClを、1%の最終濃度に到達するまで、この溶液に加えた。NaClが溶解した後、2倍の容量のエタノールを加え、完全に混合し、−20℃で約96時間保温することによって、もう1度沈殿反応を実施した。続いて、これを、13000xgで15分間遠心分離した。この遠心分離の後、沈殿した得られた沈殿物を、30mlの水(ミネラル除去したもの、伝導率≧18MΩ)に溶解し、もう一度NaClを加えて、1%の最終濃度にした。2倍の容量のエタノールを加え、完全に混合し、−20℃で終夜保温することによって、もう一度沈殿反応を実施した。その後の13000xgでの15分間の遠心分離の後に得られた沈殿物を、20mlの水(ミネラル除去したもの、伝導率≧18MΩ)に溶解した。遠心濾過によってさらなる精製を実施した。この目的のために、各場合において、5mlの溶解された沈殿物を、メンブランフィルター(CentriconAmicon、孔幅10 000 NMWL, Prod. No. UCF8 010 96)に適用し、このサンプルを、フィルター上に残る溶液が、わずか約3mlになるまで、2200xgで遠心分離した。次いで、さらに2回、各場合において、3mlの水(ミネラル除去したもの、伝導率≧18MΩ)を、フィルター上の溶液に加え、各場合において、フィルター上に残る溶液が、最後にわずか約3mlになるまで、同一の条件下で再び遠心分離した。遠心濾過の後、膜の上に依然として存在していた溶液を取り去り、膜を約1.5mlの水(ミネラル除去したもの、伝導率≧18MΩ)で(3から5回)繰り返しすすいだ。膜の上に依然として存在していた溶液と、すすぎによって得られた溶液をすべて合わせ、NaClを加えて、1%の最終濃度にした。NaClが溶解した後で、2倍の容量のエタノールを加え、このサンプルを混合し、−20℃で終夜保管することによって沈殿を得た。13000xgで15分間遠心分離した後に得られた沈殿を、4mlの水(ミネラル除去したもの、伝導率≧18MΩ)に溶解し、次いで、凍結乾燥した(Christ, Osterode, Germanyの凍結乾燥装置Christ Alpha 1-4、0.37mbarの圧力下で24時間)。
4.ヒアルロン酸の検出およびヒアルロン酸含有量の決定
ヒアルロン酸は、市販の試験(Corgenix, Inc.Colorado, USAのヒアルロン酸(HA)試験キット、Prod.No.029-001)を使用して、製造業者の指示書(参照により明細書本文に援用される)に従って検出された。その試験原理は、ヒアルロン酸(HABP)に特異的に結合するタンパク質の利用率に基づいており、ELISA(呈色反応が、試験サンプル中のヒアルロン酸含有量を示す)と同様に実施する。したがって、ヒアルロン酸の定量的決定のためには、測定サンプルは、所定の範囲内に存在するような濃度で用いるべきである(例えば、範囲を超えるか、範囲に到達しないかに応じて、当該のサンプルを希釈する、あるいは、植物組織からヒアルロン酸を抽出するためにより少量の水を使用する)。並行する回分では、決定すべきサンプルの一定分量を、最初にヒアルロニダーゼ消化にかけ、次いで市販の試験(Corgenix, Inc.Colorado, USAのヒアルロン酸(HA)試験キット、Prod.No.029-001)を使用して測定した。ヒアルロニダーゼ消化は、ヒアルロニダーゼ緩衝液(0.1M リン酸カリウム緩衝液、pH 5.3;150mM NaCl)に入れた400μlのジャガイモ塊茎抽出物を使用して、5μg(〜3単位)のヒアルロニダーゼ(Sigmaのヒアルロニダーゼ・タイプIII、Prod. No. H 2251)を加えて、37℃で30分間保温することによって実施した。次いで、各場合において、ヒアルロン酸含有量を決定するために、すべてのサンプルを、1:10希釈で使用した。
5.GFATの活性の決定
GFATの活性を有するタンパク質の活性は、Rachelら(1996, J. Bacteriol. 178(8)2320-2327)に記載した通りに決定する。タンパク質が、GFAT−1またはGFAT−2の活性を有するかどうかを区別するために、Huら、(2004, J. Biol. Chem. 279 (29), 29988-29993)に記載した方法を使用した。
6.米植物の形質転換
米植物は、Hieiら(1994, Plant Journal 6(2), 271-282)が記載した方法によって形質転換させた。
7.トマト植物の形質転換
トマト植物は、米国特許第5,565,347号が記載する方法に従って、アグロバクテリウムを用いて形質転換させた。
実施例
1.植物発現ベクターIR 47−71の調製
プラスミドpBinARは、バイナリーベクタープラスミドpBin19(Bevan, 1984, Nucl Acids Res 12: 8711-8721)の誘導体であり、以下の通りに構築した:カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターのヌクレオチド6909−7437を含む529bpの長さのフラグメントを、プラスミドpDH51(Pietrzakら, 1986 Nucleic Acids Res. 14, 5858)からEcoR I/Kpn Iフラグメントとして単離し、pUC18のポリリンカーのEcoR IとKpn I制限部位との間に連結した。このようにして、プラスミドpUC18−35Sを形成した。制限エンドヌクレアーゼHind IIIおよびPvu IIを使用して、TiプラスミドpTiACH5(Gielenら, 1984, EMBO Journal 3, 835-846)(nucleotides 11 749-11 939)のT−DNAのオクトピンシンターゼ(Octopin Synthase)遺伝子(遺伝子3)のポリアデニル化シグナル(3’末端)を含んだ192bpの長さのフラグメントを、プラスミドpAGV40から単離した(Herrera-Estrellaら, 1983 Nature, 303, 209-213)。Sph IリンカーをPvu Il制限部位に付加した後、このフラグメントを、pUC18−35SのSph IとHind III制限部位との間に連結した。これによって、プラスミドpA7が与えられた。ここでは、35Sプロモーターとocsターミネーターを含むポリリンカー全体を、EcoR IおよびHind IIIを使用して除去し、適切に切断されたベクターpBin19に連結した。これによって、植物発現ベクターpBinARが与えられた(HofgenおよびWillmitzer, 1990, Plant Science 66, 221-230)。
ジャガイモ(Solanum tuberosum)由来のパタチン遺伝子B33のプロモーター(Rocha-Sosaら, 1989, EMBO J. 8, 23-29)を、Dra Iフラグメント(ヌクレオチド−1512〜+14)として、その末端を、T4−DNAポリメラーゼを使用して平滑末端化した、Sst Iで切断されたベクターpUC19に連結した。これによって、プラスミドpUC19−B33が与えられた。このプラスミドから、EcoR IおよびSma Iを使用して、B33プロモーターを除去し、適切に制限されたベクターpBinARに連結した。これによって、植物発現ベクターpBinB33が与えられた。さらなるクローニングステップを容易にするために、MCS(マルチクローニングサイト(Multiple Cloning Site))を延長した。この目的のために、2つの相補的オリゴヌクレオチドを合成し、5分間95℃で加熱し、ゆっくりと室温に冷却して、十分に固定(アニーリング)させ、pBinB33のSal IおよびKpn I制限部位にクローン化した。この目的のために使用したオリゴヌクレオチドは、以下の配列を有していた:
Figure 2009509555

得られたプラスミドは、IR 47−71と称された。
2.植物発現ベクターpBinARHygの調製
35Sプロモーター、ocsターミネーター、およびマルチクローニングサイト全体を含むフラグメントを、制限エンドヌクレアーゼEcoR IおよびHind IIIを使用して、pA7から取り出し、同じ制限エンドヌクレアーゼを使用して切断したベクターpBIBHyg(Becker, 1990, Nucleic Acids Res. 18, 203)にクローン化した。得たプラスミドは、pBinARHygと称された。
3.植物発現ベクターpBinB33−Hygの調製
B33プロモーター、ポリリンカーの一部、およびocsターミネーターを含むEcoRI−HindIIIフラグメントを、プラスミドpBinB33から切り出し、適切に制限されたベクターpBIB−Hyg(Becker, 1990, Nucleic Acids Res. 18, 203)に連結した。得られた植物発現ベクターは、pBinB33−Hygと称された。
4.核酸分子の合成
a)ミドリゾウリムシクロレラウイルス1のヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子の合成
ヒアルロン酸合成酵素(HAS)ミドリゾウリムシクロレラウイルス1をコードする核酸配列を、Medigenomix GmbH(Munich, Germany)により合成し、これを、InvitrogenのベクターpCR2.1(Prod. No. K2000-01)にクローン化した。得られたプラスミドは、IC 323−215と称された。ミドリゾウリムシクロレラウイルス1由来のHASタンパク質をコードする合成の核酸配列は、配列番号3で示した。ミドリゾウリムシクロレラウイルス1から元々単離した相当する核酸配列は、配列番号1で示した。
b)大腸菌由来のGFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸分子の合成
大腸菌由来のGFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸配列を、Entelechon GmbHにより合成し、これを、InvitrogenのベクターpCR4Topo(Prod.No. K4510-20)にクローン化した。得られたプラスミドは、IC 373−256と称された。大腸菌由来のGFATの活性を有するタンパク質をコードする合成の核酸配列は、配列番号10で示した。大腸菌から元々単離した相当する核酸配列は、配列番号8で示した。
5.さらなる核酸分子の起源
a)マウス由来のGFAT−1の活性を有するタンパク質をコードする核酸分子
GFAT−1の活性を有するタンパク質をコードする核酸配列は、BioCat GmbH、Heidelbergから購入した(Art.No. MMM1013-65346、cDNAクローンMGC:58262,IMAGE: 6742987)。これは、I.M.A.G.E. Konsortium(http://image.llnl.gov)が産生し、BioCat GmbHが流通させているクローンである。ここでは、GFAT−1の活性を有するタンパク質をコードするcDNAを、InvitrogenのベクターpCMV Sport 6にクローン化した。得られるプラスミドは、IC 365−256と称された。マウス(Mus musculus)由来のGFAT−1の活性を有するタンパク質をコードする、IC 365−256に挿入された核酸配列は、配列番号4に示した核酸配列と比較した場合、位置1090において、TからCへの塩基交換、位置2027において、GからAへの塩基交換がされている。これらの塩基交換は、2つの異なる核酸分子によってコードされるアミノ酸配列のアミノ酸交換をもたらさない。マウス由来のGFAT−1の活性を有するタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号4に示した。この後のクローニングステップを容易にするために、GFAT−1の活性を有するタンパク質をコードする配列を、IC 365−256から、制限エンドヌクレアーゼXho IおよびEco RVを使用して単離し、同じ制限エンドヌクレアーゼで切断された、両方の末端にPac I制限部位をさらに有する組み換えされたマルチクローニングサイトを有するプラスミドpME9(StratageneのpBlueSkriptベクター)にクローン化した。得られたプラスミドは、IC 367−256と称された。
b)マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質をコードする核酸分子
マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質をコードする核酸分子は、Invitrogenから購入した(Clone ID 4167189、cDNAクローンMGC:18324(IMAGE):4167189)。これは、I.M.A.G.E. Konsortium(http://image.llnl.gov)が製造し、Invitrogenが流通させているクローンである。ここでは、GFAT−2の活性を有するタンパク質をコードするcDNAを、InvitrogenのベクターpCMV Sport 6にクローン化した。このプラスミドは、IC 369−256と称された。マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号6で示した。
6.ミドリゾウリムシクロレラウイルス1のヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸配列を含む植物発現ベクターIC 341−222の調製
BamH IおよびXho Iでの制限消化を使用して、ヒアルロン酸合成酵素のコード配列を含む核酸分子を、プラスミドIC 323−215から単離し、プラスミドIR 47−71のBamH IおよびXho I制限部位にクローン化した。得られた植物発現ベクターは、IC 341−222と称された。
7.マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む植物発現ベクターIC 399−299の調製
Xho IおよびAsp 718での制限消化を使用して、マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質のコード配列を含む核酸分子を、プラスミド369−256から単離し、同じ制限エンドヌクレアーゼを用いて切断した植物発現ベクターpBinB33−Hygにクローン化した。得られる植物発現ベクターは、IC 399−299と称された。
8.大腸菌由来のGFATの活性を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む植物発現ベクターIC 399−300の調製
大腸菌由来のGFATの活性を有するタンパク質のコード配列を含む核酸分子を、Sac IおよびSbf Iでの制限消化によって、プラスミド373−256から単離し、同じ制限エンドヌクレアーゼを用いて切断した植物発現ベクターpBinB33−Hygにクローン化した。得られた植物発現ベクターは、IC 399−300と称された。
9.ミドリゾウリムシクロレラウイルス1のヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸配列を含有する植物発現ベクターpBA16の調製
制限エンドヌクレアーゼAsp 7181を使用して、ミドリゾウリムシクロレラウイルス1のヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸配列を含むフラグメントを、プラスミドIC 323−215から単離し、フラグメントの末端を、Klenowポリメラーゼを使用して平滑末端化し、次いで、得られたフラグメントを、制限エンドヌクレアーゼPac Iを使用して再び切断した。このようにして得られたフラグメントを、制限エンドヌクレアーゼPac IおよびEcl136 IIを使用して切断したプラスミドIR103−123(国際公開公報第2006 032538号に記載されている)に連結した。得られた植物発現ベクターは、pBA16と呼ばれるものであった。
10.植物発現ベクターIC 386−299の調製
米由来のプロラミンプロモーター(EMBLアクセッション番号D63901、Shaら, 1996, Biosci. Biotech. Biochem. 60, 335-337, Wuら, 1998. Plant Cell Physiol. 39(8), 885-889)のDNAを、イネ(Oryza sativa)(M202品種)の葉から単離したゲノムDNAを使用して増幅した。
PCR増幅のために使用した条件:
増幅のために、DNAポリメラーゼExpand High Fidelity(PCR Systems, Roche Prod. Nr.: 1732641)を使用した。これらの条件と、先に述べたキットの製造業者が供給する緩衝液を使用した。
DNA:50ngの米ゲノムDNA
dNTP:0,83μM dNTP Mix
0,25μM プライマー prol−F1
Figure 2009509555

0.25μM プライマー prol−R1
Figure 2009509555

反応条件:
ステップ1 94℃ 15秒
ステップ2 60℃ 15秒
ステップ3 72℃ 45秒
ステップ1から3を、35回繰り返し、その後、反応物を4℃に冷却した。PCR増幅により得られたフラグメントを、Taクローニングキット(Invitrogen Prod. Nr.: KNM2040-01)を用いてプラスミドpCR 2.1にクローン化した。得られたプラスミドは、MI 4−154と称された。マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質のコード配列を含む核酸フラグメントを、制限エンドヌクレアーゼNot I 及び Kpn Iを用いて、プラスミドIC 369−256から単離し、ベクターpMCS5(MoBiTecから購入)のNot IおよびKpn I部位にクローン化した。得られたプラスミドは、IC 385−299と称された。マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質のコード配列を含む核酸フラグメントを、制限エンドヌクレアーゼXho IおよびHpa Iを用いて、プラスミドIC 385−299から単離し、プラスミドMI 9−154のXho IおよびEcl 136 II制限部位にクローン化した。得られた植物発現ベクターは、IC 386−299と称された。ベクターMI 9−154の調製のためのベースは、プラスミドML 18−56であった(国際公開第05 030941号)。制限部位Hind IIIおよびPst Iにクローニングする粘着末端を含み、追加の制限部位Pst I、Sac I、Bln I、Xho I、Hpa I、Spe I,およびHind IIIを含むマルチクローニングサイト(MCS)を、2つの相補的な合成のオリゴヌクレオチドをアニーリングすることによって調製した。アニーリングされたオリゴヌクレオチドを、プラスミドML 18−56の制限部位Hind IIIおよびPst Iにクローン化した。得られたベクターは、MI 8−154と称された。プロラミンプロモーターを含む核酸フラグメントを、制限エンドヌクレアーゼEco RVおよびSpe Iを用いてプラスミドMI 4−154から単離し、ベクターMI 8−154にクローン化した。得られたプラスミドは、MI 9−154と称された。
11.ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子を含む植物発現ベクターを用いた植物の形質転換
ジャガイモ植物(cv Desiree)を、一般的方法の第1項目で示した方法を使用して、ジャガイモ由来のパタチン遺伝子B33のプロモーター(Rocha-Sosaら、1989, EMBO J. 8, 23-29)の制御下で、ミドリゾウリムシクロレラウイルス1由来のヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸配列を含む植物発現ベクターIC 341−222を使用して形質転換させた。プラスミドIC 341−222を用いて形質転換された、得られたトランスジェニック・ジャガイモ植物は、365 ESと称された。
12.ヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子を含む植物発現ベクターを用いて形質転換されるトランスジェニック植物の分析
a)較正曲線の作成
市販の試験キット(Corgenix, Inc.Colorado, USAのヒアルロン酸(HA)試験キット、Prod.No.029-001)に同梱されている標準溶液を使用して、製造業者が記述した方法に従って、較正曲線を作成した。1600ng/mlでのヒアルロン酸の吸光度を決定するために、製造業者が示した供給標準量に基づいて、ヒアルロン酸を800ng/ml含む量を2倍使用した。各場合において、3つの別個の測定系を実施し、相当する平均を決定した。これによって、以下の較正曲線を得た:
Figure 2009509555

表1:植物組織のヒアルロン酸含有量の定量的決定のための較正曲線を作成するための値。ソフトウェア(Microsoft Office Excel 2002, SP2)を用いて、得られた測定値を、図に書き入れ、傾向線の関数の式を決定した(図1を参照のこと)。E450nmは、450nmの波長での吸光度を指し、s.d.は、個々の値の算出された平均の標準偏差である。
b)365 ES系統のジャガイモ塊茎の分析
温室において、365 ES系統の個々の植物を、6cmのポット内の土壌で栽培した。各場合において、個々の植物の約0.3gのジャガイモ塊茎材料を、一般的方法の第2項目で述べた方法に従って処理した。一般的方法の第4項目で述べた方法を使用して、実施例12a)および図1で示す較正曲線を用いて、それぞれの植物抽出物中に存在するヒアルロン酸の量を決定した。ここでは、遠心分離後に得られた上清は、ヒアルロン酸含有量を決定するために、1:10希釈で使用した。選択した植物について、以下の結果を得た:
Figure 2009509555

表2:365 ES系統の個々のトランスジェニック植物によって産生されたヒアルロン酸の量(生重量1gあたりのヒアルロン酸(μg))。第1列は、塊茎材料が採取された植物を指す(ここでは、「野生型」は、形質転換されていないが、形質転換のための出発材料として使用した遺伝子型を有する植物を指す)。第2列は、ヒアルロン酸含有量を決定するために使用した当該の植物の塊茎材料の量を示す。第3列は、それぞれの植物抽出物の1:10希釈物の測定された吸光度を含む。第4列は、回帰直線方程式(図1を参照のこと)を用いて、希釈倍率を考慮して、以下の通りに算出した:((第3列の値−0.149)/0.00185)×10。第5列は、使用した生重量に対するヒアルロン酸の量を示し、これは、以下の通りに算出した:(第4列の値/第2列の値)/1000。「n.d.」は、検出不可能を意味する。
13.大腸菌由来のGFATの活性を有するタンパク質に対するコーディング核酸配列を含む植物発現ベクターを用いたヒアルロン酸合成植物の形質転換
a)植物の形質転換
365 ES 13および365 ES 74系統のジャガイモ植物は、いずれの場合においても、植物発現ベクターIC 399−300を用いて形質転換させた。一般的方法の第1項目で示した方法を使用して、プラスミドIC 399−300を用いて、365 ES 74系統を形質転換した後に得られたトランスジェニック・ジャガイモ植物は、433 ESと称された。
b)433 ES系統のジャガイモ塊茎の分析
温室において、433 ES系統の個々の植物を、6cmのポット内の土壌で栽培した。いずれの場合においても、個々の植物の約0.3gのジャガイモ塊茎の材料および/または葉を、一般的方法の第2項目で述べた方法に従って処理した。一般的方法の第4項目で述べた方法を使用して、実施例12a)および図1で示す較正曲線を用いて、それぞれの植物抽出物中に存在するヒアルロン酸の量を決定した。ここでは、遠心分離後に得られた上清は、ヒアルロン酸含有量を決定するために、1:10希釈で使用した。選択された植物について、以下の結果を得た:
Figure 2009509555

表3:433 ES系統の個々のトランスジェニック植物によって産生されたヒアルロン酸の量(生重量1gあたりのヒアルロン酸(μg)「HA」)。第1行は、塊茎または葉材料が採取された植物を指す(ここでは、「野生型」は、形質転換されていない植物を指し、ES 365 74は、プラスミドc 399−300を用いる形質転換のための出発材料として使用した植物を指す)。第2行および第3行は、それぞれ、葉または塊茎中に検出されるヒアルロン酸の量を指す。
14.米植物の形質転換
a)ミドリゾウリムシクロレラウイルス1由来のヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子を含む植物発現ベクターを用いる
米植物(M202品種)を、一般的方法の第6項目で示した方法を使用して、イネ由来のグロブリン遺伝子のプロモーター(Wuら, 1998 Plant Cell Physiol. 39(8), 885-889)の制御下で、ミドリゾウリムシクロレラウイルス1由来のヒアルロン酸合成酵素タンパク質をコードする核酸配列を含有する植物発現ベクターpBA16を用いて形質転換した。プラスミドpBA16で形質転換された、得られたトランスジェニック米植物は、Os−pBA16と呼ばれるものであった。
b)マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質に対するコーディング核酸配列を含む植物発現ベクターを用いる
米植物(M202品種)を、一般的方法の第6項目で示した方法を使用して、イネ由来の13kDaプロラミンポリペプチドのプロモーターの制御下で、マウス由来のGFAT−2の活性を有するタンパク質をコードする核酸配列を含有する植物発現ベクターIC 386−299を用いて形質転換した。プラスミドpBA16で形質転換された、得られたトランスジェニック米植物は、GAOS0788と呼ばれるものであった。
15.Os−pBA16系統の米植物の分析
a)未成熟の種もみ
温室中の土壌で栽培した、OS−pBA16系統の個々の植物により産生した、未成熟の種もみ(授粉の5から10日後)を収集し、液体窒素内で凍結し、−80℃で保管した。それぞれ個々の植物の凍結した粒を3粒、ランダムに選択し、内乳をしぼり取り、プールし、重量を計り、再び液体窒素中に凍結した。このサンプルを、ボールミル(モデルMM200、Firma Retsch, Germany)を用いて破砕し、100μlの水を加え、このホモジェネートを混合し、遠心分離し(13000xg、5分)、一般的方法の第4項目で述べた方法に従って、各サンプルのヒアルロン酸濃度を決定した。OS−pBA16系統の個々の植物由来のそれぞれ3粒の未成熟種子を含む37の種子プールからの70%以上は、種子中に有意な量のヒアルロン酸(生重量1gにつき少なくとも0,1μgのヒアルロン酸)を合成することが証明された。個々の米植物から調製した種子プール中のヒアルロン酸の量は、生重量1gにつきヒアルロン酸0,1μgと15,7μgの間であった。個々の植物からそれぞれ調製した種子プールについての結果を、以下の表に示す:
Figure 2009509555

表4:トランスジェニック系統OS−pBA16の個々の植物からそれぞれ調製した種子プールにおけるヒアルロン酸の検出
b)米粉
それぞれの形質転換された植物から、20から25の成熟した種子を採取した。脱穀機(dehusker)(Laboratory Paddy脱粒機、Grainman, Miami, Florida, USA)によって外皮を取り除き、玄米粒を、ラボラトリーミル(Cyclotec, Sampleミル, Foss, Denmark)を用いて粉砕した。それぞれ個々の植物のプールされた種子から得た米粉約40mgに、1mlの水を加え、このサンプルを混合し、遠心分離し(13000xg、5分)、各サンプルの上清のヒアルロン酸濃度を、一般的方法の第4項目で述べた方法に従って決定した。個々の植物から調製した選択された粉末サンプルについての結果を、以下の表に示す:
Figure 2009509555

表5:トランスジェニック系統OS−pBA16のそれぞれ個々の植物の種子から調製した米粉サンプルにおけるヒアルロン酸の検出。検出は、一般的方法第4項目で述べた方法を使用して実施した。
b)GAOS0788系統の米植物の分析
プラスミドIC 386−299での形質転換の後に得たGAOS0788系統の個々の米植物を、温室中の土壌で栽培した。各植物から、20から25の成熟した種子(穀粒)を採取し、脱穀機(Laboratory Paddy脱粒機、Grainman, Miami, Florida, USA)によって外皮を取り除き、各系統由来の約7つの玄米粒を、ラボラトリーボールミル(MM200、Company Retsch, Germany, 30 sec. bei 30 HZ)を用いて粉砕し、米粉とした。その後、各サンプル中のN−アセチル化グルコサミン誘導体の含有量を、ElsonおよびMorganが記載した方法(1933, J Biochem. 27,1824)に従って決定した。分析したいくつかのサンプルは、N−アセチル化グルコサミン誘導体の含有量の増加を示し、N−アセチル化グルコサミン誘導体は、サンプルの生重量1グラムにつき、およそ2μmolからおよそ20μmolまでの範囲であった。上述通りに分析し、選択された植物(GAOS0788−00501)の単一の粒は、サンプルの生重量1グラムにつき、およそ43μmolまでのN−アセチル化グルコサミン誘導体の含有量を示した。
ヒアルロン酸合成酵素のタンパク質をコードし、かつGFAT−2の活性を有するタンパク質をコードする核酸分子を含む植物を得るために、OS−pBA16系統とGAOS0788系統の選択された植物を、互いに交雑させることになる。
植物組織のヒアルロン酸含有量を算出するために使用した較正曲線および相当する回帰直線の式を示す。較正曲線は、市販の試験キット(Corgenix, Inc., Colorado, USAのヒアルロン酸(HA)試験キット、Prod. No. 029-001)、およびそれに同梱される標準溶液を用いて定められた。

Claims (13)

  1. ゲノムに安定に組み込まれたヒアルロン酸合成酵素をコードする核酸分子を有する遺伝子組み換え植物細胞であって、前記植物細胞が、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞と比較して、グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)の活性を有するタンパク質の活性が増大している、細胞。
  2. グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)の活性を有するタンパク質の該活性の増大が、植物細胞への外来の核酸分子の導入によって起こる、請求項1に記載の遺伝子組み換え植物細胞。
  3. 該外来の核酸分子が、グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)の酵素的活性を有するタンパク質をコードする、請求項2に記載の遺伝子組み換え植物細胞。
  4. ヒアルロン酸合成酵素の活性を有する植物細胞と比較して、ヒアルロン酸の合成量は増大するが、グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)の活性は増大していない、請求項1、2、または3のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物細胞。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物細胞を含む植物。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物細胞を含む、請求項5に記載の植物の増殖材料。
  7. 請求項1から4のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物細胞を含む、請求項5に記載の植物の収穫可能な植物部分。
  8. ヒアルロン酸を合成する植物を産生するための方法であって、該方法が以下のa)〜c)を含む:
    a)遺伝子組み換えは、以下のステップiからiiを含む、植物細胞の遺伝子組み換え、ここで、ステップiからiiは、すべての順序で別々に実施することもできるし、又は、ステップiとiiのすべての組み合わせを、同時に実施することもできる、
    i)植物細胞へのヒアルロン酸合成酵素をコードする外来の核酸分子の導入、
    ii)植物細胞への遺伝子組み換えの導入、ここで、該遺伝子組み換えは、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞と比較して、グルタミン:フルクトース6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)の酵素的活性を有するタンパク質の活性を増大させる、
    b)ステップa)で得られる植物細胞から植物の再生、
    c)ステップb)に記載の植物を用いて、必要に応じて、さらなる植物の産生、
    ここで、必要に応じて、植物細胞を、ステップb)iまたはb)iiに従って得られる植物から単離し、そして、方法ステップa)からc)を繰り返して、対応する遺伝子非組み換え野生型植物細胞と比較して、ヒアルロン酸合成酵素をコードする外来の核酸分子を有し、かつGFATの酵素的活性を有するタンパク質の活性が増大している植物を産生する、
    方法。
  9. ヒアルロン酸を調製するための方法であって、請求項1から4のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物細胞から、請求項5に記載の植物から、請求項6に記載の増殖材料から、請求項7に記載の収穫可能な植物部分から、あるいは請求項8に記載の方法によって入手できる植物から、ヒアルロン酸を抽出するステップを含む方法。
  10. 請求項1から4のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物細胞、請求項5に記載の植物、請求項6に記載の増殖材料、請求項7に記載の収穫可能な植物部分、あるいは請求項8に記載の方法によって入手できる植物の、ヒアルロン酸を調製するための使用。
  11. 請求項1から4のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物細胞を含む組成物。
  12. 請求項1から4のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物細胞、請求項5に記載の植物、請求項6に記載の増殖材料、請求項7に記載の収穫可能な植物部分、あるいは請求項8に記載の方法によって入手できる植物を使用する、ヒアルロン酸を含む組成物の調製方法。
  13. 請求項1から4のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物細胞、請求項5に記載の植物、請求項6に記載の増殖材料、請求項7に記載の収穫可能な植物部分、あるいは請求項8に記載の方法によって入手できる植物の、請求項11に記載の組成物を調製するための使用。
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