JP2009301937A - 非水電解質二次電池用負極材及びその製造方法、ならびにリチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタ - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明で得られた負極材を非水電解質二次電池の負極材として用いることで、高い初回充放電効率を有し、サイクル性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
【選択図】なし
Description
[1].一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子の表面に、ウィスカーが形成されたウィスカー含有粒子からなることを特徴とする非水電解質二次電池用負極材。
[2].一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子を、30000Pa以下の減圧下、900〜1300℃で熱処理することを特徴とする[1]記載の非水電解質二次電池用負極材の製造方法。
[3].[1]記載の非水電解質二次電池用負極材を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
[4].[1]記載の非水電解質二次電池用負極材を含むことを特徴とする電気化学キャパシタ。
本発明において酸化珪素とは、二酸化珪素と金属珪素との混合物を加熱して生成した一酸化珪素ガスを冷却・析出して得られた非晶質の珪素酸化物の総称であり、本発明においては、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表されるものをいう。xは0.8≦x<1.6が好ましく、0.8≦x<1.3がより好ましい。
珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子(珪素複合体粉末)における、珪素系化合物としては、不活性なものが好ましく、二酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸窒化珪素が好ましい。
i.銅を対陰極としたX線回折(Cu−Kα)において、2θ=28.4°付近を中心としたSi(111)に帰属される回折ピークが観察され、その回折線の広がりをもとに、シェーラーの式によって求めた珪素の結晶の粒子径が好ましくは1〜500nm、より好ましくは2〜200nm、さらに好ましくは2〜20nmである。珪素の微粒子の大きさが1nmより小さいと、充放電容量が小さくなる場合があるし、逆に500nmより大きいと充放電時の膨張収縮が大きくなり、サイクル性が低下するおそれがある。なお、珪素の微粒子の大きさは透過電子顕微鏡写真により測定することができる。
ii.固体NMR(29Si−DDMAS)測定において、そのスペクトルが−110ppm付近を中心とするブロードな二酸化珪素のピークとともに−84ppm付近にSiのダイヤモンド結晶の特徴であるピークが存在する。なお、このスペクトルは、通常の酸化珪素(SiOx:x=1.0+α)とは全く異なるもので、構造そのものが明らかに異なっているものである。また、透過電子顕微鏡によって、シリコンの結晶が無定形の二酸化珪素に分散していることが確認される。
本発明のウィスカー含有粒子は、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子の表面に、ウィスカーが形成されたものである。
「X線回折において、Si(111)に帰属される回折ピークが観察され、その回折線の半価幅をもとにシェーラー法により求めた珪素の結晶の大きさが1〜500nmである、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子の表面を炭素でコーティングしてなることを特徴とする非水電解質二次電池負極材用導電性珪素複合体。」
を提案しているが、これは通常、酸化珪素を900〜1400℃の温度で、しかも常圧(大気圧)下で、有機物ガス及び/又は蒸気で不均化することにより製造するものであって、本発明のウィスカーが形成されないものであるから、本発明のウィスカー含有粒子と相違する。
本発明は、上記ウィスカー含有粒子を非水電解質二次電池用負極材に用いるものであり、ウィスカー含有粒子からなる非水電解質二次電池用負極材である。この本発明で得られた非水電解質二次電池負極材を用いて、負極を作製し、リチウムイオン二次電池を製造することができる。
リチウムイオン二次電池は、上記負極材を用いる点に特徴を有し、その他の正極、負極、電解質、セパレータ等の材料及び電池形状等は公知のものを使用することができ、特に限定されない。例えば、正極活物質としてはLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、MnO2、TiS2、MoS2等の遷移金属の酸化物、リチウム、及びカルコゲン化合物等が用いられる。電解質としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム等のリチウム塩を含む非水溶液が用いられ、非水溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン等の1種又は2種類以上を組み合わせて用いられる。また、それ以外の種々の非水系電解質や固体電解質も使用できる。
また、電気化学キャパシタを得る場合は、電気化学キャパシタは、上記負極材を用いる点に特徴を有し、その他の電解質、セパレータ等の材料及びキャパシタ形状等は限定されない。例えば、電解質として六フッ化リン酸リチウム、過塩素リチウム、ホウフッ化リチウム、六フッ化砒素酸リチウム等のリチウム塩を含む非水溶液が用いられ、非水溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン等の1種又は2種類以上を組み合わせて用いられる。また、それ以外の種々の非水系電解質や固体電解質も使用できる。
平均粒子径5.0μmの一般式SiOx(x=1.02)で表される酸化珪素粉末200gをバッチ式加熱炉内に仕込んだ。その後、油回転式真空ポンプで100Pa以下まで減圧しつつ、300℃/hrの昇温速度で1100℃まで昇温、5時間保持したのち室温まで自然冷却した。得られた粉末は平均粒子径=5.3μmであった。TEMで確認したところ、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子であり、走査型電子顕微鏡(SEM)で確認したところ、視野全体にウィスカーが確認された(図1参照)。ウィスカーの長さは0.5〜5μmであり、ウィスカーの太さは0.05〜0.3μmであり、酸化珪素粒子に対するウィスカーの存在割合は、0.1〜0.3質量%であった。
負極材の有用性を確認するため、下記方法で電池特性を評価した。
得られた粉末85質量部と電気化学工業製デンカブラック(カーボン)5質量部、ポリイミド10質量部を混合し、さらにN−メチルピロリドンを加えてスラリーとし、このスラリーを厚さ20μmの銅箔に塗布し、80℃で1時間乾燥後、ローラープレスにより電極を加圧成形し、この電極を350℃で1時間真空乾燥した後、2cm2に打ち抜き負極とした。
実施例1で用いた一般式SiOx(x=1.02)で示される酸化珪素粉末を熱処理せずそのまま使用した他は、実施例1と同様に粉末を得て、電池を作製した。粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で確認したところ、ウィスカーは確認されなかった(図2参照)。
Claims (4)
- 一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子の表面に、ウィスカーが形成されたウィスカー含有粒子からなることを特徴とする非水電解質二次電池用負極材。
- 一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子を、30000Pa以下の減圧下、900〜1300℃で熱処理することを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池用負極材の製造方法。
- 請求項1記載の非水電解質二次電池用負極材を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- 請求項1記載の非水電解質二次電池用負極材を含むことを特徴とする電気化学キャパシタ。
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