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JP2009301937A - 非水電解質二次電池用負極材及びその製造方法、ならびにリチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタ - Google Patents

非水電解質二次電池用負極材及びその製造方法、ならびにリチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタ Download PDF

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Abstract

【解決手段】一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子の表面に、ウィスカーが形成されたウィスカー含有粒子からなることを特徴とする非水電解質二次電池用負極材。
【効果】本発明で得られた負極材を非水電解質二次電池の負極材として用いることで、高い初回充放電効率を有し、サイクル性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池用負極活物質として用いた際に、優れた初回充放電効率、サイクル特性を有する非水電解質二次電池用負極材及びその製造方法、ならびにリチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタに関するものである。
近年、携帯型の電子機器、通信機器等の著しい発展に伴い、経済性と機器の小型化、軽量化の観点から、高エネルギー密度の二次電池が強く要望されている。従来、この種の二次電池の高容量化策として、例えば、負極材料にV、Si、B、Zr、Sn等の酸化物及びそれらの複合酸化物を用いる方法(例えば、特許文献1:特開平5−174818号公報、特許文献2:特開平6−60867号公報参照)、溶融急冷した金属酸化物を負極材として適用する方法(例えば、特許文献3:特開平10−294112号公報参照)、負極材料に酸化珪素を用いる方法(例えば、特許文献4:特許第2997741号公報参照)、負極材料にSi22O及びGe22Oを用いる方法(例えば、特許文献5:特開平11−102705号公報参照)等が知られている。また、負極材に導電性を付与する目的として、SiOを黒鉛とメカニカルアロイング後、炭化処理する方法(例えば、特許文献6:特開2000−243396号公報参照)、珪素粒子表面に化学蒸着法により炭素層を被覆する方法(例えば、特許文献7:特開2000−215887号公報参照)、酸化珪素粒子表面に化学蒸着法により炭素層を被覆する方法(例えば、特許文献8:特開2002−42806号公報参照)等が挙げられる。
しかしながら、上記従来の方法では、充放電容量が上がり、エネルギー密度が高くなるものの、サイクル性が不十分であったり、市場の要求特性には未だ不十分であったりし、必ずしも満足でき得るものではなく、更なるエネルギー密度の向上が望まれていた。
特に、特許第2997741号公報(特許文献4)では、酸化珪素をリチウムイオン二次電池負極材として用い、高容量の電極を得ているが、本発明者らが見る限りにおいては、未だ初回充放電時における不可逆容量が大きかったり、サイクル性が実用レベルに達しておらず、改良する余地がある。また、負極材に導電性を付与した技術についても、特開2000−243396号公報(特許文献6)では、固体と固体の融着であるため、均一な炭素皮膜が形成されず、導電性が不十分であるといった問題がある。また、特開2000−215887号公報(特許文献7)の方法においては、均一な炭素皮膜の形成が可能となるものの、Siを負極材として用いているため、リチウムイオンの吸脱着時の膨張・収縮があまりにも大きすぎて、結果として実用に耐えられず、サイクル性が低下するためにこれを防止するべく充電量の制限を設けなくてはならず、特開2002−42806号公報(特許文献8)の方法においては、微細な珪素結晶の析出、炭素被覆の構造及び基材との融合が不十分であることより、サイクル性の向上は確認されるも、充放電のサイクル数を重ねると徐々に容量が低下し、一定回数後に急激に低下するという現象があり、二次電池用としてはまだ不十分であるといった問題があった。
特開平5−174818号公報 特開平6−60867号公報 特開平10−294112号公報 特許第2997741号公報 特開平11−102705号公報 特開2000−243396号公報 特開2000−215887号公報 特開2002−42806号公報 特許3952180号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、良好な初回充放電効率、サイクル特性を有する、特にリチウムイオン二次電池用として有効な非水電解質二次電池用負極材及びその製造方法、ならびにリチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため種々検討を行った結果、酸化珪素粒子又は珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子の表面に、ウィスカーが形成されたウィスカー酸化珪素粒子を負極材として用いることで、充放電サイクルを重ねてもウィスカーにより集電性が損なわれず、著しい電池特性の向上が見られることを知見した。
即ち、本発明者らは検討過程において、種々の条件にて得られた粒子の電池特性評価を行った結果、各材料によって特性の相違があることを確認した。そこで、得られた各種材料の分析を行った結果、粒子にウィスカーを有する材料を負極材とすることで、特性の良好な非水電解質二次電池用負極材が得られること及びこれら負極材の製造方法を知見した。
従って、本発明は、下記の非水電解質二次電池用負極材及びその製造方法、ならびにリチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタを提供する。
[1].一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子の表面に、ウィスカーが形成されたウィスカー含有粒子からなることを特徴とする非水電解質二次電池用負極材。
[2].一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子を、30000Pa以下の減圧下、900〜1300℃で熱処理することを特徴とする[1]記載の非水電解質二次電池用負極材の製造方法。
[3].[1]記載の非水電解質二次電池用負極材を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
[4].[1]記載の非水電解質二次電池用負極材を含むことを特徴とする電気化学キャパシタ。
本発明で得られた負極材を非水電解質二次電池の負極材として用いることで、高い初回充放電効率を有し、サイクル性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
本発明の非水電解質二次電池用負極材は、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子の表面に、ウィスカーが形成されたウィスカー含有粒子からなるものである。
[酸化珪素粒子]
本発明において酸化珪素とは、二酸化珪素と金属珪素との混合物を加熱して生成した一酸化珪素ガスを冷却・析出して得られた非晶質の珪素酸化物の総称であり、本発明においては、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表されるものをいう。xは0.8≦x<1.6が好ましく、0.8≦x<1.3がより好ましい。
酸化珪素はさらに粉砕して酸化珪素粒子とする。酸化珪素粒子の物性については特に限定されるものではないが、平均粒子径はレーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積平均値D50(即ち、累積体積が50%となる時の粒子径(メジアン径)が、0.01〜50μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。D50が0.01μmより小さいと表面酸化の影響で純度が低下し、非水電解質二次電池用負極材として用いた場合、充放電容量が低下したり、嵩密度が低下し、単位体積あたりの充放電容量が低下するおそれがある。一方、50μmより大きいと負極膜を貫通してショートする原因となるおそれがある。また、BET比表面積は0.1m2/g以上が好ましく、より好ましくは0.2m2/g以上で、上限として30m2/g以下が好ましく、より好ましくは20m2/g以下である。
[珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子]
珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子(珪素複合体粉末)における、珪素系化合物としては、不活性なものが好ましく、二酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸窒化珪素が好ましい。
珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子は、下記性状を有してことが好ましい。
i.銅を対陰極としたX線回折(Cu−Kα)において、2θ=28.4°付近を中心としたSi(111)に帰属される回折ピークが観察され、その回折線の広がりをもとに、シェーラーの式によって求めた珪素の結晶の粒子径が好ましくは1〜500nm、より好ましくは2〜200nm、さらに好ましくは2〜20nmである。珪素の微粒子の大きさが1nmより小さいと、充放電容量が小さくなる場合があるし、逆に500nmより大きいと充放電時の膨張収縮が大きくなり、サイクル性が低下するおそれがある。なお、珪素の微粒子の大きさは透過電子顕微鏡写真により測定することができる。
ii.固体NMR(29Si−DDMAS)測定において、そのスペクトルが−110ppm付近を中心とするブロードな二酸化珪素のピークとともに−84ppm付近にSiのダイヤモンド結晶の特徴であるピークが存在する。なお、このスペクトルは、通常の酸化珪素(SiOx:x=1.0+α)とは全く異なるもので、構造そのものが明らかに異なっているものである。また、透過電子顕微鏡によって、シリコンの結晶が無定形の二酸化珪素に分散していることが確認される。
珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子中における、珪素微結晶(Si)の分散量は2〜36質量%が好ましく、10〜30質量%が好ましい。この分散珪素量が2質量%未満では、充放電容量が小さくなる場合があり、逆に36質量%を超えるとサイクル性が低下する場合がある。
珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子は、平均粒子径はレーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積平均値D50(即ち、累積体積が50%となる時の粒子径(メジアン径)が、0.01〜50μmを有するものであれば、その製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粉末を不活性ガス雰囲気下900〜1400℃の温度域で熱処理を施して不均化する方法により得ることができる。
酸化珪素粉末の平均粒子径(体積平均値D50)は0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。BET比表面積は0.1m2/g以上が好ましく、0.2m2/g以上が好ましく、上限としては特に限定されないが、30m2/g以下が好ましく、20m2/g以下がより好ましい。xの範囲は0.5≦x<1.6であり、0.8≦x<1.3が好ましく、0.8≦x≦1.2がより好ましい。酸化珪素粉末の平均粒子径及びBET比表面積が上記範囲外では所望の平均粒子径及びBET比表面積を有する珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子が得られないおそれがあり、xの値が0.5より小さいSiOx粉末の製造は困難であるし、xの値が1.6以上のものは、熱処理を行い、不均化反応を行なった際に、不活性なSiO2の割合が大きく、リチウムイオン二次電池として使用した場合、充放電容量が低下するおそれがある。
一方、酸化珪素の不均化において、熱処理温度が900℃より低いと、不均化が全く進行しないかシリコンの微細なセル(珪素の微結晶)の形成に極めて長時間を要し、効率的でなく、逆に1400℃より高いと、二酸化珪素部の構造化が進み、リチウムイオンの往来が阻害されるので、リチウムイオン二次電池としての機能が低下するおそれがある。熱処理温度は1000〜1300℃が好ましく、1100〜1250℃がより好ましい。なお、処理時間(不均化時間)は不均化処理温度に応じて10分〜20時間、特に30分〜12時間程度の範囲で適宜選定することができるが、例えば1100℃の処理温度においては5時間程度で所望の物性を有する、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子(珪素複合体粉末)が得られる。
上記不均化処理は、不活性ガス雰囲気において、加熱機構を有する反応装置を用いればよく、特に限定されず、連続法、回分法での処理が可能で、具体的には流動層反応炉、回転炉、竪型移動層反応炉、トンネル炉、バッチ炉、ロータリーキルン等をその目的に応じ適宜選択することができる。この場合、(処理)ガスとしては、Ar、He、H2、N2等の上記処理温度にて不活性なガス単独もしくはそれらの混合ガスを用いることができる。
[ウィスカー含有粒子]
本発明のウィスカー含有粒子は、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子の表面に、ウィスカーが形成されたものである。
なお、本出願人は、先に特許3952180号において、
「X線回折において、Si(111)に帰属される回折ピークが観察され、その回折線の半価幅をもとにシェーラー法により求めた珪素の結晶の大きさが1〜500nmである、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子の表面を炭素でコーティングしてなることを特徴とする非水電解質二次電池負極材用導電性珪素複合体。」
を提案しているが、これは通常、酸化珪素を900〜1400℃の温度で、しかも常圧(大気圧)下で、有機物ガス及び/又は蒸気で不均化することにより製造するものであって、本発明のウィスカーが形成されないものであるから、本発明のウィスカー含有粒子と相違する。
ウィスカーは、酸化珪素、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造、又はこれらの混合物からなるものであり、その長さは0.01〜30μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。0.01μmより短いと集電性向上への寄与が不十分となるおそれがあり、30μmより長いと電極作製時に折れてしまうおそれがある。また、ウィスカーの太さは0.001〜1μmが好ましく、0.01〜0.1μmがより好ましい。0.001μmより細いと強度が不十分となる場合があり、1μmより太いとウィスカーとしての効力を発揮できないおそれがある。酸化珪素粒子に対するウィスカーの存在割合は、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。0.001質量%より少ないと存在効果が不十分となるおそれがあり、10質量%より多いと電極作製が困難となるおそれがある。
ウィスカー含有粒子は、粒子、ウィスカー又は両者の表面を、カーボン皮膜で被覆して導電性を付与することが好ましい。カーボン被覆量は特に限定されるものではないが、酸化珪素粒子に対して0.3〜40質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。カーボン被覆量が0.3質量%より少ないと、導電性を維持できなくなるおそれがあり、結果として非水電解質二次電池用負極材とした場合にサイクル性が低下するおそれがある。逆にカーボン被覆量が40質量%より多くても、効果の向上が見られないばかりか、負極材料に占めるカーボンの割合が多くなり、非水電解質二次電池用負極材として用いた場合、充放電容量が低下するおそれがある。
ウィスカー含有粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積平均値D50において、0.01〜50μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。
本発明のウィスカー含有粒子を得る方法としては、例えば、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子を、30000Pa以下、好ましくは1〜20000Paの減圧下、900〜1300℃、好ましくは950〜1100℃で熱処理する方法が挙げられる。上記圧力が30000Paより大きいと、ウィスカーの生成が困難となり、処理温度が900℃より低いとウィスカー生成量が少なくなり、1300℃より高いと、二酸化珪素部の構造化が進み、リチウムイオンの往来が阻害されるので、リチウムイオン二次電池用負極材としての機能が低下するおそれがある。なお、処理時間は目的とするウィスカー生成量、処理温度、処理圧力等によって適宜選定されるが、通常、1〜10時間、特に2〜5時間程度が経済的にも効率的である。この製造方法は簡便であり、工業的規模の生産にも十分耐え得るものである。なお、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子を、30000Pa以下、900〜1300℃で熱処理する場合に、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子形成する場合がある。
ウィスカー含有粒子の表面をカーボン皮膜で被覆する場合は、化学蒸着による方法が好ましく、上記ウィスカーを形成する熱処理時に、反応器内に有機物ガスを導入することで効率よく行うことも可能である。
本発明における有機物ガスを発生する原料として用いられる有機物としては、特に非酸性雰囲気下において、上記熱処理温度で熱分解してカーボン(黒鉛)を生成し得るものが選択され、例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、ブタン、ブテン、ペンタン、イソブタン、ヘキサン等の炭化水素の単独又は混合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、ナフタレン、フェノール、クレゾール、ニトロベンゼン、クロルベンゼン、インデン、クマロン、ピリジン、アントラセン、フェナントレン等の1環〜3環の芳香族炭化水素又はこれらの混合物が挙げられる。また、タール蒸留工程で得られるガス軽油、クレオソート油、アントラセン油、ナフサ分解タール油も単独又は混合物を用いることができる。
[非水電解質二次電池用負極材]
本発明は、上記ウィスカー含有粒子を非水電解質二次電池用負極材に用いるものであり、ウィスカー含有粒子からなる非水電解質二次電池用負極材である。この本発明で得られた非水電解質二次電池負極材を用いて、負極を作製し、リチウムイオン二次電池を製造することができる。
なお、上記非水電解質二次電池用負極材を用いて負極を作製する場合、カーボン、黒鉛等の導電剤を添加することができる。この場合においても導電剤の種類は特に限定されず、構成された電池において、分解や変質を起こさない電子伝導性の材料であればよく、具体的にはAl,Ti,Fe,Ni,Cu,Zn,Ag,Sn,Si等の金属粉末や金属繊維又は天然黒鉛、人造黒鉛、各種のコークス粉末、メソフェーズ炭素、気相成長炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、各種の樹脂焼成体等の黒鉛を用いることができる。
負極(成型体)の調製方法としては下記の方法が挙げられる。上記ウィスカー含有粒子と、必要に応じて導電剤と、結着剤等の他の添加剤とに、N−メチルピロリドン又は水等の溶剤を混練してペースト状の合剤とし、この合剤を集電体のシートに塗布する。この場合、集電体としては、銅箔、ニッケル箔等、通常、負極の集電体として使用されている材料であれば、特に厚さ、表面処理の制限なく使用することができる。なお、合剤をシート状に成形する成形方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
[リチウムイオン二次電池]
リチウムイオン二次電池は、上記負極材を用いる点に特徴を有し、その他の正極、負極、電解質、セパレータ等の材料及び電池形状等は公知のものを使用することができ、特に限定されない。例えば、正極活物質としてはLiCoO2、LiNiO2、LiMn24、V25、MnO2、TiS2、MoS2等の遷移金属の酸化物、リチウム、及びカルコゲン化合物等が用いられる。電解質としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム等のリチウム塩を含む非水溶液が用いられ、非水溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン等の1種又は2種類以上を組み合わせて用いられる。また、それ以外の種々の非水系電解質や固体電解質も使用できる。
[電気化学キャパシタ]
また、電気化学キャパシタを得る場合は、電気化学キャパシタは、上記負極材を用いる点に特徴を有し、その他の電解質、セパレータ等の材料及びキャパシタ形状等は限定されない。例えば、電解質として六フッ化リン酸リチウム、過塩素リチウム、ホウフッ化リチウム、六フッ化砒素酸リチウム等のリチウム塩を含む非水溶液が用いられ、非水溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン等の1種又は2種類以上を組み合わせて用いられる。また、それ以外の種々の非水系電解質や固体電解質も使用できる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
平均粒子径5.0μmの一般式SiOx(x=1.02)で表される酸化珪素粉末200gをバッチ式加熱炉内に仕込んだ。その後、油回転式真空ポンプで100Pa以下まで減圧しつつ、300℃/hrの昇温速度で1100℃まで昇温、5時間保持したのち室温まで自然冷却した。得られた粉末は平均粒子径=5.3μmであった。TEMで確認したところ、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子であり、走査型電子顕微鏡(SEM)で確認したところ、視野全体にウィスカーが確認された(図1参照)。ウィスカーの長さは0.5〜5μmであり、ウィスカーの太さは0.05〜0.3μmであり、酸化珪素粒子に対するウィスカーの存在割合は、0.1〜0.3質量%であった。
<電池特性>
負極材の有用性を確認するため、下記方法で電池特性を評価した。
得られた粉末85質量部と電気化学工業製デンカブラック(カーボン)5質量部、ポリイミド10質量部を混合し、さらにN−メチルピロリドンを加えてスラリーとし、このスラリーを厚さ20μmの銅箔に塗布し、80℃で1時間乾燥後、ローラープレスにより電極を加圧成形し、この電極を350℃で1時間真空乾燥した後、2cm2に打ち抜き負極とした。
ここで、得られた負極の充放電特性を評価するために、対極にリチウム箔を使用し、非水電解質として六フッ化リンリチウムをエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの1/1(体積比)混合液に1モル/Lの濃度で溶解した非水電解質溶液を用い、セパレータに厚さ30μmのポリエチレン製微多孔質フィルムを用いた評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
作製したリチウムイオン二次電池は、一晩室温で放置した後、二次電池充放電試験装置((株)ナガノ製)を用い、テストセルの電圧が0Vに達するまで0.5mA/cm2の定電流で充電を行い、0Vに達した後は、セル電圧を0Vに保つように電流を減少させて充電を行った。そして、電流値が40μA/cm2を下回った時点で充電を終了した。放電は0.5mA/cm2の定電流で行い、セル電圧が2.0Vを上回った時点で放電を終了し、放電容量を求めた。
以上の充放電試験を繰り返し、評価用リチウムイオン二次電池の50サイクル後の充放電試験を行った。その結果、初回充電容量1844mAh/g、初回放電容量1475mAh/g、初回充放電効率80%、50サイクル目の放電容量1342mAh/g、50サイクル後のサイクル保持率91%の高容量であり、かつ初回充放電効率及びサイクル性に優れたリチウムイオン二次電池であることが確認された。
[比較例1]
実施例1で用いた一般式SiOx(x=1.02)で示される酸化珪素粉末を熱処理せずそのまま使用した他は、実施例1と同様に粉末を得て、電池を作製した。粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で確認したところ、ウィスカーは確認されなかった(図2参照)。
この電池に対しても同様な評価を行った結果、初回充放電容量1846mAh/g、初回放電容量1403mAh/g、初回充放電効率76%、50サイクル目の放電容量1221mAh/g、50サイクル後のサイクル保持率87%であり、実施例1に比べ初回充放電効率、サイクル性の劣るリチウムイオン二次電池であった。
実施例1における導電性粉末のSEM写真を示す。 比較例1における導電性粉末のSEM写真を示す。

Claims (4)

  1. 一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子の表面に、ウィスカーが形成されたウィスカー含有粒子からなることを特徴とする非水電解質二次電池用負極材。
  2. 一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粒子、珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子、又はこれらの混合粒子を、30000Pa以下の減圧下、900〜1300℃で熱処理することを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池用負極材の製造方法。
  3. 請求項1記載の非水電解質二次電池用負極材を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  4. 請求項1記載の非水電解質二次電池用負極材を含むことを特徴とする電気化学キャパシタ。
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