JP2009301655A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フリンジ特性の劣化を招くことなく、所望のトラック密度を達成できる磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に強磁性層、カーボンハードマスク層、および残渣均一化層を積層し、残渣均一化層にレジストを塗付し、インプリントによりレジストに凹凸パターンを転写してレジストパターンを形成し、レジストパターンの凹部に残存しているレジスト残渣を除去し、レジストパターンをマスクとして残渣均一化層をパターニングし、レジストパターンをマスクとしてカーボンハードマスク層をパターニングし、残渣均一化層のパターンをマスクとして強磁性層をエッチングして強磁性層の凹凸パターンを形成することを含み、強磁性層をエッチングする際に、残渣均一化層のエッチング時間が強磁性層のエッチング時間よりも短いことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【選択図】 図3
【解決手段】基板上に強磁性層、カーボンハードマスク層、および残渣均一化層を積層し、残渣均一化層にレジストを塗付し、インプリントによりレジストに凹凸パターンを転写してレジストパターンを形成し、レジストパターンの凹部に残存しているレジスト残渣を除去し、レジストパターンをマスクとして残渣均一化層をパターニングし、レジストパターンをマスクとしてカーボンハードマスク層をパターニングし、残渣均一化層のパターンをマスクとして強磁性層をエッチングして強磁性層の凹凸パターンを形成することを含み、強磁性層をエッチングする際に、残渣均一化層のエッチング時間が強磁性層のエッチング時間よりも短いことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【選択図】 図3
Description
本発明は、磁気記録媒体の製造方法に関する。
近年の情報化社会において、我々が記録媒体へ記録する情報の量は増加の一途をたどっている。このため、飛躍的に高い記録容量を有する記録再生装置および記録媒体の出現が望まれている。現在、大容量かつ安価な記録媒体として需要が増加し続けているハードディスクに関しても、数年後には現行のおよそ10倍である1平方インチあたり1テラビット以上の記録密度が必要と言われている。
現行のハードディスクに用いられている磁気記録媒体では、磁性体微粒子の多結晶体を含む薄膜の一定の領域を1ビットとして記録している。記録媒体の記録容量を上げるためには記録密度を増加させなければならない。即ち、1ビットあたりの記録に使用できる記録マークサイズを小さくしなければならない。しかし、単純に記録マークサイズを小さくすると、磁性体微粒子の形状に依存するノイズの影響が無視できなくなる。ノイズを低減するために磁性体微粒子の粒子サイズを小さくすると、熱揺らぎのために常温で記録を保持することができなくなる。
これらの問題を回避するため、予め磁性体を非磁性体によって分断し、単一の磁性ドットを単一の記録セルとして記録再生を行うディスクリートビット型パターンド媒体が提案されている。
また、HDDに組み込まれる磁気記録媒体において、隣接トラック間の干渉によりトラック密度の向上が妨げられるという問題が顕在化している。特に記録ヘッド磁界のフリンジ効果による書きにじみの低減は重要な技術課題である。この問題に対して、磁気記録層を加工して記録トラック間を物理的に分離するディスクリートトラック型パターンド媒体(DTR媒体)が提案されている。DTR媒体では、記録時に隣接トラックの情報を消去するサイドイレース現象、再生時に隣接トラックの情報を読み出すサイドリード現象などを低減できるため、トラック密度を高めることができる。したがって、DTR媒体は高記録密度を提供しうる磁気記録媒体として期待されている。なお、パターンド媒体を広い意味で用いる場合、ディスクリートビット型パターンド媒体やDTR媒体を含むものとする。
DTR媒体を含むパターンド媒体の製造にあたっては、トラックピッチを小さくすれば、トラック密度の向上ひいては記録密度の向上に直結する。トラックピッチは最終的には磁性パターンの側壁(テーパー部)の幅に依存し、側壁の幅が短いほどトラックピッチを小さくすることができる。即ち、矩形性のよい磁性パターンを形成することができれば、トラック密度を上げることができる。
従来のパターンド媒体の製造方法においては、インプリントによってスタンパからレジストに凹凸パターンを転写し、レジストパターンをマスクとして強磁性層をエッチングして磁性パターンを形成していた。インプリントにより凹凸パターンが転写されたレジストパターンは、凹部の底に残存しているレジスト残渣のムラが大きく、残渣を除去する工程が必要である。しかし、レジストはカーボンからなる保護膜や金属である強磁性層に対して一般的にエッチング選択比が低いため、除去すべきレジスト残渣の厚さに対してレジストパターンの凸部の厚さを厚くする必要があった。このため、全体のプロセス時間が長くなるという問題があった。
特許文献1には、強磁性層の上に、TiNからなる第1マスク層と、Niからなる第2マスク層を形成し、その上にレジストを塗布し、インプリント法を用い、各層を順次エッチングして磁性パターンを形成する方法が記載されている。しかし、この方法では、形成される磁性パターンの側壁の幅が大きいことがわかった。このため、所望のトラック密度に設定すると、フリンジ特性が悪くなるという問題が生じる。
特許第3844755号公報
本発明の目的は、磁性パターンの側壁の幅を狭くすることができ、フリンジ特性の劣化を招くことなく、所望のトラック密度を達成できる磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法は、基板上に強磁性層、カーボンハードマスク層、および残渣均一化層を積層し、前記残渣均一化層にレジストを塗付し、インプリントにより前記レジストに凹凸パターンを転写してレジストパターンを形成し、前記レジストパターンの凹部に残存しているレジスト残渣を除去し、前記レジストパターンをマスクとして残渣均一化層をパターニングし、前記レジストパターンをマスクとしてカーボンハードマスク層をパターニングし、前記残渣均一化層のパターンをマスクとして強磁性層をエッチングして強磁性層の凹凸パターンを形成することを含み、前記強磁性層をエッチングする際に、前記残渣均一化層のエッチング時間が前記強磁性層のエッチング時間よりも短いことを特徴とする。
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法を用いれば、磁性パターンの側壁の幅を狭くすることができ、フリンジ特性の劣化を招くことなく、所望のトラック密度を達成できる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1に、本発明方法を用いて製造されるパターンド媒体の一例であるDTR媒体の周方向に沿う平面図を示す。図1に示すように、パターンド媒体1の周方向に沿って、サーボ領域2と、データ領域3が交互に形成されている。サーボ領域2には、プリアンブル部21、アドレス部22、バースト部23が含まれる。データ領域3にはディスクリートトラック31が含まれる。
図2に、本発明方法を用いて製造されるパターンド媒体の他の例であるディスクリートビット型パターンド媒体の周方向に沿う平面図を示す。このパターンド媒体では、データ領域3に磁性ドット32が形成されている。
図3(a)〜(i)を参照して本発明の一実施形態に係るパターンド媒体の製造方法を示す。
ガラス基板51上に、厚さ40nmのCoZrNbからなる軟磁性下地層、厚さ20nmのRuからなる配向制御用の下地層、厚さ15nmのCoCrPt−SiO2からなる強磁性層52、厚さ15nmのカーボン(C)ハードマスク層53、厚さ5nmのRuからなる残渣均一層54を順次成膜する。ここでは、簡略化のために、軟磁性下地層および配向制御層は図示していない。残渣均一層54上に、レジスト55として厚さ100nmのノボラック系のフォトレジストを塗布する(図3a)。
レジスト55に対向するように、たとえば図1または図2に対応する凹凸パターンが形成されたスタンパ(図示せず)を配置し、インプリントを行ってスタンパの凹凸パターンをレジスト55に転写する(図3b)。
パターン化されたレジスト55の凹部の底に残っているレジスト残渣を除去して、残渣均一化層54の一部の表面を露出させる。このときの条件は、たとえばICP(誘導結合プラズマ)エッチング装置により、プロセスガスとしてO2を用い、ガス圧を0.1Pa、コイルRFパワーを100W、プラテンRFパワーを50Wとし、エッチング時間を30秒とする(図3c)。
残ったレジストパターンをマスクとして、露出した残渣均一化層54を全膜厚5nmにわたってエッチングしてCハードマスク53を露出させる。このときの条件は、たとえばECR(電子サイクロトロン共鳴)イオンガンにより、プロセスガスとしてArを用い、マイクロ波パワー500W、加速電圧600Vで10秒間エッチングする(図3d)。
残ったレジストパターンをマスクとして、露出したCハードマスク層53を全膜厚15nmにわたってエッチングして強磁性層52を露出させる。また、Cハードマスク層53のエッチングと同時に、残存したレジストパターンを全て除去し、凸部に残った残渣均一化層54を露出させる。このときの条件は、たとえばRIE装置により、プロセスガスとしてO2ガスを用い、ガス圧を0.1Pa、コイルRFパワーを100W、プラテンRFパワーを50Wとし、エッチング時間を30秒とする(図3e)。
残渣均一化層54およびCハードマスク層53のパターンをマスクとして、強磁性層52を10nmだけエッチングする。また、強磁性層52のエッチングと同時に、露出した残渣均一化層54を全てエッチングし、凸部に残ったCハードマスク層53を露出させる。このときの条件は、たとえばECRイオンガンにより、プロセスガスとしてArを用い、マイクロ波パワーを500W、加速電圧を600Vとして、エッチング時間を20秒とする(図3f)。
凹部に残った強磁性層52をアモルファス化して磁性を失活させ、分離領域61を形成する。このときの条件は、たとえばECRイオンガンにより、プロセスガスとしてHeを用い、ガス圧を0.04Pa、マイクロ波パワーを700W、加速電圧を400Vとし、暴露時間を200秒とする(図3g)。
残存しているCハードマスク層53のパターンを剥離して強磁性層52を露出させる。このときの条件は、たとえばICPエッチング装置により、プロセスガスとしてO2を用い、ガス圧を1.5Pa、コイルRFパワーを400W、プラテンRFパワーを0Wとし、エッチング時間を30秒とする(図3h)。
さらに、CVD(化学気相堆積法)により、全面にカーボン保護膜56を形成する(図3i)。このカーボン保護膜56上に潤滑剤(図示せず)を塗布することにより、本発明の一実施形態に係るパターンド媒体を製造する。
図4(a)〜(h)を参照して本発明の他の実施形態に係るパターンド媒体の製造方法を示す。図4(a)〜(e)の工程は、図3(a)〜(e)の工程と同一である。その後、残渣均一化層54およびCハードマスク層53のパターンをマスクとして、強磁性層52を全膜厚にわたってエッチングして磁性パターン52aを形成する。また、強磁性層52のエッチングと同時に、露出した残渣均一化層54を全てエッチングし、凸部に残ったCハードマスク層53を露出させる(図4f)。残存しているCハードマスク層53のパターンを剥離して磁性パターン52aを露出させる(図4g)。さらに、CVD(化学気相堆積法)により、全面にカーボン保護膜56を形成する(図4h)。
図5(a)〜(j)を参照して本発明のさらに他の実施形態に係るパターンド媒体の製造方法を示す。図5(a)〜(g)の工程は、図4(a)〜(g)の工程と同一である。その後、全面に非磁性層57を成膜する(図5h)。この非磁性層57をエッチバックして、磁性パターン52a間の凹部に非磁性層57を充填する(図5i)。図5(h)および(i)の工程を複数回繰り返してもよい。さらに、CVD(化学気相堆積法)により、全面にカーボン保護膜56を形成する(図5j)。
次に、本発明の実施形態における各工程および材料について説明する。
<インプリント>
媒体の表面にレジストをスピンコート法で塗布し、スタンパを押し付けることにより、レジストにスタンパのパターンを転写する。レジストとしては、たとえば一般的なノボラック系のフォトレジストを用いることができる。
媒体の表面にレジストをスピンコート法で塗布し、スタンパを押し付けることにより、レジストにスタンパのパターンを転写する。レジストとしては、たとえば一般的なノボラック系のフォトレジストを用いることができる。
サーボ情報と記録トラックに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパの凹凸面を、レジストに対向させる。このとき、ダイセットの下板にスタンパ、基板、バッファ層を積層し、ダイセットの上板で挟み、たとえば2000barで60秒間プレスする。インプリントによってレジストに形成されるパターンの凹凸高さはたとえば60〜70nmである。この状態で約60秒間保持することにより、排除すべきレジストを移動させる。また、スタンパにフッ素系の剥離材を塗布することで、スタンパをレジストから良好に剥離することができる。
<残渣除去>
酸素ガスRIE(反応性イオンエッチング)により、レジストの凹部の底に残存している残渣を除去する。プラズマソースは、低圧で高密度プラズマを生成可能なICP(Inductively Coupled Plasma)が好適であるが、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマや、一般的な平行平板型RIE装置を用いてもよい。
酸素ガスRIE(反応性イオンエッチング)により、レジストの凹部の底に残存している残渣を除去する。プラズマソースは、低圧で高密度プラズマを生成可能なICP(Inductively Coupled Plasma)が好適であるが、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマや、一般的な平行平板型RIE装置を用いてもよい。
<Cハードマスク層>
Cハードマスク層は、スパッタまたはCVDにより成膜することができる。Cハードマスク層の膜厚は4〜40nmが好ましい。Cハードマスク層が厚すぎると剥離の際にエッチング時間がかかり、磁性パターンの側壁にダメージを与える原因となる。Cハードマスク層が薄すぎると、強磁性層のエッチングの際のハードマスクとしての機能が果たせない。
Cハードマスク層は、スパッタまたはCVDにより成膜することができる。Cハードマスク層の膜厚は4〜40nmが好ましい。Cハードマスク層が厚すぎると剥離の際にエッチング時間がかかり、磁性パターンの側壁にダメージを与える原因となる。Cハードマスク層が薄すぎると、強磁性層のエッチングの際のハードマスクとしての機能が果たせない。
Cハードマスク層は、レジスト残渣を除去し、Arイオンビームにより凹部の残渣均一化層をエッチングした後、酸素ガスを用いてエッチングすることによって良好な形状に形成することができる。また、Cハードマスク層のエッチングと同時に、凸部に残存しているレジストパターンを剥離する。Cハードマスク層のエッチングは、その下の強磁性層が露出し、かつ凸部に残存しているレジストパターンがなくなった時点で終了とする。
<残渣均一化層>
残渣均一化層には、以下のような性質を有することが要求される。1)O2ガスを用いたレジスト残渣の除去プロセスに対して耐性があること。2)希ガスであるHe、Ne、Ar、Kr、Xeのイオンビームを用いたエッチング、またはArガス(もしくはO2ガスやN2ガス)のECR(電子サイクロトロン共鳴)によるイオンビームを用いたエッチングによって十分な速度でエッチングされること。3)O2ガスを用いたCハードマスク層のエッチングプロセスに対して耐性があること。4)凸部に残った残渣均一化層が、強磁性層のエッチング時に同時にエッチングされること。
残渣均一化層には、以下のような性質を有することが要求される。1)O2ガスを用いたレジスト残渣の除去プロセスに対して耐性があること。2)希ガスであるHe、Ne、Ar、Kr、Xeのイオンビームを用いたエッチング、またはArガス(もしくはO2ガスやN2ガス)のECR(電子サイクロトロン共鳴)によるイオンビームを用いたエッチングによって十分な速度でエッチングされること。3)O2ガスを用いたCハードマスク層のエッチングプロセスに対して耐性があること。4)凸部に残った残渣均一化層が、強磁性層のエッチング時に同時にエッチングされること。
(4)の条件を満たすには、強磁性層をエッチングする際に、残渣均一化層のエッチング時間が強磁性層のエッチング時間よりも短いことが要求される。すなわち、残渣均一化層の膜厚/エッチングレートが、強磁性層のエッチング深さ/エッチングレートよりも小さいことが要求される。
残渣均一化層の材料としては、各種金属材料およびセラミックスを用いることができ、
スパッタ法で成膜可能なことが好ましい。一般的には、強磁性層よりもエッチングレートが速い金属材料を用いることが好適である。強磁性層よりもエッチングレートが速い材料としては、Al、Co、Ni、Ru、Cu、Ag、Au、Ir、Ga、Sm、Pbなどが挙げられる。また、強磁性層よりもエッチングレートが遅い材料でも、強磁性層よりも十分に薄ければ使用可能である。強磁性層よりもエッチングレートが遅い材料としては、Si、Ti、Cr、Mn、Fe、Zn、Nb、Mo、Pd、Taおよびこれらの合金が上げられる。Arイオンビームにより強磁性層をエッチングする場合、残渣均一化層としてArイオンに対するエッチングレートが極端に遅い材料たとえばAl2O3やTiOxなどを用いると、残渣均一化層の膜厚を極薄にする必要があるので、プロセスの制御上好ましくない。
スパッタ法で成膜可能なことが好ましい。一般的には、強磁性層よりもエッチングレートが速い金属材料を用いることが好適である。強磁性層よりもエッチングレートが速い材料としては、Al、Co、Ni、Ru、Cu、Ag、Au、Ir、Ga、Sm、Pbなどが挙げられる。また、強磁性層よりもエッチングレートが遅い材料でも、強磁性層よりも十分に薄ければ使用可能である。強磁性層よりもエッチングレートが遅い材料としては、Si、Ti、Cr、Mn、Fe、Zn、Nb、Mo、Pd、Taおよびこれらの合金が上げられる。Arイオンビームにより強磁性層をエッチングする場合、残渣均一化層としてArイオンに対するエッチングレートが極端に遅い材料たとえばAl2O3やTiOxなどを用いると、残渣均一化層の膜厚を極薄にする必要があるので、プロセスの制御上好ましくない。
<強磁性層のエッチング>
強磁性層をエッチングするとともに残渣均一化層の除去を行う。強磁性層のエッチングは、希ガスであるHe、Ne、Ar、Kr、Xeのイオンビームを用いるか、またはArガス(もしくはO2ガスやN2ガス)のECR(電子サイクロトロン共鳴)によるイオンビームを用いるのが好適である。強磁性層のエッチングをClガス、COとNH3との混合ガスまたはメタノールを用いたRIEにより行ってもよい。強磁性層のエッチングをCOとNH3の混合ガスまたはメタノールを用いたRIEにより行う場合、残渣均一化層にはTi、Ta、Wなどを用いる。
強磁性層をエッチングするとともに残渣均一化層の除去を行う。強磁性層のエッチングは、希ガスであるHe、Ne、Ar、Kr、Xeのイオンビームを用いるか、またはArガス(もしくはO2ガスやN2ガス)のECR(電子サイクロトロン共鳴)によるイオンビームを用いるのが好適である。強磁性層のエッチングをClガス、COとNH3との混合ガスまたはメタノールを用いたRIEにより行ってもよい。強磁性層のエッチングをCOとNH3の混合ガスまたはメタノールを用いたRIEにより行う場合、残渣均一化層にはTi、Ta、Wなどを用いる。
強磁性層をエッチングする際に、強磁性層の加工深さを強磁性層の厚さよりも浅くして、一部の強磁性層を残存させてもよい。この場合、凹部に残存している強磁性層の磁性を失活させて分離領域を形成する。このように強磁性層の一部を残すようにエッチングして製造した媒体をドライブへ組み込むと、ヘッドの浮上性が良くなる。
強磁性層をエッチングする際に、強磁性層を全膜厚にわたってエッチングしてもよい。この場合、強磁性層の磁性を失活させる工程は必要ない。
<磁性失活>
強磁性層の加工深さを強磁性層の厚さよりも浅くする場合、フリンジ特性を向上させるために、凹部に残存する強磁性層の磁性を失活させる。ここで「失活」とは、磁性を完全に消失させること、または磁性を劣化させることを指す。磁性失活工程は、ガスまたは溶液を用いて行うことができる。ガスとしては、CF4、SF6、CHF3、O2、N2などの反応性ガスおよびそれらの混合ガスが用いられる。フッ素系ガスを用いる場合、フッ素と強磁性層に含まれるCoとの反応生成物を除去する工程を行って。反応生成物の除去は、水洗、または水蒸気プラズマもしくはH2プラズマなどの照射により行うのが好適である。O2やN2を用いた場合、O原子やN原子が結晶中に入り込むので、そのような除去工程は不要である。O2ガスを用いる場合、Cハードマスクが同時にエッチングされるので、Cハードマスクを厚く成膜することが好ましい。
強磁性層の加工深さを強磁性層の厚さよりも浅くする場合、フリンジ特性を向上させるために、凹部に残存する強磁性層の磁性を失活させる。ここで「失活」とは、磁性を完全に消失させること、または磁性を劣化させることを指す。磁性失活工程は、ガスまたは溶液を用いて行うことができる。ガスとしては、CF4、SF6、CHF3、O2、N2などの反応性ガスおよびそれらの混合ガスが用いられる。フッ素系ガスを用いる場合、フッ素と強磁性層に含まれるCoとの反応生成物を除去する工程を行って。反応生成物の除去は、水洗、または水蒸気プラズマもしくはH2プラズマなどの照射により行うのが好適である。O2やN2を用いた場合、O原子やN原子が結晶中に入り込むので、そのような除去工程は不要である。O2ガスを用いる場合、Cハードマスクが同時にエッチングされるので、Cハードマスクを厚く成膜することが好ましい。
強磁性層の磁性を失活させるために、He、Ne、Ar、Kr、Xeの希ガスを用いてもよい。この場合、磁性の失活は結晶構造の破壊によって引き起こされるため、反応生成物は生じない。希ガスを用いる場合、強磁性層のエッチングと磁性失活とを同時に行うこともできる。
強磁性層の磁性を失活させるために、フッ酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸などの酸を用いてウェットエッチングを行ってもよい。
<レジスト剥離>
強磁性層のエッチング(および必要であれば磁性失活工程)後、Cハードマスクの剥離を行う。Cハードマスクは、酸素アッシング装置、ICPエッチング装置、RIE装置などで容易に剥離することができる。Cハードマスクの厚さに対して剥離時間を長くとりすぎると、強磁性層が酸化によるダメージを受け、S/Nが悪化するため好ましくない。レジスト剥離後、Arなどのイオンビームによりエッチングして酸化層を剥離してもよい。
強磁性層のエッチング(および必要であれば磁性失活工程)後、Cハードマスクの剥離を行う。Cハードマスクは、酸素アッシング装置、ICPエッチング装置、RIE装置などで容易に剥離することができる。Cハードマスクの厚さに対して剥離時間を長くとりすぎると、強磁性層が酸化によるダメージを受け、S/Nが悪化するため好ましくない。レジスト剥離後、Arなどのイオンビームによりエッチングして酸化層を剥離してもよい。
<凹部への埋め込み>
レジスト剥離後、非磁性材料で凹部の埋め込みを行ってもよい。非磁性材料をバイアススパッタ法または通常のスパッタ法で成膜して埋め込みを行う。非磁性材料としては、無機物、金属、それらの酸化物や窒化物、たとえばSi、SiC、SiC−C、SiOC、SiON、Si3N4、Al、AlxOy、Ti、TiOx、Ru、Pd、NiNb、NiNbTi、NiTa、NiSi、Zr、ZrOx、W、Ta、Cr、CrN、CNの単体または混合物が挙げられる。バイアススパッタ法は、基板にバイアスをかけながらスパッタ成膜する方法で、容易に凹部を埋め込みながら成膜できる。しかし、基板バイアスによる基板の溶解、スパッタダストが生じやすいので、通常のスパッタ法を用いるのが好適である。RFスパッタを用いることもできるが、膜厚に分布が生じやすいため、DCスパッタを用いることが好ましい。
レジスト剥離後、非磁性材料で凹部の埋め込みを行ってもよい。非磁性材料をバイアススパッタ法または通常のスパッタ法で成膜して埋め込みを行う。非磁性材料としては、無機物、金属、それらの酸化物や窒化物、たとえばSi、SiC、SiC−C、SiOC、SiON、Si3N4、Al、AlxOy、Ti、TiOx、Ru、Pd、NiNb、NiNbTi、NiTa、NiSi、Zr、ZrOx、W、Ta、Cr、CrN、CNの単体または混合物が挙げられる。バイアススパッタ法は、基板にバイアスをかけながらスパッタ成膜する方法で、容易に凹部を埋め込みながら成膜できる。しかし、基板バイアスによる基板の溶解、スパッタダストが生じやすいので、通常のスパッタ法を用いるのが好適である。RFスパッタを用いることもできるが、膜厚に分布が生じやすいため、DCスパッタを用いることが好ましい。
<平坦化エッチバック>
埋め込みを行った場合、強磁性層(または必要に応じて強磁性層上に形成されているカーボン保護膜)が露出するまでエッチバックを行う。このエッチバックプロセスは、イオンミリングを用いることが望ましいが、SiO2などのシリコン系埋め込み材料を用いた場合には、フッ素系ガスを用いたRIEを用いて行うことも可能である。ECRイオンガンを用いてエッチバックを行ってもよい。エッチバックのプロセスガスにO2を混合すると、表面を改質しながらエッチバックを行うことができる。O2ガス分圧が1%未満では改質が進まず所望の効果が得られない。O2ガス分圧が70%を超えるとカーボン保護膜の表面が荒れるので好ましくない。
埋め込みを行った場合、強磁性層(または必要に応じて強磁性層上に形成されているカーボン保護膜)が露出するまでエッチバックを行う。このエッチバックプロセスは、イオンミリングを用いることが望ましいが、SiO2などのシリコン系埋め込み材料を用いた場合には、フッ素系ガスを用いたRIEを用いて行うことも可能である。ECRイオンガンを用いてエッチバックを行ってもよい。エッチバックのプロセスガスにO2を混合すると、表面を改質しながらエッチバックを行うことができる。O2ガス分圧が1%未満では改質が進まず所望の効果が得られない。O2ガス分圧が70%を超えるとカーボン保護膜の表面が荒れるので好ましくない。
<表面保護膜形成および後処理>
最後にC保護膜の形成を行う。C保護膜は、凹凸へのカバレッジを良くするためにCVD法で成膜することが望ましいが、スパッタ法または真空蒸着法で成膜してもよい。CVD法でC保護膜を形成した場合、sp3結合炭素を多く含むDLC膜が形成される。C保護膜の膜厚は、2nm未満だとカバレッジが悪くなり、10nmを超えると記録再生ヘッドと媒体との磁気スペーシングが大きくなってSNRが低下するので好ましくない。また、保護膜上に、潤滑剤を塗布する。潤滑剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
最後にC保護膜の形成を行う。C保護膜は、凹凸へのカバレッジを良くするためにCVD法で成膜することが望ましいが、スパッタ法または真空蒸着法で成膜してもよい。CVD法でC保護膜を形成した場合、sp3結合炭素を多く含むDLC膜が形成される。C保護膜の膜厚は、2nm未満だとカバレッジが悪くなり、10nmを超えると記録再生ヘッドと媒体との磁気スペーシングが大きくなってSNRが低下するので好ましくない。また、保護膜上に、潤滑剤を塗布する。潤滑剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
<基板>
基板としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板などを用いることができる。ガラス基板としては、アモルファスガラスおよび結晶化ガラスが挙げられる。アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスが挙げられる。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスが挙げられる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが挙げられる。基板としては、上述した金属基板や非金属基板の表面にメッキ法やスパッタ法を用いてNiP層が形成されたものを用いることもできる。
基板としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板などを用いることができる。ガラス基板としては、アモルファスガラスおよび結晶化ガラスが挙げられる。アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスが挙げられる。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスが挙げられる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが挙げられる。基板としては、上述した金属基板や非金属基板の表面にメッキ法やスパッタ法を用いてNiP層が形成されたものを用いることもできる。
以下においては、基板上への薄膜の形成方法としてスパッタリングのみを記載しているが、真空蒸着や電解メッキなどでも同様の効果を得ることができる。
<軟磁性下地層>
軟磁性下地層(SUL)は、垂直磁磁気記録層を磁化するための単磁極ヘッドからの記録磁界を水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で充分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させる作用を有する。軟磁性下地層には、Fe、NiまたはCoを含む材料を用いることができる。このような材料として、FeCo系合金たとえばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金、FeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどを挙げることができる。Feを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。軟磁性下地層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることもできる。Co合金には80at%以上のCoが含まれることが好ましい。このようなCo合金は、スパッタ法により製膜した場合にアモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示すとともに、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、たとえばCoZr、CoZrNbおよびCoZrTa系合金などを挙げることができる。
軟磁性下地層(SUL)は、垂直磁磁気記録層を磁化するための単磁極ヘッドからの記録磁界を水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で充分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させる作用を有する。軟磁性下地層には、Fe、NiまたはCoを含む材料を用いることができる。このような材料として、FeCo系合金たとえばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金、FeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどを挙げることができる。Feを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。軟磁性下地層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることもできる。Co合金には80at%以上のCoが含まれることが好ましい。このようなCo合金は、スパッタ法により製膜した場合にアモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示すとともに、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、たとえばCoZr、CoZrNbおよびCoZrTa系合金などを挙げることができる。
軟磁性下地層の下に、軟磁性下地層の結晶性の向上または基板との密着性の向上のために、さらに下地層を設けてもよい。こうした下地層の材料としては、Ti、Ta、W、Cr、Pt、これらを含む合金、またはこれらの酸化物もしくは窒化物を用いることができる。軟磁性下地層と記録層との間に、非磁性体からなる中間層を設けてもよい。中間層は、軟磁性下地層と記録層との交換結合相互作用を遮断し、記録層の結晶性を制御する、という2つの作用を有する。中間層の材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、これらを含む合金、またはこれらの酸化物もしくは窒化物を用いることができる。
スパイクノイズ防止のために軟磁性下地層を複数の層に分け、0.5〜1.5nmのRuを挿入することで反強磁性結合させてもよい。また、CoCrPt、SmCo、FePtなどの面内異方性を持つ硬磁性膜またはIrMn、PtMnなどの反強磁性体からなるピン層と軟磁性層とを交換結合させてもよい。交換結合力を制御するために、Ru層の上下に磁性膜(たとえばCo)または非磁性膜(たとえばPt)を積層してもよい。
<強磁性層>
垂直磁気記録層としては、Coを主成分とし、少なくともPtを含み、さらに酸化物を含む材料を用いることが好ましい。垂直磁気記録層は、必要に応じて、Crを含んでいてもよい。酸化物としては、特に酸化シリコン、酸化チタンが好適である。垂直磁気記録層は、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)が分散していることが好ましい。この磁性粒子は、垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造であることが好ましい。このような構造を形成することにより、垂直磁気記録層の磁性粒子の配向および結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号ノイズ比(SN比)を得ることができる。このような構造を得るためには、含有させる酸化物の量が重要となる。
垂直磁気記録層としては、Coを主成分とし、少なくともPtを含み、さらに酸化物を含む材料を用いることが好ましい。垂直磁気記録層は、必要に応じて、Crを含んでいてもよい。酸化物としては、特に酸化シリコン、酸化チタンが好適である。垂直磁気記録層は、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)が分散していることが好ましい。この磁性粒子は、垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造であることが好ましい。このような構造を形成することにより、垂直磁気記録層の磁性粒子の配向および結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号ノイズ比(SN比)を得ることができる。このような構造を得るためには、含有させる酸化物の量が重要となる。
垂直磁気記録層の酸化物含有量は、Co、Cr、Ptの総量に対して、3mol%以上12mol%以下であることが好ましく、5mol%以上10mol%以下であることがより好ましい。垂直磁気記録層の酸化物含有量として上記範囲が好ましいのは、垂直磁気記録層を形成した際、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子を分離させ、微細化させることができるためである。酸化物の含有量が上記範囲を超えた場合、酸化物が磁性粒子中に残留し、磁性粒子の配向性、結晶性を損ね、さらには、磁性粒子の上下に酸化物が析出し、結果として磁性粒子が垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造が形成されなくなるため好ましくない。酸化物の含有量が上記範囲未満である場合、磁性粒子の分離、微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号ノイズ比(SN比)が得られなくなるため好ましくない。
垂直磁気記録層のCr含有量は、0at%以上16at%以下であることが好ましく、10at%以上14at%以下であることがより好ましい。Cr含有量として上記範囲が好ましいのは、磁性粒子の一軸結晶磁気異方性定数Kuを下げすぎず、また、高い磁化を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られるためである。Cr含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子のKuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、また、磁性粒子の結晶性、配向性が悪化することで、結果として記録再生特性が悪くなるため好ましくない。
垂直磁気記録層のPt含有量は、10at%以上25at%以下であることが好ましい。Pt含有量として上記範囲が好ましいのは、垂直磁性層に必要なKuが得られ、さらに磁性粒子の結晶性、配向性が良好であり、結果として高密度記録に適した熱揺らぎ特性、記録再生特性が得られるためである。Pt含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子中にfcc構造の層が形成され、結晶性、配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。Pt含有量が上記範囲未満である場合、高密度記録に適した熱揺らぎ特性に十分なKuが得られないため好ましくない。
垂直磁気記録層は、Co、Cr、Pt、酸化物のほかに、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reから選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含むことにより、磁性粒子の微細化を促進し、または結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。上記元素の合計の含有量は、8at%以下であることが好ましい。8at%を超えた場合、磁性粒子中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子の結晶性、配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られないため好ましくない。
垂直磁気記録層としては、CoPt系合金、CoCr系合金、CoPtCr系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSi、ならびにPt、Pd、Rh、およびRuからなる群より選択された少なくとも一種を主成分とする合金とCoとの多層構造、さらに、これらにCr、BおよびOを添加したCoCr/PtCr、CoB/PdB、CoO/RhOなどを使用することもできる。
垂直磁気記録層の厚さは、好ましくは5ないし60nm、より好ましくは10ないし40nmである。この範囲であると、より高記録密度に適した磁気記録再生装置を作製することができる。垂直磁気記録層の厚さが5nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向がある。垂直磁気記録層の厚さが40nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。垂直磁気記録層の保磁力は、237000A/m(3000Oe)以上とすることが好ましい。保磁力が237000A/m(3000Oe)未満であると、熱揺らぎ耐性が劣る傾向がある。垂直磁気記録層の垂直角型比は、0.8以上であることが好ましい。垂直角型比が0.8未満であると、熱揺らぎ耐性に劣る傾向がある。
<保護膜>
保護膜は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ目的で設けられる。保護膜の材料としては、たとえばC、SiO2、ZrO2を含むものが挙げられる。保護膜の厚さは1ないし10nmとすることが好ましい。これにより、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。カーボンは、sp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素のほうが優れるが、結晶質であることから表面平滑性はグラファイトに劣る。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法で形成される。この方法では、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが形成される。sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性に優れ、アモルファスであることから表面平滑性にも優れるため、磁気記録媒体の表面保護膜として利用されている。CVD(chemical vapor deposition)法によるDLCの成膜は、原料ガスをプラズマ中で励起、分解し、化学反応によってDLCを生成させるため、条件を合わせることで、よりsp3結合炭素に富んだDLCを形成することができる。
保護膜は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ目的で設けられる。保護膜の材料としては、たとえばC、SiO2、ZrO2を含むものが挙げられる。保護膜の厚さは1ないし10nmとすることが好ましい。これにより、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。カーボンは、sp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素のほうが優れるが、結晶質であることから表面平滑性はグラファイトに劣る。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法で形成される。この方法では、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが形成される。sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性に優れ、アモルファスであることから表面平滑性にも優れるため、磁気記録媒体の表面保護膜として利用されている。CVD(chemical vapor deposition)法によるDLCの成膜は、原料ガスをプラズマ中で励起、分解し、化学反応によってDLCを生成させるため、条件を合わせることで、よりsp3結合炭素に富んだDLCを形成することができる。
図6に本発明の実施形態に係る磁気記録装置(ハードディスクドライブ)の斜視図を示す。この磁気記録装置は、筐体70の内部に、上記の磁気記録媒体71と、磁気記録媒体71を回転させるスピンドルモータ72と、磁気ヘッドを組み込んだヘッドスライダ76と、ヘッドスライダ76を支持する、サスペンション75およびアクチュエータアーム74を含むヘッドサスペンションアッセンブリと、ヘッドサスペンションアッセンブリのアクチュエータとしてのボイスコイルモータ(VCM)77と、回路基板とを備えている。
磁気記録媒体71はスピンドルモータ72によって回転される。ヘッドスライダ76にはライトヘッドとリードヘッドを含む磁気ヘッドが組み込まれている。アクチュエータアーム74はピボット73に回動自在に取り付けられている。アクチュエータアーム74の一端にサスペンション75が取り付けられる。ヘッドスライダ76はサスペンション75に設けられたジンバルを介して弾性支持されている。アクチュエータアーム74の他端にはボイスコイルモータ(VCM)77が設けられている。ボイスコイルモータ(VCM)77はアクチュエータアーム74にピボット73周りの回転トルクを発生させ、磁気ヘッドを磁気記録媒体71の任意の半径位置上に浮上した状態で位置決めする。回路基板はヘッドICを備え、アクチュエータの駆動信号および磁気ヘッドを読み書き制御するための制御信号などを生成する。
実施例1
図1に示したようなサーボパターン(プリアンブル、アドレス、バースト)およびディスクリートトラックに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いて、図4に示した方法でDTR媒体を作製した。
図1に示したようなサーボパターン(プリアンブル、アドレス、バースト)およびディスクリートトラックに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いて、図4に示した方法でDTR媒体を作製した。
基板上に、厚さ15nmの強磁性層、厚さ15nmのCハードマスク層、厚さ15nmのRuからなる残渣均一化層を積層した。インプリントレジストとしてノボラック系フォトレジストを使用した。スタンパの凸部の高さは70nm、インプリント後のレジストパターンの凸部の高さは60nmであった。
ICPエッチング装置によりO2ガスを用いて、レジスト残渣を残渣均一化層に達するまで除去した。ガス流量を20sccm、ガス圧を0.1Pa、コイルRFパワーを100W、プラテンRFパワーを50Wとして30秒間エッチングを行った。AFMによりレジストの底が平坦になっていることを確認した。
ECRイオンガンによりArイオンビームを用いて、残渣均一化層をエッチングした。ガス圧を0.04Pa、プラズマパワーを500W、加速電圧を600Vとして30秒間エッチングを行い、凹部に露出していた厚さ15nmのRuからなる残渣均一化層を完全に除去した。
ICPエッチング装置によりO2ガスを用いて、凹部のCハードマスクを強磁性層が露出するまでエッチングした。また、Cハードマスクのエッチングと同時に、残存したレジストパターンを全て除去し、凸部に残った残渣均一化層を露出させた。エッチング条件はレジスト残渣除去工程と同じであった。
次に、ECRイオンガンによりArイオンビームを用いて、凹部の強磁性層を全膜厚の15nmにわたってエッチングした。エッチング条件は残渣均一化層のエッチング工程と同じであった。この時、凹部の強磁性層と同時に、凸部の残渣均一化層(Ru)もエッチングされ完全に除去された。
最後に、凸部に残ったCハードマスク層をO2プラズマで除去した。AFMでトラック部の側壁のテーパー角度を測定すると70度であった。
全面に厚さ5nmのDLC保護膜を形成し、潤滑剤を塗布した。この媒体をハードディスクドライブへ組み込み、フリンジ特性を評価した。作製した媒体は、トラック密度が244kTPI、ビット密度が1260kBPIであった。評価に用いたヘッドはリード幅80nm、ライト幅116nmである。隣接記録前のエラー率は10の−6乗であり、隣接トラックに1000回記録を行った後のエラー率は10の−4.8乗であった。この結果より、本プロセスで作製した媒体は、DTR媒体として隣接記録耐性があることを確認できた。
比較例1
強磁性層上に厚さ15nmのRuからなる残渣均一化層のみを形成しCハードマスク層を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法でDTR媒体を作製した。
強磁性層上に厚さ15nmのRuからなる残渣均一化層のみを形成しCハードマスク層を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法でDTR媒体を作製した。
インプリント後、レジスト残渣を残渣均一化層に達するまで除去した。AFMでレジストの底が平坦になっていることを確認した。
ECRイオンガンによりArイオンビームを用いて、残渣均一化層をエッチングした。ICPエッチング装置によりO2ガスを用いて、凸部に残存しているレジストパターンを除去した。ECRイオンガンによりArイオンビームを用いて、凹部の強磁性層を全膜厚の15nmにわたってエッチングした。この時、凹部の強磁性層と同時に、凸部の残渣均一化層(Ru)もエッチングされ完全に除去された。AFMでトラック部の側壁のテーパー角度を測定すると10度であった。
全面に厚さ5nmのDLC保護膜を形成し、潤滑剤を塗布した。この媒体をハードディスクドライブへ組み込み、フリンジ特性を評価した。作製した媒体は、トラック密度が244kTPI、ビット密度が1260kBPIであった。評価に用いたヘッドはリード幅80nm、ライト幅116nmである。隣接記録前のエラー率は10の−6乗であり、隣接トラックに1000回記録を行った後のエラー率は10の−3.6乗でフリンジ耐性が不十分であることがわかった。トラック部の側壁にテーパーがつきすぎているため、熱揺らぎの影響を受けやすくなっているものと思われる。
実施例1と比較例1との比較から、Cハードマスク層および残渣均一化層を形成する製造方法によって、フリンジ耐性の強い媒体が得られることがわかった。
実施例2
実施例1と同様の方法でDTR媒体を作製した。AFMで強磁性層の凸部の高さを測定すると、トラック部でもサーボ部でも15nmであった。製造した媒体をドライブに搭載し、信号を観察したところ、凹凸に応じた強度を有する信号が得られた。
実施例1と同様の方法でDTR媒体を作製した。AFMで強磁性層の凸部の高さを測定すると、トラック部でもサーボ部でも15nmであった。製造した媒体をドライブに搭載し、信号を観察したところ、凹凸に応じた強度を有する信号が得られた。
比較例2
強磁性層上に厚さ15nmのCハードマスク層のみを形成し残渣均一化層を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法でDTR媒体を作製した。
強磁性層上に厚さ15nmのCハードマスク層のみを形成し残渣均一化層を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法でDTR媒体を作製した。
インプリント後、O2プラズマを用いて、レジスト残渣を除去し、続けてCハードマスクをエッチングして、凹部の強磁性層を露出させた。ECRイオンガンによりArイオンビームを用いて、凹部の強磁性層を全膜厚の15nmにわたってエッチングした。O2プラズマによりレジストおよびCハードマスクを除去した。AFMで強磁性層の凸部の高さを測定すると、トラック部では5nmであったのに対し、サーボ部では15nmであった。
製造した媒体をドライブに搭載し信号を観察したところ、トラック部からの信号強度は、実施例2の場合の1/3であった。残渣均一化層を設けなかったため、Cハードマスクを良好な形状で形成することができず、サーボ部に比べてトラック部の凹凸が減少したためと思われる。
以上の結果より、Cハードマスク上に残渣均一化層を設ければ、Cハードマスクを良好な形状で形成でき、磁性パターンの凸部の高さにムラのない媒体を製造できることがわかる。
実施例3
Cハードマスク層の厚みを2nm、4nm、8nm、15nm、30nm、40nm、50nmとし、実施例1と同様の方法でDTR媒体を作製した。断面TEMにより、トラック部の側壁のテーパー角度、側壁上のリデポ(re-deposition、再付着層)の発生の有無を調べた。また、フリンジ特性を評価した。これらの結果を表1にまとめて示す。
Cハードマスク層の厚みを2nm、4nm、8nm、15nm、30nm、40nm、50nmとし、実施例1と同様の方法でDTR媒体を作製した。断面TEMにより、トラック部の側壁のテーパー角度、側壁上のリデポ(re-deposition、再付着層)の発生の有無を調べた。また、フリンジ特性を評価した。これらの結果を表1にまとめて示す。
Cハードマスク層の厚さが40nmを超えた場合、磁性パターンの側壁にリデポが発生しやすいことがわかる。リデポはO2による剥離プロセスで除去できない。このため、媒体をドライブに組み込んだときに、グライド試験結果が悪く、ドライブの評価が不可能であった。一方、Cハードマスクの厚さが4nm未満の場合、テーパー角度が小さくなり、フリンジ特性が悪化した。表1の結果より、Cハードマスク層の適当な厚さは、4〜40nmの範囲にあるといえる。
実施例4
図1に示したようなサーボパターン(プリアンブル、アドレス、バースト)およびディスクリートトラックに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いて、図3に示した方法でDTR媒体を作製した。
図1に示したようなサーボパターン(プリアンブル、アドレス、バースト)およびディスクリートトラックに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いて、図3に示した方法でDTR媒体を作製した。
基板上に、厚さ15nmの強磁性層、厚さ15nmのCハードマスク層、厚さ5nmのAl、Co、Ni、Ru、Cu、Ag、Au、Ir、Ga、Sm、またはPbからなる残渣均一化層を積層した。インプリントレジストとしてノボラック系フォトレジストを使用した。スタンパの凸部の高さは70nm、インプリント後のレジストパターンの凸部の高さは60nmであった。
ICPエッチング装置によりO2ガスを用いて、レジスト残渣を残渣均一化層に達するまで除去した。ガス流量を20sccm、ガス圧を0.1Pa、コイルRFパワーを100W、プラテンRFパワーを50Wとして30秒間エッチングを行った。AFMによりレジストの底が平坦になっていることを確認した。
ECRイオンガンによりArイオンビームを用いて、残渣均一化層をエッチングした。ガス圧を0.04Pa、プラズマパワーを500W、加速電圧を600Vとして30秒間エッチングを行い、凹部に露出していた厚さ5nmの残渣均一化層を完全に除去した。
ICPエッチング装置によりO2ガスを用いて、凹部のCハードマスクを強磁性層が露出するまでエッチングした。また、Cハードマスクのエッチングと同時に、残存したレジストパターンを全て除去し、凸部に残った残渣均一化層を露出させた。エッチング条件はレジスト残渣除去工程と同じであった。
次に、ECRイオンガンによりArイオンビームを用いて、凹部の強磁性層を5nmだけエッチングした。エッチング条件は残渣均一化層のエッチング時と同じである。この時、凹部の強磁性層と同時に凸部の残渣均一化層もエッチングされ、完全に除去された。
凹部に残った厚さ10nmの強磁性層の磁性を失活させるため、ECRイオンガンによりHeガスを用い、ガス圧を0.04Pa、マイクロ波パワーを700W、加速電圧を400Vとして100秒間暴露した。
O2プラズマを用いて90秒間で凸部に残ったCハードマスク層を剥離し、凸部の強磁性層を露出させた。AFMでトラック部の側壁のテーパー角度を測定すると、70度であった。
全面に厚さ5nmのDLC保護膜を形成し、潤滑剤を塗布した。得られた媒体をそれぞれハードディスクドライブへ組み込み、グライド試験を行った。全ての媒体において、グライド高さ8nmをパスし、ハードディスク媒体として使用できるレベルにあることがわかった。
比較例4
残渣均一化層として厚さ5nmのTiOxまたはAl2O3を用いた以外は、実施例4と同様の方法でDTR媒体を作製した。強磁性層の加工後、全面に厚さ5nmのDLC保護膜を形成し、潤滑剤を塗布した。得られた媒体をそれぞれハードディスクドライブへ組み込み、グライド試験を行った。その結果、グライド高さ12nmでも振動があることがわかった。AFMで観察すると、マスクが残っていることがわかった。TiOxおよびAl2O3はArに対するエッチングレートが非常に遅いため、強磁性層のエッチング時に除去しきれず、残渣均一化層およびCハードマスクが残ったと考えられる。
残渣均一化層として厚さ5nmのTiOxまたはAl2O3を用いた以外は、実施例4と同様の方法でDTR媒体を作製した。強磁性層の加工後、全面に厚さ5nmのDLC保護膜を形成し、潤滑剤を塗布した。得られた媒体をそれぞれハードディスクドライブへ組み込み、グライド試験を行った。その結果、グライド高さ12nmでも振動があることがわかった。AFMで観察すると、マスクが残っていることがわかった。TiOxおよびAl2O3はArに対するエッチングレートが非常に遅いため、強磁性層のエッチング時に除去しきれず、残渣均一化層およびCハードマスクが残ったと考えられる。
これらの結果から、Arイオンビームで強磁性層をエッチングする際に残渣均一化層も同時に除去できるよう、(強磁性層の加工膜厚/強磁性層のエッチングレート)>(残渣均一化層の膜厚/残渣均一化層のエッチングレート)という条件が必要であることがわかった。
実施例5
残渣均一化層として厚さ5nmのRuを用いた。また、Cハードマスク層をエッチングする際に、O2ガス、O2/CF4混合ガス、O2/Ar混合ガス、O2/N2混合ガスを用いた。混合ガスの流量比は1:1とした。これ以外は、実施例4と同様の方法でDTR媒体を作製した。
残渣均一化層として厚さ5nmのRuを用いた。また、Cハードマスク層をエッチングする際に、O2ガス、O2/CF4混合ガス、O2/Ar混合ガス、O2/N2混合ガスを用いた。混合ガスの流量比は1:1とした。これ以外は、実施例4と同様の方法でDTR媒体を作製した。
全面に厚さ5nmのDLC保護膜を形成し、潤滑剤を塗布した。得られた媒体をそれぞれハードディスクドライブへ組み込み、実施例1と同様の方法でフリンジ評価を行った。表2に隣接トラックに1000回記録を行った後のエラー率をまとめて示す。
比較例5
Cハードマスク層をエッチングする際に、Arガスを用いた以外は、実施例5と同様の方法でDTR媒体を作製した。
Cハードマスク層をエッチングする際に、Arガスを用いた以外は、実施例5と同様の方法でDTR媒体を作製した。
全面に厚さ5nmのDLC保護膜を形成し、潤滑剤を塗布した。得られた媒体をそれぞれハードディスクドライブへ組み込み、実施例1と同様の方法でフリンジ評価を行った。表2に隣接トラックに1000回記録を行った後のエラー率をまとめて示す。
表2の結果より、CハードマスクのエッチングにO2またはO2を含む混合ガスを用いればCハードマスクを良好な形状にエッチングでき、さらに強磁性層を良好な形状にエッチングできるので、フリンジ特性のよいDTR媒体が得られることがわかる。
実施例6
残渣均一化層として厚さ5nmのRuを用い、強磁性層のエッチング深さを5nmとした。凹部に残存している強磁性層の磁性を失活させるために、反応性ガスとしてCF4、SF6、CHF3、N2もしくはO2、または希ガスとしてHe、NeもしくはArを用いた。反応性ガスを用いた失活はICP RIE装置により、希ガスを用いた失活はECRプラズマ装置により行った。これ以外は実施例4と同様の方法でDTR媒体を作製した。
残渣均一化層として厚さ5nmのRuを用い、強磁性層のエッチング深さを5nmとした。凹部に残存している強磁性層の磁性を失活させるために、反応性ガスとしてCF4、SF6、CHF3、N2もしくはO2、または希ガスとしてHe、NeもしくはArを用いた。反応性ガスを用いた失活はICP RIE装置により、希ガスを用いた失活はECRプラズマ装置により行った。これ以外は実施例4と同様の方法でDTR媒体を作製した。
全面に厚さ5nmのDLC保護膜を形成し、潤滑剤を塗布した。得られた媒体をそれぞれハードディスクドライブへ組み込み、フリンジ特性を評価した。作製した媒体は、トラック密度が244kTPI、ビット密度が1260kBPIであった。評価に用いたヘッドはリード幅80nm、ライト幅116nmである。
表3に、強磁性層の失活条件と、隣接トラックに1000回記録を行った際のエラー率をまとめて示す。隣接記録前のエラー率は10の−6乗であった。表3の結果より、全ての条件において、本実施例の方法で製造した媒体はDTR媒体として有効であることが示された。
実施例7
実施例1と同様の方法で、強磁性層を完全に分断したDTR媒体を作製した。表面保護膜を成膜する前に、磁性パターン間の凹部に非磁性体による埋め込みを行った。非磁性体としてNiNbTiを用い、スパッタにより埋め込みを行った。非磁性体のエッチバックは強磁性層の加工と同様にECRイオンガンにより行った。厚さ50nmの非磁性体による埋め込みおよび厚さ50nmの非磁性体のエッチバックを5回繰り返した。媒体表面のトラック部においてRaを測定したところ1.5nmという値が得られた。
実施例1と同様の方法で、強磁性層を完全に分断したDTR媒体を作製した。表面保護膜を成膜する前に、磁性パターン間の凹部に非磁性体による埋め込みを行った。非磁性体としてNiNbTiを用い、スパッタにより埋め込みを行った。非磁性体のエッチバックは強磁性層の加工と同様にECRイオンガンにより行った。厚さ50nmの非磁性体による埋め込みおよび厚さ50nmの非磁性体のエッチバックを5回繰り返した。媒体表面のトラック部においてRaを測定したところ1.5nmという値が得られた。
全面にDLC保護膜を形成し、潤滑剤を塗布した。この媒体をハードディスクドライブへ組み込み、浮上試験を行ったところ、良好な浮上性を示した。
実施例8
図2に示したようなサーボパターン(プリアンブル、アドレス、バースト)および磁性ドットに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いて、図3に示した方法でディスクリートビット型パターンド媒体を作製した。
図2に示したようなサーボパターン(プリアンブル、アドレス、バースト)および磁性ドットに対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いて、図3に示した方法でディスクリートビット型パターンド媒体を作製した。
基板上に、厚さ10nmのCoPt強磁性層、厚さ15nmのCハードマスク層、厚さ5nmのRuからなる残渣均一化層を積層した。インプリントレジストとしてノボラック系フォトレジストを使用した。スタンパの凸部の高さは50nm、インプリント後のレジストパターンの凸部の高さは40nmであった。
ICPエッチング装置によりO2ガスを用いて、レジスト残渣を残渣均一化層に達するまで除去した。ガス流量を20sccm、ガス圧を0.1Pa、コイルRFパワーを100W、プラテンRFパワーを50Wとして30秒間エッチングを行った。AFMによりレジストの底が平坦になっていることを確認した。
ECRイオンガンによりArイオンビームを用いて、残渣均一化層をエッチングした。ガス圧を0.04Pa、プラズマパワーを500W、加速電圧を600Vとして30秒間エッチングを行い、凹部に露出していた厚さ5nmのRuからなる残渣均一化層を完全に除去した。
ICPエッチング装置によりO2ガスを用いて、凹部のCハードマスクを強磁性層が露出するまでエッチングした。また、Cハードマスクのエッチングと同時に、残存したレジストパターンを全て除去し、凸部に残った残渣均一化層を露出させた。エッチング条件はレジスト残渣除去工程と同じであった。
次に、ECRイオンガンによりArイオンビームを用いて、凹部の強磁性層を全膜厚の10nmにわたってエッチングした。エッチング条件は残渣均一化層のエッチング工程と同じであった。この時、凹部の強磁性層と同時に、凸部の残渣均一化層(Ru)もエッチングされ完全に除去された。その後、Cハードマスクを、O2ガスプラズマで30秒間剥離し、凸部の強磁性層を全て露出させた。
全面に厚さ5nmのDLC保護膜を形成し、潤滑剤を塗布した。この媒体をスピンスタンドで評価した。この媒体は浮上性及び信号強度に問題がなく、パターンド媒体として使用できるレベルにあることがわかった。
以上説明したように、本発明の方法によれば、強磁性層上にCハードマスク層および残渣均一化層を設けたことにより、フリンジ特性の良好なディスクリートトラック媒体およびパターンド媒体を製造できる。
1…パターンド媒体、2…サーボ領域、21…プリアンブル部、22…アドレス部、23…バースト部、3…データ領域、31…ディスクリートトラック、32…磁性ドット、51…ガラス基板、52…強磁性層、52a…磁性パターン、53…Cハードマスク層、54…残渣均一化層、55…レジスト、56…保護膜、57…非磁性層、61…分離領域、70…筐体、71…磁気記録媒体、72…スピンドルモータ、73…ピボット、74…アクチュエータアーム、75…サスペンション、76…ヘッドスライダ、77…ボイスコイルモータ。
Claims (8)
- 基板上に強磁性層、カーボンハードマスク層、および残渣均一化層を積層し、
前記残渣均一化層にレジストを塗付し、
インプリントにより前記レジストに凹凸パターンを転写してレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンの凹部に残存しているレジスト残渣を除去し、
前記レジストパターンをマスクとして残渣均一化層をパターニングし、
前記レジストパターンをマスクとしてカーボンハードマスク層をパターニングし、
前記残渣均一化層のパターンをマスクとして強磁性層をエッチングして強磁性層の凹凸パターンを形成することを含み、
前記強磁性層をエッチングする際に、前記残渣均一化層のエッチング時間が前記強磁性層のエッチング時間よりも短いことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記残渣均一化層の膜厚/エッチングレートが、前記強磁性層のエッチング深さ/エッチングレートよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記カーボンハードマスク層のエッチングにO2ガスまたはO2を含んだ混合ガスを用い、残存している前記レジストパターンを同時に剥離することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記強磁性層をエッチングする際に、エッチングガスとしてAr、He、Ne、Kr、Xe、O2、またはN2およびこれらの混合ガスを用いることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記強磁性層をエッチングする際に、残存している前記残渣均一化層のパターンを除去することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記残渣均一化層は、Al、Co、Ni、Ru、Cu、Ag、Au、Ir、Ga、Sm、Pb、およびこれらの合金からなる群より選択される金属で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記カーボンハードマスク層は、厚さが4nm〜40nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記強磁性層をエッチングする際に、凹部に一部の強磁性層を残存させ、残存した強磁性層をO2、N2、He、Ne、CF4、SF6、CHF3およびこれらの混合ガスからなる群より選択されるガスを用いて処理し、磁性を失活させることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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