JP2009238824A - 半導体用電極の製造方法及びこれを用いた太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体基板上に不純物拡散剤層を形成する工程と、レーザーを使用して前記不純物拡散剤層を選択的に加熱し、加熱した部分の不純物拡散剤を前記半導体基板内に拡散させる工程と、前記不純物拡散剤層を除去する工程と、を有する電極の製造方法による。前記不純物拡散剤はIII族元素の化合物又はV族元素の化合物を含む。
【選択図】なし
Description
不純物拡散剤層を形成する工程は、一般にドーパントと呼ばれる不純物拡散剤を含む溶液(以下、「不純物拡散剤溶液」ともいう。)をスピンコータ、スクリーン印刷等の従来公知の方法により半導体基板上に塗布する工程を含む。不純物拡散剤溶液については後述する。塗布した不純物拡散剤層の厚さは50〜1000nmが好ましい。このようにして不純物拡散剤溶液を半導体基板上に塗布した後、オーブン等の従来公知の方法により乾燥させることが好ましい。乾燥温度は100〜300℃が好ましく、乾燥時間は1分〜5分が好ましい。
不純物拡散剤溶液は、半導体基板上に塗布する工程における塗布性のほか後述する諸特性を得るために、不純物拡散剤とバインダーとを溶剤に溶解させたものが好ましい。以下に、それぞれの成分について記載する。
不純物拡散剤として、一般にドーパントとして太陽電池の製造に用いられてきた化合物を用いることができる。このような不純物拡散剤は、III族元素の酸化物又はV族元素の化合物を含むことにより、電極を形成する工程においてシリコン基板内にp型又はn型拡散領域を形成することができる。例えばp型拡散領域を形成しようとすればIII族元素の化合物から、n型拡散領域を形成しようとすればV族元素の化合物から選択することができる。また、所望の拡散領域の性質に応じて、III族元素の化合物とV族元素の化合物とから任意に組み合わせて用いてもよい。このような、III族元素及びV族元素の化合物には、例えば、B2O3、Al2O3、Bi2O3、P2O5等が挙げられ、不純物拡散剤には、拡散領域をp型にするかn型にするか所望に応じて、これらのうち1種類以上が含まれる。このようなIII族元素の化合物又はV族元素の化合物は、不純物拡散剤溶液に対して0.1質量%以上含まれることが好ましく、1.0質量%以上含まれることがさらに好ましい。
バインダーとしては無機バインダーでも有機バインダーでもよいが有機バインダーが好ましい。有機バインダーは、従来公知のいかなるものでもよいが、例えばポリマーが好ましい。ポリマーの例として、アルキルシリケート、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースとフェノール樹脂との混合物、低級アルコールのポリメタクリレート、ポリビニルアルコール等が挙げられる。なかでも、アルキルシリケート、特にメチル、エチル又はプロピルシリケートが好ましい。有機バインダーは、不純物拡散剤に対し任意の割合で混合することができるが、不純物拡散剤溶液に対し1質量%以上の範囲で混合することが好ましい。
溶剤としては、上記バインダーを溶かすことができればいかなるものでもよいが、有機溶剤が好ましい。有機溶剤の例として、テトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、ピラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、トリオキサンなどの環状エーテル系化合物;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのジアルキルケトアミド系化合物;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのジアルキルスルホキシド系化合物;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン系化合物;エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ターピネオールなどのアルコール系化合物;ジクロロエチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素系化合、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノプロピオレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリエチル−1,3−ペンタンジオールモノアセテートなどの多価アルコールのエステル系化合物;α−テルピネン、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレンなどのテルペン系化合物及びこれらの混合物が挙げられる。
レーザーを使用して不純物拡散剤層を選択的に加熱し、加熱した部分の不純物拡散剤を半導体基板内に拡散させる工程で使用するレーザーは、従来公知の固体レーザー又は気体レーザーを用いることができるが、350〜15000nmの波長を有するものが好ましい。このようなレーザーには、CO2レーザー、YVO4レーザー、YAGレーザー、ルビーレーザー、ガラスレーザー、色素レーザー、Arレーザーが挙げられる。なかでもCO2レーザー、YVO4レーザー又はYAGレーザーが好ましい。照射方法は、連続照射ではなくパルス照射が好ましい。照射エネルギーは1ショット当たり6000〜300000mJ/cm2が好ましく、用いる半導体基板及び不純物拡散剤層の種類と厚み等によるが、1ショット以上の照射、好ましくは1〜50ショットの照射である。これにより、不純物拡散剤層のうちレーザーが照射された部分の不純物拡散剤層を選択的に加熱することができる。このようなレーザーを使用して不純物拡散剤層を選択的に加熱する際には、マスクを使用して選択的にレーザーを照射してもよいし、ビームを走査することにより所望の形状にレーザーを選択的に照射することにより加熱してもよい。また、レーザーを照射する際の照射部位の形状は、所望の電極の形状に応じて、例えば矩形、ドットなど自由に決めることができる。こうして、加熱した部分の不純物拡散剤を半導体基板内に拡散させることができる。不純物拡散剤の半導体基板内への拡散は、P/N判定機等の装置を用いて抵抗率を測定することにより確認することができる。
不純物拡散剤層を除去する工程では、不純物拡散剤層を半導体基板上から除去する。この際、流水洗浄、流水洗浄に加えRCA洗浄、硫酸と過酸化水素水の混合液による洗浄、薄いフッ化水素水溶液または界面活性剤を含む従来公知の洗浄液を用いて洗浄することができる。また、所望に応じ、半導体基板を水中に浸漬し、超音波を印加することにより、不純物拡散剤層を除去することもできる。このように、不純物拡散剤層を除去した半導体基板を適宜乾燥し、半導体基板の不純物拡散剤を拡散させた箇所に常法によりn領域又はp領域コンタクトホールを設けることによって電極を形成することができる。
こうして形成した電極に、従来公知の方法により導線を取り付ける等の方法により、太陽電池を形成することができるが、本発明に係る電極の製造方法は、レーザーを使用することにより不純物の拡散領域を従来よりも精細にすることができるため、複雑な工程を必要とすることなく、n型電極とp型電極とが交互に形成された微細な形状が必要である裏面電極型太陽電池を製造することができる。以下に本発明にかかる方法を用いた裏面電極型太陽電池の製造方法について記載する。
(不純物拡散剤層の形成)
n型の不純物拡散剤溶液であるP2O51.0質量%を含有するエチルシリケートポリマー液(「OCD T−1 P−59250(製品名)」東京応化工業社製)をスピンコータ(型番1H−DXII、MIKASA CO.LTD社製)を用いて6インチp型シリコン基板(SUMCO社製)に塗布し、300nmの膜厚のn型の不純物拡散剤層を形成した。次に、200℃で3分間熱処理を行った。
こうして形成したn型の不純物拡散剤層に2cm×3cmのマスクを適用し、CO2レーザー(型番アキュラスマーク14号機、(株)篠崎製作所社製)を照射した。
次に、5質量%フッ化水素水溶液を用いて上記シリコン基板を洗浄し、不純物拡散剤層を除去し、100℃で5分乾燥し、n型の不純物拡散領域を有するp型シリコン基板を製造した。
実施例1において、n型の不純物拡散剤溶液の代わりにp型の不純物拡散剤溶液であるB2O32.0質量%を含有するポリビニルアルコール溶液(「PBF6MK−37(製品名)」東京応化工業社製)を用い、p型シリコン基板の代わりにn型シリコン基板(SUMCO社製)を使用したほかは実施例1と同様の方法により、p型の不純物拡散領域を有するn型シリコン基板を製造した。
CO2レーザーをYVO4レーザー(型番VECTORMARK WORKSTATION、TRUMPF社製)に代え、マスクを使用せずにレーザーを走査して2cm×3cmの矩形部分を加熱したほかは、実施例1及び2と同様の方法により、n型の不純物拡散領域を有するp型シリコン基板(実施例3)及びp型の不純物拡散領域を有するn型シリコン基板(実施例4)をそれぞれ製造した。
実施例1〜4により調製したシリコン基板におけるレーザーによる加熱部分の性状を、P/N判定機(型番MODEL PN/12α、ナプソン社製)を用いて判定した。結果を表1に示す。
CO2レーザーに代えて、拡散炉(型番DD型−50B型、国際電気(株)社製)を用いて900℃で15分間加熱したほかは、実施例1及び2と同様にn型不純物拡散領域を有するp型シリコン基板(比較例1)及びp型不純物拡散領域を有するn型シリコン基板(比較例2)をそれぞれ製造した。その結果、不純物の拡散はシリコン基板全面に亘っており、選択的な拡散領域は形成されていなかった。
レーザーを使用することにより、n型及びp型不純物をシリコン基板中に選択的に拡散できることがわかった。
Claims (7)
- 半導体基板上に不純物拡散剤層を形成する工程と、
レーザーを使用して前記不純物拡散剤層を選択的に加熱し、加熱した部分の不純物拡散剤を前記半導体基板内に拡散させる工程と、
前記不純物拡散剤層を除去する工程と、を有する電極の製造方法。 - 前記不純物拡散剤がIII族元素の化合物又はV族元素の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記レーザーが350〜15000nmの波長を有する、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記レーザーがCO2レーザー、YVO4レーザー及びYAGレーザーから成る群から選ばれる、請求項3に記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極の製造方法を含む、太陽電池の製造方法。
- 前記太陽電池が裏面電極型太陽電池である、請求項5に記載の方法。
- 請求項5又は6に記載の方法により製造した太陽電池。
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