JP2009236264A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】具備した変速機構に特有の固定ギヤを利用して入力トルク相当値を測定し、該入力トルク相当値に基づいて発進クラッチを的確に制御し、発進に際して所望の出力を発生し、スムーズな発進を可能とする自動変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】歪みゲージ24及びトルク値算出手段16が、反力に基づきサンギヤに作用するトルク値を検出し、入力相当値算出手段42が、検出されたトルク値に基づく入力トルク相当値を算出し、油圧制御手段17が、入力相当値算出手段により算出された入力トルク相当値に基づき、油圧サーボの作動を制御して発進クラッチ4からの出力を制御する。これにより、自動変速機構5に特有のサンギヤを利用して入力トルク相当値を測定し、該入力トルク相当値を入力目標トルクとして見ることで、油圧を適切に出してFB制御して発進クラッチを的確に制御することができる。
【選択図】図1
【解決手段】歪みゲージ24及びトルク値算出手段16が、反力に基づきサンギヤに作用するトルク値を検出し、入力相当値算出手段42が、検出されたトルク値に基づく入力トルク相当値を算出し、油圧制御手段17が、入力相当値算出手段により算出された入力トルク相当値に基づき、油圧サーボの作動を制御して発進クラッチ4からの出力を制御する。これにより、自動変速機構5に特有のサンギヤを利用して入力トルク相当値を測定し、該入力トルク相当値を入力目標トルクとして見ることで、油圧を適切に出してFB制御して発進クラッチを的確に制御することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車等の車輌に搭載される自動変速機の制御装置に係り、特に、発進クラッチを備えた自動変速機の制御装置に関する。
一般に、自動変速機は有段か無段かに拘わらずトルクコンバータを介してエンジン等の回転を入力するように構成されているが、該トルクコンバータは、入・出力要素間で流体伝動によって動力伝達を行うため、滑らかな伝動を可能とする反面、入・出力要素間で発生するスリップに起因して燃費効率が低下する。そこで、トルクコンバータに代えて発進クラッチを配設し、自動変速機構に該発進クラッチを介してエンジン回転を入力するように構成して、効率を上昇させ、燃費効果も向上させ得るようにした自動クラッチ制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
該自動クラッチ制御装置にあっては、発進クラッチのクリープ力を発生させる際に、エンジン回転数やクラッチのピストンストローク検出手段を用いて制御する。すなわち、該自動クラッチ制御装置は、エンジンの回転状態を検出するエンジン回転状態検出手段と、発進クラッチのストロークを検出するクラッチストローク検出手段と、発進クラッチを断接駆動するクラッチアクチュエータと、エンジン回転状態検出手段から検出したエンジン回転状態、及びクラッチストローク検出手段から検出したクラッチストロークに基づき、車輌がクリープを開始するクリープポイントを検出し、クリープポイントに到達したと判定した際にはクラッチストロークを維持するようにクラッチアクチュエータを制御する制御手段と、を備えている。該構成により、クリープ中に制御ハンチングによって振動や騒音を発生させないようにしつつ、一定のクリープ力を確保した所謂クリープ走行(エンジントルクの微少伝達による微速走行)を行い得る。
ところで、上記自動クラッチ制御装置をはじめ、トルクコンバータを発進クラッチに代えたものにあっては、クリープ力を発生させる場合に、微少なスリップ回転状態を保持することが必要になるが、従来から取り付けられている入力回転センサは車輌停止状態では入力回転が0になるため、このようなセンサを用いるだけではフィードバック制御(以下、FB制御ともいう)の目標となる回転数の検出は困難であり、FB制御を行うことは極めて難しい。
このような問題を解消するため、発進クラッチの直後に回転センサを設置することで、FB制御を行い、精度を向上させることも考えられるが、従来は言わば、或る一定の油圧を供給してFB制御しようとしても監視すべきものが無い状態であり、従って、油温変化、エンジン回転数変化、エンジン出力変化に応じて相対回転数だけでトルクを同一レベルに維持することは困難であった。
そこで本発明は、具備した変速機構に特有の固定ギヤを利用して入力トルク相当値を測定し、該入力トルク相当値に基づいて発進クラッチを的確に制御し、発進に際して所望の出力を発生させ、スムーズな車輌発進を可能とする自動変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図10参照)、油圧サーボ(例えば29)により断・接作動される発進クラッチ(4)を介して駆動源(2)の回転を入力軸(10)に入力する変速機構(5)を備え、かつ該変速機構(5)に、変速機ケース(9)に対して固定されて前記入力軸(10)の回転に対する反力が生じる固定ギヤ(S1)を備えた、自動変速機の制御装置(1)において、
前記反力に基づき前記固定ギヤ(S1)に作用するトルク値を検出する固定ギヤトルク検出手段(16,24)と、
前記検出されたトルク値に基づく入力トルク相当値を算出する入力相当値算出手段(42)と、
該入力相当値算出手段(42)により算出された入力トルク相当値に基づき、前記油圧サーボ(例えば29)を作動制御して前記発進クラッチ(4)からの出力を制御する発進制御手段(17)と、を備える、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置(1)にある。
前記反力に基づき前記固定ギヤ(S1)に作用するトルク値を検出する固定ギヤトルク検出手段(16,24)と、
前記検出されたトルク値に基づく入力トルク相当値を算出する入力相当値算出手段(42)と、
該入力相当値算出手段(42)により算出された入力トルク相当値に基づき、前記油圧サーボ(例えば29)を作動制御して前記発進クラッチ(4)からの出力を制御する発進制御手段(17)と、を備える、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項2に係る本発明は(例えば図1、図10参照)、前記発進制御手段(17)により制御された際の学習値を学習補正して次回の制御に反映させる学習制御手段(28)を備えてなる、
請求項1記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項1記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項3に係る本発明は(例えば図1参照)、前記発進制御手段(17)は、前記油圧サーボ(例えば29)に供給する油圧の指令値(FF値、FF値マップ)に基づいて油圧を供給し、
前記学習制御手段(28)は、目標差回転と実差回転とから算出した学習値(FB値)を算出し、前記指令値(例えばFF値)に前記学習値(FB値)を加味した値としてなる、
請求項2に記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
前記学習制御手段(28)は、目標差回転と実差回転とから算出した学習値(FB値)を算出し、前記指令値(例えばFF値)に前記学習値(FB値)を加味した値としてなる、
請求項2に記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項4に係る本発明は(例えば図1、図2参照)、前記固定ギヤトルク検出手段は、
前記入力軸(10)側から作用するトルクに起因する前記固定ギヤ(S1)の歪みを検出する歪み検出センサ(24)と、
該歪み検出センサ(24)による検出結果に基づき、前記固定ギヤ(S1)に作用したトルク値を算出するトルク値算出手段(16)と、からなる、
請求項1ないし3のいずれか1項記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
前記入力軸(10)側から作用するトルクに起因する前記固定ギヤ(S1)の歪みを検出する歪み検出センサ(24)と、
該歪み検出センサ(24)による検出結果に基づき、前記固定ギヤ(S1)に作用したトルク値を算出するトルク値算出手段(16)と、からなる、
請求項1ないし3のいずれか1項記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項5に係る本発明は(例えば図2参照)、前記変速機構(5)は、
前記入力軸(10)の回転を減速した減速回転を出力し得る減速プラネタリギヤ(SP)と、
前記変速機構(5)の出力軸に接続された出力要素(R2)を含む4つの回転要素(S2,S3,CR2,R2)を有するプラネタリギヤユニット(PU)と、
該プラネタリギヤユニット(PU)の2つの回転要素(S2,S3)のそれぞれに前記減速プラネタリギヤ(SP)からの回転を入力自在にする2つの減速クラッチ(C−3,C−1)と、
前記プラネタリギヤユニット(PU)の1つの回転要素(CR2)に前記入力軸(10)の回転を入力自在にする入力クラッチ(C−2)と、を有して、前進5速段又は6速段を達成してなり、
前記固定ギヤ(S1)は、前記減速プラネタリギヤ(SP)の常時回転が固定されたギヤである、
請求項1ないし4のいずれか1項記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
前記入力軸(10)の回転を減速した減速回転を出力し得る減速プラネタリギヤ(SP)と、
前記変速機構(5)の出力軸に接続された出力要素(R2)を含む4つの回転要素(S2,S3,CR2,R2)を有するプラネタリギヤユニット(PU)と、
該プラネタリギヤユニット(PU)の2つの回転要素(S2,S3)のそれぞれに前記減速プラネタリギヤ(SP)からの回転を入力自在にする2つの減速クラッチ(C−3,C−1)と、
前記プラネタリギヤユニット(PU)の1つの回転要素(CR2)に前記入力軸(10)の回転を入力自在にする入力クラッチ(C−2)と、を有して、前進5速段又は6速段を達成してなり、
前記固定ギヤ(S1)は、前記減速プラネタリギヤ(SP)の常時回転が固定されたギヤである、
請求項1ないし4のいずれか1項記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項6に係る本発明は(例えば図2参照)、前記減速プラネタリギヤ(SP)は、前記変速機ケース(9)に固定されたサンギヤ(S1)と、前記減速回転を出力するリングギヤ(R1)と、前記入力軸(10)の回転を入力するキャリヤ(CR1)と、からなり、
前記固定ギヤは前記サンギヤ(S1)である、
請求項5記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
前記固定ギヤは前記サンギヤ(S1)である、
請求項5記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、固定ギヤトルク検出手段が、反力に基づき固定ギヤに作用するトルク値を検出し、入力相当値算出手段が、検出されたトルク値に基づく入力トルク相当値を算出し、発進制御手段が、入力相当値算出手段により算出された入力トルク相当値に基づき、油圧サーボを作動制御して発進クラッチからの出力を制御するので、具備した変速機構に特有の固定ギヤを利用して入力トルク相当値を測定し、該入力トルク相当値を入力目標トルクとして監視することで、油圧を適切に供給してFB制御しつつ、発進クラッチを的確に制御することができるようになる。
請求項2に係る本発明によると、学習制御手段が、制御された際の学習値を学習補正して次回の制御に反映させるので、毎回の制御での出力のバラツキを抑えることができ、高品質な制御を実施することができる。
請求項3に係る本発明によると、発進制御手段が、油圧サーボに供給する油圧の指令値に基づいて油圧を供給し、学習制御手段が、目標差回転と実差回転とから算出した学習値を算出し、指令値に学習値を加味した値とするので、油圧を適切に供給してFB制御しつつ、発進クラッチを的確に制御することができる。
請求項4に係る本発明によると、固定ギヤトルク検出手段が、入力軸側から作用するトルクに起因する固定ギヤの歪みを検出する歪み検出センサと、該歪み検出センサによる検出結果に基づき、固定ギヤに作用したトルク値を算出するトルク値算出手段とからなるので、例えば、簡単な構造で比較的廉価な歪みゲージを歪み検出センサとして使用することができ、該歪みゲージを固定ギヤの一部に直接貼り付ける等で固定ギヤの歪みを容易に検出する構造が得られることで、クリープ制御に用いるトルク値の検出を、極めてシンプルな構造にて実現することができる。
請求項5に係る本発明によると、変速機構は、入力軸の回転を減速した減速回転を出力し得る減速プラネタリギヤと、変速機構の出力軸に接続された出力要素を含む4つの回転要素を有するプラネタリギヤユニットと、該プラネタリギヤユニットの2つの回転要素のそれぞれに減速プラネタリギヤからの回転を入力自在にする2つの減速クラッチと、プラネタリギヤユニットの1つの回転要素に入力軸の回転を入力自在にする入力クラッチと、を有して、前進5速段又は6速段を達成してなり、固定ギヤが、減速プラネタリギヤの常時回転が固定されたギヤであるので、変速機ケースに固定されている固定ギヤを有して前進5速段又は6速段を達成するギヤトレーンを有する変速機構を備える際に、固定ギヤに歪み検出センサ等を取り付けるだけの比較的簡単な構成により、入力トルク変化を直接的に正確に検出して、クリープ制御に活用することができる。
請求項6に係る本発明によると、減速プラネタリギヤが、変速機ケースに固定されたサンギヤと、減速回転を出力するリングギヤと、入力軸の回転を入力するキャリヤとからなり、固定ギヤがサンギヤであるので、変速機ケースに固定されているサンギヤを有するギヤトレーンを有する変速機構を備える際に、サンギヤに歪み検出センサ等を取り付けるだけの比較的簡単な構成により、入力トルクを早く且つ正確に検出して、クリープ制御に活用することができる。
以下、本発明に係る実施の形態を図1ないし図10に沿って説明する。
まず、本発明を適用し得る自動変速機3の概略構成について図2に沿って説明する。同図に示すように、例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの車輌に用いて好適な自動変速機3は、駆動源であるエンジン2(図1参照)に接続し得る該自動変速機3の入力軸8を有しており、該入力軸8の軸方向を中心として発進クラッチ4、及び自動変速機構(変速機構)5を備えている。なお、符号9は、自動変速機構5を収容する変速機ケースを示している。
本自動変速機3は、自動変速機構5における複数の動力伝達経路を各係合状態により達成する摩擦係合要素であるクラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2を有し、それら摩擦係合要素同士の掴み換えにより前進6速段の変速を達成する有段式の自動変速機である。なお、前進6速段の変速に限らず、前進5速段の変速を行う自動変速機にも本発明を適用し得ることは勿論である。
上記発進クラッチ4は、自動変速機3の入力軸8と自動変速機構5の入力軸10との間に介在された、多数のクラッチプレート及びクラッチディスクを軸方向に交互に配置した湿式多板クラッチ(WSC)から構成されており、該発進クラッチ4の入力軸10側には、ダンパ装置44が設けられている。該ダンパ装置44は、エンジン2の爆発振動を吸収すると共に、発進クラッチ係合時の衝撃的回転を吸収しつつエンジン2の駆動力を自動変速機構5に良好に伝達するように機能する。上記発進クラッチ4が、油圧制御装置6(図1参照)の油圧制御で係合されると、自動変速機3の入力軸8の回転が自動変速機構5の入力軸10に伝達される。なお、上記油圧制御装置6は、油圧サーボ(不図示)を自動変速機構5や発進クラッチ4に対応して多数備えると共に、これら油圧サーボへの油圧を切換えるシフトバルブも多数備えている。
上記自動変速機構5には、入力軸10上において、プラネタリギヤSPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。上記プラネタリギヤSPは、サンギヤ(固定ギヤ)S1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP1を有している、いわゆるシングルピニオンプラネタリギヤである。上記サンギヤS1は、プラネタリギヤSPの常時回転が固定されたギヤである。なお、上記プラネタリギヤSPは、入力軸10の回転を減速した減速回転を出力し得る減速プラネタリギヤを構成している。
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2及びリングギヤR2を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合するロングピニオンPLと、サンギヤS3に噛合するショートピニオンPSとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。なお、上記クラッチC−3,C−1は、プラネタリギヤユニットPUの2つの回転要素であるサンギヤS2,S3のそれぞれにプラネタリギヤSPからの回転を入力自在にする2つの減速クラッチを構成する。また、上記クラッチC−2は、プラネタリギヤユニットPUの1つの回転要素であるキャリヤCR2に入力軸10の回転を入力自在にする入力クラッチを構成している。上記リングギヤR2は、自動変速機構5の出力軸(不図示)に接続された出力要素である。
上記プラネタリギヤSPのサンギヤS1は、図2及び図5に示すように、変速機ケース9に対して固定され、入力軸10の回転に対する反力が生じる固定ギヤ、つまり、変速機ケース9に一体的に固定されているボス部20に接続(スプライン結合)されて回転が常時固定された固定ギヤを構成している。該サンギヤS1の変速機ケース9(つまりボス部20)に接続される軸部26には、入力軸10側から作用するトルクに応じたサンギヤS1(つまり軸部26)の歪みを検出する歪みゲージ24が、接着剤等により直接固定されている。該歪みゲージ24は、入力軸10側から作用するトルクに起因するサンギヤS1と変速機ケース9との歪み(つまりサンギヤS1の歪み)を検出する歪み検出センサを構成する。
軸部26に固定された歪みゲージ24は、該軸部26における反対側の部分にも同様に固定されており、当該軸部26の外周面に固定された2個により歪みを検出する。該歪みゲージ24は、電気接続ケーブル27を介して制御部12に接続されている。なお、歪みゲージ24は、2個に限らず、上記軸部26の外周面における3箇所或いは4箇所に等角度間隔で固定されていても、同様に機能し得ることは勿論である。
また、図2に示すように、上記リングギヤR1は、上記入力軸10の回転と同回転(以下、「入力回転」という。)になっている。更に上記キャリヤCR1は、上記固定されたサンギヤS1と該入力回転するリングギヤR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、クラッチC−1及びクラッチC−3に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、ブレーキB−1に接続されて変速機ケース9に対して固定自在となっていると共に、上記クラッチC−3に接続され、該クラッチC−3を介して上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、クラッチC−1に接続されており、上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、上記キャリヤCR2は、入力軸10の回転が入力されるクラッチC−2に接続され、該クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ワンウェイクラッチF−1及びブレーキB−2に接続されて、該ワンウェイクラッチF−1を介して変速機ケース9に対して一方向の回転が規制されると共に、該ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR2は、カウンタギヤ11に接続されており、該カウンタギヤ11は、不図示のカウンタシャフト、ディファレンシャル装置を介して不図示の駆動車輪に接続されている。
つづいて、上記構成に基づき、自動変速機構5の作用について図2、図3及び図4に沿って説明する。なお、図4に示す速度線図において、縦軸方向はそれぞれの回転要素(各ギヤ)の回転数を示しており、横軸方向はそれら回転要素のギヤ比に対応して示している。また、該速度線図のプラネタリギヤSPの部分において、縦軸は、図4中左方側から順に、サンギヤS1、キャリヤCR1、リングギヤR1に対応している。更に、該速度線図のプラネタリギヤユニットPUの部分において、縦軸は、図4中右方側から順に、サンギヤS3、リングギヤR2、キャリヤCR2、サンギヤS2に対応している。
例えばD(ドライブ)レンジにおける前進1速段(1ST)では、図3に示すように、クラッチC−1及びワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、キャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向)に規制されて、つまりキャリヤCR2の逆転回転が防止されて固定された状態になる。すると、サンギヤS3に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、前進1速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
なお、エンジンブレーキ時(コースト時)には、ブレーキB−2を係止してキャリヤCR2を固定し、該キャリヤCR2の正転回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF−1によりキャリヤCR2の逆転回転を防止し、かつ正転回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切換えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF−1の自動係合により滑らかに行うことができる。
前進2速段(2ND)では、図3に示すように、クラッチC−1が係合され、ブレーキB−1が係止される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも低回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、前進2速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
なお、この前進2速段の状態からニュートラル制御によってクラッチC−1が解放(スリップ状態に)された場合は、キャリヤCR2の逆転回転を阻止するワンウェイクラッチF−1によって、リングギヤR2の正転回転が許容されると共に逆転回転が阻止され、車輌の後退(駆動車輪の逆転回転)が防止される、いわゆるヒルホールドの状態となる。
前進3速段(3RD)では、図3に示すように、クラッチC−1及びクラッチC−3が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、クラッチC−3の係合によりキャリヤCR1の減速回転がサンギヤS2に入力される。つまり、サンギヤS2及びサンギヤS3にキャリヤCR1の減速回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが減速回転の直結状態となり、そのまま減速回転がリングギヤR2に出力され、前進3速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進4速段(4TH)では、図3に示すように、クラッチC−1及びクラッチC−2が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS3に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、上記前進3速段より高い減速回転となってリングギヤR2に出力され、前進4速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進5速段(5TH)では、図3に示すように、クラッチC−2及びクラッチC−3が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS2に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、入力回転より僅かに高い増速回転となってリングギヤR2に出力され、前進5速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進6速段(6TH)では、図3に示すように、クラッチC−2が係合され、ブレーキB−1が係止される。すると、図2及び図4に示すように、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。また、ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、固定されたサンギヤS2によりキャリヤCR2の入力回転が上記前進5速段より高い増速回転となってリングギヤR2に出力され、前進6速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
後進1速段(REV)では、図3に示すように、クラッチC−3が係合され、ブレーキB−2が係止される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、ブレーキB−2の係止によりキャリヤCR2の回転が固定される。すると、サンギヤS2に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、後進1速段としての逆転回転がカウンタギヤ11から出力される。
なお、例えばP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、クラッチC−1、クラッチC−2、及びクラッチC−3、が解放される。すると、キャリヤCR1とサンギヤS2及びサンギヤS3との間、即ちプラネタリギヤSPとプラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態となり、かつ、入力軸10とキャリヤCR2との間が切断状態となる。これにより、入力軸10とプラネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切断状態となり、つまり入力軸10とカウンタギヤ11との動力伝達が切断状態となる。
ついで、図6を参照して、油圧制御装置6における油圧回路の概略について説明する。該油圧回路は、2個のリニアソレノイドバルブSLS及びSLUを有すると共に、自動変速機構のプラネタリギヤユニットの伝達経路を切換えて、例えば前進6速、後進1速の変速段を達成する複数の摩擦係合要素、或いは発進クラッチ4を断・接作動する複数の油圧サーボ29,30を有している。また、リニアソレノイドバルブSLS及びSLUの入力ポートa1,a2にはソレノイドモジュレータ圧が供給されており、これらリニアソレノイドバルブの出力ポートb1,b2からの制御油圧がそれぞれプレッシャコントロールバルブ31,32の制御油室31a,32aに供給されている。プレッシャコントロールバルブ31,32は、ライン圧がそれぞれ入力ポート31b,32bに供給されており、上記制御油圧にて調圧された出力ポート31c,32cからの調圧が、それぞれシフトバルブ33,34を介して適宜各油圧サーボ29,30に供給される。
なお、本油圧回路は、基本概念を示すためのものであって、各油圧サーボ29,30及びシフトバルブ33,34は、象徴的に示すものであり、実際には、自動変速機構5や発進クラッチ4に対応して油圧サーボは多数備えられており、これら油圧サーボへの油圧を切換えるシフトバルブも多数備えている。また、油圧サーボ30に示すように油圧サーボは、シリンダ35にオイルシール36により油密状に嵌合するピストン37を有しており、該ピストン37は、油圧室38に作用するプレッシャコントロールバルブ32からの調圧油圧に基づき、戻しスプリング39に抗して移動し、外側摩擦プレート40及び内側摩擦材41を接触する。ここで、例えば油圧サーボ29が発進クラッチ4に適用される場合、上記油圧サーボ30で述べたようなピストン37により発進クラッチ4のクラッチプレート及びクラッチディスクを戻しスプリング39に抗して押圧して接触させるように構成される。なお、上記摩擦プレート及び摩擦材は、クラッチで示してあるが、ブレーキにも同様に対応することは勿論である。
つづいて、本発明に係る自動変速機の制御装置1について、図1を参照して説明する。なお、図1は、本実施の形態における自動変速機の制御装置1に係る電気制御系等を示すブロック図である。
本自動変速機の制御装置1は、図1に示すように、エンジン(E/G)2からの信号、自動変速機3(自動変速機構5)の入力軸回転数センサ22及び出力軸回転数(車速)センサ23からの信号、歪みゲージ24からの信号、アクセル開度センサ25からの信号、ブレーキセンサ15からの信号を入力する制御部(ECU)12を備えている。入力軸回転数センサ22は入力軸10の回転数を検出し、また、出力軸回転数センサ23はカウンタギヤ11の後流側に設けられた不図示の出力軸の回転数を検出する。
上記制御部12は、トルク値算出手段16、入力相当値算出手段42、油圧制御手段(発進制御手段)17、変速マップ18、エンジン回転数検出手段19、及び学習制御手段28を有している。なお、上記トルク値算出手段16及び歪みゲージ24により、反力に基づきサンギヤS1に作用するトルク値を検出する固定ギヤトルク検出手段が構成されている。
上記トルク値算出手段16は、歪みゲージ24による検出結果に基づき、サンギヤS1に作用したトルク値を算出する。即ち、トルク値算出手段16は、歪みゲージ24に電気信号を印加し、サンギヤS1の歪みに起因して該歪みゲージ24から出力される電気信号を受信するように、該歪みゲージ24に電気的に接続される。そして、該トルク値算出手段16は、歪みゲージ24による検出結果に基づき、サンギヤS1に作用したトルク値を算出する。つまり、トルク値算出手段16は、歪みゲージ24からの出力信号を増幅する不図示の増幅器を有しており、該増幅器で増幅された歪みゲージ24の出力電圧に基づいてサンギヤS1に作用するトルク値を算出(検出)する。
上記入力相当値算出手段42は、歪みゲージ24及びトルク値算出手段16により検出されたトルク値に基づく入力トルク相当値を算出する。即ち、該入力相当値算出手段42は、1速段(1ST)〜3速段(3RD)にあってはサンギヤ分担トルク(図8の(i)参照)を例えば1.7985倍することで入力トルク相当値(図8の(h)参照)を算出し、4速段(4TH)にあってはサンギヤ分担トルクを例えば6.25倍することで入力トルク相当値を算出し、5速段(5TH)にあってはサンギヤ分担トルクを例えば-6.76倍することで入力トルク相当値を算出する。しかし、6速段(6TH)では、入力軸10の回転がプラネタリギヤSPを経由せずにプラネタリギヤユニットPUのみを経由してカウンタギヤ11に伝達されるため、上記トルク値に基づく入力トルク相当値の算出は不可能(0)である。
上記油圧制御手段17は、油圧制御装置6に備えられた不図示のソレノイドバルブに電気的指令を行うことで、摩擦係合要素であるクラッチC−1,C−2,C−3やブレーキB−1,B−2の各油圧サーボに供給する油圧を制御し、自動変速機構5における摩擦係合要素であるクラッチやブレーキ同士の掴み換え変速を行う。また、該油圧制御手段17は、油圧制御装置6に備えられた不図示のソレノイドバルブに電気的指令を行うことで、発進クラッチ4の油圧サーボ(図6の例えば29)に供給する油圧を制御してクリープ制御(制御)を実行する発進制御手段を構成する。該油圧制御手段17は、これらの制御を、歪みゲージ24及びトルク値算出手段16により検出されたトルク値に基づき入力相当値算出手段42で算出された入力トルク相当値に基づき、計算した入力目標トルク(目標入力トルク)に沿うように、所定のスイープ勾配となるように各油圧サーボに供給する油圧を制御する。当該油圧制御手段17は、入力トルク目標値をアクセル開度等に応じて変化させることで、クリープ力だけでなく発進制御にも用い、アクセル開度等に対応させた良好な発進を可能にする。
油圧制御手段17は、クリープ制御する場合、発進クラッチ4の油圧サーボ(図6の例えば29)に供給する油圧のFF油圧(FF値)をFF値マップ(不図示)を参照して計算してFF制御を実行し、目標差回転からの偏差計算(偏差=目標差回転−実差回転)を行い、FF油圧に偏差がある際にはFB油圧(FB値)を計算してFB制御を実行し、後述の学習制御手段28は、該FB油圧を上記FF油圧に加味した油圧を学習値として学習補正し、次回のクリープ制御に反映させる。
また、油圧制御手段17は、例えばパワーオンアップシフト変速においては、出力軸回転数センサ23により検出される自動変速機構5の出力軸(不図示)の回転数より算出される車速と、アクセル開度センサ25により検出されるアクセル開度とに基づき変速マップ18を参照し、アクセル開度が所定開度以上の場合にあってアップシフト変速点を判断した際に、油圧制御装置6のソレノイドバルブ(不図示)に指令することで、自動変速機構5において摩擦係合要素同士の掴み換えを行わせ、これによりパワーオンアップシフト変速を行う。
上記制御部12には、エンジントルク信号を含む信号がエンジン2から送られており、上記エンジン回転数検出手段19は、エンジン2からの信号に基づき、エンジン2の回転数(以下、エンジン回転数という)を検出する。
上記学習制御手段28は、油圧制御手段17によりクリープ制御された際の学習値(前回のフィードバック値(FB値)を加味したフィードフォワード値(FF値))を学習補正して、次回のクリープ制御に反映させるように制御する。該学習制御手段28が、前回のFB値を加味したFF値を学習値として次回の制御時(クリープ制御時)の出力初期値とすることで、毎回の出力(クリープ力)のバラツキを抑えることができ、高品質な制御(クリープ制御)を実施することができる。本実施の形態では、歪みゲージ24及びトルク値算出手段16を用いた言わばトルク測定装置に発進クラッチ4を組み合わせた構成を備えるため、該発進クラッチ4の係合力を入力トルクとして(実際には入力トルク相当値として)測定することができ、従って、トルクによるFB制御装置を構成することで、入力トルクそのものでクリープ力の制御ができ、過度な製造品質をやや低減させる等により製造コストを削減することも可能になる。
ついで、本自動変速機の制御装置1の制御について、図1、図7〜図9のタイムチャート、図10のフローチャートを参照して説明する。なお、図7〜図9は本自動変速機の制御装置の作用を説明するためのタイムチャートであり、図10は本自動変速機の制御装置の作用を説明するためのフローチャートである。
図7(a)はブレーキオフで且つ車輌加速状態を示し、縦軸にトルクを、横軸にアクセルペダル開度(アクセル開度)をとっており、アイドリング領域(IDL領域)から、入力トルク目標値に沿ってアクセル開度に従って所要のクリープトルク(クリープ力)を持つように、発進時に必要なクリープ力(駆動力)を出力していく状況が示されている。また、図7(b)はブレーキオン状態を示し、縦軸にトルクを、横軸に車輌速度をとっており、車輌停止、再加速に備えて、クリープ力相当の係合力で待機する状況が示される。
また、図8は平坦路でのクリープ発進の場合を示し、図9は軽い登坂走行(クリープ力で丁度加速しない状態)の場合を示している。図8及び図9において、(a)はエンジン回転数の変化を示し、実線の(b)は自動変速機構5の入力軸10の入力回転数の変化を示し、破線の(c)はカウンタギヤ11の後流側の出力軸(不図示)の回転数(出力回転数)の変化を示し、(d)はアクセル開度センサ25の信号の変化を示し、(e)はブレーキセンサ15の信号の変化を示し、大破線の(f)はエンジントルク相当(イナーシャ無し)の変化を示し、中破線の(g)は目標入力トルクの変化を示し、小破線の(h)は(i)のサンギヤ分担トルクを入力相当値算出手段42が1.7985倍して算出した入力トルク相当の変化を示し、(i)はサンギヤS1の分担トルク(サンギヤ分担トルク)の変化を示し、(j)は係合させるべき発進クラッチ4に対応する油圧サーボ(図6の例えば29)への係合油圧の変化を示している。
まず、本制御装置1を搭載した車輌の停止状態において、例えば不図示のイグニッションスイッチがONされ、アクセルペダルが踏み込まれるまで待機する。そして、エンジン2がONし、かつブレーキペダルが踏み込まれてONしている状態から、ブレーキペダルが解放されてOFFすると(図8の時点t1参照)、エンジン回転数がやや上昇する(図8の(a)参照)。ここでは、油圧制御手段17の制御でクラッチC−1が係合して1速段が形成されているため、上記エンジン回転数の上昇に伴いエンジントルクが上昇する。
この際、図8の時点t1〜t2に現れるように、ブレーキOFFから発進クラッチ4の油圧サーボに油圧が供給され、サンギヤ分担トルクが作用し始める(S1)。つまり、この時点でピニオンP1からの反力を受けるサンギヤS1が軸部26に歪みを生じるため、該歪みが歪みゲージ24によって検出される。これにより、トルク値算出手段16が、サンギヤS1の歪みに起因して歪みゲージ24から出力される電気信号を受信し、サンギヤS1に作用したトルク値を算出し、入力相当値算出手段42が、歪みゲージ24及びトルク値算出手段16により検出されたトルク値に基づく入力トルク相当値を算出する。
また、入力相当値算出手段42で算出された入力トルク相当値に基づき(S2)、アクセル開度センサ25の信号に基づくアクセル開度と出力軸回転数(車速)センサ23に基づく車輌速度とに基づいて入力トルク目標値(目標入力トルク)が油圧制御手段17にて計算される(S3)。
更に、ステップS4において、油圧制御手段17が、発進クラッチ4の油圧サーボに供給する油圧のFF油圧(FF値)をFF値マップを参照して計算してFF制御を実行し、更に、FF油圧に偏差がある際にはFB油圧(FB値)を計算してFB制御を実行する。そして、ステップS5において、クリープ制御の継続条件を満たしているか否かを判断し、満たしている場合には、学習制御手段28が、上記FB油圧を上記FF油圧に加味した油圧を学習値として学習補正(S6)し、ステップS7に進む。一方、ステップS5において、クリープ制御の継続条件を満たしていない場合には、学習補正せずにステップS7に進む。なお、「クリープ制御の継続条件」とは、ブレーキOFF及び車輌停止0判定を行ってから、「最高車輌速度が7km/h以下」、「アイドリング中である」、「ブレーキOFF」、「入力目標トルクと検出トルクとが±xx%以内である」旨が、予め定められた所定時間以上継続的に検出されること、である。
そして、ステップS7では、入力トルクFB制御の終了条件が成立したか否かを判断し、成立していなければステップS1からの処理を繰り返し、成立していれば処理を終了する。ここで、「入力トルクFB制御の終了条件」とは、下記の「係合終了している」、「ブレーキONかつ車輌速度0」、「入力目標トルクと計測トルク(入力トルク相当)が0」の何れかが成立したときである。
なお、図8を参照した上記説明に対し、図9の例は軽い登坂(クリープ力で丁度加速しない場合)走行時であるので、図8の丸Aで示した部分に比して回転が0になり、FB制御は極めて難しい。
その後、運転者によるアクセルペダル操作による1速段での走行中に、油圧制御手段17が、出力軸回転数センサ23により検出される自動変速機構5の出力軸の回転数から算出される車速と、アクセル開度センサ25により検出されるアクセル開度とに基づき変速マップ18を参照し、アクセル開度が所定開度以上の場合にあってアップシフト変速点と判断すると、例えば1→2変速のパワーオンアップシフト変速を行う。
すなわち、運転者によりアクセルが踏み込まれてアクセル開度が上昇し、変速マップ18における1速段の領域から2速段の領域となる変速点を越えると、該時点から所定時間経過した時点において、油圧制御手段17により1−2変速判断がなされる。すると、油圧制御手段17において変速指令(フラグ)が2速段となり、1−2変速制御が開始される。そして、所定シフトバルブの操作等の前処理のための所定時間経過後、係合側油圧及び解放側油圧の変速制御が開始される。
ここで、発進クラッチ4を介して回転する入力軸10の回転が、リングギヤR1からキャリアCR1に伝達されるが、ブレーキB−1の係合でサンギヤS2が係止され、かつキャリアCR2がワンウェイクラッチF−1から解放される状態にて、キャリアCR1から、サンギヤS3、ショートピニオンPS、ロングピニオンPLを介してリングギヤR2に伝達され、該リングギヤR2からカウンタギヤ11を介して出力軸に伝達されることになる。
以上説明した本実施の形態では、歪みゲージ24及びトルク値算出手段16が、反力に基づきサンギヤS1に作用するトルク値を検出し、入力相当値算出手段42が、検出されたトルク値に基づく入力トルク相当値を算出し、油圧制御手段(発進制御手段)17が、入力相当値算出手段42により算出された入力トルク相当値に基づき、油圧サーボ(例えば図6の29)の作動を制御して発進クラッチ4からの出力を制御する。このため、具備した自動変速機構5に特有のサンギヤS1を利用して入力トルク相当値を測定し、該入力トルク相当値を入力目標トルクとして監視することで、油圧を適切に供給してFB制御しつつ、発進クラッチ4を的確に制御(クリープ制御)することができる。
ところで、トルクコンバータのストールトルクは安定しており、該トルクコンバータのクリープ力相当を目標として精度も統一しようとすると、AT油温の影響等を考慮した場合、規格内に抑え込むことは困難であるが、本発明を適用した本実施形態によれば、サンギヤS1に作用するトルクを用いて、実際のクリープ力からフィードバック制御を有効に行うことができる。
また、本実施の形態では、学習制御手段28が、クリープ制御された際の学習値を学習補正して次回のクリープ制御に反映させるので、毎回のクリープ力のバラツキを抑えることができ、高品質なクリープ制御を実施することができる。
また、本実施の形態では、油圧制御手段17が、油圧サーボ(例えば29)に供給する油圧の指令値(FF値、FF値マップ)に基づいて油圧を供給し、学習制御手段28が、目標差回転と実差回転とから算出した学習値(FB値)を算出し、上記指令値(FF値)に上記学習値(FB値)を加味した値とするので、油圧を適切に供給してFB制御しつつ、発進クラッチ4を的確に制御することができる。
更に、本実施の形態では、固定ギヤトルク検出手段が、入力軸10側から作用するトルクに起因するサンギヤS1の歪みを検出する歪みゲージ24と、該歪みゲージ24による検出結果に基づき、サンギヤS1に作用したトルク値を算出するトルク値算出手段16とからなる。このため、簡単な構造で比較的廉価な歪みゲージ24を歪み検出センサとして使用することができ、該歪みゲージ24をサンギヤS1の一部に直接貼り付ける等でサンギヤS1と変速機ケース9との歪みを容易に検出する構造が得られることで、クリープ制御に用いるトルク値の検出を、極めてシンプルな構造にて実現できる。
また、本実施の形態では、自動変速機構5が、入力軸10の回転を減速した減速回転を出力し得るプラネタリギヤSPと、自動変速機構5の出力軸(不図示)に接続されたリングギヤR2を含む4つの回転要素(S2,S3,CR2,R2)を有するプラネタリギヤユニットPUと、該プラネタリギヤユニットPUの2つの回転要素(S3,S2)のそれぞれにプラネタリギヤSPからの回転を入力自在にする2つのクラッチC−1,C−3と、プラネタリギヤユニットPUの1つの回転要素(キャリヤCR2)に入力軸10の回転を入力自在にするクラッチC−2とを有して、前進6速段を達成する。更に、サンギヤS1が、プラネタリギヤSPの常時回転が固定されたギヤであるので、変速機ケース9に固定されているサンギヤS1を有して前進6速段を達成するギヤトレーンを有する自動変速機構5を備える際に、サンギヤS1に歪み検出センサ等を取り付けるだけの比較的簡単な構成により、入力トルク変化を直接的に正確に検出して、クリープ制御に活用することができる。なお、前進6速段の変速に限らず、変速を行う自動変速機に本発明は適用し得る。
更に、本実施の形態では、プラネタリギヤSPが、変速機ケース9に固定されたサンギヤS1と、減速回転を出力するリングギヤR1と、入力軸10の回転を入力するキャリヤCR1とからなり、サンギヤS1を固定ギヤとしているので、変速機ケース9に固定されているサンギヤS1を有するギヤトレーンを有する自動変速機構5にて、サンギヤS1に歪みゲージ24を取り付けるだけの比較的簡単な構成により、入力トルクを早く且つ正確に検出して、クリープ制御に活用することができる。
以上の実施の形態では、自動変速機3として、FFタイプの車輌に用いて好適な前進6速及び後進1速を達成するものを例に挙げて説明したが、これに限らず、FRタイプ(フロントエンジン・リアドライブ)やその他のタイプの車輌に用いて好適な自動変速機であっても、変速機ケースに対して常時固定されるギヤ(例えばサンギヤ)を有するプラネタリギヤを備えたタイプであれば本発明を適用することが可能である。
また、以上の実施の形態では、変速機構として有段の自動変速機構5を用いた例を挙げて説明したが、これに限らず、変速機構としてCVT(無段変速機)を用いた例にも本発明を適用可能であることは勿論である。
1 自動変速機の制御装置
2 駆動源(エンジン)
3 自動変速機
4 発進クラッチ
5 変速機構(自動変速機構)
9 変速機ケース
10 入力軸
16 固定ギヤトルク検出手段(トルク値算出手段)
17 発進制御手段(油圧制御手段)
24 固定ギヤトルク検出手段、歪み検出センサ(歪みゲージ)
28 学習制御手段
29 油圧サーボ
42 入力相当値算出手段
C−1,C−3 減速クラッチ(クラッチ)
C−2 入力クラッチ(クラッチ)
CR1 キャリヤ
PU プラネタリギヤユニット(プラネタリギヤユニット)
R1 リングギヤ
R2 回転要素、出力要素(リングギヤ)
S1 固定ギヤ(サンギヤ)
S2,S3,CR2 回転要素(サンギヤ、サンギヤ、キャリヤ)
SP 減速プラネタリギヤ(プラネタリギヤ)
2 駆動源(エンジン)
3 自動変速機
4 発進クラッチ
5 変速機構(自動変速機構)
9 変速機ケース
10 入力軸
16 固定ギヤトルク検出手段(トルク値算出手段)
17 発進制御手段(油圧制御手段)
24 固定ギヤトルク検出手段、歪み検出センサ(歪みゲージ)
28 学習制御手段
29 油圧サーボ
42 入力相当値算出手段
C−1,C−3 減速クラッチ(クラッチ)
C−2 入力クラッチ(クラッチ)
CR1 キャリヤ
PU プラネタリギヤユニット(プラネタリギヤユニット)
R1 リングギヤ
R2 回転要素、出力要素(リングギヤ)
S1 固定ギヤ(サンギヤ)
S2,S3,CR2 回転要素(サンギヤ、サンギヤ、キャリヤ)
SP 減速プラネタリギヤ(プラネタリギヤ)
Claims (6)
- 油圧サーボにより断・接作動される発進クラッチを介して駆動源の回転を入力軸に入力する変速機構を備え、かつ該変速機構に、変速機ケースに対して固定されて前記入力軸の回転に対する反力が生じる固定ギヤを備えた、自動変速機の制御装置において、
前記反力に基づき前記固定ギヤに作用するトルク値を検出する固定ギヤトルク検出手段と、
前記検出されたトルク値に基づく入力トルク相当値を算出する入力相当値算出手段と、
該入力相当値算出手段により算出された入力トルク相当値に基づき、前記油圧サーボを作動制御して前記発進クラッチからの出力を制御する発進制御手段と、を備える、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 前記発進制御手段により制御された際の学習値を学習補正して次回の制御に反映させる学習制御手段を備えてなる、
請求項1記載の自動変速機の制御装置。 - 前記発進制御手段は、前記油圧サーボに供給する油圧の指令値に基づいて油圧を供給し、
前記学習制御手段は、目標差回転と実差回転とから算出した学習値を算出し、前記指令値に前記学習値を加味した値としてなる、
請求項2に記載の自動変速機の制御装置。 - 前記固定ギヤトルク検出手段は、
前記入力軸側から作用するトルクに起因する前記固定ギヤの歪みを検出する歪み検出センサと、
該歪み検出センサによる検出結果に基づき、前記固定ギヤに作用したトルク値を算出するトルク値算出手段と、からなる、
請求項1ないし3のいずれか1項記載の自動変速機の制御装置。 - 前記変速機構は、
前記入力軸の回転を減速した減速回転を出力し得る減速プラネタリギヤと、
前記変速機構の出力軸に接続された出力要素を含む4つの回転要素を有するプラネタリギヤユニットと、
該プラネタリギヤユニットの2つの回転要素のそれぞれに前記減速プラネタリギヤからの回転を入力自在にする2つの減速クラッチと、
前記プラネタリギヤユニットの1つの回転要素に前記入力軸の回転を入力自在にする入力クラッチと、を有して、前進5速段又は6速段を達成してなり、
前記固定ギヤは、前記減速プラネタリギヤの常時回転が固定されたギヤである、
請求項1ないし4のいずれか1項記載の自動変速機の制御装置。 - 前記減速プラネタリギヤは、前記変速機ケースに固定されたサンギヤと、前記減速回転を出力するリングギヤと、前記入力軸の回転を入力するキャリヤと、からなり、
前記固定ギヤは前記サンギヤである、
請求項5記載の自動変速機の制御装置。
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