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JP2009271719A - 高分子材料のシミュレーション方法 - Google Patents

高分子材料のシミュレーション方法 Download PDF

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JP2009271719A JP2008121449A JP2008121449A JP2009271719A JP 2009271719 A JP2009271719 A JP 2009271719A JP 2008121449 A JP2008121449 A JP 2008121449A JP 2008121449 A JP2008121449 A JP 2008121449A JP 2009271719 A JP2009271719 A JP 2009271719A
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Abstract

【課題】 能率良く高分子材料のエネルギーロス発生箇所を特定する。
【解決手段】 分子動力学計算を用いて高分子材料のシミュレーションを行う方法であって、解析対象の高分子材料から、その分子構造に基づいて、原子又はその集合体を表す有限個の粒子と、この粒子間を結合して各粒子の相対位置を定義する結合鎖とを含む三次元構造の分子鎖モデルを設定するモデル設定ステップS1、前記分子鎖モデルを分子動力学計算に基づいて安定化させる構造緩和のシミュレーションを行うステップS2、前記構造緩和後の分子鎖モデルを分子鎖部分に分解しかつそれぞれの分子鎖部分に生じる応力を計算する応力計算ステップS3、及び前記応力計算ステップで計算された各分子鎖部分の応力に基づいてエネルギーロスの主要な発生箇所を決定する決定ステップS4を含むことを特徴とする高分子材料のシミュレーション方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、能率良く高分子材料のエネルギーロス発生箇所を分子レベルで特定することができるシミュレーション方法に関する。
プラスチック又はゴムのような高分子材料において、そのエネルギーロスは製品の様々な特性に影響を及ぼす重要な物理量である。例えば、ゴム製品であるタイヤにおいて、エネルギーロスは燃費性能やグリップ性能に密接に係わっており、適切な制御が必要と考えられる。従来、目的とするゴム材料を得るために、ゴム材料の配合設計、試作及びエネルギーロスの測定試験といった工程を含む開発サイクルが繰り返される。
しかしながら、従来の開発サイクルでは、ゴムのどの部分、具体的にはどの分子でエネルギーロスが多く発生しているか等の情報を知ることはできない。従って、例えば、エネルギー伝達効率の良いゴム材料を開発するためには、これまでの知見や経験などに依存した試行錯誤的な作業が多く効率的ではない。
このような実情に鑑み、本件出願人は、分子動力学計算を用いて、高分子材料のエネルギーロス発生箇所を分子レベルで決定しうるコンピュータシミュレーション方法を既に提案した(下記特許文献1参照)。この方法では、下記のイないしニのステップを経て行われる。
(イ)高分子材料の分子構造に基づいた粒子・結合鎖を具える分子鎖モデルを含む分子構造モデルの設定
(ロ)人為的影響を取り除くための分子構造モデルの構造緩和処理
(ハ)構造緩和後、分子構造モデルに任意の軸方向についての負荷変形及び除荷変形を与える変形シミュレーションの実行
(ニ)変形シミュレーションの後、特定の歪状態における負荷変形時における前記軸方向に対する結合鎖の角度αi と同一の歪状態かつ除荷変形時の結合鎖の角度α'iとの差(α'i−αi )が大きい箇所をエネルギーロスの発生箇所として特定
しかしながら、上述のような変形シミュレーション(ステップ(ハ))は、原子や分子の動きを追跡しなければならないため、計算の時間増分がフェムト秒オーダのように非常に小さくならざるを得ない。この結果、変形シミュレーションの計算には、非常に多くの時間が必要であった。また、変形シミュレーションに要する計算時間を短縮させるために、変形速度を高速にする必要があるなど、種々の制約が存在する。このような制約は次のような不具合をもたらす。即ち、高分子材料は変形速度によって特性や変形挙動が大きく異なる。例えば、タイヤにおいては、そのゴム部分や走行速度によって変形速度が種々異なる。従って、これらを評価するためには、種々の変形速度でのシミュレーションを行う必要がある。しかしながら、これまでの分子動力学による変形シミュレーションでは、非常に高速な変形速度の特性、変形挙動しか得られず十分ではない。
特開2007−107968号公報
発明者らは、変形シミュレーションに非常に多くの時間を要するという事実に鑑み、種々の研究を重ねた。その結果、詳細な理由は後述するが、高分子材料の分子鎖モデルの中で主要なエネルギーロスを発生する箇所は、意外にも分子構造モデルを構造緩和した後に特定の圧縮応力状態の分子鎖部分であるという新規な知見を得た。従って、構造緩和後の分子鎖モデルの中で、このような特定の応力状態の分子鎖部分を知ることができれば、従来のような変形シミュレーションを行うことなしに分子鎖モデルの中のエネルギーロスの主たる発生箇所を決定でき、大幅に開発能率を高めることができる。
以上のように、本発明は、高分子材料の主要なエネルギーロスの発生箇所を、変形シミュレーションを行うことなく分子レベルで突き止めることにより、計算時間の大幅な短縮を可能とし、ひいては高分子材料の設計ないし開発の能率化を図るのに役立つシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、分子動力学計算を用いて高分子材料のシミュレーションを行う方法であって、解析対象の高分子材料の分子構造に基づき、任意の空間を有するセル内に、原子又はその集合体を表す有限個の粒子と、この粒子間を結合して各粒子の相対位置を定義する結合鎖とからなる三次元構造の分子鎖モデルを配置した分子構造モデルを設定するステップ、前記分子構造モデルを分子動力学計算に基づいて安定化させる構造緩和のシミュレーションを行うステップ、前記構造緩和後の分子鎖モデルを分子鎖部分に分解しかつそれぞれの分子鎖部分に生じる応力を計算する応力計算ステップ、及び前記応力計算ステップで計算された各分子鎖部分の応力に基づいてエネルギーロスの主要な発生箇所を決定する決定ステップを含むことを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記決定ステップは、圧縮応力が大きい分子鎖部分をエネルギーロスの主要な発生箇所として決定する請求項1記載の高分子材料のシミュレーション方法である。
また請求項3記載の発明は、前記応力計算ステップは、結合鎖を介して連続する4粒子が構成する立体配座に基づいて前記分子鎖モデルを分子鎖部分に分解する請求項1又は2記載の高分子材料のシミュレーション方法である。
また請求項4記載の発明は、前記応力計算ステップは、前記分子鎖モデルを2粒子の結合長に基づいて分解しかつそれぞれの結合長を中心軸とする立体配座毎に区別して応力を計算する第1の計算ステップと、この第1の計算ステップの結果に基づいて、大きな圧縮応力が生じる結合長−立体配座の組み合わせを特定するステップと、前記特定された結合長−立体配座の組み合わせについて、その両端に結合される粒子をさらに考慮して分子鎖モデルを3つの連続する立体配座の並び別にグループ化しかつ各グループ毎の応力を計算する第2の計算ステップとを含むとともに、前記決定ステップは、前記第2の計算ステップの結果に基づいて、圧縮応力が大きいグループを、エネルギーロスの主要な発生箇所として特定する請求項1記載の高分子材料のシミュレーション方法である。
また請求項5記載の発明は、前記エネルギーロスの主要な発生箇所として決定された部分を他の部分と差別化して表示するステップをさらに含む請求項1乃至4のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法である。
本発明のシミュレーション方法では、構造緩和後の分子鎖モデルを分子鎖部分に分解しかつそれぞれの分子鎖部分に生じる応力を計算し、その各分子鎖部分の応力に基づいてエネルギーロスの主要な発生箇所を決定することができる。従って、高分子材料の分子鎖モデルの具体的な変形シミュレーションを行うことなく、エネルギーロスの発生箇所を原子又は分子レベルで特定できる。よって、高分子材料の開発を短時間でかつ能率的に行うことができる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本発明では、分子動力学計算を用いた高分子材料のシミュレーションがコンピュータ装置(図示せず)によって行われる。
前記分子動力学( Molecular Dynamics : MD)計算は、コンピュータ装置を用いたシミュレーションの一種である。分子動力学では、先ず、解析の対象となる高分子材料の分子構造に基づいて多数の原子又はその集合体(分子を含む)からなる粒子を配置したモデル(系)が設定される。そして、このモデルは、配置された全ての粒子が古典力学に従うものとされ、ニュートンの運動方程式を適用して各時刻における全ての粒子の動きが追跡される。このような分子動力学計算によれば、粒子の微視的な運動をできる限り正確に追跡することができ、実験結果などに頼ることなく、物質の性質や運動を明らかにすることができる。また、構造緩和や追跡時間等の調節により、粒子の初期配置といった人為的操作に依存しない正確なシミュレーション結果を得ることができる。
前記高分子材料は、高分子を含む材料であれば特に限定されないが、例えば天然ゴム、合成ゴム及び合成樹脂を少なくとも含む有機高分子材料が好適である。本実施形態では、高分子材料としてcis-1,4ポリブタジエンを用いて以後の説明が行われる。
また、前記コンピュータ装置は、特に制限されないが、好ましくは計算処理能力の高いスーパーコンピュータ等が好適に用いられる。
図1には、本実施形態のシミュレーション方法の具体的な処理手順が示される。
本実施形態のシミュレーション方法では、先ず解析対象となる高分子材料であるcis-1,4ポリブタジエンから、その分子構造に基づいて、シミュレーション用の分子構造モデル1(図9に示す)が設定される(ステップS1)。
図2(a)には、cis-1,4ポリブタジエンのモノマー{−[CH−CH=CH−CH]−}の構造図を示す。cis-1,4ポリブタジエンは、メチレン基(−CH−)とメチン基(−CH−)とから構成される。
また、図2(b)には、上記モノマーをシミュレーション上で取り扱うためにその分子構造に基づいてモデル化(疑似化)したモノマーモデル2aを、さらに図2(c)には、モノマーモデル2aを有限個連続して連結することにより形成された1本の分子鎖モデル2の部分平面図がそれぞれ示される。
前記分子鎖モデル2は、原子又はその集合体を表す複数かつ有限個の粒子3と、この粒子3、3間を結合して各粒子の相対位置を定義する結合鎖4とを含む三次元構造を有する。また、粒子3は、メチレン基に対応する粒子3aと、メチン基に対応する粒子3bとからなる(なお、これらの粒子を総称するとき、単に「粒子3」と表示する。)。
本実施形態の分子鎖モデル2は、"United Atom Model"に従ってモデル化されている。即ち、ポリブタジエンの水素原子は陽に扱わず、CH、CHは、それぞれ水素原子の効果を織り込んだ原子の集合体としての一つの粒子3として取り扱われる。ただし、全ての原子をそれぞれ粒子3として捉えるいわゆる "Full Atom model"により、解析対象の分子構造がモデル化されても良い。このように、分子鎖モデル2の粒子3は、cis-1,4ポリブタジエンの分子構造を表すことができる。
また、前記粒子3は、分子動力学計算に基づいたシミュレーションにおける運動方程式の質点として取り扱われる。従って、粒子3には、質量はもとより、体積、直径、電荷及び/又は初期座標などのパラメータが定義される。これらの各パラメータは、数値情報としてコンピュータ装置に入力される。また、前記結合鎖4は、粒子3、3間の相対位置を特定しかつ拘束するもので、これは例えばベクトル情報としてコンピュータ装置に入力される。
また、分子鎖モデル2は、3次元構造を有し、図3(a)〜(c)に示されるように、各粒子3、3間の結合長さ(「ボンドストレッチ」と言う場合がある。)である結合長r、同図(b)に示されるように、結合鎖4を介して連続する3つの粒子3がなす角度(単に「ベンディング」と言う場合がある。)である結合角θ、及び同図(c)に示されるように、結合鎖4を介して連続する4つの粒子3において、隣り合う3つの粒子が作る第1の平面P1と第2の平面P2のなす角度(以下、単に「トーション」と言う場合がある)である二面角φがそれぞれ定義される。なお、分子鎖モデル2は、外力又は内力によって、上記結合長、結合角及び二面角が変化する。
さらに、分子動力学計算では、分子鎖モデル2に対して、図3(a)の結合長rのポテンシャル(略記号:Ebs)、同図(b)の結合角θ(略記号:Ebe)、同図(c)の二面角φのポテンシャル(略記号Eto)及び図3(d)で示されるように、互いに連結されていない粒子間のファンデルワールス力のポテンシャルr’(略記号:Evw)の相互作用が定義される。これらのポテンシャル関数は、種々のものが採用できるが、本実施形態では、下記式(1)〜(5)が採用される。
なお、ポリブタジエンのモノマーは−[CH−CH=CH−CH]一であるから、結合長は、CH=CH、CH−CH及び両者を繋ぐCH−CHの3種類になる。いずれも調和振動子として長さの変化に対するポテンシャルが表現される。また、上記式(2)中のばね定数kならびに平衡長rは、本実施形態では、各結合長毎にそれぞれ異なる値が以下のように定められる。
CH−CH
=663(kJ/mol・nm)、r=1.54(nm)
CH−CH
=769(kJ/mol・nm)、r=1.50(nm)
CH=CH:
=1033(kJ/mol・nm)、r=1.335(nm)
同様に、ポリブタジエンでは、3つの粒子間の結合角は、CH−CH−CHと、CH=CH−CHの2種類になる。いずれも調和振動子として角度の変化に対するポテンシャルが表現される。上記式(3)中のばね定数kθ及び平衡角度θは、本実施形態では各結合角毎にそれぞれ異なる値が以下のように設定される。
CH−CH−CH:
θ=482(kJ/mol・rad)、θ=111.6(deg)
CH=CH−CH2
θ=374(kJ/mol・rad)、θ=124.0(deg)
さらに、4つの粒子で作られる二面角φは、図3(c)に示したように、一つの結合鎖4を中心軸CLとする分子鎖内の回転を表すポテンシャルであるが、その中心軸CLで区別すると、CH=CH、CH−CH、及びCH−CHの3種類が存在する。これらは、下記のように、上記式(4)中の安定点ならびにエネルギー障壁が異なっている。
CH−CH
1=3.35(kJ/mol)
3=13.4(kJ/mol)
2=k4=0(kJ/mol)
CH−CH
1=k2=k3=0(kJ/mol)
4=7.95(kJ/mol)
CH=CH:
1=k3=k4=0(kJ/mol)
2=58.6(kJ/mol)
また、図4には、二面角φによる1粒子当たりのトーションポテンシャル(φto)の変化を示す。また、図5には、中心軸CLをなす結合鎖4に沿って見たときの両端の2粒子の位置関係(Newman投影図)を示す。
図4、図5及び図6に示されるように、中心軸CLをなす結合鎖4が二重結合のCH=CHの場合、二面角φは0゜と180゜が安定点になる。そして、0゜及び180゜の二面角を持つ4つの粒子がなす単結合の立体構造、即ち立体配座(又はコンフォメーションとも呼ばれる)はそれぞれcis及びtransと呼ばれる。
また、図4、図5及び図7に示されるように、中心軸CLがCH−CHの場合、二面角は0゜及び±120゜が安定点になる。前者の立体配座はcis、後者の立体配座はanticlinalと呼ばれる。
さらに、図4、図5及び図8に示されるように、中心軸CLがCH−CHの場合、二面角φは、180゜の安定点(trans)に加え、transに比べわずかに高いエネルギーを極小値とする準安定な二面角として±67.5゜が存在する。この立体配座は、gaucheと呼ばれる。
また、図9に示されるに、本実施形態の分子構造モデル1は、予め定められた微小体積を持ったセルSの中に複数本の分子鎖モデル2を配置することで設定される。該セルSは、分子鎖モデル2の可動範囲を定める境界をなす(換言すれば、セルSは、解析対象のポリブタジエンの微小部分に相当する。)。本実施形態のセルSは、20nm×20nm×20nmの微小な立方体として定義されるが、これに限定されるものではなく、種々の形状及び/又は大きさで定めることができる。
分子構造モデル1を設定する手順は、特に限定されるものではない。例えば、セルS内の任意の位置に開始点となる初期の立体配座(例えばcisに固定されたモノマー:CH−CH=CH−CH)を定義し、その一端又は両端に、乱数を用いて二面角φをランダムに設定することにより、ランダムコイル状の分子鎖モデル2をセル中Sに成長させることで設定できる。分子鎖モデル2を成長させる途中において、セルSの壁に遮られ目的とする長さの分子鎖モデル設定できなくなった場合、当該分子鎖モデルを破棄し、開始点を新たに設定して新たに分子鎖モデル2を設定することができる。
これらの処理を繰り返すことにより、セルS内に必要な本数の分子鎖モデル2を配置した分子構造モデル1を作ることができる。即ち、解析対象のポリブタジエンの密度になるように、セルS内の分子鎖モデル2の本数ないし粒子数が調整される。本実施形態において、セルSと分子鎖モデル2とからなるポリブタジエンの構造モデルは、次のように設定された。
密度:0.86g/cm
分子鎖モデルの総数:1000本
総粒子数:300792個
また、本実施形態では、前記セルSの中に、長さ(ここで言う長さは、1本の分子鎖モデル2に含まれる粒子3の数とし、以下同様である。)が異なる複数種類の分子鎖モデル2が定義されている。具体的には、各分子鎖モデル2は、その平均長さが300、かつ、標準偏差が50の正規分布に従って定められた。
次に、本実施形態では、分子動力学計算に基づいて該分子鎖モデル2を安定化させる構造緩和のシミュレーションが行われる(ステップS2)。
この構造緩和のシミュレーションでは、初期設定された分子構造モデル1について、全方向自由境界条件の下、予め定めた時間で分子動力学計算が行われる。これにより、各分子鎖モデル2は、セルS内を古典力学に従って自由に移動・変形する。これは、分子鎖モデル2の初期構造の影響(人為的影響)を無くし、分子構造モデル1の安定化ないし準安定化を図ることができる。
構造緩和のシミュレーションにおいて、積分の時間ステップ、温度及び/又は緩和時間等は任意に定めることができる。本実施形態の構造緩和のシミュレーションは、次のような条件で行われた。なお、緩和時間には、例えば、ポテンシャルエネルギー及び応力が、実質的に変化しなくなるのに必要かつ十分な時間が設定されることが望ましい。
積分:Verlet法
積分の時間ステップ:0.1fs
温度:300K(速度スケーリング法によって制御)
緩和時間:40ps(=40000fs)
図10には、構造緩和中の分子鎖モデル2のz軸方向の応力及びポテンシャルエネルギーの時系列変化を示す。ここで、「分子鎖モデル2のz軸方向の応力」とは、セルS内の全ての分子鎖モデル2のz軸方向の応力を示す。具体的には、図11に模式的に示されるように、セルS内の各粒子3において、z軸方向の正方向に作用する力(切断法による内力)Pz i、Pz j、Pz k…を加算することにより該セルSに働くz方向の軸力を求め、それを可動部分の体積で徐すことにより下式で計算されるものとする。
P=ΣPz i/(L×Lz×L
図10から明らかなように、分子鎖モデル2には、t=0近傍の初期構造時には、極めて大きな圧縮応力が生じている。しかし、構造緩和開始から20ps以降、応力は、振動してはいるもののその平均が約40MPa程度でほとんど変化していないことが分かる。また、ポテンシャルエネルギーも、初期構造時の極めて高いエネルギー状態から急激に低下した後、緩やかに減少して40psでは実質的に0となって変化が止まっている。つまり、本実施形態の分子鎖モデル2は、40psの時間で十分な構造緩和が行われたことが分かる。ただし、ポテンシャルエネルギーは、構造緩和後、必ずしも零になるとは限らない。
従来のシミュレーション方法では、上記構造緩和を行った後、変形シミュレーションが行われる。しかし、この変形シミュレーションは、分子構造モデル1に変形を与える必要があるため、非常に多くの計算時間を必要とすることは上述の通りである。
発明者らは、構造緩和後の分子鎖モデル2を各分子鎖部分の応力に分けて分析し、これを変形シミュレーションの結果と突き合わせることを行った。その結果、高分子材料の分子構造の中で主要なエネルギーロスを発生する箇所は、意外にも分子鎖モデル2を構造緩和した後に特定の応力状態を示すことを知見した。具体的には、主要なエネルギーロスを発生する箇所は、構造緩和後に圧縮応力が残存している部分であることを知見した。従って、構造緩和後の分子鎖モデル2の中で、このような圧縮応力が残存する部分を特定できれば、従来のような変形シミュレーションを行うことなしに分子鎖モデル2の中のエネルギーロスの主たる発生箇所を能率良く決定でき、大幅に開発能率を高めることができる。以下、さらに詳細に述べる。
先ず、粒子3に作用する力は、前記式(1)の空間微分から得られる。従って、式(2)〜(5)から、各ポテンシャル成分、即ち結合長(ボンドストレッチ)、結合角(ベンディング)、二面角(トーション)及びファンデルワールスのポテンシャルへの寄与分を計算することができる。図13には、このようにして得られた上述の応力σzzの変化に対する結合長の寄与分を示す。図13を図10の応力変化と比較すれば、構造緩和後の分子鎖モデル2の残留応力σzzは、実質的に結合長のポテンシャルによるものであることが分かる。なお、ベンディング、トーション及びファンデルワールスについて計算したが、いずれもこれらの寄与分はほぼ零であった。
次に、発明者らは、構造緩和後の残留応力を担っている結合長をさらに種別化し、その応力状態を調べた。具体的には、ポリブタジエンに含まれる3種類の結合長CH=CH、CH−CH及びCH−CHをそれぞれが中心軸CLとなる立体配座によって分類し、それらの応力の分布が調べられた。例えば、図6に示したように、結合長CH=CHを中心軸CLとする場合、その結合長の応力が、安定的な立体配座であるcis及びtransに分類して計算された。また、図7に示したように、結合長CH−CHを中心軸CLとして有する場合、その安定的な立体配座であるcis及びanticlinalについて、個々の結合長の応力が計算された。さらに、図8に示したように、結合長CH−CHを中心軸CLとして有する場合、その安定的な立体配座であるgauche及びtransについて、個々の結合長の応力が計算された。
図14(a)〜(c)には、上記で計算された各応力を構造緩和中の時系列変化で示す。なお、これらの各応力の和が図13の系全体のボンドストレッチの応力に相当するものである。また、構造緩和中での立体配座の決定は、各安定点の角度±30゜以内にある二面角をcisやtransといった安定的な立体配座に含めて評価し、それ以外は"other"として分類した。また、図14では、CH=CH、CH−CH、CH−CHの結合長の応力が立体配座毎に計算されているが、これらの応力は、結合長の両端の粒子のみを対象として図11の場合と同様に計算される。
図14から明らかなように、構造緩和後、大きい引張応力(正の応力)は、中心軸CLがCH=CHの結合長ではtrans及びother、CH−CHの結合長ではcis及びotherである。これに対して、構造緩和後に大きい圧縮応力(負の応力)を生じるのは、中心軸CLがCH=CHの結合長ではcis、及び、同CH−CHの結合長ではanticlinalである。なお図14(c)のCH−CHの結合長では、同図(a)、(b)に比べて、発生している引張及び圧縮の応力は無視しうる程度に十分小さいと言える。
発明者らは、構造緩和後に大きい圧縮応力(負の応力)が生じている結合長−立体配座の組み合わせ(CH=CHのcis及びCH−CHのanticlinal)に着目し、これらをさらに種別化して応力状態を調べることを試みた。具体的には、前記結合長−立体配座の組み合わせ(これは4つの粒子3から構成される)に、その両端に結合される2つの粒子3をさらに考慮した合計6つの粒子群を特定し、この粒子群を3つの連続する立体配座の並び別にグループ化しかつ各グループ毎の応力を計算した。なお、構造緩和中での立体配座の決定は、上述の通り、各安定点±30゜以内にある二面角をcisやtransといった安定的な立体配座として評価し、それ以外は"other"として分類した。その結果を図15(a)、(b)に示す。
図15(a)に示されるように、CH=CHの結合長を中心に有する6つの粒子群では、(anticlinal)−(cis)−(anticlinal)の3つの立体配座の並びのグループで大きな圧縮応力を生じていることが分かる。このときの粒子3の並びを図16(a)に示す。
同様に、図15(b)に示されるように、CH−CHの結合長を中心に有する6つの粒子群では、cis−anticlinal−gauche及びcis−anticlinal−transの3つの立体配座の並びのグループがそれぞれ圧縮応力を示すことが分かった。このときの粒子群の並びを図16(b)及び(c)にそれぞれ示す。
図16(b)及び(c)を精査すると、それらの中心の4粒子の構造(CH=CH−CH−CH)は、図16(a)の粒子群の右側4つの並びと共通していることが分かる。また、図15(a)、(b)の比較においても、図16(a)の粒子の並びのグループの方が大きい圧縮応力を生じる。これらより、図16(a)の並びのグループ(粒子群)に、圧縮応力が生じていることが分かる。そこで、発明者らは、このようなcis1,4のモノマー構造の両端の二面角がanticlinalをなす粒子群(つまり、図16(a)の実線で表された6つの粒子群)を圧縮ノードとして特定した。
さらに、発明者らは、上述の構造緩和後の分子構造モデル1を用いて変形シミュレーションを行い、それから得られる応力−ひずみ曲線のヒステリシスロスにこのような圧縮ノードがどのように影響しているのかを調べた。
変形シミュレーションは、図9で示した前記セルSの上下面から1nm以内の領域に存在する粒子3をつかみ部とし、それ以外の粒子3は自由に運動できる(但し、境界を越えることはできない)条件として、セルSの上下方向(z軸方向)に最大ひずみεzz=1.0となるまで引っ張ることにより行われた。この際、積分の時間ステップは1.0fsとし、毎ステップΔεzz=1.0×10-5のひずみ増分を与えてひずみを増加させた(ひずみ速度に換算すると1.0×1010/s)。なおセルsの上側のつかみ部から下側のつかみ部まで連続する分子鎖モデル2は存在していない。
また、ひずみはその全粒子3のz座標をスケーリング(アフィン変形)することで与えたが、ひずみ増分が小さく系の内部構造緩和が逐次生じるため、変形後期の内部構造は、初期のそれをアフィン変形させたものとは異なるものとなる。そして、最大ひずみεzz=1.0に達した後、保持時間0でひずみを反転させ、同一ひずみ速度で除荷が行われた。この引張一除荷を1サイクルとして、2サイクルの繰り返し変形シミュレーションが行われた。変形シミュレーションにおいて、系の温度は300Kとし、速度スケーリングにより制御した。
図17には、変形シミュレーションによるz軸方向の応力一ひずみの関係を示す。濃い色の線が1サイクル目、薄い色の線が2サイクル目の変形を示す。図では、負荷及び除荷サイクルでの応力経路の相違により、複数本の分子鎖モデル2からなるポリブタジエンの分子構造モデル1には大きなエネルギーロスが再現されている。
発明者らは、図17で得られた応力−ひずみの関係について、各ポテンシャル毎の寄与分を計算した。その結果を図18に示す。図18から明らかなように、変形シミュレーションで得られたヒステリシスロス(エネルギーロス)も、大部分が結合長によって担われており、残りはファンデルワールスであることが分かった。結合角及び二面角は、系の応力変化にあまり寄与しておらず、ヒステリシスロスにも実質的に影響していないことも分かった。
そこで、発明者らは、図17の1サイクル目の応力変化を、圧縮ノードに属する結合長に生じる応力、及びそれ以外(非圧縮ノード)の結合長に生じる応力にそれぞれ分けて計算を行った。その結果を図19に示す。図19のグラフの負側には、「圧縮ノードに属する結合長に生じる応力」が記載されている。つまり、cis1,4のモノマー構造の両端の二面角がanticlinalをなす粒子群の応力が記載されている。また、図19の正側には、上記圧縮ノードに属さない立体配座をとる粒子、即ち3種類の結合長CH−CH、CH−CH及びCH=CHの応力寄与分がそれぞれ記載される。
図19から明らかなように、非圧縮ノードに属するCH=CH及びCH−CHの結合長では、初期引張応力のままほとんど変化せず実質的に一定の応力を示し、除荷変形過では、僅かに低い応力側にずれているだけである。つまり、ヒステリシスヘの寄与は殆ど無いと言える。同様に、非圧縮ノードに属するCH−CHの結合長は、引張りを与えると初期引張応力から5MPa程度の上昇を示すが、すぐにほぼ一定となり変化していないことが分かる。なお、この結合長も、先のCH−CH、CH−CHと同様、ヒステリシスロスへの寄与は小さい。
他方、圧縮ノードは、大きなヒステリシスロスを示していることが分かる。初期状態で残存していた圧縮ノードの圧縮応力は、引張に対して”バッファ”となり、引張過程ではひずみの増加につれて緩やかに応力が回復し上に凸の曲線となる。一方、除荷初期の応答は、やや下に凸の曲線となる。また、ひずみεzzが0.5を下回ると、初期応力よりも圧縮応力が大きく変形抵抗が急激に上昇する。このため、圧縮ノードの応力曲線は、上に凸(圧縮ひずみ、応力を正とすると下に凸の2次曲線状)になる。以上より、変形シミュレーションによって得られたヒステリシスロスの大部分は、圧縮ノードによって生じることが判明した。
また、図20(a)には、圧縮ノードの割合が大きい分子鎖モデル2(高圧縮モデル2X)の一例を、また図20(b)には、圧縮ノードの割合が小さい分子鎖モデル2(低圧縮モデル2Y)の一例をそれぞれ視覚化して示す。圧縮ノードを薄い灰色で、それ以外の構造をとる分子鎖部分は黒色で着色している。なお、圧縮ノードの割合は、分子鎖モデル2内で圧縮ノードに分類された粒子数を、分子鎖モデル2の全粒子数で除すことにより計算される。
図20から明らかなように、高圧縮モデル2Xは、粒子が非常に密に分布し、その全体形状は糸まり状を呈している。このため、圧縮ノードの結合長に圧縮応力が生じたと考えられる。他方、低圧縮モデル2Yは、粒子3が比較的疎に分布しかつ直線状の部分が多く、高圧縮モデル2Xに比べるとやや広がった形状を呈していることがわかる。
以上を整理すると、次の通りである。
a)ランダムに成長させたポリブタジエンの分子鎖モデル2は、十分な構造緩和を行っても一部の結合長に応力が残留する。
b)残留応力を生じる結合長のうち、cis−1、4の立体配座のモノマーにおいて、両端のCH−CHの二面角がanticlinalとなるノードの結合長は、大きな圧縮応力が生じる圧縮ノードとなっている。また、他の結合長にはすべて引張応力が生じる。
c)圧縮ノード以外の結合長は、引張変形時にほとんど応力上昇せず、ヒステリシスヘの寄与は小さい。
d)圧縮ノードに属する結合長は、引張によって圧縮応力が大きく回復するとともに、除荷時には圧縮側の経路をとって大きなヒステリシスを示す。
以上のように、構造緩和後の分子鎖モデル2に残留圧縮応力が生じている分子鎖部分(分子鎖モデルの局所構造)を突き止めることにより、ヒステリシスロスの主要な発生箇所を特定することができる。
従って、本発明では、このような新規な知見に基づき、図1に示されるように、構造緩和後の分子鎖モデル2を分子鎖部分に分解しかつそれぞれの分子鎖部分に生じる応力を計算し(応力計算ステップS3)、該応力計算ステップS3の結果から圧縮応力の大きい分子鎖部分をエネルギーロスの主要な発生箇所として決定する(決定ステップS4)。
また、応力計算ステップS3では、上述のように、分子鎖モデル2を段階的に分子鎖部分に分解することが望ましい。即ち、図12にまとめたように、先ず、各分子鎖モデル2を結合長毎に分解しそれぞれの結合長を中心軸とする立体配座毎の応力を計算し(第1の計算ステップS31、図14)、この第1の計算ステップの結果に基づいて、大きな圧縮応力が生じる結合長−立体配座の組み合わせを特定し(ステップS32)、さらにステップS32で特定された結合長−立体配座の組み合わせについて、その両端に結合される粒子をさらに考慮して分子鎖モデルを3つの連続する立体配座の並び別にグループ化しかつ各グループ毎の応力を計算することが望ましい(第2の計算ステップS33、図15)。そして、決定ステップS4では、前記第2の計算ステップS33の結果に基づいて、圧縮応力が大きいグループを、エネルギーロスの主要な発生箇所として決めれば良い。これにより、より精度良くエネルギーロスの主要な発生箇所を特定できる。
なお、前記「特定」は、例えばコンピュータ装置上に記憶されている該当する粒子3にフラグ等の何らかの情報を書き込むことによって行うことができる。
次に、本実施形態では、エネルギーロスの発生箇所として特定された結合鎖4を、他の結合鎖4と差別化して前記分子鎖モデルを視覚化して表示するステップをさらに含む(ステップS5)。このステップでは、例えば図20に示したように、圧縮ノードと非圧縮ノードとを色を変えてモニタ等に表示又は印刷することにより行われる。これにより、分子構造中のどの部分でエネルギーロスが多く生じているのかを、容易に確認かつ全体的に判断できる。そして、そのようにエネルギーロス発生箇所として特定された部分に種々の改良を加えることで高分子材料の設計、試作を能率的に行うことができる。
以上の本発明の実施形態についてポリブタジエンを例に挙げて説明したが、他の高分子材料についても同様の手法で実施しうるのは言うまでもない。
本発明の処理手順を示すフローチャートである。 (a)はcis1,4ポリブタジエンのモノマーの構造式、(b)はそれをモデル化した図、(c)は分子鎖モデルの部分平面図である。 (a)〜(d)はポテンシャルを説明する分子鎖モデルの部分図である。 トーションのポテンシャル関数である。 中心軸をなす結合鎖に沿って見たときの両端の2粒子の位置関係を示すNewman投影図である。 結合鎖を介して連続する4つの粒子の立体配座を説明する図である。 結合鎖を介して連続する4つの粒子の立体配座を説明する図である。 結合鎖を介して連続する4つの粒子の立体配座を説明する図である。 セル内に分子鎖モデルを配置した高分子材料の構造モデルの斜視図である。 構造緩和中の分子鎖モデルのz軸方向の応力及びポテンシャルエネルギーの時系列変化を示すグラフである。 セルの模式図である。 応力計算ステップの具体例を示すフローチャートである。 分子鎖部応力の変化に対する結合長の寄与分を示す。 (a)〜(c)には、分子鎖モデルの各結合長について、応力を立体配座毎に分解して示すグラフである。 (a)及び(b)は、各結合長について、3つの連続する立体配座の並び別にグループ化しかつ各グループ毎の応力を計算したグラフである。 (a)〜(c)は分子鎖モデルの部分平面図である。 変形シミュレーションによるz軸方向の応力一ひずみの関係を示す。 図17で得られた応力−ひずみ応答の各ポテンシャル毎の寄与分を示すグラフである。 図17の1サイクル目の応力変化を、圧縮ノードに属する結合長に生じる応力、及びそれ以外(非圧縮ノード)の結合長に生じる応力にそれぞれ分けて調べた結果を示すグラフである。 (a)は高圧縮モデル、(b)は低圧縮モデルの一例をそれぞれ視覚化して示す斜視図である。
符号の説明
2 分子鎖モデル
3 粒子
4 結合鎖
S セル

Claims (5)

  1. 分子動力学計算を用いて高分子材料のシミュレーションを行う方法であって、
    解析対象の高分子材料の分子構造に基づき、任意の空間を有するセル内に、原子又はその集合体を表す有限個の粒子と、この粒子間を結合して各粒子の相対位置を定義する結合鎖とからなる三次元構造の分子鎖モデルを配置した分子構造モデルを設定するステップ、
    前記分子構造モデルを分子動力学計算に基づいて安定化させる構造緩和のシミュレーションを行うステップ、
    前記構造緩和後の分子鎖モデルを分子鎖部分に分解しかつそれぞれの分子鎖部分に生じる応力を計算する応力計算ステップ、及び
    前記応力計算ステップで計算された各分子鎖部分の応力に基づいてエネルギーロスの主要な発生箇所を決定する決定ステップを含むことを特徴とする高分子材料のシミュレーション方法。
  2. 前記決定ステップは、圧縮応力が大きい分子鎖部分をエネルギーロスの主要な発生箇所として決定する請求項1記載の高分子材料のシミュレーション方法。
  3. 前記応力計算ステップは、結合鎖を介して連続する4粒子が構成する立体配座に基づいて前記分子鎖モデルを分子鎖部分に分解する請求項1又は2記載の高分子材料のシミュレーション方法。
  4. 前記応力計算ステップは、前記分子鎖モデルを2粒子の結合長に基づいて分解しかつそれぞれの結合長を中心軸とする立体配座毎に区別して応力を計算する第1の計算ステップと、
    この第1の計算ステップの結果に基づいて、大きな圧縮応力が生じる結合長−立体配座の組み合わせを特定するステップと、
    前記特定された結合長−立体配座の組み合わせについて、その両端に結合される粒子をさらに考慮して分子鎖モデルを3つの連続する立体配座の並び別にグループ化しかつ各グループ毎の応力を計算する第2の計算ステップとを含むとともに、
    前記決定ステップは、前記第2の計算ステップの結果に基づいて、圧縮応力が大きいグループを、エネルギーロスの主要な発生箇所として特定する請求項1記載の高分子材料のシミュレーション方法。
  5. 前記エネルギーロスの主要な発生箇所として決定された部分を他の部分と差別化して表示するステップをさらに含む請求項1乃至4のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法。
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