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JP2009129760A - 燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法 Download PDF

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JP2009129760A JP2007304471A JP2007304471A JP2009129760A JP 2009129760 A JP2009129760 A JP 2009129760A JP 2007304471 A JP2007304471 A JP 2007304471A JP 2007304471 A JP2007304471 A JP 2007304471A JP 2009129760 A JP2009129760 A JP 2009129760A
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嘉聡 原
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幸大 吉澤
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Abstract

【課題】燃料電池の劣化状態を精度よく判定する。
【解決手段】制御部30は、システムの停止処理において、燃料電池スタック1に対するパージ運転を行う。そして、制御部30は、パージ運転に対応して、燃料電池セルの触媒層における残留水量を推定し、この推定結果に基づいて、燃料電池セル(具体的には、触媒層)の劣化状態を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システムおよびその制御方法に関する。
従来より、燃料極に燃料ガス(例えば、水素)が供給されるとともに、酸化剤極に酸化剤ガス(例えば、空気)が供給されることにより、これらのガスを電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムが知られている。燃料電池は、固体高分子電解質膜を挟んで燃料極と酸化剤極とを対設した燃料電池構造体を主体に構成されるが、その含水状態によって発電性能が左右される。
例えば、特許文献1には、燃料電池の電気的な抵抗を時系列的に測定し、これら測定値のばらつきに関する所定のパラメータ値を算出することにより、電解質膜の湿潤状態を判断する手法が開示されている。
特開2006−252864号公報
ところで、特許文献1の手法によれば、燃料電池の湿潤状態を判断することについては開示されているものの、燃料電池の劣化状態を判定する手法についてまでは開示されていない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池の劣化状態を精度よく判定することである。
かかる課題を解決するために、本発明は、システムの停止処理において、燃料電池に対するパージ運転を行う。そして、パージ運転に対応して、燃料電池の触媒層における残留水量を推定し、この推定結果に基づいて、燃料電池の劣化状態を判定する。
本発明によれば、パージ運転が実行されると触媒層の残留水の排出が促進されるシーンであるが、これにも係わらず触媒層の残留水量が多いということは、触媒層が劣化してその撥水性が低下していると判定することができる。よって、パージ運転に対応して触媒層の残留水量を推定することにより、燃料電池(触媒層)の劣化を精度よく判定することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池システムの全体構成を示すブロック図である。燃料電池システムは、例えば、移動体である車両に搭載されており、この車両は燃料電池システムから供給される電力によって駆動する。
燃料電池システムは、燃料電池スタック1を備える。この燃料電池スタック1は、それぞれが発電要素として機能する複数の燃料電池セルを積層して構成されている。個々の燃料電池セルは、固体高分子電解質膜の両面に触媒(例えば、白金)層を設け、この触媒層を介して燃料極と酸化剤極とを対設した燃料電池構造体をセパレータで挟持して構成される。燃料電池スタック1は、個々の燃料電池セルにおいて、燃料極に燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤極に酸化剤ガスが供給されることにより、これらの反応ガスを電気化学的に反応させて発電電力を発生する。本実施形態では、燃料ガスとして水素を、酸化剤ガスとして空気を用いるケースについて説明する。
燃料電池システムは、燃料電池スタック1に水素を供給するための水素系と、燃料電池スタック1に空気を供給するための空気系とをさらに有している。
水素系において、燃料ガスである水素は、燃料タンク10(例えば、高圧水素ボンベ)に貯蔵されており、この燃料タンク10から水素供給流路L1を介して燃料電池スタック1に供給される。具体的には、燃料タンク10の下流には燃料タンク元バルブ(図示せず)が設けられており、この燃料タンク元バルブが開状態となると、燃料タンク10からの高圧水素ガスは、その下流に設けられた減圧バルブ(図示せず)によって機械的に所定の圧力まで減圧される。減圧された水素ガスは、減圧バルブよりも下流に設けられた水素調圧バルブ11によってさらに減圧された後に、燃料電池スタック1に供給される。燃料電池スタック1に供給される水素圧力は、水素調圧バルブ11の開度を制御することによって調整することができる。
燃料極からの排出ガス(未使用の水素を含むガス)は、燃料電池スタック1から水素循環流路L2に排出される。この水素循環流路L2は、他方の端部が水素調圧バルブ11よりも下流側の水素供給流路L1に接続されており、水素循環流路L2には、例えば、水素循環ポンプ12といったガス循環手段が設けられている。この水素循環ポンプ12を駆動することにより、燃料極からの排出ガスが、燃料電池スタック1へと循環させられる。
ところで、酸化剤ガスとして空気を用いるケースでは、空気中の不純物が酸化剤極から燃料極に透過するため、燃料極を含む水素循環流路L2内での不純物が増加し、水素分圧が減少する傾向となる。ここで、不純物は、燃料ガスである水素以外の非燃料ガス成分であり、代表的には窒素を挙げることができる。窒素量が多くなりすぎると、燃料電池スタック1からの出力が低下するといった不都合が生じるため、燃料極を含む水素循環流路L2内の窒素量を管理する必要がある。そこで、水素循環流路L2には、循環ガスを外部に排出するパージ流路L3が設けられている。パージ流路L3には、パージバルブ13が設けられており、このパージバルブ13の開き量を調整することにより、パージ流路L3を介して外部に排出される窒素量を調整することができる。これにより、燃料極および水素循環流路L2内に存在する窒素量が、発電性能を維持できるように管理される。また、パージ流路L3には、水素燃焼器14が設けられており、この水素燃焼器14により、ガス中に含まれる水素が燃焼処理される。
空気系において、酸化剤ガスである空気は、例えば、コンプレッサ(酸化剤ガス供給手段)20によって取り込まれるとこれが加圧され、空気供給流路L4を介して燃料電池スタック1に供給される。酸化剤極からの排出ガス(酸素が消費された空気)は、空気排出流路L5を介して外部に排出される。また、空気排出流路L5には、燃料電池スタック1へ供給される空気の圧力を調整する空気調圧バルブ21が設けられている。
燃料電池スタック1には、電力取出装置2が接続されている。この電力取出装置2は、後述する制御部30によって制御され、燃料電池スタック1から電流を取り出すことにより、燃料電池スタック1において発電された電力を、車両を駆動する電動モータ3やコンプレッサ20などの補機に供給する。
制御部30は、システム全体を統合的に制御する機能を担っており、制御プログラムに従って動作することにより、燃料電池スタック1の運転状態を制御する。制御部30としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。この制御部30は、システムの状態に基づいて、各種の演算を行い、この演算結果を制御信号として各種のアクチュエータ(図示せず)に出力し、水素調圧バルブ11、水素循環ポンプ12、パージバルブ13、コンプレッサ20、空気調圧バルブ21、電力取出装置2といった種々の要素を制御する。
制御部30には、システムの状態を検出するために、各種センサ等からのセンサ信号が入力されている。インピーダンスセンサ31は、交流電圧を印加することにより、燃料電池スタック1のインピーダンスを検出するセンサであり、本実施形態では、燃料電池セルを対象として、そのインピーダンスを検出する。
本実施形態との関係において、制御部30は、以下に示す機能を担っている。第1に、制御部30は、システムの停止を前提として実行する停止処理において、コンプレッサ20を制御して燃料電池スタック1の酸化剤極に空気を供給することにより、燃料電池スタック1に対するパージ運転を行う(処理手段)。第2に、制御部30は、パージ運転に対応して、燃料電池セルの触媒層における残留水量を推定する(推定手段)。第3に、制御部30は、残留水量の推定結果に基づいて、燃料電池スタック1の劣化状態を判定する。
ここで、パージ運転は、燃料電池スタック1内の反応ガスの流路等(具体的には、流路そのものや触媒層および電解質膜を含む)に残留する生成水(以下「残留水」という)をパージするために行われる処理である。このパージ運転は、システムの停止後、氷点下の環境になった場合であっても、残留水をパージしておくことにより、燃料電池スタック1の凍結を抑制し、これにより、次回の起動時にスムーズに運転を行うことができるようにといった観点から実行される。
図2は、本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、システム停止を指示するトリガー信号の入力によって呼び出され、制御部30によって実行される。
まず、ステップ1(S1)において、パージ運転を行うか否かが判断される。このパージ運転は、システムの停止を前提として実行される処理であり、システムの停止が指示されている場合には、パージ運転の実行が判断されることとなる。このステップ1において肯定判定された場合、すなわち、パージ運転を行う場合には、ステップ2(S2)以降の処理に進む。一方、ステップ1において否定判定された場合、すなわち、パージ運転を行わない場合には、本ルーチンを終了する。
ステップ2において、パージが開始される。具体的には、制御部30は、燃料電池スタック1の燃料極に対する水素の供給を停止した状態で、燃料電池スタック1の酸化剤極に対してのみ空気を供給する。制御部30は、パージ開始にともない、パージ運転における空気流量を規定したパージ流量Qに対応した空気を供給する。ここで、燃料電池スタック1を含むシステムの構成等を考慮した上で、燃料電池のパージが適切に行えるように、パージ流量Qの基準値(基準パージ流量)Qsが、実験やシミュレーションを通じて予め決定されており、初期的には、基準パージ流量Qsがパージ流量Qとして設定されている。
ステップ3(S3)において、インピーダンスの検出が開始される。具体的には、制御部30は、インピーダンスセンサ31から検出信号を読み込み、この検出信号に基づいてインピーダンスを特定する。また、制御部30は、インピーダンスの検出を一度開始すると、所定の周期でこれを検出し、これにより、インピーダンスが時系列的に取得される。
ステップ4(S4)において、インピーダンスの時間変化率αが算出される。ここで、時間変化率αは、単位時間当たりのインピーダンスの変化である。
ステップ5(S5)において、時間変化率αが判定変化率αth以上であるか否かが判断される。インピーダンスの時間変化率αは、触媒層における残留水量と相関があり、残留水素量が多い程、時間変化率が小さくなるという傾向を有している。そこで、実験やシミュレーションを通じて判定変化率αthを予め適切な値に設定しておくことにより、この判定変化率αthと時間変化率αとの比較から、図3(a)に示すような時間変化率αが大きいシーンでは、触媒層の残留水量が少ない、もしくは、図3(b)に示すような時間変化率αが小さいシーンでは、触媒層の残留水量が多いといった推定を行うことができる。このステップ5において肯定判定された場合、すなわち、時間変化率αが判定変化率αth以上である場合には(α≧αth)、ステップ6(S6)に進む。ステップ5において否定判定された場合、すなわち、時間変化率αが判定変化率αthよりも小さい場合には(α<αth)、ステップ9(S9)に進む。
ステップ6(S6)において、パージ時間Tが短縮パージ時間Taに設定(変更)される。このパージ時間Tは、パージ処理の継続時間を規定する時間である。燃料電池スタック1を含むシステムの構成等を考慮した上で、燃料電池のパージが適切に行えるように、パージ時間Tの基準値(基準パージ時間)Tsが実験やシミュレーションを通じて予め決定されており、初期的には、基準パージ時間Tsがパージ時間Tとして設定されている。これに対して、短縮パージ時間Taは、パージ時間Tを基準パージ時間Tsよりも短い時間に設定するパラメータであり、例えば、基準パージ時間TsをA(0<A<100)%短縮する値として設定されている(例えば、基準パージ時間Tsより10%短縮)。
ステップ7(S7)において、パージ開始からの経過時間がパージ時間Tに到達したか否かが判断される。このステップ7において肯定判定された場合、すなわち、経過時間がパージ時間Tに到達した場合には、ステップ8(8)に進む。一方、ステップ7において否定判定された場合、すなわち、経過時間がパージ時間Tに到達していない場合には、ステップ3の処理に戻る。
ステップ8において、パージが終了される。具体的には、制御部30は、燃料電池スタック1の酸化剤極に対する空気を終了する。
ステップ9において、パージ時間Tが増加パージ時間Tbに設定(変更)される。この増加パージ時間Tbは、パージ時間Tを基準パージ時間Tsよりも長い時間に設定するパラメータであり、例えば、基準パージ時間TsをB(0<B<100)%増加する値として設定されている(例えば、20%増加)。
ステップ10(S10)において、時間変化率αが判定変化率αth以上であるか否かが判断される。ステップ9において肯定判定された場合、すなわち、時間変化率αが判定変化率αth以上である場合には(α≧αth)、ステップ7(S7)に進む。ステップ9において否定判定された場合、すなわち、時間変化率αが判定変化率αthよりも小さい場合には(α<αth)、ステップ10(S10)に進む。
ステップ10において、パージ流量Qが増加パージ流量Qcに設定(変更)される。この増加パージ流量Qcは、パージ流量Qを基準パージ流量Qsよりも長い時間に設定するパラメータであり、例えば、基準パージ流量QsをC(0<C<100)%増加する値として設定されている(例えば、30%増加)。
このように本実施形態において、制御部30は、システムの停止処理において、燃料電池スタック1に対するパージ運転を行う。そして、制御部30は、パージ運転に対応して、燃料電池セルの触媒層における残留水量を推定し、この推定結果に基づいて、燃料電池セル(具体的には、触媒層)の劣化状態を判定する。
個々の燃料電池セルにおいて、触媒層の劣化が進むと、その撥水性が低下するため、生成水が残留し易くなる。また、パージ運転においてパージが実行されると、供給される空気により触媒層の残留水の排出が促進されるシーンであるが、これにも係わらず触媒層の残留水量が多いということは、触媒層の撥水性が低下していると判定することができる。そのため、パージ運転に対応して、触媒層の残留水量を推定することにより、燃料電池スタック1の劣化を精度よく判定することができる。
また、インピーダンスの時間変化率αは、触媒層における残留水量と相関があり、残留水素量が多い程、時間変化率が小さくなるという傾向を有している。そのため、このインピーダンスの時間変化率αから、燃料電池スタック1の劣化を精度よく判定することができる。
また、本実施形態によれば、システムの停止処理として実行されるパージ運転を利用して、燃料電池スタック1の劣化を判断することができる。これにより、凍結等の抑制に寄与するパージ運転と、燃料電池スタック1の劣化判定という双方の機能を同時並行的に実現することができる。
また、本実施形態において、制御部30は、劣化判定の結果に基づいて、パージ運転の運転条件を変更している。燃料電池セルの劣化状態は、触媒層の残留水量と相関を有するため、この残留水をパージ運転により効果的にパージするためには、燃料電池セルの劣化状態に応じてパージ運転の運転条件を変更する必要がある。本実施形態によれば、触媒層の残留水量に応じて運転条件が設定されるため、これを有効にパージすることができ、触媒層における残留水の低減を図ることができる。また、触媒層内の残留水量が低減された場合には、システムの停止期間が低温環境であったとしても、その凍結可能性が低減される。これにより、起動時には、反応ガスが触媒層に到達し易くなるため、起動をスムーズに実施することができる。
具体的には、制御部30は、燃料電池セルが劣化している程、基準パージ時間Tsよりも時間を延長してパージ運転を行う。また、制御部30は、燃料電池セルが劣化している程、基準パージ流量Qsよりも流量を増加してパージ運転を行う。かかる手法によれば、触媒層の残留水量を有効にパージすることができる。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池システムの全体構成を示すブロック図である。第2の実施形態に係る燃料電池システムが第1の実施形態のそれと相違する点は、燃料電池スタック1の温度に基づいて触媒層における残留水量を推定することである。なお、第1の実施形態と重複する構成に関する説明は省略することとし、以下相違点について説明する。
本実施形態にかかる燃料電池システムは、第1の実施形態におけるインピーダンスセンサ31に代えて、温度センサ(温度検出手段)32を検出する。この温度センサ32は、燃料電池スタック1の温度を検出するセンサであり、本実施形態では、燃料電池セルを対象として、その温度(以下「セル温度」という)を検出する。温度センサ32によって検出されるセル温度は、制御部30によって必要に応じて読み込まれる。
図5は、本発明の第2の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、システム停止を指示するトリガー信号の入力によって呼び出され、制御部30によって実行される。
まず、ステップ20(S20)において、パージ運転を行うか否かが判断される。ステップ20において肯定判定された場合、すなわち、パージ運転を行う場合には、ステップ21(S21)以降の処理に進む。一方、ステップ20において否定判定された場合、すなわち、パージ運転を行わない場合には、本ルーチンを終了する。
ステップ21において、セル温度の検出が開始される。具体的には、制御部30は、温度センサ32から検出信号を読み込み、この検出信号に基づいてセル温度を特定する。また、制御部30は、セル温度の検出を一度開始すると、所定の周期でこれを検出し、これにより、セル温度が時系列的に取得される。
ステップ22(S22)において、パージ処理が行われる。具体的には、制御部30は、燃料電池スタック1の燃料極に対する水素の供給を停止した状態で、燃料電池スタック1の酸化剤極に対してのみ空気を供給する。このパージ処理は、パージ流量Qに対応した空気の供給を開始し、この開始タイミングからの経過時間がパージ時間Tに到達したことを条件として空気の供給を停止する、一連の処理を含んでいる。第1の実施形態と同様、パージ時間Tおよびパージ流量Qは、基準パージ時間Tsおよび基準パージ流量Qsに設定されている。
ステップ23(S23)において、セル温度の時間変化率βを算出した上で、この時間変化率βが判定変化率βth以下であるか否かが判断される。
ここで、時間変化率βは、単位時間当たりのセル温度の変化である。このセル温度の時間変化率βは、触媒層における残留水量と相関があり、残留水素量が多い程、時間変化率βが大きくなる傾向を有している。そこで、実験やシミュレーションを
そこで、実験やシミュレーションを通じて判定変化率βthを予め適切な値に設定しておくことにより、この判定変化率βthと時間変化率βとの比較から、図6(a)に示すような時間変化率βが大きいシーンでは、触媒層の残留水量が多い、もしくは、図6(b)に示すような時間変化率βが小さいシーンでは、触媒層の残留水量が少ないといった推定を行うことができる。このステップ23において肯定判定された場合、すなわち、時間変化率βが判定変化率βth以下である場合には(β≦βth)、本ルーチンを終了する。一方、ステップ23において否定判定された場合、すなわち、時間変化率βが判定変化率βthよりも大きい場合には(β>βth)、ステップ24(S24)に進む。
ステップ24において、パージ処理が行われる。具体的には、この処理では、ステップ22の処理と同様に、パージ時間Tは基準パージ時間Tsに、パージ流量Qは基準パージ流量Qsに設定された状態で行われる。
ステップ25(S25)において、セル温度の時間変化率βを算出した上で、この時間変化率βが判定変化率βth以下であるか否かが判断される。ステップ35において肯定判定された場合、すなわち、時間変化率βが判定変化率βth以下である場合には(β≦βth)、本ルーチンを終了する。一方、ステップ25において否定判定された場合、すなわち、時間変化率βが判定変化率βthよりも大きい場合には(β>βth)、ステップ26(S26)に進む。
ステップ26において、基準パージ流量Qsが現在よりもC%増加した値に設定(変更)される。
このように本実施形態において、制御部30は、システムの停止処理において、燃料電池スタック1に対するパージ運転を行う。そして、制御部30は、パージ運転に対応して、燃料電池セルの触媒層における残留水量を推定し、この推定結果に基づいて、燃料電池セル(具体的には、触媒層)の劣化状態を判定する。
個々の燃料電池セルにおいて、触媒層の劣化が進むと、その撥水性が低下するため、生成水が残留し易くなる。また、パージ運転においてパージが実行されるシーンは、供給される空気により触媒層の残留水の排出が促進されるシーンであるが、これにも係わらず触媒層の残留水量が多いということは、触媒層の撥水性が低下していると判定することができる。そのため、パージ運転に対応して、触媒層の残留水量を推定することにより、燃料電池スタック1の劣化を精度よく判定することができる。
また、セル温度の時間変化率βは、触媒層における残留水量と相関があり、残留水素量が多い程、時間変化率が大きくなるという傾向を有している。そのため、このセル温度の時間変化率βから、燃料電池スタック1の劣化を精度よく判定することができる。
また、本実施形態において、制御部30は、劣化判定の結果に基づいて、パージ運転の運転条件を変更している。燃料電池セルの劣化状態は、触媒層の残留水量と相関を有するため、この残留水をパージ運転により効果的にパージするためには、燃料電池セルの劣化状態に応じてパージ運転の運転条件を変更する必要がある。本実施形態によれば、触媒層の残留水量に応じて運転条件が設定されるため、これを有効にパージすることができ、触媒層における残留水の低減を図ることができる。また、触媒層内の残留水量が低減された場合には、システムの停止期間が低温環境であったとしても、その凍結可能性が低減される。これにより、起動時には、反応ガスが触媒層に到達し易くなるため、起動をスムーズに実施することができる。
具体的には、制御部30は、パージ処理を繰り返すことにより、燃料電池セルが劣化している程、基準パージ時間Tsよりも時間を延長してパージ運転を行う。また、制御部30は、燃料電池セルが劣化している程、基準パージ流量Qsよりも流量を増加してパージ運転を行う。かかる手法によれば、触媒層の残留水量を有効にパージすることができる。
なお、本実施形態では、セル温度の時間変化率βに基づいて、触媒層における残留水量を推定しているが、本発明はこれに限定されない。セル温度の経時的な変化は、触媒層における残留水量と相関があり、残留水素量が多い程、所定の温度変化幅に収まるまでの時間が長い時間変化率が大きくなるという傾向を有している。ここで、温度変化幅は、温度変化が一定と見なすことができる程度の温度範囲として予め定められている。かかる構成であっても、セル温度の経時的な変化から、燃料電池スタック1の劣化を精度よく判定することができる。
第1の実施形態にかかる燃料電池システムの全体構成を示すブロック図 第1の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を示すフローチャート インピーダンスの時間変化率αの説明図 第2の実施形態にかかる燃料電池システムの全体構成を示すブロック図 第2の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を示すフローチャート セル温度の時間変化率βの説明図
符号の説明
1 燃料電池スタック
2 電力取出装置
3 電動モータ
10 燃料タンク
11 水素調圧バルブ
12 水素循環ポンプ
13 パージバルブ
14 水素燃焼器
20 コンプレッサ
21 空気調圧バルブ
30 制御部
31 インピーダンスセンサ
32 温度センサ

Claims (10)

  1. 燃料電池システムにおいて、
    電解質膜の両面に触媒層を設け、当該触媒層を介して燃料極と酸化剤極とを対設した燃料電池構造体を有し、前記燃料極に供給される燃料ガスと、前記酸化剤極に供給される酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池と、
    前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
    システムの停止を前提として実行する停止処理において、前記酸化剤ガス供給手段を制御して前記燃料電池に酸化剤ガスを供給することにより、前記燃料電池に対するパージ運転を行う処理手段と、
    前記パージ運転に対応して、前記燃料電池の触媒層における残留水量を推定する推定手段と、
    前記推定手段の推定結果に基づいて、前記燃料電池の劣化状態を判定する判定手段と
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記判定手段は、前記推定手段によって推定された前記残留水量が多い程、前記燃料電池が劣化していると判定することを特徴とする請求項1に記載された燃料電池システム。
  3. 前記燃料電池のインピーダンスを検出するインピーダンス検出手段をさらに有し、
    前記推定手段は、前記パージ運転時において前記インピーダンス検出手段によって時系列的に検出されるインピーダンスの時間的な変化率を演算し、当該演算された前記変化率が小さい程、前記残留水量が多いと推定することを特徴とする請求項1または2に記載された燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段をさらに有し、
    前記推定手段は、前記パージ運転時において前記温度検出手段によって時系列的に検出される前記燃料電池の温度の時間的な変化率を演算し、当該演算された前記変化率が大きい程、前記残留水量が多いと推定することを特徴とする請求項1または2に記載された燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段をさらに有し、
    前記推定手段は、前記パージ運転時において前記温度検出手段によって時系列的に検出された前記燃料電池の経時的な温度変化が、当該温度変化を一定と見なすことができる予め定められた温度変化幅に収まるまでの時間が長い程、前記残留水量が多いと推定することを特徴とする請求項1または2に記載された燃料電池システム。
  6. 前記処理手段は、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記パージ運転の運転条件を変更することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載された燃料電池システム。
  7. 前記処理手段は、前記燃料電池が劣化している程、パージ運転として予め設定されるパージ時間の基準値よりも時間を延長して前記パージ運転を行うことを特徴とする請求項6に記載された燃料電池システム。
  8. 前記処理手段は、前記燃料電池が劣化している程、パージ運転として予め設定されるパージ流量の基準値よりも流量を増加して前記パージ運転を行うこと特徴とする請求項6に記載された燃料電池システム。
  9. 燃料電池システムにおいて、
    電解質膜の両面に触媒層を設け、当該触媒層を介して燃料極と酸化剤極とを対設した燃料電池構造体を有し、前記燃料極に供給される燃料ガスと、前記酸化剤極に供給される酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池と、
    前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
    システムの停止を前提として実行する停止処理において、前記酸化剤ガス供給手段を制御して前記燃料電池に酸化剤ガスを供給して、前記燃料電池に対するパージ運転を行う処理手段と、
    前記パージ運転に対応して、前記燃料電池の触媒層における残留水量を推定する推定手段とを有し、
    前記処理手段は、前記推定手段の推定結果に応じて前記パージ運転の運転条件を設定することを特徴とする燃料電池システム。
  10. 電解質膜の両面に触媒層を設け、当該触媒層を介して燃料極と酸化剤極とを対設した燃料電池構造体を有する燃料電池を備える燃料電池システムの制御方法において、
    前記燃料極に燃料ガスを供給するとともに、前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給することにより、燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて発電を行う第1のステップと、
    システムの停止を前提として停止処理を実行する第2のステップとを有し、
    前記第2のステップは、
    前記燃料電池に酸化剤ガスを供給することにより、前記燃料電池に対するパージ運転を行う第3のステップと、
    前記パージ運転に対応して、前記燃料電池の触媒層における残留水量を推定する第4のステップと、
    前記第4のステップにおける推定結果に基づいて、前記燃料電池の劣化状態を判定する第5のステップと
    を有することを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
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