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JP2009106422A - 椅子 - Google Patents

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JP2009106422A
JP2009106422A JP2007279979A JP2007279979A JP2009106422A JP 2009106422 A JP2009106422 A JP 2009106422A JP 2007279979 A JP2007279979 A JP 2007279979A JP 2007279979 A JP2007279979 A JP 2007279979A JP 2009106422 A JP2009106422 A JP 2009106422A
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JP2007279979A
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Koichi Isoda
浩一 磯田
Keisuke Tanaka
啓介 田中
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Itoki Corp
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Itoki Corp
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Abstract

【課題】跳ね上げ時の美観に優れると共に荷重支持強度も高いネスティング椅子を提供する。
【手段】椅子は前後に嵌め合わせできる枠装置を有している。座3は、クッション21が張られたインナーシェル20と、その下方に配置したアウターカバー17と、インナーシェル20とアウターカバー17との間に配置した芯部材22とで構成されている。芯部材22が背フレーム2の横向き支軸16に連結されており、インナーシェル20とアウターカバー17とは芯部材22に離脱不能に保持されている。着座によるモーメントはサポート体18で支持される。芯部材22の存在によって高い支持強度を確保でき、また、跳ね上げた状態でアウターカバー17しか露出しないため美観に優れている。
【選択図】図9

Description

本願発明は、座を跳ね上げ回動できる椅子に関し、特に、移動自在でかつ前後に並べて嵌め合わせ(ネスティング)できるタイプの非回転式椅子を好適な対象にしている。
骨組みを金属パイプで構成した背もたれ付き椅子があり、例えば会議室や講演会場を初めとしてオフィスや各種店舗、各種施設(或いは家庭)で広く使用されている。この種の椅子は不使用時には倉庫等に保管しておくことも多く、そこで、前後方向の嵌め合わせ(ネスティング)又は(/及び)上下の積み重ね(スタッキング)が可能になっているものも多い。ネスティングできる椅子の一例が特許文献1に開示されている。
特許文献1において脚は4本足方式になっており、左の前足と後足、及び右の前足と後足とをそれぞれ上水平部で連結し、左右の上水平部を横長ステーで連結し、更に、左右の後足を座よりも上向きに突出させて、この後足の上向き突出部に座と背もたれがそれぞれブラケットを介して取付けられている。座の取付け構造について更に述べると、前後長手で正面視略L形の座受けブラケットを後足の上向き突出部に跳ね上げ回動自在に取付け、この座受けブラケットに座を固定している。また、座は水平に倒すと上水平部の前部で支持されるようになっている。更に、2本の前足の左右間隔を2本の後足の左右間隔よりも狭めることにより、座を跳ね上げるとネスティングできるようになっている。
特許文献1において、座は、平面視略四角形で上下に開口した座フレームと、座フレームで支持された座プレート(インナーシェル)と、座プレートの上面に張ったクッションとを備えており、座フレームが座受けブラケットに固定されている。つまり、特許文献1において座フレームが着座荷重を支持する強度メンバーとして機能している。
特開2001−128776号公報
座を跳ね上げできる椅子では、当然のことながら座を跳ね上げると座の裏面が人目に触れることになる。従って、跳ね上げた状態での美観も重要である。しかし、特許文献1では座は跳ね上げた状態で座フレームや座プレート等がむき出しになるため、美観が良いとは言えない。特許文献1において座受けブラケットは金属板製であり、そこで、座受けブラケットをカバーで隠すことで跳ね上げ時の外観向上を図っているが、座フレームや座プレートは露出したままであるため、座全体としての美観に優れているとは言えない。
また、跳ね上げ時においてある程度の美観を確保しようとすると、座プレートや座フレームは美粧処理を施しておかねばならず、すると、座の機能が制約を受けたり加工に手間が掛かったりする虞がある。
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、座を跳ね上げた状態でも美観に優れている等の改良点を有する椅子の提供を課題としている。
本願発明に係る椅子は、座と背もたれとこれらが取り付く枠装置とを有しており、前記座を、その後部を中心にして跳ね上げ回動させ得るように枠装置に連結している、という基本構成になっている。そして、請求項1の発明では、前記座は、人の着座によって下向きに沈み変形し得る樹脂製のインナーシェルと、前記インナーシェルの上面に張られたクッションと、インナーシェルを下方から覆うアウターカバーとを有している。
本願発明は様々の構成を含んでおり、その例を請求項2〜4に挙げている。このうち請求項2の発明は、請求項1において、前記座のインナーシェルと樹脂製アウターカバーとの間には、インナーシェルに掛かった荷重を支える強度メンバーとしての金属製の芯部材が配置されていてこの芯部材が前記枠装置に回動自在に連結されており、かつ、前記枠装置には、座をその回動中心よりも手前側において下方から支えるサポート体が設けられており、座を倒した状態で前記芯部材の受け部とサポート体とがアウターカバーを介して上下に重なっており、かつ、芯部材の受け部と座のインナーシェルとの間にはインナーシェルの下向き沈み込み変形を許容する空間が空いている。
請求項3の発明は請求項2をより具体化したもので、この発明では、前記枠装置は、座との間に空間を空けて配置された脚と、前記脚から立ち上がって座の左右外側を通って略上向きに延びる背フレームとを有しており、座を跳ね上げると前後に配置した椅子を互いに嵌め合わせできるように脚は前後非対象の形態になっており、更に、前記背フレーム又は脚に、左右横長の前記サポート体が、座の左右縁部よりも内側においてアウターカバーに当るように設けられている。
請求項4の発明は、請求項3において、前記背フレームのうち座を挟んだ両側に位置したサイド支柱には、座の芯部材を連結するための横向き支軸が相対向するように設けられている一方、前記座のアウターカバーは芯部材を下方から覆うように上向き凹部状でかつ左右両側部は湾曲した断面形状になっており、このアウターカバーの左右両側部に、当該アウターカバーを下向きに動かせると前記横向き支軸が入り込む逃がし穴が空いており、前記芯部材はアウターカバーの内側から挿入したボルトによって横向き支軸に連結されている。
本願発明では、座の下面部はアウターカバーで構成されているため、座を跳ね上げた状態ではアウターカバーが人目に触れるのみでインナーシェルのような内部部材が人目に触れることはなく、このため跳ね上げ時の美観を格段に向上できる。
また、インナーシェルは外部からは見えないため、インナーシェルには美観を気にすることなく様々の加工・処理を施すことができる。例えば、クッション性・フィット性を高めるためのスリットを形成することができる。また、インナーシェルに多数の穴やスリットを形成した状態でクッションをインサート成形することにより、座の加工の手間を軽減できる。更に、請求項2のようにインナーシェルとアウターカバーとの間に強度メンバーとしての芯部材を配置できるが、この場合、芯部材は外部から見えないためその形状や素材等は美観を考慮することなく任意に設定することができ、かつ、塗装のような美粧処理も省略できる。このように、本願発明によると、座の跳ね上げ時の美観を確保しつつ椅子の機能を向上できるのである。
アウターカバーに強度メンバーとしての機能を持たせて、インナーシェルに作用した着座荷重がアウターカバーを介して枠装置で支持される構造を採用することも可能であるが、請求項2のように強度メンバーとしての芯部材を設けると、芯部材とアウターカバーとで荷重支持機能と美粧機能とを分担できるため、椅子の設計の自由性を格段に広げることができる。また、座を水平状に倒した状態で芯部材とサポート体との間にアウターカバーが挟まっているため、着座による荷重(例えば曲げモーメント)がアウターカバーに大きく作用することはなく、このため、アウターカバーを薄肉化・軽量化することができる。
特許文献1では、脚は前足の上端と後足の上端とが繋がって上水平部を有していてこの上水平部で座の左右側部を支持しており、従って、脚は座の左右側部の下面まで延びている。しかし、この構成では、座を跳ね上げに際しては人は座の周囲のうち上水平部よりも前方の部位に手を掛けねばならず、また、座を倒すに際しても、座と上水平部とで指を挟まれないように人は座の周囲のうち上水平部よりも前方の部位に手を掛けねばならず、このため座の回動操作に少し面倒な面があった。
これに対して本願の請求項3の構成を採用すると、座の周縁部は背フレームとの取付け部を除いて空間になっているため、人は座の周縁のどの部位に手を掛けても安全に回動操作することができる。従って、座を回動操作するに際して人の負担を軽減できる(従って、一種のユニバーサルデザインが実現していると言える。)。
特許文献1では座受けブラケットは後足のボス部に対して左右内側からねじ込まれたボルトで取付けられており、また、座受けブラケットには上方から座フレームが重なっており、従って、座受けブラケットを取り付けるためのボルトが外部に露出することはない。しかし、座受けブラケットを覆うカバーは外側に露出している。
これに対して本願の請求項4の発明では、芯部材はアウターカバーの内部において背フレームの横向き支軸に取付けられており、従って、座を跳ね上げた状態では横向き支軸がアウターカバーの穴から部分的に露出するのみでそれ以外の部材がアウターカバーの外側に露出することはない。このため、座を跳ね上げた状態で人目に触れるのは実質的にはアウターカバーの下面のみであり、このため外観は極めてスッキリとしている。この点、請求項4の優れた利点である。
(1).椅子の基本構成
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1〜図5に基づいて椅子の基本構成を説明する。図1は全体の斜視図、図2のうち(A)は正面図で(B)は平面図で(C)は側面図、図3は底面図、図4はネスティング状態を示す側面図、図5は分離正面図である。
椅子は、主要要素として脚1と背フレーム2と座3と背もたれ4を備えており、座3と背もたれ4とは背フレーム2に取付けられている。脚1と背フレーム2とで請求項に記載した枠装置(骨組み)が構成されている。また、背フレーム2にはオプション品としての肘掛け5も取付けている。背フレーム2は脚1の上端に固着されており、座3は脚1よりも上方の部位において後部を中心に跳ね上げ回動し得るように背フレーム2に取付けられている。従って、脚1の上端と倒した状態の座3との間にはある程度の寸法(例えば数cm〜10cm程度)の空間6が空いている。
脚1は、左右2本の前足7と左右2本の後足8とを有している。各足7,8の上端は水平部7a,8aになっていて下端は下鉛直部7b,8bになっており、自由端である下端(先端)の鉛直部7b,8bにキャスタ9を取付けている。
前足7は、上水平部7aと下鉛直部7bとを除いた大部分が側面視では後傾姿勢で正面視では上から下に向けて外側に広がる傾斜姿勢になっており、従って、左右の前足7は正面視ハの字の形態になっている。また、後足8は、上水平部8aと下鉛直部8bとを除いた大部分が側面視では後傾姿勢で正面視では上から下に向けて外側に広がる傾斜姿勢になっており、従って、左右の後足8は正面視(或いは背面視)でハの字の形態になっている。従って、図3から理解できるように各足7,8は平面視(或いは底面視)で概ね放射方向に延びている。
左右の前足7と左右の後足8とはそれぞれ上水平部7a,8aを含む収束部7c,8cを介して一体に連結(結合)されており、前足7の収束部7cと後足8の収束部8cとは互いに固着されている。従って、前足7と後足8とで側面視でV形(或いはくの字形)の形態が構成されている。収束部7c,8cにはカバー10を設けている。
各足7,8は、一端と他端とがストレートで大部分はテーパ状になっている金属パイプを材料にして製造されており、テーパ部と大径のストレート部を楕円形に潰し変形している。
例えば図2(A)から明らかなように、前足7の間隔は後足8の左右間隔よりも全体に小さくなっている。このように前足7の間隔が後足8の間隔よりも小さいことにより、座3を跳ね上げると図4に示すように多数の椅子を前後に並べてネスティングすることがでいる。すなわち、前に位置した椅子における左右後足8の間に後ろに位置した椅子の前足7を嵌め入れることができる。なお、前足7の左右間隔を後足8の左右間隔よりも大きくすることも可能である。
背フレーム2は、座3の左右外側に配置された2本のサイド支柱2aとこれらの下端に連続した傾斜部2bと傾斜部2bに連続した下水平部2cとを有しており、全体として正面視U字状の形態になっている(傾斜部2bはサイド支柱2aの一部と観念することも可能である。)。背フレーム2は断面楕円形のパイプ(オーバル管)から成っており、サイド支柱2aの箇所では前後に長い楕円形になっている。
背フレーム2はその全体が側面視で後傾姿勢になっており、下水平部2cが前後足7,8の収束部7c,8cに溶接によって固着されている(具体的な構造は後述する)。また、背フレーム2における左右サイド支柱2aの上端には支持ピン11を上向きに突設しており、この支持ピン11を利用して肘掛け5と背もたれ4とを取付けている。
背もたれ4は、前記支持ピン11に嵌め込み装着されたアウター部材12と、アウター部材12の前面のうち略下半分を覆うアウターカバー13と、アウター部材12の前面のうち略上半分を覆う上カバー14とを主要部材としている。アウター部材12の上半部には大きな窓穴15が空いている一方、上カバー14は後ろ向き荷重によって容易に延び変形し得るエラストマー材からなっており、このため着座した人に高いクッション性を付与できる。アウター部材12の上端と上カバー14との間には、上カバー14が延び変形することを許容するための隙間が空いている(上カバー14の延び変形はアウター部材12の上端部で記載される)。
アウター部材12とアウターカバー13とはPPのような樹脂からなっており、アウターカバー13は基本的には背もたれ荷重で変形はしない。なお、上下のカバー13,14を使用せずに樹脂製のインナーシェルにクッションを張った構造とすること、アウターカバー13を使用せずにアウター部材12に上カバー14のみを取り付けること、或いは、アウター部材12を窓穴15が存在しない形態にしてこれにクッションを張るといったことも可能である。
左右のサイド支柱2aの下端部には相対向する横向き支軸16を突設しており、座3はこの横向き支軸16に跳ね上げ回動自在に連結されている。他方、座3の下面は樹脂製のアウターカバー17で構成されている。座3はその後部を中心にして回動するので、着座によって座3には大きなモーメントが作用する。そこで、座3のうち回動中心よりも手前側の部分が、背フレーム2から斜め前向きに延びる左右長手のサポート体18で支持されている。サポート体18は背フレーム2に溶接されている。
(2).座の詳細
次に、座3の構造を図6以下も参照して説明する。図6は平面図、図7は座3の一部省略平面図、図8は図6の VIII-VIII視断面図、図9のうち(A)は図6の IX-IX視分離断面図で(B)は座3の前部における図6の IX-IX視断面図、図10は座3の後部の縦断側面図、図11のうち(A)は図10の XI-XI視断面図、(B)は(A)のB−B矢視図である。
座3は、例えば図9から理解できるように、既述のアウターカバー17と、その上方に配置した樹脂製のインナーシェル20と、インナーシェル20の上面に張ったクッション21と、インナーシェル20とアウターカバー17との間に配置された金属製芯部材22とを備えている。クッション21にはクロス等の表皮が張られているが図面では省略している。
インナーシェル20とアウターカバー17とはほぼ同じ平面形状であり、基本的には四角形に近い形状になっている。正確に述べると、四角形を基本としつつ、後部の左右幅が前部の左右幅よりもやや小さく、また、前端と後端とは平面視で緩く湾曲している。言うまでもないが、座3の平面形状はデザイン等の要請に応じて任意に設定できる。
インナーシェル20には着座による下向き荷重による延び変形を許容するための多数のスリットが形成されている。スリットの具体的な形態は例えば本願出願人の出願に係る特開2003−88442号公報の図9に開示されているのと同様であり、インナーシェル20の左右中間部に形成された前後長手のセンタースリットの群と、インナーシェル20の左右側部に形成された前後長手のサイドスリットの群と、センタースリットの群とサイドスリットの群との間に位置した傾斜姿勢のメインスリットの群とが構成されている。本願図面の図9ではセンタースリットを符号23で表示しており、他の図面ではスリットは省略している。
インナーシェル20は正面視ではやや上向き凹状に緩く湾曲しており、また、前部は下方に回り込んでいる。他方、アウターカバー17は、左右側部が外向き凸状に緩く湾曲しながら立ち上がっており、このため正面視で上向き凹の浅い皿状(スコップのような形状)になっている。そして、インナーシェル20の周縁とアウターカバー17の周縁とは互いに当接しているが、インナーシェル20の撓み深さよりもアウターカバー17の深さを大きくすることにより、インナーシェル20とアウターカバー17との間には大きな空間が空いており、この空間に芯部材22が配置されている。
図6や図7に示すように、芯部材22は前後長手のサイドメンバー22aと略作用横長のフロントメンバー22b及びリアメンバー22cと左右のサイドメンバー22aの相互間に連結された横長の中間メンバー22dとで略日字状になっている。中間メンバー22dは請求項2に記載した受け部に相当する。なお、リアメンバー22cを備えずに平面視門形に形成することも可能である。
芯部材22における左右のサイドメンバー22aは互いに平行に延びている。サイドメンバー22aとリアメンバー22cとはアウターカバー17の外周にかなり近接しているが、フロントメンバー22bとアウターカバー17の前端との間にはやや大きな間隔が空いている。フロントメンバー22bとアウターカバー17の前端との間にはややおおきな間隔を空けているのは、座3の前部にはあまり大きな荷重が掛からないからである。
例えば図8から理解できるように、芯部材22を構成するサイドメンバー22aとフロントメンバー22bとは小判形の金属パイプをコ字状に曲げることで構成されている一方、リアメンバー22cは金属棒材(或いは線材)からなっており、リアメンバー22cの左右端部はサイドメンバー22aの後端部に差し込まれて一体に溶接されている。勿論、フロントメンバー22bとサイドメンバー22aとリアメンバー22cとを1本のパイプで構成することも可能である。
中間メンバー22dは丸パイプから成っており、左右両端がサイドメンバー22aに内側面に溶接されている。中間メンバー22dは座3のうち前後中心部よりもやや後方の部位に配置されている。換言すると、中間メンバー22dは、着座した人の臀部が当たる箇所(最も大きな荷重が作用する箇所)に配置されている。
芯部材22のサイドメンバー22aとリアメンバー22cとはアウターカバー17の上端近くに位置しており、他方、フロントメンバー22bはサイドメンバー22aの前端よりも下方に落ち込んでおり、フロントメンバー22bでインナーシェル20の前部を支持している。従って、フロントメンバー22bの箇所ではインナーシェル20は沈み込み変形はしない。
図11(A)に示すように、芯部材22におけるサイドメンバー22aの後部は背フレーム2に設けた横向き支軸16にボルト24で連結されている(従って、横向き支軸16には雌ねじ穴が空いており、芯部材22のサイドメンバー22aにはボルト挿通穴が空いている。)。従って、座3は横向き支軸16の軸心回りに回動する。ボルト24のうち横向き支軸16とサイドメンバー22aとの間には樹脂製のワッシャ25が嵌まっている。これは座3を回動させるに際して金属音の発生を防止するためのものである。
アウターカバー17には横向き支軸16との干渉を回避するための逃がし穴26が空いている。また、アウターカバー17のうち逃がし穴26の箇所には横向き支軸16を下方から半周程度囲う外向きリブ17aが一体に形成されている。このため座3を跳ね上げた状態で横向き支軸16の露出面積をできるだけ小さくして美観向上に貢献している(アウターカバー17の取付けに際しては、左右いずれかの横向き支軸16に一杯に差し込んでから、アウターカバー17を逆方向にずらして他方の横向き支軸16に嵌め込む。)。
本実施形態では、アウターシェル13の外向きリブ17aの適当な部位に半径内向きの可動ストッパー17bを設ける一方、横向き支軸16の外周には座3を一杯に跳ね上げると可動ストッパー17bが当たる固定ストッパー16aを設けている。つまり、リブ17aは座3の跳ね上げ回動姿勢を規制するストッパー手段に兼用されている。ストッパー手段としては、リブ17aの上端面を固定ストッパー16aに当てることも可能である。また、固定ストッパー16aは横向き支軸16に一体に形成しても良いし、ビスを利用しても良い。
インナーシェル20の前部下面には、芯部材22のフロントメンバー22bに前方から当接する前リブ28が一体に形成されており、前リブ28にはフロントメンバー22bに下方から当接する前ストッパー29を一体に設けている。前リブ28は左右中間部と左右2カ所とに設けている(配置箇所は任意に設定できる)。
芯部材22のフロントメンバー22bとアウターカバー17との間には若干の間隔が空いており、そこで、アウターカバー17のうち中間の前リブ28を挟んだ両側には、フロントメンバー22bを受ける前突起30を左右一対ずつ一体に設けている。前突起30には、アウターカバー17を前向き移動不能に保持する上向きストッパー部30aが形成されている。
図9及び図10に示すように、インナーシェル20の後部には、芯部材22のリアメンバー22cに前方から嵌まってインナーシェル20を上向き動不能に保持するL形の後部リブ31と、インナーシェル20の前向き動を規制する後部ストッパー32が一体に形成されている。後部ストッパー32は左右中間部に形成されており、後部リブ31は後部ストッパー32を挟んだ左右両側に形成されている。
図8に示すように、インナーシェル20の左右側部には、当該インナーシェル20の左右端部を固定する固定手段の一例として、芯部材22におけるサイドメンバー22aの外側面に重なる下向きサイドリブ33が一体に形成されており、この下向きサイドリブ33の上端近くに、略水平状の外向きサイドリブ34を一体に形成している。他方、アウターカバー17には、インナーシェル20の外向きサイドリブ34に上方から重なる内向きサイドリブ35を一体に形成している。外向きサイドリブ34と内向きサイドリブ35とはインナーシェル20とアウターカバー17とを上下動不能に保持する係合手段の一例を構成している。
インナーシェル20に下向きサイドリブ33を設けていることにより、インナーシェル20はその左右側縁が内向き動不能に保持されており、これにより、インナーシェル20が着座によって沈み込み変形することが許容されている。また、アウターカバー17の内向きサイドリブ35がインナーシェル20の外向きサイドリブ34に上から重なっていることにより、アウターカバー17の左右側縁部が下向き動することが阻止されていて、アウターカバー17の側縁がインナーシェル20の側縁にきっちり重なっている状態が保持されている。
図6,7,9から理解できるように、下向きサイドリブ33と外向きサイドリブ34と内向きサイドリブ31とのセットは前後に2箇所設けているが、1カ所のみ又は3箇所以上設けることも可能である(1カ所の場合は前後長さを長くしたら良い。)。
図8に示すように、中間メンバー22dはアウターカバー17の下面に重なるように正面視で上向き凹状に曲がっている。従って、中間メンバー22dとインナーシェル20との間には間隔が空いており、これによってインナーシェル20の沈み込み変形が許容されている。そして、アウターカバー17には中間メンバー22dの水平部を支持する支持リブ36の群が左右に適宜間隔で形成されており、かつ、左右端部の支持リブ32の箇所においてアウターカバー17は下方から中間メンバー22dにねじ込んだビス37で固定されている。
アウターカバー17と芯部材22とはビス37で一体化しており、かつ、インナーシェル20は外向きサイドリブ34と前ストッパー29とによって上向き動不能に保持されており、また、後部ストッパー32が芯部材22のリアメンバー22cに後方から当接していることでインナーシェル20は前向き動不能に保持されている。インナーシェル20の後部を起こしてリアメンバー22cに対する後部ストッパー32の係合を解除すると、インナーシェル20は手前に引き出して取り外すことができる。
図9に示すように、アウターカバー17のうち支持リブ36の下方の部分には下向き凹で左右横長の円弧溝38が形成されており、背フレーム2に設けたサポート体18が円弧溝38に嵌まるようになっている。
(3).まとめ
以上のとおり、本実施形態では、座3の下面はアウターカバー17で構成されているため、跳ね上げた状態では基本的には座3しか人目に触れず、芯部材22等の内部構造は全く人目に触れないため美観に優れている。また、芯部材22を有していることと、芯部材22がアウターカバー17を介してストッパー28で支持されていることにより、高い支持強度が確保されている。
座3の組み付けに当たっては、予め芯部材22にアウターカバー17をビス37で固定しておいてから、まず、芯部材22付きのアウターカバー17を上方からずらすことで穴26に横向き支軸16を嵌め入れ、次いで、ボルト24を内側から横向き支軸16にねじ込む。
次いで、インナーシェル20を前方から奥に向けてスライドさせることにより、外向きサイドリブ34を内向きサイドリブ35の下方に嵌め入れるもので、インナーシェル20を押し込み切ると、インナーシェル20の後部ストッパー32が弾性に抗しての変形によって芯部材22におけるリアメンバー22cの後ろ側に位置し、これによってインナーシェル20は前後左右にずれ不能に保持される。取り外す手順は既述のとおりである。
そして、インナーシェル20を取り付けると芯部材22やボルト24のような内部部材は外からは全く見えず、このため跳ね上げた状態においてもスッキリした外観を呈していて見た目が良い。
本実施形態では、脚1と座3との間に間隔が空いており、しかも、脚1を構成する足7,8は正面視及び側面視で傾斜しているため、脚1のボリュームは特許文献1に比べて格段に小さくなっており、このため人が圧迫感や窮屈感を受けることを著しく抑制できる。また、座3の左右側部と脚1との間には大きな空間6が空いているため、人が椅子の横を通るに際して鞄類が足7,8に引っ掛かる現象を著しく抑制できる。
また、背フレーム2と後足8とは側面視でくの字の形態になっており、これによって座3と後足8との間には大きな空間が空いているため、椅子の列と列との間を人が通るに際して鞄類が後足8に当たったり引っ掛かったりすることを著しく抑制できる。更に、背フレーム2が後傾して後足8が前傾しているため、座3の後面部には大きな後ろ向き空間が空いており、このため人が椅子の後ろの通路を歩くに際して鞄類が後足に引っ掛かることを防止できたり、椅子を多列に配置した場合において2列目以降の椅子に腰掛けた人が足を組み易くなるといった利点がある。
そして、仮に座3がその後端を中心に回動すると、人が着座した状態で座3には大きなモーメントが作用するが、本実施形態では座3の後部は背フレーム2におけるサイド支柱2aの後方に部分的にはみ出ており、座3はその後端よりも手前の部分においてサイド支柱2aに連結されているため、座3に作用するモーメントは特許文献1に比べて短くなっている。従って、座3の後方に後ろ向きの空間を空けることで他人への配慮が成されている椅子でありながら、高い支持強度を確保できるのである。人の体圧が最も強くかかる部分がサポート体18で下方から支持されていることも、強度確保に貢献している。
本実施形態のようにアウターカバー17の下面にサポート体18が嵌まる溝38を形成すると、サポート体18が円形であってもサポート体18とアウターカバー17とが面接触になるため圧痕の発生を防止又は著しく抑制できる利点や、仮に圧痕ができても目立たないという利点がある。なお、サポート体18にエラストマー等の軟質材を装着することも可能である。
(4).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、芯部材は板金品やダイキャスト品にするなど形態や素材は自由に設定できる。枠装置の形態も実施形態に限定されるものではなく、特許文献1のように脚が側面視で下向き開口コ字状状に形成された椅子、或いは、脚が正面視で下向き開口コ字状状に形成された椅子にも適用できる。また、本願発明は移動自在なネスティング椅子に好適であるが、劇場用椅子や競技場用椅子のような移動不能な跳ね上げ式椅子にも適用可能である。
第1実施形態に係る椅子の斜視図である。 (A)は正面図で(B)は平面図で(C)は側面図である。 椅子の底面図である。 ネスティング状態を示す側面図である。 椅子の分離正面図である。 座を中心にした部分の平面図である。 インナーシェルとクッションとを省略した平面図である。 図6の VIII-VIII視断面図である。 (A)は図6の IX-IX視分離断面図で(B)は座の前部における図6の IX-IX視断面図である。 座の後部の縦断側面図である。 図10の XI-XI視断面図である。
符号の説明
1 枠装置を構成する脚
2 枠装置を構成する背フレーム
2a サイド支柱
3 座
4 背もたれ
16 横向き支軸
17 座のアウターカバー
18 サポート体
20 インナーシェル
21 クッション
22 芯部材
24 連結用のボルト
26 アウターカバーの逃がし穴

Claims (4)

  1. 座と背もたれとこれらが取り付く枠装置とを有しており、前記座を、その後部を中心にして跳ね上げ回動させ得るように枠装置に連結している、という椅子であって、
    前記座は、人の着座によって下向きに沈み変形し得る樹脂製のインナーシェルと、前記インナーシェルの上面に張られたクッションと、インナーシェルを下方から覆うアウターカバーとを有している、
    椅子。
  2. 前記座のインナーシェルと樹脂製アウターカバーとの間には、インナーシェルに掛かった荷重を支える強度メンバーとしての金属製の芯部材が配置されていてこの芯部材が前記枠装置に回動自在に連結されており、かつ、前記枠装置には、座をその回動中心よりも手前側において下方から支えるサポート体が設けられており、座を倒した状態で前記芯部材の受け部とサポート体とがアウターカバーを介して上下に重なっており、かつ、芯部材の受け部と座のインナーシェルとの間にはインナーシェルの下向き沈み込み変形を許容する空間が空いている、
    請求項1に記載した椅子。
  3. 前記枠装置は、座との間に空間を空けて配置された脚と、前記脚から立ち上がって座の左右外側を通って略上向きに延びる背フレームとを有しており、座を跳ね上げると前後に配置した椅子を互いに嵌め合わせできるように脚は前後非対象の形態になっており、更に、前記背フレーム又は脚に、左右横長の前記サポート体が、座の左右縁部よりも内側においてアウターカバーに当るように設けられている、
    請求項2に記載した椅子。
  4. 前記背フレームのうち座を挟んだ両側に位置したサイド支柱には、座の芯部材を連結するための横向き支軸が相対向するように設けられている一方、
    前記座のアウターカバーは芯部材を下方から覆うように上向き凹部状でかつ左右両側部は湾曲した断面形状になっており、このアウターカバーの左右両側部に、当該アウターカバーを下向きに動かせると前記横向き支軸が入り込む逃がし穴が空いており、前記芯部材はアウターカバーの内側から挿入したボルトによって横向き支軸に連結されている、
    請求項3に記載した椅子。
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