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JP2009101774A - ステアリング装置 - Google Patents

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JP2009101774A
JP2009101774A JP2007273960A JP2007273960A JP2009101774A JP 2009101774 A JP2009101774 A JP 2009101774A JP 2007273960 A JP2007273960 A JP 2007273960A JP 2007273960 A JP2007273960 A JP 2007273960A JP 2009101774 A JP2009101774 A JP 2009101774A
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JP
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vehicle
parking
distance
steering
parking space
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Application number
JP2007273960A
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English (en)
Inventor
Koji Kawakami
広司 川上
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Abstract

【課題】 簡単な構成にて縦列駐車を容易にできるようにする。
【解決手段】 車両先頭部VFが駐車スペースPSに進入するときの距離a,b,c,dの変化に基づいて車両の進入パターンを判別し、判別された進入パターンに応じた算出式にて駐車スペースPSへの進入角度θを算出する。また、進入パターンに応じて設定される駐車可否判定条件を選択し、この判定条件に従って、車両を駐車スペースPSに縦列駐車できるか否かを判定する。縦列駐車が可能であると判定された場合には、車両先頭部VFの左前コーナーAを中心として車両を旋回させる。縦列駐車が不可能であると判定された場合には、運転者に対してやり直しのメッセージをアナウンスする。
【選択図】 図8

Description

本発明は、車輪の転舵角を制御して縦列駐車運転を支援する機能を備えたステアリング装置に関する。
従来から、例えば、特許文献1に提案されているように、車両に搭載されている距離センサにより駐車スペースの大きさと駐車スペースに対する車両までの距離を検出し、車両を駐車スペースにバックで車庫入れできるか否かを判断して、その判断結果を運転者に知らせる装置が知られている。この特許文献1に提案された装置では、車両が駐車スペースに面した通路を通過するときに、距離センサにより駐車スペースの壁を検出し、駐車スペースを通り過ぎた位置で車両を停止させる。そして、この停止位置から車両を最小回転半径で後退させた場合に、駐車スペースに駐車できるか否かを判断して、その判断結果を表示部に表示する。
また、前後左右輪を独立して転舵することにより、狭いスペース内で車両を旋回させる旋回制御技術も知られている。例えば、特許文献2に提案された装置では、車両の周囲状況情報を取得し、周囲の障害物を回避するように最適な旋回中心を逐次算出し、計算された旋回中心にて車両が旋回されるように前後左右輪の転舵角を制御する。このような旋回制御技術を用いた自動運転により駐車用運転操作を支援する。
特開平9−180100 特開2007−30808
しかし、特許文献1に提案された装置は、車両をバックで車庫入れするときに運転者に対して駐車できるか否か表示するものであって、縦列駐車には適用できない。特に、車両の先頭部から駐車スペースに縦列駐車することはできない。また、特許文献2に提案された装置は、車両の周囲状況に応じて旋回中心を時々刻々と変化させていく必要があり、その旋回中心を逐次算出するための演算が複雑となる。従って、マイクロコンピュータの演算負担が大きく、高いスペックが要求されコストアップを招いてしまう。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、簡単な構成で車両の先頭部から縦列駐車を容易に行えるようにしたステアリング装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、前後左右の車輪の転舵角を独立して調整する転舵アクチュエータと、上記前後左右の車輪の転舵角をそれぞれ検出する転舵角検出手段と、上記転舵角検出手段により検出される転舵角が目標転舵角となるように上記転舵アクチュエータを駆動制御する転舵制御手段とを備えたステアリング装置において、運転者が縦列駐車支援モードを選択するための選択操作手段と、上記縦列駐車支援モードが選択された場合、車両先頭部の左右片側端を中心として車両を旋回させるように、上記目標転舵角を縦列駐車転舵角に設定する駐車転舵角設定手段とを備えたことにある。
この発明においては、運転者が選択操作手段を操作して縦列駐車支援モードを選択すると、駐車転舵角設定手段が目標転舵角を縦列駐車転舵角に設定する。この縦列駐車転舵角は、車両先頭部の左右片側端(左右いずれか一方端であって、旋回方向側となる端)を中心として車両を旋回させる転舵角である。転舵制御手段は、転舵角検出手段により検出される各車輪の転舵角が縦列駐車転舵角となるように転舵アクチュエータを駆動制御する。
従って、運転者は、車両先頭部を駐車スペースに進入させ、選択操作手段を操作して縦列駐車支援モードを選択することで、車両を先頭部コーナーを中心に旋回させることができるため縦列駐車を容易に行うことができる。また、車両の旋回中心が予め設定されているため、駐車運転時に旋回中心や目標転舵角を逐次演算する必要が無く、簡易なシステムで実現することができる。
尚、旋回中心となる車両先頭部の片側端は、左右を選択できるようにすることが好ましいが、選択不能にいずれか一方側に固定したものであってもよい。
また、本発明の他の特徴は、上記縦列駐車支援モードが選択された場合、車両先頭部が駐車スペースに進入した状態で、駐車スペースに対する車両の進入位置を検出する車両進入位置検出手段と、上記検出した駐車スペースに対する車両の進入位置と車体サイズとに基づいて、上記車両の進入位置から車両先頭部の左右片側端を中心として車両を旋回させた場合に、車両を上記駐車スペースに縦列駐車できるか否かを判定する駐車可否判定手段と、上記駐車可否判定手段により縦列駐車できないと判定された場合に、運転者に報知する報知手段とを備え、上記駐車転舵角設定手段は、上記駐車可否判定手段により縦列駐車できると判定された場合に、車両先頭部の左右片側端を中心として車両を旋回させるように、上記目標転舵角を縦列駐車転舵角に設定することにある。
この発明においては、縦列駐車支援モードが選択された場合、車両先頭部が駐車スペースに進入した状態で、車両進入位置検出手段が駐車スペースに対する車両の進入位置を検出する。例えば、運転者が車両先頭部を駐車スペースに突っ込んで車両を停止させ、この状態における駐車スペースに対する車両位置(車両先頭部位置)が検出される。そして、駐車可否判定手段が、駐車スペースに対する車両の進入位置と車体サイズとに基づいて、この進入位置から車両先頭部の左右片側端を中心として車両を旋回させた場合に、車両を駐車スペースに縦列駐車できるか否かを判定する。この場合、車両先頭部が駐車スペースに進入した状態で駐車スペースに対する車両の進入位置を検出するため、その位置検出を容易に行うことができる。また、車両の旋回中心が車両先頭部の左右片側端に設定されているため、車両を旋回させたときに旋回軌道が一定となる。従って、車両を駐車スペースに縦列駐車できるか否の判定が容易となる。
車両を駐車スペースに縦列駐車できると判定された場合には、駐車転舵角設定手段が目標転舵角を縦列駐車転舵角に設定する。こうして、運転者は、ハンドル操作を行うことなく駐車スペースに容易に縦列駐車することができる。一方、車両を駐車スペースに縦列駐車できないと判定された場合には、報知手段が運転者にその旨を報知する。従って、無理な縦列駐車を防ぐことができる。
本発明の他の特徴は、上記車両進入位置検出手段は、車両先頭部の左右離れた別々の位置からそれぞれ車両正面方向の駐車スペース境界までの距離を検出する手段を含み、上記駐車可否判定手段は、それぞれ検出された距離の差に基づいて、上記駐車スペースへの車両の進入角度を算出し、算出した車両の進入角度を加味して車両を縦列駐車できるか否かを判定することにある。
この発明においては、車両先頭部の左右離れた別々の位置からそれぞれ車両正面方向(車両前後方向における前方)の駐車スペース境界までの距離を検出する。駐車スペース境界とは、例えば、駐車スペースを区画する壁や、他の車両などの障害物をいう。車両が、縦列駐車方向(縦列駐車したときの車両の前後方向)に対して斜めに駐車スペースに進入した場合には、車両正面方向の駐車スペース境界までの距離が左右の検出位置で相違する。従って、この距離差から駐車スペースへの車両の進入角度を推定することができる。そこで、駐車可否判定手段は、左右の距離の差から車両の進入角度を計算し、この進入角度を加味して(判定要素の1つとして用いて)車両を縦列駐車できるか否かを判定する。この結果、駐車可否判定手段の判定精度が高くなる。
本発明の他の特徴は、上記車両進入位置検出手段は、車両先頭部の左端から車両正面方向の駐車スペース境界までの左正面距離と、車両先頭部の右端から車両正面方向の駐車スペース境界までの右正面距離と、車両先頭部の左端から車両左方向の駐車スペース境界までの左側面距離と、車両先頭部の右端から車両右方向の駐車スペース境界までの右側面距離とを検出する距離検出手段を備え、上記駐車可否判定手段は、上記距離検出手段により検出された距離と車体サイズとに基づいて、車両先頭部の左右片側端を中心として車両を旋回させた場合に、駐車スペースに車両を縦列駐車できるか否かを判定することにある。
この発明においては、車両進入位置検出手段として距離検出手段を備えている。距離検出手段は、車両先頭部から、正面方向(車両前後方向における前方)、左側面方向(車両幅方向における左方向)、右側面方向(車両幅方向における右方向)の駐車スペース境界までの距離を検出する。正面方向に関しては、車両先頭部の左端と右端とから距離を検出する。これにより、駐車スペース境界によりコの字状に区画された駐車スペースに対する車両の先頭部の進入位置を良好に検出することができる。この場合、各検出距離に基づいて、車両の縦列駐車方向に対する進入角度も算出することができる。この結果、駐車可否判定手段による判定精度が向上する。
本発明の他の特徴は、上記駐車可否判定手段は、上記車両先頭部が上記駐車スペースに進入するときの上記距離検出手段により検出された各距離の変化に基づいて、上記駐車スペースに対する車両先頭部の進入パターンを判別する進入パターン判別手段と、上記判別された進入パターンに応じた算出式にて上記車両の駐車スペースへの進入角度を算出する進入角度算出手段と、上記判別された進入パターンに応じて設定され、上記進入角度を含んだ駐車可否判定条件を選択する判定条件選択手段とを備えたことにある。
この発明においては、進入パターン判別手段が、車両先頭部が駐車スペースに進入するときの各検出距離の変化に基づいて、駐車スペースに対する車両先頭部の進入パターンを判別する。検出距離の変化とは、車両の駐車スペースへの進入距離に対する検出距離の変化量などで表すことができる。
例えば、駐車スペース境界がコの字状に形成された駐車スペースに車両先頭部を進入させた場合、車両の進入角度によっては、車両先頭部の右端から車両正面方向へ測定した右正面距離と、車両先頭部の左端から車両正面方向へ測定した左正面距離とが、同一直線状の駐車スペース境界までの距離を測定したものではなくなるケースがある。そうしたケースにおいては、右正面距離と左正面距離との差からでは車両の進入角度を算出できない。そこで、車両左右の正面、側面の各測定距離の変化を検出することにより、車両先頭部の進入パターンを判別するようにしている。
車両先頭部の進入パターンが判別されると、進入角度算出手段は、判別された進入パターンに応じた算出式にて車両の駐車スペースへの進入角度を算出する。そして、判定条件選択手段が、判別された進入パターンに応じて設定される駐車可否判定条件を選択する。この駐車可否判定条件には車両の進入角度が含まれている。この結果、駐車可否判定精度がさらに向上する。
本発明の他の特徴は、上記報知手段は、上記駐車可否判定手段により縦列駐車できないと判定された場合に、運転者に対して車両先頭部の駐車スペースへの入れ直し要求を報知することにある。この場合、駐車可否判定条件を満たさなかった要件に基づいて、運転者に対して車両先頭部の駐車スペースへの進入位置の変更方法を報知するとよい。
この発明においては、車両を駐車スペースに縦列駐車できないと判定された場合に、報知手段が、運転者に対して車両先頭部の駐車スペースへの入れ直し要求を報知する。また、このとき、駐車可否判定条件を満たさなかった要件に基づいて、運転者に対して車両先頭部の駐車スペースへの進入位置の変更方法を報知する。従って、運転者は、この報知にしたがって駐車スペースの適正位置に車両先頭部を入れ直すことができる。この結果、縦列駐車が可能となる。
本発明の他の特徴は、上記駐車可否判定手段は、乗員の降車用スペースを加味して判定することにある。
この発明においては、車両を駐車スペースに縦列駐車できるか否かを判定する場合、乗員の降車用スペースを加味して(判定要件の1つに用いて)判定するため、さらに適正な判定が得られる。
以下、本発明の一実施形態に係るステアリング装置について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係るステアリング装置を4輪独立駆動部とあわせて表した概略構成図である。
この車両は、4輪独立転舵方式の車両であって、左前輪WFL,右前輪WFR,左後輪WRL,右後輪WRRをそれぞれ独立して転舵可能に備え、図2に示すように、左前輪WFL,右前輪WFR,左後輪WRL,右後輪WRR(以下、これらを特定しない場合には、車輪Wと総称する)を転舵するための転舵機構10を備えている。
各車輪Wに設けられる転舵機構10は、ナックル11と転舵用モータ12とを備える。ナックル11は、車輪Wの内側に連結されて車輪Wを回転可能に支持する。ナックル11は、車輪Wの内側から上方に延設され、その途中で車幅方向外側に曲折されて転舵用モータ12と連結する。転舵用モータ12は、図示しないサスペンション装置を介して車体に固定され、その回転出力軸が車輪Wのタイヤの接地中心点を通る鉛直線上に配置される。転舵用モータ12は、内部に減速機を備え、この減速した回転トルクをナックル11に伝達する。従って、ナックル11は、転舵用モータ12の回転により車輪Wのタイヤの接地中心点を通る鉛直線を中心として回転し車輪Wを転舵する。
このため、転舵機構10は、転舵角を大きくすることが可能で、左右方向にそれぞれ90°まで車輪Wを転舵できるように設定されている。つまり、車輪Wが車体の前後方向と平行に向く位置を中立位置として、この中立位置を基準とした車輪Wの向きである転舵角を右方向および左方向にそれぞれ90°まで変更できるように設定されている。
尚、各転舵機構10に設けられる転舵用モータ12は、それぞれ独立して駆動制御されるため、以下、左前輪WFLを転舵するモータを転舵用モータ12a、右前輪WFRを転舵するモータを転舵用モータ12b、左後輪WRLを転舵するモータを転舵用モータ12c、右後輪WRRを転舵するモータを転舵用モータ12dと呼ぶ。転舵用モータ12は、本発明における転舵アクチュエータに相当する。
各転舵用モータ12a,12b,12c,12dは、図1に示すように、それぞれモータ駆動回路13a,13b,13c,13dに接続される。モータ駆動回路13a,13b,13c,13d(以下、これらを総称する場合には単にモータ駆動回路13と呼ぶ)は、複数のスイッチング素子にて構成したブリッジ回路等(例えばインバータ回路)を備え、後述する転舵用制御ユニット50(以下、転舵用ECU50と呼ぶ)から出力される制御信号(例えば、PWM制御信号)に応じた電圧で転舵用モータ12a,12b,12c,12dを正逆自在に回転駆動する。従って、転舵用ECU50とモータ駆動回路13により本発明における転舵制御手段を構成している。
車輪WFL,WFR,WRL,WRRのホイール内部には、駆動用モータ14a,14b,14c,14d(以下、これらを総称する場合には単に駆動用モータ14と呼ぶ)がナックル11に固定されて組み込まれている。駆動用モータ14は、いわゆるインホイールモータであり、通電により発生した回転トルクをプラネタリギヤ等の減速機を介して車輪Wに付与する。
各駆動用モータ14a,14b,14c,14dは、それぞれモータ駆動回路15a,15b,15c,15dに接続される。モータ駆動回路15a,15b,15c,15d(以下、これらを総称する場合には単にモータ駆動回路15と呼ぶ)は、複数のスイッチング素子にて構成したブリッジ回路等(例えばインバータ回路)を備え、後述する車輪駆動用制御ユニット100(以下、車輪駆動用ECU100と呼ぶ)から出力される制御信号(例えば、PWM制御信号)に応じた電圧で駆動用モータ14a,14b,14c,14dを正逆自在に回転駆動する。
従って、本実施形態のステアリング装置が搭載される車両は、各車輪Wを回転駆動する車輪駆動アクチュエータ(例えば、駆動用モータ14)と、各車輪駆動アクチュエータを独立して駆動制御する車輪駆動制御手段(例えば、モータ駆動回路15と車輪駆動用ECU100)とを有する4輪独立駆動手段を備えている。
転舵用ECU50は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として構成したもので、入力インターフェースに車輪舵角センサ21a,21b,21c,21dと、車輪速度センサ22a,22b,22c,22dと、ハンドル操舵角センサ23と、操作入力部25と、距離センサ24a,24b,24c,24dを接続している。また、転舵用ECU50は、出力インターフェースにモータ駆動回路13a,13b,13c,13dと、音声アナウンス装置16とを接続している。また、転舵用ECU50は、車輪駆動用ECU100と相互にデータ授受可能に設けられる。
車輪舵角センサ21a,21b,21c,21d(以下、これらを総称するときは単に車輪舵角センサ21と呼ぶ)は、車輪WFL,WFR,WRL,WRRの転舵角を検出するものである。例えば、各転舵用モータ12に組み込まれモータ回転角度(回転位置)を検出する回転角センサ(図示略)を用いることができる。つまり、転舵用モータ12の回転角度と車輪Wの転舵角とは一対一に対応するため、モータ回転制御用に使用される回転角センサで検出したモータ回転角度から転舵角を検出するのである。各車輪舵角センサ21a,21b,21c,21dは、車輪WFL,WFR,WRL,WRRが中立位置に向いているときの転舵角を0°として、中立位置に対する車輪WFL,WFR,WRL,WRRの転舵角δFL,δFR,δRL,δRRを表す信号を転舵用ECU50に出力する。本実施形態においては、左方向の転舵角を正の値で表し、右方向の転舵角を負の値で表す。この車輪舵角センサ21a,21b,21c,21dは、本発明における転舵角検出手段に相当する。
車輪速度センサ22a,22b,22c,22dは、車輪WFL,WFR,WRL,WRRの回転速度を検出し、その回転速度である車輪速度ωFL,ωFR,ωRL,ωRRを表す信号を転舵用ECU50に出力する。車輪Wの転動距離は、車輪Wのタイヤ外周径(転舵用ECU50に記憶されている)と車輪速度とから求められる。従って、本実施形態においては、この車輪速度センサ22による車輪速度検出と、車輪速度を使って車輪転動距離を演算する転舵用ECU50とにより車輪転動距離検出手段を構成している。この車輪速度センサ22a,22b,22c,22dにより検出される車輪速度ωFL,ωFR,ωRL,ωRR信号は、車輪駆動用ECU100にも出力される。尚、車輪転動距離は、駆動用モータ14の回転角を検出する回転角センサ(図示略)を用いて検出することもできる。つまり、駆動用モータ14の回転角度と車輪Wの回転角度とは一対一に対応するため、モータ回転制御用に使用される図示しない回転角センサで検出したモータ回転角度から車輪Wの回転角度を検出し、この回転角度と車輪Wのタイヤ外周径とから車輪転動距離を算出する構成を採用することができる。
ハンドル操舵角センサ23は、操舵ハンドル40の中立位置に対する回転角度をハンドル操舵角として検出し、ハンドル操舵角θhを表す信号を転舵用ECU50に出力する。
操作入力部25は、運転席近傍に設けられ運転者が入力操作する操作部であり、縦列駐車支援モード選択スイッチ25a(以下、支援モード選択スイッチ25aと呼ぶ)と、旋回方向選択スイッチ25bと、乗降スペース選択スイッチ25cとを備える。支援モード選択スイッチ25aは、運転者が後述する縦列駐車支援を得たいときに操作して縦列駐車支援モードを選択するための操作スイッチであり、オン操作されたときに、転舵用ECU50に対して縦列駐車支援モード選択信号を出力する。この支援モード選択スイッチ25aは、本発明の選択操作手段に相当する。
旋回方向選択スイッチ25bは、縦列駐車支援時における旋回方向を選択するための操作スイッチであり、転舵用ECU50に対して旋回方向選択信号を出力する。乗降スペース選択スイッチ25cは、縦列駐車支援制御により縦列駐車を行ったときに、最小限確保される乗降スペースを設定する操作スイッチである。
操作入力部25は、専用に設けてもよいが情報端末装置を利用することもできる。例えば、ナビゲーション装置のタッチパネル表示器を兼用することができる。この場合、タッチパネル表示器に縦列駐車支援モードを選択するためのモード選択画面、旋回方向を選択するための旋回方向選択画面、乗降スペースを選択するための乗降スペース選択画面を切り替え表示して、表示画面ごとに画面上で選択ボタンをタッチ操作できるようにしたものであってもよい。
距離センサ24a,24b,24c,24dは、本発明の距離検出手段に相当するもので、車体から障害物までの距離を測定する。距離センサ24a,24b,24c,24dとしては、例えば、クリアランスソナーを用いることができる。クリアランスソナーは、超音波を利用するもので、超音波を送信する送信機と反射波を受信する受信機とを含み、受信機における反射波の検出状態に基づいて障害物とクリアランスソナーとの間の距離を検出するものである。
距離センサ24a,24bは、車両先頭部の左端(以下、左前コーナーと呼ぶ)に設けられ、距離センサ24c,24dは、車両先頭部の右端(以下、右前コーナーと呼ぶ)に設けられる。距離センサ24aは、左前コーナーから車両正面方向(車両前後方向における前方)に存在する障害物までの距離を検出する。距離センサ24bは、左前コーナーから車両左方向(車両幅方向における左方向)に存在する障害物までの距離を検出する。距離センサ24cは、右前コーナーから車両正面方向に存在する障害物までの距離を検出する。距離センサ24bは、右前コーナーから車両右方向に存在する障害物までの距離を検出する。距離センサ24a,24b,24c,24dにより検出された距離情報は、転舵用ECU50に出力される。以下、距離センサ24aにより検出された障害物までの距離を左前距離a、距離センサ24bにより検出された障害物までの距離を左横距離b、距離センサ24cにより検出された障害物までの距離を右前距離c、距離センサ24dにより検出された障害物までの距離を右横距離dと呼ぶ。
音声アナウンス装置16は、運転者に対して駐車支援用の複数種類のメッセージを音声にて報知するもので、本発明の報知手段の一部を構成している。音声アナウンス装置16は、各メッセージごとに音声データを記憶する記憶部(図示略)と、転舵用ECU50から音声発生指令を入力したときに、その指令により特定されたメッセージを再生する音声再生部(図示略)とを備える。この音声アナウンス装置16は、専用に設けてもよいが、例えば、ナビゲーション装置の音声アナウンス機能を兼用するようにしてもよい。
車輪駆動用ECU100は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として構成したもので、入力インターフェースにアクセルペダルセンサ27と、ブレーキペダルセンサ28と、シフトポジションセンサ26とを接続している。また、転舵用ECU50は、出力インターフェースにモータ駆動回路15a,15b,15c,15dを接続している。また、車輪駆動用ECU100は、転舵用ECU50と相互にデータ授受可能に設けられる。
アクセルペダルセンサ27は、図示しないアクセルペダルの踏み込み量(踏み込み角度)を検出し、この踏み込み量を表すアクセルペダル信号を車輪駆動用ECU100に出力する。ブレーキペダルセンサ28は、図示しないブレーキペダルの踏み込み量(踏み込み角度)を検出し、この踏み込み量を表すブレーキペダル信号を車輪駆動用ECU100に出力する。シフトポジションセンサ26は、図示しないシフトレバーのポジションを検出し、シフトポジションを表す信号を車輪駆動用ECU100に出力する。このシフトポジションセンサ26により検出されるシフトポジション信号は、転舵用ECU50にも出力される。
車輪駆動用ECU100は、アクセルペダル信号、ブレーキペダル信号、シフトポジション信号、車輪速度信号に基づいて、モータ駆動回路15a,15b,15c,15dに制御信号を出力し、駆動用モータ14a,14b,14c,14dに所定のトルクを発生させて車輪WFL,WFR,WRL,WRRを独立して駆動制御する。
転舵用ECU50は、通常の転舵制御機能に加えて、後述する縦列駐車支援機能を有する。転舵用ECU50は、操作入力部25の選択操作により通常モードが選択されている場合には通常転舵制御を行い、縦列駐車支援モードが選択されている場合には縦列駐車支援制御を行う。そのため、転舵用ECU50は、通常転舵制御を行うための制御プログラムと縦列駐車支援制御を行うための制御プログラムとを別々にROM内に記憶している。
通常転舵制御時においては、車輪WFL,WFR,WRL,WRRの転舵角が、ハンドル操舵角θhに応じた目標転舵角になるように転舵用モータ12a,12b,12c,12dが制御される。転舵用ECU50は、この通常転舵制御を行うにあたって、ハンドル操舵角θhに応じた車輪WFL,WFR,WRL,WRRの目標転舵角δFL*,δFR*,δRL*,δRR*を予め目標転舵角テーブルとしてROM内に記憶しており、走行中、この目標転舵角テーブルを参照してハンドル操舵角θhに応じた車輪WFL,WFR,WRL,WRRの目標転舵角δFL*,δFR*,δRL*,δRR*を逐次算出する。そして、車輪舵角センサ21a,21b,21c,21dにて検出した実際の転舵角δFL,δFR,δRL,δRRと目標転舵角δFL*,δFR*,δRL*,δRR*との偏差(δFL*−δFL,δFR*−δFR,δRL*−δRL,δRR*−δRR)に応じた転舵用モータ12a,12b,12c,12dへ通電すべき目標電流を設定し、目標電流に対応した制御信号(例えばPWM制御信号)をモータ駆動回路15a,15b,15c,15dに出力する。これにより、転舵用モータ12a,12b,12c,12dが駆動され、車輪WFL,WFR,WRL,WRRの転舵角が目標転舵角δFL*,δFR*,δRL*,δRR*となるように制御される。
尚、目標転舵角δFL*,δFR*,δRL*,δRR*は、ハンドル操舵角θhが大きくなるにしたがって大きな角度に設定されるが、車速に応じてその特性を変化させるようにしてもよい。
次に、縦列駐車支援制御について説明する。図3は、車両V、および、運転者が縦列駐車しようとする駐車スペースPSを示す。この駐車スペースPSは、コの字状に3方が壁面(駐車スペース境界)で囲まれた領域であり開放面が通路Rに隣接する。以下、駐車スペースPSにおける、図面右側の壁を右駐車壁WR、図面左側の壁を左駐車壁WL、右駐車壁WRと左駐車壁WLとの間の壁を正面駐車壁WCと呼び、これら3つの駐車壁WR,WL,WCを特定しない場合には単に駐車壁Wと呼ぶ。尚、各駐車壁WR,WL,WCは平坦面であり、正面駐車壁WCに対して右駐車壁WRおよび左駐車壁WLがそれぞれ直交する。また、車両Vの平面視形状を長方形と仮定している。
この駐車スペースPSにおいては、左右に向かい合う壁WR,WL間の距離に比べて、通路Rから正面駐車壁WCまでの距離が短い。従って、運転者は、車両Vの前後方向を左右の壁WR,WLの向かい合う方向(図3においては左右方向)にあわせて駐車する。つまり、縦列駐車を行う。
ここで、運転者と転舵用ECU50とが行う全体的な流れの概要について図4のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートにおいて、塗りつぶし表示してある処理は運転者が行うものである。
運転者は、駐車スペースPSに車両Vを進入させる前に、予め支援モード選択スイッチ25aをオンにする(S11)。これにより、転舵用ECU50は、距離センサ24a,24b,24c,24dによる障害物との距離測定を開始する(S12)。尚、運転者は、支援モード選択スイッチ25aをオン操作する前に車両Vを旋回させる方向を確認し、現在の設定と相違している場合には、旋回方向選択スイッチ25bを使って旋回方向を設定する。
続いて、運転者は、車両先頭部VFを駐車スペースPSに進入させて車両Vを停止させる(S13)。尚、このとき運転者は、車両Vを旋回させないようにして車両先頭部VFが駐車スペースPSに入る位置にまで前進移動させる。転舵用ECU50は、距離センサ24a,24b,24c,24dによる車両正面方向と車両左右方向における距離測定を終了する(S14)。この場合、転舵用ECU50は、支援モード選択スイッチ25aがオンしてから車両Vが駐車スペースPSに進入して停止するまでのあいだ、所定の短い周期で距離測定を繰り返す。
続いて、転舵用ECU50は、距離センサ24a,24b,24c,24dにより測定した測定結果に基づいて、駐車スペースPS内に車両Vを縦列駐車できるか否かを判定する(S15)。駐車可能と判定した場合には(S16:YES)、音声アナウンス装置16により運転者に対して車両Vの旋回駐車動作を開始する旨をアナウンスする(S17)とともに、4輪WFL,WFR,WRL,WRRを縦列駐車転舵角に転舵する(S18)。この縦列駐車転舵角は、左前コーナーA(右旋回の場合には右前コーナーB)を中心に車両Vが旋回するように設定された角度であって予め転舵用ECU50のROM内に記憶されている。運転者は、このアナウンスによりブレーキの踏み込み力を緩めてクリープ状態で車両Vを前進させる(S19)。これにより車両Vは、ハンドル操作なしに左前コーナーAを中心に旋回する。
車両Vの右側面が駐車スペースPSの正面駐車壁WCと平行になったところで、音声アナウンス装置16により運転者に対して旋回終了の旨のアナウンスをする(S20)。運転者は、このアナウンスによりブレーキの踏み込み力を強めて車両を停止させる(S21)。こうして、縦列駐車が完了する。図3は、縦列駐車時における車両Vの旋回軌跡を破線にて示している。
一方、駐車不能と判定された場合には(S16:NO)、転舵用ECU50は、音声アナウンス装置16により運転者に対して車両Vの駐車スペースPSへの入れ直しを指示するとともに、その入れ直しに当たっての車両Vの動かし方を指示する(S22)。運転者は、このアナウンスに従って、車両Vを駐車スペースPSから外へ出し、再度、駐車スペースPSに入れ直す(S23)。そして、運転者は、支援モード選択スイッチ25aを再度操作する(S11)。これにより、上述したステップS12からの処理が再開される。
従って、駐車スペースPSに車両先頭部VFを進入させることで、駐車スペースPSへ縦列駐車できるか否かの判定が行われ、縦列駐車可能と判定されたときには、自動的に4輪WFL,WFR,WRL,WRRの舵角が縦列駐車転舵角に設定される。これにより、運転者はハンドル操作することなしに、車両Vを駐車スペースPSに駐車することができる。また、車両先頭部VFの進入位置が不適切である場合には、車両Vの入れ直し指示とその方法がアナウンスされるため、運転者はハンドル操作を迷うことなく入れ直しすることができる。
次に、転舵用ECU50側にて行う縦列駐車支援制御処理について説明する。図5は、転舵用ECU50側にて行う縦列駐車支援制御ルーチンを表すフローチャートである。この縦列駐車支援制御ルーチンは、転舵用ECU50のROM内に制御プログラムとして記憶されており、図示しないイグニッションスイッチがオン状態にあるときに繰り返し実施される。尚、この縦列駐車支援制御ルーチンは、図4のフローチャートにおける転舵用ECU50の行う処理を詳しく説明するものであり、図4のフローチャートにおける処理と重複する処理であっても別のステップ番号を付している。
本縦列駐車支援制御ルーチンが起動すると、転舵用ECU50は、ステップS31において、支援モード選択スイッチ25aの状態を読み込んでオン状態になったか否かを判断する。この判断は、支援モード選択スイッチ25aがオンするまで、所定の周期で繰り返される。そして、運転者が支援モード選択スイッチ25aをオン操作すると、転舵用ECU50は、その処理をステップS32に進める。
転舵用ECU50は、ステップS32において、距離センサ24a,24b,24c,24dによる距離測定を行う。この場合、距離センサ24aにより車両Vの左前コーナーAから車両正面方向に存在する障害物までの左前距離aを測定し、距離センサ24bにより車両Vの左前コーナーAから車両左方向に存在する障害物までの左横距離bを測定し、距離センサ24cにより車両Vの右前コーナーBから車両正面方向に存在する障害物までの右前距離cを測定し、距離センサ24dにより車両Vの右前コーナーBから車両右方向に存在する障害物までの右横距離dを測定する。
続いて、転舵用ECU50は、ステップS33において、車両Vが停止したか否かを判断する。この場合、車両Vが前進している状態から停止状態となったか否かを判断する。つまり、ステップS33の判断処理は、運転者が支援モード選択スイッチ25aをオン操作後、車両先頭部VFが駐車スペースPS内に入るまで車両Vを前進させて停止させたか否かを判断するものである。転舵用ECU50は、このステップS33において、例えば、車輪速度センサ22(22a,22b,22c,22dのいずれか1つでよい)により検出される車輪速度ωを読み込み、車輪速度ωが一旦ゼロから増大したのち再びゼロにまで低下し基準時間のあいだゼロ(停止状態)を維持したか否かについて判断する。尚、ステップS33の処理は、車輪速度の検出に代えて車速センサ(図示略)により検出される車速信号を読み込んで判断するようにしてもよい。
転舵用ECU50は、車両Vの停止が確認されない間は、ステップS32の処理を繰り返す。このとき、ステップS32にて測定される左前距離a,左横距離b,右前距離c,右横距離dの測定データは、RAM等のメモリに逐次記憶されていき、各測定距離a,b,c,dの履歴が得られるようになっている。
ステップS33において車両Vの停止が確認されると、転舵用ECU50は、ステップS34において、車両Vの駐車スペースPSへの進入パターンを判別する。この進入パターンは、車両Vが駐車スペースPSに駐車可能か否かを判定する判定条件を設定するために判別されるものである。
ここで進入パターンについて説明する。本実施形態においては、車両Vの駐車スペースPSに対する進入パターンを4種類に分類している。図6は第1進入パターンを表し、図7は第2進入パターンを表し、図8は第3進入パターンを表し、図9は第4進入パターンを表す。図6〜図9において、それぞれ(A)は車両Vが停止に至るまでに検出した左前距離a,左横距離b,右前距離c,右横距離dの車両進入距離に対する変化を表し、(B)は駐車スペースPSに対する車両Vの進入停止位置を表す。尚、ここで説明するパターンは、車両Vを左旋回させて縦列駐車するときの進入パターンである。
第1進入パターンは、図6に示すように、車両Vを縦列駐車方向(左右の駐車壁WR,WLが向かい合う方向)に対して直交する方向に進入させたパターンである。この第1パターンにおいては、左前距離aと右前距離cは等しく、かつ、減少率(車両進入距離に対して変化する測定距離の減少量)が一定となる。また、左横距離bと右横距離dは、車両進入距離に関係なく一定値を保つ。
この第1進入パターンにおいては、車両Vが駐車スペースPSに縦列駐車可能か否かを判定する判定条件式(以下、第1パターン駐車可否判定条件式と呼ぶ)を次のように定めることができる。つまり、下記3つの式を満足する場合には、車両Vが駐車スペースPSに縦列駐車可能であると判定できる。ここで、Lbは車両全長、Ltは車両全幅、α1は左駐車壁WLに対する余裕代、α2は正面駐車壁WCに対する余裕代、α3は右駐車壁WRに対する余裕代である。尚、α2は、運転者が乗降するためのスペースを確保するために必要となるもので、操作入力部25に設けられた乗降スペース選択スイッチ25cにより設定された値となる。
<第1パターン駐車可否判定条件式>
Figure 2009101774
第2〜第4進入パターンは、いずれも車両Vを正面駐車壁WCに対して斜めに進入させたパターンである。第2進入パターンにおいては、図7(B)に示すように、車両Vが駐車スペースPSに進入移動している最中、距離センサ24aと距離センサ24cとにより正面駐車壁WCとの距離a,cが測定され、距離センサ24bにより左駐車壁WLとの距離bが測定され、距離センサ24dにより右駐車壁WRとの距離dが測定される。
第3進入パターンにおいては、図8(B)に示すように、車両Vが駐車スペースPSに進入移動している最中、距離センサ24aと距離センサ24cとにより正面駐車壁WCとの距離a,cが測定され、距離センサ24bにより左駐車壁WLとの距離bが測定される点で第2進入パターンと同じではあるが、距離センサ24dによる距離測定対象が進入移動途中で右駐車壁WRから正面駐車壁WCに変化する点で第2進入パターンと相違する。
第4進入パターンにおいては、図9(B)に示すように、車両Vが駐車スペースPSに進入移動している最中、距離センサ24aと距離センサ24bとにより左駐車壁WLとの距離a,bが測定され、距離センサ24cにより正面駐車壁WCとの距離cが測定され、距離センサ24dにより進入当初は右駐車壁WRとの距離d、その後は正面駐車壁WCとの距離dが測定される。従って、第3進入パターンとは距離センサ24aが左駐車壁WLとの距離aを測定する点で相違する。
第2進入パターンにおいては、図7(A)に示すように、左前距離aが右前距離cよりも大きく(a>c)、左前距離aと右前距離cの減少率(車両進入距離に対して変化する測定距離の減少量)が同じ一定値となる。また、左横距離bの減少率は一定となる。また、右横距離dの増加率(車両進入距離に対して変化する測定距離の増加量)は一定となる。
この第2進入パターンにおいては、車両Vの進入角度θ(車両Vの車幅方向と縦列駐車方向(正面駐車壁WCの形成方向)となす角度)を、左前距離aと右前距離cとの差を使って、次の算出式にて算出することができる。
tanθ=(a−c)/Lt
また、第2進入パターンにおいては、車両Vが駐車スペースPSに縦列駐車可能か否かを判定する判定条件式(以下、第2パターン駐車可否判定条件式と呼ぶ)を次のように定めることができる。つまり、下記3つの式を満足する場合には、車両Vが駐車スペースPSに縦列駐車可能であると判定できる。
<第2パターン駐車可否判定条件式>
Figure 2009101774
第3進入パターンにおいては、図8(A)に示すように、左前距離aが右前距離cよりも大きく(a>c)、左前距離aと右前距離cの減少率が同じ一定値となる。また、左横距離bの減少率は一定となる。一方、右横距離dは、右駐車壁WRとの距離dを測定しているときには増加し、距離測定対象が正面駐車壁WCに切り替わると減少に転じる。
尚、図中において、b1は車両先頭部VFが駐車スペースPSに進入して最初に距離センサ24bにより検出された左駐車壁WLとの距離であり、b2は車両Vが停止したときの左駐車壁WLとの距離である。また、d0は、車両Vの移動中に距離センサ24dの距離測定対象が右駐車壁WRから正面駐車壁WCに切り替わったときの距離センサ24dにより検出される距離である。また、δ12は、距離センサ24bにより距離b1が検出された後、車両Vが停止するまでの進入距離、つまり、距離b2が検出されるまでの進入距離を表す。このδ12は、例えば、距離センサ24bにより距離b1が検出されたときの距離センサ24aの測定距離a1と、距離センサ24bにより距離b2が検出されたときの距離センサ24aの測定距離a2との差により求めることができる。
この第3進入パターンにおいては、車両Vの進入角度θを次の算出式にて算出することができる。
tanθ=(a−c)/Lt または tanθ=(b1−b2)/δ12
また、第3進入パターンにおいては、車両Vが駐車スペースPSに縦列駐車可能か否かを判定する判定条件式(以下、第3パターン駐車可否判定条件式と呼ぶ)を次のように定めることができる。つまり、下記3つの式を満足する場合には、車両Vが駐車スペースPSに縦列駐車可能であると判定できる。
<第3パターン駐車可否判定条件式>
Figure 2009101774
第4進入パターンにおいては、図9(A)に示すように、左前距離aが右前距離cよりも大きく(a>c)、左前距離aと右前距離cの減少率が同じ一定値となる。また、左横距離bの減少率は一定となる。一方、右横距離dは、右駐車壁WRとの距離dを測定しているときには増加し、距離測定対象が正面駐車壁WCに切り替わると減少に転じる。
この第4進入パターンでは、距離aと距離bとの比(a/b)が車両Vの進入移動に伴って変化しない点で第3進入パターンと相違する。第4進入パターンにおいては、距離センサ24aと距離センサ24bとが共に左駐車壁WLまでの距離を検出する。このため、距離センサ24aによる左駐車壁WLの測定ポイントPL1と、距離センサ24bによる左駐車壁WLの測定ポイントPL2と、左前コーナーAとを結んだ三角形に着目すると、この三角形は、車両Vの進入量に応じて大きさが変化するものの相似関係を維持する。従って、距離aと距離bとの比(a/b)は、変化せず一定となる。
一方、第3進入パターンでは、距離aと距離bとの比(a/b)が車両Vの進入移動に伴って変化する。第3進入パターンにおいては、距離センサ24aが正面駐車壁WCまでの距離を検出し、距離センサ24bが左駐車壁WLまでの距離を検出する。このため、距離センサ24aによる正面駐車壁WCの測定ポイントPC1と、正面駐車壁WCと左駐車壁WLとの交差ポイントPCLと、距離センサ24bによる左駐車壁WLの測定ポイントPL2と、左前コーナーAとを結んだ四角形に着目すると、この四角形は、車両Vの進入量に応じて形状が変化するため相似関係を有しない。
従って、距離aと距離bとの変化状態を検出し、両者の比(a/b)の変化を検出することで第3進入パターンと第4進入パターンとを判別することができる。
第4進入パターンにおいては、車両Vの進入角度θを次の算出式にて算出することができる。
tanθ=(b1−b2)/δ12
また、第4進入パターンにおいては、車両Vが駐車スペースPSに縦列駐車可能か否かを判定する判定条件式(以下、第4パターン駐車可否判定条件式と呼ぶ)を次のように定めることができる。つまり、下記3つの式を満足する場合には、車両Vが駐車スペースPSに縦列駐車可能であると判定できる。
<第4パターン駐車可否判定条件式>
Figure 2009101774
図5の縦列駐車支援制御ルーチンの説明に戻る。ステップS34においては、車両Vの駐車スペースPSへの進入パターンを判別する。進入パターンは、上述したように、車両Vの駐車スペースPSへの進入時に距離センサ24a,24b,24c,24dにより繰り返し検出した距離a,b,c,dに基づいて判別される。図10は、このステップS34の進入パターン判別処理をサブルーチンとして示したフローチャートである。
この進入パターン判別処理が開始されると、転舵用ECU50は、ステップS341において、次の第1判定条件をすべて満足しているか否かを判断する。尚、距離a,b,c,dの変化率(減少率、増加率)は、ステップS32において記憶した測定データの履歴に基づいて算出する。
1.距離aと距離cとが等しい。
2.距離aと距離cとの減少率が一定である。
3.距離bと距離dとが一定である。
転舵用ECU50は、この第1判定条件を満足する場合には、ステップS342において、第1進入パターンであると判定する。一方、ステップS341において、第1判定条件を満足しないと判断した場合には(S341:NO)、ステップS343において、次の第2判定条件をすべて満足しているか否かを判断する。
1.距離aが距離cより大きい。
2.距離aと距離cとの減少率が一定で同一である。
3.距離bの減少率が一定である。
4.距離dの増加率が一定である。
転舵用ECU50は、この第2判定条件を満足する場合には、ステップS344において、第2進入パターンであると判定する。一方、ステップS343において、第2判定条件を満足しないと判断した場合には(S343:NO)、ステップS345において、次の第3判定条件をすべて満足しているか否かを判断する。
1.距離aが距離cより大きい。
2.距離aと距離cとの減少率が一定で同一である。
3.距離bの減少率が一定である。
4.距離dは増加後に減少に転じる。
転舵用ECU50は、この第3判定条件を満足する場合には、続いて、ステップS346において、第4判定条件として距離aと距離bとの比(a/b)が一定であるか否かを判断する。第4判定条件を満足する場合には(S346:YES)、ステップS347において第4進入パターンであると判定する。一方、ステップS346において、第4判定条件を満足しないと判断した場合には(S346:NO)、ステップS348において、第3進入パターンであると判定する。
また、ステップS345において、第3判定条件を満足しない場合には(S345:NO)、ステップS349において、進入パターンが不明であると判定する。転舵用ECU50は、進入パターンの判定処理を完了すると、進入パターン判別サブルーチンを抜けて図5に示すメインルーチンのステップS35に処理を進める。尚、ステップS349において、進入パターンが不明であると判定した場合には、縦列駐車支援が不能であるため、後述するステップS44に移行するようにする。
転舵用ECU50は、ステップS35において、進入パターンに応じた車両進入角度θの計算式を設定し、ステップS36において車両進入角度θを算出する。この進入パターンに応じた車両進入角度θの計算式については上述した通りである。また、第1進入パターンの場合には、車両進入角度θの計算は不要であるので行わない。
続いて、転舵用ECU50は、ステップS37において、進入パターンに応じた駐車可否判定条件式を設定する。つまり、上述した第1〜第4のパターン駐車可否判定条件式から進入パターンに応じた駐車可否判定条件式を選択する。次に、転舵用ECU50は、ステップS38において、選択された駐車可否判定条件式に変数(測定距離、車両進入角、余裕代α2)を代入して各式の左辺と右辺とを計算する。
続いて、転舵用ECU50は、ステップS39において、駐車可否判定条件式の不等号を満足する場合には、車両Vを駐車スペースPSに縦列駐車可能と判定し、駐車可否判定条件式の不等号を満足しない場合には、車両Vを駐車スペースPSに縦列駐車不可能と判定する。尚、余裕代α2は、乗降スペース選択スイッチ25cにより設定されている設定値を読み込むことにより求める。
転舵用ECU50は、ステップS39において、縦列駐車可能と判定した場合には、ステップS40において、音声アナウンス装置16に対して旋回開始アナウンス指令信号を出力する。音声アナウンス装置16は、この指令信号に基づいて、予め記憶された音声データから旋回開始アナウンス用データを読み出し、旋回開始できる旨のメッセージを発声する。例えば、「旋回駐車できます。ブレーキをゆるめてください。」といったメッセージを運転者に対してアナウンスする。
転舵用ECU50は、ステップS40のアナウンスの開始と同時に、ステップS41に処理を進め、車輪WFL,WFR,WRL,WRRの転舵角が縦列駐車転舵角δFLP,δFRP,δRLP,δRRPになるように転舵する。
この縦列駐車転舵角δFLP,δFRP,δRLP,δRRPは、車両先頭部の左右片側端を中心に車両Vを旋回させるための目標転舵角であり、予め転舵用ECU50のROM内に記憶されている。尚、この実施形態においては、左前コーナーAを中心に車両Vを旋回させる例にて説明している。
左前輪WFLの縦列駐車転舵角δFLPは、図3の破線にて示すように、左前コーナーAと左前輪WFLの接地中心とを結んだ直線に直交する向きとなる角度に設定され、右前輪WFRの縦列駐車転舵角δFRPは、左前コーナーAと右前輪WFRの接地中心とを結んだ直線に直交する向きとなる角度に設定され、左後輪WRLの縦列駐車転舵角δRLPは、左前コーナーAと左後輪WRLの接地中心とを結んだ直線に直交する向きとなる角度に設定され、右後輪WRRの縦列駐車転舵角δRRPは、左前コーナーAと右後輪WRRの接地中心とを結んだ直線に直交する向きとなる角度に設定される。
転舵用ECU50は、ステップS41において、車輪舵角センサ21a,21b,21c,21dにより検出される実転舵角δFL,δFR,δRL,δRRを読み込み、この実転舵角δFL,δFR,δRL,δRRと縦列駐車転舵角δFLP,δFRP,δRLP,δRRPとの偏差(δFLP−δFL,δFRP−δFR,δRLP−δRL,δRRP−δRR)に応じた転舵用モータ12a,12b,12c,12dへ通電すべき目標電流を設定し、目標電流に対応した制御信号(例えばPWM制御信号)をモータ駆動回路13a,13b,13c,13dに出力する。これにより、転舵用モータ12a,12b,12c,12dが駆動され、車輪WFL,WFR,WRL,WRRの転舵角が縦列駐車転舵角δFLP,δFRP,δRLP,δRRPとなるように制御される。
運転者は、ステップS40により発声されたアナウンスによりブレーキの踏み込み力を緩めてクリープ状態で車両Vを前進させる。これにより車両Vは、ハンドル操作なしに左前コーナーAを中心に旋回する。
転舵用ECU50は、ステップS42において、左後輪WRLの転動距離DRLを検出し、検出した転動距離DRLが旋回終了判定距離D0に達したか否かを判断する。左後輪WRLの転動距離DRLは、車輪速度センサ22cにより検出される車輪WRLの車輪速度ωRLを読み込み、この回転速度ωRLと車輪Wのタイヤ外周径(転舵用ECU50に記憶されている)とから求められる。また、旋回終了判定距離D0は以下の式により算出される。
D0=LRL・(π/2−θ)
ここで、LRLは車両Vの旋回中心(左前コーナーA)から左後輪WRLの接地中心点までの平面距離である。(π/2−θ)は、車両Vを縦列駐車位置にまで旋回させるのに必要な角度である。従って、転動距離DRLが旋回終了判定距離D0に達したときには、車両Vが縦列駐車位置にまで旋回したことになる。
尚、本実施形態においては、左後輪WRLの転動距離DRLに基づいて旋回終了タイミングを判断するが、他の車輪Wの転動距離に基づくこともできる。
転舵用ECU50は、転動距離DRLが旋回終了判定距離D0に達するまで、ステップS41の転舵角制御を継続する。そして、転動距離DRLが旋回終了判定距離D0に達したと判断すると(S42:YES)、ステップS43において、音声アナウンス装置16に対して旋回終了アナウンス指令信号を出力する。音声アナウンス装置16は、この指令信号に基づいて、予め記憶された音声データから旋回終了アナウンス用データを読み出し、旋回終了する旨のメッセージを発声する。例えば、「旋回終了です。車両を停止させてください。」といったメッセージを運転者に対してアナウンスする。このアナウンスにより運転者は、ブレーキの踏み込み力を強めて車両Vを停止させる。
転舵用ECU50は、ステップS43のアナウンスを行うと、本縦列駐車支援制御ルーチンを一旦終了する。このとき、支援モード選択スイッチ25aは、オフ状態にリセットされる。
一方、ステップS39において、縦列駐車が不可能であると判定した場合においては、ステップS44の処理を行う。転舵用ECU50は、このステップS44において、音声アナウンス装置16に対して駐車不能アナウンス指令信号および駐車不能原因信号を出力する。転舵用ECU50は、ステップS39において、駐車可否判定条件式を満足するか否かを判断するが、そのときに駐車可否判定条件式を満足しなかった項目に応じた駐車不能原因信号を出力する。例えば、駐車可否判定条件式における第1条件(第1番目の式)が満足しないと判断した場合には、左駐車壁WLとの離隔不足を表す駐車不能原因信号を音声アナウンス装置16に出力する。また、駐車可否判定条件式における第2条件(第2番目の式)が満足しないと判断した場合には、正面駐車壁WCとの離隔不足を表す駐車不能原因信号を音声アナウンス装置16に出力する。また、駐車可否判定条件式における第3条件(第3番目の式)が満足しないと判断した場合には、右駐車壁WRとの離隔不足を表す駐車不能原因信号を音声アナウンス装置16に出力する。
これにより音声アナウンス装置16は、予め記憶された音声データから駐車不能原因に応じた入れ直し移動アドバイス用データを読み出し、そのデータに特定されたメッセージを発声する。例えば、駐車不能原因が左駐車壁WLとの離隔不足であれば、「左に寄りすぎています。もう少し右に進入するようにしてやり直してください。」、駐車不能原因が右駐車壁WRとの離隔不足であれば、「右に寄りすぎています。もう少し左に進入するようにしてやり直してください。」、駐車不能原因が正面駐車壁WCとの離隔不足であれば、「進入しすぎています。もう少し手間で停止するようにやり直してください。」といった進入位置の変更方法に関するメッセージを発声する。また、複数の駐車不能原因が検出されている場合には、それらを合わせたメッセージを発声する。
尚、ステップS34において、車両Vの進入パターンを判別できなかった場合においては、転舵用ECU50は、ステップS44において、駐車不能アナウンス指令信号のみを音声アナウンス装置16に出力する。これにより音声アナウンス装置16は、例えば、「もう一度、入れ直してください。」といったメッセージを発声する。
このように、転舵用ECU50は、縦列駐車不能であれば運転者に移動アドバイスも含めたメッセージを報知して縦列駐車支援制御ルーチンを一旦終了する。縦列駐車支援制御ルーチンは所定の短い周期で繰り返される。従って、すぐに縦列駐車支援制御ルーチンが再開され、上述したステップS31の支援モード選択スイッチ25aの確認処理が開始される。そして、運転者が音声アナウンス装置16によるアドバイスにしたがって車両Vを移動させ、支援モード選択スイッチ25aを再度オン操作すると、ステップS32により距離測定が開始され、以降、上述した処理を行う。
以上説明した本実施形態のステアリング装置によれば、車両先頭部VFを駐車スペースPSに突っ込んで、支援モード選択スイッチ25aを操作して縦列駐車支援モードを選択するだけで、車両Vを左前コーナーA(または右前コーナーB)中心に旋回させて縦列駐車を行うことができる。しかも、車両Vの駐車スペースPSへの進入時における測定距離の変化に基づいて進入パターンを判別し、この進入パターンに応じた進入角度計算式、および、駐車可否判定条件式を設定するため、車両Vが駐車スペースPSに縦列駐車できるか否かの判定を精度良く行うことができる。このため、運転者はハンドル操作を行うことなく容易に縦列駐車を行うことができる。
また、車両Vの旋回中心が予め設定されているため、縦列駐車時に旋回中心や目標転舵角を逐次演算する必要が無く、しかも、車両Vの旋回軌跡が一定であるため、駐車可否判定も容易である。特に、本実施形態のように駐車スペースPSが壁WL,WC,WRによりコの字状に囲まれている場合には、簡単な演算であっても駐車可否判定の精度が高い。従って、転舵用ECU50の演算負担が軽くなり、マイクロコンピュータ等の演算回路に高スペックが要求されない。
また、車両Vの進入位置が不適切で駐車スペースPSに縦列駐車できないと判定した場合には、音声アナウンス装置16が運転者に対して車両先頭部VFの駐車スペースPSへの入れ直し要求をアナウンスする。しかも、駐車不能原因に応じた移動方法(車両先頭部VFの駐車スペースPSへの進入方法)をアナウンスする。従って、運転者は、このアナウンスにしたがって駐車スペースPSの適正位置に車両先頭部VFを入れ直すことができる。この結果、狭い駐車スペースPSであっても縦列駐車を容易に行うことができる。
また、乗降スペース選択スイッチ25cを使って、運転者の好みの乗降スペース(α2)を設定することができるため、狭くて乗降できなくなるといった不具合を防止できる。
また、4輪WFL,WFR,WRL,WRRを独立して回転駆動する4輪独立駆動方式の車両に適用しているため、車輪Wの転舵角を大舵角に保った状態で車両を良好に旋回させることができる。
これらの結果、転舵用ECU50の演算負担を軽くした簡易な駐車支援制御システム構成であっても、良好な縦列駐車支援を得ることができる。
尚、本縦列駐車支援制御ルーチンは、車両Vを左方向に旋回させて縦列駐車する例について説明しているが、旋回方向選択スイッチ25bにより選択されている方向に旋回させて縦列駐車するものである。従って、右旋回用と左旋回用とのそれぞれに、駐車可否判定条件式および車両進入角計算式をプログラム内に記憶しておいて、使い分けるようにすればよい。
また、車両Vを駐車スペースPSから出す場合には、車両Vの後退開始時から車輪WFL,WFR,WRL,WRRの目標転舵角を縦列駐車転舵角δFLP,δFRP,δRLP,δRRPに設定して転舵制御すればよい。例えば、直前回の縦列駐車支援制御ルーチン実行時に計算した旋回終了判定距離D0を不揮発性メモリに記憶しておき、左後輪WRLが旋回終了判定距離D0だけ後退転動するあいだ、車輪WFL,WFR,WRL,WRRの転舵角が縦列駐車転舵角δFLP,δFRP,δRLP,δRRPとなるように転舵制御する。そして、左後輪WRLが旋回終了判定距離D0だけ後退転動した後は、通常転舵制御モードに切り替えるようにすればよい。この場合においても、音声アナウンス装置16により、縦列駐車支援の開始と終了とをアナウンスするとよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態としてのステアリング装置について説明する。上述した第1実施形態においては、車両Vの進入パターンを判別し、この進入パターンに応じた進入角度計算式、および、駐車可否判定条件式を使って駐車可否判定を行う構成を採用しているが、この第2実施形態は、車両Vの進入パターンを判別しない簡易な構成を採用している。つまり、第1実施形態における第1車両進入パターンのように、運転者が車両先頭部VFを縦列駐車方向に対して直交する方向に進入させることを条件として駐車支援を行うものである。
第2実施形態のステアリング装置は、第1実施形態に対して、転舵用ECU50が実施する縦列駐車支援制御ルーチンが相違するだけで、図1に示すハードウエアの構成については同一である。従って、以下、第2実施形態の縦列駐車支援制御ルーチンについて説明する。図11は、第2実施形態の縦列駐車支援制御ルーチンを表すフローチャートである。この縦列駐車支援制御ルーチンは、転舵用ECU50のROM内に制御プログラムとして記憶されており、図示しないイグニッションスイッチがオン状態にあるときに繰り返し実施される。尚、第1実施形態の縦列駐車支援制御ルーチンにおける処理と同一の処理については、図面に同一ステップ番号を付して簡単な説明にとどめる。
運転者は、車両Vを駐車スペースPSに縦列駐車させるにあたり、図6(B)に示すように、車両先頭部VFが駐車スペースPS内に入るまで車両Vを先頭部から進入させて停止させる。このとき、車両Vを縦列駐車方向に対して直交する方向に向けて停止させる。運転者は、車両Vを停止させた後、支援モード選択スイッチ25aをオン操作する。
転舵用ECU50は、イグニッションスイッチがオン状態となると、この縦列駐車支援制御ルーチンを開始し、ステップS31において、支援モード選択スイッチ25aがオン状態になったか否かを判断する。この判断は、支援モード選択スイッチ25aがオンするまで、所定の周期で繰り返される。そして、運転者が支援モード選択スイッチ25aをオン操作(S31:YES)すると、転舵用ECU50は、ステップS32において、距離センサ24a,24b,24c,24dにより、左前距離a、左横距離b、右前距離c、右横距離dを測定する。
続いて、転舵用ECU50は、ステップS51において、駐車可否判定計算を行う。この駐車可否判定計算にあたっては、下記駐車可否判定条件式を用い、この条件式に変数(距離、余裕代α2)を代入して各式の左辺と右辺とを計算する。
Figure 2009101774
この駐車可否判定条件式は、第1実施形態における第1パターン駐車可否判定条件式と同一である。次に、転舵用ECU50は、ステップS39において、駐車可否判定条件式の不等号を満足する場合には、車両Vを駐車スペースPSに縦列駐車可能と判定し、駐車可否判定条件式の不等号を満足しない場合には、車両Vを駐車スペースPSに縦列駐車不可能と判定する。転舵用ECU50は、縦列駐車可能と判定した場合には(S39:YES)、ステップS40において、音声アナウンス装置16により旋回駐車の開始をアナウンスするとともに、ステップS41において、車輪WFL,WFR,WRL,WRRが縦列駐車転舵角δFLP,δFRP,δRLP,δRRPになるように転舵制御する。
続いて、転舵用ECU50は、ステップS42において、左後輪WRLの転動距離DRLを検出し、検出した転動距離DRLが旋回終了判定距離D0に達したか否かを判断する。そして、転動距離DRLが旋回終了判定距離D0に達するまで、転舵制御を継続し、転動距離DRLが旋回終了判定距離D0に達したと判断すると(S42:YES)、ステップS43において、音声アナウンス装置16により旋回終了する旨のメッセージを発声させる。このアナウンスにより運転者は、ブレーキの踏み込み力を強めて車両Vを停止させる。
一方、ステップS39において、縦列駐車が不可能であると判定した場合においては、ステップS44において、音声アナウンス装置16を作動させ、運転者に対してやり直し指示および移動方法のアドバイスを音声により報知する。
尚、ステップS32において測定した距離aと距離cとが相違する場合には、車両Vが駐車スペースPSに斜めに進入していると判断できるため、駐車可否判定条件式を使って適正に駐車可否判定をすることができない。従って、こうしたケースにおいては、ステップS51の計算処理を行うことなく駐車不可と判定し、ステップS44にて音声アナウンス装置16を作動させ、車両Vを駐車スペースPSに直角に進入させる指示を発声するようにするとよい。
第2実施形態の縦列駐車支援制御ルーチンは、ステップS43あるいはステップS43の処理を行うと一旦終了する。
以上説明した第2実施形態のステアリング装置によれば、車両先頭部VFを駐車スペースPSに縦列駐車方向に対して直角に進入させるという条件で縦列駐車可能か否かを判断するため、距離a,b,c,dの変化を捉える必要がない。従って、距離検出データを所定周期で記憶する必要が無く記憶装置の記憶容量を小さくすることができる。また、マイクロコンピュータの演算負担もさらに軽くなり、より一層低コストにて実施することが可能となる。もちろん、第1実施形態と同様に、運転者のハンドル操作は不要であり容易に縦列駐車を行うことができる。また、車両Vの進入位置が不適切な場合には、運転者に対して駐車スペースPSへの入れ直し要求と移動方法とをアナウンスするため、適正位置に入れ直すことができる。
以上、本実施形態のステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、本実施形態においては、運転者に音声アナウンス装置16を使ってやり直し等を報知するようにしているが、画面表示等を使って視覚により報知する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、旋回開始時だけでなく旋回終了時においてもその旨を報知するようにしているが、旋回終了時には報知しない構成であってもよい。運転者は、旋回中において周囲の状況を容易に確認できるため、車両停止タイミングを容易に把握できるからである。
また、本実施形態においては、旋回方向選択スイッチ25bの選択設定に基づいて車両の旋回方向を設定するが、旋回方向選択スイッチ25bに代えてウインカー(方向指示器)の指し示す方向を用いてもよい。この場合、ウインカースイッチ信号を転舵用ECU50に入力するようにして、ウインカーの指し示す方向を転舵用ECU50側で認識するようにすればよい。また、必ずしも旋回方向を選択できる機能を備える必要はなく、旋回方向を固定した構成であってもよい。
また、本実施形態においては、車両Vの進入位置と車体サイズとに基づいて駐車スペースPSに縦列駐車可能か否かを判定する機能を備えているが、そうして駐車可否判定機能を備えない構成であってもよい。
尚、転舵用ECU50が縦列駐車支援制御ルーチンにおいて行う処理のうち、ステップS32を行う処理部が本発明の車両進入位置検出手段に相当し、ステップS34を行う処理部が本発明の進入パターン判別手段に相当し、ステップS35,S36を行う処理部が本発明の進入角度算出手段に相当し、ステップS37を行う処理部が本発明の判定条件選択手段に相当し、ステップS34〜S39を行う処理部が本発明の駐車可否判定手段に相当し、ステップS41を行う処理部が本発明の駐車転舵角設定手段に相当し、ステップS44を行う処理部および音声アナウンス装置16が本発明の報知手段に相当する。
本発明の実施形態に係るステアリング装置を4輪独立駆動部とあわせて表した概略構成図である。 実施形態にかかる転舵機構の概略を説明する背面図である。 実施形態にかかる車両の縦列駐車時における旋回軌跡を表す説明図である。 第1実施形態にかかる運転者と転舵用ECUとによる全体処理の流れを表すフローチャートである。 第1実施形態にかかる縦列駐車支援制御ルーチンを表すフローチャートである。 第1実施形態にかかる第1進入パターン、および、測定距離の変化を表す説明図である。 第1実施形態にかかる第2進入パターン、および、測定距離の変化を表す説明図である。 第1実施形態にかかる第3進入パターン、および、測定距離の変化を表す説明図である。 第1実施形態にかかる第4進入パターン、および、測定距離の変化を表す説明図である。 第1実施形態にかかる進入パターン判定用サブルーチンを表すフローチャートである。 第2実施形態にかかる縦列駐車支援制御ルーチンを表すフローチャートである。
符号の説明
10…転舵機構、12a,12b,12c,12d…転舵用モータ、13a,13b,13c,13d…モータ駆動回路、14a,14b,14c,14d…駆動用モータ、15a,15b,15c,15d…モータ駆動回路、16…音声アナウンス装置、21a,21b,21c,21d…車輪舵角センサ、22a,22b,22c,22d…車輪速度センサ、23…ハンドル操舵角センサ、24a,24b,24c,24d…距離センサ、25…操作入力部、25a…支援モード選択スイッチ、25b…旋回方向選択スイッチ、25c…乗降スペース選択スイッチ、40…操舵ハンドル、50…転舵用制御ユニット(転舵用ECU)、100…車輪駆動用制御ユニット(車輪駆動用ECU)、WFL,WFR,WRL,WRR…車輪、PS…駐車スペース、R…通路、V…車両、VF…車両先頭部、WC…正面駐車壁、WL…左駐車壁、WR…右駐車壁、A…左前コーナー、B…右前コーナー。

Claims (8)

  1. 前後左右の車輪の転舵角を独立して調整する転舵アクチュエータと、
    上記前後左右の車輪の転舵角をそれぞれ検出する転舵角検出手段と、
    上記転舵角検出手段により検出される転舵角が目標転舵角となるように上記転舵アクチュエータを駆動制御する転舵制御手段と
    を備えたステアリング装置において、
    運転者が縦列駐車支援モードを選択するための選択操作手段と、
    上記縦列駐車支援モードが選択された場合、車両先頭部の左右片側端を中心として車両を旋回させるように、上記目標転舵角を縦列駐車転舵角に設定する駐車転舵角設定手段と
    を備えたことを特徴とするステアリング装置。
  2. 上記縦列駐車支援モードが選択された場合、車両先頭部が駐車スペースに進入した状態で、駐車スペースに対する車両の進入位置を検出する車両進入位置検出手段と、
    上記検出した駐車スペースに対する車両の進入位置と車体サイズとに基づいて、上記車両の進入位置から車両先頭部の左右片側端を中心として車両を旋回させた場合に、車両を上記駐車スペースに縦列駐車できるか否かを判定する駐車可否判定手段と、
    上記駐車可否判定手段により縦列駐車できないと判定された場合に、運転者に報知する報知手段とを備え、
    上記駐車転舵角設定手段は、上記駐車可否判定手段により縦列駐車できると判定された場合に、車両先頭部の左右片側端を中心として車両を旋回させるように、上記目標転舵角を縦列駐車転舵角に設定することを特徴とする請求項1記載のステアリング装置。
  3. 上記車両進入位置検出手段は、車両先頭部の左右離れた別々の位置からそれぞれ車両正面方向の駐車スペース境界までの距離を検出する手段を含み、
    上記駐車可否判定手段は、それぞれ検出された距離の差に基づいて、上記駐車スペースへの車両の進入角度を算出し、算出した車両の進入角度を加味して車両を縦列駐車できるか否かを判定することを特徴とする請求項2記載のステアリング装置。
  4. 上記車両進入位置検出手段は、
    車両先頭部の左端から車両正面方向の駐車スペース境界までの左正面距離と、車両先頭部の右端から車両正面方向の駐車スペース境界までの右正面距離と、車両先頭部の左端から車両左方向の駐車スペース境界までの左側面距離と、車両先頭部の右端から車両右方向の駐車スペース境界までの右側面距離とを検出する距離検出手段を備え、
    上記駐車可否判定手段は、
    上記距離検出手段により検出された距離と車体サイズとに基づいて、車両先頭部の左右片側端を中心として車両を旋回させた場合に、駐車スペースに車両を縦列駐車できるか否かを判定することを特徴とする請求項2または3記載のステアリング装置。
  5. 上記駐車可否判定手段は、
    上記車両先頭部が上記駐車スペースに進入するときの上記距離検出手段により検出された各距離の変化に基づいて、上記駐車スペースに対する車両先頭部の進入パターンを判別する進入パターン判別手段と、
    上記判別された進入パターンに応じた算出式にて上記車両の駐車スペースへの進入角度を算出する進入角度算出手段と、
    上記判別された進入パターンに応じて設定され、上記進入角度を含んだ駐車可否判定条件を選択する判定条件選択手段と
    を備えたことを特徴とする請求項4記載のステアリング装置。
  6. 上記報知手段は、上記駐車可否判定手段により縦列駐車できないと判定された場合に、運転者に対して車両先頭部の駐車スペースへの入れ直し要求を報知することを特徴とする請求項2ないし請求項5の何れか一項記載のステアリング装置。
  7. 上記報知手段は、上記駐車可否判定手段により縦列駐車できないと判定された場合、駐車可否判定条件を満たさなかった要件に基づいて、運転者に対して車両先頭部の駐車スペースへの進入位置の変更方法を報知することを特徴とする請求項6記載のステアリング装置。
  8. 上記駐車可否判定手段は、乗員の降車用スペースを加味して判定することを特徴とする請求項2ないし請求項7の何れか一項記載のステアリング装置。
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