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JP2009101762A - 車載シート用ダンパ装置およびダンパ装置を備えたスライド式シート - Google Patents

車載シート用ダンパ装置およびダンパ装置を備えたスライド式シート Download PDF

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Abstract

【課題】 車載シートのスライド移動を緩衝するための車載シート用ダンパ装置および当該ダンパ装置を用いたスライドシートを提供する。
【解決手段】 車両の車室床部(1)に対してスライド可能に設けられたシート(2)のスライド移動時における移動を緩衝する車載シート用ダンパ装置(4)であって、車室床部とシートとの一方に回転自在に支持された回転部材(5)と、車室床部とシートとの他方に固定され、シートのスライド移動によって移動し、回転部材を回転させる連結部材(7)と、回転部材の回転軸と駆動連結され、回転部材の回転動作を減衰させるロータリダンパ(8)とを有することを特徴とする。連結部材にベルトを用い、回転部材にプーリを用いることが好ましい。また、連結部材にワイヤを用い、回転部材に巻取りドラムを用いてもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シート用ダンパ装置に関し、詳しくは、車室床部にスライド可能に設けられたシートのスライド移動を緩衝するダンパ装置および当該ダンパ装置を備えたシートに関する。
従来、セダン車のフロントシートやワンボックスカーのシート等は、車体前後方向にスライド可能に設けられており、乗員の手動操作により、シート位置を任意の位置に調節することができる。一般に、シートは通常状態において車室床部に固定(ロック)されており、乗員が手動操作レバーを引くことにより、シートと床部とのロックが解除されて、シートの移動が可能となる。そして、シートを任意の位置に配置した後に、手動操作レバーを戻すことで、シートは床部に再びロックされる。
このようなシートでは、シート位置の調整中にはシートと床部とのロックが解除されているため、車が急発進した場合には、シートが慣性力を受けて車両後方へと急激に移動し、乗員に衝撃が加わることがある。また、シート位置の調整を容易にするべく、シートが車体前方側へと付勢されている場合には、手動操作レバーによりロックを解除した瞬間に、シートが車体前方側に急激に移動され乗員に衝撃が加わることがある。このようなシートの急激な移動を防止するべく、ダンパ装置としてのピストンダンパをシートと車室床部との間に備えたものがある(例えば、特許文献1)。また、シートと車室床部との間に、ラックギヤとラックギヤと噛み合うピニオンギヤとを有するダンパ装置を備え、ピニオンギヤと一体に形成された円盤に摩擦力を加えて回転を抑制し、シートの急激な移動を防止したものがある(例えば、特許文献2)。
実開昭63−104238号公報 特開平2−81739号公報
しかしながら、ダンパ装置としてピストンダンパを使用する場合には、シートのスライド移動可能距離はピストンダンパのピストンシャフトの長さによって制限される。そのため、シートのスライド移動可能距離を長くするために、長く大きなピストンダンパが必要となるという問題がある。また、ラックギヤおよびピニオンギヤを使用したダンパ装置を用いる場合には、スライド移動可能距離に相当する長いラックギヤを必要とする点、またラックギヤおよびピニオンギヤの噛み合いがスライド移動距離の全域にわたって保たれるように、精密な組付けが必要となる点に問題がある。
本発明は、以上の問題を鑑みてなされたものであり、長いピストンダンパやラックピニオンといった装置を用いずに、簡潔な構造でシートのスライド移動を緩衝することができる車載シート用ダンパ装置および当該ダンパ装置を用いたスライドシートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の発明は、車両の車室床部(1)に対してスライド可能に設けられたシート(2)のスライド移動時における移動を緩衝する車載シート用ダンパ装置(4)であって、車室床部とシートとの一方に回転自在に支持された回転部材(5)と、車室床部とシートとの他方に固定され、シートのスライド移動によって移動し、回転部材を回転させる連結部材(7)と、回転部材の回転軸と駆動連結され、回転部材の回転動作を減衰させるロータリダンパ(8)とを有することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、ロータリダンパが回転部材にワンウェイクラッチ(58)を介して駆動連結されていることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、ロータリダンパが回転方向の一方向にのみ緩衝作用を奏するロータリダンパであることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明〜第3の発明において、連結部材はベルト(7)であり、回転部材は前記ベルトを掛け渡されたプーリ(5)であることを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明〜第3の発明において、連結部材はワイヤ(130)であり、回転部材は、前記ワイヤの一端が固定された巻取りドラム(110)であることを特徴とする。
第6の発明は、第1の発明〜第5の発明に記載の車載シート用ダンパ装置を備えたスライド式シートであって、シートは、車室床部に対して車両前後方向にスライド可能に設けられ、シートを車両前後方向における前方へと付勢する付勢手段(9)を有し、ダンパ装置は、少なくともシートの車両前後方向における後方への移動を緩衝することを特徴とする。
第1の発明によれば、シートの前後方向の直線運動は、連結部材を介して回転部材により回転運動に変換され、回転運動がロータリダンパにより緩衝されるようになる。換言すると、ロータリダンパにより回転部材の回転は緩衝され、回転部材と連係する連結部材の移動は緩衝されるため、連結部材に連結されたシートのスライド移動は、ロータリダンパの緩衝作用を受けて急激な移動が防止されるようになる。第2の発明によれば、回転部材は一方の回転方向のみロータリダンパから緩衝作用を受けるため、連結部材の移動が一方方向のみ緩衝され、シートおよび車室床部の相対移動が一方方向のみ緩衝されるようになる。例えば、シートが車体前後方向にスライド可能である場合に、シートの車体前後方向における後方側への移動のみに緩衝作用を発生させることができる。第3の発明によれば、ワンウェイクラッチを用いずとも第2の発明と同様の効果を奏することができる。第4の発明によれば、連結部材と回転部材との連係を簡潔な構造で容易に形成することができる。また、ベルトを用いることで、装置の軽量化および静音化が図れ、潤滑の必要もなくなる。第5の発明によれば、連結部材にワイヤを用いても第4の発明と同様の効果を奏することができる。第6の発明によれば、シート位置調整時に車が急発進した場合に、シートが車体前後方向における後方へと急激に移動することを防止することができ、乗員に加わる衝撃を低減することができる。
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照しながら説明する。第1実施形態は、本発明に係るシート用ダンパ装置およびスライド式シートを車両のフロントシートに適用した例である。
図1は、第1実施形態に係るスライド式シートを分解して示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係るスライド式シートを示す断面図である。図3は、第1実施形態に係るスライド式シートのダンパ装置を分解して示す斜視図である。以下、車体前後方向における前方および後方を省略して前方および後方、鉛直上方および下方を省略して上方および下方として説明する。
図1に示すように、自動車の車室床部1には、車体前後方向に延在する2つのレール溝11と、2つのレール溝11の間に位置し、同じく車体前後方向に延在するダンパ溝12とが形成されている。また、2つのレール溝11の前端部には、レール溝11に連結する凹部13が設けられている。凹部13は、後述するスライドレール3を取り付ける際の作業スペースとして利用され、また第2実施形態においてはダンパ装置の構成要素であるドラム装置が配置される。凹部13は、第1実施形態においては設けなくてもよい。
2つのレール溝11には、車載シート2(以下、シート2という)を車体前後方向にスライド可能に支持するスライドレール3が設けられている。スライドレール3は、車体前後方向に延在するロアレール31と、ロアレール31に対して車体前後方向にスライド可能に支持されたアッパレール32とを有している。ロアレール31は、レール溝11の底部に固定されている。アッパレール32は、例えば、ボールを介してロアレール31に支持されている。アッパレール32の上部は、シート2の底部の側方部に設けられたシート支持脚33と結合する。このようにして、シート2は、2つのスライドレール3を介して車室床部1に固定され、車体前後方向にスライド移動が可能となる。
図1および図2に示すように、ダンパ溝12には、シート2のスライド移動を緩衝するダンパ装置4が設けられている。ダンパ装置4は、ダンパ溝12の底部に回転自在に支持された回転部材としての2つのプーリ装置5・6と、2つのプーリ装置5・6間に架け渡され、一部でシート2に固定された環状ベルト7と、1つのプーリ装置5の回転軸と同軸に設けられたロータリダンパ8とを主要構成要素として有している。
図3に示すように、2つのプーリ装置5・6は、ダンパ溝12の前端部と後端部に設けられており、前端部に設けられたものを前部プーリ装置5とし、後端部に設けられたものを後部プーリ装置6とする。前部プーリ装置5は、環状ベルト7を支持するプーリ51と、プーリ51の回転軸としてプーリ51に固定された回転シャフト52と、回転シャフト52の径方向に延在し、回転シャフト52を回転自在に支持する上板53および下板54と、上板53および下板54を所定の間隙を有して固定する支柱55とにより構成されている。また、回転シャフト52は、軸受56を介して上板53および下板54に支持されていてもよい。
後部プーリ装置6は、前部プーリ装置5と同様に、環状ベルト7を支持するプーリ61と、プーリ61の回転軸としてプーリ61に固定された回転シャフト62と、回転シャフト62の径方向に延在し、回転シャフト62を回転自在に支持する上板63および下板64と、上板63および下板64を所定の間隙を有して固定する支柱65とにより構成されている。また、回転シャフトは、軸受66を介して上板63および下板64に支持されていてもよい。
前部および後部プーリ装置5・6は、それぞれの下板54・64がダンパ溝12の底面に接するように設けられている。そのため、それぞれのプーリ51・61の回転軸は平行になり、ダンパ溝12の底面に対して垂直となっている。
プーリ51・61間に架け渡されている環状ベルト7は、可撓性を有する環状のベルトである。環状ベルト7は、平ベルトやVベルトであってもよいが、プーリ51・61と接する面に歯を有する歯付きベルト(コグドベルト)であることが好ましい。この場合には、プーリ51・61の環状ベルト7と接する面には、環状ベルト7の歯と一致するような歯形(凹凸)が形成されている。
図2に示すように、環状ベルト7は、シート2の底部とベルト固定部材21によって固定されている。ベルト固定部材21は、例えば、平板をL字形に折曲した部材であり、一端で環状ベルト7の一部に固定され、他端でシートの底部の固定されている。環状ベルト7とベルト固定部材21との固定は、例えば、平板との間に環状ベルト7を挟み、平板をベルト固定部材21にボルトおよびナットで螺着するようにして把持により固定してもよい。このように形成することで、シート2が車体前後方向にスライドした場合には、ベルト固定部材21の一端に固定された環状ベルト7の部分がシート2の動きに連動して移動し、環状ベルト7がプーリ51・61回転駆動するようになる。そして、プーリ51に固定された回転シャフト52が回転する。
ロータリダンパ8は、公知の両方向性のロータリダンパであってよい。ロータリダンパ8は、例えば、円筒形状の本体ケース81と、当該円筒形状の軸線と同軸であって、本体ケース81から突出するロータ回転軸(図示しない)とを有している。ロータ回転軸は、本体ケース81に回転可能に支持され、本体ケースに内包された部分においてロータ(図示しない)を有している。本体ケース81の内部は、例えば、シリコンオイルのようなオイルにより満たされている。ロータリダンパ8は、本体ケース81とロータとの隙間を流れるオイルの粘性抵抗により、ロータに負荷を与えてロータ回転軸の回転を制動する。ロータリダンパ8は、ロータ回転軸が前部プーリ装置5の回転シャフト52と同軸になるように上板53上に固定されている。ロータ回転軸と回転シャフト52とは当接面に互いに係合し合う形状を有しており、それらが係合することによって固定され、互いに連動して回転する。
図2に示すように、シート2と車室床部1との間には、アシストばね9が設けられている。アシストばね9は、定荷重ばねであり、シート2の底部の後方部より下方へと延出したアシストばね受座22に回転可能に支持されたボビン91に一端が固定されて巻回され、他端が車室床部1に固定されている。アシストばね9にはコイルに巻回されるように弾性力が働いているため、シート2は常に車室床部1に対して前方側へと弾発付勢されている。
また、シート2と車室床部1との間には、シート2の車室床部1に対する車体前後方向における相対位置を任意の位置で固定するロック機構(図示しない)が設けられている。ロック機構は、通常時においてはシート2を車室床部1に対して固定し、ロック機構に設けられた操作入力レバー(ロック解除レバー、図示しない)を操作している間のみシート2を車室床部1に対して移動可能にする。
第1実施形態の作用効果について説明する。以上のように構成することで、シート2は、ロック機構の操作入力レバーを操作している間、車室床部1に対して車体前後方向にスライド可能となる。シート2がスライド移動するとき、上述したようにシート2にベルト固定部材21を介して固定されているベルトは連動して移動し、プーリ51・61を回転させ、プーリ51に固定されている回転シャフト52を回転させる。このとき、回転シャフト52は、ロータリダンパ8のロータ回転軸82と連結していることから、ロータリダンパ8の回転負荷、すなわちロータリダンパ8の緩衝作用を受ける。これにより、回転シャフトに固定されているプーリ51およびプーリ51と連係している環状ベルト7には、環状ベルト7をプーリ51回りに回転させようとする力に対する抵抗力が加わり、環状ベルト7にベルト固定部材21を介して固定されているシート2にはスライド移動に対する抵抗力が生じる。換言すると、シート2は、ロータリダンパ8の緩衝作用を回転シャフト52、プーリ51、およびベルト固定部材21を介して受け、スライド移動が緩衝される。この作用により、例えば、ロック機構を解除した時のアシストばね9の付勢力によるシート2の前方への急激なスライド移動や、ロック機構を解除している時に車両が急発進することで発生する慣性力によるシート2の後方への急激なスライド移動を緩衝することができ、乗員に加わる衝撃を緩和することができる。
本実施形態では、環状ベルト7に歯付きベルトを使用し、プーリ51・61に環状ベルト7の歯に対応する歯形が形成されているため、環状ベルト7とプーリ51・61間にすべりが発生しない。そのため、車両の急発進時に発生する慣性力のような強い力がシート2に加わる場合にも、環状ベルト7とプーリ51との間のすべりを防止し、ロータリダンパ8の緩衝作用を確実にシート2に伝えることができる。
なお、第1実施形態では、ロータリダンパ8を前部プーリ装置5にのみ設けたが、代わりにロータリダンパ8を後部プーリ装置6にのみ設けてもよい。また、ロータリダンパ8を前部プーリ装置5および後部プーリ装置6の両方に設けてもよい。
また、環状ベルト7の長さと、前部および後部プーリ装置5・6間の距離は、シート2のスライド移動距離に応じて任意に設定してよい。
次に、第1実施形態の一部を変更して実施した一部変形実施例について説明する。図4は、第1実施形態の変形実施例に係るスライド式シートのダンパ装置を分解して示す断面図である。以下、第1実施形態と同様の構成要素については、第1実施形態と同様の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態の一部変形実施例は、前部プーリ装置5の構成のみが第1実施形態と異なる。図4に示すように、一部変形実施例では、プーリ57は、ワンウェイクラッチ58を介して回転シャフト52に設けられている。ワンウェイクラッチ58は、公知のワンウェイクラッチであってよく、例えば、ロータタイプのワンウェイクラッチである。ワンウェイクラッチ58は、外筒58aおよび内筒58bを有し、外筒58aと内筒58bとの間にクラッチ機構(図示しない)が設けられている。ワンウェイクラッチ58の外筒58aはプーリ57に固定され、内筒58bは回転シャフト52に固定されている。ワンウェイクラッチ58は、プーリ57の一方向の回転力だけを回転シャフト52伝え、プーリ57の逆方向の回転に対しては空転し、回転シャフト59に回転力を伝えない。一部変形実施例では、シート2が後方へとスライド移動した場合に、環状ベルト7によりプーリ57が回転させられる回転方向に対して、ワンウェイクラッチ58のクラッチが噛み合い、回転シャフト52が回転されるようにされている。
第1実施形態の一部変形実施例の作用効果について説明する。このように構成することで、シート2の後方へのスライド移動に対してのみ、ロータリダンパ8の緩衝作用をシート2に作用させることができる。通常、乗員は、シート2の前方への移動に対して自身の足をつっぱり、シート2の移動を規制および調節する。そのため、シート2の前方への移動に対する緩衝作用を省略し、シート2が素早く移動するようにすることで、シート位置の調整作業が迅速かつ容易となり、調節作業の作業性および快適性を高めることができる。
また、一部変形実施例ではワンウェイクラッチ58を用いてロータリダンパ8の緩衝作用がシート2の一方方向の移動のみに発揮されるようにしたが、ワンウェイクラッチを用いずに、ロータリダンパ8に公知の一方向性のロータリダンパを使用しても同様の作用効果を奏することができる。この場合には、第1実施形態と同様に、互いに固定されたプーリ51および回転シャフト52を用いる。
次に、本発明の第2実施形態を、図面を参照しながら説明する。第2実施形態は、本発明に係るシート用ダンパ装置およびスライド式シートを車両のフロントシートに適用した例である。図5は、第2実施形態に係るスライド式シートを示す斜視図であり、シートを省略して示している。図6は、第2実施形態に係るスライド式シートのダンパ装置を分解して示す斜視図である。以下、第1実施形態と同様の構成要素については、第1実施形態と同様の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態は、第1実施形態と車室床部1、シート2、およびスライドレール3の構成において同様であり、ダンパ装置100の構成およびダンパ装置100とシート2との連結構造において異なる。
図5に示すように、凹部13に、シート2の車体前後方向へのスライド移動を緩衝するダンパ装置100が設けられている。ダンパ装置100は、車室床部1の凹部13の底部に回転自在に支持された巻取りドラムとしてのドラム(巻胴)装置110と、一端がアッパレール32に固定され、他端がドラム装置110に固定されたワイヤ130と、ドラム装置110の回転軸と同軸に設けられたロータリダンパ8とを主要構成要素として有する。ワイヤ130は、アッパレール32およびドラム装置110と、例えばワイヤクリップにより固定され、ロアレール31内を移動する。
図6に示すように、ドラム装置110は、ワイヤ130の一端が固定され、ワイヤ130を巻き取るドラム111と、ドラム111を回転可能に支持する2枚の側板112・113と、2枚の側板112・113を所定の距離を有して支持する支持板114および底板115と、ドラム111を一方回転方向に付勢する定荷重ばね121とを主要構成要素として有している。
ドラム111は、中空の円筒形状に形成されており、当該円筒の軸線を回転軸として回転する。円筒表面には、周方向に亘って形成されたワイヤ巻回溝116およびばね巻回溝117を有している。ワイヤ巻回溝116にはワイヤ130の一端が固定され、ばね巻回溝117には定荷重ばね121の一端が固定されている。また、ワイヤ130および定荷重ばね121のドラム111に対する巻回方向は、互いに逆向きとなるように、ワイヤ130および定荷重ばね121はドラム111に固定されている。これにより、ワイヤ130がドラム111のワイヤ巻回溝116に巻回されるときには、定荷重ばね121はドラム111のワイヤ巻回溝116から送り出され、ワイヤ130がドラム111のワイヤ巻回溝116から送り出されるときには、定荷重ばね121はドラム111のワイヤ巻回溝116に巻回されるようになっている。ドラム111の内部には円筒形状のブッシュ118が挿入されて、ドラム111と固定されている。
側板112には、ドラム支持軸119と、ボビン支持軸120とが固定されている。ドラム支持軸119は、円柱形状のシャフト部119aと、その一端に形成されたフランジ部119bとから形成されている。側板112に形成された孔112aをドラム支持軸119のシャフト部119aが貫通し、ドラム支持軸119のフランジ部119bと側板112とが固定されることによって、ドラム支持軸119は側板に対して垂直に固定されている。同様に、ボビン支持軸120は、円柱形状のシャフト部120aと、その一端に形成されたフランジ部120bとから形成され、側板112に形成された孔112bをボビン支持軸120のシャフト部120aが貫通し、ボビン支持軸120のフランジ部120bと側板112とが固定されることによって、ボビン支持軸120は側板に対して垂直に固定されている。支持板114には、ワイヤ130の通路となる孔114aが形成されている。
ドラム支持軸119のシャフト部119aには、ドラム111に固定されたブッシュ118が回転可能に支持されている。ボビン支持軸120のシャフト部120aには、定荷重ばね121の他端が固定され、定荷重ばね121が巻回されたボビン122が回転可能に支持されている。ボビン122は、スペーサ123によって、ボビン支持軸120のシャフト部120a上での位置が所定の位置に規制されている。
側板113は、支持板114および底板115を介して側板112に固定され、ボビン支持軸120のシャフト部120aの先端部を回転可能に支持し、ブッシュ118を孔113aで回転可能に支持している。ブッシュ118は、側板113の孔113aを貫通して側板113の外方へと突出している。
このように構成することで、ドラム111のワイヤ巻回溝116にワイヤ130を巻き取ることができるドラム装置110が構成されている。このドラム装置110では、定荷重ばね121のボビンに巻かれた状態に戻ろうとする弾性力によって、ドラム111はワイヤ130を巻き取る回転方向に付勢されている。
ドラム装置110には、ドラム111の回転軸とロータリダンパ8のロータ回転軸とが同軸になるように、ロータリダンパ8が設けられている。ロータ回転軸とブッシュ118の先端との当接面には、互いに係合し合う形状が形成されており、それらが係合することによってロータ回転軸とブッシュ118とが固定されている。ここでのロータリダンパ8は、一方向性のロータリダンパであって、ドラム111のワイヤ130を送り出す方向の回転に対して回転負荷、すなわち緩衝作用を与えるように設けられている。
第2実施形態の作用効果について説明する。ロック機構が解除され、シート2が後方へとスライド移動した場合に、シート2にシート支持脚33を介して固定されているアッパレール32は後方へと移動するため、アッパレール32に固定されているワイヤ130は後方へと引かれる。そのため、ワイヤ130の他端が巻回されたドラム111には、ワイヤ130を送り出す方向に回転力が加わる。ここで、ドラム111はブッシュ118を介してロータリダンパ8のロータ回転軸に固定されており、ロータリダンパ8の回転負荷を受けるため、ドラム111の回転には緩衝作用が加わる。そのため、ワイヤ130およびアッパレール32の移動も負荷を受けて緩衝され、シート2の後方へのスライド移動は緩衝される。これにより、ロック機構が解除されている時の車両の急発進に伴うシート2の後方への急激な移動が緩衝され、乗員に加わる衝撃が緩和される。
定荷重ばね121は、ドラム111にワイヤ130を巻き取る方向に付勢し、アッパレール32およびドラム111間のワイヤ130がたるむことを防止している。
なお、第2実施形態ではロータリダンパ8に一方向性のロータリダンパを用いたが、第1実施形態の一部変形例と同様に、両方向性のロータリダンパを用い、かつドラム111とブッシュ118との間にワンウェイクラッチを配置してロータリダンパのロータ回転軸に一方向の回転しか伝わらないようにしてもよい。また、第2実施形態では、シート2の前方を正面とした場合の左側のスライドレール3にのみダンパ装置100を設けているが、ダンパ装置100を右側のスライドレール3または左右両方のスライドレール3に設けてもよい。また、ワイヤ130の一端をアッパレール32に固定せずにシート2に直接、またはシート2に固定された他の部材に固定してもよい。
次に、第2実施形態の一部を変更して実施した一部変形実施例について説明する。図7は、第2実施形態の変形実施例に係るスライド式シートを示す斜視図であり、シート2を取り除いて示している。図8は、第2実施形態の変形実施例に係るスライド式シートのダンパ装置を分解して示す斜視図である。以下、第2実施形態と同様の構成要素については、第2実施形態と同様の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の一部変形実施例は、ドラム装置110aの構成と、ワイヤ130aの配置位置が第2実施形態と異なる。図8に示すように、一部変形実施例では、ドラム111aには、第1ワイヤ巻回溝116aと第2ワイヤ巻回溝116bとが形成されている。ワイヤ130aは、一端が第1ワイヤ巻回溝116aに固定された後、スライドレール3内を後方側へと進むようにスライドレール3に沿って配置され、その後スライドレール3の後方側に設けられたプーリ140を経由して前方側へと向きを変え、スライドレール3内を前方側へと進むようにスライドレール3に沿って配置され、スライドレール3の前端部より出て他端が第2巻回溝116bに固定されている。ワイヤ130aは、ドラム111aを介して環形状を形成している。支持板114には、ワイヤ130aの通路となる孔114a・114bが形成されている。
ワイヤ130aは、予め第1および第2ワイヤ巻回溝116a・116bの両方、あるいは一方のワイヤ巻回溝116a・116bに所定量巻回されており、ワイヤ130aが、第1ワイヤ巻回溝116aに巻回されている回転方向と、第2ワイヤ巻回溝116bに巻回されている回転方向とは異なる。これにより、ドラム111aが一方方向に回転すると、一方のワイヤ巻回溝でワイヤ130aが巻回され、他方のワイヤ巻回溝でワイヤ130aが送り出されるようになる。ワイヤ130aは、連続する線状の一部で、例えばワイヤクリップ等の締結部材により、アッパレール32と結合している。
ドラム装置110aには、第2実施形態と同様にロータリダンパ8が設けられているが、ここでのロータリダンパ8は両方向性のロータリダンパであり、第2実施形態と同様にして、ロータ回転軸とブッシュ118の先端とは固定されている。
第2実施形態の一部変形実施例の作用効果について説明する。このように構成することで、シート2の前方および後方へのスライド移動に対してのみロータリダンパ8の緩衝作用を発揮できるようになる。ドラム111aにワイヤ130aの両端を固定したことで、シート2の前方および後方へのいずれの移動に対してもワイヤ130aがシート2に引かれ、ドラム111aには両回転方向について回転力が駆動されるようになるためである。ロータリダンパ8は、ドラム111aの両方向の回転に対して緩衝作用を与えることができるため、ワイヤ130aの移動も両方向において負荷を受けて緩衝され、シート2のスライド移動も両方向において緩衝される。また、ワイヤ130aをドラム111aを介して環形状にしたため、シート2の移動に伴うたるみが発生しないため、定荷重ばねを省略することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。プーリ装置およびドラム装置の形状は例示的なものであり本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
第1実施形態に係るスライド式シートを分解して示す斜視図である。 第1実施形態に係るスライド式シートを示す断面図である。 第1実施形態に係るスライド式シートのダンパ装置を分解して示す斜視図である。 第1実施形態の変形実施例に係るスライド式シートのダンパ装置を分解して示す断面図である。 第2実施形態に係るスライド式シートを示す斜視図である。 第2実施形態に係るスライド式シートのダンパ装置を分解して示す斜視図である。 第2実施形態の変形実施例に係るスライド式シートを示す斜視図である。 第2実施形態の変形実施例に係るスライド式シートのダンパ装置を分解して示す斜視図である。
符号の説明
1 車室床部
2 車載シート
3 スライドレール
4 ダンパ装置
5・6 プーリ装置
7 環状ベルト
8 ロータリダンパ
9 アシストばね
11 レール溝
12 ダンパ溝
13 凹部
31 ロアレール
32 アッパレール
51・57・61 プ−リ
52・62 回転シャフト
100 ダンパ装置
110・110a ドラム装置
111・111a ドラム
121 定荷重ばね
116・116a・116b ワイヤ巻回溝
117 ばね巻回溝
118 ブッシュ
130・130a ワイヤ

Claims (6)

  1. 車両の車室床部に対してスライド可能に設けられたシートのスライド移動時における移動を緩衝する車載シート用ダンパ装置であって、
    前記車室床部と前記シートとの一方に回転自在に支持された回転部材と、
    前記車室床部と前記シートとの他方に固定され、前記シートのスライド移動によって移動し、前記回転部材を回転させる連結部材と、
    前記回転部材の回転軸と駆動連結され、前記回転部材の回転動作を減衰させるロータリダンパと
    を有することを特徴とする車載シート用ダンパ装置。
  2. 前記ロータリダンパは、前記回転部材にワンウェイクラッチを介して駆動連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の車載シート用ダンパ装置。
  3. 前記ロータリダンパは、回転方向の一方向にのみ緩衝作用を奏するロータリダンパであることを特徴とする請求項1に記載の車載シート用ダンパ装置。
  4. 前記連結部材は、ベルトであり、
    前記回転部材は、前記ベルトを掛け渡されたプーリであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の車載シート用ダンパ装置。
  5. 前記連結部材は、ワイヤであり、
    前記回転部材は、前記ワイヤの一端が固定された巻取りドラムであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の車載シート用ダンパ装置。
  6. 請求項1〜5に記載の車載シート用ダンパ装置を備えたスライド式シートであって、
    前記シートは、前記車室床部に対して車両前後方向にスライド可能に設けられ、
    前記シートを車両前後方向における前方へと付勢する付勢手段を有し、
    前記ダンパ装置は、少なくとも前記シートの車体前後方向における後方への移動を緩衝することを特徴とするスライド式シート
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