JP2009155422A - ポリプロピレン系樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定のプロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))50〜91質量%と、下記プロピレン単独重合体(成分(B))7〜30質量%と、特定のエチレン系共重合体(成分(C))2〜20質量%とを含有する樹脂混合物100質量部に対して、特定の化合物(D)を配合する。
【選択図】なし
Description
また、特許文献3には、ポリプロピレン系樹脂に、特定の屈折率をもつポリオレフィン系ゴム及び、特定の透明核剤を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献4には、特定のポリプロピレン系樹脂に、特定のエチレン系共重合体及び、ソルビトール系造核剤を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献5には、プロピレン系重合体に特定のエチレン(共)重合体、他のエチレン系重合体からなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
かかる状況の下、本発明は、面衝撃性や透明性が向上し、臭気や溶出性が低減された成形体を得ることが可能なポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体を提供することを目的とする。また、成形体を製造する際に、上記樹脂組成物の結晶化速度が速く、成形サイクルを短縮でき生産性を向上させることが可能なポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
下記プロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))50〜91質量%と、下記プロピレン単独重合体(成分(B))7〜30質量%と、下記エチレン系共重合体(成分(C))2〜20質量%とを含有する樹脂混合物(成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計を100質量%とする)、及び、前記樹脂混合物100質量部に対して、
下記一般式で示される少なくとも一種の化合物(D)0.12〜0.5質量部と、を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物を提供するものである。
〔式中、nは、0、1又は2であり、Aは非水素基であり、R1〜R10は、互いに独立して、水素、フルオロ炭素、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシ基、ハロゲン基、及びフェニル基からなる群から選択され、任意の二つの隣接基は、組み合わさって環式基を形成しても良い〕
成分(A):
エチレン由来の構造単位の含有量が2〜5質量%であり、
測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K6758)が2〜90g/10分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体の全量を100質量%とする)。
成分(B):
測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K6758)が2〜150g/10分であるプロピレン単独重合体。
成分(C):
密度が0.88〜0.91g/cm3であり、測定温度190℃、荷重2.16kgfで測定したメルトルフローレート(JIS−K7210)が2〜100g/10分であるプロピレン及び炭素数4〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとエチレンと共重合させて得られる共重合体。
〔プロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))〕
本発明で用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))は、エチレン由来の構造単位の含有量が2〜5質量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体である(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体の全量を100質量%とする)。エチレン由来の構造単位の含有量として、好ましくは2〜4質量%である。
エチレン由来の構造単位の含有量が2質量%未満の場合、面衝撃性が不十分なことがあり、5質量%を超えた場合、結晶化速度、剛性が不十分なことがある。
成分(A)の測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(以下、MFRと称する)(JIS−K6758)は2〜90g/10分であり、好ましくは10〜90g/10分であり、さらに好ましくは、20〜50g/10分である。成分(A)のMFRが2g/10分未満の場合、成形性が不十分なことがあり、90g/10分を超えた場合、衝撃強度や面衝撃性が不十分なことがある。
本発明のポリプロピレン樹脂混合物に含有される成分(A)の含有量は50〜91質量%(成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計を100質量%とする)であり、好ましくは70〜91質量%である。成分(A)の含有量が50質量%未満の場合、十分な透明性、面衝撃性が得られないことがあり、91質量%を超えた場合、十分な結晶化速度が得られず、成形サイクル性が十分に短縮できないことがある。
本発明で用いられるプロピレン単独重合体(成分(B))の測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(以下、MFRと称する)(JIS−K6758)は2〜150g/10分であり、好ましくは15〜130g/10分である。成分(C)のMFRが0.5g/10分未満の場合、成形性が不十分なことがあり、150g/10分を超えた場合、面衝撃性が不十分なことがある。
成分(B)の13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率(mmmm)は、剛性、耐熱性又は結晶化時間を早くするという観点から、好ましくは0.95以上であり、更に好ましくは、0.97以上である。
成分(B)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布(Q値、Mw/Mn)として、好ましくは3以上7以下であり、より好ましくは3〜5である。
本発明で用いられるポリエチレン系共重合体(成分(C))は、プロピレン及び炭素数4〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとエチレンとを共重合させて得られる共重合体である。
α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1等が挙げられる。これらを単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
あり、好ましくは0.89〜0.91g/cm3である。密度が0.88g/cm3以下の場合は透明性が不十分なことがあり、0.91g/cm3を超えた場合、透明性や面衝撃性が不十分なことがある。
成分(C)の測定温度190℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(以下、MFRと称する)(JIS−K7210)は2〜100g/10分であり、好ましくは5〜50g/10分である。成分(B)のMFRが2g/10分未満の場合、透明性や成形性が不十分なことがあり、100g/10分を超えた場合、面衝撃性が不十分なことがある。また、(C)の含有量は2〜20質量%(成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計を100質量%とする)であり、好ましくは4〜10質量%である。成分(C)の含有量が2質量%未満の場合、十分な耐衝撃性が得られないことがあり、20質量%を超えた場合、十分な結晶化速度が得られず、成形サイクル性が十分に短縮できないことがある。
本発明で用いられる化合物(D)は、下記一般式で示される少なくとも一種の化合物である。
〔式中、nは、0、1又は2であり、Aは非水素基であり、R1〜R10は、互いに独立して、水素、フルオロ炭素、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシ基、ハロゲン基、及びフェニル基からなる群から選択され、任意の二つの隣接基は、組み合わさって環式基を形成しても良い〕
また、式中、R1〜R10は、互いに独立して、水素、フルオロ炭素、アルケニル、アルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボキシ基、ハライド、及びフェニルからなる群から選択され、又は、本発明の幾つかの実施態様において、任意の二つの隣接基は、組み合わさって環式基を形成し得る。ここで上記環式基は、メチレンジオキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル、又は他の類似環式基を含んでなり得る。
また、化合物(D)は粉体としての使用が好ましい。粉体特性は、好ましくは、見掛け嵩比重が0.1〜0.5g/ccの範囲であり、より好ましくは、0.2〜0.4g/ccである。尚、見掛け嵩比重とは、一定容積のメスシリンダー内に化合物(D)粉体を自然落下で一定容積だけ積層させた際の化合物(D)粉体の重量を測定して、算出により得られるものである。上記範囲より小さい場合、配合時に流動性が無く生産性が悪化することがあり、また、大きい場合は、前記樹脂成分(成分(A)、成分(B)及び成分(C))に対する分散性が悪化して耐衝撃性等の機械的特性が低下したり、透明性改良効果が十分でないことや、白班状の点が成形体に確認され外観不良を起こすことがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造において、230℃で測定されるメルトフローレート(MFR)を10〜100g/10分の範囲に調整する方法として、プロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))とプロピレン単独重合体(成分(B))とエチレン系共重合体(成分(C))と成分(D)、さらに、有機過酸化物(E)の存在下、溶融混合により変性することにより調整することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、有機過酸化物(E)を含有してもよい。有機過酸化物(E)としては、過酸化アルキル類、過酸化ジアシル類、過酸化エステル類及び過酸化カーボネート類等が挙げられる。
過酸化アルキル類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t―ブチルパーオキサイド、ジ−t―ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルクミル、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン等が挙げられる。
過酸化エステル類としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t―ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシル−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルーパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ3,5,5―トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5―トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−ブチルパーオキシトリメチルアディペート等が挙げられる。
有機過酸化物(E)として、好ましくは過酸化アルキル類であり、特に好ましくは2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナンである。
有機過酸化物(E)の配合量を0.5質量部以下とすることにより、本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物の成形加工性、機械的特性をより向上させることができる。また、得られる成形体の透明性や色相をより向上させることが可能となる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、本発明に用いられる前記樹脂成分(成分(A)、成分(B)及び成分(C))以外の他の樹脂やゴムなどを配合してもよい。
例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン/α−オレフィン系共重合体(L−LDPEやエラストマー)、ポリスチレン類(例えばポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、天然ゴム、ポリ乳酸等が挙げられ、これらの他の樹脂は、単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
前記樹脂成分(成分(A)、成分(B)及び成分(C))以外の他の樹脂やゴムなどを配合する方法は、例えば、予め溶融混練されたポリプロピレン系樹脂組成物のペレットに配合する方法や、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造する段階でポリプロピレン樹脂(A)と成分(D)及び必要に応じて成分(E)や上記添加剤等と一緒に配合する方法が挙げられる。
なお、前記他の樹脂やゴムは、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物と張り合わせて多層化して使用することもできる。
充填剤としては、例えば、タルク、クレイ、ガラスビーズ、珪酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、合成有機繊維、天然繊維、木粉等が挙げられる。
前記の充填剤を配合する方法としては、例えば、予め溶融混練されたポリプロピレン系樹脂組成物のペレットに配合する方法や、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造する段階でポリプロピレン樹脂成分と各成分((D)、(E))と必要に応じて添加される前記添加剤と一緒に配合する方法等が挙げられる。
前記の充填材として、タルク、クレイ又は炭酸カルシウムを配合する場合であって、前記樹脂混合物(成分(A)、成分(B)及び成分(C))100質量部に対して、0.001〜1質量部のタルク、クレイ又は炭酸カルシウムを配合する場合は、タルク、クレイ又は炭酸カルシウムが造核剤として機能するため、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造する段階で配合することがある。
また、着色剤としては、一般に使用されている公知の着色剤が挙げられ、無機顔料や有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、例えば、前記充填材としても用いられるカーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛や、弁柄、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、群青、コバルトブルー、チタンイエロー、鉛白、鉛丹、鉛黄、紺青等が挙げられ、有機顔料としては、例えば、キナクリドン、ポリアゾイエロー、アンスラキノンイエロー、ポリアゾレッド、アゾレーキイエロー、ペリレン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。これらの着色剤は単独で用いても良く、少なくとも2種類を併用しても良い。
商標]、NCM[登録商標]、LCM[登録商標]等)が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の形状としては、例えば、ストランド状、シート状、平板状、ストランドを適当な長さに裁断したペレット状等が挙げられる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形加工へ適用するためには、得られる成形体の生産安定性の観点から、形状として好ましくは、長さが1〜50mmのペレット状である。
本発明の成形体の製造方法としては、例えば、通常工業的に用いられている射出成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法、押出成形法等が挙げられ、また、目的に応じて、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物と同種のポリオレフィン系樹脂や他の樹脂と貼合する成形方法、共押出成形する方法等も挙げられる。
本発明の成形体として、好ましくは、射出成形体であり、その成形方法は射出成形法である。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等の方法が挙げられる。
(1−1)プロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))及びプロピレン単独重合体(成分(B))のMFRの測定方法
測定温度230℃、荷重2.16kgfで、JIS−K6758に従って測定した。
(1−2)エチレン系共重合体(成分(C))のMFRの測定
測定温度190℃、荷重2.16kgfで、JIS−K7210に従って測定した。
高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)の第256頁「(i)ランダム共重合体」の項に記載の方法に従ってIRスペクトルを用いて、エチレン由来の構造単位の含有量を測定した。
株式会社パーキンエルマージャパン製「Diamond DSC」(示差走査熱量測定装置)を用いて測定した。具体的には、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを圧縮成形加工機によりフィルム(100μm)化して測定用試料を作製した。DSCに作製した試料を約10mgセットして、一旦、220℃へ昇温して220℃の状態で5分間放置することにより試料を完全に溶解させた。その後、速度:300℃/分の条件で135℃に急冷して熱量カーブが終了する相当時間までその温度を保持した。結晶化時間は、得られた熱量カーブの最大値(ピークトップ)に至るまでの所要時間(秒)として求めた。尚、所要時間が小さいほど結晶化に至る時間が短い。この結晶化時間が短いほど成形加工時の冷却時間が短く成形加工性が優れているとした。
測定に用いる重錘の形状を図1に示した。図1に示した形状の鉄製の重錘を用いた以外は、JIS K7211の測定方法に従い、試験片の数の50%が破壊するときの衝撃エネルギーを求めた。測定温度は23℃で実施した。
尚、試験片は後述する射出成形体の製造方法によって得られたものを用いた。具体的には、尚、試験片は後述する射出成形により得られたものを使用した。具体的には、MD×TD×厚み=150×90×2mmの長平板状試験片を使用した。
JIS K7150に従って測定した。試験片は後述する射出成形により得られたもの(MD×TD×厚み=150×90×2mmの長平板状試験片の中央部を50×50mmの正方形に切削したもの)を使用した。ヘイズの測定はヘイズメータを用いた。ヘイズ値は透明性の指標であり、ヘイズ値が小さいほど、目視における試験片の透明感が良好であり、透明性が高いことを示す。
前記射出成形法により成型加工した試験片(MD×TD×厚み=150×90×2mm)について、偏光板を両面から挟み、蛍光灯の光を透過させて、試験片に存在する白班点を目視で観察した。判定は、白班点が5個未満の場合を○、5〜10個未満の場合を△、10個以上の場合を×とした。白班点は造核剤成分を含む添加剤成分の分散性を示す指標であり、白班点の数が少ないほど、外観に優れた成形体であることを示す。
後述する射出成形法により成型加工した試験片(MD×TD×厚み=150×90×2mm)について、ヒトによる臭いの官能検査を行い、その不快臭の有無を判定した。判定は不快臭無しを○、有りを×とした。
日本薬局方一般試験法(1996年)、輸液用プラスチック容器試験法(7)溶出物試験に従って試験した。試験液の紫外吸収スペクトルにおいて、波長220nm以上241nm未満における吸光度が0.08以下、及び/又は、波長241nm以上350nm以下における吸光度が0.05以下である場合を○とし、前記波長範囲における吸光度が前記値以上である場合を×とした。
前記の落錘衝撃強度評価用及び透明性評価用の試験片(射出成形体)は、下記の方法に従い作製した。
(9−1)落錘衝撃強度評価用及び透明性評価用試験片の作製
住友重機械製NEOMAT350/120型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型冷却温度50℃で射出成形を行い、MD×TD×厚み=150×90×2mmの寸法の落錘衝撃強度評価用及び透明性評価用の試験片を得た。
(1−1)固体触媒成分の製造
特開2004−067850号公報の実施例1記載の方法と同様に調製した。
(1−2)ポリプロピレン樹脂(A−1)の製造
(a)予備重合
充分に精製したヘキサンを攪拌機付反応器に添加し、系内を充分に窒素で置換したのち、トリエチルアルミニウム(以下TEAと略す)、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン(以下CHEDMSと略す)及び前記固体触媒成分を添加し、25℃を維持しながらプロピレンを1時間にわたって連続的に添加して、予備重合体スラリーを得た。
(b)本重合
攪拌機付き気相流動層重合槽を用いて、重合温度83℃、重合圧力21kg/cm2G、気相部のエチレン濃度1.35vol.%、水素濃度を4.0vol.%に保持できるように、プロピレン、エチレン及び水素を供給する条件下で、前記予備重合体スラリー、TEA(TEA/プロピレンポリマー=200wtppm)、CHEDMS(CHEDMS/TEA=0.15(モル/モル))を供給しながら連続気相重合を行い、プロピレン−エチレン共重合体のパウダー(A−1)を得た。得られたプロピレン−エチレン共重合体(A−1)は、融点(Tm)が148℃、エチレン含有量が2.5質量%、CXSが2.5質量%、MFRが25g/10分であった。
ポリプロピレン樹脂(A−2)の製造
参考例1の(1−2)ポリプロピレン樹脂(A−1)の製造の(b)本重合において、重合温度、重合圧力、気相部のエチレン濃度、水素濃度を変更して製造した以外は、参考例1の(1−2)ポリプロピレン樹脂(A−1)の製造方法と同様にしてプロピレン−エチレンランダム共重合体のパウダー(A−2)を得た。得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体は、融点(Tm)が140℃、エチレン含有量が4.1質量%、CXSが4.3質量%、MFRが8g/10分であった。
プロピレン単独重合体(B−1)の重合
参考例1の(1−2)(b)本重合において、気相部のエチレン濃度をゼロに変更し、重合温度86℃、水素濃度を2.2vol.%に変更した以外は、参考例1と同様にして樹脂粉であるプロピレン単独重合体(B−1)を得た。得られたプロピレン単独重合体は、mmmmが0.98、Mw/Mnが4.2、融点(Tm)が163℃、CXSが0.25質量%、MFRが20g/10分であった。
プロピレン単独重合体(B−2)の重合
特開平7−216017記載の固体触媒成分を用いて、気相重合法により製造し、樹脂粉であるプロピレン単独重合体(B−2)を得た。得られたプロピレン単独重合体は、mmmmが0.97、Mw/Mnが5.9、融点(Tm)が164℃、CXSが1.1質量%、MFRが120g/10分であった。
プロピレン単独重合体(B−3)の重合
特開平7−216017記載の固体触媒成分を用いて、溶媒重合法により製造し、樹脂粉であるプロピレン単独重合体(B−3)を得た。mmmmが0.99、Mw/Mnが5.3、融点(Tm)が163℃、CXSが0.1質量%、MFRが307g/10分であった。
(1−1)ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
[造粒(溶融混練、濾過)]
前記参考例1で得られた(A−1)プロピレン−エチレンランダム共重合体のパウダー79質量部と参考例3で得られた(B−1)プロピレン単独重合体のパウダー13質量部と(C−1)ポリエチレン系重合体(住友化学(株)製エクセレンVL400、190℃のメルトフローレート:5g/10分、密度:0.900g/cm3)のペレット8質量部を混合した。この混合物100質量部に対して、(D−1)1,2,3―トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトール(商品名:MilladNX8000、ミリケン・ジャパン(株)製)0.3質量部と(E−1)2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンの10質量%含有ポリプロピレンパウダー(商品名:パーヘキサ25B−10、10質量%品(日本油脂(株)製)0.05質量部(有機過酸化物として、0.005質量部)、及び中和剤としてステアリン酸カルシウム(商品名:カルシウムステアレートS、日本油脂(株)製)0.05質量部と、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名:イルガノックス1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.01質量部を一括配合して、その配合物をタンブラーミキサーで混合した。得られた混合物を内径40mmの単軸押出機(田辺プラスチックス(株)製)を用いて、溶融混練部のシリンダー設定温度200℃、スクリュー回転数100rpm、押出量:16kg/時間の条件で溶融混練して、これを金網フィルター(50メッシュ)で濾過した後にダイ部(設定:200℃)より押出し、この押出物(ストランド状)を冷水により冷却固化、切断してポリプロピレン系樹脂組成物からなるペレット(直径:2〜3mm)にした。得られたポリプロピレン系樹脂組成物の各成分の配合量を表1に示した。
前記(1−1)の方法で製造したポリプロピレン系樹脂組成物からなるペレットを用いて、前記の射出成形体の作製方法に従って射出成形によって物性評価用の試験片を作製し、所定の状態調整後、試験片の物性を測定した。評価結果を表1に示した。
(D−1)の配合量を0.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
(A−1)を67質量部、(B−1)を25質量部へ変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
(B−1)を(B−2)13質量部へ変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
(D−1)0.3質量部を(D−1)1,3−o−メチルベンジリデン2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール(商品名:ゲルオールDH、新日本理化(株)製;比較品)0.3質量部へ変更した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
(D−1)0.3質量部を(D−3)3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール(商品名:ゲルオールDS、新日本理化(株)製;比較品)0.3質量部へ変更した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
(D−1)0.3質量部を(D−4)1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール(Millad3988、ミリケン・ジャパン(株)製、見掛け嵩比重:0.20g/cc;比較品)0.3質量部へ変更した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
(D−1)0.3質量部を(D−5)芳香族リン酸エステル系金属塩を主成分とする造核剤(アデカスタブNA−21、株式会社ADEKA製;比較品)0.2質量部へ変更した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
(D−1)0.3質量部を0.1質量部へ変更した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示した。
(D−1)0.3質量部を0.6質量部へ変更した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示した。
(A−1)を87質量部、(B−1)を5質量部に変更した以外は、実施例1と同様に行なった。評価結果を表2に示した。
(B−1)を(B−3)13質量部に変更した以外は、実施例1と同様に行なった。評価結果を表2に示した。
(C−1)を(C−2)スミカセンG701(住友化学製、MFR(190℃)=7g/10分、密度=0.918g/cm3;比較品)8質量部、(D−1)を0.3質量部に変更した以外は、実施例1と同様に行なった。評価結果を表2に示した。
(C−1)を(C−3)エクセレンVL100(住友化学製、MFR(190℃)=0.8g/10分、密度=0.900g/cm3;比較品)8質量%に変更した以外は、実施例1と同様に行なった。評価結果を表2に示した。
(A−1)を(A−2)100質量部に変更し、(B−1)、(C−1)を配合せず、(E−1)の配合量を0.35質量部に変更した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示した。
(A−1)を(A−2)96質量部に変更し、(B−1)を配合せず、(C−1)を(C−4)エンゲージ8200(エチレン−オクテン共重合体,ダウケミカル(株)社製,MFR(190℃)=5.0g/10分、密度=0.870g/cm3;比較品)4質量部に、(E−1)の配合量を0.37質量部に変更した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示した。
(A−1)を(A−2)81質量部に変更し、(B−1)の配合量を15質量部に変更し、(C−1)を(C−4)エンゲージ8200(エチレン−オクテン共重合体,ダウケミカル(株)社製,MFR(190℃)=5.0g/10分、密度=0.870g/cm3;比較品)4質量部に、(E−1)の配合量を0.33質量部に変更した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示した。
Claims (4)
- 下記プロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))50〜91質量%と、下記プロピレン単独重合体(成分(B))7〜30質量%と、下記エチレン系共重合体(成分(C))2〜20質量%とを含有する樹脂混合物(成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計を100質量%とする)、及び、前記樹脂混合物100質量部に対して、
下記一般式で示される少なくとも一種の化合物(D)0.12〜0.5質量部と、を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
〔式中、nは、0、1又は2であり、Aは非水素基であり、R1〜R10は、互いに独立して、水素、フルオロ炭素、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシ基、ハロゲン基、及びフェニル基からなる群から選択され、任意の二つの隣接基は、組み合わさって環式基を形成しても良い〕
成分(A):
エチレン由来の構造単位の含有量が2〜5質量%であり、
測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K6758)が2〜90g/10分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体の全量を100質量%とする)。
成分(B):
測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K6758)が2〜150g/10分であるプロピレン単独重合体。
成分(C):
密度が0.88〜0.91g/cm3であり、測定温度190℃、荷重2.16kgfで測定したメルトルフローレート(JIS−K7210)が2〜100g/10分であるプロピレン及び炭素数4〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとエチレンと共重合させて得られる共重合体。 - 有機過酸化物(E)を更に含有し、かつ、230℃で測定されるメルトフローレート(MFR)が10〜100g/10分であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形体。
- 請求項1から3の何れかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなることを特徴とする食品充填容器又は食品包装用成形体。
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