JP2009155207A - 易重合性化合物の晶析方法、および晶析装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構を備えた晶析装置を用いる、易重合性化合物の晶析方法であって、晶析槽の上蓋と、液面を検出する手段とを接続する液面検出手段接続管に、非凝縮性ガスを供給しながら晶析することを特徴とする易重合性化合物の晶析方法と、伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構と、晶析槽の内部の液面を検出する液面検出手段と、前記晶析槽の上蓋と前記液面検出手段とを接続する液面検出手段接続管と、非凝縮性ガスを前記液面検出手段接続管に供給する非凝縮性ガス供給管とを有することを特徴とする易重合性化合物の晶析装置、とからなる。
【選択図】図1
Description
晶析装置を用いた易重合性化合物の晶析操作では、溶液から結晶を連続的に晶出させるに際し、晶析槽内部に通じる液面検出手段を設け、この液面検出手段により液相部の液面高さを検出する。この検出された液面に対して、晶析槽内に供給されるプロセス流体の供給量を変動させることで、液面を一定に保つように運転制御し、品質安定と生産性向上を図っている。
一方で、易重合性化合物の多くは可燃性を有するため、晶析槽内の気相部の組成が爆発範囲内にあり、かつ、着火源が存在すれば、爆発反応を起こしうる。易重合性化合物が気相中を落下する際には、液同士の摩擦により静電気を発生しやすく、この静電気が着火源となりうる。このような問題に対し、該気相部を窒素等の不活性ガスで置換することにより、分子状酸素の濃度を一定の範囲に制御して、気相部の組成を爆発範囲外とする方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
本発明は、易重合性化合物の付着や重合による、液面検出手段の指示不良を防止し、安定かつ継続して、易重合性化合物の晶析が行える晶析方法、および晶析装置を目的とする。
前記非凝縮性ガスは、窒素であることが好ましく、前記非凝縮性ガスを圧力調節弁とオリフィスプレートとを通じた後に、または、流量調節弁と流量計とを通じた後に、液面検出手段接続管に供給することが好ましい。また、易重合性化合物がメタクリル酸であることが好ましく、前記晶析槽の内部の気相部中の分子状酸素濃度を、2〜18容量%とすることが好ましい。
図1は、本発明の実施形態の一例の晶析装置10の模式図である。晶析装置10は、晶析槽12と、上蓋14と、冷却ジャケット16と、液面検出手段18と、液面検出手段接続管20と、非凝縮性ガス供給管22とを有している。
晶析槽12の上部には上蓋14が載置され、晶析槽12の外側には、中位から底部にかけて、冷却ジャケット16が設置されている。冷却ジャケット16は、図示されない熱源と接続されている。そして、冷却ジャケット16が設置された晶析槽12の内面が、伝熱面になっている。また、晶析槽12内部には攪拌機30が備えられ、該攪拌機30は図示されない動力源と接続されている。
上蓋14には、液面検出手段接続管20と、温度検出手段32とが、上蓋14を貫通して設置され、液面検出手段接続管20ならびに温度検出手段32の下端部は、いずれも晶析槽12内の液面下に位置するように配置されている。液面検出手段接続管20の上端部には、液面検出手段18が接続されている。また、液面検出手段接続管20の側面には、非凝縮性ガス供給管22の一端が接続され、非凝縮性ガス供給管22の他の一端は、流量調節弁24と接続されている。流量調節弁24と流量計26とは、配管により接続され、流量計26と減圧弁28とは、配管により接続され、減圧弁28は、図示されない非凝縮性ガス供給源と、配管によって接続されている。
また、上蓋34に接続されている原料供給管34は、図示されない原料供給源と接続され、晶析槽12底部に接続されているスラリー排出管36は、図示されない次工程と接続されている。
流量調節弁24は特に限定されず、既存の流量調節弁を使用することができる。
また、流量計26は特に限定されず、既存の流量計を使用することができる。
まず、被処理化合物である、易重合性化合物を含有する液体(以下、単に原料液ということもある)を、原料供給管34により、晶析槽12内に入れる。晶析槽12内の原料の液面が、所定の高さに到達した時点で、原料液の供給を停止する。次いで、図示されない非凝縮性ガス供給源から、配管により、減圧弁28、流量計26、流量調節弁24を経由させて、流量が制御された非凝縮性ガスを非凝縮性ガス供給管22に送る。非凝縮性ガス供給管22に送られた非凝縮性ガスは、液面検出手段接続管20を流通し、晶析槽12内の原料液内に送られる。この際、非凝縮性ガスは、液面検出手段接続管22内への易重合性化合物の進入を防ぐと共に、原料液に含まれる易重合性化合物と接触する。そして、原料液に溶存されなかった非凝縮性ガスは、晶析槽12内の気相部の気体と混合される。
攪拌機30により原料液を攪拌する一方、図示されない熱源から、任意の温度の熱媒体を冷却ジャケット16内に流通させて、晶析槽12の伝熱面を冷却する。冷却された晶析槽12の伝熱面によって、原料液を冷却し、最終的に、原料液中の易重合性化合物の結晶が析出し始める温度である、結晶析出温度以下になるように、徐々に冷却する。そして、原料液から易重合性化合物が析出される。晶析槽12内で、易重合性化合物が析出されると、析出された結晶と、原料液との混合流体である、スラリー状のプロセス流体となる。
晶析槽12の槽内温度が所定温度で安定した後、図示されない排出口より、前記プロセス流体の抜き出しを開始する。この際、液面検出手段18により、液相部の液面高さを検出し、一定の液面高さを維持するように、原料液の供給量を調節する。このようにして、原料液から、易重合性化合物の結晶を連続的に晶出させる。こうして、晶析操作を終えたプロセス流体は、晶析槽12から、スラリー排出管36によって次工程に送られ、結晶と母液とに固液分離される。この固液分離により、精製された易重合性化合物の結晶を得ることができる。例えば、原料液として粗製メタクリル酸を用いた場合には、結晶として精製メタクリル酸が得られ、一方の母液には、添加した第二成分、濃縮された不純物、および析出しなかったメタクリル酸が含まれる。
重合防止剤の濃度は、易重合性化合物の種類によって決定することが好ましく、例えば、メタクリル酸の場合には、0.5〜1000質量ppm、1〜600質量ppmが好ましく、2〜500質量ppmが特に好ましい。
混合ガス中の非凝縮性ガスの濃度は特に限定されないが、4〜10容量%であることが好ましい。4容量%未満であると、易重合性化合物による液面検出手段接続管20内の閉塞や、液面検出手段18への結晶の付着を防止できないおそれがある。また、10容量%を超えると非凝縮性ガス流量の供給振れ等により、一時的に爆発限界に近づく可能性がある。
加えて、混合ガス中の酸素濃度は、特に限定されることはなく、晶析槽12内の気相部の組成を考慮して、決定することができる。ただし、前記混合ガス中の酸素濃度が低すぎると、前記気相部の酸素濃度を上げることができず、酸素濃度が高すぎると、前記気相部の酸素濃度を下げることができないため、所望する晶析槽12内の酸素濃度を考慮して決定することが好ましい。
そして、メンテナンス時間を削減することができるため、生産性を向上すると共に、オペレータの負担を軽減できる。
また、上記の実施形態では、非凝縮性ガスを、流量調節弁24と流量計26とに通じた後に、液面検出手段接続管へ供給しているが、流量調節弁を圧力調節弁に、流量計をオリフィスプレートに、それぞれ代えても良いし、いずれも設置しなくても良い。ただし、晶析槽12内の気相部の分子状酸素濃度を安定して制御するためには、流量調節弁24と流量計26とに非凝縮性ガスを通じるか、圧力調節弁とオリフィスプレートとに非凝縮性ガスを通じた後に、晶析槽12へ供給することが好ましい。
(実施例1)
図1に示す晶析装置10を用いて、次の条件で、連続的に晶析した。原料液には、96.5〜99.5質量%メタクリル酸の易重合性化合物含有液を用い、原料供給管34から晶析槽12に原料液を供給し、原料液温度を5〜8℃で連続的に晶析し、スラリーをスラリー排出管36から排出させた。同時に、元圧400kPaGの窒素を流量調節弁24で、流量が5m3(標準状態)/hとなるように調節した後、液面検出手段接続管20に連続的に供給した。なお、非凝縮性ガス供給管22には内径4mmのSUS304製の管を使用した。
液面検出手段接続管20に窒素を供給しなかった以外は、実施例1と同様にして、原料液を連続的に晶析した。
一方、比較例1では、運転を開始してから2週間を経過した時点で、晶析槽内液面を正確に検出できなくなった。液面検出手段18および液面検出手段接続管20を取り外して内部を確認したところ、液面検出手段接続管20の一部が、重合物により閉塞していた。
12 晶析槽
14 上蓋
16 冷却ジャケット
18 液面検出手段
20 液面検出手段接続管
22 非凝縮性ガス供給管
24 流量調節弁
26 流量計
Claims (8)
- 伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構を備えた晶析装置を用いる、易重合性化合物の晶析方法であって、晶析槽の上蓋と、液面を検出する手段とを接続する液面検出手段接続管に、非凝縮性ガスを供給しながら晶析することを特徴とする、易重合性化合物の晶析方法。
- 前記非凝縮性ガスは、窒素であることを特徴とする、請求項1に記載の易重合性化合物の晶析方法。
- 前記非凝縮性ガスを、圧力調節弁とオリフィスプレートとを通じた後に、液面検出手段接続管に供給することを特徴とする、請求項1または2に記載の易重合性化合物の晶析方法。
- 前記非凝縮性ガスを、流量調節弁と流量計とを通じた後に、液面検出手段接続管に供給することを特徴とする、請求項1または2に記載の易重合性化合物の晶析方法。
- 易重合性化合物がメタクリル酸である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の易重合性化合物の晶析方法。
- 前記晶析槽の内部の気相部中の分子状酸素濃度を、2〜18容量%とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の易重合性化合物の晶析方法。
- 伝熱面を介して熱交換を行う冷却機構と、晶析槽の内部の液面を検出する液面検出手段と、前記晶析槽の上蓋と前記液面検出手段とを接続する液面検出手段接続管と、非凝縮性ガスを前記液面検出手段接続管に供給する非凝縮性ガス供給管とを有することを特徴とする、易重合性化合物の晶析装置。
- 前記冷却機構は、冷却ジャケットであることを特徴とする、請求項7に記載の易重合性化合物の晶析装置。
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