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JP2009144012A - 生分解性ポリエステル系樹脂からなる多孔質微粒子の製造方法 - Google Patents

生分解性ポリエステル系樹脂からなる多孔質微粒子の製造方法 Download PDF

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JP2009144012A JP2007321393A JP2007321393A JP2009144012A JP 2009144012 A JP2009144012 A JP 2009144012A JP 2007321393 A JP2007321393 A JP 2007321393A JP 2007321393 A JP2007321393 A JP 2007321393A JP 2009144012 A JP2009144012 A JP 2009144012A
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Mikio Akimoto
幹夫 秋本
Kazuyuki Nagasawa
和之 長澤
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Toho Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】特殊な装置を使用することなく工業的に安価なプロセスで生分解性ポリエステル系樹脂の多孔質微粒子を製造する方法を提供する。
【解決手段】生分解性ポリエステル系樹脂を1,3−ジオキソラン類に加熱溶解した溶液に貧溶媒を加えた後、この溶液を0.5℃/分以上の速度で20℃以下まで冷却することを特徴とする、平均粒子径が1μm〜500μmの範囲内であり、且つ粒子表面に50nm〜5μmの孔を有する生分解性ポリエステル系樹脂からなる多孔質微粒子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は生分解性ポリエステル系樹脂からなる多孔質微粒子の製造方法に関する。
ポリ乳酸等の生分解性ポリエステル樹脂の様々な用途への展開を図るべく、近年その加工技術の開発が進んでいる。例えば、塗料や接着剤、印刷分野に使用する場合には、該樹脂を微粒子化する技術が不可欠であり、特許文献1には生分解性ポリエステル系樹脂を特定の化合物に溶解し、これに貧溶媒を加える方法が開示されている。また、得られる微粒子が多孔質であれば、医薬や農薬の担体としての応用等が期待でき、特許文献2には生分解性ポリエステル系樹脂エマルションをパルス燃焼ガスに接触させることによる方法が開示されている。しかしながら、当該方法はパルス燃焼乾燥装置を使用しなければならず、製造プロセスが複雑になってコスト増につながるという問題があった。
特開2005−2302 特開2004−231760
本発明が解決しようとする課題は、特殊な装置を使用することなく工業的に安価なプロセスで生分解性ポリエステル系樹脂の多孔質微粒子を製造する方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討の結果、生分解性ポリエステル系樹脂の良溶媒として1,3−ジオキソラン類を用いこれを該樹脂の多孔質微粒子化技術に応用するに至った。すなわち、本発明は、生分解性ポリエステル系樹脂を1,3−ジオキソランに加熱溶解した溶液に貧溶媒を加えた後、この溶液を0.5℃/分以上の速度で20℃以下まで冷却することを特徴とする、平均粒子径が1μm〜500μmの範囲内であり、且つ粒子表面に50nm〜5μmの孔を持つ多孔質生分解性ポリエステル系樹脂微粒子の製造方法に関する。
本発明は、前記多孔質微粒子の比表面積が10〜300m/gであることを特徴とする前記の多孔質微粒子の製造方法にも関する。
本発明は、前記生分解性ポリエステル系樹脂がポリ乳酸であることを特徴とする前記の多孔質微粒子の製造方法にも関する。
本発明に係る製造方法により特殊な装置を使用することなく工業的に安価なプロセスで生分解性ポリエステル系樹脂の多孔質微粒子を製造することができる。これにより、環境への負荷が低い樹脂微粒子が得られ、塗料、インキ、トナー、プライマー、接着剤、印刷分野や、医薬、農薬、化粧品その他広範囲な産業分野での利用が可能となる。
本発明において生分解性ポリエステル系樹脂の良溶媒として使用される1,3−ジオキソラン類には、1,3−ジオキソランの他、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−n−ブチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジ−n−プロピル−1,3−ジオキソラン、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジ−n−プロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジイソプロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−n−ブチル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−n−プロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−メチル−2−イソブチル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−n−ブチル−4−エチル−1,3−ジオキソラン、2−n−プロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−n−ブチル−4−メチル−1,3−ジオキサン、2,2−ジ−n−プロピル−4−メチル−1,3−ジオキソランが例示できる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらのうち、1,3−ジオキソランは工業的に生産されており、実用上これを良溶媒として用いることで多孔質微粒子を経済的に得ることができるため好ましい。
1,3−ジオキソラン類に加え、他の溶媒類を併用することにより粒子径、細孔径、粒度分布などが調整することができる。調整に使用できる溶媒類を例示すると、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素などの塩素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、安息香酸エチル、蓚酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ―ブチルラクトンなどのエステル類、シクロヘキサノン、アセトニルアセトン、イソホロン等のケトン類、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸などの脂肪酸類、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどのノルマルパラフィン系炭化水素類、イソパラフィン系の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ポリエチレングリコール系グリシジルエーテル類、ポリプロピレングリコール系グリシジルエーテルなどのエポキシ化合物類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、ジヘキシルエーテルなどの各種のエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等そのエステル類、エチレングリコール、プロピレングリコールのようなグリコール、ジオキサン、2−n−プロピル−1,3−ジオキセパン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのグライム類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明において使用する貧溶媒として水を一部使用することも可能であるが、樹脂の加水分解による分子量低下などの原因ともなるため注意が必要である。好ましく使用できる貧溶媒を例示するとメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、アリルアルコール、アミルアルコールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、メチルエーテル、エチルプロピルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、乳酸エチルなどのエステル類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらを適宜選定することにより粒子径や細孔径の調整も可能である。
本発明に用いられる生分解性ポリエステル系樹脂としては例えばポリ乳酸(L−乳酸、D−乳酸、またはこれらの混合物を重合することにより得られるポリ乳酸、これらの混合物も含まれる)、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸等が挙げられる。また、分子内にヒドロキシル基とカルボキシル基を有する単量体、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などから選ばれる1種または2種以上の(共)重合体であってもよく、またこれらの単量体単位が化学修飾されたものであってもよい。その他、変性デンプン系、ポリビニルアルコール系なども必要に応じ配合使用することができる。
本発明で使用される生分解性ポリエステル系樹脂の製造方法は特に限定はしない。例えばポリ乳酸の場合、乳酸又は乳酸と他のヒドロキシカルボン酸から直接脱水重縮合で製造する方法、ラクタイド、グリコライド、ε―カプロラクトン又はそれらの混合物から開環重合で得る方法、その他エステル交換で得る方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明で用いる生分解性ポリエステル樹脂を他の生分解性樹脂によって改質することもでき、例えば修飾デンプン系、酢酸セルロース系、ポリヒドロキシブチレート系、ポリヒドロキシブチレートバリレート系、さらにはポリエチレンオキサイド系、ポリビニルアルコール系、キトサン系などが使用でき、その特性を活用することで用途展開をより促進することができる。また、生分解性樹脂のみでなく必要に応じ通常の樹脂も併用することができる。
本発明における生分解性ポリエステル系樹脂からなる多孔質微粒子は、(i)生分解性ポリエステル系樹脂を1,3−ジオキソラン類に加熱溶解する工程、(ii)貧溶媒を添加後20℃以下まで冷却することにより粒子を析出させる工程、(iii)ろ過乾燥工程を経て得ることができる。これらの各工程は、通常の反応設備で実施可能である。ただし、生分解性ポリエステル系樹脂の粒子が加水分解性を有するため、温度、時間の管理下で行なうことが好ましい。
(i)生分解性ポリエステル系樹脂を1,3−ジオキソラン類に加熱溶解する工程は、撹拌、加熱冷却、必要に応じコンデンサー又は密閉加圧が可能な設備で行うことができる。生分解性ポリエステル系樹脂は1,3−ジオキソラン類(他の溶媒を併用したものでもよい)に樹脂濃度として2〜40質量%以下の範囲で溶解状態または均一分散状とすることが望ましい。樹脂濃度が高すぎると増粘が著しく粗大粒子が多く発生し、逆に低すぎても多孔質微粒子は得られるが経済性に劣る。溶解温度は特に限定されるものではないが、樹脂を溶解状態または均一分散状態とするため50℃以上とすることが好ましく、60℃以上とすることがより好ましい。
(ii)貧溶媒を添加後20℃以下まで冷却することにより粒子を析出させる工程において、貧溶媒添加時の温度については限定しないが、溶剤の還流温度で溶解、貧溶媒の添加を行うことが好ましい。貧溶媒の添加後、20℃以下まで冷却する際の冷却速度は0.5℃/分以上、好ましくは1.0℃/分以上である。冷却速度が0.5℃/分を下回ると多孔質の微粒子が得られない。このような冷却速度は工業スケールにおいても十分対応可能なものであるため、冷却設備については特に限定されず、既存設備を有効に活用することができる。又析出工程での撹拌方式は特に限定されず、ホモジナイザー等の一般的に使用される各種設備を使用することができる。
(iii)ろ過乾燥工程においては必要に応じ洗浄工程を加えてもよい。多孔質の保持に乾燥温度は150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。乾燥工程では溶媒の揮発の促進など必要に応じて加熱することができる。揮発除去できる条件であれば方法は問わないが、必要に応じ減圧下で行なうことが好ましい。
本発明のこの多孔質微粒子は平均粒子径が1μm〜500μmであるが、各分野において応用するためには5μm〜300μmであることが好ましい。また、該微粒子は表面に50nm〜5μmの細孔を有し、その比表面積は概ね10〜300m/gの範囲内となる。さらには樹脂の重量平均分子量は10,000〜500,000であり、好ましくは20,000〜400,000、特に好ましくは100,000〜200,000である。該分子量が10,000に満たないときは多孔質微粒子の強度が著しく低下し、500,000を超えると溶解時の粘度が高くなり多孔質化が困難となる場合がある。
本発明の生分解性ポリエステル系樹脂には、光分解剤、生分解性促進剤、生分解性制御剤、熱安定剤、各種改質剤、可塑剤類、さらには必要に応じてフイラー類、分散剤、酸化防止剤、防錆剤、帯電防止剤、濡れ性改良剤、流動性調整剤、撥水剤、潤滑剤、着色剤、架橋剤、脱臭剤などを使用目的に合わせ配合することができる。
本発明の生分解性ポリエステル系樹脂からなる多孔質微粒子は定法により色素、香料、農薬、医薬、酵素、生理活性物質、発熱物質、吸熱物質、帯電防止剤、防錆剤、防カビ剤、脱臭剤、界面活性剤などの担体として又は吸着剤として目的に応じて使用することができる。
以下実施例により本発明を説明する。ただし本発明は、これらの実施例により何ら制限をされるものではない。
(実施例1)
1,3−ジオキソラン100質量部にポリ乳酸(三井化学(株)社販売;レイシアH−100)10質量部を加え撹拌しながら70℃まで昇温した。完全に溶解した後、同温度で貧溶媒であるメチルアルコールを100質量部加え、撹拌しながら10℃まで冷却した。この間40分を要した。冷却後、析出した粒子を減圧ろ過し、減圧乾燥機で乾燥させ、多孔質微粒子を得た。
(実施例2)
1,3−ジオキソラン50質量部、ポリ乳酸(レイシアH−100)10質量部、貧溶媒にメチルアルコール50質量部用いた以外は実施例1と同様の方法で多孔質微粒子を得た。
(実施例3)
1,3−ジオキソラン30質量部、ポリ乳酸(レイシアH−100)10質量部、貧溶媒にメチルアルコール30質量部用いた以外は実施例1と同様の方法で多孔質微粒子を得た。
(実施例4)
1,3−ジオキソラン40質量部、アセトン10質量部の混合溶媒、ポリ乳酸(レイシアH−100)10質量部、貧溶媒にイソプロピルアルコール30質量部用いた以外は実施例1と同様の方法で多孔質微粒子を得た。
(実施例5)
1,3−ジオキソラン100質量部、ポリ乳酸(レイシアH−400)10質量部、貧溶媒にイソプロピルアルコール100質量部用いた以外は実施例1と同様の方法で多孔質微粒子を得た。
(比較例1)
実施例1の冷却速度を0.2℃/分にした以外は同様な方法で粒子を得た。
(比較例2)
実施例1の貧溶媒をイソプロピルアルコール100質量部に変え冷却速度を0.2℃/分にした以外は同様な方法で粒子を得た。
実施例および比較例の溶媒組成、冷却速度を表1に示す。
表の説明
(生分解性ポリエステル系樹脂)
ポリ乳酸 H−100:LACEA(レイシア);三井化学(株)販売
H−400:LACEA(レイシア);三井化学(株)販売
得られた微粒子の形態、平均粒子径及び比表面積について表2にまとまる。
微粒子の形態、平均粒子径及び比表面積は以下の装置、方法を用いて観察、測定した。
1.粒子の形態:超音波分散後、Ptスパッタを施し電界放射型走査電子顕微鏡(SEM;日立製作所製S−4700)で観察した。
2.平均粒子径:前記走査電子顕微鏡で観察し、粒子100個の平均粒子径を算出した。
3.比表面積:窒素吸着によるBET法で測定を行った。
実施例3で得られた多孔質微粒子の電子顕微鏡写真(500倍)である。 実施例3で得られた多孔質微粒子の電子顕微鏡写真(5000倍)である。 比較例1で得られた多孔質微粒子の電子顕微鏡写真(500倍)である。 比較例1で得られた多孔質微粒子の電子顕微鏡写真(5000倍)である。

Claims (3)

  1. 生分解性ポリエステル系樹脂を1,3−ジオキソラン類に加熱溶解した溶液に貧溶媒を加えた後、この溶液を0.5℃/分以上の速度で20℃以下まで冷却することを特徴とする、平均粒子径が1μm〜500μmの範囲内であり、且つ粒子表面に50nm〜5μmの孔を有する生分解性ポリエステル系樹脂からなる多孔質微粒子の製造方法。
  2. 前記多孔質微粒子の比表面積が10〜300m/gであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質微粒子の製造方法。
  3. 前記生分解性ポリエステル系樹脂がポリ乳酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質微粒子の製造方法。
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