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JP2009006902A - 自動車の車体構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量化を図りながら、正面衝突に対する強度の向上を実現した自動車の車体構造を提供する。
【解決手段】左右フロントサイドフレーム4,5や左右サイドシルインナ7,8、左右フロアフレーム9,10、左右アウトリガー11,12、フロントクロスメンバ13、ミドルクロスメンバ14、フロアトンネルフレーム15、ダッシュボードロアクロスメンバ16等を骨格部材としてボディ1を構成する。そして、フロントクロスメンバ13を、その両端が左右フロントサイドフレーム4,5の後端における車幅方向内側に接合されるとともに、フロントサイドフレーム4,5との接合部から車幅方向中央側に向けてその前縁が後退するアーチ形状を呈するように構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車の車体構造に係り、軽量化を図りながら、正面衝突に対する強度の向上を実現する技術に関する。
モノコック構造の自動車(以下、モノコック車と記す)は、薄鋼板をプレス成型することで多数のボディパネルや骨格部材を製造した後、これらをスポット溶接等により接合することでボディが製造される(特許文献1参照)。従来のボディ構造では、自動車が他の車両や建造物等に正面衝突した場合、フロントバンパから左右のフロントサイドフレームに入力した衝突荷重は、アウトリガーを介してサイドシルインナにその一部が伝達される他、左右のフロアフレームを介して大部分がミドルクロスメンバに伝達される。なお、特許文献1のボディ構造では、フロアパネルの中央を上方に膨出させてその下部にフュエルタンクを設置するとともに、このフュエルタンクをフロントクロスメンバとミドルクロスメンバとフロアフレームとによって画成された空間に収容している。また、フロアパネルの上面にはシートフレームの前後脚が締結されており、そのシートフレームの上部にシートが支持されている。
特開2002−302071号公報
上述したボディ構造では、フロントサイドフレームからの衝突荷重は、その大部分がフロアフレームに入力する。そのため、このボディ構造を採用した場合、フロアフレームとして板厚や横断面積の大きい大重量のものが必要なり、自動車の車体重量が増大することが避けられなかった。車体重量の増大は、走行燃費の悪化や運動性能の低下をもたらすことから、できる限り抑制することが望ましい。そのため、フロアフレームの薄肉化等を実現すべく、フロントサイドフレームから入力した衝突荷重をフロアフレーム以外の骨格部材に効果的に分散する構造が望まれていた。また、このボディ構造では、車室前部に側方から他車が衝突した場合にサイドシルインナからの衝突荷重がフロントクロスメンバに作用するため、フュエルタンクの保護を図る観点から、フロントクロスメンバの板厚等も大きくする必要等があり、このことも車体重量を増大させる要因となっていた。更に、正面衝突時において、シートベルトに拘束された乗員が慣性によって前方に移動すると、シートの前部に下向きの大きな荷重が作用することでシートフレームの前脚が締結されたフロアパネルが下方に変形し、シートフレーム(すなわち、シート)が前のめりに傾いて乗員がダッシュボードに接近する虞がある。このような事態を防止するためには、フロアパネルとして板厚や断面係数の大きなものが必要となり、車体重量の増大がもたらされたり、プレス成形が困難になったりする問題があった。
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、軽量化を図りながら、正面衝突に対する強度の向上を実現した自動車の車体構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、自動車の車体構造において、車体前部に配置され、前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、前記フロントサイドフレームの後端にそれぞれ接合され、後方に延びる左右一対のフロアフレームと、前記左右フロントサイドフレームの後部にその両端がそれぞれ接合された第1クロスメンバと、前記第1クロスメンバの後方に配置され、前記左右フロアフレームが接合された第2クロスメンバと、車幅方向中央に配置され、前記第1クロスメンバと前記第2クロスメンバとが接合された第1トンネルフレームとを備え、前記第1クロスメンバが、前記フロアフレームとの接合部から車幅方向中央へ向けて前縁が後退するアーチ形状を呈するように構成する。
また、上記構成を備えた自動車の車体構造において、車室の床部分を形成するフロアパネルの左右端に接合された左右一対のサイドシルと、前記サイドシルの前端と前記フロントサイドフレームとが接合された左右一対のアウトリガーとを更に備えるように構成するとよい。また、前記第1クロスメンバの前方に配置され、車室とエンジンルームとを画成するダッシュボードロアパネルと、車幅方向中央に配置され、前記ダッシュボードロアパネルと前記第1クロスメンバとが接合された第2トンネルフレームとを備えるようにするとよい。この場合、前記第1および第2トンネルフレームを、下側が開いたコ字状断面に成形するとよく、前記第1クロスメンバの車幅方向中央部に、前後方向に延在するスチフナを設けるとよい。更に、いずれの構成においても、前記第1クロスメンバを上側が開いたコ字状断面に成形するとともに、その後部上端にシート取付座を有するフランジを設けるとよい。
本発明によれば、フロントサイドフレームから入力した衝突荷重は、直接後方に接合されたフロアフレームのみならず、第1クロスメンバを介して第1トンネルフレームに効果的に伝達される。そのため、フロアフレームとして比較的低強度の軽量なものを採用することが可能となり、車体重量の軽減を実現できる。また、第1クロスメンバによって車室前部の車幅方向の変形が抑制されるため、側面衝突時における乗員の安全性が向上する。そして、車体下部に第1,第2クロスメンバとフロアフレームとによって囲まれた変形し難い空間が形成されるため、その空間にフュエルタンク等を設置することで衝突時の安全性を向上させることができる。
また、衝突荷重がサイドシルにも伝達されるようにすることにより、衝突荷重の分散が効果的に行われるとともに、左右いずれの方向の斜め衝突に対してもフレームの剛性が確保される。また、ダッシュボードロアパネルが第2トンネルフレームに接合されることにより、正面衝突などでエンジンが車室側へ後退してきた場合であっても、衝突荷重が第2トンネルフレームに伝達されることによって、ダッシュボードロアパネルの破損が防止される。更に、トンネルフレームをコ字状断面とすることにより、座屈強度が高められ、第1クロスメンバの中央部にスチフナを設けることにより、衝突荷重による第1クロスメンバの変形が防止される。また、第1クロスメンバの後部上端、即ち縦部材の上端にシートを取付けることにより、フロアパネルの変形が防止されるため、車体構造の更なる軽量化等を実現できる。
以下、図面を参照して、本発明を適用した自動車用車体構造の一実施形態を詳細に説明する。図1は実施形態に係る車体骨格構造を示す斜視図であり、図2は実施形態に係る車体骨格構造の要部を示す上面図であり、図3は図2中のIII−III矢視図であり、図4は図2中のIV−IV矢視図である。
≪実施形態の構成≫
本実施形態は、ハッチバック乗用車用のボディに本発明を適用したものである。
図1〜図3に示すように、実施形態のボディ1は、ボディパネルとして、車室の前端部分とエンジンルーム2の後端部とを画成するダッシュボードロアパネル3や、車室の床面を構成する前後フロアパネル6a,6b等を有し、骨格部材として、左右フロントサイドフレーム4,5や左右サイドシルインナ(サイドシル)7,8、左右フロアフレーム9,10、左右アウトリガー11,12、フロントクロスメンバ(第1クロスメンバ)13、ミドルクロスメンバ(第2クロスメンバ)14、フロアトンネルフレーム(第1トンネルフレーム)15、ダッシュボードロアトンネルフレーム(第2トンネルフレーム)16等を有している。なお、図1中に符号17で示す部材は、フロントサイドフレーム4,5の前端に締結されたバンパビームである。また、図2中に符号18で示す部材は、ボディ1の中央下部に設置されたフュエルタンクであり、フロント,ミドルクロスメンバ13,14とフロアフレーム9,10とによって画成された空間20に収容されている。
フロントサイドフレーム4,5は、エンジンルーム2から前部フロアパネル6a(図1には示さず)に向けて前後方向に延設されている。サイドシルインナ7,8は、前後フロアパネル6a,6b(図1には示さず)の左右端に接合され、車室の床面を構成している。フロアフレーム9,10は、フロントサイドフレーム4,5の後端にそれぞれ接合されるとともに、後部フロアパネル6bの下面に接合されている。アウトリガー11,12は、いわゆる閉断面構造体であり、フロントサイドフレーム4,5とサイドシルインナ7,8の前端とに接合されている。
フロントクロスメンバ13は、左右フロントサイドフレーム4,5の後端における車幅方向内側に接合されるとともに、フロントサイドフレーム4,5との接合部から車幅方向中央側に向けて前端13aが後退するアーチ形状を呈している。ミドルクロスメンバ14は、フロントクロスメンバ13の後方に配置され、その両端がサイドシルインナ7,8に接合されるとともに、フロアフレーム9,10の後端が接合されている。
フロアトンネルフレーム16は、後端がミドルクロスメンバ14の車幅方向中央部に接合され、前端がダッシュボードロアトンネルフレーム16に接合されることにより、フロント,ミドルクロスメンバ13,14の車幅方向中央部を連結している。ダッシュボードロアトンネルフレーム16は、フロントクロスメンバ13の車幅方向中央の上面に接合されるとともに、その上面後端にはフロアトンネルフレーム15の前端が接合されている。また、ダッシュボードロアトンネルフレーム16は、フロントクロスメンバ13から前方へ延出してダッシュボートロアパネル3に沿って立ち上がり、その前面から下面がダッシュボートロアパネル3に接合されている。
図3に示すように、フロントクロスメンバ13は、上側が開口した略コ字状断面を有しており、その中央部分において、前端では前部フロアパネル6aを介して、後端では後部フロアパネル6bを介してダッシュボードロアトンネルフレーム16が接合されている。そして、ダッシュボードロアトンネルフレーム16は、左右の縦壁と天板とからなる下側が開口したコ字状断面を有しており(図1参照)、フロントクロスメンバ13内部の前記左右縦壁に整合する位置には、上縁にフランジが形成された2枚のスチフナ21が車体前後方向に延在するように接合されている。また、図3,4に示すように、フロントクロスメンバ13は、その側方部分における後部縦壁の上端に、後方へ向けて水平に延設されたフランジが形成されており、後部フロアパネル6bの前端を介してシートフレーム22の前端が固定される。なお、シートフレーム22は、フロントクロスメンバ13の後端下面に溶接されたウエルドナット19にボルト締結される。
≪実施形態の作用効果≫
次に、本実施形態のボディ1における作用効果について図5を参照しながら説明する。自動車の走行時あるいは停車時において、ボディ1の前面に車両や障害物が衝突する(すなわち、正面衝突が起きる)ことがある。本実施形態の場合、図5中に黒塗りの矢印で示すように、正面衝突によってバンパビーム17からフロントサイドフレーム4,5に入力した衝突荷重は、その一部がアウトリガー11,12を介してサイドシルインナ7,8に伝達されるとともに、後端に直接接合されたフロアフレーム9,10に伝達される他、フロントクロスメンバ13を介してフロアトンネルフレーム15にも伝達される。この際、フロアトンネルフレーム15はフロントサイドフレーム4,5に対して車幅方向内側に偏心しているが、上述したように、フロントクロスメンバ13がアーチ形状を呈しているため、衝突荷重はフロアトンネルフレーム15へも効率的に伝達される。
また、走行時にスリップ等してボディ1が進行方向に対して斜めになった状態で衝突(すなわち、斜め衝突)が起こった場合においても、フロントサイドフレーム4,5の一方のみに生じた衝突荷重がフロントクロスメンバ13に効果的に伝達されるため、センターのフロアトンネルフレーム15だけでなく、他方の側に位置するフロアフレーム9,10へも伝達荷重が分散される。
このようにしてフロアトンネルフレーム15に伝達された衝突荷重は、フロアトンネルフレーム15がコ字状断面を有しているため、フロアトンネルフレーム15を座屈させることなく、主にその上側または下側の稜線を経由して確実にミドルクロスメンバ14へと伝達される。
また、高速運転時に正面衝突等を起こした場合、エンジンルーム2が潰れてエンジンが車室側へ移動してくることがあるが、ダッシュボードロアクロスメンバ16がダッシュボードロアパネル3に接合されているため、後退するエンジンの荷重(車両の慣性力)が、ダッシュボードロアパネル3とダッシュボードロアクロスメンバ16とを経由して、フロントクロスメンバ13およびフロアトンネルフレーム15に伝達される。そのため、エンジンがダッシュボードロアパネル3に衝突するような事故が起こったとしても、車室空間が維持され乗員の安全が確保される。ダッシュボードロアクロスメンバ16の断面形状がコ字状であることにより、座屈することなく荷重が伝達される点は、フロアトンネルフレーム15と同様である。
そして、ダッシュボードロアトンネルフレーム16の下側稜線の直下にスチフナ21を設けていることにより、このような大きな荷重が発生した場合であっても、フロントクロスメンバ13の変形も防止されている。
一方、上述した正面衝突をはじめ、ボディ1の前方側面への他車等の衝突(すなわち、側面衝突)等が起こった場合においても、フュエルタンク18は、フロント,ミドルクロスメンバ13,14とフロアフレーム9,10とによって画成された堅固な空間20に収容されているため、変形や破損等を受けることが殆ど無く高い安全性が確保される。なお、本実施形態の場合、空間20にフュエルタンク18を収容するようにしたが、電気自動車や燃料電池自動車ではバッテリーや燃料電池等を収容してもよく、その場合にもそれらの機器がフュエルタンク18と同様に保護される。
一方、正面衝突が起きると、シートベルトによって拘束された乗員が慣性によって前方に移動してシートの前部に下向きの大きな荷重が作用する。ところが、本実施形態では、前述したように、フロントクロスメンバ13をコ字状断面に形成するとともに、その後部上端にシート取付座としてフランジを設け、その下面にシートフレーム締結用のウエルドナット19を設置したため、シートフレーム22の変位が起こり難くなり、シートの変形や移動(前のめりに傾むくこと等)によって乗員がダッシュボードに接近する虞が少なくなる。
本実施形態では、上述した構成を採ったことにより、ボディ1の強度や剛性を確保しながら、フロアフレーム9,10やフロントクロスメンバ13の素材に比較的軽量な薄鋼板等を使用することができるようになり、車体重量の軽減やNVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)性能の向上を実現できた。また、フロアパネル6を、フロントクロスメンバ13を境に前部フロアパネル6aと後部フロアパネル6bとに分割したため、必要に応じて板厚や材質(通常の鋼板と高張力鋼板)を使い分けることが可能となり、成型性や生産性の向上が可能である。また、フロントクロスメンバ13やフロアトンネルフレーム15、ダッシュボードロアトンネルフレーム16によって車室前部の強度や剛性が十分に確保されるため、ボディ1の軽量化を図りながら、正面衝突や側面衝突に対する強度の向上を実現できた。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態は本発明をセダン型4ドア乗用車に適用したものであるが、2ドア自動車等、他の自動車に本発明を適用してもよい。また、フロアフレームや第1,第2クロスメンバ、第1,第2トンネルフレームフロアパネル等の具体的形状や接合形態等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
実施形態に係る車体骨格構造を示す斜視図 実施形態に係る車体骨格構造の要部を示す上面図 図2中のIII−III矢視図 図2中のIV−IV矢視図 実施形態の作用説明図
符号の説明
1 ボディ
4 フロントサイドフレーム
5 フロントサイドフレーム
6a 前部フロアパネル
6b 後部フロアパネル
7 サイドシルインナ(サイドシル)
8 サイドシルインナ(サイドシル)
9 フロアフレーム
10 フロアフレーム
11 アウトリガー
12 アウトリガー
13 フロントクロスメンバ(第1クロスメンバ)
14 ミドルクロスメンバ(第2クロスメンバ)
15 フロアトンネルフレーム(第1トンネルフレーム)
16 ダッシュボードロアトンネルフレーム(第2トンネルフレーム)
21 スチフナ

Claims (6)

  1. 車体前部に配置され、前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、
    前記フロントサイドフレームの後端にそれぞれ接合され、後方に延びる左右一対のフロアフレームと、
    前記左右フロントサイドフレームの後部にその両端がそれぞれ接合された第1クロスメンバと、
    前記第1クロスメンバの後方に配置され、前記左右フロアフレームが接合された第2クロスメンバと、
    車幅方向中央に配置され、前記第1クロスメンバと前記第2クロスメンバとが接合された第1トンネルフレームと
    を備え、
    前記第1クロスメンバは、前記フロアフレームとの接合部から車幅方向中央へ向けて前縁が後退するアーチ形状を呈することを特徴とする自動車の車体構造。
  2. 車室の床部分を形成するフロアパネルの左右端に接合された左右一対のサイドシルと、
    前記サイドシルの前端と前記フロントサイドフレームとが接合された左右一対のアウトリガーと
    を更に備えたことを特徴とする、請求項1に記載された自動車の車体構造。
  3. 前記第1クロスメンバの前方に配置され、車室とエンジンルームとを画成するダッシュボードロアパネルと、
    車幅方向中央に配置され、前記ダッシュボードロアパネルと前記第1クロスメンバとが接合された第2トンネルフレームと
    を更に備えたことを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載された自動車の車体構造。
  4. 前記第1および第2トンネルフレームは、下側が開いたコ字状断面を有することを特徴とする、請求項3に記載の自動車の車体構造。
  5. 前記第1クロスメンバの車幅方向中央部に、前後方向に延在するスチフナが形成されたことを特徴とする、請求項3または請求項4に記載された自動車の車体構造。
  6. 前記第1クロスメンバは上側が開いたコ字状断面を有するとともに、その後部上端にシート取付座を有するフランジが形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載された自動車の車体構造。
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