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JP2009072062A - 核酸の5’末端を単離するための方法およびその適用 - Google Patents

核酸の5’末端を単離するための方法およびその適用 Download PDF

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カルニンチ ピエロ
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    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
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Abstract

【課題】1本の試験管内で、生物学的資源に由来する核酸の5’末端を単離するための方法を提供する。
【解決手段】(a)非全長RNA分子の5’のリン酸基を除去、(b)キャッピング部位を5’完全RNA分子から除去、適当な核酸を付加、の各ステップにより核酸末端を捕捉する。得られた修飾RNAはcDNAを得るために逆転写に付される。
【効果】小規模のRNAを含む、cDNAライブラリーの構築、タギングおよび配列決定またはRNAの減量を可能にする。
【選択図】なし

Description

<遺伝子発現解析>
ゲノムは、あらゆる生物の発生およびホメオスタシスに関するきわめて重要な遺伝情報を含む。生物学的現象を理解するためには、このような遺伝情報が、所与の時点に細胞または組織で、いかに利用されるかということに関する知識が必要である。遺伝情報の利用および関連の制御パスウェイの誤りが、ヒトまたは植物および動物で疾患を引き起こした多くの例が知られている。したがって、同定された転写物の発現プロファイリングおよびアノテーションならびに遺伝情報をコントロールしている遺伝要素の特性決定を可能にする方法が必要である。ほとんどの発現研究は、現在は、in situハイブリダイゼーション、たとえばマイクロアレイ、または短いタグのハイスループット配列決定に基づく手法、たとえばSAGE、CAGE、MMPSのいずれかを使用し、その場合、両タイプの実験が、互いよりも明確な利点を有する。しかし、遺伝子発現の原因となる制御原理を理解するために、遺伝子発現を調節する遺伝要素に関する情報も得ることが望ましいこともある。
DNAマイクロアレイ実験には制限があるため、複数のmRNAサンプルから得られる、部分的配列(上述のタグ)に基づく、代替手法が遺伝子発見および発現プロファイリングに使用されている。いわゆるSAGE(遺伝子発現の連続分析(Serial Analysis of Gene Expression))法は、mRNA中の塩基配列に関する部分的情報を得るための能率的な方法として知られている(ベルキュレスク(Velculescu)V.E.ら、Science 270,484−487(1995)(これによって、参照することにより本明細書に組み込まれる))。この方法は、多数のmRNAの3’末端における塩基配列に関する情報を含む多数の短いDNA断片(最初は、約10bp)を連結することによりDNAコンカテマーを形成し、これらのDNAコンカテマー中の塩基配列を決定する。近年、より長いSAGEタグのクローニングを可能にする、SAGEの推奨バージョン、いわゆるLongSAGEが公表された(サハ(Saha)S.ら,Nat.Biotechnol.20,508−12(2002)、米国特許出願第20030008290号、米国特許出願第20030049653号(全て、これによって、参照することにより本明細書に組み込まれる))。該SAGE方法は、特定の細胞、組織または生物で発現された遺伝子を分析するための重要な方法として、現在広く使用されており;またSAGEタグは、公的ドメインで、たとえばhttp://cgap.nci.nih.gov/SAGEで、参照用に入手できる。
米国特許第6,352,828号;米国特許第6,306,597号;米国特許第6,280,935号;米国特許第6,265,163号;米国特許第5,695,934号(全て、これによって、参照により本明細書に援用する)は、超並列的サイン配列決定(assively arallel ignature equencing)または「MPSS」とも表示される、短い配列タグのハイスループット配列決定のための異なる手法を開示している。ブレンナー(Brenner)S.ら,Nat.Biotechnol.18,630−634(2000)、およびブレンナー(Brenner)S.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97,1655−1670(2000)(共に、これによって、参照することにより本明細書に組み込まれる)にさらに詳細に記述されている通り、単層のビーズ上の異なる酵素反応でサイクルを実行する極めて並列的な方法で、転写物の3’末端から優先的に短い配列が得られる。WO03/09141(これによって、参照することにより本明細書に組み込まれる)では、転写物の5’末端由来の短い配列の配列決定も可能にするために、前述の手法に対する変更が開示された。
前述の手法の大部分は、3’末端由来の配列タグの利用に焦点を合わせていたが、転写物の他の領域からの、特に5’末端からの配列タグも得るために、新規な手法が開発された。このような手法は、PCT/JP03/07514、およびシラキ(Shiraki)T.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100,15776−15781(2003)(共に、これによって、参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている。このいわゆるCAGE(キャップ−分析−遺伝子−発現(ap−nalysis−ene−xpression))手法は、SAGE技術と同様に、5’末端特異的タグのコンカテマーへのクローニングを可能にし、その場合、CAGEタグは、転写物の検出およびそれらの発現プロファイリングを可能にするのみならず、転写調節に関する機構研究またはより高度の転写物アノテーションを可能にする、転写開始部位に関する情報をさらに提供する。5’末端特異的情報を含むコンカテマーをクローニングするための、後者の類似した手法は後に、多数の他の研究所によって、たとえばウォン(Hwang)B.J.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101,1650−1655(2004)、ハシモト(Hashimoto)S.ら,Nat.Biotechnol.22,1146−1149(2004)、チャン(Zhang)Z.およびディートリッヒ(Dietrich)F.S.,Nuc.AcidsRes.33,2838−2851(2005)、ならびにウェイ(Wei)C.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101,11701−11706(2004)(全て、これによって、参照することにより本明細書に組み込まれる)にも発表されている。
上記手法はいずれも、1つの配列タグのクローニングおよび配列決定に焦点を合わせている。したがって、このような手法はやはり、タグ配列決定の実行可能なスループットが限られている。加えて、このような手法は、偏りに論拠を与える可能性がある多くの操作段階を必要とする。特に増幅段階は、個々のDNA断片ごとに増幅率が異なるため、人為的結果ならびにタグ頻度の偏りを生じさせる可能性がある。当該分野における近年の進歩は、古典的な手法によって現在実行可能なものよりはるかにハイスループットで配列情報を得るための新規な方法を開拓するであろう。特に興味深いのは、メッツケル(Metzker)M.L.Genome Res.15,1767−1776(2005)、クリング(Kling)J.,Nature Biotechnology 23,1333−1335(2005)およびシェンジャー(Shendure)J.ら,Nature Review Genetics 5,335−344(2004)(全て、これによって、参照することにより本明細書に組み込まれる)で最近概説されたような、単一DNA分子の検出および配列決定のための新規な手法である。本発明は、他の用途にも使用することができる、単一分子検出および配列決定のためのDNA断片の獲得法に関する革新的な解決を提供する。したがって、本発明は、修飾されたRNA分子の5’末端に特異的な配列情報を得ることができるような方法で、RNA分子を修飾する手段を提供する。したがって、本発明はまた、新規なハイスループット配列決定手法、およびたとえば発現プロファイリングにおけるそれらの使用も可能にする。さらに、本発明は、5’末端特異的情報タグに基づく発現プロファイリング研究を含むがその限りではない研究に、高い価値のあるさらなる手段を提供し、その上、それらは、薬剤開発、診断用薬、または法医学的研究を含むがその限りではない、商業的用途およびサービスのきわめて重要な成分である。
要するに、これらの制限から、発現プロファイリングさらに他の用途に適する可能性がある、mRNA cDNAの5’末端領域の選択の必要性が示唆される。
<全長cDNA分子の単離>
mRNAの5’末端の分析およびクローニングは、全長cDNAコレクションの調製における、またタンパク質コードmRNAおよび非コードRNAを含むゲノムの発現部分を発見するための、基礎であった(カルニンチ(Carninci)ら,Science.2005年9月2日;309(5740):1559−63、ゲルハルト(Gerhard)ら,Genome Res.2004年10月;14(10B):2121−7、イマニシ(Imanishi)ら,PLoS Biol.2004年6月;2(6):e162)。全長cDNAの獲得は、ゲノム構造および機能を有益に理解することおよびゲノム上の遺伝子をマッピングすることであった。さらに、全長cDNAの獲得は、コードされたタンパク質を発現させるための手段であり、次にはこれを他の機能ベクターに移入することができる。たとえば、タンパク質をゲートウェイベクター(ゲートウェイ(Gateway)は、インビトロジェン(Invitrogen)の商標である)クローニングして、タンパク質発現、精製、および多数の他の機能的研究に使用することができる。
さらに、5’末端の分析は、プロモーター同定と関連がある遺伝子発現の測定を可能にした(カルニンチ(Carninci)ら,印刷中のNature Genetics)。5’末端タグを捕捉することにより(ハーベス(Harbers)およびカルニンチ(Carninci) Nat Methods.2005年7月;2(7):495−502)、転写開始部位を、したがって遺伝子発現を調節するプロモーター領域を、同定することが可能になった。該プロモーター領域は、コアプロモーターおよび長距離調節要素に分けることができるが、該コアプロモーター(開始部位に近接しているもの)は非常に能率的に同定することができ、したがって、転写ネットワーク(転写調節要素間の通信)および発現RNA等の、さらなる機能分析を容易にする。この分析は、「システム生物学」と別名で呼ばれる新分野の一部である。この哲理に続いて、この系の構成要素を全て考慮に入れ、その知識を統合するためには、生体系を理解することが不可欠である。
しかし、これまでは、こうした技術は比較的多量の出発材料を要求してきた(カルニンチ(Carninci)ら,Genome Res.2003年6月;13(6B):1273−89、シラキ(Shiraki)ら,Proc Natl Acad Sci USA. 2003年12月23日;100(26):15776−81;コジウス(Kodziusら,Genome Res.2003年6月;13(6B):1273−89;ハシモト(Hashimoto)ら,Nat Biotechnol.2004年9月;22(9):1146−9)。5’末端を捕促するための他の技術は、大規模な増幅を必要とし(たとえばPCR;スズキ(Suzuki)およびスガノ(Sugano),Methods Mol Biol.2003;221:73−91)、したがって、(カルニンチ(Carninci)ら,Genome Res.2003年6月;13(6B):1273−89)に概説されている通り、cDNAの頻度の虚偽表示を引き起こす。
しかし、RNA発現は、所与の組織を構成する様々な細胞で非常に異なる。組織は、幾つかの共通のRNAおよび多くの非常に異なる細胞特異的RNAを発現する、多数の細胞によって構成される。したがって、組織を構成する異なる細胞を、それらの発現されたRNA、およびそれらのプロモーター使用について、別々に分析することができるように、少量の細胞から5’末端/全長cDNAを調製および捕促することを可能にする新規な技術が必要である。これは、生体系の理解、および転写ネットワークの同定および薬剤によるそれらの混乱/調整を含む下流用途に不可欠である。
本発明で、我々は、全長cDNA分子または5’mRNAの最初から始まる5’タグの獲得を簡便にする方法を説明する。
<利用可能性>
本発明の利用可能性は、限られた量の組織から全長cDNAおよびCAGE(キャップ−分析遺伝子発現)ライブラリーを作製することである。なぜならば、RNAの誘導体化に含まれる3ステップは沈殿を含まず、したがって、核酸損失が起こらないためである。別の実施形態では、ステップが簡略化され、cDNA/5’末端タグの調製中の、時間および作業負荷の大幅な節約を可能にするため、このプロトコールを、一般的なcDNA調製にも使用することができる。RNAの5’末端を単離するステップから配列を決定するまでを含む本発明の全ステップの組合せは、キットまたは道具として使用される。本発明の流れの実施形態の1つを、図1として示す。
<発明の概要>
本発明は、クローニングおよび分析のために、核酸分子から断片を単離する方法に関する。したがって、本発明は、1つまたは複数の核酸分子を含有するサンプルの変換に関し、その場合、このような核酸分子または核酸分子の混合物は、DNAに変換されるであろう。
一実施形態では、本発明は、核酸分子の操作に関し、その場合、このような核酸分子が線状一本鎖DNAの形態で調製されるであろう。したがって、本発明は、線状一本鎖DNAの調製および操作に関する。
ある特定の実施形態では、本発明は、RNA分子の5’末端における配列情報を導入するための、RNA分子または複数のRNA分子の修飾に関する。したがって、本発明は、RNAの修飾に関し、その場合、RNA分子に付加された情報が該RNA分子の操作および/または分析に使用される。
別の実施形態では、本発明は、RNAをcDNAに転写することによる、未変成のRNA分子および/または修飾されたRNA分子の変換に関する。したがって、本発明は、一本鎖DNA分子の合成および調製に関する。
少し異なる実施形態では、本発明は、配列情報を直接得るための、一本鎖DNA分子の使用に関する。したがって、本発明は、一本鎖DNA断片の規定領域、すなわち、上述の5’末端、から配列情報を得ることに関する。ある特定の実施形態では、DNA断片の5’末端特異的配列情報は、RNA分子の5’末端配列に関する。したがって、本発明は、RNA分子から配列情報を得ることに関する。
別の実施形態では、本発明は、コンピュータを利用した手段によるアノテーションおよび統計解析を可能にさせるためのタグの配列決定に関する。したがって、本発明は、遺伝子発見、遺伝子同定、遺伝子発現プロファイリング、およびアノテーションのための手段に関する。
少し異なる実施形態では、本発明は、コンピュータを利用した手段によるアノテーションおよび統計解析を可能にするためのタグの配列決定に関し、その場合、このようなタグは、ゲノム内の領域に由来するであろう。したがって、本発明は、ゲノム内の遺伝要素の特性決定に関する。
少し異なる実施形態では、本発明は、該末端核酸分子からのハイブリダイゼーションプローブの調製に関し、その場合、このような領域は、in situハイブリダイゼーションを用いて分析されるであろう。好ましい実施形態では、該in situハイブリダイゼーション実験は、タイル化アレイを利用するであろう。
少し異なるもう1つの実施形態では、本発明は、核酸分子の全長クローニングに関する。別の実施形態では、該タグから得られるような配列情報は、プライマーデザインに使用され、その場合、このようなプライマーは、増幅反応で核酸分子を増幅するために使用される。このような方法で、転写された領域ならびにゲノム断片を増幅およびクローニングすることは、本発明の範囲内であり、その場合、このような断片は、遺伝要素、上述のプロモーター領域を含んでもよい。
したがって、本発明は、たとえば生体サンプルの特性決定のために、必要に応じて核酸分子およびそれらの短い断片の分析手段を提供する。
<発明の詳細な説明>
本発明は、生体サンプルからのRNA/核酸分析に関する。用語「生体サンプル」は、微生物、動物、および植物を含む生物、ならびに複製を宿主生物に依存するウイルスおよびプリオンを含むあらゆる種類の感染粒子から得られるあらゆる種類の材料を包含する。そのようなものとしての「生体サンプル」は、研究調査、開発、診断または治療の目的で、患者、動物、植物または感染粒子から得られるあらゆる種類の材料を包含する。したがって、本発明は、特定の核酸分子またはそれらの起源の使用に限定されず、本発明は、所与の核酸の研究および操作に応用されたり使用されたりする一般的な手段を提供する。本発明を実施するために使用されるこのような核酸分子は、2001年、ニューヨークのコールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス発行の、サムブルック(Sambrook)J.およびラッシュエル(Russuell)D.W.著、分子クローニング、研究室マニュアル(Sambrook J.and Russuell D.W.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,2001)に記載のものを含むが、これに限定されない当業者に周知の方法で、獲得または調製することができる。
RNAは、このような分子が、二本鎖RNA部分を含む二次構造を形成する可能性がある場合でも、本発明の目的上、一本鎖核酸分子と考えられる。特に、RNAは、本発明の目的上、リボヌクレオチドからなり、ある特定の配列または該RNAの起源と関係のない、あらゆる形態の核酸分子を包含する。したがって、RNAは、人工的なシステムによりin vivoまたはin vitroで転写されていても、転写されていなくてもよく、スプライシングされていてもスプライシングされていなくてもよく、不完全にスプライシングされていてもプロセッシングされていてもよく、その天然起源から独立していても、合成により得られても、人工的にデザインされた鋳型、mRNA、tRNA、rRNAから誘導されてもよく、またはそれらの任意の混合物であってもよい。さらに正確に言えば、表現「DNA」、「RNA」、「核酸」、および「配列」は、核酸材料自体を包含するため、特定の配列情報、ベクター、ファージミドまたは他の特定的な核酸分子に限定されない。
RNAの大きな区分は、キャッピングされたRNAとキャッピングされていないRNAである。キャッピングされていないRNAは、回収されず、サンプル中のRNAの大部分を構成する(種の少なくとも95%)。このような理由で、本発明の目的上、出発RNA型は、キャッピング部位の存在によってグループに分けるべきである。
mRNAは通常、キャッピング部位およびポリAテールを有するRNAを指し、全体の1〜3%を構成し、またタンパク質をコードする。もう1種のキャッピングされた分子はnc−RNAであり、これはコードしておらず、不十分にポリアデニル化されているが、キャップ構造を有する。合わせて、これらの2つは、細胞中のRNA分子の5%以下を構成する。したがって、我々は、「総RNA」および「キャッピングされたRNA」に言及するが、総RNAは、最高約5%のキャッピングされたRNAを含む。例として大まかに言うと、約1分子/20分子のRNAがキャッピングを含む。したがって、類似した数のキャッピングされた分子を処理するためには、「キャッピングされたRNA」画分より、はるかに多量の「総RNA」を使用しなければならない(約20倍)。この差異は、はるかに大きい割合の使用可能分子を含む、総RNAの使用と、キャップ選択またはポリA選択されたRNAの使用を区別するために重要である。
固体マトリックスは、本書を通して、任意の形状を有してもよい、ビーズおよび表面を含む、不定のサイズを有する固形物を意味する。中でも、磁気ビーズ、被覆ビーズを含むビーズ、およびガラス、プラスチック、シリカ、テフロン(登録商標)または他の適当な任意の材料で構成されたスライドがあるが、その限りではない。こうしたマトリックスは、不活性であっても反応性であってもよく、たとえば、ストレプトアビジン、抗体、反応性化学基、または1つまたは複数の修飾または塩基および/またはバックボーン配列を有する核酸の誘導体の、任意の形態の核酸(RNA、DNA、ハイブリッド分子)で被覆されていてもよい。本書では、「マトリックス」、「表面」、「固体表面」の定義は、溶液状ではない物体への結合性核酸を指し、また核酸単離または捕促あるいはさらなる操作を可能にさせるため、同義的に使用される。
<現行のクローニング用プロトコール>
しかし、上記技術の1つの大きい制限は、小規模サンプルで有効である能力であり、本法の利用可能性を低減する。RNAは制限因子であったが、プロトコールは、50μgの総RNAから変化する、最小量のRNAを必要とする。数百ナノグラム未満のキャッピングされたRNAでは、全長mRNAの捕促は報告されていない(μmの総RNAを必要とする)。
キャッピング部位を介して全長cDNAを捕促するためにこれまで使用されてきた方法は幾つかあり、本記載内での総括的な文献レビューは不可能である。ここでは、主要であるが代表的な方法のみを記述する。ほとんどの方法は、5’末端に存在する、mRNA(または他の非コードRNA)のキャップ構造の存在を巧みに利用する。cDNAの調製が、ポリAテールからの3’末端上で開始するとき、この部分を介してcDNAを選択することにより、全長cDNAを捕促することが可能になる。cDNAにハイブリダイズしたRNAを保護する全長cDNAが無ければ、これは、RNAのリボヌクレアーゼ消化によって促進される可能性がある。
<RNA上のキャップ部分の誘導体化によるキャップ修飾剤>
これらの方法は、キャップ・トラッピング(カルニンチ(Carninci)およびハヤシザキ(Hayashizaki),Methods Enzymol.1999;303:19−44)およびジェンセット(Genset)の特許(米国特許第5,962,272号、米国特許第6,022,715号を含む。これらの方法は、能率よくmRNA/RNAの5’末端を捕促するのに非常に有効であった(報告によると最高95%の効率、参考文献)。これらの方法は、1μgの総RNAより多い、比較的多量の高出発RNA材料から始まる(カルニンチ(Carninci)ら、GenomeRes.2003年6月;13(6B):1273−89)。
これらの方法群は、1μg未満の総RNAには使用できない。
<キャップ結合性タンパク質/ペプチド(エダリー(Edery)ら、Mol Cell Biol.1995年6月;15(6):3363−71)>
もう1つの方法は、第一鎖cDNA後、キャップ結合性タンパク質を介した、キャッピング部位の捕促に基づく。これに関して、5’末端からのcDNAを捕促するために、該キャップ結合性タンパク質が使用される。代替バージョンは、キャップ結合性抗体で、あるいは、抗体の他の断片またはファージディスプレー抗体でも、RNAを捕捉することを含むであろう。
この方法(エダリー(Edery)ら、エダリー(Edery)ら、Mol Cell Biol.1995年6月;15(6):3363−71)は、数マイクログラム(μg)のmRNAのみを用いて使用されたが、キャップ結合性タンパク質を固体支持マトリックスに結合することが困難なため、普及しなかった。
<オリゴキャッピングに基づく方法(スズキ(Suzuki)およびスガノ(Sugano),Methods Mol Biol.2003;221:73−91)>
この方法群は、5’末端キャップを、異なるプライマー配列(オリゴヌクレオチド)と置換することに基づくが、これは、RNA、DNA、またはハイブリッドDNA/RNA分子であってもよい。複合化5’末端に達するcDNAのみがさらなる操作、たとえば第2鎖cDNAへのコピーおよびPCRに付される。この方法群はまた、比較的低効率という欠点があり、RNAライブラリーに十分な材料を得る前に、多数のPCRサイクルを必要とするという評判を得た。これらの方法では、数マイクログラム(μg)以上のRNAが使用されてきた。
<キャップスイッチ法(チュー(Zhu)ら,Biotechniques.2001年4月;30(4):892−7.)>
キャップスイッチ法は、RNAの5’末端、特にキャッピング部位における、トリヌクレオチドGGGの付加に基づく。ポリAテールを担持しない、リボソームRNAの混入を最小限に抑えるために、該cDNAを、オリゴ−dTでプライムした。この方法は、キャップ操作を必要としないため、特に魅力的である。この方法を使用すれば、研究者は、単一細胞を使用してcDNAプローブを作製することができた。しかし、この方法にはまだ2つの問題があった。1つは、該キャップスイッチは効率が低く、PCRを必要とすることである。長い挿入物のPCR増幅は、短いmRNAに由来する、より短いPCR産物に打ち負かされるため、長いcDNAクローンはほとんど回収されないので、PCRに基づく全長cDNAライブラリー作製は、問題が多い。もうひとつの不都合は、3つのGヌクレオチドがcDNAの5’末端に付加されることである。これらを5’末端タギング技術に使用すれば、5’末端タグを切断するためにクラスII S制限酵素を使用することによって、3塩基(20塩基のうち、タギングcDNA末端の説明については、下文を参照)が有用な情報として失われるであろう。このことは、これらをゲノム上にマッピングするとき、特に重要である(ゲノム上の、タグのマッピング参照)。
全長cDNA合成のための他の方法は、従来の技術の全般的な改良により構成される。簡単な方法は、サイズに基づいて、cDNAを単に選択することである。サイズに基づく長いcDNAの選択。長いcDNA分子は、短いcDNA分子より、非切断型cDNA分子である公算がはるかに大きい(たとえば、ノムラ(Nomura)ら,DNA Res.1994;1(5):223−9参照)。
cDNAを追尾するための古典的な方法からなるもう1つの例は(オカヤマ(Okayama)およびベルグ(Berg),Mol Cell Biol.1982年2月;2(2):161−70)、全長cDNAを捕促するのに有用である。あるいは、または上記技術の1ずれか1つと組み合せた、全長cDNA調製物の第一鎖に含まれる、改良された逆転写酵素、たとえば、スーパースクリプト(Superscript)IIおよびスーパースクリプト(Superscript)III(インビトロジェン(Invitrogen))は、全長cDNAを多く含んだcDNAライブラリーを作製するために有用である。しかし、後者は、豊富に同定された5’末端は、真の転写開始部位であるという、はるかに高い確実性を与え、はるかに高率の全長クローン(95%以上)を含有する可能性があるため、選択された全長cDNAをキャッピングするためには、全長cDNAを多く含むライブラリー(最高60〜70%のcDNAが全長である可能性がある)から識別することが重要である。したがって、我々は、「キャップ選択された」または「全長選択された」に言及する必要がある。
もう1つの重要な定義は、真の全長分子の5’末端を同定する、厳密な正確度である。真の全長方法は、完璧な正確度で転写開始部位(TSS)を同定する。真の全長方法は、上掲されているが、最初の塩基は、cDNA中に存在し、他の配列、たとえば、リンカーまたは付加配列(たとえば、Mol Cell Biol.1982年2月;2(2):161−70のオカヤマ(Okayama)およびベルグ(Berg)で使用された、キャップスイッチまたはテイリング手法(tailing procedures)で使用されたGGG)から切り離すことができる。
キャップスイッチは、単一細胞を含む、減少した量のサンプルの5’末端を捕捉するために使用できるが(ガスチンシッヒ(Gustincich)ら,Proc Natl Acad Sci USA.2004年4月6日;101(14):5069−74.)、望ましくない配列(該GGG)を付加し、これが該手法の有用性を減じる。たとえば、タグに基づくプロファイリングに5’末端cDNAを使用するのであれば、その場合、その後の連結およびハイスループット配列決定のために20塩基タグを生じさせるためにcDNAの5’末端が使用され(ハーベス(Harbers)およびカルニンチ(Carninci),Nature Methods,Nat Methods.2005年7月;2(7):495−502によって概説されている通り)、こうした3塩基は、このようなタグにおけるmRNAの配列を不都合に置換するであろう。17塩基は、哺乳動物のゲノムでは、めったに独特ではないが、20塩基は、たいてい独特である傾向があるため、これは、ゲノム上へマッピングを大いに妨げるであろう、(タグの長さおよびマッピング能原理は、ハーベス(Harbers)およびカルニンチ(Carninci),Nat Methods.2005年7月;2(7):495−502の概説で検討されている)。
常習的なクローニング方法としては、ガブラー(Gubler)−ホフマン(Hoffman)法(ガブラー(Gubler)およびホフマン(Hoffman),Gene.1983年11月;25(2−3):263−9)などがある。この場合、mRNAの5’末端までcDNAが合成されるときでも、第2鎖の調製は、RNaseH切断、それに続くDNAポリメラーゼIによる第2鎖合成および得られたDNA断片の連結を必要とする。第2鎖の重合機構は、伸長可能な3’−OH基を有する、5’末端におけるプライマーを必要とする。これは、残存RNAにより提供されるが、最も上流の(キャッピング部位に近い)cDNAをプライムするのに適当な3’−OH基はない。したがって、簡便なため、それ以外の点では魅力的である、ガブラー(Gubler)−ホフマン(Hoffman)プロトコールを使用するとき、キャッピング部位を確認する、最初の10〜50塩基対は、失われる。該cDNAは、事実、キャッピング部位にまで及ぶ第1鎖cDNAの部分を除去しなければならない、エキソヌクレアーゼ処理後に、クローニングされる。この方法で得られるライブラリーは、準全長であるかもしれないが、真のキャッピング部位を決して確認しないため、全長ではない。
既存の方法の、この短い要約は、cDNAクローニングまたはタギング手法のために、cDNA、または全長cDNAを捕捉するために望ましい5’末端cDNAを、効率よく作ることができる方法の欠如を浮き彫りにする。既存の方法は、全て組み合せた
−ナノグラム(ng)以下のRNAから全長cDNAを捕促することができる能力
−望ましくないホモポリマー・テイル(たとえばGGG)を付加しないこと
−正確な5’末端を捕捉すること
−損失をさけるために、1本の試験管内での簡便化されたプロトコール
−操作の簡便化されたプロトコール拡張性
に必要な、これらの特徴の少なくとも1つを欠く。
<新規なワンチューブ(ONE-tube)発明>
用語「核酸」は、本書では、天然の核酸、人工的に合成または調製された核酸、自然発生的な事象により、または当業者に周知の手法を介して、少なくとも1つまたは複数の修飾が導入された、修飾された核酸を包含するためにも使用される。
同様に、DNAまたはRNA分子は、ハイブリダイゼーションプローブとして、特異的に機能することが可能であり、そのようなものとして、本発明の目的上、またはこのようなプローブが関連核酸分子の検出に使用される実験で、このようなプローブおよび標的分子が、個々の位置における、自然発生的な突然変異または人工的に導入された突然変異によって識別可能な場合でも、「相補的な配列」として関連している。
我々は、全長cDNA単離、5’末端タグ単離、5’末端富化mRNA/cDNA単離およびこれらの記述に限定されない他の分析用途に適当な、全長mRNA分子の5’末端を代表する核酸に、1つの核酸を加える、ワンチューブ(ONE−TUBE)構想という斬新な方法を開発した。該方法は、1本の試験管内に、RNA、またはRNAの混合物に添加される一連の試薬を有することに基づく。
これらのmRNAは、細胞、組織、またはRNAを含有する任意の他の生物学的ソースに由来してもよい。一実施形態では、これらのRNAは、ヒト、動物または植物組織または細胞系に由来し、また全RNA、またはサイズ、RNA特徴(たとえば:大部分のmRNAにおけるポリAテールの存在)のいずれかで選択された、RNA画分、細胞コンパートメント(たとえば、核RNA、細胞質RNA、ポリソームRNA、膜結合ポリソームRNA、および他のリボ核タンパク質複合体に属するRNA)で構成されていてもよい。
別の実施形態は、RNAは、血液または血清等の、他の生体液に由来してもよい。たとえば、RNAは、個人の血液からのウイルスRNAまたは他の潜在的寄生生物を含んでもよい。こうしたmRNAの5’末端を捕捉することにより、潜在的寄生生物の診断が可能になるであろう。
別の実施形態では、RNAは、切断された組織からフローソートされた細胞を含む精製細胞から得られる。これらは、フローソーティングにより選択可能な蛍光抗体で標識された細胞、または哺乳動物の実験で頻繁に使用される、緑色蛍光性タンパク質(GFP)等の、マーカーの遺伝子導入発現によって標識される細胞のいずれであってもよい。
代替の、これらの細胞は、レーザー・キャプチャー・マイクロディセクションにより、それらの形態または他の標識に基づいて選択することができる。
これらは、この出願のためにRNAを抽出するための唯一の方法ではなく、本発明の潜在的利用性に関する例にすぎない。
本発明は、RNAが、「核酸」で特異的に標識されるまで、1本の試験管内で、該RNAの5’末端に試薬を加えることに基づく。該mRNAは、キャッピング部位を有することで知られ、この場合、このキャッピング部位は、別の核酸分子、一般的には、RNA、DNAまたはDNA/RNAのハイブリッド(しかし、RNA/ペプチド核酸ハイブリッド等の、他の核酸が適当なこともある)で選択的に置換されるであろう。該RNAの5’末端に付いた核酸は、一般的なDNA配列決定作業で既に使用されている核酸のα−チオ誘導体等の、非通常の塩基および非通常のバックボーンの組込を含む、様々な方法で修飾することが可能である。こうした核酸は、さらなる選択のための標識された色素(dies)、および他の結合基、たとえばビオチンまたはジゴキシゲニンも含んでもよい。換言すれば。
mRNAの5’末端に付いた核酸配列は、長さに制限はないが、ほとんどのアプリケーションで、能率的なプライミングを可能にするために、少なくとも15ヌクレオチド長、かつ100塩基以下になるように都合よく構築されるが、これは、オリゴヌクレオチド合成に難題を突きつける。しかし、これらは結果に対する制限ではなく、付帯的な操作(たとえばプライミング)およびオリゴヌクレオチドRNA合成の実際的制限である。
DNAの5’末端を結合する核酸は、一本鎖であろうが、部分的に完全に二本鎖核酸でもある。部分的二本鎖は、ある一定の条件で(シバタ(Shibata)ら,Biotechniques.2001年6月;30(6):1250−4に記載されているような)、付加したヌクレオチドによるmRNAの5’末端の誘導体化に役立つ。
結局、RNAの5’末端を結合する、こうした核酸は、単一型の分子であってもよく、多数の異なる核酸であってもよい。
一実施形態では、標的RNAを、1本の試験管内に入れ、サンプル精製を必要とせず、3つの理論的に異なるステップに付す:(1)非全長mRNA分子のマスキング、(2)キャッピング部位分子の反応性分子への変更、および(3)処理されたRNA分子の、プライミング核酸への付着。
酵素、または酵素活性を示すためにここで使用される用語は、このような成分の作用または活性を記述するために本明細書で使用されるが、このような成分が完全に純粋であることを必要としない。したがって、このような酵素、酵素活性、またはそれらと他の成分との混合物を含有する混合物、関連した作用または関連のない作用は、本発明の範囲内である。
<オリゴキャッピングのための伝統的なプロトコールの限界および原理>
上記反応(1)〜(3)は通常、オリゴキャッピングプロトコールで、各ステップにおける、プロテアーゼ消化および/またはフェノールおよび他の有機溶媒抽出に続くアルコール沈殿による、徹底的な精製によって実行される。代替の、かつ毒性の低い方法を使用できるが、全ての精製ステップが、許容できないサンプル損失を引き起こす。有機(フェノール、クロロホルム)抽出およびその後のエタノール沈殿の間に少量のRNAが失われるため、このような理由で、この手順(標準オリゴキャッピング方法としても知られる)は、非常に低いRNA濃度で使用できなかった。
このような冗長かつ面倒な抽出は、異なるpH、バッファーおよび条件で作用する酵素の使用、および次のステップで、当然の妨害でそれらを不活化できないことによって得られる。たとえば、上記ステップ(1)は、約pH8のアルカリ性で作用する、細菌性アルカリホスファターゼ(BAP)を必要とした。上記ステップ2に進む前に、この酵素を不活化しなければならない。不活化されれば、ステップ2で得られる全長mRNAからリン酸基を除去するであろう(以下参照)。しかし、65℃での穏やかな熱ショックで、BAPを熱不活化することはできないため、これは容易に達成されない。代わりに、65℃におけるBAPの至適活性(pH8で、RNAアルカリ分解も引き起こすであろう)。したがって、他の以前の研究は、有機抽出を必要とした。
ステップ2では、該キャップが、タバコ酸ピロホスファターゼ(TAP)で除去され、次いでpH6で使用される。TAPは、5’末端で未変性であるRNA(これはmRNAを含むが、新規な非コードRNA群も含む)のキャップ構造を除去し、代わりにリン酸基を残す。ステップ1および2の後、リン酸を含む分子のみが全長RNA分子、または少なくとも無傷の配列およびそれらの5’末端を担持する他の分子に対応する。その他のRNA分子の全てが、反応(3)の基質ではない、5’末端にOH基を含む。TAPは、ステップ3におけるRNAリガーゼに必要な基質であるATPを分解することにより、このステップを妨害するため、ステップ1〜3が行われる前に、不活化されなければならない(以下参照)。したがって、やはりこのステップの最後に、時間がかかり、かつサンプルの損失を引き起こす、有機抽出および次の沈殿を必要とする。
反応番号3は、RNAリガーゼである。酵素RNAリガーゼは、5’末端にて、RNA分子,またはRNA/DNAハイブリッドまたはDNA分子を付加する。記述の通り、RNAリガーゼは、全長RNA5’末端と付加される核酸(通常はオリゴヌクレオチド)の3’末端OH基との間の連結を触媒するために必要なエネルギーを提供するために、基質としてのATPを必要とする。この反応は、様々な温度で、通常はDNA損傷を最小限に抑えるために低温で、pH7.5または8で実施される。
<反応(1)〜(3)の上記制限の克服>
我々の方法で、我々は、(a)他の核酸精製ステップに代えることなく、時間がかかる、サンプル損失を引き起こす、または高価であるため、歓迎されない、フェノール/クロロホルムおよびエタノールを用いた多数の抽出/精製ステップの必要条件をいかにして克服するかという構想を紹介する。(b)我々は、多数のバッファー変更の必要条件をいかにして克服するかという構想を紹介し、また(c)我々は、溶液から除去せずに、酵素を不活化する条件を確認することによって該酵素を変化させる必要をいかにして克服するかという構想を紹介する。これによって、少量のサンプルで機能させることも可能なためやはり有用である、「ワンチューブ」全長RNA連結を可能にし、あらゆるサイズのサンプルで研究所操作を簡略化することができ、また人件費および材料費を節減する。
1本の試験管内で、反応(1)〜(3)を可能にするために我々が講じた方策は、次の通りである。
1)一般的な研究室手順に反して、我々は、減少したバッファー濃度および塩分濃度で十分に機能する、この方法の初めに使用される酵素を含む、方法を確認した。
2)我々は、バッファーおよびモディファイア・バッファー(modifier buffer)を含む、一連の条件を使用する構想を打ち立てた。これは、全ての酵素に驚くほど最適な、ステップ(1)〜(3)を通してバッファー濃度の漸増を可能にする。換言すれば、我々は、テストして、残存する微量のバッファー、および上流反応からの不活化された酵素は、下流反応を阻害しないことが分かった。
3)酵素組合せを含みかつステップ(1)および(2)で必要な酵素をステップ3の間に不活性にさせることを可能にする条件を使用する構想を打ち立てた。
4)原初のオリゴキャッピング方法の場合と同様に、精製されたmRNA画分の代わりに総RNAを使用するときも、該方法を可能にするために、我々は、このような組合せの試薬が、十分に高い効率で機能する条件を使用する構想を打ち立てた。これにより、非常に少量のRNAからでもcDNAを得ることが可能になった。
5)我々は、二価金属をしばしば含有しているバッファーの存在下、高いpHでRNAを加熱したとき、さらなる問題点であるため、酵素不活化中に65℃でRNAが分解されないことにより、最適バッファー条件およびpH条件を発見するための条件を使用する構想を打ち立てた。
一実施形態では、熱感受性である、酵素ホスファターゼを首尾よく使用する。好ましくは、我々がステップ1で使用したのは、ステップ1の後、不活化に有用な高温でも、RNAを損傷しないバッファー中、65℃で不活化することができるアンタークティック・ホスファターゼ(Antarctic phosphatase)であるが、この酵素に限定されない。このようなバッファーは、結果として7.5より低いpHになり、二価イオンを欠いていた。特に、こうした要件に合う低塩分酸性バッファーは、特に有用であろう。該ホスファターゼの不活化後、さらに精製せずに、ピロホスファターゼ活性または同等の活性の付加を含む、次の反応と相性のよい修飾されたバッファー。好ましくは、我々はTAP酵素(実施例1参照)を使用してきた。反応後、本発明は、たとえば、RNAを損傷しない別のバッファー中での熱不活化による、RNAを分解しない、ピロホスファターゼ活性の不活化に言及する。最終的に、および我々は、外因性核酸を該RNAの5’末端に連結するために、酵素の活性に合う条件を作り出す。別のモディファイア・バッファーを添加することにより実現することが可能である。添加される外因性核酸は、様々なタイプのものであってもよいが、たとえば、RNAオリゴヌクレオチドであってもよい。mRNAの5’末端への、外因性核酸の付加を実施するために好ましい酵素は、優先的に核酸リガーゼである。これは、DNAリガーゼであってもよいが、優先的にRNAリガーゼ、たとえばT4RNAリガーゼまたは他の熱安定性RNAリガーゼである。これは、たとえば、オリゴヌクレオチドでRNAをタギングする最終ステップを推進できる。好ましい実施形態では、我々は、低濃度で穏やかな酸性のバッファーを使用することによって、該方法を通してRNAを分解しない。
このような修飾されたRNAは、次いで、様々な下流用途に使用することができる。1つの用途では、全長cDNAは、3’末端テール上のRNAをオリゴdTプライマーでプライミングすることによって得ることができる。5’末端オリゴヌクレオチドに達する分子のみが、第2鎖cDNAのためにプライミングされることができ、したがって、5’末端および3’末端の両者を含むcDNAを得る。次いで、標準手順にしたがって、こうした全長cDNAを、さらに処理してクローニングすることができる。
タギング核酸は、さらなる機能的適用を可能にする、様々な配列部分を担持することができる。たとえば、タギング核酸は、制限酵素を含むことができ、またポリメラーゼ配列または組み換え配列を含むことができる。こうした配列は、核酸ハイブリダイゼーション、タンパク質−エピトープ相互作用、または任意の他の化学的相互作用を用いて、RNA/核酸ハイブリッド、およびその誘導体のさらなる精製にも使用することができる。核酸または誘導体を結合する方法は、例としての引用に過ぎず、上記方法に限定されない。
あるいは、該5’末端オリゴヌクレオチドは、クラス−IIs制限酵素の制限部位を含むRNAオリゴヌクレオチドであってもよい。こうした酵素は、配列を認識するが、それらの認識配列外で切断する;適切にデザインすれば、クラスIIs制限酵素MmeIは、cDNA内部で20/18塩基を切断して、5’末端タグ(別名5’−SAGEまたはCAGE)を作ることができる(参考文献:ハシモト(Hashimoto)ら,Nat Biotechnol.2004年9月;22(9):1146−9;コジウス(Kodzius)ら,Nat Methods.2006年3月;3(3):211−22)。この実施形態では、該5’末端タグを単離して結合し、ハイスループット配列決定用のコンカテマーを形成する;コンカテマーは、費用効果がはるかによい配列決定の利用を可能にする。こうしたコンカテマーは、ピロシーケンスに基づく454ライフ・サイエンス(Life Science)配列決定機のプロセスに適当なリンカーを用いた連結後、直接に配列決定してもよく、またサンガー法または任意の適切なシーケンサーによる従来の配列決定に適するプラスミドクローニングベクター、たとえばインビトロジェン(Invitrogen)から入手可能なpZeroプラスミド等に、クローニングしてもよい。本発明による「タグ」は、本発明の方法で調製されるような、核酸分子の任意の領域であってもよく、ここで、本書で使用される用語「タグ」は、それが天然の核酸、人工的に合成または調製された核酸、自然発生的な事象によって、または当業者に周知の手法を介して、少なくとも1つまたは複数の修飾が導入された、修飾された核酸に由来しようと、核酸断片を包含する。さらに、用語「タグ」は、ある特定の配列情報またはそれらの組成ではなく、核酸分子それ自体に関連する。
一実施形態では、第1鎖プライマーは、オリゴdTプライマーであってもよいばかりではなく、3’位に、ランダム配列、たとえば6または9ランダム塩基を含むプライマーであってもよい。この核酸プライマーは、その5’末端に、次には特異的プライミングに使用することができる配列特異的オリゴヌクレオチドも含んでもよい。
別の実施形態では、RACE(cDNA末端の急速増幅(rapid amplification of cDNA ends)として知られるプロトコールで、真実の5’末端配列を決定するために、このような修飾されたRNAを使用することができ、通常のrace手順よりはるかに速いという明白な利点がある。
代替実施形態では、こうした修飾されたRNA分子を、直ちに、またはそれらの修飾後、たとえば第一鎖全長cDNAへの転写後に、固体支持体に結合することができ、またこのような固体マトリックスに固定された後、次の操作、たとえばこうしたRNA分子の一次配列を理解するために、さらに使用することができる。
別の実施形態では、5’末端を、RNAポリメラーゼ等の、ポリメラーゼ用のプロモーターを担持する核酸と結合する。これによって、ハイブリッド分子、またはそれらの誘導体が、RNA転写を推進し、したがって、独自の分子またはその一部を複製することが可能になる。この分子は、RNA分子の一部または完全なRNA分子を含んでもよく、またさらなる核酸配列も含んでもよい。
次いで、cDNA作製または5’末端発現プロファイリングのために、技術者に、再生可能な方法でmRNAの5’末端を単離させるために、この方法を使用して、数ある成分の中でも特に、適切なpHの試薬(化学薬品)および組合せ、核酸および酵素を含むキットを製造することができる。
別の実施形態では、本発明は、一本鎖ならびに二本鎖DNA分子を取り扱う方法を包含する。二本鎖DNAは、それぞれが、デオキシリボヌクレオチドにより形成された2本のポリマーで構成され、該2本のポリマーは、会合してダイマー分子を形成することを可能にする互いに実質的に相補的な配列を有する、核酸分子を意味する。該2本のポリマーは、デオキシリボヌクレオチド内の、適合する塩基対間で形成される特異的水素結合により互いに結合している。会合するための適合する相補的DNA分子を持たない、2つ以上のデオキシリボヌクレオチドによって形成される1本のポリマー鎖のみで構成されるDNA分子は、たとえ、このような分子が、二本鎖DNA部分を含む二次構造を形成する可能性があっても、本発明の目的上、一本鎖DNA分子であると考えられる。本明細書で同義的に使用されるとき、用語「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」は、一本鎖または二本鎖、コードまたは非コード、相補的または相補的でない、およびセンスまたはアンチセンスと関係なく、RNAまたはDNAを含み、またそれらのハイブリッド配列も含む。特に、用語「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」は、転写されるまたは転写されない、スプライシングされるまたはスプライシングされない、不完全にスプライシングされるまたはプロセッシングされる、その起源から独立している、体材料からクローニングされる、または合成を用いて得られる、ゲノムDNAおよび相補的DNAを包含する。
異なる態様において、本発明は、分析のために、核酸分子から断片を単離する方法に関する。したがって、本発明は、1つまたは複数の核酸分子を含むサンプルの変換に関し、その場合、このような核酸分子または核酸分子の混合物は、DNAに変換されるであろう。本発明を実施するために、核酸分子は、天然のゲノムDNA、RNAサンプル、人工的な起源のものである、既存のDNAライブラリーに由来してもよく、またはそれらの混合物である。本発明は、個々の核酸分子または複数の核酸分子の使用に限定されないが、本発明は、このような複数性が自然に生じるかどうかとは無関係に、刺激的なライブラリーに由来するか、または人工的に作られる、個々の核酸分子または複数の核酸分子で実施することができる。さらに、本発明は、その起源または性質と関係なく、あらゆる核酸分子を処理することができる。したがって、天然の核酸分子と比較するとき、該核酸分子は全長分子、またはその断片であり得ることは、本発明の範囲内である。その上さらに、ランダム・プロセッシングにより、またはある一定の配列を優先して酵素活性を用いた核酸分子の標的化された解析(targeted dissection)により、または転写領域内のエキソンおよびイントロンを含むが、それには限定されない核酸分子の構造に基づく断片化を可能にするであろう手段によって、このような核酸分子断片を調製できるであろうことは予見できる。したがって、本発明は、ある特定の出発材料の使用に限定されない。本発明は、DNAのみの使用に依存せず、技術に精通している人は、サムブルック(Sambrook)J.およびラッセル(Russell)D.W.,前掲(これによって、参照することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている手法を含むがその限りではない、RNAをDNAに変換するための異なる手法を知るであろう。RNAをDNAに変換した後、原初のRNAと同じまたは相補的な配列を有する一本鎖または二本鎖のDNA分子、上述のcDNAを得ることができる。このようなcDNA分子は一般に、線状DNAの形で調製され、その場合、2つの開放端は、それらの操作を可能にする。しかし、cDNAがベクターにクローニングされる場合でも、本技術に訓練された人は、このようなベクターから挿入物を放出させて、線状DNAに変換するために必要な手段について知っている。
別の実施形態では、上述の、RNAの5’末端におけるプライミング部位の導入を使用して、結果として生じる核酸を、その後結合する。配列の一部を、RNAを表面に結合するために使用し、また別の部分を、配列決定の準備をするために使用することにより、このようなオリゴヌクレオチドを、操作および分析のためにRNA分子を特異的に捕促するために使用する。あるいは、該オリゴヌクレオチドは、RNA、または結果として得られるcDNAを、表面に連結するための、また解決に向けて、既知の配列のプライマーを配列決定した後、得られた結果を直接配列決定のために使用するための、タグとして使用することができる。このような捕捉された核酸は、配列決定、複製、増幅ならびに化学的および酵素的修飾を含むが、これに限定されない、さらなる操作および分析のために使用することができる。
あるいは、複合型5’RNA/RNAからの第一鎖cDNAからなる核酸は、さらなる固相操作、たとえば単一分子配列決定のために、そのまま、またはハイブリッドヌクレオチドを介して、固体マトリックスに結合することができる。
別の好ましい実施形態では、得られた核酸ハイブリッドを、単分子レベルで直接重合および配列決定反応をプライムすることができる別の固定されたプライマーで捕獲する。これにより、前例のない配列決定スループットを、1つの細胞上に適用することができる。
該配列の、該mRNAの5’末端に対応する核酸への結合は、必ずしも核酸リガーゼに依存せず、全長cDNAを捕促する他の方法、たとえばビオチン化したキャップトラッパー群の技術(カルニンチ(Carninci)およびハヤシザキ(Hayashizaki),Methods Enzymol.1999;303:19−44)または他の同等の方法で行えることに注目することは重要である。
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドの非存在下で、該RNAを自己連結させることができるが、該リボソームRNA(過剰)は主として、脱リン酸化および脱キャッピング後にmRNAの5’末端を連結する。該リボソームのRNA配列部分は、重合のプライミング、物理的固定または単離のための他の核酸の結合を含むが、それに限定されない、第2鎖cDNAのプライミングおよび誘導核酸のさらなる精製のために使用することができる。次いで、これらを、454ライフ・サイエンス(Life Science)配列決定機のような超並列的シーケンサー用の基質として使用することも可能であろう。
さらなる実施形態では、核酸の、RNA分子の5’末端への結合に由来する核酸が、直接配列決定反応に使用されるであろう。これは、本特許で請求される方法に対する制限ではなく、利用できる全長捕促法のいずれかで得られるであろう。好ましい実施形態では、該核酸は、(マーガリーズ(Margulies)ら,Nature.2005年9月15日;437(7057):376−80.)に記載されている、単一分子エマルジョンPCR増幅に適する2つの異なる配列を含む。
さらなる実施形態では、ビオチンの場合には、ストレプトアビジンまたはアビジンであろう、マトリックスにさらに結合するために、該核酸の全5’末端を含む情報を担持する核酸を、ビオチン、または他の反応性化学基等の部分で標識する。他の反応性化学基をカップリングに使用できるため、これは、これに限定されない。このような補足された核酸は、次いで、配列決定、複製、増幅ならびに化学的および酵素的修飾を含むがその限りではない、さらなる操作および分析に使用される。
<5’−由来のRNA分子のライブラリー作成>
この実施例は、RNAオリゴヌクレオチドを用いた、RNA分子の5プライム末端の誘導体化のための代表的なプロトコールである。全ての反応は、シリコン処理した500μlマイクロチューブ中で、核酸損失を避けるために毎回シリコン処理したチップを使用して、実施される。
RNAサンプルを、先ず脱リン酸化する。RNA(たとえば1ng〜1μg)を、2μgのグリコーゲンと一緒に、総体積5μlで、チューブに入れる。反応バッファーは、通常濃度の1/10であり、すなわち、5mM Bis−Tris−プロパン−HCl、0.1mM MgCl2、0.01mM ZnCl2、25℃でpH6.0である。グリコーゲンは、操作中に、RNAがプラスチックに付着するのを避けるのに役立つ。サンプルを、65℃で5分間変性させて、後で除去されるリン酸基を露出させ、37℃に2分間保った後、アンタークティック・ホスファターゼ(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs))(2.5単位)を加える。サンプルを37℃で3時間〜一晩処理する。一晩脱リン酸化により、リン酸基の98〜99%を除去することが可能になる。最終濃度0.6Mのトレハロースの存在下、45℃で、短時間のインキュベーションも実施でき、これが、45℃における活性を高める。
次いで、アンタークティック・ホスファターゼを65℃で不活化させるが、これを行う前に、二価イオンをキレート化しなければならない。このため、(0.5M酢酸ナトリウム(pH6.0)、10mM EDTA、1%β−メルカプトエタノール、および0.1%トリトン(Triton)X−100)の溶液0.55μlを加える。この酵素は、二価イオンをキレート化し、次のTAP処理に適当な環境を作り出す。該アンタークティック・ホスファターゼはまた、バッファーのEDTAによっても阻害される。最終的な不活化は、65℃で5〜15分間実施される。
これに脱キャッピングが続くが、タバコ酸ピロホスファターゼ(TAP)0.2μl(2単位)の単純付加である。また、20単位/実験まで、TAPを増量することも可能である。該反応は2時間実施され、続いて、このバッファー中、65℃で15分間、熱不活化が行われ、その後、サンプルを氷上に動かす。場合により、ベタイン(1M)も加えてもよく、これは、GCが多く含まれるRNA中の二次構造を融解するのに役立つが、これは任意である。この処理後は、TAPはもうATPを分解しない。ATPは、次のステップに必要である。次いで、任意の配列の「キャッピングRNA」オリゴヌクレオチド、たとえば[…add]を、5μMオリゴヌクレオチドの濃度で加えることによって、連結が実施される。Tp6.75μlの反応、2μlのRNAリガーゼ(500mM HEPES−NaOH(25℃でpH8.0)、100mM MgCl2、100mM DTT)を加える。DTTは、TAPを阻害する。場合により、1mM濃度でヘキサアミノコバルト・クロリド(HCC)も加えてもよいが、これは任意であり必要ではない。次いで、ポリエチレングリコール(PEG8000)を最終濃度25%で加え、ATPを125μM濃度で、最後に10単位のT4RNAリガーゼを加える。このような条件で、結果として生じる先のバッファーの混合物は、連結ステップに対して抑制的ではない。
次いで、該サンプルを、20℃で2時間〜一晩(16時間)連結する。このとき、該RNAは、オリゴヌクレオチドでキャップされ、これを、全長cDNA調製等の、他の実施例に載っているような異なるテストに使用することができる。
様々なステップにおける各酵素の活性およびバッファーを図2に示す。
(A):アンタークティック・ホスファターゼ(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs))の活性の評価。5’リン酸化オリゴリボヌクレオチドは、下記のバッファー中、37℃で120分間脱リン酸化した(1):アンタークティック・ホスファターゼ(AP)1×。(2):AP 0.5× (3):AP 0.1× (4):H2O (5):タバコ酸ピロホスファターゼ(TAP) 0.1× (6):TAP 0.5× (7):TAP 1× (8):TAP 0.5× + AP 0.5×。次に、該オリゴリボヌクレオチドを、T4キナーゼおよびγ−32P−ATPで放射標識し、PAGEで分析した。先の脱リン酸化がなければ、5’リン酸のため、放射標識は不可能である。ポジティブコントロール(9):5’OHオリゴリボヌクレオチド。ネガティブコントロール(10):5’リン酸化オリゴリボヌクレオチド。APバッファー:ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)により提供された。TAPバッファー:エピセンター(Epicentre)により提供された。
(B)タバコ酸ピロホスファターゼ(TAP)(エピセンター(Epicentre))の活性の評価。γ−32P−ATPを、下記のバッファー中で、2U TAP(コントロールレーン2、5、および7を除く)とインキュベートした(1):H20 (2)、(3)および(4):TAP 1× (5)、(6)および(7):T4 RNAリガーゼ 1× (ファーメンタス(Fermentas)) + TAP 0.25× + AP 0.25×。ネガティブコントロール:(2)および(5)、酵素なし。熱不活化コントロール(7):TAPを15分間加熱してから、放射性ATPとインキュベートした。該ATPは、レーン3および4(反復)ではTAPにより分解されたが、他のバッファー中または熱不活化後は、分解されなかった。
(C)微量のAPおよびTAPバッファーの存在下での、T4 RNAリガーゼ(RNL、ファーメンタス(Fermentas))の活性の評価。放射標識したオリゴリボヌクレオチドを、非標識オリゴリボヌクレオチドの存在下でインキュベートした。連結は、ポリアクリルアミドゲルにおける電気移動度のシフトをもたらす結果となった。反応は、AP、TAPおよびRNLの存在下および非存在下で行われた。(1):AP、TAP、RNL (2):TAP、RNL (3):AP、RNL (4):AP、TAP (5):RNL (6):TAP (7):AP (8):酵素なし。連結は、混合バッファー中で起こり、またTAPの残りで損なわれない。
<実施例1における上記ワンチューブでキャップされたmRNAからの全長cDNAの製造>
製造業者(ミリポア(Millipore))による記載通りにマイクロコンYM−100フィルターを使用して、上記のようなサンプルを脱塩することができる。連結されたRNAに、水およびインビトロジェン(Invitrogen)により得ることができる逆転写酵素(RT)プライマーを加える。反応20μlに対して、プライマーAGA GAG AGA CCU CGA GCC UAG GUC CGA C 800ng(配列番号1)を使用し、ソルビトール−トレハロース混合物3μlを加える(3.3M 原液、最終RT反応を行うとき、最終濃度0.5Mソルビトールおよび4%トレハロース。RNA−プライマー混合物を、65℃で10分間加熱し、次いで、残りの試薬を調製するとき氷上保存する。次いで、2× GCバッファー(カルニンチ(Carninci),シラキ(Shiraki)ら,Biotechniquesに記載)11μl、次いで10mM dNTP原液1μl、および最後に、MMLV逆転写酵素(リボヌクレアーゼHマイナス(Rnase Hminus),ファーメンタス(Fermentas)1μlを予め混合する)。該GCバッファー系は、製造業者が推奨するバッファーで代替することができる。この反応をRNAサンプルと混合し、25℃で2分間(サンプルをアニールするため)、42℃で30分間、52℃で10分間、56℃で10分間、インキュベートしてから、反応を止める。この方法で、原初のmRNAの5’末端に及ぶcDNAが高頻度で得られる。これをさらに精製/処理することができる。たとえば、プロテイナーゼKで処理することができる(最終濃度10mM のEDTAと一緒に、20μg添加、続いて95℃で15分間、RNAおよびプロテイナーゼ不活化)。次いで、このサンプルをCl4B(アマーシャム(Amersham)−ファルマシア(Pharmacia))に使用して、サイズを分画したり、プライマーを除去したりすることができる。
次いで、cDNAをPCRで増幅する。該cDNAに、タカラ(Takara)EX−タグ・バッファーを、最終濃度1×で加え、次いで、dNTP(最終濃度:それぞれ200μM)、5’オリゴヌクレオチド(配列:acc tcg agc cta ggt ccg ac;配列番号2)および3’末端オリゴヌクレオチド(配列:ca gcg tcc tca agc ggc cgc;配列番号3)(各オリゴヌクレオチド、濃度400nM)、2.5mMのMgCl2、および最終濃度50mMのKClを加える。成分を、ホットスタートで、次いで5分間後に94℃で混合し、サンプルを94℃で30秒間、58℃で30秒間、および68℃で1.5分間を、30サイクル、インキュベートした。これによって、完全で、かつ標準技術に従って平滑末端化して、プラスミドベクターにクローニングすることができる、5’末端cDNAが生じる(分子クローニングおよび配列決定に関する一般的情報については、サムブルック(Sambrook)ら、参照)。
この方法で単離されたcDNAクローンの完全5’末端配列の1例をここに示す(配列番号4):
>1 tgtaaaacnacggCCaGtGaATgtaaaACGACGgcCAgtGAATtgTAATACGACTCACTATAgggCgaaTtGggccgctAccggccgccatggccgcgggTattacctcgagcctaggtcgacacctcgagcctaggtccgacatcgcttctcggccttttggctaagatcaagtgtagtatctgttcttatcagtttaatatctgatacgtcctctatccgaggacaatatattaaatggatttttggaagtaggagttggaataggagcttgctccgtccactccacgcatcgaacctggcgGccgcttgaggacgctgtgcgaggtggtgtgttgagtagcgtgtcgtgaatcactagtgcgGccgcctgcaggtcgaccatatggGagagctcccaacgcgttggaTgCaTagCTtgagtattcTAtagtgtcacctaaatagcttggcgtaatcatggtcatagctgtttcctgtgtgaaattgttatccgcta
これは、ベクター配列(1〜104)、複製された5’プライマーおよびU2 snRNA(キャッピングされた、塩基145〜297を形成)に続いて、3’プライマー(ACTCAACACACCACCTCGCACAGC;配列番号5)、およびベクター配列を含む。
<RACE実験への適用>
キャッピングされたRNAは、下記の通りRNAオリゴヌクレオチドが異なる配列を有するという唯一の違いはあるが、実施例1の場合と同様に調製することができる。実施例1の方法に続いてPCRを使用することにより、5’末端RACE増幅(5’末端の急速増幅)することが可能である。実験は、以下の通りに実施した。肝臓からの総RNA 500ngを、ワンチューブ・オリゴ・キャッピングに付し、続いて、未反応のオリゴリボヌクレオチドを除去し、ランダムプライマーで逆転写した。5’末端を、遺伝子特異的プライマー(TTGGAGAGAGGGTTTCGACGAGTCA;配列番号6)およびオリゴ−キャップに相補的なプライマー(CGACTGGAGCACGAGGACACTGA;配列番号7)で増幅した。
実験を、図3に示す。(1):ワンチューブ(ONE−Tube)キャッピング後のフェノール−クロロホルム精製。(2):ワンチューブ(ONE−Tube)キャッピング後のマイクロコンYM−100(ミリポア(Millipore))精製。(3)ワンチューブ(ONE−Tube)キャッピング後のフェノール−クロロホルム精製、ワンチューブ(ONE−Tube)キャッピング中はTAPなし。(4)PCR反応のネガティブコントロール。
<454または他のマトリックスへの適用>
実施例1および2の場合と同様に、cDNAを調製する。しかし、実施例4用に調製するオリゴヌクレオチドは、該RNAの3’および5’末端に異なるアダプターを有するために、丁寧にデザインされている:(アダプターA:CCATCTCATCCCTGCGTGTCCCATCTGTTCCCTCCCTGTCTCAG(配列番号8);アダプターB:/5BioTEG/CCUAUCCCCUGUGUGCCUUGCCUAUCCCCUGUUGCGUGUCUCAG(配列番号9))。アダプターBは、「オリゴ・キャッピング」配列として使用され、Aは、第一鎖合成のためにオリゴ−ランダムプライマーに結合するために使用される。第一鎖合成後、材料を、Cl−4Bスピンカラムを通過させて、過剰の未反応プライマーを分離する。次にサンプルを、エマルジョン−PCRに、次いで454−ライフ・サイエンス(Life Science)配列決定機に関する記述(マーガリーズ(Margulies)ら,Nature.2005年9月15日;437(7057):376−80)通りに配列決定反応に付す。これによって、1回の実行で数十万の配列を獲ることが可能になる。
<5’末端配列決定タグへの適用>
実施例1および2の場合と同様にcDNAを獲て、(コジウス(Kodzius)ら,Nat Methods.2006年3月;3(3):211−22)に記載されているような、当業者に明白な標準プロトコールを使用して第2鎖cDNAが獲られるまでサンプルを処理する。次いで、cDNAをMmeIで切断し、続いて第2リンカーの付加、増幅、精製およびコンカテマーの作製を行う。このよう手順に関する詳細なプロトコールは、他所、たとえば(コジウス(Kodzius)ら,Nat Methods.2006年3月;3(3):211−22)に、記載されている。次いで、こうした配列決定タグはさらに、配列決定および遺伝子境界の同定(カルニンチ(Carninci)ら,Science.2005年9月2日;309(5740):1559−63)、該遺伝子の発現プロファイリングおよびプロモーター(ハーベス(Harbers)およびカルニンチ(Carninci),Nat Methods.2005年7月2(7):495−502)に使用することができる。
<固体表面に結合した配列決定DNA>
実施例1および2の場合と同様にcDNAを獲て、(コジウス(Kodzius)ら,Nat Methods.2006年3月;3(3):211−22)に記載されているような当業者に明白な標準プロトコールを使用して、第一鎖cDNAが獲られるまでサンプルを処理する。次に、該核酸を、米国特許出願US 20060012793号、US 20060012784号、US 20060008824号に記載のような固相マトリックス、およびこのような技術に基づく機器に付着させる。
引用した資料:
本発明の流れの実施形態の例を示す。 様々なステップにおける各酵素の活性およびバッファーを示す。 実施例3の結果を示す。

Claims (13)

  1. 相容性バッファー中での試薬の順次添加に基づく、限られた量の出発材料に適する核酸末端を捕促する方法であって、
    (a)非全長RNA分子の5’のリン酸基を除去するステップと、
    (b)キャッピング部位を5’完全RNA分子から除去するステップと、
    (c)ステップ(b)で誘導されたこのような分子の5’末端にて適当な核酸を付加するステップと
    を含み、
    順次試薬を添加することにより、ステップの全てが1本の試験管内で完結することを特徴とする、方法。
  2. 前記得られた、修飾されたRNAは、cDNAを得るために逆転写に付される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記得られたcDNAは、全長cDNAライブラリーを作製するために使用される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記得られたcDNAは、前記RNAの前記末端に対応する配列タグを単離するために使用される、請求項2に記載の方法。
  5. 前記得られた配列タグは、核酸コンカテマーの調製に使用される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記断片は、前記RNAの5’末端にて単離される、請求項4および5に記載の方法。
  7. 5’および3’末端タグの両者は、5’−3’末端ジタグを作り出すために使用される、請求項4および5に記載の方法。
  8. 前記得られたDNAは、ハイスループット配列決定に使用される、請求項1〜7に記載の方法。
  9. 前記cDNAは、5’末端の検出に使用される、請求項1〜8に記載の方法。
  10. 前記誘導体化された核酸またはその相補的核酸、あるいは置換を含むまたは置換を含まないそれらの誘導体は、さらなる分析のためにマトリックスに結合される、請求項1〜8に記載の方法。
  11. マトリックスに結合された得られた核酸は、その配列を決定するために適切なシーケンサーに適用される、請求項10に記載の方法。
  12. 得られた核酸は、5’末端分子富化法により得られる5’末端RNA分子に対応する、請求項10に記載の方法。
  13. 請求項1〜12に記載の全てのステップの組合せからなるキット。
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