JP2009062187A - 板分離装置と方法および板分離装置を備えた板取出し装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層された複数の金属板1のうち最上位の金属板1aをこの直下に位置する金属板1から少なくとも部分的に分離する板分離装置3であって、最上位の金属板1aの上面付近を集中的に加熱することで、該金属板1aの上面を該金属板1aの下面に対し相対的に熱膨張させ、これにより、該金属板1aの加熱部分に反りを発生させる加熱装置5を備える。
【選択図】図1
Description
板搬送装置は、板分離装置によりスタックから分離され把持された最上位の金属板を搬送する装置である。例えば、板搬送装置は、最上位の金属板を所定のステージまで搬送しこのステージに積載する。ステージに積載された金属板は所定のフィーダによりプレス機械に搬入され、プレス加工される。
前記最上位の金属板の上面付近を集中的に加熱することで、該金属板の上面を該金属板の下面に対し相対的に熱膨張させ、これにより、該金属板の加熱部分に反りを発生させる加熱装置を備える、ことを特徴とする板分離装置が提供される。
従って、上記のような磁束発生装置を余分に設けることなく、スタックから最上位の金属板を分離することができる。
該渦電流発生装置は、
電流が流れることで、前記最上位の金属板に対しその上面から磁界を印加するコイルと、
該コイルに交流電流を供給する交流電流源と、を備え、
前記コイルは、前記交流電流が流れることで前記最上位の金属板に渦電流を発生させ、
前記交流電流の周波数は、前記渦電流が前記最上位の金属板の上面付近に集中して流れるようにする範囲内に設定されている。
前記コイルは複数設けられ、該複数のコイルおよび前記複数の板把持機構は、互いに対応するように前記最上位の金属板の周縁部に沿って順に配置され、
前記最上位の金属板において前記コイルによる加熱で前記反りが発生した箇所またこの近傍が該コイルに対応する前記板把持機構により上昇させられるように、前記周縁部に沿って順に移る順序で前記複数のコイルに前記交流電流を流すとともに、前記周縁部に沿って順に移る順序で前記複数の板把持機構に対し前記箇所または前記近傍を把持して上昇させる制御を行う制御装置を備える。
前記最上位の金属板の上面付近を集中的に加熱することで、該金属板の上面を該金属板の下面に対し相対的に熱膨張させ、これにより、該金属板の加熱部分に反りを発生させる、ことを特徴とする板分離方法が提供される。
従って、上記のような磁束発生装置を余分に設けることなく、スタックから最上位の金属板を分離することができる。
上述の(請求項1〜5のいずれかに記載の)板分離装置と、
該板分離装置により前記直下に位置する金属板から分離され把持された前記最上位の金属板を、所定の位置まで搬送する板搬送装置と、を備える、ことを特徴とする板取出装置が提供される。
図1は、本発明の第1実施形態による板取出し装置10の構成を示す図である。図1に示すように、板取出し装置10は、積層された複数の金属板1のうち最上位の金属板1aをこの直下に位置する金属板1から少なくとも部分的に分離する板分離装置3を有する。
好ましくは、交流電流源5bは上記交流電流の周波数が調節可能に構成されており、これにより、上記交流電流の周波数を所望の値に設定できる。この場合、交流電流源は5b、オペレータが操作可能な操作部(操作パネル、操作ボタン等)を有し、操作部が操作されることで、上記周波数が調節されてよい。
図2は、図1のII−II線矢視図であり、上述の加熱により金属板1aが反っている状態を示している。図1、図2の例では、複数の渦電流発生装置5が設けられている。例えば、4つの渦電流発生装置5(即ち、コイル5a)を、金属板1aの上面に対向するように、金属板1aの4隅付近にそれぞれ設けてよい。
一例では、渦電流発生装置5により加熱された金属板部分は、当該部分の中心の鉛直上方向変位が最も大きくなり、この中心から水平方向に離れた位置ほど鉛直上方向変位が小さくなるように、最上位の金属板1aに反りが発生する。従って、図1、図2の例のように、渦電流発生装置5を、最上位の金属板1aの端部付近に設けることで、反りが発生した最上位の金属板1aとその直下の金属板1との間に隙間が発生し、この隙間は金属板1aの端部において水平方向に開放された状態となる。
図1、図2の例では、気体導入装置7は、ノズル7aを有する。ノズル7aからの圧縮気体(この例では、圧縮空気)が、上記隙間に導入され、これにより、最上位の金属板1aに上向き力が作用する。また、図1、図2の例では、気体導入装置7は、さらに、気体を圧縮する圧縮機7b(コンプレッサ)と、圧縮機7bからの圧縮気体をノズル7aに供給する供給管7cと、を有している。
なお、制御装置9は、所定の入力信号を受けることで、加熱装置5が上記加熱を開始するように加熱装置5を制御してよい。この場合、制御装置9は、上記入力信号に基づいて気体導入装置7による上記隙間への圧縮気体供給開始を制御する。上記入力信号は、オペレータが所定の操作部を操作することで制御装置9に入力されてよい。
また、図1の例では、制御装置9は、気体導入装置7による上記隙間への圧縮気体供給開始を上記圧縮機7bを作動させることにより行うことができる。
各バキュームカップ13aには、図示しないが、最上位の金属板1aを吸着する吸引力を発生させるための吸引源(例えば、吸引(真空)ポンプやイジェクターなど)が接続されている。吸引源による吸引の開始と停止により、金属板1aの把持と解放を行える。
より詳しく説明する。最上位の金属板1aに渦電流が流れると、ジュール熱H=I2Rtが発生する。ここで、Iは渦電流の大きさであり、Rは金属板1aの電気抵抗であり、tは時間である。電気抵抗Rは、Aを渦電流の流れる面積とし、ρを電気抵抗率とすると、R=ρ(1/A)となる。従って、電気抵抗Rは、渦電流の流れる面積Aに反比例するため、渦電流の浸透深さが小さければ電気抵抗Rは大きくなる。一方、後述の[数1]から分かるように、渦電流の浸透深さと、上記交流電流の周波数の1/2乗とは反比例の関係にある。よって、同じ条件下であれば、高周波の方が、より効率的に最上位の金属板1aを反らすことができる。
σ[S/m]は、金属板1aの導電率であり、
μ[H/m]は、透磁率であり、透磁率μ[H/m]=比透磁率μs[無次元]×真空中の透磁率μ0[H/m]である。
f[Hz]は、交流電流の周波数である。
ρ[Ω・m]は、金属板1aの電気抵抗率(固有抵抗)であり、
μsは、金属板1aの比透磁率であり、
f[Hz]は、交流電流の周波数である。
さらに、[数2]の単位[m]を[cm]とすると次の[数3]になる。
ρ(10−6×Ω・cm)は、金属板1aの電気抵抗率(固有抵抗)であり、
μsは、金属板1aの比透磁率であり、
f(Hz)は、交流電流の周波数である。
鉄の場合には、例えば、周波数fが1000[Hz]で、浸透深さδが0.046(cm)であり、周波数fが増加するにつれ浸透深さδが小さくなり、周波数fが90(kHz)で、浸透深さδが0.005(cm)となる。
一方、アルミの場合には、周波数fが1000[Hz]で、浸透深さδが0.261(cm)であり、周波数fが増加するにつれ浸透深さδが小さくなり、周波数fが90(kHz)で、浸透深さδが0.027(cm)となる。
従って、金属板1aが鉄であってもアルミであっても、金属板1aの厚みが例えば1cmである場合には、周波数が例えば1000(Hz)以上であれば、最上位の金属板1aの上面付近を集中的に加熱することができ、金属板1aに反りを発生させることができる。金属板1aがアルミであり、金属板1aの厚みが例えば1cmである場合には、交流電流の周波数fは10000(Hz)以上であるのが好ましい。これにより、一層効果的に、最上位の金属板1aの上面付近を集中的に加熱でき、金属板1aに反りを発生させることができる。
ステップS2では、この状態で、加熱装置5により最上位の金属板1aを加熱することで、上述のように最上位の金属板1aに反りを発生させる。図1の例では、渦電流発生装置5が、最上位の金属板1aの表面とこの表面付近を集中的に加熱することで、最上位の金属板1aに反りを発生させる。この反りにより、最上位の金属板1aとこの直下の金属板1との間に隙間が発生する。
続いて、ステップS3では、制御装置9は、加熱装置5による加熱を開始させると同時に、または、この加熱開始から所定時間経過後に、気体導入装置7を作動させる。これにより、気体導入装置7からの圧縮空気が、最上位の金属板1aとこの直下の金属板1との間の隙間に供給される。その結果、最上位の金属板1aに上向き力が作用するので、最上位の金属板1aをこの直下の金属板1から一層分離させることができる。
ステップS4では、制御装置9は、このように最上位の金属板1aに上向き力が作用している時に(例えば、気体導入装置7を作動させるのと同時に、または、気体導入装置7を作動させてから所定の設定時間経過した時に)、昇降装置13b−2を制御し支持部材13b−1と共に複数の板把持装置13aを上昇させることで、最上位の金属板1aをこの直下の金属板1から完全に分離させて取り出す。
ステップS5では、昇降機構13bが複数の板把持装置13aを上昇させた状態で、水平移動装置17が板把持機構13を所定の目標位置まで水平移動させ、この目標位置で、把持している金属板1aを解放して例えば板支持台(図示せず)に積載する。これにより、目標位置まで金属板1aを搬送できる。
なお、ステップS1を行うタイミングは、ステップS2の後でステップS3の前、または、ステップS3の後でステップS4の前であってもよい。
図5は、本発明の第2実施形態による構成を示す。第2実施形態では、第1実施形態の板分離装置3とこれを備える板取出し装置10の代わりに、板分離装置4とこれを備える板取出し装置20が設けられる。第2実施形態による板分離装置4と板取出し装置20は、以下で述べる構成以外は第1実施形態による板分離装置3と板取出し装置10と同じであってよい。
板分離装置4は、図5に示すように、最上位の金属板1aを把持して上昇させる複数の板把持機構14を備える。各板把持機構14は、板把持装置14aと、板把持装置14aを昇降させる昇降装置14bとを有する。昇降装置14bは、例えば、油圧などの液圧または空圧を用いたシリンダ装置であってよいが、他の適切な手段で昇降装置を構成してもよい。昇降装置14bは支持部材16に固定され、板把持装置14aは昇降装置14bを介して支持部材16に支持される。支持部材16は上述の水平移動装置17(水平移動部材17a)に固定され、水平移動装置17(水平移動部材17a)は支持部材16を介して複数の板把持機構14を支持する。
これにより、図7に示すように、その周縁部(図6、図7の例では辺部)に沿って順に(図6、図7では、(1)〜(5)の順で)、最上位の金属板1aを剥すことができる。即ち、この例では、金属板1aの辺部の一端から他端側まで辺部に沿って、金属板1aを剥すことができる。
これにより、金属板1aの上記隙間が生じた箇所に順に上向き力が付与されるので、より効果的に、その周縁部に沿って順に最上位の金属板1aを剥すことができる。
制御装置9は、複数の板把持装置14a、複数の昇降装置14bに順に制御信号を出力して、上述のように順に最上位の金属板1aを把持して上昇させる制御を板把持機構14に対し行う。例えば、板把持装置14aを所定の高さに保持・支持している昇降装置14bに対し制御信号を送ることで、昇降装置14bが、金属板1aを把持できる高さまで板把持装置14aを下降させる。この制御を、複数の昇降装置14bに対し順に行う。一方、制御装置9は、金属板1aを把持できる高さまで下降した各板把持装置14aが金属板1aを把持するように、各板把持装置14を制御してよい。例えば、板把持装置14aが、バキュームカップである場合には、図8に示すように、吸引源(例えば、吸引ポンプ)14cと各バキュームカップ14aとを接続する吸引管14dに複数の開閉弁14eを設け、制御装置9は、吸引源14cに制御信号を出力してこれを作動させるとともに、金属板1aを把持できる高さまで下降した各バキュームカップ14aに対応する開閉弁14eを開けることで、各バキュームカップ14aに金属板1aを吸引把持させる。また、各板把持装置14aが金属板1aを把持したら、制御装置9は、昇降装置14bがこの板把持装置14aを上昇させるように昇降装置14bを制御する。このようにして、把持装置14aが、図6、図7の(1)〜(5)で示す位置の順で、最上位の金属板1aの把持をして上昇させてよい。
制御装置9は、上述の順序で、圧縮気体を上記隙間に導入する制御を複数のノズル7aに対して行う。例えば、制御装置9は、圧縮機7bに制御信号を出力してこれを作動させるとともに、複数の開閉弁7dに制御信号を順に出力しこれら開閉弁7dを順に開けることで、上述のように順にノズル7aから圧縮気体を上記隙間に導入する。
なお、制御装置9は、所定の入力信号を受けることで、上述したすべての制御信号を予め設定されたタイミングで順に出力するように構成されてよい。この入力信号は、オペレータが所定の操作部を操作することで制御装置9に入力されてよい。
ステップS11では、板把持装置14aが最上位の金属板を把持する。
ステップS12では、コイル5aに交流電流を供給して、第1実施形態と同様に最上位の金属板に反りを発生させる。
ステップS13では、上記反りにより最上位の金属板1aとこの直下の金属板1との間に生じた隙間に、ノズル7aが圧縮気体を導入する。
ステップS14では、昇降装置14bが板把持装置14aを上昇させることで、金属板1aの反りが発生した箇所またこの近傍を上昇させる。
ステップS15において、すべての板把持装置14aが最上位の金属板1aを把持して上昇した場合には、ステップS16へ進み、そうでない場合には、ステップS11に戻り、図6、図7の(1)〜(5)の順序に従う次の板把持装置14aが最上位の金属板を把持する。このように、ステップS11〜S14を複数回繰り返す。即ち、最初の回では、図6、図7の(1)の列の板把持機構14、ノズル7a、コイル5aを動作・機能させ、次の回は、図6、図7の(1)の列の板把持機構14、ノズル7a、コイル5aを動作・機能させ、・・・最後の回は、図6、図7の(5)の列の板把持機構14、ノズル7a、コイル5aを動作・機能させる。
ステップS16では、板搬送装置11は,板分離装置4を水平移動させることで、板分離装置4により把持された最上位の金属板1aを所定の目標位置まで搬送する。この目標位置で、板把持機構14は、把持している金属板1aを解放して例えば板支持台(図示せず)に積載する。
なお、ステップS11を行うタイミングは、ステップS12の後でステップS13の前、または、ステップS13の後でステップS14の前であってもよい。この場合、ステップS15において、すべての板把持装置14aが最上位の金属板1aを把持して上昇していない場合には、ステップS12へ戻る。
従って、磁束発生装置を余分に設けることなく、スタックから最上位の金属板1aを分離することができる。
また、水平移動装置17は、ボールネジを用いて板把持装置13を水平移動させる装置であってもよく、ラックとピニオンを用いて板把持装置13(および昇降装置15)を水平移動させる装置であってもよく、板把持装置13(および昇降装置15)を水平移動させる他の適切な装置であってもよい。
5 渦電流発生装置(加熱装置)、5a コイル
5b 交流電流源、7 気体導入装置、7a ノズル、
7b 圧縮機、7c 供給管、7d 開閉弁、9 制御装置
10 板取出し装置、11 板搬送装置、13 板把持機構、
13a 板把持装置、13b 昇降機構、13b−1 支持部材、
13b−2 昇降装置、14 板把持機構、14a 板把持装置、
14b 昇降装置、14c 吸引源、14d 吸引管、
14e 開閉弁、16 支持部材、
17 水平移動装置、17a 水平移動部材
17b ガイドレール、17c 駆動装置、17c−1 ベルト
17c−2 プーリ、17c−3 ベルト支持部材
Claims (7)
- 積層された複数の金属板のうち最上位の金属板をこの直下に位置する金属板から少なくとも部分的に分離する板分離装置であって、
前記最上位の金属板の上面付近を集中的に加熱することで、該金属板の上面を該金属板の下面に対し相対的に熱膨張させ、これにより、該金属板の加熱部分に反りを発生させる加熱装置を備える、ことを特徴とする板分離装置。 - 前記加熱装置は、最上位の金属板に渦電流を発生させ、該渦電流により該金属板を加熱する渦電流発生装置であり、
該渦電流発生装置は、
電流が流れることで、前記最上位の金属板に対しその上面から磁界を印加するコイルと、
該コイルに交流電流を供給する交流電流源と、を備え、
前記コイルは、前記交流電流が流れることで前記最上位の金属板に渦電流を発生させ、
前記交流電流の周波数は、前記渦電流が前記最上位の金属板の上面付近に集中して流れるようにする範囲内に設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の板分離装置。 - 前記交流電流源は、前記交流電流の周波数を調節可能に構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の板分離装置。
- 前記最上位の金属板を把持して上昇させる複数の板把持機構を備え、
前記コイルは複数設けられ、該複数のコイルおよび前記複数の板把持機構は、前記最上位の金属板の周縁部に沿って順に配置され、
前記最上位の金属板において前記コイルによる加熱で前記反りが発生した箇所またこの近傍が該コイルに対応する前記板把持機構により上昇させられるように、前記周縁部に沿って順に移る順序で前記複数のコイルに前記交流電流を流すとともに、前記周縁部に沿って順に移る順序で前記複数の板把持機構に対し前記箇所または前記近傍を把持して上昇させる制御を行う制御装置を備える、ことを特徴とする請求項2に記載の板分離装置。 - 反りが発生した最上位の金属板と、この直下に位置する金属板との間に気体を吹き込むことで、最上位の金属板に上向き力を付与する気体導入装置を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の板分離装置。
- 積層された複数の金属板のうち最上位の金属板をこの直下に位置する金属板から少なくとも部分的に分離する板分離方法であって、
前記最上位の金属板の上面付近を集中的に加熱することで、該金属板の上面を該金属板の下面に対し相対的に熱膨張させ、これにより、該金属板の加熱部分に反りを発生させる、ことを特徴とする板分離方法。 - 積層された複数の金属板のうち最上位の金属板をこの直下に位置する金属板から少なくとも部分的に分離して取り出す板取出装置であって、
請求項1〜5のいずれかに記載の板分離装置と、
該板分離装置により前記直下に位置する金属板から分離され把持された前記最上位の金属板を、所定の位置まで搬送する板搬送装置と、を備える、ことを特徴とする板取出装置。
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