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JP2009048925A - 色素増感光電変換素子 - Google Patents

色素増感光電変換素子 Download PDF

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JP2009048925A
JP2009048925A JP2007215858A JP2007215858A JP2009048925A JP 2009048925 A JP2009048925 A JP 2009048925A JP 2007215858 A JP2007215858 A JP 2007215858A JP 2007215858 A JP2007215858 A JP 2007215858A JP 2009048925 A JP2009048925 A JP 2009048925A
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Koichiro Shigaki
紫垣晃一郎
Shogen Kaneko
昌厳 金子
Teruhisa Inoue
照久 井上
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

【課題】安価な有機色素を用い、安定かつ変換効率が高く実用性の高い光電変換素子を提供すること。
【解決手段】基板上に設けられた酸化物半導体微粒子の薄膜に、下記式(1)で表されるメチン系色素を担持させてなる光電変換素子。
Figure 2009048925

【選択図】なし

Description

本発明は有機色素で増感された半導体微粒子の薄膜を有する光電変換素子及びそれを用いた太陽電池に関し、詳しくは酸化物半導体微粒子の薄膜に特定の構造を有するメチン系化合物(色素)を担持させた光電変換素子及びそれを利用した太陽電池に関する。
石油、石炭等の化石燃料に代わるエネルギー資源として太陽光を利用する太陽電池が注目されている。現在、結晶又はアモルファスのシリコンを用いたシリコン太陽電池、あるいはガリウム、ヒ素等を用いた化合物半導体太陽電池等について、盛んに開発検討がなされている。しかしそれらは製造に要するエネルギー及びコストが高いため、汎用的に使用するのが困難であるという問題点がある。また色素で増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子、あるいはこれを用いた太陽電池も知られ、これを作成する材料、製造技術が開示されている。(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2を参照) この光電変換素子は酸化チタン等の比較的安価な酸化物半導体を用いて製造されており、従来のシリコン等を用いた太陽電池に比べて低コストで光電変換素子を得られる可能性があり、またカラフルな太陽電池が得られることなどについても注目を集めている。しかし変換効率の高い素子を得るために増感色素としてルテニウム系の錯体が使用されており、色素自体のコストが高く、またその供給にも問題が残っている。また増感色素として有機色素を用いる試みも既に行われているが、変換効率、安定性、耐久性が低いなどまだ実用化には至っていないというのが現状であり、更なる変換効率の向上が望まれている(特許文献2を参照)。
特許第2664194号公報 WO2002/011213号公報 B.O'Regan and M.Graetzel Nature, 第353巻, 737頁 (1991年) M.K.Nazeeruddin, A.Kay, I.Rodicio, R.Humphry-Baker, E.Muller, P.Liska, N.Vlachopoulos, M.Graetzel, J.Am.Chem.Soc., 第115巻, 6382頁 (1993年) W.Kubo, K.Murakoshi, T.Kitamura, K.Hanabusa, H.Shirai, and S.Yanagida, Chem.Lett., 1241頁(1998年)
有機色素で増感された酸化物半導体微粒子を用いた光電変換素子において、安価な有機色素を用い、安定かつ変換効率が高く実用性の高い光電変換素子の開発が求められている。
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、特定の構造を有するメチン系色素で増感した半導体微粒子の薄膜を用いて作成した光電変換素子は、高い変換効率を安定して得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
(1)基板上に設けられた酸化物半導体微粒子の薄膜に、下記式(1)で表されるメチン系色素を担持させてなる光電変換素子
Figure 2009048925
(式(1)中、m及びnはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。R1は置換基を有しても良い芳香族残基又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。R2及びR3はそれぞれ水素原子又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。X1及びY1はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有しても良い芳香族残基、カルボキシル基、リン酸基、シアノ基又はスルフォニルベンゼン基を表す。また、X1とY1は結合して、置換基を有しても良い環を形成しても良い。Z1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNR4を表す。R4は水素原子、置換基を有しても良い芳香族残基又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。A1、A2、A3、A4及びA5はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよい芳香族残基又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。又、mが2以上でA2及びA3のそれぞれが複数存在する場合には、それぞれのA2及びA3は互いに同じか又は異なってもよい。又、mが0以外の場合、A1及び/又はA2及び/又はA3の複数個で置換基を有してもよい環を形成しても良い。又、mが0以外でかつnが0の場合、A1及び/又はA2及び/又はA3は環aを伴って置換基を有してもよい環を形成しても良い。nが2以上でA4及びA5のそれぞれが複数存在する場合には、それぞれのA4及びA5は互いに同じか又は異なってもよい。又、nが0以外の場合、A4及びA5で置換基を有してもよい環を形成しても良い。又、A4及び/又はA5は環aを伴って置換基を有してもよい環を形成しても良い。環aは置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基からなる群から選ばれる1〜4個の置換基を有していても良い。環a上に複数の置換基が存在する場合それらの置換基は互いに、又はA1及び/又はA2及び/又はA3、あるいはA4及び/又はA5と結合して置換基を有しても良い環を形成しても良い。環bは、置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基を有していても良い。環cは、置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基からなる群から選ばれる1〜4個の置換基を有していても良い。)、
(2)Z1が酸素原子、硫黄原子又はセレン原子のいずれかである(1)に記載の光電変換素子、
(3)Z1が硫黄原子である(2)に記載の光電変換素子、
(4)nが1〜4である(2)又は(3)に記載の光電変換素子、
(5)nが1である(4)に記載の光電変換素子、
(6)mが0〜2である(4)又は(5)に記載の光電変換素子、
(7)mが0である(6)に記載の光電変換素子、
(8)R2及びR3が置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基である(6)又は(7)に記載の光電変換素子、
(9)R2とR3が同一の無置換直鎖C1〜C18飽和アルキル基である(8)に記載の光電変換素子、
(10)無置換直鎖C1〜C18飽和アルキル基がメチル基である(9)に記載の光電変換素子、
(11)式(1)のメチン系色素が下記式(2)である(8)乃至(10)のいずれか一項に記載の光電変換素子
Figure 2009048925
(式(2)中、R5は水素原子、置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基を表す。環dはR5以外に置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換又は非置換アミノ基からなる群から選ばれる1〜4個の置換基を有していても良い。)、
(12)R5が置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基である(11)に記載の光電変換素子、
(13)X1及びY1が、それぞれ独立にカルボキシル基、リン酸基又はシアノ基のいずれかである(8)乃至(10)のいずれか一項に記載の光電変換素子。
(14)X1及びY1のいずれか一方がカルボキシル基であり、他方がシアノ基である(13)に記載の光電変換素子、
(15)X1とY1が結合して形成される環構造が、下記式(2001)〜(2044)で示される郡から選択される環構造の基である(8)乃至(10)のいずれか一項に記載の光電変換素子
Figure 2009048925
(式(2001)〜(2044)において、*は式(1)におけるX1とY1が結合している炭素原子を表す。)、
(16)X1とY1が結合して形成される環構造が、カルボキシル基を置換基として有する基である(15)に記載の光電変換素子、
(17)X1とY1が結合して形成する環構造が、下記式(2007)で表される基である(16)に記載の光電変換素子
Figure 2009048925
(式(2007)において、*は式(1)におけるX1とY1が結合している炭素原子を示す。)、
(18)A1〜A5が水素原子である(13)乃至(17)のいずれか一項に記載の光電変換素子、
(19)環a、b及びcがいずれも無置換である(18)に記載の光電変換素子、
(20)基板上に設けられた酸化物半導体微粒子の薄膜に、(1)に記載の式(1)で表されるメチン系色素の一種以上並びに金属錯体及び/又は式(1)以外の構造を有する有機色素を担持させた光電変換素子、
(21)酸化物半導体微粒子の薄膜が二酸化チタン、酸化亜鉛又は酸化スズを含有する薄膜である(1)乃至(20)のいずれか一項に記載の光電変換素子、
(22)酸化物半導体微粒子の薄膜に、包摂化合物の存在下でメチン系色素を担持させてなる(1)乃至(21)のいずれか一項に記載の光電変換素子、
(23)(1)乃至(22)のいずれか一項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池、
(24)mが0、nが1、Z1が硫黄原子、R1がメチルベンゼン、R2及びR3がメチル基、A1、A4及びA5が水素原子、環a、b及びcがいずれも無置換である(1)に記載の光電変換素子、
に関する。
特定の構造を有するメチン系色素を用いることにより、変換効率が高く安定性の高い太陽電池を提供する事が出来た。さらに2種以上の色素により増感された酸化物半導体微粒子を用いることにより、変換効率の一層の向上が見られた。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の光電変換素子は、基板上に設けられた酸化物半導体微粒子の薄膜に下記式(1) で表されるメチン系色素を担持させたものである。
Figure 2009048925
上記式(1)において、mは0〜5の整数を表し、0〜4であることが好ましく、0〜2であることが更に好ましく、0であることが特に好ましい。
上記式(1)において、nは0〜5の整数を表し、1〜4であることが好ましく、1であることが更に好ましい。
上記式(1)において、R1は置換基を有しても良い芳香族残基又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。R2及びR3はそれぞれ水素原子又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表し、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基であることが好ましく、更に、R2とR3が同一の無置換直鎖C1〜C18の飽和アルキル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。また、R2とR3は互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成しても良い。
上記において、「置換基を有しても良い芳香族残基」における芳香族残基とは、芳香環から水素原子1個を除いた基を意味し、芳香環の具体例としては例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、ペリレン、テリレン等の芳香族炭化水素環、インデン、アズレン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピラゾール、ピラゾリジン、チアゾリジン、オキサゾリジン、ピラン、クロメン、ピロール、ピロリジン、ベンゾイミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ジアゾール、インドリン、チオフェン、チエノチオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジン、チアゾール、インドール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、インドレニン、ベンゾインドレニン、ピラジン、キノリン、キナゾリン等の複素芳香環、フルオレン、カルバゾール等の縮合型芳香環等が挙げられ、炭素数5〜16の芳香環(芳香環及び芳香環を含む縮合環)を有する芳香族残基であることが好ましい。
上記において、「置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基」における脂肪族炭化水素残基としては飽和又は不飽和の直鎖、分岐及び環状のアルキル基が挙げられ、炭素数としては1から36が好ましく、さらに好ましくは炭素数が1から18である。環状のアルキル基としては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキルなどが挙げられる。これら脂肪族炭化水素残基の具体的な例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、シクロヘキシル、ビニル、プロペニル、ペンチニル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、イソプロペニル、イソへキセニル、シクロへキセニル、シクロペンタジエニル、エチニル、プロピニル、ペンチニル、へキシニル、イソへキシニル、シクロへキシニル等が挙げられる。特に好ましくは上記炭素数が1から8の直鎖のアルキル基である。
上記「置換基を有していてもよい芳香族残基」及び「置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基」における置換基としては、特に制限はないが、スルホン酸、スルファモイル、シアノ、イソシアノ、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、ニトロシル、ハロゲン原子、ヒドロキシル、リン酸、リン酸エステル基、置換もしくは非置換アミノ基、置換されていても良いメルカプト基、置換されていても良いアミド基、置換基を有していても良いアルコキシル基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、カルボキシル、カルバモイル、アシル基、アルデヒド、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル等の置換カルボニル基の他に上記の置換基を有していても良い芳香族残基、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基等が挙げられる。上記ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の原子が挙げられ、臭素原子及び塩素原子が好ましい。上記リン酸エステル基としてはリン酸(C1〜C4)アルキルエステル基等が挙げられる。好ましい具体例としては、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸(n−プロピル)、リン酸(n−ブチル)である。上記置換もしくは非置換アミノ基として好ましいものは、アミノ、モノ又はジメチルアミノ、モノ又はジエチルアミノ、モノ又はジ(n−プロピル)アミノ等のアルキル置換アミノ基、モノ又はジフェニルアミノ、モノ又はジナフチルアミノ等の芳香族置換アミノ基、モノアルキルモノフェニルアミノ等のアルキル基と芳香族炭化水素残基が一つずつ置換したアミノ基又はベンジルアミノ、またアセチルアミノ、フェニルアセチルアミノ等が挙げられる。上記置換されていても良いメルカプト基として好ましいものはメルカプト、アルキルメルカプト基、具体的にはメチルメルカプト、エチルメルカプト、n−プロピルメルカプト、イソプロピルメルカプト、n−ブチルメルカプト、イソブチルメルカプト、sec−ブチルメルカプト、t−ブチルメルカプトなどのC1〜C4アルキルメルカプト基、又はフェニルメルカプト等が挙げられる。上記置換されていても良いアミド基としてはアミド、アセトアミド、アルキルアミド基が挙げられ、具体的に好ましいものはアミド、アセトアミド、N−メチルアミド、N−エチルアミド、N−(n−プロピル)アミド、N−(n−ブチル)アミド、N−イソブチルアミド、N−(sec−ブチルアミド)、N−(t−ブチル)アミド、N,N−ジメチルアミド、N,N−ジエチルアミド、N,N−ジ(n−プロピル)アミド、N,N−ジ(n−ブチル)アミド、N,N−ジイソブチルアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N−(n−プロピル)アセトアミド、N−(n−ブチル)アセトアミド、N−イソブチルアセトアミド、N−(sec−ブチル)アセトアミド、N−(t−ブチル)アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジ(n−プロピル)アセトアミド、N,N−ジ(n−ブチル)アセトアミド、N,N−ジイソブチルアセトアミドが挙げられ、又はアリールアミド基、具体的に好ましくはフェニルアミド、ナフチルアミド、フェニルアセトアミド、ナフチルアセトアミド等が挙げられる。上記置換基を有していても良いアルコキシル基として好ましくはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t-ブトキシ等が挙げられる。上記置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基等が好ましく挙げられ、これらはフェニル基、メチル基を置換基として有していても良い。
上記アシル基としては、例えば炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキルカルボニル基で具体的にはアセチル、プロピオニル、トリフルオロメチルカルボニル、ペンタフルオロエチルカルボニル、ベンゾイル、ナフトイル等が挙げられる。上記アルコキシカルボニル基としては例えば炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。具体例としてはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−ペントキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、n−ヘプチルオキシカルボニル、n−ノニルオキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニルである。上記アリールカルボニル基としては例えばベンゾフェノン、ナフトフェノン等のアリール基とカルボニルが連結した基を表す。上記置換基を有していても良い芳香族残基及び置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基は上記のものと同じ意味を表す。
上記式(1)において、X1及びY1はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有しても良い芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、シアノ基、アシル基、アミド基、アルコキシカルボニル基又はスルフォニルベンゼン基を表す。ここで言う置換基を有しても良い芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、アシル基、置換されていても良いアミド基及びアルコキシカルボニル基は上記R2及びR3の項で述べたものと同様でよい。上記X1及びY1としては、置換基を有しても良い芳香族残基、カルボキシル、リン酸、スルホン酸、シアノ及びアシル基等が挙げられ、カルボキシル、リン酸、シアノ及びアシル基であることが好ましく、X1及びY1がそれぞれ独立にカルボキシル基、シアノ基又はアシル基である(但し、X1、Y1のうちのいずれかはカルボキシル基である。)ことがさらに好ましく、一方がカルボキシルでかつ他方がシアノ又はアシルであることが特に好ましく、一方がカルボキシルでかつ他方がシアノであることが極めて好ましい。また、X1又はY1のいずれか少なくとも一つ以上が、カルボキシル基、水酸基、リン酸基、スルホン酸基及びこれら酸性基の塩からなる群から選択される基を少なくとも一つ以上置換基として有する環構造の基であっても良く、さらにその環構造の基が下記式(1001)〜(1033)で表されることが好ましい。
Figure 2009048925
又、X1とY1は結合して、置換基を有しても良い環を形成しても良い。X1とY1が結合して形成してもよい環としては、下記式(2001)〜(2044)で表される環等が挙げられ、このうち環構造がカルボキシル基を置換基として有しているものが好ましく、環構造が式(2007)であることが特に好ましい。
Figure 2009048925
上記式(2001)〜(2044)における*部位は式(1)におけるX1とY1が結合している炭素原子を示す。
上記式(1)において、Z1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNR4を表し、酸素原子、硫黄原子及びセレン原子であることが好ましく、硫黄原子であることが更に好ましい。R4は水素原子、置換基を有しても良い芳香族残基又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。置換基を有しても良い芳香族残基及び置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基としてはそれぞれ上記R2及びR3の項で述べたものと同様でよい。また、nが2以上で、Z1が複数存在する場合、それぞれのZ1互いに同じ、又は異なっていても良い。
上記式(1)において、A1、A2、A3、A4及びA5はそれぞれ同じか又は異なってもよく、水素原子、置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル、リン酸、シアノ、ハロゲン原子、カルボキシル、カルボンアミド基、置換基を有していても良いアミド基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基又はアシル基を表す。
上記置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ハロゲン原子、置換基を有していても良いアミド基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基及びアシル基としては上記R1〜R3の項で述べたものと同様でよい。A1、A2、A3、A4及びA5の好ましいものとしては、水素原子及び置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基が挙げられる。又、mが2以上でA2及びA3のそれぞれが複数存在する場合には、それぞれのA2及びそれぞれのA3は互いに同じか又は異なってもよい。又、mが0以外の場合、A1及び/又はA2及び/又はA3の複数個で置換基を有してもよい環を形成しても良い。置換基を有してもよい環としては、置換基を有していても良い不飽和炭化水素環又は置換基を有していても良い複素環等が挙げられる。
上記不飽和炭化水素環の例としてはベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、インデン、アズレン、フルオレン、シクロブテン、シクロヘキセン、シクロペンテン、シクロヘキサジエン、シクロペンタジエン等が挙げられ、複素環の例としては、ピラン、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、インドリン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、インドール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、キノリン、カルバゾール、ベンゾピラン等が挙げられ、これらのうちベンゼン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンであることが好ましい。又、これらは前記したように置換基を有してもよく、置換基としては前記「置換基を有していても良い芳香族残基」及び「置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基」における置換基の項で述べたものと同様でよい。形成しうる環が置換基を有していても良い複素環で且つ、それらがカルボニル、チオカルボニル等を有する場合には、環状ケトン又は環状チオケトンなどを形成しても良く、これらの環は更に置換基を有しても良い。その場合の置換基としては前記「置換基を有しても良い芳香族残基」及び「置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基」における置換基の項で述べたものと同様でよい。
又、mが2以上でA2及びA3のそれぞれが複数存在する場合には、それぞれのA2及びA3は互いに同じか又は異なってもよい。又、mが0以外の場合、A1及び/又はA2及び/又はA3の複数個で置換基を有してもよい環を形成しても良い。又、mが0以外でかつnが0の場合、A1及び/又はA2及び/又はA3は環aを伴って置換基を有してもよい環を形成しても良い。nが2以上でA4及びA5のそれぞれが複数存在する場合には、それぞれのA4及びA5は互いに同じか又は異なってもよい。又、nが0以外の場合、A4及びA5で置換基を有してもよい環を形成しても良い。又、A4及び/又はA5は環aを伴って置換基を有してもよい環を形成しても良い。
上記式(1)において、環aは置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換又は非置換アミノ基からなる群から選ばれる1個〜4個の置換基を有していても良い。また、環a上に複数の置換基が存在する場合それらの置換基は互いに、又はA1及び/又はA2及び/又はA3、あるいはA4及び/又はA5と結合して置換基を有しても良い環を形成しても良い。置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アシル基及び置換、非置換アミノ基としてはそれぞれ上記R2及びR3の項で述べたものと同様でよい。
上記式(1)において、環bは、置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基からなる群から選ばれる1個〜3個の置換基を有していても良い。置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アシル基及び置換、非置換アミノ基としてはそれぞれ上記R2及びR3の項で述べたものと同様でよい。
上記式(1)において、環cは、置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基からなる群から選ばれる1個〜4個の置換基を有していても良い。置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アシル基及び置換、非置換アミノ基としてはそれぞれ上記R2及びR3の項で述べたものと同様でよい。
上記式(1)で表されるメチン系色素において各置換基の好ましい組み合わせの例(A)、(B)、(C)及び(D)について説明する。
(A)まず、下記式(2)で表されるメチン系色素が挙げられる。
Figure 2009048925
(式(2)中、m、n、X1、Y1、Z1、A1、A2、A3、A4、A5、R2、R3、環a、環b及び環cはそれぞれ式(1)と同様でよい。R5は水素原子、置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基を表す。環dはR5以外に置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換又は非置換アミノ基からなる群から選ばれる1〜4個の置換基を有していても良い。)
式(2)で表されるメチン系色素のうち、R2及びR3が置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基であるものが好ましく、更に、nが1であるものがより好ましく、更にR5が置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基であるものが最も好ましい。
(B)次に、式(1)で表されるメチン系色素において、Z1が酸素原子、硫黄原子、セレン原子、アミノ基、N−メチルアミノ基及びN−フェニルアミノ基からなる群から選択される基であり、R2及びR3が同一であり、かつR2及びR3が水素原子、無置換の直鎖C1〜C18アルキル基、シクロペンチル基、フェニル基、クロロエチル基及びアセチル基からなる群から選択される基であり、X1がカルボキシル基、リン酸基及びシアノ基からなる群から選択される基であり、Y1が水素原子基、シアノ基、カルボキシル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基及びスルフォニルベンゼン基からなる群から選択される基である(但しこの場合、X1及びY1のいずれか一方はカルボキシル基である)ものが好ましく、そのうち、mが0で、nが1〜4であり、Z1がイオウ原子であり、R2及びR3が無置換の直鎖C1〜C18アルキル基であり、環a、b及び、cはいずれも無置換であり、X1又はY1の一方がカルボキシル基でかつ他方がシアノ基であり、A1〜A5が水素原子であるものが特に好ましい。
(C)更に、式(1)で表されるメチン系色素において、X1とY1で環を形成し、その環は下記式(2001)〜(2044)(式(2001)〜(2044)において、*は式(1)におけるX1とY1が結合している炭素原子を示す)で示される基からなる群から選択される基で、A1〜A5が水素原子、メチル基、塩素原子、シアノ基、n−ヘキシル基及びn−ブチル基からなる群から選択される基であり、環a、b及びcが無置換であるものが好ましく、
Figure 2009048925
このうち、mが0、nが1〜4であり、Z1がイオウ原子であり、R2及びR3が無置換の直鎖C1〜C18アルキル基であり、環a、b及びcはいずれも無置換であり、X1とY1が結合して形成する環が下記式(2007)で表される基であり、A1〜A5が水素原子であるものがより好ましく、更に無置換の直鎖C1〜C18アルキル基がメチル基であるものが最も好ましい。
Figure 2009048925
(式(2007)において、*は式(1)におけるX1とY1が結合している炭素原子を示す。)
(D)更に、式(1)で表されるメチン系色素において、nが1〜4であるものが好ましく、そのうちmが0であるものが、そのうちZ1が硫黄原子であるものが、そのうちX1とY1で環構造を形成し、その環構造がカルボキシル基を置換基として有するものが、そのうちX1とY1で形成するカルボキシル基を置換基として有する環構造が、下記式(2007)で表される基であるものが、それぞれより好ましい。
Figure 2009048925
(式(2007)において、*は式(1)におけるX1とY1が結合している炭素原子を示す。)
尚、式(1)で表されるメチン系色素において、nが1〜4で、mが0で、Z1が硫黄原子であるもののうち、X1及びY1がそれぞれ独立にカルボキシル基、シアノ基又はアシル基である(但し、X1、Y1のうちのいずれかはカルボキシル基である。)もの、さらにはそのうちの、X1又はY1の一方がカルボキシル基で他方がシアノ基であるものも好ましい例として挙げられる。
上記式(1)で表されるメチン系色素がカルボキシル、リン酸、ヒドロキシル及びスルホン酸等の酸性基を置換基として有する場合は、それぞれ塩を形成してもよく、塩としては例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、又はマグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属などとの塩、又は有機塩基、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、ピペラジニウム、ピペリジニウムなどの4級アンモニウム塩のような塩を挙げることができる。
前記式(1)で示されるメチン系色素はシス体、トランス体、ラセミ体等の構造異性体をとり得るが、特に限定されず、いずれの異性体も本発明における光増感用色素として良好に使用しうるものである。
上記式(1001)〜(1017)、(1019)及び(1020)に示されるように、窒素原子の陽電荷を中和するための対イオンは分子間又は分子内のいずれで形成しても良い。分子間の好ましい対イオンとしてはヨウ素、過塩素酸、ビストリフルオロメチルスルホンイミド、トリストリフルオロメチルスルホニルメタン、6フッ化アンチモン酸、テトラフルオロホウ酸などの各アニオンが挙げられる。また分子内の好ましい対イオンとしては陽電荷を有する窒素原子に結合した酢酸−2−イル、プロピオン酸−3−イル、スルホエタン−2−イルの各アニオンなどが挙げられる。
前記式(1)で表されるメチン系色素は、例えば、以下に示す反応式によって製造できる。化合物(3)のヨウ素化を行い化合物(4)を得る。化合物(4)を置換反応等により化合物(5)に誘導し、これと化合物(6)をウルマン反応等により化合物(7)とする。次に、式(1)におけるnが0の場合は、化合物(7)をビルスマイヤー反応等によりホルミル化等を行いカルボニル化合物(8)とする。この式(8)と式(9)で表される活性メチレンを有する化合物を必要であれば苛性ソーダ、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、ジアザビシクロウンデセンなどの塩基性触媒の存在下、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類やジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒やトルエン、無水酢酸、アセトニトリルなどの溶媒中、20〜180℃好ましくは50〜150℃で縮合することにより本発明の式(1)で表されるメチン系化合物(色素)が得られる。式(1)におけるnが1以上の場合は、化合物(7)をヨウ素化等のハロゲン化を行い化合物(10)とし、ボロン酸体(11)と縮合させることにより化合物(12)とし、この化合物(12)をビルスマイヤー反応等によりホルミル化等を行いカルボニル化合物(13)とする。この式(13)と式(9)で表される活性メチレンを有する化合物を必要であれば苛性ソーダ、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、ジアザビシクロウンデセンなどの塩基性触媒の存在下、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類やジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒やトルエン、無水酢酸、アセトニトリルなどの溶媒中、20〜180℃好ましくは50〜150℃で縮合することにより本発明の式(1)で表されるメチン系化合物(色素)が得られる。上記反応において、活性メチレンを有する化合物(9)がエステル基を有する場合、縮合反応後、加水分解等を行うことによりカルボン酸体を得ることも可能である。
Figure 2009048925
Figure 2009048925
以下に式(1)で表されるメチン系色素の具体例を挙げる。まず、下記式(14)で表されるメチン系色素の具体例を表1乃至表5に示す。各表において、Phはフェニル基を意味する。また、(1001)〜(1033)と表記したものは上記式(1001)〜(1033)に対応し、(2001)〜(2044)と表記したものは上記式(2001)〜(2044)に対応し、X1とY1が置換基を有しても良い環を形成する場合の環を表す。
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
式(1)で表されるメチン系色素が下記式(15)で表されるメチン系色素であるものの具体例を表6乃至表12に示す。各表において、Phはフェニル基を意味する。また、(1001)〜(1033)と表記したものは上記式(1001)〜(1033)に対応し、(2001)〜(2044)と表記したものは上記式(2001)〜(2044)に対応し、X2とY2が置換基を有しても良い環を形成する場合の環を表す。
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
式(1)で表されるメチン系色素のその他の具体例を以下に示す。
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
Figure 2009048925
本発明の色素増感光電変換素子は、酸化物半導体微粒子を用いて基板上に酸化物半導体微粒子の薄膜を設け、次いでこの薄膜に式(1)の色素を担持させたものである。
本発明で酸化物半導体微粒子の薄膜を設ける基板としてはその表面が導電性であるものが好ましいが、そのような基板は市場にて容易に入手可能である。例えば、ガラス又はポリエチレンテレフタレート若しくはポリエーテルスルフォン等の透明性のある高分子材料等の表面に、インジウム、フッ素、アンチモンをドープした酸化スズなどの導電性金属酸化物や、銅、銀、金等の金属の薄膜を設けたものを基板として用いることが出来る。その導電性としては通常1000Ω以下であれば良く、特に100Ω以下のものが好ましい。
又、酸化物半導体の微粒子としては金属酸化物が好ましく、その具体例としてはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ガリウム、インジウム、イットリウム、ニオブ、タンタル、バナジウムなどの酸化物が挙げられる。これらのうちチタン、スズ、亜鉛、ニオブ、インジウム等の酸化物が好ましく、そのうち酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズが最も好ましい。これらの酸化物半導体は単一で使用することも出来るが、混合したり、半導体の表面にコーティングさせて使用することも出来る。また酸化物半導体の微粒子の粒径は、平均粒径として通常1〜500nmで、好ましくは1〜100nmである。またこの酸化物半導体の微粒子は、大きな粒径のものと小さな粒径のものを混合したり、多層にして用いることも出来る。
酸化物半導体微粒子の薄膜は、スプレイ噴霧などで直接前記基板上に半導体微粒子の薄膜を形成する方法、基板を電極として電気的に半導体微粒子を薄膜状に析出させる方法、半導体微粒子のスラリー又は半導体アルコキサイド等の半導体微粒子の前駆体を加水分解することにより得られた微粒子を含有するペーストを、基板上に塗布した後、乾燥、硬化もしくは焼成する方法等によって製造することが出来る。酸化物半導体を用いる電極の性能上、スラリーを用いる方法が好ましい。この方法の場合、スラリーは2次凝集している酸化物半導体微粒子を常法により分散媒中に平均1次粒子径が1〜200nmになるように分散させることにより得られる。
スラリーを分散させる分散媒としては半導体微粒子を分散させ得るものであれば何でも良く、水、エタノール等のアルコール、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン等の炭化水素等が用いられる。これらは混合して用いても良く、また水を用いることはスラリーの粘度変化を少なくするという点で好ましい。また酸化物半導体微粒子の分散状態を安定化させる目的で分散安定剤を用いることが出来る。用いうる分散安定剤の例としては例えば酢酸、塩酸、硝酸等の酸、又はアセチルアセトン、アクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の有機溶媒等が挙げられる。
スラリーを塗布した基板は焼成してもよく、その焼成温度は通常100℃以上、好ましくは200℃以上で、かつ上限はおおむね基材の融点(軟化点)以下であり、通常は900℃以下、好ましくは600℃以下である。また焼成時間には特に限定はないがおおむね4時間以内が好ましい。基板上の薄膜の厚みは通常1〜200μmで、好ましくは1〜50μmである。
酸化物半導体微粒子の薄膜に2次処理を施してもよい。例えば半導体と同一の金属のアルコキサイド、塩化物、硝化物、硫化物等の溶液に、基板ごと薄膜を浸積させて乾燥もしくは再焼成することにより半導体微粒子の薄膜の性能を向上させることができる。金属アルコキサイドとしてはチタンエトキサイド、チタンイソプロポキサイド、チタンt−ブトキサイド、n−ジブチル−ジアセチルスズ等が挙げられ、それらのアルコール溶液が用いられる。塩化物としては例えば四塩化チタン、四塩化スズ、塩化亜鉛等が挙げられ、その水溶液が用いられる。このようにして得られた酸化物半導体薄膜は酸化物半導体の微粒子から成っている。
次に酸化物半導体微粒子の薄膜に本発明の前記式(1)で表されるメチン系色素を担持させる方法について説明する。
前記式(1)のメチン系色素を担持させる方法としては、該色素を溶解しうる溶媒にて色素を溶解して得た溶液、又は溶解性の低い色素においては色素を分散せしめて得た分散液に、上記酸化物半導体微粒子の薄膜の設けられた基板を浸漬する方法が挙げられる。溶液又は分散液の濃度は色素によって適宜決める。浸漬温度はおおむね常温から溶媒の沸点迄であり、また浸漬時間は1分から48時間程度である。色素を溶解させるのに使用しうる溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、n -ブタノール、t −ブタノール、水、n−ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン等が挙げられ、色素の溶解度等に合わせて、単独又は複数を混合して用いることができる。溶液の色素濃度は通常1×10-6M〜1Mが良く、好ましくは1×10-5 M〜1×10-1Mである。
浸漬が終わったあと、風乾又は必要により加熱して溶媒を除去する。この様にして式(1)のメチン系色素で増感された酸化物半導体微粒子の薄膜を有した本発明の光電変換素子が得られる。
前記において、担持する色素は1種類でも良いし、数種類を混合しても良い。混合する場合は本発明の式(1)の色素同士でも良いし、本発明の式(1)の色素に他の色素や金属錯体色素を混合しても良い。特に吸収波長の異なる色素同士を混合することにより、幅広い吸収波長を利用することが可能となり、変換効率の高い太陽電池が得られる。混合しうる色素には特に制限は無いが、例えば金属錯体色素としては非特許文献2に示されているルテニウム錯体やその4級アンモニウム塩化合物、フタロシアニン、ポルフィリンなどが挙げられ、有機色素としては無金属のフタロシアニン、ポルフィリンやシアニン、メロシアニン、オキソノール、トリフェニルメタン系、特許文献2に示されるアクリル酸系色素などのメチン系色素や、キサンテン系、アゾ系、アンスラキノン系、ペリレン系等の色素が挙げられる。好ましくはルテニウム錯体やメロシアニン、アクリル酸系等のメチン系色素である。色素を2種以上用いる場合は、色素を半導体微粒子の薄膜に順次吸着させても良いし、混合溶解して吸着させても良い。
混合する色素の比率に特に限定は無く、それぞれの色素に最適な条件が適宜選択されるが、1つの色素につき少なくとも10%モル程度以上使用するのが好ましい。2種以上の色素を溶解又は分散した溶液を用いて、酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を吸着する場合、溶液中の色素合計の濃度は1種類のみ担持する場合と同様でよい。色素を混合して使用する場合の溶媒としては前記したような溶媒が使用可能であり、使用する各色素用の溶媒は同一でも異なっていてもよい。
酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を担持する際、色素同士の会合を防ぐために包摂化合物の共存下で色素を担持することが有利である。ここで包摂化合物としては、コール酸等のステロイド系化合物、クラウンエーテル、シクロデキストリン、カリックスアレン、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられるが、好ましいものの具体例としては、デオキシコール酸、デヒドロデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム等のコール酸類、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。又、色素を担持させた後、4−t−ブチルピリジン等のアミン化合物で半導体微粒子の薄膜を処理しても良い。処理の方法は、例えばアミンのエタノール溶液に色素を担持した半導体微粒子の薄膜の設けられた基板を浸す方法等が採られる。
本発明の太陽電池は、上記酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を担持させた光電変換素子を一方の電極とし、対極、レドックス電解質又は正孔輸送材料又はp型半導体等から構成される。レドックス電解質、正孔輸送材料、p型半導体等の形態としては、液体、凝固体(ゲル及びゲル状)、固体などそれ自体公知のものが使用出来る。液状のものとしては、レドックス電解質、溶融塩、正孔輸送材料、p型半導体等をそれぞれ溶媒に溶解させたものや常温溶融塩などが、凝固体(ゲル及びゲル状)のものとしては、これらをポリマーマトリックスや低分子ゲル化剤等に含ませたもの等がそれぞれ挙げられる。固体のものとしては、レドックス電解質、溶融塩、正孔輸送材料、p型半導体等を用いることができる。正孔輸送材料としては、アミン誘導体やポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの導電性高分子、トリフェニレン系化合物などが挙げられる。又、p型半導体としてはCuI、CuSCN等が挙げられる。対極としては、導電性を持っており、レドックス電解質の還元反応に触媒的に作用するものが好ましい。例えばガラス又は高分子フィルムに、白金、カーボン、ロジウム、ルテニウム等を蒸着したり、導電性微粒子を塗り付けたものが用いうる。
本発明の太陽電池に用いるレドックス電解質としては、ハロゲンイオンを対イオンとするハロゲン化合物及びハロゲン分子からなるハロゲン酸化還元系電解質、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオン、コバルト錯体などの金属錯体等の金属酸化還元系電解質、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等の有機酸化還元系電解質等をあげることができるが、ハロゲン酸化還元系電解質が好ましい。ハロゲン化合物−ハロゲン分子からなるハロゲン酸化還元系電解質におけるハロゲン分子としては、例えばヨウ素分子や臭素分子等があげられ、ヨウ素分子が好ましい。又、ハロゲンイオンを対イオンとするハロゲン化合物としては、例えばLiBr、NaBr、KBr、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、MgI2、CuI等のハロゲン化金属塩あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイドなどのハロゲンの有機4級アンモニウム塩等があげられるが、ヨウ素イオンを対イオンとする塩類が好ましい。また、上記ヨウ素イオンの他にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ジシアノイミドイオン等のイミドイオンを対イオンとする電解質を用いることも好ましい。
又、レドックス電解質がそれを含む溶液の形で構成されている場合、その溶媒には電気化学的に不活性なものが用いられる。例えばアセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、3−メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、ジエチルカーボネート、ジエチルエーテル、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、1,3−ジオキソラン、メチルフォルメート、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−オキサゾリジン−2−オン、スルフォラン、テトラヒドロフラン、水等が挙げられ、これらの中でも、特に、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、3−メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、エチレングリコール、3−メチル−オキサゾリジン−2−オン、γ−ブチロラクトン等が好ましい。これらは単独もしくは2種以上を組み合わせて用いても良い。ゲル状電解質の場合は、オリゴマ−及びポリマー等のマトリックスに電解質あるいは電解質溶液を含有させたものや、非特許文献3に記載の低分子ゲル化剤等に同じく電解質あるいは電解質溶液を含有させたもの等が挙げられる。レドックス電解質の濃度は通常0.01〜99質量%、好ましくは0.1〜90質量%程度である。
本発明の太陽電池は、基板上の酸化物半導体微粒子の薄膜に本発明の式(1)のメチン系色素を担持した光電変換素子の電極に、酸化物半導体微粒子の薄膜を挟むように対極を配置し、その間にレドックス電解質を含んだ溶液を充填することにより得られる。
以下に実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中、部は特に指定しない限り質量部を、%は質量%をそれぞれ表す。溶液の濃度を表すMは、mol/Lを表す。又、化合物番号は前記の具体例における化合物番号である。最大吸収波長はUV−VIS RECORDING SPECTROPHOTOMETER(UV−2500PC、島津製作所製)により、核磁気共鳴はジェミニ 300(バリアン社製)により、MassスペクトルはLIQUID CHROMATOGRAPH MASS SPECTROMETER(LCMS−2010EV、島津製作所製)でそれぞれ測定した。
合成例1
フルオレン56.8部、メタノール200部、63%硫酸水溶液37部、ヨウ素31部、34%ヨウ素酸水溶液34部を混合して60℃で5時間攪拌した。攪拌終了後、ろ過し、水100部で二回洗浄し、70℃で一晩乾燥した。乾燥後、メタノールで再結晶し、2−ヨードフルオレン60部を白色粉末として得た。
合成例2
前記で得られた2−ヨードフルオレン20部を、ジメチルスルホキシド(DMSO)114部とテトラヒドロフラン(THF)23部の混合溶液に溶解して25℃で10分間攪拌した。その後、攪拌しながら、カリウム−tert−ブトキシド8.6部を添加した。20分後、ヨウ化メチル13.2部を添加し、さらに20分後、カリウム−tert−ブトキシド8.6部を添加した。その20分後、ヨウ化メチル13.2部を添加し、25℃で2時間攪拌した。攪拌終了後、反応液からTHFを留去し、トルエン−水で抽出し、トルエン相を硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエンを留去し、褐色タール状固体を得た。この褐色タール状固体をカラムクロマト(ヘキサン−酢酸エチル)で分離、精製し、9,9−ジメチル−2−ヨードフルオレン21部を無色の結晶として得た。
合成例3
前記で得られた9,9−ジメチル−2−ヨードフルオレン7部と4−メチル−N−フェニルベンゼン2部、炭酸カリウム7.6部、銅粉(200メッシュ)1.6部、18−クラウン−6 0.25部をジメチルホルムアミド(DMF)25部に溶解し、窒素雰囲気下160℃で24時間反応させた。反応終了後、ろ過し、ろ液を酢酸エチル−水で抽出し、酢酸エチル相を硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、褐色のタール状物質を得た。この褐色タール物質をカラムクロマト(ヘキサン−酢酸エチル)で分離、精製し、下記化合物(3001)3.8部を無色結晶として得た。
Figure 2009048925
合成例4
上記化合物(3001)3.7部、ベンジルトリメチルアンモニウムジクロロヨウ素酸塩4部をメタノール43部、クロロホルム93部の混合溶液に溶解させ、攪拌しながら炭酸カルシウム1.3部を添加し、25℃で2時間攪拌した。攪拌終了後、反応液を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液−クロロホルムで抽出し、クロロホルム相を硫酸マグネシウムで乾燥後、クロロホルムを留去し、黄黒色タール状物質を得た。この黄黒色タール状固体をカラムクロマト(ヘキサン)で分離し、ヘキサン−エタノールで再結晶し、下記化合物(3002)4.4部を無色の結晶として得た。
Figure 2009048925
合成例6
上記化合物(3002)1.7部と2−チオフェンボロン酸0.5部を1,2−ジメトキシエタン15部に溶解した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を0.116部と20%炭酸ナトリウム水溶液を10部加え、還流下3時間反応させた。反応混合物をトルエンで抽出、濃縮後、カラムクロマト(ヘキサン)で精製し、下記化合物(3003)1.38部を淡黄色の固体として得た。
Figure 2009048925
合成例7
窒素雰囲気下、上記化合物(3003)1.38部を無水テトラヒドロフラン(THF)67部に溶解させ、攪拌しながら−60℃に冷却した。10分後に、n−ブチルリチウム(1.6M:n−ヘキサン溶液)1.8部を添加し、−60℃で40分攪拌した。その後、ジメチルホルムアミド1.6部を添加し−60℃でさらに30分攪拌した。反応温度を25℃とし、さらに1時間攪拌した。攪拌終了後、反応液を酢酸エチル−水で抽出し、酢酸エチル相を硫酸マグネシウムで乾燥し、酢酸エチルを留去し、褐色のタール状物質を得た。この褐色タール状固体を、カラムクロマト(ヘキサン−酢酸エチル)で分離、精製し、下記化合物(3004)0.48部を橙色の結晶として得た。
Figure 2009048925
実施例1
上記化合物(3004)0.3部とシアノ酢酸メチル0.12部をエタノール20部に溶解させ、加熱還流させた。無水ピペリジン0.01部を添加し、2時間加熱還流させた。その後、25℃で1時間攪拌した。得られた反応液を、5%水酸化ナトリウム−エタノール溶液100部に注ぎいれ、1時間加熱還流した。その後、反応液を水200部に注ぎいれ、攪拌しながら10%塩酸水溶液を、pHが6になるまで添加した。析出した結晶をろ過、水10部で洗浄し、70℃で一晩乾燥させた後、カラムクロマト(クロロホルム、クロロホルム−エタノール)で分離、精製し、さらにエタノールで再結晶し、前記化合物(364)0.3部を黄色の結晶として得た。
この化合物(364)の最大吸収波長、核磁気共鳴及びMassスペクトル測定値は次のとおりである。
最大吸収波長;λmax=443nm(水:アセトニトリル=1:1溶液)
核磁気共鳴の測定値;1H-NMR(PPM:d-DMSO):1.376(s.6H),2.303(s.3H),7.015(m.5H), 7.186(d.2H),7.312(m.3H),7.508(d.2H),7.606(d.2H),7.670(d.1H),7.753(m.2H), 8.060(s.1H)
Massスペクトル測定;[M+1]552.3
実施例2
上記化合物(3004)0.1部と下記化合物(3005)0.04部をエタノール20部中、無水ピペリジン0.01部存在下、6時間加熱還流した。反応終了後、25℃に冷却し、一晩放置し、析出した結晶をろ過、エタノール10部で洗浄、カラムクロマト(クロロホルム、クロロホルム−エタノール)で分離、精製し、さらにクロロホルム−エタノールで再結晶し、前記化合物(353)0.06部を黒色の結晶として得た。
Figure 2009048925
この化合物(353)の最大吸収波長及び核磁気共鳴測定値は次のとおりである。
最大吸収波長;λmax=528nm(水:アセトニトリル=1:1溶液)
核磁気共鳴の測定値;1H-NMR(PPM:d-DMSO):1.391(s.6H),2.317(s.3H),7.038(m.5H), 7.211(d.3H),7.308(m.3H),7.45(t.2H),7.524(d.1H),7.677(d.1H),7.758(m.4H),7.966(d.2H),8.079(d.1H),9.064(s.1H)
実施例3〜5及び比較例1〜3
本発明のメチン系色素である実施例1で得られた化合物(364)及び実施例2で得られた化合物(353)と、比較用として下記構造有する化合物(4001)及び(4002)を、化合物の濃度が3.2×10-4Mになるようにそれぞれ下記の溶剤に溶解した。
化合物(353) DMSO:エタノール=2:8の混合溶剤
化合物(364) DMSO:エタノール=1:9の混合溶剤
化合物(4001) DMSO:エタノール=1:9の混合溶剤
化合物(4002) エタノール
これらの溶液中に多孔質基板を室温(20℃)で12時間浸漬して各色素を担持せしめ、エタノールで洗浄後乾燥させることで色素増感された半導体微粒子の薄膜からなる本発明の光電変換素子を得た。尚、この時用いた多孔質基板は、透明導電性ガラス電極上に多孔質酸化チタンを450℃で30分焼結して得られた半導体薄膜に、0.2M四塩化チタン水溶液を約1cc滴下して室温(20℃)で24時間静置後、水洗してから再度450℃で30分焼成することにより得られた四塩化チタン処理酸化チタン半導体薄膜電極である。
また、実施例3及び比較例2については、包摂化合物として下記式(4000)で表されるコール酸を、濃度が3×10-2Mとなる量だけ前記の化合物溶液に更に加えて調製した溶液を用いて色素を担持させた。
このようにして得られた色素増感半導体微粒子の薄膜を設けた基板と、白金でスパッタされた導電性ガラスとを、半導体微粒子面とスパッタ面を対峙させて20μmの空隙を設けて固定し、その空隙に電解液を注入して空隙を満たすことにより太陽電池を作成した。電解液としては、3−メトキシプロピオニトリルにヨウ素/ヨウ化リチウム/1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウムアイオダイド/t−ブチルピリジンをそれぞれ0.1M/0.1M/0.6M/1Mになるように溶解したものを使用した。
測定に供する電池の大きさは実効部分を0.25cm2とした。光源は500Wキセノンランプを用いて、AM(大気圏通過空気量)1.5フィルターを通して100mW/cm2とした。変換効率はソーラシュミレータWXS−155S−10,AM1.5G(株)ワコム電創製)を用いて測定比較した。また、光電流電子数変換効率(IPCE)は分光感度測定装置(分光計器(株)製)を用いて測定比較した。
Figure 2009048925
Figure 2009048925
化合物番号(4001):国際公開特許WO2004/082061号公報記載の化合物番号205の物質。
化合物番号(4002):国際出願番号PCT/JP2006/310246号公報記載の化合物番号312の物質。
表13に、化合物(4002)を用いて作成した太陽電池の変換効率を1.00とした場合の、各色素を用いて作成した太陽電池の変換効率の相対値を示す。
Figure 2009048925
表14に、化合物(4001)を用いて作成した太陽電池の600nmにおける光電流電子数変換効率(IPCE)を1.00とした場合の、本願化合物(364)を用いて作成した太陽電池のIPCEの相対値を表す。
Figure 2009048925
表13及び表14の結果より、本発明の化合物(353)を用いて作成した太陽電池は、類似構造を有する公知の化合物(4002)を用いて作成した太陽電池と比べて変換効率が約30%優れていた。また化合物(364)を用いて作成した太陽電池も、公知のメチン系色素である化合物(4001)を用いて作成した太陽電池よりも変換効率が優れており、式(1)で表されるメチン系色素によって増感された光電変換素子を用いることにより、可視光を効果的に電気に変換できることがわかる。

Claims (24)

  1. 基板上に設けられた酸化物半導体微粒子の薄膜に、下記式(1)で表されるメチン系色素を担持させてなる光電変換素子
    Figure 2009048925
    (式(1)中、m及びnはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。R1は置換基を有しても良い芳香族残基又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。R2及びR3はそれぞれ水素原子又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。X1及びY1はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有しても良い芳香族残基、カルボキシル基、リン酸基、シアノ基又はスルフォニルベンゼン基を表す。また、X1とY1は結合して、置換基を有しても良い環を形成しても良い。Z1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はNR4を表す。R4は水素原子、置換基を有しても良い芳香族残基又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。A1、A2、A3、A4及びA5はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよい芳香族残基又は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基を表す。又、mが2以上でA2及びA3のそれぞれが複数存在する場合には、それぞれのA2及びA3は互いに同じか又は異なってもよい。又、mが0以外の場合、A1及び/又はA2及び/又はA3の複数個で置換基を有してもよい環を形成しても良い。又、mが0以外でかつnが0の場合、A1及び/又はA2及び/又はA3は環aを伴って置換基を有してもよい環を形成しても良い。nが2以上でA4及びA5のそれぞれが複数存在する場合には、それぞれのA4及びA5は互いに同じか又は異なってもよい。又、nが0以外の場合、A4及びA5で置換基を有してもよい環を形成しても良い。又、A4及び/又はA5は環aを伴って置換基を有してもよい環を形成しても良い。環aは置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基からなる群から選ばれる1〜4個の置換基を有していても良い。環a上に複数の置換基が存在する場合それらの置換基は互いに、又はA1及び/又はA2及び/又はA3、あるいはA4及び/又はA5と結合して置換基を有しても良い環を形成しても良い。環bは、置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基を有していても良い。環cは、置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基からなる群から選ばれる1〜4個の置換基を有していても良い。)。
  2. 1が酸素原子、硫黄原子又はセレン原子のいずれかである請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 1が硫黄原子である請求項2に記載の光電変換素子。
  4. nが1〜4である請求項2又は3に記載の光電変換素子。
  5. nが1である請求項4に記載の光電変換素子。
  6. mが0〜2である請求項4又は5に記載の光電変換素子。
  7. mが0である請求項6に記載の光電変換素子。
  8. 2及びR3が置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基である請求項6又は7に記載の光電変換素子。
  9. 2とR3が同一の無置換直鎖C1〜C18飽和アルキル基である請求項8に記載の光電変換素子。
  10. 無置換直鎖C1〜C18飽和アルキル基がメチル基である請求項9に記載の光電変換素子。
  11. 式(1)のメチン系色素が下記式(2)である請求項8乃至10のいずれか一項に記載の光電変換素子
    Figure 2009048925
    (式(2)中、R5は水素原子、置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換もしくは非置換アミノ基を表す。環dはR5以外に置換基を有してもよい芳香族残基、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素残基、ヒドロキシル基、リン酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アミド基、アセトアミド基、アシル基及び置換又は非置換アミノ基からなる群から選ばれる1〜4個の置換基を有していても良い。)。
  12. 5が置換基を有していても良い脂肪族炭化水素残基である請求項11に記載の光電変換素子。
  13. 1及びY1が、それぞれ独立にカルボキシル基、リン酸基又はシアノ基のいずれかである請求項8乃至10のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  14. 1及びY1のいずれか一方がカルボキシル基であり、他方がシアノ基である請求項13に記載の光電変換素子。
  15. 1とY1が結合して形成される環構造が、下記式(2001)〜(2044)で示される郡から選択される環構造の基である請求項8乃至10のいずれか一項に記載の光電変換素子
    Figure 2009048925
    (式(2001)〜(2044)において、*は式(1)におけるX1とY1が結合している炭素原子を表す。)。
  16. 1とY1が結合して形成される環構造が、カルボキシル基を置換基として有する基である請求項15に記載の光電変換素子。
  17. 1とY1が結合して形成する環構造が、下記式(2007)で表される基である請求項16に記載の光電変換素子
    Figure 2009048925
    (式(2007)において、*は式(1)におけるX1とY1が結合している炭素原子を示す。)。
  18. 1〜A5が水素原子である請求項13乃至17のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  19. 環a、b及びcがいずれも無置換である請求項18に記載の光電変換素子。
  20. 基板上に設けられた酸化物半導体微粒子の薄膜に、請求項1に記載の式(1)で表されるメチン系色素の一種以上並びに金属錯体及び/又は式(1)以外の構造を有する有機色素を担持させた光電変換素子。
  21. 酸化物半導体微粒子の薄膜が二酸化チタン、酸化亜鉛又は酸化スズを含有する薄膜である請求項1乃至20のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  22. 酸化物半導体微粒子の薄膜に、包摂化合物の存在下でメチン系色素を担持させてなる請求項1乃至21のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  23. 請求項1乃至22のいずれか一項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
  24. mが0、nが1、Z1が硫黄原子、R1がメチルベンゼン、R2及びR3がメチル基、A1、A4及びA5が水素原子、環a、b及びcがいずれも無置換である請求項1に記載の光電変換素子。
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