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JP2008517912A - RNA依存性RNAウイルス感染治療用フッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド - Google Patents

RNA依存性RNAウイルス感染治療用フッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド Download PDF

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JP2008517912A JP2007537946A JP2007537946A JP2008517912A JP 2008517912 A JP2008517912 A JP 2008517912A JP 2007537946 A JP2007537946 A JP 2007537946A JP 2007537946 A JP2007537946 A JP 2007537946A JP 2008517912 A JP2008517912 A JP 2008517912A
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Abstract

本発明は、RNA依存性RNAウィルスポリメラーゼの阻害剤であるフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物を提供する。これらの化合物は、RNA依存性RNAウィルス複製の阻害剤であり、RNA依存性ウィルス感染の治療に有用である。それらは特に、C型肝炎ウィルス(HCV)NS5Bポリメラーゼの阻害剤として、HCV複製の阻害剤として、および/又はC型肝炎感染の治療に有用である。本発明はさらに、単独で、あるいはRNA依存性RNAウィルス感染、特にHCV感染に対して活性な他の薬剤との組み合わせで、そのようなフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシドを含有する医薬組成物に関するものでもある。本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシドを用いたRNA依存性RNAポリメラーゼの阻害方法、RNA依存性RNAウィルス複製の阻害方法、および/またはRNA依存性RNAウィルス感染の治療方法も開示されている。

Description

本発明は、フッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびそれのある種の誘導体、それらの合成、ならびにRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関する。本発明の化合物は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤であり、RNA依存性RNAウイルス感染の治療に有用である。これら化合物は、C型肝炎ウイルス(HCV)NS5Bポリメラーゼの阻害薬として、HCV複製の阻害薬として、ならびにC型肝炎感染の治療において特に有用である。
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、世界の人口の2〜15%と推定される感染者のかなりの数において、肝硬変および肝細胞癌などの慢性肝臓疾患に至る主要な健康上の問題となっている。米国疾病管理センターによると、米国のみで感染者数は390万人と推定されている。世界保健機構によれば、世界的には感染者は1億7千万人であり、毎年少なくとも3〜4百万人が感染している。一旦感染すると、感染者の約20%がウイルスを排除するが、それ以外の感染者ではそれ以降の生涯にわたってHCVが常在することになる。慢性感染者の10〜20%が、最終的に肝臓破壊性の肝硬変または癌を発症する。このウイルス疾患は、汚染された血液および血液製品、汚染された針によって非経口的に、あるいは性的に、および感染した母親またはキャリアの母親から子供へと垂直に伝染する。組換えインターフェロン−α単独またはヌクレオシド類縁体であるリバビリンと併用したものを用いた免疫療法に制限される現行のHCV感染治療は、臨床的効果が限定されたものである。さらに、HCVには確立されたワクチンがない。従って、慢性HCV感染と効果的に対処する改良された治療薬が緊急に必要とされている。HCV感染治療における最新技術について総説が出されており、各種刊行物が参照される(B.Dymock,et al.,″Novel approaches to the treatment of hepatitis C virus infection″,Antiviral Chemistry&Chemotherapy,11:79−96(2000);H.Rosen,et al.,″Hepatitis C virus:current understanding and prospects for future therapies″,Molecular Medicine Today,5:393−399(1999);D.Moradpour,et al.,″Current and evolving therapies for hepatitis C″,European J.Gastroenterol.Hepatol.,11:1189−1202(1999);R.Bartenschlager,″Candidate Targets for Hepatitis C Virus−Specific Antiviral Therapy″,Intervirology,40:378−393(1997);G.M.Lauer and B.D.Walker,″Hepatitis C Virus Infection″,N. Engl.J.Med.,345:41−52(2001);B.W.Dymock,″Emerging therapies for hepatitis C virus infection″,Emerging Drugs,6:13−42(2001);and C. Crabb,″Hard−Won Advances Spark Excitement about Hepatitis C″,Science:506−507(2001);これらの内容はいずれも、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)。
HCV療法に向けて各種方法が行われており、それにはウイルスセリンプロテイナーゼ(NS3プロテアーゼ)、ヘリカーゼおよびRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)の阻害、ならびにワクチンの開発などがある。
HCVビリオンは、約3010アミノ酸のポリ蛋白をコードする約9600塩基の単一のオリゴリボヌクレオチドゲノム配列を有するエンベロープ正鎖(positive−strand)RNAウイルスである。HCV遺伝子の蛋白産生物は、構造蛋白C、E1およびE2、ならびに非構造蛋白NS2、NS3、NS4AおよびNS4B、そしてNS5AおよびNS5Bからなる。非構造(NS)蛋白は、ウイルス複製の触媒機構を提供するものと考えられている。NS3プロテアーゼは、ポリ蛋白鎖から、RNA依存性RNAポリメラーゼであるNS5Bを放出する。HCVNS5Bポリメラーゼは、HCVの複製サイクルにおける鋳型として作用する1本鎖ウイルスRNAから二本鎖RNAを合成するのに必要である。従ってNS5Bポリメラーゼは、HCV複製複合体において必須の構成要素であると考えられる[K.Ishi,et al.,″Expression of Hepatitis C Virus NS5B Protein: Characterization of Its RNA Polymerase Activity and RNA Binding″,Hepatology,29:1227−1235(1999)and V. Lohmann,et al.,″Biochemical and Kinetic Analyses of NS5B RNA−Dependent RNA Polymerase of the Hepatitis C Virus″,Virology,249:108−118(1998)参照]。HCVNS5Bポリメラーゼの阻害は、二本鎖HCVRNAの形成を防止することから、HCV特異的抗ウイルス療法開発につながる注目すべき方法である。
HCV感染の治療に可能性をもつHCV NS5Bポリメラーゼの阻害剤の開発は、文献に概説されている:M.P.Walker et al.,“慢性C型肝炎処置のための有望候補”Expert Opin.Invest.Drugs,12:1269−1280(2003);P.Hoffmann et al.,“C型肝炎ウイルス感染の実験療法に関する最近の特許(1999−2002),”Expert Opin. Ther.Patents,”13:1707−1723(2003);and V.Brass,et al.,“HCVに対する標的同定における最近の展開”Expert Opin. Ther. Targets,”8:295−307(2004)。プリンリボヌクレオシドによるHCV複製の阻害について、文献(A.E.Eldrup,et al.,“HCV RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害のためのプリンリボヌクレオシドの構造−活性相関”J.Med. Chem.,47:2283−2295(2004))に報告されている。HCV治療のための治療方法として、HCVポリメラーゼの阻害剤としての構造的に多様なヌクレオシド誘導体がなお引き続き必要とされる。
米国特許 USP6,777,396(2004年8月17日発行)は、HCV感染の治療に有用なHCV NS5Bポリメラーゼの阻害剤として、一連の構造的に新規なピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド誘導体を開示した。かかる化合物の生物学的性質は、文献(D.B.Olsen et al.,“7−デアザ−アデノシン類似体はすぐれた薬物動態学的性質を有するHCV複製の強力な選択的阻害剤である”Antimicrob.Agents Chemother.,48:3944−3953(2004)およびA.E.Eldrup,et al.,“C型肝炎ウイルスRNA複製の阻害剤としてのヘテロ塩基修飾2’−C−メチルリボヌクレオシドの構造−活性相関”J.Med.Chem.,47:5284−5297(2004))に記載されている。ここで今回発見されたことは、ピロロ[2,3−d]ピリミジン核のC−5位置にフッ素を導入する(7−デアザ−7−フルオロアデノシン類似体)と、肝臓へのより良い分布など、すぐれた薬物動態学的性質をもつHCV RNA複製のより強力な阻害剤であるヌクレオシド誘導体が提供されることである。
米国特許 USP6,777,396
従って、本発明の目的は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤、特に、HCV NS5Bポリメラーゼの阻害剤として有用なフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびそのある種の誘導体を提供することにある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤として、特にC型肝炎ウイルス複製の阻害剤として有用なフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびそのある種の誘導体を提供することにある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス感染の治療、特にHCV感染の治療に有用なフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびそのある種の誘導体を提供することにある。
本発明の別の目的は、本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物を医薬的に許容される担体とともに含有してなる医薬組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤として、特にHCV NS5Bポリメラーゼの阻害剤として使用する本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびその誘導体を含有してなる医薬組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤として、特にHCV複製の阻害剤として使用する本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびその誘導体を含有してなる医薬組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス感染の治療、特にHCV感染の治療に使用する本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびその誘導体を含有してなる医薬組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびその誘導体を、RNA依存性RNAウイルス、特にHCVに対して活性な他の薬剤と組合わせて含有してなる医薬組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害方法、特にHCV NS5Bポリメラーゼの阻害方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害方法、特にHCV複製の阻害方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス感染の治療方法、特にHCV感染の治療方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルスに対して活性な他の薬剤と組合わせてRNA依存性RNAウイルス感染を治療する方法であって、特にHCVに対して活性な他の薬剤と組合わせてHCV感染を治療する方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害および/またはRNA依存性RNAウイルス感染の治療、特にHCV複製の阻害および/またはHCV感染の治療のための医薬として使用するフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびそのある種の誘導体ならびにその医薬組成物を提供することある。
本発明の別の目的は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害、および/またはRNA依存性RNAウイルス感染の治療、特にHCV複製の阻害および/またはHCV感染治療用の医薬の製造における、フッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびそのある種の誘導体ならびにその医薬組成物の使用を提供することにある。
これらの目的およびその他の目的は以下の詳細な説明から容易に明らかとなろう。
本発明は表示した立体化学配置を有する構造式(I):
Figure 2008517912
[式中、
は水素またはフッ素であり;
はフッ素またはヒドロキシであり;
は水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、または構造式:
Figure 2008517912
で示されるアミノアシル残基であり;
は水素、C1−10アルキルカルボニル、ホスホリルまたはその環状プロドラッグエステル、ジホスホリル、トリホスホリル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、CHO(C=O)C1−4アルキル、CH(C1−4アルキル)O(C=O)C1−4アルキル、構造式:
Figure 2008517912
で示されるアミノアシル残基、構造式:
Figure 2008517912
で示される残基であり;
はアミノまたはヒドロキシであり;
は水素、アミノ、またはフルオロであり;
は水素、C1−5アルキル、またはフェニルC0−2アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アシル、ベンゾイル、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルC0−2アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、フェニルC0−2アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニル、またはフェニルC0−2アルキルスルホニルであり;
は水素、C1−5アルキル、フェニルまたはベンジルである;ただし、該アルキルは未置換であるか、またはヒドロキシ、メトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、グアニジノ、メルカプト、メチルチオ、1H−イミダゾリル、および1H−インドール−3−イルからなる群より選択される1個の置換基で置換されており;ただし、該フェニルおよびベンジルは未置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、およびメトキシからなる群より独立して選択される1ないし2個の置換基で置換されており;
10は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、またはベンジルであり;ただし、該アルキルおよびシクロアルキルは未置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシから独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されており;ただし、該フェニルおよびベンジルは未置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシ、およびトリフルオロメチルから独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されており;
Arは未置換のフェニルであるか、またはハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ、およびC1−4アルコキシカルボニルからなる群より独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されたフェニルである;
ただし、R、R、R、およびRが水素であり、Rがヒドロキシである場合、Rはアミノではない]
で示されるヌクレオシド化合物またはその医薬的に許容される塩に関する。
式(I)で示される化合物はRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤として、特にHCV NS5Bポリメラーゼの阻害剤として有用である。それらはまたRNA依存性RNAウイルス複製、特にHCV複製の阻害剤でもあり、RNA依存性RNAウイルス感染の治療、特にHCV感染の治療に有用である。
さらに本発明に包含されるのは、該化合物単独、またはRNA依存性RNAウイルス、特にHCVに対して活性な他の薬剤と組合わせて該化合物を含有してなる医薬組成物、ならびにRNA依存性RNAウイルス複製を阻害する方法、およびRNA依存性RNAウイルス感染を治療する方法である。
本発明は表示した立体化学配置を有する構造式(I):
Figure 2008517912
[式中、
は水素またはフッ素であり;
はフッ素またはヒドロキシであり;
は水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、または構造式:
Figure 2008517912
で示されるアミノアシル残基であり;
は水素、C1−10アルキルカルボニル、ホスホリルまたはその環状プロドラッグエステル、ジホスホリル、トリホスホリル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、CHO(C=O)C1−4アルキル、CH(C1−4アルキル)O(C=O)C1−4アルキル、構造式:
Figure 2008517912
で示されるアミノアシル残基、構造式:
Figure 2008517912
で示される残基であり;
はアミノまたはヒドロキシであり;
は水素、アミノ、またはフルオロであり;
は水素、C1−5アルキル、またはフェニルC0−2アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アシル、ベンゾイル、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルC0−2アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、フェニルC0−2アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニル、またはフェニルC0−2アルキルスルホニルであり;
は水素、C1−5アルキル、フェニルまたはベンジルであり;ただし、該アルキルは未置換であるか、またはヒドロキシ、メトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、グアニジノ、メルカプト、メチルチオ、1H−イミダゾリル、および1H−インドール−3−イルからなる群より選択される1個の置換基で置換されており;ただし、該フェニルおよびベンジルは未置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、およびメトキシからなる群より独立して選択される1ないし2個の置換基で置換されており;
10は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、またはベンジルであり;ただし、該アルキルおよびシクロアルキルは未置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシから独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されており;ただし、該フェニルおよびベンジルは未置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシ、およびトリフルオロメチルから独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されており;
Arは未置換のフェニルであるか、またはハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ、およびC1−4アルコキシカルボニルからなる群より独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されたフェニルである;
ただし、R、R、R、およびRが水素であり、Rがヒドロキシである場合、Rはアミノではない]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩に関する。
式(I)で示される化合物はRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤として有用である。それらはまたRNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤であり、RNA依存性RNAウイルス感染の治療に有用である。
本発明化合物の一態様においては、Rが水素であり、Rがヒドロキシであり、RおよびRが水素である。
本発明化合物の第二の態様においては、Rが水素であり、Rがフルオロであり、RおよびRが水素である;ただし、R、R、R、およびRが水素であり、Rがヒドロキシである場合、Rはアミノではない。
本発明化合物の第三の態様においては、Arが未置換のフェニルである。
本発明化合物の第四の態様においては、Rが水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、2−メチル−1−プロピル、ヒドロキシメチル、メルカプトメチル、カルボキシメチル、カルバモイルメチル、1−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−カルバモイルエチル、2−メチルチオエチル、4−アミノ−1−ブチル、3−アミノ−1−プロピル、3−グアニジノ−1−プロピル、1H−イミダゾール−4−イルメチル、フェニル、4−ヒドロキシベンジル、および1H−インドール−3−イルメチルからなる群より選択される。この態様のクラスにおいて、Rはメチルまたはベンジルである。
本発明化合物の第五の態様においては、R10がC1−6アルキル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルである。この態様のクラスにおいて、R10はメチルである。
本発明化合物の第六の態様においては、Arが未置換のフェニルであり、Rがメチルまたはベンジルであり、R10がメチルである。
構造式(I)で示される本発明化合物はRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤として有用であり、その例は以下の化合物であるが、これらに限定されるものではない:
式:
Figure 2008517912
である2,4−ジアミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
式:
Figure 2008517912
である2−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン:
式:
Figure 2008517912
である2,4−ジアミノ−5−フルオロ−7−(2−フルオロ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
式:
Figure 2008517912
である4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−フルオロ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;または
式:
Figure 2008517912
である2−アミノ−5−フルオロ−7−(2−フルオロ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン;または
その医薬的に許容される塩。
本発明の一態様において、本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物は、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤として、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤として、および/またはプラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス感染の治療のために有用である。この態様のクラスにおいて、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルスは、フラビビリダ(Flaviviridae)ウイルスまたはピコルナビリダ(Picornaviridae)ウイルスである。このクラスのサブクラスにおいて、ピコルナビリダウイルスはライノウイルス、ポリオウイルス、またはA型肝炎ウイルスである。このクラスの第二のサブクラスにおいて、フラビビリダウイルスはC型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイル病ウイルス、日本脳炎ウイルス、バンジ(Banzi)ウイルス、およびウシウイルス性下痢性ウイルス(BVDV)からなる群より選択される。このサブクラスのサブクラスにおいて、フラビビリダウイルスはC型肝炎ウイルスである。
本発明の別の態様は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼを阻害する方法、RNA依存性RNAウイルス複製を阻害する方法、および/または哺乳動物に治療法有効量の構造式(I)で示される化合物を投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物におけるRNA依存性RNAウイルス感染の治療方法に関する。
本発明の別の態様において、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼは、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼである。この態様のクラスにおいて、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼは、フラビビリダウイルスポリメラーゼまたはピコルナビリダウイルスポリメラーゼである。このクラスのサブクラスにおいて、ピコルナビリダウイルスポリメラーゼは、ライノウイルスポリメラーゼ、ポリオウイルスポリメラーゼ、またはA型肝炎ウイルスポリメラーゼである。このクラスの第二のサブクラスにおいて、フラビビリダウイルスポリメラーゼは、C型肝炎ウイルスポリメラーゼ、黄熱病ウイルスポリメラーゼ、デング熱ウイルスポリメラーゼ、西ナイル病ウイルスポリメラーゼ、日本脳炎ウイルスポリメラーゼ、バンジ(Banzi)ウイルスポリメラーゼ、およびウシウイルス性下痢性ウイルス(BVDV)ポリメラーゼからなる群より選択される。このサブクラスのサブクラスにおいて、フラビビリダウイルスポリメラーゼはC型肝炎ウイルスポリメラーゼである。
本発明のこの側面の第二態様において、RNA依存性RNAウイルス複製は、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス複製である。この態様のクラスにおいて、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス複製は、フラビビリダウイルス複製またはピコルナビリダウイルス複製である。このクラスのサブクラスにおいて、ピコルナビリダウイルス複製は、ライノウイルス複製、ポリオウイルス複製、またはA型肝炎ウイルス複製である。このクラスの第二のサブクラスにおいて、フラビビリダウイルス複製は、C型肝炎ウイルス複製、黄熱病ウイルス複製、デング熱ウイルス複製、西ナイル病ウイルス複製、日本脳炎ウイルス複製、バンジ(Banzi)ウイルス複製、およびウシウイルス性下痢性ウイルス複製からなる群より選択される。このサブクラスのサブクラスにおいて、フラビビリダウイルス複製はC型肝炎ウイルス複製である。
本発明のこの側面の第三態様において、RNA依存性RNAウイルス感染は、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス感染である。この態様のクラスにおいて、プラスセンス一本鎖RNA依存性RNAウイルス感染は、フラビビリダウイルス感染またはピコルナビリダウイルス感染である。このクラスのサブクラスにおいて、ピコルナビリダウイルス感染は、ライノウイルス感染、ポリオウイルス感染、またはA型肝炎ウイルス感染である。このクラスの第二のサブクラスにおいて、フラビビリダウイルス感染は、C型肝炎ウイルス感染、黄熱病ウイルス感染、デング熱ウイルス感染、西ナイル病ウイルス感染、日本脳炎ウイルス感染、バンジ(Banzi)ウイルス感染、およびウシウイルス性下痢性ウイルス感染からなる群より選択される。このサブクラスのサブクラスにおいて、フラビビリダウイルス感染はC型肝炎ウイルス感染である。
本出願全体をとおして、以下の用語は表示した意味を有する:
「アルキル」、ならびにアルコキシおよびアルキルチオなど、接頭語「アル(alk)」を有するその他の基は、炭素鎖について特に断りのない限り、直鎖または分枝状、およびその組合わせであり得る炭素鎖を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどである。特定の炭素原子数、例えば、C3−10などが許される場合、用語アルキルはシクロアルキル基、およびシクロアルキル構造と組合わさった直鎖または分枝アルキル鎖をも包含する。
「シクロアルキル」はアルキルのサブセットであり、特定数の炭素原子を有する飽和の炭素環状環を意味する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどである。シクロアルキル基は特に断りのない限り、単環状である。シクロアルキル基は特に断りのない限り、飽和状である。
用語「アルケニル」は総炭素数2ないし6個の、またはこの範囲のいずれかの数の直鎖もしくは分枝鎖のアルケンを意味するものとする(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルなど)。
用語「アルキニル」は総炭素数2ないし6個の、またはこの範囲のいずれかの数の直鎖もしくは分枝鎖のアルキンを意味するものとする(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなど)。
用語「アルコキシ」は特定した炭素原子数(例えば、C1−4アルコキシ)の、またはこの範囲のいずれかの数の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシドをいう[例えば、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシなど]。
用語「アルキルチオ」は特定した炭素原子数(例えば、C1−4アルキルチオ)の、またはこの範囲のいずれかの数の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルスルフィドをいう[例えば、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオなど]。
用語「アルキルアミノ」は特定した炭素原子数(例えば、C1−4アルキルアミノ)の、またはこの範囲のいずれかの数の直鎖もしくは分枝のアルキルアミンをいう[例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノなど]。
用語「アルキルスルホニル」は特定した炭素原子数(例えば、C1−6アルキルスルホニル)の、またはこの範囲のいずれかの数の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルスルホンをいう[例えば、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルなど]。
用語「アルキルオキシカルボニル」は特定した炭素原子数(例えば、C1−4アルキルオキシカルボニル)の、またはこの範囲のいずれかの数の本発明カルボン酸誘導体の直鎖もしくは分枝鎖エステルをいう[例えば、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル、またはブチルオキシカルボニル]。
用語「アルキルカルボニル」は特定した炭素原子数(例えば、C1−4アルキルカルボニル)の、またはこの範囲のいずれかの数の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルアシル基をいう[例えば、メチルカルボニル(MeCO−)、エチルカルボニル、またはブチルカルボニル]。
用語「ハロゲン」はハロゲン原子のフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を包含するものとする。
用語「ホスホリル」は−P(O)(OH)をいう。
用語「ジホスホリル」は構造:
Figure 2008517912
を有する遊離基をいう。
用語「トリホスホリル」は構造:
Figure 2008517912
を有する遊離基をいう。
用語「置換された」は、指定された置換基による複数置換を包含するものとする。複数の置換部分が開示または請求項に記載されている場合、置換された化合物は、独立に1以上の開示または請求項に記載された置換基部分によって、1個または複数個置換されていることができる。
およびRのアミノアシル残基態様におけるRが、式:
Figure 2008517912
において水素以外である場合、該アミノアシル残基は不斉中心を含み、個々のR−およびS−立体異性体ならびにRS−ジアステレオマー混合物を包含するものとする。
用語「5’−三リン酸」とは以下の一般構造式(II)を有する本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物のヒドロキシル基の三リン酸エステル誘導体をいう:
Figure 2008517912
(ただし、式中、R〜R、R、およびRは上記定義のとおりである)。
また、本発明化合物は該三リン酸エステルの医薬的に許容される塩、ならびに構造式(III)および(IV)にてそれぞれ示される5’−一リン酸および5’−二リン酸エステル誘導体の医薬的に許容される塩をも包含するものとする:
Figure 2008517912
「医薬組成物」での場合のような「組成物」という用語は、有効成分および担体を構成する不活性成分を含むもの、ならびに2以上の成分の組み合わせ、複合体化もしくは凝集、または1以上の成分の溶解、または1以上の成分の他の種類の反応もしくは相互作用によって直接または間接に得られるものを包含するものとする。従って本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを混合することで得られるあらゆる組成物を包含する。
化合物の「投与」という用語は、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを、必要とする個体に提供することを意味するものと理解すべきである。
本発明の別の態様は、HCV感染の治療に有用な1以上の薬剤と併用した本発明の化合物によって、HCVNS5Bポリメラーゼを阻害する方法、HCV複製を阻害する方法、あるいはHCV感染を治療する方法に関する。そのようなHCVに対して活性な薬剤には、リバビリン、レボビリン(levovirin)、ビラミジン(viramidine)、チモシンα−1、インターフェロン−β、インターフェロン−α、PEG化インターフェロン−α(PEGインターフェロン−α)、インターフェロン−αとリバビリンの組み合わせ、PEGインターフェロン−αとリバビリンの組み合わせ、インターフェロン−αとレボビリンの組み合わせ、PEGインターフェロン−αとレボビリンの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。インターフェロン−αには、組換えインターフェロン−α2a(ホフマン−ラロッシュ社(Hoffmann−LaRoche, Nutley,NJ)から入手可能なロフェロン(Roferon)インターフェロンなど)、PEG化インターフェロン−α2a(Pegasys(商標名))、インターフェロン−α2b(シェリング社(Schering Corp.,Kenilworth,NJ)から入手可能なイントロン(Intron)−Aインターフェロンなど)、PEG化インターフェロン−α2b(PegIntron(商標名))、組換えコンセンサスインターフェロン(インターフェロン・アルファコン(alphacon)−1など)および精製インターフェロン−α製品などがあるが、これらに限定されるものではない。アムゲン社(Amgen)の組換えコンセンサスインターフェロンは、インフェルゲン(Infergen;登録商標)の商品名を有する。レボビリンはリバビリンのL−エナンチオマーであり、リバビリンと同様の免疫調節活性が示されている。ビラミジンは、WO01/60379(ICN Pharmaceuticalsに譲渡)に開示のリバビリンの類縁体を表す。本発明のこの方法によれば、組み合わせの個々の成分は、分割または単一の組み合わせの形態で、治療の過程における異なる時点で別個に、または同時に投与することができる。従って本発明は、そのような全ての同時または交互の投与法を包含するものと理解すべきであり、「投与」という用語はそれに準じて解釈すべきである。本発明の化合物とHCV感染の治療に有用な他の薬剤との組み合わせの範囲には基本的に、HCV感染治療用のあらゆる医薬組成物とのあらゆる組み合わせが含まれることは明らかであろう。本発明の化合物またはそれの医薬的に許容される塩をHCVに対して活性な第2の治療剤と併用する場合、各化合物の用量は、その化合物を単独で使用する場合と同じであるか、異なり得る。
HCV感染の治療においては、本発明の化合物は、HCVNS3セリンプロテアーゼの阻害薬である薬剤と併用して投与することもできる。HCVNS3セリンプロテアーゼは必須のウイルス酵素であり、HCV複製阻害の良好な標的であることが報告されている。HCVNS3プロテアーゼ阻害薬の基質性および非基質性の両方の阻害薬が、WO98/22496、WO98/46630、WO99/07733、WO99/07734、WO99/38888、WO99/50230、WO99/64442、WO00/09543、WO00/59929、GB2337262、WO02/48116、WO02/48172、およびUSP No.6,323,180に開示されている。HCV複製阻害薬の開発およびHCV感染治療の標的としてのHCVNS3プロテアーゼについては、ディモックの報告に記載されている(B.W.Dymock,“C型肝炎ウイルス感染に対する新しい治療法”,Emerging Drugs,6:13−42(2001))。
リバビリン、レボビリンおよびビラミジンは、細胞内酵素であるイノシンモノホスフェートデヒドロゲナーゼ(IMPDH)の阻害を介して、グアニンヌクレオチドの細胞内蓄積を調節することで、抗HCV効果を発揮することができる。IMPDHは、デ・ノボのグアニンヌクレオチド生合成における生合成経路に対する速度抑制酵素である。リバビリンは細胞内で容易にリン酸エステル化され、モノリン酸エステル誘導体がIMPDHの阻害薬である。そこでIMPDHの阻害は、HCV複製阻害薬を発見する上での別の有用な標的を代表するものである。従って本発明の化合物は、WO97/41211およびWO01/00622(Vertexに譲渡)に開示のVX−497などのIMPDHの阻害薬;WO00/25780(Bristol−Myers Squibbに譲渡)に開示のものなどの別のIMPDH阻害薬;またはミコフェノレート・モフェチル(mofetil)[A.C.Allison and E.M.Eugui,Agents Action,44(Suppl.):165(1993)参照]と併用して投与することもできる。
HCV感染治療の場合、本発明の化合物は抗ウイルス剤であるアマンタジン(1−アミノアダマンタン)[この薬剤についての詳細な説明については、J.Kirschbaum,Anal.Profiles Drug Subs.12:1−36(1983)参照]との併用で投与することもできる。
本発明の化合物は、HCV感染の治療を目的として、文献(R.E.Harry−O′Kuru,et al.,J.Org.Chem.,62:1754−1759(1997);M.S.Wolfe,et al.,Tetrahedron Lett.,36:7611−7614(1995);米国特許第3,480,613号(1969年11月25日);国際特許公開番号WO01/90121(2001年11月29日);国際特許公開番号WO01/92282(2001年12月6日);および国際特許公開番号WO02/32920(2002年4月25日);国際特許公開番号WO04/002999(2004年1月8日);国際特許公開番号WO04/003000(2004年1月8日);および国際特許公開番号WO04/002422(2004年1月8日);これらそれぞれの内容の全体を参照することにより、本明細書に組み込まれる)に開示の抗ウイルス性2′−C−分岐リボヌクレオシド類と組み合わせることもできる。かかる2′−C−分岐リボヌクレオシド類には、2’−C−メチルシチジン、2’−C−メチルウリジン、2’−C−メチルアデノシン、2’−C−グアノシン、および9−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−2,6−ジアミノプリン、およびリボースC−2’、C−3’、およびC−5’ヒドロキシルの相当するアミノ酸エステル(3’−O−(L−バリル)−2’−C−メチルシチジンおよび5’−リン酸誘導体の相当する任意に置換基を有する環状1,3−プロパンジオールエステルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明化合物はまたHCV感染の処置のために、抗HCV性を有する他のヌクレオシドとも組合わせ得る;例えば、以下の文献に開示されたものである:WO02/51425(2002年7月4日)、三菱製薬に譲渡;WO01/79246、WO02/32920、およびWO02/48165(2002年6月20日)、ファルマセット(Pharmasset,Ltd.)に譲渡;WO01/68663(2001年9月20日)、ICNファーマシューティカルに譲渡;WO99/43691(1999年9月2日);WO02/18404(2002年3月7日)、ホフマン−ラ・ロッシュに譲渡;U.S.2002/0019363(2002年2月14日);WO02/100415(2002年12月19日);WO03/026589(2003年4月3日);WO03/026675(2003年4月3日);WO03/093290(2003年11月13日):US2003/0236216(2003年12月25日);US2004/0006007(2004年1月8日);WO04/011478(2004年2月5日);WO04/013300(2004年2月12日);US2004/0063658(2004年4月1日);およびWO04/028481(2004年4月8日)。
本発明化合物はまたHCV感染の処置のために、HCVポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤とも組合わせ得る;例えば、WO01/77091(2001年10月8日)、ツラリク(Tularik,Inc.)に譲渡;WO01/47883(2001年月5日)、日本たばこ産業に譲渡;WO02/04425(2002年1月17日)、ベーリンガー・インゲルハイムに譲渡;WO02/06246(2002年1月24日)、生物分子研究所(Istituto di Ricerche di Biologia Moleculare P.Angeletti S.P.A.)に譲渡;およびWO02/20497(2002年3月3日)に開示されているものなどである。
「医薬的に許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が、製剤の他の成分と適合性でなければならず、それの被投与者に対して有害であってはならないことを意味する。
医薬的に許容される担体とともに、本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびそれの誘導体を含む医薬組成物も、本発明の範囲に含まれる。本発明の別の例は、上記の化合物のいずれかと、医薬的に許容される担体と組合わせることにより製造される医薬組成物である。本発明の別の例示は、上記記載の化合物のいずれかと、医薬的に許容される担体とを組合わせることによる医薬組成物の製造法である。
本発明の範囲には、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ、特にHCVNS5Bポリメラーゼの阻害に有用な、有効量の本発明の化合物および製薬上許容される担体を含む組成物も含まれる。RNA依存性RNAウイルス感染、特にHCV感染の治療に有用な医薬組成物も本発明に含まれ、さらにはRNA依存性RNAウイルスポリメラーゼ、特にHCVNS5Bポリメラーゼの阻害方法およびRNA依存性ウイルス複製、特にHCV複製の治療方法も含まれる。さらに本発明は、治療上有効量のRNA依存性RNAウイルス、特にHCVに対して活性である別の薬剤と組み合わせて、治療上有効量の本発明の化合物を含む医薬組成物に関するものでもある。HCVに対して活性な薬剤には、リバビリン、レボビリン、ビラミジン、チモシンα−1、HCVNS3セリンプロテアーゼの阻害薬、インターフェロン−α、PEG化インターフェロン−α(PEGインターフェロン−α)、インターフェロン−αとリバビリンの組み合わせ、PEGインターフェロン−αとリバビリンの組み合わせ、インターフェロン−αとレボビリンの組み合わせ、ならびにPEGインターフェロン−αとレボビリンの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。インターフェロン−αには、組換えインターフェロン−α2a(ホフマン−ラロッシュ社(Hoffmann−LaRoche,Nutley,NJ)から入手可能なロフェロン(Roferon)インターフェロンなど)、インターフェロン−α2b(シェリング社(Schering Corp.,Kenilworth,NJ)から入手可能なイントロン(Intron)−Aインターフェロンなど)、コンセンサスインターフェロンおよび精製インターフェロン−α製品などがあるが、これらに限定されるものではない。リバビリンおよびそれのHCVに対する活性についての議論は、サンダースらの報告(J.O.Saunders and S.A.Raybuck,″Inosine Monophosphate Dehydrogenase:Consideration of Structure,Kinetics,and Therapeutic Potential″,Ann.Rep.Med.Chem.,35:201−210(2000))を参照。
本発明の別の態様は、RNA依存性RNAウイルス複製、特にHCV複製の阻害、および/またはRNA依存性RNAウイルス感染、特にHCV感染の治療用の医薬製造における、フッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびその誘導体ならびにその医薬組成物の使用を提供する。本発明のさらに別の態様は、RNA依存性RNAウイルス複製、特にHCV複製の阻害、および/またはRNA依存性RNAウイルス感染、特にHCV感染の治療用の医薬としての、フッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物およびその誘導体ならびにそれの医薬組成物を提供する。
本発明の医薬組成物は、有効成分としての構造式Iの化合物またはそれの医薬的に許容される塩を含有し、医薬的に許容される担体および適宜に他の治療成分を含むこともできる。
その組成物には、経口、直腸、局所、非経口(皮下、筋肉および静脈)、眼(眼球)、肺(経鼻もしくは口腔吸入)または経鼻投与に好適な組成物などがある。ただし、ある場合における最も好適な経路は、治療対象となる状態の性質および重度、ならびに有効成分の性質によって決まる。その組成物は簡便には、単位製剤で提供することができ、製薬業界で公知の方法によって製造することができる。
実際の使用において構造式Iの化合物は、従来の医薬配合法に従って、医薬担体と十分に混和して有効成分として組み合わせることができる。担体は、経口または非経口(静脈投与を含む)などの投与に望まれる剤型に応じて、非常に多様な形態を取り得る。経口製剤用組成物の製造においては、通常の医薬媒体を用いることができ、それには例えば、懸濁液、エリキシル剤および液剤のような経口液体製剤の場合には、水、グリコール類、オイル類、アルコール類、香味剤、保存剤、着色剤などがあり;あるいは例えば粉剤、硬および軟カプセルおよび錠剤などの経口固体製剤の場合には、デンプン類、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体があり、液体製剤より固体製剤の方が好ましい。
投与が容易であることから、錠剤およびカプセルが最も有利な経口単位製剤を代表するものであり、その場合には固体の医薬担体を用いることは明らかである。所望に応じて、錠剤を標準的な水系もしくは非水系法によってコーティングすることができる。そのような組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含むものでなければならない。当然のことながら、その組成物注の活性化合物のパーセントは変動し得るものであり、簡便にはその単位の重量の約2%〜約60%とすることができる。そのような治療上有用な組成物における活性化合物の量は、有効な用量が得られる程度のものである。活性化合物はまた、例えば液体滴剤または噴霧剤として経鼻投与することもできる。
錠剤、丸薬、カプセルなどは、トラガカントガム、アカシア、コーンスターチもしくはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;ショ糖、乳糖もしくはサッカリンなどの甘味剤も含むことができる。単位製剤がカプセルである場合にそれは、上記の種類の材料以外に、脂肪油などの液体担体を含むことができる。
各種の他の材料が、コーティング剤として、あるいは単位製剤の物理形状を変えるために存在していても良い。例えば錠剤は、シェラック、糖またはその両方によってコーティングすることができる。シロップまたはエリキシル剤は、有効成分以外に、甘味剤としてのショ糖、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素およびチェリーもしくはオレンジ香味などの香味剤を含むことができる。
構造式Iの化合物は、非経口投与することもできる。これら活性化合物の液剤または懸濁液は、ヒドロキシ−プロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合して水で調製することができる。グリセリン、液体ポリエチレングリコール類およびオイル中でのそれの混合物で、分散液を調製することもできる。通常の保管および使用条件下では、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する。
注射に好適な医薬剤型には、無菌の水溶液または分散液ならびに無菌注射溶液もしくは分散液の即時調製用の無菌粉剤などがある。いずれの場合も、その製剤は無菌でなければならず、容易に注射できる程度の流動性を有するものでなければならない。それは、製造および保管条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して防腐しなければならない。担体は、例えば水、エタノール、多価アルコール(例:グリセリン、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合物ならびに植物油を含む溶媒または分散媒体であることができる。
哺乳動物、特にヒトに対して、治療上有効な用量の本発明の化合物を提供するため、いずれかの好適な投与経路を用いることができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼、肺、経鼻投与などを用いることができる。製剤には、錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、液剤、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどがある。好ましくは式Iの化合物は、経口投与する。
ヒトへの経口投与の場合に用量範囲は、分割投与で0.01〜1000mg/kgである。1実施形態において用量範囲は、分割投与で0.1〜100mg/kgである。別の実施形態では用量範囲は、分割投与で0.5〜20mg/kgである。経口投与の場合、組成物は好ましくは、有効成分1.0〜1000mg、特には治療対象患者への用量を症状に応じて調節するために、1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900および1000mg含む錠剤またはカプセルの形態で提供される。
使用される有効成分の有効投与量は、用いられる特定の化合物、投与形態、治療される状態ならびに治療される状態の重度に応じて変動し得る。そのような用量は、当業者であれば容易に確認することができる。その投与法を調節して、至適な治療応答を得ることができる。
本発明の化合物は1以上の不斉中心を有することから、ラセミ体およびラセミ混合物、単独のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして得られる場合がある。本発明は、下記の構造式で示したような5員フラノース環についてβ−D立体化学配置を有するフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物、すなわち、5員フラノース環のC−1およびC−4での置換基がβ−立体化学配置(太字線によって示した「上」向き)を有するフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物を包含するものである
Figure 2008517912
本明細書に記載された化合物の一部のものは、オレフィン二重結合を含み、特に断りのない限り、EおよびZの幾何異性体両方を含むことを意味する。
本明細書に記載された化合物の一部のものは、ケト−エノールおよびイミン−エナミン互変異性体などの互変異性体として存在し得る。個々の互変異性体ならびにその混合物は構造式(I)で示される化合物に包含される。本発明化合物に包含されるものとするケト−エノールおよびイミン−エナミン互変異性体の例は以下に示される:
Figure 2008517912
構造式(I)で示される化合物は、例えば、適当な溶媒(例えば、メタノールまたは酢酸エチルまたはその混合物)からの分別結晶化により、または光学活性の固定相を用いるキラルクロマトグラフィーを介して個々のジアステレオマーに分離することができる。
あるいは、構造式(I)で示される化合物のいずれかの立体異性体は、既知立体配置の光学的に純粋な出発原料または試薬を用いて、立体特異的合成により入手し得る。
本発明の化合物は、医薬的に許容される塩の形で投与することができる。「医薬的に許容される塩」という用語は、無機もしくは有機塩基および無機もしくは有機酸などの医薬的に許容される無毒性の塩基または酸から製造される塩を指す。「医薬的に許容される塩」に包含される塩基性化合物の塩は、一般に遊離塩基を好適な有機もしくは無機酸と反応させることで製造される本発明の化合物の無毒性塩を指す。本発明の塩基性化合物の代表的な塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩(estolate)、エシル酸塩(esylate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロマイド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート(embonate))、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、トシル酸塩、トリエチオジドおよび吉草酸塩などがあるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、それの好適な製薬上許容される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛の塩などの無機塩基から誘導される塩などがあるが、これらに限定されるものではない。特に好ましいものは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩である。製薬上許容される有機無毒性塩基から誘導される塩には、1級、2級および3級アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂の塩などがあり、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩がある。
また、カルボン酸(−COOH)、リン酸[−OP(O)(OH)]、またはアルコール基が本発明化合物に存在する場合、カルボン酸誘導体の医薬的に許容されるプロドラッグエステル、例えば、メチル、エチル、またはピバロイルオキシメチルエステル;フッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシドの5’−リン酸誘導体の医薬的に許容されるプロドラッグエステル(5’−一リン酸、5’−二リン酸、および5’−三リン酸を含む);またはリボースC−2’、C−3’、およびC−5’ヒドロキシルのプロドラッグアシル誘導体(O−酢酸エステル、O−マレイン酸エステル、およびO−アミノアシルなど)などを採用し得る。持続性放出またはプロドラッグ製剤として使用するために、生物利用能、組織分布、溶解性、および加水分解特性を改変するための、技術上既知のこれらエステルおよびアシル基が包含される。また、C−2’およびC−3’加水分解の5員環状炭酸エステル誘導体も包含される。意図した誘導体はインビボで容易に所望の化合物に変換し得る。従って、本発明の治療方法においては、用語の「投与する」および「投与」は、記載されたウイルス感染を具体的に開示されている化合物により、または具体的に開示されてはいないが、ヒト患者を含む哺乳動物に投与した後、インビボで特定の化合物に変化する化合物により治療することも含むことを意味する。適当なプロドラッグ誘導体の選択および調製の従来の方法は、例えば、文献(Design of Prodrugs(プロドラッグの設計)”ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985)に記載されている;これらの内容はいずれも、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明化合物の調製:
本発明化合物調製のための出発原料は、4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−9)であり、その合成について反応工程図1に示す。
Figure 2008517912
5−フルオロ−4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−4)の調製:
工程A:5−ブロモ−4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−2)
4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−1)(1.53g;10.0mmol)のDMF溶液(20mL)に、DMF(10mL)中のN−ブロモコハク酸イミド(1.78g;10.0mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで室温で1時間攪拌した。メタノール(25mL)を加え、反応混合物をさらに1時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣をメタノールから結晶化して標題化合物を白色固体として得た。
工程B:5−(トリメチルスタンニル)−4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−3)
工程Aの化合物(0.92g;4mmol)のTHF溶液(25mL)に、n−BuLi (2.5M/ヘキサン溶液;3.48mL)を−78℃で滴下した。添加後、反応混合物を−78℃でさらに30分間攪拌した。この溶液に塩化トリメチルスズ(0.88g、4.4mmol)/THF(8mL)を10分間で滴下した。反応混合物をゆっくりと室温とし、室温で終夜攪拌した。飽和塩化アンモニウム水(60mL)を加え、酢酸エチル(3×70mL)で抽出した。併せた有機抽出液を食塩水で洗い、NaSOで乾燥し、蒸発乾固させた。残渣をシリカゲル上で精製し、標題化合物を無色固体として得た。
工程C;5−フルオロ−4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−4)
工程Bの化合物(1.97g;6.20mmol)のCHCN溶液(60mL)に、[1−(クロロメチル)−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン・ビス(テトラフルオロボレート)](セレクトフルオル(SELECTFLUOR;登録商標;フッ素化試薬)(2.40g;6.5mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で7時間攪拌した。白色沈殿を濾去し、濾液を蒸発乾固させた。残渣をシリカゲル上酢酸エチル/ヘキサン(3:7)を溶出液として精製した。生成物を含むフラクションを集め、減圧留去し、標題化合物を無色固体として得た。
H−NMR(500MHz,MeOH−d):δ8.53(s,1H),7.37(d,J=2.8Hz);19F−NMR(DMSO−d):δ−171.5。
2−C−メチル−3,5−ジ−O−(p−トルオイル)−D−リボフラノース(1−6)の調製:
3−O−ベンジル−1,2−O−イソプロピリデン−3−C−メチル−α−D−アロフラノース(1−5)(調製法については、Carbohydr.Res.,44:275−283(1975)参照)(5.0kg;15.4mol)、ピリジン(3.7kg;46.2mol)およびアセトニトリル(35L)からなる溶液に、塩化p−トルオイル(5.2kg;33.9mol)を加え、反応物を50〜55℃で12時間加熱した。6.0L(46.2mol)の48wt%HBF(テトラフルオロホウ酸)の水溶液(9L)を50〜55℃で加えた。2時間後に、アセトニトリル10Lを留去し、10Lのアセトニトリルを加えた。変換率97%で、アセトニトリル10Lを留去し、反応溶液を0〜5℃に冷やした。過ヨウ素酸(4.2kg;18.5mol)の水溶液(10L)を加えた。反応物を30分間熟成した後、酢酸イソプロピル(35L)および水(10L)を加えた。有機相を水(25L),次いでNaHCO水(20L)、5%チオ硫酸ナトリウム水(15L)、および水(15L)で洗浄した。酢酸イソプロピル溶液を10〜15Lに濃縮し、メタノール40Lを加えた。この溶液を0℃に冷却し、ジイソプロピルアミン(0.78kg;7.7mol)を加えた。2日間0℃に放置した後、1N−HCl水(7.7L)を0〜5℃で加え、次いで酢酸イソプロピル(30L)および水(40L)を加えた。有機相を1N−HCl、NaHCO、および食塩水で洗った。有機相を共沸蒸留により乾燥し、活性炭で処理した。炭素を濾去し、得られる溶液を酢酸イソプロピルで75Lに希釈し、24時間、水素化した(45psi、50℃、1.5kgの10%Pd/C)。濾液を15Lに濃縮し、ヘプタン60Lを50℃で加えた。結晶性産物を濾取し、20%酢酸イソプロピル/ヘプタン10Lで洗浄した。乾燥して、4.03kgの所望のジオール(1−6)を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz):CDCl中のα:β異性体の比は約5:1であった。主要異性体:δ7.95−7.90(m,4H),7.26(d,J=8.0Hz,2H),7.17(d,J=8.0Hz,2H),5.53(d,J=7.2Hz,1H),5.22(d,J=2.8Hz,1H),4.65−4.49(m,3H),3.08(d,J=3.2Hz,1H),2.44(s,3H),2.38(s,3H),2.26(s,1H),1.44(s,3H)ppm;マイナー異性体:δ7.95−7.90(m,4H),7.27(d,J=8.0Hz,2H),7.22(d,J=8.0Hz,2H),5.16(d,J=5.6Hz,1H),5.12(d,J=5.6Hz,1H),4.66−4.49(m,3H),3.54(d,J=5.6Hz,1H),2.91(s,1H),2.43(s,3H),2.40(s,3H),1.44(s,3H)ppm。
4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−9)の調製:
工程A:1,2−アンヒドロ−3,5−ジ−O−(p−トルオイル)−2−C−メチル−α−D−リボフラノース(1−7)
72Lの容器に、乾燥ジクロロメタン(32L)、トリエチルアミン(3.0L)およびジオール(2−2)(3.44kg、90wt%純度)を入れた。この混合物を30℃に温め、次いで、塩化メタンスルホニル(0.79L)を40分かけて加えた。1時間後、バッチをpH7のバッファー(20L)とメチルtert−ブチルエーテル(44L)に分配した。有機相を1M−NaCl水(38L)で洗い、次いでトルエンに替えて減圧蒸留し、次いで約9Lまで濃縮した。得られるエポキシド溶液をそのまま工程Bにて使用した。
工程B:4−クロロ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−3,5−ジ−O−(p−トルオイル)−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−8)
4−クロロ−5−フルオロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−4)(28.4g;0.165mol)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(300mL)に、60%水素化ナトリウム(6.6g;0.165mol)を室温で分けて添加した。添加後、反応混合物を60℃で1時間攪拌した。この反応混合物に、1,2−アンヒドロ−3,5−ジ−O−(p−トルオイル)−2−C−メチル−α−D−リボフラノース(1−7)(63.4g;0.166mol)のTHF溶液(200mL)を加え、反応混合物を60℃で18時間加熱した。反応混合物を室温に冷やし、水(1L)と酢酸エチル(2L)に注入した。有機抽出液を水(500mL)で洗い、MgSOで乾燥し、蒸発乾固させた。残渣は10〜40%酢酸エチル/ヘキサンを溶出液とするシリカゲル上で精製した。生成物を含むフラクションを併わせて、濃縮して泡状物とし、これを以下の工程Cでそのまま使用した。
工程C:4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−9)
4−クロロ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−3,5−ジ−O−(p−トルオイル)−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−8)(29.4g;0.053mol)の無水アンモニア溶液(300mL)を密封容器中で、85℃で48時間加熱した。反応混合物を室温とし、残渣をメタノール(200mL)中にスラリー化し、濾過し、濾液をシリカゲル(200g)上に吸着させ、0〜30%メタノール/塩化メチレンを溶出液とするクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含むフラクションを併わせて、溶媒を留去して標題化合物(1−9)を固体として得た。
H−NMR(500MHz,MeOH−d):δ8.07(s,1H),7.41(d,J=2.2Hz,1H),6.25(d,J=1.8Hz),4.09−3.95(m,3H),3.82(dd,J=2.7,12.5Hz,1H);19F−NMR(MeOH−d):δ−170.4;マス・スペクトル:321(M+Na)
中間体(1−9)における6−アミノ−7−デアザプリン(7−デアザアデニン)環のC−2位置へのアミノ基の導入は、文献(H.Zhao,et al.,J.Org.Chem.,62:7832−7835(1997))記載の合成法に従い、反応工程図2に例示するように実施した。2,6−ジアミノ−7−デアザプリン環は文献(K.Alarcon et al.,Tetrahedron Lett.,41:7211−7215(2000))記載の方法に従い、反応工程図3に例示するように、7−デアザグアニン系に変換することができる。
以下の実施例は本発明化合物の調製に使用した条件を説明したものである。これらの実施例はどのような方法によっても本発明の範囲を限定しようとするものではなく、またそのように解釈すべきではない。ヌクレオシドおよびヌクレオチドの合成技術に習熟するものは、以下の調製法の条件とプロセスに既知の変更を加え、本発明のこれら化合物および他の化合物を調製し得ることを容易に認識し得よう。温度は特に断りのない限り、摂氏で表す。
Figure 2008517912
2,4−ジアミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(2−4)
工程A:4−アミノ−5−フルオロ−3−N−オキソ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(2−1)
4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−9)(268mg;0.899mmol)の50%メタノール/水溶液(20mL)に、m−クロロ過安息香酸(444mg、1.80mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣をトルエンと2回共沸蒸留し、標題化合物をベージュ色固体として得た。
工程B:2,4−ジアミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(2−4)
臭化シアン(75mg、0.708mmol)の水溶液(3mL)に、4−アミノ−5−フルオロ−3−N−オキソ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(2−1)(160mg、0.509mmol)の水溶液(3mL)を0℃で加えた。得られた溶液を0℃で1.5時間攪拌した。溶媒を留去し、トルエンとの共沸蒸留に付した。残渣にN,N−ジメチルホルムアミド(3.5mL)とトリエチルアミン(0.25mL、1.79mol)を加え、得られた溶液を室温で45分間攪拌した。ヨードメタン(0.25mL、4.0mmol)を分けて添加し、反応混合物を室温暗所で1.5時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣に0.25M水酸化ナトリウム水(10mL)を加え、室温で30分間攪拌した。反応混合物を1M−HClで中和し、エタノール(10mL)で希釈し、8時間60℃で加熱した。室温に冷却した後、濃水酸化アンモニウム(12mL)を加え、反応混合物を90℃に加熱してラネーニッケルを加えた。15分後に、熱時反応混合物をソルカ−フロック(solka−floc)で濾過し、溶媒を留去し、残渣をメタノール/塩化メチレンを溶出液とするシリカゲル上で精製した。生成物を含むフラクションを蒸発させて標題化合物(2−4)を固体として得た。
H−NMR(500MHz,MeOH−d):δ7.3(s,1H),6.1(s,1H),4.0(m,3H),3.8(d,1H),0.9(s,3H);
マス・スペクトル:314(M+1)。
Figure 2008517912
2−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン(3−2)
この化合物は、文献(K.Alarcon et al.,Tetrahedron Lett.,41:7211−7215(2000).)記載の条件に従い、DMF中の化合物(2−4)を、1,2−ビス[(ジメチルアミノ)メチレン]ヒドラジンで処理してトリアゾール(3−1)とし、これをDMSO中、1N−NaOH水で加水分解することにより調製する。
本発明の2−フルオロ−2−C−メチルリボヌクレオシド(構造式(I)におけるR=F)は、ヌクレオシドとヌクレオチド化学の実践において確立された合成方法に従って調製する。説明としては、反応工程図4〜6に示すように、化合物(6−3)(実施例3)の調製により説明する。D−リボース(4−1)を先ず保護する。この場合、酢酸エステルおよび安息香酸エステルなどのエステルが適当な保護基を提供するが、別の保護基も同様に使用し得る。エステル形成はD−リボースと適切なハロゲン化アシルまたはアシル無水物とを、場合により、溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、およびジクロロメタンなどの存在下に反応させることにより達成される。このような変換は化学文献上周知であり、その例は文献(Greene,T.W.,Wuts,P.G.M.,“Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基)”,John Wiley&Sons,Inc.,3rd Edition,1999)に見出し得る。
Figure 2008517912
中間体(4−3)は多くの方法で製造し得る。反応工程図4においては、ホルブルッゲン(Vorbruggen)反応(「ヌクレオシドの合成」;H.Vorbruggen and C.Ruh−Pohlenz,Organic Reactions,vol.55,pp1−630,2000)を用いて、ヌクレオ塩基5−フルオロ−4−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−4)を結合させて、保護ヌクレオシド(4−3)を形成する。次いで、エステル保護基を適切な方法、例えば、酸−または塩基−触媒加水分解およびエステル交換反応(例えば、メタノール中ナトリウムメトキシドを用いる)により除去し、(4−4)を得る。
次に、C−2’メチル基を反応工程図5に示すように導入する。C−2’ヒドロキシ基の直交の操作を可能とするために、5’および3’位置のヒドロキシル基を先ず保護する。これは多くの方法で達成し得るが、その一つの方法を反応工程図5に示す。前掲の文献(Greene,T.W.,Wuts,P.G.M.,“Protective Groups in Organic Synthesis”,John Wiley&Sons,Inc.,3rd Edition,1999)には多数の実例が含まれている;特に適当なのは、テトライソプロピルジシロキサニリデン環状エーテル(5−1)である。
Figure 2008517912
次いで、残りの遊離ヒドロキシル基は適当な酸化法、例えば、スワンもしくはモファット酸化またはデス−マーチン・ペルヨーディナン試薬の適用により酸化してケトン(5−2)とする。かかるプロセスの例は、関連の化学文献(例えば、“Comprehensive Organic Transformations’,Richard C.Larock,VCH Publishers,1989)に見出し得る。次いで、ケトン(5−2)は適当な有機金属試薬、例えば、メチルリチウムおよびハロゲン化メチルマグネシウムなどと反応させる。かかる反応は、好ましくは、低温で、テトラヒドロフランおよびジエチルエーテルなどの適切な溶媒中で実施する。この例では、メチル基が立体障害の少ない面から導入され、この立体制御が一方の異性体を優先的に産生する。かかる立体制御の例は関連の化学文献(例えば、“Stereochemistry of Organic Compounds”,Ernest L.Eliel and Samuel H.Wilen,Wiley−Interscience Publications,1994.)に見出し得る。次いで、反応工程図6に示すようにフルオロ基をC−2’位に導入する。
Figure 2008517912
3’および5’位置に存在するヒドロキシル基は上記のように選択的に保護する。低級アルキルまたは単純な芳香族エステル、例えば、酢酸エステルおよび安息香酸エステルの使用が有利である。選択される反応条件は、立体的に障害のあるC−2’ヒドロキシ基が影響を受けずにそのまま残るような条件である。フッ素の導入は、三フッ化ジエチルアミノイオウ(DAST)または他の適当なフッ素化試薬を使用し、場合により芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、およびクロロホルムなどの溶媒の存在下、低温、室温または高温で実施する。かかる変換の例は米国特許公開2005/0009737(2005年1月13日公開)に記載がある。所望のヌクレオシド(6−3)は、エステル保護基の加水分解除去と、引き続くヌクレオ塩基に存在する塩素原子とアンモニアとの置換により得られる。しかし、後の2工程の操作は、例えば、メタノールなどの適当な溶媒中、室温または高温で、必要なら高圧下に、アンモニアを使用して、ワンポットで行うのが有利である。
Figure 2008517912
4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−フルオロ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
工程A:
Figure 2008517912
D−リボース(5.00g;33mmol)、トリエチルアミン(46mL、330mmol)およびDMAP(810mg、6.6mmol)の無水DMF(80mL)溶液に、塩化p−トルオイル(22mL、165mmol)を滴下処理し、室温で3時間攪拌を続けた。300gの氷上に注入して反応を停止させた。氷が融けた後、粗生成物をジクロロメタン(3×100mL)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、溶媒を減圧留去した。残った油状残渣をアセトンで練和した。溶媒を傾斜法により除去し、固形残渣をイソプロピルアルコール(200mL)から結晶化した。生成物を次工程で使用した。
工程B:
Figure 2008517912
本化合物は文献(H.Vorbruggen and U.Niedballa,J.Org.Chem.,39:3654−3660(1974))記載の手法を用いて合成する。この変換に使用される4−クロロ−5−フルオロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1−4)は文献(A.B.Eldrup,et al.J.Med.Chem.,47:5284(2004))記載の方法に従って調製する。
工程C:
Figure 2008517912
本化合物は文献(K.L.Smith,et al.Bioorg.Med.Chem.Lett.,14:3517−3520(2004))記載の方法に従って、工程Bの生成物から合成する。
工程D:
Figure 2008517912
本化合物は文献(G.Gaubert,et al.Tetrahedron Lett.,45:5629−5632(2004))に公開された方法を用いて、工程Cの生成物から出発して合成する。
工程E:
Figure 2008517912
本化合物は文献(V.L.Moore,et al.Biochemistry,41:14066−14075(2002))記載の方法に従って、工程Dの生成物から合成する。
工程F:
Figure 2008517912
本化合物は文献(V.L.Moore,et al.Biochemistry,41:14066−14075(2002))記載の方法に従って、工程Eの生成物から合成する。
工程G:
Figure 2008517912
本化合物は文献(M.Gallo,et al.Tetrahedron,57:5707−5713(2001))記載の方法を用いて、工程Fの生成物から合成する。
工程H:
Figure 2008517912
本ジエステルは文献(M.Akira,et al.Chem.Pharm.Bull.,35:3967−3970(1987))記載の方法に従って、工程Gの生成物から合成する。
工程I:
Figure 2008517912
本化合物は文献(米国特許公開2005/0009737)記載の方法に従って、工程Hの生成物をDASTで処理することにより調製する。
工程J:
Figure 2008517912
実施例3はUSP6,777,395の実施例62の工程Fに記載された条件に従って、工程Iの化合物をメタノール性アンモニアで処理して合成する;この文献の内容はいずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ヌクレオシド5’−三リン酸
本発明のヌクレオシド5’−三リン酸は文献(Chem.Rev.100:2047(2000))記載の一般的方法に従って調製された。
ヌクレオシド5’−三リン酸の精製と純度分析
三リン酸エステルは、30×100mmのモノQカラム(ファルマシア)および50mMトリスのバッファー系(pH8)を使用するアニオン交換(AX)クロマトグラフィーにより精製した。溶出勾配は一般的に2本のカラム容積で6.5mL/分として、40mM−NaClないし0.8M−NaClとした。アニオン交換クロマトグラフィーからの適切なフラクションを集め、ルナ(Luna)C18 250×21mmカラム(フェノメネックス(Phenomenex))による逆相(RP)クロマトグラフィーにより、流速10ml/分で脱塩した。溶出勾配は一般に、5mM酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA)の一定濃度で、1%〜95%メタノール(14分)とした。
精製した三リン酸エステルのマス・スペクトルは、ヒューレット−パッカード(パロアルト、カリフォルニア)MSD1100上、オンラインHPLC質量分析を用いて測定した。RP HPLCには、フェノメネックス・ルナ(C18(2))、150×2mm、プラス30×2mmガードカラムを用いた。アセトニトリル/20mM−TEAA(酢酸トリメチルアンモニウム)(pH7)の0〜50%直線勾配(15分)は、マイナスイオン形成モードのマス・スペクトル検出と直接連結して実施した。窒素ガスとニューマティック・ネブライザーを用いて電子スプレーを生成させた。質量範囲150〜900をサンプルとした。分子質量はHPケムステーション(Chemstation)分析パッケージを用いて測定した。
精製した三リン酸エステルの純度は分析用RPおよびAX HPLCにより決定した。フェノメネックス・ルナまたはジュピターカラム(250×4.6mm)、5μm粒径によるRP HPLCは一般的に100mM−TEAA(pH7)中、2〜70%アセトニトリル勾配(15分)で実施した。AX HPLCは1.6×5mmのモノQカラム(ファルマシア)で実施した。三リン酸エステルは、50mMトリス(pH8)の一定濃度で、0〜0.4M−NaClにより溶出した。三リン酸エステルの純度は、一般的に>80%であった。
生物検定(アッセイ法)
HCVNS5BポリメラーゼおよびHCV複製の阻害を測定するのに用いたアッセイについて、以下に説明する。
本発明の化合物のHCVNS5BRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)阻害薬としての有効性を、以下のアッセイで測定した。
A.HCVNS5Bポリメラーゼ阻害アッセイ
このアッセイを用いて、本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド三リン酸がヘテロメリックRNA鋳型上のC型肝炎ウイルス(HCV)のRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)の酵素活性を阻害する能力を測定した。
手順
アッセイ緩衝液条件:(50μL−総量/反応)
20mM Tris、pH7.5
50μM EDTA
5mM DTT
2mM MgCl
80mM KCl
0.4U/μL RNAsin(Promega、原液は40単位/μLである)
0.75μg t500(C型肝炎ゲノムのNS2/3領域からの配列によるT7流出(runoff)転写を用いて得た500−ntRNA)
1.6μg 精製C型肝炎NS5B(C−末端切断した21アミノ酸で形成)
1μMA、C、U、GTP(ヌクレオシド三リン酸混合物)
[α−32P]−GTPまたは[α−33P]−GTP。
該ヌクレオシド三リン酸については、最終濃度100μMまでの各種濃度で試験を行った。
酵素および鋳型t500を含む適切な容量の反応緩衝液を調製した。本発明のヌクレオシド三リン酸をピペットを用いて96ウェルプレートのウェルに入れた。放射能標識したGTPを含むヌクレオシド三リン酸(NTP)の混合物を調製し、ピペットで96ウェルプレートに入れた。酵素−鋳型反応溶液を加えることで反応開始し、室温で1〜2時間反応を進行させた。
0.5M EDTA、pH8.0 20μLを加えることで反応を停止した。反応停止溶液をNTPに加えてから反応緩衝液を加えるブランク反応を含めた。
反応停止した反応液50μLをDE81フィルター円板(ワットマン(Whatman))にスポット添加し、30分間乾燥させた。フィルターを0.3Mギ酸アンモニウムpH8で洗浄した(洗浄液1mL中のcpmが100未満となるまで150mL/洗浄で実施する。通常は6回の洗浄)。フィルターについて、シンチレーションカウンターにおいて5mLシンチレーション液中でのカウンティングを行った。
阻害パーセントを、阻害%=[1−(試験反応でのcpm−ブランクでのcpm)/(対照反応でのcpm−ブランクでのcpm)]×100という式に従って計算した。
HCVNS5Bポリメラーゼアッセイで調べた代表的化合物は、100μM未満のIC50値を示した。
B.HCVRNA複製阻害アッセイ
本発明の化合物について、サブゲノムHCVレプリコンを含む培養肝癌(HuH−7)細胞におけるC型肝炎ウイルスRNAの複製に影響する能力も評価した。このアッセイの詳細について、以下に説明する。このレプリコンアッセイは、ローマンらの報告に記載の方法の変法である(V.Lohmann,F.Korner,J−O.Koch,U.Herian,L.Theilmann,and R.Bartenschlager,″Replication of a Sub−genomic Hepatitis C Virus RNAs in a Hepatoma Cell Line″,Science 285:110(1999))。
プロトコール
このアッセイは、in situでのリボヌクレアーゼ保護、シンチレーション近似に基づくプレートアッセイ(SPA)であった。細胞10000〜40000個を、96ウェルのサイトスター(cytostar)プレート(Amersham)で、0.8mg/mLのG418を含む培地100〜200μL中で平板培養した。0〜18時間の時点で、1%DMSO中100μMまでの各種濃度で化合物を細胞に加え、次に24〜96時間培養を行った。細胞を固定し(20分、10%ホルマリン)、浸透性とし(20分、0.25%TritonX−100/PBS)、RNAウイルスゲノムに含まれている(+)鎖NS5B(または他の遺伝子)に対して相補性である一本鎖33PRNAプローブでハイブリダーゼーションを行った(終夜、50℃)。細胞を洗浄し、RNAseで処理し、洗浄し、加熱して65℃とし、トップカウント(Top−Count)でカウンティングを行った。複製の阻害を、毎分カウント数(cpm)における低下として読み取った。
サブゲノムレプリコンを含むように選択したヒトHuH−7肝癌細胞は、HCV5′非翻訳領域(NTR)、ネオマイシン選択可能マーカー、EMCVIRES(内部リボソーム侵入部位)およびHCV非構造蛋白NS3〜NS5Bからなる細胞質RNAとそれに続く3′NTRを有する。
複製アッセイで調べた代表的な化合物は、100μM未満のEC50値を示した。
本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物について、以下に記載のカウンタースクリーニング(counterscreen)で、細胞傷害性および抗ウイルス特異性の評価も行った。
C.カウンタースクリーニング
本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物がヒトDNAポリメラーゼを阻害する能力を、以下のアッセイで測定した。
a.ヒトDNAポリメラーゼαおよびβの阻害
反応条件
反応容量50μL。
反応緩衝液成分
20mM Tris−HCl、pH7.5
200μg/mLウシ血清アルブミン
100mM KCl
2mM p−メルカプトエタノール
10mM MgCl
1.6μM dA、dG、dC、dTTP
α−33P−dATP。
酵素および鋳型
0.05mg/mLギャップ(gapped)魚精子DNA鋳型
0.01U/μL DNAポリメラーゼαまたはβ。
ギャップ魚精子DNA鋳型の製造
活性化魚精子DNA(USB70076)500μLに、1M MgCl 5μLを加える。
昇温させて37℃とし、65U/μLのエキソヌクレアーゼIII(ギブコBRL(GibcoBRL)18013−011)30μLを加える。
37℃で5分間インキュベートする。
65℃で10分間加熱することで、反応を終了させる。
20mM Tris−HCl、pH7.5で平衡としたバイオ−スピン(Bio−spin)6クロマトグラフィーカラム(バイオ−ラッド(Bio−Rad)7326002)に小分けサンプル50〜100μLを負荷する。
1000×gで4分間遠心することで溶離を行う。
溶出液を合わせ、260nmでの吸光度を測定して、濃度を求める。
DNA鋳型を適切な容量の20mM Tris−HCl、pH7.5で希釈し、酵素を2mM β−メルカプトエタノールおよび100mM KClを含む適切な容量の20mM Tris−HClで希釈した。鋳型および酵素をピペットで微量遠心管または96ウェルプレートに入れた。酵素を含まないブランク反応液および被験化合物を含まない対照反応液も、それぞれ酵素希釈緩衝液および被験化合物溶媒を用いて調製した。上記のような成分を含む反応緩衝液によって、反応を開始した。反応液を37℃で1時間インキュベートした。0.5M EDTA 20μLを加えることで反応停止した。反応停止した反応液50μLをワットマンDE81フィルター円板にスポット添加し、風乾させた。洗浄液1mLが<100cpmとなるまで、フィルター円板を0.3Mギ酸アンモニウム150mLで繰り返し洗浄した。円板を純粋エタノール150mLで2回、脱水エーテル150mLで1回洗浄し、乾燥し、シンチレーション液5mL中でカウンティングした。
阻害%=[1−(試験反応でのcpm−ブランクでのcpm)/(対照反応でのcpm−ブランクでのcpm)]×100という式に従って、阻害パーセントを計算した。
b.ヒトDNAポリメラーゼγの阻害
20mM Tris pH8,2mMメルカプトエタノール、50mM KCl、10mM MgClおよび0.1μg/μL BSAを含む緩衝液中で0.5ng/μL酵素;10μM dATP、dGTP、dCTPおよびTTP;2μCi/反応[α−33P]−dATPおよび0.4μg/μgL活性化魚精子DNA(US Biochemicalから購入)を含む反応で、ヒトDNAポリメラーゼγ阻害の能力を測定した。反応を37℃で1時間進行させ、最終濃度142mMまで0.5M EDTAを加えることで停止した。アニオン交換フィルター結合およびシンチレーションカウンティングによって、生成物形成を定量した。化合物について、50μMまで試験を行った。
阻害%=[1−(試験反応でのcpm−ブランクでのcpm)/(対照反応でのcpm−ブランクでのcpm)]×100という式に従って、阻害パーセントを計算した。
本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物がHIV感染力およびHIV伝播を阻害する能力を、以下のアッセイで測定した。
c.HIV感染力アッセイ
低バックグラウンドβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)発現に関して選択したCXCR4およびCCR5の両方を発現するHeLa Magi細胞の変異株を用いてアッセイを行った。細胞を48時間感染させ、組み込まれたHIV−1 LTRプロモーターからのβ−gal産生を、化学発光基質(Galactolight Plus,Tropix,Bedfordm,MA)を用いて定量した。100μMから開始する2倍連続希釈で、阻害薬の力価測定を行った(2連で)。各濃度での阻害パーセントを、対照感染との関連で計算した。
d.HIV伝播の阻害
本発明の化合物がヒト免疫不全ウイルス(HIV)の伝播を阻害する能力を、米国特許第5413999号(1995年5月9日)およびバッカらの報告(J.P.Vacca,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,91:4096−4100(1994))(これらは参照によって、その全内容が本明細書に組み込まれる)に記載の方法によって測定した。
本発明のフッ素化ピロロ[2,3−d]ピリミジンヌクレオシド化合物については、下記のアッセイに記載の方法に従って、MTS細胞に基づくアッセイでサブゲノムHCVレプリコンを含む培養肝癌(HuH−7)細胞に対する細胞傷害性のスクリーニングも行った。HuH−7細胞系については、ナカバヤシらの報告(H.Nakabayashi,et al.,Cancer Res.,42:3858(1982))に記載されている。
e.細胞傷害性アッセイ
3日間のインキュベーションでの懸濁培養用には細胞約1.5×10個/mL、3日間のインキュベーションでの付着培養用には細胞5.0×10個/mLの濃度で、細胞培養物を適切な培地中で製造した。細胞培養物99μLを96ウェル組織培養液処理プレートのウェルに移し入れ、100倍最終濃度の被験化合物のDMSO溶液1μLを加えた。プレートを、所定の期間にわたって37℃および5%COでインキュベートした。インキュベーション期間終了後、アッセイ試薬(CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay reagent)(MTS)(Promega)20μLを各ウェルに加え、さらに3時間にわたって、プレートを37℃および5%COでインキュベートした。プレートを撹拌して十分に混和し、490nmでの吸光度をプレート読取装置を用いて読み取った。懸濁培養細胞の標準曲線を、MTS試薬添加直前の既知細胞数で作成した。代謝活性細胞は、MTSをホルマザンに還元する。ホルマザンは、490nmで吸収を示す。化合物存在下での490nmでの吸光度を、化合物を添加しなかった細胞での吸光度と比較した。
参考文献:Cory,A.H.et al.,″Use of an aqueous soluble tetrazolium/formazan assay for cell growth assays in culture″,Cancer Commun.3:207(1991)。
以下のアッセイを用いて、他のRNA依存性RNAウイルスに対する本発明の化合物の活性を測定した。
a.ライノウイルスに対する化合物のin vitro抗ウイルス活性の測定(細胞変性効果阻害アッセイ)
アッセイ条件は、シドウェルおよびハフマンによる論文(Sidwell and Huffman,″Use of disposable microtissue culture plates for antiviral and interferon induction studies″,Appl.Microbiol.22:797−801(1971))に記載されている。
ウイルス
シドウェルおよびハフマンの参考文献に記載の方法に従って、ライノウイルス2型(RV−2)HGP株を、KB細胞および培地(0.1%NaHCO、抗生物質なし)とともに用いた。ATCCから入手したウイルスは、軽度の急性熱性上気道病の成人男性の咽頭スワブからのものであった。
ライノウイルス9型(RV−9)211株およびライノウイルス14型(RV−14)Tow株も、ATCC(American Type Culture Collection,Rockville,MD)から入手した。RV−9は、ヒト咽頭うがい液からのものであり、RV−14は気道病の成人男性の咽頭スワブからのものであった。これらのウイルスはいずれも、ヒト頸部類上皮癌細胞であるHeLa Ohio−1細胞(Dr.Fred Hayden,Univ.of VA)とともに用いた。5%ウシ胎仔血清(FBS)および0.1%NaHCOを含むMEM(イーグル最小必須培地)を、増殖培地として用いた。
これら3種類のウイルスについての抗ウイルス試験培地は、5%FBS、0.1%NaHCO、50μgゲンタマイシン/mLおよび10mM MgClを含むMEMとした。
本発明の化合物のアッセイを行う上での最高濃度は、2000μg/mLとした。被験化合物から約5分後に、アッセイプレートにウイルスを加えた。適切な対照についても行った。アッセイプレートを、加湿空気および5%COで37℃にてインキュベートした。形態変化に関して顕微鏡観察にて、対照細胞で細胞傷害性をモニタリングした。ウイルスCPEデータおよび細胞傷害性対照データの回帰分析によって、ED50(50%有効用量)およびCC50(50%細胞傷害性濃度)を得た。SI=CC50÷ED50という式によって、選択性指数(SI)を計算した。
b.デング熱ウイルス、バンジウイルスおよび黄熱病ウイルスに対する化合物のin vitro抗ウイルス活性の測定(CPE阻害アッセイ)
アッセイの詳細については、上記のシドウェルおよびハフマンの参考文献に記載されている。
ウイルス
デング熱ウイルス2型ニューギニア株を、疾病対策センターから入手した。2系統のアフリカミドリザル腎臓細胞を用いて、ウイルスを培養し(ベロ)、抗ウイルス試験を行った(MA−104)。感染マウス脳から得た黄熱病ウイルス17D株および南アフリカの発熱した少年の血清から単離したバンジウイルスH336株のいずれも、ATCCから入手した。ベロ細胞を、これら両方のウイルスとともに用い、アッセイに供した。
細胞および培地
MA−104細胞(BioWhittaker,Inc.,Walkersville,MD)およびベロ細胞(ATCC)を、5%FBSおよび0.1%NaHCOを含み、抗生物質を含まない培地199中で用いた。デング熱ウイルス、黄熱病ウイルスおよびバンジウイルス用のアッセイ培地は、MEM、2%FBS、0.18%NaHCOおよび50μgゲンタマイシン/mLとした。
本発明の化合物の抗ウイルス試験を、シドウェルおよびハフマンの参考文献に従い、上記のライノウイルス抗ウイルス試験と同様にして行った。これら各ウイルスについて、5〜6日後に十分な細胞変性効果(CPE)読取が行われた。
c.西ナイルウイルスに対する化合物のin vitro抗ウイルス活性の測定(CPE阻害アッセイ)
アッセイの詳細については、上記で引用のシドウェルおよびハフマンの参考文献に記載されている。カラス脳由来の西ナイルウイルスニューヨーク単離株を、疾病対策センターから入手した。上記の方法に従って、ベロ細胞を増殖させ、使用した。試験培地は、MEM、1%FBS、0.1%NaHCOおよび50μgゲンタマイシン/mLとした。
ライノウイルス活性についてのアッセイに用いたものと同様であるシドウェルおよびはハフマンの方法に従って、本発明の化合物の抗ウイルス試験を行った。5〜6日後に、十分な細胞変性効果(CPE)読取が行われた。
d.ライノウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、バンジウイルスおよび西ナイルウイルスに対する化合物のin vitro抗ウイルス活性の測定(ニュートラルレッド取り込みアッセイ)
上記のCPE阻害アッセイを行った後、文献(″Microtiter Assay for Interferon:Microspectrophotometric Quantitation of Cytopathic Effect″,Appl.Environ.Microbiol.31:35−38(1976))に記載の別の細胞変性検出法を用いた。EL309型微量プレート読取装置(Bio−Tek Instruments Inc.)を用いて、アッセイプレートの読取を行った。ED50およびCD50を上記の方法に従って計算した。
医薬製剤の例
本発明の化合物の経口組成物の具体的な実施形態として、実施例1または実施例2の化合物50mgを、十分に微粉砕した乳糖とともに製剤して総量580〜590mgを得て、サイズO硬ゼラチンカプセルに充填する。
以上、本発明の具体的な実施形態を参照しながら、本発明についての説明を行ったが、当業者には、本発明の精神および範囲を逸脱しない限りにおいて、各種の変更、修正および置き換えが可能であることは明らかであろう。例えば、HCV感染の重度に関して治療対象のヒトの応答における変動の結果として、上記のような好ましい用量以外の治療上有効な用量が適用可能な場合がある。同様に、認められる薬理応答は、選択される特定の活性化合物または医薬担体の有無、ならびに製剤の種類および用いられる投与形態に応じて変動し得るものであり、結果におけるそのような予想される変動もしくは差異は、本発明の目的および実務に従って想到されるものである。従って、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、そのような特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈すべきものである。

Claims (7)

  1. 構造式(I):
    Figure 2008517912
    [式中、
    は水素またはフッ素であり;
    はフッ素またはヒドロキシであり;
    は水素、C1−16アルキルカルボニル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、または構造式:
    Figure 2008517912
    で示されるアミノアシル残基であり;
    は水素、C1−10アルキルカルボニル、ホスホリルまたはその環状プロドラッグエステル、ジホスホリル、トリホスホリル、C2−18アルケニルカルボニル、C1−10アルキルオキシカルボニル、C3−6シクロアルキルカルボニル、C3−6シクロアルキルオキシカルボニル、CHO(C=O)C1−4アルキル、CH(C1−4アルキル)O(C=O)C1−4アルキル、構造式:
    Figure 2008517912
    で示されるアミノアシル残基、構造式:
    Figure 2008517912
    で示される残基であり;
    はアミノまたはヒドロキシであり;
    は水素、アミノ、またはフルオロであり;
    は水素、C1−5アルキル、またはフェニルC0−2アルキルであり;
    は水素、C1−4アルキル、C1−4アシル、ベンゾイル、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルC0−2アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、フェニルC0−2アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニル、またはフェニルC0−2アルキルスルホニルであり;
    は水素、C1−5アルキル、フェニルまたはベンジルであり;ただし、該アルキルは未置換であるか、またはヒドロキシ、メトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、グアニジノ、メルカプト、メチルチオ、1H−イミダゾリル、および1H−インドール−3−イルからなる群より選択される1個の置換基で置換されており;ただし、該フェニルおよびベンジルは未置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、およびメトキシからなる群より独立して選択される1ないし2個の置換基で置換されており;
    10は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、またはベンジルであり;ただし、該アルキルおよびシクロアルキルは未置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−4アルコキシから独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されており;ただし、該フェニルおよびベンジルは未置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシ、およびトリフルオロメチルから独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されており;
    Arは未置換のフェニルであるか、またはハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ、およびC1−4アルコキシカルボニルからなる群より独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されたフェニルである;
    ただし、R、R、R、およびRが水素であり、Rがヒドロキシである場合、Rはアミノではない]で示される化合物またはその医薬的に許容される塩。
  2. が水素であり、Rがヒドロキシであり、RおよびRが水素である請求項1記載の化合物。
  3. が水素であり、Rがフルオロであり、RおよびRが水素である請求項1記載の化合物。
  4. 式:
    Figure 2008517912
    である2,4−ジアミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
    式:
    Figure 2008517912
    である2−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン:
    式:
    Figure 2008517912
    である2,4−ジアミノ−5−フルオロ−7−(2−フルオロ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
    式:
    Figure 2008517912
    である4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−フルオロ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;または
    式:
    Figure 2008517912
    である2−アミノ−5−フルオロ−7−(2−フルオロ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン;または
    その医薬的に許容される塩である請求項1記載の化合物。
  5. 請求項1記載の化合物および医薬的に許容される担体を含有してなる医薬組成物。
  6. 哺乳動物におけるC型肝炎ウイルス感染を治療するための請求項1記載の化合物の使用。
  7. 哺乳動物におけるC型肝炎ウイルス感染の治療のための医薬の製造における請求項1記載の化合物の使用。
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