JP2008232899A - 基板およびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板の表面に開口する凹部を少なくとも1つ以上有し、前記凹部の底部の上面が平面形状であり、前記底部の厚みが5〜500μmであり、前記凹部の底部上面に1種類以上の生理活性物質が固定化されていることを特徴とする基板であり、好ましくは、基板の厚みが0.5〜3mmであり、基板の材質が樹脂であり、樹脂の耐熱性が100℃以上であり、樹脂が透明樹脂であり、凹部の底部上面にホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を有している基板。
【選択図】 図1
Description
化学とマイクロ・ナノシステム研究会監修「マイクロ化学チップの技術と応用」 丸善株式会社 平成16年9月20日発行 初版
(1)基板の表面に開口する凹部を少なくとも1つ以上有し、前記凹部の底部の上面が平面形状であり、前記底部の厚みが5〜500μmであり、前記凹部の底部上面に1種類以上の生理活性物質が固定化されていることを特徴とする基板。
(2)前記基板の厚みが0.5〜3mmである(1)記載の基板。
(3)前記基板の材質が樹脂である(1)又は(2)記載の基板。
(4)前記樹脂の耐熱性が100℃以上である(3)3記載の基板。
(5)前記樹脂が透明樹脂である(3)又は(4)記載の基板。
(6)前記凹部の底部上面が親水性の表面処理が施されている(1)〜(5)いずれか記載の基板。
(7)前記凹部の底部上面にホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を有している(1)〜(5)いずれか記載の基板。
(8)前記基板がスライド形状である(1)〜(7)いずれか記載の基板。
(9)前記凹部中で酵素反応を行うことを特徴とする(1)〜(8)いずれか記載の基板の使用方法。
(10)前記酵素反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR反応)を含む(9)記載の基板の使用方法。
(11)前記酵素反応が、逆転写反応を含む(9)又は(10)記載の基板の使用方法。
(12)前記凹部中で生体分子間相互作用の解析を行うことを特徴とする(1)〜(8)いずれか記載の基板の使用方法。
(13)前記生体分子間相互作用が、抗原抗体反応を含む(12)記載の基板の使用方法。
(14)前記生体分子間相互作用が、糖鎖−レクチン間相互作用を含む(12)又は(13)記載の基板の使用方法。
また、例えばPCR法のように熱サイクルを繰り返し行う反応を必要とする場合、反応から検出までにかかる時間を従来の10分の1程度まで短縮することが可能である。
図1に、本発明における基板の一実施形態を示す。図1は、略長方形の板状の基板2に、試料および試薬を反応させるための凹部3が複数形成されている。
このような条件を満たす基板として凹部の底部4厚みが5〜500μmのものが必要である。好ましくは、10〜300μmであり、更に好ましくは50〜200μmである。
厚みが上限値を超えると熱伝導性が悪くなる恐れがあり、下限値未満では底部にゆがみを生じる恐れがある。
この処理を施すことにより、任意の生理活性物質をアミド結合等により凹部の底部上面に固定することが可能となる。また、底部上面の親水性も上がり余分な生理活性物質の非特異的吸着を低減できる。
また、例えばPCR法のような100℃程度の熱を必要とする反応に用いるために、基板は100℃以上の熱に耐えられる材質であることが好ましい。
透明性、耐熱性、耐薬品性や反応系に対する影響などの点から環状オレフィン系樹脂やメチルペンテン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明において基板に凹部を形成する方法としては、各種の方法が適用できる。例えば、基板を切削加工する方法、金型により成形する方法等が挙げられる。又、基板に貫通孔を形成し、凹部底部を形成するシートを貼り合わせる方法も可能である。
例えば、(i)基板上の高分子物質に含まれる複数の活性エステル基のうち、少なくとも一部の活性エステル基と生理活性物質とを反応させて共有結合を形成させることにより、基板表面で生理活性物質を固定化し、続いて(ii)生理活性物質を固定化した以外の担体表面の活性エステル基を不活性化する、すなわち残りの活性エステル基を不活性化することにより、生理活性物質を表面に固定することができる。以下、それぞれの工程について説明する。
任意の温度に調節された熱板に基板を接触させることにより反応溶液の温度を制御することが可能である。1つの熱板を随時任意の温度に変更することで反応溶液の調節を行っても良いが、複数個の熱板を各々所定の温度状態に予め制御しておき、その上を基板が順次移動していくという方法により格段に速く反応溶液の温度調整を行うことが可能となる。また、熱板は基板下方のみでなく上方からも接触させることでより短時間で反応溶液の温度調整をすることができる。
抗原抗体反応による抗原の検出の場合、抗原あるいは抗体を基板の凹部の底部上面に固定化しておいた後、試料溶液を加えELISA法を行うことでターゲット物質の有無を検出できる。この場合、基板上に試薬収容部を別に設けておき、必要な試薬を収容しておいても良い。
また、糖転移酵素により凹部の底部上面に固定化した糖鎖の伸長反応を行うことができるため、任意の糖鎖を凹部の底部上面に固定化することができる。この場合、基板上に糖転移反応に必要な試薬収容部を別に設けておき、必要な試薬を収容しておいても良い。
また、通常は抽出してきたDNAをPCR法やLAMP法などにて増幅させてから、検出系に持って行くのだが、本反応容器の場合、DNAの増幅反応を行うのと同時に凹部の底部上面に固定化したプローブDNA へのターゲットDNAのハイブリダイゼーションを行うことができるので、従来法よりも容易にかつ短時間で検出を行うことが可能となる。この場合、基板上に洗浄液等試薬収容部を別に設けておき、必要な試薬を収容しておいても良い。
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2ノルボルネンの開環重合体の水素添加物
、MFR(Melt flow rate):21g/10分、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度123℃)を用い、射出成形によりスライドガラス形状の基板(寸法:25mm×75mm×1mm)を得た。
飽和環状ポリオレフィン樹脂のフィルム(厚み100μm)を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレート−p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(poly(MPC−co−BMA−co−NPMA)(PMBN)、各基は、モル%で25:74:1)の3重量%エタノール溶液に浸漬することにより、フィルム表面にホスホリルコリン基と活性エステル基とを有する高分子物質を導入して、プラスチックフィルム(PMBNコートフィルム)を得た。
得られたスライドガラス状プラスチック基板に切削にて7mm×7mm角の穴を開け、PMBNコートフィルムと穴以外の部分を粘着材により貼り合せ、底部の厚みが100μmである凹部を設けた基板を作製した。
5’末端がアミノ基で修飾された、(i)標的DNA、配列CCACACTCACAGTTTTCACTTCのDNAプローブ(22塩基)、(ii)ポジティブコントロール用DNA、配列CCCGACATCTTGTAGCCACCのDNAプローブ(20塩基)、(iii)ネガティブコントロール用DNA、配列CCACCGATGTTCTACAGCCCのDNAプローブ(20塩基)を0.25M炭酸バッファ(pH9.0)を用いて溶解し、10μMのオリゴDNA溶液を調製した。この溶液をマイクロアレイヤー(日立ソフトウェアーエンジニアリング製Marks‐I)を用い、400μm径クロスカットピンでPMBNフィルム面にスポットした。オリゴDNAをスポットした各基板を、80℃のオーブン内にて30分静置し、プライマーを固定化させた。ブロッキング処理を施した。
上記(i)および(ii)の配列を含むDNA導入したプラスミド溶液に、HS Taqポリメラーゼ、Taq Buffer、Cy3標識dUTP、dATP、dCTP、dGTP、フォワードプライマー(配列CAAATTACAGGGTCAACTGCT(21塩基))、リバースプライマー(配列CAGGTCCTGAACCTCTGGC(19塩基))を添加し、PCR反応溶液を調製した。この溶液を上記プローブを固定化した基板ウェル内に供給し、プレートシールにより密閉状態とした。続いて98℃で熱変性処理、60℃でアニール処理、72℃で伸長反応としたヒートサイクルを35回繰り返し行うことによりDNA増幅反応をおこなった。
反応は約10分程度で終了した。
上記伸長反応の後、反応液の除去および洗浄を行い、蛍光スキャナー(Gene Pix4000B、Axon Instruments、532nm)を用いて検出を行った。前記(i)標的DNA、配列CCACACTCACAGTTTTCACTTCのDNAプローブ(22塩基)、および、(ii)ポジティブコントロール用DNA、配列CCCGACATCTTGTAGCCACCのDNAプローブ(20塩基)点着部分での蛍光が観察でき、ネガティブコントロールである(iii)配列CCACCGATGTTCTACAGCCCのDNAプローブ(20塩基)では蛍光は検出されなかった。
反応から検出まで一連の操作に要した時間は20分程度であった。
2 基板
3 凹部
4 凹部の底部
5 反応溶液
6 凹部開口部の封止用シート
Claims (14)
- 基板の表面に開口する凹部を少なくとも1つ以上有し、前記凹部の底部の上面が平面形状であり、前記底部の厚みが5〜500μmであり、前記凹部の底部上面に1種類以上の生理活性物質が固定化されていることを特徴とする基板。
- 前記基板の厚みが0.5〜3mmである請求項1記載の基板。
- 前記基板の材質が樹脂である請求項1又は2記載の基板。
- 前記樹脂の耐熱性が100℃以上である請求項3記載の基板。
- 前記樹脂が透明樹脂である請求項3又は4記載の基板。
- 前記凹部の底部上面が親水性の表面処理が施されている請求項1〜5いずれか記載の基板。
- 前記凹部の底部上面にホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を有している請求項1〜5いずれか記載の基板。
- 前記基板がスライド形状である請求項1〜7いずれか記載の基板。
- 前記凹部中で酵素反応を行うことを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の基板の使用方法。
- 前記酵素反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR反応)を含む請求項9記載の基板の使用方法。
- 前記酵素反応が、逆転写反応を含む請求項9又は10記載の基板の使用方法。
- 前記凹部中で生体分子間相互作用の解析を行うことを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の基板の使用方法。
- 前記生体分子間相互作用が、抗原抗体反応を含む請求項12記載の基板の使用方法。
- 前記生体分子間相互作用が、糖鎖−レクチン間相互作用を含む請求項12又は13記載の基板の使用方法。
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