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JP2008206965A - 医用画像生成装置、方法およびプログラム - Google Patents

医用画像生成装置、方法およびプログラム Download PDF

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JP2008206965A JP2007328079A JP2007328079A JP2008206965A JP 2008206965 A JP2008206965 A JP 2008206965A JP 2007328079 A JP2007328079 A JP 2007328079A JP 2007328079 A JP2007328079 A JP 2007328079A JP 2008206965 A JP2008206965 A JP 2008206965A
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Yusuke Imasugi
祐介 今杉
Shiyougo Azemoto
将吾 畦元
Masakatsu Hoashi
正勝 帆足
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Abstract

【課題】観察対象組織とその周辺組織との位置関係を把握しつつ、観察対象組織の状態をコントラストの低い部分まで明確に観察し得る観察用画像を作成することが可能な医用画像生成装置、方法およびプログラムを得る。
【解決手段】3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素の中から骨領域と対応する画像構成要素群を選択し、この選択された画像構成要素群に対してのみ、元々対応付けられていた各CT値を、元の値に対し1/4を乗算した値に付け替える。これにより、骨の度数分布を示す分布曲線34Aが、血管の度数分布を示す分布曲線33よりもCT値が低い領域に移動する。この信号値の付替えがなされた後の3次元画像データに基づき、最大値投影法による観察用画像を構成する。
【選択図】図5

Description

本発明は、画像診断を支援する画像生成技術に関するものであり、特に、CT(computed tomography)、MRI(magnetic resonance imaging)等の画像診断装置により得られた所定の信号値(CT値や信号強度)の空間分布を示す3次元画像データに基づき、診断支援に好適な観察用画像を生成し得る医用画像生成装置、方法およびプログラムに関する。
現在、医療分野において用いられる医用画像構成手法は、画像診断装置により得られた断層画像群に基づきコンピュータ上で被観察体の3次元画像モデルを構築し、この3次元画像モデルが有する形状情報を損なうことなく、2次元平面上に投影した画像を構成するものが一般的であり、構成される画像の種類によって、最大値(輝度)投影法(maximum intensity projection;MIP)、最小値(輝度)投影法(minimum intensity projection;MinIP)、サーフェイスレンダリング法(surface rendering;SR)、ボリュームレンダリング法(volume rendering;VR)等が知られている。
VRでは、画像診断装置により得られたCT値等の信号値がそれぞれ対応付けられた、ボクセル(voxel)と称される画像構成要素の集合体を用いて3次元画像モデルが構成されており、VR画像を得る際には各画像構成要素に対し、色や不透明度といった、画像化される際に必要とされる所定の属性(以下、「表示特性」と称する)が各信号値に応じて与えられるようになっている(下記非特許文献1参照)。
また、VR表示では、表示特性を適切に設定することにより、様々な部位の立体構造を把握することができるので、病変部と骨やその他の周辺部位との位置関係を大掴みで把握するのに適している。しかし、VR表示では、3次元画像データが有するコントラスト情報が欠落し易いため、抹消の血管等のコントラストが低い部位を描出することは困難であり、例えば、病変部分とそこに繋がっている血管(腫瘍に栄養を供給している血管)との関係を把握することができない場合がある。
一方、MIPは、3次元画像モデルに対し設定された各視線上において最大の信号値を有する画像構成要素のみを投影することで、3次元画像データが有するコントラスト情報を投影画像上に反映させる手法であり、コントラストの低い細い血管等も描出することができるので、血管の全体像を把握するのに適している。
特に、造影CT画像を用いたMIP表示は、造影効果の低い抹消の血管まで描出することが可能であり、血管の全体構造を容易に把握することができるため、腹部や胸部、下肢等の幅広い領域で使用されている。
しかし、観察対象領域内に、血管よりも高い信号値を有する骨等の組織があり、この組織が設定された視線上に血管と共に存在する場合には、骨の方が描出されてしまい血管を描出することはできない。そこで、血管よりも信号値の高い骨等の組織に対応する部分を3次元画像モデル上で抽出し、抽出された部分をマスキング等により削除するという画像処理(下記非特許文献2参照)が適用されることがある。
心臓血管疾患のMDCTとMRI 医学書院 なるほど!!医用3次元画像考え方と処理法の虎の巻 秀潤社
しかしながら、例えば、腹部や胸部において肋骨や背骨等は、人体内において血管や腫瘍等の観察対象組織の位置を把握するのに有力な手掛かりとなるものであり、これらが削除された画像では、観察対象組織の位置関係を把握することが難しくなるという問題が生じてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、観察対象組織とその周辺組織との位置関係を把握しつつ、観察対象組織の状態をコントラストの低い部分まで明確に観察し得る観察用画像を作成することが可能な医用画像生成装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る医用画像生成装置は、被観察体の3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素に、画像診断装置により得られた所定の信号値がそれぞれ対応付けられてなる3次元画像データに基づき、所定の観察用画像を生成する医用画像生成装置であって、
前記複数の画像構成要素の中から、所定の生体組織と対応する画像構成要素群を選択する選択手段と、
選択された前記画像構成要素群に対応付けられた各々の前記信号値を、所定の変換処理により得られた被変換信号値に付け替える信号値調整手段と、
前記信号値の付替えがなされた後の前記3次元画像データに基づき、前記観察用画像を最大値投影法または最小値投影法により構成する画像構成手段と、を備えてなることを特徴とする。
この医用画像生成装置において、前記所定の変換処理としては、前記信号値の元の値に対し所定の数値を乗算する処理や、前記信号値の元の値に対し所定の数値を加算する処理とすることができる。
また、前記選択手段による前記所定の生体組織と対応する画像構成要素群の選択は、前記3次元画像データに対応付けられた前記所定の信号値のヒストグラムに基づいて行われるようにすることができる。
また、前記所定の生体組織が、観察対象とする注目組織の周辺部に位置する周辺組織であるとすることができ、その場合、注目組織を血管とし、周辺組織を骨とすることができる。
本発明に係る医用画像生成方法は、被観察体の3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素に、画像診断装置により得られた所定の信号値がそれぞれ対応付けられてなる3次元画像データに基づき、所定の観察用画像を生成する医用画像生成方法であって、
前記複数の画像構成要素の中から、所定の生体組織と対応する画像構成要素群を選択する選択処理と、
選択された前記画像構成要素群に対応付けられた各々の前記信号値を、所定の変換処理により得られた被変換信号値に付け替える信号値調整処理と、
前記信号値の付替えがなされた後の前記3次元画像データに基づき、前記観察用画像を最大値投影法または最小値投影法により構成する画像構成処理と、をこの順に行うことを特徴とする。
また、本発明に係る医用画像生成プログラムは、被観察体の3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素に、画像診断装置により得られた所定の信号値がそれぞれ対応付けられてなる3次元画像データに基づき、所定の観察用画像を構成して表示せしめる処理を、コンピュータにおいて実行せしめる各ステップを備えた医用画像生成プログラムであって、
前記複数の画像構成要素の中から、所定の生体組織と対応する画像構成要素群を選択する選択ステップと、
選択された前記画像構成要素群に対応付けられた各々の前記信号値を、所定の変換処理により得られた被変換信号値に付け替える信号値調整ステップと、
前記信号値の付替えがなされた後の前記3次元画像データに基づき、前記観察用画像を最大値投影法または最小値投影法により構成する画像構成ステップと、を備えてなることを特徴とする。
なお、上記「所定の変換処理」とは、信号値の元の値に対し所定の演算を適用して算出された数値を被変換信号値とするもの以外に、メモリ上に所定の数値を被変更信号値として予め格納しておき、この格納された被変更信号値を元の信号値と交換する処理等も含むものである。
本発明によれば、被観察体の3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素の中から、骨や腫瘍等の所定の生体組織と対応する画像構成要素群を選択し、この画像構成要素群に対応付けられた各々の信号値を変換後の信号値に付け替え、この付替えがなされた後の3次元画像データに基づき、最大値投影法または最小値投影法により観察用画像を構成するので、観察対象組織とその周辺組織との位置関係を把握しつつ、観察対象組織の状態をコントラストの低い部分まで明確に観察し得る観察用画像を作成することが可能となる。
例えば、造影された血管を観察対象組織とし、骨を周辺組織とする場合、従来の最大値投影法による観察用画像においては、信号値の高い骨が妨げとなって、造影された血管を描出することが困難となるのに対し、本発明では、骨と対応する画像構成要素群に対応付けられた各々の信号値を、造影血管の信号値範囲よりは低く、かつ画像とし表示され得る範囲の信号値に付け替えた上で最大値投影法を適用することにより、血管の全体像をその抹消部分に至るまで明確に描出しつつ、骨と血管との位置関係をも認識することが可能な観察用画像を生成することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る医用画像生成装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す生体組織の識別画像作成装置は、CT、MRI等の画像診断装置により得られた被観察体(例えば、人体)の3次元画像データに基づき、画像診断に適した所定の観察用画像を生成して表示するものであり、コンピュータ等からなる画像処理装置1と、液晶パネル等からなる表示画面を有する画像表示装置2と、マウスやキーボード等からなる操作装置3とを備えてなる。
上記画像処理装置1は、各種の演算処理を行うCPUおよびRAMやROM等の記憶装置ならびに該記憶装置に格納された制御プログラムなどから構成される制御部11と、画像診断装置により得られた被観察体の3次元画像データを記憶する画像データ記憶部12と、画像処理された画像を記憶する作成画像記憶部13とを備えている。また、画像処理された画像を画像表示装置2に出力する作成画像出力インタフェース14と、操作装置3からの各種の操作入力を制御部11に伝達する操作入力インタフェース15と、通信や記憶媒体等を介して入力された生体内の3次元画像データを制御部11に伝達する画像データインタフェース16とを備えている。
なお、上記3次元画像データとは、被観察体の3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素(例えば、ボクセル)に、所定の信号値(例えば、CT装置により得られたCT値やMRI装置により得られた信号強度)がそれぞれ対応付けられてなるものであり、上記画像処理装置1は、この分布データに基づき被観察体に関する種々の観察用画像(例えば、MIP画像、MinIP画像、VR画像等)を生成して、上記画像表示装置2に表示せしめ得るように構成されている。
また、上記制御部11内の記憶装置内には、後述する各処理を画像処理装置1に実行せしめるための、本発明の一実施形態に係る医用画像生成プログラムが格納されており、この医用画像生成プログラムを実行する制御部11により、本実施形態装置における選択手段17、信号値調整手段18、および画像構成手段19が構成されている。
上記選択手段17は、上記複数の画像構成要素の中から、所定の生体組織(例えば、腫瘍等の病変部や骨、血管、臓器等)と対応する画像構成要素群(画像構成要素の集合;ボクセル群)を選択するものであり、上記信号値調整手段18は、選択された画像構成要素群に対応付けられた各々の信号値を、所定の変換処理により得られた被変換信号値に付け替えるものである。また、上記画像構成手段19は、信号値の付替えがなされた後の3次元画像データに基づき、観察用画像を最大値投影法または最小値投影法により構成するようになっている。
次に、本発明に係る医用画像生成方法について説明する。図2は本発明の一実施形態に係る医用画像生成方法の手順を示すフローチャートである。また、図3および図4は本実施形態方法の作用を説明するためのものであり、図3には、本実施形態方法が適用される前の3次元画像データに基づき構成されたMIP画像(同図(a))と、本実施形態方法が適用された後の3次元画像データに基づき構成されたMIP画像(同図(b))とが、それぞれ模式的に示されている。一方、図4には、本実施形態方法が適用される前の3次元画像データに基づく信号値のヒストグラム(同図(a))と、本実施形態方法が適用された後の3次元画像データに基づく信号値のヒストグラム(同図(b))とが、それぞれ模式的に示されている。なお、本実施形態に係る医用画像生成方法は、図1に示す医用画像生成装置を用いて行われる。
図3(a)に示すように、本実施形態方法が適用される前のMIP画像においては、観察対象とする生体組織(以下、「注目組織」と称する)21と、該注目組織21の周辺部に位置する他の生体組織(以下、「周辺組織」と称する)22とが描出されているが、周辺組織22の方がより高い信号値を有するため、設定された視線上において互いが重なる部分では、周辺組織22の方が描出されてしまい、注目組織21を観察することができなくなっている。
そこで、本実施形態方法では、まず、選択処理が行われる(図2のステップS1)。この選択処理は、複数の画像構成要素の中から、上記周辺組織22(図3(a)参照)と対応する画像構成要素群を選択するものであり、本実施形態方法では上記選択手段17により行われる。なお、上記画像構成要素群の選択は、例えば、図4(a)に示すヒストグラムに基づき、次のように行うことができる。
すなわち、図4(a)に示されたヒストグラムから、図3(a)のMIP画像において周辺組織22に対応する信号値の数値範囲(下限値T〜上限値T)を指定する(図4(a)では、注目組織21の信号値の度数分布を示す分布曲線31と、周辺組織22の信号値の度数分布を示す分布曲線32とが互いに分離されているため、この信号値の数値範囲の指定が容易となっている)。次に、指定された数値範囲内の各信号値が対応付けられた画像構成要素群を、上記周辺組織22と対応するものとして、複数の画像構成要素の中から選択する。なお、上記数値範囲の指定は、医師等の操作者が行うようにしてもよい。
次いで、信号値調整処理が行われる(図2のステップS2)。この信号値調整処理は、選択された上記画像構成要素群に対応付けられた各々の信号値を、所定の変換処理により得られた被変換信号値に付け替えるものであり、本実施形態方法では、上記信号値調整手段18により行われる。なお、上記変換処理は、例えば、図4に示す信号値の度数分布に基づき、次のように行うことができる。
すなわち、図4(a)に示された度数分布において、周辺組織22に対応するとして指定された数値範囲内(下限値T〜上限値T)の各信号値に対して、元の値に所定の数値−αを加算する演算処理を行って各被変換信号値(下限値T−α〜上限値T−α)を算出し、この算出された各被変換信号値を元の信号値と付け替える。なお、この数値−αは、図4(b)に示すように、信号値の付替えによって周辺組織22の信号値の度数分布を示す分布曲線32Aが、注目組織21の信号値の度数分布を示す分布曲線31よりも信号値が小さい領域に移動するような値として設定される。
次に、画像構成処理が行われる(図2のステップS3)。この画像構成処理は、信号値の付替えがなされた後の3次元画像データに基づき、最大値投影法による観察用画像を構成するものであり、本実施形態方法では、上記画像構成手段19により行われる。
この画像構成処理により、図3(b)に示すようなMIP画像が構成される。このMIP画像においては、信号値の付替えにより周辺組織22よりも相対的に信号値が大きくなった注目組織21が明確に描出されるとともに、注目組織21の位置を把握することができる程度に周辺組織22も薄らと描出されている。なお、上記−αの値の設定は、医師等の操作者が行うようにしてもよい。また、その場合、設定された−αの値に基づき構成されたMIP画像を観察しながら、−αの値を微調整し得るようにしてもよい。
上記実施形態では図4(a)に示すように、注目組織21の信号値の分布曲線31と、周辺組織22の信号値の分布曲線32とが、ヒストグラム上において互いに分離しているため、上記選択処理をヒストグラムに基づいて容易に行うことが可能であった。しかし、実際には、注目組織の信号値の度数分布と周辺組織の信号値の度数分布とが、ヒストグラム上において互いに重複している場合がある。
このような場合には、別の選択手法を用いて、注目組織または周辺組織に対応する画像構成要素群を選択する必要がある。このような選択手法としては、例えば、特開2004−283373号公報や特願2006−171447号明細書に記載されている血管抽出手法を適用することが可能である。また、対応付けられた信号値が互いに近接する画像構成要素同士の3次元画像モデル上での繋がり具合やボリューム等を考慮して、骨等の特定組織を抽出する従来手法を適用することも可能である。
以下、注目組織の信号値の度数分布と周辺組織の信号値の度数分布とが、ヒストグラム上において互いに重複している場合に本発明を適用した例について説明する。図5は本発明適用前後での信号値のヒストグラムの変化を示す図である。また、図6および図7は図5に示すヒストグラムと対応した人体腹部のMIP画像であり、図6は本発明適用前の状態を示し、図7は本発明適用後の状態を示している。なお、図5の横軸は信号値としてのCT値を示しており、縦軸は度数として人体中での体積値(mm)を示している。
図5に示す例では、注目組織としての血管の度数分布を示す分布曲線33(1点鎖線で示す)と、周辺組織としての骨の度数分布を示す分布曲線34(実線で示す)とが完全に重なり合っており、かつ全体的に骨領域の方が、血管領域よりもCT値が大きくなっている。このため、図6に示すように、本発明適用前のMIP画像では、設定された視線上において血管35と骨36とが互いに重なる部分では、骨36の方が描出されてしまい血管35を観察することができなくなっている。
そこで、3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素の中から骨領域と対応する画像構成要素群を選択し、この選択された画像構成要素群に対してのみ、元々対応付けられていた各信号値を、所定の変換処理により得られた被変換信号値に付け替える。本例では、信号値の元の値に対し所定の数値(1/4)を乗算することにより算出された数値を、被変換信号値としている。これにより、図5に示すように、骨36の度数分布を示す分布曲線34A(破線で示す)が、血管35の度数分布を示す分布曲線33よりもCT値が小さい領域に移動する。
この信号値の付替えがなされた後の3次元画像データに基づき、最大値投影法による観察用画像を構成することにより、図7に示すようなMIP画像が生成される。図7に示すMIP画像においては、信号値の付替えにより骨36よりも相対的に信号値が大きくなった血管35がその抹消部分に至るまで明確に描出されるとともに、腹部領域において血管35の位置関係を認識することができる程度に骨36も薄らと描出されている。
なお、本発明は、注目組織が血管であり周辺組織が骨である場合に適用が限られるものではない。図8〜図10は病変部(腫瘍)を注目組織とし血管を周辺組織として捉えた場合の画像例を示している。図8は本発明適用前のMIP画像であり、図9は本発明適用後のMIP画像である。また、図10はボリュームレンダリング法により生成された観察用画像(VR画像)を比較例として示すものである。なお、図8および図9では、骨の領域が従来手法により削除されている。また、図10において設定された視線の方向は、図8および図9において設定された視線の方向とは異なっている。
図8に示すMIP画像では、注目組織としての腫瘍40(図9参照)と周辺組織としての血管37とが、設定された視線上において互いに重なる部分では、血管37の信号値の方が相対的に大きいため、血管37のみが描出されてしまい腫瘍40を観察することができない。
そこで、3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素の中から腫瘍領域と対応する画像構成要素群を従来手法を用いて選択し、この選択された画像構成要素群に対してのみ、元々対応付けられていた各信号値を、血管の信号値よりも相対的に大きい値を有する被変換信号値に付け替えている。
この信号値の付替えがなされた後の3次元画像データに基づき、最大値投影法による観察用画像を構成することにより、図9に示すようなMIP画像が生成される。図9に示すMIP画像においては、信号値の付替えにより血管37よりも相対的に信号値が大きくなった腫瘍40が明確に描出されるとともに、該腫瘍40に栄養を供給している血管37がその抹消部分に至るまで明確に描出されている。
一方、図10に示すVR画像では、3次元的な描出がなされているため、腫瘍40の位置関係を把握し易くなっている。しかしながら、腫瘍40に栄養を供給している血管37の抹消部分については、コントラスト情報が欠落して反映されていないため、描出することができていない。
また、図11〜図13は心臓の冠動脈血管を注目組織とし心臓(心筋)を周辺組織として捉えた場合の画像例を示している。図11は本発明適用前のMIP画像であり、図12は本発明適用後のMIP画像である。また、図13は従来手法により左心室部分が削除されたMIP画像を比較例として示すものである。
図11に示すMIP画像では、注目組織としての冠動脈血管38と周辺組織としての心臓39とが、視線上において互いに重なる部分では、心臓39の信号値の方が相対的に大きいため、冠動脈血管38が不鮮明に描出されており、詳細な観察を行うことができない。
そこで、3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素の中から冠動脈血管38と対応する画像構成要素群を抽出することにより(上述の血管抽出手法を適用することが可能)、冠動脈血管38と対応しないその余の画像構成要素群を選択し、この選択されたその余の画像構成要素群に対してのみ、元々対応付けられていた各信号値を、冠動脈血管38の信号値よりも相対的に小さい値を有する被変換信号値に付け替えている。
この信号値の付替えがなされた後の3次元画像データに基づき、最大値投影法による観察用画像を構成することにより、図12に示すようなMIP画像が生成される。図12に示すMIP画像においては、信号値の付替えにより他の組織(心臓39を含む)よりも相対的に信号値が大きくなった冠動脈血管38が、その抹消部分に至るまで明確に描出されるとともに、冠動脈血管38の位置関係を認識することができる程度に心臓39も薄らと描出されている。
一方、図13に示すMIP画像では、上述したような従来手法により、左心室39Lの部分(図中右側の部分)が削除されているため、左心室39L側については冠動脈血管38がある程度鮮明に描出されている。従来手法により左心室39Lの部分を削除し得るのは、左心室39Lを構成する心筋組織の厚みが大きく、また信号値も冠動脈血管38よりもかなり大きい値を示すことから、左心室39Lの領域を画像データ上において特定し易いことによる。しかしながら、右心室39Rを構成する心筋組織は厚みが小さく、また信号値も冠動脈血管38とかなり近い値を示すことから、右心室39R側に対しては、従来手法を適用することが難しく、右心室39R側の冠動脈血管38を鮮明に描出することができていない。
また、本発明は、最大値投影法によるMIP画像を観察用画像として生成する場合に適用が限られるものではなく、最小値投影法によるMinIP画像を観察用画像として生成する場合にも適用可能である。図14および図15は胸部の病変部(腫瘍)を注目組織とし肺組織を周辺組織として捉えた場合のMinIP画像例を示している。図14は本発明適用前のMinIP画像であり、図15は本発明適用後のMinIP画像である。
図14に示すMinIP画像では、注目組織としての腫瘍41と周辺組織としての肺組織42とが、設定された視線上において互いに重なる部分では、互いに略同じ信号値を示すため、腫瘍41を肺組織42と区別して明確に観察することができない。
そこで、3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素の中から、腫瘍41の領域と対応する画像構成要素群を従来手法により選択し、この選択された画像構成要素群に対してのみ、元々対応付けられていた各信号値を、肺組織42の信号値よりも相対的に小さい値を有する被変換信号値に付け替えている。
この信号値の付替えがなされた後の3次元画像データに基づき、最小値投影法による観察用画像を構成することにより、図15に示すようなMinIP画像が生成される。図15に示すMinIP画像においては、信号値の付替えにより肺組織42よりも相対的に信号値が小さくなった腫瘍41が明確に描出されるとともに、胸部領域において腫瘍41の位置関係を認識することができる程度に肺組織42も描出されている。
また、本発明は、CT装置により得られた画像データに基づき観察用画像を生成する場合に適用が限られるものではなく、MRI装置により得られた画像データに基づき観察用画像を生成する場合にも適用可能である。図16および図17は、MRI装置により得られた画像データに基づき、最大値投影法によるMIP画像を観察用画像として生成する場合の画像例(心臓の冠動脈血管を注目組織とし心臓(心筋)を周辺組織として捉えている)を示している。図16は本発明適用前のMIP画像であり、図17は本発明適用後のMIP画像である。
図16に示すMIP画像では、注目組織としての冠動脈血管43と周辺組織としての心臓44とが、視線上において互いに重なる部分では、心臓44の信号値の方が相対的に大きいため、冠動脈血管43が不鮮明に描出されており、詳細な観察を行うことができない。
そこで、MRI画像装置の画像データにより得られた3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素の中から冠動脈血管43と対応する画像構成要素群を抽出することにより(上述の血管抽出手法を適用することが可能)、冠動脈血管43と対応しないその余の画像構成要素群を選択し、この選択されたその余の画像構成要素群に対してのみ、元々対応付けられていた各信号値(信号強度)を、冠動脈血管43の信号値よりも相対的に小さい値を有する被変換信号値に付け替えている。
この信号値の付替えがなされた後の3次元画像データに基づき、最大値投影法による観察用画像を構成することにより、図17に示すようなMIP画像が生成される。図17に示すMIP画像においては、信号値の付替えにより他の組織(心臓44を含む)よりも相対的に信号値が大きくなった冠動脈血管43が、その抹消部分に至るまで明確に描出されるとともに、冠動脈血管43の位置関係を認識することができる程度に心臓44も薄らと描出されている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々に態様を変更することが可能である。
例えば、上記実施形態では、腹部または胸部における観察用画像を生成する場合について説明しているが、本発明は、頭部や下肢部等の種々の部位における観察用画像を生成する場合にも同様に適用することが可能である。
また、上記実施形態では、主として、CT装置およびMRI装置により得られた画像データを用いる場合について説明しているが、本発明は、他の画像診断装置により得られた画像データを用いる場合にも適用することが可能である。
本発明に係る医用画像生成装置のブロック図 本発明に係る医用画像生成方法の手順を示すフローチャート 本発明適用前のMIP画像(a)と適用後のMIP画像(b) 本発明適用前のヒストグラム(a)と適用後のヒストグラム(b) 本発明適用前後での信号値のヒストグラムの変化を示す図 図5に示すヒストグラムと対応した本発明適用前のMIP画像 図5に示すヒストグラムと対応した本発明適用後のMIP画像 本発明適用前の腹部のMIP画像 本発明適用後の腹部のMIP画像 ボリュームレンダリング法により生成された観察用画像(比較例) 本発明適用前の心臓周辺部のMIP画像 本発明適用後の心臓周辺部のMIP画像 従来手法により左心室部分が削除されたMIP画像(比較例) 本発明適用前の肺周辺部のMinIP画像 本発明適用後の肺周辺部のMinIP画像 本発明適用前の、MRI画像に基づく心臓周辺部のMIP画像 本発明適用後の、MRI画像に基づく心臓周辺部のMIP画像
符号の説明
1 画像処理装置
2 画像表示装置
3 操作装置
11 制御部
12 画像データ記憶部
13 作成画像記憶部
14 作成画像出力インタフェース
15 操作入力インタフェース
16 画像データインタフェース
17 選択手段
18 信号値調整手段
19 画像構成手段
21 注目組織
22 周辺組織
31 (注目組織の)分布曲線
32 (信号値調整処理前の周辺組織の)分布曲線
32A (信号値調整処理後の周辺組織の)分布曲線
33 (血管の)分布曲線
34 (信号値調整処理前の骨の)分布曲線
34A (信号値調整処理後の骨の)分布曲線
35,37 血管
36 骨
38,43 冠動脈血管
39,44 心臓
39L 左心室
39R 右心室
40,41 腫瘍
42 肺組織

Claims (8)

  1. 被観察体の3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素に、画像診断装置により得られた所定の信号値がそれぞれ対応付けられてなる3次元画像データに基づき、所定の観察用画像を生成する医用画像生成装置であって、
    前記複数の画像構成要素の中から、所定の生体組織と対応する画像構成要素群を選択する選択手段と、
    選択された前記画像構成要素群に対応付けられた各々の前記信号値を、所定の変換処理により得られた被変換信号値に付け替える信号値調整手段と、
    前記信号値の付替えがなされた後の前記3次元画像データに基づき、前記観察用画像を最大値投影法または最小値投影法により構成する画像構成手段と、を備えてなることを特徴とする医用画像生成装置。
  2. 前記所定の変換処理が、前記信号値の元の値に対し所定の数値を乗算するものであることを特徴とする請求項1記載の医用画像生成装置。
  3. 前記所定の変換処理が、前記信号値の元の値に対し所定の数値を加算するものであることを特徴とする請求項1記載の医用画像生成装置。
  4. 前記選択手段による前記所定の生体組織と対応する画像構成要素群の選択は、前記3次元画像データに対応付けられた前記所定の信号値のヒストグラムに基づいて行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の医用画像生成装置。
  5. 前記所定の生体組織が、観察対象とする注目組織の周辺部に位置する周辺組織であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の医用画像生成装置。
  6. 前記注目組織が血管であり、前記周辺組織が骨であることを特徴とする請求項5記載の医用画像生成装置。
  7. 被観察体の3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素に、画像診断装置により得られた所定の信号値がそれぞれ対応付けられてなる3次元画像データに基づき、所定の観察用画像を生成する医用画像生成方法であって、
    前記複数の画像構成要素の中から、所定の生体組織と対応する画像構成要素群を選択する選択処理と、
    選択された前記画像構成要素群に対応付けられた各々の前記信号値を、所定の変換処理により得られた被変換信号値に付け替える信号値調整処理と、
    前記信号値の付替えがなされた後の前記3次元画像データに基づき、前記観察用画像を最大値投影法または最小値投影法により構成する画像構成処理と、をこの順に行うことを特徴とする医用画像生成方法。
  8. 被観察体の3次元画像モデルを構成する複数の画像構成要素に、画像診断装置により得られた所定の信号値がそれぞれ対応付けられてなる3次元画像データに基づき、所定の観察用画像を構成して表示せしめる処理を、コンピュータにおいて実行せしめる各ステップを備えた医用画像生成プログラムであって、
    前記複数の画像構成要素の中から、所定の生体組織と対応する画像構成要素群を選択する選択ステップと、
    選択された前記画像構成要素群に対応付けられた各々の前記信号値を、所定の変換処理により得られた被変換信号値に付け替える信号値調整ステップと、
    前記信号値の付替えがなされた後の前記3次元画像データに基づき、前記観察用画像を最大値投影法または最小値投影法により構成する画像構成ステップと、を備えてなることを特徴とする医用画像生成プログラム。
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